令和6(わ)390 詐欺被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月19日 千葉地方裁判所
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判決文本文40,558 文字)

- 1 -令和6年(わ)第390号詐欺被告事件令和7年3月19日千葉地方裁判所刑事第3部宣告 主文 被告人を懲役4年に処する。 未決勾留日数中180日をその刑に算入する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、暗号資産「L」の保有又は取得に係る権利が登録されたアカウント(以下「Lアカウント」という。)を第三者から購入するために必要な金額を過大に伝えるなどして、Aから、Lアカウントの共同購入のための預かり金名目で現金をだまし取ろうと考え、真実は、同人に提示したLアカウント8個は既に被告人が第三者から代金300万円の約束で購入してAの夫名義に変更済みであるのに、同Lアカウント8個を第三者から購入するためには合計4500万円が必要で、Aが現金4000万円を被告人に交付すれば、被告人が500万円を負担して同Lアカウント8個をAと代金4500万円で共同購入するかのように装い、平成30年7月4日から同月7日までの間、千葉県内にいた同人(当時65歳)に対し、ソーシャルネットワーキングサービス「LINE」のメッセージ機能で、Lアカウント8個を提示した上で、「凄い提案を頂きました。」「興味があるのであれば、4,000万で全部手にして良いとの事です。」などと内容虚偽のメッセージを送信するとともに、同「LINE」の通話機能で、「すごいアカウントの情報が手に入りました。」「こんなアカウントはもう出てきませんし、これが4000万円で購入できるなんて信じられません。」「私としても絶対に買いたいと思うのですが、もう資金がショートしていて、500万円しか出せません。」「Aさんと共同購入したいです。」「4000万円を用意できますか。」「買いたいと伝えますけど、お金- しても絶対に買いたいと思うのですが、もう資金がショートしていて、500万円しか出せません。」「Aさんと共同購入したいです。」「4000万円を用意できますか。」「買いたいと伝えますけど、お金- 2 -は早ければ早い方がいいです。」「早くしないとどうなってしまうか分かりませんから。」などとうそを言うなどして、同人にその旨誤信させ、よって、同月7日、東京都大田区所在の東京国際空港国際線ターミナルにおいて、同人から、現金4000万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。 (事実認定の補足説明)第1 争点被告人は、本件について、①Aに対し、Lアカウント8個(以下「本件Lアカウント」という。)を購入するために必要な金額を過大に伝えていない、②Aに対し、本件Lアカウントの共同購入を持ちかけていない、③本件LアカウントはAの夫名義に変更済みではなかった、④本件Lアカウントの購入代金は4500万円ではなかった、⑤本件Lアカウントを代金300万円の約束で購入していない、⑥Aに対し、LINEの通話機能で公訴事実記載のうそを言っていないなどと述べている。 弁護人は、被告人は公訴事実記載の欺罔行為を行っていないので、詐欺罪は成立せず、被告人は無罪である旨主張する。 弁護人は、本件の経緯について、①被告人は、平成30年6月27日、Bから第三者名義の10個のLアカウントの紹介を受け、そのうちの2個を購入するため、Bに対し、購入代金3800万円、Bへのコネクション料2200万円を支払った、②被告人は、2個のLアカウントをAに9000万円で売却することとなり、同年7月3日、Aから9000万円のうちの7000万円を受け取った、③被告人は、同年6月29日に、Bから新たなLアカウントの紹介を受けたが、3800万円で購入した2個のLアカウントのコイン ととなり、同年7月3日、Aから9000万円のうちの7000万円を受け取った、③被告人は、同年6月29日に、Bから新たなLアカウントの紹介を受けたが、3800万円で購入した2個のLアカウントのコイン数が、実際には100分の1であったことが判明したため、交渉の末、被告人が、①の2個のアカウントと新たなアカウント8個の合計10個のアカウントの購入代金として追加で300万円、Bへのコネクション料として追加で1700万円を支払うこととなった、④10個のアカウントの合計枚数が約2553枚となっ- 3 -たところ、被告人は、Aの夫から、1コイン当たりの単価を5円程度にしてほしいと言われていたことなどから、1コイン当たりの単価を4.3円と設定し、アカウント10個の売買代金は合計約1億1000万円が相当であると考え、Aから既に受領している7000万円との差額の4000万円をAに提示し、同人の了承を得たものである旨主張している。 そこで、以下検討する。 第2 当裁判所の判断 1 前提となる事実関係各証拠によれば、以下の事実が認められる(以下、日付の年に関して特段の記載がない場合は、平成30年の日付を指すものとする。)。 (なお、被告人は、Cの検察官調書(甲8)におけるCの供述の信用性を争っているが、同調書の内容は、アカウントの名義変更等に関するものであるところ、これらの内容は、被告人とCとの間のメッセージのやり取りといった客観的な証拠とも整合しており、特段不自然、不合理な点はないことから、信用できるものであると認められる。)⑴ 被告人は、平成30年当時、Lアカウントの売却を希望する者を購入を希望する者に対して紹介するといった内容の仕事に携わっていた。 被告人は、Lアカウントの売買の合意が成立すると、内妻であったCに 告人は、平成30年当時、Lアカウントの売却を希望する者を購入を希望する者に対して紹介するといった内容の仕事に携わっていた。 被告人は、Lアカウントの売買の合意が成立すると、内妻であったCに指示して、Lアカウントのパスワード等を元の所有者から新しい所有者のものに変更する手続を行っていた。 ⑵ Lアカウントのパスワードを変更する手続は以下のとおりであった。 アカウントの売買に当たってそのパスワードを変更するためには、まず、Lを管理していたF社のホームページに行き、アカウントの名称と、その時点で元々の所有者が設定しているログインパスワードとトランザクションパスワードを入力する。すると、当該アカウントのページが開かれるので、新しい所有者のメールアドレスを入力し、変更を申し込む。その後、元々の持- 4 -主が設定していたメールアドレスに、その変更を承認するかどうかを問い合わせるメールが送信されるので、それを受信した元々のメールアドレスの持主が承認の操作を行うことによって、新しいメールアドレスが設定される。 次に、ログインパスワードとアカウントのLについて送金等の操作をするときに必要なトランザクションパスワードを変更する。この際も、元々の所有者が設定していたパスワードを入力して変更の手続を行う。そうすると、新しく設定したメールアドレスに各パスワードの変更を承認するかどうかを問い合わせるメールが送信されるので、承認の操作をすると各パスワードの変更が完了する。 各パスワードの変更が完了すると、当該アカウントに登録された個人情報(氏名やパスポート番号等)を変更する。この場合にも、新しく設定したメールアドレスに、その変更を承認するかどうか問い合わせるメールが送信されるので、そのメールに対し、承認の操作をすると、変更が完了する。 ⑶ スポート番号等)を変更する。この場合にも、新しく設定したメールアドレスに、その変更を承認するかどうか問い合わせるメールが送信されるので、そのメールに対し、承認の操作をすると、変更が完了する。 ⑶ 被告人は、3月30日頃、Dの友人を通じて、D及びその妻のAと知り合った。DとAは、被告人から、Lの保有又は取得に係る権利が登録されたLアカウントに関する説明を受け、Lアカウントの購入を勧められ、Lアカウントを購入するようになった。 ⑷ 被告人は、AやDのためのLアカウントのパスワード等の変更を承認する操作を円滑に進めるため、いったん元々の所有者のメールアドレスから、被告人が設定したフリーメールのアドレスを新しく設定し、変更を承認するかどうかを問い合わせるメールは、すべてそのメールアドレスに送信されるようにしていた。その上で、Cが、AやDのために必要なパスワード等の変更の手続を全て終えた時点で、メールアドレスをAやDが希望するメールアドレスに変更していた。 ⑸ 被告人は、Lアカウントの購入代金として3000万円を預かった旨の6月26日付けのA宛の受領証を作成した。また、被告人は、Lアカウント購- 5 -入代金として7000万円を預かった旨の7月30日付けA宛の受領証をそれぞれ作成した。 ⑹ 被告人は、6月22日、Aとの間で、以下のとおりLINEのメッセージ機能を用いて送受信するメッセージ(以下、単に「メッセージ」という。)を送受信した。 午後7時18分(被告人からA)「5,689,719コインこの提供が最後とのことです。もし、Aさんが興味があれば抑えて帰りますが…」⑺ 被告人は、同日付けで、Bを仲介人として、F社のアカウント8個を6300万円で購入する旨の契約書を作成した。 ⑻ 被告人は、 ことです。もし、Aさんが興味があれば抑えて帰りますが…」⑺ 被告人は、同日付けで、Bを仲介人として、F社のアカウント8個を6300万円で購入する旨の契約書を作成した。 ⑻ 被告人は、6月27日、Bとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午前9時13分(Bから被告人に手書きのメモの写真を送信)「アカウントa-5,920,200.00 アカウントb-6,48,600.00 アカウントc-107,002,400.00 アカウントd-132,699,800.00 アカウントe-431,139,800.00 アカウントf-451,458,600.00アカウントg-480,000,000.00 アカウントh-480,000,000.00 アカウントi-413,967,000. 00 アカウントj-44,439,400.00」イ午前9時23分(Bから被告人)「(被告人の名前)さんこれ全部2週間後に買うことできますそっちから値段決めてください早めにお願いします違うグループもこのアカウント買いたいと言ってますので今日中に金額をはっきり決めた場合は、約束してもらえます。」ウ午前9時55分(被告人からB)- 6 -「5,920,200枚 16,576,560円 6,484,600枚 16,156,880円 107,002,400枚 299,606,720円 132,699,800枚 37,155,440円 431,139,800枚 37,155,440円 431,139,800枚 1207,191,440円 451,458,600枚 1,264,084,080円 480,000,000枚1,344,000,000円 413,967,000枚 1,15 ,139,800枚 1207,191,440円 451,458,600枚 1,264,084,080円 480,000,000枚1,344,000,000円 413,967,000枚 1,159,107,600円 44,439,400枚 124,430,320円」⑼ 被告人は、6月27日、Cとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午後0時24分(被告人からC)「5,920,200 6,484,600」、「これ二つ足すといくら?」、「何枚?」イ午後0時25分(Cから被告人)「12,404,800枚 3800万円ということは→3.06円」ウ午後0時28分(被告人からC)「9000万で1コイン幾ら?」