平成23(行ケ)10180 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年3月22日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文36,450 文字)

平成24年3月22日判決言渡 平成23年(行ケ)第10180号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成24年1月31日判決 原告 株式会社巴川製紙所 訴訟代理人弁護士 竹田稔 木村耕太郎 片山英二 服部誠 訴訟代理人弁理士 加藤志麻子 田村恭子 末成幹生 被告 特許庁長官 指定代理人 村田尚英 橋本直明 田部元史 芦葉松美 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 特許庁が訂正2010-390118号事件について平成23年4月26日にした審決を取り消す。 第2 争いのない事実 1 特許庁における審判手続の経緯 原告は,発明の名称を「防眩材料及びそれを用いた偏光フィルム」とする特許第401727 て平成23年4月26日にした審決を取り消す。 第2 争いのない事実 1 特許庁における審判手続の経緯原告は,発明の名称を「防眩材料及びそれを用いた偏光フィルム」とする特許第4017273号(出願日:平成10年12月25日,登録日:平成19年9月28日)に係る特許(以下「本件特許」という。)の特許権者である。 原告は,平成22年11月26日,特許庁に対し,本件特許を訂正することを求めて訂正審判請求(以下「本件審判請求」という。)をした。特許庁は,訂正2010-390118号事件として審理し,平成23年4月26日,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の審決(以下「審決」という。)をし,審決の謄本は,平成23年5月11日,原告に送達された。 2 本件審判請求の内容本件審判請求は,本件特許の明細書(以下「特許明細書」という。甲30)を本件審判請求書(甲31の1)に添付された訂正明細書(以下「本件訂正明細書」という。甲31の2)のとおりに訂正することを求めるものであって,その訂正事項は以下のとおりである(判決注訂正箇所に下線を付した。)。 (1) 訂正事項1「【請求項1】透明基体の片面もしくは両面に,直接或いは他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を有し,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下,かつ,該樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0. 10以下であることを特徴とする防眩材料。」を,- 3 -「【請求項1】透明基体の片面もしくは両面に,直接或いは他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラー 屈折率の差が0. 10以下であることを特徴とする防眩材料。」を,- 3 -「【請求項1】透明基体の片面もしくは両面に,直接或いは他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を有し,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下,かつ,該樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0. 05以下であることを特徴とする防眩材料。」(以下「本件訂正発明1」という。)と訂正する。 (2) 訂正事項2「【請求項2】透明基体の片面に,直接或いは他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層が設けられ,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10. 0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下であり,該透明基体の粗面化層とは反対面に,偏光基体を介して保護材を積層してなる構成を有し,前記樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0. 10以下であることを特徴とする偏光フィルム。」を,「【請求項2】透明基体の片面に,直接或いは他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層が設けられ,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10. 0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下であり,該透明基体の粗面化層とは反対面に,偏光基体を介して保護材を積層してなる構成を有し,前記樹脂マトリックスとフィラーの屈折率 のが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下であり,該透明基体の粗面化層とは反対面に,偏光基体を介して保護材を積層してなる構成を有し,前記樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0. 05以下であることを特徴とする偏光フィルム。」(以下「本件訂正発明2」とい- 4 -う。)と訂正する。 (3) 訂正事項3特許明細書の段落【0006】「本発明の防眩材料は,透明基体の片面もしくは両面に,直接或は他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を有し,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下,該樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0.10以下であることを特徴とする。 また,本発明の偏光フィルムは,透明基体の片面に,直接或は他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層が設けられ,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下であり,該透明基体の粗面化層とは反対面に,偏光基体を介して保護材を積層してなる構成を有し,前記樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0.10以下であることを特徴とする。」を特許明細書の段落【0006】「本発明の防眩材料は,透明基体の片面もしくは両面に,直接或は他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を有し,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60 明基体の片面もしくは両面に,直接或は他の層を介して,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を有し,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下,該樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0.05以下であることを特徴とする。 また,本発明の偏光フィルムは,透明基体の片面に,直接或は他の層を介して,- 5 -少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層が設けられ,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下であり,該透明基体の粗面化層とは反対面に,偏光基体を介して保護材を積層してなる構成を有し,前記樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0.05以下であることを特徴とする。」と訂正する。 3 審決の理由(1) 別紙審決書写しのとおりである。審決は,本件訂正発明1及び2は,いずれも本件特許出願前に頒布された刊行物である特開平10-264284号公報(甲1)に記載された発明(以下「甲1発明」という。),特開平6-18706号公報(甲3)及び特開平10-264322号公報(甲5)に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許出願の際独立して特許を受けることができず,特許法126条5項の規定に適合しないと判断した。 (2) 上記判断に際し,審決が認定した甲1発明の内容,本件訂正発明1と甲1発明との一致点,相違点は,以下のとおりである。 ア甲1発明の内容「透明 条5項の規定に適合しないと判断した。 (2) 上記判断に際し,審決が認定した甲1発明の内容,本件訂正発明1と甲1発明との一致点,相違点は,以下のとおりである。 ア甲1発明の内容「透明基体の片面又は両面に粗面化層を設けた防眩材料であって,HAZE値(JISK7105)が3~30の範囲にあり,前記粗面化層が,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂と架橋アクリル樹脂ビーズとから形成されてなり,前記架橋アクリル樹脂ビーズが,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%以上,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%未満の粒度分布を有する防眩材料,ならびに,前記粗面化層を前記透明基体の片面に設けた第1の保護材を,その非粗面化面が偏光基体に接するように積層し,前記偏光基体の他面に第2の保護材を積層してなる偏光フィルム。」イ一致点- 6 -「透明基体の片面もしくは両面に,直接,少なくとも樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を有し,該フィラーの粒子径Dの粒度分布が,0. 5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,である防眩材料。」という点。 ウ相違点aフィラーの粒子径Dの粒度分布について,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上であるという要件に加えて,本件訂正発明1は,「6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下」としているのに対し,甲1発明は「6.0μmより大きい粒子が20重量%未満」としている点。 エ相違点b樹脂マトリックスとフィラーの屈折率について,本件訂正発明1は,「樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0.05以下」としているのに対し,甲1発明は,樹脂マト している点。 