平成15(行ウ)33 通知処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成17年1月13日 津地方裁判所 租税
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判決文本文17,794 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 主位的請求ア(ア) 被告鈴鹿税務署長が平成13年4月18日付けでした原告(選定当事者。以下「原告」という。)及び選定者ら(以下,原告と選定者らを併せて「原告ら」という。)の相続税に係る更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 (イ) 被告鈴鹿税務署長は,原告に対し26万3500円を超える相続税額,選定者aに対し25万6500円を超える相続税額,選定者bに対し414万7100円を超える相続税額,選定者cに対し25万6500円を超える相続税額を取り消せ。 イ被告国は,原告に対し424万5100円,選定者aに対し425万2100円,選定者bに対し1163万3100円,選定者cに対し425万2100円及びこれらに対する平成12年10月31日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 予備的請求被告国は,原告に対し524万5100円,選定者aに対し525万2100円,選定者bに対し1263万3100円,選定者cに対し525万2100円及びこれらに対する平成12年12月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は被告らの負担とする。 (4) 上記(2)につき仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 主文同旨(2)ア仮執行免脱宣言イ仮執行宣言の執行開始時期を判決が被告国に送達された後14日経過した時とすること第2 事案の概要本件は,d(以下「本件被相続人」 主文同旨(2)ア仮執行免脱宣言イ仮執行宣言の執行開始時期を判決が被告国に送達された後14日経過した時とすること第2 事案の概要本件は,d(以下「本件被相続人」という。)の相続人である原告らが,相続財産でない財産につき誤って相続税申告したとして,遺産分割協議成立後に相続税法32条1号に基づく更正の請求をしたのに対して,被告鈴鹿税務署長が同請求を国税通則法23条1項1号に基づくものとして期間徒過を理由に更正すべき理由がない旨の通知をしたことは違法であるとして,主位的に,①被告鈴鹿税務署長に対して,行訴法3条2項に基づき通知処分の取消しと,更正処分の義務付けを求め,②被告国に対して,行訴法4条及び民法703条,704条に基づき誤納金の返還及びこれに対する受益の日の翌日である平成12年10月31日から支払済みまで年5分の割合による利息を請求し(上記①,②の請求は選択的関係にある。),予備的に,③鈴鹿税務署の係官が,相続財産でない財産を除外した更正の請求の取下げとそれを含む更正の請求書又は修正申告書の提出を求める誤指導をし,また被告鈴鹿税務署長が違法な更正処分をしたため,不当に相続税を負担させられ,精神的苦痛も被ったとして,国家賠償法1条1項に基づき,相続税の誤納金額及び慰謝料各100万円の賠償及びこれに対する違法行為日の後である平成12年12月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求した事案である。 1 争いのない事実等(1) 本件被相続人は,宗教法人αの住職であり,平成5年3月8日,死亡した。 原告ら及びe(以下「本件相続人ら」という。)は,本件被相続人の子で,相続人である。 (2) 本件相続人らは,平成5年10月29日,本件被相続人に関する相 月8日,死亡した。 原告ら及びe(以下「本件相続人ら」という。)は,本件被相続人の子で,相続人である。 (2) 本件相続人らは,平成5年10月29日,本件被相続人に関する相続につき,相続財産の総額を2億6418万3478円(別紙財産目録記載の財産(以下「本件財産」といい,このうち土地については「本件土地」という。)を含む。)とする相続税の申告書(以下「本件当初申告書」という。)を,法定申告期限までに被告鈴鹿税務署長に提出した。 (3)ア本件相続人らは,平成12年7月1日に遺産分割協議が調った(甲1)として,被告鈴鹿税務署長に対し,平成12年10月10日付けで,相続税の更正の請求書(以下「第1次更正の請求書」という。)を提出した。この中で,本件財産は相続財産から除外されていた。 イ本件相続人らは,被告鈴鹿税務署長に対し,平成12年10月30日付けで第1次更正の請求書を取り下げる旨の取下書を提出した。 (4)ア選定者bを除く本件相続人らは,平成12年10月30日,被告鈴鹿税務署長に対し,新たに相続税の更正の請求書(以下「第2次更正の請求書」という。)を提出し,選定者bは,相続税の修正申告書を提出した。この中で,本件財産は相続財産に含まれていた。 イさらに,選定者bは,本件相続人ら代表として,平成12年10月30日付けで,被告鈴鹿税務署長に対し,本件財産はα所有の財産であり相続財産に含まれないとして,相続税額の減額を求める旨の嘆願書(以下「本件嘆願書」という。)を提出した。 