平成14(タ)126 離婚等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年5月30日 神戸地方裁判所
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判決文本文9,623 文字)

主文 1 原告と被告とを離婚する。 2 原告とA(平成7年7月31日生)とを離縁する。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,夫である原告が妻である被告に対し,婚姻を継続し難い重大な事由があるとして,民法770条1項5号に基づき離婚を求めるとともに,同法814条1項3号に基づき養子であるAとの離縁を求めた事案である。 1 前提事実(1)原告(昭和42年5月10日生)と被告(昭和46年1月7日生)は,平成14年2月3日に婚姻の届出をした夫婦である(甲1)。 (2)A(平成7年7月31日生)(以下「A」という。)は,被告と被告の前夫Bとの間の子であるが,父母の離婚後は母である被告がその親権者となり,被告の下で育てられた。原告と被告は,平成14年2月3日,原告と被告との婚姻を機に,被告をAの代諾者として,Aを原告の養子とする旨の養子縁組の届出をした。 (甲1)(3)原告は,被告を相手方として夫婦関係調整調停(神戸家庭裁判所平成14年(家イ)第875号)及び養子縁組調停(同裁判所平成14年(家イ)第970号)を申し立てたが,いずれも不成立により終了した(弁論の全趣旨)。 2 原告の主張(1)原告は,郵便局において集配の業務に従事している者であるが,平成13年11月10日,Cの仲介により,薬局でパート勤務をしていた被告と知り合い,交際するようになった。その後,原告と被告は,Aが原告に懐いたことから,Aの小学校入学までに婚姻届出及び養子縁組届出をすることとし,平成14年2月3日に両届出を済ませ,同年3月12日から同居を開始した。 (2)原告と被告との婚姻生活の状況は,次のア に懐いたことから,Aの小学校入学までに婚姻届出及び養子縁組届出をすることとし,平成14年2月3日に両届出を済ませ,同年3月12日から同居を開始した。 (2)原告と被告との婚姻生活の状況は,次のア~キのとおりであり,被告は,自らの生活習慣を一方的に押し付け,原告の些細な日常生活の態度にも苦情を言い続け,これに対し,原告は,原告にとっては初めての結婚生活であり,夫婦・親子として円満な家庭生活を望んでいたことから,被告の生活習慣に合わせるよう最大限努力したが,被告はこれを理解しようとせず,夫婦は相互に譲り合うべきだと述べる原告に対し,「結婚生活はそんなに甘くない。私は私の考えのとおり,変えるつもりはない。」と言って,自らは全く譲歩しようとせず,また,原告の健康状態にも全く配慮しようとしなかった。 ア原告が「日頃,外で仕事をしているので,休みの日には自宅でのんびり過ごしたい。」と言ったところ,被告は「私は外に出るのが好きだから,あなたは家で好きなようにして。」と述べ,週末は原告に声をかけることなく,Aと2人だけで被告の実家に行くようになった。また,原告は平日が休日になることが多かったが,そのような日に被告は,必ず友人と会う予定を入れて頻繁に外出した。結局,家族3人で出かけることは,3,4回しかなかった。 イ原告は,Aの入学式に出席するため休暇をとっていたが,被告から出席を拒否され,入学式には参加できなかった。また,被告から父親参観などのAの学校行事の日程も知らせてもらえなかった。 ウ原告は,被告との婚姻後,その費用の大半を原告が出して自動車(新車)を購入したが,日頃はもっぱら被告が使用していた。たまに,原告が休日に自動車に乗ろうとすると,「娘を病院や塾に送り迎えするから使わないで。」と言われ,原告はやむを得ず被告に従っ 出して自動車(新車)を購入したが,日頃はもっぱら被告が使用していた。たまに,原告が休日に自動車に乗ろうとすると,「娘を病院や塾に送り迎えするから使わないで。」と言われ,原告はやむを得ず被告に従っていた。原告の友人が横浜から帰省したとき,車を使いたいと言ったときも,被告から使用を拒否された。 エ原告と被告は,婚姻前から2,3年後には新築住宅を購入しようと話し合っていたが,同居して2ヶ月ほどたった休日に,原告が自宅で疲れて横になっていると,被告が掃除機をかけ始め,「邪魔や,邪魔や。」とまくし立て,「家買って。こんな狭い家でごろごろされるより,広い家買ってくれたら,あんたに一部屋与えるから。」と言い,原告が「今は,家を買うことは考えていない。」と答えると,Aまでもが「あんたに部屋を与えるから家買って。」