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○ 主文被告が原告に対し昭和四一年六月一五日付でなした原告の昭和三九年分所得税の更正処分中申告納税額につき金八、〇〇二、七四〇円を超過する部分および過少申告加算税の賦課決定中金三九五、五五〇円を超過する部分はいずれもこれを取消す。原告のその余の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。○ 事実第一当事者の申立(原告)一、被告が原告に対し昭和四一年六月一五日付でなした原告の昭和三九年分所得税の更正処分中申告納税額につき金一、八六三、七九〇円を超過する部分および過少申告加算税の賦課決定中金八八、六〇〇円を超過する部分を取消す。二、訴訟費用は被告の負担とする。(被告)一、原告の請求を棄却する。二、訴訟費用は原告の負担とする。第二当事者の主張(原告の請求原因)一、原告は被告に対して、昭和四〇年三月一五日、昭和三九年分(以下「係争年分」という)の所得税につき次のとおり確定申告した。総所得金額五三八、二五〇円給与所得五三八、二五〇円譲渡所得 〇円所得控除金額一一七、五〇〇円課税総所得金額四二〇、七五〇円算出税額五〇、七〇〇円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額 〇円二、原告は被告に対して、昭和四〇年六月二四日、右確定申告に対し次のとおり修正申告した。総所得金額九九七、二五〇円給与所得五三八、二五〇円譲渡所得 〇円不動産所得(家賃収入) 四五九、〇〇〇円所得控除金額一一七、五〇〇円課税総所得金額八七九、七 、二五〇円譲渡所得 〇円不動産所得(家賃収入) 四五九、〇〇〇円所得控除金額一一七、五〇〇円課税総所得金額八七九、七五〇円算出税額一四一、七五〇円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額九一、〇五〇円三、被告は原告に対し、昭和四一年六月一五日付で次のとおりの更正処分および過少申告加算税の賦課決定をした。総所得金額一七、二八六、一二四円給与所得五三八、二五〇円譲渡所得一六、七四七、八七四円不動産所得 〇円所得控除金額一一七、五〇〇円課税総所得金額一七、一六八、六〇〇円算出税額八、〇九〇、七三〇円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額八、〇四〇、〇三〇円更正により増加した税額七、九四八、九八〇円過少申告加算税三九七、四〇〇円四、原告は右処分につき昭和四一年七月八日被告に対し異議申立をしたが、被告は同年一〇月一日これを棄却したので、原告は更に同月二七日名古屋国税局長に対し審査請求をしたところ、同局長は同四二年五月二五日これを棄却した。 総所得金額一七、一六八、六〇〇円算出税額八、〇九〇、七三〇円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額八、〇四〇、〇三〇円更正により増加した税額七、九四八、九八〇円過少申告加算税三九七、四〇〇円四、原告は右処分につき昭和四一年七月八日被告に対し異議申立をしたが、被告は同年一〇月一日これを棄却したので、原告は更に同月二七日名古屋国税局長に対し審査請求をしたところ、同局長は同四二年五月二五日これを棄却した。五、しかしながら、原告の係争年分の所得税は次のとおりである。総所得金額五、五九八、六九七円給与所得五三八、二五〇円譲渡所得四、六〇一、四四七円不動産所得(家賃収入) 四五九、〇〇〇円所得控除一一七、五〇〇円課税総所得金額五、四八一、一〇〇円算出税額 四、六〇一、四四七円不動産所得(家賃収入) 四五九、〇〇〇円所得控除一一七、五〇〇円課税総所得金額五、四八一、一〇〇円算出税額一、九一四、四九五円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額一、八六三、七九〇円過少申告加算税八八、六〇〇円六、よつて、本件更正処分および過少申告加算税の賦課決定のうち、前項の部分を越える部分の課税は違法であるから、その取消しを求める。