主文 1. 本件再審の訴を却下する。2. 再審訴訟費用は再審原告らの連帯負担とする。事実 (申立)再審原告訴訟代理人は再審の趣旨として「名古屋高等裁判所金沢支部が訴外Aを控訴人、再審被告を被控訴人とする同庁同支部昭和三九年(ネ)第一一四号所有権移転登記手続請求控訴事件につき昭和四二年二月二七日に言渡した判決を取消す。再審被告の請求を棄却する。本案及び再審の訴訟費用は再審被告の負担とする。」旨の判決を求め、再審被告訴訟代理人は主文同旨の判決を求めた。(主張)再審原告訟訴代理人は再審の理由として次のとおり主張した。一、 (1) 訴外Aを控訴人、再審被告を被控訴人、とする名古屋高等裁判所金沢支部昭和三九年(ネ)第一一四号所有権移転登記手続請求控訴事件につき、昭和四二年二月二七日「本件控訴を棄却する。訴訟費用は控訴人の負担とする」旨の判決言渡があつた。(2) これに対し亡Aが上告したところ、右事件は最高裁判所昭和四二年(オ)第六二二号事件として係属し、同事件につき同年九月二二日「本件上告を棄却する、上告費用は上告人の負担とする。」旨の判決言渡があり、前記控訴判決が確定した。二、 (1) Aは昭和四六年五月一五日死亡した。(2) 而して再審原告らは亡Aの相続人(再審原告Bは妻、他の再審原告はいずれも子)として亡Aの地位を承継した。三、 本案において再審被告が陳述した請求原因は左記のとおりである。(1) 別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という)、は元訴外亡Aの所有であつた。(2) 訴外亡Cは昭和五年三月二六日訴外亡Aから本件土地を代金一二〇〇円で買受けて右代金を支払い、福井区裁判所登記所同年五月七日受付第三九一四号をもつてその登記を経由した。Aの所有であつた。(2) 訴外亡Cは昭和五年三月二六日訴外亡Aから本件土地を代金一二〇〇円で買受けて右代金を支払い、福井区裁判所登記所同年五月七日受付第三九一四号をもつてその登記を経由した。 という)、は元訴外亡Aの所有であつた。(2) 訴外亡Cは昭和五年三月二六日訴外亡Aから本件土地を代金一二〇〇円で買受けて右代金を支払い、福井区裁判所登記所同年五月七日受付第三九一四号をもつてその登記を経由した。Aの所有であつた。(2) 訴外亡Cは昭和五年三月二六日訴外亡Aから本件土地を代金一二〇〇円で買受けて右代金を支払い、福井区裁判所登記所同年五月七日受付第三九一四号をもつてその登記を経由した。(3) 訴外亡Cは昭和一四年九月二六日死亡し、再審被告が長男として家督相続して同人の地位を承継した。(4) 然るにその事情は不明であるが本件土地は登記簿上訴外亡Aの所有名義となつている。(5) 仮りに前記売買が認められないとしても、訴外亡C及び再審被告は昭和五年三月以来本件土地を所有の意思をもつて平穏かつ公然と占有して来たので再審被告のために取得時効が完成している。(6) よつて再審被告は亡Aに対し本件土地につき所有権移転登記手続を求める。四、 亡Aは亡Cに対し本件土地を売渡したこともないし、亡C及び再審被告が所有の意思を以て平穏かつ公然に本件土地を占有したこともないとして、本案において再審被告の右主張を争つたが、名古屋高等裁判所金沢支部は前記のとおり再審被告勝訴の判決を言渡した。五、 本案控訴裁判所が一審判決を維持した判決理由の核心は一審判決と同様に、甲第一号証(売券証)におけるAの印影の真正を認定し、そこから同号証全文の真正を推認し右同号証を主たる証拠として売買契約の成立を認定した点にあり、この認定を決定的な基盤として判決理由が構成されている。それ故Aの印影の真正が否定されるならば、右判決理由はすべて崩壊する外はない。しかしながら、右売券証は訴外Cによつて偽造されたもので右は民事訴訟法第四二〇条第一項第六号に該当するところ、右Cが昭和一四年九月二六日に死亡したため、証拠欠缺以外の理由により有罪の確定判決を得ることがてきなくなつた。