平成19(行ウ)677 建築確認不適合処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年10月31日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文19,314 文字)

- 1 -主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求処分行政庁が原告に対し平成18年12月27日付け第H××確不適合品川区××××××号をもってした,建築基準法(平成18年法律第92号による改正前のもの。以下同じ)6条5項の規定による適合しない旨の処分を取り。 消す。 第2事案の概要本件は,原告が,その営業に係るα線β駅について,別紙建築計画目録記載の建築物以下本件予定建築物というの増築に係る建築確認の申請以(「」。)(下「本件申請」という)をしたところ,処分行政庁が,本件予定建築物の敷。 地(以下「本件敷地」という)には建築物の敷地として取り扱えない線路敷。 が含まれており,本件予定建築物は「一団の土地」を建築物の敷地とする建築基準法施行令1条1号に抵触する等として,建築基準関係規定(建築基準法6条1項に規定する建築基準関係規定をいう。以下同じ)に適合しない旨の上。 記第1の処分(以下「本件処分」という。)をしたため,原告が,建築基準法令(建築基準法及びその下位法令をいう。以下同じ)上,線路敷を建築物の敷。 地として取り扱うことは制限されておらず,本件予定建築物は建築基準関係規定に適合しているから,本件処分は違法であるとして,その取消しを求めている事案である。 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)( )当事者 原告は,鉄道事業,不動産販売事業等を業とする株式会社であり,鉄道事- 2 -業として,γ線,δ線,ε線,α線,ζ線,η線及びθ線の鉄道7路線並びにι線の軌道1路線の営業をしている。 ( )本件処分に至る経緯 ア原告は,処分行政庁に対し,平成18年10月2日,本件予定建築物に ,γ線,δ線,ε線,α線,ζ線,η線及びθ線の鉄道7路線並びにι線の軌道1路線の営業をしている。 ( )本件処分に至る経緯 ア原告は,処分行政庁に対し,平成18年10月2日,本件予定建築物について,建築基準法6条1項の規定による建築確認の申請(本件申請)をした。 本件敷地における本件予定建築物,プラットホーム,線路及び跨線橋の位置関係は,別図1ないし4記載のとおりであり,本件敷地の南側に本件予定建築物が位置し,その北側に東西に伸びる2本のプラットホームが設置され,各プラットホームの中央部を起点として,線路を跨いで他のプラットホームとの間を連結する跨線橋が設置され,その南側のプラットホーム上の起点に隣接して鉄骨造の構内便所が設置されている。本件敷地の中央部に位置する各プラットホームの中間には,電車が走行する東西に伸びる2本の線路が平行した複線として敷設され,南側の線路を西へ向かう下り方面電車が使用し,北側の線路を東へ向かう上り方面電車が使用している(甲1)。 イ処分行政庁は,原告に対し,同年12月27日,下記(ア)及び(イ)を理由として,建築基準法6条5項に基づき,本件予定建築物の計画が建築基準関係規定に適合しない旨の処分(本件処分)をし,同日,これを通知した(甲2)。 記(ア)本件予定建築物の計画では,本件敷地にα線の線路敷が含まれている。線路敷は,道路や河川と同様に,建築物が建築されることを予定しない土地であるから建築敷地としては扱えず本件予定建築物は一,,,「」。 団の土地を建築物の敷地とする建築基準法施行令1条1号に抵触する(イ)上記(ア)により,線路敷は本件敷地から除外されるため,本件予定- 3 -建築物は,日影規制の測定の基準となる敷地境界線からの距離がその建築計画よりも狭くなり,本件敷 令1条1号に抵触する(イ)上記(ア)により,線路敷は本件敷地から除外されるため,本件予定- 3 -建築物は,日影規制の測定の基準となる敷地境界線からの距離がその建築計画よりも狭くなり,本件敷地につき指定される日影規制値を超え,建築基準法56条の2に抵触する。 ( )本件訴えに至る経緯 ア原告は,平成19年2月19日,品川区建築審査会に対し,本件処分の取消しを求めて審査請求をしたが,同建築審査会は,同年6月13日,同審査請求を棄却する旨の裁決をし,同月20日ころ,これを原告に送達した(甲3,4の1・2)。 イ原告は,同年10月31日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 争点 本件の争点は,次のとおりであり,これに関する当事者の主張の要旨は,後記3「争点に関する当事者の主張の要旨」に記載するとおりである。 ( )線路敷は「建築物の敷地」となり得るか否か。 ( )本件敷地及び本件予定建築物の建築基準法施行令1条1号の適合性 ア本件敷地は「一団の土地」に該当するか否か。 イ本件予定建築物は「1の建築物」に該当するか否か。 争点に関する当事者の主張の要旨( )争点( )(線路敷は「建築物の敷地」となり得るか否か)について (被告の主張の要旨)ア建築基準法令上「線路敷」とは,建築基準法2条1号の文言を考慮す,れば,実際に線路が敷設されている土地部分のほか,プラットホーム部分など,鉄道の用に供する施設の設置されている土地部分が含まれると解される(以下,線路及び鉄道の用に供する施設の設置されている土地を「鉄道施設地」という。 。)そして,建築基準法令上「建築物の敷地」は,建築基準法2条1号の,「工作物(建築設備を含む)の定着する土地であるから,同号の「工」。 - 4 -作物」から除外されている 設地」という。 。)そして,建築基準法令上「建築物の敷地」は,建築基準法2条1号の,「工作物(建築設備を含む)の定着する土地であるから,同号の「工」。 - 4 -作物」から除外されている「鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家,貯蔵槽その他これらに類す」,。 ,る施設の定着する土地部分は上記敷地に含まれないこととなるまた「線路敷」に接する敷地に建築される建築物については,同法56条の2の日影規制が緩和されるところ(同法施行令135条の12第1項「線),路敷」に建築物が建築されると,その建築物は,建築基準法の定める最低基準を超える日影の影響を受けることとなり,日影規制の目的を達成することができなくなることからすれば,線路敷を建築物の敷地として利用することを建築基準法令が原則として認めていると解することはできない。 そうすると,建築基準法令の規定上「建築物の敷地」とは,同号の「工,作物」のある土地を意味し,建築物の建築以外の用に供する土地である鉄道施設地は,これに該当しないということができる。 イまた,①平成2年3月30日付け建設省住宅局市街地建築課の東京都都市計画局建築指導部調査課長あて事務連絡「線路敷上空等を利用した建築物の取扱いについて(以下「平成2年事務連絡」という。甲9)は,線」路敷を建築物の敷地とする取扱いは例外的な措置であり「当該土地の実,態を踏まえ合理的な範囲のものとすべきである」とし,②平成5年10月7日付け建設省住宅局市街地建築課課長補佐の都道府県建築主務課長あて事務連絡「建築物の敷地の取扱いについて(以下「平成5年事務連絡」」という。甲10)も,線路敷について,原則として,建築物の敷地に含めず,例外的に「建築物が上部を覆っている土地,低層部 務課長あて事務連絡「建築物の敷地の取扱いについて(以下「平成5年事務連絡」」という。甲10)も,線路敷について,原則として,建築物の敷地に含めず,例外的に「建築物が上部を覆っている土地,低層部に面的に人工地,盤を設けた土地等建築物と外形上,機能上一体的に利用されている土地」について,建築物の敷地として取り扱うとし,③平成12年9月29日付け東京都都市計画局「鉄道駅構内等開発計画における敷地の考え方(乙」1)においても,線路敷を建築物の敷地として扱わないことを原則としつつ,状況により例外的に建築物の敷地として扱う平成5年事務連絡と同様- 5 -の見解を示すほか,④平成元年7月7日付け東京都都市計画局「鉄道駅構内等開発計画に関する指導基準(平成13年6月5日改正後のもの。以」下「東京都指導基準」という。甲11)も,線路敷上空部分について,建築基準法施行令1条1号の「一団の土地」とは,人工地盤を設置した部分をいうとしている。 なお,人工地盤のある鉄道施設地が建築物の敷地となるのは,当該建築物の建築される場所に自然の地盤と人工地盤の異なる2つの地盤が存在することになるからであることからすれば,ここで求められる人工地盤は,自然の地盤と同等の機能を果たす必要があるから,線路敷を覆うようなものでなければならず,建築物の一部が張り出しているにすぎないものは,落下物の危険があることから,上記の人工地盤には当たらない。 ウ以上からすれば,線路敷(鉄道施設地)は,建築基準法令において,原則として建築物の敷地として利用することができず,市街地の高度利用等の観点から合理的な範囲において,例外的に建築物の敷地として認める余地があるにすぎないと解されるので,被告は,この解釈を前提に,平成2年事務連絡又は平成5年事務連絡の取扱方針により線路敷を建築敷 等の観点から合理的な範囲において,例外的に建築物の敷地として認める余地があるにすぎないと解されるので,被告は,この解釈を前提に,平成2年事務連絡又は平成5年事務連絡の取扱方針により線路敷を建築敷地として取り扱うか否かの判断を行い,より具体的な運用については,東京都指導基準を準用して線路敷の取扱いを判断している。 エ本件予定建築物は,既存の駅舎のある敷地のほか,プラットホーム部分や線路部分などの敷地も併せて建築物の敷地とし,既存の駅舎と駅改札口の上部に鉄骨造の2階部分を増築するとともに,線路敷外に共同住宅(社員寮)及び店舗を主たる用途とした鉄骨鉄筋コンクリート造6階建ての建築物を配置するものである。 そして,上記アないしウのとおり,鉄道施設地は,原則として建築物の敷地とすることができず,平成2年事務連絡又は平成5年事務連絡の定める要件を満たす部分については,例外的に建築物の敷地として扱うことを- 6 -認めているにすぎないところ,①本件予定建築物のうち,共同住宅及びそれを利用するための廊下・階段等は,駅利用者や地域住民の利便性に供する施設ではなく,線路敷を本件予定建築物の敷地として利用することは,線路敷の合理的な利用の範囲内(平成2年事務連絡の例外事由)であるということはできず,また,②本件予定建築物は,既存の駅舎部分を除き,建築物が上部を覆っている土地にも,低層部に面的に人工地盤を設けた土地等,建築物と外形上・機能上一体的に利用されている土地(平成5年事務連絡の例外事由)にも該当しないのであるから,本件敷地のうち鉄道施設地を建築物の敷地として扱うことはできない。 このように,本件申請に係る本件敷地は,建築物の敷地として扱うことのできない鉄道施設地を含むものであり,仮に,本件敷地から鉄道施設地を除いた部分のみを建築物の敷地とする 地として扱うことはできない。 