エ相違点b樹脂マトリックスとフィラーの屈折率について,本件訂正発明1は,「樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0.05以下」としているのに対し,甲1発明は,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差に関する規定がない点。 第3 当事者の主張 1 取消事由に係る原告の主張審決には,以下のとおり,(1)相違点aに関する容易想到性判断の誤り(取消事由1),(2)相違点bに関する容易想到性判断の誤り(取消事由2),(3)相違点a及びbに係る構成により生じる相乗効果に関する判断の誤り(取消事由3),(4)本件訂正発明2についての容易想到性判断の誤り(取消事由4)がある。 (1) 相違点aに関する容易想到性判断の誤り(取消事由1)審決は,相違点aに係る構成の容易想到性について,①D>6.0の範囲のものが20重量%未満である範囲においては,相違点aは実質的な相違点ではない(審決書21頁1~3行),②本件訂正明細書には,粒度分布を規定する際の境界値として,10.0μm,あるいは,15.0μmを選択したことによる有利な作用効果や技術的意義について何ら記載されていないから,甲1発明の「粒子径6.0μ- 7 -mより大きい粒子が20重量%未満」の粒度分布の要件に代えて,「6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下」と規定することに格別の創意を見出すことはできない(審決書21頁8~18行),③本件訂正発明1において3つに区分されたそれぞれの粒子径範囲内のフィラーを必須とすべき合理的な根拠も見いだせず,また,本件訂正発明1と甲1発明とでは,解決すべき課題に何ら差異はないから,甲1発明において,解決すべき課題やその他の要求される性能を勘案して,相違点aの事 ーを必須とすべき合理的な根拠も見いだせず,また,本件訂正発明1と甲1発明とでは,解決すべき課題に何ら差異はないから,甲1発明において,解決すべき課題やその他の要求される性能を勘案して,相違点aの事項を得ることは,当業者が容易に想到し得ると判断した(審決書21頁19行~30行)。 しかし,審決の上記判断は,以下のとおり,誤りがある。 ア本件訂正発明1における,フィラーの粒子径の粒度分布の意義について本件訂正発明1におけるフィラーの粒子径の粒度分布の規定は,屈折率差の要件との組み合わせで,本件訂正発明1の解決すべき課題であるギラツキ及びモアレを解消するための発明特定事項として一体的に理解されるべきである。すなわち,本件訂正発明1は,フィラーの粒子径の粒度分布(要件a)と屈折率差の要件(要件b)を組み合わせることによって,課題の解決を図るものであるから,要件aから見れば,要件bとしてどのような値を選択するかによって,好適な値は変化するという関係にある。屈折率差によっては,6.0<D≦10.0μm,および,10<D≦15.0μmの範囲の粒子を含ませるほうが好適である場合もあるし,逆に,屈折率差によっては,これらの粒子を必ずしも含ませなくても課題の解決を図れる場合がある。 審決は,本件訂正発明1におけるフィラーの粒子径Dの粒度分布に係る構成を分断して,その一部についてのみ着目して,D>6.0の範囲のものが20重量%未満である範囲においては,相違点aに係る事項は相違点でないと判断している点で,審決の上記①,②の判断に誤りがある。また,審決は,「(a)本件訂正発明1において3つに区分されたそれぞれの粒子径範囲内のフィラーを必須とすべき合理的な根拠が見いだせない,(b)本件訂正発明1と甲1発明とでは,解決すべき課題に差異が- 8 - ,「(a)本件訂正発明1において3つに区分されたそれぞれの粒子径範囲内のフィラーを必須とすべき合理的な根拠が見いだせない,(b)本件訂正発明1と甲1発明とでは,解決すべき課題に差異が- 8 -ない,という2つの前提に立つと,甲1発明において,解決すべき課題やその他の要求される性能を勘案して,相違点aの事項を得ることは,当業者が容易に想到し得る」と判断したが,上記(a),(b)は誤りであるから,審決の上記③の判断も誤りである。 イ本件訂正発明1の解決課題,作用効果について審決は,「フィラーの粒径Dの粒度分布が,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上という必須要件を課しつつ,それ以外の残部のフィラーの粒子径を如何に配合するかは,解決すべき課題やその他の要求される性能を勘案しつつ,当業者が実験的に適宜選定しうる」(審決書21頁11~14行)と判断する。 しかし,審決の判断は,以下のとおり誤りである。すなわち,本件訂正発明1の解決すべき課題は,下記のとおり,ギラツキに加えてモアレを防止することである。 これに対し,甲1発明においては,上記課題は,何ら認識されていないから,甲1発明から,本件訂正発明1のフィラーの粒子径の粒度分布の構成に到達することはない。甲1発明においては,ギラツキを防止するために,「粒子径0.5~6. 0μmの範囲の粒子が60重量%以上,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%未満」の粒度分布を選択しており,当該選択によって,ギラツキ防止の課題は解決されているのであるから,甲1発明を起点として,本件訂正発明1に至る動機付けはない。 (ア) 本件訂正発明1の解決課題について本件訂正発明1の解決課題は,「ギラツキ」のみならず「モアレ」の解消である。 本件訂正明細書の段落【0002】ないし段 明1に至る動機付けはない。 (ア) 本件訂正発明1の解決課題について本件訂正発明1の解決課題は,「ギラツキ」のみならず「モアレ」の解消である。 本件訂正明細書の段落【0002】ないし段落【0004】には,ディスプレイ表面において「外光の映り込みを防止」するための基礎的技術に関する事項,「ギラツキ」の問題点とその解決策,「UV硬化型樹脂とシリカ顔料」を用いた場合の問題点である凝集(オレンジピール)の発生に基づくギラツキの顕著化の問題点,いわゆるモアレの問題点が記載されている。そして「UV樹脂とシリカからなる粗面化層の表面ではシリカの凸の部分と樹脂の凹の部分で光の干渉が起きやすく,干- 9 -渉縞の発生という問題を有するものであった。」との記載内容は,段落【0003】で説明されている従来技術のように,ディスプレイ表面において凹凸が面全体で均一に形成されている場合には,その凸部と凹部とによる模様(ピッチ)と,画素による模様(ピッチ)が重なり合い,干渉縞(モアレ)が生じるとの問題点を指している。なお,「干渉縞(モアレ)」は,光学的な意味での「光の干渉」による「干渉縞」とは異なる。 また,段落【0025】には,「ギラツキ(モアレ)」についての説明がされているが,内部散乱を大きくするとギラツキの防止に役立つという当業者の技術常識に照らして理解すれば,ここで説明されているのは,「モアレ」であって,「ギラツキ」ではない。 さらに,段落【0052】には,「前記防眩材料10を図3に示されるガラス基板33の上に粗面化層が上になるように重ね,防眩材料をゆっくり時計方向に360回転させる。ギラツキ(モアレ)がある場合,画面上に光のスジが発生するので,このスジの有無や程度を目視により評価した。ギラツキ(モアレ)が全くない場合を○,ギラツキが 材料をゆっくり時計方向に360回転させる。ギラツキ(モアレ)がある場合,画面上に光のスジが発生するので,このスジの有無や程度を目視により評価した。ギラツキ(モアレ)が全くない場合を○,ギラツキがあるものを×とした。」と記載されており,評価方法の条件として防眩材料を回転させていること,及び,光のスジの有無や程度を観察していることに照らすならば,解決課題とされている「ディスプレイの視認性の欠陥」の対象は,「ギラツキ」ではなく「モアレ」である。 甲12,甲17及び甲5の記載によれば,フィラーを含有させた塗工層を設ける粗面化方法を採用した場合に,画素ピッチと防眩フィルムの凹凸ピッチとの双方の規則的配列が要因となって,モアレが発生することは,本件出願時における当業者の技術常識であったといえる。 (イ) 本件訂正発明1の作用効果について本件訂正明細書の段落【0028】には,フィラーの粒度分布に関して,「フィラーの粒子径D(JISB9921)としては15.0μm以下が望ましく,粒度分布としては,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<- 10 -D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,更に,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下である。特に0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが80重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが10重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものは全く含まないことが好ましい。0.5≦D≦6. 0μmの範囲にあるフィラーの重量%が60%未満の場合は,0.5μm未満の粒子が多くなるとディスプレイの防眩効果が悪くなり,逆に15μm以上のものが多くなるとギラツキを生じるおそれがある。また,6.0<D≦10.0μmの範囲にあるフィラーが30重量%以上もしくは,10<D≦15.0 るとディスプレイの防眩効果が悪くなり,逆に15μm以上のものが多くなるとギラツキを生じるおそれがある。また,6.0<D≦10.0μmの範囲にあるフィラーが30重量%以上もしくは,10<D≦15.0μmの範囲にあるフィラーが30重量%以上もしくは10<D≦15.0μmの範囲にあるフィラーが5重量%以上の場合は,ディスプレイの画像にギラツキが発生し易くなる。」と記載されている。 本件訂正明細書の上記のフィラーの粒度分布の記載部分には,「ギラツキ」を解決するための手段のみならず,モアレ発生の防止の手段についての説明がされている。すなわち,本件訂正発明1においては,凹凸ピッチの規則性を壊す観点から,フィラーの粒度分布について,「0.5≦D≦6.0μm」,「6.0<D≦10. 0μm」,「10<D≦15.0μm」の3段階に設定し,粒子径が「0.5≦D≦6.0μm」の範囲にあるものばかりでなく,粒子径が「6.0<D≦10.0μm」,「10<D≦15.0μm」を含めた記載がされている。モアレは,凹凸を緻密化し,かつ凹凸が面全体で均一になるようにしたことに起因して生じる問題であるから,本件訂正発明1は,モアレの発生を防止すべく,凹凸が均一にならないことを作用効果としていると理解できる。 なお,本件訂正明細書には,粒子径が「6.0<D≦10.0μm」,「10<D≦15.0μm」の粒子に関しては,それぞれ含有量を「30重量%未満」,「5重量%以下」としており,これらを含まない場合であってもよいと記載されている。 これは,粒子径「0.5≦D≦6.0μm」のもののみを選択した場合であっても,ある程度粒子径のばらつきがあれば,モアレの原因の1つである,凹凸ピッチの規- 11 -則性を壊すことが可能であるからである。 