昭和25(う)1011 傷害及び傷害致死被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和25年9月26日 福岡高等裁判所 破棄差戻
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を大分地方裁判所に差戻す。          理    由  弁護人有富小一の控訴趣意は末尾添附の控訴趣意書のとおりである。  控訴趣意第一点

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判決文本文1,461 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を大分地方裁判所に差戻す。 理由 弁護人有富小一の控訴趣意は末尾添附の控訴趣意書のとおりである。 控訴趣意第一点について、原判決の認定によれば、被告人は平素飲酒を好み、酩酊すれば常に他人に暴行する悪習癖があるものであるが昭和二十四年七月二十一日トラツクによる材木運搬作業に従事中、右悪習癖を認識しながら他人に対する暴行の未必的故意を以て、同日午後二時三十分頃より午後五時過までの間大分県日田郡a村字bA方その他において通常の飲酒量を超過して酒及び燒酎合計五合以上を飲み、且つ凸凹はげしい道路をトラツクで約一時間余揺られたため、同日午後七時過頃同村字cのB製材所分工場に帰着した頃は酩酊甚だしく、重篤な意識溷濁を生じて心神喪失の状態に陷つたが、その状態の下で右習癖に基いて、同日午後七時三十分頃同村字cC方前道路上外二個所においてD、C、E及びFをそれぞれ鍬又は鍬の柄で殴打して同人等に傷害を加え、その内Cをして該傷害に基因する脳半球の圧迫及び脳出血等のた<要旨>め翌二十二日午前八時頃死亡するに至らしめた、というのである。ところで、飲酒酩酊して心神喪失の状況に</要旨>陥り他人に暴行を加えた場合において、該行為者が平素酩酊すれば他人に暴行を加える習癖があるとしても、単にその習癖を認識しながら過度に飲酒しただけでは、暴行の未必の故意があるというようなことはできない。 かような場合に未必の故意があるとするには、飲酒すれば酩酊して或は他人に暴行を加えることがあるかもしれないことを予想しながら、敢てこれを容認して過度に飲酒したことが必要である。しかるに原審検証調書中証人Gの供述記載、原審証人H、同I、同J、同Aに対する各尋問調書中同人等の各供述記載、原審第一、二回公判 とを予想しながら、敢てこれを容認して過度に飲酒したことが必要である。しかるに原審検証調書中証人Gの供述記載、原審証人H、同I、同J、同Aに対する各尋問調書中同人等の各供述記載、原審第一、二回公判調書中被告人及び証人Kの各供述記載によれば、被告人は酒好きで酒癖が悪く、曾て飲酒酩酊して他人に対し二、三回、妻Kに対し三、四回、いづれも傷害に至らない程度の暴行を加えたことがあり、被告人も予てかような習癖を自覚していたのであるが、前記暴行当日は被告人がAの依頼で切石を運搬した謝礼として同人より酒の馳走があつたので同僚数名とともに同家で飲酒した後、その飲み残りを仕事場及びトラツクの上で飲み、又雇主のJを迎えに行つた際、たまたま飲酒中の雇主から勧められるまま、更に同僚等とともに飲酒したのであつて、幾分平素の酒量を超えてはいたがいづれも偶然の事情によるものであり、原審の取調べたその他の各証拠を精査しても、被告人が飲酒に際し、或は酩酊して他人に暴行を加えることがあるかもしれないことを予想しながら敢てこれを容認して過度に飲酒したものとは認められない。従つてその間或は過失傷害又は過失傷害致死の罪責を負うべき事情はあるとしても、暴行の未必の故意は認められないにかかわらず、原判決が未必の故意を認定したのは事実の認定を誤つたものというの外はなく、その誤認は判決に影響を及ぼすことが明であるから原判決は破棄を免れない。 よつてその他の論旨に対する判断を略し、刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十二条第四百条本文に則つて主文のとおり判決する。 (裁判長判事谷本寛判事竹下利之右衛門判事吉田信孝) 主文 之右衛門判事吉田信孝

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