昭和50(行ウ)30 不動産取得税賦課処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和51年3月30日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文6,122 文字)

○ 主文一原告の請求を棄却する。二訴訟費用は原告の負担とする。○ 事実第一当事者の求める裁判一請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和四九年一一月六日付でなした不動産取得税賦課決定処分を取消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。二請求の趣旨に対する答弁主文と同旨。第二当事者の主張一原告の請求原因 1 原告は、昭和四八年三月二二日、別紙物件目録記載の各土地(以下「本件土地」という。)を訴外日濠株式会社から代金六、〇〇〇、〇〇〇円で買受け、所有権を取得したところ、被告は、原告の右の本件土地取得に対し、昭和四九年一一月六日付で、課税標準額を本件土地の固定資産課税台帳登録価格である三四、五三九、〇〇〇円、税額を一、〇三六、一七〇円とする不動産取得税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)をした。原告は、昭和四九年一二月一三日、東京都知事に対し、本件処分を不服として審査請求をしたが、東京都知事は、右請求の日から三箇月の期間を経過するも何ら裁決をしない。2 しかしながら、本件処分において、その課税標準額を本件土地の固定資産課税台帳登録価格としたことは、以下の理由により違法である。すなわち、地方税法(以下「法」という。)一条二項、七三条の二一第二項によれば、不動産取得税の課税標準となるべき価格について、一定の場合には、固定資産課税台帳に登録されている価格によらずに都道府県知事が決定するものと規定されている。ところで、原告は、本件土地取得する当時、本件土地を建物所有の目的で賃借し、地上に建物を所有しているのであるが、取得土地が右のように借地権を負担しているという事情は、右規定の適用がある「特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき」(法七三条の二一第一項但書)にあたり、固定資産課税台帳登録価格を課税標準額と に借地権を負担しているという事情は、右規定の適用がある「特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき」(法七三条の二一第一項但書)にあたり、固定資産課税台帳登録価格を課税標準額とすることができない場合と解すべきである。 情は、右規定の適用がある「特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき」(法七三条の二一第一項但書)にあたり、固定資産課税台帳登録価格を課税標準額と に借地権を負担しているという事情は、右規定の適用がある「特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき」(法七三条の二一第一項但書)にあたり、固定資産課税台帳登録価格を課税標準額とすることができない場合と解すべきである。すなわち、右規定の立法当時においては、借地権の財産的価値は極めて小さなものであつて考慮に値しなかつたのであるが、その後その価値が著しく上昇し、現在では不動産の価格に大きく影響するようになつているのであるから、右規定の立法趣旨としても、このような状況が到来することを予定し、借地権の価格が不動産の価格の決定につき無視しえなくなつた場合、新たに借地権の有無によつて不動産取得税の課税標準となるべき価格を区別すべきことを求めている規定であると解すべきである。したがつて、本件土地に対する不動産取得税の課税は、本件土地の固定資産課税台帳登録である前記三四、五三九、〇〇〇円から、本件土地の賃借権相当価格二四、一七七、三〇〇円(右登録価格の七〇パーセントにあたる額)を控除した一〇、三六一、七〇〇円を課税標準額としてなされるべきである。しかるに、本件処分は前記規定を適用せず、課税標準額を前記登録価格によつて決定したものであるから違法である。3 よつて原告は、被告のなした本件処分の取消しを求める。二被告の認否及び主張 1 認否請求原因1のうち、本件土地の売買代金額は不知、その余は認める。同2のうち、原告が本件土地上に本件土地取得当時建物を所有していたこと、及び、本件処分の課税標準額の決定にあたつては法一条二項、七三条の二一第二項を適用せず、本件土地の賃借権相当価格を控除することなく、固定資産課税台帳登録価格によつたものであることは、いずれも認めるが、その余の主張は争う。2 主張不動産取得税の課税標準は、不動産を取得し を適用せず、本件土地の賃借権相当価格を控除することなく、固定資産課税台帳登録価格によつたものであることは、いずれも認めるが、その余の主張は争う。