令和5(ネ)206 女川原子力発電所運転差止請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年11月27日 仙台高等裁判所 棄却 仙台地方裁判所 令和3(ワ)673
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判決文本文44,318 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、宮城県牡鹿郡女川町塚浜字前田1において、女川原子力発電所2号機を運転してはならない。 第2 事案の概要(以下、略称等は、原則として原判決の表記による。) 1 事案の要旨 本件は、被控訴人が設置する東北電力女川原子力発電所(本件発電所)からおおむね半径5kmを超え30kmの範囲(原子力災害対策重点区域の設定の目安において緊急防護措置を準備する区域(UPZ))内に居住している控訴人ら16名(原審においては、控訴しなかった1名を含む17名)が、被控訴人に対し、宮城県及び石巻市が策定している原子炉施設における事故の際の周辺住民の避 難計画(本件避難計画)には実効性がなく、女川原子力発電所2号機(本件2号機)は国際原子力機関(IAEA)の採用する5層の深層防護の安全基準を満たしていないから、その運転再開により控訴人らの人格権が侵害される具体的危険があるとして、人格権に基づく妨害予防請求として、本件2号機の運転差止めを求める事案である。 2 原判決及び本件控訴原判決は、人の生命・身体は、それ自体が極めて重要な保護法益であるから、生命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険がある場合には、違法な侵害行為を予防するため、人格権に基づく妨害予防請求として、当該侵害行為の差止めを求めることができるところ、人格権侵害の具体的危険の存在についは、 上記差止めを求める控訴人らにおいてこれを主張立証すべき責任を負うのであ り、この点は原子炉施設の運転差止請求においても異なるところはないとした。 その上で、控訴人らの主張は、本件避難計画 上記差止めを求める控訴人らにおいてこれを主張立証すべき責任を負うのであ り、この点は原子炉施設の運転差止請求においても異なるところはないとした。 その上で、控訴人らの主張は、本件避難計画は実効性を欠いているとし、本件2号機において放射性物質が異常に放出される事故が発生した場合には、事故により放出された放射性物質による放射線に被ばくする危険があることをもって控訴人らの人格権侵害の具体的危険があるとするものであるが、本件2号機の運 転再開によって放射性物質が異常に放出される事故が発生する危険については何ら主張立証がないから、仮に本件避難計画が実効性を欠くものであったとしても、控訴人らの人格権が違法に侵害される具体的危険があると認めることはできないとして、控訴人らの請求を棄却した。 控訴人らは、これを不服として本件控訴を提起した。 3 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張次のとおり補正し、後記4において当審における争点とこれに関する当事者の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」(以下、単に「原判決の第2」などという。)の2から4までのとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)(1) 2頁1行目の「弁論の全趣旨」を「甲B34の1~16」に改める。 (2) 5頁13行目の「(以下「原災法」という。)」を削除する。 (3) 6頁1行目の末尾の次に、改行して、次のとおり加える。 「ウ本件避難計画を含む女川地域の緊急時対応については、令和2年3月に開 催された第1回女川地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らし、その内容が具体的かつ合理的なものとなっているとの確認がされ、令和2年6月に開催された第2回女川地域原子力防災協議会において、新 1回女川地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らし、その内容が具体的かつ合理的なものとなっているとの確認がされ、令和2年6月に開催された第2回女川地域原子力防災協議会において、新型コロナウイルス感染拡大を受けて改定された女川地域の緊急時対応の内容についても、具体的かつ合理的であるとの確認がされ、同月に開催され た第10回原子力防災会議において、その内容が了承された(甲B16の5 の33、甲B16の10、甲B41の1、乙1)。」 4 当審における争点とこれに関する当事者の主張の骨子(1) 当審における争点本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した女川地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原 子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるか。 (2) 控訴人らの主張の骨子本件避難計画においては、UPZ内住民が避難又は一時移転(以下、この両者を併せて「避難等」ということがある。)する場合、同住民らは、自家用車又は宮城県等が手配したバス等により避難退域時検査場所(検査所)に向かい、 検査所において放射性物質の付着につき車両等の検査及び必要に応じて簡易除染を実施の上、避難所受付ステーションに向かい、避難先に移動するための受付等を実施した後、避難先に向かうこととされている。 しかし、実際には検査所は開設できないし、開設しても継続できない。また、バスの確保と配備もできないから、自家用車で検査所に向かった住民や一時集 合場所でバスを待つ住民は避難することができず、UPZ内に閉じ込められ、多量の放射性物質を浴びることになる。女川地域原子力防災協議会及びその作業部会は、この点について全く議論を行っていない。それにもかかわらず、本件避難計画が することができず、UPZ内に閉じ込められ、多量の放射性物質を浴びることになる。女川地域原子力防災協議会及びその作業部会は、この点について全く議論を行っていない。それにもかかわらず、本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であると判断したことには看過し難い過誤・欠落があり、これを了承した原子力防災会議 の判断にも看過し難い過誤・欠落がある。 以上についての控訴人らの主張の要旨は、別紙「当審における争点についての控訴人らの主張の要旨」のとおりである。 (3) 被控訴人の主張の骨子控訴人らの主張は、段階的避難等を前提とする原子力災害対策指針の防護措 置の考え方を踏まえず、一斉避難を前提とした場合の避難計画の個別の問題点 を縷々主張しているものに過ぎず、防災基本計画及び原子力災害対策指針が基本理念として示す「減災」の考え方に照らしても、女川地域原子力防災協議会ないし原子力防災会議の判断に看過し難い過誤や欠落があることを主張するものとなっていない。 以上についての被控訴人の主張の要旨は、別紙「当審における争点について の被控訴人の主張の要旨」のとおりである。 第3 当裁判所の判断当裁判所も控訴人らの請求は理由がないと判断する。その理由は、以下のとおりである。 1 認定事実 次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の第3の1のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)(1) 11頁16行目冒頭から13頁3行目末尾までを次のとおり改める。 「(1) 原子力安全における深層防護 ア 「深層防護の考え方」とは、一般に、安全に対する脅威から人を守ることを目的として、ある目標を持ったいくつかの障壁(防護レベル)を用意して、あるレベルの防護に失敗したら次のレ る深層防護 ア 「深層防護の考え方」とは、一般に、安全に対する脅威から人を守ることを目的として、ある目標を持ったいくつかの障壁(防護レベル)を用意して、あるレベルの防護に失敗したら次のレベルで防護するという概念である。災害等に対するある一つの対策が完璧に機能するのであれば、対策はそれだけで十分なはずである。しかし、これら対策はある想定に基づい て考えられるものであり、その想定から抜け落ちている事項や人知が及ばないような事項が存在することは否定できない。そのため、事前に十分と思われた対策でも思いがけない事由で失敗するかもしれないという不確かさの影響を考慮して、別の対策を次の防護レベルの対策として繰り返すことにより、一連の防護策全体の実効性を高めようとするのが深層防護の 概念である。深層防護の概念は原子力安全に特有のものではないが、原子 力の利用においては、炉心に大量の放射性物質を内蔵している原子炉施設のように、人と環境に対して大きなリスク源が内在し、かつ、どのようにリスクが顕在化するのか不確かさも大きいという特徴があることから、不確かさに対応しつつ、リスクの顕在化を徹底的に防ぐために、深層防護の概念を適用することが有効と考えられている(甲A35〔2頁、3頁〕〕)。 イこのように、原子力安全のための深層防護は、事前には十分と思われた対策でも思いがけない理由で失敗するかもしれず、一つの対策だけではリスクの顕在化を防ぐことができないという不確かさの影響を考慮して、放射線リスクから人と環境を護るための防護策全体の実効性(成功確率)を高めるために適用されるものである(甲A35〔3頁〕、甲A36〔21 頁〕)。国際原子力機関(IAEA)は、その基本安全原則(No.SF-1)において、「異なる防護レベル 実効性(成功確率)を高めるために適用されるものである(甲A35〔3頁〕、甲A36〔21 頁〕)。国際原子力機関(IAEA)は、その基本安全原則(No.SF-1)において、「異なる防護レベルの独立した有効性が、深層防護の不可欠な要素」(甲A38〔13頁〕)とし、INSAG-10(平成8年(1996年))以降、5段階の防護層(以下、防護層を「防護レベル」又は単に「レベル」ということがあり、それぞれの防護層を「第1の防護 レベル」又は「第1のレベル」などということがある。)を設定する深層防護を示しており、これらは概ね次のように関係付けられている(甲A1〔118頁〕、甲A35〔7、8頁〕)(以下、ここで示された深層防護を、単に「深層防護」ということもある。)。 第1層:異常運転や故障の防止(そもそもの発端となる異常や故障等のト ラブルの発生を防止するために、実証された技術に基づいて十分余裕のある設計を行うこと、必要に応じ地震や飛来物等の個々の誘引事象に対する防護設計を行うこと、高い品質管理システムに基づいて保守管理を行うこと等が図られる。)第2層:異常運転の制御及び故障の検知(トラブルが起きた場合にそれを 直ちに検知して対応することにより、それが事故に発展するのを 防ぐため、運転パラメータがある許容範囲を超えたときに制御棒を自動挿入して原子炉を停止すること等が図られる。)第3層:設計基準内への事故の制御(事故に備えて、その影響を緩和するため、例えば、原子炉冷却系の配管が破断し、冷却水が流出して炉心が空焚きになるような事故に対して非常用炉心冷却系を用 意しておくこと、また、放射性物質の環境への放出を防ぐために頑丈で気密性の高い格納容器を用意しておくこと、格納容器が内圧によって破損するのを防止する なるような事故に対して非常用炉心冷却系を用 意しておくこと、また、放射性物質の環境への放出を防ぐために頑丈で気密性の高い格納容器を用意しておくこと、格納容器が内圧によって破損するのを防止するために格納容器冷却系を用意すること等が図られる。)第4層:事故の進展防止及びシビアアクシデントの影響緩和を含む、過酷 なプラント状態の制御(設計基準を超すような事故状態になったときに備えて、それがシビアアクシデントになるのを防止するための対策及びシビアアクシデントになってしまった後にその影響を緩和するための対策が用意される。)第5層:放射性物質の大規模な放出による放射線影響の緩和(サイト外の 緊急時対応)(放射性物質又は放射線の異常な放出あるいはそのおそれがある場合に、周辺住民の健康を防護する等のため、防災対策が図られる。)そして、それぞれ目標を持った上記第1層から第5層までの5つの防護レベルで最善が尽くされることにより、初めて全体としての効果が期待さ れるものであって、他の防護レベルに依存して対策を考えるべきものではないという独立性が必要とされる。 ウ他方、深層防護においては、第1から第5レベルまで総合力で安全を守るシステム論として考えられており(甲A36〔15、21頁〕)、このことを踏まえると、深層防護で求められる各防護レベルの独立性とは、あ るレベルが機能しないことが他のレベルに影響を与えないことを意味す るものであり、各防護レベルが相互に無関係に考えられるべきということを意味するものではなく、各レベルで機能を補完することを否定するものでもない(甲A35〔5頁〕、甲A36〔14、15頁〕)。 