平成15(行ウ)31

裁判年月日・裁判所
平成18年11月30日 広島地方裁判所
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判決文本文31,085 文字)

- 1 -平成15 年第31 号、32 号、34 号各所得税更正処分等取消請求事件、同第33 号(行ウ)法人税更正処分等取消請求事件(以下「31 号事件」のように略称する)主文 別紙処分目録記載1の所得税更正処分のうち納付すべき税額359 万6300 円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 別紙処分目録記載2の所得税更正処分のうち納付すべき税額466 万5000 円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 別紙処分目録記載3の法人税更正処分のうち所得金額9476 万3610 円を超(1)える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち上記更正処分の取り消されるべき部分に係る部分をいずれも取り消す。 原告会社のその余の請求を棄却する。 (2) 別紙処分目録記載4の所得税更正処分のうち納付すべき税額1451 万2700 円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 訴訟費用の負担は次のとおりとする。 原告A及び被告△△税務署長に生じた費用は同被告の負担とする。 (1)原告B及び同Cに生じた費用の全部並びに被告○○税務署長に生じた費用(2)の3 分の2 を同被告の負担とする。 原告会社に生じた費用及び被告○○税務署長に生じた費用の3 分の1 を三(3)分し、その二を同原告の、その余を同被告の負担とする。 事実及び理由 第1請求1(原告A)主文第1項同旨2(原告B)主文第2項同旨3(原告会社)別紙処分目録記載3の法人税更正処分のうち納付すべき税額 193 万8200 円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち過少申告加算税額26 万4500 円を超える部分をそれぞれ取り消す。 - 2 -4(原告C)主文第4項同旨第2事案の概要原告らが、別紙処分目録記載の各処分の び過少申告加算税賦課決定処分のうち過少申告加算税額26 万4500 円を超える部分をそれぞれ取り消す。 - 2 -4(原告C)主文第4項同旨第2事案の概要原告らが、別紙処分目録記載の各処分のうち、原告ら申告に係る税額を超える部分及びこれに係る過少申告加算税賦課決定処分はいずれも別紙物件目録記載土地(以下「本件土地」という)の時価の評価を誤ったことに基づくものであり違法であると主張して、それらの取消しを求める事案である。 前提事実(証拠により認定した事実はその証拠を該当箇所に掲記する)原告ら(1)原告Bは同Cの妻であり、同Aは同C及び同Bの長女である(以下、これら3 名を併せて「原告Cら」という。 )原告会社は不動産の賃貸業を営む青色申告法人であり、平成12 年10 月 1 日から平成13 年9 月30 日までの事業年度末当時原告らが出資金の全部を出資する同族会社であった。なお、原告Bはその代表取締役であり、同Cは取締役であって、原告Aも取締役であったところ、平成12 年10 月31 日取締役を辞任した(当裁判所に顕著である。 )本件訴訟提起に至る経緯(2)ア本件貸借契約の締結(乙2、3)原告Cらは、平成10 年4 月17 日、原告会社との間で、本件土地のうち別紙物件目録記載2記載の建物(以下「件外建物」という)の敷地部分を次の約定で貸す旨の契約を締結した(以下「本件貸借契約」という。 )賃料月額13 万円特約この契約が理由のいかんを問わず消滅に帰したときは、原告会社は、原告Cらの選択に従い、件外建物を収去して本件土地を返還するか、件外建物の所有権を原告Cらのために放棄して本件土地を原告Cらに返還しなければならない(契約書〔乙3〕7 条1 項。以下。 「本件特約」という)- 3 -目的賃貸建物の敷地期間 返還するか、件外建物の所有権を原告Cらのために放棄して本件土地を原告Cらに返還しなければならない(契約書〔乙3〕7 条1 項。以下。 「本件特約」という)- 3 -目的賃貸建物の敷地期間平成10 年4 月から平成30 年3 月までイ本件届出書(乙2)の提出原告C及び原告会社は、平成10 年8 月27 日、被告○○税務署長に対し、使用貸借契約(本件貸借契約)により原告会社に本件土地を使用させることにしたが、同契約に基づいて将来借地人から無償で土地の返還を受けることになっている旨の「土地の無償返還に関する届出書(乙2。以下」「本件届出書」という)を提出した。 ウ本件売買契約の締結原告Cらは、平成13 年7 月26 日、原告Cらが共有する本件土地を原告会社に1 億2000 万円で売った(以下「本件売買契約」という。 )エ件外建物について(乙1)本件土地は商業地であり、件外建物は昭和57 年11 月10 日に建築さ(ア)れた店舗兼事務所用の4 階建てのビルである。本件売買契約締結当時、築後約19 年を経過していた。 本件売買契約締結当時の件外建物の賃貸借状況は以下のとおりである。 (イ)階数用途賃借人月額支払賃料保証金 1 階店舗D呉出張所397,110 円8,200,000 円店舗E薬局220,000 円800,000 円 2 階事務所F生命呉支部514,500 円7,560,000 円 3 階事務所G保険1,049,265 円11,934,000 円 4 階事務所Hクリニック500,000 円なし合計2,680,875 円28,494,000 円但し、2、3 階は順に平成13 年11 月、10 月以降空室である。 オ本件各確定申告原告C Hクリニック500,000 円なし合計2,680,875 円28,494,000 円但し、2、3 階は順に平成13 年11 月、10 月以降空室である。 オ本件各確定申告原告C及び同Bは被告○○税務署長に対し、原告Aは被告△△税務署長- 4 -に対し、別紙課税処分等経過表記載のとおり、それぞれ本件売買契約の事。 実に基づいて平成13 年分所得税の確定申告を法定申告期限までに行ったまた、原告会社は、被告○○税務署長に対し、原告Cらから本件土地を 1 億2000 万円で購入したという内容を含む決算報告書を添付した平成 12 年10 月1 日から平成13 年9 月30 日までの事業年度分法人税の確定申告書を法定申告期限までに提出し、平成15 年2 月20 日、本件土地譲受価格上記同額、所得金額マイナス940 万0841 円、納付すべき税額0 などとする修正申告をした。 カ本件各処分被告らは、調査の結果を踏まえ、本件土地の本件売買契約当時の時価が 2 億8110 万円であることを前提として、別紙処分目録記載の各処分を行った(以下「本件各処分」という。この不動産価格は、不動産鑑定士I)作成に係る鑑定評価書(甲22。以下「I鑑定」という)に基づくものである。なお、被告△△税務署長は、平成18 年10 月3 日付けで、原告Aに対し、上記処分のうち同原告に対する過少申告加算税賦課決定処分につき加算税額を67 万8500 円とする旨の減額更正処分を行った。 これらの処分のうち、原告Cらに対するものは、本件売買契約が所得税法59 条1 項2 号にいう「著しく低い価額の対価として政令で定める額(同法施行令169 条により時価の2 分の1 に満たない金額)による譲渡」に該当することを前提とするものである。 キ異議申立て等(概要は別紙課税 号にいう「著しく低い価額の対価として政令で定める額(同法施行令169 条により時価の2 分の1 に満たない金額)による譲渡」に該当することを前提とするものである。 キ異議申立て等(概要は別紙課税処分等経過表記載のとおり)原告Cらは別紙処分目録1、2及び4の各処分を不服として異議申立(ア)てを行った。異議審理庁は、平成15 年6 月26 日付けで原告Aの異議申立てを、同月30 日付けで原告C及び同Bの異議申立てをそれぞれ棄却した。 原告らはそれぞれ審査請求を行ったところ、国税不服審判所長が3 か(イ)- 5 -月を経過しても裁決をしなかったため、原告らは、平成15 年12 月 26 日、それぞれ本件訴訟を提起した。 不動産評価について(3)ア『基準(甲9)及び『留意事項(甲10)について』』平成14 年7 月3 日にも改正された『不動産鑑定評価基準(甲9。以下』「基準」という)及び『不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(甲10。 『』』以下「留意事項」という)は、国土交通省が不動産鑑定士及び不動産『』鑑定士補が不動産鑑定評価を行うに当たっての統一的評価基準として定めるものである。本件土地の鑑定評価も上記改正の前後を問わず『基準』及び『留意事項』に従って行われるべきものである。 イ正常価格、『基準』14 頁以下によれば、不動産の鑑定評価によって定める価格は基本的には正常価格である。 正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう「この場合において、現実の社会経済情勢。 