平成30(ワ)4347 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年3月3日 東京地方裁判所
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判決文本文34,736 文字)

令和2年3月3日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第4347号損害賠償請求事件口頭弁論の終結の日令和元年11月26日判決主文 1 被告Dは,原告に対し,5万円及びこれに対する平成27年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Cは,原告に対し,5万円及びこれに対する平成28年7月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告に生じた費用の400分の1と被告Dに生じた費用の80分の1を被告Dの負担とし,原告に生じた費用の400分の1と被告Cに生じた費用の80分の1を被告Cの負担とし,原告,被告D,被告Cに生じたその余の費用と被告B社,被告F社,被告Eに生じた費用を原告の負担とする。 5 この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告Dは,原告に対し,400万円及びこれに対する平成27年7月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Cは,原告に対し,400万円及びこれに対する平成28年7月25日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告B社は,原告に対し,400万円及びうち200万円に対する平成29年7月24日から,うち200万円に対する同年10月26日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 4 被告F社は,原告に対し,400万円及びこれに対する平成29年11月2 4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Eは,原告に対し,400万円及びこれに対する平成29年10月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告Eは,原告に対し,400万円及びこれに対する平成29年10月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,被告F社との間で労働契約を締結し,被告F社と被告B社との間の労働者派遣契約に基づいて被告B社に派遣されて就労していた原告が,①被告 B社の執行役員であった被告D及び取締役であった被告Cの言動により人格権が侵害されたと主張して,被告C及び被告Dに対し,不法行為に基づき,それぞれ慰謝料400万円及びこれに対する各不法行為の日(被告Dにつき平成27年7月27日,被告Cにつき平成28年7月25日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,②被告B社及び被告F社 は上記人格権侵害に係る対応においてそれぞれ就業環境配慮・整備義務を怠ったと主張して,不法行為に基づき,被告B社に対し慰謝料200万円,被告F社に対し慰謝料400万円及びこれに対する各不法行為の後の日(被告B社につき平成29年7月24日,被告F社につき同年11月24日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,③被告B社が被 告F社との間の原告に係る労働者派遣契約を更新しなかったことなどが労働組合法(以下「労組法」という。)7条の不当労働行為に該当し,これにより原告の団結権等が侵害されたと主張して,被告B社に対し,不法行為に基づき,慰謝料200万円及びこれに対する不法行為の日(平成29年10月26日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,④ 被告B社の執行役員である被告Eは,被告B社の人事部長に対して不当な目的で上記労働者派遣契約の更新拒否等をするよう指示し から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,④ 被告B社の執行役員である被告Eは,被告B社の人事部長に対して不当な目的で上記労働者派遣契約の更新拒否等をするよう指示したと主張して,被告Eに対し,不法行為に基づき,慰謝料400万円及びこれに対する不法行為の日(平成29年10月26日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 前提事実 次の事実は,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実を除き,当事者間に争いがない。 ⑴ 当事者ア被告B社は,日本の生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務の海外における需要の開拓を行う事業活動及び当該事業活動を支援する事業 活動(以下,併せて「対象事業活動」という。)に対し,資金供給その他の支援等を行うことにより,対象事業活動の促進を図り,もって当該商品又は役務の海外における需要及び供給の拡大を通じて日本経済の持続的な成長に資することを目的として,B社法に基づいて設立された株式会社である。 イ被告Dは,昭和36年生まれの男性であり,平成25年頃から平成28年6月まで被告B社の専務執行役員の地位にあった者である。被告Dは,同月27日,被告B社を退職した。 ウ被告Cは,昭和32年生まれの男性であり,平成28年2月1日から平成30年6月29日まで被告B社の専務取締役兼最高投資責任者の地位に あった者である。 エ被告Eは,平成28年6月から被告B社の専務執行役員の地位にある者である。 オ被告F社は,労働者派遣事業,職業紹介等を目的とする株式会社である。 カ原告は,昭和63年生まれの女性である。原告は,平成26年12月1 日,被告F社との間で,期 者である。 オ被告F社は,労働者派遣事業,職業紹介等を目的とする株式会社である。 カ原告は,昭和63年生まれの女性である。原告は,平成26年12月1 日,被告F社との間で,期間1か月の有期労働契約を締結し,派遣労働者を原告,就業先を被告B社の経営企画・管理グループ総務部とし,期間を1か月とする被告B社と被告F社との間の労働者派遣契約に基づいて,平成27年1月1日から被告B社にて就労した。その後,上記労働契約及び労働者派遣契約は,いずれも平成27年11月30日までは期間1か月, 同年12月1日からは期間3か月との約定で合計18回更新され,最後の 契約期間は平成29年9月1日から同年11月30日までであった(以下,更新の前後を通じて,原告と被告F社との間の労働契約を「本件労働契約」,被告B社と被告F社との間の労働者派遣契約を「本件労働者派遣契約」という。)。 原告は,被告B社において,平成27年6月30日までは経費等精算, 入出金処理,経理資料作成等の経理業務のほか,文書作成,電話対応,来客対応及びスケジュール管理等の,同年7月1日からは文書作成等,出張の手配,投資先との秘密保持契約書の印刷等,投資先との打合せの日程調整,来客対応,電話対応,テレビ会議システム等を利用する会議の準備等のアシスタント業務に従事した。 ⑵ 本件労働者派遣契約に係る労働者派遣基本契約中の約定本件労働者派遣契約は,被告B社及び被告F社との間の労働者派遣基本契約に基づいて締結された個別契約である。上記労働者派遣基本契約中には次の旨の定めがある。(乙イ7)ア被告B社は,派遣労働者が派遣就業に当たり遵守するべき被告B社の業 務処理方法,就業規律等に従わない場合,又は業務処理の能率が著しく低く労働者派遣 中には次の旨の定めがある。(乙イ7)ア被告B社は,派遣労働者が派遣就業に当たり遵守するべき被告B社の業 務処理方法,就業規律等に従わない場合,又は業務処理の能率が著しく低く労働者派遣の目的を達しない場合は,被告F社にその理由を示して派遣労働者の交代を要請することができる(同契約10条1項)。 イ被告F社は,労働者派遣契約で定める派遣業務の遂行により知り得た被告B社の業務に関する機密事項(被告B社の営業秘密を含むがこれに限ら れない。)を第三者に漏えいしないものとし,これを派遣労働者に遵守させる(同契約18条)。 ⑶ 被告B社における就業規則中の規定ア被告B社の就業規則中には次の旨の定めがある。(乙イ6の1及び6) 職員は,秘密保持に関する次の事項を守らなければならない(同規則 5条3項)。 a 秘密情報(会社,取引先等の秘密,機密性のある情報,顧客情報,企画案,ノウハウ,データ,ID,パスワード及び会社の不利益となる事項)を第三者に開示,漏えい,提供しないこと(同項1号)。 b 秘密情報をコピーするなどして社外に持ち出さないこと(同項2号)。 c 会社の許可なく,私物のパソコン,携帯電話,その他電子機器類に顧客に関する情報,その他秘密情報を記録しないこと(同項7号)。 職員は,会社の許可なく,勤務時間中に政治活動,宗教活動,業務に関係のない放送,宣伝,集会,又は文書画の配布,回覧,掲示その他これに類する活動をしてはならない(同規則5条4項2号)。 職員は,取引先,顧客その他の関係者及び会社の役員,職員等の個人情報を正当な理由なく開示し,利用目的を逸脱して取り扱い,又は漏えいしてはならない(同規則6条)。 イ被告B社は,被告B社の規程 員は,取引先,顧客その他の関係者及び会社の役員,職員等の個人情報を正当な理由なく開示し,利用目的を逸脱して取り扱い,又は漏えいしてはならない(同規則6条)。 イ被告B社は,被告B社の規程類の制定,改廃及び公布について必要な事項を定め,かつ規程類を体系的に整備して業務管理の正常化と合理化を図 ることを目的として規程管理規程を制定しており(同規程1条),同規程中には,諸規程を被告B社の外部に対して提示したり,その内容を開示したりしてはならない旨の定めがある(同規程8条1項)。(乙イ6の7)ウ原告は,平成27年2月13日,被告B社に対し,職務上知ることができた秘密の保持義務があることを理解し,この義務を誠実に履行すること を誓約することなどが記載された誓約書を作成して提出した。