エ午後0時30分(Cから被告人)「7.25円」⑽ 被告人は、同日(6月27日)付けで、Bを譲渡人としてF社のアカウントを3800万円で購入する旨の契約書を作成した。 ⑾ 被告人は、同日(6月27日)、Aとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午後2時43分(被告人からA)- 7 -「①5,920,200枚 ②6,484,600枚合計12,404,800枚2000万円→28% 7000万円→72%72%分 9,000,000枚 28% 3,404,800枚」「わかりやすく、これでお願い致します!」イ午後3時47分(Aから被告人)「3000万円で250万コインも足して計算してみて」ウ午後5時10分(被告人からA)「【14,977,622枚】(内訳)①2,572,822枚 ②5,920,200枚 ③6,484,600枚合 万コインも足して計算してみて」ウ午後5時10分(被告人からA)「【14,977,622枚】(内訳)①2,572,822枚 ②5,920,200枚 ③6,484,600枚合計・14,977,622枚(1億2000万)・2000万→16.6%→2,486,285枚・1億→83.4%→12,491,337枚」⑿ 被告人は、7月2日、Bとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午前5時43分(被告人からB)「Bさん夜分遅くにごめんなさい。大変です!OFCにある数字はコインの枚数ではないそうです。発行株券の数字であり、コインにもどされる時は、元のコインの枚数になるそうです。200でわると、元のコインの枚数になるそうです。これは、とてもまずいです。大至急、ご確認をお願い致します。」イ午前7時54分(被告人からB)「【OFCアカウント詳細】5,920,200 OFC 6,484,600 OFC107,002,400 OFC 132,699,800 OFC431,139,800 OFC 451,458,600 OFC- 8 -480,000,000 OFC 480,000,000 OFC413,967,000 OFC 44,439,400 OFC合計・2,553,111,800 OFCcoin合計枚数【12,765,559 coins】ウ午前7時56分(被告人からB)「このアカウントの全てを明日のお昼までに名義の変更を必ずして下さい。宜しくお願い致します。」エ午前7時58分(被告人からB)「▲▲▲@gmail.com」オ午前8時6分(被告人からB)「【作業工程】①メールアドレスを▲▲▲@gmail.comに変更。②メール変更の す。」エ午前7時58分(被告人からB)「▲▲▲@gmail.com」オ午前8時6分(被告人からB)「【作業工程】①メールアドレスを▲▲▲@gmail.comに変更。②メール変更の確認メールが古いメールに届くので承認をしてもらう。②(原文ママ)ユーザーネーム、ログインパスワード、トランザクションパスワードを教えてもらう。」カ午前8時10分(被告人からB)「↑10個のアカウントを全て、早急に変更をお願い致します。」キ午前8時15分(Bから被告人)「彼も売らないかも知らないんで何とかしてなるようにがんばります」ク午前8時44分(Bから被告人)「私は彼にパッケージを提供することができますアカウントf、アカウントe、アカウントg、アカウントhそれは14 000 000コイン以上であり、1コインは2セントです。これは、これらのパッケージが3年ほど前に私にかかる費用で、新しいビジネスを開始するためにのみこれらを販売するものです。」ケ午前8時46分(Bから被告人)「どうしますか(被告人の名前)さん?」- 9 -コ午前8時46分(Bから被告人)「彼からのメッセージでした」サ午前8時46分(被告人からB)「【改善策】①10accountすべての名義チェンジをしてもらう。②10accountを売らない場合は、いったん3,800万円の返金をしてもらい、前回の二つのaccountの代金だけを支払う。(38万円)そして1200万coinのアカウントを大至急探してもらう。」⒀ Bは、同日(7月2日)、Lアカウントの売却を希望していた「E」という人物との間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午前8時43分(EからB)「私は彼にアカウントf、アカウントe、アカウントg 日)、Lアカウントの売却を希望していた「E」という人物との間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午前8時43分(EからB)「私は彼にアカウントf、アカウントe、アカウントg、アカウントhのパッケージを渡すことができる。これは14,000,000コイン以上で、1コインはたった2セントです。これらのパッケージは、3年前に私が購入したもので、新しいビジネスを始めるために販売したものです。」イ午前8時44分(BからE)「彼に伝える」ウ午前9時59分(BからE)「さらに2万ドルを追加して、8つすべてを行う予定だという。」エ午前10時3分(EからB)「35,000ドルで契約成立」オ午前10時5分(BからE)「彼は3万ドルと言っている」カ午前10時6分(EからB)「わかりました、やりましょう」- 10 -⒁ 被告人は、同日(7月2日)、Cとの間で、以下のとおり、メッセージの送受信をした。 ア午前9時59分(被告人からC)「【OFCアカウント詳細】5,920,200 OFC 6,484,600 OFC107,002,400 OFC 132,699,800 OFC431,139,800 OFC 451,458,600 OFC480,000,000 OFC 480,000,000 OFC413,967,000 OFC 44,439,400 OFC合計・2,553,111,800 OFCcoin 合計枚数【12,765,559 coins】」「これ、上の二つは、既に買ったやつだな!」イ午前10時1分(被告人からC)「今、追加で200万円払うから全部名義変えて OFCcoin 合計枚数【12,765,559 coins】」「これ、上の二つは、既に買ったやつだな!」イ午前10時1分(被告人からC)「今、追加で200万円払うから全部名義変えて!と言った!」ウ午前10時8分(被告人からC)「300万円で!」、「とのこと。」エ午前10時32分(被告人からC)「今、Aさんに電話をして話をした!」「Hにも凄く興味を持っているようで、向こうに行ってみないとわからないけど、物凄い多くのアカウントを2~3,000で手に入るかもしれないと伝えたらとても喜んでくれた。」「今日はBさんに200借りる形で話はついた。」オ午後2時21分(被告人からC)「今日は関空で、Bさんと残りの8つのアカウントの変更、200万円の借用書、8つのアカウントの契約を交わす。」カ午後8時11分(被告人からC)- 11 -「アカウントjdone」、「アカウントidone」、「アカウントgdone」キ午後8時12分(被告人からC)「アカウントhdone」ク午後8時15分(被告人からC)「アカウントcdone」、「アカウントfdone」ケ午後8時19分(被告人からC)「アカウントddone」、「アカウントedone」コ午後8時44分(被告人からC)「全部、変更してしまおうや!」「変更し終えたらこっちのもんや!」サ午後8時56分(Cから被告人)「アカウントj アカウントi アカウントg アカウントh アカウントc アカウントf アカウントd アカウントe 8つ全てのアカウントのパスワード変更完了しました。」⒂ 被告人は、Bを譲渡人としてF社アカウント8個(ID:アカウントjアカウントi アカウント c アカウントf アカウントd アカウントe 8つ全てのアカウントのパスワード変更完了しました。」⒂ 被告人は、Bを譲渡人としてF社アカウント8個(ID:アカウントjアカウントi アカウントg アカウントh アカウントc アカウントfアカウントd アカウントe)を購入する旨の7月2日付けの契約書を作成した。 ⒃ 被告人は、同日(7月4日)、Aとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信するなどした。 ア午後10時(被告人からA)「【アカウント詳細】5,920,200 OFC【購入済み】6,484,600 OFC 【購入済み】107,002,400 OFC 132,699,800 OFC- 12 -431,139,800 OFC 451,458,600 OFC480,000,000 OFC 480,000,000 OFC413,967,000 OFC 44,439,400 OFC合計・2,540,707,000 OFC」イ午後10時1分(被告人からA)「凄い提案を頂きました。後ほどお電話させて頂きます。」ウ午後10時21分(被告人からA)「興味があるのであれば、4,000万円で全部手にして良いとの事です。後ほどお電話させて頂きます。」エ午後10時26分(Aから被告人)「桁が!桁が!夢じゃないでしょうか」オ午後11時32分通話(時間8分55秒)⒄ 被告人は、7月7日、東京国際空港国際線ターミナルにおいて、Aから現金4000万円の交付を受けた。 被告人は、F社アカウント購入代金として4000万円を代行して預かった旨の7月7日付けのD宛の預り証を作成した。 ⒅ 被告人は、7月8日、Cとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午後1 社アカウント購入代金として4000万円を代行して預かった旨の7月7日付けのD宛の預り証を作成した。 ⒅ 被告人は、7月8日、Cとの間で、以下のとおり、メッセージを送受信した。 ア午後1時13分(被告人からC)「【33分の5】Aさん1億4,000万 (被告人の名前)2,500万合計1億6,500万」イ午後6時1分(被告人からC)「Aさんが俺の持分はこれ!と書いてるんだけどわかるか?」ウ午後6時4分(Cから被告人)「(星)印ですかね?それとも、アイウエオカ?(コメ)印は、何でし- 13 -ょうかね?足してみます。」エ午後11時21分(被告人からC)「Aさんは先ほど送った、米印と☆印を俺に2,500分として割り当てることを考えている」⒆ 被告人は、7月9日、Cとの間で、以下のとおり、メッセージを受信した。 ア午前1時44分(Cから被告人)「Aさんが指定してきた(被告人の名前)さん分は、ピンクにしてあります。Aさんが計算してきたのと数は合っています。」イ午前1時49分(Cから被告人)「でも、ここには、(星)印がついてますし、計算も合います。」ウ午前1時51分(Cから被告人)「今この中で、(被告人の名前)さんの名義になっているのは、水色の988万コインのアカウントだけにしています。」被告人は、Cに指示して、本件アカウント8個を含む21個のアカウントIDについて、被告人名義、Aの夫名義で色分けするなどしたエクセルの表を完成させた。 ⒇ 本件Lアカウントの各アカウント情報が確認できるダッシュボードとよばれるWEBサイトの最終ログイン時刻は、7月4日午後6時18分から同日午後8時27分と記載 したエクセルの表を完成させた。 ⒇ 本件Lアカウントの各アカウント情報が確認できるダッシュボードとよばれるWEBサイトの最終ログイン時刻は、7月4日午後6時18分から同日午後8時27分と記載されていた。 2 Aの公判供述について⑴ 供述の要旨ア被告人とは、3月30日、Dの友人を通じて知り合った。 被告人から、2732万円で通常の倍の160万コインが入っている特別パワーパックというものが販売されており、今なら買えると言われたため、Dとともに購入することにした。被告人からは、その160万コイン- 14 -のLは、10月18日に上場する予定であり、上場した時には一つのLが2700円から4000円になる予定であると聞いた。