(被告の答弁および主張)一、請求原因一ないし四の各事実は認める。二、同五については、給与所得額、所得控除金額および源泉徴収税額がいずれも原告主張のとおりであることは認め、その余は争う。三、(一)原告は、昭和三九年九月二一日、その所有にかかる別紙目録記載(イ)の宅地(以下「(イ)宅地」という)を太陽商事株式会社に売却し、次いで同年一〇月一日、Aから同目録記載(ハ)の宅地(以下「(ハ)宅地」という)および同目録記載(ニ)の建物(以下「(ニ)建物」という)を買受け、ただちに(ニ)建物を収去して(ハ)宅地上に同目録記載(ホ)の建物(以下「(ホ)建物」という)を新築し、右新築による取得の日から一年以内に(ホ)建物の三階を居住の用に供し同建物の一、二階を株式会社クレハに賃貸した。(二) ところで、(ホ)建物のうち右居住の用に供された部分の割合は、別紙計算表(1)および同計算表(2)の被告主張欄記載のとおり算出した一七・八九パーセントであり、この場合、一階から二階に至る階段部分(以下「一階階段部分」という)、二階から三階に至る階段部分(以下「二階階段部分」という)および二階通路部分は、いずれも右居住用部分と賃貸用部分との間の上昇下降の用に供するいわゆ 会社クレハに賃貸した。(二) ところで、(ホ)建物のうち右居住の用に供された部分の割合は、別紙計算表(1)および同計算表(2)の被告主張欄記載のとおり算出した一七・八九パーセントであり、この場合、一階から二階に至る階段部分(以下「一階階段部分」という)、二階から三階に至る階段部分(以下「二階階段部分」という)および二階通路部分は、いずれも右居住用部分と賃貸用部分との間の上昇下降の用に供するいわゆ 二階に至る階段部分(以下「一階階段部分」という)、二階から三階に至る階段部分(以下「二階階段部分」という)および二階通路部分は、いずれも右居住用部分と賃貸用部分との間の上昇下降の用に供するいわゆる往復通路と同視されるものであつて、単に上昇の利用のみでないことは明らかであるから、建物の区分所有等に関する法律第三条第一項および第一〇条第一項を準用して各専用床面積の割合に按分すべきである(建物の所有者が同一人であつても居住用と事業用に区分して使用されているので、階段などは「共有部分」ということができる)。(三) そこで、右居住用部分について、租税特別措置法第三五条(居住用財産の買換えの特例)を適用して、原告の係争年分の課税譲渡所得金額を算出すると、次のとおりとなる。なお、(ホ)建物の居住用の割合は、前記(ニ)のとおり一七・八九パーセントであるが、本訴においては一八・七一パーセントとして計算する。また、買換資産である(ハ)宅地および(ホ)建物の取得価額の合計は金四四、四三四、一二一円である。a (イ)宅地の譲渡価額四七、〇〇〇、〇〇〇円b (イ)宅地の取得価額二、七七八、六〇二円c (イ)宅地の譲渡に要した経費二、五三四、〇五五円d (ハ)宅地および(ホ)建物の取得価額合計のうち居住用部分の割合に対応する金額八、三一三、六二四円44、434、121円×0.1871=8、313、624円e 譲渡があつたとみなす収入金額 (a-d)三八、六八六、三七六円f 譲渡があつたとみなす部分に対応する取得価額 ((b+c)×e/a)四、三七二、九〇一円 譲渡があつたとみなす収入金額 (a-d)三八、六八六、三七六円f 譲渡があつたとみなす部分に対応する取得価額 ((b+c)×e/a)四、三七二、九〇一円g 租税特別措置法第三八条の二による特別控除三五〇、〇〇〇円h 譲渡所得金額 (e-f-g)三三、九六三、四七五円i 旧所得税法第九条第一項による控除一五〇、〇〇〇円j 課税譲渡所得金額 ((h-i)×5/10)一六、九〇六、七三七円四、従つて、原告の前記課税譲渡所得金額を含めた係争年分の所得税は次のとおりである。 