令和6(わ)52 強盗殺人等

裁判年月日・裁判所
令和6年12月18日 津地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-93759.txt

判決文本文3,160 文字)

主文 被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中190日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1【令和6年2月9日付け起訴状記載の公訴事実】被告人は、令和5年12月27日午後4時51分頃、三重県鈴鹿市(住所省略)A店において、同店経営者B管理のたばこ3箱等9点(販売価格合計3231円)を窃取した。 第2【令和6年4月15日付け起訴状記載の公訴事実第1】被告人は、令和5年12月29日午後2時43分頃、三重県鈴鹿市(住所省略)C店において、同店店長D管理のたばこ3箱等6点(販売価格合計2296円)を窃取した。 第3【令和6年4月15日付け起訴状記載の公訴事実第6】被告人は、正当な理由がないのに、令和6年1月5日頃から同月7日頃までの間に、Eが看守する三重県鈴鹿市(住所省略)の空き家に、その浴室の小窓から侵入した。 第4【令和6年4月15日付け起訴状記載の公訴事実第3】被告人は、令和6年1月7日午後6時頃から同日午後7時30分頃までの間、三重県鈴鹿市(住所省略)Fにおいて、同店従業員Gに対し、飲食後直ちにその代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って順次飲食物を注文し、Gに飲食後直ちにその代金の支払を受けられるものと誤信させ、よって、その頃、同所において、Gらから生ビール1杯等5点(代金合計3102円)の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させた。 第5【令和6年2月29日付け起訴状記載の公訴事実】被告人は、金品を強奪する目的で、令和6年1月8日午後7時過ぎ頃、三重県鈴 鹿市(住所省略)H方に、前記目的を秘して訪ね、Hに玄関ドアの施錠を解錠させた上、同ドアからH方内に侵入し、その頃、同所において、H(当時77歳)に対し、持っていた十 7時過ぎ頃、三重県鈴 鹿市(住所省略)H方に、前記目的を秘して訪ね、Hに玄関ドアの施錠を解錠させた上、同ドアからH方内に侵入し、その頃、同所において、H(当時77歳)に対し、持っていた十徳ナイフの刃を示し、「車の鍵をよこせ」と言うとともに、Hの首を手でつかんで圧迫するなどの暴行脅迫を加え、さらに、殺意をもって、その首を、衣類を用いて絞め付けるなどして圧迫し、よって、その頃、同所において、Hを頚部圧迫による窒息により死亡させて殺害した上、H所有の軽四輪乗用自動車の鍵1本を強奪し、引き続き、I駐車場において、同所に駐車中のH所有の現金約2万5000円積載の軽四輪乗用自動車1台(時価約95万5000円相当)を強奪した。 第6【令和6年4月15日付け起訴状記載の公訴事実第2】被告人は、金品窃取の目的で、令和6年1月8日頃から同月26日頃までの間に、Jが看守する三重県鈴鹿市(住所省略)K株式会社L営業所西側倉庫に、その南側片開きドアから侵入し、その頃、同所において、J管理の栄養ドリンク1箱(販売価格合計5280円)を窃取した。 第7【令和6年4月15日付け起訴状記載の公訴事実第4】被告人は、金品窃取の目的で、令和6年1月26日午後10時21分頃から同日午後10時29分頃までの間、Mが看守する三重県鈴鹿市(住所省略)N株式会社O営業所P店に、その南側腰高窓から侵入し、その頃、同所において、M管理のたばこ20箱等24点(販売価格合計1万2284円)を窃取した。 第8【令和6年4月15日付け起訴状記載の公訴事実第5】被告人は、令和6年1月26日午後10時29分頃、三重県鈴鹿市(住所省略)所在のQ株式会社O工場駐輪場において、同所に駐輪中のR所有の自転車1台等2点(時価合計2万1000円)を窃取した。 (量刑の理由)量 年1月26日午後10時29分頃、三重県鈴鹿市(住所省略)所在のQ株式会社O工場駐輪場において、同所に駐輪中のR所有の自転車1台等2点(時価合計2万1000円)を窃取した。 (量刑の理由)量刑の中心となる強盗殺人(第5)は、仰向けになった被害者に対し、部屋にあった長袖シャツの片袖の部分をその首に巻き付けた上、その横にかがみこんだ状態で 自身の体重をかけて相当強い力で絞めて殺害したものである。被告人は、直前には素手で首を絞めて被害者を気絶させており、意識を取り戻した直後の被害者に対し、服がとれないようにあえて二、三回首に巻き付け、さらに、素手で絞めた1回目よりも強く絞めたというのであり、被害者に非常に強い苦痛や恐怖を与えるような無慈悲かつ残虐なやり方である。 このようなやり方は被害者を死亡させる危険性が非常に高いものといえ、そのような行為をあえてしている以上、被告人は当時、突発的に発生した殺意とはいえ、被害者が確実に死ぬとわかっていたというべきである。この点について、被告人は、自身が服を首に巻いて自殺を図ったときに気を失っただけで死ななかったという経験から、被害者が死ぬかもしれないと思う程度だった旨を述べ、弁護人は未必的な殺意にとどまると主張する。しかし、被告人の供述を前提としても、被告人の意識が戻った際首に巻いていた服がとれていたというのであり、服がとれないようにあえて複数回巻き付けるなどした本件とは状況が全く異なる。被告人には、他に専門的な知識や経験があり、それらから特別な殺意の程度を認定できるとも認められない以上、殺意に関する弁護人の主張は採用できない。 被告人は、自らの意思により仕事をしなくなって生活費が乏しくなり、しばらくは同僚や当時同じアパートに住んでいた被害者に金を借りるなどして生活していたが、間もなく万引 る弁護人の主張は採用できない。 被告人は、自らの意思により仕事をしなくなって生活費が乏しくなり、しばらくは同僚や当時同じアパートに住んでいた被害者に金を借りるなどして生活していたが、間もなく万引き(第1、第2)や無銭飲食(第4)をしたり、アパートを退去した後近くの空き家に侵入したり(第3)して生活するようになり、その中で強盗殺人に至った。仕事をしなくなった理由として、被告人は、養育費が支払えなくなり離婚後別居していた自身の子に会えず絶望したなどと述べるが、働いて稼げば養育費を支払うこともできたのに働くことなく、あえて犯罪を選んだというのであるから、同情の余地はない。強盗殺人にまで及んだ意思決定は厳しい非難を免れない。 さらに、金品のために人を殺害したにもかかわらず、その後もなお、侵入盗などの犯行(第6から第8まで)を短期間のうちに繰り返した点も本件の経緯として看過することはできない。犯情は全体として悪く、特に殺害のやり方や経緯を考えると、 大切な家族を突然失った遺族が最も厳しい処罰感情を表明しているのも無理はない。 被告人は各公訴事実を認めて後悔しているものの、殺意の点を始め、犯した罪に真摯に向き合っているとまではいえず、十分な反省は見いだせない。各犯行を繰り返したことから、法を守ろうとする意識も乏しいといわざるを得ない。長く交流のなかった家族が面会に来たことから、被告人が自分は完全に見捨てられたわけではないと思い始めていることや、前科がないことなどの事情を踏まえても、本件につき情状に酌量すべきものがあるとは認められない。 よって、強盗殺人罪に関する量刑傾向も考慮し、主文のとおり刑を定めた。 (求刑無期懲役) 令和6年12月18日 津地方裁判所刑事部 裁判長裁判官西前征志 主文 盗殺人罪に関する量刑傾向も考慮し、主文のとおり刑を定めた。(求刑無期懲役) 理由 令和6年12月18日 事実 津地方裁判所刑事部 判断 裁判長裁判官西前征志 裁判官湯川亮 裁判官髙島菜緒

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る