そのアカウントのLは、上場した時には通常の通貨と同じように交換もでき、換金もできるということなども聞いた。 イ 1回目から4回目の取引について私は、3月30日から5月7日までの間に4回、被告人からLアカウントを4つ買った(以下、これらの取引を、取引がされた順番に「1回目の取引」などともいう。)。1つのアカウントは2732万円であったため、4つのアカウントを買うために合計1億928万円を被告人に支払った。Lアカウントは、私とDの二人で貯めたお金で買ったため、Lアカウントの名義は私かDにしていた。 5月7日以降は、Lアカウントを被告人から買うということはなくなり、海外の売主から買うようになった。私が、売主から直接購入するのではなく、被告人が、アカウントを見つけてきて、売主にお金を払って買う方法で、被告人とLアカウントを共同購入するようになった。 ウ 5回目の取引について6月15日に、被告人からLINEで、1000万コインずつ入った二つのアカウン 、売主にお金を払って買う方法で、被告人とLアカウントを共同購入するようになった。 ウ 5回目の取引について6月15日に、被告人からLINEで、1000万コインずつ入った二つのアカウントを、二つ一緒に買うなら2億円で手放してよいとの誘いがあったとの連絡があり、被告人も1億円出すので、1億円出してほしいとの話になった(以下、この件を「5回目の取引」ともいう。)。私は、被告人が私たちに声を掛けてくれるのは、私たちが今までに1億円以上のお金をきっちり支払ってアカウントを買っていたため、私たちを信頼して声をかけてくれたのだと思い、また、柔道のオリンピック選手で、柔道の指導者であり教育者であるという被告人を信頼していたので、被告人が売主に確実にお金を届けてくれると信じて、Dとも相談し、共同購入することを決めた。被告人からは、手数料や代行料の話はなかったが、被告人も、- 15 -私たちと一緒に買うことで大きな利益を受けられるので、手数料や代行料のことは言ってこなかったのだと思った。 私は、6月21日、被告人に1億円を預けた。6月22日に、被告人から手続が完了したとの連絡があったので、G社のホームページで確認したところ、1000万コインに近い980万コインが入っているアカウントが登録されていた。 エ 6回目の取引について同日、被告人から、さらに、569万コインが入っているアカウントを共同購入しないかとLINEで連絡があった(以下、この件を「6回目の取引」ともいう。)。被告人からは、私が3000万円を負担すれば569万コインのうちの250万コインが登録されたアカウントを私の取り分とすると言われた。被告人からは、被告人が手にするコイン数や負担する金額については伝えられなかった。被告人からの共同購入の提案を受け、Dと相談 うちの250万コインが登録されたアカウントを私の取り分とすると言われた。被告人からは、被告人が手にするコイン数や負担する金額については伝えられなかった。被告人からの共同購入の提案を受け、Dと相談し共同購入することを決めた。このときも、被告人が、私の分と被告人の分のお金を売主に届けてくれると思っていた。被告人からは手数料や代行料の話はなかった。 私は、6月26日に、3000万円を被告人に渡した。その際には受領証はもらえなかったが、後日、6月26日付けの受領証を受け取った。被告人からは、3000万円の分であるとして6個のアカウントについての連絡があったため、ホームページで確認したところ、6個のアカウントが名義変更されていることを確認した。 オ 7回目の取引について6月26日の夜遅く、被告人からまたLINEで、2つのOFCコインの入ったアカウントを9000万円で購入できるとの話があった(以下、この件を「7回目の取引」ともいう。)。被告人は、自分はお金がショートしていて2000万円しか出せないので、私に7000万円出してくれ- 16 -ないかと言った。私は、被告人が私を信頼して共同購入の話を持ち掛けてくれたものと思い、夫と相談してその話を了承した。被告人からは、手数料や代行料の話はなかった。 私は、7月3日に、7000万円を被告人に渡した。被告人から受け取った受領証の日付が7月30日になっているが、7000万円を支払ったのは7月3日で、7月30日には被告人に会っていないので、なぜその日付になっているのかはわからない。 6月27日に、被告人がLINEで、全体のコイン数1240万コインを2対7で分けた計算結果を送ってくれた。前に3000万円出して250万コインを手にしていたので、「3000万円 らない。 6月27日に、被告人がLINEで、全体のコイン数1240万コインを2対7で分けた計算結果を送ってくれた。前に3000万円出して250万コインを手にしていたので、「3000万円で250万コインも足して計算してみて」と言って計算してもらった。また、被告人がお金がショートしていると言っていたので、私が出す分を増やしてもいいかなと思い、被告人の割合を1000万円に減らして、私が8000万円を出した場合の分配の計算もしてもらったが、1000万円でなく、2000万円と7000万円にしてもらったほうがすっきりすると思ったので、負担は2000万円と7000万円として計算が終わった。 被告人からは、2個のアカウントの購入手続きをしたと聞いたと思うが、この話に続けてまた大きな話を持ち込まれたので、それに追われて、購入手続がされているかどうかをインターネットで確認することはできなかった。 被告人が、私に、2個のアカウントを9000万円で売るという話は聞いていない。私が被告人に預けた7000万円が、9000万円の一部であり、残りの2000万円は後で私が支払うという話になっていたということもなかった。Dが、被告人に対し、この2個のアカウントを自分が買うので、さらに条件の良いアカウントも追加してほしいなどと依頼したことはない。被告人に7000万円を預けた時点で、被告人からこの2個の- 17 -アカウントのほかにアカウントを購入する話をされていたことはないし、7000万円を合計10個のアカウントの代金の内金とするという話をされたこともなかった。 カ 8回目の取引(以下「本件取引」ともいう。)7月4日午後10時頃に、被告人からメッセージが送られてきた。 そのメッセージには、「5,920,200 されたこともなかった。 カ 8回目の取引(以下「本件取引」ともいう。)7月4日午後10時頃に、被告人からメッセージが送られてきた。 そのメッセージには、「5,920,200OFC」、「6,484,600OFC」、「購入済み」と記載されており、その後に8つのOFCコインの合計が記載されており、そのコインの合計は25億ほどであった。この「購入済み」の意味は、私が7月3日に被告人に7000万円を渡し、被告人が2000万円を出して9000万円で共同購入したものについて、相手に代金が支払われて既に購入済みであるということを分かりやすく書いたのだろうと思った。 購入済みとは書かれていなかった8個については、そのLINEの一番下の欄に、「凄い提案をいただきました」と記載されていたので、これが凄い提案の内容なのだろうと思った。 その後、被告人から、「興味があるのであれば、4、000万で全部手にしてよいとの事です。後ほどお電話させて頂きます。」とのLINEのメッセージがあった。私は、LINEのメッセージに記載されていた10個のアカウントのうち2個は既に9000万円で買っているので、4000万円はその下の8個のアカウントだけの金額だと思った。 その後、被告人と電話で話をした。被告人は、「すごいアカウントが出てきました、こんなアカウントはもう出てきませんし、すぐに売れてしまうかもしれません、しかも4000万で手に入れることができることなんて信じられません」ということと、「信じられないけれどもぜひ自分も手にしたいので共同購入を、自分は今お金がショートしていて500万円しか出せないので、Aさんに4000万円出していただいて共同購入したい- 18 -のです」と言われた。私は、Dがそばにいたので、Dの したいので共同購入を、自分は今お金がショートしていて500万円しか出せないので、Aさんに4000万円出していただいて共同購入したい- 18 -のです」と言われた。私は、Dがそばにいたので、Dのほうを見たら、Dがうなずいたので、「押さえてください」と被告人に伝えた。被告人は、「買いたいと伝えますが、支払は早ければ早い方がいいです、そうすれば売主も好意的になってくれるでしょうから」などと言われた。お金が用意できる時期については、まだ確定していなかったので、その時は言わなかった。 被告人からのメッセージでは4000万円と記載されており、電話でもこれが4000万円で手にできるなんて信じられないと言われているところ、私が4000万円出して、被告人が500万円出すとなると購入金額は4500万円となり、金額が異なっているが、4000万円という金額は、共同購入のための私の支払分であると理解した。 7月5日の午後1時過ぎに被告人から電話があり、「8個のアカウントは押さえてもらっていますが、しかも好意的に名義変更までしてくれていますが、早くしないとどうなってしまうか分かりません、いつお金の準備ができますか」と聞かれた。名義変更については、Dの名義に変更していると聞いた。以前にも、代金を支払っていなくても名義変更をしてくれたことがあり、被告人が売主に信用されているのかとも思ったため、その話自体は不自然だとは思わなかった。 私は、被告人に、7月6日には現金を用意できると伝え、7月7日に、羽田空港の国際ターミナルのコーヒー店で現金の受渡しをすることになった。私は、今回のアカウントの購入については、被告人が500万円、私が4000万円出して、4500万円で購入するものだと思っていた。被告人からは手数料や代行料の話はなかっ 金の受渡しをすることになった。私は、今回のアカウントの購入については、被告人が500万円、私が4000万円出して、4500万円で購入するものだと思っていた。被告人からは手数料や代行料の話はなかった。 被告人からは、4000万円を渡す際に、G社にログインしてIDとパスワードを入れると、アカウント名と入っているコイン数が分かるDのダッシュボードをプリントアウトしたファイルを持ってくるように言われ- 19 -た。 8個のアカウントの代金が4500万円ではなく、既にその8個のアカウントが被告人によって300万円で購入されており、D名義に変更済みであったことを知っていたとしたら、4000万円を被告人に預けることはなかった。 被告人から、Lアカウント8個と約1240万OFCコインが入っているとされる2個のアカウントの合計金額が1億1000万円であり、既に7000万円を受領しているので、差額の4000万円を支払うよう求められたことはなかった。 キ現金4000万円の交付及びアカウントの分配について7月7日、私は、羽田空港で、被告人に4000万円を渡し、被告人から同日付けの受領証と被告人の手書きのメモを受け取った。 被告人からは、このメモについて、「これが今回の共同購入で提供されたアカウントです」、「これを分配しなくてはいけないので分配しましょう」、「Aさん、分配の計算をお願いします」などと言われた。 私は、まず、OFCコインはOFCコインで足して、LはLで足して、合計の金額を出し、私が、3000万円とその後に7000万円、今回のことで4000万円出しているので合計1億4000万円、被告人が出すと言っていたのは、9000万円のときの2000万円と最後の共同購入の時の500万円を 、3000万円とその後に7000万円、今回のことで4000万円出しているので合計1億4000万円、被告人が出すと言っていたのは、9000万円のときの2000万円と最後の共同購入の時の500万円を足した2500万円で、2人の合計は1億6500万円とすると、被告人の持分は33分の5となったので、5対28でLとOFCコインを別々に計算し、33分の5の割合になるようアカウントをいくつか組み合わせながら計算した。