六、 本案甲第一号証(売券証)が偽造文書であることは左記諸事実からして明らかである。右Cが昭和一四年九月二六日に死亡したため、証拠欠缺以外の理由により有罪の確定判決を得ることがてきなくなつた。六、 本案甲第一号証(売券証)が偽造文書であることは左記諸事実からして明らかである。(イ) 右甲第一号証には昭和五年五月七日付でCが訴外Dに対し抵当権設定登記をした旨の記載があるが、かかる事実は存しない。 た。六、 本案甲第一号証(売券証)が偽造文書であることは左記諸事実からして明らかである。右Cが昭和一四年九月二六日に死亡したため、証拠欠缺以外の理由により有罪の確定判決を得ることがてきなくなつた。六、 本案甲第一号証(売券証)が偽造文書であることは左記諸事実からして明らかである。(イ) 右甲第一号証には昭和五年五月七日付でCが訴外Dに対し抵当権設定登記をした旨の記載があるが、かかる事実は存しない。(ロ) 同年一二月六日付の訴外Eに対する抵当権設定登記の事実もない。(ハ) 訴外F(本案甲第六号証に登記権利者として記されている者)、同G(A不知の間に同人所有の件外地の譲渡を受けた者)は、Cやその仲間のHがA名義の印鑑を持つていて勝手に使つていたことを認めている。(ニ) 本案甲第一号証代書者(I)の弟の話によると、右Iは昭和六年二月に死亡したが、死の約一年半前から肺結核のため仕事をやめていたとのことである。(ホ)昭和八年に本件土地の一部分が分筆された際、Cは訴外Jに対し、右土地がA所有なることを認めたことがある。(ヘ) 昭和四七年九月、再審原告らは本案甲第一号証中のA名義の印影と、Aの実印の印影と、他のA自身作成にかかる文書の印影とにつき、それぞれ拡大写真をとり照合した結果、前者は後二者に酷似する巧妙な偽造印の印影であることが判明した。(ト) 同年一一月三日、印影鑑定の専門家Kの鑑定により、右甲第一号証中のAの印影は偽造印鑑によること、又、同号証中の裁判所印影さえも当時の真正な裁判所印と同一でないことが判明した。七、 (1) 証拠偽造を理由とする再審請求は民事訴訟法第四二〇条第二項に示されているように有罪判決等があつて初めて許されるものであるから、仮りに本案の上訴審で単なる偽造の主張がなされていた場合でも、(それ迄に有罪判決等がなく、)その後に至つて初めて有罪判決確定等同条第二項所定の状態を生じたとき 等があつて初めて許されるものであるから、仮りに本案の上訴審で単なる偽造の主張がなされていた場合でも、(それ迄に有罪判決等がなく、)その後に至つて初めて有罪判決確定等同条第二項所定の状態を生じたときには、その段階で再審請求をなし得ること勿論である。(2) 而も本件の場合は本案の上級審当時、亡Aとして売券証が偽造であることの確信が持てなかつたので、偽造の確定的主張をなす迄には至らず、ただその疑惑を指摘したに過ぎぬものである。 ものであるから、仮りに本案の上訴審で単なる偽造の主張がなされていた場合でも、(それ迄に有罪判決等がなく、)その後に至つて初めて有罪判決確定等同条第二項所定の状態を生じたときには、その段階で再審請求をなし得ること勿論である。(2) 而も本件の場合は本案の上級審当時、亡Aとして売券証が偽造であることの確信が持てなかつたので、偽造の確定的主張をなす迄には至らず、ただその疑惑を指摘したに過ぎぬものである。(3) 而して本件再審期限の直前に至つて初めて本件印鑑偽造の客観的な確証が得られ、同法同条第二預所定の有罪判決等の存在に匹敵する事態が発生したのであるから、前記本案上告審における偽造の指摘は同法同条第一項但書に該当するものではなく、再審原告の今回の再審請求の妨げとなるものではない。