昭和40(行ウ)116 不当利得返還請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和43年3月21日 東京地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】主   文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。        事   実 第一、当事者の申立 一 原告 「被告は原告に対し、金四○〇円を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との 判

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主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一、当事者の申立一原告「被告は原告に対し、金四○〇円を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求める。 二被告主文同旨の判決を求める。 第二、原告の請求原因一、原告は、訴外株式会社東京スポーツマンクラブの株主で、同会社が東京都南多摩郡<以下略>において経営するゴルフ場府中カントリークラブの正会員であるが、昭和四〇年九月二一日同ゴルフ場を利用したところ、被告は地方税法(ただし、昭和四一年法律第四〇号による改正前のもの。以下同じ)第七五条第一項第二号、第七八条の二及び東京都税条例(ただし、昭和四一年東京都条例第五四号による改正前のもの。以下同じ)第四八条の一五第一項第二号、第四八条の一七第二項の規定により、右利用に対する娯楽施設利用税として、原告から金五〇○円を徴収した。 二、しかし、右娯楽施設利用税の徴収は、以下に述べる理由によつて無効である。 (一) ゴルフ場の利用に対しその利用者に娯楽施設利用税を課することを定めた地方税法第七五条第一項第二号、第七八条の二の規定は憲法第一三条に違反する。 憲法第一三条は、個人の尊重と生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利の尊重を規定しているが、およそ人として健全な身体を有し健康を維持するのでなければ右の権利の保障はまつたく無意味であるから、国民が健全な身体及び健康の維持・増進を求めて体育ないしスポーツをする自由は、当然同条の保障する国民の権利に含まれ、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とするものと解すべきであり、このことは、憲法第二五条や教育基本法、学校教育法等の規定からも明らかである。従つて、体育ないしスポーツを一般的に禁止又は制限することはもとより、特定のスポーツを直接禁止又は制限す 解すべきであり、このことは、憲法第二五条や教育基本法、学校教育法等の規定からも明らかである。従つて、体育ないしスポーツを一般的に禁止又は制限することはもとより、特定のスポーツを直接禁止又は制限することも憲法上許されないことは当然であるが、更に、スポーツ自体の禁止又は制限でなくても、ある種のスポーツをすることに対して課税し、あるいはそのスポーツの性質上一定の施設を必要とする場合に右施設の利用に対して課税することは、担税能力のない者からスポーツを奪う結果となる点において、スポーツに対する間接の制限に外ならないから、かかる課税はやはり憲法第一三条に違反し許されないといわなければならない。ところで、わが国におけるゴルフは、以前はたしかに一部の富裕者の娯楽とされていた時代もあつたが、今や老若男女を問わず一般大衆に親しまれ、長期にわたつて人生最高の潤いをもたらし、青少年の体位の向上、老壮年の健康の保持等国民一般の希望に密着し、健全なスポーツとして異常な進歩・発展・普及をとげ、ゴルフ人口は二〇〇万人以上といわれるほどであり、ゴルファを統合する団体も数多く設立され、また、最近においては、高校、大学等でゴルフ部を設けているところが少くなく、ゴルフを正式の体育の教科としている大学すら存在する。かくて、今日ゴルフは、社会通念上スポーツとして観念され、これにより国民の体位の向上、健康の増進、スポーツ精神の涵養をはかる重要な手段とされるにいたつたのである。そうだとするならば、ゴルフにゴルフ場が必要なことは明らかであるから、ゴルフ場の利用に対し娯楽施設利用税を課することを定めた地方税法の前記規定は、スポーツであるゴルフを間接に制限するものとして、憲法第一三条に違反し無効であるというべきである。 (二) そればかりでなく、右地方税法の規定は、憲法第一四条にも違反す とを定めた地方税法の前記規定は、スポーツであるゴルフを間接に制限するものとして、憲法第一三条に違反し無効であるというべきである。 (二) そればかりでなく、右地方税法の規定は、憲法第一四条にも違反する。 