2 主張不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格であり(法一条二項、七三条の一三第一項)、右不動産の価格を決定するにあたり、都道府県知事は、「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする」とされている(法一条二項、七三条の二一第一項)。 も認めるが、その余の主張は争う。2 主張不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格であり(法一条二項、七三条の一三第一項)、右不動産の価格を決定するにあたり、都道府県知事は、「固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする」とされている(法一条二項、七三条の二一第一項)。また、市町村長は、不動産取得の事実を都道府県知事に通知するものとされている(法一条二項、七三条の一八第三項)とともに、当該不動産の価格が固定資産課税台帳に登録されている場合には右価格を都道府県知事に通知することとなつている(法一条二項、七三条の二二)。したがつて、都道府県知事は、この通知された価格により当該不動産の課税標準となるべき価格を決定し、これに端数計算をしたうえ(法二〇条の四の二第一項)、税率(法一条二項、七三条の一五第一項、東京都税条例四二条)を乗じて税額を決定し賦課するのである。本件においては、被告は、東京都立川市長から送付された昭和四九年九月一日付不動産取得通知書により、原告の本件土地取得の事実を知つたのであるが、右通知書によれば、本件土地の評価額すなわち立川市の固定資産課税台帳に登録されている価格は、本件土地のうち別紙物件目録の(一)の土地については二五、七八一、六〇〇円、同目録の(二)の土地については八、七五八、九〇〇円と記載されてあつたので、被告は、右価格により右各土地の価格を決定し、さらに所定の端数計算(一、〇〇〇円未満切り捨て)をした右各土地の価格の合計額三四、五三九、〇〇〇円を本件処分の課税標準額とし 円と記載されてあつたので、被告は、右価格により右各土地の価格を決定し、さらに所定の端数計算(一、〇〇〇円未満切り捨て)をした右各土地の価格の合計額三四、五三九、〇〇〇円を本件処分の課税標準額として、所定の税率一〇〇分の三をこれに乗じて本件処分の税額一、〇三六、一七〇円を算出したものである。なお、本件土地の前記の価格決定等については、東京都税条例四条の三により、被告の権限とされている。よつて、本件処分には何ら違法のかどはない。第三証拠(省略)○ 理由一原告が本件土地を訴外日濠株式会社から買受けて所有権を取得したところ、被告が原告の右の本件土地取得に対し、課税標準額を本件土地の固定資産課税台帳登録価格である三四、五三九、〇〇〇円として本件処分をしたことは当事者間に争いがない。 のである。なお、本件土地の前記の価格決定等については、東京都税条例四条の三により、被告の権限とされている。よつて、本件処分には何ら違法のかどはない。第三証拠(省略)○ 理由一原告が本件土地を訴外日濠株式会社から買受けて所有権を取得したところ、被告が原告の右の本件土地取得に対し、課税標準額を本件土地の固定資産課税台帳登録価格である三四、五三九、〇〇〇円として本件処分をしたことは当事者間に争いがない。二原告は、本件土地上に、右取得当時、建物所有を目的とする賃借権を有していたとの事実を前提として、本件土地取得に対する不動産取得税の課税標準額の決定は、法一条二項、七三条の二一第二項を適用して、法七三条の二一第一項但書の「特別の事情」があるものとして、固定資産課税台帳登録価格によらずに、登録価格から本件土地の前記賃借権相当価格を控除した額によつてするべきであるのに、本件処分は、その課税標準額の決定につき右規定を適用せず、登録価格によつたものであつて違法であると主張する。そこで、原告の右主張の適否について判断する。不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格、すなわち取得時における適正な時価であり、固定資産課税台帳の価格が登録されている不動産にあつては、原則として右価格により決定される価格であることは、規定上明らかである(法一条二項、七三条の一三第一項、七三条五号、七三条の二一第一項本文)。ところで、法が右のように課税標準の決定を取 にあつては、原則として右価格により決定される価格であることは、規定上明らかである(法一条二項、七三条の一三第一項、七三条五号、七三条の二一第一項本文)。ところで、法が右のように課税標準の決定を取引価格等によらず固定資産課税台帳登録価格によるものとして画一的、形式的に定めたのは、まず第一に不動産取得税が所得税、収益税ではなくいわゆる流通税に属し、不動産の取得という事実自体を課税要件とするものであつて、不動産の取得者が当該不動産を使用・収益・処分することによつて得られるであろう利益をとらえて担税力を認め、これに対して課税するものではないという不動産取得税の性格によるものであると解される。