本件訂正発明1は,ディスプレイの視認 みを選択した場合であっても,ある程度粒子径のばらつきがあれば,モアレの原因の1つである,凹凸ピッチの規- 11 -則性を壊すことが可能であるからである。 本件訂正発明1は,ディスプレイの視認性の問題としてギラツキに加えてモアレを解消すると共に,高コントラストで,耐薬品性,耐摩耗性を有する防眩フィルムを得ることができるという作用効果を奏する。 ウ小括以上のとおり,相違点aに係る構成が容易想到であるとした審決の判断には誤りがある。 (2) 相違点bに関する容易想到性判断の誤り(取消事由2)審決は,相違点bに係る本件訂正発明1の構成について,①本件訂正発明1の解決すべき課題と甲1発明の解決すべき課題とには差異がない,②防眩材料において,透明性の配慮を行うことは当業者が当然に行う事項であるから,甲1発明と,甲3及び甲5に記載された事項を組み合わせることができる,③屈折率差をどのような値とするかは,解決すべき課題やその他の要求される性能を勘案しつつ,当業者が,実験的に,また,甲1等の公知文献に記載された実施例について,当業者の認識できる範囲での追試を行って適宜選定し得ると判断した(審決書21頁32行~23頁30行)。 しかし,審決の上記判断は,以下のとおり,誤りである。 ア甲3記載の技術を適用することについて甲3に記載されている技術的事項は,無機粒子ではないビーズを用いる場合に,電離放射線硬化型樹脂の屈折率とできるだけ近い屈折率である,「屈折率1.40~1.60」を選択することを超えるものではない。また,甲3には,モアレ解消のために,特定の粒度分布を選択した上で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差を0.05以下にすることについては何ら記載されておらず,ギラツキ防止の課題も何ら認識されていない。以上に照らす アレ解消のために,特定の粒度分布を選択した上で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差を0.05以下にすることについては何ら記載されておらず,ギラツキ防止の課題も何ら認識されていない。以上に照らすならば,甲3に記載されている開示内容は,防眩フィルムにおける「防眩性」と「透明性」との両立を図ることができる技術についてであり,防眩フィルムを設けたディスプレイにおける,ギラツキ防止や,- 12 -モアレ解消の観点から,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択するべきかに関する技術についての示唆はない。 イ甲5記載の技術を適用することについて甲5記載の技術は,平均二次粒子径が1.5μm~2μmであると共に平均二次粒子径の標準偏差が0.2~0.7の微粒子及び電離放射線硬化型樹脂からなる硬化被膜層を有することを特徴とするハードコートフィルムに関する技術である(請求項1)。甲5には,「上記微粒子としては,例えば,シリカ,アルミナ,ジルコニア等の無機微粒子の他,電離放射線硬化樹脂の透明性を損なわないように,電離放射線硬化型樹脂の屈折率に近い,例えば,アクリル樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリカーボネート樹脂,PMMA樹脂等のポリマービーズも使用されるが,防眩性や解像性等の点からシリカ粒子が好ましい。」(段落【0006】)との記載はあるものの,どの程度屈折率の近いものを用いるのかについての記載はない。甲5には,従来技術の課題としてギラツキの問題があったと記載されているが(段落【0003】),甲5において,ギラツキを解決する手段は,上記の極めて微細な粒子を用いることであり,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差を調節することにより,ギラツキ防止を図ることについては,記載も示唆もされ 】),甲5において,ギラツキを解決する手段は,上記の極めて微細な粒子を用いることであり,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差を調節することにより,ギラツキ防止を図ることについては,記載も示唆もされていない。さらに,甲5には,モアレ解消のために,特定の粒度分布を選択した上で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差を0.05以下にすることについては何ら記載されていない。以上に照らすならば,甲5記載の技術は,防眩フィルムを設けたディスプレイの視認性に関して,ギラツキ防止や,モアレ解消の観点から,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択すべきかについての示唆を与えるものではない。 ウ小括前記のとおり,本件訂正発明1の解決課題は,ギラツキの防止のみならす,モアレの解消を含む。これに対し,甲1発明は,ディスプレイの視認性の問題として,- 13 -ギラツキの防止のみを目的とするものであり,発明の解決すべき課題において相違する。また,本件訂正発明1は,樹脂マトリックスとフィラーの特許請求の範囲記載の屈折率の差(以下「屈折率差」という。)を必須の構成とすることにより,上記課題の解決を実現している。甲1発明においては,モアレの発生の問題を解決するべく,「樹脂マトリックスとフィラーとの屈折率の差を0.05以下にする」という構成を採用すべき動機付けがなく,甲1発明においては,相違点bに係る本件訂正発明1の構成を組み合わせるべき理由がない。 そして,甲3及び甲5には,ギラツキに加えて,モアレを解消するために,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択するべきか,との点に関しての何らの記載も示唆もないから,甲1に甲3又は甲5を組み合わせたとしても,相違 ,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択するべきか,との点に関しての何らの記載も示唆もないから,甲1に甲3又は甲5を組み合わせたとしても,相違点bに係る本件訂正発明1の構成を容易に想到することはない。 甲1発明においては,ギラツキ解消のために,さらに屈折率差の要件を組み合わるべき動機付けを生じることがなく,また,甲1発明の前提と,甲3,甲5発明の前提の違いからすると,甲3,甲5に記載された技術的事項を,甲1発明に転用できるとすべき理由はないから,甲1と甲3,甲5を組み合わせることにより,相違点bが当業者にとって容易になし得るということはない。 (3) 相違点a及びbに係る構成により生じる相乗効果に関する判断の誤り(取消事由3)審決は,本件訂正明細書において,相違点a及びbによる相乗的作用効果が検証されていないと判断して,本件訂正発明1に進歩性がないとした誤りがある。すなわち,本件訂正明細書によれば,比較例1~3と実施例1,3との対比から,相違点a及びbの双方が関与することによって,本件訂正発明1の効果が得られていることが記載されているから,審決の判断は,前提において,誤りがある。 (4) 本件訂正発明2についての容易想到性判断の誤り(取消事由4)審決は,本件訂正発明2についても,甲1発明,甲3及び甲5に記載された技術- 14 -的事項に基づいて,当業者が容易になし得ると判断した。 しかし,本件訂正発明2についても,甲1発明,甲3及び甲5に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易になし得るものではないことは,前記(1)ないし(3)記載のとおりである。 2 被告の反論(1) 相違点aに関する容易想到性判断の誤り(取消事由1)に対してア本件訂正発 ,当業者が容易になし得るものではないことは,前記(1)ないし(3)記載のとおりである。 2 被告の反論(1) 相違点aに関する容易想到性判断の誤り(取消事由1)に対してア本件訂正発明1における,フィラーの粒子径の粒度分布の意義について原告の主張は,以下のとおり,失当である。すなわち,仮に,原告が主張するように,本件訂正発明1の内容について,「屈折率差によっては6.0<D≦10μm,および,10<D≦15μmの範囲の粒子を含ませるほうが好適である場合もあるし,逆に,屈折率によっては,これらの粒子を必ずしも含ませなくても課題の解決を図れる場合があるということであるから,6.0<D≦10μmの範囲,および,10<D≦15μmの範囲のフィラーに関しては,任意選択的な規定と解釈すべきである」ことを前提とすると,特許発明の技術的範囲を特定することができないから,原告の主張は誤りである。また,本件訂正明細書には,粒度分布と屈折率差をどのように相関させるかについての具体的な指針についての記載はなく,どのような屈折率差の場合に6.0<D≦10μm,および,10<D≦15μmの範囲の粒子を含ませることが好適で,どのような屈折率差の場合にこれらの粒子を含ませなくても良いかについての記載はない。したがって,原告の「粒度分布にかかる規定は,課題を解決すべき要件として一体的に理解すべきものである」という主張は,理由がない。 なお,本件訂正明細書の【0028】には,6.0<D≦10μm,および,10<D≦15μmの範囲の粒子に関して,それらの粒径範囲の粒子が所定重量%以上の場合にはギラツキが発生し易くなる旨の記載があるが,同記載は技術的意義を説明したものではない。本件訂正明細書には,粒度分布を規定する際の粒子径Dの境界値として,10.0μm の粒子が所定重量%以上の場合にはギラツキが発生し易くなる旨の記載があるが,同記載は技術的意義を説明したものではない。本件訂正明細書には,粒度分布を規定する際の粒子径Dの境界値として,10.0μm,あるいは15.0μmを選択したことによる有利な- 15 -技術的意義についての記載はないといえる。 したがって,審決が,粒度分布を規定する粒子径Dの境界値の選択に関して技術的意義がないと判断したことに誤りはない。 また,①所定の条件が与えられていたとしても,材料の変更やその他の様々な要求性能等々を勘案して最適化を図ることにより,更に優れた製品開発を行うことは,当業者が通常行っている事項であり,②甲1発明がギラツキの解消という課題を達成した発明であったとしても,ギラツキの解消を目的としつつ,甲1発明に基づいて,更に実験的に最適化を図ることができるから,相違点aの構成とすることは当業者が容易になし得る。 審決の相違点aに関する判断に誤りはない。 イ本件訂正発明1の解決課題及び作用効果について(ア) 本件訂正発明1の解決課題について「本件訂正明細書の記載からして,本件訂正発明1が解決すべき課題は,『凹凸の間隔が画素ピッチより大きい場合に発生する干渉によるギラツキ』あるいは『干渉による縞状のギラツキパターン』の解消と解するのが相当である」とした審決の認定には,以下のとおり誤りはない。 