平成26年1月27日判決言渡平成25年(行ウ)第10号不当労働行為救済命令取消請求事件主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,補助参加によって生じた費用を含め,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求中央労働委員会(以下「中労委」という。)が,中労委平成▲年(○)第▲号事件について平成24年11月21日付けでした命令を,主文第1項のうち,初審命令主文第1項中のP1株式会社がP2労働組合P3地方本部作成の平成19年2月2日付け○第84号を同地方本部傘下の分会掲示板から撤去又は撤去通告したことに係る救済部分を取り消してこれに係る救済申立てを棄却した部分を除き,取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨原告は,平成19年2月7日から同月9日にかけて,補助参加人のP3地方本部(以下「地本」という。)の7分会の掲示板に掲示された別紙掲示物目録記載の7種の掲示物(以下「本件掲示物」という。また,各掲示物を個別に示す場合は,掲示物目録記載の番号によって,同目録記載①の掲示物を「掲示物①」などという。)について,撤去し又は当該分会に撤去を通告した(以下「本件撤去等」という。)。 補助参加人は,同年7月20日,東京都労働委員会(以下「都労委」という。)に対し,本件撤去等は労働組合法(以下「労組法」という。)7条3号の不当労働行為に当たるとして,救済申立てをしたところ(都労委平成▲年(○)第▲号。以下「本件救済申立て」という。),都労委は,不当労働 行為に当たることを認め,平成23年3月1日付けで文書交付等を命じる救済命令を発した(甲2。以下「初審命令」という。)。 原告は,初審命令を不服として,同年4月7 都労委は,不当労働 行為に当たることを認め,平成23年3月1日付けで文書交付等を命じる救済命令を発した(甲2。以下「初審命令」という。)。 原告は,初審命令を不服として,同年4月7日,中労委に対し,再審査申立てをしたところ(中労委平成▲年(○)第▲号。以下「本件再審査申立て」という。),中労委は,掲示物①に係る本件撤去等を不当労働行為に当たるとした点は失当であるとして,平成24年11月21日付けで初審命令のうち,掲示物①に係る部分を取消し,掲示物①に係る本件救済申立てを棄却し,改めて文書交付等を命じる救済命令を発した(甲1。以下「本件命令」という。)。本件命令の写しは,同年12月12日,原告に交付された。 本件は,原告が,本件命令のうち「初審命令のうち掲示物①に係る部分を取消し,掲示物①に係る本件救済申立てを棄却した部分」を除く部分を不服として,その取消しを求めた事案である。 2 前提となる事実(争いのない事実に加え,該当箇所掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)(1) 当事者等ア補助参加人は,昭和62年3月3日に結成された,原告の労働者をもって組織する労働組合であり,地本は,補助参加人に12ある地方本部の1つである。本件救済申立て時における組合員は,補助参加人が約4万7300名,地本が約3100名である。補助参加人は,原告において労働組合の組合員となる資格を有する労働者の約80%を組織する過半数組合である。 なお,原告には,補助参加人のほかに7つの労働組合がある。 イ原告は,旅客運送事業等を行う株式会社であり,本件救済申立て時における従業員は約7万名である。 ウ P4及びP5(P4と総称して「P4ら」ということがある。)は, 本件撤 イ原告は,旅客運送事業等を行う株式会社であり,本件救済申立て時における従業員は約7万名である。 ウ P4及びP5(P4と総称して「P4ら」ということがある。)は, 本件撤去等当時,補助参加人の組合員であり,地本に所属していたが,平成15年頃から,他の組合員から非難等を受けることがあった。 P4は,本件撤去等当時,P6電車区に所属していた。 P5は,本件撤去等当時,P7電車区に所属していたが,後記のとおり,平成15年11月から原告とは関連性がない株式会社P8(警備会社)に3年間の予定で出向し,その後,平成20年8月31日まで出向期間が延長されており,職場において補助参加人の組合員らと接触する機会はほとんどなかった。 (2) 原告の労使事情ア原告は,いわゆる国鉄分割民営化に伴い,昭和62年4月1日に株式会社として設立・発足したが,それ以降,原告と補助参加人とは,4回の労使共同宣言及び3回の安全宣言を行い,労使協力体制の確立を図ることを確認してきた。 イ補助参加人の組合員の一部は補助参加人を脱退してP9ユニオンを結成したが,平成11年頃から,補助参加人とP9ユニオンとの間で組合員の獲得競争が激しくなった。そして,補助参加人の組合員がP9ユニオンの組合員の企画する行事等に参加すると,組合内で「組織破壊者」などと非難する事態が生じた。 (3) 組合掲示板設置に関する労働協約原告と補助参加人との間の平成18年10月1日付け労使間の取扱いに関する協約(乙36。以下「本件協約」という。)における組合掲示板に関する規定は,次のとおりである。 ア 63条1項「組合は,会社の許可を得た場合,会社施設内において文書等の掲示(以下掲示された文書等を「掲 件協約」という。)における組合掲示板に関する規定は,次のとおりである。 ア 63条1項「組合は,会社の許可を得た場合,会社施設内において文書等の掲示(以下掲示された文書等を「掲示類」という。)によって,組合活動に必要な宣伝,報道,告知を行うことができる。」 イ 63条2項「会社は,前項の定めにより許可をする場合,掲示場所の指定を行う。」ウ 64条「組合は,前条第1項の許可を得ようとする場合,会社が別に定める掲示場所指定願に必要事項を記入し,本部については社長に,地方機関については対応する会社の地方機関等の長(ただし,当該施設が本社内又は本社附属機関内の場合は社長)に提出する。」エ 65条1項「掲示類は,会社の信用を傷つけ,政治活動を目的とし,個人を誹謗し,事実に反し,又は職場規律を乱すものであってはならない。」オ 66条「組合が,会社指定の掲示場所以外の場所に掲示類を掲出した場合,及び前条の定めに反した場合,会社は当該掲示類を撤去し,掲示場所の指定を取り消すことができる。」(4) 本件撤去等ア P10支社から地本に対する撤去通告平成19年2月7日午後4時頃,P10支社勤労課のP11副課長は,地本のP12業務担当部長に対し,補助参加人の掲示板に掲示された掲示物①は,個人名及び「組織破壊者」との記載があるため,個人を誹謗中傷し,また,職場規律を乱すものであるから,撤去するように電話で連絡した。P12業務担当部長がこれを拒否したため,P11副課長は自ら撤去する旨を述べた。 同日午後4時30分頃,地本のP13副委員長がP10支社に電話をしたところ,P11副課長が対応した。P13副委員長は,P1 長がこれを拒否したため,P11副課長は自ら撤去する旨を述べた。 同日午後4時30分頃,地本のP13副委員長がP10支社に電話をしたところ,P11副課長が対応した。P13副委員長は,P11副課長に対して,掲示物①を撤去すべき理由について確認したところ,P1 1副課長は,個人の実名を出して「組織破壊者」としていること,職場規律を乱すおそれのあること,運転に影響して事故を起こすかもしれないこと,組合員が取り囲んで暴力を振るうことが予想されること等の説明を行うとともに,この通告は本件協約65条(前記(3)エ)が根拠である旨述べた。これに対してP13副委員長は抗議したが,P11副課長は,原告が撤去を行う旨を述べて電話を切った。(乙14)イ各区における撤去等(ア) P14運転区① 平成19年2月7日,P14運転区のP15副区長は,地本P14運転区分会(以下「P14分会」という。)のP16執行委員に対し,掲示物③を撤去するよう要求したため,同執行委員は同掲示物を撤去した。 ② 翌8日朝,同分会は,掲示物①を掲示したところ,同副区長は午後3時までに同掲示物を撤去しないと,原告が撤去すると通告した。分会がこれに応じないと,同日,同副区長は原告の指示であるとして同掲示物を撤去するとともに,併せて,掲示されていた掲示物②も撤去した。 (イ) P7電車区① 平成19年2月7日午後6時30分頃,P7電車区のP17指導助役らは,地本P7電車区分会(以下「P7分会」という。)のP18執行副委員長に対し,掲示物④及び⑤は個人の氏名を記載している点が誹謗中傷に当たるため,午後7時までに掲示板から撤去するよう求める旨通告したが,同副委員長がこれを拒否したため,同指導助役らは掲 18執行副委員長に対し,掲示物④及び⑤は個人の氏名を記載している点が誹謗中傷に当たるため,午後7時までに掲示板から撤去するよう求める旨通告したが,同副委員長がこれを拒否したため,同指導助役らは掲示物④及び⑤を撤去した。 ② 翌8日午前9時頃,P7分会のP19執行副委員長が掲示物①を掲示板に掲示したところ,同日午後6時10分頃,P7電車区の副 区長らは,同副委員長に,同掲示物は個人を誹謗中傷しているので撤去するよう通告した。 これに対して,同副委員長は抗議したが,原告が応じなかったため,同日,同副委員長は,掲示物①を撤去した上で,個人名をイニシャルに替えた掲示物①-2を掲示した。しかし,翌9日午後6時頃,原告がイニシャルでも問題があるとして撤去を求めたため,同分会は掲示物①-2を撤去した。 ③ 同年3月16日,P7電車区のP20区長は,P7分会のP21執行委員長に対し,掲示物④及び⑤は,P10支社の指示した撤去対象文書ではなかったが,支社・現場双方の連絡が不明確であり,誤って撤去した旨を説明して謝罪した。 (ウ) P22電車区① 平成19年2月8日午前10時30分頃,P22電車区のP23区長らは,地本P22電車区分会(以下「P22分会」という。)のP24副分会長に対し,掲示物①,④及び⑥は個人の誹謗中傷に当たるので掲示板から撤去するように通告した。同副分会長はこれらの掲示物を撤去した。 ② 翌9日,同区長らは,P25副分会長に対して掲示物①以外は外さなくてよい旨伝えた。 同日,同区長は,P26分会長に対して,掲示物④及び⑥の撤去通告については謝罪した。 (エ) その他P27電車区,P28車掌区,P29車掌区及びP4 伝えた。 同日,同区長は,P26分会長に対して,掲示物④及び⑥の撤去通告については謝罪した。 (エ) その他P27電車区,P28車掌区,P29車掌区及びP4の所属部署であったP6電車区においても,平成19年2月7日ないし8日に原告により掲示物①の撤去がされた。 (5) 本件掲示物 ア掲示物①及び①-2(19年2月2日付け○第84号)(別紙①及び①-2)掲示物①は,見出しとして,「第30回臨時中央委員会方針拒否のP4(P6電車区) P5(P7電車区)両君は 『組織破壊者』と断定」,「P4・P5両君を含む104名は6回にわたる機関開催決定方針の徹底と署名撤回の呼びかけを拒否!」と他の字より大きな字で記載し,同見出しのP4及びP5の氏名,「『組織破壊者』と断定」」等の文字を赤塗りしたもの(ただし,7分会で掲示されたすべてのものが赤塗りされていたかは不明。)であり,本文では,第30回臨時中央委員会決定の内容を記載しているほか,第13回中央執行委員会決定の内容,すなわち,①P4及びP5を含む104名の組合員らについて制裁申請が行われること,②同組合員らについて,制裁審査委員会答申までの間,組合員権の一部が停止されること,③同組合員らについて,本部事務所その他の組合事務所への立入りを禁止すること等を記載したものである。 また,掲示物①-2は,P7分会の掲示板に掲示された掲示物①を原告の撤去通告に従って,撤去した後に掲示されたものであり,掲示物①と基本的には同一の文書であるが,赤塗りを止め,P4らの実名部分が「A君,I君」に変更されたものである。 イ掲示物②(19年2月1日付け○第54号)(別紙②)掲示物②は,見出しとして,「第30回 文書であるが,赤塗りを止め,P4らの実名部分が「A君,I君」に変更されたものである。 イ掲示物②(19年2月1日付け○第54号)(別紙②)掲示物②は,見出しとして,「第30回臨中決定に基づく『P30』署名未撤回者104名に制裁申請と組合員権一部停止の緊急措置が下る!」,「P3地本内では対象者は2名! P4君(P6電) P5君(P7電)」と赤字で他の字より大きな字で記載し,本文では,第13回中央執行委員会において,①第30回臨時中央委員会決定に違反した104名について制裁申請が決定されたこと,②P4らは,同方針違反 に関する事情聴取を拒否したこと,この事情聴取の拒否により,「2名が『川を渡ってしまった確信犯』であることを自ら認めたことになった。」と記載されたものである。 ウ掲示物③(19年1月25日付け○第395号)(別紙③)掲示物③は,P31指令第28号を伝える内容の文書であり,具体的には,第13回中央執行委員会決定に基づき,組合員104名について制裁申請を行うこと,同組合員らの組合員権の一部停止,組合事務所への立入り禁止等の内容が記載されたものである。また,上記104名(以下「制裁対象者」ともいう。)の氏名及び所属も記載されており,P4ら2名についても記載されているが,他の102名と同様に列記されており,両名について特段の強調はされていない。 また,掲示物③には,第30回臨時中央委員会の決定の内容を伝える中には,「『P30』は組織破壊集団である。」,「『P30』の要請書に署名した組合員は2007年1月10日までに・・・署名を撤回しなかった組合員については,組織破壊者と判断せざるを得ない。」との記載がある。 エ掲示物④(19年1月26日付け○第224号)(別紙 した組合員は2007年1月10日までに・・・署名を撤回しなかった組合員については,組織破壊者と判断せざるを得ない。」との記載がある。 エ掲示物④(19年1月26日付け○第224号)(別紙④)掲示物④は,地本がその下部組織に対してP31の指令を伝えるものであり,第30回臨時中央委員会(平成18年11月20日)の決定及び第13回中央執行委員会(平成19年1月25日)の決定の概要が記載されている。 また,掲示物④には,制裁対象者104名について,掲示物③と同様な形式での記載がある。 オ掲示物⑤(18年11月付け「○」と題する文書)(別紙⑤)掲示物⑤は,第30回臨時中央委員会決定の要旨等を記載した文書であり,掲示物③とほぼ同様,「組織破壊集団」,「組織破壊者」といっ た表現が用いられたところがある。 カ掲示物⑥(19年1月31日付け○第119号)(別紙⑥)掲示物⑥は,補助参加人のP32地方本部が作成した掲示物であり,「第30回臨時中央委員会に基づき指令第28号発出される!!」との見出しの下,第30回臨時中央委員会決定事項及びP31指令第28号の内容が記載されているほか,同地方本部内で制裁対象となった組合員17名の氏名が記載されている。 (6) 本件掲示物が掲示された経緯平成18年当時,補助参加人内部には執行部と対立する組合員らのグループ(組合の元副委員長であるP33らのグループ。以下「P33グループ」という。)の流れをくむ「P30」というグループが存在し,執行部に対して批判的な姿勢をとり,その一環として署名活動を行っていた。 「P30」は,同年6月11日開催の補助参加人の第22回定期大会でP31に署名簿を提出したが,P4らはこれに署名していた 在し,執行部に対して批判的な姿勢をとり,その一環として署名活動を行っていた。 「P30」は,同年6月11日開催の補助参加人の第22回定期大会でP31に署名簿を提出したが,P4らはこれに署名していた。 補助参加人は,同年11月20日開催の第30回臨時中央委員会において,当該署名を行った組合員104名(このうち,地本に所属する組合員はP4ら2名のみである。)に対し,平成19年1月10日までに署名の撤回等を求める決定を行った(以下「第30回臨時中央委員会決定」という。)。 