平成16年5月14日判決言渡平成14年(ワ)第4495号損害賠償本訴請求事件平成15年(ワ)第113号損害賠償等反訴請求事件 主文 1 原告の本訴請求を棄却する。 2 原告は,被告に対し,141万0895円及びこれに対する平成13年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告のその余の反訴請求を棄却する。 4 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,10分し,その9を原告の,その余を被告の各負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴被告は,原告に対し,1188万7558円及びこれに対する平成14年11月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 反訴原告は,被告に対し,259万2695円及びこれに対する平成13年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要1(1) 本件本訴は,被告を雇用していた原告が,被告の違法な言動によって損害を受けたとして,損害額合計1188万7558円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成14年11月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。 (2) 本件反訴は,被告が,使用者である原告から,いずれも違法な自宅待機命令,解雇及び再就職の妨害を受けたとして,自宅待機命令期間中の未払賃金31万0895円並びに再就職までの逸失利益,慰謝料及び弁護士費用の損害額合計228万1800円の合計259万2695円並びにこれに対する弁済期経過後である平成13年12月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。 2 争いのない事実(1) 原告は,ゲームプログラマーの養成を主たる事業 る弁済期経過後である平成13年12月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。 2 争いのない事実(1) 原告は,ゲームプログラマーの養成を主たる事業目的とする株式会社であるが,平成13年4月,ヘアー・メイクアップ・アーティストの育成を目的として,A学院を,東京,大阪,名古屋に開校した。 (2) 被告は,平成13年3月23日,原告の経営するA学院名古屋校(以下,単に「名古屋校」という。)のメイク担当講師として,原告に期限の定めなく雇用された。 (3) 名古屋校が開校した平成13年4月当時,生徒から多くのクレームが名古屋校あてに出された。 平成13年4月18日,原告の代表取締役であり,A学院の学院長であるA(以下「A学院長」という。)は,同月19日までに退学の申入れをした者に授業料全額を返還することを約束した。 被告は,平成13年4月下旬,原告に対して,退職を申し出たが,原告から慰留され,平成14年3月まで留任する旨合意した。 その後,原告の東京校の講師であるB(以下「B講師」という。)が名古屋校に出張してくるようになった。 被告は,平成13年6月,一部生徒に「ヘアーの授業に出席しなくてもよい。」との発言をした。 被告は,平成13年6月28日ころ,原告から自宅待機を命じられた(以下「本件自宅待機命令」という。)。 被告は,本件自宅待機命令期間中に,名古屋校に登校した生徒を連れて出掛けたことがあった。 名古屋校のC講師は,平成13年7月19日付けの辞職願を提出して退職した。 (4) 原告は,被告に対し,平成13年9月28日付け通知書(以下「本件通知書」という。)により,「業務の能率を阻害し,職場の風紀,秩序を著しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけた」ことを理由に,懲戒解雇する旨通知した(以下「本 13年9月28日付け通知書(以下「本件通知書」という。)により,「業務の能率を阻害し,職場の風紀,秩序を著しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけた」ことを理由に,懲戒解雇する旨通知した(以下「本件懲戒解雇」という。)。 3 争点本件の争点は,(1)被告は,原告が主張する違法行為を行い,原告に損害を被らせたか,(2)被告は,本件自宅待機命令期間中の未払賃金債権を有しているか,(3)原告は,被告が主張する違法な本件自宅待機命令,本件懲戒解雇及び再就職妨害の違法行為を行い,被告に損害を被らせたか,という点にある。 (1) 争点(1)(被告は,原告が主張する違法行為を行い,原告に損害を被らせたか)についてア原告の主張(ア) 被告の従業員及び先生としてあるまじき言動a 被告は,平成13年3月に原告の正社員として採用されることが決まり,原告が経営する名古屋校のメイク担当講師として,同年4月の開校日より勤務することになった。開校前の被告に対する研修は,同時期に採用された名古屋校のヘアー担当のC講師と共に,名古屋校において,平成13年3月19日から同月27日までの期間のうち6日間,その当時既に東京校の講師であったB講師などにより行われた。すなわち,B講師は,被告が入社した日にA学院長から電話を受け,被告とC講師の2人に1年間のカリキュラムを作成させるよう指示され,東京校のカリキュラムを参考に両者にカリキュラム作成に必要となる諸点を指導した。また,B講師は,被告及びC講師に対する研修,指導の際,入学志願者に渡したパンフレットとカリキュラムとの間に不一致があることについて話をしており,生徒からクレームが起きそうなことについても説明をし,生徒が欠席しないように努めるなどの点も指導した。さらに,B講師は,パンフレットの中のネイル,特殊メイク,色彩 致があることについて話をしており,生徒からクレームが起きそうなことについても説明をし,生徒が欠席しないように努めるなどの点も指導した。さらに,B講師は,パンフレットの中のネイル,特殊メイク,色彩の項目については,被告及びC講師が技術的にできないということで,授業の日までにトレーニングをしてから講義を行うことにする旨を説明した。 以上のように,原告としては,入学志願者に渡したパンフレットの内容の中に記載されていた学科をすべて定められた学期の中で行うことを計画していたが,一部に被告,C講師が即座に対応できない応用科目などがあったことから,ネイル,特殊メイク,色彩などについては講師がトレーニングをしてから講義を行い,カメラ,英会話などは別途講師を派遣することにより適宜対処することにし,この点については被告,C講師に説明をして了承されていた。 以上の事情から,被告がその講師の立場において,その研修指導されたことに基づきパンフレットに記載された科目を学期中に行うように尽力して,原告の従業員又は先生として善処する姿勢があれば,生徒からのカリキュラムとパンフレットの不一致についてのクレームは騒動にならずに済んだといえる事情があった。 b 被告は,平成13年4月に名古屋校の授業を開始した直後から,生徒に対し,以下の(a)ないし(j)のとおり,原告の従業員及び名古屋校の先生としてあるまじき言動(以下「本件非違行為」といい,個別的に表記するときは,本件非違行為①ないし⑩と表記する。)を行い,名古屋校における風紀,秩序を乱し,生徒に不安を募らせ,生徒のクレームを沈静化できず騒動にしてしまった。 (a) 本件非違行為①について被告は,入学したばかりの生徒に対し,「名古屋では仕事はなく,給料も安いので,東京に行った方がよい。」という発言をしたが,これは 沈静化できず騒動にしてしまった。 (a) 本件非違行為①について被告は,入学したばかりの生徒に対し,「名古屋では仕事はなく,給料も安いので,東京に行った方がよい。」という発言をしたが,これは,名古屋校就職希望者名簿登録者15名のうち14名が就職内定されていることから,事実と一致しないものである。この発言が,生徒の不安を募らせ,被告が従業員として勤務している原告の利益に相反し抵触することは明らかである。 また,被告は,2年制コースの生徒に対し,「ヘアー・メイクの仕事に就くには美容師の免許が必要なので,進級せずに美容専門学校に行った方がよい。」旨の発言もした。 原告の利益に相反し抵触する上記発言も加わり,名古屋校に入学して修学するという選択をした生徒に対し,将来の進路計画に迷いと不安をもたらし,開校当時の平成13年4月に生徒から多くのクレームが学校に出されることになった。 (b) 本件非違行為②について被告は,平成13年4月23日,名古屋校が開校してから1か月もたたないうちに,突然「退職したい。」と言い出し,先生として,また,従業員として無責任な姿勢を示し,同年5月には生徒に対しても同様な発言をしたことで,生徒間に不安,混乱を生じさせて,一時解決したと思われた生徒のクレーム,不安を再発させてしまうとともに,相当の数の生徒について登校の意欲を失わせてしまった。 (c) 本件非違行為③について原告は,ヘアーの授業が嫌いな生徒に対しては,「出席しなくても出席扱いにする。」旨述べて,授業に出席する必要はないという指導をした。 この点,原告が経営する学院では,入院,通院などの正当事由のある場合は,証明書を生徒に提出させて初めて例外的に出席の扱いとし得るという厳しい対処を指示しており,被告は,かかる学院の方針を認識するも,それに抵触すること る学院では,入院,通院などの正当事由のある場合は,証明書を生徒に提出させて初めて例外的に出席の扱いとし得るという厳しい対処を指示しており,被告は,かかる学院の方針を認識するも,それに抵触することも意に介さずに無視して,勝手に証明書なく出席扱いをすることを専断したものである。被告は,従業員としての立場や学校ないし会社の規律,秩序を理解しようとせずに,現在もその問題性を認識せず,正当であったと確信しているものである。 (d) 本件非違行為④について学則では,授業の終了時間は午後4時と定められていたが,被告は,午後3時に授業を終了させ,それ以降は自由時間として帰ってよいとした。 (e) 本件非違行為⑤について被告は,授業途中で帰る生徒や遅刻してきた生徒に一切注意をしなかった。 (f) 本件非違行為⑥について被告は,授業中に喫煙,飲食している生徒に対し注意をしようとしないばかりか,自分も一緒になって行っていた。 (g) 本件非違行為⑦について被告は,授業中の携帯電話の使用も注意しなかったばかりか,生徒と一緒になって携帯電話に出て騒いだ。 (h) 本件非違行為⑧について被告は,生徒の私物が教室に置きっぱなしになっていても注意しなかった。 (i) 本件非違行為⑨について被告は,生徒には未成年者もいるが,毎週のように飲みに行ったり,遊びに行ったり,合コンなどに一緒に参加してプライベートも親密に過ごし,このような状態の下で,原告の内部情報(退職した講師の給料,ボーナスの金額など)を漏らしたこともあった。 (j) 本件非違行為⑩について被告は,本件自宅待機命令期間中に,生徒と連絡を取り,車で登校し授業を受けている生徒を乗せて出掛てしまい,その生徒は結局その日中に学校に戻らなかったということもあった。 (イ) 被告の本件非違行為に 被告は,本件自宅待機命令期間中に,生徒と連絡を取り,車で登校し授業を受けている生徒を乗せて出掛てしまい,その生徒は結局その日中に学校に戻らなかったということもあった。 (イ) 被告の本件非違行為による影響と原告の対処a 以上の一連の被告の本件非違行為は,職務の権限を越えた専断的なものであり,原告の業務の能率を阻害し,学校という修学の場での風紀,秩序を著しく乱し,また,原告の社会的評判,信用を低下させ,名誉を害するものである。 b 被告の開校当時の問題発言と,被告がパンフレット記載の科目を考慮してカリキュラム,授業進行を調整しようとせず,従業員,先生の立場を認識せずに生徒のクレームを他人事のように処理したことで,生徒の不安が募り,名古屋校での生徒の出席率は低下し,授業状況は到底真面目に修学できるような環境ではなくなった。 原告は,名古屋校にクレームが寄せられ騒動が生じたことについて,次のとおり対応した。 実際の授業の状態が悪いこと(飲食,喫煙など)や,実際の講義内容,カリキュラムが入学当時のパンフレットなどの説明と違っていることなどのクレームの存在を知るや否や,原告は,まず平成13年4月18日に説明会を開催することとし,原告の総務部のD,営業部のE,就職指導部のFが参加して生徒の質問に対応し,同日遅れて原告の総務部のGも加わり,生徒から事情聴取するなどによって対処することとした。A学院長自らも,直接生徒から電話などで事情を聴いたり,クレームのうちカリキュラムの内容の問題については,トレーニング後別途原告の東京校から講師を派遣するなどとすることとした。