の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退 る適正な価格をいう「この場合において、現実の社会経済情勢。 の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退出が自由であること。なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するために次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し、行動するものとする。①売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。②対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。③取引を成立させるために通常必要と認められる労力、費用を費やしていること。④対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。⑤買主が通常の資金調達能力を有していること。(2)取引形態が、市場参加者が制約された- 6 -り、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること(原典におけ」る改行は引用の際に省略した。以下同じ。 )正常価格は、現実の社会経済情勢を与件とし、市場及び市場参加者の合理性を前提とした上で算定すべきであり、社会経済情勢の一部を捨象したり理想的な条件に置換したりしてはならない(甲48 。 )ウ鑑定評価の方式『基準』によれば、不動産の鑑定評価の方式には、原価方式、比較方(ア)式及び収益方式の3 方式がある。 原価方式は不動産の再調達(建築、造成等による新規の調達)に要する原価に着目して、比較方式は不動産の取引事例に着目して、収益方式は不動産から生み出される収益に着目して、それぞれ不動産の価格又は賃料を求めようとするものである。それぞれの鑑定評価の手法の適用により求められた価格を試算価格という。 原価法は、価格時点における対象不動産の から生み出される収益に着目して、それぞれ不動産の価格又は賃料を求めようとするものである。それぞれの鑑定評価の手法の適用により求められた価格を試算価格という。 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達価格を求め、この再(イ)調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。 原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効である。対象不動産が土地のみである場合においても、再調達減価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。 原価法における減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達原価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。減価の要因には物理的要因、機能的要因、経済的要因があるとされる。減価修正の方法には耐用年数に基づく方法と観察減価法があり、これを併用する。 - 7 -取引事例比較法は、多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行(ウ)い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較衡量し、これによって対象不動産の試算価格(比準価格)を求める手法である。 取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収(エ)益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法である。 収益還元法は、賃貸用不動産等の価格を求める場合に特に有効で 産が将来生み出すであろうと期待される純収(エ)益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法である。 収益還元法は、賃貸用不動産等の価格を求める場合に特に有効である。 収益は不動産の経済価値の本質を形成するものであり、不動産の価格は一般に当該不動産の収益性を反映して形成されるものである。したがって、収益還元法は一般的に市場性を有しない不動産以外には全て適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用されるものである、とされる。 エ『基準』における不動産の類型と貸家建付地『基準』によれば、更地とは、敷地上に建物等がなく、かつ、制約す(ア)る権利が付着していない宅地をいう(5 頁。 )建付地とは、建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が(イ)同一の所有者に属し、かつ、当該所有者により使用され、その敷地の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう(5 頁。 )建付地は、建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているため、建物等と密接な関連を持つものであり、したがって、建付地の鑑定評価は、建物等と一体として継続使用することが合理的である場合において、- 8 -その敷地について部分鑑定評価をするものである。建付地の鑑定評価額は、原則として更地としての鑑定評価額を限度とし、配分法(基準』『頁)に基づく比準価格及び土地残余法による収益価格を関連付けて決定するものとする(39 頁。 )「貸家及びその敷地」は「建物及びその敷地」の下位類型であり、建(ウ)物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地をいう(6 頁。 )貸家及びその敷地の鑑定評価額は、実際実質賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求 その敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地をいう(6 頁。 )貸家及びその敷地の鑑定評価額は、実際実質賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較衡量して決定するものとする(43 頁。 )貸家及びその敷地の鑑定は建物等が存在することを所与としてその不動産の構成部分である土地を鑑定評価の対象とする「部分鑑定評価」である。 本件土地はいわゆる貸家建付地(建物を第三者に賃貸している場合)(エ)であり、建物及びその敷地を同一の所有者が自用している類型である建付地にも、建物及びその敷地が同一の所有者に属する類型である貸家及びその敷地にも直ちには該当しない『基準』にはこれに該当する類型。 の土地の鑑定評価の手法は規定されていない。 オ最有効使用について『基準』によれば「不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発、揮される可能性に最も富む使用(以下『最有効使用』という)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである(最有」効使用の原則。12 頁。 ) 争点 - 9 -本件売買契約締結(平成13 年7 月26 日)当時における本件土地の時価 争点に関する当事者の主張被告らの主張(1)平成13 年7 月26 日当時における本件土地の時価は、J不動産鑑定士作成に係る鑑定評価書(乙1。以下「J鑑定」という)記載のとおり、2 億 8110 万円を下回らない。その理由は次のとおりである。 ア最有効使用の有無本件土地は、①実効建蔽率約37 %、実効容積率約145 %、容積充 書(乙1。以下「J鑑定」という)記載のとおり、2 億 8110 万円を下回らない。その理由は次のとおりである。 ア最有効使用の有無本件土地は、①実効建蔽率約37 %、実効容積率約145 %、容積充足率約24 %であること、②原告らの主張によっても、件外建物の老朽化、情報通信設備の不足等の要因により競争力が劣ることなどからみて、最有効使用の現状にない。 ところで、本件貸借契約には本件特約が付されているため、原告Cらが本件土地を第三者に売却すれば本件貸借契約が消滅する(原告C及び原告会社において被告○○税務署長に対して本件特約を前提とする本件届出書を提出しているのであるから、原告らが本件訴訟に至って借地借家法の規定を根拠に本件特約の無効を主張することは許されない。その場合、前)記のとおり本件土地が最有効使用の現状にない以上、原告Cらは本件特約に基づいて原告会社に件外建物を収去させることになるから、本件土地の時価が更地価格を下回ることはない。 イ本件で採用すべき評価手法原則として更地とし本件土地は建付地であるから『基準』によれば、、建ての鑑定評価額を限度とし、配分法に基づく比準価格及び土地残余法(物等の価格を収益還元法以外の手法によって求めることができる場合に、敷地と建物等からなる不動産について敷地に帰属する純収益から敷地の収益価格を求める方法。