平成26年10月29日判決言渡平成23年(行ウ)第46号,第64号贈与税決定処分取消等請求事件(以下,同第46号事件を「第1事件」と,同第64号事件を「第2事件」といい,これらを併せて「両事件」という。)主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 第1事件関係芝税務署長が原告P1に対し平成21年2月27日付けでした平成17年分の贈与税の決定処分(以下「本件決定処分」という。)及び無申告加算税の賦課決定処分(以下「原告P1賦課決定処分」といい,これと本件決定処分とを併せて「本件決定処分等」という。)(ただし,いずれも,平成21年7月6日付けでされた異議決定により一部取り消された後のもの)を取り消す。 2 第2事件関係芝税務署長が原告P2に対し平成21年2月27日付けでした平成17年分の贈与税の更正処分(以下「本件更正処分」という。)のうち,課税価格30億2520万円及び納付すべき税額6億0004万円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(以下「原告P2賦課決定処分」といい,これと本件更正処分とを併せて「本件更正処分等」といい,これと本件決定処分等とを併せて「本件各処分」という。)(ただし,いずれも,平成21年7月6日付けでされた異議決定により一部取り消された後のもの)を取り消す。 第2 事案の概要第1事件は,P3株式会社(以下「P3」という。)の株主であり,P4合名会社(以下「P4」という。)の社員である原告P1の母であるP5が,そ の保有する有限会社P6(以下「P6」という。)の持分をP3及びP4に対し譲渡したところ,芝税務署長が,その あり,P4合名会社(以下「P4」という。)の社員である原告P1の母であるP5が,そ の保有する有限会社P6(以下「P6」という。)の持分をP3及びP4に対し譲渡したところ,芝税務署長が,その譲渡が時価より著しく低い価額の対価でされたものであり,その譲渡によっていずれも同族会社であるP3の株式及びP4の持分の価額が増加したことから,相続税法9条(平成19年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)の規定によりその増加した部分に相当する金額を原告P1がP5から贈与により取得したものとみなされるとして,原告P1に対し,本件決定処分等をしたことに関し,原告P1が,本件決定処分等が違法であると主張して,本件決定処分等(ただし,いずれも,異議決定により一部取り消された後のもの)の取消しを求める事案である。 第2事件は,P3の株主であり,P4の社員であるとともに,原告P1の子である原告P2が,原告P1から,P5のP3及びP4に対する上記の譲渡の後にP4の持分及び現金を贈与により取得したことについて,贈与税の申告書を提出したところ,芝税務署長が,同条の規定により,P5のP3及びP4に対する上記の譲渡によって原告P2が原告P1と同様の利益の価額に相当する金額をP5から贈与により取得したものとみなされる上,原告P1からの贈与に係るP4の持分の価額が上記申告書に記載されたものより高額になるとして,原告P2に対し,本件更正処分等をしたことに関し,原告P2が,本件更正処分等が違法であると主張して,本件更正処分等(ただし,いずれも,異議決定により一部取り消された後のもの)の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙1「関係法令の定め」に記載したとおりである(別紙1における略称は,以下においても用いる。)。 2 前提事実(後記(8)の事実の 後のもの)の取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め別紙1「関係法令の定め」に記載したとおりである(別紙1における略称は,以下においても用いる。)。 2 前提事実(後記(8)の事実のほかは,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。なお,後記(8)の事実は当裁判所に顕著である。以下,2記載の事実を「前提事実」という。)(1) 関係者等 ア原告P1原告P1は,平成17年3月31日当時,P3,P4(平成18年7月10日,P7株式会社に組織変更をした後,平成22年12月1日,P8株式会社に商号を変更した。以下,時期を問わず「P4」という。)及びP6の代表者であった。 原告P1の父は,P9(11代)であり, 平成3年▲月▲日に死亡した。 イ原告P2原告P2は,原告P1の子である。 ウ P5P5は,P9の配偶者であり,原告P1の母であって,原告P2の祖母である。 エ P3P3は,昭和22年に設立され,酒類食料品の卸売等を目的とする資本金3億5000万円(平成17年3月31日付けで35億円に増資されている。)の株式会社であり,同族会社に該当する。 同社の同日当時の発行済株式総数は700万株であり,このうち原告P1が39万1150株,原告P2が5万株,P4が198万9100株,P6が200万株を保有していた。 なお,P3の平成16年12月31日における従業員数は約1650人であった。 オ P4P4は,大正7年に設立され,不動産賃貸を目的とする出資の価格の総額が3000万円(60万口)の合名会社(当時)であり,同族会社に該当し,同社の平成17年3月31日当時の社員及びその出資の価格等は,原告P1が1990万円(39万8000口),原告P2が10万円(2 万円(60万口)の合名会社(当時)であり,同族会社に該当し,同社の平成17年3月31日当時の社員及びその出資の価格等は,原告P1が1990万円(39万8000口),原告P2が10万円(2 000口)及びP10が1000万円(20万口)であった。 P4の平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度における法人税の申告書及び決算書等によれば,同日における従業員数は4人,同日以前1年間の取引金額は2億4602万6276円,同日における同社の有する各資産を評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合は70パーセントであった。 カ P6P6は,平成2年6月8日に設立され,不動産賃貸を目的とする資本の総額が1億円(10万口)の有限会社(当時)であり,同族会社に該当する。 P6の平成17年3月31日当時の社員並びにその出資の金額及び口数(ただし,後記(2)のとおりP5が持分(以下,P6の持分を「本件P6出資」という。)を譲渡する前のもの)は,P5が4799万5000円(4万7995口)及び原告P1が5000円(5口)であったほか,P3の取引先であるP11株式会社(以下「P11」という。),P12株式会社(以下「P12」という。),P13株式会社(以下「P13」という。),P14株式会社(以下「P14」という。),P15株式会社(以下「P15」という。),P16株式会社(以下「P16」という。),P17株式会社(以下「P17」という。),P18株式会社(以下「P18」という。),P19株式会社(以下「P19」という。),P20株式会社(以下「P20」という。),P21株式会社(以下「P21」という。),P22株式会社(以下「P22」という。)及びP23株式会社(以下「P23」 株式会社(以下「P19」という。),P20株式会社(以下「P20」という。),P21株式会社(以下「P21」という。),P22株式会社(以下「P22」という。)及びP23株式会社(以下「P23」という。)の各酒造メーカー等13社(以下,これら13社を併せて「本件13社」という。)が各400万円(各4000口)であった。本件13社の保有する本件P6出資は,いずれも,P9が平成3年12月5 日に1口当たり1000円で売却したものであった。 P6の平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度における法人税の申告書及び決算書等によれば,同日における従業員数は2人,同日以前1年間の取引金額は4794万6720円であった。 (2) 本件P6出資の譲渡等ア P5による譲渡P5は,平成17年3月31日,P3に対し,本件P6出資のうち2万4000口を代金9億4164万円(1口当たり3万9235円)で売却した。 また,P5は,同日,P4に対し,本件P6出資のうち2万3995口を代金9億4144万3825円(1口当たり3万9235円)で売却した。 (以下,上記のとおりのP5のP3及びP4に対する本件P6出資の売却による譲渡を「本件各譲渡」という。)イ本件13社による譲渡本件13社は,平成17年8月25日,P6から,本件13社の保有する本件P6出資をP4に対し1口当たり5000円で譲渡するよう依頼され,同年10月から同年12月にかけて,P4に対し,それぞれ,本件P6出資のうち4000口を代金2000万円(1口当たり5000円)で売却した。 ウ本件各譲渡及び本件13社による譲渡の後のP6の社員並びに出資の金額及び口数P6の社員並びにその出資の金額及び口数は,本件各譲渡及び前記イの本件13社による譲渡の結果,P3が24 却した。 ウ本件各譲渡及び本件13社による譲渡の後のP6の社員並びに出資の金額及び口数P6の社員並びにその出資の金額及び口数は,本件各譲渡及び前記イの本件13社による譲渡の結果,P3が2400万円(2万4000口),P4が7599万5000円(7万5995口)及び原告P1が5000円(5口)となった。 (3) 原告P1によるP4の持分等の贈与原告P1は,平成17年5月9日,原告P2に対し,出資の価格1290万円に相当するP4の持分(25万8000口)を贈与するとともに(以下,この贈与を「本件出資贈与」という。),現金6億円を贈与した(以下,この贈与を「本件現金贈与」という。)。 (4) 原告P2の贈与税の申告原告P2は,原告P1からの本件出資贈与に係るP4の持分の価額を,同社が評価通達189(2)の株式保有特定会社に該当するとして,同社の直前期末(平成16年12月31日)現在の各資産及び負債を基に純資産価額を算出した上で,総額24億2520万円(1口当たり9400円)と評価し,これに本件現金贈与に係る現金6億円を加えた合計30億2520万円を贈与により取得したとして,平成18年2月28日,平成17年分の贈与税の申告書を芝税務署長に提出した。 なお,上記の申告書におけるP4の持分の価額の評価において,同社の保有するP3の株式の価額については,同通達179(1)の類似業種比準価額による1株当たり3503円との前提で保有株式数198万9410株を基に算定され,P4がP5から平成17年3月31日に譲り受けた本件P6出資2万3995口については,資産として計上されておらず,評価額の算定に当たり考慮されていなかった。 (5) 原告らに対する課税処分ア芝税務署長は,平成21年2月27日付けで,原告P1に対し,別表1 995口については,資産として計上されておらず,評価額の算定に当たり考慮されていなかった。 (5) 原告らに対する課税処分ア芝税務署長は,平成21年2月27日付けで,原告P1に対し,別表1の順号1の各欄に記載のとおり,本件決定処分等をした。 イ芝税務署長は,平成21年2月27日付けで,原告P2に対し,別表2の順号2の各欄に記載のとおり,本件更正処分等をした。 (6) 原告らによる異議申立て等ア原告P1は,平成21年4月22日,芝税務署長に対し,本件決定処分 等を不服として異議申立てをしたところ,芝税務署長は,同年7月6日付けで,原告P1に対し,別表1の順号3の各欄に記載のとおり,本件決定処分等の一部を取り消す旨の決定をした。 イ原告P2は,平成21年4月22日,芝税務署長に対し,本件更正処分等を不服として異議申立てをしたところ,芝税務署長は,同年7月6日付けで,原告P2に対し,別表2の順号4の各欄に記載のとおり,本件更正処分等の一部を取り消す旨の決定をした。 (7) 原告らによる審査請求等ア原告P1は,平成21年8月4日,国税不服審判所長に対し,前記(6)アの決定を経た後の本件決定処分等になお不服があるとして,審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成22年7月26日付けで,審査請求を棄却する旨の裁決をした。 イ原告P2は,平成21年8月4日,国税不服審判所長に対し,前記(6)イの決定を経た後の本件更正処分等になお不服があるとして,審査請求をしたが,国税不服審判所長は,平成22年7月26日付けで,審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (8) 原告らは,平成23年1月24日,両事件に係る訴えを提起した。 3 本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張は,後 却する旨の裁決をした。 (8) 原告らは,平成23年1月24日,両事件に係る訴えを提起した。 3 本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張は,後記5に掲げるほか,別紙2「本件各更正処分の根拠及び適法性」に記載のとおりである(別紙2における略称は,以下においても用いる。)。 4 争点(1) 本件各譲渡に関し原告らについて相続税法9条の規定を適用することができるか(2) 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか) ア評価通達の定めによって評価した場合,本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額はいくらかイ本件各譲渡に係る本件P6出資の時価は本件13社が本件各譲渡後にP4に対してした譲渡の対価の価額である1口当たり5000円であるといえるか(3) 原告らは本件各譲渡により相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるか,また,そのように認められる場合,当該利益の価額に相当する金額はいくらか(4) 本件出資贈与に係るP4の持分の価額はいくらか(5) 原告らについて,無申告加算税及び過少申告加算税を課されない正当な理由があると認められるか 5 争点に関する当事者の主張の要点前記4に記載した各争点に関する被告の主張の要点は別紙3のとおりであり,原告らの主張の要点は別紙4のとおりである(別紙3における略称は,以下においても用いる)。 第3 当裁判所の判断 1 本件各譲渡に関し原告らについて相続税法9条の規定を適用することができるか(争点(1))について(1) 相続税法9条は,贈与契約の履行により取得したものとはいえないが,関係する者の間の事情 1 本件各譲渡に関し原告らについて相続税法9条の規定を適用することができるか(争点(1))について(1) 相続税法9条は,贈与契約の履行により取得したものとはいえないが,関係する者の間の事情に照らし,実質的にみて,贈与があったのと同様の経済的利益の移転の事実がある場合に,租税回避行為を防止するため,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を贈与により取得したものとみなして,贈与税を課税することとしたものであると考えられる。 そして,相続税法基本通達9-2は,相続税法9条の規定に該当する場合を例示したものとして定められたものと解されるところ,同通達9-2(4)の定めるように,同族会社に該当する会社に対する時価より著しく低い価額 の対価での財産の譲渡がされるときには,当該譲渡をした者と当該会社ひいてはその株主又は社員との間にそのような譲渡がされるのに対応した相応の特別の関係があることが一般であり,このことを踏まえると,当該譲渡により譲渡を受けた当該会社の資産の価額が増加した場合には,当該会社の株主又は社員は,その株式又は出資の価額が増加することにより,実質的にみて,当該譲渡をした者から,その増加した部分に相当する金額を贈与により取得したものとみることができるものと考えられる。そうすると,このような場合には,同法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるから,同通達9-2(4)の定めは,同法9条の規定に該当する場合の例示として適当なものというべきである。 したがって,P5からP3及びP4に対してされた本件各譲渡が,時価より著しく低い価額の対価でされたものであり,それによって,同族会社であるP3及びP4(前提事実(1)エ及びオ参照)の資産の価額が増加し,その株式及び持分の価額が 4に対してされた本件各譲渡が,時価より著しく低い価額の対価でされたものであり,それによって,同族会社であるP3及びP4(前提事実(1)エ及びオ参照)の資産の価額が増加し,その株式及び持分の価額が増加したとすれば,P3の株主であり,P4の社員である原告らについて,同法9条の規定を適用することが許されるものと解される。 (2) 原告らは,前記(1)と異なり,本件各譲渡に関して,原告らにつき相続税法9条の規定は適用されず,相続税法基本通達9-2(4)は,同法9条の規定に反し,違法であると主張する。そこで,この点に関する原告らの主張について検討する。 ア原告らは,相続税法9条の「当該利益を受けた者」とは,当該利益の「対価」の支払義務を負っている者と解すべきであると主張する。 しかしながら,同条の「対価を支払わないで」利益を受けた者について,その文理に照らし,原告らの主張するように限定して解すべき根拠は格別見当たらないことからすれば,原告らの上記主張は採用し難いというべきである。 イ原告らは,相続税法9条の規定は,「当該利益を受けさせた者」と「当該利益を受けた者」との間に,「対立承継関係」の存する場合に限って適用されるべきであると主張する。 (ア) しかしながら,相続税法9条の規定には,原告らの主張するように限定して解すべき根拠となる文言は見当たらないし,前記(1)で述べた同条の趣旨からすれば,「当該利益を受けさせた者」と「当該利益を受けた者」を含む関係する者の間の事情に照らし,同条の掲げる者の間での直接的な利益の授受がなくとも,実質的にみて,贈与があったのと同様の経済的利益の移転の事実がある場合には,同条の規定を適用することが許されると解するのが相当である。 (イ) なお,原告らは,個人が同族会社以外の法人にその資産を 実質的にみて,贈与があったのと同様の経済的利益の移転の事実がある場合には,同条の規定を適用することが許されると解するのが相当である。 (イ) なお,原告らは,個人が同族会社以外の法人にその資産を低額で譲渡した場合にも,相続税法9条の規定が適用されることになる結論は不当であり,このような不当な解釈が導かれる原因は,「当該利益を受けさせた者」と「当該利益を受けた者」との間に「対立承継関係」がなくても同条の規定の適用があるという解釈を採用することによるものである旨の主張をする。しかしながら,同規定が同法4条から8条までの規定を補充する性格のものであることは,その文理から明らかであることに加え,前記(1)に述べた同法9条の規定の趣旨に照らせば,同規定については,原告らが前記ア又は(ア)で主張するような一定の状況においてには限られないが,関係する者の間に同法4条から8条までに規定する場合に類するような相応の事情があることを前提として,実質的にみて,贈与があったのと同様の経済的利益の移転の事実がある場合に適用があるものと解され,原告が主張するように個人が同族会社以外の法人に資産を低額で譲渡した場合につき当然にその適用があるものとは断じ難く,原告らの上記主張は採用し難いというべきである。 ウ原告らは,同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合における同社の株式 の含み益(評価益)は相続税法9条の「利益」には該当しないと主張する。 しかしながら,同条の規定に該当する場合を例示したものと解される相続税法基本通達9-2(4)の趣旨とするところは,前記(1)に述べたとおりであり,原告らの主張するように株式の含み益(評価益)一般について同条の「利益」に該当すると定めたものとは解し難く,一般的に,同法において,個人が所有する資産の評価益に対して贈与税 )に述べたとおりであり,原告らの主張するように株式の含み益(評価益)一般について同条の「利益」に該当すると定めたものとは解し難く,一般的に,同法において,個人が所有する資産の評価益に対して贈与税を課すことが予定されていないことと整合しないものではない。 したがって,原告らの上記主張は採用し難いというべきである。 エ原告らは,前記(1)のとおりに解釈すると,相続税法9条の規定の適用範囲が著しく拡張され,納税者の予測可能性,法的安定性を害する危険性がある旨の主張をする。しかしながら,相続税法基本通達9-2(4)の定めが同法9条の規定に該当する場合の例示として適当なものであることは,前記(1)のとおりであって,その内容も十分に具体的なものといえ,租税法律主義にもとるものとは解されず,また,同条の規定の趣旨等について前記(1)のとおりに解釈したとしても,同規定の適用があると考えられる際の関係する者の間の事情に照らし,直ちに納税者の予測可能性,法的安定性を害する危険性があるとは認められない。 オ争点(1)に関する原告らのその余の主張は,既に述べたところに照らし,いずれも採用することができないものというべきである。 2 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))について(1) はじめにア相続税法22条は,贈与により取得した財産の価額につき,特別の定めのあるものを除くほか,当該財産の取得の時における時価によるべき旨を定めているところ,ここにいう時価とは,当該財産の客観的な交換価値をいうものと解される。 イところで,贈与税に係る課税実務においては,評価通達において,相続により取得した財産についてと同様に,贈与により取得した財産の価額の評価に関する 観的な交換価値をいうものと解される。 イところで,贈与税に係る課税実務においては,評価通達において,相続により取得した財産についてと同様に,贈与により取得した財産の価額の評価に関する一義的基準を定め,画一的な評価方式によって財産の価額を評価することとされている。このような方法が採られているのは,贈与税の課税対象である財産には多種多様なものがあり,その客観的な交換価値が必ずしも一般的に確定されるものではないため,財産の客観的な交換価値(時価)を上記のような画一的な評価方式によることなく個別事案ごとに評価することにすると,その評価方式,基礎資料の選択の仕方等により異なった金額が贈与に係る財産の「時価」として導かれる結果が生ずることを避け難く,また,課税庁の事務負担が過重なものとなり,課税事務の効率的な処理が困難となるおそれもあることから,財産の価額をあらかじめ定められた評価方式によって画一的に評価することとするのが相当であるとの理由に基づくものと解される。 ウそして,評価通達に定められた評価方式が当該財産の取得の時における時価を算定するための手段として合理的なものであると認められる場合においては,①前記イのような贈与税に係る課税実務は,納税者間の公平,納税者の便宜,効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし,国民の納税義務の適正な履行の確保(国税通則法1条,相続税法1条参照)に資するものとして,同法22条の規定の許容するところであると解され,②また,取引相場のない株式については,反復継続的に取引がされず,客観的な市場価額が形成されることがないから,合理的と考えられる評価方式によって時価を評価するほかないものというべきところ,上記①において指摘した観点に照らせば,同通達の定める評価方式に がされず,客観的な市場価額が形成されることがないから,合理的と考えられる評価方式によって時価を評価するほかないものというべきところ,上記①において指摘した観点に照らせば,同通達の定める評価方式によって算定された金額をもってその「時価」であるものと評価することもまた,同法22条の規定の許容するところであると解される。 さらに,上記の場合においては,同通達の定める評価方式が形式的に全 ての納税者に係る財産の価額の評価において用いられることによって,基本的には租税負担の実質的な公平を実現することができるものと解されるのであって,同法22条の規定もいわゆる租税法の基本原則の1つである租税平等主義を当然の前提としているものと考えられることに照らせば,特段の事情があるとき(同通達6参照)を除き,特定の納税者あるいは特定の相続財産についてのみ同通達の定める評価方式以外の評価方式によってその価額を評価することは,たとえその評価方式によって算定された金額がそれ自体では同法22条の定める時価として許容範囲内にあるといい得るものであったとしても,租税平等主義に反するものとして許されないものというべきである。 他方,同通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情がある場合には,同通達の定める評価方式以外の評価方式によって評価されたとしても,それが合理的なものであれば,租税平等主義に反するものではなく,適法なものと解するのが相当である。 エ本件では,本件各譲渡が時価より著しく低い価額の対価でされたものであるかどうかを判断する前提として,本件各譲渡に係る本件P6出資の時価がいくらかが争われているところ,以下においては,まず,評価通達の定めによって評価した場合の本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額がいくらになるかを検討することと 渡に係る本件P6出資の時価がいくらかが争われているところ,以下においては,まず,評価通達の定めによって評価した場合の本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額がいくらになるかを検討することとし(争点(2)ア),その検討をする中で,当事者の主張を踏まえ,同通達の定める評価方式が合理的なものといえるかどうか,また,同通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるかどうかについても必要に応じて判断することとし,次いで,前記アからウまでに述べたところも踏まえて,本件各譲渡に係る本件P6出資の時価は本件13社が本件各譲渡後にP4に対してした譲渡の対価の価額である1口当たり5000円であるといえるかを判断することとする(争点(2)イ)。 (2) 評価通達の定めによって評価した場合,本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額はいくらか(争点(2)ア)についてア P6の設立から本件13社が本件P6出資をP4に譲渡するまでの事実関係等前提事実に証拠(後掲のもの)及び弁論の全趣旨を併せると,次の事実が認められる。 (ア) P9は,平成2年6月8日,P3の株式200万株(P9が認識していた1株当たりの時価は3200円であり,総額は64億円であった。)と,土地及び建物(P9が認識していた時価は約13億2000万円であった。)をP6を設立するに当たり現物出資し,上記土地及び建物に付随するP9の借入金の債務4億円を同社に承継させた上,金員4600万円を払い込み,同社の出資9万9995口(1口当たりの金額は1000円である。)を取得した。また,原告P1は,金員5000円を払い込み,同社の出資5口を取得した。 P6は,P3の株式200万株を,1株当たり25円,合計金額5000万円という帳簿価額による現物出資として受け入れ 取得した。また,原告P1は,金員5000円を払い込み,同社の出資5口を取得した。 P6は,P3の株式200万株を,1株当たり25円,合計金額5000万円という帳簿価額による現物出資として受け入れ,また,上記土地及び建物を4億0399万5000円という帳簿価額による現物出資として受け入れており,上記4600万円及び5000円の払込み及び借入金の債務の承継と合わせて,資産の合計を5億円,負債の合計を4億円,資本金を1億円とし,出資の口数を10万口として設立されたものである。 P6は,上記の現物出資に係る土地及び建物を賃貸することをその事業の内容とし,少なくとも平成14年1月1日から平成17年12月31日までの間において,営業収入は上記の賃貸による家賃収入のみであった。 ((ア)につき,甲6,7,乙6の1・2) (イ) P9は,平成3年12月5日,P3の取引会社のうち,P3に対して長年にわたって酒類を卸してきた有力な取引先である本件13社に対し,本件P6出資のうち各4000口(合計5万2000口,同社の総出資口数の52パーセント相当)を1口当たりのいわゆる額面額である1000円で売却した。その結果,P9の保有する本件P6出資の口数は4万7995口となり,原告P1の保有する5口と併せて,P9及び原告P1のP6における出資の割合は48パーセントとなった。(乙6の1・2)(ウ) 本件13社各社がP9から本件P6出資を購入した経緯及び動機については,以下のとおりであった。 aP11P3側からP11の秘書室に対して文書により依頼があり,同室から担当部署にその案件が引き継がれた。P11は,P3が大事な得意先であり,現在の関係を維持する必要があること,依頼を承諾することにより,今後の関係を強化することができること,P11を含 あり,同室から担当部署にその案件が引き継がれた。P11は,P3が大事な得意先であり,現在の関係を維持する必要があること,依頼を承諾することにより,今後の関係を強化することができること,P11を含めた13社に同内容の依頼があると聞いていること,購入金額が400万円であることから,本件P6出資を購入した。(甲55の2・3,乙32の2)bP12P9と原告P1から当時のP12の社長に対して依頼があった。P12は,P3がP12の最上の得意先であり,今後の取引上,依頼を引き受けざるを得ず,相互に関係を強化したいという考えもあったこと,購入金額もさほど大きくないことから,本件P6出資を購入した。 (乙32の2,35の2)cP13原告P1から当時のP13の社長に対して直接に依頼があったほか, 文書による依頼があった。P13は,P6の資産状況について話を聞くなどした上で,今後の強い取引関係というメリットを期待したこと,購入金額が多額でないことから,本件P6出資を購入した。(甲50の2,乙32の2,35の4)dP14P9又は原告P1から当時のP14の社長に対して直接に依頼があり,同社長から同社の担当部署に対して本件P6出資を購入する方向で検討するよう指示があった。P14は,P3がP14の主要な得意先であり,現在の関係を維持する必要があること,本件P6出資の購入を承諾することにより,今後の取引先としての信頼関係を深められるとの期待があったこと,購入金額がさほど高額でもないこと,それなりの配当が得られるだろうと考えられたことから,本件P6出資を購入した。(乙32の2,35の5)eP15P3側から当時のP15の社長に対して直接に依頼があった。P15は,P3が主要な得意先であり,関係強化のため,また,P15の社長 ,本件P6出資を購入した。(乙32の2,35の5)eP15P3側から当時のP15の社長に対して直接に依頼があった。P15は,P3が主要な得意先であり,関係強化のため,また,P15の社長の意向により,本件P6出資を購入した。(乙32の2)fP16P3側からP16のP24支社に対して依頼があったほか,原告P1から当時のP16の社長に対して会合の際に依頼があった。P16は,P6の資産内容等について説明を受けるなどした上で,P3が主要な得意先であり,現在の関係を維持する必要があり,更なる取引を期待していたこと,安定した配当が得られるという期待があったことから,本件P6出資を購入した。(乙32の2,35の9)gP17P3側からP17のP25支社に対して依頼があり,同支社から同 社の本社に対して検討依頼があった。P17は,P3が主要な得意先であり,現在の関係を維持する必要があること,購入金額がさほど高額でもないこと,今後の取引の上で依頼を引き受けざるを得ないことから,本件P6出資を購入した。(甲43の3,乙32の2)hP18原告P1から当時のP18の社長に対して直接に依頼があり,同社長から担当者に対して依頼を引き受けるよう指示があった。P18は,P3が大事な得意先であり,今後の取引上協力せざるを得ないこと,P6の安定社員となることで,同社と継続的かつ良好な取引関係を持つことが期待できること,安定した配当を得ることを期待したこと,購入金額がさほど高額でもないことから,本件P6出資を購入した。 (乙32の2,35の6)iP19P9又は原告P1から当時のP19の社長に対して口頭で直接に依頼があった。P19は,P3が主要な得意先であり,現在の関係を維持する必要があり,P3との長期にわたる安定的な取引を 6)iP19P9又は原告P1から当時のP19の社長に対して口頭で直接に依頼があった。P19は,P3が主要な得意先であり,現在の関係を維持する必要があり,P3との長期にわたる安定的な取引を期待したこと,直接にP9又は原告P1から依頼があったこと,購入金額が400万円であること,配当を受けることが見込まれることから,本件P6出資を購入した。(甲44の1から3まで,乙32の2,35の15)jP20P20が本件P6出資を購入したのはP3とP20とのトップ同士で決定された事項であった。その理由は,P3がP20の主要な取引先であり,今後の緊密な取引関係を維持する必要があること,既に同様の依頼について,大手の酒造メーカー数社が応じていたこと,購入金額が少額であることにあった。(甲45の3,乙32の2) kP21原告P1から当時のP21の社長に対して電話で依頼があり,同社長の独断で本件P6出資の購入が決まった。その理由は,取引先としての現在の関係を強化すること,購入金額が400万円と少額であることにあった。(乙32の2)lP22(本件P6出資の購入当時の商号は,P26株式会社であった。)P3側からP22の社長宛てに書面による依頼があった。P22は,主要取引先のP3からの依頼で,同社との関係をよくする考えがあったこと,購入金額が400万円と安いこと,近い将来に配当が得られるようになるのではないかとの期待があったことから,本件P6出資を購入した。(乙32の2,35の16)mP23原告P1から当時のP23の社長に対して直接に電話で安定社員となってほしい旨の依頼があった。P23は,有力な取引先であるP3との関係強化が期待できること,配当又はキャピタルゲインが期待できること,購入金額に問題がないと判断し 長に対して直接に電話で安定社員となってほしい旨の依頼があった。P23は,有力な取引先であるP3との関係強化が期待できること,配当又はキャピタルゲインが期待できること,購入金額に問題がないと判断したことから,本件P6出資を購入した。(甲51の2,乙35の8)(エ) P9は,前記(イ)のとおり本件P6出資を売却した8日後の平成3年12月13日に死亡し,同人に係る相続が開始した。同人が保有していた本件P6出資4万7995口は,P5が取得した。(乙6の1)また,P9の死亡後,原告P1は,P3,P4及びP6の代表者に就任した(弁論の全趣旨)。 (オ) P9の相続人である原告P1及びP5ほか2名は,P9の死亡によって開始した相続に係る相続税の申告をするに当たり,同人の相続財産のうち本件P6出資4万7995口の価額の評価について,P6の保有 する資産であるP3の株式200万株の価額を配当還元方式によって評価し,かつ,現物出資された資産の時価と各資産の帳簿価額(現物出資額)との評価差額に対しては51パーセントの法人税が課せられることになるからこれを差し引いた上でP6の資産の価額を評価すべきであるとして,法人税相当額をP6の資産額から控除した上で本件P6出資1口当たりの単価を算出し,これに基づいて相続税額を算定して相続税の申告をした。 これに対し,芝税務署長は,P6が保有するP3の株式200万株の価額については,配当還元方式によってではなく類似業種比準方式によって評価すべきであり,また,現物出資された資産の帳簿価額と時価との評価差額に対して法人税が課せられるのは会社を清算する遠い将来のことであって,相続時において差し引かれるべき法人税額は微少なものにすぎず,法人税相当額をP6の資産額から控除する必要はなく,上記相続税の申告額は して法人税が課せられるのは会社を清算する遠い将来のことであって,相続時において差し引かれるべき法人税額は微少なものにすぎず,法人税相当額をP6の資産額から控除する必要はなく,上記相続税の申告額は過少であるとして,これについて更正処分をするとともに,過少申告加算税の賦課決定処分をした。 ((オ)につき,乙6の1・2)(カ) 前記P9の相続人らは,芝税務署長に対し,前記(オ)の各処分は,評価通達に違反し,P9の相続財産の評価を誤った違法があるとして,前記(オ)の更正処分のうち申告額を超える部分及び前記(オ)の過少申告加算税の賦課決定処分(いずれも,裁決により取り消された部分を除く。)の取消しを求める訴えを提起した(先代相続税事件)。 先代相続税事件について,当庁平成12年(行ウ)第90号同16年3月2日判決(乙6の1)は,上記各処分は適法であるとして,P9の相続人らの請求をいずれも棄却し,その控訴審判決である東京高裁平成16年(行コ)第123号同17年1月19日判決(乙6の2)も,上記各処分は適法であるとして,P9の相続人らの控訴をいずれも棄却し, 同判決は確定した。 ((カ)につき,乙6の1・2)(キ) その後,平成17年3月31日,本件各譲渡がされ,また,同年10月から12月にかけて,本件13社は,いずれも,P4に対し,その保有する本件P6出資の全部(各4000口)を代金2000万円(1口当たり5000円)で売却した。 (ク) 本件13社各社がP4に対し本件P6出資を売却するに先立って,「有限会社P6 代表取締役 P1」名義により平成17年8月25日付けで「出資者各位」宛てに作成された「有限会社P6の出資金買受の件」と題する書面が,本件13社に対して送付された。 上記書面は,「ただ今,P27グループのガバナンスの 義により平成17年8月25日付けで「出資者各位」宛てに作成された「有限会社P6の出資金買受の件」と題する書面が,本件13社に対して送付された。 上記書面は,「ただ今,P27グループのガバナンスの見直しを行っており,有限会社P6につきまして,P4合名会社(*1)にその出資を集約する運びとなりました。」と記載された上,本件13社が保有する本件P6出資をP4が買い受けたいこと,「貴社におかれましては,安定社員として当社の経営に何かとご協力下さり」,感謝していること,代金を1口当たりの額面金額が1000円であるところ5000円としたいこと,これの算定根拠については,毎期5パーセントの配当を実施していることを前提に配当還元方式により評価した価額である1口当たり500円の10倍としたこと,本件P6出資1口当たりの「類似業種の比準価額」が1406円であり,「簿価純資産価額」が3010円であること,「なお,税務上の問題ですが,非上場の有価証券につきましても時価で売買することになりますが,第三者間の法人間の取引は経済的合理性に基づいて相対で決めた金額が時価とな」ること,この案件の問い合わせ先がP3の経理部副部長(P28)であることが記載され,末尾に「*1 P4合名会社:住所東京都渋谷区α×番9号代表者P1」と記載されたものであり,「別紙Ⅰ」として,上記「類似業種の 比準価額」に係る「類似業種比準価額等の計算明細書」が添付され,また,「別紙Ⅱ」として,P6の平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度の決算報告書の貸借対照表と損益計算書が添付されたものであった。 ((ク)につき,甲14,乙8)(ケ) 本件13社各社が,前記(イ)のとおり本件P6出資を取得した後,前記(キ)のとおり本件P6出資を譲渡するまでの間において,P6 が添付されたものであった。 ((ク)につき,甲14,乙8)(ケ) 本件13社各社が,前記(イ)のとおり本件P6出資を取得した後,前記(キ)のとおり本件P6出資を譲渡するまでの間において,P6の社員としてした行動等については,次のとおりである。 a 東京国税局課税第一部資料調査第三課が本件13社に対する調査を行った平成5年6月当時まで,本件13社は,いずれも,P6の社員総会への出席をせず,白紙委任状を提出していた(乙32の1・2)。 b 先代相続税事件において,原告P1を含むその事件の原告らから,本件13社(ただし,P11を除く。)の従業員の作成した陳述書が証拠として提出されたところ,その陳述書が作成された平成13年7月ないし同年10月の当時まで,本件13社(ただし,P11を除く。)は,いずれも,P6の社員総会における議案について,白紙委任し,又は賛成する旨の委任状を提出していた(乙35の1から16まで)。 c 本件13社は,いずれも,平成17年3月25日に開催されたP6の臨時社員総会について,受任者の氏名欄が白紙になっており,受任者の権限として「平成17年3月25日開催の有限会社P6の臨時社員総会に出席し,下記の議案につき,私の指示(○印で表示)に従って,議決権を行使すること。但し,議案に対し賛否を明示していない場合及び原案に対し修正案が提出された場合は,いづれも白紙委任します。」と不動文字で記載された委任状に,議案(「社員持分譲渡承認案」及び「有価証券売却承認案」)の賛否欄における各「賛」の字に いずれも○印を表示した上で,記名押印して,P6に対して提出した(乙7の1から13まで)。 イ本件各譲渡に係る本件P6出資が「同族株主以外の株主等が取得した株式」又は「特定の評価会社の株式」に該当するか,また,それを前 で,記名押印して,P6に対して提出した(乙7の1から13まで)。 イ本件各譲渡に係る本件P6出資が「同族株主以外の株主等が取得した株式」又は「特定の評価会社の株式」に該当するか,また,それを前提に,本件P6出資の価額をいかなる評価方式によって評価するか(ア) 評価通達178は,その本文において,取引相場のない株式の価額について,評価会社の規模に応じて,同通達179に定める方法によって評価する旨を定める一方,同通達178のただし書において,同族株主以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式の価額について,例外的な方法によって評価する旨を定めている。 そして,上記例外的な方法によってその価額を評価する株式について,同通達188は,上記「同族株主以外の株主等が取得した株式」の意義を定めるとともに,その株式の価額を同通達188-2に定める方法(配当還元方式。ただし,配当還元方式によって評価した金額が,同通達179の定めにより評価するものとして計算した金額を超える場合には,その金額によるものとされる。)によって評価する旨を定めている。 また,同通達189は,上記「特定の評価会社の株式」の意義等を定めるところ,そのうち,株式保有特定会社通達(評価通達189(2))は,株式保有特定会社(同通達178に定める中会社及び小会社においては,株式保有割合が50パーセント以上である評価会社)の株式の価額を同通達189-3に定める方法(純資産価額方式。ただし,納税義務者の選択により,「S1+S2」方式によることができるものとされる。)によって評価する旨を定めている。 このように,同通達は,評価しようとする株式が「同族株主以外の株主等が取得した株式」や株式保有特定会社の株式に該当するかどうかによって,その価額の評価方式を異にする旨を定めており 旨を定めている。 このように,同通達は,評価しようとする株式が「同族株主以外の株主等が取得した株式」や株式保有特定会社の株式に該当するかどうかによって,その価額の評価方式を異にする旨を定めており,有限会社の持 分の価額については,これらに準じて計算した額による旨を定めている(同通達194)ので,本件P6出資がこれらに当たるかどうか等を検討する。 (イ) 本件各譲渡に係る本件P6出資が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当するか(P3及びP4がP6の同族株主に該当するか)a 「同族株主以外の株主等が取得した株式」の意義について,評価通達188(1)は,「同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式」を掲げ,この場合における「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上(その評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50パーセント超である会社にあっては,50パーセント超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう旨を定めている。したがって,本件各譲渡により本件P6出資を取得したP3及びP4がP6の同族株主に該当するとすれば,上記の譲渡に係る本件P6出資は同通達188(1)に掲げられた意義による「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当しないことになる。 そして,上記「同族関係者」の意義について,同通達188(1)は,法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいうが,ただし,当該法人の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数 188(1)は,法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいうが,ただし,当該法人の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と,「数の株式」は「数の議決権」と読み替えるものとする旨を定めている。 そこで,これらの定めを前提に,課税時期である本件各譲渡の時において,P3及びP4がP6の同族株主に該当するかどうかを検討することとする。 b まず,前提事実(1)イのとおり,原告P2は,原告P1の子であるから,原告P1の同族関係者であるといえる(評価通達188(1),法人税法施行令4条1項1号)。 次に,同(1)オのとおり,原告らは,P4に対する出資の価格の総額である3000万円(60万口)のうち合計2000万円(40万口)を保有していたから,P4は,原告らの同族関係者であるといえる(同通達188(1),法人税法施行令4条2項1号)。 c ところで,前提事実(1)カのとおり,本件P6出資の口数の総数である10万口のうち,原告P1は5口を保有していたところ,同(2)アのとおり,P4は,本件各譲渡により,2万3995口を保有することになった(合計2万4000口)。 他方,同(2)アのとおり,P3は,本件各譲渡により,本件P6出資の2万4000口を保有することになったが,同(1)エのとおり,P6は,P3の発行済株式総数700万株のうち200万株を保有しており,P3の総株主の議決権の4分の1を超える議決権を有するため,P3は,その保有するP6の持分についてその出資の口数に応じての議決権を有しない(有限会社法41条,商法241条3項)。 そうすると,原告P1及びP4は,上記のP3の出資の口数に係るものを0として計算したP6の議決権総数7万6000(10万-2万 に応じての議決権を有しない(有限会社法41条,商法241条3項)。 そうすると,原告P1及びP4は,上記のP3の出資の口数に係るものを0として計算したP6の議決権総数7万6000(10万-2万4000。評価通達188-4参照)のうち,2万4000の議決権を有するから,原告P1及びP4の有するP6の議決権は,P6の議決権総数の30パーセント以上であり(なお,前提事実(1)カのとおり,当時のP6の他の社員は本件13社であり,P6においては,議決権総数の50パーセントを超える議決権を有する社員及びその同族関係者のグループはいなかった。),原告P1及びP4は,P6の同族株主に該当する(同通達188(1))。 d(a) 他方,前記cによれば,原告P1及びP4の有する議決権は,P6の議決権総数の50パーセントを超えないから,評価通達188(1)を形式的に適用すると,P6は,原告P1及びP4の同族関係者には該当しないことになる(法人税法施行令4条2項2号参照)。 (b) しかしながら,前記ア(ア),(イ),(エ)及び(キ)のとおり,P6は,その設立時にはP9及び原告P1が持分の全てを保有していたところ,P9から本件13社に対する本件P6持分の譲渡の後においても,P9及び原告P1が,出資の口数の総数の過半数に極めて近い48パーセントという高い比率の持分を保有していたものである上,P9の死亡後は,原告P1の母であるP5が,P9の保有していた本件P6出資を取得したほかは,本件各譲渡に至るまで,P6の社員及び出資の口数には変更がなかった。そして,同(ウ)のとおり,本件13社各社がP9から本件P6出資を購入した経緯及び動機をみると,本件13社の中には,P9又は原告P1から直接に依頼を受けたものもあるところ,本件13社は,いずれも,P3側 同(ウ)のとおり,本件13社各社がP9から本件P6出資を購入した経緯及び動機をみると,本件13社の中には,P9又は原告P1から直接に依頼を受けたものもあるところ,本件13社は,いずれも,P3側からの依頼を受け,P3との取引関係の強化又は維持を動機として本件P6出資を購入したものであり,証拠(乙39から42まで)によれば,現に,上記購入後,本件13社がP4に対して本件P6出資を売却した平成17年当時までの間,P3は,本件13社にとっての得意先又は主要な取引先であり続けたと認められる。また,同(ケ)のとおり,本件13社は,P6の社員であった間,社員総会への出席をせず,白紙委任し,又は賛成する旨の委任状を提出するなどしており,これらの事実からすると,P6の経営に関し,本件13社は,他の社員でありP6の代表者である原告P1及び同じく他の社員であり同原告の母であるP5(本件各譲渡後はP4)の意 向に反するような行動をとることは全くなかったと認められる。 以上の事実関係によれば,P6は,本件13社が社員であった間,一貫して,原告P1及びその同族関係者(本件各譲渡まではP5(評価通達188(1),法人税法施行令4条1項1号参照),本件各譲渡後はP4)によって実質的に支配されていたと認められる。なお,先代相続税事件において原告P1らが提出した本件13社の担当者の陳述書(乙35の1から16まで)及び原告ら訴訟代理人による担当者からの聴取書(甲43から55までの各1)の中には,議案の内容によっては,社員総会に出席したり,議案に反対したりすることもあり得る旨の記載があり,P14及びP17の担当者(証人P29及び同P30)も同旨の証言をするが,上記のとおり,本件13社は既に本件P6出資を売却済みであるところ,それまでに上記記載及び証言にある あり得る旨の記載があり,P14及びP17の担当者(証人P29及び同P30)も同旨の証言をするが,上記のとおり,本件13社は既に本件P6出資を売却済みであるところ,それまでに上記記載及び証言にあるような行動をとらなかったものであることも考慮すると,その記載及び証言は,いわゆる建前を述べたものであるといわざるを得ず,上記の認定を覆すものではない。 (c) 前記(ア)のとおり,評価通達188及び同通達188-2は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」の価額について例外的な方法である配当還元方式によって評価することとしたものであるところ,これは,いわゆる少数株主が取得した株式について,その株主は単に配当を期待するにとどまるという実質のほか,評価手続の簡便性をも考慮して,例外的な方法を採用したものである(乙23)。 