- 1 -平成28年6月23日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第14093号著作権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成28年3月10日判決原告A同訴訟代理人弁護士松村譲被告青葉出版株式会社被告青葉図書株式会社上記両名訴訟代理人弁護士近藤夏同前原一輝主文 被告らは,原告に対し,連帯して253万9000円及びうち48万7500円に対する平成17年4月1日から,5万円に対する平成18年4月1日から,15万円に対する平成19年4月1日から,9万7500円に対する平成20年4月1日から,7万3000円に対する平成21年4月1日から,5万円に対する平成22年4月1日から,124万6000円に対する平成23年4月1日から,37万5000円に対する平成24年4月1日から,1万円に対する平成26年7月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 - 2 - 訴訟費用は,これを40分し,その1を被告らの,その余を原告の各負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 被告らは,別紙イラスト類目録記載の各イラスト類(以下,これらを「本件イラスト類」と総称し,それぞれを目録の番号に応じて「本件イラスト類1」などという。なお,本件イラスト類13-1及び13-2を併せて「本件イラスト類13」ということがある。)の複製又は翻案をしてはならない。 被告らは,本件イラスト類を掲載したまま,別紙書籍目録記載の各書籍(以下「本件書籍」と総称する。)及び別紙文書目録記載の各文書(以下「本件文書」と総称する。)を複製し,頒布してはならない。 被告らは,本件イラスト類を掲載し 載したまま,別紙書籍目録記載の各書籍(以下「本件書籍」と総称する。)及び別紙文書目録記載の各文書(以下「本件文書」と総称する。)を複製し,頒布してはならない。 被告らは,本件イラスト類を掲載した本件書籍及びこれを電子データで記憶したUSBメモリ,CD-R,パソコン内ハードディスク,印刷用データ,印刷用フィルム等一切を廃棄せよ。 被告らは,本件イラスト類を掲載した本件文書及びこれを電子データで記憶したUSBメモリ,CD-R,パソコン内ハードディスク,印刷用データ,印刷用フィルム等一切を廃棄せよ。 被告らは,原告に対し,連帯して,8153万4500円及び1395万7500円に対する平成17年4月1日から,438万5000円に対する平成18年4月1日から,431万円に対する平成19年4月1日から,610万円に対する平成20年4月1日から,590万6000円に対する平成21年4月1日から,651万2000円に対する平成22年4月1日から,3492万2000円に対する平成23年4月1日から,486万2000円に対する平成24年4月1日から,58万円に対する平成26年7月19日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 3 - 被告らは,別紙謝罪広告目録記載2の要領で同1の内容の謝罪広告を1回掲載せよ。 第2事案の概要本件は,原告が,被告らに対し,原告が被告らの依頼により本件イラスト類を作成し,被告らに提供したことに関して,①被告らによる本件書籍及び本件文書への本件イラスト類の使用が原告の許諾の範囲を超えるものであり,原告の著作権(複製権及び翻案権)の侵害に当たるとして,著作権法112条1項及び2項に基づく本件イラスト類の複製等の差止め並びに本件書籍及び本件文書の複製等の差止め及び廃棄と,民法709条,著作権法11 の著作権(複製権及び翻案権)の侵害に当たるとして,著作権法112条1項及び2項に基づく本件イラスト類の複製等の差止め並びに本件書籍及び本件文書の複製等の差止め及び廃棄と,民法709条,著作権法114条3項に基づく損害賠償金7105万2000円及び遅延損害金の連帯支払,②本件書籍及び本件文書の一部において本件イラスト類を改変し,原告の氏名を表示しなかったことが原告の著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害に当たるとして,民法709条,710条に基づく慰謝料280万円及び遅延損害金の連帯支払並びに謝罪広告の掲載,③原告のイラストが掲載されていない教材に原告の氏名を表示したことが氏名権侵害の不法行為に当たるとして,民法709条,710条に基づく慰謝料20万円及び遅延損害金の連帯支払,④上記①~③に係る弁護士費用690万2500円及び遅延損害金の連帯支払を求めるとともに,原告が被告らの依頼により修正した本件イラスト類13の修正料6万円及び使用料20万円並びに遅延損害金の連帯支払,原告が被告らの依頼により中途まで作成した未完成のイラスト類の製作料(予備的に契約解除による損害賠償金)32万円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 争いのない事実等(後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することのできる事実を含む。なお,特に記載する場合を除き書証の枝番号の記載は省略する。以下同じ。)当事者- 4 -ア原告は,イラスト類の作成等を業として行う者である。 イ被告らは,いずれも主として小学校で使用する学習教材を製作し,出版する株式会社であり,被告青葉図書株式会社は被告青葉出版株式会社の子会社である。なお,原告への本件イラスト類の作成依頼やその使用ないし著作権侵害等の行為の主体が被告らのいずれであるかは主張立証上判然と 株式会社であり,被告青葉図書株式会社は被告青葉出版株式会社の子会社である。なお,原告への本件イラスト類の作成依頼やその使用ないし著作権侵害等の行為の主体が被告らのいずれであるかは主張立証上判然としない部分が多いが,被告らにおいて明確に区別していないので,以下,被告らがその主体であり,また,共同不法行為等の責任を負うものとして判示することとする。 本件イラスト類の作成(甲1)原告は,平成15年頃~平成22年頃,被告らの依頼により,別紙X様依頼イラスト一覧(「X」は原告の旧姓)の番号1~19の「依頼出版物」及び「学年」欄記載の被告らの教材に使用するイラスト類として,本件イラスト類を作成して被告らに納品し,被告らから別紙1-1の「被告の主張」の「使用料支払いについて」欄に記載の使用料の支払を受けた(ただし,本件イラスト類3及び5~8につき原告は金額を争っている。)。 本件イラスト類は,いずれも原告が創作した著作物であり(なお,被告らは本件イラスト類6のうち堀以外の部分が原告の創作であることを争うが,堀の部分の著作物性は認めており,本件イラスト類6が原告の著作物であること自体は当事者間に争いがない。),原告はこれらにつき著作権及び著作者人格権を有する。 被告らによる本件イラスト類の使用(甲13~35,47~49)被告らは,本件イラスト類を別紙1-1のとおり本件書籍に,同1-2のとおり本件文書に使用した(なお,被告らは本件イラスト類6につき別紙1-1の通し番号6-6・7の使用を争うが,証拠(甲18,62)及び弁論の全趣旨によりこれを使用したものと認める。)。 本件書籍は被告青葉図書株式会社を著作権者・発行者として,被告青葉出- 5 -版株式会社を発行所として発行された資料集,作業帳,テスト等の教材であり,本件文書はその広告宣伝のためのチラシ る。)。 本件書籍は被告青葉図書株式会社を著作権者・発行者として,被告青葉出- 5 -版株式会社を発行所として発行された資料集,作業帳,テスト等の教材であり,本件文書はその広告宣伝のためのチラシ類である。 