すなわち、不動産取得税は、不動産の取得という事実があれば、不動産を取得するような者は一般に他にも経済的負担能力を有しているであろうとの擬制をして、そこに担税力があるとして課せられるものであつて、当該不動産を使用・収益・処分することによる利益、すなわち所得が現実に発生し、あるいは発生することを予定し、担税力の現実的かつ実質的増加に着目し、これに対し課税するという性格のものではないのである。 解される。すなわち、不動産取得税は、不動産の取得という事実があれば、不動産を取得するような者は一般に他にも経済的負担能力を有しているであろうとの擬制をして、そこに担税力があるとして課せられるものであつて、当該不動産を使用・収益・処分することによる利益、すなわち所得が現実に発生し、あるいは発生することを予定し、担税力の現実的かつ実質的増加に着目し、これに対し課税するという性格のものではないのである。したがつて、不動産取得税の課税標準は、これを各種負担の有無等の具体的、個別的事情による収益性等の要因によつて左右される現実の取引価格、あるいは右のような負担相当価格を控除した価格によつて決定すべきとする合理的根拠はなく、かえつて、右課税標準は、これらの具体的事情に基づく収益性、負担等の要因を捨象した当該不動産の客観的財産価値に着目し、その価値の全体であるとみられる取得時における不動産の客観的価格すなわち適正な時価にこれを求めることがむしろ合理的というべきである。法の前記規定は所得税、収益税と異なる流通税としての不動産取得税のこのような特質に立脚し、あわせて不動産取得税と固 動産の客観的価格すなわち適正な時価にこれを求めることがむしろ合理的というべきである。法の前記規定は所得税、収益税と異なる流通税としての不動産取得税のこのような特質に立脚し、あわせて不動産取得税と固定資産税との間に課税の統一と負担の均衡及び徴税の簡素化を図るため、その課税標準となるべき価格を原則として固定資産課税台帳登録価格により決定することとした趣旨のものであると解される。そして、前記規定の趣旨がこのように解される以上は、法一条二項、七三条の二一第一項但書、第二項の「当該固定資産について増築、改築、損かい、地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いとき」には、不動産取得税の課税標準について固定資産課税台帳登録価格によらず都道府県知事が決定する額による旨の規定も、前記規定の例外規定として、当該不動産に対する使用・収益・処分の機能に変動を及ぼすような右列記の事情等による不動産それ自体の量的又は質的な形状の変化があつたため、基準年度にかかる固定資産課税台帳の登録価格に比して、右価格により難い程度に当該不動産の価格が変動したような場合においてのみ例外的取扱いをすべきことを定めたものと解すべきであつて、当該不動産が使用・収益・処分に供された結果、その取引価格が変動したような場合までも例外的取扱いに含ませる趣旨のものとは解すべきではないこととなる。 な右列記の事情等による不動産それ自体の量的又は質的な形状の変化があつたため、基準年度にかかる固定資産課税台帳の登録価格に比して、右価格により難い程度に当該不動産の価格が変動したような場合においてのみ例外的取扱いをすべきことを定めたものと解すべきであつて、当該不動産が使用・収益・処分に供された結果、その取引価格が変動したような場合までも例外的取扱いに含ませる趣旨のものとは解すべきではないこととなる。ふえんすれば、土地が借地権を負担しているというような事情は、たとえ売買契約等の取引価格に影響を及ぼすものであるとしても、右の事情それ自体は、当該不動産の通常の使用・収益の形態として、不動産取得税が前記のように担税力として予定している不動産取得者のいわば観念的な経済的負担能力には影響しない事項か、あるいは右の経済的負担能力の一の実現状態そのものともいうべき事項であつて、した て、不動産取得税が前記のように担税力として予定している不動産取得者のいわば観念的な経済的負担能力には影響しない事項か、あるいは右の経済的負担能力の一の実現状態そのものともいうべき事項であつて、したがつて例外的取扱いをする必要が認められず、前記規定にいう「特別の事情」にあたるとする実質的理由はなんら見出すことができないというほかはないのである。以上によれば、仮に原告が本件土地を借地権の負担があるいわゆる底地として取得したものであるとしても、右のような事情は、前記規定の「特別の事情」として固定資産課税台帳登録価格により課税標準額を決定できない場合にあたらないというべきであるから前記原則規定に則つて課税標準額を本件土地の固定資産課税台帳登録価格によつて決定した本件処分には原告主張のような違法がなく、本件処分は適法なものというべきである。三よつて、原告の本訴請求は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官内藤正久山下薫三輪和雄)別紙(省略)

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