すなわち、)による収益価格を関連付けて決定するまず更地価格を求め、必要に応じて建付減価を控除して価格を求める。 - 10 -そして、更地価格は、①標準画地の標準的な価格(標準価格)を算定し、②本件土地を標準画地と比較して個別的要因による格差率を求め、③①に②を乗じて算定する。標準価格は比準価格、土地残余法による収益価格、規準価格を検討した上で決定する。 ウ標準価格標準画地の標準 ②本件土地を標準画地と比較して個別的要因による格差率を求め、③①に②を乗じて算定する。標準価格は比準価格、土地残余法による収益価格、規準価格を検討した上で決定する。 ウ標準価格標準画地の標準価格(ア)a比準価格 49 万2000 円/㎡J鑑定は、取引事例として、事情補正がなく取引時点が価格時点に近く、位置的関連性及び類似性のあるA からE までの5 つの事例を採用し、位置的関連性が強く取引時点が価格時点に近いA 及び位置的関連性が強いD の中庸値及び上記5 事例の中庸値を勘案して、比準価格は49 万2000 円/㎡と算定した。 b収益価格 42 万4000 円/㎡なお、現状を前提とすれば40 万3267 円/㎡,標準画地上に想定しうる最有効使用の場合は38 万5840 円/㎡(42 万4000 円/㎡×個別的要因格差率)となる。 c規準価格 48 万8000 円/㎡規準価格は公示価格等に時点修正、標準化補正及び地域格差による補正を行って求めたものである。 d標準画地の標準価格(比準価格を採用) 49 万2000 円/㎡比準価格は昨今の不動産市況を反映している実際の取引事例に基づいて試算された価格であること、収益価格は比準価格に比して低めに試算されるのが一般的であり上記程度の開差は妥当であること、比準価格は規準価格とも均衡していることから、標準画地の標準価格は比準価格である49 万2000 円/㎡と算定される。 個別的要因格差率0.91(イ)- 11 -本件土地は不整形(0.95)かつ奥行長大(0.96)であるから、個別的要因格差率はこれを乗じた0.91 となる。したがって、本件土地の更地価格は次式のとおり2 億9600 万円と算定される。 49 万2000 円× 0.91 ×地積659.86 ㎡≒2 億9600 的要因格差率はこれを乗じた0.91 となる。したがって、本件土地の更地価格は次式のとおり2 億9600 万円と算定される。 49 万2000 円× 0.91 ×地積659.86 ㎡≒2 億9600 万円件外建物の撤去費用相当額(更地価格の5 %)の建付減価が相当であ(ウ)るから、本件土地の時価は次式のとおり2 億8120 万円と算定される。 2 億9600 万円× 0.95 =2 億8120 万円エ収益価格(土地残余法) 2 億6610 万円『基準』には建付地の収益価格は土地残余法によると明記されており、これに従えば、次のとおり、収益価格は2 億6610 万円となる。 件外建物に係る年間総収益 3433 万5200 円(ア)本件土地建物に係る年間総費用 993 万4347 円(イ)件外建物に帰属する純収益 710 万6610 円(ウ)本件土地に帰属する純収益(--) 1729 万4243 円(エ)(ア)(イ)(ウ)還元利回り6.5 %(オ)社団法人日本不動産鑑定協会作成の『平成13 年地価公示における収益還元法適用上の運用指針(乙9。以下『平成13 年指針』という)に』より基本利率を4.5 %とし、これにリスクプレミアム2 %を加算したもの。 収益価格(÷) 2 億6610 万円(カ)(エ)(オ)オ本件土地の時価建付地の鑑定評価では更地価格から建付減価等を控除して求めるのが基本的な手法である。鑑定評価の実務においても、地方都市では、商業地であっても、専ら比準価格によって更地価格が求められている。大都市圏はともかく呉市のような地方都市では収益価格が取引の目安となるほどの成熟度はないし、本件では土地の利用効率が悪く収益価格が土地本来の収益- 12 -性を適正に反映していないから、参考程度にと 市圏はともかく呉市のような地方都市では収益価格が取引の目安となるほどの成熟度はないし、本件では土地の利用効率が悪く収益価格が土地本来の収益- 12 -性を適正に反映していないから、参考程度にとどまるものである。 したがって、本件土地の時価は標準価格である2 億8120 万円をもって相当とする。 原告らの主張(2)否認する。 平成13 年7 月26 日当時における本件土地の時価は、K不動産鑑定士の作成に係る不動産鑑定評価書(甲7。以下「K鑑定」という)のとおり、1 億 4700 万円を上回ることはない。その理由は次のとおりである。 ア最有効使用の有無本件土地上には4 階建ての店舗・事務所ビルである件外建物が建っているから、地域の一般的・標準的な使用方法により使用している。また、本件では土地所有者が他人(原告会社)所有の建物を取り壊すことは困難であり、合理的な用法は賃借人からの地代の取得に限られる。件外建物を取り壊した場合に複合不動産としてより高い価値が得られるわけではない。 したがって、本件土地は最有効使用の状態にある。 イ本件で採用すべき評価手法、。 本件土地は貸家建付地であり『基準』に規定されていない類型である同土地上に原告会社所有の件外建物が存在し、両不動産は一体として利用されている。また、実際上も本件土地建物は一体的に把握されるのであり、別個独立に取引されることはない。以上を適切に考慮するためには、本件土地の鑑定評価は①土地建物一体としての貸家及びその敷地の価格を『基準』に従って求めた上、②土地建物の価格を積算価格比に応じて配分することによって本件土地を鑑定評価すべきである。 被告らの主張する土地残余法は、①土地建物を別々の不動産として把握していること、②新土地残余法は建物等は新築か築後間もないものでなければ適用できな することによって本件土地を鑑定評価すべきである。 被告らの主張する土地残余法は、①土地建物を別々の不動産として把握していること、②新土地残余法は建物等は新築か築後間もないものでなければ適用できないとされているのに対し件外建物は築19 年であることな- 13 -どに照らし、不適切である。 なお、本件特約は借地借家法9 条、10 条、13 条、16 条の規定により無効であるから、件外建物の取壊しを前提とした更地価格をもって本件土地の時価とするのは不適切である。 K鑑定によれば本件土地の時価は以下のとおりである。 ウ積算価格(土地建物合計。但し、ここでは、土地の比準価格と建物の再調達価格の合計額をもって積算価格とする) 3 億3300 万円本件土地の更地価格 2 億4100 万円(ア)取引事例比較法による近隣地域における標準的画地の更地価格は、 36 万5000 円/㎡であり、これに対象土地の個別格差0.82 を乗じた結果本件土地の更地価格は2 億4100 万円となる。 本件土地上の建物価格 6200 万円(イ)土地建物一体としての価格(+) 3 億0300 万円(ウ)(ア)(イ)借家人居付きによる増価(1 割)後の積算価格 3 億3300 万円(エ)エ収益価格(土地建物合計) 1 億6900 万円総収益 3395 万0260 円(ア)a支払賃料年額 3217 万0500 円b保証金の運用益 153 万9760 円c駐車場収入 24 万0000 円総費用 1242 万3315 円(イ)a修繕費(年額実質賃料の5 %) 169 万7513 円b維持管理費(年額支払賃料の年額5 %) 160 万8525 円c公租公課(実額) 339 万6900 円d損害保険料(建物積算価格の0.1 %) 6 万20 %) 169 万7513 円b維持管理費(年額支払賃料の年額5 %) 160 万8525 円c公租公課(実額) 339 万6900 円d損害保険料(建物積算価格の0.1 %) 6 万2000 円e空室等による損失相当額(総収益の1/6) 565 万8377 円平成13 年秋に件外建物の2、3 階部分のテナントが退出し、現在に- 14 -至るまで空室であることを考慮すれば、空室率は1/6 が相当である。 償却前純収益(-) 2152 万6945 円(ウ)(ア)(イ)総合還元利回り12.75 %(エ)a借入金・自己資金法による還元利回り6.75 %借入金・自己資金法とは、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りをそれぞれの構成割合により加重平均して求めるものである。対象不動産の取得に要する金利や借入比率等の資金調達条件の勘案が可能な還元利回りの査定方法である。 a借入金比率%( )b借入金利3.5 %( )c自己資金期待利回り%( )dbc の加重平均6.75 %( )( )( )bリスクプレミアム(本件土地建物の個別性に基づいて加算すべきリスク)6.00 %a呉市の地域性リスク 2 %( )複合不動産の需要が下がり事業所数・従業員数ともに減少している呉市の地域要因や、地域的に空室賃料下落リスク等が大きく投資インセンティブが弱いという同一需給圏内の市場の特性による。 b空室率増加リスク 2 %( )本件土地と同一需給圏における同種類似不動産の購入及び賃貸需要が共に弱含みであることに加え、本件土地建物には附属設備を中心に老朽化が見受けられるとともに情報通信設備の不足等があることなどから、競争力は劣るものと判 給圏における同種類似不動産の購入及び賃貸需要が共に弱含みであることに加え、本件土地建物には附属設備を中心に老朽化が見受けられるとともに情報通信設備の不足等があることなどから、競争力は劣るものと判断されることによる。 