令和6特(わ)724 過失運転致死

裁判年月日・裁判所
令和6年7月19日 東京地方裁判所
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判決文本文1,452 文字)

令和6年7月19日東京地方裁判所刑事第1部宣告令和6年特(わ)第724号過失運転致死被告事件 主文 被告人を禁錮3年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和5年12月26日午後5時7分頃、普通乗用自動車を運転し、東京都杉並区ab丁目c番所在の路外施設から発進して、同所先歩道を横断し車道に後退進出するに当たり、アクセル及びブレーキを的確に操作して後退すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、アクセル及びブレーキを的確に操作せず、ブレーキペダルを踏み込むべきところをアクセルペダルを強く踏み込んだ過失により、自車を時速約16キロメートルに急加速させて後方に暴走させ、折から同歩道をd方面からe方面に歩行中のA(当時43歳)及びB(当時6歳)に自車後部を衝突させていずれもれき過し、よって、Aに多発外傷の傷害を、Bに頭部外傷の傷害をそれぞれ負わせ、即時同所において、両名を上記各傷害により死亡させた。 (量刑の理由)被告人は、整備中の自動車の試運転のために、同自動車を運転して整備工場からこれに接する歩道を横切って車道に後退進出するに当たり、整備工場内の段差を乗り越える際にブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んで自動車を後方に暴走させ、歩道を歩行中の二人の被害者に衝突させ、れき過して死亡させたものと認められる。被告人は、整備工場内では慎重に自動車を後退させようとしており、無謀運転や悪質な交通違反が事故の発端となったものではないが、市街地の歩道に接する整備工場内においてアクセル及びブレーキを的確に操作するという基本的な注意義務を怠っており、過失の程度は小さくない。なお、本件の自動車は、他の自動車と比べてペダルが左寄りに配置されていた上、 接する整備工場内においてアクセル及びブレーキを的確に操作するという基本的な注意義務を怠っており、過失の程度は小さくない。なお、本件の自動車は、他の自動車と比べてペダルが左寄りに配置されていた上、事故当時、フロアマットがアクセルペダルの一部に被さっており、これらの事情がペダルの踏み間違いの一因とな った可能性があるが、被告人は、自動車整備士として自らこれを整備した以上、自動車の状態に即した運転をすべきであったから、これらの事情は過失の程度を大きく下げるものではない。もとより二人の被害者に何ら落ち度はない。そして、本件事故により母子二人の尊い命が失われており、家族で温かな時間を過ごしていたところを突然車でれき過されて命を奪われた母子二人の苦痛や無念さは計り知れず、目の前で妻子を失った被害者参加人ら遺族の喪失感や辛さはとても大きいものと認められ、結果は極めて重大である。以上の犯情によれば、被告人の刑事責任は重いというべきである。 その上で、一般情状をみると、被告人も被告人を使用していた会社も本件事故を補償する自動車保険に加入しておらず、そのこともあって、上記のとおり結果が極めて重大であるにもかかわらず、遺族に対する被害弁償が一切なされていない。そうすると、被告人が本件事故を引き起こしたことについて深く反省し、事案の真相解明に積極的に協力していること、被告人に前科がないことなどの情状を斟酌しても、本件は刑の執行猶予が相当な事案とはいえず、被告人を主文の実刑に処することはやむを得ない。 (求刑禁錮5年)令和6年7月19日東京地方裁判所刑事第1部 裁判官今井理 東京地方裁判所刑事第1部 裁判官今井理

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