すなわち、スポーツに一定の施設の利用を必要とし、かつその利用に対して料金を支払うものとしては、ゴルフの外にもスケート、テニス、水泳等があるが、テニスコートや水泳プールの利用に対して課税されたことはなく、また、スケート場も、以前はゴルフ場とともに娯楽施設利用税の課税対象施設に含まれていたが、昭和三二年七月の地方税法の改正の際、スケートにはスポーツ性が強いとの理由により課税対象施設から除外されたのであり、他にアマチユアスポーツ施設の利用に対して課税している例をみない。しかるに、等しくスポーツのために利用する施設でありながら、ゴルフ場だけは依然娯楽施設利用税の課税対象施設として存置され、その利用者に対してのみ右利用税が課されていることは、明らかに他のスポーツ施設利用者との間に税負担の公平を欠くものであり、法の下の平等の原則に違反するといわなければならない。 (三) 仮に地方税法第七五条第一項第二号及び第七八条の二の規定が違憲でないとしても、本件府中ゴルフ場は右規定にいう「ゴルフ場」には該当せず、少なくとも原告の同ゴルフ場の利用に対しては娯楽施設利用税が課されるべきでない。 地方税法第七五条第一項各号は、娯楽施設利用税の課税対象施設を掲げ、それがどのような実体のものをいうかについては格別の定めをしていないが、娯楽施設利用税が娯楽施設の利用に対して課されるものである以上、営利の目的をもつて不特定多数の第三者に利用させ、料金も徴する娯楽用の施設に限ると解すべきであり、従つて、形式的には右各号に当る施設であつても、社会通念上右のような性質を有しない るものである以上、営利の目的をもつて不特定多数の第三者に利用させ、料金も徴する娯楽用の施設に限ると解すべきであり、従つて、形式的には右各号に当る施設であつても、社会通念上右のような性質を有しないようなものは課税対象施設に含まれないといわなければならない。例えば社団法人日本クラブ内にあるまあじやん室や東京弁護士会内にある撞球室をそれぞれの会員が利用することに対して娯楽施設利用税が課されていないのはこの故である。ところで、ゴルフ場にはいわゆるパブリツク制のものとメンバー制のものとがあり、本件ゴルフ場はこの後者に属するがパブリツク制とは、個人又は法人がゴルフ場を設置し、営業としてこれを不特定多数の第三者に利用させて一定の料金を徴するものであり、その施設の設置には利用者はおおむね関係しないのに対し、メンバー制は、主に法人が主体となつて会員を募集し、入会者から三〇万円ないし三〇〇万円程度の入会金(保証金としての預り金又は株式払込金)を徴し、それによつてゴルフ場の施設をつくり、その会員にのみ利用させるもので、会員は利用の都度若干の利用料金(府中ゴルフ場では二五〇円)を支払うほか、運営費として一定額の年会費を納めるだけであり、会員以外の者(ビジターと称する。)は、会員と同伴するか、又はわずかだけ発行されるいわゆるビジター券を所持する場合に限り、相当高額の利用料金(府中ゴルフ場では三、五○〇円)で利用を許されるにすぎないという仕組になつている。そして、このようなメンバー制のゴルフ場においては、施設の所有者である会社とは別に、会員によって組織されるゴルフクラブ(カントリークラブ)という法人格なき社交団体があり、理事長、常任理事等の役員をおき、会員総会、理事会等によつてゴルフ場の秩序ある運営にあたつており、その主たる目的もゴルフ競技にあるのではなく、あ (カントリークラブ)という法人格なき社交団体があり、理事長、常任理事等の役員をおき、会員総会、理事会等によつてゴルフ場の秩序ある運営にあたつており、その主たる目的もゴルフ競技にあるのではなく、あくまでも会員相互の親睦によつてゼントルマンとしての教養とモラルを涵養することにあり、このため、本件府中カントリークラブにおいても、会員を選定する手続は厳正で、正会員となるには、まず前記株式会社東京スポーツマンクラブの株式六○○株を取得し、正会員二名の推せんを得て入会を申し込み、理事会がゼントルマンとしての資格の有無を厳格に審査・選考して入会を決定するものとされている。また、メンバー制ゴルフ場におけるゴルフの競技についてみても、上記の点に重きをおいた厳しい規則が設けられ、まつたく健全なスポーツとなつており、娯楽などというべきものではなく、まして営利性や射こう性が全然ないことは明らかである。 以上のような諸点からすれば、メンバー制のゴルフ場は、営利のために不特定多数の第三者に利用させることを目的とするものではないし、また、社会通念上も娯楽施設といわれるものには当らないというべきであつて、地方税法第七五条第一項各号に併記されているぱちんこ場、射的場、まあじやん場などのごとき営利本位・射幸的な娯楽施設とはまつたく性格を異にするばかりでなく、前記パブリツク制のゴルフ場とも本質的に相違し、これらと同一に取り扱うことはとうていできないものである。