と言ったので,原告は思わず「誰に養ってもらってるんや。」と言い返した。これに対し,被告は,「子供にそんなことを言うのは最低の人間だ。」と言った上,「2,3年後には家を買ってよ。休みの日には。外で時間を潰して。」とまで言った。その後,被告はこれまで以上に外出が増え,原告を避けるようになるとともに,原告が暴言を吐いたとの非難を繰り返した。 カさらに,このころから被告の原告に対する小言が増え,原告は,自宅に帰ってもくつろぐことができず,常に被告の顔色をうかがわなければならないような状態になった。そのうち原告は精神的に萎縮し,何事にも自信がなくなり,家庭生活だけでなく仕事にも支障をきたすようになったため,平成14年5月17日,神経外科であるDで診察を受けたところ,夫婦間の葛藤による動悸,不安,焦燥感,劣等感,入眠障害の症状からくる心因反応と診断された。その後,被告は同クリニックに通院するようになったが,これに対し被告は,「薬に頼るのは で診察を受けたところ,夫婦間の葛藤による動悸,不安,焦燥感,劣等感,入眠障害の症状からくる心因反応と診断された。その後,被告は同クリニックに通院するようになったが,これに対し被告は,「薬に頼るのは努力と認めない。無駄金を使っている。」と言い,費用は原告の小遣いでまかなうよう述べた。 平成14年6月に入っても原告の症状は改善せず,むしろ焦りや劣等感が高まってきた。これに対し,被告は「暗い。声が小さい。娘以下の子供以下やから改善してやる。」と言って侮辱された。また,被告は,Dの医師から,原告の症状の改善には家族の協力が必要であるので被告に会いたいと言われ,同年6月17日,同クリニックに行ったものの,その後,原告に対し,「病院に行ってきたけど,先生はあんたが頼りないだけと言っていたわ。」と述べ,一向に原告の疾病に理解を示そうとしなかった。 キこのような被告の態度から,原告はこれ以上被告と生活することはできないと考え,その旨を原告に伝え,同日(平成14年6月17日),原告は家を出て実家に戻った。 (3)原告と被告との婚姻生活の状況は,以上のとおりであり,被告は,原告に対し,一方的に生活習慣を押し付け,原告の日常生活の態度をことごとく非難し,原告を精神的に追い詰めた上,原告の疾病に理解も示さず,人格的な非難を繰り返したものであり,これらは婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する。また,原告とAとの養子縁組は,原・被告間の円満な婚姻関係の存続を前提としてなされたものであるから,上記事由は縁組を継続し難い重大な事由にも該当する。 (4)被告は,原告と被告との間に婚姻を継続しがたい重大な事由はなく,当事者間の意思疎通がうまくできなかったために溝ができたものの,夫婦親子間の会話の機会を増やすことにより,その関係は十分に修復可能 (4)被告は,原告と被告との間に婚姻を継続しがたい重大な事由はなく,当事者間の意思疎通がうまくできなかったために溝ができたものの,夫婦親子間の会話の機会を増やすことにより,その関係は十分に修復可能である旨主張するが,被告が本件訴訟においても原告の性格や心情を理解しようとしていないこと,原告の疾病に対し無理解であること,話し合いで解決すべきと主張しながら,話し合いができない理由を専ら原告のみに求めていることなどに照らすと,原告と被告との間では,相互に理解を深めるための話し合いは不可能であるといわざるを得ない。 3 被告の主張(1)原告と被告との婚姻生活の状況は,次のとおりであった。 ア原告は,休日は部屋にこもってパソコンゲームをするばかりであった。 原告の方こそ独身時代からの生活習慣を変えていない。 イ原告の休日だけに予定を入れたことはない。被告は原告に対し,買い物などに一緒に行こうと声をかけたが,原告は「自分は家でパソコンゲームなどをしてずっと家にいるのがいいので外に出たくない。行くなら2人で行くように。」と言われた。このようなことが幾度となく続き,原告がパソコンゲームばかりしていることから,被告はAと2人で外出することが多かった。 ウ被告がAの入学式への原告の出席を拒否したことはない。被告は原告からAの父親参観などの学校行事の日程を聞かれたことはなく,食事中に話してはいたが,あまり聞いていなかった。原告と被告は,婚姻前からAの学校行事,教育について,原告にはよく分からないのですべて被告に任せるという合意があった。 エ原告が休日に車に乗ることは滅多になかった。原告と被告は,婚姻前は,それぞれが自動車を所有していたが,原告が「2台も無駄だ。結婚したら,自分はバイクがあるので自由に乗ってよい。」