しかし,当該組合員104名が,補助参加人の6回にわたる呼び掛けにもかかわらず,第30回臨時中央委員会決定に従わなかったことから,補助参加人は,同月25日開催の第13回中央執行委員会において,組合規約に基づき制裁申請を行うこと,制裁審査委員会答申までの間,組合員権の一部を停止することなどを決定した(以下「第13回中央執行委員会決定」という。)。そして,中央執行委員会は,各地方本部執行委員会に対し,第13回中央執行委員会決定の内容を各級機関と全組合員に周知徹底 し,組織の一層の団結・強化を図ることなどを指令(以下「P31指令第28号」という。)する内容の掲示物③を送付した。 この連絡を受けた地本は,第13回中央執行委員会決定等を組合員に周知徹底するため,その内容や地本に所属する制裁対象組合員(P4ら)の氏名等を記載した掲示物①を作成し,掲示物③とともに,又は単独で,地本所属各分会の掲示板に掲示した。 なお,補助参加人のP32地方本部は,掲示物⑥を補助参加人の掲示板に掲示し,P31指令第28号等の周知を図った。(乙18,40,43)(7) 本件掲示物掲示以前のP4らの言動に対する補助参加人の非難等ア P4に関する 掲示物⑥を補助参加人の掲示板に掲示し,P31指令第28号等の周知を図った。(乙18,40,43)(7) 本件掲示物掲示以前のP4らの言動に対する補助参加人の非難等ア P4に関する経緯(ア) 平成15年5月28日,P6電車区の本区運転事務室において,以下のとおり,当時,P6電車区の運転士をしていたP4とP34ら組合員2名とが口論となり,同区のP35区長らに制止されたことがあった。 P34ら組合員2名は,本区運転事務所の点呼場で報告書を書いていたP4に対し,同人が組合執行部と対立する組合員らのグループが開催した東京での集会に参加はしていないと述べたことの真相を確かめようとして声を掛けた。P4は二人を無視してロッカー室に入って行ったので,P34ら5名程がP4を追いかけた。その後ロッカー室から本区運転事務所に出てきたP4は,運転当直助役に「俺は話したくないのにこいつらがしつこくつきまとう。」と訴え,P34ら組合員2名と口論になった。そこで,副区長から連絡を受けたP35区長が「ここは点呼場でこのような話をするところではない。」と言ってP34ら組合員2名をP4から引き離し,同人は点呼を終えて退社した。口論の際,P4に話しかけたのは,P34ら組合員2名のみであ ったが,当該口論が生じたことから,約8名の職員が口論の周辺でその様子を注視していた。 同日,P35区長は,P6分会のP36分会長に対し,P4に職場で接触しないよう求めた。 また,P10支社の勤労部長は,地本の副委員長に対し,同様の事態を生じさせないように申し入れたところ,同副委員長は,手待ち時間に1,2名で話をすることはあるとしても,勤務中に大勢で取り囲むようなことはないよう指導する旨述べた。(乙14,117 対し,同様の事態を生じさせないように申し入れたところ,同副委員長は,手待ち時間に1,2名で話をすることはあるとしても,勤務中に大勢で取り囲むようなことはないよう指導する旨述べた。(乙14,117の5)(イ) P4は,P33グループのメンバーが参加する,平成15年6月8日に開催されたバーベキュー大会に参加したとして,補助参加人の掲示物で非難されることがあった。 (ウ) P35区長は,P4から,平成15年6月30日に東京駅到着後,ホーム上でP28車掌区の従業員からすれ違いざまに「東京に恩はないのか。答えろ。」と大きな声で言われたことを告げられた。そこでP35区長は,「担当区には,お客さまの手前,好ましくない旨伝えておく。」とP4に述べたことがあった。 (エ) 平成15年7月7日,P4は,前記(ウ)の従業員に関することで,分会から「なぜ会社に言うのか。」と言われたとP35区長に話した。 (オ) 平成15年10月頃,P4に対し,地本から事情聴取の要求があったが,P4がこれを拒否したところ,P4を非難する「○」がP6分会の掲示板に掲示された。同掲示物には,P4が補助参加人からの事実調査に応じないと文書で回答した旨のほか,「反組織的行為について全く思い当たる所がないと・・・今後,話をすることは一切ないと P37を破壊するP33一味とは断固たたかおう!」等と記載されており,P4の氏名や「反組織的行為」等の文字が大きく記載さ れていた。 P4は,同月6日,P35区長に対し,上記掲示物に自分のことが記載されている旨を述べるとともに,地本に話すことは何もないと伝えたにもかかわらず,再度召還の文書が来た,これ以上何かあれば,俺自身おかしくなってしまうなどと述べた。 これを受 ことが記載されている旨を述べるとともに,地本に話すことは何もないと伝えたにもかかわらず,再度召還の文書が来た,これ以上何かあれば,俺自身おかしくなってしまうなどと述べた。 これを受けて,P35区長は,P36分会長に対して,上記掲示物を撤去するよう指示し,その後,上記掲示物は分会により撤去された。(乙53の1)(カ) 平成18年5月,「○」と題する文書が補助参加人の掲示板に掲示された。同掲示物には,同ボウリング大会にP4が参加していたことが,「そしてP6電分会のP4氏も参加!」と記載されており,「P4氏」の部分は特に大きな文字で記載されていた。 P6電車区の管理者は,P36分会長に対し,個人を中傷しているため撤去するよう指示し,その後,同掲示物は分会により撤去された。 イ P5に対する非難等(ア) P5は,平成14年7月に地本P38の副委員長に就任したが,任期途中で辞任したため,同辞任等について,組合員らから呼び出されたり,職場集会で非難を受けたことがあった。 P5は,平成15年2月10日,P7電車区区長に対し,医師から自律神経失調症であるとの診断書が出され休みを取りたい旨を電話で伝えた。また,P5は,同月21日の再診時医師の診断書を会社に提出したが,同診断書には,診断名は「うつ状態」とされ,「心因性のストレスが外部要因として侵害刺激を与えていることが明らかであり,すみやかにそのようなストレスから脱することが必要である。」と記載されていた。 そのため,原告は,産業医やP5の主治医を同席させてP5本人から聞き取りを行うなどの対応を複数回にわたり行った。その際,P5の主治医は,「このような状態にする組合は許せない。今後,続くようであれば,私 ため,原告は,産業医やP5の主治医を同席させてP5本人から聞き取りを行うなどの対応を複数回にわたり行った。その際,P5の主治医は,「このような状態にする組合は許せない。今後,続くようであれば,私は訴える」,「今は,一時的対処療法です。病気をつくり出す環境にあるが,それを排除する診断書をだすこともできます。会社がそれに対しどう対処するかだと思います。病気の理由は組合という外圧であることが明確になってきました。」,「真っ先に原因を取り除かなければならないし,病気を生む労働環境をつくってはいけません。会社は是正をする義務があります。」などと述べた。 P5はP7電車区の車両技術主任をしており,構内で電車を運転する限定免許を持ち同電車区のP39派出で車両の入替えを担当していたため,原告は,上記状態の下では電車を運転させられないとして,同人は同電車区の本区に異動になった。(乙51)(イ) 平成15年5月7日,P7電車区のP40副区長は,P5から,他の組合員に絡まれた旨の話を聞いた。 同月8日,P41区長は,P7分会所属の組合員であるP42,P43及びP44に対して,P5の診断書の内容や同人の主治医が暴力的な組合だと怒っていることを伝えるとともに,同人の病状を悪化させないため,同人に直接接触することはせず,同人に話をするときは自分を通すように依頼した。分会はその依頼を了解し,その後,補助参加人が集団でP5に接触することはなかった。 同年6月16日及び同年7月4日,P41区長らはP5と面談したが,同人は個別に補助参加人の組合員が話しかけてくることがあり,不安になった旨述べたほか,同月25日,同年8月15日,同年10月15日のP41区長らとの面談の際にも,P5は,補助参加人の情報を見たり,職場集会 別に補助参加人の組合員が話しかけてくることがあり,不安になった旨述べたほか,同月25日,同年8月15日,同年10月15日のP41区長らとの面談の際にも,P5は,補助参加人の情報を見たり,職場集会で自分のことが問題になったことを聞いたりす ると,不安を感じる旨を述べた。