渡があつたとみなす部分に対応する取得価額 ((b+c)×e/a)四、三七二、九〇一円g 租税特別措置法第三八条の二による特別控除三五〇、〇〇〇円h 譲渡所得金額 (e-f-g)三三、九六三、四七五円i 旧所得税法第九条第一項による控除一五〇、〇〇〇円j 課税譲渡所得金額 ((h-i)×5/10)一六、九〇六、七三七円四、従つて、原告の前記課税譲渡所得金額を含めた係争年分の所得税は次のとおりである。総所得金額一七、四四四、九八七円給与所得五三八、二五〇円不動産所得 〇円譲渡所得一六、九〇六、七三七円所得控除金額一一七、五〇〇円課税総所得金額一七、三二七、四〇〇円算出税額八、一七八、〇七〇円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額八、一二七、三七〇円修正申告納税額との増差税額八、〇三六、三二〇円過少申告加算税四〇一、八〇〇円五、本件更正処分および過少申告加算税の賦課決定は、右の範囲においてなされたものであるから、何ら違法ではない。(被告の主張に対する原告の答弁および反論)一、被告の主張三(一)の事実は認める。二、同三(二)については、別紙計算表(1)を認め、その余は争う。(ホ)建物の居住用部分の割合は、別紙計算表(2)の原告主張欄記載のとおり算出した二二・七二パーセ 被告の主張三(一)の事実は認める。二、同三(二)については、別紙計算表(1)を認め、その余は争う。(ホ)建物の居住用部分の割合は、別紙計算表(2)の原告主張欄記載のとおり算出した二二・七二パーセントであり、この場合、一階階段部分を三階と二階の各専用床面積の割合により按分し、二階階段・通路部分は三階の居住用として算出すべきである。三、同三(三)についてはa、b、cおよび買換資産である(ハ)宅地と(ホ)建物の取得価額の合計額を認め、その余は争う。四、原告の課税譲渡所得金額は次のとおりである。(一) 原告は、かねて(イ)宅地上に別紙目録記載(ロ)の建物(以下「(ロ)建物」という)を所有していたが、(イ)宅地の売却に際し更地とするためこれを除去した。(二) ところで、原告は、(ロ)建物の二階に居住し、階下を昭和三五年八月ころから尾立商事株式会社(同四〇年一月三一日解散、以下「尾立商事」という)に貸し付けており、同三八年八月一日以降は賃料月五万四、〇〇〇円であつたが、右建物のうち居住の用に供していた部分は一二六・二八平方メートル(四四・七八パーセント)であり、非居住(賃貸)部分は一五五・七五平方メートル(五五・二二パーセント)であつた。 去した。(二) ところで、原告は、(ロ)建物の二階に居住し、階下を昭和三五年八月ころから尾立商事株式会社(同四〇年一月三一日解散、以下「尾立商事」という)に貸し付けており、同三八年八月一日以降は賃料月五万四、〇〇〇円であつたが、右建物のうち居住の用に供していた部分は一二六・二八平方メートル(四四・七八パーセント)であり、非居住(賃貸)部分は一五五・七五平方メートル(五五・二二パーセント)であつた。(三) そして、原告が(ホ)建物の一、二階を株式会社クレハに賃貸したことは被告主張のとおりであり、また、右建物のうち居住の用に供している部分(非賃貸部分)の割合が二二・七二パーセントであることは前記二のとおりである。(四) してみれば、原告は、その一部を居住用財産として所有していた(イ)宅地および(ロ)建物を、(ハ)宅地および(ホ)建物に買換え、その一部に居住しているのであるから、租税特別措置法第三五条第一項および同法施行令第二四条により、その課税譲渡所得は次のとおり金四、六〇一、四四七円となる。