かように考えると、同条第一項第二号にいう「ゴルフ場」とは、パブリツク制のゴルフ場を意味し、メンバー制のゴルフ場を含まないと解するのが正当であり、少くとも本件のようにメンバー制のゴルフ場をその会員が利用することに対しては娯楽施設利用税が課されるべきではないといわなければならない(ビジターが課税されるのはやむをえない と解するのが正当であり、少くとも本件のようにメンバー制のゴルフ場をその会員が利用することに対しては娯楽施設利用税が課されるべきではないといわなければならない(ビジターが課税されるのはやむをえない)。 三、以上の理由により、被告が原告から娯楽施設利用税として前記金五〇〇円を徴収したことは、なんら法律上の原因なくして原告の財産により利益を受け、これがため原告に同額の損失を及ぼしたものというべきであるから、被告は原告に対し、右金五〇〇円を不当利得として返還すべき義務がある。 よつて、請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。 第三被告の答弁一、請求原因第一項の事実並びに本件府中ゴルフ場がいわゆるメンバー制のゴルフ場で、その利用料金が一人一回につき会員二五〇円、非会員二、五〇〇円ないし三、〇〇〇円であることは認めるが、その他の事実関係は知らない。本件娯楽施設利用税の徴収が法律上の原因を欠くとの原告の主張は争う。 二、本件娯楽施設利用税の徴収は、次に述べるとおり、地方税法及び東京都都税条例の規定にもとづいて適法かつ有効に行われたものである。 (一) 地方税法第七五条第一項各号は、娯楽施設利用税の課税対象施設として、「(1)舞踏場、(2)ゴルフ場、(3)ぱちんこ場及び射的場、(4)まあじやん場及びたまつき場、(5)ボーリング場、(6)前各号に掲げる施設に類する施設、(7)前各号に掲げる施設以外の娯楽施設で道府県の条例で定めるもの」を挙げている。ところで、娯楽施設といえば、概念的には、娯楽または射こうを目的として公衆に利用させる施設を意味し、施設の利用により客に遊びを楽しませ、又は客の射こう心をそそるようなものがこれに該当するから、その範囲は広く、その内容も多種多様であるが、娯楽または射こうを目的とする施設のすべてが娯楽施設利用税の課税対象施設になる に遊びを楽しませ、又は客の射こう心をそそるようなものがこれに該当するから、その範囲は広く、その内容も多種多様であるが、娯楽または射こうを目的とする施設のすべてが娯楽施設利用税の課税対象施設になると考えるのは行き過ぎであり、そこにはおのずから社会通念上の限界が存在する。前記(7)の条例で定める課税対象施設に関し、「もつばら青少年の利用するスポーツ性の強い卓球場、スケート場」、「動物園または百貨店の屋上等に設けられている子供の娯楽施設で射こう心をそそるおそれのないもの」、[娯楽性の少い天然湖沼のつりぼり類似の施設」、「天然スキー場のスキーリフトで娯楽機関と認められないもの」などについては課税を差し控えることが適当である旨の自治庁の課税行政上の指導助言(依命通達)が行なわれているのは、右のような理由によるものである。しかし、他方、課税対象施設としての適否を考える場合に、単に娯楽性が微弱であるとか、スポーツ性が強いとかいう点のみを考慮するのも必らずしも妥当ではないのであつて、娯楽施設利用税は、ゴルフ場、ボーリング場等において、その施設を利用する者の支出行為に担税力を見出して課税する一種の消費税であるという点に着目すれば、この娯楽施設利用税という税は、原則的には、娯楽又は射こうを目的とする多種多様の施設のうちで奢侈性の著しいと思われるもの、すなわち、利用について比較的高額の対価を要するものを対象として、その利用行為に課税しようとするものといえるのであるから、課税対象施設としての適否を判断するにあたつては、単に抽象的に娯楽性の強弱やスポーツ性の有無を諭ずるだけではなく、その施設の利用にあたつて相当高額の経済的負担を必要とするものであるかどうか、従つて、利用者の利用上の支出行為に担税力を見出せるようなものであるかどうかという点についての考慮がなさ ずるだけではなく、その施設の利用にあたつて相当高額の経済的負担を必要とするものであるかどうか、従つて、利用者の利用上の支出行為に担税力を見出せるようなものであるかどうかという点についての考慮がなされなければならない。 もちろん、ぱちんこ場や射的場のように、主として射こうを目的とする施設は、何よりもその射こう性のゆえに課税の対象となつているといえるであろうが、この場合にあつても、その根底には、右に述べたような点についての考慮がなされているのである。なお、利用について対価を必要としない娯楽施設についても、その利用行為に課税しないことが既存の同種の課税施設との関係で課税上の負担の均衡を欠くと認められるときは、そのような施設も課税の対象となるのであるし、課税しなくても課税上の均衡を破るものではないと認められる場合には、課税の対象としないことができる(地方税法第七六条第一、二項)。 