教科書の改訂(証人B)被告らが発行する本件書籍等の教材は小学校で使用される教科書に準拠したものであり,教科書の発行会社は複数ある。また,教科書はおおむね4年ごとに改訂されるところ,本件イラスト類の多くは平成17年度改訂の教科書に準拠した教材に掲載するために作成されたものであるが,その後,平成23年度及び平成27年度に教科書が改訂された。 原告の氏名表示等本件書籍の中には,原告の氏名が表示されていないもの(別紙2-1の原告の主張欄に「氏名表示無し」と記載されたもの)及び誤った漢字で表示されたもの(同別紙の通し番号13-5)がある。また,本件文書には,いずれも原告の氏名が表示されていない。一方,平成23年度及び平成24年度の理科学習ノート・3年生には,原告の作成したイラスト類が使用されていないのに,イラスト作成者として原告の氏名が表示されていた。 本件イラスト類13の修正被告らは,平成22年頃,原告に対し,本件イラスト類13-1の修正を依頼し,原告はこれに応じて本件イラスト類13-2を作成し,被告らに納品した。本件イラスト類13-2は平成23年度社会科資料集・5年生に使用された(別紙1-1の通し番号13-5)。 未完成作品被告らは,原告に対し,武士の館,貴族の館及び太閤検地を題材とする作品の作成を依頼したが,これらはいずれも完成されなかった(以下,これら3作品を「本件未完成作品」と総称する。)。 争点 被告らによる原告の著作権及び著作者人格権の侵害の有無(なお,被告ら- 6 -は本件書籍に係る氏名表示権侵害及び氏名権の侵害は認 (以下,これら3作品を「本件未完成作品」と総称する。)。 争点 被告らによる原告の著作権及び著作者人格権の侵害の有無(なお,被告ら- 6 -は本件書籍に係る氏名表示権侵害及び氏名権の侵害は認めている。)ア本件文書における本件イラスト類の複製又は翻案の有無イ本件イラスト類の使用についての原告の許諾の範囲(なお,被告らは,平成23年度以降の使用につき許諾がないことを認めている。)ウ同一性保持権侵害の成否原告の損害額ア著作権侵害についてイ著作者人格権侵害についてウ氏名権侵害についてエ弁護士費用について差止め及び廃棄請求並びに謝罪広告掲載請求の当否本件イラスト類13の修正に係る請求の当否本件未完成作品に係る請求の当否 争点に関する当事者の主張別紙1-1は本件書籍,同1-2は本件文書に係る複製権について,同2-1は本件書籍,同2-2は本件文書に係る翻案権並びに氏名表示権及び同一性保持権について,それぞれ侵害の成否及び損害額に関する当事者の主張を整理したものである。 争点 ア(本件文書における本件イラスト類の複製又は翻案の有無)について(原告の主張)本件文書には本件書籍の一部が縮小されて本件イラスト類を認識することができる形で掲載されているから,本件イラスト類の創作性のある部分を再現するものとして複製又は翻案が成立する。 (被告らの主張)本件文書は,いずれも販促物であり,本件イラスト類が使用された本件書- 7 -籍の一部をテスト等の内容見本としてごく小さく掲載しているにすぎず,原告の著作物の創作性のある表現部分の再現があるとはいえない。したがって,本件文書については著作権侵害も著作者人格権侵害も成立しない。 争点 イ(本件イラスト類の使用についての原告の許諾の範囲)について(原告の主張)ア原告は,被告 再現があるとはいえない。したがって,本件文書については著作権侵害も著作者人格権侵害も成立しない。 争点 イ(本件イラスト類の使用についての原告の許諾の範囲)について(原告の主張)ア原告は,被告らからイラスト類の作成の依頼を受けるに当たり,被告らの担当者に対し,原告が作成するイラスト類の使用許諾は納品の際に掲載を予定している教材のみ,かつ,単年度限りであること,再使用は認めておらず,仮に再使用を認める場合の料金は当初の使用料と同一であることを伝え,上記担当者はこれを了解した。平成16年4月に被告らからこれと異なる内容の覚書案が送付されたが,原告はその締結を拒否しており,原告と被告らの間には上記了解された内容の合意が成立している。原告はCGを用いて本件イラスト類を作成したところ,CG技術は日進月歩であり,教科書の改訂まで数年間も同じイラスト類が掲載されると原告の評価を落とすことになるから,原告がそのような許諾をすることはない。 したがって,別紙1-1記載の本件書籍における本件イラスト類の使用は,原告の許諾なくこれを複製又は翻案したものであって,原告の著作権を侵害する。 イ原告は,本件イラスト類を作成して被告らに提供するに際し,チラシ等の販促物に利用されることを想定しておらず,これらへの使用を許諾したことはないから,本件文書についても著作権侵害が成立する。 (被告らの主張)本件書籍は小学校で使用される教材であり,これに掲載する著作物については教科書が改訂されるまで継続して使用されることが当然の前提とされ,教材会社は次回改訂までの期間につき著作権者から一括して許諾を受けて教材を作成している。この使用許諾に当たっては,同一学年を対象とし,かつ,- 8 -教科書の改訂年度が同一の教材については,準拠する教科書や教材の発行年度を区別せずに 権者から一括して許諾を受けて教材を作成している。この使用許諾に当たっては,同一学年を対象とし,かつ,- 8 -教科書の改訂年度が同一の教材については,準拠する教科書や教材の発行年度を区別せずに許諾の対象とされる。また,見本やチラシ等への使用は教材作成に当然付随するものなので,許諾の対象に含まれる。このような使用許諾の対象及び使用料の支払について,被告らは本件イラスト類の作成依頼時に原告に説明し,原告はこれを了解していた。仮に本件イラスト類を長期間使用できず,他の教材への転用も認められず,さらに,再使用料が当初の使用料と同額になると聞いていれば,被告らは原告と取引をしなかった。 したがって,教科書が改訂された平成23年度より前の本件イラスト類の使用については原告の許諾があるから,著作権侵害は成立しない。 争点 ウ(同一性保持権侵害の成否)について(原告の主張)原告は,本件イラスト類の作成に当たり,被告らから指定された掲載箇所及びサイズを基に,これに合う構図及び精度とし,イラスト全体の調和を考慮して配色を決めている。したがって,イラスト類のサイズや色彩を変更し,あるいは一部をカットする行為は,イラスト類としての美術的バランスを著しく害することになるから,同一性保持権の侵害となる。 (被告らの主張)本件イラスト類は,小学校の理科や社会の単元に出てくる様々な学習事項を小学生に分かりやすく示すためのものであるから,教材としての使用に適するように配色やサイズ等を適宜修正する必要があることは,教材という性質及び使用の態様から当然想定されるし,それによって原告の評価が低下することもないから,同一性保持権侵害は成立しない。 争点 (原告の損害額)について(原告の主張)ア著作権侵害について原告が再使用を許諾するとした場合の使用料は,書籍等の種類 て原告の評価が低下することもないから,同一性保持権侵害は成立しない。 争点 (原告の損害額)について(原告の主張)ア著作権侵害について原告が再使用を許諾するとした場合の使用料は,書籍等の種類ごと,複- 9 -数年にわたるときは年度ごと,準拠する教科書が異なれば教科書ごとに発生し,1回当たりの額は当初の使用料と同額である。現に原告は他社から再使用の対価として当初の使用料と同額の支払を受けており,被告らが主張するような業界の慣習は知らない。また,本件イラスト類19の使用料は,同サイズの商業用ポスターであれば通常300万円を下らないから,1回当たり150万円が相当である。被告らの複製権侵害に対する相当使用料の額は,本件書籍につき別紙1-1,本件文書につき同1-2の各「原告の掲載対応表の記載・主張」の「著作権侵害による損害額」欄記載のとおりであり,合計7105万2000円となる。 そして,被告らは,許諾のないことを知りながら,又は少なくとも過失により許諾があると誤信して,著作権侵害行為に及んだものである。 