ウ被告鈴鹿税務署長は,平成12年12月7日付けで,選定者bを除く本件相続人らに対し,第2次更正の請求書に対する更正処分をした。 エ被告鈴鹿税務署長は,本件嘆願書に対し,平成13 ウ被告鈴鹿税務署長は,平成12年12月7日付けで,選定者bを除く本件相続人らに対し,第2次更正の請求書に対する更正処分をした。 エ被告鈴鹿税務署長は,本件嘆願書に対し,平成13年2月14日に,相続税額の減額を認めることはできない旨口頭で回答した。 (5)ア本件相続人らは,平成13年4月11日付けで,被告鈴鹿税務署長に対し,本件財産を相続財産に含まない相続税の更正の請求書(以下「本件更正の請求書」という。)を提出した。 イ被告鈴鹿税務署長は,平成13年4月18日付けで,本件更正の請求書に対し,更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。 (6)ア本件相続人らは,本件通知処分を不服として,平成13年6月11日付けで,被告鈴鹿税務署長に対し異議申立てをした。 イ eは,平成13年8月1日に,被告鈴鹿税務署長に対し,異議申立てを取り下げる旨の取下書を提出した。 ウ被告鈴鹿税務署長は,平成13年8月23日付けで原告らに対し,棄却の異議決定をした。 (7)ア原告らは,異議決定を経た後の原処分に不服があるとして,eとともに,平成13年9月20日付けで国税不服審判所長に対し審査請求をした。 イ国税不服審判所長は,平成14年9月9日付けで,原告らに係る審査請求については棄却し,eに係る審査請求については却下の裁決をした(甲2)。 (上記(2)~(7)の詳細は,別表「本件通知処分等の経緯」のとおりである。)(8) 原告らは,上記裁決に不服があるとして,平成14年12月18日,本件訴えを提起した。 2 争点(1) 本件通知処分の違法性(2) 被告鈴鹿税務署長及び鈴鹿税務署の係官の違法行為の有 らは,上記裁決に不服があるとして,平成14年12月18日,本件訴えを提起した。 2 争点(1) 本件通知処分の違法性(2) 被告鈴鹿税務署長及び鈴鹿税務署の係官の違法行為の有無(3) 不当利得額,損害額及び慰謝料の額 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件通知処分の違法性)について(原告の主張)ア本件当初申告で相続財産としたもののうち,本件財産は相続財産でなく,αの所有である。その根拠は,次のとおりである。 (ア) 所有と使用との区別は,近代法で分化したものであり,本件のように古い昔から順次形成されてきた寺院の境内地については,元々は所有権という概念のみであった。ただ,αが法人であると明確に認識されていなかったため,所有権登記が住職名でなされてきた。しかし,本件財産の所有者を住職だと思う者はいなかった。 (イ) 住職が,本件財産を個人的に処分することができないことは,自明である。 (ウ) 本件被相続人が,土地の所有名義をαに変更しようとし,檀家総代とも話し合い,農地法等の制約のない土地については,αに変更された。その際も,元来,αの所有であったために,何ら贈与税の課税もなかった。しかし,農地法等の制約のある本件土地のみが,名義変更に時間を要し,それが未了のまま,本件被相続人は死亡した。 (エ) 本件土地は,宗教法人法3条所定の境内地に当たり,現実に,宗教行事が毎年行われている。 (オ) 以上のことは,関係の密接な4か所の寺に共通しており,その財産の所有名義はすべて住職である。 イ国税通則法による更正の請求は,原則として1年以内にしなければならない(同法23条)。しかし 上のことは,関係の密接な4か所の寺に共通しており,その財産の所有名義はすべて住職である。 イ国税通則法による更正の請求は,原則として1年以内にしなければならない(同法23条)。しかし,相続税に関しては,未分割遺産について分割協議が成立した場合,課税価額や納付すべき税額が増減する場合が起き,遺産分割協議に期限の制約はない。その場合に備えて,相続税法32条が国税通則法23条の特則として規定されている。 相続税法32条1号は,同法55条による申告をしていた場合について,遺産分割の結果当初の申告が過大となった場合に更正の請求ができることを規定している。そして,当該財産が遺産を構成しているかどうかを含めて遺産分割が問題となっているときは,1年以内に更正の請求ができるはずがなく,そのような場合も,相続税法32条に基づき更正の請求をすることができるというべきである。 本件では,選定者cが,本件財産につき登記上本件被相続人の所有となっているから,遺産分割の対象とせよと主張したため,法定申告期限までに遺産分割協議が調わず,本件財産も含めて相続税法55条に基づき民法の法定相続分どおりで分割が行われたものとして申告をした。その後,遺産分割協議が調い,本件財産は相続財産でなく,αに帰属することを確認した。これが調うまでは,本件財産がα所有であることを確定することができなかったのである。 本件当初申告において,本件財産を相続財産に含めて申告したことは,国税通則法23条1項1号にいう「税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「その計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しない。相続税法32条又はその類推適用で処理すべきものなのである。 