地方税法第七五条第一項第二号が娯楽施設利用税の法定課税対象施設として「ゴルフ場」を掲げたのは、以上のような観点から、それが全国的に所在し、かつ娯楽施設として典型的なものと認めたからに外ならない。 (二) 原告は、右第七五条第一項第二号及び第七八条の二の規定が憲法第一三条及び第一四条に違反すると主張するが、いずれも理由がない。 1、スポーツをする権利が憲法第一三条にいう生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利に含まれるものであるかどうかについての論議はしばらく措くとして、ゴルフも一つのルールに従つて行なわれる運動競技であるという一面からみれば、スポーツとしての性格を有しているものであることはいうまでもない。そして、ゴルフの普及に伴つて、ゴルフ場の利用が漸次大衆化してきていることもまた事実であろう。しかしながら、他面、ゴルフ場の利用については、その入会金及び利用判金の額か であることはいうまでもない。そして、ゴルフの普及に伴つて、ゴルフ場の利用が漸次大衆化してきていることもまた事実であろう。しかしながら、他面、ゴルフ場の利用については、その入会金及び利用判金の額からみても、相当高額の対価が必要とされているのが実情であり、利用者もむしろ高額所得階層に属する者が大部分であり、少くともその中心を占めているということは否定できないところであつて国民生活の水準から考えると、現状では、まだゴルフ場の利用をスケート場や卓球場の利用と同一に論ずることはできないのである。地方税法は、ゴルフが娯楽であるか、スポーツであるかというような点はともかくとして、現状においては、ゴルフ場を利用するには相当に高額の経済的負担を必要としているというゴルフ場利用の実態にかんがみ、それを利用する者の利用上の支出行為に担税力を認め、娯楽施設利用税を賦課しようとしているにすぎないのであつて、ゴルフそれ自体を禁止したり、あるいは制限しようとしているものでないことはいうまでもない。 原告の主張によると、スポーツをすることに税を課することは担税能力のない者からスポーツを奪う点において、これを直接制限することと選ぶところがないので許されないし、一定の施設の利用を必要とするスポーツについては、その施設の利用に対して税を課することもスポーツに対する間接の制限となるというのであるが、以上述べた点から明らかなように、現実問題として、ゴルフ場を利用するには相当多額の金銭的負担を余儀なくされ、ある程度の経済的余裕がなければ利用できないという実情から考えれば、それを利用できる者は一応担税力があると認められることになるのであり、娯楽施設利用税は、まさに、そうした点に着目して賦課されているのであるから、賦課によりスポーツに対する直接、間接の制限となるということは考え きる者は一応担税力があると認められることになるのであり、娯楽施設利用税は、まさに、そうした点に着目して賦課されているのであるから、賦課によりスポーツに対する直接、間接の制限となるということは考えられない。もちろん、娯楽施設利用税が賦課されることにより、ゴルフ場を利用するに際しての負担が幾分増加することにはなるが、それだからといつて、ゴルフ場の利用に関しては、娯楽施設利用税が賦課されるために、その結果として高額の負担が強いられるというような関係、あるいは課税されるために担税力のない者のゴルフ場の利用が妨げられているというような関係は認められないのであつて、娯楽施設利用税の賦課とは関係なく、ゴルフ場の利用についてはもともと相当高額の負担が必要とされているのであるから、この点についての原告の主張はまつたく失当であるというはかはない。 因みに、内閲総理大臣の諮問機関である税制調査会は、その第一次答申(昭和三五年一二月)において、「ゴルフ場の利用については、その実態からみて、相当に高額の負担がなされていると認められるところであるので、娯楽施設利用税と同種の税である入場税等との負担をも考慮して定額税率について引上げを行うことが適当であると考える」旨を答申し、さらに、昭和四一年度の税制改正に関する答申(昭和四〇年一二月二九日)においても、「ゴルフ場の利用料金の実態にかんがみ、定額によつて課するゴルフ場に係る娯楽施設利用税の標準税率を六〇〇円(現行四〇〇円)に引き上げることを希望する」旨の答申をしているのであり、このことからみてもゴルフ場の利用に対して課税することが憲法第一三条に違反するものでないことは明らかである。 2、次に、憲法第一四条違反の点についていうと、なるほどスケートもゴルフも、一定の施設を利用して行なわれるスポーツであるという面では類 することが憲法第一三条に違反するものでないことは明らかである。 