よって,原告は,被告らに対し,民法709条,著作権法114条3項に基づき,著作権(複製権ないし翻案権)侵害による損害賠償金7105万2000円及び各年度の損害額(別紙年度別計算表(原告主張)のとおり,平成17年度405万5000円,平成18年度438万5000円,平成19年度431万円,平成20年度610万円,平成21年度590万6000円,平成22年度651万2000円,平成23年度3492万2000円,平成24年度486万2000円)に対する当該年度分の出版の日(各年4月1日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 イ著作者人格権侵害について被告らは,本件書籍について別紙2-1,本件文書に 対する当該年度分の出版の日(各年4月1日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 イ著作者人格権侵害について被告らは,本件書籍について別紙2-1,本件文書について同2-2のとおり長年にわたり本件イラスト類に係る原告の著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)を侵害したから,その慰謝料は280万円を下らない。 なお,遅延損害金は,本件書籍のうち平成17年度のものが出版された平成17年4月1日から付されるべきであり,利率は民法所定の年5分であ- 10 -る(下記ウ及びエの遅延損害金についても同じ。)。 ウ氏名権侵害について原告は無断で氏名を使用されない氏名権を有しているところ,被告らによる本件の氏名権侵害についての慰謝料は20万円を下らない。 エ弁護士費用について被告らの著作権侵害行為により,原告は弁護士に委任して訴訟追行することを余儀なくされた。被告らの不法行為と相当因果関係のある損害は,着手金36万7500円,実費3万5000円,報酬650万円の合計690万2500円を下らない。 (被告らの主張)ア著作権侵害について教材業界においては,当初予定されていた教材と異なる形態の教材に著作物を転用する場合及び教科書の改訂後に著作物を再使用する場合,初回の代金の1~2割を支払うのが慣習である。初回の代金にはイラスト作成費と教科書の改訂までの使用料が含まれており,既存のイラスト類を使用するにすぎない再使用料がこれと同額となることはあり得ない。また,大型ポスターに使用するだけで再使用料が150万円になることもない。さらに,チラシ等への掲載は,それ自体は商品でなく教材に付随するものにすぎないから,再使用料が発生することはない。 本件書籍による著作権侵害に係る使用料相当損害金の額についての被告らの主張は ない。さらに,チラシ等への掲載は,それ自体は商品でなく教材に付随するものにすぎないから,再使用料が発生することはない。 本件書籍による著作権侵害に係る使用料相当損害金の額についての被告らの主張は,別紙1-1の「損害額(被告試算)」欄記載のとおりであり,再使用料を初回使用料の20%とし,当初掲載された教材については平成22年度まで再使用料が発生せず,他の教材についても同一の版であれば再使用料は発生しないものとして計算すると,被告らが支払うべき金額は多くとも合計43万1600円となる。 イ著作者人格権侵害について- 11 -市販されずに学校現場で使用される教材であるという本件書籍の性質に照らせば,氏名表示権侵害による損害額は,別紙2-1の「氏名表示権侵害(被告試算)」欄記載のとおり,多くとも33万円である。 ウ氏名権侵害について原告のイラスト類が掲載されていない教材に原告の氏名を表示したことにより原告に精神的損害が発生したとしても,上記イのような教材の性質に照らせば,その額が5万円を超えることはない。 エ弁護士費用について争う。 争点 (差止め及び廃棄請求並びに謝罪広告掲載請求の当否)について(原告の主張)被告らは,原告が本件イラスト類の無断使用を指摘した後もこれを掲載した本件書籍及び本件文書の複製及び頒布を続けており,将来同様の著作権侵害行為に及ぶおそれが高い。そして,著作権侵害部分は本件書籍等の中に点在しており,当該部分を除いては出版物として成立しないから,本件書籍等の頒布等の差止め及び廃棄が必要である。また,本件における著作者人格権侵害の経過等に鑑みれば,謝罪広告の掲載が認められるべきである。 (被告らの主張)争う。被告らは現在本件イラスト類を掲載した書籍等を発行しておらず,在庫も有していないから,差止めの必要はない。 格権侵害の経過等に鑑みれば,謝罪広告の掲載が認められるべきである。 (被告らの主張)争う。被告らは現在本件イラスト類を掲載した書籍等を発行しておらず,在庫も有していないから,差止めの必要はない。 争点 (本件イラスト類13の修正に係る請求の当否)について(原告の主張)被告らは原告に対し本件イラスト類13-1の修正を依頼し,原告はこれに応じて修正を行い本件イラスト類13-2を納品したが,被告らはこれを使用しながら代金を支払わない。なお,原告は被告らから依頼された作業を終了しており,契約を解除することはあり得ない。 - 12 -よって,原告は被告らに対し,修正料6万円及び使用料20万円並びにこれらに対する平成26年6月26日付け訴状訂正申立書の送達日の翌日である同年7月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (被告らの主張)被告らは,作業料及び使用料として3万円を提示し,原告はこれに基づき修正を行ったから,原告と被告らの間には対価を3万円とする契約が成立した。ところが,その後,原告は,被告らからの要求にもかかわらず請求書を送付せず,イラスト類を使用してほしくない旨述べて上記契約を解除したから,被告らに対価の支払義務はない。 争点 (本件未完成作品に係る請求の当否)について(原告の主張)原告は,被告らから本件未完成作品の動画の作成を依頼され,「貴族の館」及び「武士の館」につき図面入力ソフト(CAD)によるイラストの360度全方位の寸法の入力等,「太閤検地」につきフラッシュムービーの背景となる止め絵の作成等を終えた。被告らからは,これら動画の製作費は1000万円以内にするよう求められていた。しかし,被告らは,その後原告との協議を拒否し,上記動画の作成契約を一方的に解除した。 よって,原告は,被 作成等を終えた。被告らからは,これら動画の製作費は1000万円以内にするよう求められていた。しかし,被告らは,その後原告との協議を拒否し,上記動画の作成契約を一方的に解除した。 よって,原告は,被告らに対し,途中までの製作費(予備的に被告らの契約解除による損害賠償金)として,「貴族の館」及び「武士の館」につき各10万円,「太閤検地」につき12万円並びにこれらに対する前記と同様の遅延損害金の連帯支払を求める。 (被告らの主張)被告らは原告に対し動画の作成を依頼していない。被告らが原告に対し通常のイラストの作成を依頼したところ,「貴族の館」及び「武士の館」については簡単なラフが1回提示されたのみ,「太閤検地」についてはラフの提- 13 -出もないまま,原告が被告らに対しイラスト類を使用してほしくない旨述べて契約を解除した。したがって,被告らには本件未完成作品に関する支払義務はない。 第3当裁判所の判断 争点 ア(本件文書における本件イラスト類の複製又は翻案の有無)について本件イラスト類4~6及び11が本件文書に用いられていることは争いがなく(別紙1-2及び2-2),原告がこれらにつき著作権及び著作者人格権の侵害を主張するのに対し,被告らは,本件文書には本件イラスト類の創作性のある表現が再現されていないので複製又は翻案に当たらず,著作者人格権侵害も成立しない旨主張する。 