平成22(ワ)5536 不正競争行為差止等請求

裁判年月日・裁判所
平成23年10月20日 大阪地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-81732.txt

判決文本文26,058 文字)

- 1 -平成23年10月20日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成22年(ワ)第5536号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年7月11日判決原告株式会社おにさか同訴訟代理人弁護士武末昌秀被告株式会社日奈久竹輪今田屋同訴訟代理人弁護士田中雅敏同宇加治恭子同鶴 利絵同山根義則同柏田剛介同生島一哉同訴訟代理人弁理士有吉修一朗 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,文書又は口頭で,別紙原告標章目録記載1ないし4の各標章(以下,原告標章目録記載1の標章を「原告標章1」などといい,原告標章1ないし4を総称して「原告各標章」という。)を付したちくわ(以下「原告商品」という。)の販売行為が,別紙商標権目録記載1ないし6の各商標権(以下,別紙商標権目録記載1の商標権を「本件商標権1」などといい,同商標権に係る商標を「本件商標1」などという。また,本件商標権1ないし6を総称して「本件各商標権」といい,本件商標1ないし6を総称して「本件各商標」という。)を侵害し, - 2 -又は侵害するおそれがある旨を告知し,又は流布してはならない。 2 被告は,原告に対し,845万0752円及びこれに対する平成22年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告各標章を付したちくわを販売している原 告は,原告に対し,845万0752円及びこれに対する平成22年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告各標章を付したちくわを販売している原告が,本件各商標権の商標権者である被告に対し,被告が,原告の取引先に対し,原告の上記販売行為が被告の本件各商標権を侵害する行為である旨の原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したと主張し,かかる告知行為が不正競争防止法2条1項14号の不正競争に当たることを理由として,同法3条1項に基づきその差止めを求めるとともに,上記告知行為により損害を受けたと主張して,同法4条又は民法709条に基づき損害賠償金845万0752円及びこれに対する不法行為の日の後の日である平成22年4月22日(本訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 1 判断の基礎となる事実以下の各事実は,当事者間に争いがないか,又は掲記の各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認定することができる。 (1) 当事者原告は,平成4年に設立されたちくわ,かまぼこ及びてんぷらの製造並びに卸小売等を業とする株式会社であり,本社を熊本県八代市〈以下略〉に置いている。 被告は,昭和54年に設立されたちくわの製造販売等を業とする株式会社であり,本社を熊本県八代市〈以下略〉に置いている。 (2) 本件各商標権被告は,別紙商標権目録記載1ないし8の各商標権を有している。 本件各商標権(別紙商標権目録記載1ないし6の各商標権)に係る商標は, - 3 -いずれも別紙商標権目録記載7,8の各商標権に係る商標(いずれも図形部分の中に「日奈久竹輪今田屋」と記載された文字部分がある。)等との連合商標として商標登録出願がされ,出願公告, , - 3 -いずれも別紙商標権目録記載7,8の各商標権に係る商標(いずれも図形部分の中に「日奈久竹輪今田屋」と記載された文字部分がある。)等との連合商標として商標登録出願がされ,出願公告,登録査定の後に登録されたものである。 本件各商標の一部である「日奈久」,「ひなぐ」又は「ヒナグ」とは,現在,熊本県八代市に含まれる地域の名称であり,日奈久温泉があることから,古くから観光地として有名な地域である。 (3) 原告各標章の使用原告は,原告商品(原告各標章を付したちくわ。商品名は「日奈久竹輪」又は「日奈久ちくわ」である。)を販売している。 原告商品の取引先としては,九州旅客鉄道株式会社(以下「JR九州」という。),P1(高速道路のサービスエリアや空港の売店でちくわを販売する業者。以下「P1」という。),P2(スーパーにちくわを卸販売する業者),P3(小売業者),P4(小売業者)等がある。 なお,原告とP1との間の原告商品の取引は,平成21年1月以降,商品名を「鬼坂の竹輪」に変更した上で継続されている。 (4) 被告の原告及びJR九州に対する商標権侵害に基づく差止・損害賠償請求訴訟被告は,原告商品の販売行為が本件各商標権の侵害に当たると主張して,平成20年10月16日,原告及び原告の取引先であったJR九州を共同被告として,商標権侵害に基づく差止・損害賠償請求訴訟を福岡地方裁判所に提起した(甲13の1。以下「別件訴訟」という。)。 JR九州は,別件訴訟の平成22年2月23日の和解期日において,別件訴訟原告(本訴被告)と裁判上の和解をし,その中で,別件訴訟原告(本訴被告)に対し,分離して残った別件訴訟原告(本訴被告)の別件訴訟被告(本訴原告)に対する訴訟が終局的に解決するまでの間,原告標章1を付した商 - )と裁判上の和解をし,その中で,別件訴訟原告(本訴被告)に対し,分離して残った別件訴訟原告(本訴被告)の別件訴訟被告(本訴原告)に対する訴訟が終局的に解決するまでの間,原告標章1を付した商 - 4 -品の販売を行わないことを約した(乙82)。 分離後の別件訴訟被告(本訴原告)に対する訴訟について,福岡地方裁判所は,平成22年6月22日,請求を棄却する旨の判決を言い渡し(甲25),別件訴訟原告(本訴被告)が控訴したが,福岡高等裁判所は,同年11月9日,控訴を棄却する旨の判決を言い渡した(甲30)。これに対し,別件訴訟原告(本訴被告)は上告提起及び上告受理申立てをしており,現在も係属中である。 2 争点(1) 原告商品の販売が本件各商標権を侵害するか(争点1)(2) 被告の原告の取引先に対する商標権侵害の旨の告知が認められるか。認められる場合,それが不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成するか(争点2)(3) 被告のJR九州に対する別件訴訟提起が不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成するか(争点3)(4) 原告の損害額(争点4)第3 当事者の主張 1 争点1(原告商品の販売が本件各商標権を侵害するか)について【被告の主張】(1) 原告各標章と本件各商標との類否ア原告標章1と本件各商標との類否(ア) 原告標章1は,竹材を連想させる棒状部材を四角形状に組み合わせた図案の上に魚の図案を描いた図形部分の上方に「名産」の文字を横書きするとともに,当該図形部分の中央部分に「日奈久竹輪」の文字を横書きし,さらには,当該図形部分の下方に「おにさか」の文字を横書きしてなるものである。そして,「日奈久竹輪」の文字部分について を横書きするとともに,当該図形部分の中央部分に「日奈久竹輪」の文字を横書きし,さらには,当該図形部分の下方に「おにさか」の文字を横書きしてなるものである。そして,「日奈久竹輪」の文字部分については,「名産」及び「おにさか」の文字部分と比較すると,2倍程度の大きさであ - 5 -るとともに,太字による強調表示がなされている。 このように,「日奈久竹輪」の文字部分が,標章の中央に大きく,しかも,太字による強調表示がなされていることからすると,原告標章1の要部は「日奈久竹輪」の文字部分と把握される。 (イ) 本件商標1は,「ひなぐちくわ」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いと,平仮名表記であるか漢字表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標1は類似するといえる。 (ウ) 本件商標2は,「ヒナグちくわ」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いと,「ヒナグ」という片仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの違いと,「ちくわ」という平仮名表記であるか「竹輪」という漢字表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標2は類似するといえる。 (エ) 本件商標3は,「日奈久ちくわ」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いと,「ちくわ」という平仮名表記であるか「竹輪」という漢字表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標3は類似するといえる。 (オ) 本件商標4は,「日奈久竹輪」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標 似するといえる。 (オ) 本件商標4は,「日奈久竹輪」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標4は類似するといえる。 (カ) 本件商標5は,「ヒナグ竹輪」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いと,「ヒナグ」という片仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの - 6 -違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標5とは類似するといえる。 (キ) 本件商標6は,「ひなぐ竹輪」なる文字を縦書きしており,原告標章1の要部とは,縦書き表記であるか横書き表記であるかの違いと,「ひなぐ」という平仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章1と本件商標6は類似するといえる。 イ原告標章2と本件各商標との類否(ア) 原告標章2は,竹材を連想させる棒状部材を四角形状に組み合わせた図案の上に魚の図案を描いた図形部分の上方に「熊本日奈久名産」の文字を横書きするとともに,当該図形部分の中央部分に「日奈久竹輪」の文字を横書きし,さらには,当該図形部分の下方に「おにさか」の文字を横書きしてなるものである。そして,「日奈久竹輪」の文字部分については,「熊本日奈久名産」及び「おにさか」の文字部分と比較すると,2倍程度の大きさであるとともに,太字による強調表示がなされている。 このように,「日奈久竹輪」の文字部分が,標章の中央に大きく,しかも,太字による強調表示がなされていることからすると,原告標章2の要部は「日奈久竹輪」の文字部分と把握される。 (イ) 原告標章2と本件各商標が類似するといえることは,原告標章1の場合 きく,しかも,太字による強調表示がなされていることからすると,原告標章2の要部は「日奈久竹輪」の文字部分と把握される。 (イ) 原告標章2と本件各商標が類似するといえることは,原告標章1の場合(上記ア)と同様である。 ウ原告標章3と本件各商標との類否(ア) 原告標章3は,原告標章2と同様の標章であり,その要部は,「日奈久竹輪」の文字部分と把握される。 (イ) 原告標章3と本件各商標が類似するといえることは,原告標章1の場合(上記ア)と同様である。 - 7 -エ原告標章4と本件各商標との類否(ア) 原告標章4は,竹材を連想させる棒状部材を四角形状に組み合わせた図案の上に魚の図案を描いた図形部分の中央部分に「日奈久ちくわ」の文字を縦書きしてなるものである。 このように,「日奈久ちくわ」の文字部分が,標章の中央に大きく表示されていることからすると,原告標章4の要部は「日奈久ちくわ」の文字部分であると把握される。 (イ) 本件商標1と原告標章4の要部とは,「ひなぐ」という平仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章4と本件商標1は類似するといえる。 (ウ) 本件商標2と原告標章4の要部とは,「ヒナグ」という片仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章4と本件商標2は類似するといえる。 (エ) 本件商標3と原告標章4の要部とは,フォントの違いを考慮したとしても実質的に同一である。 したがって,原告標章4と本件商標3は類似するといえる。 (オ) 本件商標4と原告標章4の要部とは,「竹輪」という漢字表記であるか「ちくわ」という平仮名表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標 章4と本件商標3は類似するといえる。 (オ) 本件商標4と原告標章4の要部とは,「竹輪」という漢字表記であるか「ちくわ」という平仮名表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章4と本件商標4は類似するといえる。 (カ) 本件商標5と原告標章4の要部とは,「ヒナグ」という片仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの違いと,「竹輪」という漢字表記であるか「ちくわ」という平仮名表記であるかの違いのみである。 したがって,原告標章4と本件商標5は類似するといえる。 (キ) 本件商標6と原告標章4の要部とは,「ひなぐ」という平仮名表記であるか「日奈久」という漢字表記であるかの違いと,「竹輪」という漢字表記であるか「ちくわ」という漢字表記であるかの違いのみである。 - 8 -したがって,原告標章4と本件商標6は類似するといえる。 (2) 原告の主張に対する反論ア本件各商標には商標として保護されるべき要部がないとの主張について原告は,本件各商標が,地域名と商品名からなることから自他識別力を有さず商標として保護されるべき要部がない(商標法3条1項3号参照)と主張する。 しかしながら,地域名と商品名からなる商標であっても,特定の者が長年その業務に係る商品について使用した結果,その商標がその商品と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることは経験的に明らかであり,地域名と商品名からなる商標であっても,商標法3条1項3号所定の商標に該当するかは,当該商標に自他識別力があるのか否か,当該商標を特定人に独占させることが公益上の見地から妥当性を欠くものであるのか否かを,個別に検討すべきである。 本件各商標は,被告が,日奈久竹輪商標組合(その前身は,「日奈久ちくわ組合」である。以下,併せて「 人に独占させることが公益上の見地から妥当性を欠くものであるのか否かを,個別に検討すべきである。 本件各商標は,被告が,日奈久竹輪商標組合(その前身は,「日奈久ちくわ組合」である。以下,併せて「商標組合」という。)の組合員の同意を得て代表して権利者となっているもので,同組合が本件各商標権の管理を行っている。本件各商標は,商標組合が120年以上の長きにわたって守り育ててきたものであり,同組合は,組合員全員の利益のために,多大な労力と費用を負担して,本件各商標の広告宣伝を行っている。これらの点からすれば,本件各商標には,自他識別力が認められるのであって,商標法3条1項3号所定の商標に該当せず,したがって商標として保護されるべきものである。