さらに,原告は,希望する者に授業料全額を返却することを説明会に集まった生徒に知らせ,迷っている親に電話してほしいという生徒らには,直接電話で話をするなどの対処をしたのであって,実際に, ととした。さらに,原告は,希望する者に授業料全額を返却することを説明会に集まった生徒に知らせ,迷っている親に電話してほしいという生徒らには,直接電話で話をするなどの対処をしたのであって,実際に,指定期間内に申し出た者すべてに授業料を返却しており,一部の親を不公平に優遇して処置したということはない。 c 被告が開校後間もない平成13年4月に突然退職したいと言い出したと同一機会に,C講師も,同月27日付けで退職願をファックス送信にていきなり提出した。これに対し,原告としては,被告及びC講師の退職申出が急なもので,その代替策や解決策も講じることが厳しい状態にあり,さらに,先生という立場の者が,学期の途中で,まだ開校してから1か月もたたない時期に正当な理由なく辞めた場合の生徒への影響などを考慮して,辞職を思いとどまらせるため,総務部のD,Gを名古屋校に出張させ,被告を説得するよう指示したり,平成13年5月2日には,B講師にもこの問題に対処させた。すなわち,B講師は,平成13年4月30日の原告からの電話での指示により,被告が辞職したがっていることとGの説得にも応じようとしないという事情に基づき,同年5月2日に被告に来年3月まで学校を辞めないよう説得するために名古屋校に行ったのであり,その際,被告は,学校が嫌いになり,辞職したい旨をB講師に申し入れたが,それに対して,B講師は,「学生のためにも来年の3月まで頑張ってほしい。」という説得をしたところ,それに応じて平成14年3月まで留任することになったものである。その際,退職事情によっては法的措置の裁判で対処することになるかもしれない旨を原告から聞いていたことで,B講師は,被告にその点について注意を促したことはあっても,それにより脅したり強引な説得をしたことはない。 その結果,被告とC講師は平 で対処することになるかもしれない旨を原告から聞いていたことで,B講師は,被告にその点について注意を促したことはあっても,それにより脅したり強引な説得をしたことはない。 その結果,被告とC講師は平成14年3月まで留任することになったが,原告は,このような経緯,事情を考慮して,その後もB講師を名古屋校に月1回出張させてその後の事態を監視させるようにした。 しかし,B講師を平成13年5月に名古屋の方に派遣してから1か月程度経過したころに,被告とC講師が原告側に対し再び辞意を表明してきた。原告は,その対応を検討することになったが,原告の過去の経験則から,辞めたいと申し出た者を2回も引き止めることは不可能であると解して,それまでの事情を考慮して,C講師の退職願に対しては円満退職として対処することとした。しかし,被告に対しては,一連の事情とB講師からの被告の指導事情などの報告を検討して,被告の本件非違行為の問題性を再考することとし,平成13年6月下旬,今後の被告の監視及び名古屋校での生徒管理,指導などに対処させるために,B講師を名古屋校のメイク講師として担当させることとした。 そして,被告については,Hが名古屋校に赴任後,被告の欠勤,授業の行い方,言動などを適宜業務報告していたので,原告は,その報告内容などに基づき,自宅待機が相当であると判断し,辞めたいとする被告に対し,どうしても辞めたいなら学校で講師として仕事をする必要はないが,次の講師が決まるまでは生徒や学校への影響を考えて待機するようにと,Hを介して十分な説明をした上で,平成13年6月28日付けの本件自宅待機命令を伝えたものである。 以上の事情の下で,C講師が提出した平成13年7月19日付け退職届を原告は了承した。 そして,被告が自宅待機し,C講師が辞職したという事情の下で,原告は,B けの本件自宅待機命令を伝えたものである。 以上の事情の下で,C講師が提出した平成13年7月19日付け退職届を原告は了承した。 そして,被告が自宅待機し,C講師が辞職したという事情の下で,原告は,B講師が1人で名古屋校のヘアー及びメイクを担当することの負担を考えて,急きょ,臨時的対応策として,平成13年8月から4か月間,東京校から講師2名(I,J)を1か月ごとに交代で東京校から名古屋校に派遣して講義をするなどにより対処することになった。その後,平成13年11月からは名古屋校のメイク担当の新しい講師を雇うことになった。 d 被告が1度留任することになった後も指導教育姿勢を改めず,留任後も「辞めたい」という姿勢を崩さないことなどにより,説明会による対処で一時落ち着いた生徒のクレーム,問い合わせが再発することになり,授業の環境は悪化することとなった。この点について,B講師は,平成13年6月下旬の名古屋校講師就任当時において,出席率の低下(38名中13名程度の出席)を改善するため,クレーム内容を生徒の1人1人に直接聴いて対処した。しかし,原告は,生徒の不信感,不満感を解消することが困難であるという報告を複数の従業員から受けたことで,その事情を把握すべく,入学時に2年制コースを選択した生徒20名の進学の希望の有無について,平成13年9月に確認したところ,その結果進学希望者が皆無であることを知った。そのため,事情を更に把握するために,平成13年10月にその生徒からの進学希望の変更理由を書面で回答してもらうことになった。その回答書の中には,被告の生徒に対する指導,教育などにおいて,先生として問題があったこと,授業状態が悪かったことなどが明確に示されていた。 (ウ) 被告の本件非違行為による原告の損害a 原告は,被告の一連の本件非違行為によって 対する指導,教育などにおいて,先生として問題があったこと,授業状態が悪かったことなどが明確に示されていた。 (ウ) 被告の本件非違行為による原告の損害a 原告は,被告の一連の本件非違行為によって生じた生徒の混乱や,学校の風紀,授業秩序の乱れにより,入学当時2年制コースを選択したにもかかわらず,2年時の進学を希望する生徒が激減し,ゼロと解される状態となったことで,2年制コースを閉講せざるを得なくなった。そのため,原告は,得られるべき2年時の授業料を得ることができず,その点について損害を被った。 この点については,同時に開校した原告の東京校,大阪校の2年制コースの進学率は50パーセント以上であることから考えて,通常のように講義がなされていたならば,名古屋校の進学希望生徒20名中少なくとも10名は2年に進学していたことが合理的に予測される。そのため,原告は,1名の年間授業料95万円の10名相当額950万円の損害を被った。 b 被告が,通常どおり,学則,原告との契約,就業規則上の服務心得規定などに基づいて業務に従事し,上記一連の規則,規定違反の本件非違行為をしなければ,出費を避けられたものとして,原告が平成13年8月から同年11月までの4か月間に講師2名(I,J)を交代で東京校から臨時的措置として派遣せざるを得なかったことに関する下記(a)記載の派遣費用93万9170円,及び講師が辞職し,解雇された名古屋校に学期の途中(平成13年6月)で急きょ講師に就任し対処することになったB講師の平成13年6月25日から平成14年3月末までの名古屋での下記(b)記載の滞在諸費用144万8388円があり,これが原告の損害となっている。 (a) 講師2名の派遣費用 93万9170円① 出張手当 32万円8万円×4か (b)記載の滞在諸費用144万8388円があり,これが原告の損害となっている。 (a) 講師2名の派遣費用 93万9170円① 出張手当 32万円8万円×4か月=32万円② 交通費 8万8670円講師2名の平成13年8月から同年11月の東京,名古屋間4往復の交通費合計(新幹線料金を含む)③ マンスリーマンション宿泊費 53万0500円家賃 12万1000円×4か月=48万4000円保証金 1万5000円掃除代 1万0500円×3回=3万1500円(b) B講師の滞在費 144万8388円① 赴任手当 63万円7万円×9か月=63万円② アパート家賃 48万1500円5万3500円×9か月=48万1500円③ アパート礼金,保証金 20万円④ 平成13年9月27日から平成14年3月27日までの間の東京,名古屋間の交通費合計 13万6888円鉄道料金(新幹線料金を含む) 4万3380円高速道路代 5万2550円ガソリン代 4万0958円c 以上によれば,被告の本件非違行為による原告の損害は,合計1188万7558円(950万円+93万9170円+144万8388円)となる。 イ被告の主張(ア)a ア原告の主張(ア)aは否認する。 被告の採用は,平成13年3月23日であり,原告主張の研修(平成13年3月19日から同月27日までのうち6日間)など事前の講師としての研修を被告は一切受けていない。また,被告よりも先に採用されたC講師に対して行われた東京での研修も,実際には,授業 の研修(平成13年3月19日から同月27日までのうち6日間)など事前の講師としての研修を被告は一切受けていない。また,被告よりも先に採用されたC講師に対して行われた東京での研修も,実際には,授業実施のための用具などの準備に当てられ,研修と呼べるものではなかった。 また,カリキュラムについても,B講師から東京校のカリキュラムを渡され,多少の説明をされ,それを参考に名古屋校のカリキュラムを作成するように指示されただけであった。むろん,カメラ,英会話などについて,別途講師を派遣するなどの説明もなかった。 被告は,原告が入学志願者に渡したパンフレットを受け取ったことはなく,パンフレットとカリキュラムが一致しないという説明は一切聞いていないし,その不一致のために生徒からクレームがくることを聞かされてはいなかった。また,B講師より,特に生徒が欠席しないように努めるよう注意を受けたこともなく,被告としては,それは当然のこととして生徒に対して指導してきたものである。 ネイル,特殊メイク,色彩についてのB講師の指示は,「技術的にできない点(ネイル,特殊メイク)は省いてもいいし,トレーニングしてできるのならやってくれ。」というものであり,ネイルは,K講師ないしB講師が被告とC講師を指導して後期から開始する,特殊メイクはやらないということになったものである。色彩については,B講師からの指示はなく,被告において,自らやろうとして教科書(生徒用),教材の購入を求めたところ,A学院長から,費用を出せないと言われて断念することになったものである。 b(a) ア原告の主張(ア)b(a)の被告の発言内容はすべて否認する。 被告が,生徒に述べたのは,パンフレットに書かれているようなファッションショー,雑誌,CM,TV,映画,演劇などのメディアでの活躍をするモデルなどの (ア)b(a)の被告の発言内容はすべて否認する。 被告が,生徒に述べたのは,パンフレットに書かれているようなファッションショー,雑誌,CM,TV,映画,演劇などのメディアでの活躍をするモデルなどのヘアー・メイクを担当する「ヘアー・メイクアップアーティスト」の仕事は,名古屋では余りないことを述べたにとどまり,美容室などへの就職先もないなどということは一切述べていない。また,原告作成のパンフレットにも,「ヘアー・メイク業界では実際の所,充分に人手が足りているというのが現状であり,雇う側と雇われる側,つまり需要と供給のバランスが狂いはじめているのです。」と記載されたとおりの状況であり,被告の発言は,このことを指摘したにとどまるものであって,何ら虚偽の説明はしていないのである。 また,被告が,ヘアー・メイクに美容師の免許が必要だと言ったことはなく,美容師志望の生徒に対して,個別に美容師の資格を取るには認可の下りた美容専門学校でないと資格を取る権利はない旨教えただけである。 このような被告の言動が,原告の就業規則に違反することはなく,むろん,原告に対する不法行為や債務不履行を構成することはおよそあり得ないものである。 さらに,そもそも生徒たちが問題にしたのは,営業担当のEが入学募集時に,実際には,開校1期生であって,求人は来ていなかったにもかかわらず,それを隠して,あたかも多数の求人が既に来ているかのように誤った説明をしたことであって,被告の発言が原因となったものではない。 すなわち,開校当時の平成13年4月に生徒から多くのクレームが学校に出されたが,その原因は,すべて原告側の誤ったセールストークや不誠実な対応が原因で生じたものである。 生徒らによれば,Eから生徒に対して,入校前に,名古屋校に入れば,①美容師の資格が取れる,資格取得に有利で が,その原因は,すべて原告側の誤ったセールストークや不誠実な対応が原因で生じたものである。 生徒らによれば,Eから生徒に対して,入校前に,名古屋校に入れば,①美容師の資格が取れる,資格取得に有利である,②ネイリストになれる,③ネイティブの外国人から英会話を学べる,④求人が既に100件も来ている,たくさんの求人が既に来ているなどの誤った説明がなされていた。こうした事実について,被告は,開校後に生徒から知らされた。 