ウ本件相続人らは,第 税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「その計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しない。相続税法32条又はその類推適用で処理すべきものなのである。 ウ本件相続人らは,第1次更正の請求書を,遺産分割協議が成立して4月以内である平成12年10月10日に提出した。 これに対して,鈴鹿税務署の係官fは,同月半ばころ,本件相続人ら代理人のg税理士に対し,「本件を早く処理するために,相続財産の中にα所有分を含めて申告をし直し,α所有分については,別に嘆願書を提出してくれれば,αの所有であるか,あるいは相続人所有であり,αが使用貸借していたものであるか調査した上で,処理する」と誤った指導をした。 そのため,本件相続人らは,本件財産を含めて申告してもα所有分については嘆願書で相続財産から除外してくれるものと信じ,錯誤に陥った結果,第1次更正の請求の取下書及び第2次更正の請求書を提出した。したがって,これらの提出は無効であり,第1次更正の請求はなお有効である。このことは,g税理士が関与していたとしても,やむを得ないものである。そして,本件更正の請求は,第1次更正の請求を確認的になしたものである。 よって,本件更正の請求をしたのは,第1次更正の請求をした平成12年10月10日とみることができ,遺産分割協議が成立して4月以内であるから,相続税法32条の期間内になされたといえる。 エ以上のとおりであるから,被告鈴鹿税務署長が本件更正の請求に対してなした本件通知処分は違法であり,取り消されるべきである。 (被告らの主張)ア相続税における更正の規定及び趣旨(ア) 相続税法55条の規定及び趣旨相続税申告にお あり,取り消されるべきである。 (被告らの主張)ア相続税における更正の規定及び趣旨(ア) 相続税法55条の規定及び趣旨相続税申告において法定の申告期限が定められており,相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告書を提出しなければならないが(相続税法27条),この申告期限までに相続人間で遺産分割協議が調わない場合もある。そのような場合,遺産分割協議が成立していないから相続分が確定しないとの理由で,課税金額を計算できないとすることは,いかにも不都合である。相続税法55条は,未分割遺産については,各共同相続人が,民法の規定による相続分の割合によって,当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとした。 そうすると,当初の相続税申告では,法定相続分に従って税額を計算して申告したが,その後,遺産分割がなされて,相続財産を取得した結果,実際に取得した相続財産に対する課税価格と当初申告時の課税価格とが異なる場合が当然に生じ得る。そこで,相続税法55条は,ただし書において,実際に取得した相続財産に対する課税価格を基礎とする申告書を提出したり,若しくは相続税法32条によって,更正の請求をすることができるものとした。 (イ) 相続税法32条の規定及び趣旨相続税法32条は,国税通則法23条の特則である。すなわち,国税通則法23条1項本文においては,法定の申告期限から1年以内に限り,税額等について更正の請求をすることができると規定されている。しかし,相続においては,遺産分割協議が長引き,法定申告期限から1年以内に,協議が成立しないこともあり得るから,国税通則法23条の更正の請求期限に間に合わない事態が十分に とができると規定されている。しかし,相続においては,遺産分割協議が長引き,法定申告期限から1年以内に,協議が成立しないこともあり得るから,国税通則法23条の更正の請求期限に間に合わない事態が十分にあり得る。そこで,相続税法32条は,申告時に未分割であった相続財産がその後分割されて課税価格が異なることとなった場合(1号),認知,相続人の廃除等によって相続人に移動が生じた場合(2号),遺留分減殺請求がなされた場合(3号),遺言書の発見等があった場合(4号)など,相続分に変動を生じる事由があった場合には,これらの事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に限り,課税価格及び相続税額等について国税通則法23条1項による更正の請求をすることができると規定した。したがって,同規定は,相続においては,相続分の確定に長期間を要する場合があるという特殊性にかんがみ,国税通則法23条の更正の請求の期間を徒過した場合であっても,相続分の変動を生じた日から4か月以内においては,更正の請求を認めた特則であるといえる。 (ウ) 相続税法32条によって,相続財産の総額を減額する更正の請求をすることの可否上記(ア),(イ)のように,相続税法32条は,遺産分割に長期の期間を要することがあるなど,相続の特殊性にかんがみ,当初申告時に法定相続分に従って申告した課税価格が,その後の遺産分割などにより各相続人に具体的に分割された場合に,それぞれの取得財産に基づいた課税を求めることができるとしているにすぎないから,当初申告時における相続財産の総額と,更正請求時における相続財産の総額とは同一であることを前提としているものである。したがって,同法による更正の請求によって,当初申告における相続財産の内容を変更したり,課税価格の総額を減算 の総額と,更正請求時における相続財産の総額とは同一であることを前提としているものである。