と言ったために, エ原告が休日に車に乗ることは滅多になかった。原告と被告は,婚姻前は,それぞれが自動車を所有していたが,原告が「2台も無駄だ。結婚したら,自分はバイクがあるので自由に乗ってよい。」と言ったために,被告が自分の車を処分し,原告が車を使わないときに子供の病院などの送り迎えに使用していたもので,被告が原告に車の使用を拒否したことはない。原告の友人が帰省するため,車を使用したいと言われたときは,すでに被告において車を使用する予定を入れていたものであり,原告も「バイクで行くのでいいよ。」と言っていた。 オ被告はかねてより,原告の妹から原告に一部屋与えて欲しいと言われていたが,今の家には二部屋しかなく,原告のためだけに一部屋を充てることは無理であった。そのような事情の下,原告に家の購入の相談をした際,Aが「お父さん,一部屋使えるよ。」と言っただけなのに,原告は「誰の金でメシ食ってるんや。」などと暴言を吐き,被告とAは非常に傷ついた。なお,原告は疲れて横になっていたのではなく,病院でもらってきた睡眠薬を常に飲み,昼間はずっと寝てばかりで,被告が室内を掃除するにも差し支える状態であった。 カ原告は時間をみては実家に帰っていた。そして,原告は姑や義妹に被告の悪口を言うなどしていた。そのため,それを聞いた姑と義妹から被告と被告の母に電話がかかってきて,「顔も見たくない。」などと暴言を吐かれたことが度々あった。 キ被告が,原告を精神的に追い詰めたり,原告に対して人格的な非難を繰り返したことはない。原告は婚姻当初から,何かあれば,何から何まで実家の母親に相談して決めており,被告に相談することはなかった。原告は被告と同居し始めたとき,病院などの治療費は一応小遣いから出し,足りない分は生活費から出すと言っていた。 被告がD の母親に相談して決めており,被告に相談することはなかった。原告は被告と同居し始めたとき,病院などの治療費は一応小遣いから出し,足りない分は生活費から出すと言っていた。 被告がDに医師の話を聞きに行ったとき,医師から「ご主人はおとなしすぎる感じで,少し頼りない感じだ。」と言われた。被告は原告に医師から言われたことをそのまま伝えただけである。 ク平成14年6月17日,原告は一方的に「出て行く。」と言い,「責任だけはとる。」と言って出て行ったもので,原告と被告との間で何の話し合いもなされなかった。 (2)以上のとおりであり,原告と被告との間に婚姻を継続しがたい重大な事由はない。当事者間の意思疎通がうまくできなかったために溝ができてしまったものであるが,これは決して埋めることのできないものではなく,本件を機に,互いに従前の態度を反省し,夫婦親子間の会話の機会を増やすなどして努力すれば,その関係は十分に修復可能である。婚姻後の期間及び別居後の期間が短期間であること,当事者双方及びAの年齢からしても,現実に修復できる可能性は高いといえる上,現に,被告は,現在でも婚姻生活の継続を希望している。仮に,離婚及び離縁が認められた場合,被告は7歳の長女を抱えて今後の生活に多大な困難を来すこととなる上,精神的なダメージも非常に大きく,離婚及び離縁により被告及びAが苛酷な状態におかれることは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実,証拠(甲1~4,乙1,2,原告本人,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1)原告は,婚姻前から現在に至るまで,郵便局ににおいて集配の業務に従事している。被告は,原告との婚姻前は,薬局においてパート勤務をしていたが,原告との婚姻を契機にこれを辞め,現在は無職である (1)原告は,婚姻前から現在に至るまで,郵便局ににおいて集配の業務に従事している。被告は,原告との婚姻前は,薬局においてパート勤務をしていたが,原告との婚姻を契機にこれを辞め,現在は無職である。 (2)被告は,前夫Bとの間に長女A(平成7年7月31日生)もうけたが,同前夫との離婚後は,親権者としてAの養育にあたってきた。 (3)原告と被告は,平成13年11月10日,Cの仲介で知り合い,交際するようになった。その後,Aが原告になついたことから,Aの小学校入学までに婚姻及びAの養子縁組の手続を済ませることとし,平成14年2月3日に両届出を済ませ,同年3月12日から同居を開始した。 (4)原告は,平成14年6月17日,被告らと同居していた家を出て,実家に戻った。以後,原告と被告らとの別居が続いている。 (5)原告と被告との間には,同居後,次のような出来事があった。 