かえって、防護レベル全体の性能を高めるためには、防護レベル1から5までが適切な厚みを持った上で、 レベルで機能を補完することを否定するものでもない(甲A35〔5頁〕、甲A36〔14、15頁〕)。 かえって、防護レベル全体の性能を高めるためには、防護レベル1から5までが適切な厚みを持った上で、各レベルの防護策がバランスよく配置 され、一つ又は二つの防護レベルに負担が集中しないことが重要であり(甲A35〔5頁〕、甲A36〔24頁〕)、そのためには、各レベルの対応で守れるものと守れないものの見極めが必要であると共に(例えば、事故の影響が人体に及ぶこと(住民の被ばく)を避けるためには、第5レベルの活動は有効であるが、環境への影響(放射性物質の施設外漏洩等) を防ぐためには、第5レベルの活動は無効である(甲A36〔15、17頁〕)。)、各レベルでその対応機能を検討し、準備していく際の他のレベルへの要求を明らかにしておく必要があり(例えば、一方で、設備の機能不全を事業者の対応によってカバーし、その対応で事故を封じ込められない場合は、住民避難等の地域防災で対応することが考えられるが、他方 では、第5レベルとして位置付けられる地域防災が有効に働く状況まで、施設の事故をコントロールすることが求められるとも考えられる(甲A36〔17頁〕)。)、また、後段の防護レベルの対策を、より有効にするため、必要に応じて、前段の防護レベルへの要求を厳しくすること等も検討されなければならないとされている(甲A36〔24頁〕)。 なお、防護レベルは、複数の対策の集合体であり、レベル相互に独立な効果を発揮することが要求されるが、個別の対策に対し独立性が求められるものではない(甲A36〔23頁〕)。 エ以上の観点からみると、第1ないし第4の防護レベルは、異常運転や故障を防止し、それが発生した場合に事故に発展することを防止し又は事故 が求められるものではない(甲A36〔23頁〕)。 エ以上の観点からみると、第1ないし第4の防護レベルは、異常運転や故障を防止し、それが発生した場合に事故に発展することを防止し又は事故 の影響を緩和し、事故の進行を緩和すること等を目標とする施設内の対策 を内容とするものであり(上記イ)、第5の防護レベルは、放射性物質の大規模な放出による放射線影響の緩和を目標とする施設外の対策を内容とするものであり、周辺地域における緊急時対応のための計画策定、運用、資機材準備、訓練、情報連絡などが実行内容である(甲A36〔31頁〕、甲A37〔8頁〕)と考えられる。」 (2) 15頁6行目冒頭から19行目末尾までを次のとおり改める。 「 原子力規制委員会が平成24年10月31日に定め、その後順次改正されてきた原子力災害対策指針(令和5年11月1日一部改正後のものが乙11)は、放射性物質又は放射線の放出という特有の現象が生じる原子力災害では、原子力に関する専門的知識を有する機関の役割、当該機関による指示、助言等が極 めて重要であることなどの特殊性を理解し、これを考慮して一般的な災害対策と連携して対応していく必要があるとした上で、原子力災害事前対策の基本的考え方として、「原子力災害が発生した場合には、原子力事業者、国、地方公共団体等が、住民の健康、生活基盤及び環境への影響を、事態の段階に応じた最適な方法で緩和し、影響を受けた地域が可能な限り早く通常の社会的・経済 的な活動に復帰できるよう、様々な行動をとらなければならない。これらの行動が、事態の段階に応じて有効に機能するためには、平時から、適切な緊急時の計画の整備を行い、訓練等によって実行できるように、準備を十分に行っておく必要がある。」とする(乙11〔4、5頁〕)。 行動が、事態の段階に応じて有効に機能するためには、平時から、適切な緊急時の計画の整備を行い、訓練等によって実行できるように、準備を十分に行っておく必要がある。」とする(乙11〔4、5頁〕)。 そして、緊急事態における防護措置実施の基本的考え方として、緊急事態へ の対応の状況を、準備段階・初期対応段階・中期対応段階・復旧段階に区分し、準備段階では「原子力事業者、国、地方公共団体等がそれぞれの行動計画を策定して関係者に周知するとともに、これを訓練等で検証・評価し改善する必要がある。」とし、初期対応段階では、「IAEA等が定める防護措置の枠組みの考え方を踏まえて、初期対応段階において、施設の状況に応じて緊急事態の 区分を決定し予防的防護措置を実行するとともに、観測可能な指標に基づき緊 急防護措置を迅速に実行できるような意思決定の枠組みを構築する。」(乙11〔5、6頁〕)とした上で、緊急事態区分及び緊急時活動レベル(EAL)や運用上の介入レベル(ОIL)につき、基本的な考え方や具体的基準等につき詳細に定め、これらに基づいて原子力事業者、国、地方公共団体が採ることを想定される措置等が整理されている(乙11〔表1-1から1-3〕)。そ して、これらの防護措置の枠組みの下、原子力事業者、国及び地方公共団体は、緊急時においてそれぞれの役割を適切に果たすことが重要であり、そのため、原子力災害に関する情報提供や防護措置の準備を含めた必要な対応について、あらかじめ、国は防災基本計画や原子力災害対策マニュアル等に、地方公共団体は地域防災計画(原子力災害対策編)に、原子力事業者は原子力事業者防災 業務計画に、それぞれ定めておかなければならないとされている(乙11〔5から47頁〕)。 また、「原子力災害が発生した場合において、 画(原子力災害対策編)に、原子力事業者は原子力事業者防災 業務計画に、それぞれ定めておかなければならないとされている(乙11〔5から47頁〕)。 また、「原子力災害が発生した場合において、放射性物質又は放射線の異常な放出による周辺環境への影響の大きさ、影響が及ぶまでの時間は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件、周辺の環境状況、住民の居住状況等により異 なるため、発生した事態に応じて臨機応変に対処する必要がある。その際、住民等に対する被ばくの防護措置を短期間で効率的に行うため、あらかじめ異常事態の発生を仮定し、施設の特性等を踏まえてその影響の及ぶ可能性がある区域を定めた上で、重点的に原子力災害に特有な対策を講じておくことが必要である。」とし、原子力災害対策重点区域の設定に関する事項(原災法6条の2 第2項3号)として、発電用原子炉施設に係る原子力災害対策重点区域の設定について、予防的防護措置を準備する区域(PAZ)が原子力施設からおおむね半径5kmの範囲内、緊急防護措置を準備する区域(UPZ)が原子力施設からおおむね半径30kmの範囲内を目安とした上で、地方公共団体が各地域防災計画(原子力災害対策編)において原子力災害対策重点区域を設定するに 当たっての留意点等を定めている(乙11〔47から51頁〕)。 次に、緊急事態応急対策の基本的な考え方として、「原子力災害の発生時においては、限られた時間内に得られる確実性の高い情報に基づき住民等の防護措置を的確かつ迅速に講ずることが必要である。その際、観測可能な数値に基づき、当事者が事態に応じた防護措置を行うことが重要である。」とし、異常事態の把握及び緊急事態応急対策として、「原子力施設の周辺に放射性物質若 しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある に基づき、当事者が事態に応じた防護措置を行うことが重要である。」とし、異常事態の把握及び緊急事態応急対策として、「原子力施設の周辺に放射性物質若 しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合には、まず、原子力事業者が施設の状況等に基づき該当する緊急事態区分を判断し、国、地方公共団体等に対して緊急事態の通報を行なわなければならない。この通報の際、原子力事業者は、緊急事態区分に応じた防護措置の提案を行うことが望ましい。」とし、国、地方公共団体は、原子力事業者からの通報等を踏まえ、上記の原子力 災害事前対策における緊急事態における防護措置実施の基本的な考え方において示された流れに沿って、緊急事態応急対策を実施するものとされている(乙11〔65頁〕)。 そして、原子力施設の周辺に放射性物質若しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合の防護措置として、①避難等、②屋内退避、③安定ヨウ素 剤の配布及び服用、④原子力災害医療、⑤避難退域時検査及び簡易除染、⑥甲状腺被ばく線量モニタリング、⑦飲食物の摂取制限、⑧緊急事態応急対策に従事する者の防護措置、⑨各種防護措置の解除につき定めている。このうち、①の避難等については、「UPZにおいては、原子力施設の状況に応じて、段階的に避難を行うことも必要である。」「実施に当たっては、原子力規制委員会 が、施設の状況や緊急時モニタリング結果等を踏まえてその必要性を判断し、国の原子力災害対策本部が、輸送手段、経路、避難所の確保等の要素を考慮した避難等の指示を、地方公共団体を通じて住民等に混乱がないよう適切かつ明確に伝えなければならない。このためには、各種の輸送手段、経路等を考慮した避難計画の立案が必要である。」「特に、施設敷地緊急事態要避難者のうち、 直ちにUPZ外の避難所 乱がないよう適切かつ明確に伝えなければならない。このためには、各種の輸送手段、経路等を考慮した避難計画の立案が必要である。」「特に、施設敷地緊急事態要避難者のうち、 直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施することにより健康リスクが高ま ると判断される者については、安全に避難が実施できる準備が整うまで、近隣の、放射線防護対策を講じた施設、放射線の遮蔽効果や気密性の高い建物等に一時的に屋内退避させるなどの措置が必要である。」とされ(乙11〔68頁〕)、②の屋内退避については、「避難の指示等が国等から行われるまで放射線被ばくのリスクを低減しながら待機する場合や、避難又は一時移転すべきである が、その実施が困難な場合、国及び地方公共団体の指示により行うものである。」とされ、具体的な屋内退避の措置は、原子力災害対策重点区域の内容に合わせて、「UPZにおいては、段階的な避難やОILに基づく防護措置を実施するまでは屋内退避を原則実施しなければならない。」とされている(乙11〔68ないし69頁〕)。⑤避難退域時検査及び簡易除染については、住民 等の円滑な避難や一時移転の妨げとならないよう原子力災害対策重点区域の境界周辺から避難所等までの避難経路上又はその近傍の適所を選定し、また、避難等の迅速性を損なわないよう十分に留意して行うものとされている(乙11〔71頁〕)。 結びとして、そもそも防災とは、新たに得られた知見や把握できた実態等を 踏まえ、実効性を向上すべく不断の見直しを行うべきものであり、同指針についても、このような観点から、今後の検討結果に加えて、地方公共団体の取組状況や防災訓練の結果等を踏まえ継続的な改定を進めていくものとされている(乙11〔81頁〕)。」(3) 15頁22行目冒頭から16頁25行目末尾 点から、今後の検討結果に加えて、地方公共団体の取組状況や防災訓練の結果等を踏まえ継続的な改定を進めていくものとされている(乙11〔81頁〕)。」(3) 15頁22行目冒頭から16頁25行目末尾までを次のとおり改める。 「(ア) 防災基本計画は、災害の発生を完全に防ぐことは不可能であるが、衆知を集めて効果的な災害対策を講じるとともに、国民一人一人の自覚及び努力を促すことによって、できるだけその被害を軽減していくことを目指すべきであるとし、災害の軽減には災害時の効果的対応が重要であるが、これらは一朝一夕に成せるものではなく、国、公共機関、地方公共団体、事業者、住民 それぞれの、防災に向けての積極的かつ計画的な行動と相互協力の地道な積 み重ねにより達成してゆけるものであるとした上で、地震災害対策、津波災害対策などの自然災害が起因となるもの、航空災害対策、鉄道災害対策、原子力災害対策などの事故災害が起因となるものによって構成されている。そして、防災基本計画は、防災の基本理念として、災害の発生を完全に防ぐことは不可能であることから、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を 図る「減災」の考え方を採り、たとえ被災したとしても人命が失われないことを最重視し、また、経済的被害ができるだけ少なくなるよう、さまざまな対策を組み合わせて災害に備え、災害時の社会経済活動への影響を最小限にとどめなければならない、災害対策の実施に当たっては、国、地方公共団体及び指定公共機関は、それぞれの機関の果たすべき役割を的確に実施してい くとともに、相互に密接な連携を図るものとし、併せて、国及び地方公共団体を中心に、住民一人一人が自ら行う防災活動や、地域の防災力向上のために自主防災組織や地域の事業者等が連携して行う防災活動を促進する とともに、相互に密接な連携を図るものとし、併せて、国及び地方公共団体を中心に、住民一人一人が自ら行う防災活動や、地域の防災力向上のために自主防災組織や地域の事業者等が連携して行う防災活動を促進することで、国、公共機関、地方自治体、事業者、住民等が一体となって最善の対策をとらなければならないとする。