(乙イ8)エ被告B社は,コンプライアンス規程及び内部統制システム基本方針に基づき,ハラスメントに関する社内の報告,相談窓口を設置するとともに,社内外にホットライン(内部通報制度)を設けており,うち社外ホットライン窓口は外部の法律事務所の弁護士とされていた。(乙イ6の2ないし 4) ⑷ 原告の社外ホットライン窓口への相談等ア原告と被告Dは,平成27年7月27日,被告B社の人事異動に伴う歓送迎会に出席し,その後に開催された二次会にも出席した。原告と被告Dは,午後10時過ぎ頃に二次会が終了した後,地下鉄Q線R駅から同線S駅まで同じ電車に乗り,S駅からはそれぞれ別の電車に乗り換えた。 イ被告Cは,被告B社の監査役であったG,被告Cの担当秘書であった女性であるH,原告を含むアシスタント業務に従事する女性従業員ら3名を参加者とする懇親会を企画し,平成28年7月22日の終業後,カラオケ店において,上記懇親会が開 あったG,被告Cの担当秘書であった女性であるH,原告を含むアシスタント業務に従事する女性従業員ら3名を参加者とする懇親会を企画し,平成28年7月22日の終業後,カラオケ店において,上記懇親会が開催された(以下「本件懇親会」という。)。 被告Cは,本件懇親会において,「当たり!!ワインディナーwith 監査役(交換不可)」などと記載され,封筒に入れられた紙片10枚(以下「本件くじ」という。)を,さらにより大きい寸法の封筒に入れ,原告を含む女性従業員らに対し,一人当たり2枚ないし3枚の本件くじを同封筒から引かせた(以下「本件くじ引き」という。)。 本件くじの内容及び枚数は,「当たり!!ワインディナーwith監査 役(交換不可)」が2枚,「ハズレ!!罰ゲーム監査役に手作りプレゼント」が2枚,「Tの大博覧会withCIO(交換可能)」が1枚,「映画withCIO(交換可能)」が2枚,「U展TwithCIO(交換可能)」が1枚,「VハウスwithCIO(交換可能)」が2枚であった(なお,ここにいう「監査役」はG,「CIO」は最高投資責任者つ まり被告Cを指す。)。 ウ原告は,平成28年7月27日,被告B社の社外ホットライン窓口であったI弁護士に対し,被告Cによる本件懇親会及び本件くじ引きに関する通報をし,同月28日,I弁護士と面談し,被告Cが本件懇親会を開催して本件くじ引きをさせたことなどはセクシュアルハラスメントに該当する のではないかと指摘した。 エ原告は,平成28年8月2日,被告F社の担当者であったJと面談し,被告Cからセクシュアルハラスメントを受けたとの旨相談した。 オ原告は,平成28年8月15日,I弁護士に対し,前記アの二次会の後,被告DがR駅のホームで原告が拒否したにも 当者であったJと面談し,被告Cからセクシュアルハラスメントを受けたとの旨相談した。 オ原告は,平成28年8月15日,I弁護士に対し,前記アの二次会の後,被告DがR駅のホームで原告が拒否したにもかかわらず執ように原告の肩に手を回したり,電車内で何度も原告の手を握ろうとしたりしたとの旨通 報し(以下,この通報に係る被告Dの行為を「本件セクハラ行為」という。),被告Dの上記行為はセクシュアルハラスメントに該当するのではないかと指摘した。 ⑸ 原告による私用電子メールアドレス宛て電子メールの送信等ア原告は,平成29年6月26日,被告B社から付与された電子メールア ドレスを用いてされた本件懇親会に関する被告Cと参加者の女性従業員らとの間のやり取りに係る電子メール1通(合計11通の送受信履歴を含むもの。)を自己の私用電子メールアドレス宛てに転送した(以下「本件社内メール転送行為」という。)。(乙イ2,5)イ原告は,平成29年8月4日,被告B社から付与された電子メールアド レスを用いて,社内規程12個の電子データを添付した電子メールを自己の私用電子メールアドレス宛てに送信した(以下「本件社内規程送信行為」という。)。 ⑹ 労働組合による株主企業等の担当者への電子メールの送信ア原告は,平成29年6月12日頃までに,Kらとともに,L組合を結成 した。同月27日から同月30日頃,被告B社の株主である16の企業等の担当者に対し,「諸般の社内状況の悪化を鑑み,6月12日にL組合を設立致しました。」などと記載された,L組合を差出人とする電子メールが,少なくとも27通送信された(以下「L組合結成メール」という。)。 (乙イ9) イ L組合は,平成29年7月18日,原告及びKを共同代表として,東京 組合を差出人とする電子メールが,少なくとも27通送信された(以下「L組合結成メール」という。)。 (乙イ9) イ L組合は,平成29年7月18日,原告及びKを共同代表として,東京 都労働委員会から労組法2条及び5条2項に適合するとの証明を受けた。 (甲1)⑺ 被告B社による本件労働者派遣契約の不更新等ア被告B社は,平成29年10月13日,被告F社に対し,原告につき被告B社の就業規則に違反する行為(情報漏えい等)が認定されたとして, 派遣労働者の交代を含む適切な対応策を同月16日までに回答するよう書面で求めた。(乙イ11,乙ロ4)イ被告B社は,平成29年10月25日,被告F社に対し,原告がおおむ就業規則5条3項1号及び7号,同条4項2号並びに6条に違反する行為を行ったとして,本件労働者派遣契約を更新せず, 同年11月1日以降の原告の出勤を認めない旨,書面で通知した(以下「本件不更新等通知」という。)。(乙イ13,乙ロ5) L組合結成メールの宛先とされた株主のメールアドレスは被告B社の特定の従業員以外は知り得ない個人情報であり,原告は,L組合の代表者として,被告B社が取得した個人情報を業務外の目的で利用した。 原告は,被告B社の内部の電子メールを,自己の私用電子メールアドレス宛てに転送し,さらにL組合の代理人弁護士に対してこれを転送することにより,社外に流出させた。 ウ原告は,被告B社が被告F社に対して業務の引継ぎのため原告を平成29年11月2日まで被告B社に出勤させるよう求めたことから,同日まで 出勤したが,その後は出勤しなかった。 エ被告F社は,平成29年11月24日,原告に対し,後の内容の条項を含む合意書(以下「本件合意書」という。) させるよう求めたことから,同日まで 出勤したが,その後は出勤しなかった。 エ被告F社は,平成29年11月24日,原告に対し,後の内容の条項を含む合意書(以下「本件合意書」という。)の文書ファイルを添付して,その内容で合意をしたいとの旨記載した電子メールを送信した。 (甲4) 原告と被告F社は,本件労働契約が平成29年11月30日付けで終 了することを確認する。 原告と被告F社は,原告と被告F社との間及び原告と就業先等(本件労働契約の期間中に原告が業務を行った就業先及び当該就業先が取引関係を有する個人又は法人を指す。)との間において,本合意のほかに一切の債権債務はなく,以後,異議申立て,訴訟の提起等の一切を行わな いことを確認する。 オ本件労働者派遣契約は,平成29年11月30日の期間満了をもって,更新されることなく終了した。 2 争点本件の主要な争点は,①被告Dによる本件セクハラ行為の有無,②被告Cに よる本件くじ引き等の違法性,③被告B社の就業環境配慮,整備義務違反の有無,④被告F社の就業環境配慮,整備義務違反の有無,⑤被告B社による労働者派遣契約の不更新等が不当労働行為に該当し違法であるか否か,⑥被告Eが不当な目的で本件労働者派遣契約の不更新等を指示したか否かである(なお,以下,被告B社,被告D,被告C,被告Eを「被告B社ら4名」と総称する。)。 3 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(被告Dによる本件セクハラ行為の有無)(原告の主張)被告Dは,平成27年7月27日,歓送迎会の二次会後,原告とR駅のホームで電車を待っていた約10分間,原告が被告Dの手を払いのけて何度も 「やめてください」などと言って拒否したのに,執ように原 被告Dは,平成27年7月27日,歓送迎会の二次会後,原告とR駅のホームで電車を待っていた約10分間,原告が被告Dの手を払いのけて何度も 「やめてください」などと言って拒否したのに,執ように原告の肩に手を回すことを続け,さらに,原告と同じ電車に乗った後,約10分間,鞄を持っていない方の手で原告の手を握り,原告がこれを振りほどいても,「握手しよう」などと言って何度も原告の手を握った(本件セクハラ行為)。 被告Dの本件セクハラ行為は原告の人格権を侵害する違法行為であり,こ れにより原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は少なくとも400万 円が相当である。 (被告B社ら4名の主張)原告と被告Dとは業務上の接点がなく挨拶をする程度の関係であったこと,駅のホームという衆人環視の中で原告主張のような行為に及べば駅員等に通報される可能性があること,R駅では当時4,5分間隔で頻繁に電車が行き 来していたことからすれば,被告Dが駅のホームで嫌がる原告の肩に手を回すようなことをするはずがない。また,被告Dは,電車内では片手で鞄を持ちもう片方の手でつり革をつかんでいたことに加え,上記同様,衆人環視の中であることや原告と被告Dとの関係からすれば,被告Dが電車内で原告の手を何度も握ろうとするはずがない。 ⑵ 争点2(被告Cによる本件くじ引き等の違法性)(原告の主張)被告Cは,平成28年7月22日,本件懇親会において,被告Cと映画を観に行ったり博覧会に行ったりすることを内容とする本件くじを原告に引かせ,その後,「それぞれをイメージした曲をプレゼントする」と述べて,原 告を含む女性従業員1名当たり2曲ずつを歌った。さらに,被告Cは,同月25日,担当秘書であったHに指示して,原告を含 引かせ,その後,「それぞれをイメージした曲をプレゼントする」と述べて,原 告を含む女性従業員1名当たり2曲ずつを歌った。さらに,被告Cは,同月25日,担当秘書であったHに指示して,原告を含む本件懇親会への参加者である女性従業員らに対し,本件くじ引きで引いたくじの内容を聴取させ,Hに対し,本件くじの内容を実行するための予定の調整を命じた。 被告Cの上記行為は,職場の上下関係から原告が拒否できないことを利用 した,原告の人格権を侵害する違法行為であり,これにより原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は少なくとも400万円が相当である。 (被告B社ら4名の主張)被告Cは,Gと共に,両名の仕事をサポートしていた担当秘書のHや,Hをサポートする原告らアシスタントを慰労する目的で本件懇親会を企画した ものであり,本件くじ引きもHやアシスタントを慰労する贈り物をする目的 で実施したものである。そして,被告Cは女性従業員らに対して本件くじは基本的に交換可能でありこれに記載された行先を自由に選ぶことができることなどを説明し,本件くじに「(交換可能)」と記載していたのであって,本件くじの内容は被告Cが女性従業員らと一対一で映画等に行くことを想定したものではない。現に,被告Cは,平成28年7月25日,映画等の行事に 行く者が被告Cと一対一にならないように再調整を依頼した。さらに,原告は,本件懇親会の開催前,被告Cに対し,本件懇親会及び本件くじ引きを楽しみにしている旨の電子メールを送信していたし,本件懇親会中も複数の歌謡曲を歌うなど楽しんでいた。 本件懇親会及び本件くじ引きに性的目的はなく,女性従業員らに配慮もさ れており,本件懇親会の開催や本件くじ引きの実施は不法行為に当たらない。 数の歌謡曲を歌うなど楽しんでいた。 本件懇親会及び本件くじ引きに性的目的はなく,女性従業員らに配慮もさ れており,本件懇親会の開催や本件くじ引きの実施は不法行為に当たらない。 ⑶ 争点3(被告B社の就業環境配慮,整備義務違反の有無)(原告の主張)被告B社は,派遣先事業主として,派遣労働者である原告に対し,その就業環境に配慮し,就業環境を整備するべき義務を負っていたのに,これを怠 り,原告の人格権を侵害した。 すなわち,被告B社は,被告Cによる本件懇親会の開催及び本件くじ引きの実施に係る原告の通報について,十分な調査や適切な処分をせず,被告Dによる本件セクハラ行為に係る原告の通報について,被告Dに対する事情聴取等の調査をしないまま,被告B社の代表取締役社長であったN(以下「N 社長」という。)において,平成28年9月9日,原告に対し,被告Cの行為は専門家に相談するなどした結果セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントと認定することができない旨や,被告Dは被告B社に所属していないため対応することができない旨述べ,被告B社の人事部長であったM(以下「M人事部長」という。)において,平成29年1月13日,原告に対し, 被告Dと被告Cの原告に対するハラスメントの存在を認めなかった。また, 被告B社がその後実施したハラスメント研修は,形式的なものであったばかりか,同年5月12日に実施された全従業員を対象とするハラスメント研修において,ハラスメントの認定基準につき一般人の感じ方を基準として専門家や弁護士が検討して会社が決定するとの説明がされるなど,被告B社が決めるのであれば通報や相談をしても意味がないと受講者に思わせる内容のも のであった。 被告B社の上記不法行為 して専門家や弁護士が検討して会社が決定するとの説明がされるなど,被告B社が決めるのであれば通報や相談をしても意味がないと受講者に思わせる内容のも のであった。 被告B社の上記不法行為により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は少なくとも200万円が相当である。 (被告B社の主張)被告B社は,原告のI弁護士に対する通報があった後,速やかに調査を実 施し,客観性を担保する観点から,上記の調査結果に基づく法的助言をI弁護士に依頼した。I弁護士は,被告Cについて,本件懇親会の開催及び本件くじ引きはセクシュアルハラスメントに該当しないが,適切さを欠いていたことから,厳重注意をするのが適切である旨助言し,被告Dについて,目撃証言がなく,調査結果を検討しても本件セクハラ行為を認定できない旨助言 した。これを受けて,N社長は,平成28年9月8日,取締役会において説明の上,被告Cに対する口頭の厳重注意をした。また,被告Dは退職していたので,同人からの聴取,処分をすることができなかった。さらに,N社長は,同月9日,原告に対し,被告Dについてはハラスメントとまではいえないが不適切な言動があったとして対応したこと,被告Cについては既に被告 B社を退職しているから対応できず,社内研修の実施や社内規程の整備等の対応のみを行うこと,社内研修を行うなど再発防止を図ることなどを説明した。そして,被告B社は,同年10月11日,幹部向けのハラスメントの防止に向けた研修を実施し,平成29年5月,派遣労働者を含む全役職員を対象とするコンプライアンス研修を実施した。 このように,被告B社は,原告の通報及び当時把握できた事実を踏まえて 十分なハラスメント対策を実施したものであって,被告B社に原告が主張する コンプライアンス研修を実施した。 このように,被告B社は,原告の通報及び当時把握できた事実を踏まえて 十分なハラスメント対策を実施したものであって,被告B社に原告が主張するような義務違反はない。 ⑷ 争点4(被告F社の就業環境配慮,整備義務違反の有無)(原告の主張)被告F社は,派遣元事業主として,派遣労働者である原告から派遣先にお けるセクシュアルハラスメントの相談を受けたのであるから,プライバシー保護のために必要な措置を講じつつ,派遣元と連携して事態の解決を図るべき義務を負っていたのに,これを怠り,原告の人格権を侵害した。 すなわち,被告F社は,Jにおいて,平成28年8月2日,原告から被告Cのセクシュアルハラスメントにつき相談を受けた際,原告に対し,「派遣 元として,原告及び派遣先に事情を聴くことしかできず,就業先でのハラスメントの対応は派遣先に任されている。」などと説明し,原告の被告F社に対する問題解決への期待を減殺させ,積極的に問題解決を図ろうとしなかった。また,被告F社は,原告が被告B社から本件労働者派遣契約の更新を拒否され,将来派遣先である被告B社との間で訴訟に至ることがあり得ること を認識していたのに,原告に対し,被告F社との間のみならず被告B社との間でも原告が訴えの提起等をしないとの旨記載のある本件合意書を作成するよう求めて,その旨約束するよう要求した。 被告F社の上記不法行為により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は少なくとも400万円が相当である。 (被告F社の主張)Jは,平成28年8月2日,原告から被告Cのセクシュアルハラスメントにつき相談を受けた際,原告が主張するような発言をしたことはなく,まずは事実確認が必要である旨及びI (被告F社の主張)Jは,平成28年8月2日,原告から被告Cのセクシュアルハラスメントにつき相談を受けた際,原告が主張するような発言をしたことはなく,まずは事実確認が必要である旨及びI弁護士の調査結果を待ってみてはどうかなどと述べたのみであり,原告もこの方針に同意した。そして,Jは,同月5 日,被告B社のM人事部長に対し,上記セクシュアルハラスメントが事実で あれば再発防止策を講じてほしいとの旨などを伝え,その後,M人事部長から被告Cの行為はハラスメントには該当しないが被告Cに対する厳重注意をしたとの旨及び再発防止のための研修を実施するとの旨伝えられたので,同月21日,原告に対し,M人事部長から聴いた内容を伝えるとともに,被告B社における就業環境が改善されるか様子をみたらどうかと伝えたが,原告 は,様子をみたいとの旨述べ,被告F社に対して具体的な措置を求めるなどしなかった。その後,被告J及びその後任の担当者は,複数回にわたって原告と面談を実施したが,原告から被告B社におけるハラスメントに関する相談や要望はなかった。なお,原告が被告Dの行為について被告F社に相談したことはなかった。このように,被告F社は,原告から受けた相談について, 派遣元事業主として,原告の意向を尊重しつつ,適切に対応した。 また,本件合意書は,被告F社における通常使用している合意書のひな形を流用したものであり,原告の意向に応じて内容の修正があり得ることを前提として送付したものであるから,被告F社が原告に対して本件合意書の作成を提案したことは不法行為に当たらない。 ⑸ 争点5(被告B社による労働者派遣契約の不更新等が不当労働行為に該当し違法であるか否か)(原告の主張)被告B社が被告F社に対して派遣 したことは不法行為に当たらない。 ⑸ 争点5(被告B社による労働者派遣契約の不更新等が不当労働行為に該当し違法であるか否か)(原告の主張)被告B社が被告F社に対して派遣労働者の交代を求め,本件労働者派遣契約の更新を拒絶するとともに契約期間満了まで原告を出勤停止としたことは, 「労働者が労働組合員であること」などを理由とする「不利益な取扱い」(労組法7条1号)に該当する。また,被告B社は,本件派遣労働契約の更新を拒否しただけでなく,原告の出勤停止も命じて原告の出勤を拒否して,原告の組合活動を困難にしたものであって,これは「労働者が労働組合を」「運営すること」「に介入すること」(労組法7条3号)に該当する。 そして,①被告B社が主張する本件労働者派遣契約の不更新等の理由は, 後記アないしエのとおり,いずれも被告B社における規律に違反したり重大な規律違反に当たったりするものではなく,不更新の理由となるようなものではないこと,②被告B社はL組合の代表者の一人であるKに対しては何らの処分もしていないこと,③被告B社は本件不更新等通知の後に被告F社に対して出勤停止日の変更を要請しており,出勤停止の必要性はなかったこと, ④本件不更新等通知がされた時期がL組合と被告B社との間の1回目の団体交渉の約1か月後,L組合が全従業員に対して被告B社の職場環境等に関するアンケート調査の結果(甲6)を配布した約2週間後であったこと,⑤被告B社が上記団体交渉において被告B社が付与した電子メールアドレスを組合員間の連絡手段として使用することを不当に拒絶したこと,⑥N社長が, 平成29年6月12日開催の株主総会において「L組合『と称するもの』」と発言し,同年10月30日の社員有志らとの面談において「な の連絡手段として使用することを不当に拒絶したこと,⑥N社長が, 平成29年6月12日開催の株主総会において「L組合『と称するもの』」と発言し,同年10月30日の社員有志らとの面談において「なぜ,弁護士を立てて労働組合を作ったのか」と発言したこと,⑦被告Eが,社員有志との面談において,本件労働者派遣契約不更新等の理由はL組合によるメディアへのリークであると発言したことなどに照らせば,被告B社による派遣労 働者の交代の要請,出勤停止命令,本件労働者派遣契約の不更新は,いずれも被告B社の不当動労行為意思に基づくものである。 