このように,本件申請に係る本件敷地は,建築物の敷地として扱うことのできない鉄道施設地を含むものであり,仮に,本件敷地から鉄道施設地を除いた部分のみを建築物の敷地とすると,日影規制を定めた建築基準法56条の2に違反し,本件申請に係る本件予定建築物が建築基準関係規定に適合することはないのであるから,本件処分は適法である。 (原告の主張の要旨)ア建築基準法令には,線路敷について,その上空部分も含め,建築物の敷地に使用することを禁止する規定はない。かえって,建築基準法2条1号では,線路敷地を敷地とする同法上の建築物が存在することが示されている。 建築基準法は,道路については,同法44条において道路内の建築を禁止し,都市計画区域内の道路における空間を確保するものとしているのであるから,仮に,線路敷内における建築も被告の主張するように原則として禁止するのであれば,そのような規定が設けられるべきところ,そのような規定は存しない。 イ国土交通省(旧建設省)などの関係官署も,次のとおり,線路敷が建築基準法令の規定上の建築物の敷地となることを認めている。 - 7 -(ア)建設省住宅局建築指導課長の東京都首都整備局長あて昭和40年12月28日付け回答「鉄道または軌道の駅舎の建築敷地の取扱いについて(回答(住指発第208号。甲7)は,線路敷を建築基準法上の)」建築物の敷地と扱うことを認めている。 (イ)横浜市建築局建築審査課長の昭和38年7月25日付け「横浜市建築基準法取扱基準(昭和38年建第406号。甲8)8-2は「線」,路敷地」に建築基準法上の確認の対象となる駅舎が建築されることを前提として取扱基準を定めている。 (ウ)平成2年事務連絡(甲9)は,線路敷が建築基準法令上の建築物の敷地となり得ることを認めて ,路敷地」に建築基準法上の確認の対象となる駅舎が建築されることを前提として取扱基準を定めている。 (ウ)平成2年事務連絡(甲9)は,線路敷が建築基準法令上の建築物の敷地となり得ることを認めている。また,平成5年事務連絡(甲10)も,鉄道上空の建築物について「建築物と外形上,機能上一体的に利,用されている土地については建築物の敷地として取扱う」こととされている。 (エ)東京都都市計画局は,東京都指導基準(甲11)において,建築物の敷地が線路敷であるかどうかは建築確認の審査の対象ではないとしている(甲12の解説参照。 )上記(ア)ないし(エ)を総合すれば,線路敷は,法的には建築物の敷地となり得るものであり,行政指導により線路敷の主要な用途と合理性・整合性を保てる範囲に限定することを求めているものにすぎず,線路敷が建築物の敷地に含まれていることを理由に建築確認を拒否することはできない。 ウ被告は,国土交通省(当時の建設省)の平成2年事務連絡及び平成5年事務連絡を根拠に,線路敷は建築敷地として認められないことが原則であると主張するが,いずれも法的拘束力はなく,また,東京都指導基準を含む東京都の取扱基準も,行政指導の基準にすぎず,法的拘束力はない。国土交通省の上記各行政解釈は,各地方公共団体の行政指導による合理的な- 8 -解決を図ることを期待して事務連絡という方法を用いたものといえ,これらを建築確認の審査において根拠とすることはできず,上記各事務連絡や行政指導の基準に合致しないことを理由に建築確認を拒否することは違法である。 そして,人工地盤は,線路敷の上空に建築物を建築する場合の行政指導による合理性・安全性を確保するための一つの方法であって,人工地盤が備わっていなくても,当該建築物に合理性・安全性が備わっていれば建築は許 ,人工地盤は,線路敷の上空に建築物を建築する場合の行政指導による合理性・安全性を確保するための一つの方法であって,人工地盤が備わっていなくても,当該建築物に合理性・安全性が備わっていれば建築は許容されるべきである。 ,()エ本件予定建築物のうち線路の上空にせり出している部分片持ち部分は,その形状を配慮して,靱性の高い鉄骨鉄筋コンクリート構造とし,片持ち部分の梁の下部には方丈を設置して鉛直力を支持する形式を採用し,窓先空地部分(片持ち部分の先端)は,鉛直荷重が過大とならないように床材を軽量な材質にし,片持ち部分の上下動の影響も考慮した安全性を確認するなど,合理性・安全性が確保されているのであって,同部分は,一種の人工地盤が設置されているものと評価することができるから,本件申請につき建築確認を拒否すべき理由はない。 ( )争点( )ア(本件敷地は「一団の土地」に該当するか否か)について (被告の主張の要旨)ア鉄道施設地以外の土地を建築物の敷地とすることに問題はないが,鉄道施設地のうち,本件予定建築物がせり出している部分は,プラットホーム及びその上家として利用されている土地であり,この部分の土地は,建築確認の対象外となる工作物の利用に供する土地であって,建築物の敷地の用に供する土地ではない。したがって,上記鉄道施設地とそれ以外の建築物の敷地の用に供する土地とは,利用の一体性がないことになり,これらを「一団の土地」ということはできない。 イ鉄道施設地は,原則として建築物の敷地とすることができず,例外的に- 9 -平成5年事務連絡にいう「建築物が上部を覆っている土地,低層部に面的に人工地盤を設けた土地等建築物と外形上,機能上一体的に利用されている土地」のみを建築物の敷地として扱うことができることを認めたものであり,本件 絡にいう「建築物が上部を覆っている土地,低層部に面的に人工地盤を設けた土地等建築物と外形上,機能上一体的に利用されている土地」のみを建築物の敷地として扱うことができることを認めたものであり,本件予定建築物はこの要件に該当せず,本件敷地のうち鉄道施設地については,既存の駅舎の用に供する部分を除き,建築物の敷地として扱うことはできない。 (原告の主張の要旨)ア「一団の土地」とは,当該建築物と用途上不可分の関係にあり,これと共通の用途に供せられている土地であって,河川,道路,囲障等によって隔てられずに連続した土地をいい,登記記録上の主要の用途別の土地の種類である地目,筆数,当該建築物の所有者の占有権原の有無などとは直接関係がなく,客観的に一団の土地をなしていることをもって足りると解されている。したがって,利用上の一体性がない場合や,物理的な障害物件によって隔てられているような場合には一団の土地に該当しないことになるが,ある建築物の敷地が,線路敷と線路敷外とからなっていることのみを理由として,一団の土地であることを否定することはできない。 そして,本件のように,既存の駅舎の増築として,1棟の建築物の増築をする場合には,線路敷とその他の本件敷地とが外観上客観的に区分されているとは認められず,一団の土地に当たる。また,本件予定建築物のように,建築物自体が物理的に一つであれば,その建築物の内部の用途が多様であっても,その用途が可分になるものではない。 イ被告の経営に係る他の多数の駅(α線κ駅,ζ線λ駅,ζ線μ駅,γ線ν駅,α線ξ駅)において,同様に線路敷を敷地として利用する形態の建築物について,現に建築確認がされている。 ( )争点( )イ(本件予定建築物は「1の建築物」に該当するか否か) (被告の主張の要旨)- 10 -ア本件 路敷を敷地として利用する形態の建築物について,現に建築確認がされている。 ( )争点( )イ(本件予定建築物は「1の建築物」に該当するか否か) (被告の主張の要旨)- 10 -ア本件予定建築物の構造は,<A>既存の駅舎部分及びその2階に位置する駅研修室部分(鉄骨造,2階建て,<B>店舗及び共同住宅部分(鉄骨鉄)筋コンクリート造,6階建て)及び<C>共同住宅部分(鉄骨鉄筋コンクリート造,6階建)という3つの建築物をエキスパンションジョイントにより接続し,外形上1の建築物の形態としているものである。エキスパンシ,,ョンジョイントで接続された建築物は外観上1の建築物となっているが建築基準法施行令1条1号の「1の建築物」として取り扱うかどうかは,個々の事案において,外観,構造,機能その他諸般の事情を考慮した上で社会通念に従って判断するものとされ,機能上の一体性の判断は,一体的に管理・利用され,かつ,利用者が相互に建築物を日常通行できるか否かが1つの基準となる。 本件予定建築物のうち,上記<A>の部分と同<B>及び<C>の部分との関係は,同<B>の店舗(1階は物品販売店,2階は食堂)を通行する必要があり,店舗利用者以外の者が通行することはできないし,施錠されれば通行が遮断される関係にあることからすれば,本件予定建築物のうち同<A>の部分と同<B>又は<C>の部分とは,機能上一体の関係になく,また,構,「」。 造上の一体性もないため1の建築物として取り扱うことはできないそして,2以上の建築物を1の敷地に建築する場合には各建築物が用途上不可分の関係にあることが必要であるところ,同<A>の部分(駅舎及び駅研修室)と同<B>及び<C>の部分(店舗及び共同住宅)とが用途不可分の関係にあるともいえない。 したがって,本件予定建 が用途上不可分の関係にあることが必要であるところ,同<A>の部分(駅舎及び駅研修室)と同<B>及び<C>の部分(店舗及び共同住宅)とが用途不可分の関係にあるともいえない。 したがって,本件予定建築物は,一敷地一建築物の原則(建築基準法施行令1条1号)に違反する。 イまた,本件敷地には,既存の構内便所がある。ところで,本件予定建築物は,既存の駅舎を増築するものであるが,共同住宅部分が約83パーセントを占めることからすれば,その主たる用途は共同住宅に変更されたも- 11 -のといえる。そうすると,上記構内便所と本件予定建築物とは,用途上不可分の関係にあるということはできない。 したがって,仮に本件予定建築物が1の建築物であったとしても,上記構内便所と用途上不可分の関係にはないことからすれば,2以上の建築物を1の敷地に建築することになるから,一敷地一建築物の原則(建築基準法施行令1条1号)に違反する。 (原告の主張の要旨)ア建築基準法施行令1条1号は「1の建築物又は用途上不可分の関係にあ」,,る2以上の建築物のある一団の土地としていてこの用途上不可分とは2以上の建築物がある場合の関係をいうのであるから,本件建築物のように,建築物自体が物理的に一つであれば,その建築物の内部の用途が多様であっても,同号の要件の認定には関係がない。 また,エキスパンションジョイントは,地震などの災害から建築物の被害を抑える機能を有するものであり,エキスパンションジョイントを使用した建築物の一体性を判断するに当たり,構造や機能の一体性を強調しすぎることは相当でない。そして,本件予定建築物の駅研修室は,駅員及び共同住宅(社員寮)の居住者が使用するところ,これらの者は,共同住宅及び駅研修室の間を食堂の営業時間中(午前5時から午後10時30分まで)自由に でない。そして,本件予定建築物の駅研修室は,駅員及び共同住宅(社員寮)の居住者が使用するところ,これらの者は,共同住宅及び駅研修室の間を食堂の営業時間中(午前5時から午後10時30分まで)自由に往来することができるし,施錠された鍵も共同住宅の管理者が管理することになるのであるから,必要に応じて駅研修室と共同住宅との間を通行することができる,本件予定建築物は,電気・水道設備は,いずれの部分でも共通しているので,これらの事情からすれば,機能上の一体性も肯定できる。 さらに,建築物においては,一部が木造,一部が鉄骨造の建築物など,一部が別の造になっているものはよく見られるのであって,それによって当該建築物が1の建築物でないとするのは常識に反する。 - 12 -以上からすれば,本件予定建築物は,1の建築物に当たる。 