八、 再審期間について(1) 再審期間の例外に関する民事訴訟法第四二四条第四項の規定が本件のような同法第四二〇条第一項第六号の場合にも適用され、その場合の再審期間は判決確定時から起算するのではなくて同法第四二〇条第二項の要件が充足したときから起算すべきである。(2) したがつて本件では甲第一号証の偽造問題に関する再審原告の再審手続における立証によつて、弁論終結時に民事訴訟法第四二〇条第二項後段所定の「証拠欠缺外の理由により有罪確定判決等がえられない場合」と認定されるか否かが唯一の問題であり、再審の訴提起より五年以上前に同法同条二項後段の理由があつたとされる場合のほかは、同法第四二四条第三項の五年の除斥期間が問題となる余地は全くないことになるはづである。(3) もつとも亡Aも再審原告も本案手続中に本案甲第一号証の写しも問題の実印(再審甲第一号証の二)もその手中にしていたのであるが、印影の同一性については単に疑いをもつた程度に になるはづである。(3) もつとも亡Aも再審原告も本案手続中に本案甲第一号証の写しも問題の実印(再審甲第一号証の二)もその手中にしていたのであるが、印影の同一性については単に疑いをもつた程度に過ぎずむしろ実印の濫用と考えていた。(4) ところが再審訴状提出直前の昭和四七年九月中に写真拡大の方法を再審原告Lの知人に教えられて、本案甲第一号証の印影と、Aの実印の印影と、A自身が作成した古い文書における印影と、をそれぞれ拡大写真をとつて照合したところ、本案甲第一号証の印影は、後二者と酷示するが微妙な相違があつて別個のものであることが確認された。 が、印影の同一性については単に疑いをもつた程度に過ぎずむしろ実印の濫用と考えていた。(4) ところが再審訴状提出直前の昭和四七年九月中に写真拡大の方法を再審原告Lの知人に教えられて、本案甲第一号証の印影と、Aの実印の印影と、A自身が作成した古い文書における印影と、をそれぞれ拡大写真をとつて照合したところ、本案甲第一号証の印影は、後二者と酷示するが微妙な相違があつて別個のものであることが確認された。(5) 再審原告らはそれ迄は偽造印なることに気付かなかつたのだから民事訴訟法第四二〇条第二項の要件を知らなかつたものというべきで、右印影拡大対照の時点で証拠の質的転換があつたとみるべきである。(6) 仮りに民事訴訟法第四二〇条第二項の要件を充たすためには拡大写真のフイルム(再審甲第六号証)の存在のみでは足らず、鑑定書の如きものが必要だとされる場合は、昭和四七年一一月三日の再審甲第一号証(鑑定書)完成の時点から再審期間を起算すべきである。(7) いずれにせよ再審原告は再審期間内に本件再審の訴を提起したものであるから、これを不適法とされる理由はない。九、 (1) 本案事件につき再審被告の取得時効の主張が肯認される場合は、本件再審請求も排斥されざるを得ぬことになるが、本件でCや再審被告のための取得時効の完成を肯認し得る如き証拠はない。(2) もつとも昭和一〇年から同一四年迄の間、Cが本件土地を含むA所有地全部を管理し、小作料を集めてそこから地租等を支払つた上で年末に精算してAに送金していたことはあつたが、右はAの代理人として管理したに過ぎぬから、「所有の意思」による占有とはいわれないし むA所有地全部を管理し、小作料を集めてそこから地租等を支払つた上で年末に精算してAに送金していたことはあつたが、右はAの代理人として管理したに過ぎぬから、「所有の意思」による占有とはいわれないし、その期間も三年、くらいで時効期間には満たないものである。(3) しかして昭和九年以前は再審原告Bの実家のM家が本件土地を管理していたものだし、Cの死亡後は同二四年迄は訴外Nが同二五年以後は訴外Oがそれぞれ本件土地を管理しているものであり、再審被告が管理した事実はない。それゆえ、本件で再審被告の取得時効の主張が肯認される余地はない。と述べた。