したがって,同法による更正の請求によって,当初申告における相続財産の内容を変更したり,課税価格の総額を減算することは認められていないと解すべきである。 つまり,当初申告時に,当初申告において申告した相続財産の一部が相続財産でないことが判明したため,税額の減額を求める場合には,上記のような相続財産確定における特殊性から生じたものではなく,一般的な申告の過誤であると解されるから,国税通則法23条によって更正の請求をすべきであって,相続税法32条による更正の請求をすることはできないというべきである。 イ相続税法32条を本件に類推適用すべき旨の主張についてそもそも租税法は侵害規範であり,法的安定性の要請が強く働くから,その解釈は原則として文理解釈によるべきであり,みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されない。 そして,相続財産であるか否かは,相続時に確定している権利関係であり,当初申告時に十分な調査を行えば把握し得る事実であるから,その過誤があった場合には,一般の申告における過誤と同じ訂正の機会を与えれば足りると解すべきであり,あえて類推解釈を認めて申告者を保護すべき事情は認められない。したがって,原告の主張は認められない。 ウ過去の裁判例における判断(ア) 東京地裁昭和45年3月4日判決(税務訴訟資料59号278頁)は,相続税法32条の規定の性格について,相続税法55条により未分割遺産につき法定相続分により課税価格が計算されていた場合において,後日遺産分割につき法定相続分により課税価格が計算されていた場合において,後日遺産分割があったことに基づい 相続税法55条により未分割遺産につき法定相続分により課税価格が計算されていた場合において,後日遺産分割につき法定相続分により課税価格が計算されていた場合において,後日遺産分割があったことに基づいてする更正の請求又は修正申告は,「もともと当初の申告に過誤があってその是正を求めるための一般の更正の請求または修正申告とは異なり,かかる手続を利用してなされはするものの,その実質は遺産分割により取得した財産を基礎として算出した課税価格および相続税額の申告そのものでありまた,遺産分割があったことに基づいてする税務署長の更正は,その形式はともかく,実質は遺産分割により取得した財産を基礎として算出した課税価格および相続税額を確定するものであって,一般の更正とは異なるものというべ」きである旨判示し,相続税法32条の規定は,相続の特殊性を考慮した規定であって,国税通則法上の更正とは異なることを判示している。 (イ) 東京地裁平成9年10月23日判決(税務訴訟資料229号125頁)は,当初の相続税申告に存在した過誤を相続税法32条によって更正と求めることができるかが争われ,本件と類似する事案である。 同判決は,この点について,「法55条は,相続固有の問題として,相続税の法定申告期限内に遺産の全部又は一部の分割ができないことがあり得ることに鑑み,法定申告期限内に申告書を提出する場合において,相続人間で遺産が分割されていないときは,その未分割の遺産については,各共同相続人が法定相続分の割合に従って,当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算することとしている。これは,長期にわたって遺産分割を行わないことにより,いまだ現実に相続により取得する財産が確定しないことを理由に,相続税の納付義務を免れるといった不都合を防止す の課税価格を計算することとしている。これは,長期にわたって遺産分割を行わないことにより,いまだ現実に相続により取得する財産が確定しないことを理由に,相続税の納付義務を免れるといった不都合を防止するための措置であるばかりでなく,国家の財源を迅速,確実に確保するという国家的要請に基づくものである。一方,法32条各号列記以外の部分は,同条各号のいずれかに該当する事由により納付すべき税額が過大となったときには,その分割が行われたことを知った日の翌日から4か月以内に限り,通則法23条1項の規定による更正の請求をすることができるとし,法32条1号は,法定申告期限経過後に当該未分割財産の分割が行われ,共同相続人が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分の割合に従って計算された課税価格と異なることとなったとの事由を掲げている。これによれば,右更正の請求は所定事由に該当した場合に限って認められるものであり,法32条1号の事由は,未分割の遺産につき,いったん法55条の規定による計算で税額が確定した後,遺産の分割が行われ,その結果,既に確定した相続税額が過大になるという相続税に固有の後発的事由について規定したものであって,右規定に基づく更正の請求は,当初の申告に存在するとされる過誤の是正を求めることを目的とするものではない。とすれば,未分割の遺産を分割した結果,既に確定した課税価格及び相続税額が過大になるか否かの判断に当って,算定の基礎となる遺産の価格は,申告(その後に更正があった場合にはその更正。)により確定した価額を基礎とすべきである。