したがって,被告B社による本件労働者派遣契約の不更新等は,不当労働行為に該当し,原告の団結権等を侵害する違法行為であり,被告B社の上記不法行為により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は少なくとも2 00万円が相当である。 ア L組合結成メールの送信被告B社の株主名は公開されており,各株主の連絡先の一つにすぎない担当者の電子メールアドレスは「秘密情報」(就業規則5条3項)に該当しない。また,上記電子メールアドレスは企業である各株主が保有するも のであるから,担当者個人の「個人情報」(就業規則6条)に該当しない。 L組合結成メールは情報主体である株主に不利益を与えるものではなく,かえって株主にとってL組合の結成を知ることは有益であった。また,原告自身が株主の担当者の電子メールアドレスを漏えいしたことはなく,仮に原告以外の従業員が株主の担当者のこれを漏えいしたとしても,原告がその責めを負ういわれはない。 イ本件社内メール転送行為本件社内メール転送行為に係る電子メールアドレスは被告B社から付与されたものであるから「個人情報 たとしても,原告がその責めを負ういわれはない。 イ本件社内メール転送行為本件社内メール転送行為に係る電子メールアドレスは被告B社から付与されたものであるから「個人情報」(就業規則6条)に当たらないし,転送した電子メールの内容も「秘密情報」を含むものではない。また,本件社内メール転送行為は,被告Cによるハラスメント行為についてL組合の 団体交渉や訴訟準備を目的とした適法な行為である。 ウ本件社内規程送信行為本件社内規程送信行為は,原告の私用の電子メールアドレス宛に送信したものであるから,「会社の外部」(規程管理規程8条1項)に対する開示に当たらないし,被告Cによるハラスメント行為についてL組合の団体交 渉や訴訟準備を目的としたものであったから,適法な行為である。 エ就業時間中の組合活動原告がL組合の要望事項をパソコンで編集したことがあったとしても,休憩又は待機時間にしたものであり,業務に支障は生じなかった。また,上記作業は労使交渉の準備であり,「政治活動,宗教活動,業務に関係の ない放送,宣伝,集会,又は文書画の配布,回覧,掲示その他これに類する活動をしないこと」(就業規則5条4項2号)に該当しない。 (被告B社の主張)派遣先事業主である被告B社において派遣労働者の就業を受け入れなければならない義務はないし,労働者派遣契約を更新する義務もないから,本件 労働者派遣契約の不更新等が不法行為を構成する余地はない。 また,原告に対する出勤停止命令及び本件派遣労働契約の不更新等は,後記アないしエのとおり,原告が就業規律違反行為をしたことを理由とするものであり,不当労働行為意思に基づくものではない。被告B社は,L組合との団 対する出勤停止命令及び本件派遣労働契約の不更新等は,後記アないしエのとおり,原告が就業規律違反行為をしたことを理由とするものであり,不当労働行為意思に基づくものではない。被告B社は,L組合との団体交渉に誠実に対応していた。 ア L組合結成メールの送信 L組合結成メールの送信先とされた電子メールアドレスは被告B社の特定の職員でなければ知り得ない情報であって,就業規則5条により第三者への開示等,社外への持出しが禁止される「秘密情報」に該当し,かつ同規程6条により目的外利用が禁止される「個人情報」に該当する。そして,L組合結成メールは,被告B社の従業員が秘密情報である電子メールアド レスをL組合に漏えいし,L組合がその秘密情報を目的外利用することにより送信されたものである。このような正当性のない組合活動の責任はL組合を組織した者が負うべきところ,原告はL組合の代表者であり,かつL組合結成メールの送信に関与したのであるから,原告に就業規律違反行為があるといえる。 そして,被告B社の役職員にはB社法により守秘義務が課され,これに違反する行為は刑事罰の対象であること(同法42条),被告B社の事業内容から情報管理の徹底は被告B社における最も重要な就業規律の一つであることに照らせば,原告の上記就業規律違反行為は重大な非違行為である。 イ本件社内メール転送行為本件メール転送行為は,被告B社内の個人情報を含む電子メールを社外に流出させる行為であって,就業規則5条3項1号,2号及び7号並びに6条等に違反する重大な非違行為である。 ウ本件社内規程送信行為 本件社内規程送信行為は,社内規程の電子データをZipファイルにま とめ,社員送別会の写真データに上記ファイルを紛れ込ませて容易に発見 行為である。 ウ本件社内規程送信行為 本件社内規程送信行為は,社内規程の電子データをZipファイルにま とめ,社員送別会の写真データに上記ファイルを紛れ込ませて容易に発見できない工夫を凝らして行われたものであり,規程管理規程8条等に違反する重大な非違行為である。 エ就業時間中の組合活動原告は,平成29年7月14日の就業時間中,パソコンでL組合の要望 事項のファイルを編集し,業務連絡の電子メールに紛らせ,容易に発見できないような工夫をした上で,私用電子メールアドレスに送信した。この行為は就業規則5条4項2号等に違反し,同規則5条3項1号,2号及び7号並びに同規則6条等にも違反する重大な非違行為である。 ⑹ 争点6(被告Eが不当な目的で本件労働者派遣契約の不更新等を指示した か否か)(原告の主張)被告Eは,L組合を弱体化するという不当な目的で,M人事部長に被告F社に対する本件労働者派遣契約の不更新及び原告の出勤停止命令を通知させて,原告から同僚との別れの時間を過ごす機会を奪い,被告B社の労働環境 を良くしたいとの原告の想いを握りつぶして原告の人格権を侵害したものであり,被告Eの上記不法行為により原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は少なくとも200万円が相当である。 (被告B社ら4名の主張)本件労働者派遣契約の不更新及び出勤停止命令は,そもそも被告Eの行為 ではないし,原告の就業規律違反という正当な理由があったものである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告Dによる本件セクハラ行為の有無)⑴ 被告Dによる本件セクハラ行為の有無ア前提事実⑷アのほか,証拠(甲20,乙イ24,原告本人〔6~8頁〕, 被告D本人〔4 所の判断 1 争点1(被告Dによる本件セクハラ行為の有無)⑴ 被告Dによる本件セクハラ行為の有無ア前提事実⑷アのほか,証拠(甲20,乙イ24,原告本人〔6~8頁〕, 被告D本人〔4頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成27年7 月27日,歓送迎会の二次会が午後10時過ぎ頃に終了した後,同じく二次会に参加していた被告D,K,被告B社の経営企画部長兼総務部長であったOを含む数名と共に,徒歩で最寄りのR駅に移動し,同駅構内で,原告と被告Dの二人は地下鉄Q線S方面のホームに,Kはその向かいの同線W方面のホームに別れたこと,その後,原告と被告Dは,R駅からS駅ま では同じ電車に乗って移動し,S駅で原告は急行電車に乗り,被告Dは各駅停車の電車に乗ったことが認められる。 イ次に,原告の陳述書(甲20)及び本人尋問における供述(原告本人〔7,8,72頁〕)中には,被告Dは,R駅のホームで5回程度原告の肩に手を回そうとし,実際に何度か肩に手を回し,原告は,その都度これ を拒否して被告Dの手を払いのけ,さらに,被告Dは,原告と共に電車に乗った後,何度も原告の手を握ったとの記載部分及び供述部分(以下併せて「供述等」という。)がある。 これに対し,被告Dの陳述書(乙イ23)及び本人尋問における供述(被告D本人〔4~7頁〕)中には,被告Dは,R駅のホームで右手に鞄 を持っており,右側にいた原告の肩に手を回したことはなく,電車内でも右手に鞄を持っており,右側にいた原告の手を握ろうとしたことはないとの供述等があり,Oの陳述書(乙イ24)中には,Oは,R駅において,向かいのホームから原告と被告Dの様子を見ていたが,被告Dが原告の肩に手を回したことはなかったとの記載部分がある。 ウこの点,原告が上記同 の陳述書(乙イ24)中には,Oは,R駅において,向かいのホームから原告と被告Dの様子を見ていたが,被告Dが原告の肩に手を回したことはなかったとの記載部分がある。 ウこの点,原告が上記同日の午後10時50分頃から午後11時11分頃までの間にKとの間でソーシャルネットワーキングサービスである「LINE」を利用してやり取りしたメッセージである(原告本人〔8~10頁〕)として提出する送受信履歴(甲11)中には,次のメッセージ(判決注・鍵括弧内はいずれも原文ママ。)等のやり取りがある。 〔K〕(午後10時50分頃)「わかれた?」 〔K〕「さっき,オマタまで太もも触れた」「早く連絡頂戴」「なんでもいいから,上司,部下関係なく,拒否して!」〔原告〕(午後10時52分)「いま別れました!!!!」(中略)〔K〕「大丈夫?」「まじ,ありえない」〔原告〕「もー,次の会の時は先に帰ります」(中略) 〔K〕「Oさん,心配して,偵察行ってたよ」(中略)「反対ホームから丸見え」〔K〕(駅のホーム上の様子を撮影した動画ファイルを送信)〔K〕「むしろ」(中略)「D専務にそそうがないように」〔原告〕「専務(判決注・被告Dを指すと推認される。)ほんとやばいです よ」「変態」(中略)〔K〕「太ももから,又だよ」「普通じゃないよね」〔原告〕「大丈夫ですか??!!もはや行きましょうか!?」〔K〕「大丈夫―!」〔原告〕「わたしよりK(判決注・Kを指すと推認される。)の方がやばい ですよ」(中略)〔K〕「A(判決注・原告を指すと推認される。)は大丈夫だった?」「大事なところ触られなかった?」〔原告〕「わたしは大丈夫です,肩触られたくらいです」〔K〕「よかった」 」(中略)〔K〕「A(判決注・原告を指すと推認される。)は大丈夫だった?」「大事なところ触られなかった?」〔原告〕「わたしは大丈夫です,肩触られたくらいです」〔K〕「よかった」 〔原告〕「でもほんと,経営企画から離れて良かったです。