また、災害応急段階における基本理念とし て、災害が発生するおそれがある場合は災害の危険性の予測を、発災直後は被害規模の把握を、それぞれ早期に行うとともに、正確な情報収集に努め、収集した情報に基づき、生命及び身体の安全を守ることを最優先に、人材・物質等災害応急対策に必要な資源を適切に配分するなどとする。そして、原子力災害対策の地域防災計画等において重点を置くべき事項として、原子力 災害対策指針を踏まえつつ、緊急事態における原子力施設周辺の住民等に対する放射線の重篤な確定的影響を回避し又は最小化するため、及び確率的影響のリスクを低減するための防護措置を確実に行うこととしている(乙10〔1ないし3、11頁〕)。 (イ) 防災基本計画の「第12編原子力災害対策編」においては、多岐にわた る事項につき詳細な定めが設けられているが、「第1 章災害予防」におい ては、迅速かつ円滑な災害応急対策等について、災害応急対策への備えとして、内閣府は、原子力防災会議決定に基づき、原子力発電所の所在する地域ごとに、関係府省庁、地方公共団体等を構成員等とする地域原子力防災協議会を設置するものとし、国(内閣府、関係省庁)は、同協議会における要配慮者対策、避難先や移動手段の確保、国の実働組織の支援、原子力事業者の 協力内容等についての検討及び具体化を通じて、地方公共団体の地域防災計画・避難計画に係る具体化・充実化の支援を行うものとされ 慮者対策、避難先や移動手段の確保、国の実働組織の支援、原子力事業者の 協力内容等についての検討及び具体化を通じて、地方公共団体の地域防災計画・避難計画に係る具体化・充実化の支援を行うものとされ、国(内閣府、関係省庁)、地方公共団体等は、各地域の地域原子力防災協議会において、避難計画を含むその地域の緊急時における対応(緊急時対応)が、原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認するもの とされ、内閣府は、原子力防災会議(原子力基本法3条の3ないし3条の7)の了承を求めるため、同協議会における確認結果を原子力防災会議に報告するものとされている(乙10〔258頁〕)。 地域原子力防災協議会は、道府県や市町村が作成する地域防災計画・避難計画等の具体化・充実化を支援するため、原子力発電所の所在する地域ごと に課題解決のためのワーキングチームとして設置されたものであり、本件発電所については、「女川地域原子力防災協議会」が設置されている。その構成員は、内閣府政策統括官(原子力防災担当)、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官、関係省庁審議官等、及び宮城県副知事であり、関係市町(女川町、石巻市、登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)及 び被控訴人がオブザーバーとして参加している。また、構成員を補佐するため、地域の内閣府原子力防災専門官、内閣府政策統括官(原子力防災担当)の担当者、道府県の担当者(課長級以上)、避難等の支援に係る実動省庁の担当者、原子力規制委員会その他の関係省庁の担当者、関係機関等並びに市町村の担当者及び原子力事業者による作業部会が置かれている(甲B15の 1の1、乙12)。 (ウ) 災害予防における避難誘導に関しては、地方公共団体は、屋内退避及び避難誘導 に市町村の担当者及び原子力事業者による作業部会が置かれている(甲B15の 1の1、乙12)。 (ウ) 災害予防における避難誘導に関しては、地方公共団体は、屋内退避及び避難誘導計画をあらかじめ策定するものとし、国(原子力規制委員会、原子力防災会議事務局、内閣府)及び原子力事業者は、必要な支援を行うものとすること、特に、PAZを管轄に含む地方公共団体においては、迅速な避難を行うための避難計画をあらかじめ策定するものとし、UPZを管轄に含む地 方公共団体においても、広域避難計画を策定するものとすることが定められている。また、地方公共団体は、屋内退避、避難や避難退域時検査及び簡易除染の場所・方法について、日頃から住民への周知徹底に努めるものとすること、なお、避難時の周囲の状況等により、屋内に留まっていた方が安全な場合等やむを得ないときは、屋内での待避等の緊急安全確保措置を講ずべき ことにも留意するものとされている(乙10〔267頁〕)。 (エ) 「第2章災害応急対策」では、警戒事態に該当する自然災害を認知したとき又は原子力事業者により報告された事象が原子力委員会において警戒事態に該当すると判断した時以降、事態の進行に応じた対策組織の設置等につき詳細な定めが置かれている。住民の避難開始となる全面緊急事態(EA L(GE))においては、原子力災害対策本部及び原子力災害現地対策本部の設置とその役割等が定められており、内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言を発出し、原子力規制委員会から提示された指示案を踏まえ、緊急事態応急対策実施区域を管轄する地方自治体が行うべき避難又屋内退避及び安定ヨウ素剤の服用又はその準備に関する指示等を含む緊急事態応急対策に関 する事項を指示するものとされ、また、現地対策本部は、対策 急対策実施区域を管轄する地方自治体が行うべき避難又屋内退避及び安定ヨウ素剤の服用又はその準備に関する指示等を含む緊急事態応急対策に関 する事項を指示するものとされ、また、現地対策本部は、対策拠点施設において、上記地方公共団体の災害対策本部とともに原子力災害合同対策協議会を組織して、原子力災害対策本部との相互に緊密な連携を確保するものとされている(乙10〔285ないし286頁〕)。 避難、屋内退避等の防護措置の実施については、地方公共団体は、内閣総 理大臣又は原子力災害対策本部長の指示に従い、又は独自の判断により、住 民等に対して、屋内退避又は避難のための立退きの指示(具体的な避難経路、避難先を含む。)等の緊急事態応急対策等を行うものとするが、退避時の周囲の状況等により避難のための立退きを行うことがかえって危険を伴うおそれがあり、かつ、事態に照らして緊急を要するときは、居住者等に対し、屋内での待避等の緊急安全確保措置を指示することができるものとされて いる(乙10〔290頁〕)。また、退避時検査及び簡易除染の実施については、原子力災害対策本部は、原子力災害対策指針を踏まえ、これを実施するよう地方公共団体に指示するものとされ、地方公共団体及び原子力事業者は、住民等がОILに基づき特定された区域等から避難又は一時移転した後に、住民等(避難輸送に使用する車両及びその乗務員を含む。)の避難退域 時検査及び簡易除染を行うものとされている(乙10〔292頁〕)。」(4) 17頁15行目の末尾の次に「その骨子は、当判決別紙「原子力災害時における石巻市広域避難計画(甲B5)の骨子」のとおりである。」を加え、16行目から25行目末尾までを次のとおり改める。 「ウ女川地域の緊急時対応の確認等 本件避難計画を 「原子力災害時における石巻市広域避難計画(甲B5)の骨子」のとおりである。」を加え、16行目から25行目末尾までを次のとおり改める。 「ウ女川地域の緊急時対応の確認等 本件避難計画を含む女川地域の緊急時対応については、令和2年3月25日、女川地域原子力防災協議会により、「女川地域の緊急時対応」として取りまとめられ、令和2年3月に開催された第1回女川地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らし、その内容が具体的かつ合理的なものとなっているとの確認がされ、令和2年6月に開催された第2回女川地 域原子力防災協議会において、新型コロナウイルス感染拡大を受けて改定された女川地域の緊急時対応の内容についても、具体的かつ合理的であるとの確認がされ、同月に開催された第10回原子力防災会議において報告され、その内容が了承された(甲B16の10、甲B16の5の33、甲B41の1、乙1)。女川地域の緊急時対応は、その後、2度改定されており、令和 5年12月26日には、第3回女川地域原子力防災協議会において、令和4 年2月に実施された国の令和3年度原子力総合防災訓練や、令和4年10月から令和5年1月に実施された令和4年度宮城県原子力防災訓練及び最近の検討状況等を踏まえた改定を行うことが確認されている(乙1、12ないし15、17ないし20)。」 2 争点(1)(本件避難計画が実効性を欠いていることをもって、直ちに本件2号 機の差止めを求めることができるか否か)及び争点(2)(本件避難計画が実効性を欠いているか否か)について(1) 控訴人らの主張の骨子控訴人らは、本件避難計画は、本件発電所について深層防護における第5の防護レベルに相当するものであり、第1ないし第4の防護レベルに相当する措 置と )について(1) 控訴人らの主張の骨子控訴人らは、本件避難計画は、本件発電所について深層防護における第5の防護レベルに相当するものであり、第1ないし第4の防護レベルに相当する措 置とは独立して防護の効果を上げられるものでなければならないところ、本件避難計画において、UPZ内の住民は、避難等に際し、自家用車又は宮城県等が手配したバス等により避難退域時検査場所(検査所)に向かい、検査所において放射性物質の付着につき車両等の検査及び必要に応じて簡易除染を実施の上、避難所受付ステーションに向かい、避難先に移動するための受付等を実 施した後、避難先に向かうこととされているが、実際には検査所は開設できないか、開設しても継続できないし、バスの確保と配備もできないから、自家用車で検査所に向かった住民や一時集合場所でバスを待つ住民は避難することができず、UPZ内に閉じ込められ、多量の放射性物質を浴びることになり、本件避難計画はその実効性に欠けており、そのため本件2号機の運転が再開さ れた場合には、本件発電所のUPZ内に居住する控訴人らの生命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険がある旨主張する。 (2) 判断枠組みア人の生命・身体は、それ自体が極めて重要な保護法益であるから、生命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険がある場合には、違法な侵 害行為を予防するため、人格権に基づく妨害予防請求として、当該侵害行為 の差止めを求めることができる。そして、人格権に基づく妨害予防請求としての差止請求においては、差止めを求める側において、人格権侵害の具体的危険の存在について主張立証すべき責任を負う。この点は、原子炉施設の運転差止請求においても異なるところはないというべきである。したがって、控訴人らが は、差止めを求める側において、人格権侵害の具体的危険の存在について主張立証すべき責任を負う。この点は、原子炉施設の運転差止請求においても異なるところはないというべきである。したがって、控訴人らが、本件避難計画が実効性を欠いており、そのことによって、生命・ 身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険があることを主張立証した場合には、人格権侵害に基づく妨害予防請求として、本件2号機の差止めが認められることになる。 イ他方、原子力発電所(その中核となる原子炉施設)は、原子核分裂の過程において高エネルギーを放出するウラン等の核燃料物質を燃料として使用 する装置であり、その稼働により、内部に多量の人体に有害な放射性物質を発生させるものであって、ひとたび重大事故を起こせば、放射性物質の放出、拡散によって、立地場所の周辺のみならず広範な地域の住民等の生命・身体に重大な危害を及ぼし、広範囲の環境を汚染し、経済的活動を停滞させ、ひいては地域社会を崩壊させるなど、他の分野の事故にはみられない深刻な影 響をもたらす危険性を有する極めて特異な施設である。そして、このような危険性(リスク)の顕在化を防ぐために、規制法において、原子炉施設の設置、運転等の安全性確保に係る定めを設け、災害対策基本法や原災法において、災害対策に係る定めを設けており、住民の避難等の防護措置に関する事項については、中央防災会議が作成した防災基本計画及び原子力規制委員会 が定めた原子力災害対策指針に基づいて作成される地域防災計画等により図られるものとされていることは、前記第2の3及び上記1(2)で補正の上で引用した原判決の第2の2(3)及び第3の1(2)のとおりである。 もとより、地域防災計画等は当該地域の個別具体的な事情を踏まえて作成されなければならず、そ 前記第2の3及び上記1(2)で補正の上で引用した原判決の第2の2(3)及び第3の1(2)のとおりである。 もとより、地域防災計画等は当該地域の個別具体的な事情を踏まえて作成されなければならず、その内容は、当該地域の実情を把握している地方公共 団体の広範な裁量に委ねられていると考えられるが、上記法の定め等に照ら すと、住民の避難等の防護措置が、上記法の定め等に基づき適切に講じられていないときは、その内容は当該地方公共団体の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと評価されるにとどまらず、原子炉施設の有する危険が顕在化する蓋然性が高く、生命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険があると事実上推定されると考えられる。 