ところが,入学後,上記①ないし④などに関して,生徒間で疑問が生じ,名古屋校の総務担当のDやEらに対し,生徒らが説明を求めるなどした。その過程で,①名古屋校では美容師の資格取得はできないこと,②ネイリストには特段の資格はないが,名古屋校には必要な機械設備などがそろっておらず,実際には名古屋校を出ても開業できないこと,③カリキュラム上,英会話の講義が一切予定されていなかったこと,④名古屋校をはじめとして,東京校,大阪校もすべて開校1年目であり,当然,入学時点では求人などは来ていなかったことなどが生徒間に明らかとなった。そして,開校後間もない時期から,授業中に生徒が学校側に説明を求めたり,生徒間で話すため,教室を出入りしたりし,校内及び授業が混乱することになった。 なお,上記①については,生徒のLほか複数のクレームがあり,上記②については,生徒のMほか複数のクレームがあり,上記③については,ほぼ生徒全員のクレームがあり,上記④については,生徒のNほか複数のクレームがあった。 このため,平成13年4月18日,原告のD,Eらは,生徒らの質問に答える形で説明会を開催した。しかし,結局,生徒らのクレームに対するEの説明については生徒らの納得を得られず,逆に,Eの営業トークの中で誤った説明がなされた事実がはっきりとしたことから,より混乱 に答える形で説明会を開催した。しかし,結局,生徒らのクレームに対するEの説明については生徒らの納得を得られず,逆に,Eの営業トークの中で誤った説明がなされた事実がはっきりとしたことから,より混乱に拍車がかかった。そのため,A学院長が電話で,①平成13年4月19日までに申入れをすることを条件に退校(授業料の返還)を認める,②希望者全員の親にA学院長から電話で説明する,と生徒に伝え,その場を治めることになった。 そこで,被告とC講師が,生徒約44名に対して,電話をしてほしい者は黒板に名前を書くようにと指示したところ,約30名の生徒が記入したので,被告らは,これらの生徒全員の名前をメモしてDに手渡し,電話連絡をするよう伝えた。 ところが,A学院長は,実際には10名程度の生徒の親にしか電話をせず,しかも,それらの生徒は全員が退校を希望したことから,それ以上の生徒が退校しないように,平成13年4月19日,その余の約20名の生徒に対して,「パンフレットのとおりにやります。」などと説明して,後期から英会話などを実施するなどの空手形を切り,両親への説明,相談のために上記退校の申入期限の延長を求める生徒らの要望を拒否した。その結果,親と相談できなかった生徒らは,やむなく退校を思いとどまることになったが,強い不満,不信感が残り,その影響がその後の学校運営にも残ったものである。 (b) ア原告の主張(ア)b(b)のうち,平成13年4月下旬,被告が原告に対して退職を申し入れたことは認めるが,その余は否認する。 被告は,上記のような原告のいい加減な学校運営の実態,生徒への不適切な対応による混乱などに接して,名古屋校での将来に失望し,平成13年4月27日,原告に対し,民法所定の2週間以上の猶予期間を置いて,同年5月11日に退職する旨の退職願を提出したものであ への不適切な対応による混乱などに接して,名古屋校での将来に失望し,平成13年4月27日,原告に対し,民法所定の2週間以上の猶予期間を置いて,同年5月11日に退職する旨の退職願を提出したものである。しかし,被告が,生徒にその事実を告げたことはないし,実際にも,退職を思いとどまっているものである。 平成13年4月から同年6月までの間の名古屋校の生徒の出席状況は,同年4月18日の説明会の前後から出席率が著しく下がっており,同月21日以降の欠席率は,4月が23パーセント,5月が30パーセント,6月が40パーセントと少しずつ増えていったものであって,同年4月の生徒のクレームを原因とした授業の混乱が影響して,退学を希望しながら,その後も通学せざるを得なくなった生徒を中心に欠席者が増えた事実が裏付けられるものである。そして,出席率の低下については,被告及びC講師において,欠席した生徒全員に対し,毎日,2人で手分けして出席するように電話連絡をして説得する努力を続けてきたが,原告からは特段の方策は講じられなかったものである。 (c) ア原告の主張(ア)b(c)のうち,被告が,平成13年6月,一部生徒に「ヘアーの授業に出席しなくてもよい。」との発言をしたことは認める。 しかし,それは,メイク志望の生徒が,名古屋校の入学前の説明で,メイクの授業が多いという誤った説明を聞かされていたために,最初からヘアーの授業を受ける意思がなく,授業中うるさく騒いだために,他の生徒から騒ぐ生徒を教室から出すよう要求があったからである。被告は,ヘアー担当ではなかったが,C講師が困っていたので,2人で問題の生徒や同生徒らを教室から出すよう求めた生徒とそれぞれ個別に面談し,問題の生徒にはヘアーも将来役立つことを述べて説得したが,どうしても従わなかった4人の生徒についての 困っていたので,2人で問題の生徒や同生徒らを教室から出すよう求めた生徒とそれぞれ個別に面談し,問題の生徒にはヘアーも将来役立つことを述べて説得したが,どうしても従わなかった4人の生徒についてのみ,ヘアーの授業に出席しなくても出席にする扱いをしたものである。 このとき,被告及びC講師は,こうした注意や指導に従わない生徒の状況を原告に報告したが,特段のアドバイスも援助もなかった。 そこで,正常な授業を維持するために,やむを得ず行うことになったものである。したがって,元々の原因は,原告の営業担当の誤った説明にあった上,正常な授業を行うために他に取るべき手段がなかったのであるから,それをもって懲戒事由とすることはできず,かかる被告の言動が原告に対する不法行為や債務不履行を構成するということはできない。 (d) ア原告の主張(ア)b(d)は否認する。 被告が,授業時間を無視して早めに終了させた事実はない。課題やテストの日に,生徒間に技量の差があり,当日の課題を早く終えた一部生徒の中には,掃除を済ませて,多少早めに帰った者がいたというのが事実である。したがって,これをもって服務規律違反とすることはできない。 (e) ア原告の主張(ア)b(e)は否認する。 (f) ア原告の主張(ア)b(f)は否認する。 飲食については,休憩中に飲食したことや,長時間実習でドライヤーを使用した際に,乾燥のためのどを痛めるので,のど飴をなめるなどしたことはある。 (g) ア原告の主張(ア)b(g)は否認する。 授業中に携帯電話で話をしたりするなどの不適切な生徒がいなかったわけではないが,被告及びC講師は,そうした生徒に対して,その都度注意を与え,指導してきたものである。それでも,そうした指導により,いったんは治まっても,また,再び同じような行動があり,被告もC講師も ではないが,被告及びC講師は,そうした生徒に対して,その都度注意を与え,指導してきたものである。それでも,そうした指導により,いったんは治まっても,また,再び同じような行動があり,被告もC講師も悩んでいたというのが事実である。 (h) ア原告の主張(ア)b(h)は否認する。 以上のア原告の主張(ア)b(e)ないし(h)に係る生徒に対しては,被告及びC講師の2人ともが,何度も注意や指導をした。しかし,平成13年4月のクレーム問題や退学問題による学内の混乱が尾を引き,生徒は学院に不信感を持ち,注意を聞かない生徒がいたというのが事実である。また,被告は,こうした状況について,日々の業務報告で原告に報告したが,原告からも,適切なアドバイスも助力もなかった。 (i) ア原告の主張(ア)b(i)は否認する。 被告は,1度だけ生徒と食事に行ったことがあるが,それ以外にはなく,学内の内部情報を漏らした事実もない。 (j) ア原告の主張(ア)b(j)のうち,被告が生徒を連れて出掛けたことは認めるが,以下のとおりの事情があったものである。 すなわち,ある生徒が授業中に泣き出すなど情緒不安定に陥った際,C講師がB講師に相談したが,何のアドバイスもなかった。そこで,困ったC講師の考えで,他の生徒が看護短大で学んだ経験のある被告へ電話で助けを求めた。そのため,被告が名古屋校に出向いたところ,生徒が「怖い,怖い。」などと言って泣き出したり,様子が尋常でなかったため,その生徒を保護し,知り合いの精神科医に相談するために連れ出したものである。なお,その際,被告は,C講師に対して,B講師にその旨伝えるよう依頼し,C講師はB講師に報告をしている。 (イ)a ア原告の主張(イ)aは否認する。 b ア原告の主張(イ)bは否認する。 生徒の出席率の低さは,被告の言動が原因ではな して,B講師にその旨伝えるよう依頼し,C講師はB講師に報告をしている。 (イ)a ア原告の主張(イ)aは否認する。 b ア原告の主張(イ)bは否認する。 生徒の出席率の低さは,被告の言動が原因ではなく,原告に原因があった。また,生徒などから原告へ多数のクレームが出されたのは,被告の言動によるものではなく,入学前に原告がした誇張ないし間違った生徒への説明(講義内容やカリキュラムが違っていたことなど)や,その事実が発覚した後の不誠実な対応(例えば,原告は,「一定の日までに申し出た生徒に対し授業料を全額返還し」と主張するが,前述のとおり,実際には,一部生徒を除き,多くの生徒については,親に説明する時間的な余裕を与えることなく,強引に退校するか否かの回答を生徒に求めたもの)によって,平成13年4月の入学式直後から学内が混乱したことが原因となっていたものである。また,原告が生徒に約束した英会話などの実施は,実際には反古にされた。 c ア原告の主張(イ)cのうち,被告とC講師が退職を申し出て,慰留を受けたこと,被告は,平成14年3月まで留任することを合意したこと,B講師が名古屋校に出張してくるようになったこと,被告が本件自宅待機命令を受けたこと,C講師が平成13年7月19日付け退職願を出して退職したことは認め,その余は否認ないし不知。 被告及びC講師が平成13年4月27日に同年5月11日に退職する旨の退職願を提出したのに対し,G,Dは,「あなたたちが辞めると言うと生徒が(学校を)辞めるから退職を思いとどまるように。」などと慰留した。また,A学院長は,平成13年5月2日,C講師の父に電話で「退職するなら損害賠償2000万円を請求する。」と述べ,被告方にも電話したが,被告は不在であった。さらに,その後,B講師は,被告に対し,「(来年)3月まで留任し 13年5月2日,C講師の父に電話で「退職するなら損害賠償2000万円を請求する。」と述べ,被告方にも電話したが,被告は不在であった。さらに,その後,B講師は,被告に対し,「(来年)3月まで留任しないと裁判を起こされるよ。」,「東京でもスタイリストの先生で裁判を起こされた人がいる。」,「(A学院長は)お金が目的ではなく,精神的なダメージを与えるために,負けることを承知の上で裁判をやる。A学院長はそういう人だ。」などと,半ば脅すような説得,慰留を続けた。その結果,被告は,平成13年5月,平成14年3月まで名古屋校の講師として留任することで合意し,退職願を撤回したものである。 d ア原告の主張(イ)dは否認する。 欠席者は特段平成13年6月下旬に増加したわけではなく,日にちによって異なるが,おおむね20名前後であった。2年制コースへの進学希望者がいなかったとすれば,原告に対する不信,不満感を原因とするものでその原因を作った原告側の責任によるものである。 (ウ) ア原告の主張(ウ)はすべて否認する。 2年制コースの生徒がいなければ,その分の経費(講師費用,用具,備品などの出費)が必要なくなるはずである。したがって,1人95万円の授業料のうち,得べかりし利益の喪失分は利益分に限定されるべきである。 そもそも,2年制コースの生徒らがコースを変更して進級しなかったのは,原告の誤った生徒募集時の説明が原因となって入学直後から生徒より多数のクレームが出され,その結果,6名が退学したこと,このときの原告の対応に,生徒らが強い不信感を持ったことが原因となっているものである。 さらに,原告は,B講師に加えて,講師2人を派遣したとするが,名古屋校は,被告及びC講師の2人で授業をしており,B講師が既に派遣されていた以上,更に2人を派遣する必要はない。仮に2人が のである。 さらに,原告は,B講師に加えて,講師2人を派遣したとするが,名古屋校は,被告及びC講師の2人で授業をしており,B講師が既に派遣されていた以上,更に2人を派遣する必要はない。仮に2人が派遣されたとすると,それは結局,C講師が退職したことに伴うものと考えられる。したがって,それらすべてを被告の行為との間で因果関係ありとすることはできない。 (2) 争点(2)(被告は,本件自宅待機命令期間中の未払賃金債権を有しているか)についてア被告の主張(ア) 前記のとおり,平成13年5月,被告は,平成14年3月まで名古屋校の講師として留任することを合意したが,平成13年6月ころ,名古屋校責任者として,大阪校より,Hが赴任してきた後,同月28日か同月29日ころ,A学院長から,被告に対し,突然電話で,何ら理由の説明もないままに,「お前は今日でもう来なくていいので,自宅待機で荷物を持って帰れ。」