本件訂正明細書の【0002】~【0005】,【0025】,【0052】に記載によれば,本件訂正発明1が解決すべき課題は,ギラツキの解消であって,そのギラツキは,前記「凹凸の干渉が画素ピッチよりも大きい場合に発生する干渉によるギラツキ」,あるいは,「干渉による縞状のギラツキパターン」であり,原告が主張するような「干渉縞(モアレ)の発生の防止」と解 ラツキは,前記「凹凸の干渉が画素ピッチよりも大きい場合に発生する干渉によるギラツキ」,あるいは,「干渉による縞状のギラツキパターン」であり,原告が主張するような「干渉縞(モアレ)の発生の防止」と解することはできない。 したがって,審決には,原告の主張するような認定の誤りはなく,本件訂正発明1の解決課題についての認定に誤りはない。 (イ) 本件訂正発明1の作用効果について本件訂正明細書には,粒子径Dと屈折率差を関連づけ,その相乗的作用効果が得られる旨の記載はない。本件訂正明細書には,凹凸ピッチの規則性を壊すとともに,- 16 -樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差を調整するという性質の異なる2つの要件を組み合わせることにより,原告の主張に係る「ギラツキに加えてモアレの解消」を有効に図ることができたこと,粒子径のばらつきが小さい場合には当該屈折率差をより厳しく調整する等により相乗的作用効果が得られることに関する記載はない。 (2) 相違点bに関する容易想到性判断の誤り(取消事由2)に対して原告は,本件訂正発明1の解決課題が「ギラツキ防止に加えてモアレ解消」であることを前提として,審決の相違点bに係る構成が容易であるとした審決の判断に誤りがあると主張する。しかし,原告が主張する前提を採用することができないから,原告の主張は,主張自体失当である。 また,甲1には,「本発明における紫外線硬化型樹脂の透明性は高いほど好ましく,光線透過率(JISC-6714)として,透明基体の場合と同様,80%以上,好ましくは90%以上のものが使用される。なお,防眩材料の透明性は,紫外線硬化型樹脂の屈折率にも影響されるが,本発明における紫外線硬化型樹脂の屈折率は,透明基体の屈折率以下であることが好ましい。」と記載されていて,マトリックス樹 される。なお,防眩材料の透明性は,紫外線硬化型樹脂の屈折率にも影響されるが,本発明における紫外線硬化型樹脂の屈折率は,透明基体の屈折率以下であることが好ましい。」と記載されていて,マトリックス樹脂(紫外線硬化型樹脂)の透明性は高いほど好ましいこと,基体を含む防眩材料全体としても透明性が要求されること,当該透明性は隣接する材料間の屈折率に影響される,という技術的事項が記載されているといえるし,前記隣接する材料間での屈折率による透明性への影響は,両材料界面における光の屈折,散乱や反射によって生じるものであって,前記散乱や反射の発生が透明性低下の要因となることは,当業者の技術常識に属する事項である。そうすると,ギラツキを解消しつつ透明性を確保するため,甲3や甲5に記載された屈折率差に関する技術的事項を甲1発明に適用することが充分に動機付けられるというべきであるから,原告の主張は当を得ない。 さらに,本件訂正明細書の記載からは,粒度分布の要件と屈折率差の要件による相乗的作用効果を見いだせず,その2つの要件に格別の関連を見いだすことはでき- 17 -ないから,原告の主張は失当である。 以上のとおり,取消事由2に係る原告の主張はいずれも当を得ないものであり,審決の相違点bに関する判断に誤りはない。 (3) 相違点a及びbに係る構成により生じる相乗効果に関する判断の誤り(取消事由3)に対して原告は,本件訂正発明1が,粒度分布に係る条件と屈折率差に係る条件との組合せによって,原告の主張する「ギラツキに加えて,モアレを解消する」との課題解決を図った発明であると主張する。しかし,本件訂正明細書には,粒度分布に応じて,どのように屈折率差を設定すべきかに関する記載がなく,原告の主張は,主張自体失当である。 したがって,本件訂正明細書には 図った発明であると主張する。しかし,本件訂正明細書には,粒度分布に応じて,どのように屈折率差を設定すべきかに関する記載がなく,原告の主張は,主張自体失当である。 したがって,本件訂正明細書には,粒度分布と屈折率差を関連付けた技術による相乗的作用効果について検証されていないとした審決の判断に誤りはない。 (4) 本件訂正発明2についての容易想到性判断の誤り(取消事由4)に対して原告が本件訂正発明1について主張する取消事由1ないし3が失当であることは,上記のとおりであるから,同様に,本件訂正発明2についての原告の主張も失当である。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,本件訂正発明1,2に係る取消事由は,いずれも理由がないものと判断する。 事案にかんがみ,原告が,前提として主張する,本件訂正発明1に係る解決課題について,先に判断する。 1 本件訂正発明1の解決課題について原告は,本件訂正発明1の主たる解決すべき課題は,ギラツキに加えて,「モアレ」の解消であることを前提として,審決には,取消事由1ないし3に係る誤りがあると主張する。しかし,本件訂正明細書の記載から,ギラツキに加えて,「モアレ」の解消も,本件訂正発明1の解決すべき課題であると認めることはできない。 - 18 -その理由は,以下のとおりである。 (1) 本件訂正明細書の記載本件訂正明細書(甲31の2)には,以下の記載がある。 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は液晶ディスプレイ(LCD),プラズマディスプレイ(PDP),CRT,EL等の画像表示体等に好適に用いられ,特に,画像のギラツキ防止,コントラストの向上等の優れた防眩性を有し,かつ,耐薬品性,耐磨耗性に優れた防眩材料及びそれを使用した偏光フィルムに関するものである。 ・・・・ 表示体等に好適に用いられ,特に,画像のギラツキ防止,コントラストの向上等の優れた防眩性を有し,かつ,耐薬品性,耐磨耗性に優れた防眩材料及びそれを使用した偏光フィルムに関するものである。 ・・・・・・【0003】ところで,表面に凹凸を形成したディスプレイ表面は,ディスプレイの高精細化,高画質化に伴い,上記粗面化層の凹凸ピッチとの関係で画像がぎらつくという問題を有する。このディスプレイの高精細化は,画素の高集積化によるが,前記凹凸の間隔がこの画素ピッチより大きい場合,干渉によるギラツキを発生させる。ギラツキを防止するためには,上記粗面化層の凹凸の高さや間隔を緻密化し,更に,凹凸が面全体で均一になるようにコントロールしなければならない。このような均一な粗面化層を形成するためには,前記の粗面化の方法のうちフィラーを含有させた塗工層を設ける方法に着目して,該フィラーの粒径及び含有量をコントロールする方法が提案されている。かかる塗工剤に使用する樹脂としては,透過性,耐熱性,耐磨耗性,耐薬品性等に優れたものが望ましいが,基材が耐熱性に乏しい高透明なプラスチックフィルムである場合が多いことから,樹脂としてはUV硬化型樹脂が好んで使用されている。その例として,UV硬化型樹脂とシリカ顔料を構成要素とする特開平1-105738号や特開平5-162261号などが報告されている。 【0004】しかしながら,UV硬化型樹脂とシリカ顔料からなる粗面化層は,塗料を基材に塗布してからUVを照射するまでの間,低粘度の液状態を呈しているため,粗面化層中のフィラー同士がくっつき合い,凝集(オレンジピール)するという問題を有していた。粗面化層表面の凹凸を緻密化するようフィラーの含有量を増加させたり,粗面化層の厚さをコントロールするために粗面化層の塗料を溶剤等で希釈する つき合い,凝集(オレンジピール)するという問題を有していた。粗面化層表面の凹凸を緻密化するようフィラーの含有量を増加させたり,粗面化層の厚さをコントロールするために粗面化層の塗料を溶剤等で希釈する場合,特に顕著で,ディスプレイの高精細化と相まって,ギラツキも著しいものとなっていた。しかも,UV樹脂とシリカからなる粗面- 19 -化層の表面ではシリカの凸の部分と樹脂の凹の部分で光の干渉が起きやすく,干渉縞の発生という問題を有するものであった。更に,携帯端末用ディスプレイとしては,軽量,コンパクト,汎用性等の特徴を有するLCDが市場を独占するものと考えられているが,これらの携帯端末にはタッチパネルを搭載し,プラスチックのペンや指で直接触れ操作するものが主流となってきている。そのため,上述の反射防止性に加えてディスプレイ表面への耐磨耗性,耐薬品性に対する要求が高まっている。 【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は,従来技術における上記した実情に鑑みてなされたもので,即ち,本発明の目的はディスプレイへの太陽光及び蛍光灯等の外部光の映り込みを防止した,優れた反射防止性や画像コントラストを低下させることなく,ギラツキ等のない鮮明な画像を得ることができる優れた防眩性を有し,かつ,優れた耐磨耗性,耐薬品性を示す,ディスプレイ,特に,フルカラー液晶ディスプレイに好適な防眩材料を提供することにある。また,本発明の他の目的は,上記防眩材料を使用した偏光フィルムを提供することにある。 ・・・・・・【0025】本発明においては上記の樹脂マトリックス中にかかる樹脂マトリックスと屈折率の差が小さいフィラーを含有させることで,表面を粗面化し,優れた防眩効果を持たせることができる。すなわちフィラーの屈折率と樹脂マトリックの屈折率は,どちらが大 ックス中にかかる樹脂マトリックスと屈折率の差が小さいフィラーを含有させることで,表面を粗面化し,優れた防眩効果を持たせることができる。すなわちフィラーの屈折率と樹脂マトリックの屈折率は,どちらが大きくても良いが近いほど望ましい。そして,フィラーと透明マトリックスとの屈折率の差は0.10以下であることが必要であり,好ましくは0.05以下が良い。屈折率の差が0. 10を越える場合は,内部散乱が大きくなり,透明性が損なわれ,ギラツキ(モアレ)も非常に目立ってくる。 樹脂マトリックスとフィラーの屈折率は,上記の如くその差が0.10以下であれば特に限定されるものではないが,樹脂マトリックス及びフィラーの屈折率としては,1.40~1.60のものが透明基体の屈折率との関係から,防眩性,反射防止性等の光学特性上好ましく,特にこれら材料の屈折率が1.45~1.53の範囲のものが光学特性に優れており好適である。なお,樹脂マトリックス及びフィラーの屈折率はJISK-7142により測定される。 ・・・・・・【0028】- 20 -また,フィラーの粒径及び粒度分布は,粗面化層表面の凹凸を緻密にコントロールする上で重要である。フィラーの粒子径D(JISB9921)としては15.0μm以下が望ましく,粒度分布としては,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,更に,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下である。特に0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが80重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが10重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものは全く含まないことが好ましい。