被告人の持分とするアカウントに星印と※印を付け、その紙を写真で撮って、7月8日午後6時3分に被告人にLINEで送った。すると、被告人は7月9日の午前1時49分に、私が送ったメモの内容をエクセルの表に記載して色分けしたものをLINEで- 20 -送ってくれた。 ク令和3年12月頃、被告人の内縁の妻といわれていたCという女性から、私が被告人に騙されているから話がしたいと連絡があり、話を聞いたところ、被告人の嘘が良く分かったので、令和4年2月頃に、警察に相談に行った。 ⑵ Aの供述の信用性Aの公判供述は、被告人とAとのメッセージのやりとりや、本件取引において購入したLを含めてそれまでに共同購入したLについて、A側と被告人が負担した購入代金の割合で分配する際に作成された手書きのメモやそれを整理したエクセル表などの証拠とも整合しており、その内容も具体的かつ合理的なものである。 Aは、被告人に騙されたと主張している立場であり、被告人に対する敵対心や怒りの感情などを有していることも考えられるため、その供述の信用性については慎重に検討すべきではあるものの、Aが偽証罪の制裁を受けてまで虚偽の供述をする動機を有しているものとは認められない。また、本件が平成30年7月のことであり、被害届を提出した時期や証言をした時期か ては慎重に検討すべきではあるものの、Aが偽証罪の制裁を受けてまで虚偽の供述をする動機を有しているものとは認められない。また、本件が平成30年7月のことであり、被害届を提出した時期や証言をした時期から相当期間が経過していることから、記憶が曖昧となっている点もみられるが、そのことから直ちに信用性が否定されるものでもない。Aが、上記のとおり、複数の客観的な証拠と整合した具体的な供述をしており、その内容も不自然不合理ではないことからすると、Aの供述は信用できるものであるといえる。 ⑶ 弁護人の主張ア供述の変遷について弁護人は、令和5年2月9日にAが警察に提出した被害届や当初作成されたAの供述調書には、Lが上場すると言われていたのに、結局上場はせず、被告人から現金を騙し取られた旨記載されていたのであり、Aの公判- 21 -廷での供述内容は、当初Aが捜査機関に話していた内容から変化しているのであって、Aは、被告人を詐欺で立件することができる理屈や論立てとしてどういうものがあるかということをCやCの知人男性、担当の警察官などと試行錯誤した上でなされた可能性が排斥できないと主張する。 確かに、Aは、被害申告当時は、「本件Lアカウントを既に300万円で購入済みであり、Aの夫名義に変更済みであったことを知っていれば、被告人に4000万円を渡して預けることはしなかった。」といった内容の供述はしていなかった。しかし、Aは、その理由について、被害申告時には、被告人からどのような嘘をつかれていたのかわからなかったが、捜査によって被告人の嘘が判明したので公判廷で証言した内容を話すことができたなどと説明しているのであって、Aは、被害申告時には、本件被害の内容が判明していなかったので気付いておらず申告しなかっただけであ によって被告人の嘘が判明したので公判廷で証言した内容を話すことができたなどと説明しているのであって、Aは、被害申告時には、本件被害の内容が判明していなかったので気付いておらず申告しなかっただけであり、あえて虚偽の事実を作出したり、本件の具体的な内容に関して供述を変遷させたわけでもないことから、この点をもってAの供述に信用性がないものとはいえない。 イ本件取引の4000万円について、被告人が共同購入で500万円を支払ったとの点が客観的な裏付けを欠いていることについて弁護人は、Aは、本件取引についてAが4000万円を出し、被告人が500万円を出すという共同購入の話であったと述べるが、①Aと被告人のメッセージのやりとりの中には、被告人が500万円を支払う形での共同購入という言葉やそのことが前提となっているようなやり取りも見当たらないのであり、②また、Aは捜査段階において、4000万円と言われていたが4500万円まで譲歩する必要があるのかなと思ったというような趣旨の供述をしており、③さらに、Aは共同購入という話があったことに関し、はっきりとした記憶を有していたことについて説得的な理由を説明していないのであって、Aの供述は信用できない旨主張する。 - 22 -しかし、①については、Aが、本件取引について、自身が4000万円、被告人が500万円の負担をしたことを前提として、被告人の持分を33分の5と計算してLの分配を行ったことは、被告人が500万円を負担することとなっていたと述べるAの供述を裏付けるものである。また,Aと被告人は取引の内容に関し通話もしている中で、メッセージのやりとりの中に、被告人が500万円を支払う形での共同購入という言葉が出てこないからといって、そのような話がなかったとはいえない。 ②について、 人は取引の内容に関し通話もしている中で、メッセージのやりとりの中に、被告人が500万円を支払う形での共同購入という言葉が出てこないからといって、そのような話がなかったとはいえない。 ②について、Aは、捜査段階において、4500万円まで譲歩する必要があるのかなと思った旨供述している点に関し、「被告人から4000万円から4500万円になるという説明を受けていたわけではない。捜査段階では、海外の売主から購入するもので購入代金に幅があるかもしれないと推測した結果、『4000万円から4500万円の価格で相手に譲歩する必要が出てくると被告人が見込んでいると思った』と話した。」などと述べて、その理由について相応の説明をしているのであって、この点から直ちに、Aの供述の信用性が減殺されるものではない。 ③について、Aは、本件についてはお金の動きが大きかったことなどから記憶に残っていた旨述べるなどしており、説得的な説明をしていないものとはいえない。 ウ Aが重要な事実経過につき、事実と明確に異なる供述を行っていることについて弁護人は,Aは、被告人に金銭を渡したのは合計10回であり、そのうちの3回目は、4月25日に2732万6000円を東京駅のIの8階のコーヒー店で、4回目は、5月7日に2732万6000円を羽田空港国際線ターミナルのコーヒー店で金銭を渡したが、4回の支払いをしたにもかかわらず3つのアカウントしかもらえなかった旨供述しているが,以下の(ア)ないし(ウ)のような事実と異なる供述をしていると主張する。 - 23 -(ア)4回目の取引のお金の受け渡しの点に関して事実と異なる供述をしていることa ①Aは、3回目の取引について、1回目の取引、2回目の取引と同じく160万円ほどのコインが手に入るこ (ア)4回目の取引のお金の受け渡しの点に関して事実と異なる供述をしていることa ①Aは、3回目の取引について、1回目の取引、2回目の取引と同じく160万円ほどのコインが手に入ることを期待して、4月25日に2732万6000円の現金を被告人に渡し、自分の口座から引き出した現金や金庫内の現金等をその原資としたと述べるが、その後4月25日から5月7日までの間、被告人とAのメッセージのやりとりを見ても、新しく追加でコインを買うという話は特に見当たらない、②4回目の取引の原資は自宅の金庫内の現金であると述べるが、Aの供述以外に何ら裏付けがない、③Aは、300万円ほどのアカウントに関するものであるとみられる9回目の取引と10回目の取引の取引では、事件当時から、アカウントの名義が自分のものになっていなかったことについて文句を言ってるのに、2732万6000円も渡した3回目の取引、4回目の取引の件では、警察で供述調書を作成した令和5年までの約5年間、4回目の取引のアカウントをもらえなかったことについて誰にも話していない、④Aが、4回目の取引のお金のやり取りがあったと説明している5月7日に、Aが被告人に会った際、実際には現金のやり取りはなく、被告人から日付を変えた領収書を受け取り、その代わりに4月25日の領収書を被告人に返却したというのが実態であるからこそ、Aと被告人は5回目の取引である6月21日の1億円の取引へと進んでいったのであるなどとして、Aは、4回目の取引の現金の受け渡しの点に関して事実と異なる供述をしている旨主張する。 b ①については、確かにメッセージには新しくコインを買うとのやりとりはみられないが、被告人とAが4月27日と5月3日に通話している記録もみられることから、メッセージがないことから直ちに新し b ①については、確かにメッセージには新しくコインを買うとのやりとりはみられないが、被告人とAが4月27日と5月3日に通話している記録もみられることから、メッセージがないことから直ちに新し- 24 -いコインを買うとのやりとりがなかったものとみるべきではない。 ②については、自宅の金庫内の現金に関する供述であり、必ずしも客観的な裏付けが残るものではない性質の金員であるから、そのことから直ちにAの供述が信用できないとまでいえるものではない。 ③について、Aは、被告人が海外に行くなどして多忙であったことから、忙しさに紛れて確認できていなかったなどと説明している。実際に、3回目の取引と4回目の取引の間に、被告人が海外に渡航していたことはメッセージから明らかであるところ、Aは、3月30日以降、被告人が海外から見つけてきたアカウントの購入を繰り返しており、被告人を信頼してその取引やアカウントの名義変更などを全般的に任せるなどしていたのであるから、被告人に対し、特に不審を感じることなく、アカウントの名義変更について確認しなかったとしても不自然とはいえない。 ④についても、Aが,アカウントの名義変更がされていないことに気付かず、被告人に特に不審を感じていなかったのであれば、そのまま、1億円の取引に進むことは考えられることであって、Aの供述の信用性を直ちに否定する事情とはならない。 (イ)6回目の取引の3000万円について「568万9719コインのうち250万コインのアカウントを取り分とする」という点が事実と異なること弁護人は、Aは、6回目の取引は、568万9719コインのLが登録された複数のアカウントがあるのでこれを共同購入したいという話が持ち掛けられ、Aはそのうちの250万コイン 異なること弁護人は、Aは、6回目の取引は、568万9719コインのLが登録された複数のアカウントがあるのでこれを共同購入したいという話が持ち掛けられ、Aはそのうちの250万コインを3000万円で購入し、残りを被告人が購入するという話だったと述べるが、被告人との間で作成された手書きの一覧表や、Cが作成したエクセルでの一覧表の中に568万9719コインという記載はなく、6回目の取引に関して被- 25 -告人とAとの共同購入の話があったとするAの供述を裏付けるものはない旨主張する。 この点について、Aは、被告人の方から、手書きのメモを前提にLアカウントの分配の計算を依頼されたところ、そこには記載されていなかった被告人の取り分のアカウントとその購入代金の被告人負担分が不明であったことから計算に含めなかったにすぎず、計算に含めないのであれば分配計算の公平性に影響しないとも考えられるのであって、その供述内容が不自然不合理なものであるとはいえない。 (ウ)7回目の取引の7000万円について、被告人が共同購入で2000万円を支払ったとの点が事実と異なること弁護人は、7回目の取引の件について、Aは、被告人に対し、6月28日には「(7月)3日に出来るだけ現金をお渡しして、残りを後日にしましょうか?」とのメッセージを送ったり、7月9日には「二桁省かれることが有るかもとは知らないでこれを9000万円で買ったと認識しています」とのメッセージを送っているが、Aが7000万円、被告人が2000万円をそれぞれ支払うという約束が記載されている部分は見当たらず、被告人がAに全ての現金を持ち運ぶことができないから9000万円ではなく7000万円にしてもらいたいと伝えていたとしても不自然ではなく、Aが述べる事実経過は事実と異 記載されている部分は見当たらず、被告人がAに全ての現金を持ち運ぶことができないから9000万円ではなく7000万円にしてもらいたいと伝えていたとしても不自然ではなく、Aが述べる事実経過は事実と異なっている旨主張する。 