そして,前記aのとおり,特定の株主等が評価会社において同通達188(1)の「同族株主」に該当するかどうかを判定するに当たっては,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の割合をみる必要があるところ,同定めにおいて,上記「同族関係者」に該当 するための要件の一つとして,法人税法上の同族会社の意義につき定める法人税法施行令4条2項が,判定会社株主等の1人又はこれと特殊の関係のある個人等が他の会社の50パーセントを超える議決権を有することを定めている例によるものとしているのは,ある株主等(及びその同族関係者である個人等)が他の会社を支配している場合には,その会社も同族関係者とし,その同族関係者たる会社を含めて,当該株主等が,評価会社について単に配当を期待するにとどまる少数株主といえるかどうかを判定するべきであるという趣旨に出たものであると考えられる。 そうすると,本件における原告P1及びP4とP6との関係のように, 価会社について単に配当を期待するにとどまる少数株主といえるかどうかを判定するべきであるという趣旨に出たものであると考えられる。 そうすると,本件における原告P1及びP4とP6との関係のように,前者が後者を実質的に支配する関係にある場合において,同通達188(1)及び同令4条2項を形式的に適用することは,結局のところ,上記のとおりの同通達188及び同通達188-2の趣旨にもとるものというべきであって,上記の場合には,後者を前者の同族関係者とみることとするのが相当であり,その点において,同通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるというべきである。 (d) 以上のとおり,本件各譲渡の時において,原告P1及びその同族関係者であるP4は,P6を実質的に支配していることから,P6は,原告P1及びP4の同族関係者に該当するというべきである。 e 次に,前提事実(1)エのとおり,P3の発行済株式総数700万株のうち,原告P1が39万1150株,原告P2が5万株,P4が198万9100株,P6が200万株を保有しており,原告P1及びその同族関係者(前記bからdまでのとおり,原告P2,P4及びP6はいずれも原告P1の同族関係者である。)の保有する株式数の合計は443万0250株となる。 そうすると,原告P1及びその同族関係者の有するP3の議決権の合計数は,P3の議決権総数の50パーセントを超えるから,P3は,原告P1の同族関係者に当たる(評価通達188(1),法人税法施行令4条2項3号)。 f そして,前記cからeまでによれば,原告P1及びその同族関係者であるP3及びP4の有するP6の議決権数の合計数は同社の議決権総数の30パーセント以上であるから,原告P1及びP4にとどまらず,P3もP6の同族株主に当たる(評価 れば,原告P1及びその同族関係者であるP3及びP4の有するP6の議決権数の合計数は同社の議決権総数の30パーセント以上であるから,原告P1及びP4にとどまらず,P3もP6の同族株主に当たる(評価通達188(1))。 したがって,本件各譲渡によりP3及びP4が取得した本件P6出資は,いずれも,評価通達188(1)に掲げられた意義による「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当しないことになる。 g 以上のほか,本件各譲渡によりP3及びP4のいずれが取得したものについても,本件P6出資が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当する旨の主張立証はない。したがって,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額は,P3及びP4のいずれが取得したものについても,評価通達188-2に定める方法によって評価されるものではない。 h 原告らは,P3がP6の同族株主に該当しないと主張し,本件各譲渡によりP3が取得した本件P6出資が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当することを前提に,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額を配当還元方式によって評価すべきである旨の主張をするが,以上に述べたところからすれば,これを採用することはできない。 (ウ) P6が株式保有特定会社に該当するかa 前提事実(1)カのとおり,P6は不動産賃貸を目的とする資本の総額が1億円の会社であり,平成16年1月1日から同年12月31日までの事業年度における法人税の申告書及び決算書等によれば,同日 における従業員数は2人,同日以前1年間の取引金額は4794万6720円であったことからすると,本件各譲渡の時において,P6は,評価通達178の定める小会社に該当すると認められる。そうすると,課税時期である本件各譲渡の時においてP6の株式保有割合が50パーセント以上であると, とからすると,本件各譲渡の時において,P6は,評価通達178の定める小会社に該当すると認められる。そうすると,課税時期である本件各譲渡の時においてP6の株式保有割合が50パーセント以上であると,P6は株式保有特定会社に該当することになる(株式保有特定会社通達(評価通達189(2)))。 b そして,P6が株式保有特定会社に該当するかどうかを判断するためには,前提事実(1)エのとおり,P6はP3の株式200万株を保有していたことから,その価額が問題となる。 (a) 前提事実(1)エのとおり,P3の平成16年12月31日における従業員数が約1650人であったことからすると,本件各譲渡の時において,P3は,評価通達178の定める大会社に該当すると認められる。 (b) 前記(イ)dのとおり,P6は原告P1の同族関係者に該当するところ,同eに摘示した原告P1及びその同族関係者の有するP3の議決権の合計数は,P3の議決権総数の50パーセントを超えるから,原告P1の同族関係者であるP6は,P3の同族株主に当たる(評価通達188(1))。 したがって,P6の保有するP3の株式の価額は,「同族株主以外の株主の取得した株式」の価額の評価について同通達188-2に定める評価方式(配当還元方式)によって評価されるものではない(同通達188)。 原告らは,P6がP3の同族株主に該当しないと主張し,P6の保有するP3の株式が「同族株主以外の株主等が取得した株式」に該当することを前提に,P3の株式の価額を配当還元方式によって評価すべきである旨の主張をするが,以上に述べたところからすれ ば,これを採用することはできない。 (c) 以上のほか,P6の保有するP3の株式の価額について,例外的な方法によって評価すべきであることを基礎付ける事実の主張立 上に述べたところからすれ ば,これを採用することはできない。 (c) 以上のほか,P6の保有するP3の株式の価額について,例外的な方法によって評価すべきであることを基礎付ける事実の主張立証はない。 したがって,P6の保有するP3の株式の価額は,大会社の株式の価額の原則的な評価方式である類似業種比準方式によって評価するのが相当である(評価通達179(1))。 (d) そして,本件各譲渡の時における類似業種比準方式で評価した場合のP3の株式1株当たりの価額は,被告別表1の第3表のとおり,4047円(同表の㉙欄)であったと認められる(この算定の基となった金額等の数値は,当事者間に争いがない。なお,同表による計算の過程に誤りは見当たらない。)。そうすると,P6が保有していたP3の株式200万株の価額は,80億9400万円(1株当たり4047円×200万株)となる。 c また,P3の株式以外にP6の有する各資産について,評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額は,1億3095万8000円であった(当事者間に争いがない。)。 d 以上によれば,P6の株式保有割合は,98.4パーセント(80億9400万円÷(80億9400万円+1億3095万8000円)=0.984)であり,50パーセント以上であることは明らかであるから,本件各譲渡の時においてP6は株式保有特定会社に該当する。 (エ) 本件P6出資の価額の評価について株式保有特定会社通達を適用すべきかa 前記(ア)のとおり,株式保有特定会社通達は,株式保有特定会社の株式の価額について,評価通達189-3に定める例外的な方式によって評価することとしたものであるところ,これは,資産構成が類似 業種比準方式における類似業種の株価の計算における基準となる上場会社である について,評価通達189-3に定める例外的な方式によって評価することとしたものであるところ,これは,資産構成が類似 業種比準方式における類似業種の株価の計算における基準となる上場会社である標本会社(同通達182ほか。乙14)に比して著しく株式等に偏っている評価会社の株式の価額は,その保有する株式等の価額に依存する割合が高いものと考えられるため,原則的評価方式(類似業種比準方式又は同方式による評価額が考慮され得る方式。同通達179参照)によっては適正な株式の価額の評価を行い難く,原則的評価方式による評価額と適正な時価との間に開差が生ずることとなり,このような開差がこれを利用したいわゆる租税回避行為の原因ともなっているため,課税の公平の観点から,そのような開差の是正及び株式の価額の評価の一層の適正化を図ることを目的として,同通達の平成2年の改正により,特別な評価方式によって評価すべき旨の定めが置かれるに至ったものであると認められる(甲22から25まで,28,34から40まで,乙19)。 そして,株式保有特定会社通達及び株式保有特定会社の株式の価額の評価方式について定める評価通達189-3は,資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている評価会社の株式の価額の評価について,このような評価会社の株式の価額はその保有する株式等の価額に依存する割合が一般に高いものと考えられることを考慮した上で,①当該会社の有する資産の価値を的確に反映し得る評価方式である純資産価額方式又は②株式保有特定会社の事業の実態を株式の価額の評価に反映させるために部分的に類似業種比準方式を取り入れた評価方式である「S1+S2」方式によるべきこととしたものであって,前記(1)イにおいて述べた種々の要請に応えつつ合理的かつ実態に即した の評価に反映させるために部分的に類似業種比準方式を取り入れた評価方式である「S1+S2」方式によるべきこととしたものであって,前記(1)イにおいて述べた種々の要請に応えつつ合理的かつ実態に即した評価を行うための株式の価額の評価方式として,合理的なものであるというべきである。 b 原告らは,一般に,株式保有特定会社通達を適用すべきかどうかを 判断するに当たり,いわゆる租税回避行為ないしその弊害の有無を考慮要素とすべきである旨の主張をする。しかしながら,その主張に沿うような評価通達の定めは見当たらない上,資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている評価会社について,原則的評価方式によっては適正な株式の価額の評価を行い難いことは,いわゆる租税回避行為ないしその弊害がある場合と否とで異なるところはないと考えられる。 また,前記(ウ)のとおり,本件各譲渡の時においてP6の株式保有割合は98パーセントを超えており,P6の資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っていることは明らかであるから,本件P6出資の価額の評価に当たり,その適正化を図るために,株式保有特定会社通達を適用することは,その趣旨にかなうものというべきである。 一件記録によっても,以上のほか,P6について,株式保有特定会社に該当するにもかかわらず,本件P6出資の価額の評価に当たり,株式保有特定会社通達を適用せず,評価通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情の存在を認めることはできない。 c 以上によれば,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額の評価については株式保有特定会社通達を適用すべきであり,本件P6出資の価額を評価するに当たっては,評価通達189-3に定める方式,すなわち,純資産価額方式又は「S 件各譲渡に係る本件P6出資の価額の評価については株式保有特定会社通達を適用すべきであり,本件P6出資の価額を評価するに当たっては,評価通達189-3に定める方式,すなわち,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によることとするのが相当である。 ウ本件P6出資の価額を評価するに当たり,評価通達185のただし書を適用すべきか(ア) 評価通達185のただし書は,株式の取得者とその同族関係者の有する議決権の割合が50パーセント以下の場合に,その株式を純資産価 額方式により評価するときは,純資産価額方式により計算した1株当たりの純資産価額の80パーセントに相当する金額によって評価することとしている。 これは,小会社における同族株主による会社経営の実態は,個人事業者の場合と実質的にはほとんど変わることがないものが多いが,小会社の中には複数の同族株主のグループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,単独のグループの保有する株式数だけでは会社を完全に支配することはできないという実態が認められるため,このような実態に即したものとする必要があることから,単独のグループの保有する株式数によって会社支配を行っている場合の支配力との較差を考慮して,株式の取得者とその同族関係者の有する議決権の割合が50パーセント以下の場合に,純資産価額方式により評価するときは,20パーセントの評価減を行うこととしたものである(乙31)。 (イ) 前記イ(ウ)aに述べたとおり,本件各譲渡の時において,P6は,評価通達178の定める小会社に該当し,また,同(エ)cのとおり,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額を評価するに当たっては,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によることとするのが相当であるところ,同(イ)cのとおり,原告P1と本件各譲渡 ,同(エ)cのとおり,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額を評価するに当たっては,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によることとするのが相当であるところ,同(イ)cのとおり,原告P1と本件各譲渡により本件P6出資を取得したその同族関係者であるP3及びP4とは,P6の議決権総数7万6000のうち2万4000の議決権を有するのみであって,その有する議決権は,P6の議決権総数の50パーセント以下であった。そうすると,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額の評価について,同通達185のただし書を形式的に適用するとすれば,純資産価額方式によって評価するときには,20パーセントの評価減を行うこととなる。 (ウ) しかしながら,前記イ(イ)d(b)に述べたとおり,P6は,本件13社が社員であった間,一貫して,原告P1及びその同族関係者によっ て実質的に支配されていたと認められるのであって,このような事情がある場合に,単独のグループの保有する株式数だけでは会社を完全に支配することができないといえる場合に評価減を行うものとした評価通達185のただし書を適用することは,その定めを設けた趣旨にもとるというべきであって,その点において,同通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるというべきである。 (エ) なお,原告らは,評価通達185のただし書の適用に際して,本件13社による「経営の意図」というような主観的な要素を考慮するべきでない旨の主張をする。しかしながら,前記(ウ)の判断は,原告P1及びその同族関係者がP6を実質的に支配していたという事情を基にしたものであって,本件13社の主観的な認識等から直ちに上記の判断をしたものではないから,上記原告らの主張は前提を欠くものというべきである。また,原告らの主張が,上記のようなP6に対す う事情を基にしたものであって,本件13社の主観的な認識等から直ちに上記の判断をしたものではないから,上記原告らの主張は前提を欠くものというべきである。また,原告らの主張が,上記のようなP6に対する支配に係る事情の認定をするに当たり,前記イ(イ)d(b)に述べたような本件13社を含めた関係者らの主観的な認識等を考慮すべきでないという趣旨であれば,そのような主張には理由がないというべきである。 (オ) 以上によれば,原告P1の同族関係者であるP3及びP4が本件各譲渡により取得した本件P6出資の価額について純資産価額方式によって評価する場合,評価通達185のただし書を適用すべきではないから,その定めによって20パーセントの評価減を行うことはできない。 エ評価通達の定めによって評価した場合の本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額以上のとおり,本件各譲渡に係る本件P6出資の価額については,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によって評価することとするのが相当であり,かつ,純資産価額方式による場合に評価通達185のただし書による評価減を行うことはできない。そこで,上記の各評価方式によって, 本件各譲渡の時における本件P6出資の価額の評価額を検討する。 まず,純資産価額方式によると,被告別表2の第5表のとおり,本件P6出資の価額は1口当たり8万1204円(同表の⑪欄)と評価される(この算定の基となった資産及び負債の各科目の評価額及び帳簿価額は,資産の部の投資有価証券の評価額を除き争いがなく,資産の部の投資有価証券の評価額は,前記イ(ウ)b(d)において認定したP6が保有するP3の株式200万株の価額の評価額(80億9400万円)と同額である。 なお,同表による計算の過程に誤りは見当たらない。)。 次に,「S1+S2」方式に (ウ)b(d)において認定したP6が保有するP3の株式200万株の価額の評価額(80億9400万円)と同額である。 なお,同表による計算の過程に誤りは見当たらない。)。 次に,「S1+S2」方式によると,同別表の第7表及び第8表のとおり,本件P6出資の価額は1口当たり8万1204円(同別表の第8表の㉖欄)と評価される(この算定の基となった金額等の数値は,第5表の金額が転記されたもの(上記純資産価額方式による評価において認定済み)を除き,争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない。なお,上記のとおり改めるほか,同別表の第7表及び第8表による計算の過程に誤りは見当たらない。)。 そうすると,純資産価額方式及び「S1+S2」方式のいずれによっても,本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額は同額であり,同通達の定めによって評価した場合の本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額は,被告別表2の第6表のとおり,8万1204円(同表の⑤欄)であるといえる。 そして,以上に検討したほかに,同通達の定めの合理性を疑わせるような事情の主張立証はない。したがって,本件P6出資の本件各譲渡の時における時価は,特段の事情がない限り,1口当たり8万1204円というべきである。 (3) 本件各譲渡に係る本件P6出資の時価は本件13社が本件各譲渡後にP4に対してした譲渡の対価の価額である1口当たり5000円であるといえ るか(争点(2)イ)についてア前記(1)アに述べたとおり,相続税法22条にいう時価とは,贈与により取得した財産のその取得の時における客観的な交換価値をいうものと解されるところ,原告らは,本件各譲渡に係る本件P6出資について,本件13社各社がその後にP4に対してこれを売却した際の代金に相当する1口当たり5000 取得の時における客観的な交換価値をいうものと解されるところ,原告らは,本件各譲渡に係る本件P6出資について,本件13社各社がその後にP4に対してこれを売却した際の代金に相当する1口当たり5000円が時価に当たると主張する。 イこの点,前提事実(2)イのとおり,本件13社各社は,本件各譲渡がされたのと同年である平成17年に,それぞれがP4に対して本件P6出資を売却する旨の売買契約を締結したものであり,また,本件証拠上,本件13社の全体又はその一部が相互に意思を通じて代金額を調整したような事実を認めることはできない。 しかしながら,前記(2)ア(イ),(ウ),(キ)及び(ク)のとおり,本件13社各社とP4との間の上記の各売買契約は,P3に対して長年にわたって酒類を卸してきて同社を有力な取引先とする本件13社が,平成3年当時,P3側からの依頼を受け(中には,P9や原告P1から直接に依頼を受けたものもあった。),P3との取引関係の強化又は維持を動機として,同時期にP9から購入した本件P6出資について,平成17年の本件各譲渡の後に至り,その購入先であったP9の子である原告P1が代表者を務める(前提事実(1)ア参照)P6の名義で,従前「安定社員として」P6の経営に「協力」してきた「出資者各位」に当たる本件13社に対し,「P27グループのガバナンスの見直し」を行っている中でP6の出資をP4に「集約する運びとな」ったことを理由に,原告P1の同族関係者であったP3が関与する中で,P4への売却が依頼されたのに応じて,締結されることとなったものである上,売却した際の代金は,本件13社が本件P6出資を購入した際の代金は1口当たり1000円であったのに対し,購入時の5倍である1口当たり5000円としたい旨のP6からの依頼に 応じて,そのとおりの 却した際の代金は,本件13社が本件P6出資を購入した際の代金は1口当たり1000円であったのに対し,購入時の5倍である1口当たり5000円としたい旨のP6からの依頼に 応じて,そのとおりの代金とされたものである。 以上のような本件13社による本件P6出資の購入及び売却の経緯等からすると,本件各譲渡の後にされた上記の各売却の際の対価の価額をもって,反復継続的な取引がされることにより形成される市場価格などと同視することは困難であるというほかない。 ウまた,原告らは,本件13社が,P4に対する本件P6出資の譲渡に当たり,対価の価額等について十分に検討した上で,合理的な経営判断として譲渡に応じたものであると主張するところ,証拠(甲43の1・2・4,44の1・2・4,45の1・2・4,46の1・2・5・6,47の1・2・5,48の1から3まで,49の1・2・4,50の1・2,51の1・2,52の1・2,53の1から3まで,54の1・2,55の1・2・8,乙18,証人P29,同P30)によれば,本件13社の中には,P4に対する本件P6出資の売却に当たり,過去の配当実績や,P6からの売却依頼に係る書面(甲14,乙8)に添付された類似業種比準金額及び簿価純資産価額の算定根拠等に加え,いわゆる税務リスクを踏まえて,売却代金が合理的なものか検討したものがあるほか,本件13社は,いずれも,関係部署等による検討,協議,稟議,決裁又は決議等を経て,売却の依頼に応じたと認められる。 しかしながら,本件P6出資の本件各譲渡の時における客観的な交換価値について検討するに当たっては,前記イに述べた事情をも踏まえて評価すべきであり,これを踏まえると,本件13社が本件各譲渡の後にされたP6からの依頼を契機とする本件P6出資の譲渡に当たり譲渡の対価の価額等 て検討するに当たっては,前記イに述べた事情をも踏まえて評価すべきであり,これを踏まえると,本件13社が本件各譲渡の後にされたP6からの依頼を契機とする本件P6出資の譲渡に当たり譲渡の対価の価額等について十分に検討していたとしても(ただし,これらの検討等を通じ,本件P6出資が既に平成17年3月31日の時点において本件各譲渡により対価の価額を1口当たり3万9235円として譲渡されていたことが認識されていたことを認めるに足りる証拠はない。),そのことをもって, 本件13社による売買代金に相当する1口当たり5000円について,本件P6出資の本件各譲渡の時における客観的な交換価値であることを根拠付けるものとみることはできないというべきである。 エ以上によれば,本件P6出資の本件各譲渡の時における客観的な交換価値が1口当たり5000円であるということはできず,この点に関する原告らの主張を基に,本件P6出資の本件各譲渡の時における時価の評価について,評価通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるということもできない。 (4) 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))についてのまとめ前記(2)及び(3)によれば,本件P6出資の本件各譲渡の時における時価は,評価通達の定めによって評価した1口当たりの価額である8万1204円というべきである。 そうすると,本件各譲渡により,P5は,P3に対し,本件P6出資2万4000口を,時価19億4889万6000円(1口当たり8万1204円×2万4000口)のところ,9億4164万円(1口当たり3万9235円×2万4000口)で譲渡し,また,P4に対し,本件P6出資2万3995口を,時価19億4848万99 1口当たり8万1204円×2万4000口)のところ,9億4164万円(1口当たり3万9235円×2万4000口)で譲渡し,また,P4に対し,本件P6出資2万3995口を,時価19億4848万9980円(1口当たり8万1204円×2万3995口)のところ,9億4144万3825円(1口当たり3万9235円×2万3995口)で譲渡したものであって,本件各譲渡については,時価より著しく低い価額の対価でされたものであると認められる。 3 原告らは本件各譲渡により相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるか,また,そのように認められる場合,当該利益の価額に相当する金額はいくらか(争点(3))について(1) はじめに 前記2に述べたとおり,本件各譲渡については,時価より著しく低い価額の対価でされたものであると認められるところ,前記1に述べたとおり,これにより,P3及びP4の資産が増加し,その株式及び持分の価額が増加したとすれば,P3の株主であり,P4の社員である原告らについて,相続税法9条の規定を適用することが許されるものというべきである。 そこで,以下においては,本件各譲渡によって,P3の株式及びP4の持分のそれぞれについて,その価額が増加したかを検討し,これによって同条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるかを判断した上,そのように認められる場合,原告らが得た利益の価額に相当する金額はいくらかを検討することとする。 (2) P3の株式の価額の増加について前提事実(1)エのとおり,本件各譲渡の時において,原告P1はP3の株式を39万1150株,原告P2はP3の株式を5万株保有していた。そして,前記2(2)イ(ウ)bのとおり, の価額の増加について前提事実(1)エのとおり,本件各譲渡の時において,原告P1はP3の株式を39万1150株,原告P2はP3の株式を5万株保有していた。そして,前記2(2)イ(ウ)bのとおり,P3の株式の価額は類似業種比準方式によって評価することになる。 その上で,本件各譲渡によるP3の株式の価額の増加額については,被告の主張するとおり,①直前期末において本件各譲渡があったものと仮定して計算した類似業種比準価額から,②直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額を控除した金額によることが相当である。 ア直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算したP3の株式1株当たりの価額の評価額直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算したP3の株式の1株当たりの類似業種比準価額は,被告別表1の第3表のとおり,4047円(同表の㉙欄)と認められる(この金額は,前記2(2)イ(ウ)b(d)で認定した金額と同額である。)。 イ直前期末において本件各譲渡があったものとして計算したP3の株式1株当たりの価額の評価額直前期末において本件各譲渡があったものと仮定した場合の類似業種比準価額の計算は,被告の主張するとおり,評価通達180の定める算式のⒹの金額を修正することにより行うのが相当であり,その金額は,直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額の計算上のⒹの金額の計算の基とした純資産価額に,本件各譲渡により取得した財産の時価に相当する金額から本件各譲渡に係る対価の価額を控除した金額(本件各譲渡について課されるべき法人税等の額を控除した金額)を加算した金額を直前期末現在の発行済株式数で除して計算した1株当たりの金額によるものとし,この場合における本件各譲渡により 控除した金額(本件各譲渡について課されるべき法人税等の額を控除した金額)を加算した金額を直前期末現在の発行済株式数で除して計算した1株当たりの金額によるものとし,この場合における本件各譲渡により取得した財産の時価は,法人税の税務計算上の価額によるのが相当である。 ところで,弁論の全趣旨によれば,P3の平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度における法人税について,日本橋税務署長は,P5から受けた本件P6出資2万4000口の譲渡について,その対価の額が1口当たり8万1177円と評価された時価に比して低く,その差額に相当する受贈益につき益金の額への計上漏れがあるとして,法人税の更正処分をしたことが認められ,その事実によれば,本件P6出資の1口当たりの法人税の税務計算上の価額は,8万1177円と認められる。 そして,これに基づき,被告別表3の第2表のとおり,直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額の計算上のⒹの金額の計算の基とした純資産価額を修正する計算を行い,これを用いて(同別表の第1表の⑲欄参照),直前期末において本件各譲渡があったものと仮定して計算した1株当たりの類似業種比準価額を算定すると,同表のとおり(ただし,同表の⑱欄の直前々期欄を488億7522万4000円,同表の⑲欄の直前々期欄を492億3006万5000円と改め る。),4058円(㉙欄)となる(なお,同別表の第1表及び第2表による計算の過程に誤りは見当たらない。)。 ウ原告らの保有するP3の株式1株当たりの価額の増加額及び原告らが受けた利益の価額に相当する金額以上によれば,本件各譲渡による原告らの保有するP3の株式1株当たりの価額の増加額は,前記イの金額4058円から前記アの金額4047円を控除した差額である 原告らが受けた利益の価額に相当する金額以上によれば,本件各譲渡による原告らの保有するP3の株式1株当たりの価額の増加額は,前記イの金額4058円から前記アの金額4047円を控除した差額である1株当たり11円となる。 そして,これに原告らの保有する株式数を乗じて計算すると,原告P1につき430万2650円(1株当たり11円×39万1150株),原告P2につき55万円(1株当たり11円×5万株)が,原告らそれぞれが受けた利益の価額に相当する金額となる。 (3) P4の持分の価額の増加について前提事実(1)オのとおり,本件各譲渡の時において,原告P1はP4の持分を39万8000口(出資の価格1990万円),原告P2はP4の持分を2000口(出資の価格10万円)保有していた。そして,P4の持分の価額の評価方式についてみるに,P4は,前提事実(1)オのとおり,平成16年12月31日における従業員数が4人であり,不動産賃貸を目的とし,同日以前1年間の取引金額が2億4602万6276円であったことからすると,本件各譲渡の時において,評価通達178の定める中会社に該当すると認められ,また,前提事実(1)オのとおり,平成16年12月31日における同社が所有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合は70パーセントであったこと及び弁論の全趣旨によれば,本件各譲渡の時において,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当すると認められるから,P4の持分の価額は,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によって評価することになる(なお,原告らは,本件出資贈与に係るP4の持分の価額の評価 に当たり同通達を適用すべきでないと主張するが(原告らの主張の要点(別紙4)の4参照),同通 +S2」方式によって評価することになる(なお,原告らは,本件出資贈与に係るP4の持分の価額の評価 に当たり同通達を適用すべきでないと主張するが(原告らの主張の要点(別紙4)の4参照),同通達及び株式保有特定会社の株式の価額の評価方式について定める評価通達189-3が合理的なものであることは前記2(2)イ(エ)aのとおりであり,また,本件証拠上,本件各譲渡の時におけるP4の持分の価額の評価に当たり株式保有特定会社通達を適用せず,評価通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情の存在を認めることはできない。)。 ア本件各譲渡がされる前のP4の持分1口当たりの価額の評価額弁論の全趣旨によれば,P4は,課税時期(平成17年3月31日)に仮決算を行っていないところ,課税時期における同社の資産及び負債の金額は明確でなく,また,同社の直前期末から課税時期までの間の資産及び負債について著しい増減がなく,純資産価額方式による評価額の計算に影響が少ないと認められることから,本件各譲渡がされる前の同社の持分1口当たりの価額の評価額の算定に当たっては,評価明細書通達に基づき,直前期末における各資産及び各負債を基にして算出するのが相当である。 そうすると,本件各譲渡がされる前のP4の持分1口当たりの価額の評価額は,被告別表4の第5表から第8表までのとおり,9589円(同別表の第6表の⑤欄)となる(この算定の基となった金額等の数値は,同別表の第5表における資産の部の有価証券の価額の基となったP3の株式の1株当たりの価額(同表の(注)2参照。この金額は,前記2(2)イ(ウ)b(d)で認定した金額と同額である。)を除き,争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない。なお,同別表の第5表から第8表までによる計算の過程に誤りは見当たら 金額は,前記2(2)イ(ウ)b(d)で認定した金額と同額である。)を除き,争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない。なお,同別表の第5表から第8表までによる計算の過程に誤りは見当たらない。)。 イ本件各譲渡がされた後のP4の持分1口当たりの価額の評価額(ア) 本件各譲渡がされた後のP4の持分1口当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上,本件各譲渡がされる前と比較して,資産の部の有 価証券は,19億4848万9980円(本件P6出資1口当たりの時価8万1204円×2万3995口)増加する。 また,弁論の全趣旨によれば,P4は,P5からの本件P6出資の購入のための資金を銀行からの借入金により調達しており,同借入金は,P4において短期借入金として経理処理されていると認められることから,本件各譲渡がされた後,P4の負債の部の短期借入金は,本件各譲渡がされる前と比較して,9億4144万3825円(本件P6出資の1口当たりの売買代金額3万9235円×2万3995口)増加する。 さらに,法人が時価に比し著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合には,時価と対価との差額に相当する含み益(受贈益)が生じ,当該受贈益は法人税の課税対象となることから,本件各譲渡がされた後,P4の負債の部の未払法人税等は,本件各譲渡がされる前と比較して,19億4784万2115円(本件P6出資の1口当たりの法人税の税務計算上の価額8万1177円(前記(2)イ)×2万3995口)から本件P6出資の対価の価額9億4144万3825円(本件P6出資の1口当たりの売買代金額3万9235円×2万3995口)を控除した金額に42パーセントを乗じた4億2268万7281円の法人税等相当額が増加することになる。 (イ) 前記(ア)に述べたところを踏まえ, 当たりの売買代金額3万9235円×2万3995口)を控除した金額に42パーセントを乗じた4億2268万7281円の法人税等相当額が増加することになる。 (イ) 前記(ア)に述べたところを踏まえ,本件各譲渡がされた後のP4の持分1口当たりの価額の評価額を算定すると,被告別表5の第2表,第4表から第7表までのとおり(ただし,同別表の第2表の類似業種を不動産業とするものについての比準割合の計算中の○D/D欄を8.96,㉕欄を4.68,㉗欄を1937円50銭,㉘欄を1937円,㉙欄を1887円,同別表の第5表の①欄を1887円,同別表の第6表の類似業種を不動産業とするものについての比準割合の計算中の(⑰)/D欄を2.35,㉓欄を2.97,㉕欄を1229円50銭,㉖欄を12 29円,㉗欄を1179円,同別表の第7表の⑫欄を1179円と改める。),1万0562円(同別表の第5表の⑤欄)となる(この算定の基となった金額等の数値は,被告別表4に用いたものと同じもの及び前記(ア)に述べたところを踏まえて修正したものを除き,争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない。なお,上記のとおり改めるほか,被告別表5の第2表,第4表から第7表までによる計算の過程に誤りは見当たらない。)。 ウ原告らの保有するP4の持分1口当たりの価額の増加額及び原告らが受けた利益の価額に相当する金額以上によれば,本件各譲渡による原告らの保有するP4の持分の価額の増加額は,前記イの金額1万0562円から前記アの金額9589円を控除した差額である1口当たり973円となる。 そして,これに原告らの保有する持分の口数を乗じて計算すると,原告P1につき3億8725万4000円(1口当たり973円×39万8000口),原告P2につき194万6000円(1口当たり となる。 そして,これに原告らの保有する持分の口数を乗じて計算すると,原告P1につき3億8725万4000円(1口当たり973円×39万8000口),原告P2につき194万6000円(1口当たり973円×2000口)が,原告らそれぞれが受けた利益の価額に相当する金額となる。 (4) 原告らは本件各譲渡により相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるか,また,そのように認められる場合,当該利益の価額に相当する金額はいくらか(争点(3))についてのまとめ以上のとおり,時価よりも著しく低い価額の対価でされた本件各譲渡によって,原告らは,それぞれ保有するP3の株式及びP4の持分の価額が,原告P1につき合計3億9155万6650円(430万2650円(前記(2)ウ)+3億8725万4000円(前記(3)ウ)),原告P2につき合計249万6000円(55万円(前記(2)ウ)+194万6000円(前記(3)ウ))増加していることから,本件各譲渡により,原告らは,相続税法9条 に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められ,その利益の価額に相当する金額は,原告らについてそれぞれ上記のとおりの金額と認められる。 4 本件出資贈与に係るP4の持分の価額はいくらか(争点(4))について(1) 本件出資贈与に係るP4の持分の価額の評価方式について本件出資贈与に係るP4の持分の価額の評価方式については,P4は,前提事実(1)オのとおり,平成16年12月31日における従業員数が4人であり,不動産賃貸を目的とし,同日以前1年間の取引金額が2億4602万6276円であったことからすると,本件出資贈与の時において,評価通達178の定める中会社に該当すると認めら ける従業員数が4人であり,不動産賃貸を目的とし,同日以前1年間の取引金額が2億4602万6276円であったことからすると,本件出資贈与の時において,評価通達178の定める中会社に該当すると認められ,また,前提事実(1)オのとおり,平成16年12月31日における同社が有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合は70パーセントであったことに加え,本件各譲渡があったこと及び弁論の全趣旨によれば,本件出資贈与の時において,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当すると認められるから,本件出資贈与の時におけるP4の持分の価額は,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によって評価することとなる(なお,P4について同通達を適用すべきことは,前記3(3)に述べたとおりである。)。 (2) 本件出資贈与に係るP4の持分の価額の評価をするに当たって考慮すべき本件P6出資の価額の評価について前提事実(2)アのとおり,P4は,本件各譲渡により,本件P6出資2万3995口を購入していることから,本件出資贈与に係るP4の持分の価額の評価をするに当たっては,上記のようにP4が取得した本件P6出資の価額の評価額を考慮することとなる。 そして,前記2(2)のとおり,本件各譲渡の時におけるP4が取得した本件P6出資の価額については,純資産価額方式又は「S1+S2」方式によ って評価することとするのが相当であり,かつ,純資産価額方式によって評価する場合に評価通達185のただし書による評価減を行うことはできないところ,前記2(2)に述べたところ及び本件各譲渡と本件出資贈与との時期が近接していることによれば,本件出資贈与の時におけるP4が保有する本件P6出資の価額についても,同様に評価する ことはできないところ,前記2(2)に述べたところ及び本件各譲渡と本件出資贈与との時期が近接していることによれば,本件出資贈与の時におけるP4が保有する本件P6出資の価額についても,同様に評価するのが相当である。 そうすると,被告別表6の第4表から第8表までのとおり,本件P6出資の価額は,本件出資贈与の時において,1口当たり7万4241円(同別表の第6表の⑤欄)と評価される(この算定の基となった金額等の数値は,同別表の第5表の資産の部の投資有価証券(相続税評価額)を除き,争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない。そして,上記投資有価証券(相続税評価額)については,平成17年4月26日にP6は同じく原告P1の同族関係者に該当するP4に対してP3の株式25万株を譲渡することにより保有する株式数が175万株となったところ(前提事実(1)エ,証拠(甲11の1(20頁),乙3(2枚目))及び弁論の全趣旨),本件出資贈与の時におけるP6が保有するP3の株式1株当たりの価額の評価額は4047円であること(前記2(2)イ(ウ)bに述べたところによれば,上記の譲渡の前後を通じ,本件各譲渡の時の評価額と同額と認められる。)により,70億8225万円と認められる。なお,上記のとおり改めるほか,同別表の第4表から第8表までによる計算の過程に誤りは見当たらない。)。 (3) 本件出資贈与に係るP4の持分の価額について前記(1)及び(2)を踏まえると,被告別表7の第5表から第8表までのとおり,本件出資贈与に係るP4の持分の価額は,1口当たり1万0731円(同別表の第6表の⑤欄)と評価される(この算定の基となった金額等の数値は,同別表の第5表の資産の部の有価証券(相続税評価額)の算出根拠を記載した同表の(注)2の「課税時期におけるP4の所有するP (同別表の第6表の⑤欄)と評価される(この算定の基となった金額等の数値は,同別表の第5表の資産の部の有価証券(相続税評価額)の算出根拠を記載した同表の(注)2の「課税時期におけるP4の所有するP3株式の数」及び「P6の出資の1口当たりの価額」を除き,争いがないか,当事者にお いて争うことを明らかにしない。そして,上記「課税時期におけるP4の所有するP3株式の数」については,前提事実(1)エ及び証拠(乙3(2枚目))により,223万9100株と認められ,上記「P6の出資の1口当たりの価額」については,前記(2)のとおり,7万4241円と認められる。なお,被告別表7の第5表から第8表までによる計算の過程に誤りは見当たらない。)。 前提事実(3)のとおり,原告P2が本件出資贈与により取得したP4の持分は25万8000口(出資の価格1290万円)であるから,本件出資贈与に係るP4の持分の価額は,合計27億6859万8000円(1口当たり1万0731円×25万8000口)となる。 5 本件決定処分及び本件更正処分の適法性についてこれまで判示してきたところ及び弁論の全趣旨によれば,原告P1の平成17年分の贈与税の課税価格及び納付すべき税額は,別紙2「本件各処分の根拠及び適法性」の1(1)に記載のとおりであり,同(2)に記載のとおり,本件決定処分は適法である。また,同様に,原告P2の平成17年分の贈与税の課税価格及び納付すべき税額は,上記別紙の2(1)に記載のとおりであり,同(2)に記載のとおり,本件更正処分は適法である。 6 原告らについて,無申告加算税及び過少申告加算税を課されない正当な理由があると認められるか(争点(5))について(1) 通則法65条4項は,更正等に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその更 て,無申告加算税及び過少申告加算税を課されない正当な理由があると認められるか(争点(5))について(1) 通則法65条4項は,更正等に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその更正等の前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として計算した金額を控除して,過少申告加算税の金額を計算する旨を定めているところ,同項の「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,当初から適法に申告し納税した納 税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(前掲最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決,前掲最高裁平成18年4月25日第三小法廷判決参照)。 また,同法66条1項ただし書は,期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合には,当該納税者に対し,無申告加算税を課さない旨を定めているところ,上記の「正当な理由があると認められる」場合についても,過少申告加算税について述べたところと同様に解するのが相当である。 (2) これを本件についてみると,これまで述べてきたところによれば,原告らは,相続税法や評価通達などの関係法令等について,処分行政庁の解釈(当裁判所もこれを正当と解するものである。)と異なる解釈を採り,また,P6に対する原告P1及びその同族関係者による実質的な支配の有 らは,相続税法や評価通達などの関係法令等について,処分行政庁の解釈(当裁判所もこれを正当と解するものである。)と異なる解釈を採り,また,P6に対する原告P1及びその同族関係者による実質的な支配の有無や,本件13社がP4に対して売却した本件P6出資の価額が客観的な交換価値といえるか否かなどに係る事実関係を誤認し,又はその評価を誤ったこと(なお,これらは,いずれも,原告らの指摘する事務運営指針(原告らの主張の要点(別紙4)の5(3)ア参照。乙36)における「税法の解釈に関し申告書提出後新たに法令解釈が明確化された」場合であるとはいえない。)により,平成17年分の贈与税について,原告P1において申告書の提出をせず,原告P2において前提事実(4)のとおりの申告書の提出をするにとどまったものと認められる。 そうすると,平成17年分の贈与税について,原告P1が申告書の提出をせず,原告P2が前提事実(4)のとおりの申告書の提出をするにとどまったことについては,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情が あり,無申告加算税及び過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者にこれらを賦課することが不当又は酷になる場合に当たるということはできず,通則法65条4項及び同条66条1項ただし書にいう「正当な理由があると認められる」場合とはいえないというべきである。 7 原告P1賦課決定処分及び原告P2賦課決定処分の適法性についてこれまで判示してきたところ及び弁論の全趣旨によれば,原告P1賦課決定処分の適法性については,別紙2「本件各処分の根拠及び適法性」の1(3)のとおりであり,また,原告P2賦課決定処分の適法性については,上記別紙の2(3)のとおりであり,原告P1賦課決定処分及び原告P2賦課決定処分はいずれも適法である。 8 結論 適法性」の1(3)のとおりであり,また,原告P2賦課決定処分の適法性については,上記別紙の2(3)のとおりであり,原告P1賦課決定処分及び原告P2賦課決定処分はいずれも適法である。 8 結論以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却する。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官品川英基 裁判官大竹敬人 (別紙1)関係法令等の定め 1 相続税法(1) 9条相続税法9条は,その本文で,同法4条から8条までに規定する場合を除くほか,対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては,当該利益を受けた時において,当該利益を受けた者が,当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があった場合には,その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす旨を定めている。 (2) 22条相続税法22条は,同法第3章で特別の定めのあるものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価により,当該財産の価額から控除すべき債務の金額は,その時の現況による旨を定めている。 2 商法241条3項(平成17年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)及び有限会社法41条(平成17年法律第87号による廃止前のもの。 以下同じ。)