2、次に、憲法第一四条違反の点についていうと、なるほどスケートもゴルフも、一定の施設を利用して行なわれるスポーツであるという面では類似性が認められるけれども、それぞれの施設の利用の面についてみると、ゴルフ場利用の実態が前記のとおりであるのに対し、スケート場は、現状では、もつぱら青少年が利用し、その利用料金も低廉であつて、通常、その利用に際しての支出行為に担税力を見出すことは困難である。このように、利用上の負担及び利用階層の点において重要な差異が認められる以上、このような施設利用の実態の相違が課税行政に反映し、課税の上でゴルフ場の利用行為がスケート場の利用行為とは異なつた扱いをうけるのは、むしろ当然のことである。従つて、ゴルフの利用行為に対して娯楽施設利用税が賦課されるのは、前記のように合理的な根拠にもとづくものであつて、なんら平等原則に反するものではない。 (三) 原告は、更に、地方税法第七五条第一項第二号及び第七八条の二の「ゴルフ場」とは、パブリツク制のゴルフ場のみを指し、本件府中ゴルフ場のようなメンバー制のゴルフ場を含まないと解すべきであり、少くともメンバー制ゴルフ場の会員の利用に対しては娯楽施設利用税が課されるべきではないと主張する。 しかし、一般に娯楽施設といえば、利用料金を徴して第三者に利用させることを目的としているのが通常の場合であるが、娯楽または射こうを目的とする施設を無償で利用させている場合であつても、課税の均衡維持の面からその利用行為に対して課税することができることは、前記(一)に述べたとおりである。もちろん、娯楽又は射こうを目的とする施設は、それぞれ例えば、ゴルフ場又はたまつき場としての一定の規模(一定の広さ、大きさ、設備等)を有しているものでなければ ことは、前記(一)に述べたとおりである。もちろん、娯楽又は射こうを目的とする施設は、それぞれ例えば、ゴルフ場又はたまつき場としての一定の規模(一定の広さ、大きさ、設備等)を有しているものでなければならないのは当然であろうが、その施設が課税の対象となるものかどうかを考えるについては、それが娯楽施設として一定の規模を有するものであることが客観的に認められるものである限り、施設利用が有償であるかどうかということは必ずしも絶対的な要件とはならないのである。従つて、原告が指摘している社団法人日本クラブにおけるまあじやん室や東京弁護士会の撞球室の事例も、前記依命通達の趣旨から考えて、会社、工場等の厚生施設と同種のものと認められる場合には課税しないことが適当であろうし、同種のものと認められない場合には、課税対象施設として、地方税方第七六条第二項により、その施設の経営者を利用者とみなして課税することができるのである。 ところで、原告は、メンバー制のゴルフ場の利用は、会員が自己の所属する団体の経営するゴルフ場を利用する関係であつて、特定の個人または法人がゴルフ場を設け、営業としてこれを第三者に利用させているバブリツク制のゴルフ場の場合とは異るというのであるが、その利用の面についてだけ考えると、いずれも第三者の経営するゴルフ場を利用するという点では同一であつて、単にその利用の形態あるいは利用者の範囲について相違が認められるにすぎないのである。すなわち、メンバー制のゴルフ場をその会員が利用する関係は個人の邸宅内の施設(例えばプール、ゴルフ練習施設等)をもつぱらその個人が使用するような関係とは全く異るのであつて、自分の庭で自分がゴルフ遊びをするということにはならないのである。 そうすると、娯楽施設利用税は、パブリツク制のゴルフ場の利用に対してのみ課税すべ の個人が使用するような関係とは全く異るのであつて、自分の庭で自分がゴルフ遊びをするということにはならないのである。 そうすると、娯楽施設利用税は、パブリツク制のゴルフ場の利用に対してのみ課税すべきものであつて、メンバー制のゴルフ場の会員たる資格を有する者の利用行為に対しては課税すべきではないという原告の主張は、まつたく根拠のないものであつて、失当といわざるをえない。 三、以上述べたとおりであつて、府中カントリークラブ(ゴルフ場)は、株式会社東京スポーツマンクラブが経営し、地方税法第七五条第一項第二号及びそれにもとづいて定められた東京都都税条例第四八条の一五第一項第二号に規定するゴルフ場に該当するものであるから、当該ゴルフ場における利用行為については、株主、正会員、非会員のいずれを問わず、地方税法第七八条の二及びそれにもとづいて定められた東京都都税条例第四八条の一七第二項の規定により定額の娯楽施設利用税が賦課されることになるのである。 原告が昭和四〇年九月一一日、右ゴルフ場を利用したことに対して、五〇〇円の娯楽施設利用税を徴収されたのは、右のとおり地方税法及び都税条例の規定にもとづくものであつて、原告のいうように法律上の原因なくしてなされたものではないから、不当利得の問題を生ずる余地はない。 第四証拠(省略)(昭和四三年三月二一日東京地方裁判所判決)

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