そして,確定した遺産の価額をもとに算出した分割遺産に係る課税価格及び相続税額と比較して,既に確定した課税価格及び相続税額が過大とならない場合には,法32条各号列記以外の部分及び同条1号の規定による更正の 確定した遺産の価額をもとに算出した分割遺産に係る課税価格及び相続税額と比較して,既に確定した課税価格及び相続税額が過大とならない場合には,法32条各号列記以外の部分及び同条1号の規定による更正の請求の事由に該当しないものであって,当該更正の請求は不適法というべきである。」旨判示し,相続税法32条の更正の請求によって,算定の基礎となる遺産の価格を変更することを認めなかったものである。 (ウ) 以上の裁判例は,いずれも被告らの上記ア,イの主張に沿うものであり,これらの裁判例が判示するとおり,相続税法32条の規定に基づき,課税価格の総額を減算する更正の請求が認められないことは明らかである。 エ当初から相続財産でなかったことを基礎付ける事実について原告の主張アは,いずれも単に,本件財産をαが使用していた状況を示すにすぎないものであって,所有者がαであることの根拠とはなり得ないものである。なお,本件嘆願書が提出された際,鈴鹿税務署の係官が,本件土地の現況を調査したところによっても,所有者がαであることはもちろん,αが使用していた事実さえも明確にできなかったものである。 したがって,本件財産が相続時よりαの所有であったとは認められない。 オ本件更正の請求書は法定の期限内に提出されたものか原告は,平成13年4月11日に提出した本件更正の請求書は,相続税法32条の規定による更正の請求として提出した旨主張し,これに対する通知処分の取消しを求めている。 (ア) 被告らの主張しかし,本件更正の請求書は,上記ア~エで明らかにしたとおり,そもそも相続税法32条の対象となり得ず,国税通則法23条の更正の請求と解されるから (ア) 被告らの主張しかし,本件更正の請求書は,上記ア~エで明らかにしたとおり,そもそも相続税法32条の対象となり得ず,国税通則法23条の更正の請求と解されるから,法定の期限を徒過して提出されたものである。また,国税通則法23条の更正の請求の期限は,平成6年11月1日であるから,平成12年10月10日に第1次更正の請求書が提出された時点において,既に法定期限を徒過していたものである。 (イ) 仮に相続税法32条の更正の請求と解した場合仮に,本件更正の請求が相続税法32条1号に基づくものであるとしても,法定の期限を過ぎてなされており,不適法である。 すなわち,同法による更正の請求は,遺産分割協議が調った平成12年7月1日の翌日から4か月以内の同年11月1日が期限となる。ところが,本件更正の請求書が提出されたのは,平成13年4月11日であるから,法定の期限後に提出された不適法なものである。 (ウ) 錯誤により第1次更正の請求を取り下げたとの主張原告は,第1次更正の請求の取下書は,鈴鹿税務署の係官の誤指導により,g税理士が錯誤に陥った結果,提出したものであり,第1次更正の請求はなお有効である旨主張する。 しかし,本件訴訟の訴訟物は,本件更正の請求に対する本件通知処分の適法性であるから,第1次更正の請求書の有効性を主張することはそもそも主張自体失当である。 仮に,原告の主張が,第1次更正の請求書の提出が平成12年10月10日になされていることを考慮すれば,これと同趣旨の本件更正の請求は期限内に提出された適法なものである旨の主張であると解したとしても,同主張は以下の が,第1次更正の請求書の提出が平成12年10月10日になされていることを考慮すれば,これと同趣旨の本件更正の請求は期限内に提出された適法なものである旨の主張であると解したとしても,同主張は以下の理由により認められない。 すなわち,一般に,課税処分の無効については,その瑕疵が「重大かつ明白」な場合に限って無効であることが認められる。申告者の錯誤についても,その錯誤が客観的に明白かつ重大であって法の定めた過誤是正以外の方法による是正を許されないとすれば納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ許されないものと解されている(最高裁昭和39年10月22日判決,民集18巻8号11762頁)。この特段の事情の存否の判断に際して税理士が関与していたかどうかということは,重要な判断要素となるというべきである。一般に税務の専門家たる税理士が関与してなした申告等においては,その申告の意味内容や税務署職員の説明について明白かつ重大な錯誤に陥って申告等をなしたとは考えられないからである(名古屋地裁昭和45年7月25日判決,税務訴訟資料60号122頁)。 さらに,過去の判例において嘆願書の性格は,以下のように明らかにされている。すなわち,嘆願書は,納税者の要望を述べるものにすぎず,税務署長が嘆願書に従って処分をなさなかったとしても違法の問題は生じないものとされており(最高裁平成元年6月15日第一小法廷判決,税務訴訟資料170号731頁),税務職員の誤指導を信頼したとしても,その信頼を裏切られたことにより申告者が被る不利益が法律に従った課税処分に基づく正当な税額を負担しなければならないという不利益にすぎない場合には,その信頼を保護しなければならないとする特段の事情は認められない(最高 たことにより申告者が被る不利益が法律に従った課税処分に基づく正当な税額を負担しなければならないという不利益にすぎない場合には,その信頼を保護しなければならないとする特段の事情は認められない(最高裁昭和63年12月15日第一小法廷判決,税務訴訟資料166号794頁)とされているのである。 