c賃料水準の下落リスク 2 %( )本件土地建物の賃料水準が割高であったから、投資家にとっては- 15 -さらに賃料水準の下落が懸念されることによる。 c総合還元利回り(a +b)12.75 %各種調査結果(甲20 ~22、33 の①~⑧、44、45)に照らしても、上記総合還元利回りは適正である。 本件土地建物の収益価格(÷) 1 億6900 万円(オ)(ウ)(エ)オ本件土地の価格 1 億4700 万円本件土地建物の価格(ウ× 10 %+エ× 90 %) 1 億8500 万円(ア)積算価格は収益物件の特性を反映することに限界があること、比準価格は参考事例に乏しい本件では疑問があることから、いずれも参考価格にとどまる。 これに対し『基準』においても収益は不動産の価値の本質を形成す、るものであり賃貸用不動産の価格を求める場合に特に有効であるとされていること、本件土地建物が現在最有効使用の状態にあることなどから、本件では収益価格が最も妥当性を有する。 そこで、本件土地建物一体としての価格は、積算価格1、収益価格 9 の比重で加重平均した1 億8500 万円が相当である。 本件土地の価格(をウの積算価格比で按分) 1 億4700 万円(イ)(ア)被告らの反論の補足(総合還元利回りについて)(3)(2)既に述べたところのほか、原告らの主張する総合還元利回り12.75 %(エ)は次のとおり失当である。 (エ)ア借入金・自己資金法による還元利回り(6.75 %)は、第5 回不動産投資家調査結果(甲 述べたところのほか、原告らの主張する総合還元利回り12.75 %(エ)は次のとおり失当である。 (エ)ア借入金・自己資金法による還元利回り(6.75 %)は、第5 回不動産投資家調査結果(甲33 の③)などに照らしても過大であり失当である。 イ原告らが指摘する3 つのリスクプレミアムはいずれも何ら客観的な資料に基づくものではない。理論上も、地域性リスクは個別性リスクではないからここで考慮すべきでないし、賃料下落、空室率増加の各リスクは件外建物固有のものであるから本件土地の価格には影響しない。さらに、借入- 16 -金・自己資金法において通常のリスクは考慮されているから、6 %の上乗せはリスクの二重評価であり不当である。 また、呉市の商業地域における不動産の利回りを示す客観的なデータは存在しないし、一般的な調査資料を根拠に対象不動産の個別事情を無視して総合還元利回りが12.75 %であるという結論を正当化することもできない。 第3争点に対する判断 認定事実前提事実、証拠(該当箇所に掲記)及び弁論の全趣旨によれば、以下の専門的知見及び事実が認められる。 最有効使用について(甲6、9、10、41、49 の②、54、55、70、乙1、(1)11)ア『基準』は、最有効使用の判定に当たり「現実の建物の用途等を継続、する場合の経済価値と建物の取壊しや用途変更等を行う場合のそれらに要する費用等を適切に勘案した経済価値を十分比較衡量すること」を要するものとしている。また『留意事項(甲10)は、比較衡量に当たっては、』「物理的、法的にみた当該建物の取壊し、用途変更等の実現可能性」及び「建物の取壊し、用途変更後における対象不動産の競争力の程度等を踏まえた収益の変動予測の不確実性及び取壊し、用途変更に要する期間中の逸失利益の程度」 た当該建物の取壊し、用途変更等の実現可能性」及び「建物の取壊し、用途変更後における対象不動産の競争力の程度等を踏まえた収益の変動予測の不確実性及び取壊し、用途変更に要する期間中の逸失利益の程度」に特に留意すべきものとする。 そして、平成15 年発行の鑑定評価理論研究会編『改訂版要説不動産鑑定評価基準(以下「要説」という)はこれを敷衍して「物理的、法』『』、的にみた建物の取壊し、用途変更等の実現可能性を検討することのほか、建物の取壊しや用途変更後における対象不動産について、地域要因及び個別的要因の分析の結果として把握された市場競争力の程度等を踏まえて収益予測を適切に行うとともに、単に建物の取壊しや用途変更等に係る工事- 17 -費のみならず、例えば、工事期間中の当該不動産を使用できないことによる逸失利益の程度、賃貸用不動産の場合における賃借人の立ち退きや新たな借主を募集するための費用の程度などにも留意すべきである。その結果、これらの費用や将来における市場変動の危険性などに応じた十分な効果があると認められる場合には、追加投資を行って変更した使用方法が最有効使用となる」と解説し、さらに「現実の建物の用途等が更地の最有効使用の内容が必ずしも一致するものではない」とも解説する。 社団法人東京都不動産鑑定士協会研究委員会『鑑定実務Q&A<第7 集>』(甲70)は、容積率未消化の建物が建つ土地は、最有効使用にあるとはいえないため「収益価格はかなり低く算出されるのが通常であるが、現状に基づいた収益価格をベースに鑑定評価額を決定すべきものと考えられる」とする。 また『要説』によれば、個々の不動産の最有効使用は一般に近隣地域、の地域の特性の制約下にあるので、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにすることが必要である。 る」とする。 また『要説』によれば、個々の不動産の最有効使用は一般に近隣地域、の地域の特性の制約下にあるので、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにすることが必要である。 以上の点を総合すると、不動産鑑定において対象土地の「最有効使用」と呼称される概念としては、いわば理念型としての「最有効使用」と現実をふまえた経済的合理性の見地からの「最有効使用」という二種類のものの使い分けがされていることがうかがえる。前者はいわば更地をどのように使用することが経済的に合理的かという見方であり、後者は建物が現在する場合にこれを取り壊して更地にした上で使用する方が合理的であるのか又は現在の使用方法を前提とする方が合理的であるのかという見方である。 イなお、本件土地の建蔽率は基準100 %、容積率は基準600 %であるのに対し、実効建蔽率37 %(一般的には50 %以上、実効容積率145 %(一)般的には300 %以上、容積充足率は24 %(一般的には50 %以上)であ)- 18 -る。もっとも、呉市は容積率を消化した高層のビルへの需要は少ない。 また、件外建物は、保守管理の状況は普通であるものの、部分的に附属設備を中心に老朽化が見受けられ、新規賃貸に当たっては修繕等を要すると判断される程度の状態にあった。 さらに、駅との距離が5 分以上であり、OA に対応していないなどの状況にあった。 貸家建付地について(甲14、24、37、62 ~64)(2)建付地と貸家建付地は一般に区別して取り扱われており『要説』におい、ても「いわゆる貸家建付地……について、基準では特に規定がないが、実務上鑑定評価を求められる場合がある」としている。 そして『要説』においては、バブルの崩壊後の地価の長期下落傾向等を、背景に、不動産取引における重 家建付地……について、基準では特に規定がないが、実務上鑑定評価を求められる場合がある」としている。 そして『要説』においては、バブルの崩壊後の地価の長期下落傾向等を、背景に、不動産取引における重要性は資産性から収益性・利便性に移行してきており、特に近年は不動産、特に土地建物一体の複合不動産が生み出す収益を詳細に把握し、その収益力を価格に的確に反映させる鑑定評価に対する新たなニーズが高まってきたとされる。そして、建付地は、建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているものであり、建物等との関連において最有効使用の状態にあるか否かが左右され、土地と建物は法律上独立の不動産であるが機能的には両者が結合した状態を所与として価格が形成されているので、鑑定評価上は土地と建物の一体としての価格を土地と建物とに振り分けることとしている。 還元利回りの算定に関する専門的知見(甲9、10、13、26、31、33 の①~(3)⑧、47、57、65、乙1、9)ア収益価格を求める方法には、一期間の純収益(1 年を単位として総収益から総費用を控除したもの)を還元利回りによって還元する直接還元法と、DCF 法とがある。以下では直接還元法の場合について述べる。 還元利回りは、比較可能な他の資産の収益性や金融市場における運用利- 19 -回りと密接な関連があり、地方別、用途地域別、品等別等によって異なる傾向を持つため、対象不動産に係る地域要因及び個別的要因の分析をふまえつつ適切に求めることが必要である。還元利回りを求める方法には、①類似の不動産の取引事例との比較から求める方法、②借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法、③土地と建物に係る還元利回りから求める方法、④割引率との関係から求める方法などがある。還元利回りは将来の収益に影響を与える要因の変動予 める方法、②借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法、③土地と建物に係る還元利回りから求める方法、④割引率との関係から求める方法などがある。