平成21年(ハ)第3050号給料支払請求事件判決主文 被告は,原告に対し,4万1654円及びこれに対する平成20年3月11日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨(1) 被告は,原告に対し,25万9846円及びうち4万1654円に対する平成20年3月11日から支払済みまで年14.6パーセントの,うち21万8192円に対する平成21年5月9日から支払済みまで年5パーセントの各割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 (3) 仮執行の宣言 請求の趣旨に対する答弁(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2事案の概要本件は,原告が,原告を雇用していた被告に対し,未払給料(平成20年2月1日から同月16日までの給料未払3万3404円及び同月17日のアルバイト代金8250円の合計)4万1654円及び遅延損害金を請求するとともに,上記未払給料を再三請求し,労働基準監督署に相談したにもかかわらず,支払を受けられなかったことにより,体調を崩して治療を要し,精神的苦痛を受け,交通費の支払を余儀なくされたなどとして,治療費5万8125円,慰謝料15万円及び交通費(A労働基準監督署,Bクリニック,C病院及び名古屋簡易裁判所関係分合計)1万0067円の合計21万8192円の損害賠償及び遅延損害金を,民法709条に基づき,請求した事件である。 当事者間に争いのない事実等(1) 被告は,Dという名称の飲食店(キャバクラ)を営んでいたものであり,原 21万8192円の損害賠償及び遅延損害金を,民法709条に基づき,請求した事件である。 当事者間に争いのない事実等(1) 被告は,Dという名称の飲食店(キャバクラ)を営んでいたものであり,原告は,平成18年5月5日から平成19年3月31日まではアルバイトとして,同年4月1日から平成20年2月16日までは社員として,Dにおいて,被告に雇用されていた。 (2) 平成18年5月5日から平成19年3月31日までアルバイトとして勤務していた際の原告の給料は,時給制であり,1時間1000円であった。 (3) 平成19年4月1日から平成20年2月16日まで社員として勤務していた際の給料は,月給制であり,基本給17万円,正皆勤手当3万5000円,交通費3万円及び食事手当1万円の合計24万5000円が実総支給額であった。また,給料の支払期日は,毎月10日(前月末日締め)であった。 なお,原告は,定まった休日を与えられていない代わりに,申請手続を経て,月4日の公休を取得できた。 おって,Dにおいては,賃金の決定,計算及び支払の方法に関する事項について定めた就業規則は存在しない。 (4) 被告は,平成20年2月16日限りで,Dを閉店した。 (5) 原告は,平成20年2月1日から同月16日までの間に,Dにおいて14日勤務し,2日の公休を取得した。 なお,2日の公休は,申請手続を経て,正当に取得されたものであった。 (6) 平成21年2月17日には,Dにおいて,引越作業が行われ,被告は,その作業に従事した。 (7) 被告は,原告に対し,平成20年2月分の給料として,2回に分けて9万1005円及び5546円の合計9万6551円を支払った。 争点 (1) 平成20年2月分(同月1日から同月16日まで)の未払給料ア原告の主張原告は,平成20年2月5日に初めて,被告 けて9万1005円及び5546円の合計9万6551円を支払った。 争点 (1) 平成20年2月分(同月1日から同月16日まで)の未払給料ア原告の主張原告は,平成20年2月5日に初めて,被告から,同月16日にDを閉店する旨伝えられたのであり,公休が月4日認められていたところ,同月1日から同月16日までの約半月間に,原告が取得した公休は,2日であるから,被告は,原告に対し,以下の計算方法によって算出される正皆勤手当を支給するべきである。 月給は,基本給17万円,正皆勤手当3万5000円,交通費3万円及び食事手当1万円の合計であるところ,各金額につき,平成20年2月の日数29日から公休日4日を控除した25日で除し,原告の勤務日数14日で乗じると,基本給9万5200円,正皆勤手当1万9600円,交通費1万6800円及び食事手当5600円となり,その合計額13万7200円が実総支給額となる。実総支給額13万7200円から厚生費385円(固定とする。)及び源泉所得税6860円(実総支給額の5パーセントの額)の合計7245円を控除した12万9955円が支給されるべき給料の額である。 