イ本件敷地内にある既存の構内便所は,本件予定建築物と用途上不可分の。 ,,関係にある被告は本件予定建築物が駅舎ではなく共同住宅であるから本件構内便所とは用途上不可分の関係にはないと主張するが,本件予定建築物は駅舎としても利用され,本件構内便所も本件予定建築物の駅舎部分の利用者が利用することを予定しているのであって,本件予定建築物が主として共同住宅として利用されるとしても,そのことから用途上不可分の関係にないとはいえない。 第3争点に対する判断 争点( )(線路敷は「建築物の敷地」となり得るか否か)について ( )建築基準法は,建築物の敷地について,接する道の境界より高く,建築 物の地盤面がこれに接する周囲の土地より高くなければならず(同法19条1項,湿潤な土地又は出水のおそれのある土地等は,盛土,地盤の改良そ)の他衛生上又は安全上の措置を講ずる必要があり(同条2項,下水管・下)水溝等の排水等の施設(同条3項 ければならず(同法19条1項,湿潤な土地又は出水のおそれのある土地等は,盛土,地盤の改良そ)の他衛生上又は安全上の措置を講ずる必要があり(同条2項,下水管・下)水溝等の排水等の施設(同条3項)のほか,がけ崩れの危険がある場合の安全措置等(同条4項)を必要とするなど,建築物が衛生上良好な状態を保持,,,しかつ建築物の安全が確保されるように造成されることを求めているが災害危険区域における建築物の制限が規定されている(同法39条)以外には,建築物の敷地となり得る土地の種類等を制限する規定は設けられていない。 そして建築基準法2条1号は建築物について鉄道及び軌道の線,,「」,「路敷地」内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家,貯蔵槽その他これらに類する施設を除くと規定しているところ,鉄道等の運転保安に関する施設等が建築基準法上の「建築物」から除外される趣旨は,鉄道事業法・鉄道営業法その他の鉄道関係法令によって別途に安全性の確保が図られることによるものと解されることからすれば,同号の規定は「線,- 13 -路敷地」の上に建築される工作物についても,一般には「建築物」に該当し得ることを前提とした上で,鉄道等の運転保安に関する施設等については,上記の趣旨により特に「建築物」から除外する趣旨で定められたものということができ,そうすると,建築基準法は「線路敷地」についても「建築,,物の敷地」となり得ることを前提としているものと解するのが相当である。 現に,鉄道営業法1条の委任に基づき,鉄道に関する技術上の基準を定める(。 「」。)省令平成13年国土交通省令第151号以下鉄道技術基準令という26条は「線路敷地」内の運転保安に関する建築物及び跨線橋,プラット,ホームの上家その他これら 基準を定める(。 「」。)省令平成13年国土交通省令第151号以下鉄道技術基準令という26条は「線路敷地」内の運転保安に関する建築物及び跨線橋,プラット,ホームの上家その他これらに類する「建築物」について,予想される荷重に耐えることができ,かつ,車両の走行及び旅客の利用に特に支障を及ぼすおそれのないものでなければならないと定めており,これは「線路敷地」内,において「建築物」が建築されることを前提とする規定であると解するのが相当である。 ( )また「線路敷」とは,線路を敷設してある又は敷設するための鉄道(新 ,設軌道を含む)用地(危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第。 55号1条4号参照を指すと解されるところ建築基準法施行令は線)),,「路敷」に隣接する土地について,斜線規制(建築基準法56条)及び日影規()(,制同法56条の2を緩和している同法施行令135条の4第1項1号135条の12第1項1号)が,建築基準法上の斜線規制及び日影規制の各規定は,主として近隣居住者の生活環境上の利益(日照,採光,通風等)の確保等を目的として設けられた規定であって「線路敷」については,道路,・水面と同様に,上記利益の確保を要すべき人の居住の用に供される建築物の存在が通常は想定されないことから,同法施行令の上記各規定において当,,該各規制の緩和が定められたものと考えられこれらの政令の規定をもって「線路敷」が「建築物の敷地」となり得ないことを示す趣旨までも含むものと解することはできない。 - 14 -そして建築基準法は同法44条において同条各号に掲げる建築物地,,,(盤面下に設ける建築物,公益上必要な建築物で通行上支障がないと認められるもの等)を除き,建築物又は敷地を造 4 -そして建築基準法は同法44条において同条各号に掲げる建築物地,,,(盤面下に設ける建築物,公益上必要な建築物で通行上支障がないと認められるもの等)を除き,建築物又は敷地を造成するための擁壁を道路内に又は道路に突き出して建築してはならないと規定するように,建築物の敷地となる土地の性質上,特にその上空部分に建物を建築することを制限する必要があ,,,る場合にはその旨を明文で定めているところ建築基準関係規定において「線路敷地」又は「線路敷」の上空部分に建築物を建築することを明文で制限する規定は存しない。 ( )以上のとおり,建築基準関係規定においては,①「線路敷地」内に建築 基準法令上の「建築物」が建築されることのあり得ることを前提とする規定があり,かつ,②「線路敷地」又は「線路敷」内における建築物の建築を制限する規定は定められていないことからすれば,建築基準関係規定においては,線路敷地内はもとより,現に線路が敷設される土地である線路敷についても,建築物の敷地となり得ることが前提とされていると解するのが相当である。