そこで判断するに,前記争いのない事実等に加え,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件文書はいずれも被告らが販売するテスト類を宣伝するチラシ等の販促物であり,本件イラスト類4~6及び11を使用したテスト等の一部が宣伝文句及び他のテスト等と共に本件書籍の内容の見本として掲載されている。(甲24~35)イ本件イラスト類4は,木のクワ 等の販促物であり,本件イラスト類4~6及び11を使用したテスト等の一部が宣伝文句及び他のテスト等と共に本件書籍の内容の見本として掲載されている。(甲24~35)イ本件イラスト類4は,木のクワ,鉄のカマ等の道具5点を描いたものであり,そのうち矢じり,石おの及びもりを描いた部分が本件文書(平成21年度及び翌年度の社会科テスト及びプレテストの宣伝紙及び表紙)に用いられている。この部分の大きさは元来約86×57mm(横×縦。以下同じ。)であるが,本件文書では約12×13mm又はそれ以下に縮小されているため,矢じり等の全体的な形状は認識し得るが,細部の陰影等を覚知することはできない。(甲16,27,29,30)ウ本件イラスト類5は,吉野ヶ里遺跡の再現想像図であり,元来約117×66mmの大きさで,遺跡の柵内に多数の物見やぐら,住居等の建造物- 14 -が,柵外に森林等の背景が描かれている。本件文書(平成17年度社会科テストの宣伝紙)には,そのうち右下(右から3分の2程度,下から5分の2程度)の住居及び柵の一部が描かれた部分のみが(その余は文字等で覆われている。),約20×7mmに縮小されている。(甲17,24)エ本件イラスト類6は,大仙古墳(仁徳天皇陵)を上空から見たものであり,原告が,被告らから提供された航空写真を素材とし,堀の部分を青く着色して水面に白い雲が反射しているように描くなどの修正を施して作成したものであって,古墳の縦軸は右方に傾斜している。本件イラスト類6は,当初,本件書籍のうち平成17度社会科資料集・6年生に,縦軸を垂直にし,古墳の周囲を一部省略して約70×63mmの大きさで用いられたところ,本件文書(平成20年度~24年度社会科テスト又はプレテストの宣伝紙及び表紙)では,その一部を文字等で覆った上で約43×50 にし,古墳の周囲を一部省略して約70×63mmの大きさで用いられたところ,本件文書(平成20年度~24年度社会科テスト又はプレテストの宣伝紙及び表紙)では,その一部を文字等で覆った上で約43×50mm若しくはそれ以下に,又は覆われた部分はないが約28×37mm若しくはそれ以下に縮小されている。また,堀の部分は原告作成のものより濃い青色となっており,雲の全部ないし大部分は省略されている。(甲8,18,26,28,31~35,39,62,乙15,証人E)オ本件イラスト類11は,大陸棚の断面図であり,海中には多数の魚,海草等が,海面の上方には陰影を施した雲が描かれている。本件文書(平成18年度社会科テストの宣伝紙)では,右下部分が文字等で覆われた上,元来の大きさ約66×28mmが約18×7mmに縮小されているため,魚の存在や雲の陰影等をはっきりと覚知することができない。(甲25)本件イラスト類4~6及び11は美術の著作物に当たると解されるところ,これにつき複製又は翻案を認めるためには,原告の創作した表現上の特徴部分が本件文書において再現され,又はこれを直接感得できることを要する。 そして,これらイラスト類に描かれた対象物が実在の道具や古墳,広く知られた遺跡や周知の地形であることに照らせば,その表現上の特徴部分は,本- 15 -件イラスト類4及び11においては矢じり等又は大陸棚の全体的な形状ではなく細部に施された陰影等に,同5においては全体の構図及び住居,柵等の細部の表現に,同6においては堀の部分の着色及び雲の描写に認め得るにとどまると解される。ところが,上記認定のとおり,本件文書ではこれらイラスト類が縮小されるなどしており,細部の陰影等の表現は感得できず(本件イラスト類4,5及び11),全体の構図は見て取れず(同5),また,堀の色等 。ところが,上記認定のとおり,本件文書ではこれらイラスト類が縮小されるなどしており,細部の陰影等の表現は感得できず(本件イラスト類4,5及び11),全体の構図は見て取れず(同5),また,堀の色等も異なる(同6)というのである。そうすると,本件文書において本件イラスト類4~6及び11が複製又は翻案されているということはできないと判断するのが相当である。 以上によれば,本件文書につき被告らによる著作権(複製権,翻案権)の侵害を認めることはできない。また,著作権侵害があることを前提とする著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)の侵害も認められない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件文書に関する原告の請求は全て理由がない。 争点 イ(本件イラスト類の使用についての原告の許諾の範囲)について本件イラスト類は別紙1-1記載のとおり本件書籍に使用されているところ,これが著作権法上の複製に当たること,平成23年度以降の使用につき原告の許諾がなく,複製権侵害が成立することを被告らは争っていない(なお,原告は翻案権侵害の主張もするが,本件書籍において,本件イラスト類に修正,増減,変更等が加えられて新たな思想又は感情を表現した別の著作物が創作されていると具体的に主張するものでなく,明らかに失当である。)。そこで,平成22年度以前の本件書籍への本件イラスト類の使用を原告が許諾していたかにつき,以下,検討する。 前記争いのない事実等に加え,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告は,平成15年頃,編集会社の社長Cの紹介により,被告らから教- 16 -材用イラストの作成を初めて依頼され,これに応じて「江戸の長屋」のイラストを作成して納品した。このイラストは平成16年度社会科資料集・6年生のみに使用された。 紹介により,被告らから教- 16 -材用イラストの作成を初めて依頼され,これに応じて「江戸の長屋」のイラストを作成して納品した。このイラストは平成16年度社会科資料集・6年生のみに使用された。(甲47,50,54,原告本人)イ原告は,上記イラストの作成後,被告らから平成17年度社会科資料集・6年生に使用するイラスト「遣唐使の旅」の作成を依頼され,これに応じて本件イラスト類9を作成し,平成15年11月までに被告らに納品した。原告は,被告らの要望を受けて,使用料の請求書に上記教材の年度,教科名,種目,学年等を明記した。(甲9の1,54,原告本人)ウ原告と被告らの編集課長D及び従業員Bは,平成16年4月20日頃,上記Cの立会いの下で面談し,原告が作成するイラスト類の使用条件につき話し合った。Dらは,原告に対し,被告らがイラスト作成を依頼している他のイラストレーター等と同様に,①準拠する教科書会社の異なる同一書名,同一学年,同一年度の教材にイラストを使用することができ,トリミングの有無及び回数にかかわらず,1回分の使用料を支払う,②教科書の全面改訂が行われない限り,年度が異なっても同教材中のイラストを継続して使用できる,③イラストの使用料は被告らの査定額とするが,異議があるときは誠意を持って協議する,④他教材,他学年,教科書の全面改訂が行われても新版発行されずに継続発行する教材については,上記③の使用料に対して2次使用の場合は20%,3次使用以降の場合は10%の使用料を支払う旨提案したが,再使用について合意するに至らず,原告はDらに対して提案内容を文書化するよう求めた。Dが覚書の案を作成して同月30日に原告に対しメールで送信したところ,原告は再使用及びその場合の料金額について承諾できない旨電話で回答した。Dは,翌月28日に原告に 提案内容を文書化するよう求めた。Dが覚書の案を作成して同月30日に原告に対しメールで送信したところ,原告は再使用及びその場合の料金額について承諾できない旨電話で回答した。