ア被告は原告に対し,例えば湯船にタオルを入れて入浴するという原告の風呂の入り方や,部屋にこもってパソコンゲームをすることといった原告の日常生活の態度に苦情を述べることが多くあった。 イ原告の休日に,家族3人が揃って外出することはあまりなかった。原告は平日に休みとなることがしばしばあったが,そのような場合,被告は,原告と行動をともにするのではなく,友人と会う予定を入れて外出することが多かった。 ウ Aの入学式,父親参観への出席に関し,日時が分からなかった原告は参加することができなかった。 エ原告は,被告との婚姻後,その費用の大半を出して自動車を購入したが,日頃はもっぱら被告が管理しており,原告が使用したいときに使用できないということがあった。 オ原告と被告は,婚姻前から2,3年後には新築住宅を購入しようと話し合っていたが,原告の休日に家で自宅 頃はもっぱら被告が管理しており,原告が使用したいときに使用できないということがあった。 オ原告と被告は,婚姻前から2,3年後には新築住宅を購入しようと話し合っていたが,原告の休日に家で自宅購入が話題となったとき,原告と被告との間で,原告の部屋を設けることに関して口論が生じたことがあった。 カ平成14年の4月ころ,原告と被告は何回か夫婦生活を試みたが,満足した成果を得ることができず,その後,別居するまで夫婦生活はなかった。 (6)被告は,自分の言いたいことをはっきりと言う性格で,日常生活について細かい点についてまで原告に対し,積極的に思ったことをストレートな表現で告げていた。原告は,これを快く思っていなかった。 一方,原告は気弱でおとなしい性格であり,被告に対して自分の言い分をきちんと主張することができず,言いたいことがあっても内に秘めてしまいがちで,自己主張することなく被告の言い分に従ってしまうことがしばしばあった。被告は,原告は親離れができておらず,自分の意思をもっていないと感じていた。 婚姻生活の主導権は,被告が握っていた。 (7)このような婚姻後の生活の中で,原告は次第に精神的に萎縮し,過大なストレスを感じるようになり,このことが原因で家庭生活だけでなく仕事にも支障が生じるようになった。そこで,原告は,平成14年5月17日,神経外科であるDで診察を受けた。その結果,夫婦間の葛藤による動悸,不安,焦燥感,劣等感,入眠障害の症状が認められ,心因反応と診断された。その後,同病院に通院したが,平成14年6月に入っても原告の症状は改善せず,別居後である同年7月24日時点においても,引き続き通院加療が必要な状態であった。 一方,被告は,このような原告の精神状態に然したる配慮をすることもな 月に入っても原告の症状は改善せず,別居後である同年7月24日時点においても,引き続き通院加療が必要な状態であった。 一方,被告は,このような原告の精神状態に然したる配慮をすることもなく,原告に対する従前どおりの接し方を変えることはなかった。これに対し,原告は被告の理解のなさを感じていた。 2 以上に基づき検討する。 (1)一般に,婚姻においては,程度の違いはあるものの,両当事者の物事の捉え方,価値感,生活習慣などに一致しない点が生じるのはやむを得ないことであり,共同体である婚姻生活を継続する以上は,しばしば相手の言動,考え方に不満を感じ,場合によってはお互いが衝突することも避けられないことといわなければならない。しかしながら,婚姻生活は,このような目前にある障害を共同して乗り越えながら,さらなる絆を深めていくべきものであって,婚姻の両当事者は,夫婦間のさまざまな問題を克服すべく,お互いが成熟した対等な存在であることを尊重し,十分な話し合いを尽した上で,お互いの考え方や立場を尊重した妥協点を探り,譲歩すべき点は譲歩するといった寛容さを見せながら,両者の考え方の溝を地道に埋めてゆき,さらなる信頼関係の熟成に努めていかなければならない。婚姻生活における夫婦間の話し合いは,婚姻生活の中核部分をなすものであり,婚姻生活の基本的プログラムといえるものであって,衝突を伴っても話し合いを繰り返し,婚姻生活の課題を乗り越えてながら家族の絆を深めていくという過程を婚姻は当然に予想しているものといえる。 このような観点から,原・被告間の婚姻生活をみると,原告と被告は,婚姻後約4ヶ月(同居後約3ヶ月)で別居に至っているところ,原告と被告との間には,性格,価値観,生活習慣等の点で種々の違いがあり,かかる違いに根差した種々の問題が の婚姻生活をみると,原告と被告は,婚姻後約4ヶ月(同居後約3ヶ月)で別居に至っているところ,原告と被告との間には,性格,価値観,生活習慣等の点で種々の違いがあり,かかる違いに根差した種々の問題が生じた結果,原告としては被告との婚姻生活に耐えられなくなり,別居に至ったものであると認められるが,原・被告間に生じた一つ一つの出来事を見る限り,いかんともし難い克服困難な問題が生じたとまではいい難く,通常の婚姻生活を営む中でしばしば生じうる範囲内の問題であるといえなくもない。