(1) 商法241条3項は,会社,親会社及び子会社又は子会社が他の株式会社の総株主の議決権の4分の1を超える議決権又は他の有限会社の総社員の議決権の4分の1を超える議決権を有する場合においては,その株式会社又は有限会 項は,会社,親会社及び子会社又は子会社が他の株式会社の総株主の議決権の4分の1を超える議決権又は他の有限会社の総社員の議決権の4分の1を超える議決権を有する場合においては,その株式会社又は有限会社はその有する会社又は親会社の株式については議決権を有しない旨を定めている。 (2) 有限会社法41条は,商法241条3項の規定は有限会社の社員総会にこれを準用する旨を定めている。 3 法人税法施行令(ただし,平成18年政令第125号による改正前のもの。 以下同じ。)4条(1) 法人税法施行令4条1項は,そのいわゆる柱書きにおいて,法人税法2条10号(同族会社の意義)に規定する政令で定める特殊の関係のある個人は,同令4条1項各号に掲げる者とする旨を定め,同項1号は,株主等の親族を掲げている。 (2) 法人税法施行令4条2項は,そのいわゆる柱書きにおいて,法人税法2条10号に規定する政令で定める特殊の関係のある法人は,同令4条2項各号に掲げる会社とする旨を定め,同項1号から3号までは,次のアからウまでのとおり掲げている。 ア 1号同族会社であるかどうかを判定しようとする会社の株主等(当該会社が自己の株式又は出資を有する場合の当該会社を除く。以下,法人税法施行令4条2項及び3項において「判定会社株主等」という。なお,同令において,「株主等」とは,株主又は合名会社,合資会社若しくは有限会社の社員その他法人の出資者をいう(同令1条,法人税法(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの)2条14号)。)の1人(個人である判定会社株主等については,その1人及びこれと同令4条1項に規定する特殊の関係のある個人。以下同条2項において同じ。)が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金 については,その1人及びこれと同令4条1項に規定する特殊の関係のある個人。以下同条2項において同じ。)が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。同項2号及び3号において同じ。)の100分の50を超える数の株式又は出資の金額に相当する場合における当該他の会社イ 2号判定会社株主等の1人及びこれと法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある会社が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の 合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50を超える数の株式又は出資の金額に相当する場合における当該他の会社ウ 3号判定会社株主等の1人及びこれと法人税法施行令4条2項1号及び2号に規定する特殊の関係のある会社が有する他の会社の株式の総数又は出資の金額の合計額が当該他の会社の発行済株式の総数又は出資金額の100分の50を超える数の株式又は出資の金額に相当する場合における当該他の会社(3) 法人税法施行令4条3項は,同一の個人又は法人(人格のない社団等を含む。以下同じ。)と同条2項に規定する特殊の関係のある2以上の会社が,判定会社株主等である場合には,その2以上の会社は,相互に同項に規定する特殊の関係のある会社であるものとみなす旨を定めている。 4 相続税法基本通達(昭和34年1月28日付け直資10(例規)国税庁長官通達。乙27)9-2相続税法基本通達9-2は,同族会社(法人税法2条10号に規定する同族会社をいう。以下同じ。)の株式又は出資の価額が,例えば,同通達9-2の(1)から(4)までに掲げる場合に該当して増加したときにおいては,その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を 下同じ。)の株式又は出資の価額が,例えば,同通達9-2の(1)から(4)までに掲げる場合に該当して増加したときにおいては,その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を,それぞれ上記の(1)から(4)までに掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする旨を定め,その(4)は,「会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合」につき「当該財産の譲渡をした者」を掲げている。 5 財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17(例規)国税庁長官通達。ただし,平成18年10月27日付け課評2-27・課資2-8・課審6-10による改正前のもの。乙6の1,14,30,弁論の全趣旨。以下「評価通達」という。) 評価通達1は,財産の評価について定めるところ,その(2)は,財産の価額は,時価によるものとし,時価とは,課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続,遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法2条4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい,その価額は,同通達の定めによって評価した価額による旨を定めている。もっとも,同通達6は,同通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する旨を定めている。 その上で,同通達は,取引相場のない株式(上場株式及び気配相場等のある株式以外の株式をいう(同通達168(3))。以下同じ。)の評価方法について,次の(1)から(10)までのとおりの定めを置いている。なお,同通達194は, 相場のない株式(上場株式及び気配相場等のある株式以外の株式をいう(同通達168(3))。以下同じ。)の評価方法について,次の(1)から(10)までのとおりの定めを置いている。なお,同通達194は,合名会社,合資会社又は有限会社に対する出資の価額は,同通達178から193-2までの定めに準じて計算した価額によって評価する旨を定めている。 (1) 評価通達178評価通達178は,その本文において,取引相場のない株式の価額は,評価しようとするその株式の発行会社(以下「評価会社」という。)が次の表に定める大会社,中会社又は小会社のいずれに該当するかに応じて,それぞれ同通達179の定める方法によって評価する旨を定め,同通達178のただし書において,同族株主(同通達188(1)に定める同族株主をいう。)以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式の価額は,それぞれ同通達188又は189の定めによって評価する旨を定めている。 規模区 区分の内容総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数直前期末以前1年間における取引 分金額 大会社 従業員数が 100 人以上の会社又は右のいずれか1に該当する会社卸売業億円以上(従業員数が50 人以下の会社を除く。) 80 億円以上小売・サービス業億円以上(従業員数が50 人以下の会社を除く。)億円以上卸売業,小売・サービス業以外億円以上(従業員数が50 人以下の会社を除く。)億円以上 中会社従業員数が 100 人未満の会社で右のいずれか1に該当する会社(大会社に該当する場合を除く。)卸売業 7000 万円以上(従 除く。)億円以上 中会社従業員数が 100 人未満の会社で右のいずれか1に該当する会社(大会社に該当する場合を除く。)卸売業 7000 万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)2億円以上 80 億円未満 小売・サービス業 4000 万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) 6000 万円以上20 億円未満卸売業,小売・サービス業以外 5000 万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) 8000 万円以上20 億円未満 小会従業員数が 100 人未満の会社で右のいずれに卸売業 7000 万円未満又は従業員数が5人以下2億円未満小売・サービス業 4000 万円未満又は従業員数が5人以下 6000 万円未満 社も該当する会社卸売業,小売・サービス業以外 5000 万円未満又は従業員数が5人以下 8000 万円未満上の表の「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数」及び「直前期末以前1年間における取引金額」は,それぞれ次のアからウにより,「卸売業」,「小売・サービス業」又は「卸売業,小売・サービス業以外」の判定は次のエによる。 ア 「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は,課税時期の直前に終了した事業年度の末日(以下「直前期末」という。)における評価会社の各資産の帳簿価額の合計額とする。 イ 「従業員数」は,直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員を除く。以下,評価通達178において「継続勤務従業員」という。)の数に,直前期末以前1年間において評価会社 務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員を除く。以下,評価通達178において「継続勤務従業員」という。)の数に,直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は,1800時間とする。 ウ 「直前期末以前1年間における取引金額」は,その期間における評価会社の目的とする事業に係る収入金額(金融業・証券業については収入利息及び収入手数料)とする。 エ評価会社が「卸売業」,「小売・サービス業」又は「卸売業,小売・サービス業以外」のいずれの業種に該当するかは,前記ウの直前期末以前1年間における取引金額(以下,評価通達178及び同通達181-2において「取引金額」という。)に基づいて判定し,当該取引金額のうちに2以上の業種に係る取引金額が含まれている場合には,それらの取引金額のう ち最も多い取引金額に係る業種によって判定する。 (2) 評価通達179評価通達179は,同通達178の区分において大会社,中会社及び小会社とされた評価会社の株式で,そのただし書の「同族株主以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式」以外の株式の価額は,次のアからウまでによる旨を定めている。 ア大会社の株式(評価通達179(1))大会社の株式の価額は,類似業種比準価額によって評価する(以下,この評価方式を「類似業種比準方式」という。)。ただし,納税義務者の選択により,1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額。 以下「純資産価額(相続税評価額)」という。)によって評価する(以下,この評価 似業種比準方式」という。)。ただし,納税義務者の選択により,1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額。 以下「純資産価額(相続税評価額)」という。)によって評価する(以下,この評価方式を「純資産価額方式」という。)ことができる。 イ中会社の株式(評価通達179(2))中会社の株式の価額は,次の算式により計算した金額によって評価する。 ただし,納税義務者の選択により,算式中の類似業種比準価額を1株当たりの純資産価額(相続税評価額)によって計算することができる。 (算式)類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額)×(1-L)上記算式中の「L」は,評価会社の評価通達178に定める課税時期の直前期末における総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数又は直前期末以前1年間における取引金額に応じて,それぞれ同通達179(2)イ及びロに掲げる割合のうちいずれか大きい方の割合とする。 ウ小会社の株式(評価通達179(3))小会社の株式の価額は,純資産価額方式によって評価する。ただし,納税義務者の選択により,Lを0.50として前記イの算式により計算した 金額によって評価することができる。 (3) 評価通達180評価通達180は,同通達179の類似業種比準価額は,類似業種の株価並びに1株当たりの配当金額,年利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額。以下「純資産価額(帳簿価額)」という。)を基とし,次の算式によって計算した金額とし,この場合において,評価会社の直前期末における資本金額を直前期末における発行済株式数で除した金額(以下「1株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは,その計算した金額に,1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて計算 金額を直前期末における発行済株式数で除した金額(以下「1株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは,その計算した金額に,1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて計算した金額とする旨を定めている。 (算式) ア上記算式中の「A」,「」,「」,「」,「B」,「C」及び「D」は,それぞれ次による。 「A」=類似業種の株価「」=評価会社の直前期末における1株当たりの配当金額「」=評価会社の直前期末以前1年間における1株当たりの利益金額「」=評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額(帳簿価額)「B」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額「C」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額「D」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額)A× ⒷB+ⒸC× 3+ⒹD × 0.7 イ上記算式中の「0.7」は,評価通達178に定める中会社の株式を評価する場合には「0.6」,同通達178に定める小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。 ウ上記算式中のの金額が0の場合には,分母の「5」は「3」とする。 (4) 評価通達185評価通達185は,その本文において,同通達179にいう1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,課税時期における各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額(以下「法人税額等相当額」という。)を控除した金額を課税時期における発行済株式数(商法241条2項に規定する自己の株式(以下「自己株式」という。)を有する場 価差額に対する法人税額等に相当する金額(以下「法人税額等相当額」という。)を控除した金額を課税時期における発行済株式数(商法241条2項に規定する自己の株式(以下「自己株式」という。)を有する場合には,当該自己株式の数を控除した株式数によるものとする。同通達186-3において同じ。)で除して計算した金額とする旨を定め,同通達185のただし書において,同通達179の中会社の株式の価額の評価で用いる算式(前記(2)イ参照)及び小会社の株式の価額の評価で用いる1株当たりの純資産価額(相続税評価額)については,株式の取得者とその同族関係者(同通達188(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50パーセント以下である場合においては,同通達185の本文により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額)に100分の80を乗じて計算した金額とする旨を定めている。 (5) 評価通達186-3評価通達186-3は,その注書きにおいて,評価会社の所有する資産に取引相場のない株式があるときの当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算に当たっては,同通達186-2の定めにより計算した評価差額に対する法人税額等相当額を控除しないのであるから留意する旨を定 めている。 (6) 評価通達188ア評価通達188のいわゆる柱書きは,同通達178の「同族株主以外の株主等が取得した株式」は,同通達188(1)から(4)までのいずれかに該当する株式をいい,その株式の価額は,同通達188-2の定めによる旨を定めている。 イ評価通達188(1)は,「同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式」を掲げ,この場合における「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1 ている。 イ評価通達188(1)は,「同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主の取得した株式」を掲げ,この場合における「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。 ただし,当該法人の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と,「数の株式」は「数の議決権」と読み替えるものとする。以下同じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上(その評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50パーセント超である会社にあっては,50パーセント超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう旨を定めている。 ウ評価通達188(2)は,「中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(課税時期において評価会社の役員(社長,理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号及び第3号に掲げる者をいう。以下同通達188において同じ。)である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)の取得した株式」を掲げ,この場合における「中心的な同族株主」とは,課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者,直系血族,兄弟姉妹 及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上 らの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25パーセント以上である場合におけるその株主をいう旨を定めている。 (7) 評価通達188-2評価通達188-2は,その本文において,同通達188の株式の価額は,その株式に係る年配当金額(同通達183(1)に定める1株当たりの配当金額をいう。ただし,その金額が2円50銭未満のもの及び無配のものにあっては2円50銭とする。)を基として,次の算式により計算した金額によって評価する(以下,この評価方式を「配当還元方式」という。)旨を定め,そのただし書において,その金額がその株式を同通達179の定めにより評価するものとして計算した金額を超える場合には,同通達179の定めにより計算した金額によって評価する旨を定めている。 その株式に係る年配当金額×その株式の1株当たりの資本金の額10%50円(8) 評価通達188-4評価通達188-4は,同通達188(1)から(4)までにおいて,評価会社の株主のうちに商法241条3項の規定により評価会社の株式につき議決権を有しないこととされる会社があるときは,当該会社の有する評価会社の議決権の数は0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数となることに留意し,評価会社の株主の同族関係者に該当するかどうかを判定するときにおいても,また同様となる旨を定めている。 (9) 評価通達189ア評価通達189のいわゆる柱書きは,同通達178の「特定の評価会社の株式」とは,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等に応じて定めた同通達189(1)から(6)までの評価会社の株式をいい,その株式の価額は, 同 ゆる柱書きは,同通達178の「特定の評価会社の株式」とは,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等に応じて定めた同通達189(1)から(6)までの評価会社の株式をいい,その株式の価額は, 同(1)から(6)までの区分に従い,それぞれに掲げるところによる旨を定めている。 イ評価通達189(2)(以下「株式保有特定会社通達」という。)は,課税時期において評価会社の有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合(以下「株式保有割合」という。)が25パーセント以上(同通達178に定める中会社及び小会社については,50パーセント以上)である評価会社(以下「株式保有特定会社」という。)の株式の価額は,同通達189-3の定めによる旨を定めている。 (10) 評価通達189-3評価通達189-3は,その本文において,株式保有特定会社の株式の価額は,同通達185の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額方式によって評価し,この場合における当該1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が株式保有特定会社の同通達185のただし書に定める議決権総数の50パーセント以下であるときには,上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額)を基に同通達185のただし書の定めにより計算した金額とする旨を定め,また,同通達189-3のただし書において,株式保有特定会社の株式の価額は,納税義務者の選択により,同通達189-3(1)に定める「S1の金額」(後記ア)と同(2)に定める「S2の金額」(後記イ)との合計額によって評価する(以下,この方式を「「S1+S2」方式」という。)ことができる旨などを定めている。 ア S 1)に定める「S1の金額」(後記ア)と同(2)に定める「S2の金額」(後記イ)との合計額によって評価する(以下,この方式を「「S1+S2」方式」という。)ことができる旨などを定めている。 ア S1の金額(評価通達189-3(1))S1の金額は,株式保有特定会社の株式の価額を評価通達178本文,179から184まで,185本文,186及び186-2の定めに準じて計算した金額とする。ただし,評価会社の株式が同通達189(1)の 「比準要素数1の会社の株式」の要件(同通達189(1)の括弧書の要件を除く。)にも該当する場合には,大会社,中会社又は小会社の区分に関わらず,同通達189-2の定め(本文の括弧書き,ただし書の括弧書き及びなお書きを除く。)に準じて計算した金額とする。これらの場合において,同通達180に定める算式及び同通達185本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,それぞれ次による。 (ア) 評価通達180に定める算式は,次の算式による。 上記算式の適用に当たっては,次による。 a 上記算式中,「A」,「○B」,「○C」,「○D」,「B」,「C」及び「D」は,評価通達180の定めにより,「○b」,「○c」及び「○d」は,それぞれ次による。 「○b」=同通達183(1)に定める評価会社の「1株当たりの配当金額」に,直前期末以前2年間の受取配当金額(法人から受ける利益の配当及び剰余金の分配(出資に係るものに限る。)をいう。 以下同じ。)の合計額と直前期末以前2年間の営業利益の金額の合計額(当該営業利益の金額に受取配当金額が含まれている場合には,当該受取配当金額の合計額を控除した金額)との合計額のうちに占める当該受取配当金額の合計額の割合(当該割合が1を超える場合には1 の合計額(当該営業利益の金額に受取配当金額が含まれている場合には,当該受取配当金額の合計額を控除した金額)との合計額のうちに占める当該受取配当金額の合計額の割合(当該割合が1を超える場合には1を限度とする。以下「受取配当金収受割合」という。)を乗じて計算した金額「○c」=同通達183(2)に定める評価会社の「1株当たりの利益金額」に受取配当金収受割合を乗じて計算した金額「○d」=次の①及び②に掲げる金額の合計額(上記計算式中の「○D」 を限度とする。 ① 同通達183(3)に定める評価会社の「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」に,同通達178(1)に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)のうちに占める株式及び出資の帳簿価額の合計額の割合を乗じて計算した金額② 直前期末における法人税法2条18号に規定する利益積立金額に相当する金額を直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金の額が50円以外の金額である場合には,直前期末における資本金額を50円で除して計算した数によるものとする。)で除して求めた金額に受取配当金収受割合を乗じて計算した金額(利益積立金額に相当する金額が負数である場合には,0とする。)b 上記算式中の「0.7」は,中会社の株式を評価する場合には「0. 6」,小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。 c 上記算式中の○Cの金額が0の場合には,分母の「5」は「3」とする。 (イ) 評価通達185本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,同通達185本文及び186-2の「各資産」を「各資産から株式及び出資を除いた各資産」と読み替えて計算した金額とする。 イ S2の金額S2の金額は,評価通達189(2)の「株式等の価額の合計額(相続税 85本文及び186-2の「各資産」を「各資産から株式及び出資を除いた各資産」と読み替えて計算した金額とする。 イ S2の金額S2の金額は,評価通達189(2)の「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」からその計算の基とした株式等の帳簿価額の合計額を控除した場合において残額があるときは,当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)から当該残額に同通達186-2に定める割合を乗じて計算した金額を控除し,当該控除後の金額を課税時期における株式保有特定会社の発行済株式数(自己株式を有する 場合には,当該自己株式の数を控除した株式数をいう。以下同通達189-3において同じ。)で除して計算した金額とする。この場合において当該残額がないときは,当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)を課税時期における株式保有特定会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。 6 相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について(平成2年12月27日付け直評23・直資2-293国税庁長官通達。ただし,平成18年12月22日課評2-31・課資2-10・課審6-14による改正前のもの。乙16。以下「評価明細書通達」という。)評価明細書通達は,取引相場のない株式の価額の評価を行う場合の評価明細書の様式及び記載方法等を定めているところ,同通達の「取引相場のない株式等の評価明細書の記載方法等」の「第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の2(4)は,1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算は,評価会社が課税時期において仮決算を行っていないため,課税時期における資産及び負債の金額が明確でない場合において,直前期末から課税時期までの間に資産及び負債 りの純資産価額(相続税評価額)の計算は,評価会社が課税時期において仮決算を行っていないため,課税時期における資産及び負債の金額が明確でない場合において,直前期末から課税時期までの間に資産及び負債について著しく増減がないため評価額の計算に影響が少ないと認められるときは,課税時期における各資産及び各負債の金額は,直前期末の資産及び負債の課税時期の相続税評価額や直前期末の資産及び負債の帳簿価格を基に算定しても差し支えないと定めている。 7 法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)国税庁長官通達。ただし,平成17年12月26日課法2-14,課審5-212による改正前のもの。乙28。以下「法人税基本通達」という。)9-1-14法人税基本通達9-1-14は,法人が,上場有価証券等以外の株式について法人税法33条2項の規定を適用する場合において,事業年度終了の時における当該株式の価額につき評価通達178から189-7までの例によって算定した価額によっているときは,課税上弊害がない限り,次の(1)から(3)まで によることを条件としてこれを認めると定めている。 (1) 当該株式の価額につき評価通達179の例により算定する場合(同通達189-3(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において,当該法人が当該株式の発行会社にとって同通達188(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは,当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。 (2) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は証券取引所に上場されている有価証券を有しているときは,評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)」の計算に当たり,これらの資産については 地の上に存する権利を含む。)又は証券取引所に上場されている有価証券を有しているときは,評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)」の計算に当たり,これらの資産については当該事業年度終了の時における価額によること。 (3) 評価通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)」の計算に当たり,同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。 以上 (別紙2)本件各処分の根拠及び適法性 1 本件決定処分等(1) 課税価格及び納付すべき税額原告P1の平成17年分の贈与税の課税価格及び納付すべき税額は,次のとおりである。 ア課税価格 3億9155万6650円当該金額は,本件各譲渡により,原告P1が対価を支払わないで利益を受けたことから,相続税法9条の規定により原告P1がP5から贈与により取得したものとみなされた利益の額(原告P1が保有するP3の株式に係る利益の額430万2650円及びP4の持分に係る利益の額3億8725万4000円の合計額)である。 イ納付すべき税額 1億9297万8000円当該金額は,前記アの課税価格から,相続税法21条の5及び租税特別措置法70条の2(平成21年法律第61号による改正前のもの。以下同じ。)に規定する贈与税の基礎控除額110万円を控除した後の金額(ただし,国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)に,相続税法21条の7に規定する贈与税の税率を適用して算出した金額である。 (2) 本件決定処分の適法性原告P1の納付すべき税額は,前記(1)イで述べたとおり,1 端数金額を切り捨てた後のもの)に,相続税法21条の7に規定する贈与税の税率を適用して算出した金額である。 (2) 本件決定処分の適法性原告P1の納付すべき税額は,前記(1)イで述べたとおり,1億9297万8000円であるところ,本件決定処分(ただし,平成21年7月6日付けでされた異議決定により一部取り消された後のもの。以下同じ。)における原告P1の納付すべき税額1億8860万3500円は,上記1億9297万8000円を下回るから,その範囲内で行われた本件決定処分は適法で ある。 (3) 原告P1賦課決定処分の根拠及び適法性前記(2)のとおり,本件決定処分は適法であるところ,原告P1は,平成17年分の贈与税について,法定申告期限内に申告書を提出しておらず,また,原告P1が上記期限内に申告書を提出しなかったことについて,通則法66条1項ただし書に規定する「正当な理由」も見当たらない。 したがって,本件決定処分により原告P1が納付すべき税額(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)である1億8860万円に,同法66条1項の規定に基づき,100分の15の割合を乗じて算出した金額は,2829万円となるところ,原告P1賦課決定処分(ただし,平成21年7月6日付けでされた異議決定により一部取り消された後のもの。以下同じ。)による無申告加算税の金額は,上記2829万円と同額であるから,原告P1賦課決定処分は適法である。 2 本件更正処分等(1) 課税価格及び納付すべき税額原告P2の平成17年分の贈与税の課税価格及び納付すべき税額は,次のとおりである。 ア課税価格 33億7109万4000円当該金額は,①本件各譲渡により,原告P2が対価を支払わないで利益を 与税の課税価格及び納付すべき税額は,次のとおりである。 ア課税価格 33億7109万4000円当該金額は,①本件各譲渡により,原告P2が対価を支払わないで利益を受けたことから,相続税法9条の規定により原告P2がP5から贈与により取得したものとみなされた利益の額249万6000円(原告P2が保有するP3の株式に係る利益の額55万円及びP4の持分に係る利益の額194万6000円の合計額),②本件出資贈与の価額27億6859万8000円及び③本件現金贈与に係る現金6億円をそれぞれ合計した金額である。 イ納付すべき税額 6億6885万9200円 原告P2は,原告P1からの平成17年分の贈与について相続税法21条の9に規定する相続時精算課税を選択する旨の届出書を芝税務署長に提出しているところ,当該金額は,①前記アの課税価格33億7109万4000円のうち,本件各譲渡により原告P2が受けた利益の額249万6000円について,当該金額から暦年課税に係る相続税法21条の5及び租税特別措置法70条の2に規定する贈与税の基礎控除額110万円を控除した後の金額に,相続税法21条の7に規定する贈与税の税率を適用して算出した金額13万9600円並びに②前記アの課税価格33億7109万4000円のうち,上記①の249万6000円を控除した金額33億6859万8000円から,同法21条の12に規定する相続時精算課税に係る特別控除額2500万円を控除した後の金額に,同法21条の13に規定する贈与税の税率20パーセントを適用して算出した金額6億6871万9600円の合計額である。 (2) 本件更正処分の適法性原告P2の納付すべき税額は,前記(1)イで述べたとおり,6億6885万9200円で 率20パーセントを適用して算出した金額6億6871万9600円の合計額である。 (2) 本件更正処分の適法性原告P2の納付すべき税額は,前記(1)イで述べたとおり,6億6885万9200円であるところ,本件更正処分(ただし,平成21年7月6日付けでされた異議決定により一部取り消された後のもの。以下同じ。)における原告P2の納付すべき税額6億6467万0400円は,上記6億6885万9200円を下回るから,その範囲内で行われた本件更正処分は適法である。 (3) 原告P2賦課決定処分の根拠及び適法性前記(2)のとおり,本件更正処分は適法であるところ,原告P2は,本件更正処分により新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実に,本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて,通則法65条4項に規定する「正当な理由」も見当たらない。 したがって,本件更正処分により原告P2が納付すべき税額(ただし,通 則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの)である6463万円に,同法65条1項の規定に基づき,100分の10の割合を乗じて計算した金額は,646万3000円となるところ,原告P2賦課決定処分 (ただし,平成21年7月6日付け異議決定により一部取り消された後のもの。以下同じ。)による過少申告加算税の金額は,上記646万3000円と同額であるから,原告P2賦課決定処分は適法である。 以上 (別紙3)被告の主張の要点 1 本件各譲渡に関し原告らについて相続税法9条の規定を適用することができるか(争点(1))について(1) 相続税法9条の趣旨及び同条に係る課税実務上の取扱いア相続税法9条の規定は,私法上の贈与契約によって財産を取得したのではないが, の規定を適用することができるか(争点(1))について(1) 相続税法9条の趣旨及び同条に係る課税実務上の取扱いア相続税法9条の規定は,私法上の贈与契約によって財産を取得したのではないが,贈与と同じような実質を有する場合に,贈与の意思がなければ贈与税を課税することができないとするならば,課税の公平を失することになるので,この不合理を補うために,実質的に対価を支払わないで経済的利益を受けた場合においては,贈与契約の有無にかかわらず,これを贈与により取得したものとみなし,課税財産として贈与税を課税することとしたものである。したがって,同条にいう「対価を支払わないで…利益を受けた場合」に該当するか否かについては,経済的利益の享受があったか否かにより判定されるべきものである。 イ上記の相続税法9条の趣旨を踏まえ,課税実務上は,同族会社の株式又は出資の価額が,会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をしたこと(以下,時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をすることを「財産の低額譲渡」ということがある。)により増加したときは,財産の譲渡があった時に,その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を,当該財産の譲渡をした者から贈与によって取得したものと取り扱われている(相続税法基本通達9-2(4))。 これは,相続税法9条にいう「利益を受けた場合」には,様々な態様が考えられるところであるが,比較的定型的な態様で,取扱いを特定しておく必要がある場合についての取扱いを定めたものであり,同族会社に対し財産の低額譲渡があった場合には,それだけ会社の含み資産は増加し,そ の会社の株式又は出資の価額が値上がりし,その会社の株主又は社員が利益を受けることになることから定められたものである。すなわち,当該取 譲渡があった場合には,それだけ会社の含み資産は増加し,そ の会社の株式又は出資の価額が値上がりし,その会社の株主又は社員が利益を受けることになることから定められたものである。すなわち,当該取扱いは,同族会社の株式又は出資の含み益を通じて個人間で財産の移転を図る場合の贈与税の課税の取扱いを定めたものである。 (2) 原告らの主張についてア原告らの主張の要点(別紙4)の1(1)アについて原告らが主張する「受けた「利益」に対し法的に「対価」を支払うべき義務を負う者」とは,いかなる者をいうのか判然としないが,原告らが主張する相続税法9条の文理解釈からは,「当該利益を受けた者」につき,法的に対価を支払うべき義務を負う者に限定すべき理由はない。 また,同条の「対価を支払わないで…利益を受けた場合」に該当するか否かについては,実質的にみて,対価の支払がなく,利益を受けた者の財産(積極財産)の増加又は債務(消極財産)の減少等の経済的利益の享受があったか否かにより判定されるべきものであり,原告らの述べる法的な支払義務の有無とは何ら関係がない。 このことは,同条の「対価を支払わないで…利益を受けた場合」が,常に「利益を受けた者」と「利益を受けさせた者」の2当事者間においてのみ生じるものではなく,本件のような「利益を受けた者」と「利益を受けさせた者」の間に同族会社等を介しての3以上の当事者が関係して生じ得ることからも,当然というべきである。 イ原告らの主張の要点(別紙4)の1(1)イについて(ア) 相続税法9条の趣旨は,法律的には贈与によって取得したものとはいえないが,実質的にみて,贈与を受けたのと同様の経済的利益を享受している事実がある場合に,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を贈与によって取得したものとみなして贈与 て取得したものとはいえないが,実質的にみて,贈与を受けたのと同様の経済的利益を享受している事実がある場合に,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を贈与によって取得したものとみなして贈与税を課税することにあり,この趣旨に照らせば,同条は,正に結果的に利益を受けさせた 者と利益を受けた者が存在すれば適用される規定であり,また,裁判例においても「対立承継関係」に限定して適用されるものとは判示されていない。 したがって,同条は,「利益を受けさせた者」と「利益を受けた者」の間で,利益を受けさせ,受けたという関係の存在する場合に限定して適用されるべきものではない。 なお,本件は,原告らが述べるような「何の関係もない」当事者間において,「偶然の事情により」,「経済的利益」の移転があった場合ではない。 (イ) 被告は,個人が同族会社以外の法人に資産を低額で譲渡した場合に,当該法人の株主は,当該個人から経済的利益の享受を受けたとして,相続税法9条が適用される旨主張した事実はない。 なお,念のために述べると,相続税法基本通達9-2は,財産の無償提供などの事由により,株式又は出資の価額が増加するのは,同族会社に限られたことではないが,その利益を受けた者は,同法9条の「利益を受けさせた者から贈与により取得した者とみなす」旨の規定との関係で,利益を受けさせることについての積極的な行為を判定することが必要であることから,同族会社の行為計算を否認することができるものとする同法64条の規定を前提として,同族会社の株式又は出資の価額が増加した場合に限定しているものと解されている。本件では,P3及びP4が,同族会社に該当することは明らかであるから,本件は,原告らの述べるような「個人が同族会社以外の法人(例えば,上場会社)にその資産を低額で譲 限定しているものと解されている。本件では,P3及びP4が,同族会社に該当することは明らかであるから,本件は,原告らの述べるような「個人が同族会社以外の法人(例えば,上場会社)にその資産を低額で譲渡した場合」には当たらない。 ウ原告らの主張の要点(別紙4)の1(1)ウについて同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合に同社の株主等に生じる利益は,保有する株式等が会社の通常の営業活動や保有資産のキャピタル・ゲ インにより値上がりしたことに伴う価値の増加益ではなく(他社の株式を時価よりも低額で譲り受けることが会社の通常の営業活動であるという前提は,一般的には,およそ想定できない。),資産が時価よりも低い価額により会社に移転する等の一定の行為によって生じた保有する株式の経済価値の増加益にほかならず,相続税法9条は,上記のような保有する株式の経済価値の増加益に着目して,実質的にみて,贈与を受けたのと同様の経済的利益を享受している事実がある場合に,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を贈与によって取得したものとみなして贈与税を課税することとしたものである。 したがって,本件各譲渡により原告らに生じた保有資産の経済価値の増加益について相続税法9条の規定を適用して行われた本件各処分は,所有する株式等が会社の通常の営業活動や保有資産のキャピタル・ゲインにより値上がりしたことに伴う価値の増加益に課税するものではないから,この点に関する原告らの主張は失当である。 なお,P5は,時価よりも低い価額の対価で本件P6出資を譲渡することにより,実質的には,時価との差額に相当する利益が同族会社であるP3及びP4に生じ,原告らの保有するP3及びP4の株式及び持分の増加益として原告らに増加益が生じたものであり,P5のP3及びP4に対する本件P6出 には,時価との差額に相当する利益が同族会社であるP3及びP4に生じ,原告らの保有するP3及びP4の株式及び持分の増加益として原告らに増加益が生じたものであり,P5のP3及びP4に対する本件P6出資の譲渡は,将来,P5において相続が開始した際,原告らが負担するであろう相続税の負担軽減を図るものとも評価できるものであり,かかる事例に同条が適用されないとすれば,同条の趣旨を没却する結果を招来することは明らかである。 エ原告らの主張の要点(別紙4)の1(3)アについて相続税法9条は,飽くまでも特定の納税者の行為による租税回避や相続税の負担軽減を図ることの防止のために適用することが予定されているのであり,一般の納税者の予測可能性及び法的安定性を著しく害するもので ないことは明らかである。 さらに,租税法の対象とする社会経済上の事象は千差万別であり,その態様も日日に生成,発展,変化している事情の下ではそれらの一切を法律により一義的に規定し尽くすことは困難であるから,租税法においては既定の法概念にとらわれずに社会経済の実態に即応する用語を使用することも避けられないといわなければならず,租税法の公共性と公平負担の原則,それに由来する実質課税の原則も基本原理として看過することはできない。租税法の解釈はこれら諸原則を踏まえた上での総合的理解でなければならないから,租税法規が単に抽象的であるとの理由で租税法律主義に反するものということはできず,上記各諸原則に則り法規の目的を把握し,文言にとらわれることなく,その経済的,実質的意義を考慮し,かつ,立法技術をも勘案しながらその意図するところを合理的・客観的に解釈し,その法規が租税の種類,課税の根拠・要件を定めた規定として一般的に是認し得るものであれば,租税法律主義に反しないものというべきであ 法技術をも勘案しながらその意図するところを合理的・客観的に解釈し,その法規が租税の種類,課税の根拠・要件を定めた規定として一般的に是認し得るものであれば,租税法律主義に反しないものというべきである。 したがって,この点に関する原告らの主張は失当である。 オ原告らの主張の要点(別紙4)の1(3)イについて相続税法5条から9条までは,法律的には贈与により取得した財産でなくても,実質的に贈与により取得したと同様の経済的効果が生ずる場合には,税負担の公平の見地からその取得した財産等を贈与により取得したものとみなす旨の規定であるところ,このみなし規定については,同法5条から8条までにおいて,個別的に規定されている一方,同法9条においては,一般的に,対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合について規定されている。これは,同条は,実質的に贈与により取得したと同様の経済的効果が生ずる場合に,同法5条から8条までによれば贈与により取得したものとみなされない場合,つまり同法5条から 8条までによっては,贈与税の課税対象とならない場合について,包括的に課税漏れを防止するために規定されたものであるから,同法5条から8条までと同法9条では,その制定趣旨が異なることは明らかである。これは,同条が,「第5条から前条まで…に規定する場合を除くほか」と規定していることから明らかである。 カ原告らの主張の要点(別紙4)の1(3)ウについて同族会社が財産の低額譲渡を受けたことにより同社の株式を1株保有する少数株主の株式の価額が増加した場合には,相続税法9条の課税の対象となる(相続税法基本通達9-2(4))ものの,同族会社において1株のみ保有する株主の株式は,一般的には,配当還元方式(評価通達178,188及び188-2)により 合には,相続税法9条の課税の対象となる(相続税法基本通達9-2(4))ものの,同族会社において1株のみ保有する株主の株式は,一般的には,配当還元方式(評価通達178,188及び188-2)により評価され,同族会社が財産の低額譲渡を受けたことにより株式の価額が増加するとは考え難いから,このような場合,通常,相続税法基本通達9-2は適用されない。 なお,本件は,原告らのいう同族会社の株式を1株保有するにすぎない少数株主の事例とは明らかに前提が異なる。 2 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))について(1) 評価通達の定めによって評価した場合,本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額はいくらか(争点(2)ア)についてア被告の主張の概要(ア) 本件各譲渡が時価よりも著しく低い価額の対価で行われたものか否かを判断するためには,本件各譲渡の時点における本件P6出資の時価を算出する必要があるところ,本件P6出資のような取引相場のない株式の評価方法については,評価通達178が当該株式の原則的評価方式を定めるとともに,そのただし書において,同族株主以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式に係る特例的な評価方法を定めて いる。そして,同通達178における「同族株主」について,同通達188(1)が「課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者(括弧内省略)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30パーセント以上(括弧内省略)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう」旨を定めている。 (イ) そこで,本件P6出資の評価に当たり,P6における「同族株主」についてみると,同社の社員のうち原告P1,P3及び 省略)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう」旨を定めている。 (イ) そこで,本件P6出資の評価に当たり,P6における「同族株主」についてみると,同社の社員のうち原告P1,P3及びP4のP1一族グループは,評価通達188(1)に定める「株主の1人及びその同族関係者」に該当するところ,当該P1一族グループは,P6の議決権総数の30パーセント以上である31.57パーセント(原告P1,P3(ただし,議決権は零とする。)及びP4が有するP6に対する出資に係る議決権数の合計2万4000個を同社の議決権総数である7万6000個で除したもの)を有していたのであるから,当該P1一族グループは,同通達188(1)に定める「同族株主」に該当することとなる。 (ウ) 前記(イ)の「同族株主」の判定結果のとおり,本件各譲渡により,同族株主であるP3及びP4が本件P6出資を譲り受けたことに加え,P6の従業員数などの事実からすると,同社は,評価通達178に定める小会社に該当し,かつ,株式保有割合が50パーセント以上であるため,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当する。 したがって,本件P6出資は,評価通達189-3の定めに基づき,純資産価額方式又は「S1+S2」方式により評価することとなる。 (エ) なお,純資産価額方式による評価方法を定める評価通達185のただし書は,小会社における同族株主による会社経営の実態は,個人事業者の場合と実質的にほとんど変わることがないものが多いが,小会社の中には,複数の同族関係者グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,一の同族関係者グループの所有株式数だ けでは会社を完全に支配できない場合もあることから,単独の同族株主グループの所有株式数によって会社支配を行ってい ているものがあり,このような小会社では,一の同族関係者グループの所有株式数だ けでは会社を完全に支配できない場合もあることから,単独の同族株主グループの所有株式数によって会社支配を行っている場合の支配力との較差を考慮して,議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50パーセント以下である同族株主グループに属する株主の取得株式を純資産価額方式により評価する場合には,20パーセントの評価減を行うこととしているものであり,同族以外の株主が存在していたとしても,それが名目的存在にすぎず,特定の一族が実質的に会社を支配しているような場合にまで適用すべきものではない。 これを本件についてみると,前記(イ)のとおり,P5が本件各譲渡をした日(平成17年3月31日)におけるP3及びP4とその同族関係者が有するP6の議決権割合は31.57パーセントであり,原告P1らは,形式的には議決権割合50パーセント以下の同族株主グループに該当するものの,原告P1とその同族関係者たるP4以外に議決権を有する社員である本件13社は,各社員がそれぞれ個々に独立した法人であり,各社員ごとに,僅か5.26パーセントずつの議決権割合を有しているにすぎず,①本件13社が本件P6出資を保有していた間,P6の社員総会等への出席は一度もなく,白紙委任状又は議決案に全て賛成する趣旨の委任状を提出していることなどからすれば,本件13社が本件P6出資を保有していたのは,全国にネットワークを有し,食品・酒類卸売業界の首位に立つP3との関係強化のためであり,不動産賃貸業を営むP6の経営に参画することを目的とした取得ではなかったものと認められ,また,②P6の社員には,P3及びP4の同族関係者(同通達188(1)参照)以外の同族関係者グループは存在しないから,P3及びP4とその同族関係 することを目的とした取得ではなかったものと認められ,また,②P6の社員には,P3及びP4の同族関係者(同通達188(1)参照)以外の同族関係者グループは存在しないから,P3及びP4とその同族関係者が,P6を実質的に支配していたというべきである。このことは,P9を被相続人とする相続税に関する課税処分について争われた事件(東京高裁平成16年(行コ)第123号同17年 1月19日判決(乙6の2)。以下,審級を問わず「先代相続税事件」という。)においても同様に認定されている(なお,P6の経営支配に関する状況は,上記高裁判決における認定と本件とで変化がなく,P9の相続が開始した日以後,本件各譲渡がされた平成17年3月31日までの間,P6の出資者の構成に変更はない。)。 そうすると,本件13社は名目的存在にすぎず,何ら実権を有しないものであって,正にP1一族がP6を実質的に支配していると認められるのであるから,本件P6出資を評価するに当たり,同通達185のただし書を形式的,画一的に適用することは,その趣旨に反するため,これによらないことが正当と是認されるような特別の事情があるというべきであるから,本件各譲渡においては,同通達185のただし書は適用されず,本件P6出資の評価額の計算上,純資産価額について80パーセント相当額で評価すべきではない。 (オ) ところで,P6は,本件各譲渡の時において,P3の株式を200万株所有していた。 そして,前記(エ)のとおり,P3及びP4とその同族関係者である原告らは,P6を実質的に支配していたことから,P6は,原告らにとって,評価通達188(1)に定める同族関係者であったと認められる。そして,P6は,原告らとともにP3の筆頭株主グループに属し,かつ,同グループの有する議決権の合計数がP3の議決権総 は,原告らにとって,評価通達188(1)に定める同族関係者であったと認められる。そして,P6は,原告らとともにP3の筆頭株主グループに属し,かつ,同グループの有する議決権の合計数がP3の議決権総数に占める割合は,本件各譲渡の時において,50パーセントを超えている。 以上のことから,P3は,同通達188(1)における「同族株主のいる会社」に該当し,また,P6は,P3の「同族株主」に該当する。 したがって,P6の保有するP3の株式の評価額は,同通達178に定める区分に従って,同通達179の定めにより算定することとなる。 そして,P3の本件各譲渡の直前期末以前1年間における従業員数は 約1650人であるから,P3は,同通達178に定める「大会社」に該当することから,P3の株式の評価額は,同通達179により,類似業種比準方式によって算定することとなる。 そこで,本件各譲渡の時におけるP3の株式の1株当たりの価額を,類似業種比準方式により評価すると,被告別表1のとおり,4047円(同別表の第3表の㉙欄)となる。 (カ) 以上のことを踏まえ,本件各譲渡の時における本件P6出資の1口当たりの価額を算定すると,被告別表2のとおり,1口当たり8万1204円(同別表の第6表の⑤欄)となる。 イ P3及びP4が,原告P1との関係で同族関係者に該当し,P6における「同族株主」に該当すること(前記ア(イ)関係)(ア) まず,原告P1は,P6の出資者であるP4の出資の50パーセント超である66.33パーセントを保有していた。それゆえ,P4は,原告P1との関係において法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある法人に該当することから,本件P6出資の評価上,同族関係者に該当する。 (イ) 次に,P3についてみると,P6が原告P1との関係で の関係において法人税法施行令4条2項1号に規定する特殊の関係のある法人に該当することから,本件P6出資の評価上,同族関係者に該当する。 (イ) 次に,P3についてみると,P6が原告P1との関係で特殊の関係のある会社であったことについては,原告P1,P3及びP4らP1一族がP6を実質的に支配していたと認められる状況によって判断される(後記カ参照)ところ,本件各譲渡の時において,原告P1,原告P1と特殊の関係のある個人(原告P2,P31(原告P1の3親等の血族)及びP32(原告P1の4親等の親族)並びに原告P1と特殊の関係のある法人(P4及びP6)が,P3の発行済株式総数の50パーセントを超える72.09パーセントを有していた。それゆえ,P3は,原告P1との関係において法人税法施行令4条2項3号に規定する特殊の関係のある法人に該当することから,本件P6出資の評価上,同族関 係者に該当する。 (ウ) 以上のとおり,P6における原告P1,P3及びP4のP1一族グループは,評価通達188(1)に定める「株主の1人及びその同族関係者」に該当するところ,当該P1一族グループは,P6の議決権総数の30パーセント以上である31.57パーセントを有していたのであるから,当該P1一族グループは,同通達188(1)の本文に定める「同族株主」に該当することになる。 ウ P6について株式保有特定会社通達を適用すべきこと(前記ア(ウ)関係)(ア) 確かに,株式保有特定会社通達が定められた当時は,日本経済はいわゆるバブル経済期にあり,その経済情勢を背景に,原告らの摘示するような一部の上場企業オーナーによる行き過ぎた節税策が横行しており,これに対処することもその定められた理由の一つではあった。 しかし,株式保有特定会社通達は,ある種の財産(例えば土 原告らの摘示するような一部の上場企業オーナーによる行き過ぎた節税策が横行しており,これに対処することもその定められた理由の一つではあった。 しかし,株式保有特定会社通達は,ある種の財産(例えば土地,株式)については,その財産についての評価額と実際の取引価額との間に開差を生じさせることにより,同開差を利用した租税回避行為の原因にもなっていることに鑑み,課税の公平の観点から,そのような開差の是正とともに,より株式取引の実態に適合するように評価の一層の適正化を図る目的で,平成2年8月3日付けで評価通達の一部改正が行われ,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等が一般の会社と異なる株式保有特定会社,土地保有特定会社等の株式については,「特定の評価会社の株式」として特別な評価方法により評価することとし,その具体的な評価方法の一つとして定められたものである。そして,株式保有特定会社のような,会社の総資産のうちに占める各資産の保有状況が,類似業種比準方式(標本会社である上場会社に匹敵するような会社の株式について適用される評価方法)における標本会社である上場会社に比べて著 しく株式等に偏った会社の株式については,一般の評価会社に適用される同方式により株価の算定を行うことは,同方式を適用すべき前提条件を欠くものと認められるため,適正な評価を期し難いことから,会社の株式等の保有状況の実態を踏まえて,株式等の保有割合の基準により「株式保有特定会社の株式」についての評価が定められたのである。 このように,株式保有特定会社通達は,行き過ぎた節税策の防止のみを趣旨・目的として定められたものではない。 なお,この点につき,上記平成2年の評価通達の改正に携わったP33元国税庁直税部資産評価企画官(以下「P33企画官」という。)も,「それ(租税負担の回避 を趣旨・目的として定められたものではない。 なお,この点につき,上記平成2年の評価通達の改正に携わったP33元国税庁直税部資産評価企画官(以下「P33企画官」という。)も,「それ(租税負担の回避)を防止するために特定の評価会社の株式の評価方法を定めたわけではなく,あくまでも,評価の適正化を図るために特定の評価会社の株式の評価方法を定めたにすぎない(括弧内省略)。 したがって,同通達に定める特定の評価会社に該当すれば,当該会社の設立や経営実態において租税回避の意図があろうがなかろうが,その会社の株式については,評価適正化を図るために類似業種比準方式の適用が制限されることになる。」として,株式保有特定会社の株式の評価方法については,租税負担の回避を防止するために定められたものではないと明確に述べている。 (イ)a 原告らは,法人税基本通達の前文を根拠に,評価通達は個々の実態に沿った適用・運用がなされるべきものである旨主張するが,前記(ア)のとおり,本件P6出資について株式保有特定会社通達を適用して評価することが,正に個々の実態に沿った評価通達の適用・運用というべきであるから,原告らの上記主張は,株式保有特定会社通達の趣旨を正解しないものであって失当である。 また,法人税基本通達は法人税法の適用を統一的に行っていくために各条文の解釈を定める趣旨のものであるところ,評価通達は,相続 税法22条の「時価」の適正な算定に当たり,評価の具体的方法を定め内部的な取扱いを統一するとともに,これを公開し納税者の申告・納税の便宜に供するためのものであって,両者はそれぞれ,その制定の趣旨が異なる別個のものであるから,法人税基本通達の前文を根拠に評価通達の解釈適用を論難すること自体,当を得たものとはいえない。 なお,付言すれば,評価通達6におい て,両者はそれぞれ,その制定の趣旨が異なる別個のものであるから,法人税基本通達の前文を根拠に評価通達の解釈適用を論難すること自体,当を得たものとはいえない。 なお,付言すれば,評価通達6において,「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する。」と定められていることからも分かるように,評価通達自体が個々の財産の実態に即した評価がなされるよう配慮されて定められたものであるところ,被告は,上記の定めを踏まえて,本件P6出資の評価については株式保有特定会社通達を適用して評価することが本件P6出資の取引実態に沿った評価であると判断したものである。 したがって,仮に原告らの上記主張を考慮したとしても,被告による本件P6出資の評価は,評価通達の形式的解釈によるものではないことから,原告らの上記主張は失当である。 b さらに,原告らは,株式保有特定会社通達と同様,バブル経済期の相続税の節税策に対処することを目的として制定された租税特別措置法69条の4(ただし,平成8年法律第17号による改正前のもの。 以下「旧租税特別措置法69条の4」という。)の適用が否定された裁判例を引用して,評価通達について個々の実態に沿った適用・運用をなすべきである旨主張している。 しかし,前記(ア)のとおり,本件P6出資について株式保有特定会社通達を適用して評価することが,正に個々の実態に沿った評価通達の適用・運用というべきであり,時価の解釈として相当であるという べきであるから,原告らの上記主張はその前提において失当である。 なお,旧租税特別措置法69条の4は,立法当時においては,土地の相続税評価額と実勢価額とのかい離に着目した相続税の負担回避行為の横行という実態に対応するため,地価の上昇・下 提において失当である。 なお,旧租税特別措置法69条の4は,立法当時においては,土地の相続税評価額と実勢価額とのかい離に着目した相続税の負担回避行為の横行という実態に対応するため,地価の上昇・下落のいかんを問わず取得価額に基づき課税することが課税価格の客観性等の観点から適当であり,合理性を有するものであったところ,その後,その適用件数が大幅に減少するなどして特例措置の存在意義は失われたことに加え,土地の相続税評価の適正化を始め,評価の指針となる地価公示価格制度の充実が図られたこともあいまって,平成8年税制改正において廃止されるに至ったものである。なお,原告らが摘示する裁判例も旧租税特別措置法69条の4の立法目的が正当であり,それ自体が合理性を欠くものでないことを認めている。 したがって,旧租税特別措置法69条の4の廃止は,株式保有特定会社通達の合理性を否定する事情とは認められないから,原告らの主張は失当である。 また,株式保有特定会社通達と旧租税特別措置法69条の4は,その趣旨,制定された背景事情が全く異なるものであって,その適用・運用の方法も当然に異なるものである。 したがって,原告らが引用する裁判例は,本件P6出資の評価に係る原告らの上記主張の根拠とはなり得ない。 c 取引相場のない株式の評価に用いられる類似業種比準方式(評価通達180)は,評価会社の保有資産を時価評価することなく株式の価額を評価するものであり,その比準要素の1つである純資産価額(帳簿価額)には株式等の含み益が反映されていないことから,保有資産が著しく株式等に偏った会社にあっては,納税者が租税回避を意図した行為に及ぶか否かに関係なく,同通達179に定める会社の規模区 分に応じた原則的評価方式(類似業種比準方式等)によったのでは,同方式による評価 偏った会社にあっては,納税者が租税回避を意図した行為に及ぶか否かに関係なく,同通達179に定める会社の規模区 分に応じた原則的評価方式(類似業種比準方式等)によったのでは,同方式による評価額と適正な評価額(時価)との間に看過できない開差が生じることとなる。このため,平成2年の同通達の改正は,課税の公平の観点から,かかる事態を回避し,適正な時価評価を行うことを目的として行われたものである。 すなわち,前記(ア)のような開差が租税回避行為に利用されるケースがあったことは,平成2年の同通達の改正のきっかけではあったものの,これを防止することを主たる目的としたものではなく,同改正は,飽くまで,適正な時価評価の観点から,合理性を有する一律の基準により株式保有特定会社の株式と判定された株式について,特別な評価方式により評価することとしたものである。 このように,株式保有特定会社の株式に係る評価方法(株式保有特定会社通達及び評価通達189-3)が定められた趣旨は,飽くまで株式取引等の実態に鑑み,株式及び出資の評価の適正化を図ることにあり,租税回避行為の防止を主たる目的とするものではないから,租税回避の意図の有無のみをもって,株式保有特定会社通達の適否を決すべきとするかのような原告らの主張は失当である。 エ評価通達に定める評価方式によらないことが正当と認められる特別な事情がある場合について(前記ア(エ)及び(オ)関係)相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額について,相続税法22条は,同法第3章において特別の定めのあるものを除き,当該財産の取得の時における時価により評価する旨規定している。ここにいう時価とは,課税時期において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われるとした場合に通常成立すると認められ の取得の時における時価により評価する旨規定している。ここにいう時価とは,課税時期において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われるとした場合に通常成立すると認められる価額,すなわち,客観的な交換価値をいうものと解される。 ところで,相続税及び贈与税の課税対象となる財産は多種多様であり, 客観的な交換価値が必ずしも一義的に明確に確定されるものではないことから,課税実務上は,評価通達に定められた画一的な評価方式により財産を評価することとされている。これは,相続及び贈与財産の客観的な交換価値を個別に評価する方法を採ると,その評価方式,基礎資料の選択の仕方等により異なった評価額が生じることを避け難く,また,回帰的かつ大量に発生する課税事務の迅速な処理が困難となるおそれがあることなどから,あらかじめ定められた評価方式により画一的に評価する方が,納税者間の公平,納税者の便宜,徴税費用の節減という見地からみて合理的であるという理由に基づくものと解される。かかる同通達の趣旨からすれば,同通達に定められた評価方式を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって,かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるなど同通達に定める評価方式によらないことが正当と是認されるような特別な事情がある場合には,他の合理的な方法により評価をすることが許されるものと解される。 このことは,同通達自体も,同通達6において,「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する。」と定めていることからも明らかである。 したがって,かかる特別な事情がある場合には,同通達に定める評価方式によることなく,その財産の価額に影響を及ぼすべき全ての事情を考慮しつつ(同 けて評価する。」と定めていることからも明らかである。 したがって,かかる特別な事情がある場合には,同通達に定める評価方式によることなく,その財産の価額に影響を及ぼすべき全ての事情を考慮しつつ(同通達1(3)),同法22条に規定する「時価」を算定すべきこととなる。 本件においても,後記オ及びカのとおり,評価通達に定める評価方式を画一的に適用した場合,租税負担の実質的公平を損なうことが明らかであるから,同通達に定める評価方式によらないことが正当と認められる特別な事情があるというべきである。 オ評価通達185のただし書について,その定める評価方式によらないこ とが正当と認められる特別な事情があること(前記ア(エ)関係)(ア) 本件13社は,P6の平成17年3月25日開催の臨時社員総会で委任状(乙7の1から13まで)を提出しているところ,当該委任状は,いずれもその表題及び本件13社の各社の所有出資口数の記載の直下の第1文において「私は( )を代理人と定め,下記の権限を委任します。」との同一の文言が記載され,委任状中の受任者の氏名欄が白紙(空白)になっていることから,本件13社が提出した上記委任状は,白紙委任状に該当する。 また,本件13社の上記委任状の内容をみると,いずれも提示された議案に賛成する旨に「○」が付けられており,議案に対して賛否を明示していない場合や原案に対して修正案が提出された場合には白紙委任する旨記載されている。かかる文言からは,本件13社が独自の意思に基づいて議決権を行使する意図は全くうかがえない。結局のところ,本件13社が提出した上記委任状の実質的な内容からすれば,本件13社が,P6の臨時社員総会において,独自の意思に基づき議決権を行使していたとは認められず,P6の経営に参加する意思はなかったことが明 本件13社が提出した上記委任状の実質的な内容からすれば,本件13社が,P6の臨時社員総会において,独自の意思に基づき議決権を行使していたとは認められず,P6の経営に参加する意思はなかったことが明らかというべきであり(なお,本件13社の上記議決権行使に係る意思表示の内容及び原告らが摘示する本件13社に対する税務調査に係る調査報告書における担当者の回答内容からすれば,本件13社は,P6の社員総会において,独自の意思に基づき議決権を行使した事実は認められず,本件13社は,P6の経営に参加する積極的な意思を有していなかったとみるのが自然である。),P6を実質的に支配するP1一族による経営に対し,本件13社は何ら異議を差し挟まない旨の意思表示をしたものにすぎないと認められるのである。 そして,本件13社が本件P6出資を保有していた間,社員総会等への出席は一度もなく,白紙委任状又は議決案に全て賛成する趣旨の委任 状を提出していたことなども併せ考慮すれば,本件13社が本件P6出資を保有しているのは,食品・酒類卸業の首位に立ち有力な取引先であるP3との関係強化のためのものであり,P6の経営に参画することを目的とした取得ではなかったものと認められる。 (イ)aP6の設立(平成2年6月)から本件13社が本件P6出資をP4に譲渡するまで(平成17年10月)の経緯は,次のとおりである。 (a) P9は,平成2年6月8日,P3の株式200万株(1株当たりの時価3200円,総額64億円)と,土地及び建物(時価約13億2000万円)をP6を設立すると同時に同社に対して現物出資し,借入金4億円を同社に承継し,金員4600万円を払い込み,同社の出資9万9995口(1口当たりの額面額1000円)を取得した。また,原告P1は,金員5000円を払い込み,同 同社に対して現物出資し,借入金4億円を同社に承継し,金員4600万円を払い込み,同社の出資9万9995口(1口当たりの額面額1000円)を取得した。また,原告P1は,金員5000円を払い込み,同社の出資5口を取得した。 P6は,P3の株式200万株を,1株当たり25円,合計金額5000万円で受け入れ,また,上記土地建物を4億0399万5000円で受け入れており,上記4600万円及び5000円の払込み及び借入金の承継と合わせて,資産の合計を5億円,負債の合計を4億円,資本金を1億円とし,出資口数を10万口として設立された。 (b) P9は, 平成3年▲月▲日に,P3の取引会社のうちの有力な取引先である本件13社に対し,本件P6出資のうち各4000口(合計5万2000口,P6の総出資口数の52パーセント相当)を1口当たり額面額で一斉に売却した結果,P9の有する本件P6出資の口数は4万7995口となり,原告P1の有する5口と併せてP1一族の同社に対する出資割合は48パーセントとなった。 (c) P9が前記(b)の譲渡をした8日後 (平成3年▲月▲日), P9は死亡し,同人に係る相続が開始した。 P9に係る相続税の申告において,本件P6出資4万7995口については,評価通達185に定める純資産価額方式(会社が保有する総資産の相続税評価額から負債及び同通達186-2の評価差額に対する法人税等相当額を控除した額)により評価された。その際,前記(b)の譲渡により,P3の株主である原告P1及びその同族関係者が本件P6出資の50パーセント以上を保有しないこととなったため,P6は,P3の同族株主であるP1一族との関係において,同通達188に定める法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある同族関係者に該当しなくなったことから,P6が保 を保有しないこととなったため,P6は,P3の同族株主であるP1一族との関係において,同通達188に定める法人税法施行令4条に規定する特殊の関係のある同族関係者に該当しなくなったことから,P6が保有するP3の株式200万株は,評価通達188-2の配当還元方式により評価された。 これに対し,課税庁は,本件P6出資を純資産価額方式によって評価しつつも,P6が保有するP3の株式を同通達179(1)に定める類似業種比準方式により評価し,かつ,評価差額に対する法人税等相当額の控除を認めずに評価するなどして相続税の更正処分等を行った。 (d) その後,前記(c)のP9に係る相続税の更正処分等に係る取消訴訟(先代相続税事件)が提起され,同訴訟において,本件P6出資及びP6が有するP3の株式の評価等が争われた。 前掲東京高裁平成17年1月19日判決の原審判決である東京地裁平成12年(行ウ)第90号同16年3月2日判決(乙6の1)において,裁判所は,原告P1らは,P6の50パーセント以上の出資割合を有していなくても,なお同社を実効的に支配し得る地位にあり,同社はP3の同族株主であるP4,原告P1らとの関係において,特殊の関係のある法人に当たり,その同族関係者としてP 3の同族株主に当たることが認められるとして,P6が保有するP3の株式の評価は原則的評価方式である類似業種比準方式によるべきであると判断した。 また,上記東京地裁判決において,裁判所は,P9の相続の発生直前にP6を設立し,同社に対し,総額64億円に相当するP3の株式を僅か5000万円で,また,時価13億円を超える土地建物を僅か約4億円でそれぞれ出資するという明らかに経済的合理性を欠く現物出資がされたという一連の行為は,評価通達185を利用して,意図的に多額の評価差益を作出 円で,また,時価13億円を超える土地建物を僅か約4億円でそれぞれ出資するという明らかに経済的合理性を欠く現物出資がされたという一連の行為は,評価通達185を利用して,意図的に多額の評価差益を作出した上,これに対する法人税額等控除を行うことによって相続税額の負担を軽減させようと画策したものと評価されてもやむを得ないとして,本件P6出資の評価において,同通達186-2に定める評価差額に対する法人税額等相当額を控除すべきでないとした。 さらに,裁判所は,P3の同族株主たる原告P1及びその同族関係者が保有する本件P6出資の出資口数が48パーセントであるとしても,実質的に,P6の支配権は,原告P1らの手中にあるとして,同通達189-2に定める減額(1株当たり純資産価額の100分の20の減額)を認めなかった。そして,控訴審(前掲東京高裁平成17年1月19日判決)においても上記判断は維持され,同判決は確定した。 (e) P9に係る相続税についての上記判決の確定後の平成17年3月31日,P5は,P3及びP4に対し,本件P6出資を譲渡した(本件各譲渡)。 また,同年10月から12月までに,本件13社は,P6から「ガバナンスの見直し」のためとする本件P6出資をP4に集約する旨の要請を受けて,各社の保有する本件P6出資の全部(各40 00口)をP4に譲渡した。 bP6の設立から本件各譲渡及び本件13社による本件P6出資のP4に対する譲渡までの経緯をみると,P1一族は,P9の相続開始の直前において,同人に係る相続税額の圧縮を企図して,P6を設立し,同社に対し明らかに経済的合理性を欠く現物出資をしたり,本件13社に本件P6出資を売却するなどしたが,それにもかかわらず,これら一連の行為に基づく株式及び出資の評価が相続税額の負担を軽減させよ ,同社に対し明らかに経済的合理性を欠く現物出資をしたり,本件13社に本件P6出資を売却するなどしたが,それにもかかわらず,これら一連の行為に基づく株式及び出資の評価が相続税額の負担を軽減させようと画策したものと評価され,課税処分及び先代相続税事件において否認されたため,もはや本件13社が本件P6出資を保有する状態を維持する必要性がなくなったことから,P4は支配株主である原告らの意向を受けて,本件13社からその有する本件P6出資を買い受けたにすぎないものと認められる。 そして,本件におけるP4による本件13社の有する本件P6出資の買取りは,正にP1一族がP6の企業支配を強化する,すなわちガバナンスの強化にほかならない。そして,P1一族のそのような目的達成のために,本件13社の全社がごく短期間にほぼ一斉に買取要請に応諾した,すなわちP1一族が容易に本件P6出資の買戻しをすることができたこと自体,P1一族がP6を実質的には支配していたことの証左というべきである。 (ウ)a 本件13社のうち12社の本件P6出資の取得に係る業務の担当者らの答述内容(乙32の1・2)等によれば,次の各事実が認められる。 (a) 各社が本件P6出資を取得した経緯及び目的は,各社にとって主要な取引先であるP3との将来にわたる良好な取引関係を維持,継続するため,P1一族からのP6への出資要請をP1一族から提示されたとおりの数量,単価等の条件で受諾したものである。 (b) 本件13社のうちの8社は,本件P6出資の取得に当たりP6の資産内容について十分な検討をしていなかった。 (c) 本件13社のうちの4社は,本件P6出資の取得は「預け金」又は「販売協力金」的なものと考えており,出資先への投資や経営参加を目的とした出資とは認識していない。 (d) していなかった。 (c) 本件13社のうちの4社は,本件P6出資の取得は「預け金」又は「販売協力金」的なものと考えており,出資先への投資や経営参加を目的とした出資とは認識していない。 (d) 本件13社のうちの4社は,P6の経営に参画する意思を有していないことを明言している。 (e) 本件13社各社は,本件P6出資を保有していた間,社員総会等へ出席したことは一度もなく,白紙委任状又は議決案に全て賛成する趣旨の委任状を提出している。 (f) 本件各譲渡をした日と同年中である平成17年10月から12月までにおいて,本件13社の全ての会社が,P3側からの要請に従い,本件P6出資を要請された価額で,要請された譲渡先であるP4へ譲渡し,その結果,P1一族が,P6の議決権の100パーセントを保有することとなった。 b 以上の各事実からすれば,本件13社各社が,P6の出資を取得したのは,P1一族によるP3の支配を望むP9の意向に沿うことにより,将来にわたって,P3との良好な取引関係を維持,継続するためであったと認められる。 そうすると,本件13社各社が,P6の経営やP3の経営に介入するような行動をとることによって,P3との取引関係を悪化させ,自身の経営に悪影響を生じさせるような行動をとること自体がおよそ想定し難い上,本件13社各社は,互いに競業関係に立つ企業であるから,これらが結託して,P6の経営権をP1一族から奪い取るというような事態も想定できないところである。 そして,これらの点を総合すると,各社ごとに僅か5.26パーセ ントの議決権割合のみを有する本件13社以外の出資の議決権数は,原告P1及びP4が全て保有していたことからすれば,同人らのP6に係る議決権割合が,形式上50パーセント以下にとどまっていたとしても,P6は,原 権割合のみを有する本件13社以外の出資の議決権数は,原告P1及びP4が全て保有していたことからすれば,同人らのP6に係る議決権割合が,形式上50パーセント以下にとどまっていたとしても,P6は,原告P1及びP4によって完全に掌握されていたのであって,P1一族はP6を実質的に支配していたことは明らかである。 この点,P1一族がP6を実質的に支配していたことは,P6が本件13社宛てに発出した本件P6出資の買受依頼文書に,「ただ今,P27グループのガバナンスの見直しを行」い(「ガバナンス」とは,「統治・統制すること」を指す。),「有限会社P6につきまして,P4合名会社にその出資を集約する運びとなりました。」と記載されていることからも明らかである。 c 以上の各事実に,前記ア(エ)で述べた評価通達185のただし書の趣旨を併せ鑑みれば,本件P6出資については,同通達185のただし書を適用する前提(一の同族株主グループでは会社を完全支配できない場合を考慮した一定の評価減)を欠いており,このことは,評価通達に定める評価方式によらないことが正当と是認されるような特別の事情があるというべきであるから,本件各譲渡における本件P6出資の評価において,同通達185のただし書に基づき当該出資に係る純資産価額の80パーセント相当額で評価することは相当ではない。 (エ) 本件13社が,P1一族からの本件P6出資の譲渡依頼に対し,提示された算出根拠を含めた価額が適正か否かにつき,特段,独自に検討することなく受け入れたものであることは,後記(2)ウのとおりである。 (オ) 原告らは,本件と先代相続税事件は,P9の相続が問題となったものであるから,明らかに前提となる事実が相違する旨主張する。 しかし,本件各処分と先代相続税事件は,課税原因となる法律行為等 オ) 原告らは,本件と先代相続税事件は,P9の相続が問題となったものであるから,明らかに前提となる事実が相違する旨主張する。 しかし,本件各処分と先代相続税事件は,課税原因となる法律行為等 の時期及び内容が相違するものの,P6に対するP1一族の支配状況は,本件13社が本件P6出資を取得した当時から本件P6出資を売却した時までの間における本件13社のP6の社員総会における議決権行使の状況等によれば,P6とP3の株式持合いにより,P3の有する本件P6出資の議決権に関する点を除き,P9の相続開始時以降,一貫して何ら変化がなかったというべきである。 また,原告らは,先代相続税事件は,相続開始直前における譲渡であったことに特殊性が認められた事案であることを,殊更,強調するが,同事件の東京地裁判決及び東京高裁判決をみても,原告らが指摘するような特殊性が認定され,それが判決の判断に影響したことはうかがわれない。 したがって,原告らの上記主張は失当である。 (カ) 原告らは,評価通達185のただし書の適用の有無の判断に当たり,明文に定めのない「経営の意図」や「経営に参加する積極的な意思」などという主観的要素ないし不明確な基準により判断すべきではないと主張する。 しかし,被告は,P6に対する支配力の観点から本件P6出資の評価における同通達185のただし書の適用の有無を検討しているのであって,原告らが主張するような「経営の意図」や「経営に参加する積極的な意思」の有無により同通達185のただし書の適用の有無を判断したものではない。 (キ) 原告らが根拠とする本件13社に対する聴取の結果(甲43から55までの各1。原告らの主張の要点(別紙2)の2(1)エ(オ)a)については,いずれも両事件に係る訴えが提起された後に聴取書が作成されたもので が根拠とする本件13社に対する聴取の結果(甲43から55までの各1。原告らの主張の要点(別紙2)の2(1)エ(オ)a)については,いずれも両事件に係る訴えが提起された後に聴取書が作成されたものであり,本件13社と原告らを含むP1一族とは密接な利害関係があることからすれば,上記聴取の結果に係る各担当者の回答内容は, 全面的に信用し難いものである。 この点をおくとしても,原告らが引用する各担当者の回答内容は,いずれも会社法の規定に基づく議決権行使などの可能性が形式上残っていることを述べたものにすぎず,また,上記聴取書にはP6の株主としての議決権行使に係る具体的な検討資料も添付されていないことからすれば,原告らが引用する各担当者の回答をもってしても,本件13社がP6の経営に参加する意図を有していたなどとは到底認められるものではない。 カ P6の保有するP3の株式の評価額は類似業種比準方式により算定すべきであること(評価通達188(1)及び188-2について,同通達の定める評価方式によらないことが正当と認められる特別な事情があること。 前記ア(オ)関係)(ア)a 評価通達は,評価会社が大会社の場合においては,上場会社や気配相場等のある株式の発行会社に匹敵するような規模の会社であることに鑑み,その株式が通常取引されるとすれば,上場株式や気配相場等のある株式の取引価格に準じた価額が付されることが想定されることから,原則として,現実に流通市場において価格形成が行われている株式の価額に比準して評価する類似業種比準方式により評価するものとしている(同通達178及び179)。 類似業種比準方式は,大会社の株式の評価上原則的な評価方式であり,現実に取引が行われている上場会社の株価に比準した株式の評価額が得られる点において合理的な手法といえ る(同通達178及び179)。 類似業種比準方式は,大会社の株式の評価上原則的な評価方式であり,現実に取引が行われている上場会社の株価に比準した株式の評価額が得られる点において合理的な手法といえ,非上場株式の算定手法として最も適切な評価方法であるといえる。 そして,同通達は,上記の原則的な株式評価手法の例外として,同族株主以外の株主等(同通達188)が取得した評価会社の株式については,例外的な評価方法(配当還元方式)によって評価することを 定めている(同通達188-2)。その趣旨は,一般的に非上場のいわゆる同族会社においては,会社経営等について同族株主以外の株主の意向が反映されることはなく,同族株主以外の株主が当該会社の株式を保有する目的は,会社経営に関わりをもったり,株価の上昇によるキャピタルゲイン等の投機的あるいは投資的動機によるものではなく,当該会社との安定的な取引関係の維持,継続を図ること等数値的に表すことのできない無形の利益を期待して,いわば取引上の付き合いで株式保有をする場合が多く,その株式を保有する株主にとっては,当面,配当を受領するということ以外に直接の経済的利益を享受することがないという実態を考慮した特別の例外的措置であると認められる。 そして,評価会社に対する直接の支配力を有しているか否かという点において,同族株主とそれ以外の株主とでは,その保有する当該株式の実質的な価値に大きな差異があるといえるから,同通達は,同族株主以外の株主の保有する株式の評価については,類似業種比準方式よりも安価に算定される配当還元方式を採用することにしたのであって,そのような差異を設けることには合理性がある。 このように,配当還元方式は,評価会社の経営に関して実効支配力のない同族株主以外の株主の保有する株式に限って例外的 方式を採用することにしたのであって,そのような差異を設けることには合理性がある。 このように,配当還元方式は,評価会社の経営に関して実効支配力のない同族株主以外の株主の保有する株式に限って例外的に適用されるものであって,かかる実効支配力を有する同族株主の保有する株式について適用されるものではない。 したがって,評価会社の経営に対して実効支配力を有する同族株主の保有する株式は,大会社の株式の評価上原則的な評価方式である類似業種比準方式により評価すべきこととなる。 b 前記ア(エ)及びオのとおり,P1一族は,形式的にはP6の50パーセント超の議決権割合を有していないものの,実質的にP6を支配 しているものと認められる。 この点,仮に,P3の株主構成につき,P6の有するP3の株式の議決権数を原告らP1一族が構成する株主グループの有する議決権数に含めず,P6が,同族株主以外の株主に当たるとすれば,P1一族とその支配するP6によってその過半数の議決権を有して実効支配し得るP3の株式の評価について,支配力のない株主の保有する株式に限って例外的に適用されるべき配当還元方式によることとなる。 しかし,このことは,前記aで述べた評価通達が配当還元方式を定めた趣旨に背理し,同通達に定められた評価方式を画一的に適用することが著しく不適当と認められる特別の事情に当たるものと認められる。 したがって,P3の株式の評価上の区分の判定において,P6はP3の同族株主であるP4,原告P1らP1一族との関係において,特殊の関係のある法人に当たり,実質的にその同族関係者(同通達188(1))と認めるのが相当である。 そうすると,P6を含む原告らP1一族は,P3の株主グループのうち,最多数の議決権数(504万6400個)を有する株主グループを構成し,か 族関係者(同通達188(1))と認めるのが相当である。 そうすると,P6を含む原告らP1一族は,P3の株主グループのうち,最多数の議決権数(504万6400個)を有する株主グループを構成し,かつ,同グループの有する議決権数がP3の議決権総数(700万個)に占める割合は,本件各譲渡の日において,50パーセントを超えることとなるから,P6は,P3において,同族株主以外の株主には当たらず,P6の保有するP3の株式の評価額は,同通達178に定める大会社の株式の原則的評価方式である類似業種比準方式(同通達179(1))によって算定すべきこととなる。 (イ) また,本件各譲渡に際してP3の経理部に所属するP28が作成した平成17年3月時点における本件P6出資の価額についての報告書(乙24)によれば,本件P6出資の評価に当たり,P6が保有するP 3の株式は,類似業種比準方式により評価されており,本件P6出資の譲受者であるP3及びP4においては,上記報告書に記載された価額で本件P6出資の買取りを受諾する旨の発議について稟議され,同発議は経営幹部らの承認を得ている。そして,実際に本件各譲渡においては,上記報告書に記載された本件P6出資の価額により譲渡がなされている。 このように,P3内部の関係者においてさえ,P6がP1一族の同族関係者に該当することを前提に,P6が保有するP3株式を取引相場のない株式の原則的評価方式である類似業種比準方式により評価していたのであり,上記各稟議につき代表取締役兼社長(P3)ないし代表社員(P4)たる原告P1及び社員(P4)たる原告P2が異議なく承認していることからすれば,原告ら自身も,P6が原告P1らの同族関係者ではなくP3の「同族株主以外の株主」に該当するなどとは認識していなかったことが明らかである。 ( 4)たる原告P2が異議なく承認していることからすれば,原告ら自身も,P6が原告P1らの同族関係者ではなくP3の「同族株主以外の株主」に該当するなどとは認識していなかったことが明らかである。 (2) 本件各譲渡に係る本件P6出資の時価は本件13社が本件各譲渡後にP4に対してした譲渡の対価の価額である1口当たり5000円であるといえるか(争点(2)イ)についてア本件13社の本件P6出資の取得及び売却の経緯等(ア) 本件13社は,P3と長年密接な取引関係にある企業であり,本件13社が本件P6出資を取得した理由は,少額な不動産収入のみを収入源とするにすぎないP6に投機的価値を認めたものではなく,将来にわたってP1一族によるP3の支配を望むP9の意向に沿うことにより,P3との良好な取引関係を継続するためにすぎなかった。 (イ) 本件13社が本件P6出資を取得した日(平成3年12月5日)と同日付けのP6の定款変更において,本件P6出資の譲渡を制限する旨の規定が設けられ,P9と原告P1の意思に反した本件P6出資の譲渡がなし得なくなり,原告らを含むP1一族によりP6を支配できる態勢 が将来にわたって安定したものとなった。 したがって,本件13社がP6やP3の経営に介入し,P3との取引関係を悪化させるような行動をとることや,互いに競業関係に立つ企業同士である本件13社が互いに結託し,P6の経営権をP1一族から奪い取るというような事態はおよそ想定できないところであり,本件13社が合計52パーセントの本件P6出資を保有しているとしても,それによって原告らP1一族がP6を支配している事実に何ら影響を及ぼさないものであって,実質的には,同社の支配権は原告らを含むP1一族にあった。 (ウ) P4は,酒造メーカーである本件13社が酒類を卸し よって原告らP1一族がP6を支配している事実に何ら影響を及ぼさないものであって,実質的には,同社の支配権は原告らを含むP1一族にあった。 (ウ) P4は,酒造メーカーである本件13社が酒類を卸している業界首位の食品・酒類卸企業であるP3のグループ会社であるところ,本件13社のうちP14及びP11の調査担当税務職員に対する応接者は,各社が本件P6出資をP4に売却した理由は,原告らP1一族が実質的に支配するP6からの依頼を受け,前記(イ)のとおり,取引先であるP27グループとの取引関係の維持を考慮して,これに協力したにすぎないと回答しており(乙18),かかる回答内容からすると,本件13社のうち上記2社を除く他の11社の本件P6出資の売却の理由もこれと同様と推認される。なお,本件13社が保有していた本件P6出資については,P6から売却の依頼がされた平成17年8月25日から,いずれも2ないし4か月以内という極めて短期間に売買契約が締結された。 (エ) 本件13社は,本件P6出資の売却に際し,P6から提示された買取価額をそのまま受諾して譲渡した。また,P6から本件13社に送付された本件P6出資をP4が買い受けることを要請する依頼文書(甲14,乙8)は,買主であるP4からではなく,P6からの依頼であり,さらに,本件P6出資の買受けに関する問い合わせ先として,当該取引に係る当事者ではないP3の経理部の副部長名が記載されているなど, P27グループ全体での取引であると認められる。 (オ) 株式会社P34が毎年行っている卸売業調査によれば,P3は,卸売業界(食品)トップの企業であり,また,株式会社P35が発行している「○」及び株式会社P36が発行している「○」に掲載されている企業情報によると,本件13社は,P3に対し酒類を卸している主要 ,卸売業界(食品)トップの企業であり,また,株式会社P35が発行している「○」及び株式会社P36が発行している「○」に掲載されている企業情報によると,本件13社は,P3に対し酒類を卸している主要な酒類製造業者であると認められる。 この点,本件13社のうちP14及びP17についてみても,両社の有価証券報告書によると,①P14の各期の資産における売掛金のうち,P3に係る売掛金の占める割合の平均は約5.72パーセント,②P17の各期の資産における受取手形及び売掛金のうち,P3に係る受取手形及び売掛金の占める割合の平均は,受取手形につき約25.15パーセント,売掛金につき約7.47パーセントであり,両社の売掛金等に占めるP3に係る売掛金等の割合は小さくない。 そうすると,本件13社が本件P6出資を取得してから譲渡するまでの間におけるP3と本件13社との関係は,本件13社が本件P6出資を取得した以降においても,卸売業界トップの企業と,そのトップ企業に対し酒類を卸している主要な酒類製造業者という密接な関係が継続していたといえる。 イ本件P6出資の譲渡価額が時価に比べて著しく低額であること特別な利害関係のない第三者間における売買価額であっても,その取引事情,背景によって,必ずしも適正な売買価格と認められるものではないところ,本件13社とP4との間に資本関係や人的関係がないことは否定しないとしても,本件P6出資の譲渡に当たり,一方当事者の主観的事情のみによって左右されない真に相互に独立した当事者であったか否かは,単に両当事者間の資本関係及び人的関係の有無のみにより判断するのは相当ではなく,本件P6出資の取得及び売却の経緯並びに売却に応じた背景 事情等を総合勘案して判断すべきである。 本件においては,前記アのとおり,本件13社各 関係の有無のみにより判断するのは相当ではなく,本件P6出資の取得及び売却の経緯並びに売却に応じた背景 事情等を総合勘案して判断すべきである。 本件においては,前記アのとおり,本件13社各社が本件P6出資を取得した理由は,将来にわたってP1一族によるP3の支配を望むP9の意向に沿うことにより,P3との良好な取引関係を継続するためであり,本件13社が本件P6出資を取得した後においてもP6の実質的な支配権は依然として原告らを含むP1一族にあったものであって,本件P6出資の売却も,P6からの売却依頼を受け,これに協力して,依頼された価額で,P3のグループ会社でありP6が買受先に指定したP4に対して譲渡したにすぎないものであり,これらの本件P6出資の取得及び売却の経緯並びに売却に応じた背景事情等を総合勘案すれば,本件13社各社とP4との本件P6出資の売買における関係は,相互に独立した当事者同士の関係であるといえないことは明らかである。 そして,取引相場のない株式については,そもそも上場株式のように大量かつ反復継続的な取引は予定されておらず,また,取引事例が存在するとしても,その数が僅かにとどまるにすぎない場合には,当事者間の主観的事情に影響されたものでないことをうかがわせる特段の事情がない限り,当該実例価額は,売買当事者間の主観的事情を離れた当該株式の客観的交換価値を反映したものとは評価できないというべきである。この点,原告らが本件P6出資の時価であると主張する本件13社による本件P6出資の譲渡価額(1口当たり5000円)は,特定の取引関係者間という極めて閉鎖的な取引における価額であり,また,同価額は,平成17年8月25日付けで,P6の代表取締役である原告P1から本件13社に宛てた本件P6出資買受けに係る依頼文書(甲14,乙8) 係者間という極めて閉鎖的な取引における価額であり,また,同価額は,平成17年8月25日付けで,P6の代表取締役である原告P1から本件13社に宛てた本件P6出資買受けに係る依頼文書(甲14,乙8)において,一括して一方的に提示された価額であり,実質的な取引事例としては1事例であるにすぎず,本件13社がこれに応じたのは,P3及びそのグループ会社との良好な取引関係を継続するという特別の動機を有していたからにほかなら ない。 したがって,本件13社による本件P6出資の譲渡価額(1口当たり5000円)は,資産の時価,すなわち不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額(客観的な交換価値)とは到底認められず,本件P6出資の時価は,前記(1)で述べたとおり,1口当たり8万1204円であると認めるのが相当であるから,上記本件P6出資の譲渡価額(1口当たり5000円)は,時価に比べて著しく低額であることは明らかであり,およそ原告らが主張するような「本件P6出資持分の客観的交換価値を正当に評価した上で成立した適正な売買実例に当たる」ものではない。 ウ本件13社は,本件P6出資の譲渡価額が適正な時価であるか否かの判断に当たり,時価を算出するなどの独自の検討を行ったとは認められないこと(ア) 本件13社に対する税務調査の結果をまとめた各調査報告書の内容として,原告らが摘示する部分(原告の主張の要点(別紙4)の2(2)ウ(ア))からみても,各社が,本件P6出資を譲渡するに当たり,P6が,本件13社各社宛に平成17年8月25日付けの「有限会社P6の出資金買受の件」(甲14,乙8の1枚目)により要請した1口当たりの買取価格5000円の算定根拠が,「配当還元方式ですと1口500円となり,その10倍と致しました。」