専務と遠いから...」〔K〕「肩も問題!」〔原告〕(午後11時11分)「肩なんで又に比べたらどってことないですよ!!!」 上記メッセージのやり取りは,①午後10時50分頃から午後11時1 1分頃までに送受信されたものとされており,上記二次会の終了時刻である午後10時過ぎ頃から間もなくやり取りされたものとして時間的に矛盾がなく,②その内容において,Kは,直前,被告Dに太ももなどを触られたことから,向かいのホームに被告Dと一緒にいた原告の様子を見て心配し,原告に対して被告Dに体を触られなかったかを尋ね,原告は,被告D に肩を触られただけであると答えたというものであって,前記アに認定した原告,被告D,Kの当時の位置関係等と矛盾する点や事の流れとして不自然,不合理な点はなく,③メッセージ自体を見ても,上記の出来事を前提とするやり取りの流れとして不自然,不合理な点はなく,原告がねつ造したとの疑いが差し挟まれるような,過度に具体的あるいは不自然に詳細 な内容のものはない。 以上によれば,上記メッセージのやり取りは,前記二次会終了後,原告が被告DとS駅で別れた直後にされたものと認められ,かつ,その内容が真実であることを疑わせる事情は認められない。そして,上記メッセージのやり取りの中で,Kが原告に対して「大丈夫?」とのメッセージを送信 しつつ,あえてホーム上にいた原告と被告Dを動画で撮影してこれを原告に送信したこと,原告がKに対して「わたし 上記メッセージのやり取りの中で,Kが原告に対して「大丈夫?」とのメッセージを送信 しつつ,あえてホーム上にいた原告と被告Dを動画で撮影してこれを原告に送信したこと,原告がKに対して「わたしは大丈夫です,肩触られたくらいです」「肩なんで又に比べたらどってことないですよ!!!」とのメッセージを送信したことによれば,原告は,現に上記ホーム上で被告Dに肩を触られたものと認められる。 エ R駅のホームでの出来事について,原告の前記イの供述等は,被告Dが原告の肩に手を回したという内容において,前記ウのLINEの送受信履歴と合致するものであり,その他,原告の上記供述等の内容に不自然,不合理な点は見当たらない。証拠(被告D本人〔1,2,9頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,当時,被告Dと原告は異なる部署に所属していたが挨 拶をする程度の面識はあったことが認められ,同じ二次会に参加後の帰宅 途中であったことに照らせば,被告Dが原告の肩に手を回して触れるという行為に及ぶことがおよそ考えられないとはいえない。また,上記行為自体は直ちに周囲の注目を集めるものとはいい難く,被告Dが駅のホームで上記行為に及ぶことが不自然とまではいえない。さらに,原告が被告B社による調査の際に前記LINEの送受信履歴や前記動画を提出していない としても,その当時動画は既に保存期限が過ぎていた(原告本人〔35,60,61頁〕)のであれば,格別不自然とはいえない。 これに対し,前記イの被告Dの供述等及びOの記載部分は,いずれも前記LINEの送受信履歴の内容に反するものであり,採用できない。 以上によれば,R駅のホームでの出来事については,原告の上記供述等 のとおり,被告Dが原告が手を払って拒否したのに原告の肩に手を回そうとし,原告の肩 容に反するものであり,採用できない。 以上によれば,R駅のホームでの出来事については,原告の上記供述等 のとおり,被告Dが原告が手を払って拒否したのに原告の肩に手を回そうとし,原告の肩に複数回触れたものと認められる。ただし,上記行為が約10分間に及んだと認めるに足りる的確な客観的証拠はない。 オ他方,R駅からS駅までの電車内での出来事についてみると,前記ウのLINEの送受信履歴中に,被告Dが電車内で原告の手を握ったことをう かがわせるやり取りはなく,その他,原告の前記イの供述等を裏付ける的確な客観的証拠はない。また,証拠(原告本人〔43頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,実際にはS駅で被告Dと別れたのに(前記ア),被告B社の聞き取り調査の際には,原告がS駅で被告Dと共に他の電車に乗り換え,その後も被告Dが原告を触った旨説明し,本件における主張と 異なる過大な被害申告をしたことが認められる。 以上によれば,この点に係る原告の上記供述等は採用できない。 カ以上の次第で,本件セクハラ行為のうち,被告DがR駅のホームで原告が手を払って拒否したにもかかわらず原告の肩に手を回そうとした事実,及び,被告Dがこの際原告の肩に複数回触れた事実は認められるが,その 余の事実は認めるに足りない。 ⑵ 不法行為の成否及び原告の損害額ア前記⑴に認定のとおり,被告Dは,原告が被告Dの手を払って拒否していることが明らかであるにもかかわらず,故意に複数回原告の肩に手を回そうとして,現に原告の肩に触れたものであるところ,男性である被告Dが女性である原告の意思に反して複数回その身体に接触した上記行為は, 原告の人格権を侵害する違法行為というべきであって,不法行為に当たる。 イ次に,被告Dは,派遣労働 ところ,男性である被告Dが女性である原告の意思に反して複数回その身体に接触した上記行為は, 原告の人格権を侵害する違法行為というべきであって,不法行為に当たる。 イ次に,被告Dは,派遣労働者である原告が執行役員である被告Dに対して拒否の意思を示すことは容易ではないことは明らかであるのに,原告が被告Dに対して拒否する意思を明確にしていることを意に介することなく複数回原告の肩に手を回そうとしたものであって,原告は,相応の羞恥心, 強度の嫌悪感を抱いたものと推認される。他方,被告Dが接触した部位は肩というにとどまり,また,上記行為が10分間などの長時間に及んだとまでは認められない。なお,この点,前記ウに認定のとおり,原告は,Kに対し,LINEを用いて「私は大丈夫です」とのメッセージを送信しているが,その前後のやり取りからすれば,Kが太ももなどを触られたとい うのと比較して述べたのにすぎないことが明らかである。 以上の事情を考慮すれば,原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額としては,5万円が相当である。 2 争点2(被告Cによる本件くじ引き等の違法性)⑴ 本件懇親会及び本件くじ引きの違法性 アまず,原告の本人尋問における供述中には,原告は,本件懇親会への参加自体強制されたものとは認識していなかったとの供述部分(原告本人〔37頁〕)があることに照らせば,本件懇親会が開催され原告が参加したこと自体が原告の人格権を侵害するものとはいえない。また,カラオケ店で被告Cが女性従業員らに歌をプレゼントするなどと述べて歌ったこと によって原告が不快感を抱いたとしても,これを原告の人格権を侵害する 行為であったとまでは評価できない。 イしかし,本件懇親会において実施された本件くじ引きは,参加した女性 たこと によって原告が不快感を抱いたとしても,これを原告の人格権を侵害する 行為であったとまでは評価できない。 イしかし,本件懇親会において実施された本件くじ引きは,参加した女性従業員らがG又は被告Cと共にくじに記載された映画等の行事に参加することやGに手作りの贈り物をすることなどを内容とするものであって(前提事実⑷イ),これらが被告B社における業務でないことは明らかである。 そして,本件くじ引きをさせた行為を客観的にみれば,くじ引きという形式をとることにより,単に映画等に誘うなどするのとは異なり,女性従業員らにおいて,その諾否について意思を示す機会がないままに本件くじに記載された内容の実現を強いられると感じてしかるべきものである。しかも,本件くじ引きを企画した被告Cは,被告B社の専務取締役であるから, 派遣労働者である原告が本件くじ引き自体を拒否することは困難と感じたことは容易に推認される。 また,本件くじは,Gと共にワインディナーに行くことを内容とするくじが「当たり」,Gに対する手作りの贈り物をすることが「ハズレ」とされ,これらは「交換可能」との記載がないこと(ワインディナーは「交換 不可」)からすれば,Gを中心に構成されているものと評価することができ,かつ,くじを引いた女性従業員に負担が生じる内容が含まれていること(前提事実⑷イ),証拠(被告C本人〔15,25頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは本件懇親会の前に本件くじ引きを実施する旨Gに知らせていなかったことに照らせば,被告Cは,Gに対する接待等を主たる 目的とするいわゆるサプライズ企画として,本件くじ引きを企画したものと推認される。 以上によれば,被告Cが本件くじ引きをさせた行為は,Gの接待等を主たる目的として,原告の意思に 等を主たる 目的とするいわゆるサプライズ企画として,本件くじ引きを企画したものと推認される。 以上によれば,被告Cが本件くじ引きをさせた行為は,Gの接待等を主たる目的として,原告の意思にかかわらず業務と無関係の行事にGや被告Cと同行することなどを実質的に強制しようとするものであり,原告の人 格権を侵害する違法行為というべきである。 ウこれに対し,被告Cの陳述書(乙イ21)及び本人尋問における供述(被告C本人〔1,2,5頁〕)中には,被告Cは,本件懇親会を原告らアシスタントを慰労する目的で開催したものであって,本件くじ引きもアシスタントを慰労するために贈り物をすることが目的であり,本件くじ中の「with」との記載は費用負担者を明らかにするものであって,必ず しも被告Cが女性従業員らと共に映画等の行事に行くことを意味するものではなかったとの供述等がある。しかし,前記イに認定のとおり,本件くじの内容がこれを引いた者に負担や被告CあるいはGとの同行を課するものであったことに照らせば,本件懇親会がアシスタントの慰労を目的とするものであったとは考えられない。また,本件くじに記載された「wit h」は「一緒に」との意味以外に解し得ないこと,証拠(乙イ5,被告C本人〔7~8頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは,後日,Hに対して,女性従業員が引いた本件くじの内容の報告や本件くじに記載された行事の日程調整を指示したことが認められること,被告Cは,本件くじ引きを行う旨Gにあらかじめ告げていなかったこと(前記イ)に照らせば, 本件くじの「with」が「一緒に」ではなく費用負担者を明らかにする意味であったというのは不合理である。 