0.5≦D≦6.0μmの範囲にあるフィラーの重量%が60%未満の場合は,0.5μm未満の粒子が多くなるとディ のものが10重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものは全く含まないことが好ましい。0.5≦D≦6.0μmの範囲にあるフィラーの重量%が60%未満の場合は,0.5μm未満の粒子が多くなるとディスプレイの防眩効果が悪くなり,逆に15μm以上のものが多くなるとギラツキを生じるおそれがある。また,6.0<D≦10.0μmの範囲にあるフィラーが30重量%以上もしくは,10<D≦15.0μmの範囲にあるフィラーが30重量%以上もしくは10<D≦15.0μmの範囲にあるフィラーが5重量%以上の場合は,ディスプレイの画像にギラツキが発生し易くなる。フィラーの配合量については,粗面化層における全固形分比で,0.5~30重量%の範囲が良い。特に1~15重量%の範囲が好ましい。配合量が0.5重量%未満では,防眩効果が不十分となり,30重量%を超えると,耐磨耗性や耐環境性等の耐久性が悪くなる。 ・・・・・・【0030】本発明においては,粗面化層中のフィラーの粒径及び粒度分布と,粗面化層の厚さなどの形成条件をコントロールすることで,粗面化層のより優れた光学特性が得られる表面形態とすることが可能である。粗面化層の厚さとしては,0.5~10μmの範囲が,好ましくは1~5μmの範囲が良い。粗面化層が0.5μmより薄い場合は,粗面化層の耐磨耗性が悪くなったり,紫外線硬化型樹脂を使用した場合など,酸素阻害により,硬化不良を起こす。10μより厚い場合は樹脂の硬化収縮により,カールが発生したり,粗面化層にマイクロクラックが発生したり,更に,透明基材との密着性が低下したりする。粗面化層の表面粗さ(JISB0601)は,Ra(中心線平均粗さ)0.03≦Ra≦0.30,2≦Sm≦50(凹凸の平均間隔)の範囲にあることが望ましい。Ra及びSmがこの範囲を外れると,防眩性が 。粗面化層の表面粗さ(JISB0601)は,Ra(中心線平均粗さ)0.03≦Ra≦0.30,2≦Sm≦50(凹凸の平均間隔)の範囲にあることが望ましい。Ra及びSmがこの範囲を外れると,防眩性が悪くなったり,画像のギラツキが発生し易くなる。 ・・・・・・【0051】- 21 -実施例1~3,比較例1~3で得られた防眩材料10を用い,防眩性,画像ギラツキ,耐磨耗性,耐薬品性,画像コントラストについて評価した。 なお,画像コントラストに関しては,前記防眩材料10を用い,図2に示される構成の偏光フィルム20を作製し,該偏光フィルム20を図3に示されるようにガラス基盤33に貼り付け,液晶表示体30を得た。尚,液晶表示体30の画像サイズは例えば10.4インチとし,解像度は例えば800ドット×600ドットとして評価した。 なお,評価方法は下記のとおりである。 <防眩性>スガ試験機(株)社製の写像性測定器ICM-1DP(JISK7105)を使用,透過モードで,光学くし幅2mmで測定した。測定値が小さいほど防眩性が高い。ここでは,50%未満を○,50%以上,70%未満を△,70以上を×として評価した。 【0052】<画像ギラツキ>前記防眩材料10を図3に示されるガラス基板33の上に粗面化層が上になるように重ね,防眩材料をゆっくり時計方向に360回転させる。ギラツキ(モアレ)がある場合,画面上に光のスジが発生するので,このスジの有無や程度を目視により評価した。ギラツキ(モアレ)が全くない場合を○,ギラツキがあるものを×とした。 <耐磨耗性>日本スチールウール性のスチールウール#0000を板紙耐摩耗試験機(熊谷理機工業社製)に取り付け,防眩材料の粗面化層面を荷重200g/cm2 にて50回往復させる。その後,その部 <耐磨耗性>日本スチールウール性のスチールウール#0000を板紙耐摩耗試験機(熊谷理機工業社製)に取り付け,防眩材料の粗面化層面を荷重200g/cm2 にて50回往復させる。その後,その部分のHAZE値を東洋精機製HAZEメーターで測定し,HAZE値変化δHを求めた。耐磨耗性は下記計算に基づくδHが1以下で良好で,5を越えると傷が多くなり,実用上問題となる。HAZE値の測定は反射防止材料単体で行った。 HAZE値変化δH=試験後のHAZE値-試験前のHAZE値・・・・・・【0054】以上の評価結果を表1に示す。 - 22 -【表1】【0055】表1の結果から明らかなように本発明の防眩材料はいずれも良好な特性が得られたのに対し,粗面化層の樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が大きい比較例はいずれも画像のギラツキの問題を有するものであった。 【0056】- 23 -【発明の効果】本発明の防眩材料は透明基体の片面もしくは両面に,直接或は他の層を介して,樹脂マトリックス中にフィラーが分散されてなる粗面化層を設けた構成において,前記樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差が0. 10以下であることから,CRTやLCD等の画像表示体,特に高精細な画像表示体へ適用した場合は,ギラツキがなく,高コントラストで,かつ鮮明な画像を得ることが可能となる。 更に,該粗面化層に紫外線,電子線及び/または熱で硬化する樹脂を,それに特定の粒度分布を有するフィラーを選択することで,優れた耐薬品性,耐磨耗性,防眩性を発現することができる。本発明の防眩材料を使用した偏光フィルムは,優れた防眩性を有し,ギラツキがなく,良好な画像コントラストを得ることができることから,液晶パネル等の画像表示体として有用である。更に,また,粗面化層上に 。本発明の防眩材料を使用した偏光フィルムは,優れた防眩性を有し,ギラツキがなく,良好な画像コントラストを得ることができることから,液晶パネル等の画像表示体として有用である。更に,また,粗面化層上に反射防止膜を設けることにより,ディスプレイの画質を一層向上させることができる。 (2) 判断ア本件訂正明細書の段落【0003】,【0004】によれば,本件訂正発明1における画像のギラツキの原因は,粗面化層の凹凸の間隔が画素ピッチより大きいことによる干渉,又は,フィラーの凝集(オレンジピール)である旨が記載されている。他方,モアレの原因については,本件訂正明細書には何ら記載されていない。甲11によれば,モアレとは,「格子,スクリーンや規則的間隔のものなど,一般に類似した周期的パタンの重なりにより生じる干渉で現れる縞状の模様の総称」であることに照らすならば,「ギラツキ」と「モアレ」は,異なる原因によって発生する,異なる現象であると認められる。 また,本件訂正明細書における「ギラツキ」及び「モアレ」の語がどのように使用されているかをみると,「ギラツキ」の語は,「ぎらつく」も含めて,合計15箇所,単独で使用されている(【0001】,【0003】,【0004】,【0005】,【0028】,【0030】,【0051】,【0052】,【0054】の【表1】,【0055】,【0056】)。これに対して,「モアレ」の語が単独で用いられている例はなく,わずかに「ギラツキ(モアレ)」が3箇所用いられるにとどまる(【0025】,【0052】)。 - 24 -そして,本件訂正明細書における防眩材料の評価をみると,段落【0052】の冒頭に「<画像ギラツキ>」と記載され,評価の対象が,画像ギラツキであることは明らかであり,これに続いて,「ギラツキ(モアレ そして,本件訂正明細書における防眩材料の評価をみると,段落【0052】の冒頭に「<画像ギラツキ>」と記載され,評価の対象が,画像ギラツキであることは明らかであり,これに続いて,「ギラツキ(モアレ)がある場合,画面上に光のスジが発生するので,このスジの有無や程度を目視により評価した。ギラツキ(モアレ)が全くない場合を○,ギラツキがあるものを×とした。」と記載されていることに照らすと,「モアレ」をギラツキと別個に評価していると解することはできない。 また,本件訂正明細書には,「類似した周期的パタン」や「類似した周期的パタンの重なりにより生じる干渉で現れる縞状の模様」については,何らの記載もない。 以上によれば,本件訂正明細書の段落【0025】,段落【0052】に記載されている「ギラツキ(モアレ)」は,「モアレ」を指すものと理解することはできず,本件訂正発明1は,解決課題の対象が「ギラツキ」のみならず「モアレ」であるとはいえず,また,本件訂正発明1により,「モアレの解消」との課題が解決したと理解することもできない。 イこれに対して,原告は,以下のとおり主張する。しかし,原告の主張は,いずれも,失当である。 まず,原告は,段落【0004】では,「画素による模様(ピッチ)」との関係で干渉縞(モアレ)が生じると明記されてはいないものの,モアレが一般に類似した周期的パタンの重なりにより生じる干渉で現れる縞状の模様であること,防眩層と液晶表示装置との関係でモアレ縞が発生することは,当業者の技術常識であり,また,「スジ」として表現でき,回転によって変化するディスプレイの視認性の欠陥は「モアレ」しかないから,「干渉縞の発生という問題」とは,「ギラツキ」とは異なる「モアレ」の問題を意味するなどと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のと って変化するディスプレイの視認性の欠陥は「モアレ」しかないから,「干渉縞の発生という問題」とは,「ギラツキ」とは異なる「モアレ」の問題を意味するなどと主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。すなわち,本件訂正明細書(甲31の2)の段落【0004】には,「しかも,UV樹脂とシリカからなる粗面化層の表面ではシリカの凸の部分と樹脂の凹の部分で光の干渉が起きやすく,干渉縞- 25 -の発生という問題を有するものであった。」と記載されており,ここでの「干渉縞」は,文字どおりシリカの凸の部分と樹脂の凹の部分での光の干渉によって発生するものと解され,この記載からは,シリカの凸の部分と樹脂の凹の部分とによって規則正しい模様が形成されることや,この規則正しい模様(ピッチ)と,画素による模様(ピッチ)が重なり合うことによってモアレ縞が発生することは読み取ることはできない。したがって,本件訂正明細書の段落【0004】記載の「シリカの凸の部分と樹脂の凹の部分」によって生じる干渉縞が,モアレを意味するとの原告の主張は,採用の限りでない。 また,原告は,フィラー等の微粒子を含有させた粗面化層中のフィラーはローラ塗工によって規則配列するものであり,液晶表示装置に用いる防眩層の作製において,このような塗工法が用いられることも,甲17及び甲5(【0010】)等に記載されているとおりであるから,これらの記載からすれば,フィラーを含有させた塗工層を設ける粗面化方法を採用した場合に,画素ピッチと防眩フィルムの凹凸ピッチとの双方の規則的配列が要因となって,モアレが発生することは,本件出願時における当業者の技術常識であったといえると主張する。 しかし,原告の上記主張も失当である。すなわち,甲17に記載されている塗工方法は,いずれもローラ塗工法である アレが発生することは,本件出願時における当業者の技術常識であったといえると主張する。 しかし,原告の上記主張も失当である。