なお,原告は,本件各商標が,商標組合を示すものとして周知ではないと主張するが,商標の出所表示機能としては,必ずしもそこから具体的な製造業者や販売業者が認識される必要はなく,その商品そのものが他の類似商品と区別して認識されれば十分である。 また,本件各商標は,仮に商標法3条1項3号所定の商標に該当すると - 9 -しても,同条2項によって保護されるべきものであるから,商標として保護されるべき要部がないとの主張は当たらない。 イ商標としての使用に該当しないとの主張について原告は,商標組合の組合員らが,本件各商標の使用に当たって独自の商号や図形標章を付記していることから,本件各商標には自他識別機能が認められず,原告による原告各標章の使用は,商標としての使用に該当しない旨主張する。 しかし,自他識別力のある標章であっても,それを複数の者が使用する場合には,特に自社のものであることを識別させるために事業者名を付記することはしばしばあることであって,そのことが本件各商標の自他識別力を否定するものでは る標章であっても,それを複数の者が使用する場合には,特に自社のものであることを識別させるために事業者名を付記することはしばしばあることであって,そのことが本件各商標の自他識別力を否定するものではない。 ウ原告各標章が商標法26条1項2号所定の商標に該当するとの主張について「日奈久竹輪」又は「日奈久ちくわ」は,商標組合の構成員らだけが,一世紀以上にわたり独占的に使用してきたものであり,同業者及び需要者に,単に日奈久産のちくわを意味する表現として認識されている事実もないのであって,これらが,産地や製造地を説明的に表現したにすぎないとは到底いえない。 また,商標法26条1項2号所定の商標に該当するには,当該商標そのものに自他識別力がない方法で,しかも地名や産地名を取引者に説明するという機能の範囲内で使用する場合である必要があるところ,原告各標章は,いずれも「日奈久竹輪」(原告標章1ないし3)又は「日奈久ちくわ」(原告標章4)の文字が中央部に大きく書かれており,これ以外に商品名の記載はないから,これを看る者は,上記記載を商品名と認識する以外はなく,自他識別力がない方法で使用されているといえないことは明らかである。原告が,産地を表示するためであれば,「日奈久名産」と記載して, - 10 -単に商品名を「竹輪」と記載すれば十分であって,産地表示として「日奈久竹輪」と記載すべき必要性はない。 したがって,原告各標章は,産地等を普通に用いられる方法で表示するものとはいえないから,これらが商標法26条1項2号所定の商標に該当するとの主張は失当である。 【原告の主張】(1) 本件各商標が商標として保護されるべき要部を有しないこと本件各商標は,いずれも商標として保護されるべき要部を有していないことから,原告各標章が, 失当である。 【原告の主張】(1) 本件各商標が商標として保護されるべき要部を有しないこと本件各商標は,いずれも商標として保護されるべき要部を有していないことから,原告各標章が,本件各商標に類似する商標として,被告の権利を侵害することはあり得ない。 すなわち,本件各商標のうち,「ひなぐ」(本件商標1,6),「ヒナグ」(本件商標2,5)又は「日奈久」(本件商標3,4)はいずれも産地の表示であり,「ちくわ」(本件商標1ないし3)又は「竹輪」(本件商標4ないし6)は,いずれも商品自体を示す表示であり,本件各商標はこれらの結合文字商標であるから,これらを指定商品である「ちくわ」,「焼きちくわ」に使用するときは,商品と産地を表す標章を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に当たるから,商標として保護されるべき要部を有しないというべきである(商標法3条1項3号参照)。 なお,本件各商標は,被告ないし商標組合について自他識別性があると認めるべき特別の事情(商標法3条2項参照)もない。本件各商標が,特定の組合や業者のものであることをうかがわせる資料等は存在しない。 (2) 原告各標章の使用は商標としての使用に該当しないこと原告が原告商品の包装の表示の一部に「日奈久竹輪」(原告標章1ないし3)又は「日奈久ちくわ」(原告標章4)という表示をしているのは,商品の内容を表しているにすぎず,商標としての使用に該当しない。 この点について,熊本県八代市(日奈久地区を含む。)でちくわを製造販売 - 11 -する業者は,いずれも「日奈久竹輪」や「日奈久」の文字を使用しつつも,出所識別表示をするために,独自の商号や図形標章を表示し,これらと共に「日奈久竹輪」や「日奈久」の文字も各自独自の形態の文字表示をした包装を いずれも「日奈久竹輪」や「日奈久」の文字を使用しつつも,出所識別表示をするために,独自の商号や図形標章を表示し,これらと共に「日奈久竹輪」や「日奈久」の文字も各自独自の形態の文字表示をした包装を用いているのであって,一般需要者にとって,「日奈久竹輪」等の文字のみによって,自他識別機能が認められるという事実はない。 原告が原告商品の包装紙に表示している「日奈久竹輪」又は「日奈久ちくわ」の文字は,単に包装されている商品を表すために使用しているものであって,自他識別機能を有する商標として使用しているものではないから,本件各商標権を侵害することにはならない。 (3) 原告各標章が商標法26条1項2号所定の商標に該当すること原告各標章のうち,「日奈久」(原告各標章)は産地の表示であり,「竹輪」(原告標章1ないし3)又は「ちくわ」(原告標章4)は,いずれも商品自体を示す表示であるところ,これらを指定商品である「ちくわ」や「焼きちくわ」に使用するときは,商品の普通名称と産地を表す標章を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標となるから,商標法26条1項2号により,本件各商標権の効力は及ばない。 2 争点2(被告の原告の取引先に対する商標権侵害の旨の告知が認められるか。 認められる場合,それが不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成するか)について【原告の主張】(1) 口頭での告知について被告代表者のP5は,平成20年10月16日以降,原告の取引先であるP1に対して,原告が被告の商標権を侵害しており,取引を継続すれば損害賠償を請求する旨等を口頭で告知した。これを受けて,P1は,原告に対し,原告商品についての原告各標章の変更を申し入れ,そのため,原告は,平成21年1月に の商標権を侵害しており,取引を継続すれば損害賠償を請求する旨等を口頭で告知した。これを受けて,P1は,原告に対し,原告商品についての原告各標章の変更を申し入れ,そのため,原告は,平成21年1月に,P1に納入する原告商品に付する標章を「鬼坂の竹輪」に変 - 12 -更した。 また,被告代表者のP5は,原告の取引先であるP2に対しても,同内容を口頭で告知した。 (2) 文書の作成・送付について被告又はその関係者は,平成22年3月中旬頃,原告の取引先である小売業者等(P3,P4等)に対し,「【おにざかの竹輪】では全然売れない」,「あるのは産地偽装だけである。」「日奈久特産『日奈久竹輪』日奈久が永年努力してきたブランド名である。」「関東・関西始め全国各地から年何十件も苦情が舞い込んでくる『日奈久の本当の竹輪だと買って帰ったら,これは違う騙された全然味が違う,旨くない』と。」,「悪徳商人産地偽装専門店【おにざか蒲鉾】」,「こういう商人だから原材料の保証はない」等原告を誹謗中傷する内容の文書(甲14の1・3。以下「本件文書」という。)を送付した。 本件文書には差出人名が記載されていないが,被告又はその関係者が送付したことは,経験則に照らし明らかである。すなわち,本件文書の内容は,別件訴訟での証人P6(以下「証人P6」という。)