還元利回りは将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含むものである。 イ『留意事項』によれば、還元利回りは、市場の実勢を反映した利回りとして求められる必要があり、還元対象となる純収益の変動予測を含むものであることから、それらの予測を的確に行い、還元利回りに反映される必要がある。①「類似の不動産の取引事例との比較から求める方法は、対象不動産と類似性の高い取引事例に係る取引利回りが豊富に収集可能な場合には特に有効である、②「借入金と自己資金に係る還元利回りから求め」る方法は、不動産の取得に際し標準的な資金調達能力を有する需要者の資金調達の要素に着目した方法であり、不動産投資に係る利回り及び資金調達に際する金融市場の動向を反映させることに優れている」とされる。 実務上は、①類似の不動産の取引事例との比較から求める方法、②不動産投資の基本利回りに不動産の個別性を加味して求める方法を併用し、相互補完することが多い。 ウ還元利回りを算定するための参考資料として『要説』は、投資家等(ア)、の意見や整備された不動産インデックスを活用することを挙げる。もっとも、不動産の個別性に基づくリスクプレミアムは、データが余り整っていないなどの事情から、実務的には東京都心部のトップクラスのオフィスビルに対する期待投資利回り(総合還元利回り)を定め、これにあらかじめ投資家の内部基準として定められているリスクプレミアムを加- 20 -えて投資対象物件に対する投資利回りを決めているケースが多いとされる。 具体的なデータとしては、まず、財団法人日本不動産研究所が生命保(イ)険会社、損害保険会 るリスクプレミアムを加- 20 -えて投資対象物件に対する投資利回りを決めているケースが多いとされる。 具体的なデータとしては、まず、財団法人日本不動産研究所が生命保(イ)険会社、損害保険会社、不動産会社等を対象として行ったアンケート調査の結果(甲33 の①~⑧)があり、その内容は別紙調査結果一覧表記載のとおりである。なお、同表の「駅との距離」から右の欄は件外建物に当てはまる項目のみを抽出したものである。 財団法人日本不動産研究所の全国賃料統計(甲19)によれば、中国地方のオフィス賃料は平成8 年以降平成13 年までの間下落を続けており、平成9 年以降平成13 年まで、順に、対前年比で0.5 %、0.6 %、3.5 %、1.8 %、1.8 %下落していた。都市規模別でも、呉市と同じ万人未満の地方都市においては、平成9 年から平成13 年まで、順に、対前年比で0.9 %、1.1 %、2.7 %、2.3 %、1.9 %の下落であった。 株式会社生駒データサービスシステム作成の『不動産白書2003 (甲』57)によっても、広島市のオフィスビルの実質賃料水準は平成11 年から平成14 年までの間対前年比順に2.7 %、1.3 %、1.2 %、2.2 %の下落であり、空室率は平成10 年以降平成14 年までの間順に6.4 %、9.2 %、8.5 %、9.3 %、10.8 %と毎年増加していた。 さらに、呉市の地価公示平均変動率の推移は、商業地で、平成12 年から平成14 年までの間、対前年比で順に4.8 %、6.6 %、7.1 %の下落であり、中心部では特にその傾向が強い。同市は、昭和56 年には事業所数1 万2400、従業員数10 万6312 人であったのに対し、平成8 年には事業所数(民営)1 万0710、従業員数9 万0747 、中心部では特にその傾向が強い。同市は、昭和56 年には事業所数1 万2400、従業員数10 万6312 人であったのに対し、平成8 年には事業所数(民営)1 万0710、従業員数9 万0747 人、平成11 年は事業所数(民営)9912、従業員数8 万0995 人と減少している。 社団法人日本不動産鑑定協会は、平成12 年10 月『平成13 年指針』(ウ)、を作成した。これによれば、公示価格を鑑定評価する際には、①基本利- 21 -率は5.0 %、②保証金等一時金の運用利回りは基本利率と同じ、③建物等の取壊費用の積立金は0.1 %、④賃料変動率は0.0 ~1.5 %、⑤還元利回りは3.5 ~5.0 %をもって標準的な指数としている。 以上の数値のうち、①の基本利率の算定根拠は次のとおりである。すなわち、まず、借入金比率は、標準的な割合、投資家に対するアンケート調査結果、経営指標を総合して60 %とする。借入金利は、金融機関が不動産プロジェクトに融資する際の金利が長期プライムレート(長プラ)にリスクプレミアムを上乗せしたものであることを前提として、向後5 年間の平均利回りとして予測される長プラの利率は3.2 %と試算されること、長プラと銀行の貸出レート、不動産投資向けの長期貸出金利との差、金利政策の動向等を踏まえればリスクプレミアムが1.0 %と決定されることから、借入金利を4.2 %とする。さらに、自己資金期待利回りが5.2 ないし8.2 %とされる。以上を踏まえれば基本利率は。 4.60 ないし5.80 %となることから、標準的な指標を5.0 %を決定するまた、④の賃料変動率については、オフィス賃料の変動率は長期的には経済成長率と相関性を有しており、経済成長率は今後は年率で1.5 ないし2 %程度とされる反面、現実の事務所継 を5.0 %を決定するまた、④の賃料変動率については、オフィス賃料の変動率は長期的には経済成長率と相関性を有しており、経済成長率は今後は年率で1.5 ないし2 %程度とされる反面、現実の事務所継続賃料は下落傾向にあり賃料の上昇期待も弱まっていることなどを考慮して、賃料変動率を0.0 ないし1.5 %としたものである。なお、平成15 年度の運用指針等(甲26)でも同様に賃料の変動率は0.0 ~1.5 %とされた。 土地残余法について(甲9、10)(4)『基準』によれば、建付地の鑑定評価額は、原則として更地としての鑑定評価額を限度とし、配分法に基づく比準価格及び土地残余法による収益価格を関連付けて決定するものとする。そして、更地の鑑定評価額は、更地並びに自用の建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法による収益価格を関連付けて決定するものとするとされる(39 頁。 )- 22 -他方『留意事項』によれば「土地残余法を適用するに当たっては、建、、物等が古い場合には複合不動産の生み出す純収益から土地に帰属する純収益が的確に求められないことが多いので、建物等は新築か築後間もないものでなければならない。なお、対象不動産が更地である場合においても、当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定することによりこの方法を適用することができる(12 頁。 」)試算価格の調整について(甲12、39、40、56、乙1、11、14、証人J)(5)ア『要説(甲39、40)によれば、試算価格の調整については次のとおり』である。 すなわち、試算価格の調整とは、鑑定評価方式の適用によって求められた試算価格を相互に関連付け、再検討して、試算価格相互間の開差の縮小を図ることをいう。 鑑定評価方式の適切な適用によって求められた試算価格はそ 、試算価格の調整とは、鑑定評価方式の適用によって求められた試算価格を相互に関連付け、再検討して、試算価格相互間の開差の縮小を図ることをいう。 鑑定評価方式の適切な適用によって求められた試算価格はそれぞれ等しく妥当性があるものとして尊重し、活用すべきものとされている。大きな開差を生じているものと思われる試算価格を現実性がないとして安易に切り捨てるのではなく、試算価格相互の開差の大きさや現れ方のいかんは、試算価格を求めるまでの作業や判断に誤りはなかったのか、対象不動産の存する地域に係る不動産市場がどのような状況にあるのかを判断する重要な材料であることを十分に認識しなければならない。 したがって、試算価格の調整は、作為的に開差をなくすことではなく、試算価格の算定過程に誤りはなかったのかを点検し、開差が生じた理由を解明することに重点を置かなければならない。積算価格、比準価格、収益価格の3 つの試算価格は共に等しく正常価格を指向するものとして尊重されるべきであり、各試算価格の説得力は、市場参加者の属性と行動をどの程度反映しているかで決まる。 イ社団法人日本不動産鑑定協会『第37 回実務補習実務に関する講義教- 23 -本6 (甲56)によれば、従来我が国の不動産鑑定評価は更地の鑑定評価』の依頼が多く、土地は収益性よりも資産性が重視されて取引されていたため、鑑定評価額は比準価格を中心に決定されていたところ、不動産の取引においては収益性、利便性を重視した実需中心のものに移行してきているとともに、土地建物を一体の複合不動産として捉えてその収益性を重視した鑑定評価が求められる傾向が強まっているものとされる。 また、平成14 年版土地白書(甲12)では、現在では土地を所有するだけで利益が上がることはなくなっており、有効利用することで初めて利益が した鑑定評価が求められる傾向が強まっているものとされる。 また、平成14 年版土地白書(甲12)では、現在では土地を所有するだけで利益が上がることはなくなっており、有効利用することで初めて利益が得られる状況になっているとされる。