すなわち,甲17に記載されている塗工方法は,いずれもローラ塗工法であると認められ,粗面化層の形成方法としては,本件訂正明細書(甲31の2)の段落【0029】に,「本発明の粗面化層を形成する方法としては,・・・エアドクターコーティング,ブレードコーティング,ナイフコーティング,リバースコーティング,トランスファロールコーティング,グラビアロールコーティング,キスコーティング,キャストコーティング,スプレーコーティング,スロットオリフィスコーティング,カレンダーコーティング,電着コーティング,ディップコーティング,ダイコーティング等のコーティングや,フレキソ印刷等の凸版印刷,ダイレクトグラビア印刷,オフセットグラビア印刷等の凹版印刷,オフセット印刷等の平版印刷,スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷により透明基材の片面もしくは両面上に,直接或いは他の層を介し,単層もしくは多- 26 -層に分けて設け・・・」と記載されているように,ローラ塗工法のみならず,様々な塗工方法が知られており,甲17及び甲5(【0010】)等の記載からは,これら任意の塗工方法によって粗面化層中のフィラーが規則配列するとはいえない。 そうすると,任意の塗工方法によって形成された粗面化層中のフィラーが規則配列することが技術常識であるとはいえない。 したがって,原告の上記主張も採用の限りでない。 (3) 小括以上によれば,本件訂正発明1の解決すべき課題が,ギラツキに加えて「モアレ」の解消であるということはできない。したがって,この点についての原告の主張には理由がなく,本件訂正発明1の解決すべき課題がギラツキに加えて「モアレ」の解消であること 題が,ギラツキに加えて「モアレ」の解消であるということはできない。したがって,この点についての原告の主張には理由がなく,本件訂正発明1の解決すべき課題がギラツキに加えて「モアレ」の解消であることを根拠とする原告の主張は,いずれも理由がない。 2 相違点aに関する容易想到性判断の誤り(取消事由1)について(1) 甲1の記載内容甲1には以下の記載がある。 【請求項1】 透明基体の片面又は両面に粗面化層を設けた防眩材料において,HAZE値(JISK7105)が3~30の範囲にあり,前記粗面化層が,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂と架橋アクリル樹脂ビーズとから形成されてなり,前記架橋アクリル樹脂ビーズが,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%以上,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%未満の粒度分布を有することを特徴とする防眩材料。 ・・・・・・【請求項5】 偏光基体の一面に,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂と,架橋アクリル樹脂ビーズとから形成された粗面化層を透明基体の片面に設けた第1の保護材を,その非粗面化面が偏光基体に接するように積層し,偏光基体の他面に第2の保護材を積層してなり,前記架橋アクリル樹脂ビーズが,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%以上,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%未満の粒度分布を有し,かつ第1の保護材のHAZE値(JISK7105)が3~30の範囲にあることを特徴とする偏光フィルム。 - 27 -・・・・・・【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,LCD(LiquidCrystalDisplay)およびCRT(Cathode-RayTube)等の画像表示体等に好適 7 -・・・・・・【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,LCD(LiquidCrystalDisplay)およびCRT(Cathode-RayTube)等の画像表示体等に好適に用いられ,特に,画像部の防眩,耐薬品性,耐磨耗性,更に,指紋等による耐汚染性に優れた防眩材料及びそれを使用した偏光フィルムに関するものである。 ・・・・・・【0005】防眩性に関しては,従来,この種の防眩を実現するために,磨きガラスのように,光を散乱または拡散させて像をぼかす手法が一般的に行われている。通常,光を散乱または拡散させるためには,光の入射する基体面を粗面化させることが基本となっており,粗面化処理としては,サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接粗面化する方法,基体表面にフィラーを含有させた塗工層を設ける方法,および基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等が採用されている。 【0006】【発明が解決しようとする課題】ディスプレイの解像度が向上するに伴い,粗面の凹凸の高さや間隔にも緻密化が要求されるようになってきた。画像の高精細化は,主に画像ドットの高密度化により達成されるが,上記凹凸の間隔が画像ドットのピッチより小さい場合には問題は生じないが,大きい場合には干渉によるギラツキが発生するという問題がある。防眩性が良好であり,ギラツキのない鮮明な画像を得るためには,上記凹凸の高さ及び間隔を小さくすると共に,バラツキがないようにコントロールしなければならない。 【0007】現在,基体表面にフィラーを含有させた塗工層を設ける方法は,フィラーの粒径により粗面の凹凸の大きさを比較的容易にコントロールできること,及び製造が容易であること等の利点があることから,好適に用いられている。塗工剤に使用する樹脂としては,透過性,耐熱性, は,フィラーの粒径により粗面の凹凸の大きさを比較的容易にコントロールできること,及び製造が容易であること等の利点があることから,好適に用いられている。塗工剤に使用する樹脂としては,透過性,耐熱性,耐磨耗性,耐薬品性等の諸性質に優れてたものが望ましいが,基体として耐熱性に乏しい高透明なプラスチックフィルムを用いる場合が多いため,紫外線硬化型樹脂が好んで使用されている。その例として,紫外線硬化型樹脂及びシリカ顔料を用いる方法が,特開平1-105738号公報および特開平5-162261号公報等に提案されている。 【0008】しかしながら,上記公報等に提案されている紫外線硬化型樹脂とシリカ顔料からなる粗面化層において,シリカ顔料の分散性は必ずしも十分とはいえない上に,紫外線硬化を行うまでの塗工層は,低粘度の液状態を呈しているため,塗布液を基体に塗布してから紫外線を照射するまでの間に,塗工層中のフィラーが- 28 -お互いにくっつき,凝集(オレンジピール)するという問題を有していた。特に,塗工層表面に凹凸を緻密化させる目的でフィラーの含有量を増加させたり,フィラーを塗工層面から突出させる目的で溶剤等を用いて希釈する場合には,この現象が特に顕著であった。 【0009】また,これらの提案は,顔料として給油性が高いシリカ顔料を使用していることから,粗面化層は指紋等の油分を吸収しやすいために,汚れやすいという欠点を有していた。更に,この汚れはアルコール等の溶媒を染み込ませた布で拭いても取れにくい上に,拭き取った部分に布の繊維が付着したり,顔料が削れたりして,白くなるため,ディスプレイ用途では画像のコントラストが低下するという問題も有していた。 【0010】本発明は,従来技術における上記した実情に鑑みてなれたものである。すなわち,本発明の目的は,ディスプレイ るため,ディスプレイ用途では画像のコントラストが低下するという問題も有していた。 【0010】本発明は,従来技術における上記した実情に鑑みてなれたものである。すなわち,本発明の目的は,ディスプレイへの太陽光及び蛍光灯等の外部光の映り込みを防止することにより,優れた防眩特性を発揮し,かつ,ギラツキ等のない鮮明な画像及び高精細画像を得ることができ,更に優れた耐磨耗性,耐薬品性,耐汚染性を示す,ディスプレイ,特に,フルカラー液晶ディスプレイに好適な防眩材料を提供することにある。 また,本発明の他の目的は,上記防眩材料を使用した良好な防眩性を有する偏光フィルムを提供することにある。 【0011】【課題を解決するための手段】本発明の防眩材料は,透明基体の片面又は両面に粗面化層を設けた防眩材料において,HAZE値(JISK7105)が3~30の範囲にあり,前記粗面化層が,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂と架橋アクリル樹脂ビーズとから形成されてなり,前記架橋アクリル樹脂ビーズが,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%以上,粒子径6. 0μmより大きい粒子が20重量%未満の粒度分布を有することを特徴とする。 ・・・・・・【0024】また,本発明における紫外線硬化型樹脂の透明性は高いほど好ましく,光線透過率(JISC-6714)として,透明基体の場合と同様,80%以上,好ましくは90%以上のものが使用される。なお,防眩材料の透明性は,紫外線硬化型樹脂の屈折率にも影響されるが,本発明における紫外線硬化型樹脂の屈折率は,透明基体の屈折率以下であることが好ましい。 ・・・・・・【0026】本発明において使用する架橋アクリル樹脂ビーズは,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が- 29 -60重量%以上 折率は,透明基体の屈折率以下であることが好ましい。 ・・・・・・【0026】本発明において使用する架橋アクリル樹脂ビーズは,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が- 29 -60重量%以上,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%未満の粒度分布を有することが必要である。 特に,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が80重量%以上で,6.0μmより大きい粒子が10重量%未満の粒度分布を有するものが好ましい。粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%未満であったり,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%以上である場合には,ディスプレイのギラツキが発生する。 また,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%未満で,かつ,粒子径6.0μmを越える粒子が20重量%未満である場合には,ギラツキが発生すると共に,ディスプレイの防眩性が悪くなる。 ・・・・・・【0041】【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明する。なお,「部」は,すべて「重量部」を意味する。 