(乙49)(ウ) 原告は,P5の主治医から平成15年9月1日付け診断書で「職場環境の変更(配置転換など)を実施するように要請する。」と指導を受けたことから,P5に原告とは関連性がない会社への出向を勧め,P5もそれを望んだため,平成15年11月,同人を株式会社P8(警備会社)に平成18年11月までの3年間の予定で出向させた。出向前,P5は,補助参加人の青年部から出向するなら一言謝って行くべきではないかと言われたことをP41区長に報告し,併せて,このようなことを言われるとまた心臓がドキドキする旨述べた。 原告は,上記出向期間満了に当たり,P5が元の職場に戻ることに不安を訴えたため,出向期間を平成20年8月31日まで延長することとし,さらに,同人の申し出を考慮し,平成23年8月31日まで出向期間を延長した。 そのため,P5は,本件撤去等当時,P7電車区に来ることはほとんどなく,職場においてP7分会の組合員らと接触する機会はなかった(ただし,P5は出向期間中も原告の社宅に住んでいた。)。 ウ本件撤去等に至る半年間の状況本件撤去等がなされる前の半年間に,P4らに関して職場に混乱が生じたことはなかった。 3 争点及びこれに対する当事者の主張の要旨(1) 掲示物①-2及び②に係る本件撤去等が労組法7条3号の不当労働行為に当たるか(争点1)(被告・補助参加人の主張)掲示物①-2及び②に これに対する当事者の主張の要旨(1) 掲示物①-2及び②に係る本件撤去等が労組法7条3号の不当労働行為に当たるか(争点1)(被告・補助参加人の主張)掲示物①-2及び②に係る本件撤去等(以下「本件①-2及び②撤去」という。)は,次のとおり,労組法7条3号の不当労働行為に当たるから,本件命令は正当である。 ア本件のように労使間で組合掲示板の貸与協約が締結されている場合,使用者がそこに貼られた掲示物を撤去する行為は,同協約に基づく労働組合の組合掲示板利用の権利を侵害し,同協約による正常な集団的労使関係秩序を害するものとして,それ自体で労働組合の弱体化を招くおそれがある不当な行為といえ,支配介入に該当する。 しかし,本件協約(65条1項)のように,掲示物の記載内容が「会社の信用を傷つけ,政治活動を目的とし,個人を誹謗し,事実に反し,又は職場規律を乱すもの」である場合に使用者が掲示物を撤去できる旨の規定が置かれているときには,当該掲示物がこれに該当すれば,使用者の掲示物撤去行為は,支配介入にならないと解することができる。 この場合,掲示物の記載内容が撤去要件に該当するかどうかの判断は,労組法7条3号が労働組合と使用者との間に実質的な対等性を保障するため,使用者による組合弱体化のおそれのある不当な行為等を禁止したものであることに鑑みれば,全体として何を訴えようとしているのかという点を踏まえて,当該記載内容による被侵害利益の性質,侵害の程度,記載内容の裏付け証拠の有無,掲示物掲出をめぐる労使関係等の具体的事情を実質的・総合的に考察した上で,当該掲示物が労働組合に組合掲示板を貸与するという本件協約の趣旨に反するものといえるか否か(本件にあっては,本件掲示物が,実質的に個人を誹謗 る労使関係等の具体的事情を実質的・総合的に考察した上で,当該掲示物が労働組合に組合掲示板を貸与するという本件協約の趣旨に反するものといえるか否か(本件にあっては,本件掲示物が,実質的に個人を誹謗しているか,職場規律を侵害する具体的なおそれがあるか等)の観点から判断すべきである。 また,上記のとおり,支配介入の成否は,使用者の行為が組合弱体化を招来するおそれがあるかどうかにかかっているのであるから,そうした行為といえるかどうかについては,掲示物の撤去要件該当性のみならず,その性格,その掲示当時の労使事情等諸般の事情も踏まえて総合的に判断すべきである。 イ掲示物①-2は,掲示物①の赤塗りをやめ,個人名部分をイニシャルに修正しこれが誰を指すか直ちに分からなくするなど,個人攻撃を避けるための一定の配慮を行っており,これによりP4らへの非難は,読者に与える影響が減少しその印象は異なるものになったとみられるし,その内容は団結ないし団結統制に関する内容が情宣されたもので,使用者としては慎重な対応が求められるべき内容の掲示物である上,組合員の獲得競争がなされ,補助参加人にとって団結の維持強化が重要な課題となっていた中で,執行部を批判する内容の文書への署名の撤回をすべきとの補助参加人の再三の呼び掛けにも応じていないなどの背景事情を踏まえて,掲示物①-2を全体としてみれば,補助参加人内部における統制手続の情報を組合員に対して伝達するもので,補助参加人の自主的な運営の範囲に属するものであると評価でき,掲示物①-2の記載が個人的領域の行為を故なく非難するものとまではいえないから,原告が掲示物①-2について撤去要件である「個人を誹謗するもの」に該当すると考えたことは相当とはいえない。加えて,掲示物①-2が掲示されていた 的領域の行為を故なく非難するものとまではいえないから,原告が掲示物①-2について撤去要件である「個人を誹謗するもの」に該当すると考えたことは相当とはいえない。加えて,掲示物①-2が掲示されていたP7電車区のP7分会の組合掲示板は会社関係者以外の一般人が立ち入りできない場所に設置されており,掲示物①-2を目にするのは,基本的には補助参加人の組合員等の会社関係者に限られ,会社関係者以外の一般人の目に広く触れるものではないから,P4らの名誉・プライバシーの侵害の程度・範囲は大きなものとまではいえないし,読者は,掲示物①-2の趣旨を制裁手続の実施の決定等を伝え,同事態に立ち至ったP4らを非難したものと認識したと考えられ,これらの事情も,掲示物①-2が撤去要件に該当すると考えた原告の対応の不当性を根拠付けるものである。 また,上記諸事情に加え,掲示物①-2が「組織破壊者」に対して非難・攻撃を呼び掛けたり,これらの者を名指しで攻撃・糾弾しようとし たものではないことを併せ考えると,原告が掲示物①-2について撤去要件である「職場規律を乱すもの」に該当すると考えたことは相当とはいえない。 以上に加え,掲示物①-2は,組合員らのP4らに対する非難・攻撃を誘発し,同人らの心身の安全に直接関わる事態を生じかねない内容のものとまではいえないこと,仮に原告がこれを「職場規律を乱すもの」に該当すると考えたとしても,撤去等にあたり補助参加人に対し相応の説明と協議を行い,当該協議を通じて,表現の修正,一部削除等撤去以外の方法をも含めて補助参加人に弾力的な対応を求めていくことが必要であったこと,掲示物①-2は,補助参加人の団結ないし団結統制に関する内容について情宣されたもので,とりわけ使用者の介入が許されない領域のものであり,原 助参加人に弾力的な対応を求めていくことが必要であったこと,掲示物①-2は,補助参加人の団結ないし団結統制に関する内容について情宣されたもので,とりわけ使用者の介入が許されない領域のものであり,原告は当該内容の掲示物に対しては慎重な対応が求められるべきものであったこと,補助参加人は原告の指摘を受け掲示物①に一定の変更を施しており,掲示物①のようにP4ら個人に対する非難・攻撃を誘発するおそれがあり撤去の緊急性があるとは認められないのに,原告は撤去の通告をするのみで,P7分会と協議を行っていないことからすれば,掲示物①-2の撤去を通告したことは,合理的理由がなく補助参加人の運営に介入したものとして,労組法7条3号の不当労働行為に該当する。 ウ掲示物②は,本文中に「川を渡ってしまった確信犯」などの表現をもってP4らの行為を非難する部分はあるものの,全体としてみれば,補助参加人の中央委員会が同人らを含む104名の組合員の制裁申請を決定したことを報じることを目的としたものであると認められるし,「川を渡ってしまった確信犯」との記載は,個人的領域の行為を故なく非難するものではなく,その表現に穏当を欠くところはあるものの,補助参加人の団結について表現されたものであり,本文の中で記載され,特段 強調する形をとったものではないから,労働組合の情宣としての相当性を逸脱したものとまではいえない。