ウもっとも、上記の住民の避難等の防護措置に関する事項についての原子力災害対策指針の定めは、上記1(2)で原判決を補正の上引用して認定したとおり多岐にわたり、かつ、原子力防災に関する高度な専門的技術的知見と密接不可分の関係にあるということができる。そのため、国は、原子力防災の専門家等を構成員とし、関係市町村と原子力事業者をオブザーバーとする地 域原子力防災協議会を設置し、さらに各構成員の担当者らによる作業部会を置いて、地方公共団体の地域防災計画・避難計画に係る具体化・充実化の支援を行った上で、各地域の地域原子力防災協議会において、避難計画を含むその地域の緊急時における対応(緊急時対応)が、原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認し、原子力防災会議の了 承を求めるものとされている。 したがって、地域防災計画や避難計画の内容が原子力災害対策指針に沿ったものであり、それが原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることについて、上記過程を経た るものとされている。 したがって、地域防災計画や避難計画の内容が原子力災害対策指針に沿ったものであり、それが原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることについて、上記過程を経た確認及び了承がある場合には、当該地域防災計画・避難計画は、原子力災害対策指針等やその前提となる原子 力、防災等に関する専門的知見に照らし一応の合理性があり、原子炉施設の危険が顕在化する蓋然性は抑えられていると考えられ、やはり、本件2号機の差止めを求める控訴人ら側で、本件避難計画が実効性を欠いており、そのことによって、人の生命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険があることを主張立証する必要があるというべきである。 (3) 本件避難計画の検討 ア原子力災害対策指針の定め前記1(2)で補正の上引用する原判決の第3の1(2)イ(イ)のとおり、原子力災害対策指針は、異常事態の把握及び緊急事態応急対策として、原子力施設の周辺に放射性物質若しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合には、まず、原子力事業者が施設の状況等に基づき該当する緊急事態区 分を判断し、国、地方公共団体等に対して緊急事態の通報をし、国、地方公共団体は、原子力事業者からの通報等を踏まえ、上記の原子力災害事前対策における緊急事態における防護措置実施の基本的な考え方において示された流れに沿って、緊急事態応急対策を実施するものとしている(乙11〔65頁〕)。 そして、原子力施設の周辺に放射性物質若しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合の防護措置については、①避難等、②屋内退避、③安定ヨウ素剤の配布及び服用、④原子力災害医療、⑤避難退域時検査及び簡易除染、⑥甲状腺被ばく線量モニタリング、⑦飲食物の摂取制限、⑧緊急事態応 ある場合の防護措置については、①避難等、②屋内退避、③安定ヨウ素剤の配布及び服用、④原子力災害医療、⑤避難退域時検査及び簡易除染、⑥甲状腺被ばく線量モニタリング、⑦飲食物の摂取制限、⑧緊急事態応急対策に従事する者の防護措置、⑨各種防護措置の解除につき定めている。 このうち、①の避難等については、UPZにおいては、原子力施設の状況に応じて、段階的に避難を行うことも必要とし、その実施に当たっては、原子力規制委員会が、施設の状況や緊急時モニタリング結果等を踏まえてその必要性を判断し、国の原子力災害対策本部が、輸送手段、経路、避難所の確保等の要素を考慮した避難等の指示を、地方公共団体を通じて住民等に混乱 がないよう適切かつ明確に伝えるものとし、このためには、各種の輸送手段、経路等を考慮した避難計画の立案が必要であるとし、施設敷地緊急事態要避難者のうち、直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施することにより健康リスクが高まると判断される者については、安全に避難が実施できる準備が整うまで、近隣の、放射線防護対策を講じた施設、放射線の遮蔽効果や気密 性の高い建物等に一時的に屋内退避させるなどの措置が必要であるとして いる(乙11〔68頁〕)。 また、②の屋内退避については、避難の指示等が国等から行われるまで放射線被ばくのリスクを低減しながら待機する場合や、避難又は一時移転すべきであるが、その実施が困難な場合、国及び地方公共団体の指示により行うものとし、具体的な屋内退避の措置は、原子力災害対策重点区域の内容に合 わせて、UPZにおいては、段階的な避難やОILに基づく防護措置を実施するまでは屋内退避を原則実施しなければならないとされている(乙11〔68、69頁〕)。 さらに、⑤の避難退域時検査及び簡易除染については PZにおいては、段階的な避難やОILに基づく防護措置を実施するまでは屋内退避を原則実施しなければならないとされている(乙11〔68、69頁〕)。 さらに、⑤の避難退域時検査及び簡易除染については、住民等の円滑な避難や一時移転の妨げとならないよう原子力災害対策重点区域の境界周辺か ら避難所等までの避難経路上又はその近傍の適所を選定し、また、避難等の迅速性を損なわないよう十分に留意して行うものとされている(乙11〔71頁〕)。 イ本件発電所へのあてはめ本件発電所についても、前記1(4)で補正の上引用する原判決第3の1(3) ウのとおり、本件避難計画が策定され、これを含む女川地域の緊急時対応が女川地域原子力防災協議会により「女川地域の緊急時対応」としてとりまとめられており、これは、原子力災害対策指針等に沿うものと考えられる上、本件避難計画を含む女川地域の緊急時対応については、第1回及び第2回女川地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らし、具体的 かつ合理的なものとなっていることが確認され、その確認結果が報告された第10回原子力防災会議において、その内容が了承されている。このことからすると、本件避難計画は、原子力災害対策指針等に照らし、一応の合理性があると考えられることとなる。 (4) 深層防護の考え方との関係 ア控訴人らは、本件避難計画は、本件発電所について深層防護における第5 の防護レベルに相当するものであり、第1ないし第4の防護レベルに相当する措置とは独立して防護の効果を上げられるものでなければならないが、本件避難計画はその実効性に欠けている旨主張する。 イ原子炉施設の設置、運転等の安全性確保、住民の避難等の防護措置に係る法規制が定められていることは、前記(2)イの れるものでなければならないが、本件避難計画はその実効性に欠けている旨主張する。 イ原子炉施設の設置、運転等の安全性確保、住民の避難等の防護措置に係る法規制が定められていることは、前記(2)イのとおりであるところ、その安 全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえることが明記されており(原子力基本法2条2項)、IAEAが提唱する深層防護の考え方は、ここにいう確立された国際的な基準に含まれる。そして、本件避難計画は、上記の深層防護の考え方における第5の防護レベルの防護策に位置付けられる。したがって、本件避難計画が第1ないし第4の防護レベルに相当する 措置とは独立して、放射性物質の大規模な放出による放射線影響の緩和という第5の防護レベルに求められる効果(緊急事態における原子力施設周辺の住民等に対する放射線の重篤な確定的影響を回避し又は最小化し、確率的影響のリスクを低減するという効果)をあげられるものではない場合には、本件避難計画は、前記法の定め等に基づき適切に講じられていないことになり、 原子炉施設の有する危険が顕在化する蓋然性が高く、生命・身体に係る人格権が侵害される具体的危険があると事実上推定されると考えられる。 ウそこで検討すると、前記1(1)で原判決を補正の上引用して説示したとおり、深層防護とは、人と環境に影響を与えるまでの諸現象や対策、その対策の効果には不確さが存在することを念頭に、一つの対策だけでは防ぐことが できないという不確かさを考慮して放射線リスクから人と環境を護るための防護策全体の実効性(成功確率)を高めるために適用されるものであり、それぞれ目標を持った第1層から第5層までの5つの障壁(防護レベル)を用意し、それぞれの防護レベルで最善が尽くされることにより、初めて全体としての効果が 功確率)を高めるために適用されるものであり、それぞれ目標を持った第1層から第5層までの5つの障壁(防護レベル)を用意し、それぞれの防護レベルで最善が尽くされることにより、初めて全体としての効果が期待されるものである。したがって、第5の防護レベルの防 護策が第1ないし第4の防護レベルに相当する措置とは独立して防護の効 果をあげられる必要がある(防護レベルの独立性)という場合においても、それは、あるレベルが機能しないことが他のレベルに影響を与えないことを意味するのであり、各防護レベルが相互に無関係に考えられるべきということを意味するのではなく、各レベルで機能を補完することを否定するものでもない。かえって、この考え方においては、第1から第5レベルまでが適切 な厚みを持った上、各レベルの防護策がバランスよく講じられ、その総合力で安全を守るシステムを考えることが重要であるとされている。 このような考え方の下では、サイト外の緊急対応である第5レベルの防護策は、原子炉施設内での防護策として規制法等により定められている第1ないし第4レベルの防護策と互いに補完して機能するものと位置付けること ができ、原子炉内で異常事態が発生した場合には、第4レベルまでの防護策によって、原子炉施設外に放射性物質又は放射線が放出される事態を防ぐ一方で、万一放射性物質又は放射線が原子炉敷地外に放出された場合に備えて、第5レベルの防護策に係る措置が開始されるものと考えられる。第5レベルの防護措置が防護の効果をあげられるかどうかの判断も、このような対応機 能を踏まえて行うべきである。 また、深層防護の考え方においては、各レベルの対応で守れるものと守れないものの見極めが必要であると共に、各レベルでその対応機能を検討し、準備していく際に、各レベ 能を踏まえて行うべきである。 また、深層防護の考え方においては、各レベルの対応で守れるものと守れないものの見極めが必要であると共に、各レベルでその対応機能を検討し、準備していく際に、各レベルへの要求を明らかにしておく必要があると考えられる。そして、第1ないし第4レベルの防護が、原子力安全の問題として、 原子炉内で事故が発生することや事故が発生した場合、原子炉外に放射性物質又は放射線が放出される事態を防ぐことを目標とするのに対し、第5レベルの防護は、地域防災の問題として、放射性物質の放出による放射線影響の緩和(緊急事態における原子力施設周辺の住民等に対する放射線の重篤な確定的影響を回避し又は最小化し、確率的影響のリスクを低減すること等)を 目標とするものであることからすると、第5のレベルの防護に要求される防 護の効果があげられないというためには、その判断をする前提として想定される放射性物質又は放射線の異常な放出の具体的態様を特定し、その態様に応じて、どのような内容の地域防災策が要求されるかを明らかにした上で、それが実現されない危険性を主張立証する必要があると考えられる(このように原因となる事象の具体的態様を特定しないと、いかなる態様の事故にも 完全に対応できる地域防災策の策定を求めることになるが、原子力安全においては相対的安全の考え方が採られていると考えられ、また、防災基本計画も、災害の発生を完全に防ぐことは不可能であることから、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を防災の基本理念としており、深層防護も第5レベルについては同様の考え方に基づくものである と考えられること等を踏まえると、第5レベルの防護を含む地域防災の在り方として、いかなる態様の事故にも完全に対応できるよ ており、深層防護も第5レベルについては同様の考え方に基づくものである と考えられること等を踏まえると、第5レベルの防護を含む地域防災の在り方として、いかなる態様の事故にも完全に対応できるような防護策ないし地域防災の策定は求められていないと考えられる。また、発生する蓋然性が明らかでない事故態様を前提として問題点を観念してみても、その場合に発生する生命・身体に係る人格権が侵害される危険は抽象的なものにとどまり、 人格権に基づく妨害予防請求の根拠となり得るような生命・身体に係る人格権が侵害される具体的危険に当たるとは考え難い。)。 エこれを本件避難計画についてみると、第5のレベルの防護に係る措置として、本件避難計画は、原子力事業者の緊急事態の通報の後、原子力規制委員会が、施設の状況や緊急時モニタリング結果等を踏まえて避難計画に従った 段階的な避難の必要性を判断し、国の原子力災害対策本部が、輸送手段、経路、避難所の確保等の要素を考慮した避難等の指示を、地方公共団体を通じて住民等に混乱がないよう適切かつ明確に伝えるものとしており、施設敷地緊急事態要避難者のうち、直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施することにより健康リスクが高まると判断される者については、安全に避難が実施 できる準備が整うまで、一時的に屋内退避させるなどの措置をとるものとし ている。