再審被告訴訟代理人は再審原告の主張事実のうち、一、の点、二の(1)の点、本案控訴審判決が本案甲第一号証、証人P、同Q、同Rの各証言等を証拠として再審被告の主張を是認したこと、は認めるがその余の点はすべてこれを争う、右甲第一号証の成立の真否については既に上告審で審理ずみで上告人訴外Aの主張が排斥されているから、これはもはや再審理由とはなし得ないものである。 時効の主張が肯認される余地はない。と述べた。再審被告訴訟代理人は再審原告の主張事実のうち、一、の点、二の(1)の点、本案控訴審判決が本案甲第一号証、証人P、同Q、同Rの各証言等を証拠として再審被告の主張を是認したこと、は認めるがその余の点はすべてこれを争う、右甲第一号証の成立の真否については既に上告審で審理ずみで上告人訴外Aの主張が排斥されているから、これはもはや再審理由とはなし得ないものである。しかして他に再審事由は存しないから本件再審の訴は却下すべきである、と述べた。(証拠)(省略) 理由 一、 訴外Aを控訴人、再審被告を被控訴人とする名古屋高等裁判所金沢支部昭和三九年(ネ)第一一四号所有権移転登記手続請求控訴事件につき昭和四二年二月二七日に「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」旨の判決言渡があり、これに対し亡Aが上告したが、同年九月二二日に最高裁判所で上告棄却の判決言渡があり、前記控訴判決(終局判決)が確定したことは当事者間に争いがない。二、 Aが昭和四六年五月一五日に死亡したことは当事者間に争いがなく、亡Aの相続人が再審原告らであることは弁論の全趣旨により明白である。然らば右同人 判決)が確定したことは当事者間に争いがない。二、 Aが昭和四六年五月一五日に死亡したことは当事者間に争いがなく、亡Aの相続人が再審原告らであることは弁論の全趣旨により明白である。然らば右同人らは右確定判決の既判力による不利益を免れるため当然再審原告となる適格を有する。三、 しかして再審原告らは本件再審の訴に及ぶものであるが、その理由(再審事由)とするところが、本件確定判決の証拠となつた本案甲第一号証(売券証)は訴外Cにより偽造されたものであるところ、右Cは昭和一四年九月二六日に死亡しているため有罪の確定判決を得ることができない、というにあることは、弁論の全趣旨(殊に本件再審訴状並びに再審原告第三準備書面の各記載参照)に照し明白である。<要旨>四、 (1) そこで本件再審の訴の出訴期間につき考えるに、民事訴訟法第四二四条第三項により判決確定後五年</要旨>を経過したときは再審の訴を提起できぬことになつている。然るに本件原判決が昭和四二年九月二二日、上告棄却判決の言渡と共に確定したことは当事者間に争いがないー本件確定記録によつても明白であるーところ、本件再審訴状が当庁当支部に提出されたのが昭和四七年九月二七日であることは本件再審記録上顕著なところである。 こで本件再審の訴の出訴期間につき考えるに、民事訴訟法第四二四条第三項により判決確定後五年</要旨>を経過したときは再審の訴を提起できぬことになつている。然るに本件原判決が昭和四二年九月二二日、上告棄却判決の言渡と共に確定したことは当事者間に争いがないー本件確定記録によつても明白であるーところ、本件再審訴状が当庁当支部に提出されたのが昭和四七年九月二七日であることは本件再審記録上顕著なところである。(2) もつとも同法同条第四項によれば再審の事由が判決確定後に生じたときは前項の期間はその事由発生の日より起算すべきことになつているが、本件の場合訴外Cの死亡した時期が昭和一四年九月二六日であることは当事者間に争いがないー又再審原告Bの供述によつてもこれを認め得るーところであるから、右時点で有罪確定判決を得られぬことが確定したというべきであり、前記法条第四項の適用される場合とはいえない。(ちなみに、本件では、右Cの所為につき捜査ないし刑事手続の開始せられた形跡は認め難い。) 