企業の意識調査の結果においても、平成5 年から平成13 年の間に、今後所有が有利になると考えるものが66.7 %から36.8 %に減少したのに対し、借地・借家が有利になると考えるものは29.4 %から48.0 %に増加している。土地市場は実需中心へと構造的に変化しており、国土交通省の平成14 年2 月の調査結果でも、保有不動産のキャッシュフローや収益性を重視する又はやや重視すると答えた企業が合計80.1 %であるのに対し、余り重視しない又は重視しないと答えた企業は合計13.0 %に過ぎない。 もっとも、呉市内の地域特性としては不動産の資産性が比較的重視されるという傾向があるという指摘もある。 標準的な空室率(乙11)(6)呉市の地価公示等の鑑定評価では空室率を1/24 とするところが多く、商業地の空室率の懸念の大きいところでは1/12 程度で査定されている。 判断 最有効使用の有無(1)本件土地の時価を検討する前提として、まず最有効使用の有無を検討する。 前記前提事実及び1で認定したところによれば、次のようにいうことができる。 - 24 -ア件外建物が実効建蔽率約37 %、実効容積率約145 %、容積充足率約 24 %であり本件土地上に非効率な建て方で存在していること、老朽化・情報通信設備の不足等の要因により競争力が劣ることなどの点からみて、本件土地が更地を前提とした場合に想定しうる最有効使用の状態にないことは明白である。 しかし、地上建物が存在する現状を前提とした場合、更地化を前提とした場合の最有 競争力が劣ることなどの点からみて、本件土地が更地を前提とした場合に想定しうる最有効使用の状態にないことは明白である。 しかし、地上建物が存在する現状を前提とした場合、更地化を前提とした場合の最有効使用と乖離していることから直ちに最有効使用の現状にないということはできない。むしろ、容積率未消化の建物が建つ土地の収益価格はかなり低く算出されるのが通常であるが、現状に基づいた収益価格をベースに鑑定評価額を決定すべきものと考えられるとする知見も存在するところである。 イところで、本件貸借契約は賃料が著しく低廉であることから使用貸借と解される(借地借家法の適用はなく、この点に関する原告らの主張は前提において失当である。 )しかし、使用借権といえども法律上の保護を受ける権利である。本件貸借契約のように返還時期を定めた場合、これが経過するまでの間は、他に契約の効力を消滅させる事由が発生しない限り、貸主が借主に対して目的物の返還を請求することはできない(民法597 条1 項参照。なお、本件特約は、本件土地の返還時期を原告Cらにおいて一方的に早めることができることまで合意したものではない。原告Cらが原告会社の意向を無視し)て価格時点で件外建物を収去させて更地を前提として本件土地を使用することは許されない。そして、本件貸借契約の存続期間は平成30 年3 月末までであるから、原告Cらは、原告会社が任意に建物収去に応じない限り、件外建物が存在する現状を前提として本件土地を利用するほかない。 以上を前提に検討すれば、本件土地を更地化するのが原告Cらにとって最有効使用を実現することになるものといえるためには、原告会社をして- 25 -建物収去に応じさせるために要する合理的なコストを含めた各種の負担や危険性を勘案してもなお総合的にみて更地化して別の建物を 効使用を実現することになるものといえるためには、原告会社をして- 25 -建物収去に応じさせるために要する合理的なコストを含めた各種の負担や危険性を勘案してもなお総合的にみて更地化して別の建物を新築したほうが高い収益が期待できる場合に限られることになる。 しかし、本件全証拠によっても、そのような比較を行うための的確な資料(最有効と判断される使用方法の判定、最有効使用建物の概要、最有効使用不動産への需要者、最有効使用を実現するために要する費用等を明確にしたもの)が存在するものとは認められない。むしろ、証拠(乙1)によれば、J鑑定においては本件建物の現状を前提とした収益価格が最有効使用の状態を想定した場合の収益価格を上回る結果となるものと認められる。 そうすると、本件土地は価格時点の現状で最有効使用の状態又は少なくともこれに準ずる状態にあるものというべきである。 以上に反する被告らの主張は失当である。 本件土地の類型について(2)次に、本件土地は『基準』にない類型である貸家建付地であることから、建付地又は貸家及びその敷地のいずれの類型として鑑定評価すべきであるかを検討する。 ア前提事実のような建物及びその敷地の所有者の関係に照らすと同一の所有者に属する類型である貸家及びその敷地に準ずるものと解されること、のとおり本件土地は件外建物の存在を前提として一体的に使用収益する(1)ことが前提であること、本件土地は商業地域内にあり、件外建物は中層の店舗兼賃貸用ビルであるから、処分も本件土地建物を一体として行われるのが通常であると解されることを踏まえれば、本件土地は、まず貸家及びその敷地である本件土地建物としての価格を算定し、これを土地建物の積算価格(但し、ここでは、土地の比準価格と建物の再調達価格をもって積算価格とするK鑑定の用語に従う。 れば、本件土地は、まず貸家及びその敷地である本件土地建物としての価格を算定し、これを土地建物の積算価格(但し、ここでは、土地の比準価格と建物の再調達価格をもって積算価格とするK鑑定の用語に従う。以下同じ)で按分額をもって本件土地- 26 -の正常価格とするK鑑定の手法には合理性がある。 また、このように解したとしても、算定過程が適正である限り本件土地の時価を適正に算定することができると解されるから、格別の不都合があるともいいがたい。 イこれに対し、被告らは、本件売買契約は土地のみの取引であるからあくまで土地の独立鑑定評価をなすべきであって、部分鑑定評価をなすべきではないと主張する。 しかし、貸家建付地が『基準』の建付地に含まれるのであれば『基準』自体にそのことが明示されているはずであるし、不動産鑑定の実務においても貸家建付地は建付地とは区別されている。これらは、貸家建付地は建付地とは違って複合不動産として取引されるのが通常であることを考慮したものとみることができる。被告らの前記指摘は採用しがたい。 なお、証拠(乙5)によれば、財産評価基本通達(26)においては、貸家建付地の評価方法が定められており、その宅地の自用地としての価額から、これに借地権割合、借家権割合及び賃貸割合を乗じた価額を控除して求めるものとされていることが認められるけれども、不動産鑑定評価という次元において同様の手法を採るべきことにはならない。 ウ本件土地の時価は被告らにおいて立証すべきものであり、原告らの主張する鑑定手法を不合理なものとして排斥しえない限り、これによって算定された鑑定評価額を超える土地の評価額を認定することはできない。 ア、イで検討したところによれば、アのK鑑定における評価手法それ自体を不相当なものとして排斥することは困難であり、以下ではこれを前提 定された鑑定評価額を超える土地の評価額を認定することはできない。 ア、イで検討したところによれば、アのK鑑定における評価手法それ自体を不相当なものとして排斥することは困難であり、以下ではこれを前提として本件土地の時価を算定する(概要は別紙算定過程一覧表の「当裁判所の認定」の欄記載のとおり。 )積算価格(土地建物合計) 3 億2904 万5000 円(3)ア本件土地の比準価格 2 億6704 万5000 円- 27 -証拠(甲22)によれば、本件各処分の基礎となったI鑑定は建付減(ア)価前の本件土地の価格を2 億8110 万円としているところ、その算定過程は、①呉市f丁目、d丁目、呉市h丁目の3 つの取引事例を規範性の高いものとして選択した上で比準価格を46 万8000 円/㎡とし、②本件土地の個別的要因(画地利用上の阻害要因の存在、奥行長大、不整形)を勘案して格差率を0.91 とし、③標準価格と個別的要因を乗じて本件土地の更地価格を42 万6000 円/㎡としていることが認められ、本件全証拠によってもその算定過程に特段不適切なところがあると認めることはできない。 他方、証拠(甲22)によれば、I鑑定は「建付地部分として地上建(イ)物との均衡を検討した結果、建物規模の面から不均衡が認められるが、建物の配置の状態・建物自体の構造・経済的残存耐用年数並びに今後の増改築の可能性等総合判断し、敷地との適合の状況を勘案し」たという理由で、建付減価を行わないこととしていることが認められる。 しかし、本件土地の使用は前記のとおり本件貸借契約に基づいて建つ件外建物によって制限されているのであるから、この点を減価要因として考慮しないのは不適切であるといわざるを得ない。 そして、減価の割合は、使用貸借に基づいて件外建物が現に建っていること、同 いて建つ件外建物によって制限されているのであるから、この点を減価要因として考慮しないのは不適切であるといわざるを得ない。 そして、減価の割合は、使用貸借に基づいて件外建物が現に建っていること、同建物の各フロアに賃貸人が現に入居していたこと、件外建物の敷地面積(242.40 ㎡)が本件土地地積(659.86 ㎡)の半分にも満たないことを考慮すれば、5 %とするのが相当である(これを上回る具体的に妥当な減価割合がいくらであるかを認めるに足りる的確な証拠はない。 )以上によれば、本件土地の比準価格は、上記2 億8110 万円から5 %の建付減価をした2 億6704 万5000 円とするのが相当である。 イ件外建物の再調達価格 6200 万0000 円- 28 -、K鑑定(甲7)は件外建物の再調達価格を6200 万円としているところその適正さを疑わせるに足りる事実を認めるに足りる証拠はないから、件外建物の再調達価格は上記金額をもって相当とする。 ウ合計(ア+イ) 3 億2904 万5000 円エK鑑定、J鑑定その他の資料について以上に対し、J鑑定(乙1)は、標準価格を49 万2000 円/㎡、個別(ア)的要因格差率を0.91、建付減価を5 %として「更地価格から建付減価、等を控除する手法」による対象土地の価格を2 億8120 万円と算定している。 しかし、この価格は、5 %の建付減価をしているにもかかわらず結論において本件各処分の基礎となったI鑑定と僅かに90 万円の差しかなく、被告の意向を強く反映したとする疑いを払拭することができないものであって、前記I鑑定を補正して得た結果を覆すに足りるものとまでは認めがたい。 また、K鑑定は単価を36 万5000 円/㎡として本件土地の比準価格を(イ)算定している。 しかし、証拠(甲 いものであって、前記I鑑定を補正して得た結果を覆すに足りるものとまでは認めがたい。 また、K鑑定は単価を36 万5000 円/㎡として本件土地の比準価格を(イ)算定している。 しかし、証拠(甲7、乙11)によれば、①K鑑定は比準価格を算定するために収集した取引事例のうち平成12 年5 月23 日の呉市f丁目g番の更地の売買(同鑑定における符号A)及び平成13 年11 月22 日の同市d丁目e番の建付地の売買(同C)を規範性の高いものとして重視しているところ、その地域格差をいずれも100/105 としていること、②平成13 年当時における本件土地の地域の路線価/取引事例A、C の路線価はそれぞれ100/87、100/85 であることが認められ、以上の事実によれば、K鑑定は路線価の相対的な価格の比と全く異なる地域格差をもって本件土地の比準価格を算定していることになる。 また、証拠(甲7)によればK鑑定は本件土地の個別格差を0.82(不- 29 -整形-10、奥行長大-8)としていることが認められるところ、本件土地がそのように極端に劣る形状をしているものと認めるに足りる証拠もない。 以上によれば、K鑑定の比準価格の算定過程の正確性には重大な疑問があり、採用しがたい。 なお、原告らは、平成15 年1 月20 日の呉市a 丁目の土地(ウ)(407.58 ㎡)の売買事例が6347 万7200 円であったことを指摘する。しかし、この取引が本件売買契約と類似の取引であることを認めるに足りる証拠はない。 また、原告らの提出する意見書(甲58 の①)には、地域における複合不動産の取引事例として、呉市j丁目の平成13 年6 月の売買で16 万 8000 円/㎡、同i丁目の同年7 月の売買で10 万8000 円/㎡、同市a 丁目の平成15 年4 月の売 地域における複合不動産の取引事例として、呉市j丁目の平成13 年6 月の売買で16 万 8000 円/㎡、同i丁目の同年7 月の売買で10 万8000 円/㎡、同市a 丁目の平成15 年4 月の売買で15 万6000 円/㎡の単価で売買されたものが存在することを指摘する部分がある。しかし、当該事例が本件土地の価格算定に当たって参考とすべき信頼性のある資料であると認めるに足りる証拠はない。 他に前記当裁判所の認定を覆すに足りる証拠はない。 (エ)収益価格(土地建物合計) 2 億2302 万3309 円(4)ア当裁判所の認定する本件土地建物合計の収益価格本件土地建物合計の収益価格は次のとおり2 億7454 万4389 円と算定するのが相当であり、これを覆すに足りる証拠はない。 総収益 3414 万2730 円(ア)a支払賃料年額 3217 万0500 円b保証金の運用益 173 万2230 円件外建物をテナントに賃貸した際の預り保証金は適正に補正すれば合計3849 万4000 円であり(当事者間に争いがない、その運用利回)- 30 -りは『平成13 年指針』に従って基本利率(後述)と同一の4.5 %とするのが相当であるから、保証金の運用益は173 万2230 円となる。 c駐車場収入 24 万0000 円総費用 961 万0166 円(イ)a修繕費(年額実質賃料の5 %) 169 万7513 円b維持管理費(年額支払賃料の年額5 %) 160 万8525 円c公租公課(実額) 339 万6900 円d損害保険料(建物の積算価格の0.1 %) 6 万2000 円e空室等による損失相当額(総収益の1/12) 284 万5228 円①価格時点では空室がなかったこと、②標準的な空室率は1/12 ないし1/24 で の積算価格の0.1 %) 6 万2000 円e空室等による損失相当額(総収益の1/12) 284 万5228 円①価格時点では空室がなかったこと、②標準的な空室率は1/12 ないし1/24 であって、商業地の空室率の懸念の大きいところではこれを1/12 程度で査定するのが通常であるところ、件外建物の競争力は劣ると判断される状況にあることを踏まえれば、空室率は総収益の1/12 とするのが相当である。 なお、原告らは、平成13 年秋以降2、3 階部分が空室となっていることなどを指摘して、空室率損失は1/6 が相当であると主張する。しかし、空室の発生は価格時点以後の事情であるから、そのようなものとして後述の還元利回りに上乗せすべきリスクプレミアムの判断において考慮すれば足り、総費用の算定において考慮するのは相当でない。 償却前純収益(-) 2453 万2564 円(ウ)(ア)(イ)総合還元利回り12.0 %(エ)a基本利率4.5 %『平成13 年指針』における標準的な基本利率は3.5 %から5 %の範囲内であり、別紙調査結果一覧表によれば調査結果のうち平成 13 年4 月及び10 月のいずれにおいても借入金・自己資金法による基本利率が次の計算式のとおり4.5 %となることも勘案すれば、基本利- 31 -率は4.5 %とするのが相当である。 (計算式)第4回借入金比率70 %×借入金利3.0 %+自己資金比率30 %×自己資金期待利回り8.0 %=4.5 %第5回借入金比率70 %×借入金利2.5%+自己資金比率30 %×自己資金期待利回り9.0%=4.45 %これに反する原告らの主張は失当である。 bリスクプレミアム7.5 %前記不動産投資家調査結果(特に平成13 年の第4、5 回)において東京丸の内、大 ×自己資金期待利回り9.0%=4.45 %これに反する原告らの主張は失当である。 bリスクプレミアム7.5 %前記不動産投資家調査結果(特に平成13 年の第4、5 回)において東京丸の内、大手町地域のグレードの高いオフィスビルに期待される利回りが5.5 %(基本利率+1 %)前後で推移しており、政令指定都市である広島市ではこれより2 %強高いものとされているところ、呉市の場合はさらに投資におけるリスクが高いものと解されることに照らせば、地域性に基づくリスクプレミアムとして4 %を加算するのが相当である。 また、①同調査結果に本件建物の現状を前提とした場合に加算されるリスクをそのまま当てはめれば合計3 ないし4 %超となること、②呉市内の空室率が上昇傾向にあり賃料水準も下落傾向にあるという事情はあるものの、他方では長期的には賃料は上昇するものと予測されており、平成13 年地価公示における収益還元法適用上の運用指針(乙9)においても賃料変動率が0.0 ないし1.5 %とされている点に照らし、上記事情に過大な評価を与えるべきではないこと、③本件貸借契約の期限前であっても件外建物を取り壊すほうが経済的合理性を有するに至る時点が到来することが想定されることなど諸般の事情を考慮すれば、件外建物の現状を考慮したリスクプレミアムとして合計3.5 %を加算するのが相当である。 - 32 -以上のとおり、リスクプレミアムは合計7.5 %が相当である。 cなお、平成13 年地価公示における収益還元法適用上の運用指針(乙9)は三大圏以外の商業地における還元利回りを3.5 ないし5.0 %としている。しかし、これは更地に想定しうる最有効使用の建物を建てた場合を想定した場合の価格を算定するための基礎となる数値である。本件では、既に述べたとおり、本件土 利回りを3.5 ないし5.0 %としている。しかし、これは更地に想定しうる最有効使用の建物を建てた場合を想定した場合の価格を算定するための基礎となる数値である。本件では、既に述べたとおり、本件土地建物を一体として利用することを前提として時価を評価すべきものであるから、上記運用指針の数値をそのまま採用することができない。 また、証拠(該当箇所に掲記)によれば、①社団法人日本不動産鑑定協会が平成14 年に行った第1 回収益用不動産の利回り実態調査(甲20、21、44)において、商業系の利回り水準全7 件を調査した結果10 %台、12 %台、15 %台が各2 件(約28.5 %)などであり、呉市の全2 事例においても純収益利回りが26.9 %、8.3 %などという結果となったこと、②同第2 回調査(甲45)では償却前純収益利回りの平均値は調査した全96 事例で11.1 %であったのに対し、人口万人未満の都市全23 事例では12.0 %であったことなどが認められる。