ア譲 ハ)宅地および(ホ)建物に買換え、その一部に居住しているのであるから、租税特別措置法第三五条第一項および同法施行令第二四条により、その課税譲渡所得は次のとおり金四、六〇一、四四七円となる。ア譲渡収入金額二一、〇四六、六〇〇円((イ)宅地売却代金四七、〇〇〇、〇〇〇円のうち、前記(二)記載の居住用部分の割合に対応する金額)イ取得価額一〇、〇九五、四三二円((ハ)宅地と(ホ)建物の取得額合計四四、四三四、一二一円のうち、前記(三)記載の居住用部分の割合に対応する金額)ウ譲渡資産の取得費一、二四四、二五七円((イ)宅地および(ロ)建物の買入代金二、七七八、六〇二円に対する居住用部分の割合に対応する金額)エ (イ)宅地の譲渡に用した費用一、一三四、七四九円(譲渡に要した総費用二、五三四、〇五五円のうち居住用部分の割合に対応する金額)オ租税特別措置法第三八条の二による特別控除三五〇、〇〇〇円カ旧所得税法第九条第一項による控除一五〇、〇〇〇円キ課税譲渡所得金額四、六〇一、四四七円{(ア-イ)-(ウ+エ)×(ア-イ)/ア-(オ+カ)}×5/10=4、601、447(五) また、原告は、その一部を事業用資産として所有していた(イ)宅地および(ロ)建物を(ハ)宅地および(ホ)建物に買換え、その一部を事業用として賃貸しているのであるから、租税特別措置法第三八条の六第一項および同施行令第二五条の六第一項により次のとおり譲渡はなかつたものとみなされ、この部分は所得税の対象とならない。 {(ア-イ)-(ウ+エ)×(ア-イ)/ア-(オ+カ)}×5/10=4、601、447(五) また、原告は、その一部を事業用資産として所有していた(イ)宅地および(ロ)建物を(ハ)宅地および(ホ)建物に買換え、その一部を事業用として賃貸しているのであるから、租税特別措置法第三八条の六第一項および同施行令第二五条の六第一項により次のとおり譲渡はなかつたものとみなされ、この部分は所得税の対象とならない。譲渡収入金額二五、九五三、四〇〇円((イ)宅地売却代金のうち賃貸部分の割 六第一項により次のとおり譲渡はなかつたものとみなされ、この部分は所得税の対象とならない。譲渡収入金額二五、九五三、四〇〇円((イ)宅地売却代金のうち賃貸部分の割合に対応する金額)取得価額三四、三三八、六八八円((ハ)宅地および(ホ)建物の取得価額合計に対する賃貸部分の割合に対応する金額)五、従つて、原告の係争年分の所得税は請求原因五記載のとおりとなる。(原告の反論に対する被告の答弁および反駁)一、原告の反論四(一)の事実については、(ロ)建物の一階および二階の各床面積を否認し、その余は認める。右一階の床面積は一九〇・一四平方メートルであり、二階のそれは四二・二一平方メートルである。二、同四(二)の事実については、原告が(ロ)建物の二階に居住し階下を昭和三五年八月ころから尾立商事(同四〇年一月三一日解散)に使用させていたことを認め、賃貸借関係を否認し、その余は不知。原告は、昭和三五年八月ころから(ロ)建物を原告の夫Bの主宰する同族会社である尾立商事に貸付けていたが、相当の対価を得て継続的に貸付けでいたもの(賃貸借関係)ではない。仮に、賃貸借契約があつたとするも、これは事業用資産の買換えの特例を受けるために通謀してなされた仮装行為である。三、同四(四)(五)は争う。ただし、同四(四)の租税特別措置法第三五条第一項に基づく計算方法は認める。第三証拠(省略)○ 理由一、請求原因一ないし四の各事実および同五のうち給与所得額、所得控除額、源泉徴収税額については、当事者間に争いがない。二、また、被告の主張三(一)の事実、同三(三)のうちa、b、cおよび(ハ)宅地と(ホ)建物の合計取得額、原告の反論四(一)の事実(但し、(ロ)建物の一、二階の各床面積を除く。)およ に争いがない。