右時点で有罪確定判決を得られぬことが確定したというべきであり、前記法条第四項の適用される場合とはいえない。(ちなみに、本件では、右Cの所為につき捜査ないし刑事手続の開始せられた形跡は認め難い。)(3) 然らば、再審原告らの本件再審の訴は、右の点で不適法として却下を免れない。五、 (1)(イ) 再審原告は(Ⅰ)昭和四七年九月に同人が本件印影の対照をなした時点、又は(Ⅱ)同年(一一)月三日に右印影に関する鑑定書が完成した時点ないしは(Ⅲ)本件再審訴訟で再審原告が本件売券証が偽造であることの立証に成功した時点ではじめて「証拠欠缺以外の理由により有罪の確定判決を得ること能わざるとき」という民事訴訟法第四二〇条第二項後段の要件が充足されるのだから、同法第四二四条第四項所定の再審期間も、右時点から起算さるべきものであると考えているようである。(ロ) しかして再審原告は右の考え方の前提として、同法第四二〇条第二項後段の要件が充足したというためには同法同条第一項第四号乃至第七号所定の何れかの可罰的行為につきその存在することの立証のあることが必要であり、右に関する証拠が揃う迄は同法第四二〇条第二項後段の要件が充足したといえぬとの考え方をとつているもののようである。(2)(イ) しかしがら同法第四二〇条第二項後段の文理解釈からは再審原告の考えるような命題を引き出すことはできない。 前提として、同法第四二〇条第二項後段の要件が充足したというためには同法同条第一項第四号乃至第七号所定の何れかの可罰的行為につきその存在することの立証のあることが必要であり、右に関する証拠が揃う迄は同法第四二〇条第二項後段の要件が充足したといえぬとの考え方をとつているもののようである。(2)(イ) しかしがら同法第四二〇条第二項後段の文理解釈からは再審原告の考えるような命題を引き出すことはできない。右後段の文言を分析してみても、(イ)有罪の確定判決を得ること能わざるとき(で、)(ロ)(しかも右有罪確定判決を得られぬ理由が)証拠欠缺以外の理由によるとき、という二つの要件が導き出されるに過ぎず、そこから更に再審原告の要求するような、「可罰的行為の存在についての証拠の具備すること、」という第三の要件を導き出すことはできない。(ロ) 何となれば、証拠欠缺以外の理由 が導き出されるに過ぎず、そこから更に再審原告の要求するような、「可罰的行為の存在についての証拠の具備すること、」という第三の要件を導き出すことはできない。(ロ) 何となれば、証拠欠缺以外の理由により有罪確定判決が得られなかつたということは単に有罪確定判決を得られなかつたことの理由が証拠欠缺という理由ではないことを意味するにとどまり、その際可罰的行為の存在についての証拠がそなわつていたか否かということとは別問題であるからである。(ハ) それ故、論拠欠映以外の理由により有罪確定判決が得られなかつた事例の中には、可罰的行為の存在についての立証をそなえた事例もあり得るし、これを欠く事例も亦あり得る訳である。(ニ) これを現実の刑事手続に即して考えてみると、たとえば公訴提起後に被告人が死亡した場合にはそれを理由に公訴棄却の決定がなされるが、これは右被告人につき有罪の立証がなされた場合でも然らざる場合でも公訴棄却決定の理由中で有罪無罪の判断が示されることはない。(ホ) 然らば、同法第四二〇条第二項後段の文理解釈によつては再審原告の見解を支持することができない。(3) そればかりではなく、右可罰的行為の存在につき証拠が存するか否かは同法同条第一項の問題として別に判断がなされるはずであるから、同法同条第二項の要件の一要素として再び同じ問題を持込むことは無意味な重複といわざるを得ず、このような解釈はむしろ同法同条の文理に反するものといわなければならない。 ない。(ホ) 然らば、同法第四二〇条第二項後段の文理解釈によつては再審原告の見解を支持することができない。