本件においては,原告も認めるとおり,第1次更正の請求の取下書は,税務専門家であるg税理士が,鈴鹿税務署の係官fの説明を受けて提出したものであって,決して強要や強迫により提出されたものではない。 確かに,鈴鹿税務署の係官において,上記説明をなした平成12年10月ころ,真実は,既に職権による更正の期間を徒過していたにもかかわらず,本件財産が相続財産ではなかったと認定できれば,職権によって更正できる可能性があると漠然と考えて嘆願書を提出してはどうかと説明したことが認められる。しかし,上記の判例法理で明らかにされているとおり,嘆願書の性格は職権発動を促すものにすぎず,被告鈴鹿税務署長は本件嘆願書に従った処分をなすべき義務を負うものではないし,嘆願書に従った処分をなさなかったとしても,原告らが被る不利益は,法律に従って,職権による更正を受けられないというにすぎず,保護すべき特段の事情は認められない。 したがって,錯誤又は信義則違反を理由として第1次更正の請求の取下書を無効と解することは到底認められないから,第1次更正の請求書が有効であるとか,それがために本件更正の請求書も期限内に提出されたと解すべきであるとかいった主張が認められる余地はない。 (2) 争点(2)(被告鈴鹿税務署長及び鈴鹿税務署係官の違法行為の有無)について(原告の主張)鈴鹿税務署の係官は,本件 るとかいった主張が認められる余地はない。 (2) 争点(2)(被告鈴鹿税務署長及び鈴鹿税務署係官の違法行為の有無)について(原告の主張)鈴鹿税務署の係官は,本件財産がαの所有であることを十分に調査しないまま,第1次更正の請求の取下げと第2次更正の請求書及び本件嘆願書の提出を求める誤った行政指導を行い,被告鈴鹿税務署長は,第1次更正の請求と第2次更正の請求の内容が異なるのに,その理由に何ら疑問を持たず十分な検討を怠って,第2次更正の請求に対する更正処分を行った。 そのため,原告らは,相続していない本件財産について相続税の支払を余儀なくされ,さらに精神的苦痛を被った。 これらの行為は,国家賠償法上,違法というべきである。 (被告らの主張)被告鈴鹿税務署長による本件通知処分が適法であることは,上記(1)(被告らの主張)のとおりである。 確かに,上記(1)(被告らの主張)オ(ウ)のとおり,鈴鹿税務署の係官が嘆願書の提出について説明した際に,職権による更正の余地があると誤認していたことは認められるが,税務職員の誤指導と慰謝料に関する判例法理にかんがみると,原告らがそのことによって,金銭で慰謝されるべき精神的苦痛を被ったとは認められない。 すなわち,札幌地裁昭和62年5月8日判決(税務訴訟資料158号578頁)は,税務職員の誤った教示等により障害者控除を受けられなかったことを理由とする損害賠償請求について,「原告ら(障害者である本人Aとその妻)は,要するに,原告Aの所得税の還付について札幌北税務署の職員と交渉中,同職員らの誤った教示及び不統一な応対があり,これにより精神的苦痛を受けたと主張するのであるが,慰謝料請求が認められるた の妻)は,要するに,原告Aの所得税の還付について札幌北税務署の職員と交渉中,同職員らの誤った教示及び不統一な応対があり,これにより精神的苦痛を受けたと主張するのであるが,慰謝料請求が認められるためには,被害者の受けた苦痛が受忍限度を超え,金銭で慰謝されるに足りるものでなければならないと解されるところ,原告Aはそもそも所得税の還付を受けるための要件を満たしていたとはいえないこと・・・を考慮すると,仮に,その交渉の過程において原告ら主張のような事実があったとしても,そのことによって原告らが受忍限度を超え,金銭で慰謝されるに足りる精神的苦痛を蒙ったとは到底認められず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。」旨判示し,税務職員の誤った対応等を理由とする慰謝料請求が認められるためには,苦痛が受忍限度を超え金銭で慰謝されるに足りるものでなければならないことを明らかにし,その苦痛の判断に当たっては,還付等の要件を充たしていたかを考慮するものとしている。 本件においては,原告らが第1次更正の請求書を提出した時点(平成12年10月10日)において,国税通則法23条の期限を徒過しており,かつ職権による更正の可能な期間(法定申告期限である平成5年11月1日から5年間であるため平成10年11月1日まで)をも徒過していたのであるから,そもそも更正を受けられる要件を満たしていなかった。 さらに,嘆願書については,税法上の取扱規定はなく,「納税者の税務署長に対する単なる要望ないしは陳情を述べた書面ともいうべきものにすぎず,更正請求の法定期限経過後においても税務署長が嘆願書の内容のとおりの更正処分をしたりあるいは更正処分のための審査を行うべき義務を負うものでないことはもちろん,嘆願書に対する応答の義務もないというべきである」(神戸地裁 経過後においても税務署長が嘆願書の内容のとおりの更正処分をしたりあるいは更正処分のための審査を行うべき義務を負うものでないことはもちろん,嘆願書に対する応答の義務もないというべきである」(神戸地裁昭和62年11月30日判決,税務訴訟資料160号760頁)とされており,鈴鹿税務署の係官の指導においても,嘆願書を提出してはどうかと説明したにすぎず,嘆願書が提出されれば必ず職権によって更正されると説明したものではない。