二、また、被告の主張三(一)の事実、同三(三)のうちa、b、cおよび(ハ)宅地と(ホ)建物の合計取得額、原告の反論四(一)の事実(但し、(ロ)建物の一、二階の各床面積を除く。 いては、当事者間に争いがない。二、また、被告の主張三(一)の事実、同三(三)のうちa、b、cおよび(ハ)宅地と(ホ)建物の合計取得額、原告の反論四(一)の事実(但し、(ロ)建物の一、二階の各床面積を除く。)およ に争いがない。二、また、被告の主張三(一)の事実、同三(三)のうちa、b、cおよび(ハ)宅地と(ホ)建物の合計取得額、原告の反論四(一)の事実(但し、(ロ)建物の一、二階の各床面積を除く。)および原告が(ロ)建物の二階に居住し階下を昭和三五年八月ころから尾立商事(同四〇年一月三一日解散)に使用させていた事実についても、当事者間に争いがない。三、そこで、原告主張の当時の租税特別措置法第三八条の六第一項(事業用資産の買換えの場合の課税の特例)の規定の適用の有無について検討する。(一) 前記二の争いのない事実によれば、本件譲渡資産である(イ)宅地が租税特別措置法第三八条の六第一項本文に規定する「事業」の用に供する資産に直接該当しないことは明らかであるから、同宅地が同条項括弧書の「事業に準ずるものとして政令で定めるもの」すなわち同法施行令第二五条の六第一項の「事業と称するに至らない不動産の貸付で相当の対価を得て継続的に行うもの」の用に供する資産に該当するか否かにつき考察することにするが、ここに「相当の対価を得て」とは、客観的に貸付資産の維持管理に要する必要経費を回収してなお相当の利益を生ずるような対価を得ているかどうかによつて判断するのが相当である。(二) 成立に争いのない乙第二、第三号証、第四ないし第七号証の各一、二、第八号証の一部、第九号証、証人C、同D、同Eの各証言、証人B、同Fの各証言の一部に前記争いのない事実を綜合すれば、(1)原告は尾立商事(事業種目、スタンドバー)に対し昭和三五年八月ころから(イ)宅地上の(ロ)建物の一部を貸し付けていたが、尾立商事(昭和四〇年一月三一日解散)から何ら賃料の支払を受けておらず、権利金の授受もないこと。(2)原告と尾立商事との間の右建物に関する昭和三八年八月一日付賃貸借契約書(甲第四号証)は、右 いたが、尾立商事(昭和四〇年一月三一日解散)から何ら賃料の支払を受けておらず、権利金の授受もないこと。(2)原告と尾立商事との間の右建物に関する昭和三八年八月一日付賃貸借契約書(甲第四号証)は、右双方の経理を担当していた税理士Fの助言を得て本件確定申告後である同四〇年四、五月ころ作成されたものであり、右契約書が作成されるまでは、右双方の間で賃料等賃貸借契約に関する具体的条件につき何の合意もなされていなかつたこと。 (昭和四〇年一月三一日解散)から何ら賃料の支払を受けておらず、権利金の授受もないこと。(2)原告と尾立商事との間の右建物に関する昭和三八年八月一日付賃貸借契約書(甲第四号証)は、右双方の経理を担当していた税理士Fの助言を得て本件確定申告後である同四〇年四、五月ころ作成されたものであり、右契約書が作成されるまでは、右双方の間で賃料等賃貸借契約に関する具体的条件につき何の合意もなされていなかつたこと。(3)原告は、係争年分の所得税に関する期限内確定申告書に不動産所得(家賃収入)を計上していないのに、昭和四〇年六月二四日に到り、右申告に申告洩れがあつたとして不動産所得(家賃収入)四五万九、〇〇〇円を追加した係争年分の修正確定申告書を提出し、あわせて、昭和三八年分所得税につき不動産所得(家賃収入)二一万六、〇〇〇円を追加した期限後確定申告書を提出したこと。