と記載され けの「有限会社P6の出資金買受の件」(甲14,乙8の1枚目)により要請した1口当たりの買取価格5000円の算定根拠が,「配当還元方式ですと1口500円となり,その10倍と致しました。」と記載されており,この算定根拠の適否,すなわち,配当還元方式による評価額500円及び買取価格をそれの10倍とすることの適否そのものについて,検討した事実は認められず,各社は,P6からの本件P6出資の譲渡依頼に対し,提示された価額(1口当たり5000円)が適正か否かにつき,独自に特段の検討をすることなく,受け入れたものと認められる。 (イ) 原告ら訴訟代理人が本件13社の各担当者から聴取した結果をとり まとめたとする聴取書(甲43から55までの各1)は,いずれも両事件に係る訴えが提起された後に作成されたものであり,また,本件13社と原告らを含むP1一族とは密接な利害関係があり,本件13社は原告らに有利な回答をすることはあっても不利な回答をするとは考え難いことからすれば,原告ら訴訟代理人が作成した上記の聴取書における回答内容については,虚偽の内容を報告する動機のない利害中立な調査担当者が作成した調査報告書との比較において,一層慎重に吟味されなければならず,全面的に信用し難いというべきである。 この点をおくとしても,次に述べるとおり,上記の聴取書の内容を踏まえてもなお,本件13社においては,本件P6出資を譲渡するに当たり,P6が本件13社各社に宛てた平成17年8月25日付けの「有限会社P6の出資金買受の件」(甲14,乙8の1枚目)により要請した1口当たりの買取価格5000円の算定根拠のみならず,参考として記載されている類似業種比準価額(1406円)及び簿価純資産価額(3010円)について具体的に検討した事実は認められず,本件13社は,P6から りの買取価格5000円の算定根拠のみならず,参考として記載されている類似業種比準価額(1406円)及び簿価純資産価額(3010円)について具体的に検討した事実は認められず,本件13社は,P6からの本件P6出資の譲渡依頼に対し,提示された価額(1口当たり5000円)が適正か否かにつき,いずれも独自に特段の検討をすることなく,受け入れたものと認められる。 aP11P11の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「P3さんからは評価額も提示されていたようですし(乙17の8),それ以上に時価純資産価額の算定までは行わなかったということです。」(甲55の1)と述べている。 また,甲55の2から10までの各書証において,P11が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されて いる箇所は見当たらない。 このように,P11の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 bP12P12の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「P3さんから参考価格を示してもらったうえで,買取金額の提案を受けていますので,これらの価格を検討し,稟議決裁の手続きを経て,譲渡に応じました。」(甲47の1)と述べている。 しかしながら,甲47の2から5までの各書証において,P12が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P12の担当者は,譲渡 が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P12の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 cP13P13の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「決算報告書が毎期送付されてきますので,それを読まないということは決してありません。 この意味では,譲渡に際しましても,検討はしました。ただし,詳細な時価評価となりますと,決算書から知り得る範囲内でしか現実に「できない」ということであり,この意味では検討したことがないと いうことになります。本件出資持分の譲渡に際し,提示された5000円という額は,決算書の財産状態が大きく変わっているわけではないのに,当初1000円で取得したものが,14年で5倍ということになるので,当社にとっては経済的合理性のある価格であるという検討はしました。」(甲50の1)と述べている。 しかしながら,甲50の2・3の各書証において,P13が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P13の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討の内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められな 討の内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 dP14P14の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「今回の出資持分譲渡につきましては,P3さんから提示された計算書がありましたので,それをベースに社内で協議をしました。その結果,5000円という価格は適正な価額であるという判断をして決裁(乙18の2)をしました。」(甲53の1)と述べている。 しかしながら,甲53の2・3の各書証において,P14が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P14の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がない ことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 eP15P15の担当者は,譲渡価額に関し,「聴取には私共が応じましたが,本件出資持分を取得した平成3年当時も,譲渡した平成17年当時も,その意思決定に直接携わっておりませんので,当時のことはわからないということをお話しました。」(甲46の1)と述べるにとどまり,その余においても譲渡価額の検討に関する明確な回答を行っていない。 また,甲46の2から6までの各書証において,P15が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このよ までの各書証において,P15が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P15の担当者は,譲渡価額の検討に関する明確な回答を行っておらず,さらには,当該検討に関する具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 fP16P16の担当者は,譲渡価額に関し,「本件出資持分の譲渡の経緯等については,前述のとおり,私たちは詳しいことは分かりません。」(甲54の1)と述べるにとどまり,譲渡価額の検討に関する明確な回答を行っていない。 また,甲54の2から4までの各書証において,P16が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が 適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P16の担当者は,譲渡価額の検討に関する明確な回答を行っておらず,さらには,当該検討内容に関する具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 gP17P17の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「譲渡価格については「P3さんから評価した書類もあるので,金額には従った(あまり疑問はなかった)」のではなく,類似業種比準価格や純資産価格といった根拠も示していただいていますし,当社としても金額の適正はきちんと検討したうえでこの価格は妥当だという判断をしています。」(甲43の1)と述べている。 なく,類似業種比準価格や純資産価格といった根拠も示していただいていますし,当社としても金額の適正はきちんと検討したうえでこの価格は妥当だという判断をしています。」(甲43の1)と述べている。 しかしながら,甲43の2から4までの各書証において,P17が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P17の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことに加え,当該聴取書において,「第三者の評価機関に価格の算定を依頼したということまではしていないと言ったことがこう書かれているように思います。」(甲43の1)と述べていることからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 hP18P18の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「P3さんから送られてきた買受の申出(乙27の2)に評価の計算書が添付されていましたし,買受価格が当初の出資額の5倍となっていることから,費用や時間をかけて再評価をすることはしませんでした。」(甲52の1)と述べている。 しかしながら,甲52の2・3の各書証において,P18が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P18の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根 このように,P18の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 iP19P19の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「当社は税務リスクも含めて譲渡価格の適正を検討したうえで妥当だと判断したのです。当社側で検討することなく,P3さんからの言い値で譲渡することはあり得ません」(甲44の1)などと述べている。 しかしながら,甲44の2から4までの各書証において,P19が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P19の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がない ことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 jP20P20の担当者は,本件譲渡価額の検討に関し,「譲渡価格については,P3さんから送付されてきた資料に基づいて社内で検討しております。」(甲45の1)と述べている。 しかしながら,甲45の2から4までの各書証において,P20が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P20の担当者は,譲渡価額が適正な価額であるか否かを検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的 の判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P20の担当者は,譲渡価額が適正な価額であるか否かを検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 kP21P21の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「本件では,P3さんから本件出資持分の評価に関する根拠資料をいただいており,基本的にはいただいた資料を信用して,譲渡価額の適否の判断をしております。」(甲48の1)と述べている。 しかしながら,甲48の2・3の各書証において,P21が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P21の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べ ているものの,当該検討内容を明らかにする具体的な資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 lP22P22の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「譲渡価格については,P3さんから送付されてきた資料に基づいて社内で検討しております。 類似業種比準価格や純資産価格との比較で1口5000円という提示であったので,当社では適正価格と判断して譲渡に応じています。」(甲49の1)と述べている。 しかしながら,甲49の2から4までの各書証において,P22が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断 ます。」(甲49の1)と述べている。 しかしながら,甲49の2から4までの各書証において,P22が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P22の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 mP23P23の担当者は,譲渡価額の検討に関し,「調査報告書の3枚目の4つ目の質問に対する回答として「この規模でしたら,評価額を検討することはありません。」と記載されています。この発言自体はしたかもしれませんが,その趣旨は,P3さんから送られてきた資料の裏付け調査をしたり,追加的に当社で検討資料を作成したりするということはない」(甲51の1),「本件では,P3さんから純資産価額, 配当還元,類似業種比準価額といった資料をもらっていますし,当社の簿価と比較して譲渡損益がどうなるかという確認をしております。」(甲51の1)と述べている。 しかしながら,甲51の2から4までの各書証において,P23が,独自に本件P6出資の時価を算出するなど,P6から提示された譲渡価額が適正な時価であるとの判断に至った具体的な検討内容が記載されている箇所は見当たらない。 このように,P23の担当者は,譲渡価額について検討した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段 した旨述べているものの,当該検討内容を明らかにする具体的資料の提出がないことからすれば,同社は,本件P6出資の譲渡に当たり,譲渡価額の算出根拠の適否を含めた価額の妥当性を検証するなど,独自に特段の検討を行ったとは認められない。 (ウ) なお,原告らは,本件13社が本件P6出資の譲渡価額の決定に当たり,P6の各資産債務を時価評価するためには多大なコスト及び時間の負担を余儀なくされることを,自らが主張する本件P6出資の時価(1口当たり5000円)の根拠の一つとするようである。 しかしながら,本件で問題となっているのは,P5がP3及びP4に対して譲渡した本件P6出資の譲渡価額が,譲渡時点(平成17年3月31日)における当該出資の時価よりも著しく低い価額であるか否かであるところ,本件13社が,P4に対し,各社が所有していた本件P6出資を譲渡したのは,同年10月4日から同年12月6日までの間である。 つまり,本件で問題となっているのは,飽くまでも同年3月31日の時点における本件P6出資の時価なのであるから,その時価の判断に当たり,その後(同年10月4日から同年12月6日までの間)に行われた本件P6出資の譲渡価額が直接の根拠とはなり得ない。 したがって,本件13社がP6の各資産債務を時価評価するためには多大なコスト及び時間の負担を余儀なくされるか否かということは,同年3月31日の時点における本件P6出資の時価の判断要素とはなり得ないのである。 エ原告らの主張がP5の税務申告の内容と矛盾すること仮に,1口当たり5000円が,本件P6出資の客観的な交換価値(時価)であるとする原告らの主張によれば,P5は,本件各譲渡により,本件P6出資を時価よりはるかに高額である1口当たり3万9235円で譲渡したことになる。 これによれば 6出資の客観的な交換価値(時価)であるとする原告らの主張によれば,P5は,本件各譲渡により,本件P6出資を時価よりはるかに高額である1口当たり3万9235円で譲渡したことになる。 これによれば,P5は,本件P6出資の実際の売買価額と時価との差額,すなわち,16億4310万8825円(本件P6出資1口当たりの売買価格3万9235円と原告ら主張による本件P6出資1口当たりの価額5000円との差額3万4235円に,4万7995口(P3に対し譲渡した口数2万4000口及びP4に譲渡した口数2万3995口の合計)を乗じた金額)について,法人であるP3及びP4から贈与を受けたものとして,所得税法上,一時所得(所得税法34条1項,所得税基本通達(平成16年12月16日課個2-23ほか3課による改正前のもの)34-1(5))として申告すべきであるところ,P5が,そのような内容の税務申告をした事実はない。 したがって,原告らの上記主張は,P5の税務申告の内容と矛盾するものである。 オ本件13社に対して寄附金の認定課税を行わないことについて本件で問題となっているのは,P5が,平成17年3月31日,P3及びP4に対し,P5が保有していた本件P6出資を,時価よりも著しく低い価額で譲渡したか否か,また,当該譲渡により,原告らが相続税法9条に規定する「対価を支払わないで利益を受けた場合」に該当するか否かで ある。つまり,本件13社に対して寄附金の認定課税を行わないからといって,原告らに対する課税が正しく行われている限り,原告らを不当に不利益に取り扱うものではないから,本件13社に対して寄附金の認定課税を行うか否かは,本件各処分の適法性に何ら影響を与えるものではない。 (3) 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲 うものではないから,本件13社に対して寄附金の認定課税を行うか否かは,本件各処分の適法性に何ら影響を与えるものではない。 (3) 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))についてのまとめ前記(1)及び(2)によれば,P5は,平成17年3月31日,P3に対し,本件P6出資2万4000口を時価19億4889万6000円(1口当たり8万1204円×2万4000口)のところ,9億4164万円(1口当たり3万9235円×2万4000口)で譲渡し,また,P5は,同日,P4に対し,本件P6出資2万3995口を時価19億4848万9980円(1口当たり8万1204円×2万3995口)のところ,9億4144万3825円(1口当たり3万9235円×2万3995口)で譲渡している。 以上のことからすると,本件各譲渡は,時価より著しく低い価額の対価での譲渡であると優に認められる。 3 原告らは本件各譲渡により相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるか,また,そのように認められる場合,当該利益の価額に相当する金額はいくらか(争点(3))について(1) 前記1のとおり,課税実務上,相続税法9条の趣旨を踏まえ,同族会社に対し時価よりも著しく低い価額の対価で財産の譲渡がされたことにより,当該会社の株式又は出資の価額が増加した場合において,当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額(利益)については,当該会社の株主又は社員が同条に規定する「利益を受けた場合」に該当し,当該経済的利益について,当該財産の譲渡をした者から贈与によって取得したものとみなされるところ,前記2のとおり,本件各譲渡は,時価よりも著しく低い価 同条に規定する「利益を受けた場合」に該当し,当該経済的利益について,当該財産の譲渡をした者から贈与によって取得したものとみなされるところ,前記2のとおり,本件各譲渡は,時価よりも著しく低い価 額の対価で行われたものと認められるから,次に,本件各譲渡によって,P3の株式及びP4の持分の価額が増加し,その株主又は社員である原告らが同条に規定する「対価を支払わないで(中略)利益を受けた」か否かを検討することになる。 (2) P3の株式の価額の増加について本件各譲渡の時において,原告P1はP3の株式を39万1150株保有し,原告P2はP3の株式を5万株保有していたところ,P3の株式は,前記2(1)ア(オ)と同様の理由により,類似業種比準方式により評価することになる。 そして,この場合の増加額は,①直前期末において財産の低額譲受があったものと仮定して計算した類似業種比準価額から,②直前期末において財産の低額譲受がなかったものとして計算した類似業種比準価額を控除した金額によることが相当である。 ア直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算したP3の株式1株当たりの評価額直前期末において本件各譲渡がなかったものとして計算したP3の株式の1株当たりの類似業種比準価額は,被告別表1のとおり,4047円(同別表の第3表の㉙欄)となる。 イ直前期末において本件各譲渡が行われたものとして計算したP3の株式1株当たりの評価額(ア) 直前期末において財産の低額譲渡があったものと仮定した場合の類似業種比準価額計算上の及びは,直前期末において財産の低額譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上の価額に相当する金額による。 したがって,直前期末において財産の低額譲渡があったものと仮定した場合の類似業種比準価額計 末において財産の低額譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上の価額に相当する金額による。 したがって,直前期末において財産の低額譲渡があったものと仮定した場合の類似業種比準価額計算上の及び(被告別表3の第1表の 及び欄のとおり)と直前期末において財産の低額譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上の及び(被告別表1の第3表の及び欄のとおり)は,同額となる。 (イ) 直前期末において財産の低額譲渡があったものと仮定した場合の類似業種比準価額計算上のⒹの金額は,直前期末において財産の低額譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上のⒹの金額の計算の基とした純資産価額に,財産の低額譲渡により取得した財産の時価に相当する金額から財産の低額譲渡に係る対価の額を控除した金額(その財産の低額譲渡について課されるべき法人税等の額を控除した金額)を加算した金額を直前期末現在の発行済株式数で除して計算した1株当たりの金額による。この場合における財産の低額譲渡を受けたことにより取得した財産の時価は,法人税の税務計算上の価額による(法人税基本通達9-1-14は,上場有価証券等以外の株式について,評価損を計上する場合の期末時価の算定に係る定めであるが,関係会社間等において株式の売買を行う場合の適正取引価額の算定に当たっても準用されるものと解される。)。 ところで,P3の平成17年1月1日から同年12月31日までの事業年度における法人税について,日本橋税務署長は,P5からの本件P6出資2万4000口の譲受けにより,1口当たり8万1177円と評価された時価より低額で取得しており,その差額が受贈益の計上漏れであるとして,法人税の更正処分をしている。 したがって,本件P6出資の1口当たりの法人税の税 受けにより,1口当たり8万1177円と評価された時価より低額で取得しており,その差額が受贈益の計上漏れであるとして,法人税の更正処分をしている。 したがって,本件P6出資の1口当たりの法人税の税務計算上の価額は,8万1177円となる。 (ウ) そして,これに基づき,被告別表3の第2表のとおり,直前期末において財産の低額譲渡がなかったものとして計算した類似業種比準価額計算上のⒹの金額の計算の基とした純資産価額の修正計算を行い,直前 期末において財産の低額譲渡があったものと仮定して計算した1株当たりの類似業種比準価額を算定すると,同別表の第1表のとおり,4058円(同表の㉙欄)となる。 ウ原告らの保有するP3の株式1株当たりの増加額及び原告らが受けた利益の額本件各譲渡による原告らの保有するP3の株式の増加額は,前記イ(ウ)の金額4058円から前記アの金額4047円を控除した差額である1株当たり11円となる。 そして,これに原告ら各人の保有する株式数を乗じて計算した結果,原告P1につき430万2650円(39万1150株×11円),原告P2につき55万円(5万株×11円)が,原告ら各人が受けた利益の額となる。 (3) P4の持分の価額の増加についてア本件各譲渡が行われる前のP4の持分1口当たりの評価額P4は,本件各譲渡の時において,評価通達178に定める中会社に該当し,かつ,株式保有割合が50パーセント以上であるため,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当する。したがって,P4の持分は,純資産価額方式又は「S1+S2」方式により評価することになる。 そして,本件各譲渡が行われる前のP4の持分1口当たりの評価額の算定に当たっては,課税時期(平成17年3月31日)に仮決算を行っていないところ,課税時 「S1+S2」方式により評価することになる。 そして,本件各譲渡が行われる前のP4の持分1口当たりの評価額の算定に当たっては,課税時期(平成17年3月31日)に仮決算を行っていないところ,課税時期における同社の資産及び負債の金額は明瞭でなく,また,P4の直前期末から課税時期までの間の資産及び負債について著しい増減がなく評価額の計算に影響が少ないと認められることから,評価明細書通達に基づき,直前期末における各資産及び各負債を基にして算出した結果,本件各譲渡が行われる前のP4の持分1口当たりの評価額は,被告別表4のとおり,9589円(同別表の第8表の㉗欄)となる。 なお,同別表の第5表におけるP4の持分1口当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上,資産の部の有価証券の価額92億6920万2000円については,同表の注書2のとおり,直前期末においてP4の保有する上場株式の価額12億1806万0637円に,直前期末においてP4の保有するP3の株式の価額80億5114万2270円(本件P6出資の譲受前のP3の株式1株当たりの価額4047円(被告別表1の第3表の㉙欄)に,直前期末においてP4の保有するP3の株式の数198万9410株を乗じた金額)を加えたものである(ただし,評価明細書通達第5表の1の定めに基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)。 イ本件各譲渡が行われた後のP4の持分1口当たりの評価額本件各譲渡が行われた後のP4の持分の価額を算出するに当たっても,P4は,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当し,純資産価額方式又は「S1+S2」方式により評価することとなる。 そして,P4の持分1口当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上,本件各譲渡が行われる前と比較して,資産の部の有価証券は19億484 資産価額方式又は「S1+S2」方式により評価することとなる。 そして,P4の持分1口当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上,本件各譲渡が行われる前と比較して,資産の部の有価証券は19億4848万9000円(8万1204円(本件P6出資1口当たりの価格)×2万3995株。ただし,評価明細書通達第5表の1の定めに基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)増加する。 また,P4は,P5からの本件P6出資の購入資金を銀行からの借入金により調達しており,同借入金は,P4において短期借入金として経理処理されていることから,本件各譲渡が行われた後,P4の負債の部の短期借入金は,本件各譲渡が行われる前と比較して,9億4144万3000円(3万9235円(本件P6出資の譲受価格)×2万3995口。ただし,同通達第5表の1の定めに基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)増加する。 さらに,法人が時価に比し著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた 場合には,時価と対価との差額に相当する含み益(受贈益)が生じ,当該受贈益は法人税の課税対象となることから,本件各譲渡が行われた後,P4の負債の部の未払法人税等は,本件各譲渡が行われる前と比較して,19億4784万2115円(前記(2)イ(イ)の8万1177円(本件P6出資の1口当たりの法人税の税務計算上の価額×2万3995口)から本件P6出資の対価の額9億4144万3825円(3万9235円(本件P6出資の譲受価格)×2万3995口)を控除した金額に42パーセントを乗じた4億2268万7281円の法人税等相当額が増加することになる。 これらを踏まえ,本件各譲渡が行われた後のP4の持分1口当たりの評価額を算定すると,被告別表5のとおり,その価額は,1万0562円(同別表の第5表 281円の法人税等相当額が増加することになる。 これらを踏まえ,本件各譲渡が行われた後のP4の持分1口当たりの評価額を算定すると,被告別表5のとおり,その価額は,1万0562円(同別表の第5表の⑤欄)となる。 ウ原告らの保有するP4の持分1口当たりの増加額及び原告らが受けた利益の額本件各譲渡が行われる前のP4の持分1口当たりの評価額は,前記アのとおり9589円であり,また,本件各譲渡が行われた後のP4の持分1口当たりの評価額は,前記イのとおり1万0562円であることから,本件各譲渡が行われたことにより,P4の持分は1口当たり973円増加した。 そして,これに原告ら各人の保有する出資の口数を乗じて計算した結果,原告P1につき3億8725万4000円(39万8000口×973円),原告P2につき194万6000円(2000口×973円)が,原告ら各人が受けた利益の額となる。 (4) 以上のとおり,本件各譲渡は,時価よりも著しく低い価額の対価で行われており,その結果,原告らが保有するP3の株式及びP4の持分の評価額が,原告P1につき合計3億9155万6650円,原告P2につき合計2 49万6000円それぞれ増加していることから,本件各譲渡により,原告らは相続税法9条に規定する「対価を支払わないで(中略)利益を受けた」と認められ,その利益の価額は原告らについてそれぞれ上記のとおりの額と認められる。 4 本件出資贈与に係るP4の持分の価額はいくらか(争点(4))についてP4は,本件出資贈与の時である平成17年5月9日において,評価通達178に定める中会社に該当し,かつ株式保有割合が50パーセント以上であるので,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当する。それゆえ,P4の持分は,純資産価額方式又は「S1+S 評価通達178に定める中会社に該当し,かつ株式保有割合が50パーセント以上であるので,株式保有特定会社通達に定める株式保有特定会社に該当する。それゆえ,P4の持分は,純資産価額方式又は「S1+S2」方式により評価することとなる。 ところで,原告P2は,本件出資贈与の時におけるP4の持分の評価額を算出するに当たり,P4の保有するP3の株式の評価額を1株当たり3503円,また,P4の保有するP3の株式数を198万9410株としている。しかしながら,当該評価額の算出に当たって用いるべきP3の株式の評価額は,P3の直前期末の帳簿価額等に基づき算出した1株当たり4047円(被告別表1の第3表の㉙欄)であり,また,本件出資贈与の時におけるP4が所有するP3の株式数は,223万9100株である。 加えて,P4は,同年3月31日に本件P6出資2万3995口を購入していることから,本件出資贈与の時におけるP4の持分1口当たりの価額の算出に当たり本件P6出資を考慮した結果,本件出資贈与の時におけるP4の有する本件P6出資の価額は,被告別表6のとおり,7万4241円(同別表の第6表の⑤欄)となる。 以上を踏まえ,P4の持分について課税時期の直前である平成17年4月30日現在において同社が行った仮決算に基づき各資産及び各負債の相続税評価額及び帳簿価額を計算すると,本件出資贈与に係るP4の持分1口当たりの価額は,被告別表7のとおり,1万0731円(同別表の第6表の⑤欄)となる から,当該1口当たりの金額に原告P2が贈与を受けた出資口数25万8000口を乗じた金額27億6859万8000円が,本件出資贈与の時におけるP4の持分の時価,つまり,原告P2が原告P1から贈与を受けたP4の持分の評価額である。 5 原告らについて,無申告加算税及び過少申 乗じた金額27億6859万8000円が,本件出資贈与の時におけるP4の持分の時価,つまり,原告P2が原告P1から贈与を受けたP4の持分の評価額である。 5 原告らについて,無申告加算税及び過少申告加算税を課されない正当な理由があると認められるか(争点(5))について(1) 過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対し課されるものであり,これによって,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。そして,過少申告加算税の上記趣旨に照らせば,通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場合については,その制度の趣旨にのっとって厳格に解すべきものであり,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁,最高裁平成16年(行ヒ)第86号,第87号同18年4月25日第三小法廷判決・民集60巻4号1728頁)。 したがって,単に納税者の法の不知や誤解に基づく場合は,上記「正当な理由があると認められる」場合に該当しない。 なお,無申告加算税についても,過少申告加算税と同様に,期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合には同加算税は課されないところ(同法66条1項ただし書),この「正当な理由」の意義についても,過少申告加算税の場合と同様であると考えられる(最高 ことについて正当な理由があると認められる場合には同加算税は課されないところ(同法66条1項ただし書),この「正当な理由」の意義についても,過少申告加算税の場合と同様であると考えられる(最高 裁昭和37年(オ)第790号同39年2月18日第三小法廷判決・訟務月報10巻4号653頁)。 (2) 本件においては,本件P6出資の評価額あるいはその前提となるP3の株式の評価額が問題とされているが,被告は,評価通達を形式的に適用すると,実質的に相続税負担の公平が害されるため,同通達の定める評価方法によらないことが正当として是認されるような特別な事情があるとして,本件P6出資につき同通達に定める方法を形式的に適用せずに評価して原告P1賦課決定処分及び原告P2賦課決定処分をしたものであるところ,これらの各処分におけるこのような時価の算定方法が適法であることは,前記2(1)において述べたとおりである。 そもそも,同通達に,同通達6の定めがあることからみても,仮に同通達を形式的に適用して贈与税額を算出し申告したとしても,これがそのまま是認されるものではないことは同通達が予定しているというべきであるから,そもそも贈与税の申告をしなかった原告P1はもとより,同通達を形式的に適用の上贈与税の申告に及んだ原告P2についても,それらの行為が「真にやむを得ない理由」によるものであったとは認められない。 (3) 通則法65条4項に規定する正当な理由があると認められる事実の例示として,原告らの引用する事務運営指針(平成12年7月3日課資2-264,課料3-12,査察1-28)「相続税,贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(乙36)は,「税法の解釈に関し申告書提出後新たに法令解釈が明確化されたため,その法令解釈と納税者(括弧内省略)の 査察1-28)「相続税,贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(乙36)は,「税法の解釈に関し申告書提出後新たに法令解釈が明確化されたため,その法令解釈と納税者(括弧内省略)の解釈とが異なることとなった場合において,その納税者の解釈について相当の理由があると認められること。」を挙げる。 この記載からも明らかなとおり,原告らの引用する上記事務運営指針の定めは「税法の解釈に関し申告書提出後新たに法令解釈が明確化された」ことがその前提となっているところ,本件決定処分及び本件更正処分は,①P5 が本件P6出資をP3及びP4に対し著しく低い価額で譲渡したことにより,P3及びP4の株主又は社員である原告らは,その所有するP3の株式及びP4の持分の価額が増加し,相続税法9条に規定する「対価を支払わないで(中略)利益を受けた場合」に該当すること,並びに②本件出資贈与に係るP4の持分の価額に評価の誤りがあることから行われたものであって,「税法の解釈に関し申告書提出後新たな法令解釈が明確化された」ことにより行われたものではないことは明らかである。 (4) 原告らは,本件において評価通達6を適用して評価するのであれば,「国税庁長官の指示を受けて評価」したことを明らかにすべきであると主張する。 しかし,同通達6は,同通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する旨規定しているが,そもそも「国税庁長官の指示」は行政組織内部における指示,監督に関するものであり,この規定に反したとしても,そのことが直ちに国民の権利,利益に不利益を与えるものとはいえないから,その指示の有無によって課税処分の効力が影響を受けるものと解することはできない。 (5) したがって,原告P1において贈与税 ,そのことが直ちに国民の権利,利益に不利益を与えるものとはいえないから,その指示の有無によって課税処分の効力が影響を受けるものと解することはできない。 (5) したがって,原告P1において贈与税の申告がなかったこと及び原告P2において贈与税の申告が過少になったことについて,通則法66条1項ただし書及び同法65条4項に定める正当な理由があるとはいえず,原告P1賦課決定処分及び原告P2賦課決定処分が,いずれも違法であるとの原告らの主張は理由がない。 以上 (別紙4)原告らの主張の要点 1 本件各譲渡に関し原告らについて相続税法9条の規定を適用することができるか(争点(1))について(1) 相続税法9条の適用要件そもそも通達は租税法の法源ではなく,被告の主張する「課税実務」,すなわち相続税法基本通達9-2(4)は当然に本件各処分の根拠となり得るものではなく,「通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである」場合に限って,本件各処分の根拠となり得るのである(最高裁昭和30年(オ)第862号同33年3月28日第二小法廷判決・民集12巻4号624頁)。 そこで,まず,相続税法9条の適用要件を検討し,同通達9-2(4)の適法性を検討する。 ア相続税法9条の「当該利益を受けた者」の意義(ア) 相続税法9条の文理解釈租税法は侵害規範であり,法的安定性の要請が強く働くから,その解釈は原則として文理解釈によるべきであり,みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されない(最高裁平成19年(行ヒ)第105号同22年3月2日第三小法廷判決・民集64巻2号420頁,最高裁平成20年(行ヒ)第139号同23年2月18日第二小法廷判決・裁判集民事236号71頁参照)。 相続税法9条は,「対価を支払わないで」という文言と 日第三小法廷判決・民集64巻2号420頁,最高裁平成20年(行ヒ)第139号同23年2月18日第二小法廷判決・裁判集民事236号71頁参照)。 相続税法9条は,「対価を支払わないで」という文言と,「著しく低い価額の対価で」という文言が「又は」という接続詞で結ばれ,ともに,「利益を受けた場合においては」に係り,「当該利益を受けた時において,当該利益を受けた者が」と続いている。 したがって,同条の「当該利益を受けた者」は,①「対価を支払わな いで」利益を受けた者と,②「著しく低い価額の対価で」利益を受けた者を意味する。 この「対価」とは,それを支払う義務を負っている者が相手方に対してある給付の代償として支払うものを意味すると解するのが,その文理から自然に導き出される解釈である。 また,同条の規定する「著しく低い価額の対価」とは,(高くも低くもない)「適正な価額の対価」が想定し得ることを前提としており,「著しく低い価額の対価で」利益を受けた者とは,本来,「適正な価額の対価」を支払うべきであるのに,「著しく低い価額の対価で」利益を受けた者を意味すると解するのが,文理に照らし自然である。 とすれば,この「著しく低い価額の対価で」利益を受けた者は,その受けた「利益」に対し,法的に「対価」を支払うべき義務を負う者,つまり,「対価」の支払義務者を意味していると解すべきである。なぜならば,仮に当該者が「対価」の支払義務を負っていないとすると,その「対価」の価額の高低が問題となる余地はないからである。 とすれば,この「著しく低い価額の対価で」利益を受けた者と「又は」という接続詞で並列された「対価を支払わないで」利益を受けた者も,同じく,当該者が,当該「対価」の支払義務を負っている者であることを前提としていると解すべきである。 (イ) 益を受けた者と「又は」という接続詞で並列された「対価を支払わないで」利益を受けた者も,同じく,当該者が,当該「対価」の支払義務を負っている者であることを前提としていると解すべきである。 (イ) 相続税法7条の文言との比較相続税法7条は,財産の低額譲渡の場合を規定しているが,同条の「当該財産の譲渡を受けた者」が,「著しく低い価額の対価で譲渡を受けた」者であることは争いがなく,当該者は,当該「対価」の支払義務を負う者である。 とすれば,「著しく低い価額の対価」により受けた対象が「利益(同法9条)」か「財産の譲渡(同法7条)」かによって,当該「利益」を受 けた者と当該「財産の譲渡」を受けた者の主体が異なる解釈が正しいとは到底思われない。 したがって,同法9条の「当該利益を受けた者」も,当該利益の「対価」の支払義務を負う者を意味すると解すべきである。 (ウ) 小括以上のとおり,相続税法9条の「当該利益を受けた者」とは,当該「対価」の支払義務を負っている者と解すべきである。 イ相続税法9条は「利益を受けさせた者」と「利益を受けた者」との間に利益の授受がある場合に限って適用されること(ア) 相続税法9条の「当該利益を受けさせた者」と「当該利益を受けた者」とは,当該利益について何らかの「対立承継関係」にあることを前提としていると解するのが自然である。この両者間に何らの直接的な関係(それは必ずしも法的関係には限らないとしても)も存しないのに,当該者をそれぞれ「当該利益を受けさせた者」及び「当該利益を受けた者」と解することは,同条の文言から著しくかい離するといわざるを得ず,何の関係もないAとBとの間に偶然の事情により「経済的利益」の移転があった場合にも同条が適用されることになってしまい,不合理であることは明らかである。 の文言から著しくかい離するといわざるを得ず,何の関係もないAとBとの間に偶然の事情により「経済的利益」の移転があった場合にも同条が適用されることになってしまい,不合理であることは明らかである。 つまり,同条は,「当該利益を受けさせた者」と「当該利益を受けた者」との間に,利益を受けさせ,受けたという関係の存する場合(利益の授受がある場合),換言すれば,両者の間に「対立承継関係」の存する場合に限って適用されるべきと解する。 (イ) 被告の主張によれば,個人が同族会社以外の法人(例えば,上場会社)にその資産を低額で譲渡した場合にも,同法人の株主は当該個人から「経済的利益の享受」を受けたことになり,相続税法9条が適用されることになるが,かかる結論が不当であることは明らかである。このよ うな不当な解釈が導かれる原因は,被告が同条の「当該利益を受けさせた者」と「当該利益を受けた者」という文言の解釈をないがしろにし,両者の間に「対立承継関係」がなくても同条の適用があるという文言上不自然な解釈を採用していることに帰着するのである。 この点について,被告は,同条を適用するためには「積極的な行為」の判定が必要であると主張するが(被告の主張の要点(別紙3)の1(2)イ(イ)),その主張は,二者の間に「経済的利益の享受」がありさえすれば同条は適用されるとする被告の主張と一致していないと思われるし,仮に同条の適用のためには「積極的な行為」を要すると解する被告の立場に立てば,何らの「積極的な行為」の存在も認められない本件においては,なおさら同条の適用は否定されるものと思われる。 それをさておいても,同条の文言からは,同条が同法64条の規定を前提としているとの解釈は全く読み取ることはできないし,そもそも同条は,相続税又は贈与税について同族会社等の 定されるものと思われる。 それをさておいても,同条の文言からは,同条が同法64条の規定を前提としているとの解釈は全く読み取ることはできないし,そもそも同条は,相続税又は贈与税について同族会社等の株主等のいわゆる租税回避行為を是正し,税務署長に対して相続税又は贈与税の更正,決定を行うに際し当該同族会社等の行為又は計算を否認し独自にこれらの課税価格を計算することができる権限を認めたものであると説明されているのであり,同法9条とはその趣旨を異にしている。同法64条は,同法9条とは若干の関係はあるにしても,この場合には同族会社等の行為計算そのものが否認されることにはならないので,直接には関係がないものと考えられる。したがって,同法9条が同法64条の規定を前提としているという被告の主張は失当である。 ウ同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合に同社の株主等が受ける利益(含み益)は相続税法9条の定める「利益」に該当しないこと(ア) 株式等の含み益の増加は相続税法9条の「利益」には該当しないこと 同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合に同社の株主等に「利益」が生じるとすると,それは保有する株式等の含み益,すなわち評価益にすぎない。そして,以下の理由から,かかる「評価益」に贈与税を課すことは妥当ではない。 a かかる「評価益」は,財産の低額譲渡をした個人から株主等に移動したものではないこと例えば,個人甲が同族会社(A社)に財産の低額譲渡をした場合を想定すると,A社の株主乙の株式に生じた評価益は,どのような形であれ,個人甲からの経済的な利益が移転したことを原因として生じたものではない。 つまり,乙の保有する株式の評価益は,A社の資産や収益の増加に伴って,A社の株価が上昇したことによる株主としての「反射的な効果」であり,このこと 益が移転したことを原因として生じたものではない。 つまり,乙の保有する株式の評価益は,A社の資産や収益の増加に伴って,A社の株価が上昇したことによる株主としての「反射的な効果」であり,このことと個人甲が財産の低額譲渡によりA社に受贈益を与えたこととは,別個の独立した事柄である。 b 相続税法では,個人が所有する資産の評価益に対して贈与税を課すことを予定していないことそもそも,相続税法では,個人が所有する資産に評価益が生じても,それだけの理由で贈与税を課税されることはない。 評価益が,相続税法基本通達9-2が掲げた場合に基因するものであれ,その他の原因によるものであれ,それが株式の評価益にすぎない場合は,みなし贈与として贈与税を課税される理由はない。 c 個人より会社へ利益が移転する場合個人と会社の取引によって,会社に利益が移動する場合は,相続税法基本通達9-2で明記された場合に限らない。例えば,A不動産会社が個人丙に土地を高額で売りつけて利益を得た場合も,同通達9-2の理論によれば,A社の株主乙は丙よりみなし贈与を受けたことに なるはずであるが,同通達9-2は,このような場合はみなし贈与になるとは明記していない。また,A社が別の法人Bから低額で資産の譲渡を受けた場合,この場合でも,同通達9-2の理論によれば,株主乙は法人Bより利益を受けたことになるが,このような場合に,株主乙が法人Bから贈与を受けたものとして,一時所得が課税されることはない。このことは,上記のいずれの場合も,譲渡した者から株主に経済的利益の移動がないからにほかならない。 これに対しては,被告は,相続税法基本通達9-2(1)から(4)までの場合は,例示であり,これらに当たらない場合であっても,相続税法9条の適用はあり得ると主張することが考えられ らにほかならない。 これに対しては,被告は,相続税法基本通達9-2(1)から(4)までの場合は,例示であり,これらに当たらない場合であっても,相続税法9条の適用はあり得ると主張することが考えられる。 しかし,かかる解釈は,同条の適用範囲を著しく広いものとするばかりか,普通の納税者が同条の文言を読んで直ちに読み取ることのできない場合にまで同条の適用の余地を認めるものであり,納税者の予測可能性を害すること甚だしく,失当である。 d 被告の主張の要点(別紙3)の1(2)ウについて被告の主張によると,他社の株式を低額で譲り受けた場合であっても,それが「通常の営業活動」として行われた場合は,それによる評価益は相続税法9条の「利益」に該当せず,「通常の営業活動」ではない「一定の行為」により行われた場合には,同条の「利益」に該当するということになるのであろうが,かかる区別をすることはできず,その区別に何らの合理性もないことから,納税者の予測可能性及び租税負担の公平を著しく害することは明らかである。 なお,P5及び原告らに,「相続税の負担軽減を図る」意図などなく,仮に将来,P5に係る相続の負担軽減が結果として生じたとしても,それはたまたま原告P1がP5の法定相続人であったからにすぎず,本件のようなケースにおいて一般的に同条を適用すべきとする被 告の立場からの反論とはなり得ない。また,本件各譲渡の時点では,原告P2はP5の法定相続人ですらなく,原告らがP5の相続人になるか否かも不確定であり,この点でも被告の主張は失当である。 (イ) 小括以上のとおり,同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合における同会社の株主等の株式の含み益(評価益)は,相続税法9条の「利益」には該当しない。 したがって,かかる「利益」に対して同条の適用を肯定す 以上のとおり,同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合における同会社の株主等の株式の含み益(評価益)は,相続税法9条の「利益」には該当しない。 したがって,かかる「利益」に対して同条の適用を肯定する被告の主張は失当である。 (2) あてはめ仮に本件各譲渡の対価が本件P6出資の時価よりも著しく低い価額であったとしても,原告らは,P5から本件P6出資を譲り受けた者ではなく,本件各譲渡の買主であるP3及びP4の株主及び社員にすぎない。 したがって,原告らは,本件各譲渡の当事者ではなく,①同譲渡の対価の支払義務を負っているものではないから,相続税法9条の「当該利益を受けた者」に該当せず,②訴外P5との間に「対立承継関係」がないから,この点でも同条の「当該利益を受けた者」に該当せず,また,③本件各譲渡による反射的な効果として増加した原告らの保有する株式等の価値の増加(含み益)は同条の「利益」に該当しない。 したがって,本件各譲渡に関して,原告らに同条は適用されない。 そして,原告らのような同族会社の株主に対しても同条の適用があるとする相続税法基本通達9-2(4)は,同法9条に反し,違法である。 (3) その他被告の解釈が失当である理由ア被告の解釈によると,相続税法9条の適用範囲が著しく拡張され,納税者の予測可能性,法的安定性を害する危険性があることそもそも,同族会社が財産の低額譲渡を受けた場合の同社の株主等に相 続税法9条が適用されるとは,その文言を世間一般の人が読んで到底読み取ることのできるものではなく,また,かかる解釈が許容されてしまえば,「当該利益を受けた者」の範囲は更に拡張される危険性もあり,納税者の予測可能性を害し,法的安定性を害すること甚だしい。 この点,同法は,「贈与により取得したものとみなす」ものを,同 されてしまえば,「当該利益を受けた者」の範囲は更に拡張される危険性もあり,納税者の予測可能性を害し,法的安定性を害すること甚だしい。 この点,同法は,「贈与により取得したものとみなす」ものを,同法4条から8条までにおいて個別的に規定している(いわゆるみなし贈与規定)。 被告が主張するように,相続税法基本通達9-2(2)のような場合が「比較的定型的な態様で,取扱いを特定しておく必要がある場合」であれば,かかる場合についても同法,せめて相続税法施行令により規定しておくべきであって,このように世間一般の人が同法9条の規定を読んで,到底読み取ることのできない本件のようなケースを租税法の法源ではない通達により,同条の適用対象とすることは許されない。 同条の「その他の利益の享受」というような概括条項は,租税法律主義の要請に反するという批判もある。課税要件明確主義の要請からも,同条は,法的安定性,納税者の予測可能性を害することのないよう,その適用範囲については合理的かつ限定的に解釈されるべきである。 イ相続税法9条の適用は経済的利益の享受があったか否かにより判定されるべきとする被告の主張は誤っていること被告は,相続税法9条にいう「「対価を支払わないで…利益を受けた場合」に該当するか否かについては,経済的利益の享受があったか否かにより判定されるべきものである」と主張する。 しかし,そもそもかかる被告の主張は,相続税法基本通達9-2(4)の定める「要件」(「同族会社の株式・・・増加したとき」)さえも不要とするものであり,自らの主張の間に矛盾抵触が生じている。 それをさておいても,かかる被告の主張によれば,要するに,AとBと いう異なる法的主体の間に,何らかの「経済的利益の享受」が存しさえすれば,同法9条が適用されるということにな 生じている。 それをさておいても,かかる被告の主張によれば,要するに,AとBと いう異なる法的主体の間に,何らかの「経済的利益の享受」が存しさえすれば,同法9条が適用されるということになり,同条の「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」の文言はほとんどその実質的な意義を失い,事実上空文化するに等しく,同条の法解釈を放棄したものといっても過言ではない。 仮に,被告が主張するように,異なる2者の法主体間に「経済的利益の享受」が存すれば同条が適用されるとすると,同法が,同法5条から8条までにおいて,「みなし贈与財産」を個別に規定している意味も全く失われてしまう(同法9条のみが存すれば事足りてしまう。)。かかる解釈が誤っていることは明らかである。 ウ被告の主張は同族会社の株主等に著しい不利益を及ぼすこと同族会社の株主といっても,同族関係者等の同族判定株主(いわゆる大株主)から少数株主まで,その実態は様々である。 しかし,被告の主張によると,例えば,同族会社の判定の対象とならない少数株主(例えば,たまたま1株所有していた株主)についても,上記通達が適用されることになるが,その場合,当該株主は,当該低額の価額による財産の譲渡の事実自体を全く知り得ない場合であっても,相続税法9条により贈与税が課され,さらに無申告加算税・過少申告加算税等が課される可能性がある。 贈与税が申告納税制度を採用していることからも,かかる課税は,当該株主にとって不意打ちともいい得るものであり,極めて不当な課税である。 かかる結果を招来する被告の主張は失当である。 2 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))について(1) 評価通達の定めによって評価 する被告の主張は失当である。 2 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))について(1) 評価通達の定めによって評価した場合,本件各譲渡に係る本件P6出資の1口当たりの価額はいくらか(争点(2)ア)について ア原告らの主張の概要(ア) P6の出資者別の株主区分と評価方式(P5からP3への本件P6出資の譲渡における本件P6出資の評価等)評価通達188(1)は,法人税法施行令4条の規定を読み替えて,ある法人が株主の1人の同族関係者に該当するか否かは,当該法人の議決権総数に占める割合が50パーセント超であるか否かによって判定する(同通達188(1)及び同令4条2項及び3項)。この点,P6は,原告P1及びその同族関係者であるP4によって,議決権総数の31.57パーセントしか保有されておらず,50パーセントを超えないことから,P6は原告P1の同族関係者に該当しない(同条2項各号非該当)。 したがって,P6において,その議決権総数の30パーセントを超える同族株主グループは,原告P1とその同族関係者であるP4だけである。また,P6の議決権を有しないP3もP6の同族株主に該当しない。 したがって,同通達に従えば,P5からP3への本件P6出資の譲渡における評価方式は,配当還元方式となる(同通達188(1),188-2)。 具体的には,次の算式のとおり,P3が譲り受けた本件P6出資1口当たりの価額は500円となる(詳細は原告別表1のとおり)。 (算式)2円50銭(①)/10% × 1000円(②)/50円= 500円(①は,年配当金額÷1株当たりの資本金額を50円とした場合の発行済株式数(次式のとおり)5,000千円 ÷ (100,00 50銭(①)/10% × 1000円(②)/50円= 500円(①は,年配当金額÷1株当たりの資本金額を50円とした場合の発行済株式数(次式のとおり)5,000千円 ÷ (100,000千円÷50円) = 2円50銭)(②は,本件P6出資1口当たりの資本金の額=直前期末の資本金額÷直前期末の発行済株式数(次式のとおり) 100,000千円 ÷ 10万株 = 1,000円)また,P5からP4への本件P6出資の譲渡における評価方式は,中心的な同族株主が取得したものであるから,原則的な評価方式によることとなり(同族株主であっても,中心的な同族株主以外の同族株主については,保有する議決権割合等によって評価方式が異なる場合がある(同通達188(2))。本件においては,原告P1及びP4が,P6の中心的な同族株主に該当することについては,争いがないものと考える。),評価会社であるP6の状況により判断することとなる。 (イ) P3の株主別の株主区分と評価方式等(P5からP4への本件P6出資の譲渡における本件P6出資の評価)P5からP4への本件P6出資の譲渡における評価をするに当たり,P6が保有するP3の株式の評価については,P6が,P3との関係で,いかなる株主区分となるかが問題となる。 この点,前記(ア)のとおり,P6は原告らの同族関係者に該当しないから,P3もまた原告らの同族関係者に該当しない。すなわち,同社において,原告P1の同族関係者グループは,原告P1,P31,P32,原告P2及びP4によって構成され,P3の議決権総数の50パーセントを超えない43.5パーセントの議決権の割合しか保有していないから,同社は,原告らの同族関係者に該当しない(法人税法施行令4条2項各号非該当)。 また,P6は,単独でP3の議決 数の50パーセントを超えない43.5パーセントの議決権の割合しか保有していないから,同社は,原告らの同族関係者に該当しない(法人税法施行令4条2項各号非該当)。 また,P6は,単独でP3の議決権総数の30パーセントを保有していないから,単独でも同社の同族株主に該当せず,同社における同族株主以外の株主に該当する(評価通達188(1))。 したがって,同通達に従えば,P6が保有するP3の株式の評価は,配当還元方式によるべきこととなる。 具体的には,次の算式のとおり,本件各譲渡の時におけるP3の株式 1株当たりの価額は50円となる(詳細は原告別表2のとおり)。 (算式)5円(①)/10% × 50円(②)/50円 = 50円(①は,年配当金額÷1株当たりの資本金額を50円とした場合の発行済株式数(次式のとおり)35,000千円 ÷ (350,000千円÷50円) = 5円)(②は,P3株式1株当たりの資本金の額(次式のとおり)350,000千円 ÷ 700万株 = 50円)その結果,P6の総資産のうちに株式等の占める割合は,43.29パーセントにすぎず,50パーセント未満となるから,同社は,株式保有特定会社通達が定める株式保有特定会社に該当しない。また,同族株主の評価方法について,評価通達189(1)及び(3)から(6)までが定める他の特例的な評価方式により評価すべき事情のいずれにも該当しない。したがって,P6の同族株主であるP4がP5から譲り受けた本件P6出資の評価方式については,同通達178によってP6は小会社に該当することから,同通達179(3)に基づき,純資産価額方式又は類似業種比準方式と純資産価額方式の折衷方式により評価すべきこととなる。 そして,P4はP6の議決権総数の50パーセント超を保有し に該当することから,同通達179(3)に基づき,純資産価額方式又は類似業種比準方式と純資産価額方式の折衷方式により評価すべきこととなる。 そして,P4はP6の議決権総数の50パーセント超を保有していないから,純資産価額方式により評価した額から20パーセント減額した額と,当該純資産価額方式により評価した額と類似業種比準方式により評価した額の折衷方式により評価した額のいずれか有利な方法によるべきこととなり,次の算式のとおり,P4が譲り受けた本件P6出資1口当たりの価額は1011円となる(詳細は原告別表3のとおり)。 (算式) 本件各譲渡時の本件P6出資1口当たりの純資産価額×80%1264円 × 80% =1011円イ P3は,原告らの同族関係者に該当せず,P6における「同族株主」に該当しないことP3はどの株主グループにも50パーセントを超える議決権を保有されていない(同社における原告P1の同族関係者は,原告P2,P31,P32及びP4のみであり,原告P1及びその同族関係者は,P3の議決権割合の50パーセント以下である43.50パーセントしか保有していない。)ことから,P3は同社のいずれの株主についても,法人税法施行令4条2項各号及び同条3項に該当せず,したがって,原告らの同族関係者に該当しない。 なお,P3の株主であるP6が,原告P1の同族関係者に該当すれば,P6を含む原告P1の同族株主グループが,P3の発行済み株式総数の50パーセントを超える72.07パーセントを保有することになるが,後記オのとおり,P6は原告らの同族関係者に該当しない。 にもかかわらず,被告は,何ら理由を明らかにすることなく,漫然とP3をP1一族グループ(原告P1,P3,P4)に含め,P3が,原告らの同族関係者であり,したがって,P6 の同族関係者に該当しない。 にもかかわらず,被告は,何ら理由を明らかにすることなく,漫然とP3をP1一族グループ(原告P1,P3,P4)に含め,P3が,原告らの同族関係者であり,したがって,P6の同族株主であると主張するものであり,失当である。 ウ本件に株式保有特定会社通達を形式的に当てはめることは,その制定の趣旨からしても,また,結果の妥当性からしても,許されるべきではないこと(ア)a 平成2年8月に発せられた株式保有特定会社通達の趣旨目的は,いわゆるバブル景気によって,日本では投機熱が加速し,特に株と土地への投機が盛んになったところ,その当時の過大な相続税の負担に耐えかねた大量の上場企業の株式を保有する一部の上場企業のオーナ ーらによる行き過ぎた節税策を排除することにあった。その節税策とは,おおむね次のような手続により株式をオーナーから持株会社へ移転して,相続税の評価額を圧縮しようとするものであった。 (a) 大量の上場株式を保有するオーナー株主が自己の保有する株式を購入する持株会社(A法人)を設立する。 A法人は,株式購入資金を金融機関からの融資により調達し,オーナー株主が市場に放出した株式を市場価格により購入する。 オーナー株主の当該株式の譲渡に係る所得税は源泉分離課税を選択して,その譲渡収入の1パーセントで完結させる。 A法人は,株式の譲渡により多額の収入を得たオーナー株主からの増資申込みを受けて金融機関からの借入金を返済する。 (b) 次に,オーナー株主はA法人とは別法人のB法人を設立し,B法人はオーナー株主からA法人への株式の移動が完了した後にA法人を吸収合併して消滅させる。 B法人はA法人からの受入れ資産の額を時価以下の金額で受け入れ,資本金を1億円以上(大会社)とする。 このようにして,オ 主からA法人への株式の移動が完了した後にA法人を吸収合併して消滅させる。 B法人はA法人からの受入れ資産の額を時価以下の金額で受け入れ,資本金を1億円以上(大会社)とする。 このようにして,オーナー株主は上場株式をB法人に保有させ,B法人を通じて上場株式を間接保有し,当該上場株式の価額はB法人株式の価額である類似業種比準価額にすり替わることによって,評価額の引下げが達成される。 b 株式保有特定会社通達が発せられた翌日である平成2年8月4日,各報道機関は一斉にこれを取り上げたのであるが,行政庁内部の命令にしかすぎない通達の改正に対してこれほどの報道がなされることは極めて異例であった。 そして,その報道内容の一部は,P37新聞(甲34)が「株操作の相続税圧縮時価算定で封じ込め国税庁新通達」,P38新聞 (甲35)が「“非上場株利用節税”に歯止め相続評価を変更国税庁通達」,P39新聞(甲22)が「上場企業オーナーの相続税対策株評価適正化で歯止め国税庁」,P40新聞(甲36)が「企業オーナーの相続・贈与税非上場会社に株式を移し評価額を圧縮「節税マジック」歯止め国税庁が来月から最高でも半分に」,P41新聞(甲37)が「上場企業オーナーの節税策相続税減らしに歯止め国税庁株式評価方式を改訂」というもので,「非上場会社の資産が極端に株などに偏っている場合,これまでの評価方法を改め,会社資産の時価を基準に株価を算定することにしており,これが実施されると,一部のオーナーが行っていたような1%以下への極端な資産圧縮は不可能になる。このほか改正通達は,土地資産の評価額圧縮策などについても対策を講じ,税制の盲点を突いた「資産節税」の抜け道封じに国税当局が強い姿勢で望むことを明確にしている。」(甲34),「上場企 不可能になる。このほか改正通達は,土地資産の評価額圧縮策などについても対策を講じ,税制の盲点を突いた「資産節税」の抜け道封じに国税当局が強い姿勢で望むことを明確にしている。」(甲34),「上場企業のオーナーらが,関連の非上場会社を設立して持ち株を移し,自社株の代わりに関連会社株を持つ方法で相続税減らしを図るケースが増えているため国税庁は3日,株の持ち替えで相続・贈与税評価額を極端に圧縮できない措置を盛り込む長官通達を出した。 (中略)大量の上場株を持つ企業創業者やその一族たちの中には,名目的な非上場会社を設立して上場株を移動。さらに孫会社を設立するなど株移動の操作を繰り返したり,合併や減資の複雑な方法で評価額を本来の市場価格の1%以下に圧縮したケースもあったという。上場株を非上場株に持ち替えることで,上場企業への支配力を維持しながら大幅な節税策を図っていた。」(甲22),「上場企業のオーナーらが相続税や贈与税を“節税”するため,株式の評価が低く算定される非上場会社を設立し,そこに自社持ち株を移転させるケースが目立っていることから国税庁は3日,従来の課税評価方式を改め,実際の純資 産に基づいた方式にすることを決めた。(中略)非上場会社の株式評価は,時価より低く抑えることができるという現行相続税法の死角をついた節税策だったが,通達で一定の歯止めがかかった。」(甲36)というものであった。 そもそも,この通達改正は,当時の実務家の間では,早い時期から噂されていたものであるが,それは,平成2年7月24日付けのP37新聞により,「上場企業オーナーの「株マジック」 相続税評価方法の見直し急務 「株マジック」,とでも言えばいいのだろうか。上場企業のオーナー経営者らが,個人で持っていた自社株を非上場会社に移して相続税評価額の大幅圧縮を オーナーの「株マジック」 相続税評価方法の見直し急務 「株マジック」,とでも言えばいいのだろうか。上場企業のオーナー経営者らが,個人で持っていた自社株を非上場会社に移して相続税評価額の大幅圧縮を図っている実態が明らかになった。 昨年4月から今年5月までの約1年間で80社,移された上場株は時価で9700億円分に上っており,「課税の極端な不公平を招く」との批判が強い。現行の評価方法の不備を突いたものであり,一刻も早い手直しの必要に迫られている。」との報道(甲38)からもみてとれる。 すなわち,株式保有特定会社通達は,上場企業のオーナーらによる行き過ぎた節税策を排除するために導入されたものであって,それを超える趣旨のものではない。 c 前記bの報道後,株式保有特定会社通達の立案担当者であり,国税庁資産評価企画官であったP33企画官は,「通達改正の趣旨は「最近における株式取引等の実態にかんがみ,株式及び出資の評価の適正化を図る必要があるため,それらの評価方法の一部を改めた」ということを書いてありますが,あくまでも評価の適正化を図ろうとするもので,特別の政策目的のために今回の通達改正に踏み切ったわけでもありません。(中略)今回の通達改正は,政策的に節税策を封じようというのが狙いというよりも今の評価額は,法律上の「時価」の解釈 として妥当とされている“客観的な交換価値”から遊離しているので,その遊離の幅をできるだけ狭めていって,評価の適正化を図ろうということになります。結果的には,そういう開差を利用した節税策がなかなかやりにくくなろうかと思います。」と述べていた(甲39)。 P33企画官のこの説明を読む限りにおいては,株式保有特定会社通達は行き過ぎた節税策の防止のみを趣旨・目的として定められたものではないとする被告の主張と一致す 思います。」と述べていた(甲39)。 P33企画官のこの説明を読む限りにおいては,株式保有特定会社通達は行き過ぎた節税策の防止のみを趣旨・目的として定められたものではないとする被告の主張と一致するところである。 しかし,P33企画官は,退官後,株式保有特定会社通達の制定当時を振り返り,「株式保有特定会社・土地保有特定会社の評価会社の取扱いは,平成2年8月の通達改正で設けられたわけです。それぞれの趣旨は,類似業種比準方式の悪用を避ける,類似業種比準方式を適用するにはふさわしくない評価会社を抽出して,その評価会社に応じた評価方法,原則的には純資産価額方式で評価するという方法を採り入れ,類似業種を悪用した評価額の引下げを封じるというものです。 封じるということは,評価の適正化によってそういう方法を封じることを考えて作り出された評価方式であるということです。」「株式保有特定会社の問題から検討したいと思います。株式保有特定会社は,かつては持株会社という言われ方をされてきました。これは,知る人ぞ知ると言いますか,資産税を得意とする専門家の間では,この方法が資産家の財産保全のために最も役立つ,節税方法に最も役立つ方法であると言われてきました。恐らく,これは戦後ずっとこの方式で密かに進められてきたのではなかろうかと思います。そのことが,バブルを境に,多くの節税本等によって紹介されたことから,あっという間に広まり,その結果,いろいろと社会問題が提起されるようにもなってきました。当時,P37新聞等は「株式のマジック」という表題で,1000億円の上場株式が持株会社に移行することによって評価額が 5億円に圧縮できるというセンセーショナルな報道をしました。そういう社会的問題を踏まえながら,この種の評価方式が平成2年8月に改められたわけです。」と 株会社に移行することによって評価額が 5億円に圧縮できるというセンセーショナルな報道をしました。そういう社会的問題を踏まえながら,この種の評価方式が平成2年8月に改められたわけです。」とその趣旨・狙いを述べている。 この「類似業種比準方式の悪用を避ける」,「類似業種比準方式を悪用した評価額の引下げを封じる」,「封じるということは,評価の適正化によってそういう方法を封じることを考えて作り出された評価方式である」,「社会的問題を踏まえながら,この種の評価方式が平成2年8月に改められた」というP33企画官の発言こそが正に株式保有特定会社通達の本質を突くものであって,株式保有特定会社通達はあくまでも類似業種比準方式を悪用して株式の評価額を圧縮し相続税回避を行う上場企業オーナーらを対象に定められたものであると解するのが相当である。P33企画官が「評価の適正化」と述べるのもそのことであって,時価1000億円の上場株式を,ある法形式を用いることによって評価5億円の非上場株式に化体させることなく,それは1000億円の価値ある非上場株式としての適正な評価に修正をするということである。 (イ)a 評価通達は,解釈通達ではなく,「適用通達」又は「認定通達」の性質をもっており,事実の認定は,事案ごとに個別に行われるべきであるし,また,同通達を形式的,画一的に適用することが同通達の趣旨に反する場合には,同通達を適用することは許されないというべきであるから,本件P6出資の本件各譲渡の時における評価をするに際しても,取引の趣旨及び目的,加えて個々の事情を総合考慮してなされるべきであって,それらを捨象して,当時の社会背景を奇貨として行き過ぎた節税を規制する目的で導入された株式保有特定会社通達を本件各譲渡に機械的に適用することは,前提として失当である 合考慮してなされるべきであって,それらを捨象して,当時の社会背景を奇貨として行き過ぎた節税を規制する目的で導入された株式保有特定会社通達を本件各譲渡に機械的に適用することは,前提として失当であるといわざるを得ず,また,その妥当性についてはいまだ何の立証もなされ ていないというべきである。 b ところで,株式保有特定会社通達には,「租税回避を目的として」などといった文言は存在しない。したがって,租税回避の有無を同通達の適用の考慮要素とすることについては,通達の文言を離れて新たに独自の要件を付加するものになるのではないかという疑問も生ずるところである。 しかしながら,前記aのとおり,評価通達は,解釈通達ではなく,「適用通達」又は「認定通達」の性質をもっており,事実の認定は,事案ごとに個別に行われるべき作用であるから,当該通達のそもそもの目的が租税回避行為を封じ込めるためのものであり,被告も自認するとおり,財産についての評価額と実際の取引価額との間の開差が租税回避行為に利用されるケースがあったことが評価通達の改正の契機になったことからすれば,当該通達の適用に当たって評価会社にそのような意図があったか否かや,租税回避行為の弊害の有無につき考慮するのは妥当かつ当然のことである。これは,評価通達6の定めにあるとおり,いかなる場合であっても同通達が適用されることにならないことに鑑みても,租税回避の有無を株式保有特定会社通達の適用の考慮要素とすることは,新たに独自の要件を付加するものではないというべきである。 (ウ) 法令や通達の制定当時にはそれに合理的な理由があったとしても,常にそれが適用されるわけではなく,時代の変化やその法令や通達そのものの趣旨目的から逸脱するような場合には,適用すべきではない。 株式保有特定会社通達と同様 にはそれに合理的な理由があったとしても,常にそれが適用されるわけではなく,時代の変化やその法令や通達そのものの趣旨目的から逸脱するような場合には,適用すべきではない。 株式保有特定会社通達と同様,バブル経済の時期の相続税の節税策に対処することを目的とされたものとして,旧租税特別措置法69条の4があり,その適用の是非をめぐって争われたのが,大阪地裁平成6年(行ウ)第79号同7年10月17日判決・行裁例集46巻10・11 号942頁であるが,この判決は,たとえその法律が合理的な立法政策により制定されたものであっても,時代の変化やその法律そのものの目的から逸脱するような場合には,適用すべきではないとしているのである。立法府において制定された法律においてさえその適用を制限される場合があるのであるから,単なる行政庁内部の規律であって租税法の法源ですらない通達にあっては,よりその適用について,個々の事案の実態に即した厳格性が求められることはいうまでもない。 (エ) 他方,本件の取引についてみた場合,平成17年初頭から開始されたP4による本件P6出資の買取りは,創業300年を目前に控えたP27グループのガバナンスの見直しの一環としてなされたものであって,その取引方法並びに買取価格などについても,本件13社は,飽くまでもP4とは別個の独立した法人として,その合理的な経営判断の下に決定しているのであるし,また,購入側であるP4,売却側である本件13社のいずれにおいても,本件の取引を奇貨として税負担を軽減する目的などは認められないことは明らかである。 (オ)a 法人税基本通達の前文のとおり,①通達の具体的な運用に当たっては,法令の規定の趣旨,制度の背景のみならず条理,社会通念をも勘案しつつ,個々の具体的事案に妥当する処理が図られなくてはな 。 (オ)a 法人税基本通達の前文のとおり,①通達の具体的な運用に当たっては,法令の規定の趣旨,制度の背景のみならず条理,社会通念をも勘案しつつ,個々の具体的事案に妥当する処理が図られなくてはならないし,②いやしくも,通達の規定の部分的字句について形式的解釈に固執し,全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり,通達中に例示がないとか通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈におちいったりすることのないように留意しなければならないのであるが,そうであるにもかかわらず,それらについて一切考慮することなく,本件におけるP6のように,通常の売買行為等によって株式保有特定会社に該当してしまった評価会社にも株式保有特定会社通達を機械的又は形式的に適用することは,そ もそもその趣旨に反するばかりか,適用結果の妥当性の観点からみても著しく不合理な結果を招来することは明らかであるから,本件各処分は違法である(なお,P4の持分の評価における同通達の適用に関しても,上記のとおりであるから,これを適用してP4の持分を評価することも不当である。)。 b 被告は,法人税基本通達と評価通達はそれぞれ,その制定の趣旨が異なる別個のものであるから,法人税基本通達の前文を根拠に評価通達の解釈適用を論難することは当を得ないと主張する。 しかしながら,本件P6出資の評価に当たり法人税基本通達に依拠したのはそもそも被告である。もし同通達に依拠して本件P6出資を評価するというのであれば,当然の前提として,その前文の趣旨に従うべきである。 なお,被告の依拠した同通達9-1-14は,評価損の計上を行う場合の算定方法を定めたものであって,第三者間における売買取引の時価を算定するためのものではないところ,当該通達に依拠すること自体違 なお,被告の依拠した同通達9-1-14は,評価損の計上を行う場合の算定方法を定めたものであって,第三者間における売買取引の時価を算定するためのものではないところ,当該通達に依拠すること自体違法であるといわざるを得ず,また,被告は,本件P6出資が取引された事情など何ら考慮することなく,ただ同通達9-1-14の定めにより株式保有特定会社通達を機械的に当てはめており,これらの点においても被告の主張は失当である。 (カ) 以上によると,評価通達に従えば,同族株主であるP4(前記アのとおり,P3はP6の同族株主に当たらない。)が保有する本件P6出資の評価については,株式保有特定会社通達を適用することができず,評価通達178によりP6が小会社に分類され,同通達179(3)に基づく原則的評価方式(Lの割合を0.50とした類似業種比準方式と純資産価額方式の折衷方式又は純資産価額方式)によって評価すべきである。 エ評価通達185のただし書を適用すべきでない「特別の事情」があるとする被告の主張について(ア) 被告は,評価通達185のただし書の趣旨を持ち出すことで,その定める「議決権総数の50パーセント以下」という基準を死文化させ,他の株主グループに会社経営を行う意図があるか否かというような主観的要素を実質的な判断基準として用いるべきである旨主張する。 しかし,同通達が同通達185のただし書を設けて,50パーセントという基準を明確に定めている以上,この適用に際して,「経営の意図があったか否か」とか「経営に参加する積極的な意思」があったか否かというような極めて不明確で曖昧な出資者の主観的な認識を考慮することは,およそ困難であり,誤りというほかない(法の根拠にも欠けている。)。そもそも,一般的に,企業が他の企業に対する出資を行ってい かというような極めて不明確で曖昧な出資者の主観的な認識を考慮することは,およそ困難であり,誤りというほかない(法の根拠にも欠けている。)。そもそも,一般的に,企業が他の企業に対する出資を行っている場合に,「経営の意図」なるものをみた上で議決権を判定することはない。そして,本件においては,本件13社が現に合計52パーセントの出資持分を有していた以上,外部から判定することが困難な「経営の意図」という主観的要素で,同通達の適用の有無を決めることは,失当というべきである。なお,同通達185のただし書は,議決権割合が50パーセント以下であるか否かによって,20パーセントの評価減を認めるか否かを判定する旨定めている以上,この判定においては,上記規定に定められた明確な基準によって判定すべきであり,被告が主張するような「経営の意図」という明文になく,かつ,主観的で曖昧な要素をこの判定に用いることは誤りである。。 のみならず,被告が主張する同通達185のただし書の趣旨は,正に本件に妥当するものであり,この点においても誤っている。なぜならば,本件各譲渡が行われるまで,本件13社が合計で52パーセントの出資持分を有していた以上,法律上,原告P1らのみで議決を通すことはで きず,常に他の出資者である本件13社の賛同を得なければならないという経営状態になっており(本件13社の総議決権割合は,68.43パーセントに及んでいたから,原告P1の同族関係者は,P6の重要事項を決する特別決議を通すための議決権もなければ,逆に,特別決議を否決するための議決権も有していなかったことになる。),これは正に「複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,一の同族株主グループの所有株式数だけでは会社を完全に支配できない」という ていなかったことになる。),これは正に「複数の同族株主グループにより会社経営を行っているものがあり,このような小会社では,一の同族株主グループの所有株式数だけでは会社を完全に支配できない」という実態が認められるといえるからである。 この点について,被告は,本件13社には会社経営の意図がなかったなどと主張するが,失当である。なぜならば,本件13社は現にP6に対して出資をしていた以上,法的に(議決権を通じて)会社経営を行う権限を有しており,かつ,これを拘束するような特約(議決権に関する特約)は一切存在していなかったのだから,本件13社なくして「会社を完全に支配できない」という実態があったといえるからである。 (イ) 評価通達185のただし書を適用すべきでない「特別の事情」について立証責任を負っているのは被告である(最高裁昭和36年(オ)第1214号同38年3月3日第三小法廷判決・訟務月報9巻5号668頁参照)。 この点に関する被告の主張は,要するに,本件13社は,実質的には議決権等をもたない名目的な出資者にすぎず,P27グループのかいらいにすぎないというものである。 また,その根拠としては,P6に出資をしていた本件13社は,①P27グループとの関係強化のために出資をしたにすぎず,②P6の社員総会において出席せず,白紙委任状を提出していただけであるという2つがあるのみである。 (ウ)a しかしながら,①については,出資をした経緯が取引先において 関係強化を目的としたものであることは一般にごく普通にあることである。 ②については,社員として社員総会に出席するか否か,白紙に委任状又は議決案に賛成する委任状を提出するか否かは,出資者である社員の自由に属することであるから,そのことを理由に出資先の経営に参画する意図を論ずることは 員として社員総会に出席するか否か,白紙に委任状又は議決案に賛成する委任状を提出するか否かは,出資者である社員の自由に属することであるから,そのことを理由に出資先の経営に参画する意図を論ずることはそもそも誤りである上,本件においては,本件13社がP6の社員総会で提出した各「委任状」(乙7の1から13まで)は,いずれも議案の「賛」に「○」が記載されており,明確な議決権行使がなされており,そもそも,本件13社は議案について白紙で委任をしてはいない。もっとも,同委任状には「原案に対し修正案が提出された場合は,…白紙委任します。」という定型文があるため,この限度で白紙委任的な委任をしたと読み取る余地があり得るかもしれず,また,同委任状は,受任者の氏名欄が空白になっているため,白紙委任状に当たるのかもしれないが,そうだとしても,実際に本件13社のような大手酒造メーカー等が,出資先の会社の株主総会(社員総会)にわざわざ出席することは通常少ないであろう(日本の企業が他の企業の出資持分を有する場合,社員総会(株主総会)に出席しなければならない理由などなく,実際には委任状を通じて議決権行使を行うことで,当該出資先に対する経営権(共益権)を行使すると考えることが,旧商法から現行の会社法に至るまでの一貫した出資持分に対する考え方にも沿う。)し,取引先に対して出資をした法人(のみならず,そうでなく出資をした法人であっても同様である。)が,社員総会や株主総会に出席せずに,配当も問題なく得られ,特段の重要議案がなく,特に経営上重要な判断を迫られる議案がある場合でない限りにおいて,白紙委任状を提出することは,出資者としてごく普通にあることであるところ,だからといって,当該出資先の 経営に参画する意図がないということはできないはずである。 こうした議 い限りにおいて,白紙委任状を提出することは,出資者としてごく普通にあることであるところ,だからといって,当該出資先の 経営に参画する意図がないということはできないはずである。 こうした議決権行使の態様をもって,当該出資先に対する経営に参画する意図を放棄しているというのであれば,およそほとんど他社に出資をしている企業に同じことが当てはまることになってしまう。そして,被告の主張によれば,それをもって当該出資先は実質支配をされていると評価されることになるが,実際には,そのような評価はなされていない。 議決権の行使について,P6に対する本件13社の出資は名義のみで,実質は原告らが有しているとか,その議決権が名目上のものであり,行使できないというのでない限り,本件13社の出資や議決権が否定されるものではない。本件13社は,実際にも毎期の社員総会において,各社の社内ルールに従う方法で,議決権を行使しており,いわば安定株主(安定的な出資者)であり,その結果が原告らの意向に沿うものであったとしても,同族関係者を含め48パーセントの持分しか保有していない原告P1に経営権があるわけではなく,原告P1及びP4がP6を支配しているなどとはいえないことは明らかである。 例えば,本件13社がP6に出資するに当たり,同社の経営に関して議決権を実質的に行使(反対の態度をとるなど)することは一切しないといった特約をあらかじめ書面で明確に交わしているなどの事情があるのであればともかく,結果としてこれまで議案に対して反対をすることはなかったという事実は,経営の根幹に影響を与えるような重要な議案が提出された際にも白紙委任状等の提出で済ませて反対の意思表示を行わないという保証をする事情には全くならない。 また,本件13社は,後記(エ)のとおり,実際には,被告 に影響を与えるような重要な議案が提出された際にも白紙委任状等の提出で済ませて反対の意思表示を行わないという保証をする事情には全くならない。 また,本件13社は,後記(エ)のとおり,実際には,被告が主張するような態度で議決権行使をしていたのではなく,個々の議案をみた上で,委任状を提出して賛成するか,場合によっては出席をし,さら には反対をするか否かを検討していた。なお,修正案が提出された場合について白紙委任になっているとの指摘も被告からなされているが,そのような記載は委任状の一般的な記載であるのみならず,本件13社が出資をしていた間の社員総会において,修正案が提出されたことは1度もない。 したがって,この点に関する被告の主張は,要するに,ごく普通のことを行っていたにすぎない本件13社を殊更(原告らに対する偏見と課税を正当化するために)特別視することで,本来,租税公平主義(平等原則)からすれば,形式的に画一処理がされなければならない評価通達の規定について,強引に「特別の事情」があるとして,平等であるべき取扱いを排除しようとするものにすぎず,「特別の事情」について具体的な主張及び立証がないばかりか,主張自体が失当というべきであり,理由がない。 b 先代相続税事件の東京地裁平成16年3月2日判決(乙6の1)及び東京高裁平成17年1月19日判決(乙6の2)は,飽くまで別事件の裁判例にすぎず(先代相続税事件は,相続における課税の場面が問題になったものであるのに対して,本件は出資持分の譲渡という売買取引の場面が問題になっているのみならず,先代相続税事件は,相続開始の直前である8日前の譲渡であったことに特殊性が認められた事案であり,本件においてはそのような特殊性もなく,本件各譲渡により,社員構成について本件とは事案が異なっている。 先代相続税事件は,相続開始の直前である8日前の譲渡であったことに特殊性が認められた事案であり,本件においてはそのような特殊性もなく,本件各譲渡により,社員構成について本件とは事案が異なっている。また,先代相続税事件は,評価通達185のただし書の適用が問題(争点)になった事案ではないばかりか,問題とされた取引をみても,本件13社が株式を取得した時点であり,そこで取得した株式を譲渡した時点が問題となっている本件とは,そもそも,取引の場面も異なっている。そして,先代相続税事件において,同通達185を適用しなくてもよい とされた理由は,「評価通達185が存在することを利用して,意図的に多額の評価差益を作出した上,これに対する法人税額控除を行うことによって相続税額の負担を軽減させようと画策したものと評価されてもやむを得ない」というものであったのに対して,本件において,同通達185のただし書に定められている20パーセントの評価減の存在を利用して,相続税額の負担を軽減させようと画策したような事情は全く存在していない。さらに,本件は,先代相続税事件における争点である同通達185が定める法人税額等控除の適用の有無ではなく,同通達185のただし書の適用が問題とされており,争点(問題になっている適用条文)も異なる。),最高裁判決でもないことから,本件に適用又は援用されるべきものではない。そもそも,上記各判決は,現実に52パーセントの株式を本件13社に保有されている状態であるにもかかわらず,取引先だから経営を支配しようと企てることはあり得ないとする抽象論を展開するのみで,画一的に適用して処理すべき課税を減少させる通達の定めを除外するものであり,誤りである。のみならず,本件における出資持分の譲渡については,その譲渡の際において本件13社がそれ 象論を展開するのみで,画一的に適用して処理すべき課税を減少させる通達の定めを除外するものであり,誤りである。のみならず,本件における出資持分の譲渡については,その譲渡の際において本件13社がそれぞれ検討した内容や,P6に対する出資についての認識などについて,上記各判決後に課税庁において実際に行われた調査があり,その結果もあるにもかかわらず,これらについては処分行政庁が異なることを理由に提出を拒否し,それより前にあった裁判例を援用すべきだとする被告の主張は失当というべきである。 なお,被告は,準備書面(3)において,「本件各処分当時,本件13社のうち,P14及びP11を除く他の11社に対する聴取調査」を全く行っていなかったことを自認している。このように,本件で問題とされている譲渡は13社あるにもかかわらず,そのうち,僅か2社 に対してしか調査を行っていないという事実は,処分行政庁が,事案が全く異なる本件を先代相続税事件と全く同じであると安易に考えていた証左といえる。 c 被告の主張の要点(別紙3)の2(1)オ(ウ)aの(a)から(c)までの各事実については,本件が,本件13社によるP6の出資の取得の場面ではなく,取得後の譲渡の場面であることを何ら考慮せずに,先代相続税事件での主張をそのまま引用するもので,本件において評価通達185のただし書を適用しない根拠にはなっておらず,これを適用しない「特別の事情」にはならないというべきである。 d 被告は,「本件13社各社は,互いに競業関係に立つ企業であるから,これらが結託して,P6の経営権をP1一族から奪い取るというような事態も想定できない」と主張するが,このような事情が,何ゆえに評価通達185のただし書の適用要件を明らかに満たしている本件において,その適用を排除できるのか定 営権をP1一族から奪い取るというような事態も想定できない」と主張するが,このような事情が,何ゆえに評価通達185のただし書の適用要件を明らかに満たしている本件において,その適用を排除できるのか定かではない。 (エ)a 本件13社に対する税務調査の結果をまとめた各調査報告書(原告ら訴訟代理人が別件の審査請求の際に東京国税不服審判所で閲覧したもの)には,以下のような記載があることが明らかになっている。 (a) P11P11の担当者は,以下の旨を回答しており,議案の内容をチェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,よほどの案件の議案であれば,総会に出席をし,反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「総会については,よほどの案件の議案なら出席することもあると思います。」(平成21年12月2日付けの調査報告書)「業務が忙しくて出席できないのであり,出席しないというスタンスであるわけではない。」(同) (b) P13P13の担当者は,以下の旨を回答しているが,議案の内容をチェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,議案の内容などに特段の事由があれば,反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「総会に出席するかしないかについては機械的に決まっていて,いままで特段の事由があったことはありませんし,出席の議案はすべて賛同しています。」(平成22年1月25日付けの調査報告書)(c) P14P14の担当者は,以下の旨を回答しており,議案の内容をチェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,議案によっては反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「社員総会は,内容によっては出席したいということもあると思いますが,利益処分案については基本的に異議は申し立てま がうかがえる。また,議案によっては反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「社員総会は,内容によっては出席したいということもあると思いますが,利益処分案については基本的に異議は申し立てません。」(平成21年12月1日付けの調査報告書)(d) P15P15の担当者は,以下の旨を回答しており,議案の内容をチェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,議案の内容に問題があれば反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「総会については他の会社も含めて出席していません。」(平成21年12月21日付け調査報告書)「スケジュールとの兼ね合いもありますが,何も問題なければ,賛同するということで終わっています。」(同)(e) P16P16の担当者は,以下の旨を回答しているが,議案の内容をチ ェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,議案の内容に特別な議論があれば,反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「総会については白紙委任ということになっています。議案についても,利益処分案だけだったので,特別な議論はありませんでした。したがって,社員総会には出席していません。」(平成22年1月25日付けの調査報告書)(f) P17P17の担当者は,以下の旨を回答しており,毎年出席をするかしないか,委任状で議案について一任するか否かについてチェックをした上で,議決権行使をしていたことがうかがえる。 「(保有する株式や出資の)総会については,出席することもあると思うが,しないほうが多いと思う。P3の件で出席したことがあるかはわからない。」(平成21年12月11日付けの調査報告書)「総会等の案内がきたらそれぞれの部署に実際にこのような案がきているということで,回付して,議決 いと思う。P3の件で出席したことがあるかはわからない。」(平成21年12月11日付けの調査報告書)「総会等の案内がきたらそれぞれの部署に実際にこのような案がきているということで,回付して,議決権の行使について一任するということであれば,委任状に印をつけて送付する。出席するということであれば,出席してもらうということで営業担当者が所属の部署で判断する。」(同)(g) P19P19の担当者は,以下の旨を回答しており,議案の内容をチェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,議案の内容によっては反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「社員総会については,突飛な決議が行われていない限り,そのままどうぞということになっていると思う。」(平成21年12月9日付けの調査報告書) (h) P20P20の担当者は,以下の旨を回答しており,議案の内容をチェックした上で議決権行使をしていたことがうかがえる。また,議案の内容に疑義がある場合には反対をする可能性もあったことが示唆されている。 「社員総会に出席したことはないと思う。決議案に疑義がない限りは,案に賛成しています。(社内で)事前に決裁はします。」(平成21年12月21日付け調査報告書)(i) P22P22の担当者は,以下の旨を回答しており,本件に限らず,出資先の会社の総会には出席をしておらず,委任状によって議決権行使をしていることが分かる。そして,出席をせずに委任状で議決権を行使しているからといって,重要な議案がある場合にまで賛成するか否かは回答されていない。よって,少なくとも他の出資先と同じ認識で出資を行い,議決権行使をしていたことが分かる。 「総会には出席していない。●とかの上場会社の株式ももっていますが,上場会社でもわざわざ株主 答されていない。よって,少なくとも他の出資先と同じ認識で出資を行い,議決権行使をしていたことが分かる。 「総会には出席していない。●とかの上場会社の株式ももっていますが,上場会社でもわざわざ株主総会に出席することはありません。」(平成21年12月21日付けの調査報告書)b 以上の各調査報告書にある記載内容は,課税庁が自ら行った調査の結果をまとめたものであり,聴取者の署名押印がある答述書ではないため,その信用性については別途検証する必要がある。 しかしながら,他方で少なくとも前記aに列挙した記述のうち,課税庁に不利益な内容については,実際に両事件に係る訴えにおいても被告から証拠としての提出がなされていないことにも鑑みれば,そのような回答がなされた可能性が高いと考えられる。 そうであれば,本件13社は,議案について検討した上で議決権を 行使していた会社の方が多いのであって,議案の内容によっては反対する可能性があった会社の方が圧倒的に多かったといえる。少なくとも,本件13社に,「独自の意思に基づいて議決権を行使する意図は全くうかがえない」というような状況ではなかったことが明らかである。 (オ)a 原告ら訴訟代理人は,本件13社に対し,P6の経営参画について,聴取を行っており,その結果(甲43から55までの各1)は以下のとおりである。 (a) P11P11の担当者は,P6の社員総会への出席及び経営参画について,以下のとおり,回答している(甲55の1)。 「 (1) 社員総会への出席についてP6社の社員総会に限らず,株主総会や社員総会への「出欠」の判断についての決裁基準は現時点でありません。当時もなかったと思います。 (2) 委任状の賛否について他の保有する非上場会社も含め,議案への賛否など「委任状の提出」に や社員総会への「出欠」の判断についての決裁基準は現時点でありません。当時もなかったと思います。 (2) 委任状の賛否について他の保有する非上場会社も含め,議案への賛否など「委任状の提出」に関して,内規はなく,ケースバイケースでの対応となります。 通常の決算承認と配当決議でしたら,一般的に稟議はありません。 株主総会の召集通知で内容を確認し問題がないと考えられる場合は,営業担当の判断で賛成の委任状を提出ということもあります。 しかし,たとえば会社分割とかM&A,第三者割当など株式価値に影響を与える議案があれば,稟議書を作成し,判断を仰ぐことになると思います。単純にお金の動きだけの判断ではありません。 後者の場合,議案に対して反対の意思表示をすることもあると思います。 (3) 決算報告書の検証と経営参画について社員総会の資料として送付される決算報告書の検証について,P42は,「詳しいことまで追いかけていません。」,「経営に関しても,一切関与したことはありません。」と回答しています(調査報告書(乙17)4枚目3行目)。 出資先会社の決算が赤字であるからといって,すぐに保有を見直しということにはなりませんし,自らが直接経営に関与する目的で保有しているものでもありませんが,社員総会の議案に反対しないとしても,決算報告書の内容は当然に確認します。P6社の場合は,価格の妥当性に問題があると考えなかったため,株主の立場として議案に賛成し,その結果,経営に直接関与しなかっただけだと思われ,何があっても関与しないというのではありません。出資者ですから,出資者としての権利は当然に行使します。 したがって,結果として,直接関与していないから経営参画がないとは言えないと思います。これは,他の非上場会社についても同様です。」(b) 資者ですから,出資者としての権利は当然に行使します。 したがって,結果として,直接関与していないから経営参画がないとは言えないと思います。