などと一方的に本件自宅待機命令が告げられた。名古屋校責任者のHからも,自宅待機と言われただけで,何の説明もなく,単に「O先生は自宅待機なので,荷物をどうしますか(宅急便で送るか,持って帰るか。)。」と聴かれただけであった。 その後,被告は,原告からの連絡を待ったが,何らの説明や連絡もなく,被告から原告(名古屋校)に何度も問い合わせをしたが,Hに対して処分理由を尋ねても,Hは居留守を使ったり,「ぼくからは何も話すなと言われている。」,「A学院長に連絡を取るように。」などとしか答えず,逃げるばかりであり,説明しようとすらしなかった。そして,被告が毎週のように何度も電話及びファックスでA学院長に連絡を取っても,同人からは何の返事もなく,唯一被告の電話にA学院長が出た際には,「お前には話すことはない。」とだけ言って一方的に電話を切られてしまった。そのた 何度も電話及びファックスでA学院長に連絡を取っても,同人からは何の返事もなく,唯一被告の電話にA学院長が出た際には,「お前には話すことはない。」とだけ言って一方的に電話を切られてしまった。そのため,被告は,労働基準監督署に相談したものである。 したがって,本件自宅待機命令は,事前に処分事由を明らかにして,それに対する弁明をする機会を被告に全く与えなかったものであり,適性な手続を欠くものである。 また,原告の就業規則によれば,「出勤停止…7日以内出勤を停止」とあるのみであり,そもそも本件自宅待機命令のように約2か月間余りもの長期にわたり出勤停止を命じる根拠は,何も定められていない。本件自宅待機命令が,懲戒処分の1つとして行った出勤停止処分であるのか,人事管理上の必要性に基づいて行った休職処分なのかについては,必ずしも判然としないが,たとえ本件自宅待機命令を出した原告の意図が,懲戒処分としての出勤停止処分ではなく,懲戒処分の前提として,懲戒事由などの調査及び処分の審議のための休職処分とするものであったとしても,本件懲戒解雇までの間,2か月間もありながら,何らの事情聴取もなされず,かつ,調査活動もなされた事実はないので,実質的には,出勤停止処分であったといわざるを得ない。したがって,本件自宅待機命令自体が,就業規則に根拠のないものであり,懲戒処分事由を欠いている以上,不当な懲戒処分ということになる。 また,万一,仮に被告の行動の一部に多少の不適切な行動があったとしても,自宅待機処分に値するようなものは一切認められず,授業の混乱自体は名古屋校全体の問題であり,被告1人の責任とすることは著しく不公平な取扱いであって,処分権の濫用にも該当するものである。 本件自宅待機命令について,Hは,被告の欠勤とか授業のやり方がまずいことをA学院長に報告し の問題であり,被告1人の責任とすることは著しく不公平な取扱いであって,処分権の濫用にも該当するものである。 本件自宅待機命令について,Hは,被告の欠勤とか授業のやり方がまずいことをA学院長に報告した結果,自宅待機を命じることになった旨証言するが,本件非違行為に欠勤の事実はなく,被告の欠勤は病欠であって,無断で勤務を懈怠した事実は一切ない。 他方,A学院長は,被告及びC講師が平成13年5月にいったん留任を決めた後,同年6月ころに再び辞めると言ってきたので,C講師については円満退社を認め,被告については,留保して自宅待機を命じた旨供述する。しかし,被告は,平成13年5月にいったん退職を取りやめて翌年3月までの留任を決めた後は,本件自宅待機命令を告げられるまでの間に,原告に対して,退職を申し入れたり,退職したい旨の意思を表示した事実はない。本件自宅待機命令について,被告は,その理由が分からず,何度も原告(H,A学院長)に対して理由を問い合わせたものの,一切明かされず,上記のような説明を受けたこともない。 (イ) 原告は,当初,被告に対し,「学院長の指示により支給しない。」として,本件自宅待機命令期間中の平成13年7月,同年8月の賃金を一切支給しなかった。 これに納得できない被告が,平成13年9月,原告との話合いの場を求めて,労働基準監督署に相談し,同月4日付けで,原告に対し,本件自宅待機命令の理由の説明を求めるとともに,未払賃金の請求をし,労働基準監督署からの行政指導が入ることを伝えた。そして,労働基準監督署が動いたところ,原告(事務方)より,6割支給する旨の一方的な電話連絡があった後,平成13年9月26日に被告の口座に別紙「未払賃金等明細書」の「支払済み賃金」欄に記載のとおりの額の振込入金があった。 (ウ) しかし,本件自宅待機命令は,原 支給する旨の一方的な電話連絡があった後,平成13年9月26日に被告の口座に別紙「未払賃金等明細書」の「支払済み賃金」欄に記載のとおりの額の振込入金があった。 (ウ) しかし,本件自宅待機命令は,原告により,正当な事由なく命じられた休業であるので,原告の「責めに帰すべき事由」に基づくものである。したがって,原告は,被告に対して,休業期間中の賃金全額を支払うべき義務がある(民法536条2項)。 被告の賃金は,月額24万円であったものであり,原告は,平成13年7月分から同年9月分までの賃金として,別紙「未払賃金等明細書」の「支払済み賃金」欄に記載のとおりの額を支払っただけであるので,同「未払賃金」欄記載のとおり,未払賃金の合計は31万0895円となる。 イ原告の主張(ア) ア被告の主張(ア)のうち,平成13年5月,被告が,平成14年3月まで名古屋校の講師として留任することを了解したことは認め,その余は否認する。 前記のとおり,原告は,Hが名古屋校に赴任後,被告の欠勤,授業の行い方,言動などを適宜業務報告していたので,その報告内容などに基づき,被告の自宅待機が相当であると判断し,名古屋校の講師の職を辞めたいとする被告に対し,どうしても辞めたいなら学校で講師として仕事をする必要はないが,次の講師が決まるまでは生徒や学校への影響を考えて待機するようにと,Hを介して十分な説明をした上で,平成13年6月28日付けの本件自宅待機命令を伝えたものである。 Hは,被告に対し,本件自宅待機命令の理由について,被告の勤務態度(無断欠勤,生徒の教え方など)に問題があったことなどを説明した。その後,本件自宅待機命令期間前の数日間は,被告は名古屋校に残務などのために出勤しており,そのとき被告がHに対し更に自宅待機の理由を聴こうと思えば聴くことができる機会があった たことなどを説明した。その後,本件自宅待機命令期間前の数日間は,被告は名古屋校に残務などのために出勤しており,そのとき被告がHに対し更に自宅待機の理由を聴こうと思えば聴くことができる機会があったが,Hは何も聴かれなかった。 また,被告は,出勤停止命令と自宅待機命令を同様の意味にとらえて,本件自宅待機命令が就業規則上の根拠のない違法なものであったとするが,出勤停止命令と自宅待機命令とは法的意味が異なるものであり,自宅待機命令の理解,把握が不適切である。すなわち,自宅待機命令は,懲戒処分の1つとしての出勤停止命令や休職処分と区別され,解雇や懲戒処分などの最終処分をするまでの間,証拠隠滅防止あるいは出勤による職場の混乱を防止するために使用者が労働者に対し,一時的に就労を禁止する措置と解され,業務上の必要性から自宅待機を命令することは雇用契約上の労務指揮権に基づく業務命令と解される。そして,上記自宅待機命令の法的性質からすれば,就業規則上規定されていなくても,使用者の上記権限に基づき自宅待機命令をなし得ることになる。したがって,本件自宅待機命令について,懲戒処分でないにもかかわらず,休職命令,出勤停止命令と言い換えることにより,懲戒処分としての有効要件を当てはめている被告の主張は,すべて不当である。 (イ) ア被告の主張(イ)は否認する。 原告は,被告に対し,平成13年7月分として15万5210円(税金控除後11万8730円),同年8月分として14万4000円(税金控除後10万7610円)の賃金を支払っている。 この支払は,本件自宅待機命令により勤務を継続できない状態になったことについては,被告の責めに帰すべき事由によると解されたが,相手の立場などを考慮の上,休業手当の法定基準としての60パーセントを支払うという原告自身の判断に基づき支払 務を継続できない状態になったことについては,被告の責めに帰すべき事由によると解されたが,相手の立場などを考慮の上,休業手当の法定基準としての60パーセントを支払うという原告自身の判断に基づき支払われたものであって,労働基準監督署が動いたことによるものではない。 (ウ) ア被告の主張(ウ)は否認する。 上記のとおり,未払賃金はない。 (3) 争点(3)(原告は,被告が主張する違法な本件自宅待機命令,本件懲戒解雇及び再就職妨害の違法行為を行い,被告に損害を被らせたか)についてア被告の主張(ア) 本件自宅待機命令の違法について(2)ア被告の主張(ア)で述べたとおり,本件自宅待機命令は,理由ないし合理的根拠なくなされたものであり,不当なものであって,被告に対して,債務不履行ないし不法行為を構成するものである。 (イ) 本件懲戒解雇の違法について被告が,平成13年9月4日付けで,原告に対し,本件自宅待機命令の理由の説明を求めるとともに,未払賃金の請求をし,労働基準監督署からの行政指導が入ることを伝えたところ,原告は,被告に対して,突然,被告に何らの弁解の機会も与えないまま,同月28日付けの本件通知書(同月29日ころ到達)にて,「業務の能率を阻害し,職場の風紀,秩序を著しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけた」ことを理由に,懲戒解雇する旨を一方的に言い渡して,本件懲戒解雇を行った。 しかし,本件通知書に記載の解雇の理由はすべて事実に反するものであり,本件懲戒解雇には解雇理由の基礎となる事実(正当な理由)は何一つない。すなわち,原告が本件通知書に記載したことは,名古屋校開校後の校内の混乱などを指しているものと考えられるが,これは正に,原告自身が生徒募集をした際に誤った説明をしたことが原因となって入学当初から学内が混乱したこと,その際の原告側 したことは,名古屋校開校後の校内の混乱などを指しているものと考えられるが,これは正に,原告自身が生徒募集をした際に誤った説明をしたことが原因となって入学当初から学内が混乱したこと,その際の原告側の対応が不適切であり,その結果,生徒らに原告への強い不信感を残したことが大きく影響しているのであり,原告の無責任な学校経営に基づくものであって,被告の責任とは到底いえないものである。また,本件通知書において被告が行ったとされる本件非違行為がいずれも存在しない事実であるか,あるいは,合理的な理由があるものであって,懲戒解雇の基礎となる非違行為といえないことは,(1)イ被告の主張(ア)bにおいて詳述したとおりである。 そもそも懲戒解雇とは,企業秩序違反行為に対する制裁罰である懲戒処分として行われる解雇のことであり,①懲戒事由などを明定する合理的な規定が存在すること,②規定に該当する懲戒事由があること,③その他の有効要件として,ⅰ罪刑法定主義類似の原則,ⅱ平等な取扱いであること,ⅲ処分の重さが相当であること,ⅳ適性手続を経ていること,という要件を満たす必要があるとされている。そして,上記①,②の要件を欠くときには,懲戒解雇が自動的に無効となり,上記③の要件のいずれかを欠くときには,その懲戒解雇は解雇権の濫用となる。 本件通知書には,被告について,就業規則に違反する行為があった旨抽象的に記載する形で書かれているが,具体的な指摘はない。また,原告からは,本件懲戒解雇に際して,具体的な説明などは,A学院長からも,担当者のHからも,一切なされていない。したがって,本件懲戒解雇は上記①の要件を欠くものである。 また,上記のとおり,被告は,本件非違行為の存在自体を強く争うものであり,本件懲戒解雇は上記②の要件を欠くものである。 さらに,生徒の出席率が悪いことや 本件懲戒解雇は上記①の要件を欠くものである。 また,上記のとおり,被告は,本件非違行為の存在自体を強く争うものであり,本件懲戒解雇は上記②の要件を欠くものである。 さらに,生徒の出席率が悪いことや授業中の生徒の態度が悪いことなどについては,主たる原因は,生徒募集の際に誤った説明をしたことやそれが発覚した後の不適切な対応によるものである。したがって,こうした責任を一現場講師に帰責することは,責任転嫁も甚だしいものであって,不合理なものである。また,もし仮に被告の指導力に足りない面があったとしても,授業の混乱自体は名古屋校全体の問題でもあり,最大の責任者は原告及びEであるとともに,A学院長,B講師,D,H,C講師ら全員がそれぞれ少しずつ責任を負うべきものであるので,それを被告1人の責任とすることには合理性が全くない。したがって,原告の被告に対する本件懲戒解雇は著しく不公平な取扱いである。