Dは,翌月28日に原告にメールを送信し,原告の意向に従って再利用禁止とするのでは後に支障を生じかねず,「幸い再利用までには時間も在ります」として,引き続き検討することを求めた。(甲37,52,54,64,乙2,13,- 17 -14,証人B,原告本人)エ原告は,平成17年度以降の特定の教材(別紙X様依頼イラスト一覧の番号1~8,10~13-1及び14~18の各「依頼出版物」及び「学年」欄に記載のもの)に使用するイラスト類の作成を求める被告らの依頼に応じて,平成16年6月頃までに本件イラスト類3及び5~8を,同年8月頃までに同14~16を,同年9月頃までに同1,2,10及び11を,平成17年3月頃までに同4を,同年11月頃までに同12及び13-1を,平成18年10月頃までに同17及び18をそれぞれ作成して被告らに納品した。なお,原告はこれらのイラスト類に係る請求書に教材の年度,種別等を記載しなかった。また,この間に原告と被告らが本件イラスト類の使用条件について協議することはなかった。(甲1,9の2,10,乙6~9,15,証人E,原告本人)オ被告らの発行する教材が準拠する小学校の教科書については,おおむね4年ごとに改訂されていたことから,平成17年度改訂の次は平成21年度に改訂されると見込まれていたが,同年度に改訂は行われなかった。被告らは,原告の作成した上記イ及びエの本件イラスト類を,当初の依頼に係る年度の翌年度以降の同一書名及び同一学年の本件書籍に使用し,さらに,当初の依頼に係る教材とは別の教材に使用した(例えば,資料集のために作成を依頼したイラスト類を の本件イラスト類を,当初の依頼に係る年度の翌年度以降の同一書名及び同一学年の本件書籍に使用し,さらに,当初の依頼に係る教材とは別の教材に使用した(例えば,資料集のために作成を依頼したイラスト類をテストに使用した)が,その旨を原告に連絡することはなかった。本件書籍は,小学校に一括して納入される教材であり,一般の書店では販売されないため,原告がこれら使用の事実を知ることはできなかった。(証人B,原告本人)カ被告らの従業員Fは,平成22年8月,原告に対し,平成23年度理科学習ノート・4年生に使用するイラストの作成を依頼し,原告はこれに応じて平成22年11月までに本件イラスト類19を完成させて納品した。 また,同従業員は,その頃,原告に対し,本件イラスト類12及び13-- 18 -1を,後者については一部修正した上で,平成23年度の教材に使用することを申し入れ,原告はこれに応じて後者を修正した本件イラスト類13-2(本件イラスト類13-1に「いけす」を追加し,一部船舶等の位置を移動させたもの)を作成して納品した。これらの使用料につき,同従業員が原告に対し本件イラスト類19が17万円,同12が1万3000円(なお,当初の使用料は13万円),同13-2が修正料を含め3万円(同20万円)である旨連絡したところ,原告は本件イラスト類19の請求書のみを被告らに送付した。(乙5,8,10,12)キ被告らは,平成23年度の教科書改訂に合わせた教材の改訂作業に当たり,本件イラスト類12及び13については上記カのとおり原告に対し再使用を申し入れ,料金額を提示したが,本件イラスト類1~9については,原告へ知らせることなく,平成23年度の教材に使用した(別紙1-1)。 原告は,このような使用の事実に加え,上記オのとおり平成22年度以前にも本件イラスト類が したが,本件イラスト類1~9については,原告へ知らせることなく,平成23年度の教材に使用した(別紙1-1)。 原告は,このような使用の事実に加え,上記オのとおり平成22年度以前にも本件イラスト類が当初の作成依頼に係る教材以外に多数使用されていたことを知り,平成23年初め頃以降,被告らに対し,本件イラスト類の使用状況を明らかにするよう求めたが,被告らによる調査が難航し,十分な回答を得られなかった。また,イラスト類の使用条件について同年8月17日に前記ウの従業員B宛にメールを送信し,「平成17年度から2次使用についての,はっきりした取り決めもないまま進行してます」,「平成17年度の時点で,まだ4年先のことなので,それまでに詳細を煮詰め協議してきめなくてはならないものが,無いままです」と告げ,被告らの回答を速やかに示すよう求めた。その後,原告と被告らの間でこれらの点に関し電話やメールのやり取りがされたものの,本件イラスト類の使用状況が明らかとならず,使用条件の合意にも至らなかったため,原告は,同年11月16日,同従業員宛のメールにより,今後被告らに新たなイラスト類は供給しないこと,本件イラスト類19を含め「納入済みで4年の任- 19 -期を満了してないもの」はその間の利用は認めるが,延長はしないことを告知した。これに対して被告らが新たな覚書案を提示する,取締役名義で詫び状を出す,使用状況の調査を続けその結果を報告するなどしたものの,原告と被告らの関係が改善することはなく,被告らは平成24年度の教材への本件イラスト類1,2,4,6及び19の掲載をもって本件イラスト類の使用を取りやめた。(甲38,43,44,59~61,63,乙1,11,原告本人)上記事実関係によれば,原告と被告らは平成16年4月~5月頃に原告の作成するイラスト類の使用 もって本件イラスト類の使用を取りやめた。(甲38,43,44,59~61,63,乙1,11,原告本人)上記事実関係によれば,原告と被告らは平成16年4月~5月頃に原告の作成するイラスト類の使用条件につき協議し,被告らが,①準拠する教科書会社が異なっても同一書名,同一学年,同一年度の教材であればイラストを使用でき,その場合の使用料は1回分とする,②教科書の全面改訂が行われるまではイラストを継続して使用できる,③使用料は被告らの査定額とするが,原告に異議があるときは協議する,④当初イラストの作成を依頼した教材とは別の教材若しくは別の学年又は教科書の全面改訂が行われた後も継続して発行する教材については,上記③の使用料の20%又は10%の使用料を支払う旨提案したのに対し,原告は再使用に関して被告らの提案を拒否したというのであり(前記ウ),これは上記提案のうち④の点は承諾できないが,①~③の点,すなわち,作成を依頼された教材については,準拠する教科書が改訂されるまで,翌年度以降も追加の使用料の支払なしに被告らがそのイラスト類を使用することを許諾したものとみることができる。このことは,原告が,再使用まで時間がある旨のメールを受けた後,再使用の条件(許諾の要否,再使用料の額等)について協議しないまま被告らの依頼に応じてイラスト類の作成を続けたこと(同エ),再使用は「4年先」であるとの認識を示しており,平成22年に作成した本件イラスト類19につき「4年の任期」を認めていること(同キ),この4年とは,次の教科書改訂までの通常の期間と解されること(同オ)から裏付けられる。したがって,原告- 20 -が複製権侵害を主張する本件イラスト類の使用のうち当初依頼された教材につき教科書の改訂がされるまでの期間に係る部分(例えば,社会科資料集・6年生のた から裏付けられる。したがって,原告- 20 -が複製権侵害を主張する本件イラスト類の使用のうち当初依頼された教材につき教科書の改訂がされるまでの期間に係る部分(例えば,社会科資料集・6年生のために作成した本件イラスト類1の平成22年度までの同資料集への使用,別紙1-1の通し番号1-1~7。社会科テスト・5年生のために作成した本件イラスト類10の平成18年度までの同テストへの使用,同10-1~3)については,原告の許諾があるものとして,複製権侵害は成立しないと解するのが相当である。 他方,教科書が改訂された平成23年度以降については許諾があるとは認められないから,当初作成を依頼された教材(例えば,本件イラスト類1の平成23年度社会科資料集・6年生への使用。