よって,平成20年2月分(同月1日から同月16日まで)の未払給料の額は,上記12万9955円から既払給料合計9万6551円を控除した3万3404円である。 イ被告の主張原告は,平成20年2月につき1か月間全てを勤務していないのであるから,正皆勤手当は支給する必要がない。 被告が原告に対し支給した平成20年2月分給料9万1005円の算出方法は,下記(ア)ないし(キ)のとおりである。 記(ア) 基本給7万6200円1か月の基本給17万円を平成20年2月の日数29日で除し,原告の勤務日数13日(実際の勤務日数は14日であるが,誤って13日とした。なお,1日分は とおりである。 記(ア) 基本給7万6200円1か月の基本給17万円を平成20年2月の日数29日で除し,原告の勤務日数13日(実際の勤務日数は14日であるが,誤って13日とした。なお,1日分は,後記のとおり後日支給した。)で乗じた金額につき,100円未満を切り捨てた。 (イ) 交通費1万5000円1か月の交通費3万円を平成20年2月の日数29日で除し,原告の勤務日数14日で乗じた金額につき,1000円以下を切り上げた。 (ウ) 食事手当5000円1か月の食事手当1万円を平成20年2月の日数29日で除し,原告の勤務日数14日で乗じた金額につき,1000円以下を切り上げた。 (エ) (ア)ないし(ウ)の合計9万6200円が実総支給額となる。 (オ) 厚生費385円実総支給額9万6200円の0.4パーセントの金額につき,1円以下を切り上げた。 (カ) 源泉所得税4810円課税対象額(実総支給額)9万6200円の5パーセントの金額(キ) (エ)実総支給額9万6200円から(オ)厚生費385円及び(カ)源泉所得税4810円の合計5195円を控除した9万1005円が被告が原告に対し支給した平成20年2月分給料である。 被告は,原告に対し,上記9万1005円を支払った後,1日分の基本給として5546円を支払った。この金額は,1か月の基本給17万円を平成20年2月の日数29日で除した金額につき,1円未満を切り捨てた金額5862円から厚生費23円(5862円の0.4パーセントの金額につき,1円未満切り捨てた。)及び源泉所得税293円(5862円の5パーセントの金額につき,1円未満切り捨てた。)の合計316円を控除した金額である。 よって,被告が原告に対して支給した上記9万1005円及び5546円の合計9万6551円が支給すべき給料の額であり,平成2 トの金額につき,1円未満切り捨てた。)の合計316円を控除した金額である。 よって,被告が原告に対して支給した上記9万1005円及び5546円の合計9万6551円が支給すべき給料の額であり,平成20年2月分(同月1日から同月16日まで)の未払給料は存在しない。 (2) 平成20年2月17日に,被告が原告をアルバイトとして雇用したか否か。 また,雇用したと認められる場合の給料(アルバイト代金)ア原告の主張被告は,原告をアルバイトとして雇用し,原告は,平成20年2月17日午後5時から同月18日午前2時までの9時間,Dの引越作業に従事した。 アルバイト代金の額は,時給1000円であり,これにアルバイトに従事した9時間を乗じた金額9000円から厚生費200円(1日あたり200円),源泉所得税450円(9000円の5パーセント)及び互助会費100円の合計750円を控除した8250円となる。 イ被告の主張被告は,原告をアルバイトとして雇用し,平成20年2月17日に,原告がDの引越作業に従事したということについては記憶がない。 (3) 被告の原告に対する不法行為の成否等ア原告の主張原告が,(1)アの未払給料及び(2)アのアルバイト代金を再三請求し,労働基準監督署に相談するなどしたにもかかわらず,被告は,最後まで,その支払をしなかった。この不払いは,被告の原告に対する不法行為を成立させる。これにより,被告は,体調を崩して治療を要し,精神的苦痛を受け,交通費の支払を余儀なくされるなどして,治療費5万8125円,慰謝料15万円,交通費(A労働基準監督署,Bクリニック,C病院及び名古屋簡易裁判所関係分合計)1万0067円の合計21万8192円の損害を被った。 イ被告の主張争う。 第3当裁判所の判断 争点(1)について①原告が,定まった休 Bクリニック,C病院及び名古屋簡易裁判所関係分合計)1万0067円の合計21万8192円の損害を被った。 イ被告の主張争う。 