しかし、その後のAと被告人との間のLの分配時に、Aが、被告人の負担分を7回目の取引の分として2000万円、本件取引の分を500万円と考えて計算しており、被告人もAがそのように分配方法をとっていることを認識していたのは、Cとのメッセージのやりとりから明らかであり、その後のCとのやりとりや整理されたエクセル表の作成経過をみても、その負担分が当然のものであるとしてその後のやりとりが進ん- 26 -でいるのであって、Aの上記6月28日及び7月9日のメッセージを弁護人主張のとおりの意味ととらえるのは相当でない。 エ結論その余の弁護人の主張を検討しても、Aの公判供述の信用性は左右されない。 3 Dの公判供述について⑴ 供述の要旨ア Aは、会社の経理を担当しており、二人の財産からお金を出すときには必ず私に相談してくれていたので、私はLに関する被告人とのやり取りをAに任せており、Aが窓口となっていた。Lの名義については、概ねAが、その時に応じて、私の名義にするかAの名義にするかを決めていた。 イ Lアカウントのパワーパックを購入したのが、3月30日(1回目の取引)、4月21日(2回目の取引)、4月25日(3回目の取引)、5月7日(4回目の取引)の4回で、それぞれ2730万6000円で購入した。現金は、Aが被告人に渡した。4回目の取引の5月7日に被告人に渡した2730万6000円は、AがA自身の金庫から現金を出した。実際に、Aが現金を出したところを見たわけではない。Aの金庫から 入した。現金は、Aが被告人に渡した。4回目の取引の5月7日に被告人に渡した2730万6000円は、AがA自身の金庫から現金を出した。実際に、Aが現金を出したところを見たわけではない。Aの金庫からの現金であるのに、受領証の宛名が私宛になっているが、私の名前を使っていたとしても、私のほうでお金を返すことはよくあるので、別に抵抗はなかった。この2730万円についてもどこかで精算したと思う。 4月25日の3回目の取引は、160万コインを購入し、現金で支払ったが、このアカウントは登録されていなかった。 4回目の取引は2732万円で200万コインのアカウントを購入しており、これは「アカウントk」として登録されているアカウントで、これに対する現金を支払った晩には登録されていた。 ウ 6月21日(5回目の取引)、被告人と私たちで1億円ずつ出してLを- 27 -購入した。この時、私は、Aのスマートフォンをスピーカー機能にして、Aと一緒に被告人の話を聞いていた。被告人に対し、「1億円を出せるんですか。」と聞いたら、「とにかくかき集めます。」と言っており、お金は被告人が自分のトランクに詰めて海外の売主のところに運ぶといった話をしていた。 その次が、同年6月26日(6回目の取引)に、3000万円で、私たちの取り分が250万コインであるという話で購入した。この時、私は、Aと一緒に被告人の話を聞いていたかどうかは一概に言えない。Aを通して言われたかもしれない。 エさらに、7月3日(7回目の取引)に、被告人が2000万円、私たちが7000万円を出すということでLを購入したことがあった。この際、私は、直接なのか電話をスピーカー機能にしてなのか断言できないが、Aを通して話を聞いたと思う。 7月3日、Aは、Lアカウントの購入代 7000万円を出すということでLを購入したことがあった。この際、私は、直接なのか電話をスピーカー機能にしてなのか断言できないが、Aを通して話を聞いたと思う。 7月3日、Aは、Lアカウントの購入代金として被告人に対し、7000万円を渡した。 被告人が、こんなアカウントはめったに出ない、すぐに売れてしまうだろう、自分も絶対それを買いたい、ただし、自分は2000万円しか出せないので、Aさん7000万円を出してもらえないか、一緒にそれを買いたいと言っていた。私たちは、金融のプロである被告人が言っていることだったので、それだったら買おうかということで買うことにした。 この件については、被告人が、この2個のLアカウントを9000万円で売却するという話ではなかった。また、私が、被告人に対し、2個のアカウントは自分が買うので、さらに条件の良いLアカウントを追加してほしいなどと依頼したこともなかった。この2個のLアカウントを買うに当たり、私が、被告人に対し、1コイン当たりの単価を5円程度にしてほしいと言ったこともなかった。 - 28 -オ 7月4日午後10時頃、被告人から、自分は資金がショートしているから、500万円しか出せないので、私たちに4000万円を出してくれないかというLの共同購入の話があった。この際、私は、Aのスマートフォンをスピーカー機能にして、Aと一緒に被告人の話を聞いていた。 被告人が、こんなアカウントはやはりめったに出ないし、すぐに売れてしまうだろう、自分も絶対に欲しい、資金がショートしているので500万円しか出せない、私たちに4000万円出してもらえないかというので、私たちはこのアカウント8個を被告人と共同購入することにした。 購入原資は、私の保険を解約して4000万円用意した。 7月7日、Aは、被 私たちに4000万円出してもらえないかというので、私たちはこのアカウント8個を被告人と共同購入することにした。 購入原資は、私の保険を解約して4000万円用意した。 7月7日、Aは、被告人に対し、Lアカウントの購入代金として、4000万円を渡した。 Lアカウント8個とそのすぐ前に共同購入した2個のアカウントを合計1億1000万円で購入するという話を、被告人又はAから聞いたことはない。Aが、被告人に渡した4000万円は10個のアカウントの残代金ではなかった。被告人から、アカウントの購入に関して、Aが聞き違いや勘違いをしているなどと言われたことはなかった。私とAとの間で、一度、私やAのものとなったアカウントを被告人にお礼として無償で譲るという話が出たことはなかった。Aは、二人の財産から出すお金に関しては、私に相談するので、Aが、私に無断でアカウントを被告人に無償で譲るということは考えられない。 Lを共同購入するに当たって被告人から言われていた金額に、手数料や代行料が含まれているとは思っていなかった。 ⑵ 供述の信用性Dも、Aと同様に、被告人に騙されたと主張している立場であり、被告人に対する敵対心や怒りの感情などを有していることも考えられるため、その供述の信用性については慎重に検討すべきではあるが、Dが偽証罪の制裁を- 29 -受けてまで、あえて虚偽の供述をするほどの動機を有しているものとは考え難い。また、本件が平成30年7月のことであり、被害届を提出した時期や証言をした時期から相当期間が経過していることから、記憶が曖昧となっている点もみられるが、覚えていないことについてはその旨述べるなど供述態度は真摯であって、不合理な供述の変遷も特段見当たらず、本件当時から期間が経過していたことにより直ち ことから、記憶が曖昧となっている点もみられるが、覚えていないことについてはその旨述べるなど供述態度は真摯であって、不合理な供述の変遷も特段見当たらず、本件当時から期間が経過していたことにより直ちにDの供述の信用性が否定されるものではない。Dの供述は、信用できるAの供述と整合しており、信用できるものであるといえる。 ⑶ 弁護人の主張ア Dの公判供述はAの公判供述の影響下にあること弁護人は、DはAと夫婦であって同居しており、起訴前から被告人を詐欺により立件すべくともに行動していたのであって、Aの裁判での証言についても話題にしたことを認めており、Aの証言後、Dの証言前には検察官が証人テストを行っているのであって、AとDが同趣旨の証言をすることはむしろ当然であって、両者の公判供述が一致していることがその信用性を高める事情となるものとは評価できないと主張する。 確かに、弁護人が指摘する事情を考慮すると、Dの供述の信用性について慎重に検討する必要はあるものと考えられるが、Dは、Aに全く話を合わせているような供述はしておらず、記憶にないことはない旨真摯に供述し、弁護人からの反対尋問にも大きく揺らいでいるような様子もなかったのであって、弁護人の指摘する事情がDの供述の信用性を減殺するものとまではいえない。 イ供述に変遷があること弁護人は、Dは、Aとともに、被告人を立件すべく、CやCの知人男性と頻繁にやりとりをしており、また、本件に関する被害届が出される前の令和4年3月頃の時点においては、コインが交付されていない300万円- 30 -について問題としていたのであって、当初認識していた被害と本件の公判供述において前提とされている被害とが大きく異なっており、この点について重要な変遷がみられる旨主張する。 00万円- 30 -について問題としていたのであって、当初認識していた被害と本件の公判供述において前提とされている被害とが大きく異なっており、この点について重要な変遷がみられる旨主張する。 この点は、Aの供述の信用性の検討部分で述べたとおり、Dも、被害申告時には、本件被害の内容が判明していなかったので気付いておらず申告していなかっただけであって、本件に関して虚偽の事実を作出したり、本件の具体的な内容に関して供述を変遷させたわけでもないことから、この点をもってDの供述に信用性がないものとはいえない。 ウ証言内容に客観的事実と矛盾する部分があること弁護人は、7月4日にD名義の口座に、生命保険を解約した3683万6878円が着金しているところ、これは7月4日以前からまとまった資金が必要となる予定があったこと、具体的には7回目の取引と本件取引のアカウントの取引を合算して行うことが予定されていたことが窺えるのであって、合算で買うからという話をしたことはないと述べるDの供述は信用できないと主張する。 この点、7月2日午前10時32分に被告人がCに送ったメッセージには、「今、Aさんに電話をして話をした!」「Hにも凄く興味を持っているようで、向こうに行ってみないとわからないけど、物凄い多くのアカウントを2~3,000で手に入るかもしれないと伝えたらとても喜んでくれた。」と記載されているところ、ちょうどその時は本件アカウントについてBを介した取引を行っている頃であり、その前後のCとのメッセージのやりとりなども考えると、被告人は、Aに対し、詳細な内容までは伝えていないものの、本件アカウントについて、7月4日よりも前に、本件アカウントの漠然とした取得可能性と「2~3,000」という金額を伝えていたものとみられる。 被告人は、Aに対し、詳細な内容までは伝えていないものの、本件アカウントについて、7月4日よりも前に、本件アカウントの漠然とした取得可能性と「2~3,000」という金額を伝えていたものとみられる。そうすると、その話を聞いたDが、実際に具体的な取引の内容を聞いた7月4日より前に生命保険を解約していた可能性も- 31 -考えられるのであって、7月4日に生命保険の解約返戻金が着金していたことをもって、Dの供述が直ちに信用できないものであるとはいえない。 エ 4回目の取引の現金の受け渡しの点に関して事実と明確に異なる供述をしていること弁護人は、4回目の取引の現金の受け渡しについて、①Dは4回目の取引の2732万6000円についてはAの金庫から出されており、自分名義で領収書が作成されていたのであれば、どこかのタイミングでAとの間で精算していると述べるが、裏付けとなる証拠はないこと、②Dが作成した書面には、被告人がAに売ったアカウントの合計金額は3億6000万円になるとの記載があるが、Aが被告人に渡した金額の総額は約3億9000万円であり、被告人がAに返済する3000万円を控除したのが3億6000万円であって、3回目の取引と4回目の取引にそれぞれ現金が渡されたということになると計算が合わないことなどを指摘して、Dは、4回目の取引の現金の受け渡しに関し事実と異なる供述をしていると主張する。 