また、避難退域時検査及び簡易除染については、住民等の円滑な避難や一時移転の妨げとならないよう原子力災害対策重点区域の境界周辺から避難所等までの避難経路上又はその近傍の適所を選定し、また、避難等の迅速性を損なわないよう十分に留意して行うものとされている。 したがって、本件避難計画が第5レベルの防護策として、第1ないし第4 レベルの防護策とは独立して防護の効 適所を選定し、また、避難等の迅速性を損なわないよう十分に留意して行うものとされている。 したがって、本件避難計画が第5レベルの防護策として、第1ないし第4 レベルの防護策とは独立して防護の効果をあげられるものではないというためには、その判断をする前提として想定される放射性物質又は放射線の異常な放出の具体的な機序や態様を特定した上で、その特定した機序及び態様による放射性物質等の放出の危険が発生した後、原子力規制委員会の必要性の判断、避難等の指示及びその伝達並びに避難計画に従った段階的避難又は 屋内退避等の過程における具体的な場面のいずれかにおいて、当該放射性物質等の放出の機序及び態様の下で、放出による放射線影響の緩和(緊急事態における原子力施設周辺の住民等に対する放射線の重篤な確定的影響を回避し又は最小化し、確率的影響のリスクを低減する。)という第5レベルの防護策に求められる防護の効果をあげることができない具体的な蓋然性が あることを明らかにする必要があると考えられる。 しかし、控訴人らは、当審においても上記の点をいずれも具体的に主張していない。控訴人らは、検査所の開設やバスの確保と配備に係る事項が予め定められていない旨主張するが、これは、原子力災害対策指針や本件避難計画の定める原子力規制委員会の必要性の判断、原子力災害対策本部の避難等 の指示及びその伝達並びに避難計画に従った段階的避難又は屋内退避等の過程(殊に、避難指示が輸送手段、経路、避難所の確保等の要素を考慮してされること)を踏まえたものではない。また、控訴人らは、前提として想定される放射性物質又は放射線の異常な放出の具体的な機序や態様を特定することなく、避難車両が検査所の周囲の道路を埋める旨、避難指示が出れば 大多数の人は我先に検査所に向かうこ は、前提として想定される放射性物質又は放射線の異常な放出の具体的な機序や態様を特定することなく、避難車両が検査所の周囲の道路を埋める旨、避難指示が出れば 大多数の人は我先に検査所に向かうことになる旨、自家用車を有しない避難 者は、来ることのないバスを一時集合場所で待つことになり、一時集合場所内や自宅との往復で放射性物質を長期間浴びることになる旨等を主張するが、これらの主張も、原子力事業者の緊急事態の通報の後、原子力規制委員会が、施設の状況や緊急時モニタリング結果等を踏まえてその必要性を判断した上で行われる本件避難計画に定める避難等の指示及びその伝達、段階的 避難や屋内退避等の過程を踏まえたものではない。控訴人らが、UPZ内の住民につき段階的避難の実施がおよそ不可能であり、一斉避難を余儀なくされる事象や、本件避難計画の定める避難経路が利用不可能な事象等があり、その場合には本件避難計画の定める措置が防護の効果をあげられない旨を主張するならば、これを主張する控訴人らにおいて、上記のような本件避難 計画では対処できない事象が発生する具体的危険性を主張立証すべきであるが、本件において、そのような主張立証もされていない。そして、控訴人らは、ほかに、原子力災害対策指針や本件避難計画が定める上記各措置を講ずることができないような事態が発生する具体的な蓋然性を主張していない。 なお、地震などの災害により、原子力施設において異常事象が発生すると共に、道路に被害が生じ、通行が困難になる可能性や家屋に被害が生じ、屋内退避に適さなくなる可能性は観念できる。しかし、本件避難計画においては、複数の避難経路が用意されており、避難指示に当たり、通行可能な避難経路を指定することができると考えられ、およそすべての避難経路が通行で なくなる可能性は観念できる。しかし、本件避難計画においては、複数の避難経路が用意されており、避難指示に当たり、通行可能な避難経路を指定することができると考えられ、およそすべての避難経路が通行で きなくなるとか、指定された避難経路によって避難することができなくなる具体的な蓋然性の主張立証はない。また、本件避難計画は、屋内退避を指示するに当たり、要配慮者についての扱いも定めており、家屋が被害を受けた者についても、被害の程度に応じて、要配慮者に準じた対応をすることが考えられ、これによって避難又は屋内退避の効果が挙げられないことの主張立 証はない。 オ以上によれば、本件避難計画の実効性の欠如について控訴人らが主張する点から、本件避難計画が想定された放射性物質等の放出に対し防護の効果を上げることができないということはできず、控訴人らの上記主張を踏まえても、前記(3)イの検討結果を覆すに足りない。そして、ほかに、本件2号機の運転が再開された場合には、本件発電所のUPZ内に居住する控訴人らの生 命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険があると認めるに足りる証拠はない。したがって、争点(1) (本件避難計画が実効性を欠いていることをもって、直ちに本件2号機の差止めを求めることができるか否か)及び争点(2)(本件避難計画が実効性を欠いているか否か)に関する控訴人らの主張は採用できない。 3 当審における争点(本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した女川地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるか。)に対する判断(1) 本件避難計画については、女川地域原子力防災協議会により具体的かつ合理 的な 協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるか。)に対する判断(1) 本件避難計画については、女川地域原子力防災協議会により具体的かつ合理 的なものであることが確認され、原子力防災会議においてこれが了承された。 このことからすると、本件避難計画は、原子力災害対策指針等に照らし、一応の合理性があると考えられる。しかし、女川地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落がある場合には、当該地域防災計画・避難計画に合理性があると考えることはできず、 人の生命・身体に係る人格権が違法に侵害される具体的危険があることが事実上推定されると考えられる。そして、上記地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会議の判断の過程で、考慮すべき事項について審議がされなかったような場合には、当該判断又は了承に、看過し難い過誤や欠落があると考えることができる。 (2) 控訴人らは、本件避難計画において、UPZ内の住民は、避難等に際し、自 家用車又は宮城県等が手配したバス等により避難退域時検査場所(検査所)に向かい、検査所において放射性物質の付着につき車両等の検査及び必要に応じて簡易除染を実施の上、避難所受付ステーションに向かい、避難先に移動するための受付等を実施した後、避難先に向かうこととされているが、実際には検査所は開設できないか、開設しても継続できないし、バスの確保と配備もでき ないから、自家用車で検査所に向かった住民や一時集合場所でバスを待つ住民は避難することができず、UPZ内に閉じ込められ、多量の放射性物質を浴びることになるとする。 その上で、検査所の開設につき、女川地域原子力防災協議会の作業部会において、「開設の条 でバスを待つ住民は避難することができず、UPZ内に閉じ込められ、多量の放射性物質を浴びることになるとする。 その上で、検査所の開設につき、女川地域原子力防災協議会の作業部会において、「開設の条件は何か」「開設の条件であるレーン、要員、資材は確保さ れているのか」「開設の条件であるレーン、要員、資材、食料、宿泊施設、トイレ等を検査所に搬入できる時期はいつか」「避難車両が検査所の周囲の道路を埋める前にそれらを搬入できるか」等につき議論していないことは、本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した過程における看過し難い欠落であると主張する。 (3) しかし、原子力災害対策指針においては、原子力施設の周辺に放射性物質若しくは放射線の異常な放出又はそのおそれがある場合には、原子力事業者からの通報等を踏まえ、原子力災害事前対策における緊急事態における防御措置実施の基本的な考え方において示された流れに沿って、緊急事態対策を実施するものとした上で、放射性物資又は放射線の異常な放出による周辺環境への影響 の大きさ、影響が及ぶまでの時間は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件、周辺の環境状況、住民の居住状況等により異なるため、発生した事態に応じて臨機応変に対処する必要があるとされ、UPZにおける避難等の実施に当たっては、原子力施設の状況に応じて、段階的に避難を行うこと、原子力規制委員会が、施設の状況や緊急時モニタリング結果等を踏まえてその必要性を判断し、 国の原子力災害対策本部が、輸送手段、経路、避難所の確保等の要素を考慮し た避難等の指示を、地方公共団体を通じて住民等に混乱がないよう適切かつ明確に伝えることが必要であり、さらに、直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施する 経路、避難所の確保等の要素を考慮し た避難等の指示を、地方公共団体を通じて住民等に混乱がないよう適切かつ明確に伝えることが必要であり、さらに、直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施することにより健康リスクが高まると判断される者については、安全に避難が実施できる準備が整うまで、近隣の、放射線防護対策を講じた施設、放射線の遮蔽効果や気密性の高い建物等に一時的に屋内退避させるなどの措置が 必要であるとされている。 本件避難計画においても、事故の進展及び拡大に応じ、各地区に対し段階的に避難等の指示が発令されることや、事故の急速な進展や気象の不確定性を考慮して、屋内退避を実施しつつ広域避難を行うことを想定し、緊急事態区分レベル、緊急時活動レベル(EAL)又は運用上の介入レベル(OIL)を用い、 段階的に採るべき措置を定め、事故発生時から広域避難までの段階的な流れ(避難する基準、手段、広域避難のルール、避難先、UPZにおける広域避難に必要な避難用搬送用バスの確保等に関する事項を含む。)を定めている。 このように、原子力災害対策指針やこれに基づく本件避難計画は、避難等の実施に係る事項は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件、周辺の環境状況、 住民の居住状況等を考慮して、発生した事態に応じて臨機応変に決定することを想定しているということができる。 これに対し、控訴人らが上記(2)において指摘するような事項は、実際に発生した緊急事態の具体的態様が明らかになった時点において、原子力規制委員会等の原子力防災に係る専門的技術的知見を踏まえた指示に基づいて、その具 体的内容が決定されるべきものであると考えられる。 したがって、女川地域原子力防災協議会や原子力防災会議の判断の過程において控訴人らが主張するような事項の検討がさ えた指示に基づいて、その具 体的内容が決定されるべきものであると考えられる。 したがって、女川地域原子力防災協議会や原子力防災会議の判断の過程において控訴人らが主張するような事項の検討がされていないとしても、これらの審議の際に、考慮すべき事項について審議がされなかったということはできず、控訴人らが主張するような事項に関連する事項が、本件避難計画が挙げる今後 の検討課題に含まれていることを考慮してもなお、それをもって、本件避難計 画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した女川地域原子力防災協議会等の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるということはできない。 (4) 控訴人らは、バスの確保に関し、緊急輸送に必要なバスのトータル台数を把握しておらず、その結果、その台数の確保が可能かどうか、運転手の拘束時間 が何時間になり、その手配が可能かどうかについても検討していない旨主張するが、前記(3)のとおり、避難指示は輸送手段、経路、避難所の確保等の要素を考慮してされるのであり、上記控訴人らが指摘する事項も、この際に、実際に発生した緊急事態の具体的態様を踏まえて考慮されるものと考えられるから、それらが、女川地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会 議の判断の過程において検討されなかったとしても、それをもって、本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した女川地域原子力防災協議会等の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるということはできない。 