- 1 -平成19年(ネ)第10038号特許権に基づく差止請求権不存在確認請求控訴事件平成19年9月20日判決言渡,平成19年7月12日口頭弁論終結(原審・大阪地方裁判所平成18年(ワ)第6264号,平成19年3月29日判決言渡)判決控訴人大和製衡株式会社訴訟代理人弁護士三山峻司,井上周一,金尾基樹補佐人弁理士角田嘉宏,古川安航,佃誠玄被控訴人株式会社イシダ訴訟代理人弁護士坂田均,草地邦晴,稲山理恵子,谷山智光主文原判決を取り消す。 本件訴えを却下する。 訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 控訴人による英国内における原判決別紙物件目録1及び2記載の自動定量計量装置の販売につき,被控訴人が欧州(英国)第268346号特許権に基づく差止請求権を有しないことを確認する。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2事案の概要 本件は,控訴人が被控訴人との間で,控訴人による原判決別紙物件目録1及び2記載の自動定量計量装置(以下,同物件目録1記載のものを「控訴人製品1」,同物件目録2記載のものを「控訴人製品2」といい,両者を併せて「控訴人製品」という。)の英国内における販売(以下「本件販売」という。)につき,被控訴人- 2 -が欧州(英国)第268346号特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」といい,これに係る発明を「本件特許発明」という。)に基づく差止請求権(以下「本件請求権」という。)を有しないことの確認を求める事案である。 原判決は,①被控訴人の,控訴人は本件特許権に係る通常実施権を有することの確認を求めることができるから,消極的確認を求める本件訴えは訴えの利益がない旨の本案前の主張を排斥した上,② る事案である。 原判決は,①被控訴人の,控訴人は本件特許権に係る通常実施権を有することの確認を求めることができるから,消極的確認を求める本件訴えは訴えの利益がない旨の本案前の主張を排斥した上,②控訴人と被控訴人との間における裁判上の和解(後記「本件和解」)に基づき,控訴人は被控訴人から本件特許権の実施許諾を受けている旨の控訴人の再抗弁及び,③被控訴人が本件特許権に基づき控訴人製品に対して権利行使をすることは信義則に反する旨の控訴人の再抗弁をいずれも排斥して,控訴人の請求を棄却した。 ところが,本件特許権の存続期間は,後記のとおり,原判決言渡後である平成19年5月15日の経過をもって満了したため,当審の口頭弁論終結時(同年7月12日)においては,本件特許権の存続期間満了による本件特許権の消滅により,本件販売につき本件請求権を有する旨の被控訴人の抗弁が失当となったため,前記の本案の争点(控訴人の上記②及び③の各再抗弁の成否)は,いずれも実質的な争点でなくなった。 これに対し,被控訴人は,当審において,前記①の本案前の主張を撤回した上,新たに,後記のとおり,④被控訴人は本件販売につき本件請求権を有しないことを自認しているから本件訴えは訴えの利益を欠く旨の本案前の主張を追加した。 当裁判所は,被控訴人の当審における上記④の主張を容れ,本件訴えは確認の利益を欠くから不適法であると判断するので,本件について本案判決をした原判決を取り消した上,控訴人の本件訴えを却下するものであり,その理由は以下のとおりである。 基礎となる事実本件における基礎となる事実は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「第- 3 - 事案の概要」の「2基礎となる事実」に摘示のとおりであるから,これを,ここに引用する。 ( )原判決3頁17行目及び18行目を次のと は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「第- 3 - 事案の概要」の「2基礎となる事実」に摘示のとおりであるから,これを,ここに引用する。 ( )原判決3頁17行目及び18行目を次のとおり改める。 「被控訴人は,本件販売につき被控訴人が本件請求権を有しないことを争っていない。」( )原判決5頁13行目の「その特許権」を「その特許権を」と改める。 本案の争点及びこれに関する当事者の主張本案の争点及びこれに関する当事者の主張は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「第2事案の概要」の「3争点」に摘示のとおりであるから,これを,ここに引用する(なお,上記のとおり,本案の争点は,当審において,既に実質的な争点でなくなったものであるが,双方当事者とも,これに係る主張を撤回していないので,これを本判決においても摘示するものである。)。 ( )原判決6頁26行目から7頁14行目までを削る。 ( )原判決7頁15行目の「( )」を「( )」と改める。 ( )原判決32頁19行目の「( )」を「( )」と改める。 ( )原判決35頁9行目から10行目にかけての「,法性決定の問題として は」を削り,22行目の「本和解契約」を「本件和解」と改める。 当審における当事者の主張(本案前の主張)[被控訴人の主張]被控訴人は,本件販売につき被控訴人が本件請求権を有しないことを自認しているから,本件訴えは,訴えの利益を欠くものである。 [控訴人の主張]被控訴人の主張は争う。 第3当裁判所の判断 当審における本案前の主張について一般に,確認の訴えにおいて,確認の利益が肯定されるためには,当事者間の紛- 4 -争の解決のために訴訟物たる権利関係の存否を判決において確認する必要があり,かつ,確認 おける本案前の主張について一般に,確認の訴えにおいて,確認の利益が肯定されるためには,当事者間の紛- 4 -争の解決のために訴訟物たる権利関係の存否を判決において確認する必要があり,かつ,確認の訴えによることが当該紛争の解決にとって適切であることを要すると解すべきところ,当該権利関係の存否について被告が争っていないときは,特段の事情がない限り,当該権利関係の存否を判決において確認する必要性を欠くというべきであるから,そのような場合には,当該確認の訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法であると解するのが相当である。 これを本件についてみるに,上記第2の2のとおり,被控訴人は,本件販売につき被控訴人が本件請求権を有しないことを自認しているところ,上記第2において摘示した事実等をみても,控訴人と被控訴人との間の紛争の解決のために,本件販売につき被控訴人が本件請求権を有しないことを判決において確認する必要があるといえる特段の事情があるとはいえず,その他,記録を精査しても,そのような特段の事情があるものと認めることはできない。 そうすると,控訴人の本件訴えは,確認の利益を欠くものとして,不適法であるといわざるを得ない。 結論 よって,当裁判所の上記判断と異なる原判決は,現時点においては不当であるから,これを取り消した上,控訴人の本件訴えを却下することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部- 5 -裁判長裁判官田中信義裁判官古閑裕二裁判官浅井憲
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