別紙1-1の通し番号1-8)及びそれ以外の教材(例えば,同イラスト類の社会科作業帳・6年生及び同別冊資料への使用。同1-9~12)のいずれについても複製権侵害が成立する。また,当初作成を依頼された教材以外の教材への平成22年度以前の使用(例えば,社会科資料集・6年生のために作成された本件イラスト類3の社会科テスト・6年生への使用。同3-7~30)も,被告らが原告に知らせることなく(前記オ),使用料の支払もしなかったのであるから,原告の許諾があるとはいえず,複製権侵害と評価すべきものである。 これに対し,原告は,CG技術は進歩が早く同じイラストを数年間使用すると陳腐化して原告の評価が下がるので複数年の使用を許諾することはないなどとして,原告による当初の許諾は単年度のみであった旨主張するが,以上の説示に照らし,これを採用することはできない。 争点 ウ(同一性保持権侵害の成否)について原告は,別紙2-1のとおり,本件書籍に使用された本件イラスト類1~6につきサイズの変更(縮小),色 上の説示に照らし,これを採用することはできない。 争点 ウ(同一性保持権侵害の成否)について原告は,別紙2-1のとおり,本件書籍に使用された本件イラスト類1~6につきサイズの変更(縮小),色の変更及びトレーミング(トリミング。 イラストの一部のカット)を行ったこと,本件イラスト類19につき大型ポスターとした上でシールを貼るための丸枠内に別の画像をはめ込んだことが- 21 -原告の同一性保持権を侵害する旨主張する。 そこで判断するに,まず,本件イラスト類1~6については,証拠(甲13~18)及び弁論の全趣旨によれば,原告主張のとおり大きさの変更等がされたと認められる一方,これらイラスト類は,小学校の社会科の授業で用いる教材のために紺瑠璃杯,五弦琵琶,安土城と城下町,矢じり等の道具,吉野ヶ里遺跡及び大仙古墳を描いたものであり,独立して観賞の対象とされるのではなく,他の多数のイラストや図表等と共に教材に掲載されること,カットされたのは安土城周辺の風景,木のクワの柄の一部,吉野ヶ里遺跡のうち左方の住居及び柵,大仙古墳周辺の住宅地等であり,サイズ変更及び一部カットの後も描かれた対象が安土城等であると認識できること,カラーからモノクロ又は2色刷りに変更されたのは社会科作業帳・6年生別冊資料などごく一部であること,以上の事実が認められる。 上記事実関係によれば,本件イラスト類の作成に当たっては,学習対象への児童の関心を引いて理解を深めるという教材の目的や,教材の限りある紙面に多数のイラスト等を掲載するという利用態様に照らし,掲載箇所の紙幅等を考慮してサイズや色を変更したり,一部をカットしたりすることが当然に想定されていたとみることができる。そうすると,本件イラスト類1~6につき上記のようにサイズを変更するなどした被告らの行為は同一性保持権の サイズや色を変更したり,一部をカットしたりすることが当然に想定されていたとみることができる。そうすると,本件イラスト類1~6につき上記のようにサイズを変更するなどした被告らの行為は同一性保持権の侵害に当たらないと判断するのが相当である。 次に,本件イラスト類19についてみるに,証拠(甲23,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,本件イラスト類19は,A4判の理科学習ノートの口絵部分に見開き(ほぼA3判の大きさ)で掲載するものとして,原告が被告らの依頼により作成したこと,動植物の四季の変化の様子を1枚に描いたものであり,シールを貼るための円形の枠が十数か所設けられていること,被告らは,これをA1判相当に拡大した上,上記の枠に替えて別の画像をイラスト中に埋め込んで,授業で使用できる掲示用資料(ポスター)を作成した- 22 -ことが認められる。 上記事実関係に照らすと,本件イラスト類19に加えられたサイズ及び画像の変更は,学習用教材であることを考慮しても,その内容及び程度に照らし原告の意に反する改変というほかない。したがって,本件イラスト類19については同一性保持権侵害が成立すると判断すべきものである。 争点 (原告の損害額)について著作権侵害について原告は被告らによる複製権侵害行為につき著作権法114条3項に基づき損害賠償を求めるところ,その額は,侵害と認めるべき回数に,1回当たりの使用料相当額を乗じて算定すべきものである。 ア侵害の回数につき,別紙1-1のとおり,原告は教材の種類ごと,年度ごと及び準拠する教科書の発行会社ごとに1回とすべき旨主張する。 そこで判断するに,題名(社会科資料集,理科学習ノート等)及び学年により特定される教材の種類ごとに侵害回数を計上すべきことは原告の主張のとおりであるが,前記2で認定した原告の許諾内容に照ら 張する。 そこで判断するに,題名(社会科資料集,理科学習ノート等)及び学年により特定される教材の種類ごとに侵害回数を計上すべきことは原告の主張のとおりであるが,前記2で認定した原告の許諾内容に照らせば,期間については年度ごとではなく教科書の改訂ごとに1回と,準拠する教科書の発行会社が異なっても同一書名及び同一学年であれば1回と数えるのが相当である。 テストに関しては,当初からテストに使用するとして作成依頼がされたもの(本件イラスト類10,11,17及び18)は,使用対象が科目及び学年によって特定されているので(甲1),その科目及び学年に関する限り,準拠する教科書の発行会社,テストとプレテストの別,学期及び回数等にかかわらず許諾の対象とみることができる。他方,別の教材のために作成されたものがテストに用いられた場合(本件イラスト類3,4のうち矢じり等,5及び6)は,侵害の回数を認定するための的確な証拠がなく,上記と同様に解する余地があるが,被告らはテスト(「ワーク」と呼- 23 -ばれる資料を含む。)が版を異にするごとに侵害が成立すると認めるので,これに従って複数回と扱うものとする。 以上を前提に検討すると,本件イラスト類の侵害の回数は次のとおりであると認めることができる。また,これを年度別に整理すると(複数年度にわたる場合には最初の年度に侵害があったものとする。),別紙年度別計算書(裁判所)の各年度の「回数」欄記載のとおりとなる。 本件イラスト類1:3回。当初の作成依頼に係る社会科資料集・6年生の平成23年度の使用(別紙1-1の通し番号1-8),これと異なる社会科作業帳・6年生への使用(平成23年度。同1-9),同・6年生別冊資料への使用(平成23年度及び翌年度を通じて1回。なお,同一書籍中の複数箇所の使用も1回と認める。同1-10 ),これと異なる社会科作業帳・6年生への使用(平成23年度。同1-9),同・6年生別冊資料への使用(平成23年度及び翌年度を通じて1回。なお,同一書籍中の複数箇所の使用も1回と認める。同1-10~12)が各1回となる。 本件イラスト類2:2回。本件イラスト類1と同様に,社会科資料集・6年生の平成23年度の使用(同通し番号2-10),社会科作業帳・6年生別冊資料への使用(平成23年度及び翌年度。同2-11・12)が各1回となる。 本件イラスト類3:5回。社会科資料集・6年生の平成23年度の使用が1回(同通し番号3-6)。社会科テスト及びプレテスト・6年生への使用は版の相違により平成17年度~平成22年度が2回,平成23年度が2回となる(同通し番号3-7~34)。 本件イラスト類4:木のクワにつき2回(本件イラスト類2と同旨。 同通し番号中木のクワの4-6~8)。鉄のカマにつき1回(社会科資料集・6年生の平成23年度の使用。同鉄のカマの4-6)。矢じり等につき2回(同資料集への使用が1回。社会科テスト及びプレテスト・6年生のワークへの使用が準拠する教科書の発行会社並びに平成21年度及び翌年度を通じて1回。同矢じり等の4-6~38)。 - 24 -本件イラスト類5:13回。社会科資料集・6年生の平成23年度の使用が1回(同通し番号5-6)。