令和6(わ)100 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月3日 盛岡地方裁判所
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判決文本文4,271 文字)

令和6年12月3日宣告被告人aに対する入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害、被告人b及びcに対する公契約関係競売入札妨害各被告事件 主文 被告人aを懲役1年6月に、被告人bを懲役10月に、被告人cを懲役1年に処する。 被告人3名に対し、この裁判確定の日から3年間、それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人aは、一関市建設部参事兼都市整備課技術担当課長として市有建物の建築工事の設計及び工事監理に関すること等の事務を掌理する職務に従事していたもの、被告人bは、岩手県一関市(以下略)に本店を置く建設業等を目的とする株式会社dの代表取締役であったもの、被告人cは、同社の取締役であったものであるが、第1 被告人aは、 1 同市が令和4年7月28日に執行した「新一関市立大東中学校校舎増築等(機械設備)工事」の制限付一般競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、被告人b及び同cと共謀の上、同月26日、同県内において、アプリケーションソフト「LINE」を利用して、同人に対し、制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格が税抜き4467万円である旨を教示し、よって、同月28日、同市竹山町7番2号一関市役所本庁2階大会議室Aで執行された同工事の制限付一般競争入札において、dに4320万円(税抜き)で入札させて、同月29日、同工事を落札させ、 2 前記1記載の工事の制限付一般競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、同市(以下略)に本店を置く土木工事の設計、 施工及び請負等を目的とする株式会社e 2 前記1記載の工事の制限付一般競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、同市(以下略)に本店を置く土木工事の設計、 施工及び請負等を目的とする株式会社eの社員であったfと共謀の上、同月27日、同県内において、携帯電話機のSMS機能を利用して、同人に対し、制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格と同額となる同工事の設計金額が税抜き4467万円である旨を教示し、 3 同市が同年12月26日に執行した「西部第二学校給食センター地震災害復旧(機械設備)工事」の指名競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、fと共謀の上、同月12日、同県内において、携帯電話機のSMS機能を利用して、同人に対し、指名競争入札に関する秘密事項である予定価格と同額となる同工事の実際の税抜き設計金額7451万円に近接した7450万円が税抜き設計金額である旨を教示し、よって、同月26日、前記大会議室Aで執行された同工事の指名競争入札において、eに予定価格と近接する7440万円(税抜き)で入札させて、同工事を落札させ、 4 同市が令和5年6月27日に執行した「室根診療所空調設備更新工事」の制限付一般競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、fと共謀の上、同月22日、同県内において、携帯電話機のSMS機能を利用して、同人に対し、制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格と同額となる同工事の設計金額が税抜き2100万円である旨を教示し、 5 前記4記載の工事の制限付一般競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、被告人cと共謀の上、同月23日、同県内において、前記「LINE」を利用して、同人に対し、制限付一般競争入札に関する秘密事項であ 競争入札に関し、適正に前記職務を行う義務があるのに、その職務に反し、被告人cと共謀の上、同月23日、同県内において、前記「LINE」を利用して、同人に対し、制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格が税抜き2100万円である旨を教示し、よって、同月27日、前記大会議室Aで執行された同工事の制限付一般競争入札において、dに最低制限価格と近接する1958万円(税抜き)で入札させて、同月28日、同工事を落札させ、もって入札等に関する秘密を教示して入札等の公正を害すべき行為を行うとともに、偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき 行為をした、第2 被告人b及び同cは、前記第1の1記載の工事の制限付一般競争入札に関し、被告人aと共謀の上、令和4年7月26日、同県内において、被告人cが、前記「LINE」を利用して、被告人aから制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格が税抜き4467万円である旨の教示を受け、よって、同月28日、前記大会議室Aで執行された同工事の制限付一般競争入札において、dに4320万円(税抜き)で入札させて、同月29日、同工事を落札させ、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした、第3 