次に,本件くじのうち被告Cに関するものについては「(交換可能)」と記載され(前 , 本件くじの「with」が「一緒に」ではなく費用負担者を明らかにする意味であったというのは不合理である。 次に,本件くじのうち被告Cに関するものについては「(交換可能)」と記載され(前提事実⑷イ),証拠(乙イ5,被告C本人〔7~8頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは,本件懇親会の直後,Hに対して,参加 者が一人となった行事について参加者が複数名になるように調整するよう指示したことが認められる。しかし,これらの事情によっても,被告Cと原告らアシスタントとの地位の違いを考慮すれば,本件くじ引きが原告らにその意思にかかわらずその内容の実現を強制するものととらえられることに何らの変わりもないというべきである。 さらに,仮に,原告が本件くじ引きの際に本件くじに係る行事に行きた いとの旨述べたことがあったとしても,派遣労働者である原告において専務取締役である被告Cの気分を害しないよう内心と異なる言動をとることは十分想定し得ることであるから,本件くじ引きが原告の意思に反するものでなかったとはいえない。また,証拠(乙イ3,乙イ4)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件懇親会の前,上司から「セクハラの証拠写真 でも撮ってきてください」との旨記載された電子メールを受信し,「承知しました(笑)くじとか準備しているようで,ぞわっとしてます。」との旨記載した電子メールを返信し,さらに,上記上司に対して本件懇親会前後の被告CやHとのやり取りの電子メールを転送したことが認められるが,上記電子メールのやり取りは,原告が上司に対して本件懇親会や本件くじ 引きに対する嫌悪感を示したものとも解され,これをもって,直ちに,原告に被告Cを陥れる意図があったとまではいえない。 その他,被告Cの性的意図の有無を含め,本件くじ引き 本件懇親会や本件くじ 引きに対する嫌悪感を示したものとも解され,これをもって,直ちに,原告に被告Cを陥れる意図があったとまではいえない。 その他,被告Cの性的意図の有無を含め,本件くじ引きが原告の人格権を侵害する違法行為であるとの判断を左右する事情は認められない。 ⑵ 原告の損害額 前記⑴に認定のとおり,本件くじ引きが主として接待の目的でされたもので業務と無関係な行事への参加等を実質的に強制するという内容であったことに照らせば,原告がこれにより相応の嫌悪感,屈辱感等を抱いたことは優に推認され,被告Cにおいても,そのことを容易に認識し又は認識し得たというべきであって,被告Cの故意又は過失は優に認められる。そして,被告 Cは,本件訴訟でその違法性を争うにとどまらず,今後も同様のイベントを行う所存である旨本人尋問において供述する(被告C本人〔32頁〕)など,この点につき反省の態度を一切示していない。他方,証拠(乙イ5,原告本人〔42頁〕,被告C本人〔9頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,本件くじ引きの内容は実現されず,原告がその意思に反してGや被告Cと同行すること まではなかったことが認められる。 以上の事情を考慮すれば,原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額としては,5万円が相当である。 3 争点3(被告B社の就業環境配慮,整備義務違反の有無)⑴ 認定事実前提事実のほか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告の社外ホッ トライン窓口への相談後の被告B社の対応について,次の事実が認められる。 ア M人事部長は,原告が被告Cの行為をI弁護士に通報したことを受け,2日後の平成28年7月29日,原告から上記通報に係る事実を聴取した。 続いて,被告B社は,同日から同年8月10日までの間,関係 ア M人事部長は,原告が被告Cの行為をI弁護士に通報したことを受け,2日後の平成28年7月29日,原告から上記通報に係る事実を聴取した。 続いて,被告B社は,同日から同年8月10日までの間,関係者に対する事実関係の聴取等の調査を実施し,I弁護士に対し,調査結果に基づく法 的助言を依頼した。(乙イ22,被告E本人〔2,3頁〕)イ M人事部長は,原告が被告Dの行為をI弁護士に通報したことを受け,2日後の平成28年8月17日,原告から上記通報に係る事実を聴取した。 続いて,被告B社は,同日から同月29日までの間,関係者に対する事実関係の聴取等の調査を実施し,I弁護士に対し,調査結果に基づく法的助 言を依頼した。ただし,被告B社は,被告Dが既に被告B社を退職していたことを理由に,被告Dに対する調査を実施しなかった。(甲20,乙イ22,原告本人〔43頁〕,被告E本人〔4~6頁〕)ウ I弁護士は,被告B社に対し,被告Cの行為(本件懇親会及び本件くじ引き)については,セクシュアルハラスメントに該当しないが,女性従業 員らの意向をくみ取ろうとする配慮に欠ける印象があり,適切さを欠いていたとの助言をし,被告Dの本件セクハラ行為については,目撃証言がなく,調査結果を検討しても本件セクハラ行為の存在を認定することができないとの助言をした。これを受けて,N社長は,平成28年9月7日,取締役会において,被告Cに対して口頭で厳重注意すること,被告Dの本件 セクハラ行為の存在を認定することができず,かつ被告Dは既に退職して いるため処分することができないことを報告した上で,同月8日,被告Cに対する厳重注意をした。 N社長は,同月9日,原告に対し,被告Cについてはハラスメントとまではいえないが不適切な言動があったとして対 処分することができないことを報告した上で,同月8日,被告Cに対する厳重注意をした。 N社長は,同月9日,原告に対し,被告Cについてはハラスメントとまではいえないが不適切な言動があったとして対応したこと,被告Dについては退職しているので対応できないこと,社内研修等により再発防止を図 ることを説明した。(以上,甲20,乙イ22,原告本人〔45頁〕,被告C本人〔20頁〕,被告E本人〔3,4,6,7,25頁〕)エ原告は,平成29年1月12日,M人事部長に対し,ハラスメントと認定しない理由の説明,I弁護士の検討レポート及び役員に対するハラスメント研修の内容の開示,被告Dへの事情聴取の実施,被告Cに対する処分 などを要望した。M人事部長は,同月13日,原告に対し,被告Cに対しては口頭での厳重注意をしたことを説明した。(甲20,原告本人〔13頁〕)⑵ 被告B社の就業環境配慮,整備義務違反の有無まず,被告Cによる本件懇親会及び本件くじ引きについて,被告B社が原 告の意向のままにハラスメントと認定し,原告の望むままの処分をしなければならない法律上の義務はない。また,被告B社は,被告Cによる本件懇親会及び本件くじ引きについて,原告が社外ホットラインに通報した後,速やかに関係者に対する事実関係の調査を実施し,弁護士の助言に基づいて被告Cの行為を不適切と判断して厳重注意をしたのであって(前記⑴ア,ウ), その調査や判断の過程に不適切な点があったとの事実を認めるに足りる証拠はなく,被告B社が適切な調査等をしなかったと評価するべき理由はない。 なお,民法上の不法行為の成否の判断と事業主が取締役等に対して処分等を行うか否かの判断とではその目的も性質も異なるから,本判決において被告Cの行為が不法行為と判断されたことをもって べき理由はない。 なお,民法上の不法行為の成否の判断と事業主が取締役等に対して処分等を行うか否かの判断とではその目的も性質も異なるから,本判決において被告Cの行為が不法行為と判断されたことをもって,被告B社の調査や被告Cに 対する処分が不合理であったというべき根拠はない。 次に,被告Dの本件セクハラ行為についても,被告B社が原告の主張するままにこれをセクシュアルハラスメントであると認定しなければならない法律上の義務はない。また,原告が社外ホットラインに通報した当時には既に被告Dは退職しており(認定事実⑴ウ),被告B社に被告Dに対する処分をする前提がそもそもなかったのであるから,被告B社に被告Dに対する調査 や処分をするべき義務があったと解する根拠もない。 さらに,仮に被告B社が実施した平成29年5月12日の研修において原告が主張するような説明(一般人の感じ方を基準として専門家や弁護士が検討して会社が決定する旨の説明)があったとしても,その内容が客観的に見て不適切であるというべき理由はない。 その他,この点に係る原告の主張は,要するに,被告B社の対応に対する主観的な不満を言うものであって,被告B社の措置に何らかの法律上な義務に違反する行為があったというべき根拠を欠くものである。 ⑶ 小括したがって,原告の被告B社に対する職場環境配慮,整備義務違反を理由 とする請求は理由がない。 4 争点4(被告F社の就業環境配慮,整備義務違反の有無)⑴ 認定事実前提事実のほか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告に係る被告F社の対応について,次の事実が認められる。 ア Jは,平成28年8月2日,原告と面談した際,被告Cによる本件懇親会や本件くじ引きの実施について相談を受けた。Jは 旨によれば,原告に係る被告F社の対応について,次の事実が認められる。 ア Jは,平成28年8月2日,原告と面談した際,被告Cによる本件懇親会や本件くじ引きの実施について相談を受けた。Jは,同月中旬頃,M人事部長から被告Cに係る原告からの通報内容について調査中であるとの説明を受け,その直後に原告と面談したが,原告は,被告B社による調査結果を待つことに同意した。この間,原告が被告F社による被告Cに対する 調査等を求めたことはなかった。(乙ロ1,14,証人J〔2~6頁〕,原 告本人〔47頁〕)イ Jは,平成28年9月15日,M人事部長から,被告Cの行為はハラスメントに該当しないが不適切な行為であり,被告Cに対して厳重注意した旨などの報告を受け,同月21日,原告に対し,その内容を旨伝えた上で,被告B社の就業環境が改善されるかどうか様子をみる旨提案したが,この 際,原告が被告F社に何らかの対応を求めたことはなかった。