令和4年2月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第19889号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和3年12月16日判決原告株式会社GSD 同訴訟代理人弁護士松尾浩順 同三好幹夫 同林誠吾 被告A 被告B 被告株式会社ソフトユージング(以下「被告会社」という。)上記3名訴訟代理人弁護士木本亮 同山崎岳人 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは、原告に対し、連帯して、1616万4000円及びこれに対する平成31年2月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、原告が、かつて原告の従業員であり、原告を退職した後に被告会社に入社した被告A及び同Bは、原告の取引先に対して原告と被告会社がグループ会社であるとの虚偽の事実を告げるなどし、被告A及び同Bのこの行為は不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項21号の不正競争、不法行為又は雇用契約上の債務不履行に該当するものであり、原告はこれにより損害を被ったと主張して、被告A及び同Bに対しては不競法4条、民法709条又は平成29年法律第4 1項21号の不正競争、不法行 為又は雇用契約上の債務不履行に該当するものであり、原告はこれにより損害を被ったと主張して、被告A及び同Bに対しては不競法4条、民法709条又は平成29年法律第44号による改正前の民法415条に基づき、被告会社に対しては民法715条1項に基づき、連帯して、1616万4000円及びこれに対する平成31年2月1日から支払済みまで上記法律による改正前の民法 所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)ア原告は、労働者派遣事業、コンピュータシステム、ソフトウェア及びネットワークシステムの企画、開発等を目的とする会社である。 イ被告会社は、労働者派遣事業、コンピュータシステム、ネットワークシステム等の企画、開発等を目的とする会社である。 ウ被告Aは、平成30年1月1日に原告に入社し、営業部長として勤務していたものの、同年12月31日に退職し、平成31年1月から、被告会社において勤務している(甲3の1、甲7、9、弁論の全趣旨)。 エ被告Bは、平成30年1月1日に原告に入社したものの、同年12月31日に退職し、平成31年1月から、被告会社において勤務している(甲3の2、甲9、弁論の全趣旨)。 (2) 被告Aは、平成31年1月31日、原告に対し、原告との雇用契約に基づく賞与346万5504円の支払を請求したが、原告はこれを拒んだ(甲3 の1、甲7ないし9、弁論の全趣旨)。 被告Aは、その後、原告に対し、上記賞与の支払を求めて、労働審判手続(以下省略)を申し立て、令和元年9月4日に したが、原告はこれを拒んだ(甲3 の1、甲7ないし9、弁論の全趣旨)。 被告Aは、その後、原告に対し、上記賞与の支払を求めて、労働審判手続(以下省略)を申し立て、令和元年9月4日に、原告が被告Aに対して解決金50万円を支払う旨の労働審判がされたが、被告Aはこれを不服として、訴訟(以下省略)を提起した(甲4、9、弁論の全趣旨)。 3 争点 (1) 不競法2条1項21号の不正競争又は不法行為の成否(争点1)(2) 債務不履行の成否(争点2)(3) 損害額(争点3) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(不競法2条1項21号の不正競争又は不法行為の成否)について (原告の主張)ア原告は、株式会社フューチャーナビゲータ(以下「フューチャーナビゲータ」という。)から、新日鐵住金株式会社(現在の「日本製鉄株式会社」。以下「新日鐵住金」という。)に係る業務を受注していたところ、被告A及び同Bは、被告会社に転職することが決まった平成30年12月 頃、上記業務を被告会社に移転することを計画した。 そこで、被告Bは、同月17日、フューチャーナビゲータに対し、平成31年1月から現場で業務に従事することが決まっている4名のうち、1名について「CはDの交代として参画させていただきます。所属はGSDです。」としつつも、残りの3名について「他の三名に関しては、所属は グループ会社(株式会社ソフトユージング)です。」と、原告と被告会社がグループ会社であるという虚偽の事実を記載するとともに、被告Aの連絡先として、被告Aが被告会社に所属していることを示すメールアドレスを記載したメール(甲5。以下「本件メール」という。)を送信した。 被告A及び同B 偽の事実を記載するとともに、被告Aの連絡先として、被告Aが被告会社に所属していることを示すメールアドレスを記載したメール(甲5。以下「本件メール」という。)を送信した。 