さらに、控訴人らは、バス事業者に協力を要請する責任主体が県かバス協会 かで争いがあり、また、添乗員の確保はできず、職員の添乗がなければ避難は開始できない旨も主張するが、このよう できない。 さらに、控訴人らは、バス事業者に協力を要請する責任主体が県かバス協会 かで争いがあり、また、添乗員の確保はできず、職員の添乗がなければ避難は開始できない旨も主張するが、このような前提事実を認めるに足りる的確な証拠はないのみならず、本件避難計画に基づき、県は県バス協会等と協定を締結しており、また、本件避難計画においては、避難搬送用バスには、市職員を添乗させ広域避難所まで誘導するものとされていることからすると(別紙「原子 力災害時における石巻市広域避難計画(甲B5)の骨子」の5(3))、この点について、女川地域原子力防災協議会又は原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落に当たるとはいえない(仮に、控訴人らが、バス事業者との協力体制が現時点で整備されていないことをもって、女川地域原子力防災協議会又は原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があると主張する ならば、控訴人らにおいて、そのような協力体制が現時点で整備されていなけ れば本件避難計画が防護の効果をあげられなくなるような事象が発生する具体的な蓋然性を主張立証すべきであるが、本件において、そのような主張立証はされていない。)。 (5) そして、ほかに、女川地域原子力防災協議会又は原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があると認めるに足りる証拠はない。 したがって、当審における争点(本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した女川地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるか。)に関する控訴人らの主張は採用できない。 4 ほかに、本件発電所につき控訴人らの生命・身体に係る人格権が違法に侵害 される具体的危険が 防災会議の判断の過程に看過し難い過誤や欠落があるか。)に関する控訴人らの主張は採用できない。 4 ほかに、本件発電所につき控訴人らの生命・身体に係る人格権が違法に侵害 される具体的危険があると認めるに足りる証拠はない。したがって、本件2号機の運転差止を求める控訴人らの請求は理由がない。 第4 結論以上のとおり、控訴人らの請求を棄却した原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第3民事部 裁判長裁判官倉澤守春 裁判官綱島公彦 裁判官栗原志保 (別紙) 当審における争点についての控訴人らの主張の要旨本件避難計画が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的なものであることを確認した女川地域原子力防災協議会の判断及びこれを了承した原子力防災会議の判断の過程には、以下のような看過しがたい過誤・欠落がある。 第1 避難退域時検査場所(検査所)の開設について 1 検査所を開設できないし、継続もできないこと以下の理由により、検査所は開設できないし、継続もできない。 (1) オフサイトセンターに誰が参集するのか、参集するまでの時間が不明であり、オフサイトセンターは機能しない。使用できる検査所と使用できない検査所を判断する手順が決められていないし、決められた検査所に必要な要因が到着す るまでの時間も不明であるから、オフサイトセンターは使用できる検査所を決められない。 (2) 原子力災害時における避難退域時検査及び簡易除 れていないし、決められた検査所に必要な要因が到着す るまでの時間も不明であるから、オフサイトセンターは使用できる検査所を決められない。 (2) 原子力災害時における避難退域時検査及び簡易除染マニュアルに定められた検査所ごとの実施計画が策定されていない。 (3) 検査所ごとの必要最小限のレーン(可搬型ゲートモニタ)数を検討しておら ず、確保(購入)もしていない。道路渋滞や責任者不明により搬入もできない。 (4) 検査所に必要最小限の要員数を把握しておらず、確保もしていない。被控訴人から600名、宮城県から320名の派遣によって必要数が賄える保証はない。要員を派遣する具体的移動手段や所要時間も調べていない。 (5) 検査所に必要最小限の要員数を把握していないので、これに比例する必要最 小限の資材の量を決定できず、したがって確保もされていない。購入済みの防護服は216着であり、上記(4)の派遣数にも足りておらず、交代要員の分もないし、継続日数も不明でその分もない。搬入の手段も所要時間も調べておらず、道路渋滞も考えれば搬入できる保証はない。 (6) 検査要員が検査所で寝泊まりするための食料、宿泊施設、トイレを確保して いないし、事故発生後はこれらの調達も搬入もできない。 (7) 避難車両が検査所の周囲の道路を埋める前に、レーン、要員、資材、食料、宿泊施設、トイレ等を搬入できない。現在保有しているレーン数は12で明らかに少ない。搬入手段(業者)も確保できるか分からず、いつ搬入できるかも不明であり、他県からの貸与をあてにすべきではない。 (8) 検査所ごとの処理能力を調べておらず、検査所を何日間継続するのかも分か らない。鷹来の森運動公園の検査所で検査を受けることが予想される約3万3734台を通過させ あてにすべきではない。 (8) 検査所ごとの処理能力を調べておらず、検査所を何日間継続するのかも分か らない。鷹来の森運動公園の検査所で検査を受けることが予想される約3万3734台を通過させるには、1台1分としても23日近くかかることになるが、そのような継続はできない。 2 女川地域原子力防災協議会の判断の過程における過誤・欠落女川地域原子力防災協議会の作業部会において、検査所の開設につき、「開設 の条件は何か」「開設の条件であるレーン、要員、資材は確保されているのか」「開設の条件であるレーン、要員、資材、食料、宿泊施設、トイレ等を検査所に搬入できる時期はいつか」「避難車両が検査所の周囲の道路を埋める前にそれらを搬入できるか」等につき議論されていない(欠落)。 上記1のとおり、これらが決まっていなければ、検査所の開設はできないにも かかわらず、令和2年3月25日の協議会において、検査所を開設し、避難者は避難先に向かう前に検査所において所定の検査を受けるという本件避難計画を、具体的かつ合理的であると確認したことは、検査所は開設されないという現実を無視した判断である(過誤)。また、原子力災害対策指針が行うよう求めている簡易除染ができないのに、上記確認をした判断も過誤である。 本件避難計画によれば、避難指示が出れば大多数の人は検査所が開設されるものと信じて我先に検査所に向かうことになるが、検査所は開設されないため、渋滞によって付近の道路上で拘束され、UPZ内から脱出することができず、本件避難計画がない場合よりも大きな被ばく被害を受け、あるいは体調不良が続出することになるのであって、本件避難計画はないほうがましである。 第2 バスの確保と配備について 1 バスの確保と配備ができないこと以 ばく被害を受け、あるいは体調不良が続出することになるのであって、本件避難計画はないほうがましである。 第2 バスの確保と配備について 1 バスの確保と配備ができないこと以下の理由により、バスの確保と配備はできない。 (1) 緊急輸送に必要なバスのトータル台数(席数)を把握していない。 (2) バス事業者に協力を要請する責任主体について、県と公益社団法人宮城県バス協会(協会)との間に争いがあり、バス事業者に対する継続的協力要請が(双 方から)行われていない。バスの確保に責任を持つ県庁内の主体も定まっていない。提供を受けたバスを手配する実行責任が誰かについて県と協会の見解は対立しており、現状では、事業者からバスの提供を受けても手配者が不在で、バスが一時集合場所に到着することはない。バスがいつ来るのかについての避難者からの問合せ先も整備されていない。 (3) 厚生労働省の改善基準告示で定めるバスの運転手の拘束時間(「1日(始業時刻から起算して24時間)の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度」「1日の休息期間は継続8時間以上必要」(甲B11の7の3))内に事業所を出て、事業所に戻ることは不可能であるし、検査所が開設されなければ行先不明のバスとなる。それを承知で運転を 引き受けるものはいない。 (4) 添乗員(市の職員)を確保していない。添乗員の役割も決められていない。 役割が不明で、添乗した後どうなるか見通しが全く不明なバスに添乗する職員は存在せず、確保はできない。職員の添乗がなければ避難を開始できない。 2 女川地域原子力防災協議会の判断の過程における過誤・欠落 女川地域原子力防災協議会が、上記1の課題について何ら議論することなく、令和2年3月25 員の添乗がなければ避難を開始できない。 2 女川地域原子力防災協議会の判断の過程における過誤・欠落 女川地域原子力防災協議会が、上記1の課題について何ら議論することなく、令和2年3月25日の協議会において、バスの確保と配備を前提とする本件避難計画を、具体的かつ合理的であると確認したことは、バスの確保と配備はできないという現実を無視した判断である(過誤)。 本件避難計画によれば、自家用車を有しない避難者は、来ることのないバスを 来るものと信じて一時集会所で待つことになり、UPZ内から離脱する機会を失 い、一時集合場所内あるいは自宅との往復で放射性物質を長期間浴びることになる。バスが来ても、検査所が開設されなければ、検査所から続く車列の中に閉じ込められ、過酷かつ危険な避難となる。 第3 本件避難計画は避難計画が存在しない場合よりも増災をもたらすこと検査所を開設できず、バスの確保と配備ができないという本件避難計画の不備 によって、本件避難計画が存在しない場合よりもさらに避難が遅れ、ないし避難ができなくなることは必至であり、本件避難計画は、減災ではなく増災をもたらす。その被害を受けるのは、PAZ、準PAZ及びUPZに居住する人のほぼすべてである。 以上 (別紙) 当審における争点についての被控訴人の主張の要旨以下のとおり、控訴人らの主張は、段階的な避難等を前提とする原子力災害対策指針の防護措置の考え方を踏まえず、一斉避難を前提とした場合の避難計画の個別の問題点を縷々主張しているものに過ぎず、防災基本計画及び原子力災害対策指針が基本理念として示す「減災」の考え方に照らしても、女川地域の緊急時対応を確認ないし 了承した女川地域原子力防災協議会ないし原子力防災会議の判断に看 のに過ぎず、防災基本計画及び原子力災害対策指針が基本理念として示す「減災」の考え方に照らしても、女川地域の緊急時対応を確認ないし 了承した女川地域原子力防災協議会ないし原子力防災会議の判断に看過し難い過誤や欠落があることや、原子力災害対策指針に照らし、女川地域の緊急時対応が具体性ないし合理性を欠くことが明らかであることを主張立証するものになっていない。 第1 原子力災害対策の意義について我が国の災害対策の根幹をなし、防災分野の最上位計画にあたる防災基本計画 においても、災害の発生を完全に防ぐことは不可能であることから、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を防災の基本理念とし、たとえ被災したとしても人命が失われないことを最重視し、また経済的被害ができるだけ少なくなるよう、さまざまな対策を組み合わせて災害に備え、災害時の社会経済活動への影響を最小限にとどめなければならないとされている。上記の 基本理念を踏まえ、国及び地方公共団体は、それぞれの責務に従い、各方面において減災に係る施策を講じることになるが、災害の発生を完全に防ぐことは不可能であるが故に、その施策には限りがない。このため、中央防災会議は、基本計画の実施状況並びにこれに基づく防災業務計画及び地域防災計画の作成状況及び実施状況を定期的に把握するとともに、防災に関する学術的研究の成果や発生 した災害の状況等に関する検討と併せ、その時々における防災上の重要課題を把握し、これを計画に的確に反映させて実効性をより高めるため不断に見直すこととするが、これあたっては、減災に資する知見、訓練等によって得られた教訓、地域住民の理解ないし情報共有といった様々な事項が考慮されることになる。避難計画を含む原子力災害対策についても同様であり、原子力災害対 、これあたっては、減災に資する知見、訓練等によって得られた教訓、地域住民の理解ないし情報共有といった様々な事項が考慮されることになる。避難計画を含む原子力災害対策についても同様であり、原子力災害対策指針におい ても、「そもそも防災とは、新たに得られた知見や把握できた実態等を踏まえ、実 効性を向上すべく不断の見直しを行うべきものである。