そして,原・被告双方の言い分を検討すれば,原・被告間の婚姻関係がこじれた原因は,双方の話し合いが不十分であったことが大きな原因であると認められるところ,このように話し合いが不十分であったことについては,気弱でおとなしく,自己主張することなく被告の言い分に従ってしまう原告の態度がその一因となっていると認められる。原告は,成熟した一人の大人であり,夫であり父であるという自覚と責任を持って行動すべきであり,被告の言い分を聞いて不満を溜めるばかりではなく,きちんと自分の言いたいこと,考えることを主張し,それを理解してもらえるよう,被告とのコミュニケーションを図る努力をすべきであったといえる。 しかしながら,原・被告間の話し合いが不十分であったことについては,一方的に原告にその原因があったのではなく,被告の側にも大きな原因があったと認められる。すなわち,被告としても,婚姻後は原告の内向的で言いたいことを素直に言えない性格を認識していたにもかかわらず,話し合える雰囲気を作るなど,自ら婚姻関係を維持・継続するための努力をした形跡はうかがわれない。しかも,上記1の(7)のとおり,原告が,被告との婚姻生活の中で,次第に精神的に萎縮し,過大なストレスを感じるようになり,夫婦間の 自ら婚姻関係を維持・継続するための努力をした形跡はうかがわれない。しかも,上記1の(7)のとおり,原告が,被告との婚姻生活の中で,次第に精神的に萎縮し,過大なストレスを感じるようになり,夫婦間の葛藤による動悸,不安,焦燥感,劣等感,入眠障害の症状が認められるようになったにもかかわらず,原告の症状に格別の配慮をすることもなく,原告に対する従前どおりの接し方を変えることはなかった。婚姻生活の主導権を握っていた被告としては,自らの考え方,やり方に拘泥するのではなく,原告の立場にも配慮して婚姻関係を維持・継続するよう努力すべきであったといえる。 以上のとおり,原・被告間の婚姻関係がこじれたことについては,原・被告双方に相応の帰責性があるものといえ,どちらかが一方的に責められるべきものではないと認められる。 (2)そこで,このような原・被告間の婚姻関係がもはや継続し難いものであるか否かについて考えるに,原・被告間の婚姻関係は,婚姻生活の基本的プログラムといえる夫婦間の話し合いが不十分であったことが原因でこじれてしまったと認められるところ,婚姻後別居までの期間が約4ヶ月(同居後別居までの期間は約3ヶ月)であることを考えると,離婚請求を棄却して,婚姻関係修復のための話し合いの機会を設けることも,一つの選択肢として,十分に検討しなければならないところである。しかしながら,別居後,調停及び本件訴訟において,話し合いの機会が設けられたものの,婚姻関係を維持・継続する方向での話し合いをすることはできなかったものである上,本件訴訟における双方の言い分,原・被告の本人尋問における供述内容・態度等に照らしても,原・被告双方に今後新たな夫婦関係を築いていくとの意欲や展望はうかがわれず,このことに,原・被告双方の性格,物の考え方,見方の違いを併 分,原・被告の本人尋問における供述内容・態度等に照らしても,原・被告双方に今後新たな夫婦関係を築いていくとの意欲や展望はうかがわれず,このことに,原・被告双方の性格,物の考え方,見方の違いを併せ考えれば,今後,原告と被告が正常な婚姻関係を築きあげていくことは困難であると認められる。そうすると,離婚請求を棄却して,婚姻関係の維持を強制するよりも,離婚請求を認容し,金銭的に精算すべきものがあれば精算をし,双方に新たな出発の機会を与える方が,お互いの将来にとって利益であると考えられる。また,原告と被告との離婚を認める以上,原・被告間の円満な婚姻関係の存続を前提としてなされた原告とAとの養子縁組についても離縁を認めるのが相当である。以上のような意味で,民法770条1項5号及び同法814条1項3号の婚姻(縁組)を継続し難い重大な事由が存するとの原告の主張には理由がある。これに反する被告の主張は,以上において認定・説示したところに照らして採用できない。 3 よって,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所民事第1部裁判官西村欣也

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