(3) そればかりではなく、右可罰的行為の存在につき証拠が存するか否かは同法同条第一項の問題として別に判断がなされるはずであるから、同法同条第二項の要件の一要素として再び同じ問題を持込むことは無意味な重複といわざるを得ず、このような解釈はむしろ同法同条の文理に反するものといわなければならない。(4)(イ) 再審原告は或いは同法同条第二項の立法趣旨を次のように解してそこから次のように自己の見解を演繹しようとするものかも知れない。すなわち同法同条第二項前段が有罪確定判決等を要件とするのは有罪判決等が確定してはじめて可罰的行為なることを断定し得るとの考え方に基くものであるが、同 に自己の見解を演繹しようとするものかも知れない。すなわち同法同条第二項前段が有罪確定判決等を要件とするのは有罪判決等が確定してはじめて可罰的行為なることを断定し得るとの考え方に基くものであるが、同法同条第二項後段の場合にも均しく再審が許される理由は、これらの場合にも可罰的行為の証拠があつて、訴訟条件の欠缺さえなければ有罪確定判決に至り得るはずであるからである。然らば、右後段の解釈上、「可罰的行為の存在についての証拠の具備と云うこと」が要件の一つとして要求されるべきであり、右証拠の具備しない限り再審の事由が発生したとは云い難い。以上のような考え方である。(ロ) しかしながら、右見解にしたがうときには形式的裁判又は不起訴処分に終つた刑事訴訟又は捜査手続において可罰的行為の証拠が具備していたか否かを再審訴訟で審査しなければ同法同条第二項後段の要件の存否を判定できぬことになるが、このような解釈によれば、同法第四二四条第四項にいわゆる「その事由発生の日」ー起算日ーを把握する上に現実にも不明確さを招来することを免れない。(ハ) さらに思うに、同法第四二〇条第二項前段が有罪判決確定等を要件としている理由は、確定刑事判決等により可罰的行為の存在についての実質的な高度の証明がなされたと云う点に存するのではなくて、むしろ確定刑事裁判所の犯罪に関する判断自体の存在に着目したものと解される。(ニ) しかして右前段の場合と並んで右後段の場合にも再審の訴が許される理由は、追完不可能な訴訟条件の欠缺等のため有罪確定判決等を得られない場合に備えて衡平の観念から再審原告の利益のために、右の場合にも再審の途を開いたに過ぎぬものと解すべきである。 的行為の存在についての実質的な高度の証明がなされたと云う点に存するのではなくて、むしろ確定刑事裁判所の犯罪に関する判断自体の存在に着目したものと解される。(ニ) しかして右前段の場合と並んで右後段の場合にも再審の訴が許される理由は、追完不可能な訴訟条件の欠缺等のため有罪確定判決等を得られない場合に備えて衡平の観念から再審原告の利益のために、右の場合にも再審の途を開いたに過ぎぬものと解すべきである。(ホ) 然らば、同法同条第二項前段後段の立法趣旨を顧みても、再審原告の前記見解を支持するに足らない。六、よつて本件 告の利益のために、右の場合にも再審の途を開いたに過ぎぬものと解すべきである。(ホ) 然らば、同法同条第二項前段後段の立法趣旨を顧みても、再審原告の前記見解を支持するに足らない。六、よつて本件再審の訴を却下することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九三条第一項但書を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官三和田大士裁判官夏目仲次裁判官山下薫)別紙物件目録(1) 福井市a町b字cd番地のe一、 田五畝二七歩(2) 同市同町七字gh番のi一、 田五畝十二歩(3) 同市同町七字gh番のj一、 田五畝十二歩
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