本指針についても、このような観点から、今後の検討結果に加えて、地方公共団体の取組状況や防災訓練の結果等を踏まえ継続的な改定を進めていくものとする。」と明記されている(乙11〔81頁〕)。 以上のとおり、原子力災害においても他の災害と同様に災害の発生そのものを 完全に防ぐことは不可能であるとした「減災」の考え方に立って、不断の見直しを前提とする措置が講じられるが、どこまでの措置を講じれば、上記の責務が果たされることになるかをあらかじめ決めることは困難であるから、かかる継続的検討を行うことによって、国、地方公共団体等の負う責務が果たされることとなる。 第2 女川地域の緊急時対応作成までの検討状況について女川地域の緊急時対応については、平成27年5月15日の第1回女川地域原子力防災協議会作業部会から検討が開始され、令和2年3月23日の第24回作業部会において、作業部会としての検討結果が取りまとめられ、同月25日に開催された第1回女川地域原子力防災協議会において、女川地域の緊急時対応につ いて、原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的であることが確認された。その後、新型コロナウイルス感染症等の流行下における各種防護措置の具体化等に伴う改定作業の後、同年6月16日の第26回作業部会において改定内容の検討結果が取りまとめられ、同月17日に開催された第2回女川地域原子力防 ウイルス感染症等の流行下における各種防護措置の具体化等に伴う改定作業の後、同年6月16日の第26回作業部会において改定内容の検討結果が取りまとめられ、同月17日に開催された第2回女川地域原子力防災協議会において、一層の具体化・充実化を図るものとして、女川地域の緊急時 対応の改定を行うことが確認された(甲B16の5の33)。これらの検討を経て、令和2年6月22日に開催された第10回原子力防災会議において、上記協議会で確認した内容を報告し了承されている(甲B41の1)。 以上のとおり、女川地域の緊急時対応は、計26回の作業部会を経て、女川地域原子力防災協議会において、原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理 的であることが確認され、また、原子力防災会議において、上記協議会で確認し た内容を報告し了承されている。さらに、国及び地方公共団体等は、訓練等を踏まえて改善点を発見する作業を繰り返し行い、見直しを行ってきた結果、令和5年12月26日に改定された(乙12)。 第3 控訴人らの主張について本件避難計画を含む女川地域の緊急時対応において、原子力災害対策指針の防 護措置の考え方を踏まえたUPZ内における具体的な対応については、緊急時モニタリングによる測定結果から対象地区を特定して段階的に一時移転等を実施することになっている。控訴人らは、「検査所を開設できない」、「バスの確保と配備ができない」という理由で本件避難計画には実効性がないと主張するが、以下のとおり、いずれの主張も、段階的な避難等を前提とする原子力災害対策指針の 防護措置の考え方を踏まえず、住民が一斉避難することを前提とした場合の避難計画の個別の問題点を縷々主張しているものに過ぎず、防災基本計画及び原子力災害対策指針が基本理念として示す「減災」 の 防護措置の考え方を踏まえず、住民が一斉避難することを前提とした場合の避難計画の個別の問題点を縷々主張しているものに過ぎず、防災基本計画及び原子力災害対策指針が基本理念として示す「減災」の考え方に照らしても、女川地域の緊急時対応を確認ないし了承した女川地域原子力防災協議会ないし原子力防災会議の判断に看過し難い過誤や欠落があることや、原子力災害対策指針に照らし、 女川地域の緊急時対応が具体性ないし合理性を欠くことが明らかであることを主張立証するものになっていない。 1 避難退域時検査場所(検査所)を開設できないという主張について(1) 開設までに一定の時間があること女川町及び石巻市において震度5弱以上の地震の発生を認知した場合、国 (原子力規制庁及び内閣府(原子力防災担当))は情報収集活動を開始し、警戒事態に至った場合に現地への要員搬送や緊急時モニタリングの準備を開始する。そして、警戒事態から施設敷地緊急事態、全面緊急事態へと緊急事態の段階が進展していく中で、国、宮城県及び被控訴人は、避難退域時検査場所の開設に向けた人員・資機材の移動準備等を開始し、体制を整えていくことになる。 検査所の開設準備体制が構築されてから住民の避難や一時移転が開始される までに一定の時間があり、その間に検査所の開設を完了させることができる。 (2) 開設場所、人員、資材等宮城県では、緊急時の避難を円滑に行うため、UPZ内人口や避難経路等を考慮し、避難元市町と各避難退域時検査場所の対応付けを行った上で、避難退域時検査場所として21箇所の候補地をあらかじめ準備している(乙12〔1 68頁〕)。 検査所は、宮城県及び原子力事業者である被控訴人が国、関係自治体、関係機関の協力のもと運営する(乙12〔169頁〕)。避 して21箇所の候補地をあらかじめ準備している(乙12〔1 68頁〕)。 検査所は、宮城県及び原子力事業者である被控訴人が国、関係自治体、関係機関の協力のもと運営する(乙12〔169頁〕)。避難退域時検査は、宮城県、被控訴人及び関係機関等の要員により実施し、指定公共機関(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)は 国及び関係自治体からの要請に基づき、要員及び資機材による支援を実施する(乙12〔169頁~172頁〕)。被控訴人は、備蓄資機材を活用して600人程度の要員を避難退域時検査場所へ動員する(乙12〔146、169頁〕)ほか、原子力事業者12社間で締結している「原子力災害時における原子力事業者間協力協定」に基づき、原子力災害発災後の避難や一時移転等において、 放射線防護資機材等が不足する場合、原子力事業者は、保有する資源(要員・資機材等)を最大限供給し支援することとしている。要員については、原子力災害時の周辺地域の環境放射線モニタリング及び周辺区域の汚染検査・汚染除去に関する協力要員を派遣する体制を整備している。現在は3000人の体制となっており、避難退域時検査等の交代要員を考慮した十分な支援体制となっ ている(乙22〔38頁〕)。資機材については、サーベイメータ360台、個人線量計1000個、全面マスク1000個、タイベックスーツ3万着等を最大限供給することとしている(乙12〔146頁〕)。加えて、被控訴人は、東京電力との間及び北海道電力との間において、それぞれ原子力災害時における相互協力に関する基本合意を締結し、さらなる支援体制の充実を図っている (乙22〔39頁、40頁〕)。 宮城県は、宮城県等原子力施設が立地する14道府県との間で締結した「 における相互協力に関する基本合意を締結し、さらなる支援体制の充実を図っている (乙22〔39頁、40頁〕)。 宮城県は、宮城県等原子力施設が立地する14道府県との間で締結した「原子力災害時の相互応援に関する協定」に基づき、サーベイメータなど緊急時モニタリング資機材等の原子力防災資機材の貸与、提供を受けるとともに、緊急時モニタリング職員、緊急時医療関係職員の派遣を受けることができることとなっている(乙12〔138頁〕)。また、宮城県内の全35市町村との「災害 時における宮城県市町村相互応援協定」、北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県及び新潟県との「大規模災害時等の北海道・東北8道県相互応援に関する協定」及び全国都道府県との「全国都道府県における災害時等の広域応援に関する協定」に基づき、人的支援、物的支援、施設または業務の提供等を受けることができることとなっている(乙12〔138頁〕)。 そして、避難計画は、関係自治体等が、実際の避難時には適宜災害の状況に応じて臨機応変に効果的に人員を配置し、配置された人員も適宜状況に応じて臨機応変に対応しながら運用することを前提としており、災害の状況に応じて適時適切に対応することになっている。 (3) 可搬型ゲートモニタ(レーン)等について 宮城県では、福島第一原発事故時の放射性物質の風下方向への拡散実績を踏まえ、検査所候補地21箇所の全てを同時に使用するのではなく、最大8箇所程度(北西・西北西)で使用することを想定している。 避難退域時検査の方法は、検査要員が表面汚染検査用測定器であるサーベイメータを用いて測定することになっている(乙21〔20頁〕)。具体的には、 宮城県及び被控訴人から動員された検査要員が、宮城県内の備蓄資機材であるサーベ 員が表面汚染検査用測定器であるサーベイメータを用いて測定することになっている(乙21〔20頁〕)。具体的には、 宮城県及び被控訴人から動員された検査要員が、宮城県内の備蓄資機材であるサーベイメータを活用して検査を実施する。検査要員及びサーベイメータが不足する場合でも、原子力事業者や自治体から、それらを供給支援する体制が整備されている。したがって、検査要員やサーベイメータが不足し、避難退域時検査ができないということはない。ゲート型モニタの測定用途は、検査の初期 段階で車両のタイヤ側面部が原子力災害対策指針が定める除染の基準の基準 値以下であることを判別する際に、サーベイメータによる測定に代えることができるものであり、ゲート型モニタは検査に必ずしも必要な測定器ではない。 宮城県が保有するゲート型モニタは、現在は、仙台市内、大崎市内及び気仙沼市内の倉庫に保管されており、避難退域時検査場所まで輸送する際は、住民等の避難や一時移転の方向とは逆方向に輸送し設置することになる。 (4) 検査所の要員の食料、宿泊施設、トイレについて住民等の避難や一時移転は段階的に行われることから、検査所のトイレの混雑は想定されない。また、同様の理由により、検査所の要員の食料調達や宿泊施設の確保に支障が生じるということはない。 2 バスの確保と配備ができないという主張について UPZ内からの避難及び一時移転は、緊急時モニタリングの結果に基づき、対象地域を特定し1週間程度内に実施するものであり、この際に必要となる輸送能力の確保については、宮城県が宮城県バス協会(協力事業者80社)との間で「原子力災害時における緊急輸送に関する協定書」を締結しており、宮城県バス協会が調整・確保する車両により、住民の一時移転に必要な車両台数を確保する体 宮城県が宮城県バス協会(協力事業者80社)との間で「原子力災害時における緊急輸送に関する協定書」を締結しており、宮城県バス協会が調整・確保する車両により、住民の一時移転に必要な車両台数を確保する体制 が整備されている(乙12〔49頁、50頁、111頁〕)。 警戒事態に至った場合、宮城県は、PAZ及び準PAZ内住民の避難用バスを手配するために宮城県バス協会等に準備要請を行う。その後、事象が進展した場合、宮城県は、UPZ内住民の一時移転等に備え、宮城県バス協会等にバスの派遣準備を要請する(乙12〔26頁、62頁、84頁、101頁〕)。 宮城県災害対策本部には宮城県バス協会からリエゾンが派遣され、①宮城県がリエゾンを通じて宮城県バス協会に対し、どの一時集合場所に何台バスを手配して欲しいかを伝え、②宮城県バス協会が会員名簿等を踏まえて各会員であるバス会社に対し、順次要請に応じられるか、応じられる場合、いつ頃バスを到着させられるかを問い合わせ、③その結果を宮城県バス協会またはバス会社からリエゾ ンを通じて宮城県に連絡する、というのが基本的な流れになる。 上記の過程を経て一時集合場所にバスが派遣されることから、控訴人らが主張するようにバスが一時集合場所に配備されないということはない。さらに、宮城県内で実施された原子力防災訓練に指定地方公共機関等として宮城県バス協会が参加し、これまでに宮城県や関係機関との連携や、必要台数のバスの調整・確保の協力体制が確認されている。UPZ内のバス会社(宮城県バス協会に所属) が保有する車両は105台、宮城県全体では80社、2468台である(乙12〔35頁、39頁、111頁〕)。宮城県内の輸送手段では不足する場合、他県との応援協定に基づき、隣接県等から輸送手段を調達することになる 車両は105台、宮城県全体では80社、2468台である(乙12〔35頁、39頁、111頁〕)。宮城県内の輸送手段では不足する場合、他県との応援協定に基づき、隣接県等から輸送手段を調達することになる。東北各県のバス保有台数は青森県2065台、岩手県1640台、秋田県1311台、山形県1290台、福島県2346台、以上合計8652台となっている(乙12〔1 11頁〕)。宮城県が確保した輸送手段では対応できない場合、国の原子力災害対策本部からの依頼に基づき、国土交通省が関係団体、関係事業者に対し、協力を要請することにより必要な輸送能力を確保することになっている。さらに、不測の事態により確保した輸送能力で対応できない場合、実動組織(警察、消防、海上保安庁、自衛隊)に支援を要請することになっている(乙12〔111頁〕)。 このように、住民の避難や一時移転に必要な輸送能力を確保する体制が整備されていることから、バスの確保と配備ができないなどとする控訴人らの主張は理由がない。 