したがって,本件懲戒解雇は上記③ⅱの要件を欠くものである。 また,懲戒処分の重さは,規律違反の種類,程度その他の事情に照らして相当なものでなければならない。特に,懲戒解雇は,労働者の生活基盤を根本から奪うものであるから,制裁として労働契約関係から排除することを正当化できる程度のものでなければならない。しかしながら,被告は,そもそも本件非違行為の存在自体を争うものであるが,少なくとも解雇されるようなものは絶対に存しないものである。けだし,被告が平成13年4月下旬に退職を申し入れた際には,同年5月になり,原告自らが,被告に対し,B講師を使って慰留し,被告をして退職を思いとどまらせているである。仮に,被告に問題行動があれば,そのようなことはしないはずである。また,いったん,平成13年5月に話合いで退職問題が解決し,それから状況が変化したとはいえない同年6月に 思いとどまらせているである。仮に,被告に問題行動があれば,そのようなことはしないはずである。また,いったん,平成13年5月に話合いで退職問題が解決し,それから状況が変化したとはいえない同年6月に,特段の非違行為がないままに,原告から被告に対し,一方的に本件自宅待機命令を発し,かつ,続いて同年9月には本件懲戒解雇を言い渡しているのである。このことは,被告が本件自宅待機命令を受けた際に,B講師が「どうしてこうした事態になるのか,ぼくには分かりません。力になれなくて申し訳ありません。」と述べて,被告に対して,深々と頭を下げたことからも,十分推察できるところである。したがって,本件懲戒解雇は上記③ⅲの要件を欠くものである。 そして,懲戒解雇をするか否かを決めるに際しては,本人に弁明の機会を与えることが最小限必要なことである。ところが,本件懲戒解雇の場合,前記のとおり,本件自宅待機命令について原告からの説明がないため,被告において,労働基準監督署に相談したところ,これを知った原告が,平成13年9月28日になり,突然,一方的に本件懲戒解雇の通知を送ってきたものであり,本件自宅待機命令に処してから本件懲戒解雇に至るまでの間,本件通知書に記載された点について,原告から被告に対して,具体的な注意も指導も全くなければ,被告に事の次第や事情について直接確認することも,あるいは,被告に弁明の機会を与えることも何一つなされていない。したがって,本件懲戒解雇については,事前に処分事由を明らかにして,それに対する弁明をする機会を被告に全く与えなかったものであり,このようなやり方は,使用者において,本来遵守すべき手続を経ていないものといわざるを得ないのであるから,本件懲戒解雇は上記③ⅳの要件を欠くものとして,違法な処分となる。 以上のとおり,本件懲戒解雇は,懲 ようなやり方は,使用者において,本来遵守すべき手続を経ていないものといわざるを得ないのであるから,本件懲戒解雇は上記③ⅳの要件を欠くものとして,違法な処分となる。 以上のとおり,本件懲戒解雇は,懲戒解雇の要件が全くなく,解雇権を濫用した違法なものであって,債務不履行ないし不法行為を構成するものである。 (ウ) 再就職妨害行為の違法について本件懲戒解雇は解雇理由なくされた不当なものであり,被告は,本件懲戒解雇に納得できなかったので,社会保険労務士から求められた解雇理由に関する書面への署名,押印を断った。しかし,被告は,原告の学校運営に失望していたので,次の就職先を探して,平成13年10月中ころには,原告に就職する前に勤務していた有限会社Pに再就職が内定し,同月下旬より同会社で働くことが決まっていた。 ところが,平成13年10月ころ,原告のHから,有限会社Pに対して,被告のことを「あの先生は裁判沙汰になる。ひどい先生だ。」などと伝えて,被告を採用しないように圧力をかけた。 被告が,勤務開始予定の初日に有限会社Pに出勤したところ,同社社長より,Hから上記発言があったと言われ,そのことを理由に,被告の正式採用が問題が落ち着くまで延期されることになり,平成13年12月21日まで採用が延びた。 このような原告の就職妨害行為は,不法行為に該当するものである。 (エ) 被告の損害についてa 逸失利益について上記のとおり,本件懲戒解雇は違法,不当なものであり,原告は,被告に対し,本件懲戒解雇がなければ被告が勤務を継続することで得られたであろう賃金相当額を逸失利益として賠償すべき義務がある。そして,被告は,平成13年11月末ころより,有限会社Pで働くようになったから,本件懲戒解雇の通知が届いた平成13年9月29日の翌日から有限会社Pに正式採用された平 利益として賠償すべき義務がある。そして,被告は,平成13年11月末ころより,有限会社Pで働くようになったから,本件懲戒解雇の通知が届いた平成13年9月29日の翌日から有限会社Pに正式採用された平成13年12月21日の前日までの間の逸失利益は,別紙「未払賃金等明細書」の「反訴被告からの得べかりし賃金」欄記載のとおり,64万8000円となり,これから,平成13年9月28日に原告から支払われた解雇予告手当24万円,平成13年11月ころより被告が有限会社Pで働くようになったアルバイト料など12万6200円(15万1720円から交通費概算額2万5520円を控除)を控除すると,28万1800円となる。 b 慰謝料について上記のとおり,原告は,被告に対して,平成13年6月28日,正当な理由なく一方的に本件自宅待機命令を発し,その後も,再三にわたる被告からの説明要求を無視し,被告が労働基準監督署に相談に行くや,不当に本件懲戒解雇をしたものである。さらに,本件懲戒解雇後も,被告の就職先に対して,被告の名誉,社会的な評価が低下するような言動を行って,就職を妨害した。 こうしたことは,いずれも不法行為を構成するものであり,これにより,被告は,筆舌に尽くし難い精神的な苦痛を受けた。したがって,これを慰謝する慰謝料としては150万円が相当である。 c 弁護士費用について被告は,原告に対して本件反訴請求を提起することを代理人弁護士に委任し,弁護士費用を支払うことを約した。その費用は,着手金,報酬の合計で少なくとも50万円が相当である。 d 以上によれば,被告の損害合計は,228万1800円となる。 イ原告の主張(ア) ア被告の主張(ア)は否認する。 本件自宅待機命令は,前記のような事態の下,会社経営者の対処として相当なものであり,債務不履行ないし不法行為を 計は,228万1800円となる。 イ原告の主張(ア) ア被告の主張(ア)は否認する。 本件自宅待機命令は,前記のような事態の下,会社経営者の対処として相当なものであり,債務不履行ないし不法行為を構成する違法性を根拠づけられるものではない。 (イ) ア被告の主張(イ)のうち,被告が平成13年9月に労働基準監督署に相談したこと,同月4日付けで,原告に対し,本件自宅待機命令の理由の説明を求めるとともに,未払賃金の請求をしたこと,労働基準監督署からの行政指導が入ることを伝えたことは不知,本件通知書の内容は認め,その余は否認する。 労働者の解雇の問題について,使用者には労働契約法理として解雇権ないし解雇の自由の原則が認められており,例外的に解雇権が濫用された場合などに法的にその解雇の効力が問題となるにすぎない。そして,原告に解雇権の濫用という事情はなく,むしろ,本件非違行為に照らし,懲戒解雇するについて合理的な事由が存在する。すなわち,本件非違行為は,原告の就業規則第51条第2号(第30条第2号違反),第3号,第5号,第9号,第12号に該当し,就業規則第52条第4号により制裁として懲戒解雇される合理的理由がある。 また,本件懲戒解雇の手続も正当なものであった。すなわち,原告は,被告に対して,勤務姿勢などの問題性について,本件自宅待機命令に際してもHを通して説明済みであること,その上で本件懲戒解雇の意思表示が,平成13年9月28日付け内容証明郵便による本件通知書により,被告に到達していること,本件通知書により「業務の能率を阻害し,職場の風紀,秩序を著しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけたこと」として懲戒解雇事由が明示されていること,Hに事情を聴く機会があったことなどから,本件通知書の意味は十分被告において理解し得たこと,さらには,原告が しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけたこと」として懲戒解雇事由が明示されていること,Hに事情を聴く機会があったことなどから,本件通知書の意味は十分被告において理解し得たこと,さらには,原告が,本件懲戒解雇について,公明な姿勢で管轄の渋谷公共職業安定所に対して解雇の事情説明書を作成の上,資格喪失手続を行っていること,その資格喪失手続の過程において,被告に対しても渋谷公共職業安定所に提出された書類と同一のものが送付されていること,同書面で「懲戒の詳細」として詳細な事実が述べられており,懲戒解雇事由ないし理由が十分理解できるように詳細に説明されていること,加えて,かかる書面送付に際して及び送付後において,社会保険労務士が被告に何度か資格喪失手続に関連して連絡を取り,被告はその機会に懲戒解雇事由の内容について詳細な説明を受け,弁明することができたこと,以上のような一連の事情からすれば,原告により正当な手続に基づき本件懲戒解雇がなされたのであり,他方,被告には懲戒解雇事由について書面によりその内容が伝えられていて,加えて説明ないし弁明の機会は被告に対して十分に与えられていたのである。さらには,被告が退職届を提出していることや解雇予告手当を何ら保留しないまま受領していること,再就職するに至っていることなどの諸事情からすれば,本件懲戒解雇の効力を争うことなく承認するに至っていると解される事情があるのであり,原告が損害賠償請求訴訟を提起するに及んでそれに対応して反訴を提起して本件懲戒解雇の効力を争うことは,信義則に反する主張として是認し得ないものである。 また,被告は,本件懲戒解雇が平等取扱いに違反する旨主張するが,平等取扱いとは,同一の事情にある労働者,従業員の間で比較されることであり,原告は,同一,同様の言動に出た者に対して同種の同一程 ある。 また,被告は,本件懲戒解雇が平等取扱いに違反する旨主張するが,平等取扱いとは,同一の事情にある労働者,従業員の間で比較されることであり,原告は,同一,同様の言動に出た者に対して同種の同一程度の懲戒処分が行われるべきと解しているが,本件では被告と同様の言動に出た者がいなかったので,他の者に対し同様の取扱いがなされなかったにすぎない。 さらに,被告は,原告が平成13年5月に被告を慰留したことなどを根拠に,本件懲戒解雇が処分の重さが相当であることの要件を欠く旨主張するが,被告を慰留したのは,学期の途中で辞められることについての生徒への影響と,被告の言動について慎重に検討の上対処しようとする配慮によるものであり,その後,同年6月の本件自宅待機命令に至るまで被告の問題の言動が続いたものであり,その一連の言動が本件懲戒解雇の事由である本件非違行為となっているものである。 以上によれば,本件懲戒解雇は,合理的理由に基づく適正な手続を経てなされた社会通念上相当なものであり,使用者の懲戒権の裁量の範囲内のものであって,解雇権濫用などとして解雇の効力が争われるものではなく,違法性はないから,不法行為は成立しない。 (ウ) ア被告の主張(ウ)は否認する。 Hが被告の就職妨害をした事実はない。有限会社Pは,業種がメイクサロンであって,名古屋校に通学する学生の就職先として求人依頼をするため,Hと上記会社の代表取締役(Q)とが面談することとなった。その機会に,被告が名古屋校に勤務していたことを知っていたQから,Hに対し,被告の勤務状態,退職事情を問われたことがあった。Hとしては,Qから,被告が原告のことを悪く言っているが実際どうなのかと聞かれたので,「欠席をしたり,授業の行い方などで学校側も困っています。」という事実を伝えた。そして,それ以上の不用意な った。Hとしては,Qから,被告が原告のことを悪く言っているが実際どうなのかと聞かれたので,「欠席をしたり,授業の行い方などで学校側も困っています。」という事実を伝えた。そして,それ以上の不用意な回答を回避して,A学院長にそのような話があったことをまず報告し,その対応の指示を仰いだ。そして,Hは,A学院長との相談の結果,新勤務先に迷惑がかかってはいけないという配慮の上で,「裁判する予定です。」と伝えたにとどまるものであり,入社希望者の元勤務先が新たな雇用主の照会に対応する場合の通常の一般的慣行に従って,適切に対処したものである。また,Qから上記のような質問があったのは,新入社員の採用決定をする段階ではなく,広く募集していたときのことであり,そのため当然のことながら,被告もその時点では採用決定されていなかったのであって,その後応募期間が終わり,その採用会社自身が入社希望者の中からその基準により独立して通常の手続で採用決定をしたものである。そのため,就職妨害についての事実は全くなく,不法行為を構成するものでない。 (エ) ア被告の主張(エ)はすべて否認する。 以上に述べたとおり,原告が賠償すべき逸失利益はなく,また,本件自宅待機命令,本件懲戒解雇について不当な点はなく,その上原告には就職妨害もないのであるから,原告により被告が精神的苦痛を受けたとする点は認められない。 第3 当裁判所の判断 1 前提となる事実について(1) 前記争いのない事実に,証人R,同H,同C,被告本人,原告代表者本人,甲7ないし10,乙18,20,21及び後掲証拠並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア被告は,平成13年3月23日,原告の経営する名古屋校のメイク担当講師として,期限の定めなく雇用されたが,採用に際し,名古屋校開校に向けて 論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア被告は,平成13年3月23日,原告の経営する名古屋校のメイク担当講師として,期限の定めなく雇用されたが,採用に際し,名古屋校開校に向けての事前研修を受けることはなかった。 被告よりも先の平成13年3月半ばに採用されたC講師は,東京での研修を受けたが,その内容は,研修といえるほどのものではなく,授業のための用具などの準備程度であった。 被告が,平成13年3月23日に名古屋校に出向くと,B講師から,東京校のカリキュラム(乙16)を渡され,名古屋校の1年間のカリキュラムを組むよう指示された。 被告としては,原告が入学志願者に渡したパンフレット(乙13)を受け取っておらず,B講師から,パンフレットとカリキュラムが一致しないことや,その不一致のために生徒からクレームが起きそうだなどと説明されたことはなかった。 被告は,B講師から,「技術的にできないネイルや特殊メイクは省いてもいいし,トレーニングしてできるのならやってくれ。」などと言われた。そこで,ネイルは,K講師ないしB講師が被告とC講師を指導して後期から開始することとし,特殊メイクはやらないということになった。そして,色彩については,B講師からの指示はなかったが,被告が,自らやろうと考えて,教科書(生徒用),教材の購入を求めたところ,A学院長から,費用を出せないと言われて断念することになった。 被告は,C講師と共に,東京校のカリキュラムを参考にして,名古屋校の1年間のカリキュラムとして,生徒用のもの(乙14の1,2)と教師用のもの(乙15)を作成した。 イ平成13年4月9日に名古屋校の入学式があったが,その直後から約1週間程度の間に,生徒から多くのクレームが名古屋校あてに出され,問題化した。 そのクレーム問題とは,以下のようなもので 作成した。 イ平成13年4月9日に名古屋校の入学式があったが,その直後から約1週間程度の間に,生徒から多くのクレームが名古屋校あてに出され,問題化した。 そのクレーム問題とは,以下のようなものである。すなわち,平成12年12月に開催された名古屋校の入校前の見学会・説明会(乙10)において,原告のEから,生徒に対して,見学会・説明会の案内,資料(乙11の1ないし3),説明会参考資料(乙12),入学案内(乙13)などの内容に沿って,名古屋校に入れば,①美容師の資格が取れる,②ネイリストになれる,③ネイティブの外国人から英会話を学べる,④求人が既に100件も来ているなどの説明がなされた。ところが,入学式で配布されたカリキュラムと上記説明が違っており,ネイルについては,設備などがそろっていなかったことなどから,生徒間に疑問が生じ,総務担当のDやEらに対して,面談ないし電話で説明が求められた。その結果,①名古屋校では美容師の資格取得はできないこと,②ネイリストには特段の資格はないが,名古屋校には必要な機械設備などがそろっておらず,実際には名古屋校を出ても開業できないこと,③カリキュラム上,1年目の英会話の講義が一切予定されていなかったこと,④名古屋校をはじめとして,東京校,大阪校もすべて開校1年目であり,求人などは来ていなかったことなどが生徒間に明らかとなった。そして,開校間もない時期から,生徒が,授業中にこうした問題を親に相談したり,Dにクレームを言いにいくなどするため,教室を抜け出したりし,授業が混乱することになった。 被告やC講師は,授業を抜け出す生徒に対しては,授業後に行くようになどと注意したが,その注意に従わない生徒もいたので,被告は,Dに対し,生徒に対する説明を行うよう要望した。 平成13年4月18日,D,Eらは,挙手をした生徒 け出す生徒に対しては,授業後に行くようになどと注意したが,その注意に従わない生徒もいたので,被告は,Dに対し,生徒に対する説明を行うよう要望した。 平成13年4月18日,D,Eらは,挙手をした生徒の質問に答えるという形で説明会を開催した。そして,その中で,Eは,生徒の質問にきちんと答えられないことが多く,パンフレットとカリキュラムの違いや求人状況等に関する生徒のクレームについて,入校前の説明がオーバートークであったと認めて謝罪するなどしたが,その説明に大部分の生徒は納得しなかった。Eは,被告とC講師に対しても,「ぼくも,上からは,パンフレット以外の説明は受けていません。」,「元々,ゲームデザイナーの学校なので,ヘアーメイクのことは何も分からなかった。」,「営業だから,多少のオーバートークはある。」などと言い訳をした。 その後,生徒の求めで,Dは,A学院長に話を取り次ぐことになり,A学院長からの話として,「希望者の親には,電話で直接説明する。」,「パンフレットと内容が違うので,退校したいというのであれば,授業料を支払う。」と述べ,平成13年4月19日までに申入れをすることを条件に退校,すなわち,授業料の返還を認めること,希望者全員の親にA学院長から電話で説明するということになった。 そこで,被告とC講師が,生徒約44名に対して,電話をしてほしい者は黒板に名前を書くようにと指示したところ,約30名の生徒が名前を記載したので,被告らは,これらの生徒全員の名前をメモしてDに手渡し,電話連絡をするよう伝えた。 ところが,実際には,A学院長は,10名程度の生徒の親にしか電話をせず,しかも,それらの生徒の多くが退校を希望したことから,翌19日,残りの約20名の生徒に対して,授業中に,生徒1人1人を順番に個別に会議室に入れ,A学院長が電話で直接不満 の生徒の親にしか電話をせず,しかも,それらの生徒の多くが退校を希望したことから,翌19日,残りの約20名の生徒に対して,授業中に,生徒1人1人を順番に個別に会議室に入れ,A学院長が電話で直接不満などを聴いた上で,「専門の先生を呼んで,後期からパンフレットのとおりにやる。」などと述べた。これに対して,生徒からは,親と相談しないと決められないとして,退校申入れの期間を延長してほしいとの要望が出たが,A学院長は,クレームについては,上記のように改善するから,とにかく今日の午後4時までに申し入れないと授業料の返還はできない旨答えた。その結果,親と相談できなかった生徒らは,授業料を返還してもらえないので,やむなく退校を思いとどまることになったが,名古屋校に対する強い不満,不信感が残ってしまった。 以上のとおり,生徒のクレームというのは,Eが入学募集時に不適切な説明をしたことに原因があったものであって,被告の発言に原因があったわけではなかった。 被告が,生徒に対して発言した内容とは,名古屋ではヘアー・メイクの仕事が少ないから,実務経験がない新卒ではほとんど仕事がないということと,芸能人のヘアー・メイクなどができると説明会で聞いてそれを期待して入校した生徒に対して,名古屋では芸能人のヘアー・メイクなどのアシスタントに就いたりすることは難しい旨述べたものであり,その発言内容は,原告作成のパンフレット(乙13)にも,「ヘアー・メイク業界では実際の所,充分に人手が足りているというのが現状であり,雇う側と雇われる側,つまり需要と供給のバランスが狂いはじめているのです。」と記載されているとおりであった。また,被告は,美容師志望の生徒2名ほどに対して,ヘアー・メイクには美容師の免許は要らないが,美容師の資格を取るには認可の下りた美容専門学校でないと受験資格 です。」と記載されているとおりであった。また,被告は,美容師志望の生徒2名ほどに対して,ヘアー・メイクには美容師の免許は要らないが,美容師の資格を取るには認可の下りた美容専門学校でないと受験資格がない旨述べたにすぎなかった。 ウ被告は,上記のような原告のいい加減な学校運営の実態や,生徒に対する無責任な対応,学内の混乱などに接して,名古屋校での将来に不安と失望を抱き,平成13年4月27日付けで,同年5月11日に退職する旨の退職願(甲11)をファックスで提出し,C講師も,被告と同様の理由で,被告と同時に平成13年4月27日付け退職願(甲26)を提出した。 すると,G,Dは,被告に対し,「あなたたちが辞めると生徒が(学校を)辞めるから退職を思いとどまるように。」などと慰留した。被告及びC講師は,退職について生徒に話をしたことはなかったが,生徒からクレームの相談を受けて,名古屋校側に問いただすなどしていたので,被告ら2人が辞めさせられるのではないかとの噂が立っていた。 平成13年5月2日には,A学院長は,C講師の父に電話で「退職するなら損害賠償2000万円を請求する。」旨述べ,被告方にも電話したが,被告は不在であった。同月7日の夕方にも,A学院長から,被告に対し,電話で,「お前たちを辞めさせる気はない。今退職するなら,損害賠償2000万円を請求するぞ。生徒1人1人に対する授業料の返金と諸経費などを含めると2000万円になる。」などの発言があり,被告は,考えますと返事をした。 さらに,その後,B講師が東京から来て,被告及びC講師に対し,「3月まで留任しないと裁判を起こされるよ。」,「東京でもスタイリストの先生で裁判を起こされた人がいる。」,「お金が目的ではなく,精神的なダメージを与えるために,負けることを承知の上で裁判をやる。A学院長はそういう ないと裁判を起こされるよ。」,「東京でもスタイリストの先生で裁判を起こされた人がいる。」,「お金が目的ではなく,精神的なダメージを与えるために,負けることを承知の上で裁判をやる。A学院長はそういう人だ。」などと言って,退職を思いとどまるよう説得した。 その結果,被告及びC講師は,平成13年5月半ばころ,平成14年3月まで名古屋校の講師として留任する旨の返事をし,退職願を撤回した。 エ平成13年4月から同年6月までの間の名古屋校の生徒の出席状況は,同年4月18日の説明会の前後から出席率が著しく下がっており,同月21日以降の欠席率は,4月が23パーセント,5月が30パーセント,6月が40パーセントと少しずつ増えていった(甲17の1,2,24の1,2)。そして,被告及びC講師は,欠席した生徒全員に対し,毎日のように,2人で手分けして電話をして出席するように指導したが,なかなか出席するようにはならなかった。 オ被告は,平成13年5月半ばころ,一部生徒に「ヘアーの授業に出席しなくても出席扱いにする。」旨の発言をした。それは,メイク希望者の中には,入学説明会で,ヘアーの授業はほとんどなく,メイクの授業が中心だとの説明を受けて入校した生徒がおり,ヘアーの授業には出ない者や出席日数のためだけに出ていた者もいた。そのような生徒は,ヘアーについては元々勉強する意思がないことから,授業中うるさく騒いだため,他の生徒から,ヘアーの技術をきちんと学びたいので,騒ぐ生徒は授業から出ていってほしいという要望が出された。被告は,ヘアー担当ではなかったが,担当のC講師と相談し,2人で,騒いでいる生徒とそれら生徒を授業から出すよう求めた生徒らとそれぞれ個別に面談し,騒いでいる生徒にはヘアーもいずれ就職した際には役立つ旨述べて説得した。しかし,どうしても説得に応じな 談し,2人で,騒いでいる生徒とそれら生徒を授業から出すよう求めた生徒らとそれぞれ個別に面談し,騒いでいる生徒にはヘアーもいずれ就職した際には役立つ旨述べて説得した。しかし,どうしても説得に応じなかった4人(甲24の2)の生徒がいたので,その生徒については,ヘアーの授業に出席しなくても出席にする扱いにすることで授業の正常化を図ることを被告とC講師とで決めたものである。 この際,被告及びC講師は,こうした指導に従わない生徒の状況をDに伝えたが,注意をしておいてくださいという程度で,特段のアドバイスはなく,また,業務報告として東京の本部にもA学院長あてのファックスで授業の状況などについて報告していたが,特段のアドバイスや指導などはなかった。 被告は,4人の生徒について,ヘアーの授業に出席しなくても出席にする扱いにすることについて,原告に報告することはしなかったが,B講師には,同人が平成13年6月下旬ころに名古屋校に赴任した際にその旨の話をした。このような扱いは,名古屋校の学則(甲2)に反するものであり,B講師からは,ちょっとよくないですねという話があり,被告とC講師は,改めて上記4人の生徒に説明して出席してもらおうと考えたが,後記の退職等の事情により実現できずに終わった。 