- 1 - 主文 被告人Aを懲役1年、被告人Bを懲役10月に処する。 被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人Bの負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは、水道設備工事請負等を業とするC株式会社の代表取締役として同社の業務全般を統括していたもの、被告人Bは、同社取締役として同社が受注した上下水道工事の施工に関する業務等を担当していたもの、分離前の相被告人であるDは、令和2年4月1日から令和6年3月31日までの間、美唄市都市整備部上下水道課事業係係長として、同市が発注する上下水道工事の工事価格の積算や最低制限価格の算出等の事務に従事し、同年4月1日から令和7年3月31日までの間、同課課長補佐として、同課の前記事務等を掌理して所属職員を指揮監督する同課課長を補佐するなどの事務に従事していたものである。 被告人両名は、共謀の上、Dが、美唄市が入札を執行した「東8条マンホールポンプ所改築更新工事」、「国道12号拡幅工事に伴う配水管仮設工事(進徳橋西側)」、「国道12号拡幅工事に伴う下水管移設工事(7号川函渠)」、「光珠内第2マンホールポンプ所改築更新工事」、「光珠内第1マンホールポンプ所改築更新工事」及び「峰延第2マンホールポンプ所改築更新工事」の一般競争入札等の最低制限価格を教示するなど有利な取り計らいをしたことに対する謝礼、及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に、令和6年11月1日から同月5日までの間、北海道内、東京都内及び沖縄県内において、D及び同人の交際相手であったEに係る合計85万3955円相当の沖縄旅行代金及び飲食代金等相当額の財産上の利益を供与し、もってDの職務に関して賄賂を供与し 間、北海道内、東京都内及び沖縄県内において、D及び同人の交際相手であったEに係る合計85万3955円相当の沖縄旅行代金及び飲食代金等相当額の財産上の利益を供与し、もってDの職務に関して賄賂を供与した。 (証拠の標目)省略 - 2 -(法令の適用) 1 被告人両名の判示所為は、いずれも刑法60条、令和4年法律第68号(以下「整理法」という。)441条1項により同年法律第67号2条による改正前の刑法198条に該当する。 2 被告人両名につき、いずれも所定刑中懲役刑を選択する。 3 所定刑期の範囲内で、被告人Aを懲役1年に、被告人Bを懲役10月に処する。 4 被告人両名に対し、情状により整理法447条、刑法25条1項を適用して、いずれもこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 5 訴訟費用は刑事訴訟法181条1項本文により被告人Bに負担させる。 (量刑の理由) 1 本件は、水道設備工事等を請け負う会社の役員であった被告人らが、市の水道課職員に対し、一般競争入札等の最低制限価格の教示を受けたことに対する謝礼等の趣旨で、同職員らの私的な旅行代等を会社で負担したという贈賄の事案である。 2 被告人らの会社では、長期にわたり最低制限価格の漏示を受けて複数の工事を落札し、3500万円ほどの利益を上げてきたもので、本件賄賂により、市職員の方では、同伴者分も合わせた私的な沖縄旅行にかかる費用のすべてを会社に負担してもらう利益を享受した。賄賂にかかる旅行代等は合計約85万円と少なくないのであって、会社側と市職員側の私利私欲が相まって癒着を深める中でなされた本件は、公務の公正さ及びそれに対する信頼を害する悪質な犯行といえる。 3⑴ 被告人Aは、会社の代表取締役として稼働していたものであるが、自社で落札したい公共工事を特定し、被 着を深める中でなされた本件は、公務の公正さ及びそれに対する信頼を害する悪質な犯行といえる。 3⑴ 被告人Aは、会社の代表取締役として稼働していたものであるが、自社で落札したい公共工事を特定し、被告人Bに指示して市職員から最低制限価格の漏示を受けさせ、同価格をもとに自社の入札額を決めるなどしていた。そして、本件贈賄に当たっては、被告人Bを通じて市職員側が私的な沖縄旅行の費用負担を求めていることを知ると、その要求を受け入れる決断をして各種手配に動くなど、本件で中心的な役割を果たしている。したがって、被告人Aの刑事責 - 3 -任を軽視することはできない。 もっとも、被告人Aが事実を認め、代表取締役を辞任するなどして反省の態度を示していること、元妻が被告人Aを監督する旨述べたこと、量刑上みるべき前科がないこと等の酌むべき事情も認められる。そこで、被告人Aに対する懲役刑の執行は猶予することとして、主文のとおり刑を量定した。 ⑵ 被告人Bは、会社の取締役として稼働していたものであるが、被告人Aの指示を受けて市職員から最低制限価格を聞き出し、市職員の沖縄旅行に同行して接待するなどした。もとより本件は被告人Aが主導して行ったもので、被告人Bが積極的に本件に関与したとは認められないので、被告人Aより非難の程度は劣るが、それでも本件等の実働部隊として関与した被告人Bの刑事責任を軽視することはできない。 他方で、被告人Bが事実を認めて反省の態度を示していること、会社の取締役を解任されるなど社会的制裁を受けていること、妻が情状証人として出廷し被告人の監督をする旨述べていること、前科前歴がないこと等の酌むべき事情も考慮し、被告人Bに対する懲役刑の執行も猶予することとして、主文のとおり刑を量定した。 4 よって、主文のとおり判決する。 被告人の監督をする旨述べていること、前科前歴がないこと等の酌むべき事情も考慮し、被告人Bに対する懲役刑の執行も猶予することとして、主文のとおり刑を量定した。 4 よって、主文のとおり判決する。 (求刑-被告人Aに対し懲役1年、被告人Bに対し懲役10月)令和7年8月29日札幌地方裁判所刑事第2部裁判長裁判官井戸俊一 裁判官織本もなみ - 4 -裁判官河村龍
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