平成18(行ヒ)177 法人税額決定処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年9月12日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所 平成17(行コ)31
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判決文本文3,135 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人草野勝彦ほかの上告受理申立て理由について 本件は,宗教法人である上告人が,死亡したペット(愛がん動物)の飼い主から依頼を受けて葬儀,供養等を行う事業に関して金員を受け取ったことについて,被上告人から,上告人の行う上記事業(以下「本件ペット葬祭業」という。)が法人税法施行令(別表記載のものをいう。以下同じ。)5条1項1号,9号及び10号に規定する事業に該当し,法人税法2条13号の収益事業に当たるとして,平成8年4月1日から同13年3月31日までの5事業年度に係る法人税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分を受けたため,その取消しを求めている事案である。 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。 (1)上告人は,昭和58年ころから本件ペット葬祭業を行っており,現在は,「X動物霊園」の名称で,境内にペット用の火葬場,墓地,納骨堂等を設置し,引取りのための自動車を数台保有して,死亡したペットの引取り,葬儀,火葬,埋蔵,納骨,法要等を行っているほか,本件ペット葬祭業のあらましを写真入りで説明したパンフレットを発行し,ホームページを開設するなどして,その周知に努めている。 (2)上告人によるペットの葬儀及び火葬は,ペット専用の葬式場において,人間用祭壇を用いて僧りょが読経した後,死体を火葬に付するというものであるとこ- 2 -ろ,前記パンフレット及びホームページには,その料金につき,第1審判決別表2記載のとおり,動物の重さ等と火葬方法との組合せにより8000円から5万円の範囲で金額を定めた表が「料金表」等の表題の下に掲載されている。この表は,上告人の代表役員が,同様の事業を行う有限会社の料金表を参考にして作成したものである。また 組合せにより8000円から5万円の範囲で金額を定めた表が「料金表」等の表題の下に掲載されている。この表は,上告人の代表役員が,同様の事業を行う有限会社の料金表を参考にして作成したものである。また,上記ホームページには,「上記は一式全てを含む費用です(引取・お迎え費用等は別)」との記載がある。なお,上告人によるペットの葬祭を希望する者が上告人の自動車でペットの死体を引き取ってもらうときには,3000円の支払を求められる。 上告人の保管している帳簿に記載されたペットの供養による収入金額は,いずれも「料金表」記載の金額又はこれに引取りの際の支払金額を加えた金額に合致している。 (3)ペットの死体を境内のペット専用の墓地に埋蔵するに当たり,合同墓地を利用する場合には,上告人にペットの葬儀等を依頼した者であれば無料であるが,個別墓地を利用する場合には,年間2000円の管理費のほか,3年の使用期限を3回更新した時に1万円の継続利用料の支払を求められる。また,納骨堂を利用する場合には,納骨箱の大きさに応じて3万5000円又は5万円の永代使用料,年間2000円の管理費等の支払を求められる。前記ホームページには,「合同のお墓は上記費用にて無料でお使いいただけます。また,納骨堂・石墓地(個別墓)などのご利用の場合でもお手頃にご用意できます。」などと記載され,合同墓地,納骨堂,石墓地の説明と費用が示されている。さらに,上告人は,遺骨を納めた飼い主からの依頼に基づいて初七日法要や七七日法要を行う際に,あらかじめ定められた額の金員を受け取っている。このほか,上告人は,ペットの葬祭に関連して,塔- 3 -婆,位はい,墓石等を希望者に交付し,あらかじめ定められた額の金員を受領している。 (4)ペットの供養や葬祭を行うことは,我が国では昭和50年代くらいから広 ,ペットの葬祭に関連して,塔- 3 -婆,位はい,墓石等を希望者に交付し,あらかじめ定められた額の金員を受領している。 (4)ペットの供養や葬祭を行うことは,我が国では昭和50年代くらいから広まり始めたとされている。このような事業を行う事業者の数は,平成16年現在,全国で6000ないし8000に及ぶとされ,仏教寺院によるものだけでなく,倉庫業,運送業,不動産会社,石材店,動物病院等によるものも見られる。 上記事実関係によれば,本件ペット葬祭業は,外形的に見ると,請負業,倉庫業及び物品販売業並びにその性質上これらの事業に付随して行われる行為の形態を有するものと認められる。法人税法が,公益法人等の所得のうち収益事業から生じた所得について,同種の事業を行うその他の内国法人との競争条件の平等を図り,課税の公平を確保するなどの観点からこれを課税の対象としていることにかんがみれば,宗教法人の行う上記のような形態を有する事業が法人税法施行令5条1項10号の請負業等に該当するか否かについては,事業に伴う財貨の移転が役務等の対価の支払として行われる性質のものか,それとも役務等の対価でなく喜捨等の性格を有するものか,また,当該事業が宗教法人以外の法人の一般的に行う事業と競合するものか否か等の観点を踏まえた上で,当該事業の目的,内容,態様等の諸事情を社会通念に照らして総合的に検討して判断するのが相当である。 前記事実関係によれば,本件ペット葬祭業においては,上告人の提供する役務等に対して料金表等により一定の金額が定められ,依頼者がその金額を支払っているものとみられる。したがって,これらに伴う金員の移転は,上告人の提供する役務等の対価の支払として行われる性質のものとみるのが相当であり,依頼者において宗教法人が行う葬儀等について宗教行為としての意味を感じ みられる。したがって,これらに伴う金員の移転は,上告人の提供する役務等の対価の支払として行われる性質のものとみるのが相当であり,依頼者において宗教法人が行う葬儀等について宗教行為としての意味を感じて金員の支払をしてい- 4 -たとしても,いわゆる喜捨等の性格を有するものということはできない。また,本件ペット葬祭業は,その目的,内容,料金の定め方,周知方法等の諸点において,宗教法人以外の法人が一般的に行う同種の事業と基本的に異なるものではなく,これらの事業と競合するものといわざるを得ない。前記のとおり,本件ペット葬祭業が請負業等の形態を有するものと認められることに加えて,上記のような事情を踏まえれば,宗教法人である上告人が,依頼者の要望に応じてペットの供養をするために,宗教上の儀式の形式により葬祭を執り行っていることを考慮しても,本件ペット葬祭業は,法人税法施行令5条1項1号,9号及び10号に規定する事業に該当し,法人税法2条13号の収益事業に当たると解するのが相当である。 これと同旨の原審の判断は是認することができる。論旨は採用することができない。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官津野修裁判官今井功裁判官中川了滋裁判官古田佑紀)(別表)法人税法施行令5条1項1号平成12年政令第416号による改正前のもの法人税法施行令5条1項9号現行の規定法人税法施行令5条1項10号平成14年政令第104号による改正前のもの- 5 -本件に係る事業年度である平成8年4月1日から同13年3月31日までの間に施行された法人税法施行令の改正の経緯については,説示に影響しないことから,上記の表においてはこの点に関する記載を省略した。 の間に施行された法人税法施行令の改正の経緯については,説示に影響しないことから,上記の表においてはこの点に関する記載を省略した。

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