主文 1 原告の主位的請求を棄却する。 2 麹町税務署長が原告に対して平成19年2月8日付けでした原告の平成13年4月16日から同年12月31日までの事業年度の法人税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 主位的請求原告の被告に対する原告の平成13年4月16日から同年12月31日までの事業年度の法人税8億0254万7700円の納税義務及び無申告加算税1億2038万1000円の納税義務がいずれも存在しないことを確認する。 2 予備的請求主文第2項同旨第2 事案の概要本件は,英国領バミューダ諸島(以下「バミューダ」という。)の法律に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」と略称することがある。)であり,かつ特例パートナーシップ(exemptedpartnership,以下「EPS」と略称することがある。)である原告が,処分行政庁から,原告の平成13年4月16日から同年12月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)に関し,国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金について法人税の申告書を提出しなかったとして,法人税についての決定処分(以下「本件決定」という。)及び無申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定」という。)を受けたことに対し,原告は法人税法上の納税義務者に該当せず,国内源泉所得である匿名組合契約に基づく利益分配金を受領 した事実はないとして,主位的請求として,本件決定及び本件賦課決定(以下「本件各決定」という。)に係る納税義務が存在しないことの確認を求め,予備的請求として,本 契約に基づく利益分配金を受領 した事実はないとして,主位的請求として,本件決定及び本件賦課決定(以下「本件各決定」という。)に係る納税義務が存在しないことの確認を求め,予備的請求として,本件各決定の取消しを求めている事案である。 本判決は,原告が法人税法上の納税義務者に該当するか否かに関する争点についての判断を示すものである。 1 関係法令の定め別紙1(関係法令の定め)のとおり 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)等(1) パートナーシップに係るバミューダ法の定め等アバミューダにおいては,パートナーシップに関する法律としては,LimitedPartnershipAct 1883(以下「1883年LPS法」という。),PartnershipAct 1902(以下「1902年PS法」という。)及びExemptedPartnershipsAct 1992(以下「1992年EPS法」という。)があり,1902年PS法は,バミューダにおけるパートナーシップに関する一般法であり,1883年LPS法及び1992年EPS法は,それぞれリミテッド・パートナーシップ及び特例パートナーシップに関する特別法であり,1883年LPS法及び1992年EPS法は,1902年PS法に優先して適用される。 イリミテッド・パートナーシップ等の定義バミューダ法上は,リミテッド・パートナーシップとは,出資者であるとともに業務執行者であり,無限責任を負うジェネラル・パートナー及び出資者であるが業務執行に関与せず,出資金を限度とする有限責任を負うリミテッド・パートナーの間のリミテッド・パートナーシップ契約に基づき組成される事業体である。 ェネラル・パートナー及び出資者であるが業務執行に関与せず,出資金を限度とする有限責任を負うリミテッド・パートナーの間のリミテッド・パートナーシップ契約に基づき組成される事業体である。 バミューダ法上は,特例パートナーシップとは,1992年EPS法7 条1項の要件を満たすパートナーシップのことであり,バミューダにおいては,所得(利益)に対する課税が免除されている。(乙1)(2) 当事者等ア原告は,平成13年4月11日付けで X1L.P.(以下「X1」という。)(別紙2・②), X2L.P.(以下「X2」という。)(別紙2・③)及びX3L.P.(以下「X3」という。)(別紙2・④)の間で締結されたリミテッド・パートナーシップ契約(以下「本件LPS契約」という。 甲4)により組成され,同月16日付けで,1883年LPS法4条1項及び1992年EPS法9条に基づき,バミューダにおいて,リミテッド・パートナーシップかつ特例パートナーシップとして登録された。 原告の主な事業目的は,子会社の株式及びその他の持分を保有すること並びにジェネラル・パートナーが適切であるとみなす活動に付随又は関連するその他全ての事項を行うことである。(甲4・2.5条)イ原告の業務執行権限を有するジェネラル・パートナーは,米国デラウェア州法に準拠して組成されたリミテッド・パートナーシップであるX1であり,X1の業務執行権限を有するジェネラル・パートナーは,バミューダ法に準拠して組成されたリミテッド・パートナーシップであるX4L.P.(以下「X4」という。)(別紙2・⑤)であり,X4の業務執行権限を有するジェネラル・パートナーは,バミューダ法に準拠して設立された法人である X5Ltd.(以下「X5社」という。)(別紙2・⑥)である。 X 4」という。)(別紙2・⑤)であり,X4の業務執行権限を有するジェネラル・パートナーは,バミューダ法に準拠して設立された法人である X5Ltd.(以下「X5社」という。)(別紙2・⑥)である。 X5社の代表者は,その取締役であるX6である。 原告のリミテッド・パートナーは,バミューダの法令に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップであるX2及び米国デラウェア州の法令に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップである X3である。 (3) 原告が行った取引の概要等原告が行った取引の関係者は,別紙3の1に掲げたとおりであり,匿名組 合契約に関する形態は別紙3の2のとおりである。 (4) 本件各決定の経緯別表1(本件各決定の経緯)のとおりである。 3 税額等に関する当事者の主張被告が本件訴訟において主張する原告の所得金額,納付すべき税額及び無申告加算税の額等は,別紙6(本件各決定の根拠及び適法性)記載のとおりである。 4 主たる争点(1) 原告の租税法上の法人該当性(2) 原告の租税法上の人格のない社団等該当性 5 主たる争点に関する当事者の主張の要旨主たる争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙7(争点に関する当事者の主張の要旨)のとおりであるが,その骨子は,次のとおりである。 (1) 争点(1)(原告の租税法上の法人該当性)について(被告の主張の骨子)ア我が国の租税法上,損益の帰属主体となり得る「法人」(法人税法(ただし,平成14年法律第15号による改正前のもの。以下同じ。)2条3号,4号,3条等参照)は,我が国の私法上の「法人」と同義であり,自然人以外のもので権利義務の帰属主体となるものをいうと解される。 そこで,外国の法令に準拠して組成された事業体( )2条3号,4号,3条等参照)は,我が国の私法上の「法人」と同義であり,自然人以外のもので権利義務の帰属主体となるものをいうと解される。 そこで,外国の法令に準拠して組成された事業体(以下「外国の事業体」という。)が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かは,具体的には,当該事業体の設立準拠法の内容のみならず,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等を考慮した上,個別具体的に,我が国の私法において法人に認められる権利能力と同等の能力を有するか否か,すなわち,当該事業体が,① その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か(以下「被告基準①」という。),② その名において契約を 締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か(以下「被告基準②」という。),③ その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否か(以下「被告基準③」という。)に基づいて判断すべきである。 イ(ア) 原告の準拠法,本件LPS契約の内容,実際の活動内容,財産や権利義務の帰属状態等をみると,特に次の事実を指摘することができる。 すなわち,原告は,① 「partnershipproperty」というパートナーの個人財産とは区別された独自の財産を有しており,本件取引においても,原告名義の銀行口座が開設されている(1902年PS法20条,23条1項,本件LPS契約2.8条,4.2条)。また,原告は,②パートナーの総称であるファーム(firm)の名称によって事業が営まれているときの名称がファームネーム(firmname)と称されており,ファームネーム(firmname)において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うなど独立した権利義務の れているときの名称がファームネーム(firmname)と称されており,ファームネーム(firmname)において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となっており(1902年PS法4条,6条,本件LPS契約4.2条),③ バミューダにおいてもリミテッド・パートナーシップが法人に相当する法的主体であると認識されている。さらに,④ 原告はその名において訴訟当事者になり得ることが認められている(RULESOFTHESUPREMECOURT 1985(以下「1985年最高裁規則」という。)81条1項)。 (イ) 以上の事実等に照らすと,原告は,その構成員とは明確に区別された独自の財産を有し(被告基準①),その名において契約を締結し,権利義務の帰属主体となり(被告基準②),その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るもの(被告基準③)といえる。 ウしたがって,原告は,我が国の租税法上の「法人」である。 (原告の主張の骨子)ア被告が主張する我が国の租税法上の法人該当性に関する判断基準につい ては,① 民法その他の法令を見ても,法人であるための実質的な要件,属性等について規定されていないから,被告基準①ないし③は,法人といえるための必要条件である可能性は否定できないが,十分条件であるということはできないこと,② 被告基準①ないし③は我が国の任意組合や法人格のない社団等(権利能力のない社団)にも当てはまるもので,法人と法人ではない団体(事業体)とを区別する基準になっていないこと,③被告基準③は,被告自身も法人でない団体(事業体)にも当てはまる基準であることを自認していることからすれば,失当である。 イ外国の事業体が我が国の租税法 区別する基準になっていないこと,③被告基準③は,被告自身も法人でない団体(事業体)にも当てはまる基準であることを自認していることからすれば,失当である。 イ外国の事業体が我が国の租税法上の外国法人として取り扱われるためには,① 原則として,当該外国の法令の規定内容から,その準拠法である当該外国の法令によって法人格を付与する旨を規定されていると認められることが必要である(以下「原告第一基準(法人格要件)」という。)が,そうでないとしても,② 当該事業体を当該外国法の法令が規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見れば,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものである場合(以下「原告第二基準(損益帰属要件)」という。)には,我が国の租税法上の外国法人として取り扱われることとなると解すべきである。 これを本件についてみると,① 原告の根拠法であるバミューダ法上は,特例パートナーシップに法人格を付与する旨の明文の規定は一切存在しないこと,② 特例パートナーシップを通じた事業の損益は,バミューダ法及び本件LPS契約上,各パートナーに帰属することからすれば,原告は,我が国の租税法上の外国法人には該当しない。 (2) 争点(2)(原告の租税法上の人格のない社団等該当性)について(被告の主張の骨子) ア法人税法所定の「人格のない社団等」(同法2条8号)とは,原則として,[1] 団体としての組織を備え(以下「要件[1]という。),[2]多数決の原則が行われ(以下「要件[2]」という。),[3] 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し(以下「要件[3]」という。),[ しての組織を備え(以下「要件[1]という。),[2]多数決の原則が行われ(以下「要件[2]」という。),[3] 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し(以下「要件[3]」という。),[4] その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているもの(以下「要件[4]」という。)をいうと解されるが,必ずしも上記4要件の全てを独立して厳格に満たす必要はなく,むしろ社団性認定のための指標として,各要件相互の関係で柔軟に解釈され得るものというべきである。 イ原告は,① これを組織する構成員が特定され,その経営及び管理に関する独占的権限(原告の業務執行を代表して行う権限)がジェネラル・パートナーに付与されていること等から,団体としての組織を備え(要件[1]),多数決の原則が行われている(要件[2])。また,② 本件LPS契約上,ジェネラル・パートナーの変更,リミテッド・パートナーのパートナーシップ持分の譲渡が認められていること等から,構成員の交代にもかかわらず団体が存続する(要件[3])。そして,③ ①の点に加え,費用の支出,受領する金銭の管理等についての定めがあり,これらの規定を含む本件LPS契約の内容は,全パートナーの書面による同意を得なければ変更できないこととされていること等から,団体としての主要な点も確定している(要件[4])。 ウしたがって,原告は,仮に我が国の租税法上の「法人」に該当しないとしても,人格のない社団等(権利能力のない社団)に該当し,我が国の租税法における独立した損益の帰属主体となる。 (原告の主張の骨子)アそもそも,被告の主張は,被告基準①ないし③をもって,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)を明確に区別することが可能というも た損益の帰属主体となる。 (原告の主張の骨子)アそもそも,被告の主張は,被告基準①ないし③をもって,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)を明確に区別することが可能というも のであるから,原告が人格のない社団等(権利能力のない社団)に該当するとの予備的主張を行うこと自体が失当である。 イ上記の点をおいても,1902年PS法その他の原告の準拠法の各規定及び本件LPS契約の各規定並びにバミューダ所在のX7法律事務所作成に係る意見書(以下「法律意見書」という。甲第12号証)の解釈に鑑みるならば,原告の本質は,ジェネラル・パートナーとリミテッド・パートナー間の我が国の組合に類似した契約関係であるということに尽きるのであって,① 団体としての意思決定機関(社員総会など),業務執行機関(理事会など)又は代表機関(代表理事など)が置かれるなどの団体としての組織を備えているとは到底いえない以上,② 代表の方法(社員の多数決により理事を選任し,選任された理事の多数決で代表理事を選任するなど),総会の運営(定足数の計算,決議は単純多数決か特別多数決か,議長は誰かなど),財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているとも到底いえない。 ウしたがって,原告は,人格のない社団等(権利能力のない社団)にも該当しない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(原告の租税法上の法人該当性)について(1) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断の枠組みについてアある事業体の事業から生じた収益がその構成員に分配される場合の課税関係に関して,我が国の租税法等は,概要後記(ア)ないし(ウ)のとおり規定しており,また,我が国の法人法制に関して,我が国の私法の一般法である民法は,概要後記(エ) その構成員に分配される場合の課税関係に関して,我が国の租税法等は,概要後記(ア)ないし(ウ)のとおり規定しており,また,我が国の法人法制に関して,我が国の私法の一般法である民法は,概要後記(エ)のとおり規定している。 (ア) 事業体が内国法人等に該当する場合における当該事業体に対する課税関係 a ① 内国法人を国内に本店又は主たる事務所を有する法人とし(法人税法2条3号,所得税法(ただし,平成14年法律第15号による改正前のもの。以下同じ。)2条1項6号),外国法人を内国法人以外の法人とした上(法人税法2条4号,所得税法2条1項7号),②内国法人及び外国法人は法人税法により法人税を納める義務があるとして(法人税法4条1項,2項),内国法人に対しては,原則として,各事業年度の所得について各事業年度の所得に対する法人税を,清算所得について清算所得に対する法人税を課し(法人税法5条),外国法人に対しては,原則として,各事業年度の所得のうち法人税法141条各号に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得について,各事業年度の所得に対する法人税を課する(法人税法9条)とする。 なお,所得税法上も,内国法人は,国内において所得税法174条各号に掲げる利子等,配当等,給付補てん金,利息,利益,差益,利益の分配,報酬若しくは料金又は賞金の支払を受けるときは,所得税を納める義務があるとされ(所得税法5条3項),外国法人は,国内源泉所得のうち所得税法161条1号の2号ないし7号又は9号ないし12号に掲げるものの支払を受けるときは,所得税を納める義務があるとされている(所得税法5条4項)。 b そして,内国法人に対する法人税の課税標準は,各事業年度の所得の金額であり(法人 し12号に掲げるものの支払を受けるときは,所得税を納める義務があるとされている(所得税法5条4項)。 b そして,内国法人に対する法人税の課税標準は,各事業年度の所得の金額であり(法人税法21条),内国法人の各事業年度の所得の金額は,原則として,当該事業年度の益金の額(資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額)から当該事業年度の損金の額(① 当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価の額,② 当該事業年度の販 売費,一般管理費その他の費用の額,③ 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの)を控除した額であり(法人税法22条1項ないし3項),これに対して所定の税率を乗じて計算した金額が法人税額とされる(法人税法66条)。 c 他方,外国法人に対する法人税の課税標準は,各事業年度の所得のうち法人税法141条各号に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額であり(法人税法141条),当該国内源泉所得に係る所得の金額は,当該国内源泉所得に係る所得について,内国法人の場合に準じて計算した金額とされ(法人税法142条),これに対して所定の税率を乗じて計算した金額が法人税額とされる(法人税法143条1項)。 なお,外国法人に対する所得税の課税標準は,原則として,その外国法人が支払を受けるべき所得税法161条1号の2から7号まで及び9号から12号までに掲げる国内源泉所得の金額であり(所得税法178条),その金額に所定の税率を乗じて計算した金額が所得税額とされる(所得税法179条)。 d 以上の点は,その事業体が人格のない社 2号までに掲げる国内源泉所得の金額であり(所得税法178条),その金額に所定の税率を乗じて計算した金額が所得税額とされる(所得税法179条)。 d 以上の点は,その事業体が人格のない社団等に該当する場合においても,人格のない社団等は法人とみなして法人税法の規定が適用されることから(法人税法2条8号,3条,所得税法2条1項8号,4条),同様である。 なお,人格のない社団等(所得税法2条1項8号,法人税法2条8号)のうち人格のない社団等は,民事実体法における権利能力のない社団と同義と解され,具体的には,団体としての組織を備え,そこには多数決の原則が行われ,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものをいうとされており, このような権利能力のない社団の資産は,構成員に総有的に帰属するとされている(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁参照)。 (イ) 事業体が内国法人等に該当しない場合におけるその構成員に対する課税関係a 以上に対し,その事業体が,法人に該当せず,かつ,人格のない社団等にも該当しない場合,法人税法は,当該事業体の行う個々の事業活動から生じた損益について,当該事業体自体に法人税を課す旨の規定を設けていないから,これに対する法人税としての課税はされず(法人税法4条1項,2項参照),その構成員に対する所得税又は法人税としての課税がされること(以下「構成員課税」という。)となる。 そこで,当該事業体の構成員が法人である場合には当該法人が,当該損益に対する構成員課税として,法人税法により,法人税の納付義務 税がされること(以下「構成員課税」という。)となる。 そこで,当該事業体の構成員が法人である場合には当該法人が,当該損益に対する構成員課税として,法人税法により,法人税の納付義務を負い(法人税法4条1項),当該構成員が法人ではなく個人である場合には当該個人が,当該損益に対する構成員課税として,所得税法により,所得税の納付義務を負うことになる(所得税法5条,2条1項3号から5号まで)。 b そして,法人及び人格のない社団等に該当しない事業体の典型例である民法667条の規定による組合(以下「任意組合」という。)の事業に係る利益等の帰属時期やその額の計算については,所得税法及び法人税法上の明文規定はないものの,平成17年12月26日付課個2-39ほかによる一部改正前の所得税基本通達(昭和45年7月1日付け直審(所)第30号。以下「所得税基本通達」という。)及び同日付課法2-14による一部改正前の法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)第25号。以下「法人税基本通達」とい う。)においてそれぞれ要旨次のとおり定められ,そのような取扱いがされていた。 (a) 所得税基本通達36・37共-19任意組合(民法667条《組合契約》の規定による組合をいう。 以下,36・37共-20において同じ。)の組合員の当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額は,当該組合の計算期間を基として計算し,当該計算期間の終了する日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。ただし,当該組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には,その年中における当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額を,その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費 ,当該組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には,その年中における当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額を,その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。 (b) 所得税基本通達36・37共-2036・37共-19により任意組合の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又は損失の額は,次の①の方法により計算する。ただし,その者が継続して次の②又は③の方法により計算している場合には,その計算を認めるものとする。 ① 当該組合の収入金額,支出金額,資産,負債等を,組合契約又は民法674条《損益分配の割合》の規定による損益分配の割合(以下,この項において「分配割合」という。)に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法(総額方式)② 当該組合の収入金額,その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法この方法による場合には,各組合員は,当該組合の取引等につ いて非課税所得,配当控除,確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はあるが,引当金,準備金等に関する規定の適用はない。 ③ 当該組合について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員にあん分する方法(純額方式)この方法による場合には,各組合員は,当該組合の取引等について,非課税所得,引当金,準備金,配当控除,確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はなく,各組合員にあん分される利益の額又は損失の額は,当該組合事業の主たる事業の内容に従い,不動産所得,事業所得,山林 当金,準備金,配当控除,確定申告による源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はなく,各組合員にあん分される利益の額又は損失の額は,当該組合事業の主たる事業の内容に従い,不動産所得,事業所得,山林所得又は雑所得のいずれか一の所得に係る収入金額又は必要経費とする。 (c) 法人税基本通達14-1-1法人が組合員となっている組合の利益金額又は損失金額のうち組合契約又は民法674条《損益分配の割合》の規定により利益の分配を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額は,たとえ現実の利益の分配を受け又は損失の負担をしていない場合であっても,当該組合の計算期間の終了の日の属する当該法人の事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし,組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には,当該法人の各事業年度の期間に対応する組合事業の損益を計算して当該法人の当該事業年度の益金の額又は損失の額に算入する。 (d) 法人税基本通達14-1-2法人が,組合員となっている組合から分配を受けるべき利益の額又は負担すべき損失の額を14-1-1により各事業年度の益金の額又は損金の額に算入する場合において,次のいずれか一の方法により継続してその利益の額又は損失の額を計算しているときは,こ れを認める。 ① 当該組合について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員に分配又は負担させることとする方法(純額方式)この方法による場合には,各組合員は,当該組合の取引等について,受取配当等の益金不算入,所得税額の控除,引当金の繰入れ,準備金の積立て等の規定の適用はない。 ② 当該組合の収入金額,その収入金額に係る には,各組合員は,当該組合の取引等について,受取配当等の益金不算入,所得税額の控除,引当金の繰入れ,準備金の積立て等の規定の適用はない。 ② 当該組合の収入金額,その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法この方法による場合には,各組合員は,当該組合の取引等について受取配当等の益金不算入,所得税額の控除等の規定の適用はあるが,引当金の繰入れ,準備金の積立て等の規定の適用はない。 ③ 当該組合の収入金額,支出金額,資産,負債等をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法(総額方式)(注)1 ①の方法による場合において,当該組合の支出金額のうち寄附金又は交際費の額があるときは,当該組合を資本又は出資を有しない法人とみなして法人税法37条《寄付金の損金不算入》又は措置法61条の4《交際費等の損金不算入》の規定を適用するものとしたときに計算される利益の額又は損失の額を基としてその分配又は負担させる金額の計算を行うものとする。 2 ②又は③の方法による場合には,組合員に係るものとして計算される収入金額,支出金額,資産,負債等の額は,組合員における固有のこれらの金額に含めないで別個に計 算することができる。 c なお,任意組合は,前記(ア)dで述べた人格のない社団等の要件を満たさず,所得税法及び法人税法上の人格のない社団等には該当しないものと解される(所得税基本通達2-5,法人税基本通達1-1-1)が,我が国の民法の規定に鑑みると,法人格は有しないものの,組合財産が組合事業の経営という目的のために各組合員個人の他の財産とは独立の存在であると認め 得税基本通達2-5,法人税基本通達1-1-1)が,我が国の民法の規定に鑑みると,法人格は有しないものの,組合財産が組合事業の経営という目的のために各組合員個人の他の財産とは独立の存在であると認められている(民法668条,676条1項,2項,677条参照)。 (ウ) 実質所得者課税の原則所得の帰属に関しては,資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって,その収益を享受せず,その者以外の者(法人)がその収益を享受する場合には,その収益は,これを享受する者(法人)に帰属するものとしている(法人税法11条,所得税法12条)。 (エ) 我が国の法人法制についてa そもそもどのような団体(これに準ずる社会的存在を含む。以下同じ。)に法人格を付与するかは,国家がどのような団体に法人格を付与するのを適当とするかという政策の問題に帰するところ,民法33条(現在の民法33条1項)は,法人は民法その他の法律の規定によらなければ成立しない旨を定め,法人の成立(法人格の付与)は,法律の定めによってのみ認められることを明らかにしている(法人法定主義。なお,現在の民法33条2項は,公益を目的とする法人,営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立,組織,運営及び管理については,民法その他の法律の定めるところによる旨を規定し,その趣旨を更に明確にしている。)。 これを受けて,個々の団体の成立の根拠となる準拠法は,当該団体 に法人格を付与する場合には,これを法人とする旨の明文の規定を設けている(例えば,会社法3条「会社は,法人とする。」,消費生活協同組合法4条「消費生活協同組合(中略)は,法人とする。」等)。 そして,民法43条(現在の民法 する旨の明文の規定を設けている(例えば,会社法3条「会社は,法人とする。」,消費生活協同組合法4条「消費生活協同組合(中略)は,法人とする。」等)。 そして,民法43条(現在の民法34条)は,法人は,法令の規定に従い,定款等によって定められた目的の範囲内において権利を有し,義務を負う旨規定している。 b なお,民法36条(現在の民法35条)は,外国法人は,国,国の行政区画,商事会社又は法律又は条約によって認許されたものを除き,その成立を認許しない旨を規定し(1項),その規定によって認許された外国法人は,外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の定めがあるものを除き,日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する旨を規定している(2項)。これは,外国の法令に準拠して法人として成立した(すなわち,外国の法令に準拠して法人格を付与された)団体については,原則として上記の国,国の行政区画及び商事会社等でなければ,我が国において法人として活動し得る法人格の主体として認めないことを明らかにしたものと解される。 イ以上のような我が国の租税法の規定等及び我が国の法人法制に関する我が国の私法の規定を通観すれば,次の点を指摘することができる。 (ア) ある事業体の事業から生じた収益がその構成員に分配される場合において当該事業体に課税がされるか構成員課税がされるかは,第1次的には当該事業体が法人に該当するか否かにより判断され,これに該当しない場合に人格のない社団等に該当するか否かが問題となり,いずれも否定される場合に初めて構成員課税がされることになる(前記ア(イ)a参照)。 (イ) 我が国の租税法は,法人の意義に関して,内国法人を国内に本店又は 主たる事務所を有する法 ずれも否定される場合に初めて構成員課税がされることになる(前記ア(イ)a参照)。 (イ) 我が国の租税法は,法人の意義に関して,内国法人を国内に本店又は 主たる事務所を有する法人,外国法人を内国法人以外の法人と定義するにとどまり(前記ア(ア)a①参照),法人自体の意義を定義した規定はない。 しかし,<a> 法人には,その事業(取引)に係る収益及び損失等,すなわち当該法人の事業の損益により構成される所得が帰属することを前提として,その所得に対する法人税が課されており(前記ア(ア)b,c参照),<b> <a>の点は人格のない社団等についても同様である(前記ア(ア)d参照)。他方,<c> 法人及び人格のない社団等のいずれにも該当しない事業体には,例えば任意組合のように実質的に所得が帰属するとみられるものであっても,法人税が課されず,当該事業体の事業の損益により構成される所得が構成員に帰属することを前提として,その構成員に所得税が課せられている(構成員課税。前記ア(イ))。そして,<d> 法人と人格のない社団等とは,いずれも法人税の納税義務者でありながら法人格の有無が決定的に異なるところ,人格のない社団等と任意組合のような法人及び人格のない社団等のいずれにも該当しない事業体とは,いずれも実質的にはその構成員の財産とは別個独立の財産を有すると解されるものでありながら,事業の損益により構成される所得の帰属主体となり得る実体(前記ア(ア)dで述べた権利能力のない社団の要件)の有無が異なるため(前記ア(ア)d,(イ)c参照),法人税の納税義務者になるか否かの結論を異にするものと解される(前記ア(ウ)a参照)。さらに,<e> 所得税及び法人税は事業の損益により構成される所得の実質的な帰属主体に課されるべきものであり ),法人税の納税義務者になるか否かの結論を異にするものと解される(前記ア(ウ)a参照)。さらに,<e> 所得税及び法人税は事業の損益により構成される所得の実質的な帰属主体に課されるべきものであり,このことは実質所得者課税の原則(法人税法11条,所得税法12条)からも裏付けられるところ,この観点から<d>の点をみると,ある事業体が法人税の納税義務者になるか否かの実質は,当該事業体がその事業の損益により構成される所得の帰属主体となり得る実体を有するか否かにあると いうことができる。 これらの点を総合すれば,我が国の租税法は,法人が,法律により,法人格を付与されて構成員とは別個の(いわば自然人と同様の)権利義務の主体とされ,損益の帰属すべき主体(逆にいえば,その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものであることから,法人の事業から生じた収益により構成される所得について,原則として,その帰属主体となり得る実体を有するものとみて,当該法人をこれに対する法人税の納税義務者とし,当該法人の構成員には当該所得に対する構成員課税を行わないこととしたものと解される。 (ウ) 我が国の国内法に準拠して組成された事業体が法人である(法人格を有する)というためには,その準拠法である民法その他の法律によって法人とする(法人格を付与する)旨を規定されたものであることを要し(民法33条。前記ア(エ)a),このように規定された事業体だけが我が国の私法上の法人と認められるから,民法その他の法律によって法人とする旨を規定されていない任意組合,人格のない社団等(権利能力のない社団)その他の事業体は,たとえそれらが民法その他の法律によって法人とする旨を規定された事業体と類似した属性を有するとしても, 人とする旨を規定されていない任意組合,人格のない社団等(権利能力のない社団)その他の事業体は,たとえそれらが民法その他の法律によって法人とする旨を規定された事業体と類似した属性を有するとしても,我が国の私法上の法人と認められる余地はないものといわざるを得ない。 そして,民法36条1項の「外国法人」とは,外国の法令に準拠して法人として成立した(すなわち,外国の法令に準拠して法人格を付与された)団体をいうと解されるから(前記ア(エ)b),我が国の私法上の「外国法人」であるというためには,外国の法令の規定内容に照らして,外国の法令に準拠して法人として成立した(外国の法令に準拠して法人格を付与された)と認められることを要するというべきである。 なお,被告は,民法36条1項の「外国法人」には,その準拠法上法 人格を有さない団体も含まれる旨主張し,その根拠として,現在の民法35条1項の「外国会社」が会社法2条2号の「外国会社」と同義と解されていることを挙げるが,会社法2条2号によれば,同号の「外国会社」には,設立準拠法上法人格を認められている団体だけではなく,法人格は認められていないが,会社と同種のもの又は会社に類似する団体が含まれるのに対し,現在の民法35条1項の「外国会社」には,設立準拠法上法人格を認められていない外国会社は含まれないから,会社法上の「外国会社」は民法35条1項の「外国会社」よりも広い概念であると解されているところであり,被告の主張はその前提を欠くものであって,失当である。また,仮に会社法2条3号の「外国会社」と現在の民法35条1項の「外国会社」とが同義であると解したとしても,その場合,民法35条1項本文は,外国法人であって外国会社に当たるものについては成立を認許する旨を規定しているにす の「外国会社」と現在の民法35条1項の「外国会社」とが同義であると解したとしても,その場合,民法35条1項本文は,外国法人であって外国会社に当たるものについては成立を認許する旨を規定しているにすぎず,「外国法人」の中にも設立準拠法上法人格を有さない団体が含まれるものと当然に解釈されることにはならない。 ウ以上に加え,① 租税法律主義(憲法84条)の下では,課税要件の定めは明確でなければならないこと,② 租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には,租税法律主義や法的安定性の確保の観点から,原則として私法上の概念と同じ意義に解するのが相当であることをも併せ考慮すれば,我が国の租税法上の法人は,法律により損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものであり,我が国の私法上の法人と同様,原則として,その準拠法によって法人とする(法人格を付与する)旨を規定されたもの(法人法定主義)をいうと解すべきである。 そうであるとすれば,外国の法令に準拠して組成された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かも,上記と同様に,原則として,当該 外国の法令の規定内容から,その準拠法である当該外国の法令によって法人とする(法人格を付与する)旨を規定されていると認められるか否かによるべきであるが,諸外国の法制・法体系の多様性(特にいわゆる大陸法系と英米法系との法制・法体系の本質的な相違),我が国の「法人」概念に相当する概念が諸外国において形成されるに至った沿革,歴史的経緯,背景事情等の多様性に鑑みると,当該外国の法令の規定内容をその文言に従って形式的に見た場合に,当該外国の法令において当該事業体を法人とする(当該事業体に法人格を付与する)旨を規定されてい 史的経緯,背景事情等の多様性に鑑みると,当該外国の法令の規定内容をその文言に従って形式的に見た場合に,当該外国の法令において当該事業体を法人とする(当該事業体に法人格を付与する)旨を規定されているかどうかという点に加えて,当該事業体を当該外国法の法令が規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見れば,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものといえるかどうかを検討すべきであり,後者の点が肯定される場合に限り,我が国の租税法上の法人に該当すると解すべきである(その結果,前者の基準を限定する場合もあり得るが,前者の基準によった場合に我が国の法人に相当するか否かの判定が微妙なときに,後者の基準が満たされることによりこれが肯定されることもあり得る。)。 エ被告の主張について(ア) これに対し,被告は,我が国の租税法上,損益の帰属主体となり得る「法人」(法人税法2条3号,4号,3条等参照)は,我が国の私法上の「法人」と同義であり,自然人以外のもので権利義務の帰属主体となるものをいうと解されるから,外国の法令によって設立された事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かは,具体的には,当該事業体の設立準拠法の内容のみならず,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等を考慮した上,個別具体的に,我が国の私法において法人に認められる権利能力と同等の能力を有するか否か,すなわち,当該事 業体が,① その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か(被告基準①),② その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か(被告基準 構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か(被告基準①),② その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か(被告基準②),③ その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否か(被告基準③)に基づいて判断すべきである旨主張する。 我が国の私法上の法人は我が国の租税法上損益の帰属主体となることが予定されているといえるが,権利義務の主体として取引行為を行い,財産及び債権債務の帰属主体となる存在が,必ずしも損益の帰属主体になるとは限らないことについては,匿名組合や問屋等の例を見ても明らかであるから,外国の法令に準拠して組成された事業体が,その外国法制の下において,権利義務の主体として取引行為を行い,財産及び債権債務の帰属主体となる要件を備えているとしても,当然に損益の帰属主体となるとは限らない。このことをおくとしても,被告の上記主張については,次のようにいうことができる。 (イ) まず,被告の上記(ア)の主張は,我が国の私法の一般法である民法の解釈において,法人とは被告基準①ないし③に該当するものをいうとされていることを論拠とするものである。 しかしながら,現在においても法人と法人でない団体(事業体)とを被告基準①ないし③によって区別できるとの見解が私法の一般法である民法の解釈として確立していることを認めるに足りる証拠はない。そして,この点を実質的に検討してみても,民法は,前記ア(エ)aのとおり法人法定主義を規定するにとどまり(民法33条),法律に法人である旨を規定するに当たっての実質的な要件・属性等は民法その他の法令をみても何ら規定していないのであるから,被告基準①ないし③が我が国の私法上の法人を見渡したときに まり(民法33条),法律に法人である旨を規定するに当たっての実質的な要件・属性等は民法その他の法令をみても何ら規定していないのであるから,被告基準①ないし③が我が国の私法上の法人を見渡したときに現行法上法人とされる団体(事業体) に共通してみられる属性であったとしても,これは現行法上法人とされる団体(事業体)の最小限度の属性であることを意味するにすぎず,被告基準①ないし③の全てに該当する団体(事業体)は当然に法人であって,そこに現行法上法人とされていない団体(事業体)が含まれないということは,何ら論証されていないというほかない。 そうであるとすれば,被告基準①ないし③は,一般的に法人といえるための必要条件である可能性は否定することができないものの,十分条件となるものとまでいうことはできず,この基準のみをもって現行法上法人とされる団体(事業体)とそうでない団体(事業体)とを区別する基準とすることはできないというほかない。 したがって,被告主張に係る上記論拠を採用することはできない。 (ウ) また,被告の上記主張は,被告基準①ないし③によって法人と法人ではない団体(事業体)とを明確に区別することができることを前提とするものである。 しかしながら,以下に述べるとおり,法人に該当しないことが明らかな任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)も被告基準①ないし③に該当し得ることに照らすと,被告基準①ないし③は,法人と法人ではない団体(事業体)とを区別する基準として機能し得ないものであるといわざるを得ず,これを採用することはできない。 a 被告基準①について(a) 被告基準①は,「その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か」というものである いわざるを得ず,これを採用することはできない。 a 被告基準①について(a) 被告基準①は,「その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か」というものである。 (b) この点,民法は,任意組合について,<a> 組合員の出資その他の組合財産は,総組合員の共有に属する旨(668条)と規定する一方で,<b> 組合員は,組合財産についてその持分を処分したとしても,その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗 することができず(676条1項),<c> 清算前に組合財産の分割を求めることができないし(同条2項),さらに,<d> 組合の債務者は,その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない旨(677条)を規定している。そこで,このような民法676条及び677条等の趣旨に鑑みれば,組合財産は,特定の目的(組合の事業経営)のために各組合員個人の他の財産(私有財産)と離れて別に一団を成して存する特別財産(目的財産)であって,その結果,この目的の範囲においては,ある程度の独立性を有し,組合員の私有財産と混同されることはないと解される(大審院昭和9年(オ)第3066号同11年2月25日判決・民集15巻4号281頁参照)。 以上のように解すべきことは,① 任意組合の組合財産となる債権(組合債権)は,任意組合の総組合員の共有に属し,総組合員によらなければこれを請求できないとされ(最高裁昭和40年(オ)第1228号同41年11月25日第二小法廷判決・民集20巻9号1946頁等参照),他方,② 民法は,組合の債権者は,その発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは,各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる旨を規定している(675条)が, 頁等参照),他方,② 民法は,組合の債権者は,その発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは,各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる旨を規定している(675条)が,任意組合が契約等に基づいて負担する債務は,消極的な組合財産として,任意組合の総組合員の共有に属し,組合財産がその引き当てにされる(他方,各組合員もその固有の財産をもって弁済すべき義務を負うことは,民法675条等に照らしてもちろんである。)と解されていること(前掲大審院昭和11年2月25日判決,最高裁平成6年(オ)第2137号同10年4月14日第三小法廷判決・民集52巻3号813頁等参照)からも裏付けられているというべきである。 (c) また,人格のない社団(権利能力のない社団)も,その財産は構成員に総有的に帰属すると解されており(前掲最高裁昭和39年10月15日第一小法廷判決),その各構成員は,当該人格のない社団(権利能力のない社団)から脱退しても,人格のない社団(権利能力のない社団)の財産につき,当然には共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解されている(最高裁昭和27年(オ)第96号同32年11月14日第一小法廷判決・民集11巻12号1943頁参照)。 (d) したがって,任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)は,民法の解釈上,いずれもその構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すると解されているものというべきであるから,被告基準①に該当するといわざるを得ない。 (e) この点,被告は,法人による所有と人格のない社団等(権利能力のない社団)における総有と任意組合における共有とが区別されることを前提として,被告基準①が判断基準として機能する旨主張するが,ある外 ) この点,被告は,法人による所有と人格のない社団等(権利能力のない社団)における総有と任意組合における共有とが区別されることを前提として,被告基準①が判断基準として機能する旨主張するが,ある外国の事業体が法人,人格のない社団等(権利能力のない社団)又は任意組合のいずれであるのかが判然としないときに,構成員とは区別された独自の財産を有するか否かという被告基準①のみでは,上記のとおり,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び任意組合とを区別することは困難であるから,被告の主張を採用することはできない。 b 被告基準②について(a) 被告基準②は,「その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得る否か」というものである。 (b) この点,任意組合については,① 民法は,組合の業務の執行は, 組合員の過半数で決し,組合契約で組合の業務の執行を委任した者(業務執行者)が数人あるときは,その過半数で決するものとした上,組合の常務は,その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときを除き,各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる旨を規定するにとどまっているが(670条),民法の解釈上,第三者との関係においては,組合契約その他により業務執行組合員が定められている場合は業務執行組合員が組合の業務に関して組合員全員を代表する権限を有し,そうでない場合は組合員の過半数において組合を代理する権限を有するものと解されていること(最高裁昭和31年(オ)第859号同35年12月9日第二小法廷判決・民集14巻13号2994頁,最高裁昭和35年(オ)第1461号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号600頁,最高裁昭和41年 和31年(オ)第859号同35年12月9日第二小法廷判決・民集14巻13号2994頁,最高裁昭和35年(オ)第1461号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号600頁,最高裁昭和41年(オ)第1429号同43年6月27日第一小法廷判決・裁判集民事91号503頁等参照),② 任意組合の業務の執行により形成された組合財産は,上記aのとおり,積極財産・消極財産を問わず,構成員の個人財産とは区別された任意組合独自の財産となるところ,そうであるが故に,任意組合に権利義務を生じさせる法律行為の名義として任意組合自体や任意組合代表者名義を用いることが許容されており(特に,厳格な要式性を要するとされている手形行為に関して,手形の受取人欄につき大審院大正13年(オ)第1109号同14年5月12日判決・民集4巻256頁,手形の振出人欄につき最高裁昭和32年(オ)第693号同36年7月31日第二小法廷判決・民集15巻7号1982頁等参照),取引の実情としても契約等を任意組合名義で行うことが通例とされていることに照らすと,任意組合も,その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うと評価するこ とが可能である。 (c) また,人格のない社団(権利能力のない社団)についても,①「権利能力のない」社団でありながら,その代表者によってその社団の名において構成員全体のために権利を取得し,義務を負担するとされ,社団の名において行われるのは,一々全ての構成員の氏名を列挙することの煩を避けるためにほかならない(したがって,登記の場合,権利者自体の名を登記することを要し,人格のない社団(権利能力のない社団)においては,その実質的権利者たる構成員全部の名を登記できない結果として,その代表者名義をもって不動産登記簿に登 記の場合,権利者自体の名を登記することを要し,人格のない社団(権利能力のない社団)においては,その実質的権利者たる構成員全部の名を登記できない結果として,その代表者名義をもって不動産登記簿に登記するよりほかに方法がないのである。)と解されており(前掲最高裁昭和39年10月15日第一小法廷判決),②人格のない社団(権利能力のない社団)の代表者が社団の名においてした取引上の債務は,その社団の構成員全員に,一個の義務として総有的に帰属するとともに,社団の総有財産だけがその責任財産となり,構成員各自は,取引の相手方に対し,直接には個人的債務ないし責任を負わないと解されていること(最高裁昭和45年(オ)第1038号同48年10月9日第三小法廷判決・民集27巻9号1129頁参照)に照らすと,人格のない社団等(権利能力のない社団)も,その名において契約を締結し,(形式的には総構成員の総有とされながら)実質的にはその名において権利を取得し義務を負うものと評価することが可能である。 (d) 以上によれば,任意組合又は人格のない社団等(権利能力のない社団)のいずれであっても,被告基準②を満たすものということができる(もっとも,被告基準①,②を,その名においてのみ,独自の財産を所有し,権利を取得し義務を負うという基準とした場合には,任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)とは区別 されるが,(イ)で述べたように,これによっても,一般的に法人といえるための十分条件となるものとはいえない可能性が残る。)。 (e) この点,被告は,被告基準②は,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び任意組合を区別する基準として機能する旨主張するが,ある外国の事業体が法人,人格のない社団等(権利能力のない社団)又は この点,被告は,被告基準②は,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び任意組合を区別する基準として機能する旨主張するが,ある外国の事業体が法人,人格のない社団等(権利能力のない社団)又は任意組合のいずれであるのかが判然としない中で,当該外国の事業体の名称による法律行為がされた場合に,その名称は人格のない社団等(権利能力のない社団)や組合の構成員全員の氏名の代わりに示されたものにすぎず,構成員全員による法律行為であると解するのか,法人自体の法律行為であると解するのかが不明であるときに,「その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か」という被告基準②のみでは,上記のとおり,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び任意組合とを区別することは困難であるから,被告の主張を採用することはできない。 c 被告基準③について被告基準③は,「その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否か」というものである。 この点,民事訴訟法29条は,法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名において訴え,又は訴えられることができる旨規定しているところ,判例上,任意組合であっても同条により訴訟上の当事者能力を認めることができると解されている(最高裁昭和34年(オ)第130号同37年12月18日第三小法廷判決・民集16巻12号2422頁等参照)。 そうであるとすれば,任意組合又は人格のない社団等(権利能力のない社団)であっても,その権利義務のためにその名において訴訟当 事者になり得るから,被告基準③に該当するものといわざるを得ない。 (エ) 以上によれば,被告基準①ないし③ 利能力のない社団)であっても,その権利義務のためにその名において訴訟当 事者になり得るから,被告基準③に該当するものといわざるを得ない。 (エ) 以上によれば,被告基準①ないし③は,法人と法人でない団体(事業体)とを明確に区別する基準とすることはできず,被告の前記(ア)の主張を採用することはできない。 オ小括そうすると,原告が我が国の租税法上の法人に該当するか否かについては,被告基準を採用することができず,前記ウの観点からこれを検討せざるを得ない。そして,前提事実及び証拠(甲4,11,17,乙38,39の1及び2,40)によれば,原告は,1883年LPS法その他のバミューダ法に準拠する本件LPS契約に基づいて組成されたものであると認められるから,この点について主としてバミューダ法の規定内容に照らして検討すべきこととなる。 そこで,以下では,まずバミューダ法及び本件LPS契約の概要を明らかにした上(後記(2)),これに従って上記の点を検討すること(後記(3))とする。 (2) バミューダ法及び本件LPS契約の概要前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,バミューダ法及び本件LPS契約の概要は,次のとおりであると認められる。なお,訳語について当事者間に争いがあるものは,本文に原語及び原告主張の邦訳を記載し,被告主張の邦訳を注記した。 アリミテッド・パートナーシップに関するバミューダ法の定め(ア) 1883年LPS法(甲17,乙38)a 組成可能なリミテッド・パートナーシップ(1条)銀行業又は保険業を除いた全ての商業,機械業,製造業又はその他の事業の取引を行うリミテッド・パートナーシップは,2人以上の者で組成することができる。 b パートナーシップ(1条)銀行業又は保険業を除いた全ての商業,機械業,製造業又はその他の事業の取引を行うリミテッド・パートナーシップは,2人以上の者で組成することができる。 b リミテッド・パートナーシップの構成及び拠出(2条)(a) リミテッド・パートナーシップは以下の①及び②の者から構成される(1項)。 ① パートナーとして法律上連帯責任を負う1人以上のジェネラル・パートナー(法律による。)(a)② リミテッド・パートナーシップに対して資本として金銭又はその他の財産(役務を除く。)を出資し又は出資することを約した,リミテッド・パートナーシップの債務について本法に規定する外は責任を負わないリミテッド・パートナーと呼ばれるその他の者(b)(b) 2項ないし5項略c リミテッド・パートナーシップの事項(3条)リミテッド・パートナーシップを設立する者は,以下の①ないし⑤の事項を記載した証明書を作成し,連署するものとする(3条)。 ① リミテッド・パートナーシップの名称(a)② ジェネラル・パートナーの氏名及び各自の住所(b)③ リミテッド・パートナーシップが取引を行う事業の概要(c)④ バミューダにおけるリミテッドパートナーシップの登録された事務所の所在地(d)⑤ リミテッド・パートナーシップの開始日,及び事業期間がある場合はその期間(e)d リミテッド・パートナーシップの設立(4条)(a) リミテッド・パートナーシップは,以下の①及び②の場合に組成されたものとみなされるものとする(1項)。 ① 設立につき,5条に基づく大臣の同意が得られたとき(a)② 3条に明示された証明書が登録局の事務所で縦覧に供する目的 で登録局が保持する登記簿に登記されたとき(b)(b) 項)。 ① 設立につき,5条に基づく大臣の同意が得られたとき(a)② 3条に明示された証明書が登録局の事務所で縦覧に供する目的 で登録局が保持する登記簿に登記されたとき(b)(b) 2項,3項略e リミテッド・パートナーシップに関する事項の変更(8B条)(a) 本条の条項に従い,リミテッド・パートナーシップのパートナーは,随時,3条で言及された証明書に明記された事項のいずれかを変更することができる(1項)。 (b) 2項ないし8項略f リミテッド・パートナーシップの経営(8C条)(a) リミテッド・パートナーシップのジェネラル・パートナーは,あらゆる権利及び権限を有するものとし,リミテッド・パートナーシップではないパートナーシップのパートナーに課されるあらゆる制限及び責任の対象となるものとする。ただし,書面により他の全てのパートナーから明示の同意を事前に得るか,又は明示の承諾を得ない限り,ジェネラル・パートナーは,以下の権限を有さないものとする(1項)。 ① 人(person)をリミテッド・パートナーシップのジェネラル・パートナー又はリミテッド・パートナーとして認める権限(a)② リミテッド・パートナーシップの通常の事業で履行不可能な行為を行う権限(b)(b) 2項略(c) 2項の趣旨から,リミテッド・パートナーシップの名称にリミテッド・パートナーの名称若しくはその一部が含まれ,又は以下に該当することのみを理由として,リミテッド・パートナーはリミテッド・パートナーシップの業務執行行為を行ったことにはならない(3項)。 ① (a)ないし(d) 略 ② 4項に明示された事項に関して議決権を行使すること(e)(d) 3項(e)で言及された事項は,以下のとおり(いずれか)と たことにはならない(3項)。 ① (a)ないし(d) 略 ② 4項に明示された事項に関して議決権を行使すること(e)(d) 3項(e)で言及された事項は,以下のとおり(いずれか)とする(4項)。 ① リミテッド・パートナーシップの解散又は清算(a)② リミテッド・パートナーシップの通常の事業以外の方法で,リミテッド・パートナーシップの全部又は実質的に全部の資産の売却,交換,賃貸,モーゲージ,抵当権設定,又はその他の譲渡を行うこと(b)③ リミテッド・パートナーシップの通常の事業以外の方法で,リミテッド・パートナーシップが負債を負担すること(c)④ リミテッド・パートナーシップが取引する事業の一般的性質の変化(d)⑤ ジェネラル・パートナーの解任(e)g リミテッド・パートナーシップの取引に関する訴訟(16条)リミテッド・パートナーシップの取引に関する全ての訴訟は,ジェネラル・パートナーのみにより行われ,ジェネラル・パートナーに対してのみ行われるものとする。ただし,リミテッド・パートナーが連帯して責任を負う場合を除く。 (イ) 1902年PS法(甲11,乙39の1)a パートナーシップの定義(1条)(a) パートナーシップとは,利益を得る目的で共同して事業を行う者の間に存在する関係である(1項)。 (b) 1項の内容にもかかわらず,会社又は団体が,① 株式会社の設立及び規制についての本法の後に制定されるバミューダ立法府の法律,その他のバミューダ立法府の法律,若しくは株式会社の登録に関する現在バミューダにおいて暫定的に効力 を有する英国の議会の法律に基づき登録されているとき(a),又は② その他のバミューダ立法府若しくは英国の議会の法律,特許状若しくは英国特許状に基づき バミューダにおいて暫定的に効力 を有する英国の議会の法律に基づき登録されているとき(a),又は② その他のバミューダ立法府若しくは英国の議会の法律,特許状若しくは英国特許状に基づき若しくはこれらに従って,形成若しくは設立されているとき(b)は,その会社又は団体における構成員の関係は,本法におけるパートナーシップには該当しない(2項)。 b パートナーシップの存在を決定するための規定(2条)パートナーシップが存在するか否かを判断するに当たっては,以下のルールを必ず考慮するものとする。 ① (a),(b) 略② 事業から生まれる利益の割当てを個人が受領することが,明らかに当該個人が当該事業においてパートナーであることの証拠となる。(以下略)(c)c ファーム(firm)及びファームネーム(firmname)の意味(4条)他の者とともにパートナーシップに参加した者を,本法において総称してファーム(firm)といい,彼らの業務が行われている時の名称(thenameunderwhichtheirbusinessiscarriedon 注1)をファームネーム(firmname)という。 注1 被告の訳文では,「その名称で事業が行われているときの名称」である。 d パートナーはファーム(firm)の行為に拘束される(6条)ファーム(firm)の事業に関する行為又は文書,ファームネーム(firmname)又はファーム(firm)を拘束する意図を示す方法で行われ又は締結された行為又は文書は,パートナーであるか否かにかかわらず,権限を与えられた者によってなされた場合はファーム(firm)及 び全てのパートナーを拘束する(以下略)。 e パートナーシップ財産(partn 書は,パートナーであるか否かにかかわらず,権限を与えられた者によってなされた場合はファーム(firm)及 び全てのパートナーを拘束する(以下略)。 e パートナーシップ財産(partnershipproperty)(20条)(a) 組織の計算において(onaccountofthefirm 注2),又はパートナーシップの事業の目的のためにかつその過程において,当初からパートナーシップの資本に持ち込まれ又は購入されるなどして取得された,パートナーシップの財産及び権利・利益を,本法においてパートナーシップ財産(partnershipproperty)といい,それらは,パートナーシップ契約の条件に従い,専らパートナーシップの目的のために,パートナーが保有し利用しなければならない。以下略(1項)。 注2 被告の訳文では,「『firm』の計算により」である。 (b) 2項略f パートナーシップの資金により購入した財産(21条)反対の意思がない限り,ファーム(firm)が所有する資金により購入された財産は,ファーム(firm)の計算で購入されたとみなされる(21条)。 注3 被告の訳文では,「別段の意図が明らかでない限り」である。 g パートナーの単独の判決債務に関するパートナーシップ財産に対する手続(23条)(a) 強制執行令状は,ファーム(firm)に対する判決であるを除いてパートナーシップ財産(partnershipproperty)に対して発行されることはない(1項)。 (b) 2項,3項略h (特別な合意に従う)パートナーが有する持分及び責務に関する規定(24条)パートナーシップ財産(partnershipproperty)に対するパートナ ーの持分及びパ h (特別な合意に従う)パートナーが有する持分及び責務に関する規定(24条)パートナーシップ財産(partnershipproperty)に対するパートナ ーの持分及びパートナーシップに関するパートナーの権利と責務は,パートナー間の明示又は黙示の契約に定めるほか,以下のルールにより決定する。(24条)① 全てのパートナーは,事業の資本資産及び事業から生ずる利益につき等しく持分の権利を有し,全てのパートナーは,資本資産の損失であれその他の損失であれパートナーシップが被った損失を等しく負担しなければならない。(a)② (b)ないし(i) 略(ウ) 1902年PS法の2006年改正(乙39の2)a 法人格を有するための選択(4A条)(a) パートナーシップは,本セクションの条項に従って法人格を有することを選択し,かつその趣旨に基づいた申告をRegistrarofCompanies に正式に提出すると,法人格を有することができる(1項)。 (b) 2項ないし6項略b 既存のパートナーシップによる法人格を有することの選択(4B条)(a) 4A条の定めにもかかわらず,本条が効力を発する日に存在しているパートナーシップは,本条が効力を発する日から12か月の期間内でパートナーシップが本条に従って法人格を有するという選択をする場合,法人格を有するものとする(1項)。 (b) 2項ないし4項略c 法人格(4C条)4A条又は4B条に基づいて法人格を有することを選択するパートナーシップは,① 当該パートナーシップのパートナーから独立した法人であるものとし,当該パートナーの同意に従って当該パートナーシップか ら独立した財産を所有し処理する権能を有するものとし(a),かつ② 当該パートナーシップのパートナーから独立した法人であるものとし,当該パートナーの同意に従って当該パートナーシップか ら独立した財産を所有し処理する権能を有するものとし(a),かつ② 無制限の能力(capacity)を有するものとする(b)。 (エ) 1992年EPS法(乙40))a 特例パートナーシップ等の登録(9条)(a) 8条に基づき大臣が申請を承認した後6か月以内に,パートナーは次の事項を登録官(Registrar)に届けるものとする(1項)。 ① 特例パートナーシップの証明書 (a)② 登録に関する財務大臣の認証 (b)③ 特例パートナーシップの定款の写し (c)(b) 2項ないし4項略b 特例パートナーシップに関する変更(13条)(a) 本条の条項に従い,特例パートナーシップのパートナーは,適宜,① パートナーによる申請によって得られた大臣の事前承認をもって,2項に記載されるいずれの事項を変更することができる。 (a)② 略(b)(1項)(b) 1項(a)に記載される事項とは,以下のとおりである。 ① (a) 略② ジェネラル・パートナー(b)③ (c) 略(c) 3項ないし9項略c 事業等の営みに関する制限事項(19条)(a) 特例パートナーシップは,以下を行わないものとする(1項)。 ① 21年以内の期間での賃貸契約又は賃借契約により保持する自身の事業に必要な土地を除き,バミューダの土地を入手する又は 保持すること(a)② (b)ないし(e) 略(b) 2項ないし8項略(オ) 1985年最高裁規則(乙41)裁判管轄内でのファーム(firm)による,及びファーム(firm)に対する訴訟(81条1項)法令の規定に従い,訴訟 (b) 2項ないし8項略(オ) 1985年最高裁規則(乙41)裁判管轄内でのファーム(firm)による,及びファーム(firm)に対する訴訟(81条1項)法令の規定に従い,訴訟原因及び事業の遂行に関してパートナーとして権利を有し又は法的責任を有することを主張し又は主張される2人又はそれ以上の者は,その訴訟原因が生じた時点で自己がパートナーであるファーム(firm)の名において訴訟を提起し又は提起され得る。 イ本件LPS契約の定め(ア) 前文本リミテッド・パートナーシップ契約は,(1)アメリカ合衆国,テキサス州 75201,ダラス,α×に所在するX1(以下「ジェネラル・パートナー」という。)と,(2)本契約に添付される署名ページに記載されるリミテッド・パートナー及び今後随時新リミテッド・パートナーとして認められる当事者(以下「リミテッド・パートナー」という。)との間で,2001年4月11日に締結されるものである。 ジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーは,本契約に規定される条件でパートナーシップを組成することを合意している。 以下のとおり合意される。 (イ) 定義(1.1条)本契約において,以下の用語は,以下の意味を有するものとする。 「法」とは,バミューダの1883年LPS法(その後の改正を含む。),バミューダの1902年PS法(その後の改正を含む。)及びバミューダの1992年EPS法(その後の改正を含む。)を意味する。 「利用可能な現金」とは,ジェネラル・パートナーが決定するパートナーシップの経費の支払及び適当な準備金の設定(利息,配当,手数料及び売却代金(販売費控除後)を含むが,これらに限らない。)を行った後のパートナーシップのキャッシュ・フローを意味する 決定するパートナーシップの経費の支払及び適当な準備金の設定(利息,配当,手数料及び売却代金(販売費控除後)を含むが,これらに限らない。)を行った後のパートナーシップのキャッシュ・フローを意味する。 「出資」とは,各文脈により,パートナー,各種類のパートナー又は単独のパートナーが第3条に基づきパートナーシップに対して行った出資を意味する。 「ジェネラル・パートナー」とは,X1及び/又はあらゆる場合においてパートナーシップのジェネラル・パートナーとしてパートナーシップのジェネラル・パートナーの承継人となるその他の者を意味する。 「リミテッド・パートナー」とは,添付の署名ページに記載されるリミテッド・パートナー及びあらゆる場合においてパートナーシップのリミテッド・パートナーとして新リミテッド・パートナーとしてパートナーシップへの参加を認められたその他の者を意味する。 「パートナー」とは,別段の記載がある場合を除き,ジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーを総称する。 「パートナーシップ」とは,随時規定される本契約の条件に基づき組成された特例パートナーシップを意味する。 「持分割合」とは,各パートナーにつき,添付の付表Ⅰ及びⅡに記載される当該パートナーに帰属する割合を意味する。 (ウ) 組成(2.1条)当事者は,本契約により,法の規定に従い特例パートナーシップを組成する。パートナーの権利及び義務は,本契約において明示的に別段の定めがある場合を除き,法に規定されるとおりのものとする。 (エ) 管轄区域における資格付与(2.8条)ジェネラル・パートナーは,パートナーシップが財産を所有し事業を 行っている管轄区域において,リミテッド・パートナーの有限責任を保護するため又はパートナーシップが適法に 与(2.8条)ジェネラル・パートナーは,パートナーシップが財産を所有し事業を 行っている管轄区域において,リミテッド・パートナーの有限責任を保護するため又はパートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うことができるようにするために,資格取得,組成,再組成又は登録が必要な場合には,当該管轄区域における外国リミテッド・パートナーシップ法又は類似の法律に基づきパートナーシップが資格付与,組成,再組成又は登録されるようにするものとし,パートナーシップがかかる資格付与,組成,再組成又は登録をされるまで当該管轄区域において事業を行わないようにするものとする。ジェネラル・パートナーは,パートナーシップが,事業を行うことを選択した全ての管轄区域(バミューダを含む。)において,リミテッド・パートナーシップとして事業を行えるようにするため,及び,リミテッド・パートナーの有限責任を維持できるようにするために必要な全ての証明書,通知,ステートメントその他の文書を作成,提出及び公表するものとする。 (オ) 経営(4.1条)ジェネラル・パートナーは,パートナーシップの事業及び業務の経営及び管理に関して排他的に責任を負い,パートナーシップの目的を実行するために必要な全ての事項を行う権限を有し,パートナーシップの事業を経営するために合理的に要求される時間と注意を当該経営に対して可能な限り費やし,適宜ジェネラル・パートナーが必要であるとみなすパートナーシップの代理人,使用人その他の従業員の支援を得て,その最大限の技術及び能力により,当該事業及び業務を実行及び経営するものとする。リミテッド・パートナーは,法又は本契約に規定される場合を除き,パートナーシップの事業及び業務の経営又は管理に参加せず,パートナーシップのために行為する権利若しくは権 を実行及び経営するものとする。リミテッド・パートナーは,法又は本契約に規定される場合を除き,パートナーシップの事業及び業務の経営又は管理に参加せず,パートナーシップのために行為する権利若しくは権限,パートナーシップの運営若しくは経営に参加するか何らかの干渉をする権利若しくは権限,又はパートナーシップに関する事項について議決権を行使する権利 若しくは権限を有さないものとするが,パートナーシップの資産(全ての会計帳簿,記録及び計算書類を含む。)をいつでも利用することができ,閲覧する権利を有するものとする。 (カ) 借入れ(4.2条)パートナーシップは,パートナーシップの目的及び方針を実行するためにジェネラル・パートナーが必要又は望ましいと考える,あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができ,あらゆる活動及び取引に関与することができる。ジェネラル・パートナーは,これに関連して,パートナーシップを代理して,金銭を借り入れ,保証又は賠償を行い,パートナーシップの資産を取得する権限を有するものとする。 (キ) 支出(4.3条)パートナーシップに関する全ての支出(パートナーシップに雇用されている全ての使用人及び従業員の給与並びにこれに関連して生じた全ての費用,損失又は損害を含むが,これらに限らない。)は,パートナーシップのキャッシュ・フローから支払われるものとし,それが不可能な場合には,パートナーシップの資本から支払われるものとする。 (ク) 銀行家(4.5条)パートナーシップのために行為する銀行家は,ジェネラル・パートナーが適宜任命する銀行家とする。受領した全ての金銭,手形,小切手及びその他の有価証券(経常費用として必要な金銭を除く。)は,パートナーシップの銀行預金口座に払い込まれるものとし,当 ネラル・パートナーが適宜任命する銀行家とする。受領した全ての金銭,手形,小切手及びその他の有価証券(経常費用として必要な金銭を除く。)は,パートナーシップの銀行預金口座に払い込まれるものとし,当該口座の全ての小切手は,パートナーシップの名義で振り出され,ジェネラル・パートナーにより,又はジェネラル・パートナーを代理して署名されるものとする。 (ケ) 損益の配分(5.1条)a 損益は,パートナーシップの各事業年度又はパートナーシップの事 業に関して必要若しくは適切なその他の時点(ジェネラル・パートナーが決定する。)における各パートナーの持分割合に応じて各パートナーに比例配分されるものとする(a)。 b 損益の配分は,持分の承認,取消又は移転によるパートナーシップに対するパートナーの持分割合の変動を適切に勘案して,ジェネラル・パートナーが決定するとおり調整されるものとする(b)。 c 各事業年度に係る損益は,パートナーシップの事業年度の終了後可及的速やかに配分されるものとする(c)。 (コ) 利用可能な現金の分配(5.2条)利用可能な現金は,各パートナーの持分割合に応じて各パートナーに比例分配されるものとする。 (サ) 計算書類(6条)ジェネラル・パートナーは,適正な会計慣行に従い,パートナーシップの各会計期間に関するパートナーシップの計算書類(貸借対照表,損益計算書,各パートナーの資本勘定総額の報告書及びかかる勘定の変動の概要を含む。)を作成し承認するものとする。ジェネラル・パートナーは,かかる計算書類につき,パートナーシップの監査人による監査を受けるものとする。監査済み計算書類(監査報告書を含む。)及び会計方針書の一式を,各事業年度の終了後可及的速やかに各パートナーに提出するものとする。 (シ) ,パートナーシップの監査人による監査を受けるものとする。監査済み計算書類(監査報告書を含む。)及び会計方針書の一式を,各事業年度の終了後可及的速やかに各パートナーに提出するものとする。 (シ) パートナーシップ契約の変更(7条)反対趣旨の規定にかかわらず,本契約は,全てのパートナーの書面による同意を得ることにより,その全部又は一部を修正することができる。 ただし,ジェネラル・パートナーは,本契約に規定される新リミテッド・パートナーの参加許可又はリミテッド・パートナーの持分の譲渡を反映するために付表Ⅱを修正する権限を有するものとする。 (ス) 新パートナー(8.1条)新パートナーは,ジェネラル・パートナーが決定するとおり,パートナーシップへの参加を認められる。 (セ) 8.2条リミテッド・パートナーとして認められるための条件として,各新リミテッド・パートナーは,パートナーシップへ参加すること及び本契約の全ての規定に拘束されることについて新リミテッド・パートナーが同意することを確認するために必要又は望ましいとジェネラル・パートナーが合理的にみなす文書を,ジェネラル・パートナーが満足する形式及び内容により作成するものとする。これに関連してパートナーシップが支払った全ての合理的な費用(弁護士費用を含む。)は,新リミテッド・パートナーが負担するものとする。 (ソ) リミテッド・パートナーによる譲渡(9条)ジェネラル・パートナーの事前の書面による同意を得ることを条件として,各リミテッド・パートナーは,当該リミテッド・パートナーが保有するパートナーシップの持分の全部をいずれかの者にいつでも譲渡することができる。パートナーシップの持分の譲受人は,新リミテッド・パートナーの参加に関する本契約の要件に従うもの ッド・パートナーが保有するパートナーシップの持分の全部をいずれかの者にいつでも譲渡することができる。パートナーシップの持分の譲受人は,新リミテッド・パートナーの参加に関する本契約の要件に従うものとする。 (タ) 終了(11.1条)2.6条に従い,パートナーシップは,以下の事項が発生したいずれか早いほうの時点で終了するものとする。 ① ジェネラル・パートナー又は全てのパートナーの持分の過半数が解散を求める書面通知を他方当事者に対してしてから3か月の経過(a)② ジェネラル・パートナーの死亡,心神喪失,倒産,破産,辞任,解任,離脱若しくは解散又はジェネラル・パートナーに対する清 算手続の開始(b)(チ) 11.2条パートナーシップの終了又はジェネラル・パートナーの清算から6か月以内に,年次計算書類と同様に,パートナーシップの資産及び負債の計算書を作成し,パートナーシップの監査人による監査を受け,ジェネラル・パートナーが署名するものとする。その後すぐに,ジェネラル・パートナーは,履行期の到来したパートナーシップの負債及び債務の支払及び履行(未払の出資の支払をリミテッド・パートナーに求めることを含むが,これに限らない。)を行うものとする。パートナーシップの残余財産は,各パートナーの持分割合に応じてパートナー間で分けるものとする。パートナーシップの終了の場合には,パートナーは,パートナーシップの未払負債を履行するため,パートナー間で残余財産を分けるため,相互の放棄及び免責その他のため,パートナーシップと取引があった者に対してパートナーシップの終了を通知するために必要かつ適切な,全ての文書を作成し,全ての行為及び事項を行い,又はかかる文書,行為及び事項に同意するものとする。 ウ法律意見書(甲12)(ア 者に対してパートナーシップの終了を通知するために必要かつ適切な,全ての文書を作成し,全ての行為及び事項を行い,又はかかる文書,行為及び事項に同意するものとする。 ウ法律意見書(甲12)(ア) バミューダの特例パートナーシップの法的性質についてa 独立の法的団体(entity)ではなく,別個の法人格を有するものでもないことバミューダ法上,パートナーシップは利益を得る目的で共同して事業を遂行する者の間に存する関係をいいます。パートナーシップはパートナーシップ契約の条項及びバミューダのパートナーシップに係る制定法に従い事業を遂行します。 バミューダ法上,会社はその出資者とは別個独立の団体(entity)であり,会社が出資者とは別個の法人格を有することは確立した解釈 です。バミューダ法上,パートナーシップは,会社とは異なり,出資者とは別個の法人格を有しません(下記dで述べるようにパートナーシップが別個の法人格を有することを選択した場合は例外です。)。 1902年PS法の1条1項は,パートナーシップを「利益を得る目的で共同して事業を遂行する者の間に存する関係」と定義しています。 パートナーシップとはパートナー間の契約関係を意味しているにすぎず,単にパートナーシップを構成する個人又は団体(entity)の集まりであるにすぎません。パートナーシップの名(「firm の名称」ということがあります。)は,いついかなる場合においても,パートナーシップを構成する者の集まりのことを指す,便宜上用いられるだけの総称にすぎません。 b “firm”という定義語は,独立の団体(entity)であることや別個の法人格を有することを意味しないこと“firm”という用語は,1902年PS法の4条に定義されており,同法の6条で言及され firm”という定義語は,独立の団体(entity)であることや別個の法人格を有することを意味しないこと“firm”という用語は,1902年PS法の4条に定義されており,同法の6条で言及されています。4条は,“firm”という用語を,「他の者とともにパートナーシップに参加した者」の総称であると定義しています。“firm”という用語はこのように特に定義された意味のみを有する定義語であるにすぎません。また,“firm”という用語は特例パートナーシップ及びジェネラル・パートナーシップの双方に妥当する用語であり,特例パートナーシップのみに適用ある用語ではありません。パートナーシップ法に規定される“firm”という用語は,パートナーシップがパートナーとは独立した別個の法人格を有する団体(entity)であるという意味ではありません。むしろ,パートナーと何ら別個の法人格を有するわけではない(つまりパートナーシップとパートナーは実のところ全く同じ一つのものであるというわけです。)パートナーの集まりを意味する用語にすぎません。換言すると, “firm”という用語があるからといって,バミューダの特例パートナーシップが,別個の法人格を有する団体(entity)となるわけではありません。 バミューダのパートナーシップに関する一般的な情報源がインターネット上で入手できることは当事務所も承知しており,これらには,「別個の法人格を有する選択が行われなかった場合であっても,バミューダ法上,パートナーシップは全ての実務的な目的において団体(entity)として機能し得る」だとか,「全ての実務的な目的上,パートナーシップは団体(entity)として機能し得る」などと述べられています。重要なことは,かかる記述は,パートナーシップが実務上一般にど y)として機能し得る」だとか,「全ての実務的な目的上,パートナーシップは団体(entity)として機能し得る」などと述べられています。重要なことは,かかる記述は,パートナーシップが実務上一般にどのように行動していそうかという事実上の点について観察したところを述べているにすぎず,バミューダの特例パートナーシップの法的性質を述べているわけではないということです。特例パートナーシップが “firm”と称されるというだけの理由で,かかる記述を正しいと判断することは誤りです。上記のとおり,“firm”という用語は,単にパートナーの集まりを意味するだけの用語でしかありません。 c リミテッド・パートナーシップ自体もリミテッド・パートナーも訴訟の当事者ではないことバミューダ法上,バミューダの特例パートナーシップに対する法的手続は,1以上のジェネラル・パートナーに対してのみ提起することができ,原則としてリミテッド・パートナーはかかる手続において当事者とはなりません。1883年LPS法16条は,「リミテッド・パートナーシップの事業に係る訴訟は,リミテッド・パートナーが連帯責任を負う場合を除き,全てジェネラル・パートナーのみに対して提起されまたジェネラル・パートナーのみが提起する」と規定してい ます。 1985年最高裁規則81条は,パートナーシップがその名において訴え又は訴えられることができると規定していますが,これはジェネラル・パートナーシップのみに適用される規定であり,特例パートナーシップを含むリミテッド・パートナーシップには適用されません。 1883年LPS法は主たる法律であり,従たる法律であり委任立法であるにすぎない1985年最高裁規則に優先して効力を有することは,確立された判例法です。リミテッド・パートナーシップの場 されません。 1883年LPS法は主たる法律であり,従たる法律であり委任立法であるにすぎない1985年最高裁規則に優先して効力を有することは,確立された判例法です。リミテッド・パートナーシップの場合は,1883年LPS法16条が1985年最高裁規則81条に優先して効力を有します。バミューダのパートナーシップに関する一般的な情報源がインターネット上で入手できることは当事務所も承知しており,これらには,バミューダの1985年最高裁規則パートナーシップがその名において訴え又は訴えられることを許容しているとの記述があります。 しかし,かかる記述は,ジェネラル・パートナーシップのみに適用され,リミテッド・パートナーシップには適用されないものとして理解されなければなりません。バミューダ法上,1985年最高裁規則81条はリミテッド・パートナーシップには適用されないのです。また,かかる確立した解釈に反し,仮にリミテッド・パートナーシップが“firm”の名で訴え又は訴えられたとした場合であっても,そのような訴訟は,ジェネラル・パートナーに対する訴訟であってリミテッド・パートナーシップ自体やリミテッド・パートナーに対する訴訟ではないと解さなければ,適法な訴訟と解される余地はありません。 繰り返しますが,パートナーシップに関する法律上“firm”という用語が用いられているからといって,バミューダ法上,リミテッド・パートナーシップがそれ自体の名で訴え又は訴えられることにはなり ません。 1992年EPS法10条5項及び6項は,特例パートナーシップは,パートナーシップが特定の名称を用いることにつき会社等登記所に対して不服申立てを行うことができると規定しています。この点については,かかる規定に基づき不服申立てを行うのは,特例パートナ ーシップは,パートナーシップが特定の名称を用いることにつき会社等登記所に対して不服申立てを行うことができると規定しています。この点については,かかる規定に基づき不服申立てを行うのは,特例パートナーシップのために行為するジェネラル・パートナーであって,特例パートナーシップ自体ではありません。 d 契約当事者となり資産を保有するのはパートナーであって,パートナーシップ自体ではないことほとんどの場合において,パートナーシップに係る文書や契約は,特例パートナーシップを代理して行為する(すなわちリミテッド・パートナーを含む全てのパートナーを代理して行為する)ジェネラル・パートナーにより締結されます。バミューダ法上,特例パートナーシップを代理して(すなわちリミテッド・パートナーを含む全てのパートナーを代理して)ジェネラル・パートナーがその資格において締結した契約については,ジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーが法的に当該契約の当事者となります。ジェネラル・パートナーはリミテッド・パートナーのために行為しリミテッド・パートナーを拘束する適法な権限を有するので,かかる代理権により,リミテッド・パートナーは当該契約に拘束され義務を負うことになります。ジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーの全員が法的には契約の当事者となるのです。法的にいうと,リミテッド・パートナー及びジェネラル・パートナーの各々が,個人又は団体(entity)の集まりとして契約上義務を負っているということであり,そのうちジェネラル・パートナーのみが特例パートナーシップの債務及び義務につき無限責任を負います。しかし,特例パートナーシップはパートナー とは別個の団体(entity)ではなく別個の法人格も有しないものであります。むしろパートナー トナーシップの債務及び義務につき無限責任を負います。しかし,特例パートナーシップはパートナー とは別個の団体(entity)ではなく別個の法人格も有しないものであります。むしろパートナーの集まりを意味するにすぎません。したがって,法的な意味での契約当事者を,パートナーではなく特例パートナーシップ自体と解するのは,誤っています。さらに,上記bで述べたとおり,“firm”という用語が用いられているからといって,この結論は左右されません。 法的には,1902年PS法上は,パートナーシップの財産は全てのパートナーが共同で所有しているものです。この点については1883年LPS法及び1992年EPS法に別段の定めはありません。 各パートナーがパートナーシップへ個々に参加する権利は,パートナーシップ契約により,またパートナーシップ契約に明示の規定がない場合は1902年PS法により規律されます。パートナーシップが別個の法人格を有する選択をしていない限り,パートナーシップが財産を取得しようとする場合は,原則としてあるパートナーの名で購入しなければなりません。パートナーの名で購入された場合には,当該パートナーが当該資産をパートナーシップ(つまり全てのパートナー)のために信託的に保有するものとみなされます。 1902年PS法4A条は,パートナーシップが別個の法人格を取得しようとする場合は,当該パートナーシップはその旨の選択をした上でその旨の証明書をバミューダの会社等登記所に届け出るものとすると規定しています。パートナーシップが別個の法人格を取得する選択をした場合は,財産はパートナーシップの名で保有されるということについて1902年PS法は明確に定めています。1902年PS法の4C条は,法人格を有するパートナーシップは「パートナーとは 得する選択をした場合は,財産はパートナーシップの名で保有されるということについて1902年PS法は明確に定めています。1902年PS法の4C条は,法人格を有するパートナーシップは「パートナーとは別個の団体(entity)であり,パートナー間の契約に従い別個の資産を所有し取引する権利能力を有する。」と規定しています。しかし, 当事務所が検討した原告の特例パートナーシップの証明書及び事務上の記録によると,原告は,別個の法人格を有する選択をしていないことは明らかです。したがって,4C条は原告には適用がなくまた何らの影響も及ぼすものではありませんので,原告はパートナーとは別個の団体(entity)であるとはみなされません。なお,念のため述べておくと, 4A条ないし4C条は,2006年に行われた1902年PS法の改正の結果規定されたものであるので,2001年に組成された原告に適用される余地はありません。したがって,原告は,2001年に別個の法人格を有する選択を行う術はありませんでした。 ほとんどの場合,特例パートナーシップの資産の法的権原は,原則として,特例パートナーシップのために(すなわちリミテッド・パートナーを含む全てのパートナーのために)ジェネラル・パートナー(法人であることが前提)が有するものとされます。そのように保有される資産はパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされます。例えば,銀行預金は,口座を特例パートナーシップ名義で(ジェネラル・パートナー名義ではなく)開設することを当該銀行が実務上許容している場合である限り,特例パートナーシップの名義で開設されることもあるでしょう。しかし,この場合でも,預金債権はパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされ,リミテッ 容している場合である限り,特例パートナーシップの名義で開設されることもあるでしょう。しかし,この場合でも,預金債権はパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされ,リミテッド・パートナーシップ契約の条件に従い全てのパートナーの共有とされるのであって,特例パートナーシップ自体の所有とされるわけでは決してありません。各パートナーは当該預金債権について不可分の財産的権利を有することになります。別の例としては,特例パートナーシップのために(すなわちリミテッド・パートナーを含む全てのパートナーのために)法人たるジェネラル・パートナーの名で登記される一筆の土地や不動産が挙げられます。これもまた,リミテッド・パートナー シップ契約の条件に従いパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされます。別段の合意なき限り,パートナーシップの全てのパートナーがパートナーシップの財産につき不可分の財産的権利を有することになります。 1902年PS法上,パートナーシップ(ジェネラル・パートナーシップであると特例パートナーシップであるとを問わず)の財産は全て,パートナーシップ契約の条件に従い,専らパートナーシップの目的のために保有し利用しなければなりません。特例パートナーシップの場合は,ジェネラル・パートナーが,リミテッド・パートナーシップ契約に定める特例パートナーシップの目的のために特例パートナーシップの財産の利用を指図します。リミテッド・パートナーは一般にはこの点において積極的権限を有しません。 (イ) 原告に係る具体的な分析について当事務所は本件LPS契約を検討しました。その結果,原告はバミューダ法に基づき組成された特例パートナーシップであること,及び上記において特例パートナーシップに 原告に係る具体的な分析について当事務所は本件LPS契約を検討しました。その結果,原告はバミューダ法に基づき組成された特例パートナーシップであること,及び上記において特例パートナーシップについて述べた分析は原告にも当てはまることを確認します。また,関係する箇所においては,記述しているとおり,本件LPS契約の関連条項を引用しました。 エ甲第7号証の1ないし3の各取引確認書(本件各取引確認書)に基づく送金の受取口座とされているX8の口座名義人は,「X9LP」とされている。(乙45)(3) 原告が我が国の租税法上の法人に該当するか否かの検討ア(ア) 前記(2)で認定したバミューダ法の規定内容によれば,1883年LPS法,1902年PS法及び1992年EPS法上,特例パートナーシップに関して,法人格を付与する旨の規定は存在しない。なお,上記(2)ア(ウ)のとおり,1902年PS法の2006年改正により,特例パ ートナーシップの選択により法人格を取得することが認められることとされたが,本件事業年度は上記の法律改正の前に終了しているから,改正後の条文が適用されることはなく,改正の前後を通じて原告は法人格の取得を選択していないため,上記の規定により原告が法人格を取得することはあり得ない。 (イ) なお,被告は,乙第1号証を根拠に,バミューダにおいては,リミテッド・パートナーシップは,法人に相当する法的主体として認識されている旨主張する。 乙第1号証によれば,X10という文献には,リミテッド・パートナーシップは,あらゆる実用的な目的のためにentity としての役割を果たすことができる旨の記載があることが認められるが,上記の記載は,リミテッド・パートナーシップの法的性質を述べたものというよりは,リミテッド らゆる実用的な目的のためにentity としての役割を果たすことができる旨の記載があることが認められるが,上記の記載は,リミテッド・パートナーシップの法的性質を述べたものというよりは,リミテッド・パートナーシップが実際にどのように経済活動を行っているかという事実に着目してされた説明であると解されるから,バミューダ法がリミテッド・パートナーシップに法人格を付与する旨の規定を有していることの根拠となるものではない。 (ウ) また,被告は,1902年PS法がファーム(firm)という概念を創設し,ファーム(firm)の名称において事業が営まれているときの名称をファームネーム(firmname)とし,ファームネーム(firmname)で又はファーム(firm)を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm)及び全てのパートナーを拘束するとされており,リミテッド・パートナーシップは,契約締結の主体となるものと解される旨主張する。 しかしながら,上記(2)ア(イ)cのとおり,1902年PS法4条によれば,ファーム(firm)とは,他の者と共にパートナーシップに参加した者の総称であり,パートナーシップに参加した者の業務が行われてい るときの名称をファームネーム(firmname)ということとされているのであり,ファーム(firm)とは,パートナーの集まりを意味する総称にすぎず,パートナーと独立した別個の法人格を有する団体(entity)であるとは認められない。したがって,1902年PS法4条及び6条を根拠として,パートナーシップが法人格を有するものということはできない。 イ(ア) 次に,バミューダ法に準拠して組成されたリミテッド・パートナーシップについて,その設立,組織,運営及び管理等の内容に着目し ートナーシップが法人格を有するものということはできない。 イ(ア) 次に,バミューダ法に準拠して組成されたリミテッド・パートナーシップについて,その設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見たときに,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体として設立が認められたものといえるかどうかを検討するに,前記前提事実,前記(2)のバミューダの法令及び本件LPS契約の概要並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の点を指摘することができる。 ① バミューダ法に準拠して組成されるリミテッド・パートナーシップは,1名以上のジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーにより構成され(1883年LPS法2条),銀行業又は保険業を除いた全ての商業,機械業,製造業又はその他の事業の取引を行うことができるとされているところ(1883年LPS法1条),ジェネラル・パートナーはあらゆる権利及び権限を有するものとし,パートナーとして法律上連帯責任を負うとされる一方で(1883年LPS法2条1項(a),8C条(a)),リミテッド・パートナーは,原則として,リミテッド・パートナーシップの事業の経営管理に関与せず,リミテッド・パートナーシップの債務を弁済する責任も負わないとされている(1883年LPS法2条(b))。 ② 1902年PS法24条(a)は,「全てのパートナーは,事業の資本資産及び事業から生ずる利益につき等しく持分の権利を有する」, 「全てのパートナーは,資本資産の損失であれその他の損失であれパートナーシップが被った損失を等しく負担しなければならない」と規定し,1902年PS法2条(c)は,「パートナーシップの存在を決定するための規定」として,「事業から生まれる利益の割当てを個人が受 ートナーシップが被った損失を等しく負担しなければならない」と規定し,1902年PS法2条(c)は,「パートナーシップの存在を決定するための規定」として,「事業から生まれる利益の割当てを個人が受領することが,明らかに当該個人が当該事業においてパートナーであることの証拠となる」と規定し,事業から生まれる利益の割当てを個人が受領することが正にパートナーシップの本質である旨を規定している。 そして,本件LPS契約5.1条(a)は,「損益は,パートナーシップの各事業年度又はパートナーシップの事業に関して必要若しくは適切なその他の時点(ジェネラル・パートナーが決定する。)における各パートナーの持分割合に応じて各パートナーに比例配分されるものとする」と規定し,上記の1902年PS法24条(a)のとおりの法的効果を定めている。 上記の各規定に照らすと,原告のような特例パートナーシップを通じた事業の損益は,法令及び契約上各パートナーに直接帰属するとされ,すなわち原告自体に損益が帰属するものではないものと認められる。 この点,被告は,1902年PS法24条⒜や2条⒞の規定を併せると,パートナーは,パートナーシップから,その営む事業から生ずる利益の割当てを受けるものと解され,その場合,割当て前の利益はパートナーシップに帰属することになる旨主張する。 しかしながら,上記の各規定は,パートナーシップの事業から生ずる損益が各パートナーに帰属する旨を定めたものであり,我が国の組合に認められた損益計算(現行の法人税基本通達14-1-1の2及び14-1-2参照)と同趣旨の規定であると解されるから,割当て 前の利益がパートナーシップに帰属するということの根拠となるものではない。 の法人税基本通達14-1-1の2及び14-1-2参照)と同趣旨の規定であると解されるから,割当て 前の利益がパートナーシップに帰属するということの根拠となるものではない。 被告は,本件LPS契約5.1条⒜の規定は,パートナーシップに帰属した損益を各パートナーに割り当てる方法を定めたものとみるべきであると述べ,割当て前の損益はパートナーシップに一旦帰属すると解されると主張する。 しかしながら,本件LPS契約5.1条⒜の規定も,我が国の組合に典型的に見られる損益分配に係る規定(現行の法人税基本通達14-1-1の2の注1参照)と同趣旨の規定であると解され,この規定が存在することにより,割当て前の損益はパートナーシップに一旦帰属するということはできないというべきである。 (イ) 以上によれば,バミューダ法に準拠して組成されたリミテッド・パートナーシップは,経済的,実質的にみても,パートナー間の契約関係を本質として,その事業の損益をパートナーに直接帰属させることを目的とするものであるといわざるを得ないから,バミューダ法の規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見ても,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものということはできない。 ウなお,仮に被告基準①ないし③によったとしても,以下のとおり,原告が我が国の租税法上の法人に該当すると認めることは困難といわざるを得ない。 (ア) まず,被告は,バミューダ法においては,パートナーシップ財産(partnershipproperty)という概念が存在し(1902年PS法20条),ファーム(firm)に対する判 (ア) まず,被告は,バミューダ法においては,パートナーシップ財産(partnershipproperty)という概念が存在し(1902年PS法20条),ファーム(firm)に対する判決である場合を除き,パートナー個人の負債等に基づいてパートナーシップ財産(partnershipproperty) に対し強制執行することはできないとされている(1902年PS法23条1項)から,バミューダ法上は,リミテッド・パートナーシップの事業体の財産と構成員の個人の財産は厳格に区別されている旨主張する。 しかしながら,民法668条,676条は,任意組合について「組合財産」という組合員の個人財産とは別個の概念を認めており,前記(1)エ(ウ)a(b)のとおり,組合財産は,組合員の私有財産とは独立性を有するものと解されている。また,明文の規定は存在しないものの,任意組合の組合員個人の債権者が組合員の組合財産上の持分を差し押さえることは許されないとするのが確立した解釈とされていることからすると,被告の上記主張の点は,我が国の任意組合にも同様に当てはまるものであるから,原告の租税法上の法人格該当性を基礎付けるものということはできない。 (イ) また,被告は,個々のパートナーとは別のファーム(firm)の事業に関連する行為等や,ファームネーム(firmname)で又はファーム(firm)を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm)及び全てのパートナーを拘束するとされていることや,本件LPS契約の4.2条では,パートナーシップは「あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができる。」とされ,ジェネラル・パートナーはパートナーシップを代理して金銭の借入れ等を行う権限を有するとされていることからすると, ーシップは「あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができる。」とされ,ジェネラル・パートナーはパートナーシップを代理して金銭の借入れ等を行う権限を有するとされていることからすると,パートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定していると考えられること等を主張する。 しかしながら,上記(3)ア(ウ)で説示したとおり,ファーム(firm)とは,パートナーの集まりを意味するにすぎない。また,我が国の任意組合についても,民法670条1項が「組合の業務の執行は」と規定しているように,組合を行為の主体として表現している例があるのであり,同条その他の民法の規定の解釈上,第三者との関係においては,組合契 約等により業務執行組合員が定められている場合は業務執行組合員が組合の業務に関して組合員全員を代表する権限を有すると解されており,業務執行組合員による上記の「組合の業務の執行」としてされた行為は全組合員を拘束することになる(法律意見書は,① ジェネラル・パートナーが全パートナーを代理して契約を締結すること(1883年LPS法8C条1項参照),② 契約当事者はジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーの全員であること,③ パートナーシップ自体が契約当事者となるのではないことを指摘している。)