したがって,当該記載及びP4らの個人名が赤字で記載されていることをもって,撤去要件である「個人を誹謗するもの」とまではいえない。加えて,掲示物②が掲示されていたP14運転区の職場は会社関係者以外の者は立ち入ることが困難であると推測され,掲示物②を目にするのは,基本的には補助参加人の組合員等の会社関係者に限られ,会社関係者以外の一般人の目に広く触れるも たP14運転区の職場は会社関係者以外の者は立ち入ることが困難であると推測され,掲示物②を目にするのは,基本的には補助参加人の組合員等の会社関係者に限られ,会社関係者以外の一般人の目に広く触れるものではないから,P4らの名誉・プライバシーの侵害の程度・範囲は大きなものとまではいえないし,読者は,掲示物②の趣旨を制裁手続の実施の決定等を伝え,同事態に立ち至ったP4らを非難したものと認識したと考えられ,これらの事情も,掲示物②が撤去要件に該当するとまではいえないことを根拠付けるものである。 また,上記諸事情に加え,地本らが平成15年10月頃に掲示された掲示物において,P4が地本の事情聴取に応じないことを「反組織的行為」として非難することはあったものの,それ以降本件掲示物が掲示された平成19年2月までP4らに対する非難行為等は行われていなかったこと,掲示物②には具体的な行動を示すなどして同人らに対する非難・攻撃を呼び掛けたり,同人らを攻撃・糾弾しようとしたものではないことを併せ考えると,掲示物②は撤去要件である「職場規律を乱すもの」とはいえない。 以上に加え,掲示物②の掲示当時も,原告は,P45電車区事件のような事態が生じないよう職場規律には十分配慮していたものと推測されるが,撤去等に当たっては補助参加人に対し相応の説明と協議を行い,表現の修正,一部削除等撤去以外の方法をも含めて補助参加人に弾力的な対応を求めていくことが望ましかったことからすれば,掲示物②の撤去は,撤去要件に当たらない掲示物を撤去したことにより補助参加人の 運営に介入したものとして,労組法7条3号の不当労働行為に該当する。 エなお,掲示物①-2については,原告が同掲示物が組合活動として掲示されたものであることを認識した上で撤去 運営に介入したものとして,労組法7条3号の不当労働行為に該当する。 エなお,掲示物①-2については,原告が同掲示物が組合活動として掲示されたものであることを認識した上で撤去通告を行ったことは明らかであることに加え,同掲示物は補助参加人の団結自治ないし組合員の統制に関する内容が記載されたものであり,とりわけ使用者の介入が許されない領域のものであるのに,同撤去通告は補助参加人への労使関係上の配慮を欠いた方法で一方的に行われていることからすると,支配介入の意思を欠いていたとはいえない。また,掲示物②については,撤去要件に当たらないことは明らかである上,掲示物①-2について述べたことが同様に当てはまることからすると,その撤去に支配介入の意思を欠いていたとはいえない。 (原告の主張)本件①-2及び②撤去は,次のとおり,労組法7条3号の不当労働行為に当たらないから,これを不当労働行為と認定した本件命令には,事実の評価及び法令の解釈を誤った違法がある。 ア掲示物①-2及び②は,掲示物①と同日あるいは極めて近接した時期に掲示された一連の掲示物であり,掲示物①と同様にP4とP5を誹謗し,職場規律を乱すおそれがあり,本件協約の撤去要件に該当するし,本件①-2及び②撤去にあたり,原告には支配介入の意思はなかったから,不当労働行為に当たらない。 イ掲示物①-2は,原告から掲示物①が撤去要件に該当するとの注意を受けた補助参加人が,掲示物①の赤塗りをやめ,個人名部分をイニシャルに変えたものの,それ以外の記載内容や形状はまったく変えることのないまま,掲示物①を掲示したのと同一の掲示板に,掲示物①を撤去した代わりに掲示されたものであるところ,分会の多くの組合員らがP4 とP5が反組合的活動を 内容や形状はまったく変えることのないまま,掲示物①を掲示したのと同一の掲示板に,掲示物①を撤去した代わりに掲示されたものであるところ,分会の多くの組合員らがP4 とP5が反組合的活動をとったとして非難・攻撃した過去があったことからすれば,分会組合員においては,A君,I君の表示は,その所属電車区の記載と相まって,P4とP5のことであると容易に分かるものであり,また,赤塗りをやめたとはいえ,掲示物①と同様に「A君,I君」,「組織破壊者」と大書し,後者の部分に下線を引いて一目で分かるように目立たせているのであるから,掲示物①-2は,掲示物①と同様に,P4とP5を非難・攻撃する意図のもとに作成された掲示物とみるべきものであり,撤去要件である個人を誹謗し,職場規律を乱すものに該当する。 ウ掲示物②は,掲示物①と同様に,P4,P5の氏名を赤字かつ大きな文字で書いて一目で分からせるよう目立たせるとともに,他の掲示物には見られない「川を渡ってしまった確信犯」という表現をしており,また,P14分会の掲示板に掲示物①と並んで掲示されていたのであるから,掲示物②も,掲示物①と同様に,中央委員会の決定を客観的に報じるものではなく,ことさらにP4,P5に焦点を合わせて両名を非難・攻撃するという目的を持って作成されたものとみるべきものであり,撤去要件である個人を誹謗し,職場規律を乱すものに該当する。 エ原告は,掲示物①-2及び②が撤去要件に該当することに加え,会社の職場規律の維持及び社員(P4とP5)の安全に配慮するためにこれらの撤去が必要であるという認識のもとに,その撤去を行ったのであるから,そこに支配介入の意図が入り込むことはあり得ない。本件①-2及び②撤去が客観的に組合弱体化ないし反組合的な結果を生じ又は生じるおそれがあ 必要であるという認識のもとに,その撤去を行ったのであるから,そこに支配介入の意図が入り込むことはあり得ない。本件①-2及び②撤去が客観的に組合弱体化ないし反組合的な結果を生じ又は生じるおそれがあるとの認識が原告にあったとしても,それが目的ではなく,正当な業務上の必要からその撤去を行ったのであるから,支配介入の意思を欠くものとして支配介入に当たらない。 オ被告は,本件掲示物が撤去要件に該当しても,原告の撤去行為が支配 介入に当たる場合がある旨主張するが,原告は本来的には本件掲示板を補助参加人に対して貸与すべき義務を負うものではないところ,補助参加人の要求に応じて本件掲示板の貸与を定める本件協約には,原告は撤去要件に該当する掲示物を撤去することができる旨の規定があり,補助参加人はこの規定に同意して本件掲示板の貸与を受けているのであるから,本件掲示物が撤去要件に該当すれば,原告の撤去行為が支配介入となる余地はないというべきである。 カ本件協約には,撤去手続に関する規定はないのであるから,撤去要件に該当する掲示物については何の手続も要することなく撤去することができると解され,補助参加人に対する説明や協議を経なくても,それによって支配介入が成立することはない。 (2)に当たるか(争点2)(被告・補助参加人の主張) う。)は,次のとおり,労組法7条3号の不当労働行為に当たるから,本件命令は正当である。 ア掲示物③ないし⑥は,撤去要件に当たらず,後記イないしエのとおり,原告は,その撤去及び撤去通告の帰責を免れないから,本件③ない加人の運営に介入したものとして,労組法7条3号の不当労働行為に該当する。 イ不当労働行為の現実の行為者の行為を支配介入行為として使用者に帰責で び撤去通告の帰責を免れないから,本件③ない加人の運営に介入したものとして,労組法7条3号の不当労働行為に該当する。 イ不当労働行為の現実の行為者の行為を支配介入行為として使用者に帰責できるかどうかは,その行為を使用者の行為とみなしてその責任を使用者に問うことができるかどうかの問題である。