しかし、①については、夫婦間で精算したことに関する裏付けがないからといって、直ちにDの供述の信用性が否定されるものとはいえない。 また、②については、Dが作成した書面に記載された金額については、3億6000万円がどの範囲の金額を指すものであるか、被告人がAに返済する3000万円が差し引かれて3億6000万円となっているのか、その具体的 いては、Dが作成した書面に記載された金額については、3億6000万円がどの範囲の金額を指すものであるか、被告人がAに返済する3000万円が差し引かれて3億6000万円となっているのか、その具体的な内容が明らかでなく、この書面の内容から、直ちにDは、4回目の取引の現金の受け渡しに関し事実と異なる供述をしているとみるのは困難である。 オまとめその余の弁護人の主張を検討しても、Dの供述の信用性は左右されない。 - 32 - 4 Bの公判供述について⑴ 供述の要旨ア被告人は、平成30年6月頃、私に、アカウントを売却してくれる人を紹介してほしいと頼んできた。私は、被告人がHというネットワークビジネスに一緒に従事してお金を出してくれることに期待していたため、その依頼を受け、被告人に3人の人物を紹介した。 イ私は、被告人にEという人物を紹介した。 Eは、当初は2個、最終的には合計10個のアカウントを紹介してくれた。私は、被告人に対し、ズーム会議とLINEでの会話で、被告人にその内容を伝えた。 私は、被告人に対し、Eから送られてきたメッセージを転送した。交渉の結果、2個のアカウントについて、3800万円で売却することとなった。6月27日、私の家に被告人が来て、アカウントの取引がされた。ズームとLINE電話を利用して、フィンランドにいたEとCともつないで情報を交換した。私が通訳をした。被告人は、3800万円の現金を持ってきた。私は家の金庫にそれを入れて、私がバンコクにいるEのところに持って行った。 この取引に関しては、被告人が契約書を作成し、私は、Eがフィンランドにいたので代理で私が署名した。IDの欄は空白だったが、被告人を信用していたので署名した。 私は、Eから移動の費用とし 行った。 この取引に関しては、被告人が契約書を作成し、私は、Eがフィンランドにいたので代理で私が署名した。IDの欄は空白だったが、被告人を信用していたので署名した。 私は、Eから移動の費用として100万円を受け取った。被告人からはお金を受け取っていない。 ウその後、OFCのコイン数に関し問題があったため、被告人は、3800万円の返金か、10個のアカウント全部の移譲を求めてきた。Eは、ほかの数個のアカウントを提供するとの解決策を示した。交渉の結果、3万ドルで残り8個のアカウントを売却するということで合意ができ、7月2- 33 -日に関西空港のレンタルオフィスで取引することとなった。 取引にはズームとLINEを使い、私は通訳をした。被告人は、私の夫から200万円を借りて、現金を用意した。被告人は、契約書を持ってきており、私に署名してほしいと言った。その契約書に金額やアカウントは書いていなかったが、私は被告人を信用して、私の署名等を記載した。私は、被告人から仲介料や紹介料は受け取っていない。8個のLのアカウントの名義変更は、ズームとLINEを使ってCとつなぎ、Cがアカウントの名義変更をした。 ⑵ 供述の信用性Bは、被告人がLアカウントを購入するに当たって、売主と被告人との間の仲介や通訳を行った者であり、ことさら被告人に不利益な供述をする動機はない。また、Bの供述は、メッセージ等の証拠と概ね整合している。また、Bが覚えていないと供述することも一定程度見受けられたが、それは、Bが売主と被告人との間の契約にそれほど注意を払っていなかったことや、本件当時から相当期間が経過していることが原因であると考えられ、覚えていないことは覚えていないと正直に話すなど、その供述態度も真摯であって、Bの供述は信用できるものといえる。 っていなかったことや、本件当時から相当期間が経過していることが原因であると考えられ、覚えていないことは覚えていないと正直に話すなど、その供述態度も真摯であって、Bの供述は信用できるものといえる。 弁護人は、Bが、被告人からのコネクション料の受領を否定しており、被告人と敵対関係にあることから潜在的に虚偽供述をする動機を有しているなどと主張するが、Bが被告人が述べるような高額なコネクション料を受領していた裏付けは特段見当たらず、Bにあえて虚偽の供述をするほどの動機があるものとは考えられないことから、弁護人の主張は採用できない。 5 まとめ以上によれば、被告人が、7月2日に、本件Lアカウントを、Bを介し、Eから代金300万円で購入したことが認められる。 また、アカウントの名義変更について、ログインパスワードとトランザクシ- 34 -ョンパスワードの変更には元の所有者の承認が必要であるところ、A及びDのためのパスワード等の変更手続においては、手続を円滑に進めるために、便宜上、メールアドレスを被告人のメールアドレスに変更するものの、各パスワードはAやDの各パスワードに変更した上で、AやDのメールアドレスに変更していたとされているところ、各パスワードが元の所有者のものから変更されれば、アカウントは元の管理者の所有から離れ、実質的に名義変更がされているものと評価できるのであって、各パスワードの変更時期が実質的な名義変更の時期であるといえる。そうすると、被告人が、遅くとも、同日午後8時56分までには、本件Lアカウントの名義に係るパスワードを変更して、本件Lアカウント名義を実質的にD名義に変更したことが認められる。 さらに、被告人が、同月4日午後10時頃から同月7日にかけて、Aに対し、本件Lアカウントを購入するためには、 パスワードを変更して、本件Lアカウント名義を実質的にD名義に変更したことが認められる。 さらに、被告人が、同月4日午後10時頃から同月7日にかけて、Aに対し、本件Lアカウントを購入するためには、合計4500万円が必要であるが、Aが4000万円を、被告人が500万円を負担して共同購入することができるなどといった内容を含む判示事実に記載の文言を伝えたことも認められる。 このような被告人による本件Lアカウントの購入時期、購入代金、アカウントのD名義への変更時期からすれば、被告人が、本件Lアカウントの購入に必要な金額を過大に伝えた上で、共同購入する意思がないのに、共同購入するかのように装ったことが認められる。 Aは、本件Lを購入するのに必要な金額が4500万円であり、被告人が500万円を負担し自身が4000万円を負担して共同購入することを前提として、被告人に交付した4000万円が被告人によって全て本件Lアカウントの売主に渡されるものと信じ、被告人に対し、早期に4000万円を渡さなければ、本件Lアカウントを購入できないと信じたからこそ、7月7日に、被告人に対し4000万円を交付したことが認められる。そして、被告人も、Aがこのように信じたことを認識していたものと認められる。 - 35 -よって、被告人が、詐欺の故意を有して、判示記載の欺罔行為を行い、Aが判示記載のとおり誤信して、Aが被告人に預かり金名目で4000万円を交付したことが認められることから、被告人の行為は詐欺罪に該当する。 6 被告人の公判供述について⑴ 供述の要旨ア 3回目の取引については、4月25日、Aからパワーパックを購入したいという話があり、CがIのコーヒーショップでAと会って、代金2732万6000円を受け取ったが、契約書類に不 供述の要旨ア 3回目の取引については、4月25日、Aからパワーパックを購入したいという話があり、CがIのコーヒーショップでAと会って、代金2732万6000円を受け取ったが、契約書類に不備があり、受領証のみを渡した。 その当日の夜、Aからキャンセルの連絡があったが、受け取った2732万6000円は次のパワーパックにスライドすることになった。 イその後、Kから、5月2日にパワーパックを2個用意できると言われたので、5月3日にAに対し、私と共同購入する案内をした。 Kはパワーパックを2個用意できたので、私とAとで1個ずつ購入することになり、共同購入はしなかった。 ウ私は、4回目の取引として、5月7日、Aに200万コインのアカウントを渡した上、4月25日に渡した受領証と引き換えに5月7日付け預かり証を渡した。2732万6000円を既に受け取っていたので、Aから改めて代金を受け取ることはなかった。 エ私は、5月3日よりも前の時点でBと知り合い、それ以降はBが紹介してくれたLアカウントをAに売っていた。 5回目の取引として、6月15日、BがJが所有する2個のLアカウントを紹介してくれて、さらに6個のLアカウントを紹介してくれたが、Bは、6個のアカウントのうちの「アカウントm」というアカウントに40万コインが入っていると言っていたものの、私が見る限りコインセーフには4800枚しか確認できなかったので、確認をしなければAに案内でき- 36 -ないと思った。 そこで、私は、Aに対し、2個のアカウントを紹介した。 Aから「1コイン10円台で購入できたら嬉しい」などと言われたので、代金は、各1億円で案内したところ、Aは、「準備できるのは1億円なので、1億円を Aに対し、2個のアカウントを紹介した。 Aから「1コイン10円台で購入できたら嬉しい」などと言われたので、代金は、各1億円で案内したところ、Aは、「準備できるのは1億円なので、1億円をまず先に準備する。」と言い、6月21日にAから1億円を受け取った。 6回目の取引として、6月19日、Aに「アカウントm」を含む6個のアカウントを紹介し、Aが購入を決めたので、6月26日にAから代金3000万円を受け取った。 Jが所有する8個のアカウントの代金は6300万円で、Bへのコネクション料は3000万円だった。 オ 6回目の取引とは別に、6月22日、Bから、最後の提供だとして約568万コインが入ったJが所有するアカウントを紹介されたので、Aに紹介したところ、A夫婦が568万コインのうちの468万コインを4000万円で購入することとなった。 ところが、Bに対し、売主が同じJであるので、コネクション料をとらないでほしいと言ったところ、この話を保留にされ、別のアカウントを紹介された。A夫婦が568万コインのうちの468万コインを4000万円で購入する話は流れてしまった。 カ 7回目の取引とについて、6月26日と6月27日、Bから10個のアカウントを紹介された。 そのうちの8個はコイン数が多かったので、コイン数が少なく買い求めやすい2個のアカウントをAに代金9000万円で提案した。 Aは、「4000万円は準備ができている。5000万円をすぐに準備できないので、2000万円ほど購入する人を紹介してほしい。7000万円と2000万円のシミュレーションをLINEで送ってほしい。」な- 37 -どと言ってきたので、6月27日に、Aに対し、私の知人に紹介する分とAの負担分の計算式 人を紹介してほしい。7000万円と2000万円のシミュレーションをLINEで送ってほしい。」な- 37 -どと言ってきたので、6月27日に、Aに対し、私の知人に紹介する分とAの負担分の計算式をLINEで送った。 Aからは、Aの負担分はもう少し多くてもよいと言われたので、8000万円と1000万円の計算式もLINEで送った。 Aは、8000万円負担すると決めたが、その後にDから電話で連絡があり、「2つのアカウントを9000万円で購入する代わりにもっと良い条件のアカウントを探してほしい。1コイン当たり5円台にしてほしい。」などと言われた。 6月27日、私が、Bの自宅へ行き、2個のアカウント代金として3800万円、Bへのコネクション料として2200万円を支払った。 キ 8回目の取引については、6月29日、Bから6個のアカウントが送られてきたので、Aに情報提供し、Aも購入すると言ったが、7月2日の朝方に、末尾にOFCという記号が書かれているアカウントは、そのOFC数の100分の1又は200分の1が実際のコイン数であることが分かり、2個のアカウントのコイン数が合計1240万枚ではなく、約12万枚であることが分かった。 