これは,他の非上場会社についても同様です。」(b) P12P12の担当者は,P6の社員総会への出席について,以下のとおり,回答している(甲47の1)。 「P6の社員総会には出席せずに委任状を返しています。委任状への捺印は本社でしか行えないので,送付されてきた委任状は一度本社に送られ,総合管理部で内容をチェックして,特に問題がなければ部長が押印します。この手続きは,P3さんだけではなく,当社が出資している他の出資先についても同様です。P3さんを含め他の出資先についても,議案に異議を述べることは,基本的にありません。株主総会や社員総会に当社の営業担当者が出席しているケ ースもありますが,それは基本的に先方から出てほしい,顔を出してほしいといわれているからということだと思います。 もちろん,どのような議案であっても賛成するということではなく,当社の債権保全のために必要がある場合などには反対の意思表示をすることもあります。いわゆる安定株主という形でP6に関与してきたという認識でおります。」(c) P13P13の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲50の1)。 「【問】社員総会議案に対する賛同の委任状の提出と経営参画の認識について【答】経営参画の認識につきまして,調査報告書(乙25)では,「一切ありません。出資については単体の事項であり,普段は営業がP3さんとお酒の取引をしているというだけの認識です」との回答となっておりますが,私の回答とニュアンスが異なります。 当社は,取引先及びその関係会社等に対する出資に限らず,上場会社の場合も含め,保有 3さんとお酒の取引をしているというだけの認識です」との回答となっておりますが,私の回答とニュアンスが異なります。 当社は,取引先及びその関係会社等に対する出資に限らず,上場会社の場合も含め,保有する有価証券について,当社は安定株主であると考えております。したがいまして,営業上,何ら問題がなければ,機械的に賛同し,委任状を提出するということです。 しかし,調査報告書(乙25)の直前の回答でも「今までに特段の事由があったことはありませんし」と前提を述べているとおり,それらが当社の資産である以上,議決権の行使時あるいはそれ以前に,何らかのリスクが生じたケースにおいては,出資者としての権利を行使することは当然ですし,実際にも行使しております。具体的には,保有株式等について,その発行会社の倒産リスクの情報が入った場合,重要財産の処分,役員の選任に関する問題など,時期 を間違えれば,その投資が回収不能となる場合もあります。このような場合は,総務課の分掌から外れ,営業の担当部署や経理等そのときの事情に合わせた合議体で判断していくことになります。緊急性により前後するかもしれませんが社長の確認もとります。 つまり,上記の調査報告書の回答は,このような事情が存しない場合の取扱いであり,何か事が生じた場合には,全く異なるということです。金銭を支出し,出資者となっている以上,その権利を行使しないことはあり得ません。出資者としての権利は当然に行使しているのであり,それを放棄しているようなことはありません。本件出資持分については,問題がないから議決権に賛同する委任状を提出していただけです。」(d) P14P14の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲53の1)。 「社員総会には出席をしていなかったかもしれません 同する委任状を提出していただけです。」(d) P14P14の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲53の1)。 「社員総会には出席をしていなかったかもしれませんが,当社はP6の出資者ですから当然に議案の内容についてチェックをしたうえで判断をしています。無条件でということは絶対にありません。 ただ,実際に行われていた議案の内容が,配当,取締役選任,決算書の承認といったことでしたので,特に異議を申し立てるような内容ではなかったというだけです。配当については調査報告書でも回答しているように,チェックをしています。結果として,P6社ではむちゃな議案が出されることはなかったので,異議を申し立てることはなかったというだけです。たとえば,競合大手の酒造メーカーさんと何かをするとか,重要な取引を行うとかそういった当社にとって不利益なことになるようなものがあれば,白紙委任ということにはなりません。 また,P3さんは取引先ですので,その意味で大切ですけれども,当社は他にも多くの取引先があり,P3さんだけが特別ということはありません。もしP3さんだけが特別だと国税の方が考えられていたのだとしたら,それは大きな事実誤認であり,ありえないことです。あくまでP3さんは,たくさんある大手の取引先の1社であり,他社とで差をつけて考えることはありません。ですから,議決権の行使については他社の株式を持っていれば同様に,当社に不利益な議案がなければ白紙で委任することになります。 調査報告書の3枚目には「経営に参画しているわけではありません」と書かれており,この部分にマーカーがぬられていますが,当社は全くP6社の経営に参画する意図がないという意味ではありません。あくまで積極的に経営に参画しようという意図があったわけでは ありません」と書かれており,この部分にマーカーがぬられていますが,当社は全くP6社の経営に参画する意図がないという意味ではありません。あくまで積極的に経営に参画しようという意図があったわけではないという意味です。ものいう株主のいうように,なんでもかんでも駄目だしをして議案を通さないとか,そういうことはしていないということです。配当もきちんとみていますし,会社のお金を使って出資をしている以上,会社財産を棄損するわけにはいきませんから当然にチェックはしています。当社としてはそれはP3さんに限らず,株式を所有している他の会社さんに対しても同様のスタンスをとっています。」(e) P15P15の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲46の1)。 「【問】本件では,譲渡対価の額以外に,経営参画の有無が問題となっています。毎期の社員総会には委任状を提出されていたとのことですが,委任状の提出までの手続きについて教えてください。 【答】P3さんの出資に限らず,総会資料の書面は総務に届きま す。総務は資料を受領すると,営業の担当者に問い合わせ,営業が出席を求めれば,営業に資料を渡しますし,営業が出席しない場合は,総務部長が判断し,最終的には委任状の提出について社長の決裁を受けます。 【問】委任状の提出は出資者の権利として行っているのであり,白紙委任しているわけではないということでしょうか。 【答】そうです。」(f) P16P16の担当者は,P6社の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲54の1)。 「当社は,P6社の社員総会には白紙委任状を提出するだけで,社員総会に出席しておりませんでした。議案自体も利益処分案ぐらいだったと聞いております。仮に,利益処分案以外の重大な議案が提出され )。 「当社は,P6社の社員総会には白紙委任状を提出するだけで,社員総会に出席しておりませんでした。議案自体も利益処分案ぐらいだったと聞いております。仮に,利益処分案以外の重大な議案が提出されていたとしたら,当社がどう対応していたかは分かりません。 調査報告書の2枚目に「社員としてP6さんの経営について検討したことはありますか。」という質問に対し,「社員という立場で,経営に参加している認識もありません。」という回答が記載されています。 この反面調査の際,当社は,「社員」のことを「従業員」という意味と誤解して,従業員という立場でP6社の経営に参加している認識はないという趣旨で答えました。 また,上記の回答に続けて「敢えて決算報告書の内容を分析したこともありません。」という記載があります。これは,同決算報告書の内容を詳しく「分析」したことはないということであり,毎期送付されてくる決算報告書の内容は拝見していました。しかし,決 算書を見ているとはいっても利益が出ているか否かをチェックしていたぐらいで他の事項には目が行っていなかったと思われます。」(g) P17P17の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲43の1)。 「P6に限らず,招集通知があっても出資先の総会には基本的には出席しないことが多いです。P6が特別ではなく他社も同じです。 ただし,会社にとってマイナスの影響がある決議事項があれば,出資者として慎重な検討をしなければなりません。たとえば,バブル崩壊後には解散であるとか,減損などもありましたから,そのような大きな影響がありそうなときには,総会に出席したこともあります。また,減資とか第三者割当増資など当社の保有する株式等の価値に影響を与える議案であれば,当然,総会に出席したり,議 したから,そのような大きな影響がありそうなときには,総会に出席したこともあります。また,減資とか第三者割当増資など当社の保有する株式等の価値に影響を与える議案であれば,当然,総会に出席したり,議案に反対するなどの議決権を行使することもあり得ます。P6社の場合も同じです。ただ,出資をしていた間にそういった重要な影響がある決議事項がなかったというだけです。」(h) P18P18の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲52の1)。 「【問】社員総会に出席したことはなく,委任状を送付しているとのことですが,課税庁はこのことをもって,経営に参画していないと主張しています。 【答】平成3年から10年までは私は担当ではありませんでしたので,総会に出席していたかどうかわかりませんが,平成11年以降は出席しておりません。しかし,出資している他の会社も含め,総会に毎回出席することは原則としてありません。議案に賛成の意 思表示をした委任状の提出が出資者としての正当な行為ですから,これが経営に参画していないということにはならず,むしろ委任状の送付が経営に参画していることだと思います。委任状の提出に際しては,役員会の決議事項ではありませんが,役員に諮って社長決裁を得て行っています。 【問】委任状に機械的に賛成の意思表示をしているというわけではないということですか。 【答】当然です。毎期,決算書が送られてきますので,その内容と議案を見て,通常の動きであれば委任状を提出します。しかし,特別のことや重要事項があったときは,総会に出席するか,事前に会社に電話連絡してお話をうかがったりすることになります。その結果,総会に出席することもありますし,また,議案に反対することもあります。 【問】特別のことや重要事項とは ,総会に出席するか,事前に会社に電話連絡してお話をうかがったりすることになります。その結果,総会に出席することもありますし,また,議案に反対することもあります。 【問】特別のことや重要事項とは具体的にどういうことでしょうか。P6についても総会に出席したり,電話したりすることになりましたか。 【答】たとえば,減資や営業譲渡という場合などです。P3さんの場合もそうしたと思います。」(i) P19P19の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲44の1)。 「【問】本件ではP6社への貴社の経営参画の意図も争われています。この点についてどのように考えますか。 【答】そもそも持分4%では経営に参加できるとは思えませんし,P3さんの場合はメーカーがみんなで参加しているということが大事です。 【問】社員総会の議案に対し,白紙委任状が提出されていますが,これはP3さんの場合だけでしょうか。 【答】P3さんだけではなく,当社は電鉄など上場株式も保有していますが,ほとんどすべてが白紙委任状の提出となっています。 【問】そのような白紙委任状はどのような議案に対してもそうされるのでしょうか。 【答】たとえば,解散,営業譲渡,財産の寄付などの議案が上程されたら,意見をいうことになるはずです。どのような議案でも白紙委任にするということでは決してありません。 【問】国側は白紙委任状の提出をもって,経営参画の意思がないと認定しています。 【答】委任状を提出しているのですから,いわゆる名義貸しという意味とは全く異なります。委任状の提出以外にも,配当も受領していますし,実際に金銭を出資していたのですから,出資者としての権利は行使していました。もし,営業譲渡や解散など重要な事項が決議事項になったときには,当然な ます。委任状の提出以外にも,配当も受領していますし,実際に金銭を出資していたのですから,出資者としての権利は行使していました。もし,営業譲渡や解散など重要な事項が決議事項になったときには,当然ながら財務担当者にあげて検討することになりますし,おかしいことがあれば営業担当者におかしいということになります。」(j) P20P20の担当者は,P6の社員総会への出席について,以下のとおり,回答している(甲45の1)。 「当社はおよそ50社に出資しており,半数以上は非上場会社だと思います。これらの会社の株主総会や社員総会についても基本的には出席しておりません。経営状況が危ないというようなことがあれば営業担当者が出席したいと申し出るケースもありますが,稀なケースといえると思います。通常は,議決権行使書をチェックして, 議案の内容を検討して,委任状を出すということになります。議案について,反対の意思表示をすることは基本的にはありません。 本件でも,P6社の社員総会には出席していませんが,P6社からは配当もいただいており,財務状況も問題がなく,毎期の議案にも問題視するようなものはありませんでしたので,こういう会社であれば,P6社に限らずどこの会社であっても白紙委任状を出し,あえて出席まではしないでしょう。もちろん,必要な検討をしたうえで当社の判断として委任状を出すということで,そういう形で出資者としての権利行使をしているという認識です。」(k) P21P21の担当者は,P6の経営参画について,以下のとおり,回答している(甲48の1)。 「さらに,調査報告書3枚目の1つ目の質問に対する回答として「どちらかというと配当を受領するための株主的なイメージです。 経営に口出しする必要もなく,いい出資先だということです」と記載され 1)。 「さらに,調査報告書3枚目の1つ目の質問に対する回答として「どちらかというと配当を受領するための株主的なイメージです。 経営に口出しする必要もなく,いい出資先だということです」と記載されていますが,配当をいただいていてきっちり経営されているので,十分利益出しているので内容に問題はないと思っているという趣旨で回答したものです。経営に対して何も言わないという意味ではありません。 同様に,調査報告書4枚目の3つ目の質問に対する回答として,「(経営に参画しているという認識は)ありませんでした」と記載されていますが,この趣旨は,ただの株主で経営に入り込むということはないというイメージで,経営に問題はないという判断があって口を出す必要がないということを言っているにすぎません。」(l) P22P22の担当者は,P6の社員総会への出席について,以下のと おり,回答している(甲49の1)。 「当社は,現在,上場・非上場を併せて30社弱に対して出資しておりますが,P6社に限らず,出資先の株主総会や社員総会に出席するということは,まずありません。また,出席する場合であっても出席しない場合であってもすべて白紙委任状を出しています。 よほどのことがない限り,議案について反対の議決権行使をするということはないと思います。」(m) P23P23の担当者は,P6の社員総会への出席について,以下のとおり,回答している(甲51の1)。 「P6の社員総会には出席していませんが,これは当社が出資している他の出資先の株主総会や社員総会についてもいえることで,P3さんの関係先だから出席しなかったというものではありません。 本件の場合で言えば,P6という名前からも分かるように不動産関係の事業をやられていて,毎期配当もいただいているし,決算書を ることで,P3さんの関係先だから出席しなかったというものではありません。 本件の場合で言えば,P6という名前からも分かるように不動産関係の事業をやられていて,毎期配当もいただいているし,決算書を見ても堅実に経営されているのだろうということがわかっていましたから,P6の経営に対して当社が口を出す必要を感じなかったということです。仮に会社を解散するとか,当社に非常に不利益を及ぼすような議案が上程されるような場合でない限り,株主総会や社員総会には出席しないことが通常です。」b 以上のとおり,本件13社は,P6に対して行っていた出資については,他社に対する出資と同様に行っていたものであり,社員総会での議案等について,何らチェックもすることなく,白紙委任状を提出し続けていたということではない。本件13社は,そのほとんどが,経営に影響を及ぼすような重要な議案があれば,出席をし,又は反対の意思表示をした可能性も示唆しており,原告P1及びP3の関係者 の言いなりなどではなく,独立した第三者(出資者)として,P6の社員総会における議案などについて検討を行うなど出資者としての共益権をまっとうに行使していた。よって,本件13社は名目的な存在にすぎず,何ら実権を有していないとか,本件13社に経営に参加する意図が全くなかったとする被告の主張は,事実誤認である。 したがって,このように誤認した事実を基に,原告P1の同族関係者によって「実質的な支配」があったとする(そして,それを理由に評価通達185のただし書の適用を排除できるとする)被告の主張には,理由がないことが明らかである。 c この点について,被告は,「P6の株主としての議決権行使に係る具体的な検討資料も添付されていない」などと指摘する。しかし,被告と異なり,原告らには法律が定める質問検 がないことが明らかである。 c この点について,被告は,「P6の株主としての議決権行使に係る具体的な検討資料も添付されていない」などと指摘する。しかし,被告と異なり,原告らには法律が定める質問検査権があるわけではなく,企業の内部資料の提出まで簡単に求められるものではない。そもそも,本件13社は,日本を代表する酒造メーカーであるばかりか,日本を代表する上場企業(大企業)も多数含まれている。こうした多数の株主を擁しコンプライアンスの要請が高度な企業の担当者が,出資先の議決権行使に当たり,何もチェックもせずに白紙委任をすることなど通常考えることができないし,仮に重要な議案が提出されることがあったとすれば,それに対して無条件に賛成をしたと断ずることなど,およそできないことである。 また,被告は,「いずれも両事件に係る訴えが提起された後に聴取書が作成されたものであ」る「から」,「各担当者の回答内容は,全面的に信用し難いものである」などと主張する。しかし,通常の訴訟においても,訴訟が提起されて当該訴訟において問題にされているからこそ,重要な関係者の供述(陳述)や回答を聴取して証拠化するものである。「両事件に係る訴えが提起された後に作成された」ことから 何ゆえ「全面的に信用し難いもの」になるのか理解し難い主張といわざるを得ない。 同様に,被告は,「本件13社と原告らを含むP1一族とは密接な利害関係があること」も,「全面的に信用し難い」理由として指摘をするが,これも誤りである。本件13社は,上記のとおり,日本を代表する酒造メーカーであり,日本を代表する上場企業(大企業)も多数含まれている。こうした企業の担当者は,法令遵守(コンプライアンス)が強く要請され,徹底した管理がなされているものであり,仮に何らかの利害関係がある場合であって 本を代表する上場企業(大企業)も多数含まれている。こうした企業の担当者は,法令遵守(コンプライアンス)が強く要請され,徹底した管理がなされているものであり,仮に何らかの利害関係がある場合であっても,虚偽の回答をすることはおよそあり得ないことである。そもそも,本件13社は,独立した経営基盤をもつ企業であり(かつ,大企業が多い),P3との取引なくして経営が成り立たないような会社ではない。酒類における卸売業者については,P3の他に大手卸売業者も複数存在しており,かつ,地方ごとに有力な卸売業者も存在している。したがって,酒造メーカーとしては,売上げが業界トップである卸売業者に拘泥しなければならない理由はなく,他の卸売業者に切り替えることは酒造メーカーの自由な判断でいつでも行うことができる状況にあった。そのようにして取引関係を切られる可能性があるのはむしろ卸売業者であるP3の側であった。このような関係の下で,取引先に出資持分を取得してもらうことは,取引先であるから出資持分を取得したという側面が仮にあったとしても,ことさら「密接な」「関係」があると考えることは,およそ困難である。この点において,被告が両事件に係る訴えで何の裏付けもなく「P1一族」との「密接な利害関係」といった暗示を込めた言葉を使っていることは,本件の事実を正確に把握する際に,誤導を引き起こすおそれがある極めて失当な主張というほかない。 (カ) P9についての相続に関する課税処分及び先代相続税事件において 否認されたために本件P6出資の本件13社からの譲受けがなされたとする被告の主張は,何ら証拠に基づかない憶測にすぎない。本件P6出資の本件13社からの譲受けは,ガバナンスの見直しのために行われたものにすぎない。 そもそも,一般論としては,日本を代表する大手酒造メー 被告の主張は,何ら証拠に基づかない憶測にすぎない。本件P6出資の本件13社からの譲受けは,ガバナンスの見直しのために行われたものにすぎない。 そもそも,一般論としては,日本を代表する大手酒造メーカー等の本件13社が,他社の言いなりになって,譲渡をするか否か,その価額が適正か否かを判断するはずなどない。 実際にも,本件13社は,そのほとんどが,価額が適正か否かについて検討をした上で,適正であると判断したため譲渡に応じたものであり,中には酒造メーカー等の方から譲渡をしたいと考えていたときの提案であり応じた会社もあり,財産の低額譲渡に当たるか否かという税務リスクまで検討した上で譲渡に応じたことが明らかな会社もある。 したがって,「本件13社の全社がごく短期間にほぼ一斉に買取要請に応諾した,すなわちP1一族が容易に本件P6出資の買戻しをすることができたこと自体,P1一族がP6を実質的には支配していたことの証左というべきである」という被告の主張は,事実を全く無視した憶測にすぎず,誤りである。 (キ) 課税における法的安定性,納税者の予測可能性及び租税平等主義の観点からすれば,納税者に課税上有利に働く通達の規定について「特別な事情」を安易に認定して,当該通達の規定の適用を排除することは許されるべきではなく,少なくとも,当該通達を適用しないと主張する課税庁の側で,「租税負担の実質的公平を損なうことが明らかである」こと,すなわち,「評価通達に定める評価方式によらないことが正当と認められる特別の事情があること」を立証しなければならないはずである。 通達に明確な定めがあるにもかかわらず,被告の主張のようなあいまいな「実質的」な「支配」なるもので,その規定の適用の有無が左右され る法の解釈及び適用は許されるものではない。 結局のところ,被 に明確な定めがあるにもかかわらず,被告の主張のようなあいまいな「実質的」な「支配」なるもので,その規定の適用の有無が左右され る法の解釈及び適用は許されるものではない。 結局のところ,被告の主張は,「実質的」な「支配」という,あいまいな事情が認定できさえすれば,本来は適用されるべき租税法規の規定(本件においては評価通達185のただし書,さらには後記オで述べる同通達188(1))の適用を除外することができるという主張であり,裁量課税に等しい。 したがって,この点における被告の主張は,課税における法的安定性及び納税者の予測可能性にも反することが明らかである。 (ク) さらに,これまで,経営参画の意図や,支配力の観点などという通達の規定には全く記載のない「適用限定要件」を認めた事例は,被告が強調する先代相続税事件以外には存在しない。ということは,先代相続税事件を含め,P3(及びその関連する会社)に対してのみ,評価通達について他の事例とは異なる不利益な取扱いをし,その適用を排除しているものということができる。このような取扱いは,納税者の公平な税負担という観点から求められる租税平等主義(憲法84条,14条)に違反することが明らかである。 (ケ) そうすると,本件P6出資の評価が配当還元方式によらないこととなった場合でも,評価通達185のただし書の規定の適用を排除すべき理由は存在しない。 オ P6の保有するP3の株式の評価額を類似業種比準方式によって算定すべきとする被告の主張について(ア) P3は,P6によって,議決権総数の4分の1以上である28.57パーセントの株式を保有されているから,P6の議決権を有しておらず(有限会社法41条,商法241条3項),P6における同族関係者グループは,原告P1とその同族関係者であるP4(P 上である28.57パーセントの株式を保有されているから,P6の議決権を有しておらず(有限会社法41条,商法241条3項),P6における同族関係者グループは,原告P1とその同族関係者であるP4(P4は原告らによって66.67パーセントの持分を保有されているから,P4は原告P 1の同族関係者に該当する。)のみであり,当該グループが有する議決権の割合はP6の議決権総数の31.57パーセントにすぎない(なお,被告は,被告の準備書面(2)において初めて議決権割合を訂正しており,本件各処分は,P3がP6の議決権を有していないことを考慮することなくされたことが明らかである。)。 そうすると,評価通達188(1)の定めによれば,P6は,原告P1及びP4の同族株主グループによって議決権総数の50パーセントを超えて株式を保有されていないから,同人らの同族関係者に該当しない。 そして,P3において,原告P1及びその同族関係者(上記のとおり,P6は含まれない。)が有する議決権の数の割合は,議決権総数の30パーセント以上である43.50パーセントであるから,P3は同族株主のいる会社に該当し,P6は,P3における原告らの同族株主グループに属さず,単独では議決権総数の30パーセント未満である28.57パーセントの株式を保有するのみであるから,P6はP3の同族株主に該当せず,同族株主以外の株主に該当する。したがって,P6が保有するP3の株式の評価額は,同通達179に基づく類似業種比準方式ではなく,同通達178のただし書及び同通達188-2に基づき,配当還元方式により算定すべきである。 (イ) 被告は,原告P1とP4が,議決権総数の3分の1にも満たないわずか31.57パーセントを保有しているにすぎないP6について,原告らが実質的に支配していたとして,特 により算定すべきである。 (イ) 被告は,原告P1とP4が,議決権総数の3分の1にも満たないわずか31.57パーセントを保有しているにすぎないP6について,原告らが実質的に支配していたとして,特別な事情があるから,同社が保有するP3の株式を配当還元方式ではなく,類似業種比準方式により評価すべきであると主張する。 しかし,P6において議決権のないP3がP6を支配することはできないから,P6が,原告P1及びP4によって,議決権総数の30パーセント以上の議決権を有されることにより,一定程度は支配されるとし ても,原告P1の同族関係者たり得ないP6が,なぜP3を含む「P1一族グループ」により実質的に支配されることになり,P6がP3の「同族株主」になるのか,全く根拠が示されていない。被告の上記主張は,前記エでも述べたとおり,原告らがP6を「実質的に支配していること」について,具体的な主張及び立証がないばかりか,主張自体が失当というべきであり,原告らがP6を支配していない以上,被告の主張する評価通達に定められた評価方式を画一的に適用することが著しく不適当と認められる特別の事情はない。 そもそも,支配関係についてはその事実認定が極めて困難であることから,評価通達は,法人税法施行令4条2項各号によって,確固たる支配関係のある場合として,同族関係者の判定を議決権総数の50パーセント超か否かにより判定し,その上で,株主の1人及びその同族関係者により構成される同族株主グループが議決権総数の30パーセント以上の割合を有する場合には,一定程度の支配関係がある場合とみなして,その同族株主が有する株式等について,原則的な評価方式である類似業種比準方式等を適用することとしているのであり,総会への欠席や白紙委任状等の提出から同族関係者の判定をするとい がある場合とみなして,その同族株主が有する株式等について,原則的な評価方式である類似業種比準方式等を適用することとしているのであり,総会への欠席や白紙委任状等の提出から同族関係者の判定をするというのであれば,同通達にその旨を定めた上で,適用すればよいにもかかわらず,安易に総会への欠席等により「実質的な支配による同族関係者の判定」が認められるとすると,「同族関係者」の判断基準が,課税庁に必要以上に裁量を認めるものとなり,一方,納税者にとっては不明確で予測可能性のないものとなる。このような不明確かつ予測不能な基準をもって「同族関係者」ひいては「同族株主」の判定を行い,当該判定に基づき,株式の評価方法を決定することは,公正な取引市場における取引がなく,時価の算定が極めて困難である取引相場のない株式について,画一的な基準で評価方式を定めることとした同通達の趣旨にも反し,法的安定性を著しく害 することになる。 そうであるからこそ,同通達188(1)が,画一的に同族関係者をその保有する議決権の数の割合を基準として判定することとしているのであり,そのような同通達に合理性があることは多くの裁判例が認めるところであり,課税実務上も定着していることからすれば,被告の上記主張が失当であることは明らかである。なお,通達の定めを納税者の予測可能性の観点から文言どおりに解釈して適用すべきことを判示した裁判例もある。 被告の主張は,端的には,「同族関係者」の判定に当たっては,賛成の議決権しか行使しない者が有する議決権の数は,議決権の総数に加えずに判定をするということに等しく,会社法,同令及び同通達の規定並びにその趣旨を否定するものであり,失当である。 したがって,同通達188(1)の定めによらず,「実質的な支配」をもって,同族関係者及び同族株主 るということに等しく,会社法,同令及び同通達の規定並びにその趣旨を否定するものであり,失当である。 したがって,同通達188(1)の定めによらず,「実質的な支配」をもって,同族関係者及び同族株主の判定をし,P6が保有するP3の株式を類似業種比準方式によって評価するとした被告の主張には合理的な理由がない。 (ウ) なお,確かに,P3の従業員であるP28による報告書(乙24)においては,P6がP3の同族株主であることを前提に評価がされているが,だからといって,被告が自ら発した通達に反し,「同族株主」及び「同族株主のいる会社」の判断基準を変更し,課税処分を行ってよいというものでないことは当然である。 (2) 本件各譲渡に係る本件P6出資の時価は本件13社が本件各譲渡後にP4に対してした譲渡の対価の価額である1口当たり5000円であるといえるか(争点(2)イ)についてア原告らの主張の概要(ア) 市場価格のない株式等の時価の算定方法 a 時価とは,客観的な交換価値をいい,それは,評価時点において,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額をいう。本件でも,そのような意味での本件P6出資の時価が探求されなければならない。 b 活発な取引の行われる上場株式等の市場価格は,完全競争市場価格に近似する価格であることから,一般に不特定多数の当事者間で成立する価格といえる。一方,本件のような市場価格のない株式等の場合,上記の意味における市場は存在しないものの,現実に売買が行われ,そこで成立した価額が,当該株式等の客観的交換価値を適正に評価して決定されたと認められる限り,当該売買取引において成立した価額は時価を表すものと考えることができる。したがって,市場価格のない株式等の時価を算定するに当たり,現実に行わ 観的交換価値を適正に評価して決定されたと認められる限り,当該売買取引において成立した価額は時価を表すものと考えることができる。したがって,市場価格のない株式等の時価を算定するに当たり,現実に行われた売買取引で成立した価額を用いることは,時価評価の有力な手法の1つであり,裁判例においても合理的な評価方法であると認められているものである。 (イ) 本件P6出資をめぐる売買実例の存在及びその適正性a 本件P6出資については,平成17年10月から同年12月にかけて,本件13社からそれぞれ,各4000口を各2000万円(1口当たり5000円)でP4に譲渡されている。後記bのとおり,1口当たり5000円という価格は,我が国でも著名な複数の企業が,その価額を適正に評価した上で成立した金額であり,本件13社との間で行われた売買が適正な売買実例であることに疑いはない。 b 本件P6出資に係る売買契約の相手方である本件13社は,いずれも著名な企業である。そして,本件13社と本件P6出資の購入者であるP4との間には,資本関係は全くなく,同族関係にもなく,役員の兼任といった事実もない。したがって,本件13社とP4との間には何ら支配・被支配関係がなく,互いに独立の立場にあることは明ら かである上,本件13社は,相互に市場において競合・競争する関係にある。 また,本件13社においては,平成17年8月25日付けで,P6からの「有限会社P6出資金買受の件」(甲14,乙8)と題する書面の送付を受け,各社で必要な検討及び稟議等を経て,1口当たり5000円で譲渡することをそれぞれ意思決定したものである。当該書面においては,売買単価につき,「(1口当たり5000円の)算定根拠ですが,毎期5%の配当を実施しておりまして,配当還元方式ですと1口500円とな 渡することをそれぞれ意思決定したものである。当該書面においては,売買単価につき,「(1口当たり5000円の)算定根拠ですが,毎期5%の配当を実施しておりまして,配当還元方式ですと1口500円となり,その10倍と致しました。参考ですが,類似業種比準価額は1,406円(別紙Ⅰ),簿価純資産価額は3,010円(別紙Ⅱ)となっておりますので詳細は,別紙をご参照ください。 なお,税務上の問題ですが,非上場の有価証券につきましても時価で売買することになりますが,第三者の法人間の取引は経済的合理性に基づいて相対で決めた金額が時価となります。なにとぞ,ご検討のうえご承諾下さいます様,お願い申し上げます。」と記載されている。 このように,本件13社は,それぞれ,過去の配当実績,書面に添付された類似業種比準価額及び簿価純資産価額の算定根拠を検討した上で,1口当たり5000円が適正な時価であると考えたからこそ,譲渡に応じたものである。 なお,本件各譲渡は平成17年3月31日に行われたものであるが,当該譲渡の時点から上記の本件13社による譲渡の時点までに,P6の財産の状況,経営成績及び事業の見通し等に大きな変動はない。 原告らが主張する売買実例は,以上のような過程を経て成立したものであり,これら13社もの相互に独立した当事者間において行われた売買が,本件P6出資の客観的交換価値を正当に評価した上で成立した適正な売買実例に当たることは明らかである。 (ウ) また,前記(1)のとおり,本件P6出資の時価を評価通達に従って算定した場合,P3に対して譲渡されたものは1口当たり500円,P4に対して譲渡されたものは1口当たり1011円と算定されることになり,本件13社との売買実例に基づく譲渡価額(1口当たり5000円)は,これらよりもむしろ高額である たものは1口当たり500円,P4に対して譲渡されたものは1口当たり1011円と算定されることになり,本件13社との売買実例に基づく譲渡価額(1口当たり5000円)は,これらよりもむしろ高額であるとも考えられるから,売買実例額を適正な時価とする原告らの主張が正しいことが裏付けられる。 イ被告の主張の要点(別紙3)の2(2)アの事情について(ア) 本件13社が,仮に「P3との良好な取引関係を継続する」目的で本件P6出資を取得したものであるとしても,そもそも取得に引き続く売却が一連の取引として当初から予定されていたような例外的な場合を除き,取得時の事情が売却時の売買実例の適正性に影響を与えることはないというべきである。また,仮に「P3との良好な取引関係を継続する」目的が本件P6出資を取得する動機となっていたとしても,取引関係の維持のために取引先に出資することは一般的に行われていることであり,売買実例の適正性を否定する特殊事情とは到底いい得ない。譲渡制限に係る定款変更が行われたとの事実についても同様である。 すなわち,我が国では,非上場有価証券の多くに譲渡制限が付されていることは周知の事実であり,本件P6出資が原告らの株主グループとは外部の本件13社により保有されたことを契機に,同出資について譲渡制限を付することは,何ら特別なことではない。また,同様に,取引関係の強化を目的として取引先の株式等を保有することは,上場会社を含め,一般に行われていることであり,本件13社が「P3との良好な取引関係を継続する」ことを目的として本件P6出資を取得したものであるとしても,そのような事情が売買実例の適正性を否定する要素となることはないというべきである。 そもそも,非上場株式・出資持分の譲渡の受け皿となるのは,親族や 取引先であるのが通 ものであるとしても,そのような事情が売買実例の適正性を否定する要素となることはないというべきである。 そもそも,非上場株式・出資持分の譲渡の受け皿となるのは,親族や 取引先であるのが通例であって,取引関係が存在するとの一点をもって本件13社が原告らの言いなりになって譲渡に応じたと考えたのでは,非上場株式・出資持分について売買実例に基づく価額が適正と判断される余地はないことになろう。 (イ) 後記ウのとおり,本件13社は,それぞれ,過去の配当実績,書面(甲14,乙8)に添付された類似業種比準価額及び簿価純資産価額の算定根拠を検討した上で,1口当たり5000円が適正な時価であると判断し,譲渡に応じたものである。この点については,少なくとも,被告の主張のごとく,本件13社のうちたった2社の報告の一部の記載(乙18)を根拠として,「他の11社の本件P6出資の売却の理由もこれと同様と推認」することは許されない(なお,乙18の作成者は税務署職員であり,その内容は税務調査を担当した職員の陳述書である。 これは,反対尋問を経ておらず,被告側の立場にある職員が,両事件に係る訴えの提起から約11か月後に作成したものであり,その信用性は極めて低い。また,乙18に添付された別紙1は,聴取書とは作成時期の異なる別の書面であるが,当該別紙については作成者及び作成日付の記載がなく,作成者の署名押印もない上,その記載内容についてP14及びP11への確認はなされていないことから,同様に信用性は極めて低いと考えるべきである。乙18の信用性をおくとしても,それの別紙1の記載の中には,むしろ原告らの主張を裏付ける回答内容が散見される。)。 また,被告は,本件13社による本件P6出資の譲渡が,P6からの売却の依頼から「極めて短期間」に行われた点をも指摘する。 1の記載の中には,むしろ原告らの主張を裏付ける回答内容が散見される。)。 また,被告は,本件13社による本件P6出資の譲渡が,P6からの売却の依頼から「極めて短期間」に行われた点をも指摘する。しかし,そもそも売却の依頼から売買契約まで2ないし4か月の期間があったことが「極めて短期間」であると評価することには疑問がある。保有する有価証券等を売却するか否かということを決定するのに,上記の考慮期 間はむしろ極めて妥当な期間であると考えられる。 さらに,被告は,本件P6出資の譲渡を依頼する文書(甲14,乙8)が,買主ではないP6の名義であること,問い合わせ先としてP3の経理部副部長名が記載されていることを挙げて,本件13社からの本件P6出資の買受けが「P27グループ全体での取引であると認められる」と主張するが(なお,「P27グループ」なるグループがいかなる関係及び当事者を指すのか不明である。),ここでの問題は,上記の買受けの当事者であるP4と本件13社が相互に独立した当事者間といえるかどうかであり,本件13社が原告らの同族関係者でないことは明らかであるから,被告の上記主張は全く失当というほかない。 (ウ) 被告は,「○」や「○」といった情報誌において,「得意先」や「仕入先」と記載されていることやP14及びP17の有する売掛金等の総額に占めるP3に対する売掛金等の残高の割合が「小さくない」ことから,本件13社が「主要な」取引先であると主張する。 資本関係や人的関係を殊更に軽視して取引に係る背景事情等のみから第三者性を判断することの不当性をおくとしても,上記のような情報誌において取引先である旨の記載があるからといって「主要な」取引先であると結論するのは短絡的にすぎるし,また,取引に係る債権残高が「小さくない」という程度で本件1 性をおくとしても,上記のような情報誌において取引先である旨の記載があるからといって「主要な」取引先であると結論するのは短絡的にすぎるし,また,取引に係る債権残高が「小さくない」という程度で本件13社が独立した当事者であることを否定されることが不当であることは明らかである。そもそも,主要な取引先であるかどうかということと,独立した第三者であるかどうかということとは直接の関係がない。また,「主要な」取引先であるかどうかは,曖昧で不明確な基準であり,被告の恣意的な課税を抑止する観点からも認められるべきではないし,どの程度の取引規模であれば第三者性が否定されるのかを納税者として把握することができず,結果的に曖昧で不明確な基準に基づく恣意的な課税とのそしりを免れないこととなろ う。なお,被告は,本件13社の取引全体に占めるP3との取引の割合を示すことによって,本件13社にとってP3が主要な取引先であるかどうかを立証することを意図していると推察するが,売掛金や受取手形の残高は,単に一時点における残高を示すにすぎず,ある期間を通じての取引規模の大小を示すものではないことを付言しておく。 ウ本件13社は,譲渡価額等について十分に検討した上で,合理的な経営判断として譲渡に応じたものであること(ア) 本件13社に対する税務調査の結果をまとめた各調査報告書には,要旨,以下のとおりの記載がある。 aP11P11の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「買戻しについては,資料や計算書から1口5000円なら,まったく低廉でもない。見合い相当の金額で買い戻してくださいということだったので,応じた。」(平成21年12月2 能性もあったことがわかる。 「買戻しについては,資料や計算書から1口5000円なら,まったく低廉でもない。見合い相当の金額で買い戻してくださいということだったので,応じた。」(平成21年12月2日付けの調査報告書)「簿価に対して2000万円ということなので反対する理由はなかった。額面より低ければ,せめて額面でという話にはなると思います。」(同)以上の検討に基づき,平成17年10月13日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の1)。 bP13P13の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「1000円で購入し5000円という高倍率で譲渡したわけですから,額的にも合理性があった譲渡だと認識しています。」(平成22年1月25日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年10月5日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の3)。 cP14P14の担当者は,以下の旨を回答しており,同社のほうで譲渡をしようと考えていたところに提案があったため,応じたものであったことが分かる。 「所有していた株式について処分を進めていたところに,P3さんから買い戻しの依頼があった。こちらとしては,会社に譲渡制限を外すことや買い戻し先の紹介を依頼していたので(本件P6出資の場合も)断る理由はなく応じた。P3さんからの話は,渡りに船だった。」(平成21年12月1日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年10月17日,P14は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の4)。 dP15 。」(平成21年12月1日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年10月17日,P14は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の4)。 dP15P15の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「売買価額は,取得価額の5倍なので,売ってもいいかなということだったと思う。低いということであれば,検討したかもしれません。 少しはもうかったという感覚だったと思います。」(平成21年12月21日付け調査報告書) 以上の検討に基づき,平成17年10月4日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の5)。 eP16P16の担当者は,以下の旨を回答しており,同社のほうで譲渡をしようと考えていたところに提案があったため,応じたものであったことがわかる。 「400万(1000円)が2000万(5000円)で,合理性があると考えた。」(平成22年1月25日付けの調査報告書)「1000円より低い価額だった場合には,会社の状況による。なんともいえない。」(同)以上の検討に基づき,平成17年10月4日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の6)。 fP17P17の売却当時の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことが分かる。 「P3からの申し出があったとしても,譲渡価額が適正かどうかは判断する必要がある。P3でもすべて引き受けることではない。別段不利益でなかったので,適正な価額で 対をした可能性もあったことが分かる。 「P3からの申し出があったとしても,譲渡価額が適正かどうかは判断する必要がある。P3でもすべて引き受けることではない。別段不利益でなかったので,適正な価額での売却だと判断した。」(平成21年12月11日付けの調査報告書)「譲渡価額も,類似業種比準価額,簿価純資産価額が示され,それに対し5000円であることから,妥当な価額であると判断した。1000円以下でも,ある程度合理的根拠があれば,そのような結論(譲渡)もあったかもしれない。」(同) 以上の検討に基づき,平成17年10月11日,P17は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の7)。 gP18P18の担当者は,以下の旨を回答しており,同社のほうで譲渡をしようと考えていたところに提案があったため,応じたものであったことがわかる。 「価額については取得価額の5倍なので応じたという記憶。」(平成22年1月25日付けの調査報告書)「当社は,この時期に全社的な出資の見直しを行っていた時期であり,P3に限らず出資を回収する方針で動いていた。そのときに依頼があり,当社としては断る理由はないことから譲渡に応じた。」(同)以上の検討に基づき,平成17年10月5日,P18は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の8)。 hP19P19の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が,譲渡価額について,税法上の財産の低額譲渡に該当しないかも含めて適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことが分かる。 「専門的な部署に話をもっていき,配当を毎期5%いただいており,5000円で買い戻しとの提案なので価額に問題はないと判断された 渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことが分かる。 「専門的な部署に話をもっていき,配当を毎期5%いただいており,5000円で買い戻しとの提案なので価額に問題はないと判断されたので応じた。」(平成21年12月9日付けの調査報告書)「著しく低い価額であれば税務的には寄附金とか受贈益ということがでてくると思いますが,著しく低い価額ではないと判断したのだと思います。」(同) 以上の検討に基づき,平成17年12月6日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の9)。 iP20P20の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「譲渡価額は,譲受価額が1000円なんで,それ以上の条件なら譲渡してもよいという考えである。」(平成21年12月21日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年10月4日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の10)。 jP21P21の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「簿価1000円が5000円なので,いい額だと思った。評価額の記載もあったので,特に不利な条件でないので,申し出に応じた。 いい価額なので売ったらと私は伝えた。会社の方針としても売りたいということだった。」(平成21年12月21日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年11月9日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の11)。 いうことだった。」(平成21年12月21日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年11月9日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の11)。 kP22P22の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額につ いて適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「配当還元価額より低ければ検討したが,5000円は譲渡しても文句はいえない。」(平成21年12月21日付けの調査報告書)「売買価額と買入価額を差し引きし,プラスになっていれば損はないという判断だった。」(同)以上の検討に基づき,平成17年10月5日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の12)。 lP23P23の担当者は,以下の旨を回答しており,同社が譲渡価額について適正かどうかを自ら判断した上で譲渡に応じたこと,価額によっては反対をした可能性もあったことがわかる。 「通常であれば,下がっているのが一般的ですが,価額が上がっていたので,●にも通しやすいと思いました。帳簿価額が上回っていれば応じた。」(平成22年1月25日付けの調査報告書)以上の検討に基づき,平成17年10月5日,同社は本件P6出資を総額2000万円(1口当たり5000円)で譲渡した(乙9の13)。 (イ) 原告ら訴訟代理人は,本件13社に対し,本件P6出資の譲渡について,聴取を行っており,その結果は以下のとおりである(なお,聴取内容を記載した聴取書(甲43から55までの各1)は,いずれも,原告ら訴訟代理人がとりまとめ,本件13社の担当者がその内容について誤りのないことを確認したものである。)