使用者から従業員に対し具体的な指示が出され,当該指示を踏まえて支配介入行為がなされた 場合は,会社の指示が客観的に誰の目から見ても当該支配介入行為を行うよう指示するものでないことが明らかであるなどの事情があれば会社への帰責が否定されるとみられる余地がなくはないが,そのような特段の事情がない限り,たとえ会社の真の意図と反していても,会社の当該指示と当該支配介入行為には相当の因果関係を認めることができ,これを使用者である会社のために業務遂行の一環としてなしたものとみるべきもので,当該支配介入行為は会社に帰責されるとするのが相当である。 管理者は,原告からの個人の誹謗中傷に当たる掲示物は撤去等を行うようにとの指示を踏まえて,使用者である原告のために業務遂行の一環として,これら掲示物を撤去等したとみられるのであるから,仮に同管理者が原告の指示を誤解したとしても,これをもって原告を免責させることにはならない。そして,原告は,これら掲示物の撤去等により補助参加人の情宣活動に支障を来すことは当然認識できたのであるから,当該撤去等が支配介入に当対象外であることが客観的に誰の目から見ても明らかな指示が行われたと認めるべき事情はない。 ウ使用者から従業員に対し具体的な指示が出され,当該指示を踏まえて支配介入行為がなされた場合は,たとえ会社の真の意図と反していたため結果として現実には支配介入行為が行われることを認識していなか ウ使用者から従業員に対し具体的な指示が出され,当該指示を踏まえて支配介入行為がなされた場合は,たとえ会社の真の意図と反していたため結果として現実には支配介入行為が行われることを認識していなかったとしても,支配介入の行為がなされるもととなった行為(本件の場合は,会社による現場管理者に対する指示)につき認識がある以上,当該支配介入行為及び同行為による組合活動への支障の招来について認識できたものであるから,使用者には支配介入の意思がなかったとして当該支配介入行為の帰責を否定することはできない。 と,同撤去等により補助参加人の情宣活動に支障を来すことは当然認識できたというべきであって,当該撤去等が支配介入に当たらないとはいえない。 エに,組合弱体化を招来するおそれがある現場長の行為を追認したから,現場長による支配介入行為の帰責を免れない。 (原告の主張) 当たらないから,これを不当労働行為と認定した本件命令には,事実の評価及び法令の解釈を誤った違法がある。 ア支配介入行為を使用者に帰責できるか否かについては,使用者が行為者に対して指示や示唆をした場合や,行為者が使用者の意向を受け,ないしはその意を体して当該行為を行った場合などが考えられるが,いずれの場合でも,少なくとも行為者の当該支配介入行為が使用者の意に反してなされたものではないことが必要であり,行為者が,使用者が意図もせず,また容認もしていない支配介入行為を行った場合に,それを使用者に帰責できないことは当然である。 ておらず,これらの撤去を求める意思はなかったのであるが,現場管理者が原告の指示を誤解し,原告の意に反して撤去を通告しあるいは自らるとしても,それを原告に帰責することはできないし,原告には支配 ておらず,これらの撤去を求める意思はなかったのであるが,現場管理者が原告の指示を誤解し,原告の意に反して撤去を通告しあるいは自らるとしても,それを原告に帰責することはできないし,原告には支配介入の意思はなかった。 イ 誤りを認めており,原告が現場長の行為を追認したという事実はない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件①-2及び②撤去が労組法7条3号の不当労働行為に当たるか)について(1) 掲示物撤去行為と労組法7条3号に定める不当労働行為該当性の判断枠組みについてア前記前提事実によれば,原告は,本件協約により,組合活動に必要な宣伝,報道,告知を行うために掲示板を使用することを許可し,補助参加人は,本件協約の定める限度において,掲示板を使用することができるところ,本件協約は,「掲示類は,会社の信用を傷つけ,政治活動を目的とし,個人を誹謗し,事実に反し,又は職場規律を乱すものであってはならない。」とした上(同協約65条1項),原告は,補助参加人がこれに反した場合,当該掲示類を撤去することができるとしている(同協約66条。以下,同協約65条1項所定の要件を「本件撤去要件」という。)。 本件協約の対象及びその内容に照らせば,本件協約が組合掲示板における掲示物について本件撤去要件を定めた趣旨は,原告は補助参加人の組合活動のために掲示板の使用を許可するが,掲示物が本件撤去要件に該当する場合には,当該掲示物を掲示することが正当な組合活動のために掲示板を使用する場合に当たらないことから,掲示板の使用を許さず,掲示物を撤去することができることを明示したものと解される。 したがって,掲示物の撤去が不当労働行為に該当するかどうかの判断に当たっては,まず,当該掲示物が本件撤去要件 板の使用を許さず,掲示物を撤去することができることを明示したものと解される。 したがって,掲示物の撤去が不当労働行為に該当するかどうかの判断に当たっては,まず,当該掲示物が本件撤去要件に該当するかどうかを検討すべきであり,当該掲示物が本件撤去要件に該当する場合には,補助参加人の当該掲示物を掲示する行為は正当な組合活動とはいえないから,原告がこれを撤去することは,労組法7条3号所定の不当労働行為 に該当するとはいえない。 他方で,当該掲示物が本件撤去要件に該当しない場合に,これを原告が撤去する行為が労組法7条3号所定の不当労働行為に当たるかどうかについては,同号の不当労働行為に当たるというためには,少なくとも原告において,労働組合又はその組合員が正当な組合活動として掲示を行っている事実を認識しながらこれを撤去するということ,つまり,不当労働行為意思が認められることが必要であると解される。 イ掲示物が本件撤去要件に該当するかどうかを判断するに当たっては,本件撤去要件に該当するかどうかを一般常識や社会通念に従って本件撤去要件の文言の一般的意味に即して判断すべきである。もっとも,本件掲示板の利用が,補助参加人の組合活動のために行われることを前提とした上で本件協約が締結されていることに鑑みれば,本件撤去要件の文言を形式的,表面的に当てはめることは相当とはいい難い。そして,組合活動に必要な宣伝を含む掲示物には,使用者側に比べてその取得する情報量が相対的に劣る組合が使用者の施策や対応等について言及することもあって,組合側の不正確な知識や誤解等により,記載されている事柄が必ずしも客観的事実に正確に符合しない場合や,自己の主張を強調し,使用者の施策や組合員に対する対応を批判するために,事実の一部について, て,組合側の不正確な知識や誤解等により,記載されている事柄が必ずしも客観的事実に正確に符合しない場合や,自己の主張を強調し,使用者の施策や組合員に対する対応を批判するために,事実の一部について,誇張,誇大とみられる表現や批判的な表現が用いられ,結果として,全体としての事実評価が誤って理解されることもあり得ないではない。しかしながら,組合活動としての掲示物の掲出である以上,そうした事態は一定程度想定されているものといわざるを得ず,そのような状況下にあるからといって,使用者と対峙することもある組合が組合員に対する宣伝活動を差し控えるわけにもいかない実情にあることは理解し得るところであり,使用者と組合の両者の組織や力関係からすると,一定の限度ではこのような事態が生じることもやむを得ないものと 考えることもできる。 そうすると,本件撤去要件該当性の判断に当たっては,当該掲示物が全体として何を伝えようとし,何を訴えようとしているかを中心として,本件撤去要件該当性を実質的に充足するかどうかを考慮すべきであり,掲示物の記載を表層的に捉え,細部若しくは個々の記述又は表現のみを取り上げ,あるいは本件撤去要件に該当する箇所の分量だけから,当該掲示物の本件撤去要件該当性を判断すべきものではないというべきである。 