平成17年度~平成22年度の社会科テスト及びプレテスト・6年生への使用は版の相違により12回(同5-7~100)。 本件イラスト類6:17回。社会科資料集・6年生の平成23年度及び翌年度の使用が1回(同通し番号6-6・7)。社会科テスト及びプレテスト・6年生への使用は,平成19年度~平成22年度が教科書の発行会社ごとに版が相違するとみて5回,平成21年度及び翌年度のワークは本件イラスト類4のワークと同 6-6・7)。社会科テスト及びプレテスト・6年生への使用は,平成19年度~平成22年度が教科書の発行会社ごとに版が相違するとみて5回,平成21年度及び翌年度のワークは本件イラスト類4のワークと同様に発行会社及び年度を通じて1回,平成23年度及び翌年度は発行会社5社ごとに「1回目」と「1中」が異なる版とみられるので10回(同6-8~169)。 本件イラスト類7~9,12及び13:各1回。いずれも社会科資料集・6年生又は5年生の平成23年度の使用が許諾の範囲外となる(同通し番号7-6,8-6,9-6,12-5,13-5)。 本件イラスト類10,11,17及び18:いずれも0回。テストにつき作成依頼されたものが依頼に係る科目及び学年並びに教科書改訂までのテストに使用されたので,許諾の範囲内と認められる。 本件イラスト類14~16:いずれも0回。理科学習ノート・3年生又は6年生につき作成依頼されたものが教科書改訂まで当該学年の同教材に使用されたものであり,許諾の範囲内と認められる。 本件イラスト類19:1回。平成23年度及び翌年度の理科学習ノート・4年生への使用は許諾の範囲内である(乙1)。平成23年度理科テスト及びプレテスト・4年生の掲示用資料(大型ポスター)への使用についての許諾は認められないが,教科書の発行会社及びテスト・プレテストの別により異なる態様で用いられたと認めるに足りる証拠はなく,侵害回数はこれらを通じて1回と認める。 - 25 -イ1回当たりの使用料相当額につき,原告は,大型ポスターとして使用された本件イラスト類19は150万円,それ以外は当初の使用料と同額である旨,被告らは教材業界の慣習等に照らし当初の使用料の2割とすべき旨それぞれ主張するので,以下,検討する。 まず,本件イラスト類19以外についてみるに,被告らの主張す それ以外は当初の使用料と同額である旨,被告らは教材業界の慣習等に照らし当初の使用料の2割とすべき旨それぞれ主張するので,以下,検討する。 まず,本件イラスト類19以外についてみるに,被告らの主張する慣習の存在を認めるに足りる証拠はないが,被告らからイラスト作成の依頼を受けた他のイラストレーター等が当初の使用料の1~2割程度の額で再使用を認めていること(甲37,乙2,14,証人B),当初の使用料にはイラスト等の作成の対価が含まれていること,原告が被告らの提示する条件での覚書の締結に応じなかったこと(前記2ウ)に照らすと,本件において著作権の行使により受けるべき金銭の額は当初の使用料の5割の額と認めるのが相当である。 これに対し,原告は,当初の使用料と同額であると主張し,その根拠として原告が他社から同額程度の代金を受領した事例(甲41,42)を挙げる。しかし,これらは他の出版社又は異なる分野の書籍にイラスト類を再度使用したものであって,小学校の学習教材用に作成されたイラスト類を別の教材又は教科書改訂の後に使用したという本件とは事実関係を異にするから,原告の主張を採用することはできない。 当初の使用料のうち本件イラスト類3及び5~8につき(他の本件イラスト類の使用料の額については別紙1-1のとおり争いがない。),被告らが請求書(甲9の2)に記載された額(それぞれ7万5000円,4万5000円,2万円,4万円,10万円)である旨,原告はこれに各2万円を加えた額である旨それぞれ主張する。 そこで判断するに,証拠(甲9の1・2,10,61,乙12)及び弁論の全趣旨によれば,上記請求書には本件イラスト類3及び5~8並びにイラスト「寝殿造り」の各代金額と,本件イラスト類9の修正代3- 26 -万円及び「その他修正代」10万円が記載されていること 弁論の全趣旨によれば,上記請求書には本件イラスト類3及び5~8並びにイラスト「寝殿造り」の各代金額と,本件イラスト類9の修正代3- 26 -万円及び「その他修正代」10万円が記載されていること,寝殿造りのイラストは被告らの教材に使用されなかったこと,本件イラスト類14~16の請求書には各イラスト類の代金に加え「上記修正代」2万円が記載されているところ,被告らはこの修正代が本件イラスト類14~16の使用料に含まれると認めていること(別紙1-1),原告は被告らから指示された金額及び内訳をもって請求書を作成していること,以上の事実が認められる。これら事実関係に照らすと,上記の「その他修正代」は本件イラスト類3及び5~8の修正分として当初の使用料に含まれると推認することができ,これを各イラスト類に2万円ずつ割り付けるのが相当と解される。したがって,本件イラスト類3及び5~8の当初の使用料はそれぞれ9万5000円,6万5000円,4万円,6万円,12万円と認められる。 次に,本件イラスト類19についてみるに,原告が主張の根拠とする事例(甲45,46)は商業用ポスター(駅掲示用の不動産広告)であり,学習教材という本件に適切とはいい難いものの,一般にイラスト類の使用料はサイズが大きくなるほど高額になると解される。他方,被告らが本件イラスト類19を使用した掲示用資料は,証拠(甲23,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,他の教材の付録であって単独で販売される物ではなく,理科学習ノートの口絵を教室に掲示して授業に使用することができるよう拡大したものであることが認められ,ある教材用に作成依頼のされたイラスト類を別の教材に流用したという点では他の本件イラスト類と異ならないとみることも可能である。以上の諸事情を考慮すると,本件イラスト類19の使用料相当 とが認められ,ある教材用に作成依頼のされたイラスト類を別の教材に流用したという点では他の本件イラスト類と異ならないとみることも可能である。以上の諸事情を考慮すると,本件イラスト類19の使用料相当損害金は当初の使用料と同額の17万円と認めるのが相当である。 ウ以上によれば,本件書籍への本件イラスト類の使用についての被告らによる複製権侵害の回数は別紙年度別計算表(裁判所)の「回数」欄に,1- 27 -回当たりの使用料相当額は同別紙の「再使用料」欄に各記載のとおりとなる。そして,被告らには原告の許諾なしにこれらを使用したことにつき少なくとも過失があり,複製権侵害につき共同不法行為責任を負うと認められる。 したがって,著作権侵害についての原告の損害賠償請求は,上記別紙記載のとおり,167万9000円及び各年度の損害金(平成17年度43万7500円,平成19年度10万円,平成20年度4万7500円,平成21年度2万3000円,平成23年度107万1000円)につき当該年の4月1日(本件書籍のうち対応する年度分が出版された後の日である新年度の開始日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある。 著作者人格権侵害についてア同一性保持権侵害について前記3のとおり本件イラスト類19(別紙2-1の通し番号19-1~20。いずれも平成23年度)について同一性保持権の侵害が認められるところ,これによる損害の額については,前記認定の侵害の態様に加え,被告ら作成の掲示用資料(ポスター)は,単体で販売されるのではなく,他の教材の付録として無償で提供されるものであること(甲23,証人B),これにより原告の著作者としての名誉,声望等が具体的に害されたとの主張立証はないことを考慮すると,慰謝料10万円を認めるの く,他の教材の付録として無償で提供されるものであること(甲23,証人B),これにより原告の著作者としての名誉,声望等が具体的に害されたとの主張立証はないことを考慮すると,慰謝料10万円を認めるのが相当である。 