の尋問内容と符合しているところ,同証人尋問は平成22年2月12日に行われ,当事者に証人尋問調書の謄写が可能となったのは同年3月7,8日頃であって,本件文書が送付されたのは同月8日及び同月10日頃であることからすると(甲14の2・4),本件文書は,上記証人尋問調書の記載に基づいて作成されたと考えられる。また,別件訴訟では,平成21年10月に,受訴裁判所から,別件訴訟原告(本訴被告)申請の証人尋問の からすると(甲14の2・4),本件文書は,上記証人尋問調書の記載に基づいて作成されたと考えられる。また,別件訴訟では,平成21年10月に,受訴裁判所から,別件訴訟原告(本訴被告)申請の証人尋問の後に損害論の審理は行わず,侵害論の審理のみで終結する旨の進行見込みが示されていたところ,本件文書には,「司法の結果はどうあれ」と記載されており,文書作成者は,別件訴訟に関与して,別件訴訟原告(本訴被告)の主張に法的根拠がないと判断されるであろうことを十分に認識しながら,あえて原告を誹謗する行為をしているものと認められる。 - 13 -(3) 被告の原告による自作自演との主張について上記各告知行為が,原告の自作自演である可能性があるという被告の主張はすべて否認する。 (4) 上記各告知行為は,不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為を構成すること原告商品の販売行為が,本件各商標権の侵害に当たらないことは,上記1【原告の主張】のとおりであるから,被告の上記各告知行為は,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当し,また一般不法行為を構成する。 【被告の主張】(1) 口頭での告知について原告の主張する事実関係は否認する。 P1やP2は,被告とも取引があるが,その担当者に対して,原告の主張する内容を告げたことは全くない。P1が原告に包装等を変えるように指示したのは,原告と被告との間の別件訴訟を知ったP1が,自らの判断で常識的な指導を行ったものにすぎない。 (2) 文書の作成・送付について本件文書について,被告は作成はもちろん何らの関与もしていない。 原告は,平成21年10月に,別件訴訟において裁判所から損害論の審理は行わない旨示されたことを前提として,本件 いて本件文書について,被告は作成はもちろん何らの関与もしていない。 原告は,平成21年10月に,別件訴訟において裁判所から損害論の審理は行わない旨示されたことを前提として,本件文書の作成者は被告である旨主張するが,そのような事実はない。仮にそのような事実があったとしても,それから5か月が経過した平成22年3月になって,本件文書を送付するに至ったというのは全く不自然である。また,文書の送付が,証人P6の尋問から1か月弱が経過して行われていることからすれば,証人P6の尋問がきっかけになったというのも不自然である。 なお,証人P6の尋問調書の謄写が可能となったのは,平成22年2月末頃である。 - 14 -(3) 原告による自作自演の可能性についてア証人P6の尋問調書は,平成22年3月1日には謄写可能であったところ,原告が,P6証言の詳細を知るために尋問調書を謄写した上で,本件文書を作成したと考えれば,本件文書の発送時期(同月8日及び同月10日頃)は,極めて自然なものとなる。 また,本件文書が送付されたのは小規模なスーパーマーケットであり,被告の調査では,P4には広いちくわ,かまぼこ等の練り物関係の売場に原告の商品はわずか一種類のみが2点だけ置かれているにすぎず,P3には原告の商品はほとんど置かれていないようであるところ,これは,送付に当たり,送付されても原告にそれほど損害のない取引先が選別されたことが推認される。 イ原告は,別件訴訟において,昭和62年10月頃,既に「日奈久ちくわ」の標章を使用していたことを立証する目的で,被写体の看板部分に「日奈久ちくわ」との文字をはめ込み合成した偽造写真(乙84の1)を書証として提出したり,別の写真(乙84の3)についても撮影場所 くわ」の標章を使用していたことを立証する目的で,被写体の看板部分に「日奈久ちくわ」との文字をはめ込み合成した偽造写真(乙84の1)を書証として提出したり,別の写真(乙84の3)についても撮影場所について虚偽の説明を行ったりなどしている。 ウこれらの点からすると,原告が主張する口頭での告知や文書の作成・送付については,原告自身の自作自演による可能性がある。 3 争点3(被告のJR九州に対する別件訴訟提起が不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成するか)について【原告の主張】(1) 被告のJR九州に対する別件訴訟提起は,原告の取引先であるJR九州に対して,原告が商標権侵害をしているという原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知する手段としてされたものであるから,訴訟提起であっても,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に当たり,また一般不法行為を構 - 15 -成する。 (2) 被告が,本件各商標権に基づき,原告商品の販売等の差止請求や損害賠償請求をすることができないことは明らかであり,被告が,そのことを知っていた又は通常人であれば容易にそのことを知り得たことは,以下の点から明らかである。 ア被告は,昭和55,56年頃,本件各商標(文字商標)を構成の一部とする図形商標の登録出願をしているが,これは,被告が,「日奈久竹輪」という文字商標だけでは,商標法3条1項3号の無効原因を有することを認識していたから,図形等と組み合わせて登録出願したものと認められる。 イ被告と本件商標1ないし3の登録出願後の平成元年9月における原告従業員等とのやり取り(甲9)からすると,被告は,本件各商標の登録出願以前に,既に原告がその商品に「日奈久ちくわ」の標章を付して,複数の直 と本件商標1ないし3の登録出願後の平成元年9月における原告従業員等とのやり取り(甲9)からすると,被告は,本件各商標の登録出願以前に,既に原告がその商品に「日奈久ちくわ」の標章を付して,複数の直営店で店舗販売したり,郵便局のゆうパックで送付販売したり,全国うまいもの大会で熊本県の特産品として展示販売するなど,広域的に販売を行っていたこと認識していた。 被告は,その後平成13年に至るまで,本件各商標権に基づく権利主張はしておらず,本件各商標は,商標法3条1項3号の無効事由があること,あるいは原告各標章は商標法26条1項所定の商標に該当し,又はその使用は同法32条1項に該当することにより,原告各標章の使用について,権利主張できないことを十分に認識していた。 ウ平成13年に被告が原告に対し原告各標章の使用中止を求めた際,原告は,被告に対し,原告各標章につき先使用権の存在等について回答しており(甲26の1),その際,それぞれの弁護士間で事実関係の確認があったはずであるが,被告は,その後平成20年に至るまで,本件各商標権に基づく権利主張はしていない。すなわち,被告は,原告各標章の使用について権利主張できないことを十分に認識していた。 - 16 -(3) そもそも,訴訟提起は,競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知という観点からみると,単なる文書や口頭による取引先に対する告知や仮処分の申立てよりも強圧的な方法による取引先への告知といえる。 特に,JR九州のような企業は,訴訟を嫌う傾向にあり,紛争に巻き込まれ,一般消費者に影響が生じることを避けるため,訴訟を提起されれば,原告の商品の販売を中止するであろうことは,十分に予測できることである。そして,仮に原告が被告の商標権を侵害しているとしても,被告は,原告に 消費者に影響が生じることを避けるため,訴訟を提起されれば,原告の商品の販売を中止するであろうことは,十分に予測できることである。そして,仮に原告が被告の商標権を侵害しているとしても,被告は,原告に対する訴訟提起をすれば足りるのであり,それ以上に取引先であるJR九州に対する訴訟提起をするまでの緊急性は存在しなかったのである。