したがって,当該建築物の敷地に「線路敷地」又は「線路敷」が含まれることのみを理由に,当該建築物が建築基準関係規定に適合しないということはできない。 ( )この点について,被告は,(ア)建築基準法2条1号及び同法施行令13 ,,()5条の12第1項1号を根拠として建築基準法令上線路敷鉄道施設地は,原則として建築物の敷地として利用することができない旨主張し,(イ)平成2年事務連絡及び平成5年事務連絡が建築物の敷地として認め得る線,「路敷」につき「当該土地の実態を踏まえた合理的な範囲」又は「建築物と,,」,,外形上機能上一体的に利用されている土地に限定し東京都指導基準 務連絡が建築物の敷地として認め得る線,「路敷」につき「当該土地の実態を踏まえた合理的な範囲」又は「建築物と,,」,,外形上機能上一体的に利用されている土地に限定し東京都指導基準が「線路敷」の上空部分において建築物の敷地と認め得る土地につき「人工,地盤を設置した部分」に限定しているのも,上記(ア)の解釈を前提とするものであり,本件敷地に含まれる線路敷(鉄道施設地)はこれらの要件のいず- 15 -れにも該当しないので,建築物の敷地となり得ない旨主張する。 しかしながら,<A>建築基準法2条1号及び同法施行令135条の12第1項1号の解釈として,被告の上記(ア)の所論を採用できないことは,上記( )において既に説示したとおりであり,<B>上記(イ)の各事務連絡及び指 導基準は,いずれも行政庁の運用上の指針にすぎず,それ自体が法令の解釈の根拠となり得るものではない上,①平成2年事務連絡及び平成5年事務連絡は,いずれも,線路敷が建築物の敷地となり得ること(線路敷の上空部分に建築物が適法に存在し得ること)を前提とした上で,(a)前者は,線路敷における都市計画の容積率の指定,斜線規制・日影規制の緩和,列車の常時通行等の特殊性の観点から,建築物の敷地として取り扱われる線路敷を合理的な範囲のものにすべきであるとし(甲9,(b)後者は,敷地の二重使用)等や市街地の環境の過密化・悪化の防止の観点から,鉄道上空の建築物について,当該建築物と外形上,機能上一体的に利用されている土地については建築物の敷地として取り扱うとしており(甲10,②東京都指導基準も,)建築物の敷地の意義について「線路敷き上空部分においては,同令(引用,注:建築基準法施行令)に規定する一団の土地とは人工地盤を設置した部分をいう(第2,3)とし(甲11,その 京都指導基準も,)建築物の敷地の意義について「線路敷き上空部分においては,同令(引用,注:建築基準法施行令)に規定する一団の土地とは人工地盤を設置した部分をいう(第2,3)とし(甲11,その解説(甲12)において,建設」)省(当時)の見解として,上記①(a)と同様の観点から「原則人工地盤等,の設置等により建築敷地としての利用の実態が生じた部分のみを敷地として扱うべきであり,線路上空利用に関する敷地の範囲に関する指導基準の規定は,建築基準法の運用方針としても基本的に合理的なものと考えられる」としており,上記①と同様,線路敷がその上空に存する建築物の敷地となり得ることを前提とした上で,建築物の敷地の範囲について,人工地盤等の設置等のある部分を含めることも許容する趣旨と解されるので,いずれも,線路敷が建築物の敷地と認められない旨の被告の上記(ア)の所論の根拠となり得るものではない。 - 16 - 争点( )ア(本件敷地は「一団の土地」に該当するか否か)について ( )建築基準法令上「建築物の敷地」とは「1の建築物又は用途上不可分 ,,の関係にある2以上の建築物のある一団の土地(建築基準法施行令1条1」号)をいうものであるところ,ここにいう「一団の土地」とは,上記規定の構造等に照らすと,当該建築物と用途が不可分の関係にあり,これと共通の用途に現実に供されている土地であって,道路,河川,囲障等の物理的な障害によって隔てられずに連続した土地であることを要するというべきであり,避難,防火等の支障となるような物理的な障害によって隔てられている場合には,一団の土地に当たるということはできないと解するのが相当である。 ところで,鉄道技術基準令においては,鉄道に関する建築限界として,旅客及び係員の安全に支障を及ぼすおそれのない てられている場合には,一団の土地に当たるということはできないと解するのが相当である。 ところで,鉄道技術基準令においては,鉄道に関する建築限界として,旅客及び係員の安全に支障を及ぼすおそれのないように建築限界を定める必要があるとし(同令20条1項,建築限界内に建物その他の建造物等を設け)てはならないとするほか(同条4項,建築限界外であっても建築限界内に)崩れるおそれのある物を置いてはならないとし(同条6項,建築限界内及)びその周辺における建築物等の設置に厳格な制限を加えている。そして,上記建築限界が車両の走行に伴って生ずる動揺等を考慮して定められることからすれば(同条1ないし3項,鉄道技術基準令の上記規定は,線路を基準)として設定される建築限界内における建築物の建築を禁止しているということができる。そうすると,特定の土地に線路が設置された場合,当該線路を基準として建築物の建築が許容されない空間が設定されることになるのであるから,線路及びその周辺における避難,防火等の支障も併せ考えると,線路敷は,河川,道路又は囲障等と同様,これに接する各土地相互の連続性を遮断する物理的な障害としての性質を有する土地であるというべきであり,線路敷によって隔てられる土地については,原則として,一団の土地ということはできないと解するのが相当である。 - 17 -( )もっとも,前記1のとおり,建築基準法令上,線路敷が建築物の敷地と なり得ないものとされているとはいえず,鉄道技術基準令において建築物の建築等が制限されるのは,車両及び建築物の安全を図るため,設置された線路を基準とする一定の空間に限定されると解されること,また,建築物の敷地となり得る一団の土地であるか否かは,建築確認の申請において敷地として特定される土地が客観的に連続した土地であ め,設置された線路を基準とする一定の空間に限定されると解されること,また,建築物の敷地となり得る一団の土地であるか否かは,建築確認の申請において敷地として特定される土地が客観的に連続した土地であるか否かを基準として判断すれば足りることからすれば,①線路敷の建築限界外である上空を利用して建築物を建築した場合には,その上空が利用されている線路敷については,これを当該建築物の敷地に含めることが否定されるものではなく,②当該建築物が線路敷の上空を占める関係になくても,建築限界外に建築物の敷地となり得る人工地盤等が設置されている場合において,当該人工地盤等を建築物の敷地として観念し,その部分を介在して線路敷により隔てられた土地がなお連続性を維持していると認められるときは,これらを連続した土地と観念し,一団の土地と認めることが妨げられるものではないと解される。 ( )そこで,上記( )及び( )の判断の枠組みを前提として,本件敷地が「一 団の土地」に当たるか否かを検討するに,前記前提事実( )アのとおり,本 件敷地は,南側から北側への順に,<ア>本件予定建築物と接する土地,<イ>下り方面の電車の乗客が利用するプラットホームが設置された土地,<ウ>下り方面の電車が走行する線路が敷設された土地,<エ>上り方面の電車が走行する線路が敷設された土地,<オ>上り方面の電車の乗客が利用するプラットホームが設置された土地によって構成されるところ,上記<ウ>及び<エ>の各土地は,電車が走行する線路が敷設された土地であり,線路敷に該当し,証拠(甲1)によれば,本件予定建築物は,その一部が上記<イ>及び<ウ>の土地の一部の上空に張り出す構造となっているものの,上記<イ>及び<ウ>の土地の他の部分並びに上記<エ>の土地の上空には張り出しておらず,これら ば,本件予定建築物は,その一部が上記<イ>及び<ウ>の土地の一部の上空に張り出す構造となっているものの,上記<イ>及び<ウ>の土地の他の部分並びに上記<エ>の土地の上空には張り出しておらず,これらの土地には,本件予定建築物と関連する人工地盤等も設けられていない。そう- 18 -すると,上記<イ>及び<ウ>の土地のうち,本件予定建築物が張り出している部分を上空とする線路敷の一部を建築物の敷地とみる余地があるとしても,本件予定建築物が現に接している上記<ア>の土地を基準としてみた場合,少なくとも上記<エ>の土地については,建築限界内の建築物の建築が禁止される現に電車が走行する線路が敷設された線路敷であって,本件予定建築物はその上空に張り出しておらず,その建築限界外に独立した建築物の敷地と評価できる人工地盤等の設置もされていない以上,上記<ア>の土地との連続性の有無を判断する上では,物理的な障害となる土地に当たるというべきであり,上記<オ>の土地は,上記<エ>の土地により隔てられている土地であるというほかなく,上記<ア>,<イ>及び<ウ>の土地との間の連続性があるとはいえない。 ,,なお上記<イ>の土地上に設置されているプラットホームの中央部分には上記<オ>の土地上に設置されているプラットホームと連結する形態の既存の跨線橋があるが,①証拠(甲1)によれば,同跨線橋は,本件予定建築物と直接接続するものではなく,本件予定建築物とは別個の構造のものであると認められ,外観,構造又は機能のいずれの観点からも,本件予定建築物と一体の関係にあるということはできず,本件予定建築物の一部として上記<エ>の上空に張り出しているものと評価し得るものとは認められないし,また,②跨線橋として設置されたものにすぎないことからすれば,それ自体を線路敷とは独立し はできず,本件予定建築物の一部として上記<エ>の上空に張り出しているものと評価し得るものとは認められないし,また,②跨線橋として設置されたものにすぎないことからすれば,それ自体を線路敷とは独立した建築物の敷地と評価し得るものと認めることもできない。 このように,本件敷地は,少なくとも,物理的な障害としての線路敷である上記<エ>の土地によって,上記<ア>,<イ>及び<ウ>の土地と上記<オ>の土地とが隔てられており,上記( )の①又は②の事情も認められない以上,連 続した土地ということはできないといわざるを得ないから,本件敷地をもって一団の土地であると認めることはできない。 ( )これに対し,原告は,線路敷を敷地として利用した上で建築確認を得た - 19 -自社の他駅の実例として,<A>α線κ駅,<B>ζ線λ駅,<C>ζ線μ駅,<D>γ線ν駅,<E>α線ξ駅があるとし,建築確認の実務においては,本件敷地もこれらと同様に一団の土地として建築物の敷地となり得る旨主張する。 しかしながら,本件とは建築物の形状及び敷地の状況等を異にする建築計画について,異なる処分行政庁がした建築確認が存在するとしても,そのことが直ちに本件敷地が建築敷地に含まれることの根拠となるものではなく,個々の実例に関しても,以下のとおり,本件とは異なり,上記( )の①又は ②の事情を踏まえ,敷地全体としての連続性を肯定し得る事例であるといえるので,本件敷地が一団の土地に該当するか否かを判断する上で,上記( ) の認定を左右するものとは認められない。 