私はBからOFCについて説明を受けていなかったので、Bと話をした。私は、Bに対し、1240万枚に見合うコインを探すか、それができないなら返金してほしいと要求したところ、2540万枚のコインが入った8個のアカウントを300万円で購入できることになった。この8個のアカウントは、Bが紹介してくれた10個のアカウントのうちの8個であり、7月2日にBと関西国際空港で会って買い付けをした。 この時、Bには三、四十分しか時間がなかったことから、元の所有者のメールアドレスから私 してくれた10個のアカウントのうちの8個であり、7月2日にBと関西国際空港で会って買い付けをした。 この時、Bには三、四十分しか時間がなかったことから、元の所有者のメールアドレスから私のメールアドレスに変更する手続のみ行った。Lのアカウントの変更は、まず、メールアドレスを変更すると、その時点で持主の手から離れ、その後パスワード等の変更を行うことにより確実にメー- 38 -ルアドレスの主の持ち物となる。そこからKYCという個人情報の入力をすることになるが、個人情報の入力にはパスポートのダウンロードと金融機関が発行した残高証明書のダウンロードが必要となる。これによって初めて名義変更が完了する。 7月2日、Aに対し、追加で2000万円から3000万円必要だという話をした。 7月3日、羽田空港で、Aから2個のアカウントの代金の一部として7000万円を受け取ったのは、私のキャリーバッグに7000万円しか入らなかったからだった。 ク 7月4日、Aに対し、LINEで「凄い提案をいただきました。4000万円で全て手にして良いとのことです。」と送り、アカウント10個の情報も送った。 そして、Aに対し、電話で、未払いの2000万円に加えて2000万円を支払うと10個のアカウントを全て手にできるという話をした。 「凄い提案」というのは、Aに6個のアカウントを紹介していたものの、それが8個のアカウントに増え、Lの数も増えたことを指している。 Aとの間で8個のアカウントの購入について合意ができたので、7月5日に名義変更を完了した。 8個のアカウントのダッシュボードの最終ログイン時間は、G社の本社があるブルガリアのソフィアの時間であり、日本より6時間遅いことから、日本時 できたので、7月5日に名義変更を完了した。 8個のアカウントのダッシュボードの最終ログイン時間は、G社の本社があるブルガリアのソフィアの時間であり、日本より6時間遅いことから、日本時間で7月5日に名義変更を完了したことになる。 ケ 7月7日、羽田空港で、Aから4000万円を受け取った。 この時、Aに対し、アカウント10個の詳細が記載された印刷物とBの紹介でAに売った合計18個のアカウントのリストを渡した。 7月8日、Aから、私が渡したリストに書き込みをしたメモが送られてきたが、計算式も含めて意味が分からなかった。 - 39 -私は、Aには確認せず、Cに対してどんな意味があるか尋ねた。 その後、Aから、「アカウントm」に40万コインが入っていると思って購入したのに40万コインが存在しないので、3000万円で購入した分をキャンセルすると言われた。 私はその3000万円分を買い取ることになったが、40万コイン分が約500万円なので、その分を除いた2500万円分のアカウントが私に割り当てられることになった。 私は、Lが上場したら、Aに3000万円を返すものの、取得できるアカウントは2500万円分ということになった。 コ私は、5回目、6回目の取引で、売主であるJに6300万円、Bにコネクション料として3000万円を支払った。7回目の取引では、売主に3800万円、Bにコネクション料として2200万円を支払った。本件取引では、売主に300万円、Bにコネクション料として700万円、追加のコネクション料として1000万円を支払った。本件後の9回目、10回目の取引では、売主に2100万円、Bにコネクション料として、1300万円を支払った。以上の5回目ないし1 として700万円、追加のコネクション料として1000万円を支払った。本件後の9回目、10回目の取引では、売主に2100万円、Bにコネクション料として、1300万円を支払った。以上の5回目ないし10回目の取引で、売主に支払った売買代金とBに支払ったコネクション料の合計額は2億700万円である。 ⑵ 被告人の公判供述の信用性についてア被告人は、本件に関し、7月4日に、Aに対して送信したメッセージについて、「「凄い提案」というのは、7月1日にAに紹介したのは6個のアカウントだったが、Bに紹介されていたコイン数の多い8個のアカウントを紹介できることになり、コイン数が増えたことなどを意味している。 「4000万円で全部手にして良い。」というのは、2個のアカウントを9000万円で購入した際の未受領の2000万円と8個のLアカウントを購入するに当たって追加で必要な2000万円を合わせた金額を支払っ- 40 -てほしいという意味だった。Aには電話で、「追い金2000万円で2450万枚のコインが手にできる。」という説明をした。」などと述べている。 しかし、「凄い提案」との内容のメールの意味を被告人が述べるように解するのは困難であり、そのメールを受けて、Aが「桁が!桁が!」などと驚いている内容のメッセージを送っていることとも整合せず、また、後述のとおり、9000万円全額を払ってDが2つのアカウントを取得するという話自体が不自然なのであって、被告人の供述は信用できない。 イ被告人は、「7月7日、Aに対し、手書きで作成したLアカウント18個のリストを渡した。Aが購入したLアカウントを確認できるように気配りしたことと、私の商談結果を伝えたかったことから、誠意として手書きのリストを作成した。その後、Aから、私のリストにAが書き込 個のリストを渡した。Aが購入したLアカウントを確認できるように気配りしたことと、私の商談結果を伝えたかったことから、誠意として手書きのリストを作成した。その後、Aから、私のリストにAが書き込みをしたものがLINEで送られてきたが、計算式を含めて意味が分からなかった。Aには記載の意味を確認せず、Cに対し、「Aさんが俺の持分はこれ!と書いてあるんだけどわかるか?」というメッセージと共にこのリストを送った。その後、Aから「アカウントmというアカウントに40万コインが入っていると思って購入したのに、コインセーフに4800枚しか入っていない。3000万円分のアカウントの購入をキャンセルするので、その分を買い取って欲しい。」などと言われた。」旨述べている。 しかし、被告人がリストを作成した理由が被告人の供述どおりであるならば、AがLを購入した3月30日以降のものすべてが記載されていないのは不自然であるし、Aが、被告人に具体的に「アカウントm」に関する苦情を言っていないのに、先んじて持分の計算を行って被告人にその結果を共有したというのはあまりに唐突であり、被告人の供述は不合理である。また、被告人は、Aが感情的になっていたので、Aに確認せずにCに確認したというが、Aが感情的になっている様子はみられず、Cもそれを- 41 -受けて「星印ですかね?」などといった、被告人の持分が何かがわかっている前提での受け答えをしており、さらに計算してみれば何らかの内容が判明することが前提となっている返答もしていることが認められる。よって、被告人のこの供述は不自然である。 ウ被告人は、本件取引に関し、7月2日はBに時間がなく、慣れている人でもアカウント1個の名義変更には15分から20分を要するから、アカウントの名義変更まで行う時間がなか 述は不自然である。 ウ被告人は、本件取引に関し、7月2日はBに時間がなく、慣れている人でもアカウント1個の名義変更には15分から20分を要するから、アカウントの名義変更まで行う時間がなかった、本件Lアカウントのページの最終ログイン時に名義変更手続を完了したが、この表示時間はブルガリアのソフィアの時間であるから、日本時間でいうと、表示されている同月4日ではなく、同月5日に名義変更がされていることになるなどと述べている。 しかし、パスワードの変更であれば、それほど時間がかかるものともみられず、実際にその場にいたBも、CがズームやLINEを通じて名義変更を行っていた旨述べている。また、必ずしも最終ログイン時が名義変更手続の完了時であるとは限らないものと考えられるのであって、被告人の供述は信用できない。 エ被告人は、本件の4か月前に作成された他の顧客が、被告人が保有するLを購入することを内容とする「L購入承認書」や、本件から3か月余り後にDと交わしたMにDが出資したことなどを内容とする「覚書」の存在を挙げて、暗号資産を顧客と「共同購入」する場合には、契約書を作成しているなどと述べており、そのような契約書のない本件は共同購入したものではない旨述べる。 しかし、被告人は、Aらに対し、高額な金額でLを売却したとしながら契約書の類は一切作成しておらず、被告人が商取引をした場合に、必ずしも書面を作成していたものとはいえず、被告人が指摘する書面があるからといって共同購入の際には必ず書面を作成していたともいえないのである- 42 -から、共同購入に関する書面がないからといって、Aに共同購入の話を持ち掛けていないとはいえない。 オ被告人は、Bに対し、取引のたびに高額なコネクション料を支払った旨述べて - 42 -から、共同購入に関する書面がないからといって、Aに共同購入の話を持ち掛けていないとはいえない。 オ被告人は、Bに対し、取引のたびに高額なコネクション料を支払った旨述べており、売主からのLの購入価格とAらから受け取った現金の差額はBへのコネクション料であった旨述べている。本件取引に関しては、売主に300万円、Bにコネクション料として700万円、追加のコネクション料として1000万円を支払ったと述べている。他方、Bは、被告人からコネクション料は支払われていない旨述べている。 しかし、本件取引に関しては、OFCのコイン数についての問題が発生し、被告人側が、Bや売主側に対応を求める事態となっていたのに、Bに対して追加してまで高額なコネクション料を支払ったという被告人の供述は不自然さが否めない。コネクション料に関する被告人の供述はにわかに信用し難い。 カ被告人は、7回目の取引について、「Aが二つのアカウントを購入することを希望していたことが分かるLINEのやり取りがある。」として、6月15日午後1時38分と同日午後1時50分のメッセージを挙げているが、「20日の午後に最初の金額が用意できます。」「木曜に次の金額が用意出来れば、どうされますか?」とのメッセージは、Aが2回に分けて被告人に対するアカウント代金の支払をすることを示す事情とはいえても、二つのアカウントを希望するものかは定かでない。よって、このメッセージが、被告人の弁解を裏付けるものであるとまではいえない。 キ被告人は、7回目の取引の9000万円の二つのアカウントについて、Aから依頼されて私の知人を紹介し、知人が2000万円、Aが7000万円それぞれ負担して購入することになったと述べているが、6月27日に、Aに対し、「そこから、100 円の二つのアカウントについて、Aから依頼されて私の知人を紹介し、知人が2000万円、Aが7000万円それぞれ負担して購入することになったと述べているが、6月27日に、Aに対し、「そこから、1000万分の割合の私の分を引いて頂きますと、数字が合います!」などとメッセージを送っており、この内容から- 43 -は、Aと被告人自身が負担していたとみるのが自然であって、被告人の供述は信用できない。 ク被告人は、7回目の取引について、Aと被告人の知人がそれぞれ代金を負担して購入することとなった二つのアカウントについて、Dから、自分が全部買うので、もっといいアカウントを合算で購入させてほしい旨言われ、Dが二つのアカウントと次のアカウントを合算して購入することになったなどと述べる。 