また,平成13年2月ころになって,既に職権において更正できる期限をも徒過していたことに気が付いた際には,この点をg税理士及び原告らにも説明していること,第1次更正の請求書の提出,鈴鹿税務署の係官の説明,第1次更正の請求の取下書の提出のいずれにおいてもg税理士が関与しており,税法上の要件については知り得る立場にあったことからすると,上記説明によって,殊更に原告らに多大な精神的苦痛を負わせたとは認められない。 したがって,鈴鹿税務署の係官の指導を信頼して原告らが本件嘆願書を提出したにもかかわらず,これに従った処分が受けられずに精神的苦痛を被ったとしても,それは法律に従った課税処分をされたことによる結果にすぎず,金銭賠償によって慰謝されるべき精神的苦痛には当たらない。 (3) 争点(3)(不当利得額,損害額及び慰謝料の額)について(原告の主張)被告鈴鹿税務署長及び鈴鹿税務署の係官の違法な行為により,原告らは,取り消されるべき相続税額と同額の損失を受け,損害を被った。また,原告らが受けた精神的苦痛の慰謝料としては,各100万円が相当である。 (被告らの主張)すべて否認ないし争う。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件通知処分の違法性)について 苦痛の慰謝料としては,各100万円が相当である。 (被告らの主張)すべて否認ないし争う。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件通知処分の違法性)について(1) 法令の定めア相続税は,「相続の開始のあったことを知った日の翌日から10月以内」に申告しなければならない(相続税法27条1項)。 イ国税通則法23条1項1号は,納税申告書を提出した者は,「当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算・・・に誤りがあったことにより,当該申告書の提出により納付すべき税額・・・が過大であるとき」は,「法定申告期限から1年以内に限り・・・その申告に係る課税標準等又は税額等」について更正の請求ができると定めている。 他方,国税通則法70条2項は,税務署長は,「納付すべき税額を減少させる更正」について,「その更正に係る国税の法定申告期限」から「5年を経過する日まで」することができると定めている。 ウ相続税法32条1号は,同法55条の規定により課税価格が計算されていた場合において,その後当該財産の分割が行われた結果,課税価格及び相続税額が過大となったとき,申告書を提出した者は,過大となったことを知った日の翌日から4月以内に限り,更正の請求をすることができると定めている。 そして,相続税法55条は,「相続・・・により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合・・・において,当該相続・・・により取得した財産の全部又は一部が共同相続人・・・によってまだ分割されていないときは,その分割されていない財産については,各共同相続人・・・が民法・・・の規定による相続分・・・に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする によってまだ分割されていないときは,その分割されていない財産については,各共同相続人・・・が民法・・・の規定による相続分・・・に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。ただし,その後において当該財産の分割があり,当該共同相続人・・・が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分・・・に従って計算された課税価格と異なることとなった場合においては,当該分割により取得した財産に係る課税価格を基礎として,納税義務者において・・・第32条の更正の請求を・・・することを妨げない。」と定めている。 (2) 本件被相続人が平成5年3月8日に死亡し,本件相続人らが相続したこと,本件財産を相続財産に含む本件当初申告が法定申告期限内の平成5年10月29日になされたこと,遺産分割協議が平成12年7月1日に成立したこと,本件財産を相続財産に含まない第1次更正の請求は平成12年10月10日になされ,同月30日に取り下げられたこと,本件財産を相続財産に含む第2次更正の請求は同日になされ,同年12月7日これに基づく更正処分がなされたこと,本件財産を相続財産に含まない本件更正の請求は平成13年4月11日になされたことは,いずれも当事者間に争いがない。 そして,上記(1)によると,本件相続人らは,国税通則法23条1項1号に基づく更正の請求を平成7年1月8日までに,相続税法32条1号に基づく更正の請求を平成12年11月1日までにすることができ,被告鈴鹿税務署長は国税通則法70条2項に基づく更正を平成11年1月8日まですることができることになる。 そこで,本件更正の請求の期限がいつであったかにつき検討する。 相続税法32条1号は,国税通則法23条1項1号の特則として置かれており,未分 ことができることになる。 そこで,本件更正の請求の期限がいつであったかにつき検討する。 相続税法32条1号は,国税通則法23条1項1号の特則として置かれており,未分割の遺産につき,いったん法55条の規定による計算で税額が確定した後,遺産の分割が行われ,その結果,既に確定した相続税額が過大になるという相続税に固有の後発的事由について特別に更正の請求を許したものと解される。