主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人溝呂木商太郎、同小山孝徳の上告理由について自動車損害賠償保障法一五条は、自動車損害賠償責任保険の被保険者は被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ保険会社に対して保険金の支払を請求することができる旨定めているが、その趣旨は、交通事故の加害者である被保険者が保険金を受け取りながらこれを被害者に対する損害賠償債務の履行に充てず、被害者が現実に損害賠償を受けることができない事態が生ずるのを未然に防止し、もって被害者の保護を図ることにある。右の趣旨に徴すれば、同条にいう「支払」とは、被保険者の出捐によって損害賠償債務の全部又は一部を消滅させ、これによって被害者に現実の満足を与えるものをいうと解すべきである。そして、被害者の受領拒絶を理由に被保険者が損害賠償債務につき有効な弁済供託をした場合には、右供託は、被保険者の出捐によって損害賠償債務を消滅させるものであり、かつ、被害者はいつでも供託金の還付を受けることが可能であって被害者に現実の満足を与えるものということができるから、同条にいう「支払」に当たると解するのが相当である。 原審が適法に確定した事実関係によれば、被保険者であるD運送は、被害者との間の損害賠償請求事件の確定判決に基づく損害賠償債務の全額を被害者に提供したが、受領を拒絶されたため本件供託をしたというのであるから、右供託をもって自動車損害賠償保障法一五条にいう「支払」に当たるとした原審の判断は正当である。 論旨は採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主- 1 -文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 判断は正当である。 論旨は採用することができない。 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主- 1 -文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官大野正男裁判官園部逸夫裁判官可部恒雄裁判官千種秀夫裁判官尾崎行信- 2 -
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