被告A及び同Bは、これにより、フューチャーナビゲータをして、原告 と被告会社がグループ会社であると信じ込ませた上、フューチャーナビゲータに対し、それまで原告に送付していた発注書を、被告会社に送付するよう依頼した。その結果、フューチャーナビゲータは、同年2月1日分から、被告会社宛てに発注書を送付するようになった。 原告は、被告A及び同Bに対し、元どおりの商流に戻すよう求めたが、 被告A及び同Bはこれを拒んだ。原告は、納得のいかないまま、二次下請 のような地位に甘んじて業務を行っていたが、このまま永続的にこのような立場で仕事を続けることはできなかったことから、現場から技術者を引き揚げざるを得なかった。 イまた、原告は、株式会社エフネット(以下「エフネット」という。)から株式会社日立製作所(以下「日立製作所」という。)に係る業務を、株 式会社リーディング・ウィン(以下「リーディング・ウィン」という。)から株式会社日立ソリューションズ(以下「日立ソリューションズ」という。)に係る業務をそれぞれ受注していたところ、被告A及び同Bは、前記アと同じ頃、前記アと同様に、エフネット及びリーディング・ウィンに対し、原告と被告会社がグループ会社であるという虚偽の事実を伝え、エ フネット及びリーディング・ウィンをして原告と被告会社がグループ会社であると信じ込ませ、エフネット及びリーディング・ウィンに対し、それまで原告に送付していた発注書を、被告会社に送付するよう依頼した。その結果、エフネットは平成31年2月16日分から、リーディング 社であると信じ込ませ、エフネット及びリーディング・ウィンに対し、それまで原告に送付していた発注書を、被告会社に送付するよう依頼した。その結果、エフネットは平成31年2月16日分から、リーディング・ウィンは同年1月1日分から、被告会社宛てに発注書を送付するようになった。 原告は元どおりの商流に戻すよう求めたが、被告A及び同Bがこれを拒んだことから、原告は現場から技術者を引き揚げざるを得なかった。 ウ以上のとおり、被告A及び同Bは、フューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対して虚偽の事実を告知したものでる。そして、上記の事実を告知されたこれら3社からみれば、被告会社に支配さ れた原告と契約を締結することに何らメリットはなく、より信用性の高い被告会社と契約を締結したいと考えることはごく自然なことであって、このことはすなわち原告の営業上の信用が大きく害されたことにほかならない。したがって、被告A及び同Bの行為は不競法2条1項21号の不正競争に該当する。 また、仮に不正競争に該当しないとしても、被告A及び同Bは、上記の とおり虚偽の事実を告知して原告の契約上の地位を奪い、原告の営業上の利益を侵害したものであるから、このような被告A及び同Bの行為は不法行為に該当する。 (被告らの主張)ア被告A及び同Bがフューチャーナビゲータに対して虚偽の事実を告げた こと並びに原告のフューチャーナビゲータに対する契約上の地位を奪ったことは否認する。 原告及び被告会社は、平成30年9月頃から、グループ化に向けた話合いを行っており、両社の関係は良好であったところ、被告Bは、同年12月頃、原告に所属する1名及び被告会社に所属する3名を、フューチャー 被告会社は、平成30年9月頃から、グループ化に向けた話合いを行っており、両社の関係は良好であったところ、被告Bは、同年12月頃、原告に所属する1名及び被告会社に所属する3名を、フューチャー ナビゲータが発注する新日鐵住金に係る業務に参加するための面接会場に連れて行った。フューチャーナビゲータの担当者は、被告Bに対し、平成31年1月から着任することとなった上記4名のうち、1名について「所属会社はGSD様でよろしいでしょうか?」と、残り3名について「3名はGSD様のグループ会社のメンバーでよろしいでしょうか?」と質問す るメールを送付した。これを受けて、被告Bは、被告会社を「グループ会社(株式会社ソフトユージング)」と記載した上、被告会社の窓口として、被告会社に転職する予定であった被告Aを紹介する本件メールを送付したものである。 また、上記新日鐵住金に係る業務は、被告会社が平成30年10月に新 日鐵住金から紹介されたものであり、被告A及び同Bから紹介されたものではない。 イ被告A及び同Bがエフネット及びリーディング・ウィンに対して虚偽の事実を告げたこと並びに原告のエフネット及びリーディング・ウィンに対する契約上の地位を奪ったことは否認する。 原告がリーディング・ウィンから受注していた業務は平成30年12月 末で終了する見込みであったことから、被告Aは、その頃、日立ソリューションズに対して営業活動を行い、技術者1名分の派遣枠を獲得した。そして、被告会社は、日立ソリューションズと取引関係にあり、当時、原告とグループ化の話合いをしていたことから、被告会社が日立ソリューションズから上記派遣枠に係る業務を受注し、原告が被告会社から同業務を更 に受注したものである。 (2) にあり、当時、原告とグループ化の話合いをしていたことから、被告会社が日立ソリューションズから上記派遣枠に係る業務を受注し、原告が被告会社から同業務を更 に受注したものである。 (2) 争点2(債務不履行の成否)について(原告の主張)ア被告A及び同Bは、原告と雇用契約を締結していたところ、この雇用契約書(甲3の1、2)の「その他」の「3」には、「乙は、在職中又は退 職後を問わず、就業中知り得た甲のお客様の情報又は甲のお客様リストを利用して、これを第三者又は自ら営業活動を行わないように配慮します、違反の場合は、損害賠償請求を行うことができること。」(「甲」は原告を、「乙」は被告A及び同Bをそれぞれ指す。)との条項があった。 そして、前記(1)(原告の主張)ア及びイの被告A及び同Bの一連の行為 は、フューチャーナビゲータ、新日鐵住金、エフネット、日立製作所、リーディング・ウィン及び日立ソリューションズという原告の顧客情報又は顧客リストを利用し、これらの顧客に対して積極的に働きかけ、被告会社のために営業活動をするものであるから、上記条項に違反する。 イ仮に、被告A及び同Bの行為が前記アの条項に違反するものでなかった としても、一般的に、会社の従業員は、使用者に対し、雇用契約に付随して、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならない信義則上の義務を負うところ、被告A及び同Bも、使用者である原告に対し、このような信義則上の義務を負っていた。 そして、前記(1)(原告の主張)ア及びイの被告A及び同Bの一連の行為 は、フューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対 して虚偽の事実を告知することにより、原告の契約上の地位を奪い、これを転職先の被告会 びイの被告A及び同Bの一連の行為 は、フューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対 して虚偽の事実を告知することにより、原告の契約上の地位を奪い、これを転職先の被告会社に取得させ、原告の正当な利益を不当に侵害するものであるから、上記の信義則上の義務に違反する。 ウまた、被告らは、前記(1)(被告らの主張)イのとおり、被告Aが日立ソリューションズから技術者1名分の派遣枠を獲得し、被告会社が日立ソリ ューションズからこの派遣枠に係る業務を受注した上で、原告が被告会社から同業務をさらに受注したと主張する。 そうであるとすると、被告Aは、前記イのとおり、原告に対し、使用者である原告の正当な利益を不当に侵害してはならない信義則上の義務を負っており、原告が日立ソリューションズから上記業務を直接受注するよう にすべきであったにもかかわらず、これを怠り、被告会社を一次下請とし、原告を二次下請として受注するようにして、原告の正当な利益を不当に侵害したものであるから、上記の信義則上の義務に違反する。 エしたがって、被告A及び同Bの行為は債務不履行に該当する。 (被告らの主張) いずれも否認ないし争う。 原告は、その意思に基づき、被告会社と取引をしており、被告会社は、原告に対する業務委託料を全て支払っている。被告A及び同Bは、原告を円満に退職しており、両名が被告会社に入社した後も、原告と被告会社は、取引を継続していた。原告が被告A及び同Bにより顧客を奪取されたと主張する ようになったのは、被告Aが原告に対して原告との雇用契約に基づく賞与の支払を請求した後のことであり、原告は、被告A及び同Bの行為が債務不履行に該当すると考えていたわけではない。 する ようになったのは、被告Aが原告に対して原告との雇用契約に基づく賞与の支払を請求した後のことであり、原告は、被告A及び同Bの行為が債務不履行に該当すると考えていたわけではない。 (3) 争点3(損害額)について(原告の主張) ア原告は、日立製作所及び新日鐵住金に係る業務について、常時、4名の 技術者を派遣し、平成31年1月まで、月271万円の売上げがあり、これら4名に対する給与を控除すると、月53万円の利益があった。 しかし、被告A及び同Bの行為により、原告の同年2月分及び同年3月分の利益は一月当たり29万6000円減少し、同年4月分以降の利益は一月当たり45万8000円減少した。原告は、少なくとも同年2月1日 以降の3年間、上記月53万円の利益を得る蓋然性があったといえるから、原告は、合計1616万4000円(=29万6000円×2月+45万8000円×34月)の利益を得る機会を失ったというべきである。 したがって、原告は、被告A及び同Bの不法行為又は債務不履行により、1616万4000円の損害を被った。 イまた、被告会社は、被告A及び同Bの不正競争により、原告の受注が減少した分全てを受注したところ、これにより少なくとも1616万4000円の利益を得た。 したがって、原告が被告A及び同Bの不正競争により被った損害額は、不競法5条2項により、1616万4000円と推定される。 (被告らの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実証拠(甲5、10の1、2、甲11の1ないし41、甲13、14の1、乙 1の1ないし9、乙2の1ないし7、乙3の1ないし7)及び弁論の全趣旨によれば、 当裁判所の判断 1 認定事実証拠(甲5、10の1、2、甲11の1ないし41、甲13、14の1、乙 1の1ないし9、乙2の1ないし7、乙3の1ないし7)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。 (1) 原告は、平成29年9月1日、リーディング・ウィンとの間で、リーディング・ウィンが原告に対して別途締結する個別契約において定める業務を委託する旨の業務委託基本契約を締結した(甲13)。 原告は、上記基本契約及び個別契約に基づき、少なくとも平成30年12 月1日から同月31日までの間、リーディング・ウィンに対し、システム開発の業務に従事する技術者を派遣した(甲14の1)。 (2) 原告は、平成29年12月22日、エフネットとの間で、エフネットが原告に対して別途締結する個別契約において定める業務を委託する旨の業務委託基本契約を締結した(甲10の1)。 原告は、上記基本契約及び個別契約に基づき、平成30年2月1日から平成31年2月15日までの間、エフネットに対し、プルデンシャル生命株式会社向けのシステム開発等の業務に従事する技術者を派遣した(甲11の1ないし31)。 (3) 原告は、平成30年4月1日、フューチャーナビゲータとの間で、フュー チャーナビゲータが原告に対して別途締結する個別契約において定める業務を委託する旨の業務委託基本契約を締結した(甲10の2)。 原告は、上記基本契約及び個別契約に基づき、同日から平成31年1月31日までの間、フューチャーナビゲータに対し、システム開発の業務に従事する技術者を派遣した(甲11の32ないし41)。 (4) 原告は、被告会社の委託を受けて、平成30年12月1日から令和元年5月31日までの ーナビゲータに対し、システム開発の業務に従事する技術者を派遣した(甲11の32ないし41)。 (4) 原告は、被告会社の委託を受けて、平成30年12月1日から令和元年5月31日までの間、被告会社に対し、システム開発の業務に従事する技術者を派遣した。被告会社は、原告に対し、これに係る業務委託料を支払った。 (乙1の1ないし9、乙2の1ないし7、乙3の1ないし7)(5) フューチャーナビゲータの担当者は、平成30年12月17日、被告Bに 対し、平成31年1月から着任する4名について、Dの代わりのCが原告に所属することでよいか、その他の3名が「GSD様のグループ会社のメンバー」でよいか、「GSD様のグループ会社」と基本契約を締結したいので、会社名、担当者名及び連絡先を教えてほしい旨記載したメールを送信した。 被告Bは、同日、上記担当者に対し、Cが原告に所属し、その他の3名の 「所属はグループ会社(株式会社ソフトユージング)です。」と記載し、さ らに、担当者は被告A及び同Bであり、被告Aの連絡先として、「以下省略」等と記載した本件メールを送信した。(甲5、11の40、弁論の全趣旨) 2 争点1(不競法2条1項21号の不正競争又は不法行為の成否)について(1) 原告は、被告Bが、フューチャーナビゲータに対し、原告と被告会社がグループ会社である旨の本件メールを送信して虚偽の事実を伝え、被告A及び 同Bが、原告のフューチャーナビゲータに対する契約上の地位を奪った行為は、不競法2条1項21号の不正競争又は不法行為に該当すると主張する。 この点について、証拠(甲9、乙5、7、9)によれば、平成30年9月以降、原告と被告会社との間で、グループ化についての話合いが行われたことが認められる。また、前記1 に該当すると主張する。 この点について、証拠(甲9、乙5、7、9)によれば、平成30年9月以降、原告と被告会社との間で、グループ化についての話合いが行われたことが認められる。また、前記1(4)のとおり、原告は、被告会社の委託を受け て、同年12月以降、被告会社に対し、システム開発の業務に従事する技術者を派遣して、被告会社はその業務委託料を支払っているから、その当時、両社は良好な関係にあったということができる。以上に照らせば、前記1(5)のとおり、本件メールの「グループ会社(株式会社ソフトユージング)」との記載が虚偽であるとまでは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠は ない。 また、本件メールの上記記載は、単に原告と被告会社がグループ会社であることを指摘するものにすぎないから、原告の営業上の信用を害するとも認められない。 さらに、前記1(3)及び(5)のとおり、被告Bは、原告において勤務してい た平成30年12月17日、フューチャーナビゲータに対し、被告会社の担当者は被告A及び同Bであり、被告Aの連絡先として、被告会社の商号をドメインに含むメールアドレスを記載した本件メールを送信し、原告は、平成31年2月以降、フューチャーナビゲータに対し、システム開発の業務に従事する技術者を派遣していないという経緯が認められるものの、これらをも って、被告A及び同Bが原告のフューチャーナビゲータに対する契約上の地 位を奪ったとまでは認められず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (2) 原告は、被告A及び同Bが、エフネット及びリーディング・ウィンに対しても、原告と被告会社がグループ会社であるとの虚偽の事実を伝え、原告の契 て、原告の上記主張は採用することができない。 (2) 原告は、被告A及び同Bが、エフネット及びリーディング・ウィンに対しても、原告と被告会社がグループ会社であるとの虚偽の事実を伝え、原告の契約上の地位を奪った行為は、不競法2条1項21号の不正競争又は不法行 為に該当すると主張する。 しかし、そもそも、被告A及び同Bが、エフネット及びリーディング・ウィンに対し、原告と被告会社がグループ会社であると伝えたことを認めるに足りる証拠はない。仮にこれを伝えた事実が認められたとしても、前記(1)と同様、原告と被告会社がグループ会社であるという内容が虚偽であることを 認めるに足りる証拠はなく、この内容が原告の営業上の信用を害するとは認められない上、被告A及び同Bが原告のエフネット及びリーディング・ウィンに対する契約上の地位を奪ったことを認めるに足りる証拠もない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上によれば、原告の被告A及び同Bに対する不競法4条及び不法行為に 基づく損害賠償請求は、いずれも理由がない。 3 争点2(債務不履行の成否)について(1) 原告は、被告A及び同Bが、フューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対して虚偽の事実を告知し、原告のこれら3社に対する契約上の地位を奪った行為は、原告との雇用契約において定める「在職中 又は退職後を問わず、就業中知り得た甲のお客様の情報又は甲のお客様リストを利用して、これを第三者又は自ら営業活動を行わない」という条項に違反すると主張する。 しかし、被告A及び同Bが、フューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対して虚偽の事実を告知し、原告のこれら3社に対す る契約上 という条項に違反すると主張する。 しかし、被告A及び同Bが、フューチャーナビゲータ、エフネット及びリーディング・ウィンに対して虚偽の事実を告知し、原告のこれら3社に対す る契約上の地位を奪ったと認められないことは、前記2(1)及び(2)のとおり である。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (2) 原告は、フューチャーナビゲータ等に対して虚偽の事実を告知し、原告の契約上の地位を奪った被告A及び同Bの行為は、原告との雇用契約に付随する信義則上の義務に違反すると主張する。 しかし、前記(1)と同じく、被告A及び同Bが、フューチャーナビゲータ等に対して虚偽の事実を告知し、原告の契約上の地位を奪ったと認められないことは、前記2(1)及び(2)のとおりである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (3) 原告は、被告Aが、日立ソリューションズから獲得した技術者1名分の派 遣枠について、原告に直接受注させることなく、被告会社を介して原告に受注させたことは、原告との雇用契約に付随する信義則上の義務に違反すると主張する。 しかし、証拠(乙1の2、8、乙2の2、4ないし6、乙3の2、4ないし6)及び弁論の全趣旨によれば、被告Aは、日立ソリューションズから技 術者1名分の派遣枠を獲得したこと、日立ソリューションズは、被告会社に対し、同派遣枠に係る業務を委託したこと、原告は、被告会社に対し、平成31年1月1日から同年4月30日までの間、同派遣枠に係る業務に従事する技術者派遣をし、被告会社から業務委託料を受領したことが認められる。 そうすると、原告は、自らの意思に基づき、被告会社から上記派遣枠に係る 業務を受注したものであるから、被告Aが被告会 従事する技術者派遣をし、被告会社から業務委託料を受領したことが認められる。そうすると、原告は、自らの意思に基づき、被告会社から上記派遣枠に係る業務を受注したものであるから、被告Aが被告会社に同派遣枠に係る業務を受注させたとしても、これが原告の意に反していたということはできず、雇用契約に付随する信義則上の義務に違反するとは認められない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。以上によれば、原告の被告A及び同Bに対する債務不履行に基づく損害賠償請求は、いずれも理由がない。 第4 結論 よって、その余の点を判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 小川暁 裁判官 佐々木亮
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