(4)尾立商事は、昭和三五年八月一日から同三九年七月三一日までの各事業年度における法人税の確定申告書に添付された決算書類に右建物の賃借料の支払または未払を何ら計上していないのに、昭和四〇年六月二五日に到り、同社の同三九年八月一日から同四〇年一月三一日までの事業年度の法人税の確定申告書を提出し、その際の付属決算書類のうち、営業経費内訳書および地代家賃内訳書により右建物の昭和三八年八月分から同三九年一〇月分までの家賃として金八一万円を、買掛金(未払金)内訳書により原告に対する未払金として右家賃全額を、それぞれ一括計上したこと。(5)尾立商事は同族会社であり、代表取締役Bと原告とは夫婦であり、かつ、原告も尾立商事の取締役であつたことが各認められ、右事実を綜合すれば、原告の尾立商事に対する(ロ)建物(ひいては(イ)宅地)の貸付行為は、同族関係に由来する使用貸借であり、右当事者間の賃 り、かつ、原告も尾立商事の取締役であつたことが各認められ、右事実を綜合すれば、原告の尾立商事に対する(ロ)建物(ひいては(イ)宅地)の貸付行為は、同族関係に由来する使用貸借であり、右当事者間の賃貸借契約は事業用資産の買換えの特例を受けるために通謀してなされた仮装行為と認めるのが相当であり、以上の認定に反する証人Bの証言によつて成立の認められる甲第四号証、成立に争いのない乙第八号証の一部、証人B、同Fの各証言は採用せず、他に右認定に反する証拠はない。(三) よつて、右貸付行為をもつて「相当の対価を得て」継続的に行われていたものということはできないから、原告の係争年分の譲渡所得について、租税特別措置法第三八条の六第一項の課税の特例の規定の適用を認めることはできない。 めるのが相当であり、以上の認定に反する証人Bの証言によつて成立の認められる甲第四号証、成立に争いのない乙第八号証の一部、証人B、同Fの各証言は採用せず、他に右認定に反する証拠はない。(三) よつて、右貸付行為をもつて「相当の対価を得て」継続的に行われていたものということはできないから、原告の係争年分の譲渡所得について、租税特別措置法第三八条の六第一項の課税の特例の規定の適用を認めることはできない。四、そこでさらに、買換資産である(ホ)建物(ひいては(ハ)宅地)のうちいかなる範囲が租税特別措置法第三五条第一項の「居住用財産」に該当し、同法所定の課税の特例の扱いを受けるべきかを検討するに、右建物につき別紙計算表(1)の事実は当事者間に争いがなく、右事実によれば、一、二階賃貸部分(G、H)が事業用財産に、三階部分(C)が居住用財産に各該当することは明らかであるので、以下、争いのある一階階段部分(E)および二階階段・通路部分(F1)を居住用、事業用の各部分にいかに按分すべきかを考察する。一棟の事業用(賃貸用)兼居宅用の所謂兼用家屋を同一人が全体として所有する場合において、そのいかなる範囲が租税特別措置法第三五条第一項の「居住用財産」に該当するかを解釈するにあたつては、その規定の趣旨目的に照らして、実質的観点から、当該建物部分の本来の利用関係によるのが相当であり、この場合、「建物の区分所有等に関する法律」は、一棟の建物を数人が区分して所有する関係について、区分所有建物の権利 目的に照らして、実質的観点から、当該建物部分の本来の利用関係によるのが相当であり、この場合、「建物の区分所有等に関する法律」は、一棟の建物を数人が区分して所有する関係について、区分所有建物の権利関係とその建物の維持管理に関する関係を規定したものであるから、これを準用するのは相当でない。そしてこれを本件にみるに、原告は(ホ)建物の一、二階を賃貸し、三階に居住しているのであるから、一階階段部分(E)は本来二階賃貸部分(H)および三階居住用部分(C)のために、二階階段部分(F2)は本来三階居住用部分(C)のために、また、二階通路部分(F3)は、弁論の全趣旨によると階段を上昇下降する際に使用されるべき通路と認められるから、本来二階賃貸部分(H)および三階居住用部分(C)のために各利用されるべきものである(原告は右通路部分を全部居住用財産に加えるべき旨主張するが、右認定の事実によると、右通路部分は二階からの下降および一階からの上昇に際して二階賃貸部分のためにも利用されるべきものであるから、これを全部三階居住用部分に加えるべきではない)。 