昭和43(オ)893 抵当権取得登記等抹消登記請求

裁判年月日・裁判所
昭和45年11月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 昭和41(ネ)301
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人長島吉之助、同五井節蔵の各上告理由について。  原判決は、被上告人は昭和三二年一一

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判決文本文2,520 文字)

主文 原判決を破棄し、本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人長島吉之助、同五井節蔵の各上告理由について。 原判決は、被上告人は昭和三二年一一月頃上告人らの父であつて金融業者のDに対し三〇万円位の金員の借用方を申し入れたところ、右Dは当時本件土地は農地で直ちに売買契約をなすことができずまたこれを買い受けて耕作する気持もなかつたが担保として本件土地の所有権を自己の手に確保しておくことを考え、まず同年一一月一九日買主を上告人らとして本件土地を代金二一万六三〇〇円で買い受けた旨の公正証書を作成し、その頃被上告人に右金額を交付したうえ、同月二八日債権額二一万六三〇〇円として抵当権の設定登記をしておいたもので、被上告人としては右Dに形式だけだといわれ売買の公正証書を作成したが、代金額に相当する借金を返せばいつでも本件土地の所有権を返すとのDの言を信じ右金額を借用して抵当権を設定したにすぎないものと考え、本件土地を売り渡したり、売買の予約をする意思はなかつたこと、その後被上告人は右Dに少しづつ元利金を返済していたが多額の負債のため所有動産の競売を受けたりして、容易に完済することができなかつたとの事実を認定したうえ、被上告人と上告人らとの間に本件土地について売買の予約がなされたことはない、と判示しているのである。 しかしながら、成立に争いのない甲第一号証(乙第一号証も同様)は、被上告人と、上告人ら間の本件土地についての売買契約公正証書であつて、その契約条項中には、被上告人は上告人らに対し本件土地を代金二一万六三〇〇円で売り渡し、上告人らはこれを買い受ける旨、および右売買不動産は現在農地につき直ちに名義変更が出来ない状態にあるので登記可能状態になり次第買主に対し所有権移転登記をしなければならない 一万六三〇〇円で売り渡し、上告人らはこれを買い受ける旨、および右売買不動産は現在農地につき直ちに名義変更が出来ない状態にあるので登記可能状態になり次第買主に対し所有権移転登記をしなければならない旨記載され、成立に争いのない乙第二号証は、被上告人のD宛- 1 -の本領収書であつて、これには、本件土地代金二一万六三〇〇円全額受領した旨記載されており、右各証の記載および体裁からすれば、別異に解すべき特段の事情が認められないかぎり、昭和三二年一一月一九日被上告人と上告人ら間に本件土地につき売買契約ないしは売買の予約が成立したものと認めるのが自然である。しかるに、原判決は、これを否定し、右は形式だけのことで、実際にはDと被上告人間に二一万六三〇〇円の金銭消費貸借契約とその貸金債務を担保するための抵当権設定契約があつたにすぎないと認定しているのであるが、この判示にはたやすく首肯し得ないものがある。すなわち、被上告人が三〇万円位の借用申込をしたのに対し金融業者であるDが二一万六三〇〇円といういわば端数のついた金員を貸与するにはなんらかの特殊事情がなければ容易に理解しがたく、むしろ本件土地の売買代金であるがためではないかと推測されること、金融業者であるDが本件土地を担保として右金員を貸与したにすぎないとすれば、何故にDの未成年の子である上告人両名(上告人両名が未成年者であることは前掲甲第一号証に窺うことができる。)を買主として前記公正証書を作成し、両名を抵当権者とする抵当権設定登記を受けるという複雑な方法を選んだのか疑問であり、むしろ、上告人両名を買主とせんがためではないかと推測されること、金融業者であるDが右金員を貸与したのであれば、その貸付にあたり特段の事情がないかぎり利息および弁済期の定めがあつたはずであるが、原審はこの点を明確に判断してい んがためではないかと推測されること、金融業者であるDが右金員を貸与したのであれば、その貸付にあたり特段の事情がないかぎり利息および弁済期の定めがあつたはずであるが、原審はこの点を明確に判断していないこと(ちなみに、被上告人は、みずから利息および弁済期の定めのない消費貸借であると主張している。)、もつとも、利息に関するかぎり、原判決は、その後被上告人はDに少しづつ元利金を返済していたと認定し、その約定のあつたことを肯定しているごとくであるが、その金額は認定されておらず、しかも、本件記録上は甲第九号証の一、二のほか右返済を裏付ける証拠はなく、むしろ、乙第一一号証の一、二と対比すると、右各証はいずれもDが経営するE商事有限会社からの別の貸借についての領収証であるとみるのが合- 2 -理的であること、抵当権設定契約についても、前掲甲第一号証によれば、むしろ、本件土地について所有権移転登記ができない場合における前記代金の取り戻しを担保するため抵当権設定登記をする趣旨であつたとみるのが自然であること、以上の諸点からみて、原判示のような金銭消費貸借があつたと認定することは極めて無理がある。そうすると、原判決は、十分首肯するに足りる理由を示すことなく、売買の予約の成立を否定したものといわなければならず、原判決のこの判断には経験則に反する違法があるものというべきである。そして原審は、前記認定判断につづいて、売買予約が成立していないことを前提としたうえで、本件仮登記も被上告人の不知の間になされたものであつて無効の登記であると認定判断しているのであるから、この判断にも違法があるというのほかなく、結局、前記違法は原判決に影響を及ぼすものであつて、論旨は理由がある。 したがつて、原判決は破棄を免れず、さらに審理を尽くさせる必要があるので本件を原審に差し戻 判断にも違法があるというのほかなく、結局、前記違法は原判決に影響を及ぼすものであつて、論旨は理由がある。 したがつて、原判決は破棄を免れず、さらに審理を尽くさせる必要があるので本件を原審に差し戻すのを相当とする。 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩田誠裁判官入江俊郎裁判官長部謹吾裁判官大隅健一郎裁判官藤林益三- 3 -

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