実施例1まず,架橋アクリル樹脂ビーズとトルエンの混合物をサンドミルにて30分間分散することによって得られた下記配合の分散液と,下記配合からなるベース塗料をディスパーにて15分間撹拌,混合して塗布液を得た。 この塗布液を,膜厚80μm,透過率92%のトリアセチルセルロースからなる透明基体の片面上に,リバースコーティング方式によって塗布し,100℃で2分間乾燥した後,120W/cm集光型高圧水銀灯1灯を用いて,照射距離(ランプ中心から塗工面間での距離)10cm,処理速度(塗工面基体側の紫外線ランプに対する速度)5m/分で紫外線照射を行い,塗工膜を硬化させた。それにより,厚さ2.5μmの粗面化層を有するHAZE値16.5の防眩材料を得た。 【0042】[分散液の配合 基体側の紫外線ランプに対する速度)5m/分で紫外線照射を行い,塗工膜を硬化させた。それにより,厚さ2.5μmの粗面化層を有するHAZE値16.5の防眩材料を得た。 【0042】[分散液の配合]・架橋アクリル樹脂ビーズ 9部(商品名:MX150(架橋ポリメチルメタクリレート),粒子径1.5±0.5μm,綜研化学社製,粒子径0.5~6.0μmの範囲が99重量%,粒子径6.0μmより大きいものが1重量%未満)・トルエン 210部[ベース塗料の配合]- 30 -・アクリル系化合物 45部(ジペンタエリスリトールトリアクリレート)・エポキシ系化合物 45部(商品名:セロキサイト2021,ダイセル化学工業社製)・光カチオン重合開始剤 2部【化3】 ・イソプロピルアルコール 5部【0043】実施例2粗面化層を下記の分散液およびベース塗料を用いて形成した以外は,実施例1と同様にして,厚さ3.6μmの粗面化層を有するHAZE値22.0の防眩材料を得た。 [分散液の配合]・架橋アクリル樹脂ビーズ 14部(商品名:MX300(架橋ポリメチルメタクリレート),粒子径3.0±0.5μm,綜研化学社製,粒子径0.5~6.0μmの範囲が99重量%,粒子径6.0μmより大きいものが1重量%未満)・トルエン 205部[ベース塗料の配合]・アク 子径0.5~6.0μmの範囲が99重量%,粒子径6.0μmより大きいものが1重量%未満)・トルエン 205部[ベース塗料の配合]・アクリル系化合物 45部(トリペンタエリスリトールポリアクリレート)・エポキシ系化合物 45部(商品名:サイラキュアUVR-6110,ユニオンカーバイド社製)- 31 -・光カチオン重合開始剤 2部(商品名:サイラキュアUVI-6990,ユニオンカーバイド社製)・イソプロピルアルコール 5部・・・・・・【0058】【発明の効果】本発明の防眩材料は,透明基体の片面または両面に,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合剤を含む紫外線(UV)硬化型樹脂と,所定の粒度分布を有する架橋アクリル樹脂ビーズとから形成された粗面化層を設けた層構成を有し,所定のHAZE値を有するから,良好な防眩性を示すと共に,CRTやLCD等の画像表示体に用いた場合,ギラツキがなく,鮮明で高精細な画像コントラストを発現することができる。また,本発明の防眩材料を使用して作製された偏光フィルムは,良好な防眩性を有し,ギラツキのない,優れた画像コントラストを示し,したがって,液晶パネル等の画像表示体として有用なものである。 (2) 判断ア上記甲1の記載によれば,甲1発明は,画像表示体等に好適に用いられる防眩材料及びそれを使用した偏光フィルムに関するものであること(段落【0001】),従来,画像の高精細化は,主に画像ドットの高密度化により達成されるが,光の入射する基体面の粗面の凹凸の間隔が画像ド 防眩材料及びそれを使用した偏光フィルムに関するものであること(段落【0001】),従来,画像の高精細化は,主に画像ドットの高密度化により達成されるが,光の入射する基体面の粗面の凹凸の間隔が画像ドットのピッチより大きい場合には干渉によるギラツキが発生するという問題があり(段落【0005】~【0006】),また,紫外線硬化型樹脂とシリカ顔料からなる粗面化層において,シリカ顔料の分散性は必ずしも十分とはいえない上に,紫外線硬化を行うまでの塗工層は,低粘度の液状態を呈しているため,塗布液を基体に塗布してから紫外線を照射するまでの間に,塗工層中のフィラーがお互いにくっつき,凝集(オレンジピール)するという問題を有している(段落【0008】)ことに加えて,顔料として給油性が高いシリカ顔料を使用していることから,粗面化層は指紋等の油分を吸収しやすいために,汚れやすいという欠点を有しており,更に,この汚れはアルコール等の溶媒を染み込ませた布で拭いても取れにくい上に,拭き取った部分に布の繊維が付着したり,顔料が削れたりして,白くなるため,ディスプレイ用途では画像のコントラス- 32 -トが低下するという問題も有していたこと(段落【0009】),そこで,甲1発明では,ディスプレイへの太陽光,蛍光灯等の外部光の映り込みを防止することにより,優れた防眩特性を発揮し,かつ,ギラツキ等のない鮮明な画像及び高精細画像を得ることができ,更に優れた耐磨耗性,耐薬品性,耐汚染性を示す,ディスプレイに好適な防眩材料及びそれを使用した良好な防眩性を有する偏光フィルムを提供することを目的とし(段落【0010】),粗面化層を設けた防眩材料として,HAZE値(JISK7105)が3~30の範囲とし,前記粗面化層を,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含む紫 とを目的とし(段落【0010】),粗面化層を設けた防眩材料として,HAZE値(JISK7105)が3~30の範囲とし,前記粗面化層を,少なくともエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含む紫外線硬化型樹脂と架橋アクリル樹脂ビーズとから形成し,前記架橋アクリル樹脂ビーズを,粒子径0. 5~6.0μmの範囲の粒子が60重量%以上,粒子径6.0μmより大きい粒子が20重量%未満の粒度分布とすることによって(請求項1),良好な防眩性を示すと共に,ギラツキがなく,鮮明で高精細な画像コントラストを発現するという効果が得られるものであること(段落【0058】)が認められる。 他方,本件訂正発明1の特許請求の範囲には,フィラーの粒子径Dの粒度分布について,「0.5≦D≦6.0μmの範囲のものが60重量%以上,6.0<D≦10.0μmの範囲のものが30重量%未満,10<D≦15.0μmの範囲のものが5重量%以下」と記載されている。 特許請求の範囲の上記記載によれば,本件訂正発明1のフィラーの粒子径Dの粒度分布は,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものを60重量%以上含むことを必須の構成とするが,6.0<D≦10.0μm及び10<D≦15.0μmの範囲については,0重量%が排除されていない以上,その含有割合(重量%)は,上限のみを規定したものであり,下限は,何らの規定もされていないと解すべきである。なお,本件訂正明細書(甲31の2)の実施例2においても,粒子径「0.5≦D≦6. 0μm」のフィラーのみ(100%)の例が示されている。 本件訂正発明1のフィラーの粒子径Dの粒度分布は,上記のとおり,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものを60重量%以上含むことを必須の構成とし,6.0<- 33 -D≦10.0μm及び10<D≦15.0μmの範囲のものは, ーの粒子径Dの粒度分布は,上記のとおり,0.5≦D≦6.0μmの範囲のものを60重量%以上含むことを必須の構成とし,6.0<- 33 -D≦10.0μm及び10<D≦15.0μmの範囲のものは,0重量%を含む任意のものであるところ,甲1発明の架橋アクリル樹脂ビーズ(本件訂正発明1の「フィラー」に相当)の粒度分布は,粒子径0.5~6.0μmの範囲の粒子を60重量%以上含んでいるから,この点で両発明は一致しているといえる。 したがって,相違点aは,実質的な相違点ではないとした審決の認定,判断に誤りはない。 イこれに対して,原告は,「本件訂正発明1における粒度分布の規定は,屈折率差の要件との組み合わせで,解決すべき課題であるギラツキ及びモアレを解消するための必須の構成として,一体的に理解されるべきである。本件訂正発明1は,フィラーの粒子径の粒度分布と屈折率差の要件を組み合わせることによって課題の解決を図るものであり,屈折率差によっては6.0<D≦10.0μm,および,10<D≦15.0μmの範囲の粒子を含ませるほうが好適である場合もあるし,逆の場合もある。」と主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。本件訂正発明1の解決課題に,「モアレ」の解消という課題がないことは,前記のとおりであるから,原告の主張は,主張の前提において,採用できない。また,本件訂正発明1において,6.0<D≦10.0μm及び10<D≦15.0μmの範囲のフィラーが0重量%を含む任意のものであることは,上記ア記載のとおりであり,また,本件訂正明細書(甲31の2)には,本件訂正発明1が,フィラーの粒子径の粒度分布と屈折率差の要件を組み合わせることによって課題の解決を図るものであることや,屈折率差の要件によって,フィラーの粒径の粒度分布を変更させ 31の2)には,本件訂正発明1が,フィラーの粒子径の粒度分布と屈折率差の要件を組み合わせることによって課題の解決を図るものであることや,屈折率差の要件によって,フィラーの粒径の粒度分布を変更させることは何ら記載されていない。 したがって,本件訂正発明1は,フィラーの粒子径の粒度分布と屈折率差の要件を組み合わせることによって課題の解決を図るものではないから,両要件を課題解決のための必須の構成であると理解する根拠はない。 ウ小括以上のとおり,原告主張の取消事由1には理由がない。 - 34 - 3 相違点bに関する容易想到性判断の誤り(取消事由2)について(1) 甲3及び甲5の記載内容ア甲3には,以下の記載がある。 【請求項1】 透明基板上に,屈折率1.40~1.60の樹脂ビーズと電離放射線硬化型樹脂組成物から本質的に構成される防眩層が形成されていることを特徴とする耐擦傷性防眩フィルム。 ・・・・・・【0001】【産業上の利用分野】本発明は,ワープロ,コンピュータ,テレビ等の各種ディスプレイ等,特に液晶ディスプレイの表面に用いられる耐擦傷性防眩フィルム,偏光板,及びその製造方法に関する。 ・・・・・・【0025】また電離放射線としては,紫外線,可視光線等の電磁波,電子線等の粒子線が用いられる。 樹脂ビーズ:前記電離放射線硬化型樹脂組成物には,防眩性を付与するために屈折率1.40~1.60の樹脂ビーズが混合される。樹脂ビーズの屈折率をこのような値に限定する理由は,電離放射線硬化型樹脂,特にアクリレート又はメタアクリレート系樹脂の屈折率は通常1.40~1.50であることから,電離放射線硬化型樹脂の屈折率にできるだけ近い屈折率を持つ樹脂ビーズを選択すると,塗膜の透明性が損なわれずに,しかも,防眩性を増すことができ ート系樹脂の屈折率は通常1.40~1.50であることから,電離放射線硬化型樹脂の屈折率にできるだけ近い屈折率を持つ樹脂ビーズを選択すると,塗膜の透明性が損なわれずに,しかも,防眩性を増すことができるからである。