そうであるのに被告は,上記のとおり,原告各標章について権利行使できないことを知りながら,あるいは容易に知り得ていながら原告の取引先であるJR九州に対して訴訟提起し,原告が商標権侵害をしている事実を告知しており,その行為は著しく相当性を欠くものである。 そのほか,被告は,原告の取引先に対する虚偽の事実の口頭告知,文書送付等にも及んでおり,これらの点も考慮すれば,被告による原告の取引先であるJR九州に対する商標権侵害を理由とする別件訴訟提起は,商標権侵害に基づく権利行使という外形を装っているものの,その実態は法的な権利行使ができないことを知りながら,原告という競業者の取引先に対する信用を毀損し,被告自身が契約関係を取得し,少なくとも原告と同取引先との契約を解消させることを目的として,あえて同行為に及んだものと認められる。 (4) したがって,被告の上記行為は,原告との関係において正当な権利行使とは認められず,著しく相当性を欠くものであり,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に当たり,また一般不法行為も構成する。 なお,競業者の取引先に対する告知行為という側面を有する訴訟提起の違法性判断は,契約当事者の直接の相手間の事案である最高裁判所昭和63年1月26日判決(民集42巻1号1頁)の射程外であり,同判決の要件は当 - 17 -てはまらないから,本件において,相当性を欠く事実の立証を原告がしなければならな 事案である最高裁判所昭和63年1月26日判決(民集42巻1号1頁)の射程外であり,同判決の要件は当 - 17 -てはまらないから,本件において,相当性を欠く事実の立証を原告がしなければならないわけではない。 【被告の主張】JR九州に対する訴訟提起については,以下のとおり,違法性は認められず,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当せず,また一般不法行為も構成しない。 (1) たとえば,商標権を侵害することを前提に取引先を威圧ないし不当な圧力を加えることをもっぱらの目的として警告書のごとき体裁を取った書面を送付する行為は,場合によっては信用棄損行為として不正競争防止法上も一般不法行為法上も違法となることがありうる。 しかしながら,これらの行為とは異なり,民事訴訟を提起する行為自体が違法と評価されるためには,その内容,経緯,態様等に照らして,強度の違法性ないし悪質性が認められるような場合に限られるべきであり,いわゆる「濫訴」といわれるような場合でない限り,裁判を受ける権利は保障されるべきである。 (2) 原告各標章の使用が,本件各商標権を侵害するものであることは,上記1【被告の主張】のとおりであるし,少なくとも,別件訴訟提起時点ではその疑いが十分にあることから,何ら違法性はない。 原告は,平成13年の被告とのやり取りにおいて,先使用権があることについて回答していたが,本件各商標に無効事由があることについては,何ら主張していない。なお,原告の先使用権については,原告の使用態様が地域的にも規模的にも限定的であることから,成立する余地はない。 したがって,平成13年のやり取りが,被告の行為の違法性を基礎づける事実であるとする原告の主張には理由がない。 4 争点4(原告の損害額)について【原 ることから,成立する余地はない。 したがって,平成13年のやり取りが,被告の行為の違法性を基礎づける事実であるとする原告の主張には理由がない。 4 争点4(原告の損害額)について【原告の主張】 - 18 -(1) P1との取引に関する損害被告の行為により,P1は「日奈久竹輪」を表示したちくわは取り扱わないと原告に通告したため,原告は,P1に卸すちくわの包装等については,他の取引先に卸す「日奈久竹輪」との表示とは別に「鬼坂の竹輪」と表示した包装等の購入を余儀なくされた。これらの特別の包装に要した経費は,被告の行為と相当因果関係を有する損害である。 原告は,平成21年1月19日から同年6月8日にかけて,「鬼坂の竹輪」と表示したシールを2万9400円,包装紙(緑系)を5万8800円,フィルムを13万8919円(うち7万2450円が改版代)でそれぞれ購入しており,これらの合計22万7119円の損害を被った。 (2) JR九州との取引に関する損害被告のJR九州に対する別件訴訟の提起により,JR九州は,平成20年12月以降,原告との取引のうち原告商品の取扱いを直ちに止め,その後,平成22年2月に別件訴訟で和解する際に,次期以降は,その他の商品である「チーズちくわ」についても,原告の販売する商品の取扱いを止め,被告の販売する商品を取り扱うこととなった。 JR九州のような企業は訴訟を嫌う傾向にあり,実際に当初より原被告間の紛争に巻き込まれたことが迷惑であるなどと表明していたものであり,同社が自らの信用を維持するために何らかの行為に出ることは当然に予測されたことである。したがって,被告の訴訟提起によって,JR九州(なお,その子会社であるジェイアール九州商事株式会社,ジェイアール九州リテール株式会 維持するために何らかの行為に出ることは当然に予測されたことである。したがって,被告の訴訟提起によって,JR九州(なお,その子会社であるジェイアール九州商事株式会社,ジェイアール九州リテール株式会社を含む。)は原告商品の販売を中止したといえることから,原告商品の販売減少は,被告の訴訟提起と相当因果関係を有する損害である。 車内販売を行うジェイアール九州商事株式会社に対する平成20年12月から平成22年2月までの間の原告商品を販売できなかったことによる販売減少額は,上記期間の各月に,平成19年12月から平成20年11月まで - 19 -の各月の原告商品及び「チーズちくわ」の売上合計額と同等の売上げを達成することができたとした上で,各月ごとに売上合計額から実際の「チーズちくわ」の売上額を差し引いて合計した734万3962円である。 また,熊本駅キヨスク1号売店を運営するジェイアール九州リテール株式会社に対する平成20年12月から平成22年2月までの間の原告商品を販売できなかったことによる販売減少額についても同様に,上記期間の各月に,平成19年12月から平成20年11月までの各月の原告商品及び「チーズちくわ」の売上合計額と同等の売上げを達成することができたとした上で,各月ごとに売上合計額から実際の「チーズちくわ」の売上額を差し引いて合計した196万9691円である。 そして,原告が販売していた原告商品の限界利益率は約43.20%であったことから,原告の得べかりし利益は,上記合計の931万3653円に43.20%を乗じた402万3498円である。 このほか,ジェイアール九州リテール株式会社に卸すちくわの包装等については,「鬼坂の竹輪」と表示した包装等に変更したことから,原告は平成21年1月19日から同年6月8日にかけて,「鬼坂の である。 このほか,ジェイアール九州リテール株式会社に卸すちくわの包装等については,「鬼坂の竹輪」と表示した包装等に変更したことから,原告は平成21年1月19日から同年6月8日にかけて,「鬼坂の竹輪」と表示したシールを2万9400円,包装紙(白系)を5万7288円,ビニールを11万3447円(うち5万1975円が改版代)でそれぞれ購入しており,これらの合計20万0135円の損害を被った。 (3) 信用毀損による無形損害JR九州での販売や原告の屋号を表示した「日奈久竹輪」の販売は,一般需要者に対する宣伝,周知効果が大きかったものであり,売上の減少の填補だけでは填補されない無形の財産的損害が発生したといわざるを得ず,同信用毀損の損害額は200万円を下らない。 (4) 弁護士費用原告は,別件訴訟について,代理人弁護士に着手金として150万円を支 - 20 -払い,本件訴訟について,代理人弁護士に着手金として50万円を支払っているが,これは被告の不正競争ないし不法行為と因果関係がある損害である。 