以上 (別紙) 原子力災害時における石巻市広域避難計画(甲B5)の骨子 1 概要(1) 本計画は、本件発電所における重大事故等に起因する原子力災害の発生若しくは発生するおそれがある場合に備え、石巻市地域防災計画【原子力災害対策編】に基づき、事故の進展及び拡大に応じ、各地区に対し段階的に避難等指示 が発令されることを想定し、市域を越える広域的な避難措置に必要となる方法や体制等を定めるものである。原子力発電所で事故が発生し、放射性物質が環境中に放出された場合、放射性物質は風向風速等の気象条件によって拡散する地域にばらつきがあるため、即時に市内全域に拡散することは や体制等を定めるものである。原子力発電所で事故が発生し、放射性物質が環境中に放出された場合、放射性物質は風向風速等の気象条件によって拡散する地域にばらつきがあるため、即時に市内全域に拡散することはないと考えられるが、本計画は、事故の急速な進展や気象の不確定性を考慮して、屋内退避を 実施しつつ広域避難を行うことを想定するものである(「はじめに」。甲B5(2枚目))。 (2) 本計画は、「第1 一般的事項」、「第2 広域避難計画の対象地域」、「第 3 防護対策の決定」、「第4 事故発生から広域避難までの流れ」、「第5広域避難の方針」、「第6 広域避難の方法」、「第7 安定ヨウ素剤の配布」、 「第8 住民への情報連絡」、「第9 避難所への入所及び避難所運営」、「第 10 避難先市町村の避難者受入体制と業務」、「第11 石巻市と避難先市町村との連携」、「第12 今後の検討課題」を定める。このうち、上記第2ないし第5及び第12の骨子等は以下のとおりである。 2 「第2 広域避難計画の対象地域」 (1) 本件発電所からおおむね5km圏内を予防的防護措置を準備する区域(PAZ)とし、おおむね30km圏内を緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)とする。 (2) PAZは、牡鹿地区の谷川、大谷川、鮫浦、泊、前網、寄磯の各行政区(人口合計546人。平成29年5月末現在。以下同じ。)及び荻浜地区の荻浜及 び小積浜(人口合計65人)とする。 UPZは、市内全地区のうちPAZを除く全域(人口14万6322人)とする。 (3) さらに、牡鹿半島南部の住民は陸路により避難を実施する場合、いったんPAZを通過することになるため、地理的状況を勘案し、以下のUPZ内の行政区については、PAZに準じた防護措置を準備する区域(PA さらに、牡鹿半島南部の住民は陸路により避難を実施する場合、いったんPAZを通過することになるため、地理的状況を勘案し、以下のUPZ内の行政区については、PAZに準じた防護措置を準備する区域(PAZに準じた区域) とし、基本的にPAZと同様の防護措置をとることとする。 (PAZに準じた区域)牡鹿地区の鮎川、金華山、新山、長渡、網地、十八成、小渕、給分、大原、小網倉の各行政区(人口合計2150人)、荻浜地区の牧浜、竹浜、狐崎浜、鹿立浜、福貴浦(人口合計309人)、石巻地区の田代浜(仁斗田・大泊)(人 口合計64人)(以上、甲B5(2頁)) 3 「第3 防護対策の決定」(1) 緊急事態の初期対応段階において実施する防護措置の基準として、基本的に環境中へ放射性物質が放出される前は、緊急事態区分及び緊急時活動レベル (EAL)を用い、放射性物質放出後は、運用上の介入レベル(OIL)が用いられる。 (2) EALは、主に環境中に放射性物質が放出される前の段階において、予防的防護措置を実施するために原子力発電所の状態等で設定されるもので、以下のとおりとされている。 ア警戒事態(公衆への放射線による影響やそのおそれが緊急のものではないが、異常事態の発生又はそのおそれがあるため、比較的時間を要する防護措置の準備に着手する段階)イ施設敷地緊急事態 (公衆に放射線による影響をもたらす可能性のある事象が生じたため、緊急時 に備えた避難等の主な防護措置の準備を開始する段階)ウ全面緊急事態(公衆に放射線による影響をもたらす可能性が高い事象が生じたため、確定的影響(一定量の放射線を受けた場合に必ず現れるとされる影響)を回避し、確率的影響(一定量の放射線を受けた場合に、必ずしも現れるわけ 公衆に放射線による影響をもたらす可能性が高い事象が生じたため、確定的影響(一定量の放射線を受けた場合に必ず現れるとされる影響)を回避し、確率的影響(一定量の放射線を受けた場合に、必ずしも現れるわけでなく、 放射線を受ける量が多くなるほど、現れる確率が高まる影響)のリスクを低減する観点から、迅速な防護措置を実施する段階)(3) OILは、環境中に放射性物質が放出された後の段階において、主に確率的影響のリスクを低減するための防護措置を実施するため、緊急時モニタリング結果と比較して判断するための基準として設定されるものであり、以下のとお りとされている。 ア OIL1(緊急防護措置)地表面からの放射線、再浮遊した放射性物質の吸入、不注意な経口摂取による被ばく影響を防止するため、住民等を数時間内に避難(空間放射線量率等が高い又は高くなるおそれのある地点から速やかに離れるため緊急で実 施するもの(甲B5(9頁)))や屋内退避(放射性物質の吸入抑制や中性子線及びガンマ線を遮蔽することにより被ばくの低減を図る防護措置(甲B5(9頁)))等をさせるための基準。数時間内を目途に区域を特定し、避難等を実施するものとする。 イ OIL2(早期防護措置) 地表面からの放射線、再浮遊した放射性物質の吸入、不注意な経口摂取による被ばく影響を防止するため、地域生産物(放出された放射性物質により直接汚染された野外で生産された食品であって、数週間以内に消費されるもの(甲B4(9頁))の摂取を制限するとともに、住民等を1週間程度内に一時移転(緊急の避難が必要な場合と比較して空間放射線量率等は低い地域 であるが、日常生活を継続した場合の無用な被ばくを低減するため、一定期 間のうちに当該地域から離れるため実施するもの(甲B 緊急の避難が必要な場合と比較して空間放射線量率等は低い地域 であるが、日常生活を継続した場合の無用な被ばくを低減するため、一定期 間のうちに当該地域から離れるため実施するもの(甲B5(9頁)))させるための基準。1日内を目途に区域を特定し、地域生産物の摂取を制限するとともに、1週間程度内に一時移転を実施するものとする。 (以上、甲B5(5頁)) 4 「第4 事故発生時から広域避難までの流れ」 (1) 事故発生後、放射性物質の放出前においてア EALが警戒事態の段階PAZで、施設敷地緊急事態要避難者(避難の実施に通常以上の時間がかかり、かつ、避難の実施により健康リスクが高まらない者、安定ヨウ素剤を事前配布されていない者、又は安定ヨウ素剤の服用不適切者のうち、施設敷 地緊急事態において早期の避難等が必要な者(甲B5(8頁)))の避難準備をする。具体的には、石巻市は、事故に関する情報を広報し、施設敷地緊急事態要避難者に対し避難準備を行うよう広報し、避難搬送用バスを確保する、住民等のうち、施設敷地緊急事態要避難者は、避難支援者への連絡及び必要な搬送手段の避難準備を行うものとされている。 イ EALが施設敷地緊急事態の段階PAZでは、施設敷地緊急事態要避難者の避難を実施するとともに、住民の避難準備をする。具体的には、石巻市は、居住する住民等に対して避難準備情報を広報し、施設敷地緊急事態要避難者に対して避難指示を発出し、避難搬送用バスを一時集合場所に差し向けるものとされ、住民等は、避難準備 を行い、敷地施設緊急事態要避難者は、定められた避難先に広域避難を開始し、避難手段のない場合は、一時集合場所で待機している避難搬送用バスにより広域避難を行うものとされている。 UPZでは、屋内退避準備をす 敷地施設緊急事態要避難者は、定められた避難先に広域避難を開始し、避難手段のない場合は、一時集合場所で待機している避難搬送用バスにより広域避難を行うものとされている。 UPZでは、屋内退避準備をする。具体的には、石巻市は、全住民等に対し、屋内退避の準備を行うよう広報し、避難搬送用バスを確保し、住民等の うち、要配慮者は、屋内退避の準備を行うほか、避難準備を行うものとされ ている。 ウ EALが全面緊急事態の段階PAZでは、住民の避難その他の措置を実施する。具体的には、石巻市は避難指示を発出する等し、住民等は、定められた避難先に広域避難を開始し、避難手段のない場合は、一時集合場所で待機している避難搬送用バスにより 広域避難を行うものとされている。 UPZでは屋内退避を実施し、プラントの状況悪化に応じで段階的に、住民の避難その他の措置を実施する。具体的には、石巻市は、全住民等に対し、屋内退避指示及び避難準備情報を発出し、住民等は、屋内退避を実施し、避難指示が発出された際に速やかに対応可能となるよう備えるものとされて いる。 (2) 放射性物質の放出後放出から数時間以内を目途に、UPZで緊急時モニタリングを実施するとともに、OIL1の段階では、数時間以内に区域を特定し、避難等を実施する。 具体的には、住民等は、緊急時モニタリング結果が500マイクロシーベルト を超えた地域においては、数時間内に避難等を実施するものとされている。 OIL2の段階では、放出から1週間程度内に区域を特定し、一時移転を実施する。具体的には、緊急時モニタリングの結果が20マイクロシーベルトを超えた地域においては、食物摂取制限とともに、1週間程度以内に一時移転を実施するものとされている。 (以上、甲B5(6頁ないし8頁 的には、緊急時モニタリングの結果が20マイクロシーベルトを超えた地域においては、食物摂取制限とともに、1週間程度以内に一時移転を実施するものとされている。 (以上、甲B5(6頁ないし8頁)) 5 「第5 広域避難の方針」(1) PAZにおいてア避難する基準放射性物質放出前に、原子力施設の事故の状況に応じて、国から避難指示 が出された場合に避難する。 イ避難する手段基本的に自家用車で避難するが、自家用車を利用できない住民等は、国、県又は市が確保した避難搬送用バス等により避難する(地区ごとに指定した一時集合場所(自家用車による避難が困難な住民等が、国・県・市が準備する避難搬送用バス、大型船舶、ヘリコプター等の輸送手段による集団避難に 備え、車両等に乗車等するための集合場所(甲B5(12頁)))に集合する。 ウ広域避難のルール行政区ごとに定めた避難経路を通り、避難先市町村の避難所受付ステーション(避難した住民等に対し、避難所を割り当て、避難所まで誘導・案内す る場所(甲B5(13頁)))を目指して移動し、ここで最終的な到着地である避難所への案内を受け避難する。 エ避難先宮城県大崎市オなお、避難経路について、自家用車や避難搬送用バス等で避難する場合は、 国道、県道、市道等の幹線道路を基本的に定めた避難経路を使用する。避難経路により円滑な避難ができるよう、県警察本部は交通規制及び交通誘導を実施するものとされた(甲B5(12頁))。 (2) UPZにおいてア避難する基準 放射性物質放出後に、国・県が測定した空間放射線量率に応じて、国から避難指示が出された場合に避難する。ただし、原子力発電所の事故の状態に応じて、放射性物質放出前に対象地区の住民等に対 基準 放射性物質放出後に、国・県が測定した空間放射線量率に応じて、国から避難指示が出された場合に避難する。ただし、原子力発電所の事故の状態に応じて、放射性物質放出前に対象地区の住民等に対し、段階的に避難を実施する場合がある。 イ避難する手段 基本的に自家用車で避難するが、自家用車を利用できない住民等は、国、 県又は市が確保した避難搬送用バス等により避難する。(地区ごとに指定した一時集合場所に集合する。)ウ広域避難のルール行政区ごとに定めた避難経路を通り、避難先市町村の避難所受付ステーションを目指して移動し、ここで最終的な到着地である避難所への案内を受け 避難する。ただし、放射性物質放出後に避難した場合は、退域検査ポイント(放射性物質の付着状況を確認する検査(避難退域時検査)をする場所(甲B5(13頁)))を通過し、通過証明書を受け取る。 エ避難先宮城県内27市町村 (3) なお、広域避難に必要な避難搬送用バスの確保等については、段階的な避難を確実に実施するため、国、県の協力を得て、避難に必要な避難搬送用バスの確保に努める、県は県バス協会等と協定を締結し、あらかじめ緊急輸送に関する協力体制を整備する予定である、避難搬送用バスには、市職員を添乗させ広域避難所まで誘導するものとされている。 (以上、甲B5(10頁、12頁、13頁)) 6 「第12 今後の検討課題」本計画は、避難先、避難等の判断基準、避難手段、避難経路等について定めたものであるが、より実効性のある計画としていくため、原子力防災訓練等による検証を含めさらに検討を進め、本計画や各種マニュアル等に反映していくことと する。現時点では、下記のとおりの検討課題があり、今後、関係機関と協議を進めていくことと ため、原子力防災訓練等による検証を含めさらに検討を進め、本計画や各種マニュアル等に反映していくことと する。現時点では、下記のとおりの検討課題があり、今後、関係機関と協議を進めていくこととする。 (1) 避難経路及び避難手段の確保における関係機関との支援体制(2) 避難経路での渋滞対策、降雪対策(3) 在宅要配慮者の避難方法 (4) 行政機能移転体制の整備 (以上、甲B5(30頁))以上

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