しかし、これらの調査結果が十分多数の事例に裏付けられたものであるとはいえないから、総合還元利回りの適正性を判断するための基礎とすることはできない。 d以上に反する当事者の主張はいずれも採用しがたい。 本件土地建物の収益価格(÷) 2 億0443 万8033 円(オ)(ウ)(エ)イ土地残余法について以上の認定に対し、被告らは『基準』に従えば建付地の収益価格は土地残余法によって算定すべきであると主張し、その根拠としてJ鑑定を提出する。 しかし、前記のとおり本件土地は複合不動産として評価するのが相当で- 33 -ある。また、J鑑定は現実の収益を基礎として土地残余法を適用しているところ、土地残余法は新築か築後間もない建物でなければ適用できないのであるから、築後19 動産として評価するのが相当で- 33 -ある。また、J鑑定は現実の収益を基礎として土地残余法を適用しているところ、土地残余法は新築か築後間もない建物でなければ適用できないのであるから、築後19 年を経過した件外建物の建つ本件土地に適用するのは不適切である。したがって、被告らの上記主張は採用できない。 本件土地建物の価格 2 億8750 万9344 円(5)以上のとおり本件土地建物合計の比準価格は3 億2904 万5000 円、収益価格は2 億0443 万8033 円と算定されたので、以下、これら2 つの試算価格をいかに調整すべきかを検討する。 ア『基準』によれば、本件では正常価格を算定すべきであり、正常価格とは現実の社会情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいうものとされる。 本件土地建物は商業地に存在し、商業地では収益性が重視されるものと解されるから、市場参加者が合理的に行動する限り、収益価格を全く考慮しないことは考えられず、むしろ収益価格を相当程度重視して価格を試算するのが通常であると解される。前記のとおり貸家建付地である本件土地も貸家及びその敷地の類型に準じて価格を算定するのが合理的であると解されるところ『基準』においても同類型においては収益価格を重視すべ、きものとされているところである。 他方、本件で問題となっている不動産は貸家及びその敷地そのものではない。また、収益価格は基礎となる数値、とりわけ総合還元利回りを僅かに操作するだけで大きく増減するものであるにもかかわらず、その客観的な算定方法が確立しているものとはいえないことから、特にリスクプレミアムを何%とするかという点で多分に不確定の要素に左右されるという弱点を持つ面があることは否定し得ず、収益価格に全幅の信頼 の客観的な算定方法が確立しているものとはいえないことから、特にリスクプレミアムを何%とするかという点で多分に不確定の要素に左右されるという弱点を持つ面があることは否定し得ず、収益価格に全幅の信頼を置くことは相当でない。特に、行政機関における不服審査手続や訴訟のために作成された不動産鑑定評価の信頼性については慎重に評価する必要がある。これ- 34 -に、呉市内の地域特性として不動産の資産性が比較的重視される傾向があるという指摘もあることも加味すれば、貸家及びその敷地の算定過程においては収益価格に一定の比重が置かれるべきであるとはいえ、なお、これに比準価格に匹敵するほどの優位性を認めることは困難である。 イ他方、比準価格は現実の取引の実態を反映した金額を直接に算定するものであり、特に本件土地が商業地であることを踏まえれば、比準価格が当該地域内の商人によって経済的合理を有する計算の上で形成されたものである蓋然性が高い。そうすると、比準価格が十分な量の事例に基づくものである限り、現実の社会情勢の下で合理的に算定された価格に近いものとして形成されているといえる。特に、本件のように収益価格と比準価格に大きな開差がある場合には、前記のとおり基礎となる数字の精度によって大きく左右される収益価格の算定過程の妥当性を再検討する契機を提供する。 他方、証拠(甲22、乙14)によれば、本件土地の比準価格を算定するに当たり、I鑑定は「適正な参考事例が少ない」とし、J不動産鑑定士の意見書(2)(乙14)は「更地の取引事例は少なく、特に商業地の場合は少ない」としていることが認められる。そもそも商業地では収益性が重視されることも踏まえれば、比準価格に一定の妥当性を認めるべきであるとしても、これに収益価格に圧倒的に優越するような比重を置くことは躊躇される。 いることが認められる。そもそも商業地では収益性が重視されることも踏まえれば、比準価格に一定の妥当性を認めるべきであるとしても、これに収益価格に圧倒的に優越するような比重を置くことは躊躇される。 ウ『基準』において試算価格はいずれも等しく妥当性があるものとして尊重し活用されなければならないとされ、大きな開差を生じていると思われる試算価格を現実性がないとして安易に切り捨てることを戒められているところ、ア、イで判示したとおり本件においては相対的にみれば比準価格によりウェイトを置くべき事情も存在するのであるから、本件土地建物の価格は比準価格と収益価格を2 対1 の比重で加重平均した額である2 億- 35 - 8750 万9344 円と算定するのが相当である。 本件土地の価格 2 億3333 万5662 円(6)で求めた2 億8750 万9344 円をの積算価格比(本件土地2 億6704 万(5)(3) 5000 円対件外建物6200 万円)で按分すると、本件土地の時価は2 億3333 万 5662 円となる。 本件各処分の適法性について(7)以上のとおり、本件土地の本件売買契約当時の時価は2 億3333 万5662 円である。 アしたがって、本件売買契約における本件土地の代金1 億2000 万円は時価の2 分の1 以上であるから、原告Cらに対する処分のうち所得税法 59 条1 項2 号、同法施行令169 条に該当することを前提とする部分(同原告らが取消しを求める部分)は違法であり、取消しを免れない。 イまた、被告らが本件各処分の前提とした2 億8110 万円から当裁判所の認定する本件土地の時価2 億3333 万5662 円を控除した残額は4776 万 4338 円である。そうすると、別紙処分目録記載の法人税更正処分において原告会社の所 億8110 万円から当裁判所の認定する本件土地の時価2 億3333 万5662 円を控除した残額は4776 万 4338 円である。そうすると、別紙処分目録記載の法人税更正処分において原告会社の所得金額とされた1 億4252 万7948 円から上記4776 万 4338 円を控除した残額である9476 万3610 円が原告会社の真の所得金額となるから、同処分のうちこの金額を超える部分及び同部分に対応する過少申告加算税賦課決定処分は違法であり取消しを免れない。 他方、その余の部分が違法であると認めるに足りる証拠はない。 第4結語よって、原告Cらの請求は理由があるからいずれも認容し、原告会社の請求は別紙処分目録記載の法人税更正処分のうち所得金額9476 万3610 円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち上記更正処分の取り消されるべき部分に係る部分の各取消しを求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決をする。 - 36 -広島地方裁判所民事第2 部裁判長裁判官橋本良成裁判官木村哲彦裁判官相澤聡- 37 -(別紙)処分目録 被告△△税務署長が原告Aの平成13 年分の所得税について平成15 年4 月 11 日付けでした所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(平成18 年月3 日付け平成13 年分所得税の加算税の変更決定による減額後のもの) 被告○○税務署長が原告Bの平成13 年分の所得税について平成15 年3 月 31 日付けでした所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分 被告○○税務署長が原告会社に対して平成15 年3 月31 日付けでした法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分 被告○○税務署長が原告Cの平成13 年 処分及び過少申告加算税賦課決定処分 被告○○税務署長が原告会社に対して平成15 年3 月31 日付けでした法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分 被告○○税務署長が原告Cの平成13 年分の所得税について平成15 年3 月 31 日付けでした所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以上)- 38 -(別紙)物件目録 所在呉市a 丁目地番b番c地目宅地地積659.86 ㎡ 所在呉市a 丁目b番地c家屋番号b番c号種類店舗・事務所構造鉄筋コンクリート造陸屋根4 階建床面積 1 階232.02 ㎡ 2 ~4 階242.40 ㎡(以上)

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