【被告の主張】争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(原告商品の販売が本件各商標権を侵害するか)について(1) 原告各標章と本件各商標との類否ア本件各商標について本件各商標の構成は,別紙商標権目録記載の「登録商標」(別紙商標目録記載)のとおりであり,いずれも文字のみで,縦書きにそれぞれ「ひなぐちくわ」,「ヒナグちくわ」,「日奈久ちくわ」,「日奈久竹輪」,「ヒナグ竹輪」,「ひなぐ竹輪」と記載されている。本件商標1ないし3は毛筆体風の字体,本件商標4ないし6はゴシック体風の字体である。 イ原告標章1と本件各商標との類否(ア) 原告標章1の構成は,別紙原告標章目録記載1のとおり ている。本件商標1ないし3は毛筆体風の字体,本件商標4ないし6はゴシック体風の字体である。 イ原告標章1と本件各商標との類否(ア) 原告標章1の構成は,別紙原告標章目録記載1のとおりであり,竹材を連想させる棒状部材を四角形状に組み合わせた図案(緑色)の上に魚の図案(赤色)を描いた図形部分があり,その中央に,太く大きな文字(黒色)で「日奈久竹輪」と横書きに記載された文字部分,そのやや下方に,小さな文字(赤色)で「おにさか」と横書きに記載された文字部分,図形部分の上方に,中程度の大きさの文字(赤色)で「名産」と横書きに記載された文字部分からなる。 (イ) そこで,まず原告標章1と本件商標4(「日奈久竹輪」)との類否について検討するに,外観については,両者は,いずれも「日奈久竹輪」という文字を有する点で共通するものの,その文字の字体,太さ等に違いがある上,原告標章1には,当該文字の背景に図形部分が存在し,本件商標4と類似する「日奈久竹輪」との文字部分が,原告標章1の一部 - 21 -に含まれてしまっていることからすると,全体を比較した場合,その外観は異なっているというべきである。 しかしながら,称呼については,原告標章1は,中央に大きく商品名として「日奈久竹輪」と記載されていることから,これについては「ヒナグチクワ」との称呼が生じるといえ,両者は共通する。また,観念については,原告標章1については,文字部分から日奈久を産地ないし販売地とするちくわとの観念が生じ,図形部分の竹材を連想させる棒状部材を組み合わせた図案は,文字部分と相まって,ちくわの語源である竹を想起させ,図形部分の魚の図案は,文字部分と相まって,ちくわの原材料を想起させるものであることから,全体として日奈久を産地又は販売地とするちくわとの観念が生じると と相まって,ちくわの語源である竹を想起させ,図形部分の魚の図案は,文字部分と相まって,ちくわの原材料を想起させるものであることから,全体として日奈久を産地又は販売地とするちくわとの観念が生じるといえるところ,本件商標4についても同観念が生じるといえることから,両者は共通する。 そうすると,原告標章1と本件商標4とは,称呼及び観念は共通しており,外観の違いを考慮しても,需要者がその出所について誤認混同を生じるおそれは否定し難いというべきであるから,原告標章1と本件商標4とは類似するといえる。 (ウ) また,原告標章1とその余の本件各商標との類否については,本件商標1との類否の場合と比較して,「日奈久竹輪」の「日奈久」ないし「竹輪」の部分が平仮名ないし片仮名である点において,外観についてより大きな差異があるといえるが,称呼及び観念が共通していることは同様であり,やはり,需要者がその出所について誤認混同を生じるおそれは否定し難いというべきであるから,原告標章1とその余の本件各商標とは,いずれも類似するといえる。 ウ原告標章2,3と本件各商標との類否(ア) 原告標章2,3の構成は,別紙原告標章目録記載2,3のとおりであり,いずれも,竹材を連想させる棒状部材を四角形状に組み合わせた - 22 -図案(緑色)の上に魚の図案(赤色)を描いた図形部分があり,その中央に,太く大きな文字(黒色)で「日奈久竹輪」と横書きに記載された文字部分からなる。 なお,原告によって定義された原告標章2,3には,上記のほか,その上方にある,小さな文字(赤色)で「熊本」と縦書きに記載され,その右横に続けて中程度の文字(赤色)で「日奈久名産」と横書きに記載された部分,その下方にある,中程度の大きさの文字(赤色)で「おにさか」と横書き ,小さな文字(赤色)で「熊本」と縦書きに記載され,その右横に続けて中程度の文字(赤色)で「日奈久名産」と横書きに記載された部分,その下方にある,中程度の大きさの文字(赤色)で「おにさか」と横書きに記載され,その右横に続けて四角い枠の中に小さい文字(赤色)で「鬼坂蒲鉾」と記載された部分も含まれているが,これらは,先に指摘した中央部の標章とは別個の標章と認識されることから,原告標章2,3と本件各商標との類否は,原告標章2,3の中央部の標章について検討する。 (イ) そこで,まず原告標章2と本件商標4(「日奈久竹輪」)との類否について検討するに,原告標章1と本件商標4との類否の場合と同様に,両者は,その外観は異なっているというべきであるが,称呼及び観念は共通しており,外観に違いがある点を考慮しても,需要者がその出所について誤認混同を生じるおそれは否定し難いというべきであるから,原告標章2と本件商標4とは類似するといえる。 また,原告標章2とその余の本件各商標との類否についても,原告標章1とその余の本件各商標との類否の場合と同様に,いずれも類似するといえる。 (ウ) また,原告標章3と本件各商標との類否については,原告標章2と本件各標章との類否の場合と同様に,いずれも類似するといえる。 エ原告標章4と本件各商標との類否(ア) 原告標章4の構成は,別紙原告標章目録記載4のとおりであり,竹材を連想させる棒状部材を四角形状に組み合わせた図案(緑色)の上に - 23 -魚の図案(赤色)を描いた図形部分があり,その中央,太くて大きな文字(黒色)で「日奈久ちくわ」と縦書きに記載された文字部分からなる。 なお,原告によって定義された原告標章4には,上記のほか,その上方にある,中程度の大きさの文字(白色)で「熊本日奈久名産」と 字(黒色)で「日奈久ちくわ」と縦書きに記載された文字部分からなる。 なお,原告によって定義された原告標章4には,上記のほか,その上方にある,中程度の大きさの文字(白色)で「熊本日奈久名産」と横書きに記載された部分,その下方にある,中程度の大きさの文字(黒色)で「おにさか」と横書きに記載された部分も含まれているが,これらは,先に指摘した中央部の標章とは別個の標章と認識されることから,原告標章4と本件各商標との類否は,原告標章4の中央部の標章について検討する。 (イ) そこで,まず原告標章4と本件商標3(日奈久ちくわ)との類否について検討するに,原告標章1と本件商標4との類否の場合と同様に,両者は,その外観は異なっているというべきであるが,称呼及び観念は共通しており,外観に違いがある点を考慮しても,需要者がその出所について誤認混同を生じるおそれは否定し難いというべきであるから,原告標章4と本件商標3とは類似するといえる。 また,原告標章4とその余の本件各商標との類否についても,原告標章1とその余の本件各商標との類否の場合と同様に,いずれも類似するといえる。 オ小括以上のとおり,原告各標章と本件各商標は,いずれも類似するといえる。 (2) 商標法26条1項2号所定の商標該当性についてア被告は,原告各標章のうち,「日奈久」(原告各標章)は産地又は販売地,「竹輪」(原告標章1ないし3)及び「ちくわ」(原告標章4)はいずれも商品自体を示す表示であるところ,これらを「ちくわ」又は「焼きちくわ」に使用するときは,指定商品の普通名称と産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する商標となるから,商標法26条1項2号により,本件 - 24 -各商標権の効力は及ばない旨主張する。 