被告人cは、前記第1の4記載の工事の制限付一般競争入札に関し、被告人aと共謀の上、令和5年6月23日、同県内において、前記「LINE」を利用して、同人から制限付一般競争入札に関する秘密事項である予定価格が税抜き2100万円である旨の教示を受け、よって、同月27日、前記大会議室Aで執行された同工事の制限付一般競争入札において、dに最低制限価格と近接する1958万円(税抜き)で入札させて、同月28日、同工事を落札させ、もって偽計を用いて、公の入 、同月27日、前記大会議室Aで執行された同工事の制限付一般競争入札において、dに最低制限価格と近接する1958万円(税抜き)で入札させて、同月28日、同工事を落札させ、もって偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をしたものである。 (量刑の理由)被告人aは、本件当時、一関市建設部参事兼都市整備課技術担当課長の職にあって、同市が発注する市有建物の建築工事に関し、担当者が作成した工事設計書等の決裁を通じて、競争入札における工事の秘密事項である予定価格と同額となる設計金額を知り得る立場にあった。被告人bは、建設業等を目的とする株式会社dの代表取締役として同社の業務全般を統括し、同人の娘である被告人cは、同社の取締役として公共工事の入札に関する業務を担当していた。被告人cは、一関市が発注する公共工事の競争入札において、希望する工事を落札するため、入札前に工事の 予定価格を知りたいと思い、被告人bの了承を得た上で、被告人aに対し、同金額を教示するよう依頼した。被告人aは、それに応じ、工事設計書等を決裁した際に手帳にメモしていた設計金額を教示した。被告人cは、2件の公共工事について設計金額の教示を受け、同金額を踏まえて入札に参加し、いずれもdが落札した。そのうちの1件は、最低制限価格と近接する金額で落札した。さらに、被告人aは、dの競合他社の担当者の依頼を受け、同人に対し、dが落札した上記2件を含む3件の公共工事について、入札前に設計金額や同金額に近接した金額を教示し、そのうちの1件について予定価格と近接する金額で入札させて落札させた。 このように、被告人aの犯行は、一部の業者を他の業者に比して圧倒的に有利な立場で入札に参加させることとなるばかりか、競争入札で競合する2者にそれぞれ設計金 と近接する金額で入札させて落札させた。 このように、被告人aの犯行は、一部の業者を他の業者に比して圧倒的に有利な立場で入札に参加させることとなるばかりか、競争入札で競合する2者にそれぞれ設計金額を教示することで、結果として事業者間の対立をあおることとなっている。 被告人b及び被告人cの犯行は、他の業者に比して圧倒的に有利な立場で入札に参加することで、落札をより確実にするものである。本件は、公共工事の競争入札における参加者の自由な競争を阻害し、その執行の公正さをゆがめる悪質な犯行といわなければならない。 被告人aは、技術担当の責任者として部下を指導監督し、設計金額が漏洩しないよう適正に管理すべき立場にあった。しかるに、そのような責任ある立場を顧みることなく、施工能力が高く信用のおける業者に十分な利益が見込める金額で落札させて業者と良好な関係を築くことができれば、その業者の協力により、入札不調等によって再度入札を実施しなればならなくなるといった事態を回避することができる上、施工監理等が楽になって、業務負担を軽減することができるなどと考え、本件犯行に及んだものである。被告人aが設計金額等を教示した3件の本件公共工事について、入札不調等により工期が遅れることで市民生活に支障が生じるような具体的な事情はうかがわれないのであって、本件犯行に及んだことについてやむにやまれぬ事情があったとはいい難い。個人的な利得がないこと、失職が見込まれること、事実を認め反省の態度を示していることなどの事情を考慮しても、その刑事責 任を軽くみることはできない。被告人aについて罰金刑を選択するのは相当ではなく、主文のとおりの執行猶予付きの懲役刑が相当である。 被告人b及び被告人cは、dが新規参入業者であり、古参の競合他社から締め出され、思うように い。被告人aについて罰金刑を選択するのは相当ではなく、主文のとおりの執行猶予付きの懲役刑が相当である。 被告人b及び被告人cは、dが新規参入業者であり、古参の競合他社から締め出され、思うように公共工事を落札することができなかったことから、本件犯行に及んだというのである。本件犯行は、結局のところ、dにおいて公共工事を受注して利益を上げたいという利己的な動機によるものであって、事業者間の自由な競争をゆがめ、競争入札の執行の公正さをないがしろにするという点では競合他社と変わりはなく、相応の非難は免れない。以上の諸事情に加え、同被告人らが事実を認め、反省の態度を示していることなどの事情をも併せ考慮し、その関与の度合い等にかんがみ、それぞれ主文のとおりの執行猶予付きの懲役刑が相当であると判断した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑・被告人aにつき懲役1年6月、被告人bにつき懲役10月、被告人cにつき懲役1年)令和6年12月3日盛岡地方裁判所刑事部 裁判長裁判官中島真一郎 裁判官佐々木耕 裁判官上野友輔

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