。 aP11P11の担当者は, 載した聴取書(甲43から55までの各1)は,いずれも,原告ら訴訟代理人がとりまとめ,本件13社の担当者がその内容について誤りのないことを確認したものである。)。 aP11P11の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP 4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲55の1)。 「通常は,提示されたままの金額で,即,了解ということはありえません。適正な価格であるかについては,少なくとも簿価純資産額は検討します。本件では,時価が5000円より高額であったという指摘を受けているようですが,P3さんからは評価額も提示されていたようですし(乙17の8),それ以上に時価純資産価額の算定までは行わなかったということです。どこまで評価をするかは案件によると思います。・・・取引先だからといって,相手先の言いなりではないということは,会社である以上当然です。」「譲渡価格につきましては,譲渡事業年度の監査法人による監査においても,その後の税務調査においても全く問題とされたことはありませんでした。」b P12P12の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲47の1)。 「当社では取引先から出資の要請や株式取得の要請があった場合には,よほど当社にとってマイナスになるということがなければ応じています・・・それはP3さんに限らず他の取引先に関しても同じなので,P6出資の取得に際しても数ある出資要請の中のひとつ,という位置付けであったと思います。」「本件では,P3さんから参考価格を示してもらったうえ れはP3さんに限らず他の取引先に関しても同じなので,P6出資の取得に際しても数ある出資要請の中のひとつ,という位置付けであったと思います。」「本件では,P3さんから参考価格を示してもらったうえで,買取金額の提案を受けていますので,これらの価格を検討し,稟議決裁の 手続きを経て,譲渡に応じました。また,取得価額との比較,特に簿価を下回るかどうかという点は必ず確認しております。仮に,参考価格がなかった場合には,P3さんにお願いして何らかの根拠を示してもらうことになると思いますし,そうしていただけなければ稟議書を起案することもできません。1口5000円で譲渡したということは,役員会においてその金額は適正であるという判断に至ったものと考えています。」「調査報告書3枚目の1つ目の質問に対する回答で,簿価を「たとえ下回ったとしても譲渡に応じたと思います。」という記載も,価格の根拠資料を拝見して,当社が納得した場合には,そういうこともありうるということで,P3さんの関係であることを考慮して,特別扱いをするという意味ではありません。そもそも,P3さんに限らず,そういうことはできません。確かにP3さんのシェアは大きいですが,それは主として営業の窓口の問題で,管理部としては多くの取引先の中の1社という意識が強いかと思います。したがって,本件出資持分が仮にP3さんの関係先でなかったとしても,当社の判断結果はまったく同じになると思います。」「本件出資持分譲渡後にも当社に対して税務調査が入っていると思いますし,会計監査も毎期受けておりますが,1口5000円という譲渡価格について何らかの指摘を受けたという事実はございません。」cP13P13の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で, 口5000円という譲渡価格について何らかの指摘を受けたという事実はございません。」cP13P13の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲50の1)。 「【問】譲渡時の価格について 【答】譲渡時の出資持分の評価額についても,調査報告書(乙25)では,「他社も含めて評価額については検討したことがありません」との回答となっておりますが,この点も回答の際の「検討」のニュアンスが伝わっていないように思います。 決算報告書が毎期送付されてきますので,それを読まないということは決してありません。この意味では,譲渡に際しましても,検討はしました。ただし,詳細な時価評価となりますと,決算書から知り得る範囲内でしか現実に「できない」ということであり,この意味では検討したことがないということになります。 本件出資持分の譲渡に際し,提示された5000円という額は,決算書の財産状態が大きく変わっているわけではないのに,当初1000円で取得したものが,14年で5倍ということになるので,当社にとっては経済的合理性のある価格であるという検討はしました。P3さんからの提示額に対し,全く検討せずに言い値に応じた,P3さんの言いなりだったというわけではありません。」dP14P14の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲53の1)。 「今回の出資持分譲渡につきましては,P3さんから提示された計算書がありましたので,それをベースに社内で協議をしました。その結果 経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲53の1)。 「今回の出資持分譲渡につきましては,P3さんから提示された計算書がありましたので,それをベースに社内で協議をしました。その結果,5000円という価格は適正な価格であるという判断をして決裁(乙18の2)をしました。もしP3さんから安い価格での提案があった場合や何の根拠もなく価格が提示されてきたような場合には,当然価格の根拠を問い合わせすることになりますし,その価格が安す ぎるということであれば時価で買って欲しいということはいいます・・・。 調査報告書の3枚目に,「1000円でも買い戻しましたか」という質問があり,「そういう判断もあったと思います」と回答したことになっていますが,これは少なくとも譲渡して損は出せないという意味です・・・P3さんから提示された金額を鵜呑みにして当社が応じるなどということはしません。」「決裁申請にあるとおり,社内で協議した上で5000円は適正価格だと決定していますとしかお答えしようがありません。非上場株式のため,これより高い値段になると判断する情報は全く持っておらず,従って寄付をしたという認識も当然持っておりません。」eP15P15の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲46の1)。 「調査報告書の3枚目の下から2番目の質問に対する回答の部分(譲渡価額5000円についての検討部分)です。私は,「ルール」という言葉を使用したかどうかはっきりと覚えていませんが,この場合のルールは「価格の適正性の判断」という意味だと思います。」fP16P16の担当者は,主として以下のとおり回 私は,「ルール」という言葉を使用したかどうかはっきりと覚えていませんが,この場合のルールは「価格の適正性の判断」という意味だと思います。」fP16P16の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲54の1)。 「通常の株式の売買の場合と同様に考えれば,平成3年というバブ ル期に400万円で購入したものが13年後に2000万円で売却できるのですから,利益が出て,経済合理性のある取引だったと思います。バブル期に購入したものですから,その後に価値が下がって,例えば取得価額の400万円以下となっても,資産が塩漬けになるよりは現金化できるほうがいいと考えることもあり得ます。」gP17P17の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲43の1)。 「譲渡価格については「P3さんから評価した書類もあるので,金額には従った(あまり疑問はなかった)」のではなく,類似業種価格や純資産価格といった根拠も示していただいていますし,当社としても金額の適正はきちんと検討したうえでこの価格は妥当だという判断をしています。P3さんの言うことだから従ったという表現には違和感があります。」「調査報告書の4枚目の上から2つ目の「(答)」の8行目に「業界ナンバーワンのP3さんからの要請に応じ」という記載がありますが,そのようなことはいっていないと思います。もしそういった言葉を使っていたとしても,意味が違います。業界ナンバーワンということではなく,当社にとって重要な顧客 らの要請に応じ」という記載がありますが,そのようなことはいっていないと思います。もしそういった言葉を使っていたとしても,意味が違います。業界ナンバーワンということではなく,当社にとって重要な顧客の1社であるという意味です。そして当社の顧客のなかでP3さんが特別ということではありません。」「当社では株式の売買については稟議事項ですので,取得のときも売却のときも稟議にかけることになります。投資案件は社長まで上がります。本件出資持分の譲渡について当社は適正な価格であると判断をしました。先方からも資料の提示をしていただいていますし,取得 価格を上回る金額での売却でもあったからです。もしこの価格が安すぎるということであれば当社としては寄付金ということになるのでしょうが,寄附金課税のリスクがあるとは考えませんでした。」「稟議書(乙16の5)にあるように,価格の妥当性については検討をしています。特に2枚目の「決裁・審査欄」に多くの社内の人間の名前が挙げられているように,関係者全員が価格も含めて確認をしているわけです。そのなかで当然に税務リスクがあればそれについても指摘がなされることになります。」「反面調査を受けたときにも寄附金の指摘や「価格が安かった」といった指摘はされませんでした。当社は2年から3年に1度,税務調査を受けていますが,株式や出資持分の譲渡について,税務当局から低廉譲渡ではないかと指摘を受け,詳細を調査されることがあります。 今回のP3さんの譲渡についてはそういった指摘はいっさいありませんでした。」hP18P18の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲52の1)。 の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲52の1)。 「【問】国側は,本件出資持分の譲渡対価が低すぎるとして,貴社からの受贈益を認定し,課税処分をしました。1口5000円という価格は,時価より安いとお考えですか。 【答】もし今回の譲渡対価が低いというのでしたら,当社にも寄附金認定されるはずですが,されていませんし,当社は取引上の供応などで取引をしたということもありません。1口5000円が適正な対価だと考えました。加えて,(P6社の財産構成がほとんど変わって いない)平成3年当時に1口1000円で当社が取得した際に,受贈益を認定されていませんし,それが14年で5倍になったのですから,寄附金認定される税務リスクは全く考えていませんでした。」iP19P19の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲44の1)。 「【問】本件では,1口5000円という価格も低額譲渡でP8社に受贈益が課されています。 【答】この点は,お話を伺ったときから疑問に思っています。当社はこの反面調査を受けたとき,ちょうど当社に対する税務調査が行われていました。調査担当者は反面調査が行われたことを知っていましたから,同じ出資について,P3さんが受贈益でしたら,当社が寄附金となってもおかしくないはずですが,そのような指摘は一切ありませんでした。結果として,1つの取引おいて,2つの時価が存在することになり,おかしいと思います。」「【問】P3さんから提案された1口5000円 もおかしくないはずですが,そのような指摘は一切ありませんでした。結果として,1つの取引おいて,2つの時価が存在することになり,おかしいと思います。」「【問】P3さんから提案された1口5000円で譲渡の合意をしたのは,P3さんからいうとおりに決めたということなのですか。 【答】・・・言い値で決めたといわれるのは,極めて心外です。当社は税務リスクも含めて譲渡価格の適正を検討したうえで妥当だと判断したのです。当社側で検討することなく,P3さんからの言い値で譲渡することはあり得ません。」「【問】貴社ではP6出資持分の譲渡に際して,寄附金と認定されることを考慮されましたか。 【答】寄附金として認定されるリスクについては当然検討していま す。検討したうえでそのようなリスクはない適正価格での売買になるという認識でした・・・当社としても譲渡対価の適正性の判断は必ずします・・・。」jP20P20の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲45の1)。 「調査報告書3枚目の7つ目の質問に対する回答として,取得価額「以上の有利な条件であれば,手放してもよいということです。」,「5000円がどうかについては・・・認識だけはしました。」と記載されていますが,取得価額以上であればいくらでもよいということではなく,価格の根拠資料を検討して合理的であればという前提で,簿価以上ならば応じやすい,担当者レベルでは稟議書も書きやすいというくらいのニュアンスでお話ししたと思います。当社は,通常知りうる情報を入手して検討し,1口5000円という価格が適正であると判断して譲渡に応じたということです。何も検討しな 稟議書も書きやすいというくらいのニュアンスでお話ししたと思います。当社は,通常知りうる情報を入手して検討し,1口5000円という価格が適正であると判断して譲渡に応じたということです。何も検討しないでP3さんの言いなりであったかのように記載されておりますが,当社は,本件の譲渡取引が,第三者間で行われた正当な取引と認識しております。」「譲渡価格については,P3さんから送付されてきた資料に基づいて社内で検討しております。添付されている当社作成の稟議書(乙20号証の3)では,関係部署が検討したことを示す決裁印があります。 具体的には,経理部と財務部では主に会計処理や税務上の問題の有無について検討していますし,総務人事部では契約書の文言ですとかをチェックすることになっております。 当社は上場していることもあり,不当・不正な取引を行うわけには いきませんので,得意先であるからという理由で不当に高く買ったり,安く売ったりすることはできません。前述のとおり,当社は本件譲渡価格が第三者間で成立した適正価格であると認識しております。有限責任監査法人P43の金商法及び会社法に基づく監査を受けており,非常に細かく見ていただいていますが,監査上も特段の指摘はありませんでした。」kP21P21の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲48の1)。 「調査報告書3枚目2つ目の質問に対する回答で「特に検討はしていません。」と記載されていますが,このような発言をしたという記憶はありません。取締役会での説明も必要ですので,譲渡価額についてまったく検討しないということはありえないと思います。同様に,3枚目の いません。」と記載されていますが,このような発言をしたという記憶はありません。取締役会での説明も必要ですので,譲渡価額についてまったく検討しないということはありえないと思います。同様に,3枚目の最後に「P3さんが評価額を算定して,それに対して5000円であるから譲渡に応じたのですか」という質問があり,それに対して「そういうことになります」との回答したことになっていますが,単に向こうから言われたから応じたというものではありません。当社で価格の妥当性について検討し,しかるべき手続きを経て応じたということですので,その意味でこの回答は正確な記載ではないと思います。」「調査報告書の4枚目の2つ目の質問に対する回答として「取得価額より安くないので,応じたということです」と記載されていますが,これも譲渡価格について検討した結果,1口5000円という金額が妥当であると判断できていることが前提であって,キャピタルゲイン が出れば価格はいくらでもいいという趣旨ではありません。」「基本的には,時価よりも高く譲渡したと認識していました。」「乙23号証の3として当社の取締役会議事録が添付されていますが,ここに当社の担当取締役であるP44が「税務上問題ない」ことを説明した旨の記載があるとおり,当社は,会計上,税務上の問題がないことを検討・確認の上,P3さんからの申し出に応じたのです。 また,本件出資持分を譲渡するに際しては,当社と付き合いのある公認会計士にも,P3さんからいただいた資料一式を見てもらったうえで,譲渡価格の当否について検討してもらい,「問題ない。むしろ高いくらいだ」というアドバイスをもらっていますし,本件出資持分譲渡後に行われた税務調査でも,譲渡価格の適否について指摘を受けたということもありません。」「当社は,非上場の ,「問題ない。むしろ高いくらいだ」というアドバイスをもらっていますし,本件出資持分譲渡後に行われた税務調査でも,譲渡価格の適否について指摘を受けたということもありません。」「当社は,非上場の出資持分の時価を考えるにあたって,類似業種比準価額を重視しますので,保有する土地や有価証券の時価評価がとりわけ重要であるとまでは考えていない」lP22P22の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲49の1)。 「譲渡価格については,P3さんから送付されてきた資料に基づいて社内で検討しております。類似業種比準価格や純資産価格との比較で1口5000円という提示であったので,当社では適正価格と判断して譲渡に応じています。」「社内稟議においてもこの価格がおかしいという意見は出ませんでしたし,出資の譲渡ということで社長の決裁も仰いでいます。会計監 査人からも1口5000円という金額について疑義を挟まれたということもありませんでした。当社に対しては大体3年に1度のペースで税務調査が入りますが,税務調査の際にもP6社出資の譲渡価格が安すぎるというような指摘を受けたこともありません。」「本件は,P3さんがNo1の得意先であるから1口5000円で譲渡に応じたわけではなく,送っていただいた資料なども含めて検討した上で,その価格に合理性があると当社が判断したから譲渡に応じたのです。そういう意味では,仮にP6社がP3さんの関係先でなく,他の得意先であっても,1口5000円で譲渡に応じるとの当社の判断は変わりないはずです。」mP23P23の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP 社がP3さんの関係先でなく,他の得意先であっても,1口5000円で譲渡に応じるとの当社の判断は変わりないはずです。」mP23P23の担当者は,主として以下のとおり回答しており,同社がP4とは独立した当事者としての立場で,譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことを明らかにしている(甲51の1)。 「譲渡金額については,P3さんが得意先であるので,価格を吊り上げて高く買い取ってもらおうとまでの気はありませんでした。価格について根拠があって,納得できる価格であればいいというつもりでいました」「当社が買い戻しに応じた際には,純資産価額や類似業種の価格の資料を見て検討していますが,このことが調査報告書からは抜け落ちているように思います。」「調査報告書の3枚目の4つ目の質問に対する回答として「この規模でしたら,評価額を検討することはありません。」と記載されています・・・,その趣旨は,P3さんから送られてきた資料の裏付け調査をしたり,追加的に当社で検討資料を作成したりするということは ないということであって・・・また,「検討するまでもない」,「従いましょう」についても同様で,P3さんから送られてきた貸借対照表が正しいかどうかをチェックすることはしないということで,P6の規模からいってもP3からもらった資料を信じましょうという趣旨で発言したものです。」「調査報告書3枚目6つ目の質問に対する回答として「第三者取引といえない面もあると思っています。」という記載がありますが,これも,そういう言葉は発しましたが,本件出資持分が非上場の出資持分であり,P3さんと当社との間には取引関係があることから,受贈益や寄付金といった課税リスクに配慮して,より慎重に行動しなければならないという文脈で発言したの ましたが,本件出資持分が非上場の出資持分であり,P3さんと当社との間には取引関係があることから,受贈益や寄付金といった課税リスクに配慮して,より慎重に行動しなければならないという文脈で発言したのであります。」「本件では,P3さんから純資産価額,配当還元,類似業種比準価額といった資料をもらっていますし,当社の簿価と比較して譲渡損益がどうなるかという確認をしております・・・先方から言われた金額をそのまま鵜呑みにして譲渡に応じるということはしません。それは,P3さんに限らずどこの出資先でも同じことです。」「当社は,P3さんから頂いた資料を基に,しかるべき手続きにのっとって譲渡に応じる判断をしました。調査報告書では,当社があまり検討しないで応じたように書かれていますが,当社でも買い戻しに応ずるか否かを取締役会に諮っておりますので,資料を検討しないと取締役会で説明することができません。」(甲51の3)。 (ウ) 本件13社が,P4とは独立した当事者としての立場で譲渡価額について十分に検討し,合理的な経営判断として譲渡に応じたことについては,次のとおり,聴取書(甲43から55までの各1)以外の書証の記載からも十分にうかがわれる。 aP11 P11が作成した「決裁書」(甲55の8)においては,「20,000,000円で売却することに伴い,16,000,000円の売却益が発生します」との記載がされているとともに,経理,総務を含めた関係各部署の決を経て譲渡が承認されている。 b P12P12が作成した「有限会社P6の出資売却について」と題する書面(甲47の5)においては,1口当たり5000円で譲渡することによって,1600万円の売却利益が見込めること,売却単価の根拠が配当還元方式で算出される価格(1口当たり500円)の いて」と題する書面(甲47の5)においては,1口当たり5000円で譲渡することによって,1600万円の売却利益が見込めること,売却単価の根拠が配当還元方式で算出される価格(1口当たり500円)の10倍であること,1口当たり5000円との売却価格は,類似業種比準価額や簿価純資産価額により算出された金額を上回るものであることが記載されている。 cP14P14が作成した「決裁申請書」(甲53の3)においては,稟議申請に先立ち経理部が経営企画部と協議したこと,1口当たり5000円の売却価格が配当還元方式の10倍相当であり,かつ,参考価格としての類似業種比準価額及び簿価純資産価額を上回るものであること,譲渡により1600万円の売却益が見込まれることが記載されている。 同社において十分な検討がされたことは,P29の証人尋問における証言からも明らかである。 dP15P15は1口5000円での売却の当否について取締役会という会議体において審議・検討し,決定している(甲46の5,甲46の6)。 eP17 P17が作成した「稟議 ○‘05-’06」と題する書面(甲43の4)においては,本件P6出資の売却によって「売却益」が「16,000千円」(「売却先・売却金額」欄)生じることが記載されており,また,「(参考)」として「類似業種の比準価格」(ママ)(1406円)及び「簿価純資産価格」(ママ)(3010円)が併記されている。さらに,稟議起案部署(本社営業部)の見解として,「当社購入価格及び簿価とも1口1,000円であり,1口5,000円の買取価格は資金回収価格として適正価格と判断しました」(「経緯・売却理由」欄)との記載がある。同社は,本件P6出資の売却が社長決裁事項(「件名」欄)とされており,コンプライアンス部, 5,000円の買取価格は資金回収価格として適正価格と判断しました」(「経緯・売却理由」欄)との記載がある。同社は,本件P6出資の売却が社長決裁事項(「件名」欄)とされており,コンプライアンス部,法務,経理を含む20名近くの担当者による決裁(「決裁・審査」欄)を経て,最終的に,同社のトップマネジメントにより1口5000円という譲渡価額が承認されていることから,同社が類似業種比準価額や簿価純資産価額との比較検討,譲渡益の有無及びその金額を勘案して譲渡価額の検討を行っていたことは明らかである。 以上に述べたところは,P30の証人尋問における証言からも明らかである。 fP19P19が作成した「決定書」(甲44の4)によれば,稟議決裁に先立ち法務や財務を含めた関係部署にて事前協議が行われており(「事前協議」欄),これらの管理部を含めた決裁を得ている(「協議」欄)。稟議承認に当たっては,P6の売上高,経常利益,当期利益の金額や資本金の額のほか,1口5000円で譲渡した際に売却益が生ずることやその金額が1600万円であること,参考価格としての類似業種比準価額,簿価純資産価額,類似会社比準価額に照らして1口5000円の譲渡価格がこれらの参考価格を上回るものであることが 明記されている。そして,このような検討の結果として当該稟議が承認されていることからも,P19が売買価格について十分な検討を行っていたことは明らかである。 gP20P20が作成した「稟議書」(甲45の4)においては,1口当たり5000円の売却価格が,毎期の配当の100倍に相当するものであること,類似業種比準価額や簿価純資産価額を上回るものであることに加え,売却した場合には1600万円もの売却益が見込めることが記載されている。これらの情報を基に同社においては 0倍に相当するものであること,類似業種比準価額や簿価純資産価額を上回るものであることに加え,売却した場合には1600万円もの売却益が見込めることが記載されている。これらの情報を基に同社においては経営企画部,財務部,経理部といった関係部署を含めた決裁を得ており,同社が売買価格の適正性について十分な検討を行っていたことは明らかである。 hP21P21が作成した「取締役会議事録」(甲48の3)の添付資料においては,毎期の配当が額面金額の5パーセント(20万円)であること,1口当たり5000円で売却した場合,1600万円もの売却益が計上されること,参考価格としての配当還元方式,類似業種比準価額,簿価純資産価額のいずれに対しても1口当たり5000円の売却価格が上回っていること,1口当たり5000円の根拠が配当還元方式に基づく評価額の10倍であることが記載されている。また,税務上の検討として,第三者の法人間の取引であること及び税務上問題ないことが記載されており,これらの情報に基づき同社の役員全員が1口当たり5000円で譲渡することを承認していることからも同社が売買価格の適正性について十分な検討を行っていたことは明らかである。 iP22P22が作成した「稟議書」(甲49の4)においては,本件P6 出資の簿価が400万円であるのに対して1口5000円で売却すれば2000万円になること,毎期5パーセントの配当があり,配当還元方式による評価では1口500円になること,売却価格は配当還元方式の10倍であることが記載されている。これらの情報に基づき,同社においては,会長,社長以下のトップマネジメントをはじめ経理部を含めた全社的な検討の結果,譲渡を承認しており,同社が売買価格の適正性について十分な検討を行っていたことは明らかである 報に基づき,同社においては,会長,社長以下のトップマネジメントをはじめ経理部を含めた全社的な検討の結果,譲渡を承認しており,同社が売買価格の適正性について十分な検討を行っていたことは明らかである。 (エ) 前記(ア)から(ウ)までのとおり,本件13社は,それぞれ,過去の配当実績,書面(甲14,乙8)に添付された類似業種比準価額及び簿価純資産価額の算定根拠等を検討した上で,1口当たり5000円が適正な時価であると判断し,本件P6出資の譲渡に応じたものであり,むしろ本件13社のほうでも譲渡をしたいと考えていた会社があったことや,財産の低額譲渡に当たるか否かという税務リスクまで検討した上で譲渡に応じた会社のあることもうかがわれる。 したがって,本件13社との間で合意された価額(1口当たり5000円)が,「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われた場合に通常成立する価額」に該当することは明らかである。 (オ) そもそも,売買実例に基づく評価が時価評価の一方法とされているのは,市場性のない有価証券の時価を算定することが困難であることを前提に,純然たる第三者間において,種々の経済性を考慮して定められた取引価額は,一般に合理性を有するものといえるから,通常は,これをもって適正な価額と認めるのが相当であるというところにある。 被告は,本件13社が,1口当たり5000円の算定根拠について検討した事実は認められないと主張するが,類似業種比準価額や簿価純資産価額と比較検討することや,取得価額との対比においては譲渡損益がいくらになるかを試算することも,経済合理性の検討としては十分,か つ,一般的な検討方法である。本件13社は,それぞれ,十分,かつ,一般的な検討プロセスを経て各売買契約に合意しているのであり,これら売買契約において成立した価額 理性の検討としては十分,か つ,一般的な検討方法である。本件13社は,それぞれ,十分,かつ,一般的な検討プロセスを経て各売買契約に合意しているのであり,これら売買契約において成立した価額が「種々の経済性を考慮して定められた取引価額」に該当することは明らかである。本件13社とP4との間には資本関係や人的関係はなく,本件13社とP4が「純然たる第三者」の関係にあるとみるべきであるから,上記の規範にのっとり,本件13社とP4との売買取引において合意された譲渡金額(1口当たり5000円)は,「適正な金額」と認められるべきである。 また,被告は,時価評価に当たってP6の各資産及び負債を時価に基づき評価することが必須の手続であるかのように主張するが,資産及び負債の時価に基づく評価は,数ある評価方法のうちの1つにすぎず,常に時価に基づく評価をしなければならないということではない。そのような資産及び負債に係る時価の情報は株主(社員)の権利として当然に入手できる情報ではなく,仮に株主の側において資産及び負債の時価に基づく評価を行うこととした場合には情報の入手可能性の点から実行には困難があるとともに,その実行には相当のコストが発生し,保有する有価証券の価格によっては費用対効果を著しく阻害することがあるからである。また,本件に即して付言すれば,P6はP3の株式を有していることから,当該株式の時価に基づく評価をせざるを得ないことになるが,その評価に当たっては多大なコストと時間を要するのみならず,株主や出資持分権者の立場において入手できる資料の範囲には限界がある(会社法433条参照)ことから,そのようなコストと時間をかけたとしても結果が得られる保証はないのである。被告が主張するようにP6の各資産及び負債を時価に基づき評価することが必須であるとす 界がある(会社法433条参照)ことから,そのようなコストと時間をかけたとしても結果が得られる保証はないのである。被告が主張するようにP6の各資産及び負債を時価に基づき評価することが必須であるとすれば,本件13社にとっては取得価額400万円の出資持分の売却に見合わない多大なコストと時間を負担することを余儀なくされるが,そのような 解釈が不当であることは明らかである(本件13社の経営陣の意思決定により会社がそのようなコストを負担することは,むしろ取締役の善管注意義務に違反するおそれすらある。)。 被告は,本件13社が譲渡価格の妥当性に関し「独自に特段の検討」をする必要があることを前提として,そのような検討がなされていないと述べるが,なぜ前記(ア)から(ウ)までにより看取できる検討では不足であるのか,いかなる検討手段・検討方法をもって「独自に特段の検討」をしたと評価されるものであるかについて全く理由を示しておらず,失当である。 エ被告の主張の要点(別紙3)の2(2)イについて本件13社による本件P6出資の譲渡がP6からの依頼を契機とするものであること,譲受人であるP4が本件13社の取引先であるP3のグループ会社であること,本件13社が「P3及びそのグループ会社との良好な取引関係を継続する」ことを目的として本件P6出資の譲渡に応じたこと等の事情は,売買実例の適正性とは全く無関係な事情である。原告P1がP6の代表者を務めていることについても同様である。 被告は,本件P6出資の取得及び売却が,本件13社による「P9の意向に沿うことにより,P3との良好な取引関係を継続する」という意図に基づきなされたことを取引の経緯及び背景事情と主張しているようであるが,本件13社が上記の意図のみに基づいて取引を行ったとは限らないし,そのよう より,P3との良好な取引関係を継続する」という意図に基づきなされたことを取引の経緯及び背景事情と主張しているようであるが,本件13社が上記の意図のみに基づいて取引を行ったとは限らないし,そのような経緯及び背景事情により譲渡価額が不当にゆがめられた事実もない(なお,原告らは,本件13社が「P9の意向に沿うことにより,P3との良好な取引関係を継続する」という意図を有していたことを認めるものではない。)。市場価格のない有価証券について,人的関係も取引関係もない第三者が取得者となることは通例ではなく,他方,法人税基本通達4-1-15が,上場有価証券等以外の株式の評価について売買実例に基 づく評価方法を第一次的な評価方法と規定していることからすれば,売買実例の適正性を検討する上で,売買当事者間に取引関係があることや当該取引関係の維持に対する期待があったことといった事実のみから,ないしはこれらの事実を偏重して判断することが不当であることは明らかである。 また,本件13社との各譲渡価額がP6社による依頼文書(甲14,乙8)において一括して提示された価額であることも原告らの主張に対する反論とはなり得ない。原告らは,本件13社がそれぞれ過去の配当実績,書面(甲14,乙8)に添付された類似業種比準価額及び簿価純資産価額の算定根拠を検討した上で,1口当たり5000円が適正な時価であると判断し,譲渡に応じたことを主張しているのであり,ここには本件13社のそれぞれの判断,意思決定が存在しているのである。 本件においては,売買当事者間に資本関係や人的関係がないこと(少なくとも,当事者間に資本関係も人的関係もない場合には,特段の事情がない限り,相互に独立しているものと考えるべきであるし,このような客観的な事情を殊更に軽視して,取引の経緯・背景事情のみ いこと(少なくとも,当事者間に資本関係も人的関係もない場合には,特段の事情がない限り,相互に独立しているものと考えるべきであるし,このような客観的な事情を殊更に軽視して,取引の経緯・背景事情のみから判断することは法的安定性を害する。)に加え,本件13社の間においても,支配・被支配の関係はないのであるから,本件13社の判断,意思決定はそれぞれ独立したものと考えなければならない(なお,本件P6出資を売却するに際して,本件13社の間で意思を通じ合った事実は存在しない。)。このことを考慮せず,単に価格の提示が同じ文書(甲14,乙8)に基づいて行われたことのみから「実質的な取引事例としては1事例であるにすぎ」ないとする被告の主張は暴論とのそしりを免れない。 本件13社がP3との取引関係の維持に配慮したため1口当たり5000円での売却に応じたとの被告の主張は,P3が,本件13社との取引を打ち切ったり取引量を減少させたりすることによって,本件13社に対して事業上の不利益を与えられるという力関係にあることを前提にした議論 であると推察される。しかし,P3は,古くから全国規模で酒類卸売販売免許を保有していたことから本件13社を含む多数の酒造メーカー及び小売業者と取引をしていたものの,平成17年当時,全国規模で酒類を取り扱っていたのはP3だけでなく,株式会社P45やP46株式会社といった業者もあったほか,地域ごとに大手の酒類卸売業者が存在していたのである。本件13社にとってはP3との取引を望まなければ他の卸ルートで商品を流通させることは容易であったのであり,本件P6出資の売却に当たって,たとえP3が1口当たり5000円という価格を提示したとしても,これに従わなければならないような関係にはなかった。本件P6出資を取得することや売却すること自 のであり,本件P6出資の売却に当たって,たとえP3が1口当たり5000円という価格を提示したとしても,これに従わなければならないような関係にはなかった。本件P6出資を取得することや売却すること自体は,P3との取引関係が存在していたことが契機となっていたとしても,売却価格については本件13社の独自の検討を経た上で合意されたものであり,多額の取引関係にあることを理由として本件13社が独立した当事者の立場にないとする被告の主張は,酒類流通業界の実態に沿わない不合理なものなのである。 オ被告の主張の要点(別紙3)の2(2)エについて原告らは,本件13社とP4との各売買契約が,適正な売買実例に該当する旨を主張しているものであり,上記売買契約の当事者ではないP5の申告内容のいかんは,無関係な事情であって,このような無関係な事情を根拠として上記売買実例の適正性を否定する被告の主張は理由がないといわざるを得ない。 なお,P5の申告に当たっては,同人に対する課税のリスクを最大限回避することを重視した税務申告をせざるを得なかったことを付言しておく。 つまり,納税者は「時価」について独自の解釈を行った上で,それに基づいた評価を行うことができるが,現実の課税実務においては,財産の評価について評価通達がもつ事実上の強制力と時価についての解釈の困難さから,納税者側も納税申告においては同通達に依拠せざるを得ない実情があ るため,P5もこれによって申告を行ったものである。したがって,原告らの主張とP5の申告内容に矛盾はない。 カ被告の主張の要点(別紙3)の2(2)オについてこの点に関する被告の主張は,2つの点で誤りである。 1つ目の誤りは,譲渡人である本件13社に対しては寄附金課税を行うべきであるにもかかわらず,譲受人の側に対してのみ時価より の2(2)オについてこの点に関する被告の主張は,2つの点で誤りである。 1つ目の誤りは,譲渡人である本件13社に対しては寄附金課税を行うべきであるにもかかわらず,譲受人の側に対してのみ時価より著しく低い価額であるとのもとで課税を行ったのだとすれば,同じ取引であるにもかかわらず,一方当事者に対してのみ異なる時価を認定した不当な課税処分を行ったことになる。これは,租税平等主義に違反する取扱いである。この点,仮に本件13社に対しては税務調査を行っていなかったというのであればともかく,本件13社全社に反面調査を行い詳細な「調査報告書」も作成していたのであるから(甲43から54まで(52を除く。)の各2),そのような言い訳は成り立ち得ない。 2つ目の誤りは,むしろ本件13社については,取引価額(1株5000円)を適正な時価であると判断していたはずであるということである。 したがって,譲渡人にとって適正な時価と認められた取引について,譲受人の側だけにとっては著しく低い価額の取引だと考えることは誤りである。 この点で,本件との関係では,本件13社の譲渡事例が本件における適切な売買実例になり,したがって,本件P6出資の時価は1口当たり5000円であるという結論につながる。 もし,そうでないというのだとしても,いずれにしても,原告らとの関係で「租税平等主義違反」の処分が行われたことが明らかである。 (3) 本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価でされたものか(本件各譲渡に係る本件P6出資の時価はいくらか)(争点(2))についてのまとめ本件各譲渡の時における本件P6出資の時価は,前記(1)によれば,評価通達の定めによって評価した場合,P3が譲り受けたものは1口当たり50 0円,P4が譲り受けたものは1口当たり1011円であり,前記(2) おける本件P6出資の時価は,前記(1)によれば,評価通達の定めによって評価した場合,P3が譲り受けたものは1口当たり50 0円,P4が譲り受けたものは1口当たり1011円であり,前記(2)によれば,1口当たり5000円であって,本件各譲渡における譲渡価額(1口当たり3万9235円)はこれらを下回らないから,本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価で行われたものではない。 3 原告らは本件各譲渡により相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」と認められるか,また,そのように認められる場合,当該利益の価額に相当する金額はいくらか(争点(3))について前記2のとおり,本件各譲渡は時価より著しく低い価額の対価で行われたものではないから,本件各譲渡により,P3及びP4は何らの経済的利益を受けておらず,したがって,その株主である原告らも利益を受けていない。 4 本件出資贈与に係るP4の持分の価額はいくらか(争点(4))についてP4は原告らの同族関係者に該当することから,評価通達178の区分に従い分類すると,同社は中会社に分類される。しかし,本件出資贈与の時において,P4は,株式保有特定会社通達の株式保有特定会社に該当することから,純資産価額方式又は「S1+S2方式」により評価すべきこととなる(ただし,前記2(1)ウのとおり,P4の出資についても株式保有特定会社通達を適用すべきでない。)。ただし,その際,P4が保有する本件P6出資の評価については,前記2(1)ア(イ)のとおり,P6はP3の同族株主以外の株主であるから,P6が保有するP3の株式を配当還元方式により50円と評価した上で,類似業種比準方式と純資産価額方式(ただし,20パーセント減額した後の額)の折衷方式により評価すべきこととなる 外の株主であるから,P6が保有するP3の株式を配当還元方式により50円と評価した上で,類似業種比準方式と純資産価額方式(ただし,20パーセント減額した後の額)の折衷方式により評価すべきこととなる(詳細は原告別表4のとおり)。また,P4が保有するP3の株式の評価については,P3は評価通達178の大会社に該当し,特例的評価方式を適用すべき場合には該当しないことから,同通達179(1)に基づき,類似業種比準方式により評価し,4047円となる(詳細は原告別表5のとおり)。 その結果,原告P2が原告P1から贈与されたP4の持分1口当たりの評価は,9091円となる(詳細は原告別表6のとおり)。そして,この9091円に本件出資贈与に係るP4の口数(25万8000口)を乗じた23億4547万8000円は,原告P2が行った贈与税の申告における評価額24億2520万円(1口当たり9400円)を下回る。 5 原告らについて,無申告加算税及び過少申告加算税を課されない正当な理由があると認められるか(争点(5))について(1) 仮に,本件各譲渡の時における本件P6出資の時価が1口当たり8万1204円であり,本件出資贈与の時におけるP4の持分の時価が1口当たり1万0731円であるとした場合,当該時価の評価と本件各譲渡及び本件出資贈与の時において原告らが評価した額との差額部分について,原告らが贈与税の申告をしなかったことにつき,通則法66条1項ただし書及び同法65条4項に定める無申告加算税及び過少申告加算税を賦課すべきでない「正当な理由があると認められる」場合に該当する。 (2) ここに,「正当な理由があると認められる」場合とは,「真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり」,「過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少 」場合に該当する。 (2) ここに,「正当な理由があると認められる」場合とは,「真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり」,「過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合」と解される(前掲最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決,前掲最高裁平成18年4月25日第三小法廷判決,最高裁平成17年(行ヒ)第20号同18年10月24日第三小法廷判決・民集60巻8号3128頁)。 これを本件についてみると,法人税基本通達9-1-13及び同9-1-14により株式等の評価方法が定められているところ,被告は,売買実例による評価を否認した上で,同通達が準用する評価通達の定めのうち,議決権割合に基づく評価(配当還元方式)及びそれが認められる場合等の純資産価額方式の20パーセント減について同通達によるべきでない特別の事情があ るとして,評価に係る国税庁の公的見解である同通達と異なる方法により本件P6出資等を評価するのであって,そのような評価方法を採用すべきことを納税者が予測して,贈与税の申告をすることはできず,納税者の責めに帰することのできない客観的な事情がある。 (3) 被告は,評価通達6の定めがあることからみても,仮に同通達を形式的に適用して贈与税額を算出し申告したとしても,これがそのまま是認されるものではないことは同通達が予定しているというべきであるとして,加算税を課さない正当な理由があるとはいえないと主張する。 アこの点につき,国税庁は,通則法65条4項の正当な理由について,事務運営指針(平成12年7月3日課資2-264,課料3-12,査察1-28)「相続税,贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(乙36)において,「第1 過少申告加算税の取扱 て,事務運営指針(平成12年7月3日課資2-264,課料3-12,査察1-28)「相続税,贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(乙36)において,「第1 過少申告加算税の取扱い(過少申告の場合における正当な理由があると認められる事実)」のうち「1 納税者の責めに帰すべき事由のない事実」として,「(1) 税法の解釈に関し申告書提出後新たに法令解釈が明確化されたため,その法令解釈と納税者(相続人(受遺者を含む。)から遺産(債務及び葬式費用を含む。)の調査,申告等を任せられた者又は受贈者から受贈財産(受贈財産に係る債務を含む。)の調査,申告等を任せられた者を含む。以下同じ。)の解釈とが異なることとなった場合において,その納税者の解釈について相当の理由があると認められること。(注)税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たらない。」との事実を例示する。 このように,国税庁も,申告書提出後に,新たに法令解釈が明確化されたことにより,当初申告時の解釈が異なることとなった場合で,納税者の税法の不知等に基づくもの以外のものについては,加算税を賦課しない正当な理由があると解している。 そもそも評価通達は,相続税法22条の「相続,遺贈又は贈与により取 得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価によ」るとの規定を受け,「時価」の解釈及びその具体的算定方法に関する国税庁の公的見解である。そして,同通達1(2)において,同法22条の「時価」の意義を「課税時期(略)において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をい」うと解した上で,「その価額は,この通達の定めによって評価した価額による」と定めているのである。 被告も主張するとおり,同 の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をい」うと解した上で,「その価額は,この通達の定めによって評価した価額による」と定めているのである。 被告も主張するとおり,同通達は,一方で「評価通達の定めによって評価する」ことを求め(同通達1(2)),他方,「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」(同通達6)としている。しかしながら,同通達6は,納税者にとっていかなる場合が「この通達の定めによって評価することが著しく不適当」となるのかについて,全く明らかにしていないこと,また,同通達6が「国税庁長官の指示を受けて評価する」と定めていることからすれば,極めて例外的なケースにしか適用されないものであることは明らかである。そのため,納税者が同通達の定めに従って,財産の評価をし,その後に,課税庁が,たとえ国税庁長官の指示がなくても,同通達の定めと異なる評価をした場合は,上記事務運営指針の税法解釈の変更に該当し,同注書きの「税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくもの」に当たらないことも明らかであるから,加算税を賦課しない正当な理由があるというべきである。 イまた,評価通達6は,同通達に基づく評価基準制度等による各財産の評価額が著しく不適当と認められるときには,客観的交換価額(時価)に近づけるために個別評価を行うという趣旨で設けられたものであり,評価基準制度の補完措置であると解されている。 にもかかわらず,本件において同通達6を適用して,同通達と異なる評 価をするというのであれば,被告は同通達6に基づき「国税庁長官の指示を受けて評価」したということを明らかにすべきであるが,本件において,被告はそのような事実について何ら立証しておらず,同通 価をするというのであれば,被告は同通達6に基づき「国税庁長官の指示を受けて評価」したということを明らかにすべきであるが,本件において,被告はそのような事実について何ら立証しておらず,同通達6を適用した事実は認められないし,仮に国税庁長官の指示を受けて行った評価が適法であるとしても,同通達に従って算出された評価額に達するまでの部分については,納税者には「正当な理由がある」ため,加算税を賦課すべきではない。 (4) そもそも,被告は,本件P6出資及びP4の持分の評価に際し,国税庁が発する評価通達の定めのうち,議決権割合に基づく評価を看過し,あるいは,恣意的に無視することにより,P6及びP3が原告らの同族関係者に該当すると判定し,本件P6出資,P6が有するP3の株式,P4の持分及びP4が有する本件P6出資並びにP3の株式の評価を行うものである。 しかしながら,国税庁が発する同通達は,本件のような議決権割合である株主等をも想定して定めているはずであるところ,その定めによらない特別な事情がある場合がどのような場合であるのか,納税者は予見することはできず,納税者の責めに帰すべき事情はない。 本件各譲渡及び本件出資贈与の時において,P5,P3,P4及び原告P2は,その算定方法に誤りがあったものの(本件各譲渡において専門家は携わっていない。),同通達に基づき評価し,当該評価が適正なものであることを前提に,本件P6出資を売買し,又はP4の出資の贈与を受けたとして,申告納税していたものであり,原告らが本件決定処分及び本件更正処分を受けることなど到底予見できるものではなく,評価方法に関し原告らの責めに帰すべき客観的な事情は存在せず,加算税制度の趣旨からしても,原告らに対し,同通達と異なる評価をして贈与税を課した上で,加算税をも賦課すること 底予見できるものではなく,評価方法に関し原告らの責めに帰すべき客観的な事情は存在せず,加算税制度の趣旨からしても,原告らに対し,同通達と異なる評価をして贈与税を課した上で,加算税をも賦課することは不当又は酷な処分であることは明らかである。 (5) したがって,これらの点からすれば原告らに加算税を賦課すべきでない 正当な理由があるというべきである。 以上
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