イ商標法26条1項は,そ 品の普通名称と産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する商標となるから,商標法26条1項2号により,本件 - 24 -各商標権の効力は及ばない旨主張する。 イ商標法26条1項は,その柱書に「商標権の効力は,次に掲げる商標(他の商標の一部となっているものを含む。)には,及ばない。」と規定し,同項2号に「当該指定商品…の…産地,販売地…を普通に用いられる方法で表示する商標」を掲げている。 原告各標章には,本件各商標と類似する「日奈久竹輪」(原告標章1ないし3),「日奈久ちくわ」(原告標章4)の文字部分が含まれているところ,当該文字部分に,本件各商標権の効力が及ばないといえるかが問題となり,もし及ばないといえるのであれば,原告各標章を付した商品(原告商品)の販売が本件各商標権を侵害しないことは明らかである。 ウ原告各標章の上記文字部分(原告標章1ないし3につき「日奈久竹輪」,原告標章4につき「日奈久ちくわ」)についてみるに,「竹輪」及び「ちくわ」は本件各商標権の指定商品である「焼きちくわ」又は「ちくわ」の普通名称である。また,「日奈久」(原告各標章)は,地域の名称であるところ,商品の産地又は販売地を表示する際に,単純に地域の名称と商品の普通名称とを組み合わせて一体として表示し,これにより当該商品の産地又は販売地を表示するという手法は,商標において周知慣用されていることから,原告各標章の「日奈久」は,需要者又は取引者にとって,その商品の産地,販売地と認識されるといえる。 さらに,原告各標章の上記各文字部分(原告標章1ないし3につき「日奈久竹輪」,原告標章4につき「日奈久ちくわ」)は,いずれも毛筆体で書かれたものであるが,日本食の食料品類に毛筆体の文字で商品名を記載することは,取引上一般に行われているといえ 1ないし3につき「日奈久竹輪」,原告標章4につき「日奈久ちくわ」)は,いずれも毛筆体で書かれたものであるが,日本食の食料品類に毛筆体の文字で商品名を記載することは,取引上一般に行われているといえる。 そうすると,原告各標章の上記各文字部分(原告標章1ないし3につき「日奈久竹輪」,原告標章4につき「日奈久ちくわ」)は,いずれも「当該指定商品…の…産地,販売地…を普通に用いられる方法で表示する商標」 - 25 -に該当し,本件各商標権の効力が及ばないといえることから,原告各標章を付した商品(原告商品)の販売は本件各商標権を侵害しない。 エ被告は,「日奈久竹輪」,「日奈久ちくわ」について,これまで商標組合の構成員により,独占的に使用されてきた経緯があり,同業者や需要者に日奈久産のちくわを意味する表現として認識されている事実はないと主張する。 しかしながら,本件各商標が,商標組合によって管理されていることが対外的に明示されていた事実がうかがえない上,証拠(甲10)によれば,商標組合の構成員である複数の業者による本件各商標の使用態様は,各業者によって相当異なっていて,本件各商標は,統一的な外観で使用されていなかった様子がうかがえるところである。そうすると,商標組合の組合員が,長年,本件各商標を独占して使用する主観的意図を有して使用してきた事実があったとしても,需要者にしてみれば,その商標は,日奈久産のちくわを意味する普通名称のように使用されているとしか理解されないから,当該商標に接した需要者には,日奈久産のちくわという観念は生じるものの,これを超えて特定の団体の商標であるとの認識が生じるものとは考えられず,これを認めるに足りる証拠もない。 したがって,商標法26条1項2号該当性を否定する被告の主張は失当である。 ものの,これを超えて特定の団体の商標であるとの認識が生じるものとは考えられず,これを認めるに足りる証拠もない。 したがって,商標法26条1項2号該当性を否定する被告の主張は失当である。 (3) 小括以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告商品の販売行為が本件各商標権の侵害に当たるとは認められないから,本件各商標権侵害を理由とする請求は認められない。 2 争点2(被告の原告の取引先に対する商標権侵害の旨の告知が認められるか。 認められる場合,それが不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成するか)について - 26 -(1) 口頭での告知についてア原告は,平成20年10月16日以降,被告代表者のP5は,原告の取引先であるP1に対して,原告が被告の商標権を侵害していることなどを告知した旨主張するところ,原告の取締役である証人P7(以下「証人P7」という。)は,証人尋問において,原告従業員P8が,平成20年12月頃,P1からの電話で,被告代表者がP1に対し,原告を商標権侵害で訴えており,販売している人も訴えることができること,これには罰則があり,犯罪に値することなどを告げたことを知らされ,何回か原告商品の商品名を「鬼坂の竹輪」に変更して欲しい旨依頼を受けたと証言する(証人P7 2頁)。 イ確かに,原告は,平成21年1月頃,P1に対しては原告商品の商品名を「鬼坂の竹輪」に変更して販売するようになったこと,このような商品名の変更がP1からの依頼に基づくものであることについては,当事者間に争いがないのであるから,その変更時期からすれば,P1が商品名の変更を依頼したのは,原告と被告間で本件各商標権の侵害を巡って法的紛争になっていることを知ったことが のであることについては,当事者間に争いがないのであるから,その変更時期からすれば,P1が商品名の変更を依頼したのは,原告と被告間で本件各商標権の侵害を巡って法的紛争になっていることを知ったことがきっかけになったことは容易に認められるということができる。 しかしながら,P1が,原告と被告間での法的紛争を知り,商品名変更の依頼をした経緯に関する証人P7の上記証言については,その内容は伝聞にすぎないし,また内容を裏付ける客観的資料があるわけではない。 他方,P1は,高速道路のサービスエリアや空港の売店など比較的大きな取引先と取引をしているというのであるから,P1が,同業他社からの情報等で別件訴訟の係属を知り,自らの判断で商品名変更の依頼を行った可能性も否定できない。 そうすると,上記のとおりの問題がある証人P7の証言は,そのまま採用することは困難であるといわなければならない。 - 27 -そのほか,被告代表者が,P1に対して,原告が被告の商標権を侵害していることなどを告知した旨の事実を認めるに足りる証拠はない。 ウ原告は,被告代表者が原告の取引先であるP2に対しても,上記主張と同内容の告知をしたことを主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 エしたがって,被告代表者がP1及びP2に対して上記告知行為をしたことが不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争に当たることを前提とする請求には理由がなく,また,一般不法行為の成立も認めることはできないから,これを前提とする請求にも理由がない。 (2) 本件文書の作成・送付についてア証拠(甲14の1ないし4)によれば,原告の取引先であるP4には,平成21年3月8日頃,「【おにざかの竹輪】では全然売れない」,「あるのは産地偽装だけである。」「日奈久特産『日奈久竹輪』日奈久が ア証拠(甲14の1ないし4)によれば,原告の取引先であるP4には,平成21年3月8日頃,「【おにざかの竹輪】では全然売れない」,「あるのは産地偽装だけである。」「日奈久特産『日奈久竹輪』日奈久が永年努力してきたブランド名である。」「関東・関西始め全国各地から年何十件も苦情が舞い込んでくる『日奈久の本当の竹輪だと買って帰ったら,これは違う騙された全然味が違う,旨くない』と。」,「悪徳商人産地偽装専門店【おにざか蒲鉾】」,「こういう商人だから原材料の保証はない」等と記載された文書(本件文書)が郵送されたこと,同じく原告の取引先であるP3にも,同月10日頃,本件文書が郵送されたことが認められる。 