は、弁論の全趣旨によると階段を上昇下降する際に使用されるべき通路と認められるから、本来二階賃貸部分(H)および三階居住用部分(C)のために各利用されるべきものである(原告は右通路部分を全部居住用財産に加えるべき旨主張するが、右認定の事実によると、右通路部分は二階からの下降および一階からの上昇に際して二階賃貸部分のためにも利用されるべきものであるから、これを全部三階居住用部分に加えるべきではない)。そうであるから、一階階段部分(E)および二階通路部分(F3)を二階賃貸部分(H)および三階居住用部分(C)の面積に応じて各按分した三階居住用部分(C)に対応する按分面積、二階階段部分(F2)の面積および三階居住用部分(C)の面積の和をもつて、(ホ)建物の居住用総面積(K)とすべきであり、結局、(ホ)建物の合計延床面積(D)に対する居住用総面積(K)の割合(L)は、別紙計算表(3)のとおり、一九・八六パーセントとなる。五、したがつて、原告は、(イ)宅地を譲渡して(ハ)宅地および(ホ)建物を取得し、その取得の日から一年以内にその一部を居住の用に供したものであるから、居住の用に供した部分については租税特別措置法第三 五、したがつて、原告は、(イ)宅地を譲渡して(ハ)宅地および(ホ)建物を取得し、その取得の日から一年以内にその一部を居住の用に供したものであるから、居住の用に供した部分については租税特別措置法第三五条(居住用財産の買換えの特例)を適用して譲渡所得を算出すると次のとおりとなる。(1) (イ)宅地の譲渡価額四七、〇〇〇、〇〇〇円(2) (ハ)宅地および(ホ)建物の取得価額合計のうち居住用部分の割合に対する金額八、八二四、六一六円(44.434.121×0.1986)(3) (イ)宅地の取得価額二、七七八、六〇二円(4) (イ)宅地の譲渡に要した経費二、五三四、〇五五円(5) 譲渡所得金額三三、八六〇、二二〇円〔((1)-(2))-{((3)+(4))×((1)-(2))/(1)}〕(6) 租税特別措置法第三八条の二による特別控除三五〇、〇〇〇円(7) 旧所得税法第九条第一項による控除一五〇、〇〇〇円(8) 課税譲渡所得金額一六、六八〇、一一〇円〔((5)-(6)-(7))×5/10〕六、よって、原告の係争年分の申告納税額および過少申告加算税は次のとおりとなる。総所得金額一七、二一八、三六〇円給与所得五三八、二五〇円不動産所得 (3)+(4))×((1)-(2))/(1)}〕(6) 租税特別措置法第三八条の二による特別控除三五〇、〇〇〇円(7) 旧所得税法第九条第一項による控除一五〇、〇〇〇円(8) 課税譲渡所得金額一六、六八〇、一一〇円〔((5)-(6)-(7))×5/10〕六、よって、原告の係争年分の申告納税額および過少申告加算税は次のとおりとなる。総所得金額一七、二一八、三六〇円給与所得五三八、二五〇円不動産所得 一七、二一八、三六〇円給与所得五三八、二五〇円不動産所得〇円譲渡所得一六、六八〇、一一〇円所得控除金額一一七、五〇〇円課税総所得金額一七、一〇〇、八〇〇円算出税額八、〇五三、四四〇円源泉徴収税額五〇、七〇〇円申告納税額八、〇〇二、七四〇円修正申告との増差税額七、九一一、六九〇円過少申告加算税三九五、五五〇円七、以上の次第であるから、原告の請求は、主文第一項記載の範囲で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条但書を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官越川純吉丸尾武良三宅俊一郎)
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