しかし、Aは、Dと相談した上で、二つのアカウントの代金9000万円のうちの8000万円を負担することについて了承したのに、その後にDから二つのアカウントを全て購入するとの連絡が入ったというのは不自然である。被告人は、Dが、二つのアカウントと次のアカウントを合算して購入することで単価を安くしてほしいと依頼してきたと述べるが、次のアカウントの販売者が、二つのアカウントの販売者と同じ販売者であるとは限らないのであって、Dが二つアカウントを購入しても必ずしもの次のアカウントの単価が安くなる関係にはないものと思われるのであり、被告人の供述は信用できない。 ケ被告人は、3回目の取引について、「4月25日の東京駅におけるAとの取引において、契約書に不備があったものの、東京駅にコンビニエンスストアがなく、契約書の修正ができなかったので受領証のみをAに渡した。」などと弁解するが、4月25日午後4時54分のCと被告人とのメッセージをみると、被告人がCに ったものの、東京駅にコンビニエンスストアがなく、契約書の修正ができなかったので受領証のみをAに渡した。」などと弁解するが、4月25日午後4時54分のCと被告人とのメッセージをみると、被告人がCに対し、ホテルでも契約書の修正が可能であることを指摘している。 また、その後、同じ日に、Aから被告人に対し、メッセージが送られているが、「お金、大丈夫でしたか?」などの記載はあるものの、契約書については何ら記載がなく、3回目の取引について契約ができていなかったとする被告人の弁解はにわかに信用し難い。 - 44 -コその余の被告人の供述内容を検討しても、被告人の供述は、客観証拠と整合せず不自然不合理な点が多くみられることから、にわかに信用し難い。 ⑶ 弁護人の主張ア本件取引の名義変更について(ア)弁護人は、被告人は、7月2日は、時間がなく、名義変更に必要な時間を確保できず、名義変更を完了することができなかった旨述べているところ、Bとのメッセージの内容から、Bに時間がなかったことは明らかであることなどからすれば、被告人の供述には合理性があると主張する。 しかし、Bは、Cを通じてアカウントの名義変更が行われていた旨述べており、また、パスワードを変更する手続であれば、それほど時間がかかるものとも考えられないことから、被告人の供述に合理性があるものとはいえない。 (イ)また、弁護人は、被告人は、8個のアカウントをD名義に変更したのは、7月5日であると述べているがこれは、8個のアカウントのアカウント情報が確認できるダッシュボードとよばれるWEBサイトの最終ログイン時刻が7月4日午後6時頃から午後8時頃とされているところ、この最終ログイン時刻は、日本時間ではなく、F社のあったブルガ カウント情報が確認できるダッシュボードとよばれるWEBサイトの最終ログイン時刻が7月4日午後6時頃から午後8時頃とされているところ、この最終ログイン時刻は、日本時間ではなく、F社のあったブルガリアの首都のソフィアの時間であって、日本時間にすると7月5日の0時頃から2時頃であって、被告人とCの間のやりとり「アカウントの詳細10個分作成」を含む3つの指示を出し、同日午後11時47分から同月5日午後3時8分にかけて、Cが作業を行っていることと整合するのであり、被告人の供述は信用できると主張する。 しかし、この点は既に述べたように、最終ログイン時が名義変更の完了時であるとは限らないのであり、被告人がCに指示したアカウントの- 45 -詳細の作成との内容も不明であることからすると、これをもって被告人の供述が信用できるとはいえない。 イ 7回目の取引について弁護人は、被告人は、7回目の取引に関し、2個のアカウントについて、Aから第三者の一部代金負担での購入の要望を受け、一旦その内容で合意ができたが、6月27日、Dから被告人に電話があり、Dが今回の2つのアカウントを次のアカウントと合算して購入することなどを述べたこと、Aは、9000万円の用意ができたが、被告人からAに7000万円のみ受領することを伝えたことなどを供述しているところ、これは、6月27日に一旦被告人とAとの間で購入の合意ができた後、同日夜に、被告人、A及びDで電話をしていること、Aから被告人に対し「5920200OFC 6484600OFC (中略)2桁省かれることが有るかもとは知らないでこれを9000万円で買ったと認識しています。」とのメッセージが送られており、アカウント2つについてAが払った金額が9000万円であることが明らかであり、これ 桁省かれることが有るかもとは知らないでこれを9000万円で買ったと認識しています。」とのメッセージが送られており、アカウント2つについてAが払った金額が9000万円であることが明らかであり、これは被告人の供述と整合する旨主張する。 しかし、Aのいう9000万円が自分の購入分なのか、共同購入した全体の金額なのかはこのメッセージからは一義的に読み取れないのであって、これをもって被告人の供述が信用できるものであるとはいえない。 ウ 4000万円の原資について弁護人は、同年7月4日に、D名義の銀行口座に生命保険の解約金3683万6873円の入金があるが、同日の、生命保険の解約と銀行口座への送金が可能な時間帯に、被告人とA、Dとの間で、Aら側で代金の用意が必要となる新たな合意はしていないのであって、これらの入金は、同年6月27日に、被告人とA、Dが電話で会話した結果、Dが、7回目の取引の対象となる2つのアカウントと合算して購入するアカウントのために- 46 -資金を用意したものと考えるのが自然であり、被告人供述と整合すると主張する。 この点は、D供述の信用性の検討部分で既に述べたとおり、被告人が、7月2日に、Aに対して、詳細な内容は伝えていないものの、本件アカウントの取得可能性や金額を伝えていたことが窺われるのであるから、弁護人の主張は採用できない。 エ 3回目の取引及び4回目の取引について弁護人は、被告人は、3回目の取引において、Aから2732万6000円を受け取ったが、契約書の不備やAの意向によりキャンセルとなり、受け取った2732万6000円については、4回目の取引に流用した旨供述しているところ、被告人の供述は以下(ア)ないし(ウ)の点から信用できると主張する。 (ア)4 によりキャンセルとなり、受け取った2732万6000円については、4回目の取引に流用した旨供述しているところ、被告人の供述は以下(ア)ないし(ウ)の点から信用できると主張する。 (ア)4月25日午後4時54分から午後5時21分にかけて、Cがコンビニエンスストアに向かったものの遠く、被告人がホテルでも対応可能なはずだとCにアドバイスしているメッセージがあり、これは契約書に不備があり、被告人がCに契約書を修正するよう指示したという被告人の供述と整合している。 (イ)4月25日午後11時41分、Aは、被告人に対し、「追伸やはり、娘にはやめておきます。今は良くても、姉と、兄弟の争いの原因にならないとも限らないので。」とのメッセージを送っており、これに対し、被告人は「ご令嬢様分は本当に大丈夫でしょうか?後悔だけはしないようにされて下さいませ。」とのメッセージを送っているところ、これはAの意向により契約がキャンセルになったという被告人の供述と整合している。 (ウ)代金の受領証は、4回目の取引については、AとDの手元にその原本が残っているのに、3回目の取引についてはその原本が残っていない- 47 -が、これは、被告人が供述するように、3回目の取引の受領証と4回目の取引の「お預り証」を差し替えたためであると考えるのが自然である。 (ア)については、被告人は、Cに対し、ホテルでも修正可能であると伝えており、また、その後のAとのメッセージのやりとりをみても、契約書の不備や契約が不成立であったことをうかがわせるようなやりとりは見当たらない。(イ)については、このメッセージからは、Aが契約をキャンセルしたのか否かは不明であるし、渡した金員をどうするのかといった点について、何らのやりとりも見当たらない。(ウ)につい とりは見当たらない。(イ)については、このメッセージからは、Aが契約をキャンセルしたのか否かは不明であるし、渡した金員をどうするのかといった点について、何らのやりとりも見当たらない。(ウ)については、3回目の取引の原本が残っていないことから直ちに、被告人の供述のとおりの差し替えがあったものとはいえない。そうすると、弁護人が主張する(ア)ないし(ウ)から直ちに被告人の供述に信用性があるものとするのは相当でない。 オ 5回目の取引において、Aがアカウント2個の購入を希望していたこと弁護人は、被告人は、5回目の取引において、Aが、まず準備できるのは1億円であるから1億円準備すると述べ、アカウント2個の購入を希望していたと供述しているところ、これは、6月15日、Aが被告人に「20日の午後に最初の金額が用意できます。」とのメッセージを送り、その後「木曜に次の金額が用意出来れば、どうされますか?」とのメッセージを送っていることから、Aが5回目の取引においてさらに資金を用意していたことは明らかであり、被告人供述は信用できると主張する。 しかし、このメッセージの内容からは、最初の金額、次の金額が何を指しているのか、2つのアカウントに対応するものなのかが不明であり、被告人の供述が信用できるものであることに直ちに結びつくものではない。 カ 7回目の取引及び本件取引におけるLの単価について- 48 -弁護人は、被告人が8個のうちのアカウントを300万円で購入し、4000万円で売ったとすると、アカウントの単価は約0.1円(300万円÷2540枚)となるが、0.1円という単価はあまりに安く、非現実的であり、そのようなことはあり得ないと主張する。 しかし、被告人が、300万円で本件アカウ の単価は約0.1円(300万円÷2540枚)となるが、0.1円という単価はあまりに安く、非現実的であり、そのようなことはあり得ないと主張する。 しかし、被告人が、300万円で本件アカウントを買ったことは既に認定したとおりであり、Lの買い取りの背景にある状況も様々であることからすると、弁護人の主張は採用できない。 キその余の弁護人の主張を検討しても、被告人の公判供述が信用できるものであるとはいえず、被告人の供述によっても上記5の認定は左右されない。 7 結論以上によれば、被告人が判示の欺罔行為を行って、Aから4000万円の現金を詐取したものと認められ、被告人の行為は詐欺罪に該当する。 (量刑の理由)本件は、被告人が、被害者から、本件Lアカウントの共同購入のための預かり金名目で現金4000万円を詐取した詐欺の事案である。 被告人は、本件前からLアカウントの取引を複数回行っていた被害者から深い信頼を得ていたことを利用して、本件Lアカウントを既に購入して被害者の夫の名義に変更済みであることを秘し、本件Lアカウントを購入するためには、購入代金を大幅に超える4500万円が必要であるが、そのうちの500万円は被告人が負担するとして共同購入をもちかけたものであり、その犯行態様は巧妙で悪質である。 被害額は4000万円と高額であり、結果は重い。被害弁償等の慰謝の措置は講じられておらず、被害者は、被告人に対する厳罰を望んでいる。 被告人は、公判廷において事実を否認し、不合理な弁解をしており、真摯に反省しているものとは認められない。 他方、被告人が公判請求されるのは、今回が初めてであることなど被告人のため- 49 -に酌むことができる事情も認められる。 そこで、以上の諸事情を総合考慮し、主文の刑を定めた。 (求刑・懲役6 他方、被告人が公判請求されるのは、今回が初めてであることなど被告人のため- 49 -に酌むことができる事情も認められる。 そこで、以上の諸事情を総合考慮し、主文の刑を定めた。 (求刑・懲役6年)令和7年3月19日千葉地方裁判所刑事第3部 裁判官野 々 山優子

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