その他,原告が被告F社に対し被告Dや被告Cの行為につき特段の対応を求めたことはなく,被告F社のセクハラの相談窓口になにがしかの相談をしたこともなかった。(乙ロ2,14,証人J〔6,7頁〕,原告本人〔48,49,54,55頁〕) ⑵ 被告F社の就業環境配慮,整備義務違反の有無前記⑴に認定のとおり,原告は,被告F社の担当者に対し,被告Cの行為について相談した際もその後も,何らかの具体的な措置を求めたことがなかったばかりか,相談窓口を利用することもなかったのであり,このような状況において,派遣元事業主である被告F社において何らかの措置をとらなけ ればならない義務を認めるべき法律上の根拠はない。 また,本件合意書の送付について,被告F社は,原告に対し,本件合意書を送付してその締結 業主である被告F社において何らかの措置をとらなけ ればならない義務を認めるべき法律上の根拠はない。 また,本件合意書の送付について,被告F社は,原告に対し,本件合意書を送付してその締結を提案したというのにとどまるのであって(前提事実⑺エ),本件合意書の内容のとおりの合意をするよう強要するなどしたものではない以上,この行為を違法と解するべき理由はない。 その他,原告の本人尋問における供述中には,被告F社の担当者の言動について不満を言う供述部分があるが,いずれもこれを裏付ける的確な客観的証拠がないか,原告の主観的な不満等をいうものにすぎない。 ⑶ 小括したがって,原告の被告F社に対する職場環境配慮,整備義務違反を理由 とする請求は理由がない。 5 争点5(被告B社による本件労働者派遣契約の不更新等が不当労働行為に該当し違法であるか否か)⑴ 認定事実前提事実のほか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件労働者派遣契約の不更新等に至る経緯について,次の事実が認められる。 ア平成29年6月12日頃までに結成されたL組合は,同日頃,被告B社に対し,被告B社従業員24名が組合に加入した旨記載された「労働組合結成及び加入通知書」及び団体交渉を申し入れる旨記載された「団体交渉申入書」を送付した。上記「団体交渉申入書」中には,「ハラスメント関連」「派遣社員処遇関連」「正社員アシスタント処遇関連」等,5つの要求 事項が記載され,うち「ハラスメント関連」は,被告C及び被告Dのハラスメントに関し被告B社の対応の決定理由の開示等を求めるものであった。 (甲20,乙イ15の1の1,原告本人〔14,61頁〕)イ被告B社の代理人弁護士(本件の被告B社ら4名訴訟代理人弁護士)は,平成29年6月 被告B社の対応の決定理由の開示等を求めるものであった。 (甲20,乙イ15の1の1,原告本人〔14,61頁〕)イ被告B社の代理人弁護士(本件の被告B社ら4名訴訟代理人弁護士)は,平成29年6月15日,L組合の代理人弁護士(本件の原告訴訟代理人弁 護士)に対し,同月12日付け「労働組合結成及び加入通知書」にはL組合の代表者の記名押印がなく,労働組合としての組織の正当性を確認することができないため,L組合の代表者を明らかにするよう求めるとともに,上記正当性を確認後に団体交渉の調整をする旨,書面で連絡した。 L組合の代理人弁護士は,同月26日,被告B社の代理人弁護士に対し, L組合の代表者は原告とKである旨,労働委員会に対して資格審査の申立てをした旨,書面で連絡した。(以上,乙イ15の2,3)ウ L組合を差出人として被告B社の株主企業の担当者に対して送信されたL組合結成メールには,被告B社の株主企業23社及び経済産業大臣宛ての「L組合結成のお知らせ」と題する書面,前記「労働組合結成及び加入 通知書」,前記「団体交渉申入書」(一部マスキングされたもの),被告D 及び被告Cの行為に関する原告の通報内容等が記載された書面(一部マスキングされたもの),原告が本件メール転送行為により転送した被告Cと本件懇親会に参加した女性従業員らとの間の本件懇親会前後のやり取りの電子メール(一部マスキングされたもの)の各電子データが添付されていた。 L組合結成メールの送信先とされた株主企業の担当者の電子メールアドレスは,4名の執行役員等が管理していた名刺に記載されていたものが含まれており,これらは被告B社の社外に公表されたり被告B社内で全従業員に共有されたりしていたものでもなく,原告にはそのうち1名の執行役員が管理していた 員等が管理していた名刺に記載されていたものが含まれており,これらは被告B社の社外に公表されたり被告B社内で全従業員に共有されたりしていたものでもなく,原告にはそのうち1名の執行役員が管理していた名刺に記載されていた情報の電子データへのアクセス権 限が付与されていた。(以上,乙イ9,17,22,被告E本人〔31~33,45頁〕)エ被告B社の代理人弁護士は,L組合の代理人弁護士との間で,団体交渉の日程調整をし,平成29年7月12日までに,同月24日に団体交渉を実施することが決まった。しかし,L組合の代理人弁護士は,同月14日 ころ,被告B社の代理人弁護士に対し,参加可能な組合員の人数が少ないことを理由として団体交渉の日程の再調整を要望するとともに,前記「団体交渉申入書」の内容を整理した同日付け「要求事項」と題する書面を送付した。同書面は,原告が,同日頃,被告B社から貸与されたパソコンを用いて編集し,私用電子メールアドレスに送信したものであった。(乙イ 10,乙イ15の4ないし6及び9)オ被告B社は,平成29年7月24日,L組合に対し,団体交渉事項について書面で回答し,そのうちハラスメントについては,被告Cの行為はセクシュアルハラスメントに該当しないが不適切であり口頭で厳重注意としたこと,被告Dは退職しており処分をすることができないなどと回答した。 (甲3,乙イ15の14) カ被告B社は,平成29年7月25日,被告F社に対し,本件労働者派遣契約を更新する旨連絡し,本件労働者派遣契約は,契約期間を同年9月1日から同年11月30日までとして更新された。(乙ロ3)キ L組合の代理人弁護士と被告B社の代理人弁護士との間で団体交渉の日程調整のやり取りがされた結果,平成29年9月8日,同月29日に団 9月1日から同年11月30日までとして更新された。(乙ロ3)キ L組合の代理人弁護士と被告B社の代理人弁護士との間で団体交渉の日程調整のやり取りがされた結果,平成29年9月8日,同月29日に団体 交渉を実施することとなった。 同日行われた団体交渉への出席者は,被告B社側が被告E,M人事部長,被告B社の代理人弁護士2名,L組合側が原告,L組合の代理人弁護士2名であった。この席で,原告は,ハラスメントに関し,被告Dの本件セクハラ行為について被告B社が事実確認をしないことに疑問があり,被告D が退職しているから対応することができないというのは理由にならない旨,被告Cへの対応について被告B社の説明には納得がいかず,被告B社の判断の過程の開示と再調査を求める旨述べた。また,被告B社の代理人弁護士は,組合結成の電子メールが株主の担当者に対して送信されたことについて,宛先とされた電子メールアドレスは会社が管理する個人情報であり, 被告B社の業務以外で利用されることは問題になる旨述べた。そして,被告B社及びL組合は,約1か月半後に次回の団体交渉を実施することとして,同日の団体交渉を終えた。(甲5,20,乙イ15の10及び15ないし18)ク被告B社は,平成29年10月3日,L組合結成メールの送信等の情報 漏えいに関する調査として,M人事部長及び外部の弁護士2名において,原告を含む従業員8名に対する事実関係の聴取等を実施した。この際,原告は,L組合結成メールの送信に関与していない旨説明するとともに,本件被告B社内の電子メールを私用電子メールアドレスに転送したことはない旨,内容虚偽の説明した。また,Kは,L組合結成メールの送信に関与 していない旨説明した。(甲20,乙イ22,原告本人〔19~20,4 4, 私用電子メールアドレスに転送したことはない旨,内容虚偽の説明した。また,Kは,L組合結成メールの送信に関与 していない旨説明した。(甲20,乙イ22,原告本人〔19~20,4 4,72,73頁〕,被告E本人〔10,43,44頁〕)ケ L組合は,平成29年10月12日頃,被告B社の従業員に対し,被告B社の職場環境に関するアンケート調査結果等を,同日付け「L組合より」と題する書面と共に配布した。同書面中には,「組合に加入をご希望の方は,組合窓口共同代表A(判決注・原告を指す。)までお申し付けくださ い。」との記載がされていた。(甲6,9)コ被告B社は,平成29年10月13日,被告F社に対し,同月16日までに交代を含む適切な対応策を回答するよう書面で求めた上で,同月25日,本件不更新等通知をした(前提事実⑺イ,ウ)。 ⑵ 本件労働者派遣契約の不更新等の理由がないといえるか ア L組合結成メールの送信は就業規則に違反する行為に当たらないか株主に関する情報は,就業規則5条及び6条において「秘密情報」及び「個人情報」に当たる事項として明示的には規定されていないが,被告B社は対象事業活動に対する資金供給等の支援をする事業を行っており,対象事業活動に係る案件を株主が紹介することがあったこと(前提事実⑴ア, 弁論の全趣旨),株主企業の担当者の電子メールアドレスは,被告B社の社外に公表されておらず,被告B社の全従業員に共有されてはいなかったこと(前記⑴ウ)に照らせば,株主企業の担当者の電子メールアドレスは,就業規則5条の「取引先等の秘密,機密性のある情報,顧客情報」(秘密情報)又は同規則6条の「取引先,顧客その他の関係者」の「個人情報」 に該当するというべきである。 そして,L組合結成メールの宛 規則5条の「取引先等の秘密,機密性のある情報,顧客情報」(秘密情報)又は同規則6条の「取引先,顧客その他の関係者」の「個人情報」 に該当するというべきである。 そして,L組合結成メールの宛先とされた株主企業の担当者の電子メールアドレスは特定の執行役員等が管理していた名刺に記載されるなどしていた情報であり(前記⑴ウ),L組合が元から保有していた情報でなかったことは明らかであるから,L組合はその管理者に無断で上記情報を取得 したものと認められる。