第3当裁判所の判断 争点(1)について①原告が,定まった休日を与えられていない代わりに,申請手続を経て,月4日の公休を取得できたこと,②平成20年2月1日から同月16日までの間に,原告が取得した公休が2日であり,この公休が申請手続を経て正当に取得されたものであること,③Dにおいて,賃金の決定,計算及び支払の方法に関する事項について定めた就業規則は存在しないことは当事者間に争いがない。 そして,当事者間に争いのない事実等並びに関係各証拠及び弁論の全趣旨によれば,④Dの閉店は,被告側の事情によりなされたものであって,原告に何ら起因するものではないこと,⑤原告が,平成20年2月初旬頃に初めて,被告側から,同月16日にDを閉店する旨伝えられたこと,⑥Dの閉店に伴い,原告の社員としての雇用が終了したものであること,⑦Dにおいて,1か月に満たない賃金の計算方法について定めた労働契約ないしは同計算方法についての労働慣行が存在しないことが認められる。 ①②④ないし⑥の事実によれば,被告は,原告に対し,以下の計算方法によって算出される正皆勤手当を支給するべきであると認められる。 次に,1か月に満たない賃金の計算方法については,労働基準法ないし同施行規則上は特に定めがなく,③⑦のとおり,Dにおいては,1か月に満たない賃金の計算方法について定めた就業規則及び労働契約並びに同計算方法についての労働慣行が存在しない。そして,そもそも,労働は公休を除外した日,すなわち所定労働日に行われるものであり,その労働の対償として賃金,すなわち月給が支払われるものであるから,1か月に満たない賃金の額を算定するについては,月給(月によって定め 働は公休を除外した日,すなわち所定労働日に行われるものであり,その労働の対償として賃金,すなわち月給が支払われるものであるから,1か月に満たない賃金の額を算定するについては,月給(月によって定められた賃金)の額を公休を含んだその月の日数で除し,勤務日数を乗じるのは相当でなく,年次有給休暇に対して支給すべき通常の賃金の計算方法について規定した労働基準法施行規則25条の計算方法に準じ,月給の額をその月の所定労働日数で除し,勤務日数を乗じるのが相当であると解される。 そうすると,平成20年2月分(同月1日から同月16日まで)の給料の額は,原告の月給(基本給17万円,正皆勤手当3万5000円,交通費3万円及び食事手当1万円の合計)24万5000円を平成20年2月の所定労働日数(平成20年2月の日数から公休4日を控除した)25日で除し,原告の勤務日数14日で乗じた13万7200円であると認められる。 そして,平成20年2月分(同月1日から同月16日まで)の未払給料の額は,上記13万7200円から原告が主張する控除額(厚生費385円及び源泉所得税6860円の合計)7245円及び既払給料(9万1005円及び5546円の合計)9万6551円の合計10万3796円を控除した3万3404円と認められる。 争点(2)について①平成21年2月17日にDにおいて引越作業が行われ,その作業に被告が従事したことは,当事者間に争いがなく,当事者間に争いのない事実等並びに関係各証拠及び弁論の全趣旨によれば,②原告が平成20年2月17日午後5時から同月18日午前2時までの間Dの引越作業に従事したことが認められる。 そうすると,被告は,少なくとも,黙示に原告をアルバイトとして雇用し,Dの引越作業に従事させたと認められ,その給料は,従前原告がアルバイトとして雇用されて 間Dの引越作業に従事したことが認められる。 そうすると,被告は,少なくとも,黙示に原告をアルバイトとして雇用し,Dの引越作業に従事させたと認められ,その給料は,従前原告がアルバイトとして雇用されていた際の時給1000円であったと認めるのが相当である。 よって,アルバイト代金の額は,時給1000円にアルバイトに従事した9時間を乗じた金額9000円から原告が主張する控除額(厚生費200円,源泉所得税450円及び互助会費100円の合計)750円を控除した8250円と認めるのが相当である。 争点(3)について被告の未払給料の不払いが債務不履行を超えて不法行為を構成するとまでは認めることはできず,被告に対し,原告が主張する損害を負担させることは相当ではない。 第4 結論 以上のとおりであるから,原告の被告に対する本訴請求は,平成20年2月(同月1日から同月16日まで)の未払給料3万3404円及び同月17日のアルバイト代金8250円の合計4万1654円並びにこれに対する遅延損害金を求める限度で理由があるからこれを認容し,原告のその余の請求は理由がないからこれを棄却し,主文のとおり判決する。 名古屋簡易裁判所裁判官紀平和成
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