カ名古屋校の学則(甲2)では,授業時間は午後4時までとされていたが,被告は,課題やテストの日には,生徒間に技量等の差があるため,当日の課題やテストを早く終えた一部生徒については,まだ終わっていない生徒のために,掃除を済ませて多少早めに帰ることを認めたことがあった。しかし,被告が,授業を終了時間前に早く切り上げたということはなかった。 また,被告及びC講師は,2人して,遅刻,早退した生徒や授業中に喫煙,飲食,携帯電話をする生徒,私物を置きっぱなしにする生徒に対して,何 告が,授業を終了時間前に早く切り上げたということはなかった。 また,被告及びC講師は,2人して,遅刻,早退した生徒や授業中に喫煙,飲食,携帯電話をする生徒,私物を置きっぱなしにする生徒に対して,何度も注意や指導をした。そうした注意,指導により,いったんは治まっても,また,再び同じような行動があった。そのような生徒の中には,平成13年4月19日に退校希望であったのにできなかったため,原告に不信感を持ち,注意を聞かない者もいた。 また,被告とC講師が,生徒と一緒に食事に行ったことが1度あったが,毎週のように生徒と飲酒に出掛けたなどということはなかった。 さらに,被告は,平成13年4月に1日,同年6月に4日の欠勤をしたが(乙8),病気等による欠勤であり,名古屋校に連絡しているものであって,無断欠勤ではなかった。 キ平成13年6月下旬ころ,Hが,名古屋校の責任者として,大阪校から赴任し,また,B講師が,東京校から名古屋校に赴任し,被告とC講師の3人で授業をするようになった。 そして,平成13年6月28日ころ,被告は,Hから,「O先生は自宅待機なので,荷物をどうしますか。」と言われ,A学院長から,電話で,「お前は今日でもう来なくていいので,自宅待機で,荷物を持って帰れ。」と一方的に本件自宅待機命令を告げられた。B講師は,被告に対し,「どうしてこうした事態になるのか,ぼくにも分かりません。力になれなくて申し訳ありません。」と言って,頭を下げた。被告は,当日のうちに私物を持ち帰った。 その後,被告は,本件自宅待機命令となった理由が分からず,HやA学院長にその理由を聴こうと何度も連絡を取った。しかし,Hは,居留守を使ったり,「ぼくからは何も話すなと言われている。」,「A学院長に連絡を取るように。」としか答えず,逃げるばかりであった。また,A学院長は, の理由を聴こうと何度も連絡を取った。しかし,Hは,居留守を使ったり,「ぼくからは何も話すなと言われている。」,「A学院長に連絡を取るように。」としか答えず,逃げるばかりであった。また,A学院長は,被告が毎週のように何度も電話やファックスで連絡を取っても,何の返事もなく,1度だけ電話に出た際にも,「お前には話すことはない。」とだけ言って,一方的に電話を切ってしまった。 そして,給与については,被告がHに電話で聴いたところ,「他の先生が自宅待機だったときも給料は全部支払われていたので,O先生も全部支払われるはずです。」と言われた。ところが,平成13年7月,同年8月の本件自宅待機命令期間中の賃金は全く支払われず,給与の明細書(乙1の1,2)に「学院長指示により支給ありません。」などとだけ記載してあった。 一方,C講師は,Hから,今なら辞められる旨言われたことから,平成13年7月19日付けで退職届(甲25)を提出した。 被告は,C講師が上記退職届を提出しに名古屋校に出向いた際に同行し,Hに上記給与明細書を見せたが,Hは,「どうして学院長はこういうことをするのかぼくには分かりません。」としか言わなかった。 そこで,被告は,平成13年9月,原告との話合いの場を求めて,労働基準監督署に相談した。そして,その指導で,同月4日付け書面(乙5の1)で,原告に対し,本件自宅待機命令の理由の説明を求めるとともに,未払賃金の請求をし,労働基準監督署からの行政指導が入ることを伝えた。 すると,平成13年9月26日,原告の東京の経理課より,「休職扱いなので,7月から9月分を,今,6割振り込みました。」との一方的な電話連絡があり,同日,被告の銀行口座(乙7)に,平成13年7月分の給与として15万5210円(乙2の1),同年8月分の給与として14万4000円(乙2の2), 今,6割振り込みました。」との一方的な電話連絡があり,同日,被告の銀行口座(乙7)に,平成13年7月分の給与として15万5210円(乙2の1),同年8月分の給与として14万4000円(乙2の2),同年9月分の給与として14万4000円(乙2の3)が振り込まれた。 ク被告は,本件自宅待機命令期間中に,名古屋校に登校した生徒を連れ出したことがあった。その事情は,ある生徒について,夜眠れなかったり,授業中に急に泣き出すなど,精神的に参っている状況があったことから,他の生徒が,B講師に相談したが,十分な対応をしてもらえず,C講師に相談したところ,C講師から,看護短大で学んだ経験のある被告へ相談してみたらとアドバイスを受けて,被告に電話で相談してきたものである。被告は,その電話を受けて,名古屋校に出向いたところ,その生徒が「怖い,怖い。」と言って泣き出し,様子が普通でなかったことから,その生徒を保護し,知り合いの精神科医に相談するために連れ出したものである。なお,その際,被告は,C講師に対して,B講師にその旨伝えるよう依頼した。 ケ原告は,被告に対して,突然,何らの事前の注意もなく,また,弁解の機会も与えないまま,平成13年9月28日付け(同月29日以降到達)の本件通知書(乙3)で,「業務の能率を阻害し,職場の風紀,秩序を著しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけた」ことを理由に,懲戒解雇する旨を一方的に通知して,本件懲戒解雇を行った。 そして,原告は,平成13年9月28日,被告の銀行口座(乙7)に,解雇予告手当として24万円(乙6の2。ただし,現実の振込額は23万0270円),平成13年10月分給与として3万7895円(乙6の1)を振込送金した。 その後,平成13年10月17日には,原告の指示を受けた社会保険労務士が,被告に対し,懲戒解雇 実の振込額は23万0270円),平成13年10月分給与として3万7895円(乙6の1)を振込送金した。 その後,平成13年10月17日には,原告の指示を受けた社会保険労務士が,被告に対し,懲戒解雇である旨告げるとともに,懲戒解雇理由を記載した渋谷公共職業安定所あての書面(乙4の1,2)に署名,押印するよう求めたが,被告は,同書面に記載してあることが事実に反するものであり,その内容に納得できなかったことから,これを断った。 コ被告は,本件懲戒解雇が不当なものであると思ったが,被告自身,原告の学校運営に失望していたので,平成13年9月28日付け退職届(甲13)のほか,健康保険証等も原告に郵送して,退職処理を依頼した(甲14,15)。 そして,被告は,次の就職先を探し,平成13年10月中ころには,有限会社Pに再就職が内定し,同月下旬より同会社で働くことが決まった。 ところが,その後,生徒の就職活動のため有限会社Pに赴いたHが,被告のことを聴かれた際,欠席をしたり,授業のやり方が悪い先生で困っている旨話し,その後,A学院長と相談の上,被告に対し裁判を提起する予定である旨を同社に伝えた。 そして,被告が,平成13年10月下旬の就労開始の日に,有限会社Pに出勤したところ,同社の社長から,Hが,生徒の求人活動で来た際に被告が同社の面接を受けたことを知り,これをA学院長に報告したところ,A学院長から「裁判沙汰が起きているひどい先生だ。」などと言われたという趣旨の話があり,原告との問題が落ち着くまでの間,採用を延期すると言われ,結局,正式採用は,平成13年12月21日まで延期された。 2 争点(1)(被告は,原告が主張する違法行為を行い,原告に損害を被らせたか)について(1) 本件非違行為①について前記認定のとおり,被告が,生徒に対して発言した内容とは 21日まで延期された。 2 争点(1)(被告は,原告が主張する違法行為を行い,原告に損害を被らせたか)について(1) 本件非違行為①について前記認定のとおり,被告が,生徒に対して発言した内容とは,名古屋ではヘアー・メイクの仕事が少ないから,実務経験がない新卒ではほとんど仕事がないということと,芸能人のヘアー・メイクなどができると説明会で聞いてそれを期待して入校した生徒に対しては,名古屋では芸能人のヘアー・メイクなどのアシスタントに就いたりすることは難しい旨述べたものであって,その発言内容は,原告作成のパンフレットの記載内容からも裏付けられるものであり,甲6によれば,平成13年8月以降において,平成14年3月の名古屋校卒業予定者の14名の就職が決定したことが認められるが,そのことから,上記被告の発言内容が虚偽と認めることはできない。また,被告は,美容師志望の生徒2名ほどに対して,ヘアー・メイクには美容師の免許は要らないが,美容師の資格を取るには認可の下りた美容専門学校でないと受験資格がない旨述べたにすぎないものであるが,これも虚偽とは認められないものである。 したがって,被告のこれら発言が,原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するものと認めることはできない。 (2) 本件非違行為②について前記認定のとおり,被告は,原告のいい加減な学校運営の実態や,生徒に対する無責任な対応,学内の混乱などに接して,名古屋校での将来に不安と失望を抱き,平成13年4月27日付けで,同年5月11日に退職する旨の退職願(甲11)をファックスで提出したものである。 ところで,民法627条1項によれば,期間の定めのない雇用契約については,いつでも解約の申入れをすることができ,その後2週間を経過したときに雇用契約は終了するのであるから,被 で提出したものである。 ところで,民法627条1項によれば,期間の定めのない雇用契約については,いつでも解約の申入れをすることができ,その後2週間を経過したときに雇用契約は終了するのであるから,被告が,名古屋校が開校してから1か月もたたないうちに,突然,退職の意思を表明したからといって,これが原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成すると認める余地はない。 そして,前記認定のとおり,被告は,退職について生徒に話をしたことはなかったものであるが,被告に退職の自由が認められる以上,仮に,被告が退職の意思があることを生徒に伝えたとしても,それが原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するということもできない。 (3) 本件非違行為③について前記認定のとおり,被告が,一部生徒に対し,「ヘアーの授業に出席しなくても出席扱いにする。」旨の発言をしたのは,入校前の説明によってメイクの授業が中心と思って入校した生徒が,ヘアーの勉強をする意思に乏しく,授業中に騒ぎ,他の生徒からクレームが出たことから,ヘアー担当ではない被告も,担当のC講師と共に,騒ぐ生徒を説得し,説得に応じなかった4人の生徒に対しては,授業の正常化を図るため,上記のような発言をしたものである。 前記認定のとおり,上記のような扱いは学則に反するものであるが,上記のような経過で,授業の正常化を図るために行われたものであり,かつ,ヘアー担当講師はC講師であって,被告はヘアーの授業の責任者とは認められないから,被告の上記発言をもって,これが原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するということはできない。 (4) 本件非違行為④について前記認定のとおり,被告は,課題やテストの日には,生徒間に技量等の差があるため,当日の課題 で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するということはできない。 (4) 本件非違行為④について前記認定のとおり,被告は,課題やテストの日には,生徒間に技量等の差があるため,当日の課題やテストを早く終えた一部生徒については,まだ終わっていない生徒のために,掃除を済ませて多少早めに帰ることを認めたにすぎず,授業を終了時間前に早く切り上げたということはなかったものであって,そのような被告の対応について,これが原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するということはできない。 (5) 本件非違行為⑤ないし⑧について前記認定のとおり,被告及びC講師は,2人して,遅刻,早退した生徒や授業中に喫煙,飲食,携帯電話をする生徒,私物を置きっぱなしにする生徒に対して,何度も注意や指導をしたが,いったんは治まっても,また,再び同じような行動があったものであり,そのような生徒の中には,原告の対応に不信感を持っていたため,注意を聞かない者もいたものである。 