ところで,電離放射線硬化型樹脂の屈折率に近い屈折率を持つ樹脂ビーズを次の表1に示す。 【0026】【表1】 - 35 -【0027】これらの樹脂ビーズの粒径は,3~8μmのものが好適に用いられ,樹脂100重量部に対して2~10重量部,通常4重量部程度用いられる。この塗料にこのような樹脂ビーズを混入させると,塗料使用時には容器の底に沈澱した樹脂ビーズを攪拌して良く分散させる必要がある。・・・・・・・・・【0088】【発明の効果】本発明は前記した構成を採用することにより,防眩性に優れると同時に透明性に優れ,さらに,解像度,コントラストが優れ,かつ表面硬度,耐溶剤性が良好で帯電防止された透明保護基板の製造方法,その製造方法で得られた透明保護基板,及びこの透明保護基板を用いた偏光板を提供することができる。 イ甲5には,以下の記載がある。 【請求項1】 透明プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に,平均二次粒子径が1.5μm~2μmであると共に平均二次粒子径の標準偏差が0.2~0.7の微粒子及び電離放射線硬化型樹脂からなる組成物に電離放射線を照射し硬化させた硬化被膜層を設けてなることを特徴とするハードコートフィルム。 ・・・・・・【0001】【発明が属する技術分野】本発明は,ハードコートフィルムに関し,特にCRTディスプレイやフラットパネルディスプレイ(液晶表示体,プラズマディスプレイ,ELディスプレイ等)の表面に用いる防眩フィルムとして適したハードコートフィルムに関する。 ・・・・・ に関し,特にCRTディスプレイやフラットパネルディスプレイ(液晶表示体,プラズマディスプレイ,ELディスプレイ等)の表面に用いる防眩フィルムとして適したハードコートフィルムに関する。 ・・・・・・【0003】【発明が解決しようとする課題】そこで,本発明者等は,微粒子を用いたハードコートフィルムの視認性に関して鋭意検討を行った結果,ハードコートフィルムを通して表示を見た場合,バックライトの光等が,該フィルム内の大きな粒子で大きく散乱したり,後方散乱する光の割合が増加するためにギラツキが発生し,これが視認性を悪化させるので,従来の如き,粒度分布に対して全く配慮していない通常のフィラー配合方式では,必然的に含有される大きな粒径の粒子によって視認性が悪化すること,及び,特に特定の透過鮮明度及び反射鮮明度を具備させることにより視認性を改善することができることを見出し,本発明に到達した。従って本発明の目的は,防眩性のみならず視認性にも優れたハードコートフィルムを提供することにある。 - 36 -・・・・・・【0006】本発明で使用する微粒子は,平均二次粒子径が1.5μm~2μm,かつ平均二次粒子径の標準偏差が0.2~7であって,電離放射線硬化型樹脂に分散させることが出来るものであれば特に限定されるものではない。上記微粒子としては,例えば,シリカ,アルミナ,ジルコニア等の無機微粒子の他,電離放射線硬化樹脂の透明性を損なわないように,電離放射線硬化型樹脂の屈折率に近い,例えば,アクリル樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリカーボネート樹脂,PMMA樹脂等のポリマービーズも使用されるが,防眩性や解像性等の点からシリカ粒子が好ましい。上記微粒子は,公知の方法によって被膜層塗布液に混合・分散させることにより,容易に硬化被膜層に含有させること MMA樹脂等のポリマービーズも使用されるが,防眩性や解像性等の点からシリカ粒子が好ましい。上記微粒子は,公知の方法によって被膜層塗布液に混合・分散させることにより,容易に硬化被膜層に含有させることが出来る。 (2) 判断ア本件訂正発明1において,相違点bに係る構成(「樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差を0.05以下」との構成)を採用したことの技術的意義について検討する。 本件訂正明細書(甲31の2)には,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率の差について,「本発明においては上記の樹脂マトリックス中にかかる樹脂マトリックスと屈折率の差が小さいフィラーを含有させることで,表面を粗面化し,優れた防眩効果を持たせることができる。すなわちフィラーの屈折率と樹脂マトリックの屈折率は,どちらが大きくても良いが近いほど望ましい。そして,フィラーと透明マトリックスとの屈折率の差は0.10以下であることが必要であり,好ましくは0. 05以下が良い。屈折率の差が0.10を越える場合は,内部散乱が大きくなり,透明性が損なわれ,ギラツキ(モアレ)も非常に目立ってくる。樹脂マトリックスとフィラーの屈折率は,上記の如くその差が0.10以下であれば特に限定されるものではないが,樹脂マトリックス及びフィラーの屈折率としては,1.40~1. 60のものが透明基体の屈折率との関係から,防眩性,反射防止性等の光学特性上好ましく,特にこれら材料の屈折率が1.45~1.53の範囲のものが光学特性に優れており好適である。」(段落【0025】)と記載されており,屈折率の差は0.05以下が好ましいことが一応説明されているものの,0.10以下である- 37 -べきことも説明されており,0.05なる数値には,臨界的な意義があるとはいえないし,また,フィラーと樹脂マトリックスの 5以下が好ましいことが一応説明されているものの,0.10以下である- 37 -べきことも説明されており,0.05なる数値には,臨界的な意義があるとはいえないし,また,フィラーと樹脂マトリックスの屈折率の差を0.05以下とすることに技術的な意義があるとはいえない。 そして,上記認定のとおり,甲3には,耐擦傷性防眩フィルムにおいて,電離放射線硬化型樹脂の屈折率にできるだけ近い屈折率を持つ樹脂ビーズを選択すると,塗膜の透明性が損なわれずに,しかも,防眩性を増すことができるという技術的事項が記載されている。また,上記認定のとおり,甲5には,防眩フィルムにおいて,電離放射線硬化樹脂の透明性を損なわないように,電離放射線硬化型樹脂の屈折率に近い微粒子を用いるという技術的事項が記載されている。 したがって,審決が,相違点bに係る本件訂正発明1の構成について,①本件訂正発明1の解決すべき課題と甲1発明の解決すべき課題とには差異がない,②防眩材料において,透明性の配慮を行うことは当業者が当然に行う事項であるから,甲1発明と,甲3及び甲5に記載された事項を組み合わせることができる旨判断した点に誤りはない。 イこれに対して,原告は,①甲3には,モアレ解消のために,特定の粒度分布を選択した上で,樹脂マトリックスとフィラーとの屈折率差を0.05以下にすることについては何ら記載されておらず,ギラツキ防止の課題の認識もなく,また,甲3は,ギラツキ防止やモアレ解消の観点から,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択するべきかについて,何らの技術的示唆を与えていない,②甲5は,ギラツキ防止や,モアレ解消の観点から,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択す 択するべきかについて,何らの技術的示唆を与えていない,②甲5は,ギラツキ防止や,モアレ解消の観点から,フィラーの粒度分布との関係で,樹脂マトリックスとフィラーの屈折率差としてどのような値を選択するべきかという点に関しての何らの技術的示唆を与えるものはないなどと主張する。 しかし,原告の主張は,いずれも失当である。すなわち,上記のとおり,本件訂正発明1の解決課題はモアレの解消ではなく,本件訂正発明1は,粒度分布の規定と屈折率差の要件との組み合わせによって,課題を解決するものとはいえないから,- 38 -原告の主張は,その前提において誤りがあり,いずれも採用できない。 上記のとおり,甲3には,耐擦傷性防眩フィルムにおいて,電離放射線硬化型樹脂の屈折率にできるだけ近い屈折率を持つ樹脂ビーズを選択すると,塗膜の透明性が損なわれずに,しかも,防眩性を増すことができるという技術的事項が記載されており,また,甲5には,防眩フィルムにおいて,電離放射線硬化樹脂の透明性を損なわないように,電離放射線硬化型樹脂の屈折率に近い微粒子を用いるという技術的事項が記載されていることからすると,甲1発明と甲3及び甲5は,粗面化層の透明性を損なわないようにするという点で共通しているから,甲1発明に甲3及び甲5に記載されている技術的事項を組み合わせることに阻害要因はない。 ウ小括以上のとおり,原告主張の取消事由2には理由がない。 4 相違点a及びbに係る構成により生じる相乗効果に関する判断の誤り(取消事由3)について原告は,本件訂正明細書(甲31の2)の段落【0025】,【0028】の記載等からすれば,相違点a及びbの双方の関与により本件訂正発明1の効果が得られていること,すなわち,相違点a,bによる相乗効果が得られるから,審決の判断は誤り )の段落【0025】,【0028】の記載等からすれば,相違点a及びbの双方の関与により本件訂正発明1の効果が得られていること,すなわち,相違点a,bによる相乗効果が得られるから,審決の判断は誤りであると主張する。 しかし,本件訂正明細書(甲31の2)の段落【0025】には,屈折率差についての記載はあるものの,フィラーの粒子径の粒度分布についての記載はなく,一方,同段落【0028】には,フィラーの粒子径の粒度分布についての記載はあるものの,屈折率差についての記載はないから,これらの記載から,フィラーの粒子径の粒度分布についての相違点a及び屈折率差についての相違点bの双方の関与により本件訂正発明1の効果が得られるとはいえない。 したがって,原告主張の取消事由3には理由がない。 5 本件訂正発明2についての容易想到性判断の誤り(取消事由4)について原告は,本件訂正発明1が,甲1発明,甲3及び甲5に記載された技術的事項に- 39 -基づいて,当業者が容易になし得るものでないことと同様の理由により,本件訂正発明2についての判断は誤りであると主張する。 しかし,上記のとおり,本件訂正発明1は,甲1発明,甲3及び甲5に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易になし得たものであるから,同様の理由により,本件訂正発明2は,甲1発明,甲3及び甲5に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易になし得たものである。 したがって,審決における本件訂正発明2についての判断は誤りであるとはいえず,原告主張の取消事由4には理由がない。 第5 結論以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 主文 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官池下朗 裁判官武宮英子

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