したがって,原告の請求は10万円及びこれに対する平成23年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある。 イ氏名表示権侵害について本件書籍の中に原告の氏名が表示されていないもの(別紙2-1の原告- 28 -の主張欄に「氏名表示無し」と記載されたもの。通し番号1-12,2-12,3-7~34,4-8(木のクワ),4-7~38(矢じり等),5-7~100,6-7~169,11-6・7・20・21・30・31,17-1~47(湿った土),17-1~15(乾いた土),17-1~15(水と綿),17-1~15(綿),18-1~15,19-1~20)及び誤った漢字で表示されたもの(同13-5)があることは当事者間に争いがない。 これらは被告らの過失による共同不法行為ということができ,氏名表示権侵害に対する損害賠償としては,侵害行為が多数かつ平成17年度から平成24年度まで長期にわたる一方,その大部分はテスト類であり,教師用の冊子の裏表紙への表示がされなかったにとどまること(甲14,16~22)に照らすと,慰謝料として40万円及びうち各5万円に対する平成17年から平成24年まで各4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を命じるのが相当である。 氏名権侵害について平成23年度及び平成24年度の理科学習ノート・3年生に,原告の作成したイラスト類が使用されていないのに,イラスト作成者として原告の氏名が表示されたことは当事者間に争いがない。これは被告らの過失 て平成23年度及び平成24年度の理科学習ノート・3年生に,原告の作成したイラスト類が使用されていないのに,イラスト作成者として原告の氏名が表示されたことは当事者間に争いがない。これは被告らの過失による原告の氏名権侵害の共同不法行為であり,原告はこれにより無形損害を被ったと認められる。 そして,上記理科学習ノートが準拠する教科書の発行元5社それぞれにつき平成23年度及びその翌年度に発行されたこと,氏名表示の態様は裏表紙に「イラスト」として他の数名のイラスト作成者と列挙するものであったこと(甲5)に照らすと,原告の上記損害については,慰謝料5万円及びうち各2万5000円に対する平成23年及び平成24年の各4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度- 29 -で原告の請求を認めるのが相当である。 弁護士費用について本件訴訟の経過,上記認容すべき損害の額その他本件の諸事情を考慮すると,弁護士費用に係る原告の請求は30万円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるものと認める。 争点 (差止め及び廃棄請求並びに謝罪広告掲載請求の当否)について原告は,被告らによる著作権及び著作者人格権侵害につき,前記損害賠償請求に加え,複製,頒布等の差止め及び謝罪広告の掲載を求めている。 そこで判断するに,前記認定の事実関係によれば,被告らが平成24年度をもって本件イラスト類の使用を取りやめたこと,平成22年度分までの教材は平成23年度の教科書改訂以降,平成23年度及び平成24年度の教材は平成27年度の教科書改訂以降,いずれも教科書に準拠する小学校用の教材であるという性質上,そのままの形では使用できないことが明らかである。そうすると 書改訂以降,平成23年度及び平成24年度の教材は平成27年度の教科書改訂以降,いずれも教科書に準拠する小学校用の教材であるという性質上,そのままの形では使用できないことが明らかである。そうすると,被告らが今後本件イラスト類を複製し,又は本件書籍を頒布等するおそれがあるとは認められないから,原告の差止請求はいずれも理由がないと解すべきである。 また,被告らの行為により原告の名誉,声望等が害されたことをうかがわせる証拠はないから,謝罪広告の掲載請求も認めることができない。 争点 (本件イラスト類13の修正に係る請求の当否)について原告は,被告らの依頼により本件イラスト類13を修正したことにつき6万円,修正後の本件イラスト類13-2を被告らが使用したことにつき20万円の支払を求めるところ,後者につき,原告は本件書籍への掲載(別紙1-1の通し番号13-5)が著作権侵害に当たるとして20万円の損害賠償を請求しており,これを10万円の限度で認めるべきことは前記2及び4ウで判示したとおりである。したがって,これとは別に使用料の請求を認めることはで- 30 -きない。修正料の請求については,前記2カ認定の修正に至る経過及び修正の内容に加え,本件イラスト類14~16の修正料が合計2万円であったこと(甲10)に照らすと,被告らが認める1万円(上記通し番号13-5)の限度で認めるのが相当であり,これを上回る額を認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件イラスト類13の修正に係る原告の請求は,1万円及びこれに対する平成26年7月19日(同年6月26日付け訴状訂正申立書の送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある。 争点 (本件未完成作品に係る請求の当否)について前記争いのない事実等 訴状訂正申立書の送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある。 争点 (本件未完成作品に係る請求の当否)について前記争いのない事実等に加え,証拠(甲6,乙1,15,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,被告らが,平成22年頃,原告に対し,社会科資料集・6年生に掲載する貴族の館,武士の館及び太閤検地を題材とするイラストの作成を依頼したこと,原告がこれを承諾して作業に着手し,作成過程のイラストを被告らの担当者に示したが,被告らにおいてこれらイラストが当面不要となったため,同担当者が原告に対し急いで完成させなくてよい旨告げたこと,その後,前記2キのとおり原告と被告らの間に本件イラスト類をめぐる紛争が生じ,原告が,平成23年11月頃,被告らの担当者に対し,今後全てのイラストの供給を停止する旨のメールを送り,被告らは原告からの納品を断念したこと,本件未完成作品はいずれも彩色等の作業を要する未完成の状態にあること,以上の事実が認められる。 上記事実関係によれば,原告と被告らの間に原告が上記3件のイラストを完成させ,被告らがその代金を支払う旨の契約が締結されたと認められるものの,同契約は平成23年末頃の時点で合意解除されたとみることができ,また,出来高に応じて代金を支払う旨の約定の存在も認められないから,原告の上記契約に基づく代金の支払請求は理由がない。さらに,被告らが一方的に上記契約を解除したとも被告らに債務不履行があるともいえないから,原告の損害賠償- 31 -請求も認められない。 したがって,本件未完製作品に係る原告の請求は理由がない。 第4 結論 以上によれば,原告の請求は前記第3の4及び6の損害賠償請求の限度で理由があるから,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 主文 って,本件未完製作品に係る原告の請求は理由がない。 結論 以上によれば,原告の請求は前記第3の4及び6の損害賠償請求の限度で理由があるから,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官長谷川浩二裁判官藤原典子裁判官中嶋邦人
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