ア証拠(甲22の1,同22の2の1・2,同22の3・4,同29)によれば,上記<A>のα線κ駅においては,本件とは異なり,線路敷の上空の全体を覆う形状の建築物が建築されており,これらの建築物に上空を覆われる範囲をも 同22の2の1・2,同22の3・4,同29)によれば,上記<A>のα線κ駅においては,本件とは異なり,線路敷の上空の全体を覆う形状の建築物が建築されており,これらの建築物に上空を覆われる範囲をもって建築物の敷地としているものと認められ,上記( )の ①の事情を踏まえ,敷地全体としての連続性を肯定し得る事例であるといえる。 (,,),,イ 証拠 甲17 によれば上記<B>のζ線λ駅においては線路敷の上空の大半を覆う形状の建築物が建築されており,線路敷の一部に上空を建築物で覆われない部分が存するものの,本件とは異なり,当該部分の線路敷は敷地境界線付近の限局された範囲に位置するため上記( ), の①の事情を踏まえ,敷地全体としての連続性を肯定し得る事例であるといえる。 ウ証拠(甲20の1ないし3,同21の1ないし5,同27,28)によれば,上記<C>及び<D>のζ線μ駅及びγ線ν駅においては,線路が敷設された地盤面が,駅施設が設置された地盤面とは異なる水平面にあり,線- 20 -路が敷設された部分の下又は上に駅の通路が設置され,これが駅舎となる建築物と一体の関係となる構造が採用され,線路敷の建築限界外に独立した建築物の敷地と評価し得る各地盤面の設置がされていると認められ,このような地盤面の設置を欠く本件予定建築物及び本件敷地とは形態・構造を全く異にするもので,上記( )の②の事情を踏まえ,敷地全体としての 連続性を肯定し得る事例であるといえる。 エ証拠(甲23の1ないし8,30)によれば,上記<E>のα線ξ駅においては,店舗,駅施設及びコンコースが一体の建築物であり,同駅と南側道路との境界部分が高架状になっており,上記建築物と高架部分とが一体となっているといえ,プラットホーム及び線路の設置・敷設され においては,店舗,駅施設及びコンコースが一体の建築物であり,同駅と南側道路との境界部分が高架状になっており,上記建築物と高架部分とが一体となっているといえ,プラットホーム及び線路の設置・敷設された地盤が上記高架部分の一部であることからすれば,上記建築物(店舗,駅施設及びコンコース)と上記地盤(プラットホーム及び線路の設置・敷設された地盤とが一体となっている構造・形状であるということができ上記( )), ②の事情を踏まえれば,建築物の上方に設置された人工地盤上に線路敷があるものと同視して,敷地全体としての連続性を肯定し得る事案であるといえるし,また,同駅のコンコースとプラットホームは連続しており,構造上,機能上,外観上一体となっているといえるところ,当該線路敷は,敷地境界線付近(東北端と東南端)の限局された範囲に位置するにすぎないので,上記( )の①の事情を踏まえても,敷地全体としての連続性を肯 定し得る事例であるといえる。 ( )また,原告は,1つの駅の駅舎の増築として物理的に1つの建築物の増 築がされる以上,その用途は可分にはならず,線路敷とその余の本件敷地が客観的に区分されるものではなく,本件敷地は一団の土地に当たる旨主張する。しかしながら,駅とは,旅客の乗降又は貨物の積卸しを行うために使用される場所をいうところ(鉄道技術基準令2条7号,駅の設置される土地)が建築基準法施行令1条1号の一団の土地でなければならない必然性はない- 21 -し,駅の設置される土地であるとしても,それが一団の土地に該当するか否かは,上記( )及び( )で説示した基準に従い,線路敷の性質,個々の建築物 の構造・形状,当該建築物及びその敷地の線路敷との位置関係等に即して個別具体的かつ客観的に判断されるべきものであり,上記概念とし )及び( )で説示した基準に従い,線路敷の性質,個々の建築物 の構造・形状,当該建築物及びその敷地の線路敷との位置関係等に即して個別具体的かつ客観的に判断されるべきものであり,上記概念としての駅の個数のみをもって一団の土地であるか否かが判断されるべきものではないから,原告の上記主張は,上記( )の認定を左右するものではない。 ,。 原告のその余の主張も上記( )の認定を左右するものとは認められない ( )なお,付言するに,本件予定建築物の計画については,上記( )アないし ウの他駅の実例にかんがみ,車両及び建築物の安全を旨とする鉄道技術基準令の趣旨に沿って,上記( )の①又は②の事情を踏まえて敷地全体としての 連続性を肯定し得るように,建築物の構造・形状並びに建築物及びその敷地の線路敷との位置関係等に所要の修正を加えることによって,当該計画を建築基準法施行令1条1号所定の「一団の土地」の要件に適合させることができるものと解されるので,今後,かかる所要の修正を加えた建築物の計画の策定及びこれに基づく再度の建築確認の申請の検討について考慮を要するものと考えられる。 以上によれば,本件予定建築物の計画は,一団の土地とはいえない土地をその敷地として申請されたものといわざるを得ず,建築基準法施行令1条1号に適合しないものであるといえるから,その余の点(争点( )イ)について判断 するまでもなく,本件申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないとした本件処分は,適法であるということができる。 第4 結論 よって,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部- 22 -裁判長裁判 告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部- 22 -裁判長裁判官岩井伸晃裁判官三輪方大裁判官小島清二

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