イ原告は,これら文書送付は,被告又は被告関係者が行ったものであると主張する。 しかしながら,同文書及び同文書が封入されていた封筒に,その作成及び送付に被告が関わったことをうかがわせるものは何も認められない。 原告は,本件文書の内容が,別件訴訟における証人P6の尋問調書(甲15)の内容と符合していること,本件文書の送付された時期が,同尋問調書の謄写が可能となった頃であること,本件文書に「司法の結果はどうあれ」と記載されていることが,別件訴訟の進行と整合すること等を理由 - 28 -として,被告及び被告関係者(具体的には,被告顧問と自称する証人P6とされている。)が作成・送付したものである旨主張する。しかしながら,本件文書の内容は,証人P6の証人尋問の結果や別件訴訟の進行を踏まえなければ作成できないものとまではいえない上,これらの事情は,原告や被告を通じるなどして,被告以外の者も知り得ることからすれば,いずれにしても,上記事実関係をもって,被告が本件文書を作成,送付したと推認することはおよそできないといわなければならない。 ウした 被告を通じるなどして,被告以外の者も知り得ることからすれば,いずれにしても,上記事実関係をもって,被告が本件文書を作成,送付したと推認することはおよそできないといわなければならない。 ウしたがって,本件文書の記載内容について検討するまでもなく,いずれにしても被告による不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争があったと認めることはできず,また,一般不法行為の成立も認めることができないから,これを前提とする請求はいずれも理由がない。 3 争点3(被告のJR九州に対する別件訴訟提起が不正競争防止法2条1項14号に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成するか)について(1) 原告は,被告のJR九州に対する別件訴訟提起が,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当し,又は一般不法行為(民法709条)を構成する旨主張する。 (2) 確かに,被告のJR九州に対する別件訴訟の提起は,原告を共同被告として提起されたものであり,その訴状(甲13の1)には,原告各標章を付した商品(原告商品)が原告によって販売されている旨,すなわち,原告が本件各商標権を侵害している旨の事実が含まれていることから,上記1のとおり,原告商品の販売が本件各商標権を侵害するとは認められない以上,当該訴状の送達によって,被告は,原告の取引先であるJR九州に対し,原告が本件各商標権を侵害しているという,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したのと同様の効果があるということもできる。 しかしながら,別件訴訟において,被告は,JR九州に対しても,原告商品を販売することによって本件各商標権を侵害していることを理由として差 - 29 -止め及び損害賠償を請求しているのであるから,原告に対する訴えを併合していなくとも,JR九州に対する関係での訴訟にお 販売することによって本件各商標権を侵害していることを理由として差 - 29 -止め及び損害賠償を請求しているのであるから,原告に対する訴えを併合していなくとも,JR九州に対する関係での訴訟において請求を理由あらしめるためには,原告各標章を付した商品(原告商品)の販売が本件各商標権を侵害する旨の,原告に対する訴訟の請求原因となる事実を主張することは避けられないのである。 したがって,これが反射的に原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知するのと同じ効果を奏しているとしても,その点をとらえて,直ちに不正競争防止法2条1項14号に該当する不正競争であるということはできない。 原告の主張は,商標権侵害の場合における流通業者に対する訴訟提起行為は,商標権侵害となる標章を商品に付して流通に置いた業者に対する関係において不正競争防止法2条1項14号の不正競争を構成する潜在的可能性があることから,これを差し控えるべきことをいうに等しく採用できない。 なお,JR九州に対する別件訴訟において,被告が主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものであるうえ,被告がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときには,JR九州に対する別件訴訟提起そのものが違法と評価され,同訴訟提起は,適法行為を装って,実質は原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を原告の取引先であるJR九州に告知する効果を意図したものであって,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当すると解する余地はある。 しかしながら,上記1のとおり,原告各標章は本件各商標と類似しているといえるし,被告が本件各商標権の商標権者であり,原告が原告各標章を付した 条1項14号の不正競争に該当すると解する余地はある。 しかしながら,上記1のとおり,原告各標章は本件各商標と類似しているといえるし,被告が本件各商標権の商標権者であり,原告が原告各標章を付した商品(原告商品)をJR九州に販売し,JR九州もまた原告商品を販売している事実は明らかである。また,原告及びJR九州による販売行為が商標権侵害に当たるかについては,原告に対する別件訴訟の受訴裁判所は非類 - 30 -似と判断し,他方,当裁判所は,類似であると認めるものの,商法26条1項2号により商標権侵害といえない旨の判断をしており,結論的には被告の商標権侵害の主張に法律的根拠を欠く点で両裁判所の判断が一致しているとしても,被告がそのことを知りながらであったといえないことはもとより,通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合でないことは明らかである。 (3) 原告は,訴訟提起は,文書や口頭による告知よりも強圧的な方法であり,これによって,JR九州が原告の商品の販売を中止するであろうことは予測できたと主張するが,仮にそのような予測があったとしても,それを根拠に権利行使が制限されるべきではなく,訴訟提起を違法とすることはできない。 また,原告は,被告としては原告に対する訴訟提起をすれば足り,JR九州に対してまで訴訟提起をする必要性はなかった旨主張するが,少なくとも損害賠償請求については,JR九州の販売行為により生じた損害は,JR九州に対してその賠償を求める必要性が認められるのであって,訴訟提起の必要性がなかったとする原告の主張は明らかに失当である。 (4) 以上のとおり,被告のJR九州に対する別件訴訟提起は,不正競争防止法2条1項14 賠償を求める必要性が認められるのであって,訴訟提起の必要性がなかったとする原告の主張は明らかに失当である。 (4) 以上のとおり,被告のJR九州に対する別件訴訟提起は,不正競争防止法2条1項14号の不正競争に該当するものではなく,また上記説示したところにしたがえば,一般不法行為法上の違法性もないことは明らかであるから,これらを前提とする請求には理由がない。 第5 結論以上によれば,原告の請求は,すべて理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 - 31 -大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官達野ゆき 裁判官網田圭亮

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る