昭和47(行ツ)57 所得税等更正決定取消請求

裁判年月日・裁判所
昭和49年7月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所 昭和45(行コ)18
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判決文本文2,686 文字)

主文 原判決を破棄する。本件を大阪高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人香川保一、同山田二郎、同鎌田泰輝、同山崎勲の上告理由について。原審は、本件土地建物の買主であるH株式会社(以下、単にHという。)から売主である被上告人に売買代金として支払われた三五〇〇万円のほかに、HがIなる者に交付した一六一七万円も、真実は右売買代金として被上告人に支払われたものであるとの上告人の主張について、Iなる者が架空のもので、右一六一七万円を実際に受領したのが被上告人であると認めるに足りる証拠はないとして、上告人の主張を排斥している。しかし、原審の右事実認定には、次のような疑点が存する。まず、原審は、被上告人とHとの売買交渉の途中において、Iなる実在の者が、自分は被上告人が本件建物を建築した際に下請をしたが、下請代金の支払を受けていないから、同建物につき権利を有すると主張してきたこと、この主張に対し、被上告人側ではこれを否定し、その解決をHにまかせて不干渉の立揚をとつたので、HにおいてIと交渉した結果、解決金の趣旨で移転補償費及び立退料名下に一六一七万円を三回に分割して同人に支払つたこと、を認定している。そして、右認定の資料として原判決に挙示された証拠によれば、Hは、右Iとの交渉に当たり、同人の主張する事実関係の有無についての調査を全くせず、また、同人の身元や住所も確認しないまま、一六一七万円という巨額の金員を同人に支払つたとされているのである。しかし、一般に会社の取引において右のようなずさんな支払が行われるというようなことは考えられないことであり、しかも、それが前記のような解決金の趣旨であつたとすれば、一六一七万円という端数のついた額が定められたについてはなんらかの理由があつてしかるべきであ われるというようなことは考えられないことであり、しかも、それが前記のような解決金の趣旨であつたとすれば、一六一七万円という端数のついた額が定められたについてはなんらかの理由があつてしかるべきであるのに、前記証拠からは、この点につい- 1 -てなんらの首肯するに足りる理由も見出すことができない。 つたとすれば、一六一七万円という端数のついた額が定められたについてはなんらかの理由があつてしかるべきであ われるというようなことは考えられないことであり、しかも、それが前記のような解決金の趣旨であつたとすれば、一六一七万円という端数のついた額が定められたについてはなんらかの理由があつてしかるべきであるのに、前記証拠からは、この点につい- 1 -てなんらの首肯するに足りる理由も見出すことができない。かえつて、記録に徴すれば、Hが本件土地建物を買い受けた旨の昭和三七年八月一日付契約書には、代金額が三五〇〇万円であつて、これを、契約と同時に二三〇〇万円、昭和三七年一〇月一日七〇〇万円、同三八年二月二八日五〇〇万円を支払うことと記載されているが、一方、被上告人は、右売買と同時に本件土地の代替地として三筆の土地をHから代金一六一七万円で買い受けたので、この代金と本件売買代金のうち前記第一回分の二三〇〇万円とを対当額で相殺し、残額六八三万円は昭和三七年八月一日Hから被上告人に支払われた(その後の第二回分及び第三回分の代金は約定どおりに支払われた)ことが認められるのであつて、これによると、Iあてに支払われたとされる金額は、被上告人とHとの間において相殺勘定をしたとされる右代替土地の代金額と一致しているのである。この点につき、原審は、右金額の一致は単なる偶然にすぎないとしているが、経験則に照らしてとうてい首肯することができない。また、原審の認定によれば、Hが一六一七万円を三回に分けてIに支払つた際には、そのいずれのときも被上告人が立ち会つていたというのであり、しかも、その資料として挙示された証拠によると、右三回のうち二回の支払は被上告人方において行われたことが認められるのであるが、これらの事実からすれば、被上告人がIの権利主張を否定して不干渉の立場をとつており、HからIへの支払は被上告人とかかわりのないものであつたとする原審の認定は、いかにも不自然 とが認められるのであるが、これらの事実からすれば、被上告人がIの権利主張を否定して不干渉の立場をとつており、HからIへの支払は被上告人とかかわりのないものであつたとする原審の認定は、いかにも不自然であつて、理解しがたいところといわなければならない。更に、原審の認定によれば、Iなる者は、本件一六一七万円の領収書に記載された住所には居住せず、その所在は不明であり、外国人登録もされていないというのであるから、その実在性そのものすら疑わしいのである。 ば、被上告人がIの権利主張を否定して不干渉の立場をとつており、HからIへの支払は被上告人とかかわりのないものであつたとする原審の認定は、いかにも不自然であつて、理解しがたいところといわなければならない。更に、原審の認定によれば、Iなる者は、本件一六一七万円の領収書に記載された住所には居住せず、その所在は不明であり、外国人登録もされていないというのであるから、その実在性そのものすら疑わしいのである。これに加え、本件においては、被上告人が、本件売買による収入金額を分散させて課税を免れるため、本件土地建物を被上告人から自己が代表者であるJ株式会社に譲渡し、同会社から更に実兄のKを経由してHに譲渡したように作為し- 2 -たという事実(この点は原審の確定するところである。)のあることも看過することができない。以上の諸点を綜合するときは、前記一六一七万円は、上告人主張のとおり、真実は本件売買代金として被上告人に支払われたものであるのに、被上告人が租税回避のために、Iなる名義を用いて別個の支払であるかのように仮装したものであることを推認せしめるに十分であつて、これを否定した原審の認定には重大な疑いを差しはさまざるをえない。ひつきよう、原審の右事実の認定ないし証拠の取捨判断には経験法則違背の違法があるものというべく、論旨は理由がある。よつて、原判決を破棄し、更に審理をつくさせるため、本件を原審に差し戻すこととし、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官大塚喜一郎裁判官岡原昌男裁判官 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官大塚喜一郎裁判官岡原昌男裁判官小川信雄裁判官吉田豊- 3 -

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