そうすると,当初の申告に存在するとされる過誤の是正を求めるために相続税法32条に基づく更正の請求をすることは法の予定するところではなく,未分割の遺産を分割した結果,既に確定した課税価格及び相続税額が過大となるか否かの判断に当たって,算定の基礎となる遺産の価格は,申告(その後に更正があった場合にはその更正)により確定した価額を基礎とすべきである。 しかるに,本件更正の請求は,遺産分割協議の成立により相続割合が減少したことを理由とする第2次更正の請求とは異なり,本件財産が相続開始時において既に本件被相続人の所有でなかったことを理由とするものである。この事情は相続税に固有の後発的事由を原因とするものでないから,相続税法32条1号の適用はなく,国税通則法23条1項1号により平成7年1月8日が更正の請求の期限と解すべきである。 また,原告は,相続税法32条1号の類推適用も主張するが,租税法は侵害規範であり,法的安定性の要請が強く働くから,その解釈は原則として文理解釈によるべきであるし,相続財産であるか否かは,相続時に確定している権利関係であり,当初申告時に十分な調査を行えば把握し得る事実であるから,その過誤があった場合には,一般の申告における過誤と同じ訂正の機会を与えれば足りると解すべきである。したがって,あえて類推解 権利関係であり,当初申告時に十分な調査を行えば把握し得る事実であるから,その過誤があった場合には,一般の申告における過誤と同じ訂正の機会を与えれば足りると解すべきである。したがって,あえて類推解釈を認めて申告者を保護すべき事情は認められず,原告の主張は採用できない。 そうとすると,本件更正の請求は,更正の期限を徒過した不適法なものというべきである。 (3) これに対し,原告は,第1次更正の請求を取り下げ,第2次更正の請求をしたのは,鈴鹿税務署の係官の誤指導によるもので無効であり,第3次更正の請求は有効に存続する第1次更正の請求を確認したものと主張する。 しかし,仮に本件更正の請求を第1次更正の請求のなされた平成12年10月10日付けでなされたと解しても,第1次更正の請求は本件更正の請求と同趣旨のものであるから,更正の請求の期限は平成7年1月8日で,やはり期限を徒過した不適法なものであるから,上記主張は採用できない。 (4) したがって,被告鈴鹿税務署長が,本件更正の請求に対してした,更正すべき理由がない旨の本件通知処分は適法というべきである。 2 争点(2)(被告鈴鹿税務署長及び鈴鹿税務署の係官の違法行為の有無)について(1) 上記1によれば,第2次更正の請求は相続税法32条1号に従った適法なもので,これに対してなされた更正処分は正当であり,第1次更正の請求及び本件更正の請求は国税通則法23条1項1号の期限を徒過した不適法なものであるから,後者についてされた本件通知処分は正当である。 したがって,被告鈴鹿税務署長に違法行為があったとは認められない。 (2) 証拠(甲16,乙3)及び弁論の全趣旨によれば,鈴鹿税務署の係官fが平成12年10月19日ころ原告ら代理 したがって,被告鈴鹿税務署長に違法行為があったとは認められない。 (2) 証拠(甲16,乙3)及び弁論の全趣旨によれば,鈴鹿税務署の係官fが平成12年10月19日ころ原告ら代理人のg税理士に対し,相続財産から本件財産を除外する第1次更正の請求は相続税法32条によってすることはできない,これを取り下げて,改めて更正の請求書を提出してはどうか,本件財産を相続財産から除外する点については嘆願書を提出すれば後日本件財産の帰属について調査を行うなどと話したことが認められる。そして,このうち,本件財産を相続財産から除外する点については,平成11年1月8日を経過しているから国税通則法70条2項によって更正することはできない点で,誤解を招きかねないものであったと評することはできる。 しかし,鈴鹿税務署の係官がg税理士に対して,嘆願書を提出すれば必ず本件財産を相続財産から除外する更正処分が行われると話したことを認めるに足りる証拠はない。 また,嘆願書については税法上の取扱規定はなく,納税者の税務署長に対する単なる要望ないしは陳情を述べた書面ともいうべきものにすぎず,更正請求の法定期限経過後においても税務署長が嘆願書の内容のとおりの更正処分をする義務を負うものではないから,原告らは,平成12年10月当時,国税通則法に従えば本件財産を相続財産から除外することは不可能であったということができる。したがって,これが認められるかもしれないとの期待は法的保護に値するものということはできないから,上記説明によって原告らに何らかの損害や慰謝料の支払を要するほどの精神的苦痛を与えたとは認められない。 そうとすると,鈴鹿税務署の係官fに違法行為があったとまではいえない。 3 結論以上によれ かの損害や慰謝料の支払を要するほどの精神的苦痛を与えたとは認められない。 そうとすると,鈴鹿税務署の係官fに違法行為があったとまではいえない。 3 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないから,棄却すべきである。 よって,主文のとおり,判決する。 津地方裁判所民事第1部裁判長裁判官内田計一裁判官上野泰史裁判官後藤誠

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