加えて,L組合結成メールの送信は,上記情報を 目的外に利用する行為であることが明らかであり,しかも,証拠(乙イ22,被告E本人〔9,10,42頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,L組合結成メールが送信されたことにより,株主企業から被告B社に対して情報管理体制に対する苦情等が複数寄せられ,実際に被告B社の信用等を低下させたことが認められることを併せて考慮すれば,これに被告B社の従 業員が関与していたとすれば,それは被告B社の就業規則に違反する行為に当たらないとは認められないものであり,組合活動であることを理由に正当化されるものでもないというべきである。 イ原告のL組合結成メールの送信への関与はなかったか原告の本人尋問における供述中には,原告は,ハラスメント被害を受け たということで被告B社に名前が知られていたからKと共に代表となったにすぎず,株主の担当者宛てに電子メールを送信することを発案したことや,L組合結成メールを直接送信したことはなく,送信先電子メールアドレスの入手方法も知らないとの供述部分(原告本人〔14,15頁〕)がある。 しかしながら,①原告は,被告Dの本件セクハラ行為及び被告Cによる本件懇親会の開催及び本件くじ引きの実施に係る被告B社の対応 方法も知らないとの供述部分(原告本人〔14,15頁〕)がある。 しかしながら,①原告は,被告Dの本件セクハラ行為及び被告Cによる本件懇親会の開催及び本件くじ引きの実施に係る被告B社の対応に納得せず,M人事部長に対してI弁護士の検討レポート等の開示や被告Cに対する処分等を求めていたところ,L組合はその後間もなく結成されたこと(前記3⑴エ,前記⑴ア),②L組合が被告B社に求めた団体交渉事項の 一つは原告がM人事部長に対して求めた上記事項と同じであったこと(前記⑴ア,キ),③L組合側の参加者が少ないことを理由に団体交渉の日が再調整されたにもかかわらず,同年9月29日の団体交渉に参加した組合員は原告のみであったこと(前記⑴エ,キ),④L組合名義の文書中において,L組合の従業員に対する窓口は原告とされていたこと(前記⑴エ, ケ)に照らせば,原告はL組合の結成及び運営を主導し,中心的な役割を 担っていたものと認められる。加えて,⑤L組合結成メールの宛先とされた株主企業の担当者の電子メールアドレスは被告B社の全従業員に共有されておらず,その一部は原告が入手可能なものであったこと(前記⑴ウ),⑥L組合結成メールには原告がした本件社内メール転送行為により原告の私用電子メールアドレスに転送された電子メール等が添付されていたこと (前記⑴ウ),⑦原告は本件においてL組合結成メールの送信への関与の態様等を具体的に主張しなかったこと(弁論の全趣旨),⑧その他,L組合結成メールの作成,送信に原告が関与せず,専ら原告以外の者がこれを行ったとの事実を認めるに足りる証拠はないことを併せて考慮すれば,原告の上記供述は採用できず,かえって,原告はL組合結成メールの送信行 為にL組合の代表として主体的,主導的に関与したものと認めら ったとの事実を認めるに足りる証拠はないことを併せて考慮すれば,原告の上記供述は採用できず,かえって,原告はL組合結成メールの送信行 為にL組合の代表として主体的,主導的に関与したものと認められる。 ウ被告B社に不当労働行為意思があったか前記ア及びイに認定したところによれば,原告がL組合結成メールの送信行為に主体的,主導的に関与したことは,被告B社の就業規則に反する行為に当たる。そして,原告は誓約書を提出して秘密保持義務を十分理解 していたことを併せて考慮すれば,被告B社が,労働者派遣基本契約に基づき派遣労働者の交代を求め,原告を出勤停止とした上で本件労働者派遣契約を更新しなかったことに理由がなかったとはいえない。 これに対し,Pの陳述書(甲22)中には,被告Eが「名刺情報の提供とCさんとのメールのやり取りをAさん個人のメールアカウントに転送し たことが本件問題の本質ではない。一番の問題は,労働組合からメディアに対し,Cさんを陥れるような内容のリークがあったということであ」ると発言したとの記載部分があるが,被告Eは上記発言の前に本件労働者派遣契約の不更新の理由を名刺の情報をL組合に提供した疑いがあることであるとの旨説明したとの記載部分もあることに照らせば,被告Eの上記発 言によっても,本件労働者派遣契約の不更新の理由がL組合結成メールの 送信への関与以外にあったものとは認められない。また,仮に株主企業の担当者に係る情報が被告B社において厳重に管理されていなかったとしても,派遣先事業主が本件労働者派遣契約を更新するか否かの判断についてはそもそも法律上の規制がないことに照らせば,そのことをもって,本件労働者派遣契約の不更新に理由がなかったとまでは認められない。さらに, 被告B社が原告の出勤停 約を更新するか否かの判断についてはそもそも法律上の規制がないことに照らせば,そのことをもって,本件労働者派遣契約の不更新に理由がなかったとまでは認められない。さらに, 被告B社が原告の出勤停止を延期したのは引継ぎのためであったから(前提事実⑺ウ),出勤停止の必要性を否定する根拠にならない。 以上によれば,その余の不更新の理由について検討するまでもなく,派遣労働者の交代要請,原告の出勤停止及び本件労働者派遣契約の不更新の理由をもって,これらが不当労働行為意思に基づくものであるとは推認さ れない。 ⑶ その他の不当労働行為意思を推認させる事実の有無ア被告B社がKを処分等していないこと証拠(被告E本人〔33~35,43~47頁〕)及び弁論の全趣旨によれば,被告B社は,原告と共にL組合の共同代表を務めていたKに対す る処分をしなかったことが認められるが,情報漏えいに関する外部の弁護士による調査の結果,株主企業の担当者の名刺へのアクセス可能性等を踏まえ,原告が関与した蓋然性が高いが,Kが関与した可能性はないと判断されたことが認められることに照らせば,これによっても,被告B社に不当労働行為意思があったと推認されるものではない。 イ本件不更新等通知の時期等本件不更新等通知は,平成29年9月29日の団体交渉や同年10月12日頃のL組合によるアンケート調査結果の配布から間もない同月25日にされたものであるが(前提事実⑺イ,前記⑴キ,ケ,コ),被告B社は,上記団体交渉の際にL組合結成メールの送信の問題点を指摘しており,団 体交渉の前からL組合結成メールの送信を問題視していたこと,被告B社 による調査は原告以外の者も対象としていたこと(前記⑴キ,ク),被告B社はL組合からの団体交渉を求めに ており,団 体交渉の前からL組合結成メールの送信を問題視していたこと,被告B社 による調査は原告以外の者も対象としていたこと(前記⑴キ,ク),被告B社はL組合からの団体交渉を求めに応じて日程調整し,団体交渉の日が再調整となった後も団体交渉事項に対して書面で回答し,本件労働者派遣契約の更新もしたこと(前記⑴ア,イ,エないしカ)に照らせば,このことをもって,本件労働者派遣契約の不更新等が不当労働行為意思によると いうことはできない。 また,証拠(甲8,乙イ15の13)及び弁論の全趣旨によれば,被告B社は,L組合に対し,被告B社内の電子メールアドレスの組合員間の連絡手段としての使用等を拒否したことが認められるが,被告B社に上記要望に応じるべき法律上の義務があるわけではないから,これによっても, 被告B社に不当労働行為意思があったと推認することはできない。 ウ N社長の言動N社長が平成29年6月12日開催の株主総会において「L組合と称するもの」と発言したことがあったとしても,同日時点ではL組合の代表者が明らかにされておらず,労組法に適合する労働組合であることも確認で きていなかったのであるから(前記⑴ア,イ),N社長がL組合を嫌悪していたとまでは推認できない。また,N社長が,Pら社員有志と面談した際になぜ弁護士を立てて労働組合を作ったのかなどの旨の発言をしたことがあったとしても,組合を作るのに反対ではない旨,L組合が弁護士に委任した以上被告B社も弁護士に委任するほかない旨述べたということ(甲 13の1,甲14,乙イ20)に照らせば,N社長がL組合を嫌悪していたとまでは推認できない。 その他,N社長に被告B社の不当労働行為意思を推認させる発言があったとの事実は認められない。 ⑷ 小括 ,甲14,乙イ20)に照らせば,N社長がL組合を嫌悪していたとまでは推認できない。 その他,N社長に被告B社の不当労働行為意思を推認させる発言があったとの事実は認められない。 ⑷ 小括 以上に述べたところによれば,被告B社による派遣労働者の交代要請,原 告の出勤停止及び本件労働者派遣契約の不更新は,不当労動行為意思に基づくものと認めることはできないから,原告の被告B社に対する不当労働行為を理由とする請求は理由がない。 6 争点6(被告Eが不当な目的で本件労働者派遣契約の不更新を指示したか否か) 前記5に判断のとおり,被告F社に対する派遣労働者の交代要請,原告に対する出勤停止及び本件労働者派遣契約の不更新には,L組合を弱体化させるなどの意図があったとは認められないから,仮に上記被告B社の各行為が被告Eの指示に基づくものであったとしても,被告Eによる不法行為が認められる余地はない。 7 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は,被告Dに対して不法行為に基づき慰謝料5万円及びこれに対する不法行為の日である平成27年7月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,被告Cに対して不法行為に基づき慰謝料5万円及びこれに対 する不法行為の後の日である平成28年7月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限りにおいてこれらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決 する。 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁 主文 用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 理由 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁判官阿部雅彦 裁判官松川春佳 裁判官二宮正一郎 (別紙)の当事者目録については記載を省略

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