そうすると,授業中の生徒に上記のような状況があったからといって,それが専ら被告に原因があり,そのことについて,被告が債務不履行ないし不法行為責任を負うべきものと認めることはできない。 他に,被告に本件非違行為⑤ないし⑧に該当するような行為があったと認めるに足りる的確な証拠はない。 (6) 本件非違行為⑨について前記認定のとおり,被告とC講師が,生徒と一緒に食事に行ったことが1度あったと認められるが,これが原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するということはできない。 他に,被告に本件非違行為⑨に該当するような行為があったと認めるに足りる的確な証拠はない。 (7) 本件非違行為⑩について前記認定のとおり,被告が,本件自宅待機命令期間中に,名 うことはできない。 他に,被告に本件非違行為⑨に該当するような行為があったと認めるに足りる的確な証拠はない。 (7) 本件非違行為⑩について前記認定のとおり,被告が,本件自宅待機命令期間中に,名古屋校に赴き生徒を連れ出したというのは,他の生徒から,精神的に正常でないと思われる生徒がいる旨の電話での相談を受け,名古屋校に出向いたところ,現に様子が普通でなかったことから,知り合いの精神科医に相談するために連れ出したものであって,かかる被告の行為について,原告に対する関係で,違法性を有し,債務不履行ないし不法行為を構成するということはできない。 (8) 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告が主張する本件非違行為に基づいて,被告が,原告に対し,債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと認めることはできない。 3 争点(2)(被告は,本件自宅待機命令期間中の未払賃金債権を有しているか)について(1) 前記認定のとおり,平成13年6月28日ころ,被告は,A学院長から,電話で,一方的に本件自宅待機命令を告げられたものであるが,当初,同年7月分及び同年8月分の本件自宅待機命令期間中の賃金は全く支払われず,給与の明細書に「学院長指示により支給ありません。」などと記載されていたものであり,同年9月26日に至り,休職扱いなので,6割分を支給する旨の電話連絡があって,被告の口座にその額が振り込まれたものである。 (2) 原告は,本件自宅待機命令について,解雇や懲戒処分などの最終処分をするまでの間,証拠隠滅防止あるいは出勤による職場の混乱を防止するために使用者が労働者に対し,一時的に就労を禁止する措置であり,業務上の必要性から自宅待機を命令することは雇用契約上の労務指揮権に基づく業務命令であって,休業手当の法定基準としての の混乱を防止するために使用者が労働者に対し,一時的に就労を禁止する措置であり,業務上の必要性から自宅待機を命令することは雇用契約上の労務指揮権に基づく業務命令であって,休業手当の法定基準としての60パーセントの賃金を支払済みである以上未払賃金はない旨主張する。 そして,甲23によれば,原告の就業規則第8条,第9条において,賃金を支給しない休職制度が定められており,第8条3号は「特別の事情があって休職させることを相当と認めたとき」にかかる休職とする旨規定していることが認められる。 ところで,証人Hは,本件自宅待機命令の理由として,被告に対し,無断欠勤と授業のやり方がまずいからである旨を伝えた旨証言するところ,前記認定のとおり,被告は,平成13年4月に1日,同年6月に4日の欠勤をしたが,病気等による欠勤であって,無断欠勤ではなかったものであり,証人Hが被告の無断欠勤があったとする証言内容は,タイムカードが押された日も欠勤があったとするものであって,到底合理的なものではない。また,被告の授業における生徒の問題行動の状況及びその原因は,前記認定のとおりであって,被告の授業のやり方がまずかったことに原因があったと認めることはできない。 そうすると,被告に就業規則第8条3号にいう「特別の事情があって休職させることを相当と認めたとき」に該当する事由があったと認めることはできず,上記無休の休職を命ずることはできないものといわざるを得ない。しかも,原告は,被告に対して,休業手当の法定基準としての60パーセントの賃金を支払ったことを自認しているものであって,上記無休の休職制度の適用を自ら否定しているものというべきである。 そして,上記無休の休職制度の適用ではなく,雇用契約上の労務指揮権に基づく業務命令として,本件自宅待機命令が発せられたとすれば,前記認定 無休の休職制度の適用を自ら否定しているものというべきである。 そして,上記無休の休職制度の適用ではなく,雇用契約上の労務指揮権に基づく業務命令として,本件自宅待機命令が発せられたとすれば,前記認定のとおり,平成13年9月26日に至るまで,A学院長の指示により,同年7月分及び同年8月分の賃金の支払が全くなされなかったことが合理的に説明できないことになる。しかも,上記のとおり,被告が無断欠勤をしたり,授業のやり方がまずかったとはいえない以上,雇用契約上の労務指揮権に基づく業務命令としても正当なものと認めることはできないというべきである。 なお,甲18によれば,原告の就業規則第52条3号が,賃金を支払わない制裁としての出勤停止を定めていることが認められるが,その期間は7日以内とされており,本件自宅待機命令がこれに該当するものと認めることはできず,しかも,前記の本件非違行為の存否について説示した点,被告の無断欠勤の有無について説示した点に照らせば,被告に就業規則第51条が定める制裁事由があったと認めることもできない。 (3) 以上によれば,本件自宅待機命令は,原告により,正当な事由なく命じられた休業というべきであり,被告が就労できなかったことにつき,原告の責めに帰すべき事由があるといわざるを得ない。そうすると,民法536条2項に基づき,被告は,原告に対し,本件懲戒解雇に至るまでの本件自宅待機命令期間中の賃金全額の支払を求めることができるというべきである。 (4) 前記認定のとおり,被告は,原告から,平成13年7月分給与として15万5210円,同年8月分給与として14万4000円,同年9月分給与として14万4000円,同年10月分給与として3万7895円の合計48万1105円の振込送金を受けたものであるが,乙18,被告本人及び弁論の全趣旨によれば 給与として14万4000円,同年9月分給与として14万4000円,同年10月分給与として3万7895円の合計48万1105円の振込送金を受けたものであるが,乙18,被告本人及び弁論の全趣旨によれば,被告の賃金は,毎月21日から翌月20日までの期間に対応した月額24万円であり,平成13年10月分の賃金額は,同年9月21日から本件通知書到達の同月29日までの9日間分の7万2000円(24万円÷30日×9日)であるから,平成13年7月分から同年10月分までの賃金合計額は79万2000円(24万円×3か月+7万2000円)となると認められる。 そうすると,未払賃金額は,31万0895円(79万2000円-48万1105円)となる。 4 争点(3)(原告は,被告が主張する違法な本件自宅待機命令,本件懲戒解雇及び再就職妨害の違法行為を行い,被告に損害を被らせたか)について(1) 前記3で説示したとおり,本件自宅待機命令は,原告により,正当な事由がないのに命じられたもので,業務命令,制裁処分のいずれにしても違法といわざるを得ず,被告に対する不法行為を構成するものというべきである。 (2) また,前記1,2で説示した本件非違行為の存否,態様等によれば,被告には,本件通知書に記載の「業務の能率を阻害し,職場の風紀,秩序を著しく乱し,また,会社の名誉,信用を傷つけたこと」という本件懲戒解雇の原因に該当する本件非違行為があったと認めることはできない。 したがって,本件懲戒解雇の手続の正当性等について論ずるまでもなく,本件懲戒解雇は,懲戒解雇事由がないのになされたものとして,被告に対する不法行為を構成するものといわざるを得ない。 (3) 前記認定のとおり,被告は,本件懲戒解雇の通知を受けたことから,次の就職先を探し,平成13年10月中ころには,有限会社Pに再就職 して,被告に対する不法行為を構成するものといわざるを得ない。 (3) 前記認定のとおり,被告は,本件懲戒解雇の通知を受けたことから,次の就職先を探し,平成13年10月中ころには,有限会社Pに再就職が内定し,同月下旬より同会社で働くことが決まっていたが,Hが,同会社に対し,被告のことについて,欠席をしたり,授業のやり方が悪い先生で困っている旨及び被告に対し裁判を提起する予定である旨話したことが原因で,原告の正式採用が平成13年12月21日まで延期されたものであるが,被告が無断欠勤をしたり,授業のやり方が悪かったとはいえなかったものである。 そうすると,Hの発言は,被告の名誉,社会的評価を低下させる違法なものであり,被告に対する不法行為を構成するものといわざるを得ない。そして,前記認定のHの発言がされた経緯,状況等に照らせば,Hの不法行為は,原告の事業の執行につき行われたものというべきである。 (4) ところで,前記認定のとおり,被告は,本件懲戒解雇が不当なものであると思ったが,被告自身,原告の学校運営に失望していたことから,平成13年9月28日付け退職届のほか,健康保険証等も原告に郵送して,退職処理を依頼し,次の就職先を探したものであり,被告自ら,原告での就労の意思を喪失したものといわざるを得ない。 そうすると,本件懲戒解雇が違法なものとして被告に対する不法行為を構成するとしても,本件懲戒解雇から再就職までの間の原告から得べかりし賃金額について,被告が本件懲戒解雇によって被った損害と認めるのは困難であり,違法な懲戒解雇を受けたことによる慰謝料として損害を評価するのが相当である。 そして,前記のとおり,本件自宅待機命令期間中の未払賃金についてはその全額の支払が認められたことになること,被告が原告に雇用されてから本件懲戒解雇に至るまで約6か て損害を評価するのが相当である。 そして,前記のとおり,本件自宅待機命令期間中の未払賃金についてはその全額の支払が認められたことになること,被告が原告に雇用されてから本件懲戒解雇に至るまで約6か月にすぎないこと,被告が原告に雇用されて間もない時期に自ら退職の意思を表明したことがあること,本件懲戒解雇を契機として,被告自身としても,原告を退職する意思を有するに至ったこと,解雇予告手当が支払済みであること,被告が本件懲戒解雇の後に再就職できるまでに要した期間の長さとその期間を要した原因等の諸般の事情を考慮すると,本件自宅待機命令,本件懲戒解雇及びHの発言という一連の原告の不法行為(Hの使用者としての責任を含む。)によって被告が被った精神的苦痛を慰謝するための慰謝料としては,100万円と認めるのが相当である。 また,本件訴訟の経過等に照らせば,10万円の弁護士費用相当額も,上記一連の不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。 そうすると,被告が原告の上記一連の不法行為によって被った損害の合計は110万円となる。 5 なお,原告は,被告の平成16年3月18日付け第3準備書面の陳述について,同準備書面は同月15日の提出期限を徒過して提出されたものであり,時機に後れて提出した攻撃防御方法として却下されるべきである旨申し立てている。 しかし,上記準備書面の内容は,証拠調べの結果を踏まえて,事実認定について主張する部分が主であり,法的主張部分についても従前主張されていなかった全く新たな主張があるものではないところ,証拠に基づきいかなる事実を認定するかは,裁判所の自由心証の問題であって,当事者の攻撃防御方法の提出いかんによって制約されるものではなく,しかも,上記準備書面の陳述があった期日に弁論が終結されているのであるから,その陳述により訴訟 るかは,裁判所の自由心証の問題であって,当事者の攻撃防御方法の提出いかんによって制約されるものではなく,しかも,上記準備書面の陳述があった期日に弁論が終結されているのであるから,その陳述により訴訟の完結を遅延させることになるとも認められないのであって,原告の上記申立ては理由がない。 第4 結論以上によれば,原告の本訴請求は理由がなく,被告の反訴請求は,未払賃金額31万0895円及び損害賠償額110万円の合計141万0895円及びこれに対する弁済期経過後である平成13年12月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 よって,原告の本訴請求は棄却し,被告の反訴請求は,上記限度で認容し,その余は棄却することとし,反訴につき仮執行宣言の申立てはないので,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第1部裁判官橋本昌純(別紙省略)
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