ウ本件撤去要件が定められた前記アの趣旨からすれば,原告を傷つけ,政治活動を目的とし,個人を誹謗し,事実に反し,又は職場規律を乱すといった各要件については,一般常識や社会通念に従い文言の一般的意味に即して実質的に判断した場合に,本件撤去要件に該当すると判断されるときは,当該掲示物を掲示することが正当な組合活動のために掲示板を使用する場合に当たらないものとして,本件撤去要件に該当するものと解すべきであり,したがって 合に,本件撤去要件に該当すると判断されるときは,当該掲示物を掲示することが正当な組合活動のために掲示板を使用する場合に当たらないものとして,本件撤去要件に該当するものと解すべきであり,したがって,原告がこれを撤去することは,原則として労組法7条3号所定の不当労働行為には当たらないものと解すべきである。 他方,掲示物の記載内容の一部が形式的に本件撤去要件に該当する場合であっても,当該掲示物の掲示が補助参加人の正当な組合活動として許容される範囲を逸脱して,原告の運営を妨害し,あるいは個人の名誉を著しく毀損するなどしたかどうかについて,その内容,程度,記載内容の真実性,真実でなかった場合に真実と信じるについて正当な理由があったかどうか等の事情が総合的に検討されるべきであり,その検討の結果,当該掲示物が全体として正当な組合活動として許される範囲を逸脱していないと認めるに足りる場合には,実質的に本件撤去要件に該当しないものというべきであって,原告は,補助参加人による当該掲示物 の掲示が正当な組合活動の一環としてされたものであることを認識しながらこれを妨害したものと評価すべきであるから,支配介入の不当労働行為に該当することになると解するのが相当である。 (2) 掲示物①-2及び②の本件撤去要件該当性についてア前記前提事実及び証拠(乙38,丙1)によれば,掲示物①-2は,(ア)その標題の直下に,「第30回臨時中央委員会方針拒否の/A君(P6電車区)/I君(P7電車区)両君は/「組織破壊者」と断定」(「/」は改行箇所を示す。以下同じ)との見出しが4行にわたって大書され,その1行目及び4行目には下線が引かれており,(イ)この見出しの直下には,本文として,第30回臨時中央委員会決定の内容が記載され,(ウ)その直 を示す。以下同じ)との見出しが4行にわたって大書され,その1行目及び4行目には下線が引かれており,(イ)この見出しの直下には,本文として,第30回臨時中央委員会決定の内容が記載され,(ウ)その直下には,「A・I両君を含む104名は/6回にわたる機関開催決定方針の/徹底と署名撤回の呼びかけを拒否!」との見出しが3行にわたり下線を付して大書され,(エ)この見出しの直下には,本文として,第13回中央執行委員会決定の内容と,掲示物③記載のP31指令第28号と同旨の記載がされていることが認められる。 かかる掲示物①-2は,その冒頭に,「組織破壊者」と断定した旨を下線を付して大書してはいるものの,その直下に記載された第30回臨時中央委員会決定の内容及び「署名撤回の呼びかけを拒否」との見出しを併せ読めば,「A・I両君を含む104名」が,「『P30』の要請書に署名した組合員は,2007年1月10日までに本部に撤回の意志を表明すること。それまでに署名を撤回しなかった組合員については組織破壊者と断定せざるを得ない。」との第30回臨時中央委員会決定に反して署名を撤回しなかった旨の事実経過と,かかる事実を上記第30回臨時中央委員会決定に当てはめれば組織破壊者と断定される旨を記載したものと解することができ,掲示物①-2には,上記104名のうち,地本に所属するP4らの氏名のイニシャルがその所属を付して大書 されてはいるものの,実名が記載されているものではない上,具体的な行動を示すなどしてP4らに対する非難・攻撃を呼び掛けたりするような記載はないところ,これらを踏まえて,掲示物①-2を全体としてみれば,掲示物①-2は,第13回中央執行委員会決定に至る経緯とその決定内容及びこれを踏まえたP31指令第28号の内容を組合員に対して伝達したもの ところ,これらを踏まえて,掲示物①-2を全体としてみれば,掲示物①-2は,第13回中央執行委員会決定に至る経緯とその決定内容及びこれを踏まえたP31指令第28号の内容を組合員に対して伝達したものとみることが相当である。 このような掲示物①-2の記載内容に加え,掲示物①-2が掲示されたP7分会の組合掲示板は,会社関係者以外の一般人が原則として立ち入らない場所に設置されていたこと(乙116の2),P7電車区はP5の所属部署であったものの,原告に対して地本との確執によるうつ状態などを訴えていたP5は,当時,原告とは関連性がない警備会社へ出向中であり,P7電車区において補助参加人の組合員らと接触する機会はほとんどなかったこと,掲示物①-2の発端となったP4らが「P30」の署名簿に署名したことが明らかとなったのは平成18年6月であるところ,掲示物①-2の掲示前の半年間にP4らに関し職場に混乱が生じたことはなかったことを併せ考慮すれば,掲示物①-2は,本件撤去要件である「個人を誹謗」するものにも,「職場規律を乱すもの」にも当たらないというべきである。 イ前記前提事実及び証拠(乙39,丙2)によれば,掲示物②は,(ア)その標題の直下に,「第30回臨中決定に基づく/「P30」署名未撤回者104名に/制裁申請と組合員権一部停止の/緊急措置が下る!」との見出しが4行にわたり赤字で大書され,(イ)この見出しの直下には,本文として,第13回中央執行委員会決定の内容が記載され,(ウ)その直下には,「P3地本内では対象者は2名!/P4君(P6電)P5君(P7電)」との見出しが2行にわたり赤字で大書され,(エ)この見出しの直下には,本文として,P4らが事情聴取の要請に対し「何 のための事情聴取かわからない」,「署名をして撤回を P5君(P7電)」との見出しが2行にわたり赤字で大書され,(エ)この見出しの直下には,本文として,P4らが事情聴取の要請に対し「何 のための事情聴取かわからない」,「署名をして撤回をしないというだけで制裁審査委員会を設置するP31の対応は認められない」,「P30の何が組織破壊なのか?…」等の記載がされた文書を地本に送付したことが記載された上,「これで2名が「川を渡ってしまった確信犯」であることを自ら認めたことになった。」と記載されていることが認められる。 かかる掲示物②は,P4らの実名を赤字で大書した上,その本文中にP4らが「川を渡ってしまった確信犯」である旨が記載されてはいるものの,赤字で大書された見出しは,いずれも第13回中央執行委員会決定の内容及びこれを踏まえたP31指令第28号の内容を記載したものであり,本文も含めたその紙幅の過半は上記決定及び指令の内容を記載しており,P4らの実名は上記決定及び指令の対象者のうち地本に所属する者を示す趣旨で記載されたものであるし,「川を渡ってしまった確信犯」との記載も,補助参加人からの事情聴取の要請に対しP4らが送付した文書の内容を紹介した上で,事情聴取の要請を断られた補助参加人の立場で上記文書の評価として記載されたものであるから,これらを踏まえて,掲示物②を全体としてみれば,掲示物②は,第13回中央執行委員会決定の内容及びこれを踏まえたP31指令第28号の内容を組合員に対して伝達したものとみることが相当である。 このような掲示物②の記載内容に加え,掲示物②が掲示されたP14分会の組合掲示板は,運転区という職場の性質上,P7分会,地本P6電車区分会,地本P27電車区分会の組合掲示板等と同様に,会社関係者以外の一般人が原則として立ち入らない場所に設置され 示されたP14分会の組合掲示板は,運転区という職場の性質上,P7分会,地本P6電車区分会,地本P27電車区分会の組合掲示板等と同様に,会社関係者以外の一般人が原則として立ち入らない場所に設置されていたものと推認できること(乙15,116の1,116の2,116の3,弁論の全趣旨),掲示物②の発端となったP4らが「P30」の署名簿に署名したことが明らかとなったのは平成18年6月であるところ,掲示物 ②の掲示前の半年間にP4らに関して職場に混乱が生じたことはなかったことを併せ考慮すれば,掲示物②は,本件撤去要件である「個人を誹謗」するものにも,「職場規律を乱すもの」にも当たらないというべきである。 (3) 本件①-2及び②撤去の不当労働行為該当性についてア掲示物①-2及び②は,いずれも補助参加人の内部統制に関する決定や指令の内容を組合員に対し伝達するものであって,本件撤去要件に当たらないことは,既に説示したとおりであるから,これらを撤去した原告の本件①-2及び②撤去は,補助参加人による掲示物①-2及び②の掲示が正当な組合活動の一環としてされたものであることを認識しながらこれを妨害したものと評価すべきであり,労組法7条3号の不当労働行為に該当するというべきである。 イ原告は,掲示物①-2及び②が本件撤去要件に該当することに加え,会社の職場規律の維持及びP4らの安全に配慮するためにこれらの撤去が必要であるという認識のもとに,本件①-2及び②撤去を行ったのであるから,支配介入の意図が入り込む余地はなく,支配介入の意思を欠く旨主張するが,原告には,補助参加人に貸与した掲示板に補助参加人がその活動の一環として掲出した特定の内容が記載された掲示物を撤去する旨の認識があったものと認められるから,労組法7条3号の 意思を欠く旨主張するが,原告には,補助参加人に貸与した掲示板に補助参加人がその活動の一環として掲出した特定の内容が記載された掲示物を撤去する旨の認識があったものと認められるから,労組法7条3号の成立要件に欠けるところはないと認められる。掲示物①-2及び②が本件撤去要件に該当しないことは既に説示したとおりであり,掲示物①-2及び②の記載内容に加え,これらの掲示前半年間にP4らに関し職場に混乱が生じたことはなく,P5は出向中であったことなどを考慮すれば,P4らに対する安全配慮義務の履行として掲示物①-2及び②を撤去するまでの必要があったものとみること自体困難というべきであるし,原告の上記掲示物撤去に関する認識はP4らの安全に配慮するとの認識と両 立し得ないものでもないというべきである。 ウ以上によれば,本件①-2及び②撤去が労組法7条3号の不当労働行為に当たると判断した本件命令に,原告指摘の事実の評価及び法令の解釈を誤った違法は認められない。 か)について(1) 認定事実前記前提事実に加え,証拠(該当箇所掲記の各書証。ただし,後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認定することができる。 ア原告のP46副課長は,平成19年2月7日,P7電車区のP17指導助役に対し,組合掲示板にP4,P5の氏名が記載されている掲示物があるか否かの確認を依頼した。 P7電車区は,原告のP47副課長に対し,掲示物④に104名の氏名が記載されている旨を報告したところ,P47副課長は,「勤労課より撤去の手続きを含めてメールを送付するので,その内容で進めて下さい。」と指示した。 しかし,P7電車区は,しばらく待ってもメールが送付されてこなかったため,P4 7副課長は,「勤労課より撤去の手続きを含めてメールを送付するので,その内容で進めて下さい。」と指示した。 しかし,P7電車区は,しばらく待ってもメールが送付されてこなかったため,P46副課長に連絡したところ,P10支社総務部勤労課のP48から折り返し連絡があった。P7電車区は,P48に対し,掲示物⑤にも氏名が記載されている旨を報告したところ,P48は,P7電車区に対し,「氏名のある掲示は誹謗・中傷に当たり便宜供与に相応しくないので,分会役員に通告し外させて下さい。」と指示し,その結果を報告するように指示した。 そこで,P17指導助役は,同日午後6時30分頃,P7分会のP18執行副委員長に対し,掲示物④及び⑤は個人の氏名を記載している点 が誹謗中傷に当たるため,午後7時までに掲示板から撤去するよう求めたが,同副委員長がこれを拒否したため,P17指導助役らは,同日午後7時過ぎ,掲示物④及び⑤を撤去した。(乙46の1)イ P10支社は,平成19年6月15日,地本との本件撤去等を議題とする団体交渉において,本件撤去等にあたり,P6電車区からP10支社に対し,掲示物①がFAXされ,P10支社において,個人を誹謗している内容であると判断したことから,掲示物①の撤去の指示を行った,他の箇所についても個人名を出して誹謗している掲示物があった場合には撤去するよう指示した,P10支社から各現場責任者に対し,個人を誹謗する掲示があった場合には撤去するよう指示したが,撤去の対象が掲示物①であるということまでは指示していなかった旨発言した。 (甲3)(2) ア前記前提事実及び認定事実によれば,P7電車区における掲示物④及び⑤の撤去通告及び撤去は,掲示物④及び⑤にP4らの氏名の記載がある旨のP7 かった旨発言した。 (甲3)(2) ア前記前提事実及び認定事実によれば,P7電車区における掲示物④及び⑤の撤去通告及び撤去は,掲示物④及び⑤にP4らの氏名の記載がある旨のP7電車区からの報告に対し,P10支社総務部勤労課から「氏名のある掲示」を撤去させる旨の指示があったことに基づき行われたことが明らかであるほか,これと同日に行われたP14運転区における掲示物③の撤去通告及びその翌日に行われたP22電車区における掲示物P10支社総務部勤労課から各現場責任者に対し個人名を出して誹謗している掲示物を撤去すべき旨の指示がされ,これに基づき,P14運転区及びP22電車区において,P4らの氏名が記載された掲示物③及び④並びに補助参加人のP32地方本部の制裁対と判断して,これらの撤去を通告したものと認めることができる。 示に基づき行われたものと認められるから,たとえ原告が掲示物③ない断し,その撤去を求める意図とするものと解釈できる指示を行って,その指示に沿った本件③ないしれることはできないというべきである。 イ内部統制に関する第13回中央執行委員会決定の内容及びこれを踏まえたP31指令第28号の内容を組合員に対し伝達するものであって,原告も自認するとおり,本件撤去要件に当たらないものと認められるかることを認識しながらこれを妨害したものと評価すべきであり,労組法7条3号の不当労働行為に該当するというべきである。 し,その撤去を求める意図を有していなかったから,支配介入の意思を欠く旨主張するが,前記各現場責任者に対して指示をして本件③ないしがその活動の一環として掲出した特定の内容が記載された掲示物を撤去する旨の認識があったものと認められるから,労組法7条3号の成立要件に欠けると するが,前記各現場責任者に対して指示をして本件③ないしがその活動の一環として掲出した特定の内容が記載された掲示物を撤去する旨の認識があったものと認められるから,労組法7条3号の成立要件に欠けるところはないと認められる。 ウに当たると判断した本件命令に,原告指摘の事実の評価及び法令の解釈を誤った違法は認められない。 3 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないのでこれを棄却することとし, 訴訟費用の負担について民事訴訟法61条,66条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部 裁判長裁判官竹田光広 裁判官松山昇平 裁判官古庄 研 (別紙)掲示物目録 ① 地本作成の平成19年2月2日付け○第84号(別紙①。丙1に同じ)①-2 地本作成の前記①を地本P7電車区分会が修正した,前記①の個人名をイニシャルに変更したもの(別紙①-2。本件命令別紙①-2に同じ)② 補助参加人P38作成の平成19年2月1日付け○第54号(別紙②。 本件命令別紙②に同じ)③ 補助参加人P31作成の平成19年1月25日付け○第395号(別紙③。本件命令別紙③に同じ) ④ 地本作成の平成19年1月26日付けP3地本連絡第224号(別紙④。本件命令別紙④に同じ)⑤ 補助参加人作成の平成18年11月付け「○」と題する文書(別紙⑤。 本件命令別紙⑤に同じ) 補助参加人P32地方本部作成の平成19年1月31日付け○(別紙 以上 補助参加人P32地方本部作成の平成19年1月31日付け○(別紙)
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