。そうすると,被告の上記主張の点から,パートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定しているということはできず,これらの点が原告の租税法上の法人格該当性を基礎付けるものということはできない(なお,原告が銀行口座の名義人となっていることも,実務上の取扱いを超えて,パートナーシップの法的主体性を基礎付けるものということはできない。)。 (ウ) さらに,被告は,1985年最高裁規則81条1項において,リミテッド・パートナ いることも,実務上の取扱いを超えて,パートナーシップの法的主体性を基礎付けるものということはできない。)。 (ウ) さらに,被告は,1985年最高裁規則81条1項において,リミテッド・パートナーシップは,ファーム(firm)名義で訴訟を提起し,又は提起されると規定されていることから,リミテッド・パートナーシップが訴訟能力を有している旨主張する。 しかしながら,前記(2)ア(ア)gのとおり,1883年LPS法16条において,リミテッド・パートナーシップの取引に関する全ての訴訟は,ジェネラル・パートナーのみにより行われ,ジェネラル・パートナーに対してのみ行われるものとする旨規定されており,1985年最高裁規則と内容が矛盾する上位の法律の規定が存在することになるところ,法律意見書によれば,前記(2)ウ(ア)cのとおり,リミテッド・パートナーシップには,1985年最高裁規則は適用されず,1883年LPS法16条により,リミテッド・パートナーシップの事業に係る訴訟は,全 てジェネラル・パートナーに対してのみ提起され,ジェネラル・パートナーのみが提起することとなるものと解される。 仮に,リミテッド・パートナーシップについて1985年最高裁規則が適用されるとしても,前記(1)エ(ウ)cのとおり,任意組合についても,民事訴訟法29条により当事者能力が認められており,その権利義務のためにその名において訴訟当事者になることができるから,被告の上記主張の点は,我が国の任意組合にも同様に当てはまるものであるから,原告の租税法上の法人格該当性を基礎付けるものということはできない。 エしたがって,原告は,我が国の租税法上の法人に該当するとは認められないというべきである。 (4) 以上のとおり,原告が我が国の租税法(私法)上 基礎付けるものということはできない。 エしたがって,原告は,我が国の租税法上の法人に該当するとは認められないというべきである。 (4) 以上のとおり,原告が我が国の租税法(私法)上の法人に該当すると認めることはできないというべきであり,被告の主張を採用することはできない。 2 争点(2)(原告の租税法上の人格のない社団等該当性)について(1) 租税法上の人格のない社団等については,前記1(1)ア(ア)dのとおり,民事実体法における権利能力のない社団(法人でない社団)と同義であると解されるから,ある団体(事業体)が租税法上の人格のない社団等に該当するというためには,① 団体としての組織を備え(要件[1]),② 多数決の原則が行われ(要件[2]),③ 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し(要件[3]),④ その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているもの(要件[4])でなければならないと解される(前掲最高裁昭和39年10月15日第一小法廷判決参照)。 他方,民法は,各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによってその効力を生じる組合契約(667条1項)に基づき,前記1(1)エ(ウ)a(b)のとおり総組合員の共有に属するものとしてある程度の独立性を有する各組合員の出資その他の組合財産を形成し(668条,676条,6 77条),組合の業務の執行を組合員の過半数又は組合契約でこれを委任した者(業務執行者。これが複数ある場合にはその過半数による。)により行い(670条),組合員の脱退(678条,679条)等により組合員が変動したとしても,組合の目的である事業の成功又はその成功の不能という組合の解散事由(682条)が生じるまでは組合がその )により行い(670条),組合員の脱退(678条,679条)等により組合員が変動したとしても,組合の目的である事業の成功又はその成功の不能という組合の解散事由(682条)が生じるまでは組合がその同一性を欠くことなく存続するものとして,組合に一定の団体性を有する組織形成や運営等がされることを予定し,このような組合をいわゆる社団である法人とは別類型の団体でありながら契約関係として形成することを認めていると解されることに鑑みると,民事実体法上,上記のような一定の団体性を有する民法上の組合(任意組合)をもって民事実体法における権利能力のない社団(法人でない社団)とすることは,原則として予定されていないというべきである。 そうであるとすれば,組合契約その他の契約に基づいて組成された団体が上記の租税法上の人格のない社団等の要件(要件[1]ないし[4])に該当するか否かを検討する場合においては,当該団体が,上記のような任意組合その他の契約関係により認められる団体性を超えて民法所定の法人の組織,運営及び管理(民法37条ないし39条,51条ないし66条,68条,69条,72条等参照。なお,以上の規定は,平成18年法律第50号により削除されているが,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第2章に以上の規定と同様の趣旨に基づく詳細な規定が置かれている。)に関する規定が予定するところと類似した団体性を有するか否かという観点から検討すべきであると解される。 (2) これを原告についてみるに,前提事実及び前記1(2)で認定したバミューダ法及び本件LPS契約の内容等によれば,原告は,① X1をジェネラル・パートナー,X2及びX3をリミテッド・パートナーとして,本件LPS契約に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップであるところ(本件LPS S契約の内容等によれば,原告は,① X1をジェネラル・パートナー,X2及びX3をリミテッド・パートナーとして,本件LPS契約に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップであるところ(本件LPS契約の前文及び署名頁),② 原告の管理及び運営に関する独占的 権限は,ジェネラル・パートナーに付与され(本件LPS契約4.1条),ジェネラル・パートナーには,業務執行及び組織運営に係る意思決定を行い,原告を代表して取引等を行う権限が与えられ,本件LPS契約上,リミテッド・パートナーが原告の管理又は運営に参加し,その他の原告の意思決定につき関与することは予定されておらず(本件LPS契約4.1条参照。なお,同条で留保された例外的にリミテッド・パートナーが原告の管理運営に参加できる場合等の定めは本件LPS契約ではされていない。),本件LPS契約中の本件LPS契約の変更(7条)に関する規定も,契約の変更という極めて限定的かつ特別な場合に全パートナーによる意思決定を認めているにすぎないというのである。 そうであるとすれば,原告は,上記(1)で説示したような民法上の組合(任意組合)に類似した組織形成,運営等がされることを予定したものにすぎず,少なくとも,民法所定の法人の組織,運営及び管理にみられるような,団体としての意思決定機関,業務執行機関又は代表機関が置かれるなどの団体としての組織を備え(要件[1]),意思決定が構成員の多数決によって行われるなどの多数決の原則が行われている(要件[2])ということはできず,上記のような団体としての組織を備えていない以上,本件LPS契約の定めをもって,その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している(要件[4])ということもできない。 したがって,原 ていない以上,本件LPS契約の定めをもって,その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している(要件[4])ということもできない。 したがって,原告は,その管理及び運営に関する独占的権限を有するジェネラル・パートナーとリミテッド・パートナーという構成員が特定され(本件LPS契約前文,1.1条,1.2条,4.1条),本件LPS契約にはパートナーシップの終了につきパートナーシップ持分の過半数による旨の多数決の原則を採用した定めがあり,本件LPS契約が定める限定された要件の下でパートナーの交代にもかかわらず存続し(1883年LPS法8B条,1992年EPS法13条,本件LPS契約8.1条,8.2条,9条), 原告に関する費用の支出,受領する金銭の管理,損益の配分及び現金の分配,会計監査,パートナーシップの終了及び清算についての定めがあるとしても(本件LPS契約4.2条,5.1条,5.2条,6条,11.1条,11. 2条),このことのみをもって原告が租税法上の人格のない社団等(民事実体法における権利能力のない社団)に該当するということはできない(以上の説示に反する被告の主張を採用することはできない。)。 (3) 以上によれば,原告が租税法上の人格のない社団等であると認めることはできない。 3 本件各決定の適法性等について(1) 以上によれば,原告が法人税法上の納税義務者に当たるということはできないことになるから,原告の納付すべき税額は零円となり,納税申告書を提出する義務を負っていないため,無申告加算税を課すべき基礎となる事実も存在しないこととなるから,本件各決定はいずれも違法であると認められる。 (2) さらに,本件各決定が無効であるか否かを検討するに,課税処分については ため,無申告加算税を課すべき基礎となる事実も存在しないこととなるから,本件各決定はいずれも違法であると認められる。 (2) さらに,本件各決定が無効であるか否かを検討するに,課税処分については,一般に課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので,処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案して,当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって,徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に当該処分による不利益を甘受させることが,著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には,前記の過誤による瑕疵は,当該処分を無効ならしめるものと解されている(最高裁昭和42年(ツ)第57号同48年4月26日第一小法廷判決・民集27巻3号629頁参照)。 (3) この点,原告は,本件各決定は,本件各決定において主張する所得が,原告が外国法人に該当し法人税の納税義務者に該当するため原告自体に帰属 するのか,又は,原告が外国法人に該当せず(権利能力のない社団にも該当せず)法人税の納税義務者に該当しないため原告自体に帰属せず,原告の構成員に直接帰属するものかの確定を誤ったという点にあるところ,この過誤は,上記の判例の事案と同様,所得の帰属についての過誤であって,法人税の納税義務者ではない者に対して法人税を課したものであり,正に課税要件の根幹についての過誤に他ならないというべきである旨主張する。 (4) 確かに,本件決定は,原告が法人税の納税義務者に該当するか否かという点についての法令の解釈及び事実認定を誤り,法人税の納税義務者でない者に対して法人税を課したものではあるが,本件各決定において主張する所得が,原告自体に帰属する 税の納税義務者に該当するか否かという点についての法令の解釈及び事実認定を誤り,法人税の納税義務者でない者に対して法人税を課したものではあるが,本件各決定において主張する所得が,原告自体に帰属するのか,原告の構成員に直接帰属するのかの確定を誤ったものであって,上記の判例のように,全く不知の間に第三者がほしいままにした登記操作によって譲渡所得の全くないところにこれがあるものとして課税処分がされたといった事例とは事案の性質が異なり,課税要件の根幹についての過誤に当たるといえるかどうか疑問が残ること,上記のとおり,外国法人の定義に関しては法人税法その他の租税法上の明文の規定を欠いており,法人の定義についても,私法上明確な定義規定は設けられていないのであるから,原告が外国法人に該当するか否かは,法人及び外国法人の定義付け,その判断基準の定立,バミューダ法という外国の法令及び英語でされた本件LPS契約の解釈並びに関係する事実の認定を経る必要があり,本件における法令の解釈及び事実認定には課税庁側にとっても困難な点があると認められること,前提事実のとおり,原告は審査請求等の不服申立手続を経由しており,上記の判例の事案と異なり,不服申立期間の徒過による不可争効は生じておらず,本件各決定を無効と解さない限り,納税者である原告の利益を保障する手段がないとはいえないことなどの事情を勘案すると,上記のような例外的な事情は存在しないというべきである。 (5) したがって,本件各決定は違法ではあるが,無効であるとまでいうこと はできない。 第4 結論よって,原告の主位的請求は理由がないからこれを棄却し,原告の予備的請求は理由があるから認容し,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 よって,原告の主位的請求は理由がないからこれを棄却し,原告の予備的請求は理由があるから認容し,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官内野俊夫 裁判官日暮直子 (別紙1)関係法令の定め本件に関係する法令の定めの概要は,次のとおりである。 1 法人税法(1) 定義(2条)この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 (ア) 1号,2号略(イ) 3号内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。 (ウ) 4号外国法人内国法人以外の法人をいう。 (エ) 5号ないし7号略(オ) 8号人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 (カ) 9号ないし48号略(2) 人格のない社団等に対するこの法律の適用(3条)人格のない社団等は,法人とみなして,この法律(中略)の規定を適用する。 (3) 納税義務者(4条)ア 1項略イ 2項外国法人は,法人税法138条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得を有するとき(中略)は,この法律により,法人税を納める義務がある。 ただし,外国法人である公益法人等又は人格のない社団等については,当該国内源泉所得で収益事業から生ずるものを有する場合に限る。 ウ 3項略(4) 外国法人の課税所得の範囲 務がある。 ただし,外国法人である公益法人等又は人格のない社団等については,当該国内源泉所得で収益事業から生ずるものを有する場合に限る。 ウ 3項略(4) 外国法人の課税所得の範囲(9条)外国法人に対しては,各事業年度の所得のうち法人税法141条各号(外国法人に係る法人税の課税標準)に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得について,各事業年度の所得に対する法人税を課する。 (5) 国内源泉所得(138条)この編において「国内源泉所得」とは,次に掲げるものをいう。 (ア) 1号国内において行う事業から生じ,又は国内にある資産の運用,保有若しくは譲渡により生ずる所得(次号から11号までに該当するものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定めるもの(イ) 2号ないし11号略(6) 租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得(139条)日本国が締結した所得に対する租税に関する二重課税防止のための条約において国内源泉所得につき前条の規定と異なる定めがある場合には,その条約の適用を受ける法人については,同条の規定にかかわらず,国内源泉所得は,その異なる定めがある限りにおいて,その条約に定めるところによる。 この場合において,その条約が同条2号から11号までの規定に代わって国内源泉所得を定めているときは,この法律中これらの号に規定する事項に関する部分の適用については,その条約により国内源泉所得とされたものをもってこれに対応するこれらの号に掲げる国内源泉所得とみなす。 (7) 外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準(141条) 外国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は,各事業年度の所得のうち次の各号に掲げ (7) 外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準(141条) 外国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は,各事業年度の所得のうち次の各号に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額とする。 (ア) 1号ないし3号略(イ) 4号前3号に掲げる外国法人以外の外国法人次に掲げる国内源泉所得a イ法人税法138条1号に掲げる国内源泉所得のうち,国内にある資産の運用若しくは保有又は国内にある不動産の譲渡により生ずるものその他政令で定めるもの。 b ロ略 2 法人税法施行令(平成14年政令第104号による改正前のもの。以下同じ。)国内にある資産の所得(177条)(1) 1項次に掲げる資産の運用又は保有により生ずる所得は,法人税法138条1号(国内源泉所得)に規定する国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得とする。 ア 1号ないし3号略イ 4号国内において事業を行う者に対する出資につき,匿名組合契約(当事者の一方が相手方の事業のために出資をし,相手方がその事業から生ずる利益を分配することを約する契約を含む。)に基づき利益の分配を受ける権利(2) 2項略 3 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と アイルランドとの間の条約(以下「日愛租税条約」という。)23条一方の締約国において生ずる他方の締約国の居住者の所得で前諸条に明文の規定がないものに対しては,当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。 (別紙3)原告が行った取引の概要等 1 関係者(1) X11についてア原告のジェネラル・パートナーであるX1及びリミテッド の締約国においてのみ租税を課することができる。 (別紙3)原告が行った取引の概要等 1 関係者(1) X11についてア原告のジェネラル・パートナーであるX1及びリミテッド・パートナーであるX2は,X11を構成する事業体である。 イ X1のジェネラル・パートナー及びX2のジェネラル・パートナーは,いずれもX4(別紙2・⑤)であり,同事業体はバミューダの法令に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップである。 ウ X4のジェネラル・パートナーは,X5社(別紙4・⑥)であり,同社はバミューダの法令に基づき設立された法人である。 エ X12(別紙2・⑦)は,X5社の唯一の株主であり,X11を含む投資グループの最高運営責任者である。(乙2の1)オ以下の事業体は,X11が直接的・間接的に出資する事業体である。 (ア) X13Ltd(以下「X13社」という。)(別紙2・⑧)アイルランドの法令に基づき設立された法人である。 (イ) X14S.a.r.L.(以下「X14」という。)(別紙2・⑨)ルクセンブルク大公国(以下「ルクセンブルク」という。)の法令に基づき設立された事業体である。 (ウ) X15LLC(以下「X15」という。)(別紙2・⑩)米国デラウェア州の法令に基づき組成されたリミテッド・ライアビリティ・カンパニー(以下「LLC」という。)という事業体である。 (エ) X16L.P.(以下「X16」という。)(別紙2・⑪)米国デラウェア州の法令に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップである。 (オ) X17Ltd.(以下「X17社」という。)(別紙2・⑫) バミューダの法令に基づき設立された法人である。 (2) X18・グループについてア X19株式会社( である。 (オ) X17Ltd.(以下「X17社」という。)(別紙2・⑫) バミューダの法令に基づき設立された法人である。 (2) X18・グループについてア X19株式会社(以下「X19社」という。)(別紙2・⑬)は,日本の株式会社であり,本件事業年度当時,債権回収管理業に関する特別措置法に基づく債権管理回収業等を営んでいた。(乙3)イ X20L.L.C.(以下「X20LLC」という。)(別紙2・⑭)は,米国デラウェア州の法令に基づき組成されたLLCである。 ウ X21L.L.C.(以下「X21LLC」という。)(別紙2・⑮)は,米国デラウェア州の法令に基づき組成されたLLCであり,X19社の株式及びX20LLCの出資者持分の100%を保有している。 エ X22L.L.C.(以下「X22LLC」という。)(別紙2・⑯)は,米国テキサス州の法令に基づき組成されたLLCであり,X21LLCの出資者持分の100%を保有している。 オ X12は,X22LLCの出資者持分の100%を直接的・間接的に保有している。(乙2の2)以下,別紙2に記載した,X12が直接的・間接的に出資し,又は運営しているファンドその他を含む投資グループを「X23・グループ」といい,その中で,X19社及びX20LLCを直接的・間接的に支配している事業体を「X18・グループ」という。 (3) 各匿名組合契約の営業者についてX24Ltd.(以下「X24社」という。)及びX25Ltd.(以下「X25社」という。)は,いずれも,英領西インド諸島ケイマン諸島(以下「ケイマン」という。)の法令に基づき,平成12年2月に設立された,金銭債権買取業務並びに不動産の売買,賃貸及び管理等を業とする法人であり,我が国に支店を有する。(乙4,5) イマン諸島(以下「ケイマン」という。)の法令に基づき,平成12年2月に設立された,金銭債権買取業務並びに不動産の売買,賃貸及び管理等を業とする法人であり,我が国に支店を有する。(乙4,5) 2 各契約等の概要 (1) 匿名組合契約関係についてア本件各匿名組合契約の締結について(別紙4・①)(ア) X24社は,平成13年3月7日,X15との間で,X24社を営業者,X15を匿名組合員とし,X26相互会社(以下「X26」という。)が保有する債権の取得及び回収等を事業目的とする匿名組合契約(以下「本件匿名組合契約P1」という。)を締結した。(乙6)(イ) X25社は,平成13年3月7日,X15との間で,X25社を営業者,X15を匿名組合員とし,X26が保有する不動産の取得及び売却等を事業目的とする匿名組合契約(以下「本件匿名組合契約J1」という。)を締結した。(乙7)(ウ) X25社は,平成13年6月22日,X15との間で,X25社を営業者,X15を匿名組合員とし,X27相互会社(以下「X27」という。)が保有する不動産の取得及び売却等を事業目的とする匿名組合契約(以下「本件匿名組合契約J2」という。)を締結した。(乙8)(エ) X24社は,平成13年7月23日,X15との間で,X24社を営業者,X15を匿名組合員とし,X28相互会社(以下「X28」という。)が保有する債権の取得及び回収等を事業目的とする匿名組合契約(以下「本件匿名組合契約P2」といい,本件匿名組合契約P1,J1及びJ2と併せて以下「本件各匿名組合契約」という。)を締結した。 (乙9)イ本件各匿名組合契約の出資持分の譲渡について(別紙4・②)X15は,X13社に対し,本件各匿名組合契約の出資持分(匿名組合員の地位)の全部を総額236億3 」という。)を締結した。 (乙9)イ本件各匿名組合契約の出資持分の譲渡について(別紙4・②)X15は,X13社に対し,本件各匿名組合契約の出資持分(匿名組合員の地位)の全部を総額236億3836万9068円で順次譲渡した。 その契約の経緯及び内容の要旨は以下のとおりである。 (ア) X15は,平成13年6月1日,X13社との間で,X15が本件匿名組合契約P1の出資持分をX13社に対し173億6250万円で譲 渡することを内容とする契約(以下「本件出資持分譲渡契約P1」という。)を締結し,同日付けで,X24社に対してその旨を通知した。 (乙10,11)(イ) X15は,平成13年6月1日,X13社との間で,X15が本件匿名組合契約J1の出資持分をX13社に対し24億6280万円で譲渡することを内容とする契約(以下「本件出資持分譲渡契約J1」という。)を締結し,同日付けで,X25社に対してその旨を通知した。 (乙12,13)(ウ) X15は,平成13年8月29日,X13社との間で,X15が本件匿名組合契約J2の出資持分をX13社に対し30億2556万9068円で譲渡することを内容とする契約(以下「本件出資持分譲渡契約J2」という。)を締結し,同日付けで,X25社に対してその旨を通知した。(乙14,15)(エ) X15は,平成13年8月30日,X13社との間で,X15が本件匿名組合契約P2の出資持分をX13社に対し7億8750万円で譲渡することを内容とする契約(以下「本件出資持分譲渡契約P2」といい,本件出資持分譲渡契約P1,J1及びJ2と併せて以下「本件各出資持分譲渡契約」という。)を締結し,同日付けで,X24社に対してその旨を通知した。(乙16,17)ウ本件各匿名組合契約に係る業務委託契約について(別紙4・ ,J1及びJ2と併せて以下「本件各出資持分譲渡契約」という。)を締結し,同日付けで,X24社に対してその旨を通知した。(乙16,17)ウ本件各匿名組合契約に係る業務委託契約について(別紙4・③)(ア) X24社は,平成13年3月7日,X19社との間で,同社に対し本件匿名組合契約P1に係る事業の管理運営業務を委託する内容の契約(以下「本件業務委託契約1」という。)を締結した。(乙18)なお,同契約は,その後に締結された本件匿名組合契約P2についても適用されることとされた。 本件業務委託契約1では,X19社が同契約書の添付書類1に示され た対象資産に関連するサービスを履行するものとされており(2(b)),その中では,対象資産関連の帳簿及び記録の維持(A(k)),X24社を代理して行う現金分配(C4),X24社に対して要求される監査に関する政府当局との調整(D1),日本又は外国の法律,規則等により要求される政府当局へのあらゆる関連提出書類の作成(D2)等が記載されている。また,X24社は,X19社がX12の死亡又は無能力の結果によるものを除き,X12による「支配」を受けることを終了した場合は,いつでも業務委託契約を終了する権利を有するとされている(7(c)(v))。 (イ) X25社は,平成13年3月7日,X20LLCとの間で,X20LLCに対し本件匿名組合契約J1に係る事業の管理運営業務を委託する内容の契約(以下「本件業務委託契約2」という。)を締結した。(乙19)なお,同契約は,その後に締結された本件匿名組合契約J2についても適用されることとされた。 本件業務委託契約2では,X20LLCが同契約書の添付書類1に示された対象資産に関連するサービスを履行するものとされており(2(b)),その中では,対 契約J2についても適用されることとされた。 本件業務委託契約2では,X20LLCが同契約書の添付書類1に示された対象資産に関連するサービスを履行するものとされており(2(b)),その中では,対象資産関連の帳簿及び記録の維持(A(h)),X25社を代理して行う現金分配(C4),X25社に対して要求される監査に関する政府当局との調整(D1),日本又は外国の法律,規則等により要求される政府当局へのあらゆる関連提出書類の作成(D2)等が記載されている。また,X25社は,X20LLCがX12 の死亡又は無能力の結果によるものを除き,X12 による「支配」を受けることを終了した場合,X20LLCに対して,いつでも業務委託契約を終了する権利を有するとされている(7(c)(v))。 (2) 借入契約関係について ア X13社が締結した借入契約について(別紙4・④)X13社は,本件各出資持分譲渡契約の譲渡価額の総額である236億3836万9068円の99%に相当する234億0198万5377円をX14から順次借り入れる旨の契約を締結した。その契約の経緯及び内容の要旨は以下のとおりである。なお,各契約書の末尾には,それぞれ対応する匿名組合契約の表示がある。 (ア) X13社は,平成13年6月1日,本件出資持分譲渡契約P1及びJ1の譲渡価額の合計額である198億2530万円の99%に相当する196億2704万7000円を,X14から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅰ-1」という。)を締結した。(乙20)(イ) X13社は,平成13年8月29日,本件出資持分譲渡契約J2の譲渡価額30億2556万9068円の99%に相当する29億9531万3377円を,X14から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅰ-2」という。)を締結した。(乙2 9日,本件出資持分譲渡契約J2の譲渡価額30億2556万9068円の99%に相当する29億9531万3377円を,X14から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅰ-2」という。)を締結した。(乙21)(ウ) X13社は,平成13年8月30日,本件出資持分譲渡契約P2の譲渡価額7億8750万円の99%に相当する7億7962万5000円を,X14から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅰ-3」といい,本件借入契約Ⅰ-1ないし3を以下併せて「本件各借入契約Ⅰ」という。)を締結した。(乙22)イ X14が締結した借入契約について(別紙4・⑤)X14は,本件各借入契約Ⅰと同日付けで,本件各借入契約Ⅰの貸付総額である234億0198万5377円と同額を,X16及びX2並びに原告から順次借り入れる旨の契約を締結した。その契約の経緯及び内容の要旨は以下のとおりである。 (ア) X14は,平成13年6月1日,本件借入契約Ⅰ-1の貸付金額と同額の196億2704万7000円を,X16及びX2から借り入れる 契約(以下「本件借入契約Ⅱ-1」という。)を締結した。(乙23)原告は,同年8月2日,X16及びX2から,本件借入契約Ⅱ-1に係る貸主の権利及び義務の全てを,同日の借入金元本残高である142億3559万9231円で譲り受ける旨の契約(以下「本件貸付債権譲渡契約」という。)を締結した。(乙24)これに伴い,本件借入契約Ⅱ-1によるX14に対する貸付金の債権者は原告となった。 (イ) X14は,平成13年8月29日,本件借入契約Ⅰ-2の貸付金額と同額の29億9531万3377円を,原告から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅱ-2」という。)を締結した。(乙25)(ウ) X14は,平成13年8月30日,本件借入契約Ⅰ-3の貸付金額 金額と同額の29億9531万3377円を,原告から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅱ-2」という。)を締結した。(乙25)(ウ) X14は,平成13年8月30日,本件借入契約Ⅰ-3の貸付金額と同額の7億7962万5000円を,原告から借り入れる契約(以下「本件借入契約Ⅱ-3」といい,本件借入契約Ⅱ-1ないし3を併せて以下「本件各借入契約Ⅱ」という。)を締結した。(乙26)(3) スワップ契約関係についてア X17社とX13社との間の契約について(別紙4・⑥)(ア) X13社は,平成13年6月1日,X17社との間で,同年1月19日付けのスワップ契約(以下「本件スワップ契約1」という。)に基づき,本件匿名組合契約P1及びJ1に関する取引の具体的条件を確認する内容の取引確認書(Confirmation)を取り交わした(以下「本件旧取引確認書」という。)。(乙27,28)(イ) X13社は,X17社との間で,平成13年8月1日付けで,本件旧取引確認書によるスワップ契約を解約する旨の合意書を取り交わした。 (乙29)なお,解約の効力発生日は同月2日とされている。 イ原告とX13社との間の契約について(別紙4・⑦) (ア) 原告は,平成13年8月2日,X13社との間で,同月1日付けのスワップ契約(以下「本件スワップ契約2」という。)に基づき,本件匿名組合契約P1及びJ1に関する取引の具体的条件を確認する内容の「X32」と題する取引確認書(Confirmation)を取り交わした(以下「本件取引確認書1」という。)。(甲7の1,乙30)なお,本件取引確認書1の内容は,X17社が原告に代わっているほかは,本件旧取引確認書の内容と同じである。 (イ) 原告は,平成13年8月29日,X13社との間で,同日付け 甲7の1,乙30)なお,本件取引確認書1の内容は,X17社が原告に代わっているほかは,本件旧取引確認書の内容と同じである。 (イ) 原告は,平成13年8月29日,X13社との間で,同日付けのスワップ契約(以下「本件スワップ契約3」という。)に基づき,本件匿名組合契約J2に関する取引の具体的条件を確認する内容の「X33」と題する取引確認書(Confirmation)を取り交わした(以下「本件取引確認書2」という。(甲7の2,乙31)(ウ) 原告は,平成13年8月30日,X13社との間で,本件スワップ契約3に基づき,本件匿名組合契約P2に関する取引の具体的条件を確認する内容の「X34」と題する取引確認書(Confirmation)を取り交わした(以下「本件取引確認書3」といい,本件取引確認書1及び2と併せて以下「本件各取引確認書」という。)(甲7の3)ウ本件各取引確認書の記載内容本件各取引確認書には,取引の条件として,「当事者」,「支払」及び「定義」の記載があるところ,「支払」及び「定義」の内容は要旨以下のとおりである。 (ア) 支払各支払期日において,その前の支払期間について,① 「純受取額」が「債務返済額」を超える場合は,X13社が原告に対し,「利用可能な現金」の範囲内でその超える部分を米国ドルで支払い,② 「債務返済額」が「純受取額」を超える場合には,原告がX13社に対し,その 超える部分を米国ドルで支払う。 X13社が原告に対して支払をするための「利用可能な現金」の額が不足する場合,当該不足額は利息なしに未払で繰り越され,その支払期限は,「利用可能な現金」が当該支払をするに足りるようになった後の最初の支払期間に到来する。 (イ) 定義定義として,「利用可能な現金」,「営業日」,「計算代理人 に未払で繰り越され,その支払期限は,「利用可能な現金」が当該支払をするに足りるようになった後の最初の支払期間に到来する。 (イ) 定義定義として,「利用可能な現金」,「営業日」,「計算代理人」,「債務返済額」,「遅延損害金利率」,「純受取額」,「支払金額」,「支払期日」及び「支払期間」が定められているが,主要部分の要旨は以下のとおりである。 a 「利用可能な現金」とは,各支払期間について,X13社が取得し,本件資産(本件取引確認書1においては本件匿名組合契約P1及びJ1,本件取引確認書2においては本件匿名組合契約J2,本件取引確認書3においては本件匿名組合契約P2に係る,X13社がX15から譲り受けた権利,債務及び持分を指す。)に関してX13社が受領した総受取額の合計が,本件資産に合理的に割り当てられるX13社の全ての支払総額を超過する額をいう。 b 「純受取額」とは,各支払期間について,本件資産(本件取引確認書1においては本件匿名組合契約P1及びJ1,本件取引確認書2においては本件匿名組合契約J2,本件取引確認書3においては本件匿名組合契約P2に係る,X13社がX15から譲り受けた権利,債務及び持分を指す。)から生じた収入及び利益の総額の99%から,X13社が負担した費用を控除した金額をいう。 c 「債務返済額」とは,各支払期間について,X13社がX14と締結した融資契約(本件取引確認書1においては本件借入契約Ⅰ-1,本件取引確認書2においては本件借入契約Ⅰ-2,本件取引確認書3 においては本件借入契約Ⅰ-3を指す。)に係る支払利息,経費,費用の合計額をいう。 d 「計算代理人」とはX22LLCのことをいい,計算代理人の全ての決定及び計算は,明らかな間違いがない限り原告を拘束する。 (4) 投資の意思決定に に係る支払利息,経費,費用の合計額をいう。 d 「計算代理人」とはX22LLCのことをいい,計算代理人の全ての決定及び計算は,明らかな間違いがない限り原告を拘束する。 (4) 投資の意思決定に関する書面について(別紙4・⑧)ア X23・グループにおいて,本件匿名組合契約P1関係で,平成13年3月1日付けの「X29 4(Millennium) JPY 55.4 BillionInvestment」と題する書面(以下「本件投資メモP1」という。)が作成されている。 (乙32)本件投資メモP1には,① 投資の目的は匿名組合がX26から取得する資産である旨,② 債権回収代行会社はX19社である旨,③ 期待収益について,内部投資収益率は18.6%(予測),自己資本割引率は25%超(予測)である旨,④ 本ファンドが所有し管理下にあるX15が匿名組合財産の75%を取得し,取得後すぐこれを本ファンドが所有し管理下にあるX13社に取得原価と同額で譲渡する旨,⑤ 投資戦略の変更や,大幅な予想変更により何らかの調整が必要になった場合,その承認は投資委員会が行う旨,⑥ X13社が匿名組合財産から得る所得や利益は,日愛租税条約に基づき,日本における課税が免除される旨の記載がされており,「Approved(承認)」欄にX12の署名がある。 イ X23・グループにおいて,本件匿名組合契約J1関係で,平成13年3月1日付けの「X29 "Millennium-X25"」と題する書面(以下「本件投資メモJ1」という。)が作成されている。(乙33)本件投資メモJ1には,① 投資の目的は匿名組合がX26から取得する資産である旨,② 資産管理者はX20LLCである旨,③ 期待される収益は25%超である旨,④ X15は匿名組合事業の94%を出資する旨が記 モJ1には,① 投資の目的は匿名組合がX26から取得する資産である旨,② 資産管理者はX20LLCである旨,③ 期待される収益は25%超である旨,④ X15は匿名組合事業の94%を出資する旨が記載されているほか,前記アとほぼ同様の記載がされており,「Ap proved(承認)」欄にX12の署名がある。 ウ X23・グループにおいて,本件匿名組合契約J2関係で,平成13年6月13日付けの「X30 "Metropolitan"」と題する書面(以下「本件投資メモJ2」という。)が作成されている。(乙34)本件投資メモJ2には,① 投資の目的は匿名組合がX27から取得する資産である旨,② 資産管理者はX20LLCである旨,③ 期待される収益は25%超である旨,④ X15は匿名組合事業の94%を出資する旨が記載されているほか,前記アとほぼ同様の記載がされており,「Approved(承認)」欄にX12の署名がある。 エ X23・グループにおいて,本件匿名組合契約P2関係で,平成13年7月13日付けの「X31 lnsuranceCompanyJPY 769 MillionInvestment」と題する書面(以下「本件投資メモP2」といい,本件投資メモP1,J1及びJ2と併せて以下「本件各投資メモ」という。)が作成されている。(乙35)本件投資メモP2には,① 投資の目的は匿名組合がX28から取得する資産である旨,② 債権回収代行業者はX19社である旨,③ 期待収益については,内部投資収益率は19.9%(予測)で,自己資本割引率は25%超(予測)である旨,④ X15は匿名組合事業の75%を出資する旨が記載されているほか,前記アとほぼ同様の記載がされており,「Approved(承認)」欄にX12の署名がある。 3 本件 は25%超(予測)である旨,④ X15は匿名組合事業の75%を出資する旨が記載されているほか,前記アとほぼ同様の記載がされており,「Approved(承認)」欄にX12の署名がある。 3 本件各匿名組合契約の出資持分の取得に関する資金の流れ(1) 本件匿名組合契約P1及びJ1に係る資金の流れ(別紙5の赤線)ア本件匿名組合契約P1及びJ1関係では,いずれも平成13年6月1日付けで,① X16及びX2が,X14に対し,本件出資持分譲渡契約P1及びJ1の譲渡価額合計198億2530万円の99%相当額である196億2704万7000円を貸し付け(本件借入契約Ⅱ-1),② X 14がX13に対し上記同額を貸し付け(本件借入契約Ⅰ-1),③ X13社は,上記借入金に自己資金1億9825万3000円(上記譲渡価額合計の1%相当額)を加えて,X15から本件匿名組合契約P1及びJ1の出資持分を取得した(本件出資持分譲渡契約P1及びJ1)。 なお,原告が,平成13年8月2日付けで,X16及びX2から本件借入契約Ⅱ-1に係る権利及び義務の全てを譲り受けたため(本件貸付債権譲渡契約),上記①のX14に対する資金拠出者は原告となった。 イ X13社は,X14に対し,平成13年7月3日から平成16年2月24日までの間に,合計196億2704万6999円を返済し,本件借入契約Ⅰ-1の借入金額(196億2704万7000円)のほぼ全額を返済した。(乙36の1)(2) 本件匿名組合契約J2に係る資金の流れ(別紙5の緑線)ア本件匿名組合契約J2関係では,いずれも平成13年8月29日付けで,① 原告が,X14に対し,本件出資持分譲渡契約J2の譲渡価額30億2556万9068円の99%相当額である29億9531万3377円を貸し付け(本件借 係では,いずれも平成13年8月29日付けで,① 原告が,X14に対し,本件出資持分譲渡契約J2の譲渡価額30億2556万9068円の99%相当額である29億9531万3377円を貸し付け(本件借入契約Ⅱ-2),② X14がX13社に対し上記同額を貸し付け(本件借入契約Ⅰ-2),③ X13社は,上記借入金に自己資金3025万5691円(上記譲渡価額の1%相当額)を加えて,X15から本件匿名組合契約J2の出資持分を取得した(本件出資持分譲渡契約J2)。 イ X13社は,X14に対し,平成16年3月15日に17億4813万3380円,同年4月19日に12億4717万9997円を返済し,本件借入契約Ⅰ-2の借入金額の全額(29億9531万3377円)を返済した。(乙36の2)(3) 本件匿名組合契約P2に係る資金の流れ(別紙5の黄線)ア本件匿名組合契約P2関係では,いずれも平成13年8月30日付けで, ① 原告が,X14に対し,本件出資持分譲渡契約P2の譲渡価額7億8750万円の99%相当額である7億7962万5000円を貸し付け(本件借入契約Ⅱ-3),② X14がX13社に対し上記同額を貸し付け(本件借入契約Ⅰ-3),③ X13社は,上記借入金に自己資金787万5000円(上記譲渡価額の1%相当額)を加えて,X15から本件匿名組合契約P2の出資持分を取得した(本件出資持分譲渡契約P2)。 イ X13社は,X14に対し,平成16年2月24日に2億1043万9351円,同年3月15日に5億6918万5649円を返済し,本件借入契約Ⅰ-3の借入金額の全額(7億7962万5000円)を返済した。 (乙36の3) 4 本件各匿名組合契約の各年度の損益の額及び利益分配金の支払額(1) 本件各匿名組合契約の損益の額本件各匿名組 Ⅰ-3の借入金額の全額(7億7962万5000円)を返済した。 (乙36の3) 4 本件各匿名組合契約の各年度の損益の額及び利益分配金の支払額(1) 本件各匿名組合契約の損益の額本件各匿名組合契約の各年度(1月1日から12月31日まで)における損益の額は,以下のとおりである。 ア本件匿名組合契約P1の損益(乙37の1・各対象年度の「X26ローン」欄の「利益もしくは損益の金額」欄)(ア) 平成13(2001)年度の利益金額 28億5057万2756円(イ) 平成14(2002)年度の利益金額 44億8845万5185円(ウ) 平成15(2003)年度の利益金額 15億0353万1278円(エ) 平成16(2004)年度の利益金額 23億9739万2736円イ本件匿名組合契約J1の損益(乙37の2・各対象年度の「X26ローン」欄の「利益もしくは損益の金額」欄)(ア) 平成13(2001)年度の利益金額 4億1681万4821円(イ) 平成14(2002)年度の利益金額 15億3570万3335円(ウ) 平成15(2003)年度の利益金額 2438万2919円(エ) 平成16(2004)年度の損失金額 1億6867万2591円 ウ本件匿名組合契約J2の損益(乙37の2・各対象年度の「X27ローン」欄の「利益もしくは損益の金額」欄)(ア) 平成13(2001)年度の損失金額 1億7224万8664円(イ) 平成14(2002)年度の利益金額 6億7374万2714円(ウ) 平成15(2003)年度の損失金額 3億2317万0177円(エ) 平成16(2004)年度の損失金額 9915万2509円エ本件匿名組合契約P2の損益(乙37の1・各対象年度の「X28ローン 003)年度の損失金額 3億2317万0177円(エ) 平成16(2004)年度の損失金額 9915万2509円エ本件匿名組合契約P2の損益(乙37の1・各対象年度の「X28ローン」欄の「利益もしくは損益の金額」欄)(ア) 平成13(2001)年度の損失金額 2149万1377円(イ) 平成14(2002)年度の損失金額 3975万8633円(ウ) 平成15(2003)年度の損失金額 4億4610万8507円(エ) 平成16(2004)年度の損失金額 2億5382万4924円(2) 本件各匿名組合契約に基づく利益分配金の支払額ア X24社は,以下のとおり,本件匿名組合契約P1及びP2に基づく利益分配金の支払をした。(乙37の1・「送金合計額」欄)(ア) 平成13年度分 28億2908万1379円(イ) 平成14年度分 44億4869万6552円(ウ) 平成15年度分 10億5742万2771円(エ) 平成16年度分 19億1697万7000円イ X25社は,以下のとおり,本件匿名組合契約J1及びJ2に基づく利益分配金の支払をした。(乙37の2・「送金合計額」欄)(ア) 平成13年度分 2億4456万6157円(イ) 平成14年度分 22億0944万6049円 (別紙6)本件各決定の根拠及び適法性 1 本件決定の根拠及び適法性(1) 本件決定の根拠原告の本件事業年度の法人税の所得金額及び納付すべき税額は,次のとおりである。 ア課税所得金額26億7675万9136円上記金額は,法人税法138条1号に定める国内源泉所得である,法人税法施行令177条1項4号に規定する匿名組合契約に基づき ,次のとおりである。 ア課税所得金額26億7675万9136円上記金額は,法人税法138条1号に定める国内源泉所得である,法人税法施行令177条1項4号に規定する匿名組合契約に基づき利益の分配を受ける権利により生じた所得の金額である。 これは,次の(ア)の金額から(イ)及び(ウ)の金額を控除して算出した金額である。 (ア) 匿名組合契約に基づく利益分配金 30億4291万1060円平成13年度分の本件匿名組合契約P1及びP2に基づく利益分配金支払額28億2908万1379円の99%相当額28億0079万0565円(1円未満の端数切捨て)と平成13年度分の本件匿名組合契約J1及びJ2に基づく利益分配金支払額2億4456万6157円の99%相当額2億4212万0495円(1円未満の端数切捨て)の合計額。 (イ) 支払利息 3億5259万3652円(ウ) 経費 1355万8272円イ課税所得金額に対する法人税額8億0254万7700円上記金額は,上記アの課税所得金額26億7675万9000円(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数切捨て) に,法人税法143条(ただし,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律16条1項による置き換え後のもの)に規定する税率(所得金額のうち600万円(800万円を12で除し,これに本件事業年度の月数9を乗じて計算した金額)については22%,600万円を超える金額については30%)を乗じて計算した金額である。 ウ差引納付すべき法人税額8億0254万7700円上記金額は,上記イの金額と同額であり,本件決定により原告が新たに納付す 0万円を超える金額については30%)を乗じて計算した金額である。 ウ差引納付すべき法人税額8億0254万7700円上記金額は,上記イの金額と同額であり,本件決定により原告が新たに納付すべき法人税額である。 (2) 本件決定の適法性被告が本訴において主張する原告の本件事業年度の法人税に係る所得金額及び納付すべき税額は上記(1)のとおりであり,これらの金額は,本件決定における所得金額及び納付すべき税額と同額であるから,本件決定は適法である。 2 本件賦課決定の根拠及び適法性(1) 本件賦課決定の根拠上記1のとおり,本件決定処分は適法であるところ,原告は本件事業年度の法人税について納税申告書を提出していなかったものであり,また,期限内申告書の提出がなかったことについて,正当な理由も存在しない。 したがって,原告に課されるべき無申告加算税の額は,平成18年法律第10号による改正前の国税通則法66条1項に基づき,本件決定処分により原告が新たに納付すべきこととなった税額8億0254万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数切捨て)に100分の15の割合を乗じた1億2038万1000円となる。 (2) 本件賦課決定の適法性 被告が本訴において主張する原告に課されるべき無申告加算税の額は上記(1)のとおりであり,これは,本件賦課決定における無申告加算税の額と同額であるから,本件賦課決定は適法である。 (別紙7)争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点1(原告の租税法上の法人該当性)について(被告の主張の要旨)(1) 外国の事業体の租税法上の法人該当性の判断基準ア外国の事業体の法人該当性を判断するに当たっては,どのような団体に法人格を付与 租税法上の法人該当性)について(被告の主張の要旨)(1) 外国の事業体の租税法上の法人該当性の判断基準ア外国の事業体の法人該当性を判断するに当たっては,どのような団体に法人格を付与するか,また,法人格を付与することによって法人にどのような権利能力を認めるかについては,それぞれの国家の価値判断に基づいて行われるものであり,立法政策の問題に帰するのであって,法人制度の内容がそれぞれの国家の価値判断に基づく選択の結果である以上,外国において我が国と同じ法人制度が採られていないことも十分想定されることに留意すべきである。 仮に,外国の法令において我が国の法人に相当する概念が存在するとしても,双方の法令上の概念が,必ずしも厳密に一致するとは限らないのであるから,ある外国において我が国の法人に類似する概念があり,ある事業体がこれに該当するとされていたとしても,そのことから直ちに当該事業体が我が国の私法上の法人と同じ意味において「権利義務の主体となることのできるもの」であるということはできない。同様に,ある外国において我が国の法人に類似する概念に該当しないとされる事業体が,直ちに「権利義務の主体となることのできるもの」に該当しないということもできない。 イそこで,それぞれの国における法人制度が異なっていることを前提とした上で,どのような性質を有する外国の事業体が我が国の私法に照らして法人格を有する団体であるといえるかについては,我が国の私法上,法人に付与されている権利能力の内容と,当該外国の事業体が有する権利能力の内容とを比較し,当該外国の事業体が我が国の法人に付与されるのと同 じ内容の権利能力を有しているか否かにより判断すべきである。なぜなら,我が国において法人に認められる権利能力と同じ内容の権利能力が認めら ,当該外国の事業体が我が国の法人に付与されるのと同 じ内容の権利能力を有しているか否かにより判断すべきである。なぜなら,我が国において法人に認められる権利能力と同じ内容の権利能力が認められている外国の事業体について,これを我が国の私法上(租税法上)の法人として取り扱うことに何ら支障がないばかりか,我が国の私法(租税法)の解釈としても合理的であって,我が国の法人制度の目的に沿うものであり,公平な取扱いになるものということができるからである。 以上によれば,実質的な観点から,当該外国の事業体に認められている権利能力の内容を検討し,その上で,それが我が国の私法上の法人に付与されている権利能力と同等の能力を有するか否か,すなわち,実体法的には,① その構成員の個人財産と区別された独自の財産を有すること(被告基準①),② その名において契約を締結し,その名において契約等の法律行為を行い,権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となることができることという能力を有するか否か(被告基準②)を判断要素とし,これに加えて,実体法上の権利義務を最終的に確定させ,実現するのは訴訟手続によることから,手続法的には,③ その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得ること(被告基準③)をも判断要素として,これら3つの能力等を全て有しているか否かに基づいて判断するのが相当である。 そして,外国の法令に基づき設立された事業体が上記①ないし③の能力等を有するか否かは,その設立準拠法や設立契約の内容に加えて,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等を考慮して,個別具体的に判断されるべきである。 (2) 上記基準(被告基準①ないし③)への具体的あてはめア被告基準①についてバミューダ法では,パートナーシップの構成員の 務の帰属状況等を考慮して,個別具体的に判断されるべきである。 (2) 上記基準(被告基準①ないし③)への具体的あてはめア被告基準①についてバミューダ法では,パートナーシップの構成員の総称であるファーム(firm)の計算で,パートナーシップの事業の過程で獲得された財産及び 権利について,パートナーシップ財産(partnershipproperty)という概念が存在し(1902年PS法20条),ファーム(firm)に対する判決である場合を除き,パートナー個人の負債等に基づいてパートナーシップ財産(partnershipproperty)に対し強制執行することはできないとされている(1902年PS法23条1項)。これらの規定からすると,バミューダ法上,リミテッド・パートナーシップの事業体の財産と,構成員の個人の財産は厳格に区別されていることが認められる。 また,本件LPS契約では,2.8条には,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うこと」ができるようにするため必要な手続をする旨規定されており,また,4.2条には,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップを代理して,金銭を借り入れ,保証又は賠償を行い,パートナーシップの資産を取得する権限を有する」旨規定されていることからすれば,リミテッド・パートナーシップが構成員の個人財産と区別された独自の財産を有する主体となることを前提としていることが認められる。 実際,本件各取引確認書に基づく送金の受取口座となっているX8 の口座名義人は「X9LP」であり,当該口座の資金については,パートナーの個人財産と区別された原告独自の財産であると認められる。 以上のとおり,原告の設立準拠法の規定の内容,設立契約である本件LPS契約の内容 X9LP」であり,当該口座の資金については,パートナーの個人財産と区別された原告独自の財産であると認められる。 以上のとおり,原告の設立準拠法の規定の内容,設立契約である本件LPS契約の内容及び実際の財産の帰属状況等に照らせば,原告はパートナーの個人財産とは区別された独自の財産を有していることが認められる。 イ被告基準②についてバミューダの法令では,個々のパートナーとは別に,パートナーの総称としてファーム(firm)という概念を創設し,ファーム(firm)の名称によって事業が営まれているときの名称をファームネーム(firmname)と称し,ファーム(firm)の事業に関連する行為等や,ファームネーム(fi rmname)で又はファーム(firm)を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm)及び全てのパートナーを拘束するとされている(1902年PS法4条及び6条)ことからすると,パートナーシップが契約締結の法的主体になることを予定していると考えられる。 また,本件LPS契約の4.2条では,パートナーシップは「あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができる」とされ,ジェネラル・パートナーは,これに関連してパートナーシップを代理して金銭の借入れ等を行う権限を有するとされていることからすると,リミテッド・パートナーシップが契約締結の主体となるものと解される。 さらに,契約の実態をみると,前記アのとおり,本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人が原告自身となっているところ,これは,原告が独自の財産を有することを意味するにとどまらず,原告自身が取引の主体となって金融機関との間で預金契約を締結していることを意味するものと解される。また,本件取引確認書2においては,契約 これは,原告が独自の財産を有することを意味するにとどまらず,原告自身が取引の主体となって金融機関との間で預金契約を締結していることを意味するものと解される。また,本件取引確認書2においては,契約当事者欄に「X9L.P. ByName:X12 Titie:President」と記載され,原告の「President」として「X12」の署名がされており,原告自身が本件取引確認書2によるスワップ契約の当事者となっている。この点,本件取引確認書1及び3では原告の表示とともにジェネラル・パートナーの名まで記載されているが,本件取引確認書2も,契約締結後訂正等されることなく当事者間で有効なものとして取り扱われているのは,ジェネラル・パートナーではなく,事業体としての原告自身が主体となって有効に契約が締結できることを示すものと解される。 以上のとおり,原告の設立準拠法の規定の内容,設立契約である本件LPS契約の内容及び実際の権利義務の帰属状況等に照らせば,原告がその名において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となっていることが認められる。 ウ被告基準③について1985年最高裁規則81条1項によれば,パートナーの総称を表す概念であるファーム(firm)の名義で訴訟を提起し,又は提起されると規定されていることからすると,リミテッド・パートナーシップは訴訟能力を有していると認められる。 したがって,原告は,その名において訴訟当事者になり得ることが認められる。 エその他(バミューダにおいてリミテッド・パートナーシップが法人に相当する法的主体であると認識されていること(ア) バミューダの法律事務所である X7 が公表している「X10」(乙第1号証)には,バミューダ ミューダにおいてリミテッド・パートナーシップが法人に相当する法的主体であると認識されていること(ア) バミューダの法律事務所である X7 が公表している「X10」(乙第1号証)には,バミューダのパートナーシップについて,バミューダ法のもとでは,「利益を目的として共同で事業を行う者との間に存在する関係である」とされているため,パートナーシップ自体はエンティティ(entity。「法主体」の意。)ではないが,あらゆる実用的な目的のためにエンティティ(法主体)としての役割を果たすことができる,パートナーシップの名で事業を遂行することができる,1985年最高裁規則ではパートナーシップの名で訴訟を提起し,提起されることを認めていると説明されている。 (イ) 2006年改正後の1902年PS法によれば,パートナーシップは法人格を有することを選択して登録すれば法人格を取得し,パートナーとは別個の独立した法人となり,パートナーから独立した財産を有し取引する能力を有し,その能力は限定されないこととされている。このように,選択により法人格を取得して上記のような能力を有することができるということは,上記法改正前から,バミューダのリミテッド・パートナーシップは,既に実質的に法人格を付与するのに必要とされる要素を備えており,法人に相当する法的主体であると認識されていたもの とみることができる。 (3) 小括以上によれば,原告は,① パートナーの個人財産とは区別された独自の財産を有し,② その名において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うことができ,③ その名において訴訟当事者となり得ることが認められ,我が国の私法上,法人に当然に認められる能力及び属性を全て有していると評価することができることから,「自然人以外のもので, 義務を負うことができ,③ その名において訴訟当事者となり得ることが認められ,我が国の私法上,法人に当然に認められる能力及び属性を全て有していると評価することができることから,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」に該当し,我が国の租税法上(私法上)の法人に該当する。 したがって,原告は法人税法2条4号の「外国法人」に該当する。 (4) 原告の主張に対する反論(被告の判断基準について)ア原告は,我が国の民法は法人法定主義を規定するにとどまり,民法その他の法令に,法人の実質的な要件や属性等は規定されていないのであるから,被告基準①ないし③が我が国の私法上の法人とされる団体(事業体)に共通してみられる属性であったとしても,最小限度の属性であることを意味するにすぎないとし,これらの属性は,一般的に法人といえるための必要条件である可能性は否定できないが,十分条件とはいえず,任意組合や権利能力のない社団も被告基準①ないし③に該当し得ることからして,法人と法人でない団体(事業体)とを区別する基準として機能し得ないと主張する。 イしかしながら,被告基準①ないし③は,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」という私法上の法人の意義から導き出されたものであり,我が国では法人の実質を示す要素として争いがないものである。そして,ある事業体が,被告基準①ないし③を満たし,我が国の法人と同様の権利義務の帰属主体であるということになれば,それは通常,損益ないし所得の帰属主体となり,法人税の課税対象とな る属性を有するといえる。そして,現行法上,我が国の団体で,被告基準①ないし③を全て満たすが,法人でないものは存在しない(なお,原告の指摘する任意組合や権利能力のない社団が被告基準①及び②を満たすといえ を有するといえる。そして,現行法上,我が国の団体で,被告基準①ないし③を全て満たすが,法人でないものは存在しない(なお,原告の指摘する任意組合や権利能力のない社団が被告基準①及び②を満たすといえないことは後記ウのとおりである。)。 ウ次に,任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)が被告基準①ないし③に該当するか否かについて検討するに,確かに,被告基準③については,民事訴訟法29条は,代表者又は管理人の定めのある法人でない社団等(権利能力のない社団)に当事者能力を認め,業務執行組合員のある任意組合にも同条が準用されるから,任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)にも該当する。 しかし,以下のとおり,被告基準①及び②は,法人とその他の団体(任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)とを区別する基準として十分機能するものである。 (ア) 被告基準①について民法上,組合財産は総組合員の共有(合有)と解され(民法668条),また,人格のない社団等(権利能力のない社団)の財産は構成員に総有的に帰属すると解されており,いずれの場合も,団体ではなく構成員に権利義務が帰属する。その権利義務の帰属形態が「共有(合有)」又は「総有」であることから,構成員個人が自由にそれを処分できるわけではないという意味で,その財産は構成員の個々の財産とは区別できるとはいうものの,法的には法人財産のように,法人の独自の財産として法人に帰属し,構成員の個人財産と厳格に区別されるといった関係はない。 組合について述べれば,組合員は,組合財産について,その持分を処分できず(民法676条1項),組合の清算前に組合財産の分割を請求できない(同条2項)とされている。しかし,これは,組合財産 が組合としての目的を達成するための経済的な ついて,その持分を処分できず(民法676条1項),組合の清算前に組合財産の分割を請求できない(同条2項)とされている。しかし,これは,組合財産 が組合としての目的を達成するための経済的な手段(組合事業のために使用され,組合債権者の責任財産にもなる。)であることから,それが一部の組合員の都合によって移転(持分移転)・分割されることとなれば,その経済的な意義を失わしめ,組合事業の遂行に支障を来すことから,組合員各自の個人財産と混同しないという意味で,ある程度の独立性を持つものとして取り扱うこととされたものである。その意味で組合員各自は,人的な結合関係を背景に組合財産に対する自由な支配権を有していないことになるものの,組合財産は,その担い手である全組合員から完全に独立した存在ではないとされているのである。 この点において,被告基準①は法人とその他の団体(任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団))とを区別する基準として機能する。 本件LPS契約において,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うこと」ができるようにするため必要な手続をする旨(2.8条)や,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップを代理して,金銭を借り入れ,保証又は賠償を行い,パートナーシップの資産を取得する権限を有する」旨(4.2条)規定されているところ,民法上の組合では,組合財産は組合員の共有(合有)とされ,組合自身が財産を所有することはないから,ジェネラル・パートナーにおいて「パートナーシップが適法に財産を所有」し事業を行うことができるよう必要な手続をするということ自体,原告が組合とはその性質を異にしていることを裏付ける。 また,原告自身が本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人となっているところ,民 行うことができるよう必要な手続をするということ自体,原告が組合とはその性質を異にしていることを裏付ける。 また,原告自身が本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人となっているところ,民法上の組合では,組合自身が銀行預金の口座名義人となることはできない。 (イ) 被告基準②について任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)の代表者名で法律行為をすることが認められているのは,構成員全員の氏名を列挙することの煩を避けるためである。その場合の代表者名はいわば構成員全員の氏名の代わりにすぎず,団体としての任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)がその名において法律行為をしているとは認められない。これは,原告の主張するように,取引実務上任意組合の名義で契約を締結することがあるとしても同様である。 なお,原告の引用する最高裁昭和32年(オ)第693号同36年7月31日第二小法廷判決・民集15巻7号1982頁は,組合の理事長名義で振り出された手形の表示が,各組合員の代理人の表示と見ることができるかどうかが争われた事件について,「本件手形は,組合の代表者が,その権限にもとずき,組合のために,その組合代表者名義をもつて振出したものである以上,同組合の組合員は,手形上,各組合員の氏名が表示された場合と同様,右手形について共同振出人として,合同してその責を負うものと解するを相当とする」と判示している。この判示は,手形の振出しという法律行為を団体の行為としたものではなく,飽くまで組合を構成する各組合員の行為であるとしたものであるから,原告の主張の根拠となるものではない。 人格のない社団等(権利能力のない社団)について見ても,その不動産の登記については,代表者が構成員全員からの受託者としての地位において,その個人名 あるから,原告の主張の根拠となるものではない。 人格のない社団等(権利能力のない社団)について見ても,その不動産の登記については,代表者が構成員全員からの受託者としての地位において,その個人名義で登記をすべきものとされていること(最高裁昭和47年(オ)第232号同47年6月2日第二小法廷判決・民集26巻5号957頁)にも端的に表れているのであって,被告基準②によって法人とその他の団体(任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団))を区別することは可能である。 本件LPS契約において,パートナーシップは「あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができる」(4.2条)として,リミテッド・パートナーシップが契約締結の主体となるとする規定があることが認められること,また,実態としても,原告自身が本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人となっていることや,本件取引確認書2において,ジェネラル・パートナーではなく原告自身が契約当事者となって有効に契約が締結されていることが認められるところ,民法上の組合では,組合自身が,法律上,契約締結の主体となることはできず(構成員全員が主体となる。),銀行預金の口座名義人となることはできないし,仮に組合自身が契約書に契約当事者として記載されたとしても,構成員である組合員全員の氏名の代わりにその表示が用いられているにすぎないことに照らせば,上記の各事実も,原告が組合ではないことを裏付ける事実となる。したがって,バミューダ法を準拠法として本件LPS契約により設立された原告と同様の法的効果が我が国の組合にも認められるということはできない。 (ウ) 被告基準③について原告は,被告が被告基準③は任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)にも該当すると述べたこと 法的効果が我が国の組合にも認められるということはできない。 (ウ) 被告基準③について原告は,被告が被告基準③は任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)にも該当すると述べたことをとらえて,被告基準③は法人と法人でない事業体を区別する基準にはならないことを被告が認めたとし,被告基準①ないし③は,実は被告基準①及び②という主張であるにすぎないことが明らかになったなどと主張するしかしながら,被告基準③が任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)にも該当するのは,我が国の民事訴訟法29条が代表者又は管理人の定めのある法人でない社団等(権利能力のない社団)に当事者能力を認め,業務執行組合員のある任意組合にも同条が準用されることによる。その意味で,被告基準③を独立して取り上げてみれば,法 人とそれ以外の団体とを区別する基準として十分ではないといえるが,そうだからといって,民事訴訟法上,法人は当然に当事者能力を有するという法人の本質的性格が否定されるものではなく,当事者能力の有無は,依然として法人の特質を支える一つの重要な要素である。そこで,被告基準③は,実体法的な観点からの基準である被告基準①及び②と併せて,手続法的な観点から,外国の事業体が我が国の法人に認められる権利能力と同等の能力を有するか否かを実質的に判断するための不可欠な要素となるのである。外国において我が国の民事訴訟法29条の規定と同様の規定があるとは限らないのであるから,被告基準③が基準として無意味なものとなるものではない(被告基準①及び②を満たすが,被告基準③を満たさないこともあり得るのであり,そのような事業体は我が国の私法上の法人に該当しない。)。したがって,原告の上記主張は,被告の主張を正解しないものであり,失当である。 エし すが,被告基準③を満たさないこともあり得るのであり,そのような事業体は我が国の私法上の法人に該当しない。)。したがって,原告の上記主張は,被告の主張を正解しないものであり,失当である。 エしたがって,被告基準①ないし③によって,法人と任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)とを区別することは十分に可能であるから,原告の前記の主張は理由がない。 (5) 原告の主張に対する反論(原告主張の判断基準について)ア原告は,租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いる場合には,原則として私法上の概念と同じ意義に解すべきという立場(借用概念論の統一説)に立ちながら,借用すべき私法上の法人の概念を明らかにすることなく,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」という民法の法人の概念から離れて,独自にその概念を規定した上でその該当性判断基準を定立している。これでは,租税法上の法人の概念が私法上の法人の概念と異なることになり,法的安定性を損なうおそれがあって,相当でない。 また,実質的にみても,以下に述べるとおり,原告第一基準(法人格要 件)及び原告第二基準(損益帰属要件)は,法人の概念を不当に狭めるものであって,相当でないというべきである。 イ原告第一基準(法人格要件)が相当でないこと(ア) 原告は,我が国が法人法定主義を採用していること(民法(平成16年法律第147号による改正前のもの。以下同じ。)33条)や,民法36条の規定の解釈を主なよりどころとして,原告第一基準(法人格要件)を導いたものと考えられる。 (イ) しかしながら,外国においては,法人法定主義が採用されているとは限らず,法人法定主義が採用されているとしても,そこで法人とされる団体が我が国の法人と同等の能力を有するとは限らない。そ る。 (イ) しかしながら,外国においては,法人法定主義が採用されているとは限らず,法人法定主義が採用されているとしても,そこで法人とされる団体が我が国の法人と同等の能力を有するとは限らない。そこで,外国の事業体が我が国の私法上の法人と同様に権利義務の主体となり得るか否かを,当該外国の準拠法の規定によって形式的に判断することはできない。民法36条(現在の民法35条)にいう「認許」とは,「外国法人が我が国において活動する場合,その活動より生じる権利義務に関して,その外国法人に権利義務の主体たること,すなわち,法人格を認めることである」と解されていることからして,同条は,外国法人が我が国において法人として活動することを認める要件を定めた規定であって,外国法人自体の意義を明らかにする規定ではない。 また,民法36条1項と同趣旨の規定である現在の民法35条1項では,「外国法人は,国,国の行政区画及び外国会社を除き,その成立を認許しない。」と規定しているところ,ここでいう「外国会社」は,会社法の外国会社と同義と解されており,会社法の規定によって,日本において一定の法人格を享受できるとされ,このことを民法では法人の「成立を認許する」という表現を使っていると説明されている。 そして,会社法2条2号は,外国会社を,外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって,会社(株式会社,合名会社, 合資会社又は合同会社をいう。同条1号)と同種のもの又は会社に類似するものをいうと定義しているところ,この規定については,「外国会社であるか否かを判断する際に,日本の株式会社・合名会社・合資会社・合同会社と同種かこれらに類似するものでさえあれば,日本においても外国においても法人格が認められるか否かは問わないことを明らかにした」ものと 否かを判断する際に,日本の株式会社・合名会社・合資会社・合同会社と同種かこれらに類似するものでさえあれば,日本においても外国においても法人格が認められるか否かは問わないことを明らかにした」ものと説明されている。そうすると,どのような外国の事業体が会社法上の外国会社と認められるかについては,我が国の会社(株式会社,合名会社,合資会社又は合同会社)と同種又は類似するものといえるか否かにより実質的に判断されることになるのであって,外国の法令により形式的に法人とする旨が規定されていない事業体であっても,会社法の外国会社に該当し得るものがあり,その事業体は,我が国において成立が認許される外国法人に含まれることになる。 (ウ) どのような団体にどのような権利義務を付与するかは,各国の立法政策の問題であり,法人と翻訳される外国の法人の概念が我が国の法人の概念と同一であるとは限らない。外国の事業体について,その準拠法によって法人とする旨が規定されていることを租税法上の法人該当性の判断基準とするとすれば,外国の法令の規定内容によって,我が国の租税法の適用において,我が国の法人と同等の権利能力を有する事業体が法人として扱われず,逆に我が国の法人の有する権利能力を有しない事業体が法人として扱われることになって公平の原則に反する上,法人法定主義が採用されていない法制下では,我が国の租税法上の法人として扱われる事業体が存在しないこととなり,極めて不合理な結果を招来するおそれがある。 このように,法人制度の内容がそれぞれの国家の価値判断に基づく立法政策の問題であることを前提とすれば,外国の事業体が我が国の 租税法上(私法上)の法人に該当するか否かを判断するに当たっては,我が国の私法上,法人に付与されている権利能力の内容と,当該外国の事 の問題であることを前提とすれば,外国の事業体が我が国の 租税法上(私法上)の法人に該当するか否かを判断するに当たっては,我が国の私法上,法人に付与されている権利能力の内容と,当該外国の事業体の有する権利能力の内容を比較して,我が国の法人に認められる権利能力と同等の能力を有するか否かという実質的な観点から判断するほかないのである。 (エ) 以上に述べたとおり,原告基準①は,これを法人該当性の考慮要素の一つとすることはともかく,原則としてこれを満たさなければ我が国の租税法上の法人に該当しないとするのは,我が国の法人概念をゆがめて法的安定性を損なうおそれがあるのみならず,租税法の具体的な適用場面でも不公正で不合理な事態を生じさせかねず,相当でない。 ウ原告第二基準(損益帰属要件)が相当でないこと(ア) 原告は,外国の準拠法の規定の有無という形式的基準(原告第一基準(法人格要件))に加えて,経済的,実質的にみて損益の帰属すべき主体として設立が認められたものといえるか否かという基準(原告第二基準(損益帰属要件))を定立している。 このように,形式的基準に加えて補完的に実質的基準を定立しなければならないこと自体,原告第一基準(法人格要件)が基準として適切なものでないことを示すものといえるが,その点をおいても,租税法上の法人の概念の解釈として,損益の帰属主体として設立が認められたものであるか否かに殊更着目し,それを法人該当性の判断基準とすることは,根拠に乏しいといわざるを得ない。 (イ) そもそも,法人税は,法人に帰属した損益の額に基づき計算される所得を課税対象とするところ,一般に損益は私法上の権利義務に基づいて発生するものであるから,誰に損益が帰属するかを判断するためには,その前提として当該損益を生み出す私法上の権利義務 基づき計算される所得を課税対象とするところ,一般に損益は私法上の権利義務に基づいて発生するものであるから,誰に損益が帰属するかを判断するためには,その前提として当該損益を生み出す私法上の権利義務の主体が誰であるかをみる必要がある。通常,取引に係る損益を構成する収入や 支出は,当該取引に関する債権債務と表裏一体の関係にある。少なくとも事業体と構成員との関係においては,その構成員と区別された独自の財産を有し,独立した権利義務の帰属主体となる事業体であれば,その事業を営むことにより利益や損失が生ずれば,それらの損益は当然に当該事業体に帰属する。他方,事業体が単にその構成員の集合体にすぎず,当該構成員が権利義務の帰属主体となる場合には,その事業を営むことにより生じた損益は,事業体に帰属することなく,各構成員に帰属することになる。 このように,権利義務の帰属主体であれば通常当然に損益ないし所得の帰属主体となるのであるから,事業体が権利義務の帰属主体であることさえいえれば,所得の帰属主体となり得る実体を有するといえるはずであって,あえて損益の帰属すべき主体として設立が認められたものといえるかどうかという基準を持ち出す必要はない。むしろ,このような基準を殊更別途の要件として定立するとなれば,権利義務の帰属主体となるものであるのに法人税課税ができない事業体の存在を認めることになりかねない。しかし,このような結果は,租税法上の法人概念を不当に狭めるものであって,相当でない。 (6) 原告の主張に対する反論(原告主張のあてはめについて)ア(ア) 原告は,バミューダの法令上,原告のような特例パートナーシップに法人格を付与する旨の明文の規定はなく,パートナーシップはパートナー間の契約関係であるとされており,「X10」(乙第1号証)に ア(ア) 原告は,バミューダの法令上,原告のような特例パートナーシップに法人格を付与する旨の明文の規定はなく,パートナーシップはパートナー間の契約関係であるとされており,「X10」(乙第1号証)においても,パートナーシップは法人に該当しないと明記され,エンティティ(法主体)ですらないと解説されていると主張する。 しかしながら,「X10」(乙第1号証)の記載は,パートナーシップ自体はエンティティ(法主体) ではないが,あらゆる実用的な目的のためにエンティティ(法主体) としての役割を果たすことができる というものであり,パートナーシップの名で事業を遂行することができると説明されている。そして,法律意見書においても,パートナーシップが全ての実務的な目的上エンティティ(法主体) として機能し得るという記述について,「パートナーシップが実務上一般にどのように行動していそうかという事実上の点について観察したところを述べている」と説明している。そうすると,バミューダにおいて,実質的には,パートナーシップはエンティティ(法主体)に相当するものとして取り扱われているものと解される。 なお,原告は,上記の説明はパートナーシップの法的性質を述べたものではなく,法人格を有することの根拠になるものではないとも主張するが,既に述べたとおり,外国の事業体が我が国の法人に該当するか否かは,実質的な観点から,当該事業体が我が国の法人と同等の能力を有するか否かにより判断すべきものであるから,形式的な法令の規定ぶりではなく,実質的にエンティティ(法主体)としての実体があるか否かが重視されるべきである。そうすると,上記のような「X10」(乙第1号証)の記載は,バミューダのパートナーシップの実態を表すものであり,我が国の法人と同等の能力を有する 体)としての実体があるか否かが重視されるべきである。そうすると,上記のような「X10」(乙第1号証)の記載は,バミューダのパートナーシップの実態を表すものであり,我が国の法人と同等の能力を有すると判断する根拠の一つとなるものである。 (イ) 原告は,1902年PS法において,2006年の改正により,パートナーシップがその選択により法人格を取得することができる旨規定されたことについて,組合の実質を有する事業体であっても,法人格を付与する旨の法令の明文があればそれだけで法人とされるというだけの規定であって,原告の事業体としての実質とは関係がないと主張する。 しかしながら,権利義務の帰属主体としての実質がないのに,単なる選択により法人格を取得することができるというのは不合理であり,既にバミューダにおいて,リミテッド・パートナーシップが法人に相当す る法的主体であると認識されていたと解するのが自然である。 なお,原告が例示する消費生活協同組合法上の消費生活協同組合は,いわわる「特別法上の組合」であり,組合員の財産と区別された独自の財産を有し,その名において契約を締結するなど独立した権利義務の帰属主体となり,その名において訴訟当事者となり得る事業体であるから,法人としての実質を有している社団である。原告は,事業体としての実質と関係なく法人格が認められているかのごとく主張するが,それは誤りである。 (ウ) 原告は,1902年PS法のファーム(firm)の概念に関する被告の主張について,ファーム(firm)という用語がパートナーやパートナーシップとは異なる別個の概念であるというものであって誤りであり,バミューダ法上の根拠を欠くものであると主張する。 しかしながら,被告は,1902年PS法4条に規定するとおり,ファーム ートナーシップとは異なる別個の概念であるというものであって誤りであり,バミューダ法上の根拠を欠くものであると主張する。 しかしながら,被告は,1902年PS法4条に規定するとおり,ファーム(firm)の概念を「パートナーシップに加入した者の総称」と理解し,ファーム(firm)の行為の個々のパートナーに対する効果やファーム(firm)の計算で取得したパートナーシップ財産(partnershipproperty)に関する規定(1902年PS法6条,20条,23条)から,パートナーシップの財産とパートナー個人の財産とは厳格に区別され,パートナーシップが契約締結の法的主体になることを予定していると主張しているのであるから,バミューダ法上の根拠を欠くといった批判は当たらない。 イ(ア) 原告は,1902年PS法24条(a)及び2条(c)の規定や,本件LPS契約5.1条(a)の規定を挙げて,特例パートナーシップを通じた事業の損益は,法令及び契約上パートナーシップ自体ではなく各パートナーに帰属することが一義的に明らかであると主張する。 しかしながら,1902年PS法24条(a)は,全てのパートナーは, 資本及び事業から得られる利益につき均等に持分の権利を有し,資本の損失であれその他の損失であれ,ファーム(firm) の被った損失に対して均等に負担することが求められるという趣旨の規定である。また,1902年PS法2条(c)は,事業から生ずる利益の割当てを個人が受領することは,当該個人が当該事業においてパートナーであることの証拠となるとする一方,そのような利益の割当てを受領すること等のみをもってパートナーであると認められるものではないという趣旨の規定である。これらの規定を併せると,パートナーは,パートナーシップから,その営 るとする一方,そのような利益の割当てを受領すること等のみをもってパートナーであると認められるものではないという趣旨の規定である。これらの規定を併せると,パートナーは,パートナーシップから,その営む事業から生ずる利益の割当てを受けるものと解され,その場合,割当て前の利益はパートナーシップに帰属することになる。 (イ) 次に,本件LPS契約の規定をみると,5.1条は,「損益の配分」と題して,(a) 損益は,パートナーシップの各事業年度又はジェネラル・パートナーが決定するその他の時点における各パートナーの持分割合に応じて各パートナーに比例配分される,(b) 損益の配分は,パートナーの持分割合の変動を適切に考慮して,ジェネラル・パートナーが決定するとおり調整される,(c) 各事業年度の損益は,パートナーシップの事業年度の終了後速やかに配分される旨規定する。また,6条は,「計算書類」と題して,ジェネラル・パートナーは,パートナーシップの各会計期間におけるパートナーシップの計算書類を作成,承認し,パートナーシップの監査人による監査を受けた上,監査済み計算書類等を各事業年度の終了後速やかに各パートナーに提出する旨規定している。 そうすると,本件LPS契約においても,パートナーシップの営む事業に係る損益は,各事業年度終了後作成されるパートナーシップの計算書類に基づき,各パートナーに割り当てられることとされており,割当て前の損益はパートナーシップに一旦帰属すると解される。本件LPS 契約5.1条(a)の規定は,パートナーシップに帰属した損益を各パートナーに割り当てる方法を定めたものとみるべきである。 (ウ) したがって,原告の指摘する規定によって,法令及び契約上,事業の損益がパートナーシップに帰属せず,直接各パートナーに帰属するこ を各パートナーに割り当てる方法を定めたものとみるべきである。 (ウ) したがって,原告の指摘する規定によって,法令及び契約上,事業の損益がパートナーシップに帰属せず,直接各パートナーに帰属することが一義的に明らかということはできないから,原告の上記主張は失当である。 (エ) 原告は,現行の法人税基本通達14-1-1の2及び14-1-2の取扱いを指摘して,1902年PS法24条(a)及び2条(c)の規定は我が国の組合に認められた損益計算と同趣旨であり,本件LPS契約5. 1条(a)の規定は我が国の組合に典型的に見られる損益分配に係る規定と同趣旨であると主張する。 しかしながら,原告の主張は上記通達の規定の趣旨を正解しないものである。現行の法人税基本通達14-1-1では,我が国の任意組合等にあっては,税務上,各組合員(構成員)を直接納税義務者とするいわゆる構成員課税の適用を前提に,その組合事業から生ずる利益金額又は損失金額については,帰属主体である各組合員に直接帰属することを明らかにしている。そして,このことを前提として,現行の法人税基本通達14-1-1の2では,法人が任意組合等の組合員となっている場合に,組合事業から生ずる利益金額又は損失金額について,組合員に帰属する時期を明らかにし,現行の法人税基本通達14-1-2では,組合事業から生ずる利益金額又は損失金額について,組合員である法人が益金又は損金に算入する場合の計算方法を明らかにしている。このように,原告の指摘する現行の法人税基本通達に定める取扱いは,我が国の任意組合等において組合事業から生ずる利益又は損失が組合員に直接帰属することを前提とするものであるが,バミューダの法令や本件LPS契約をみても,バミューダの特例パートナーシップにおいて,リミテッド・ パート 合事業から生ずる利益又は損失が組合員に直接帰属することを前提とするものであるが,バミューダの法令や本件LPS契約をみても,バミューダの特例パートナーシップにおいて,リミテッド・ パートナーシップの営む事業に係る損益が各パートナーに直接帰属することを明らかにした規定はない。したがって,1902年PS法24条(a)及び2条(c)の規定や本件LPS契約5.1条(a)の規定が,現行の法人税基本通達の任意組合等に関する取扱いと類似しているからといって,直ちにバミューダの特例パートナーシップの営む事業に係る損益が各パートナーに直接帰属すると解することはできない。原告の上記主張は,前提の異なる現行の法人税基本通達の規定を根拠とするものにすぎず,失当である。 ウ(ア) 原告は,1902年PS法20条1項,24条柱書,同条(a)の規定を挙げて,パートナーシップの財産は全パートナーの共有に属すると規定されており,原告が銀行口座の名義人になっていても,特例パートナーシップの法的性格とは関係がなく,単なる銀行実務上の取扱いにすぎないとした上,パートナーシップの財産が全パートナーの共有に属することは,事業の損益がパートナーシップ自体ではなく各パートナーに帰属するという結論と整合的であると主張する。 (イ) しかし,1902年PS法20条1項は,パートナーシップの構成員の総称であるファーム(firm)の計算で,パートナーシップの事業の過程で獲得された財産及び権利を指すパートナーシップ財産(partnershipproperty)は,パートナーによって,パートナーシップ契約に従いパートナーシップの目的のために保持され,利用されるという趣旨の規定である。また,同法24条柱書きは,パートナーシップ財産に関するパートナーの持分及びパートナーシップに関 パートナーシップ契約に従いパートナーシップの目的のために保持され,利用されるという趣旨の規定である。また,同法24条柱書きは,パートナーシップ財産に関するパートナーの持分及びパートナーシップに関するパートナーの権利及び責務は,(a)ないし(i)のルールに従って,パートナー間の明示又は黙示の合意により決定するという趣旨の規定である。 これらの規定は,パートナーシップの財産が各パートナーの個人財産とは厳格に区別されることを明らかにし,各パートナーの自由な持分の 処分を制限する規定と解される。したがって,これらの規定をもって,バミューダ法上,パートナーシップの財産が我が国の民法上の共有と同じ法的性質で全パートナーの共有に属するとまでは解されない。 (ウ) そして,バミューダ法上,リミテッド・パートナーシップの事業体の財産と構成員の個人の財産は厳格に区別されており,本件LPS契約において,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うこと」ができるようにするため必要な手続をする旨(2.8条)や,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップを代理して,金銭を借り入れ,保証又は賠償を行い,パートナーシップの資産を取得する権限を有する」旨(4.2条)の規定があることから,リミテッド・パートナーシップが構成員の個人財産と区別された独自の財産を有する主体となることを前提としていることが認められる。 さらに,本件LPS契約4.5条では,パートナーシップが受領した全ての金銭,手形,小切手及びその他の有価証券は,パートナーシップの銀行預金口座に払い込まれるものとし,当該口座の小切手はパートナーシップの名義で振り出される旨規定されているところ,実際に,本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人はリミテッ ナーシップの銀行預金口座に払い込まれるものとし,当該口座の小切手はパートナーシップの名義で振り出される旨規定されているところ,実際に,本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人はリミテッド・パートナーシップとしての原告(X9LP)である。 (エ) 被告は,上記のとおり,バミューダ法及び本件LPS契約の規定内容に加えて,実際の財産の帰属状況等を総合して,原告が構成員の個人財産と区別された独自の財産を有していることが認められると主張している(被告基準①)のであるから,原告の上記主張は失当である。 (オ) 原告は,1902年PS法20条1項,24条柱書,同条(a)の規定に照らせば,パートナーシップ財産(partnershipproperty)は我が国の組合の「組合財産」に相当するものであり,各パートナーの自由な持分の処分が制限されていることも考えれば,我が国の組合における合有 に相当するものと解されると主張する。 しかしながら,我が国の組合において,組合財産は総組合員の共有とされているが(民法668条),組合員の持分の処分の自由及び分割請求の自由が制限されている(民法676条)ことから,組合財産における所有形態は合有と解されている。そして,所有権の内容としては,目的物の管理権能(目的物をいかに維持・改善し,いなかる方法で収益し,あるいはいかに処分するか等を決定する権能)と目的物からの収益権能(目的物から現実に利益を収受して自分の利得とする権能)が含まれている。合有は,各共同所有者において,目的物に対する管理権能と収益権能とを保留する(持分権を有する)が,各共同所有者の管理権能は,共同目的達成のための規則によって拘束され,その共同目的の存続する限り,各共同所有者は,持分権を処分する自由もなく,分割を請求する権 権能とを保留する(持分権を有する)が,各共同所有者の管理権能は,共同目的達成のための規則によって拘束され,その共同目的の存続する限り,各共同所有者は,持分権を処分する自由もなく,分割を請求する権利もないのであり,各共同所有者の持分権は,潜在的なもので,共同目的が終了したときに初めて現実的なものとなると解されている。 この点,バミューダの特例パートナーシップである原告の場合,パートナーシップ財産(partnershipproperty)は,パートナーシップの構成員の総称であるファーム(firm)の計算で,パートナーシップの事業の過程で獲得された財産を指すが,それは,パートナーシップ契約に従いパートナーシップの目的のために保持され,利用されると規定されている(1902年PS法20条1項)。そして,本件LPS契約において,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うこと」ができるようにするため必要な手続をする旨(2. 8条)や,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップを代理して,金銭を借り入れ,保証又は賠償を行い,パートナーシップの資産を取得する権限を有する」旨(4.2条)が規定されていることから,資産を取得する権限を有するのも,財産を所有し,事業を行うのもパートナー シップであると認められ,原告の財産について管理権能を有するのは,各パートナーではなく,パートナーシップであると解される。 そうすると,原告において各パートナーがパートナーシップ財産(partnershipproperty)に対して有する権能は,収益権能のみであり,管理権能を有しないと解されるから,原告の財産の所有形態が,各共同所有者において持分権を有する合有に相当するものとはいえない。したがって,原告の上記主張は失当とい 有する権能は,収益権能のみであり,管理権能を有しないと解されるから,原告の財産の所有形態が,各共同所有者において持分権を有する合有に相当するものとはいえない。したがって,原告の上記主張は失当というほかない。 エ(ア) 原告は,法律意見書において,バミューダ法上,特例パートナーシップを代理してジェネラル・パートナーがその資格において締結した契約については,法的にはジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーの全員が契約当事者となるのであって,特例パートナーシップ自体が契約当事者となるのではない旨記載されていることを引用して,パートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定しているというのは誤りであり,このことは,事業の損益がパートナーシップ自体ではなく各パートナーに帰属するという結論と整合的であると主張する。 (イ) しかし,1883年LPS法,1902年PS法,1992年EPS法において,ジェネラル・パートナーが特例パートナーシップを代表してその資格において締結した契約につき,パートナーシップ自体が契約締結の法的主体となることを否定する規定は見当たらず,上記意見書の当該記載部分をみても,具体的な法令の規定等に基づく説明とはなっておらず,その根拠は不明といわざるを得ない。 (ウ) 1902年PS法にパートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定していると考えられる規定があることに加えて,本件LPS契約において,パートナーシップは「あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができる」(4.2条)として,リミテッド・パートナーシップが契約締結の主体となるとする規定があることが認めら れる。そして,実態としても,原告自身が本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人となっていることや,本件取引確 ートナーシップが契約締結の主体となるとする規定があることが認めら れる。そして,実態としても,原告自身が本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人となっていることや,本件取引確認書2において,ジェネラル・パートナーではなく原告自身が契約当事者となって有効に契約が締結されていることが認められる。 (エ) 被告は,上記のとおり,バミューダ法及び本件LPS契約の規定内容に加えて,実際の権利義務の帰属状況等を総合して,原告がその名において契約等の法律行為を行い,独立した権利義務の帰属主体となっていることが認められると主張している(被告基準②)。 これに対し,原告は,客観的に原告自身が契約当事者となっているとみられる上記(ウ)の口座開設や契約締結の経緯等について何ら説明することなく,抽象的にリミテッド・パートナーシップ自体が契約締結の法的主体となることはないと主張するにとどまっている。 なお,本件の一連の取引は,法的・経済的目的を達成する上で,社会通念上著しく複雑・う遠な法形式を採用して,本件各匿名組合契約に係る出資の99%を実質的に原告に負担させ,これに対応して,本件各匿名組合契約に基づく利益分配金の99%を原告に取得させることを目的として実行されたものであり,上記(ウ)の口座開設や契約締結もその一環であることからすると,原告が独立した権利義務の帰属主体となるか否かについては,原告が重要な役割を果たしている一連の複雑な取引においてどのような関与をしているかといった状況をも考慮して,判断されるべきである。 この点,原告は,特定の取引においてどのような関与をしているかなどということが法人該当性の判断に影響を及ぼすことはおよそ考えられないと主張するが,外国の事業体の法人該当性は,当該事業体が我が国の私法上の ,原告は,特定の取引においてどのような関与をしているかなどということが法人該当性の判断に影響を及ぼすことはおよそ考えられないと主張するが,外国の事業体の法人該当性は,当該事業体が我が国の私法上の法人に付与されている権利能力と同等の権利能力を有するか否かにより判断されるべきであるから,当該事業体が独立した権利義務 の帰属主体となっているか否か(被告基準②)は,当該外国の法令の規定内容に加えて,当該事業体がどのような法律行為を行い,どのような権利を有し,義務を負っているのかといった具体的な事実も考慮して,実質的に判断されるべきである。そこで,原告が我が国の租税法上(私法上)の法人に該当するか否かを判断するためには,原告が国内源泉所得を取得するに至る本件の一連の複雑な取引における原告の関与状況をも考慮して,原告が権利義務の主体となって当該国内源泉所得を取得したものといえるか否かを明らかにすることが必要である。その意味で,原告が法人税法2条4号の「外国法人」ないし同条8号の「人格のない社団等」に該当し,法人税の納税義務を負うか否かの争点と,原告が法人税法138条1号の国内源泉所得を得たか否かの争点は,主張立証内容において相互に関連性を有するものである。 オバミューダの特例パートナーシップの訴訟当事者能力について,法律意見書では,1883年LPS法16条が,リミテッド・パートナーシップの事業に係る訴訟は,リミテッド・パートナーが連帯責任を負う場合を除き,ジェネラル・パートナーのみに対して提起され,又はジェネラル・パートナーのみが提起する旨規定していることから,1985年最高裁規則81条1項の規定は,ジェネラル・パートナーシップのみに適用される規定であって,特例パートナーシップを含むリミテッド・パートナーシップには適用されない る旨規定していることから,1985年最高裁規則81条1項の規定は,ジェネラル・パートナーシップのみに適用される規定であって,特例パートナーシップを含むリミテッド・パートナーシップには適用されないとする記載がある。 しかしながら,1985年最高裁規則81条1項は,「inthenameofthefirm」(ファーム(firm)の名において)訴訟を提起し又は提起されると規定しているところ,これは,訴訟の当事者(権利義務が帰属する者)としての名称を示していると解される。一方で,1883年LPS法16条では,「byandagainstthegeneralpartners」(ジェネラル・パートナー(のみ)により)訴訟が行われると規定されており,「thename sofgeneralpartners」,「generalpartners' names」などの文言が用いられていないことからすると,1883年LPS法16条は,訴訟手続を行う者をジェネラル・パートナーに限定することを定めたもの,すなわち,訴訟の当事者ではなく,訴訟手続を実際に行う権限を有する者を表すものと解される。そうすると,1985年最高裁規則81条1項は,訴訟を提起し又は提起される訴訟の当事者の名称がファーム(firm)の名であることを定めたものであり,1883年LPS法16条は,実際に訴訟手続を行う行為者をジェネラル・パートナーとすることを定めたものと解されることから,1985年最高裁規則81条1項は,1883年LPS法16条に抵触するものではなく,リミテッド・パートナーシップにも適用される規定であると解するのが相当である。 したがって,1985年最高裁規則81条1項はリミテッド・パートナーシップには適用されないという上記意見書の記 く,リミテッド・パートナーシップにも適用される規定であると解するのが相当である。 したがって,1985年最高裁規則81条1項はリミテッド・パートナーシップには適用されないという上記意見書の記載は誤りである。 (7) 原告のその余の主張についてア(ア) 原告は,ニューヨーク州法に基づいて組成されたLLC(以下「ニューヨーク州LLC」という。)の準拠法であるニューヨーク州LLC法の規定とバミューダ法の規定の相違を指摘して,原告はニューヨーク州LLCと法的性質を著しく異にするから,ニューヨーク州LLCが法人に該当するとしても,原告が法人に該当するという根拠にはならないと主張する。また,原告は,ケイマン法に基づき組成されたリミテッド・パートナーシップかつEPS(以下「ケイマン特例パートナーシップ」という。)は,ケイマンのパートナーシップ法(以下「ケイマンPS法」という。)及び特例リミテッド・パートナーシップ法(以下「ケイマンEPS法」という。)の2つの法律を準拠法とする事業体であるところ,ケイマンの法令に基づき組成された特例パートナーシップが民法上の組合の要件を満たし得ると判示した裁判例を引用し,その根拠と された規定についてはバミューダ法の規定においても同様であると指摘して,原告はケイマンの特例パートナーシップと法的性質を実質的に同じくするから,組合の要件を満たすと解すべきであると主張する。 (イ) しかしながら,外国の事業体が我が国の私法上(租税法上)の法人に該当するか否かは,当該外国の事業体が我が国の私法上の法人に付与されている権利能力と同等の能力を有するか否か,すなわち,被告基準①ないし③を全て満たすか否かに基づいて判断すべきであり,これは,その設立準拠法や設立契約の内容に加えて,実際の活動実態,財産や権利義 れている権利能力と同等の能力を有するか否か,すなわち,被告基準①ないし③を全て満たすか否かに基づいて判断すべきであり,これは,その設立準拠法や設立契約の内容に加えて,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等を考慮して,個別具体的に判断されるべきである。 そうすると,仮にケイマンの法令の規定がバミューダの法令の規定と類似しているからといって,直ちにケイマンの法令を準拠法とするリミテッド・パートナーシップとバミューダの法令を準拠法とするリミテッド・パートナーシップの法的性質が,我が国の租税法上同じであるとはいえない。 イ原告は,政府税制調査会の平成12年7月14日付け中期答申の一部を引用して,我が国の租税法上外国の組合に類する事業体として取り扱われるものを想定した規定について,外国の準拠法上法人格が付与されておらず,かつ我が国の組合と同じ性質を有する特例パートナーシップやケイマン特例パートナーシップのような事業体が我が国の法人税法上「法人」に該当しないことを前提として立法されたものと理解する方が自然であると主張する。 しかしながら,上記中期答申の趣旨は,一般的な問題提起として,外国の多様な事業体に対して我が国が適正な課税を行うためには,形式的な法人格の有無ではなく,活動の内容等の実質的な基準により判断することを検討する必要があるという趣旨のものと解される。原告の上記主張は,上記答申の全体の趣旨を正解しないものであって,失当である。 (原告の主張の要旨)(1) 被告主張の外国の事業体の租税法上の法人該当性の判断基準(被告基準①ないし③)に対する反論ア被告は,外国の法令に基づき組成された事業体の法人該当性は,被告基準①ないし③を全て満たしているか否かに基づいて判断するのが相当であると主張する。 しか 告基準①ないし③)に対する反論ア被告は,外国の法令に基づき組成された事業体の法人該当性は,被告基準①ないし③を全て満たしているか否かに基づいて判断するのが相当であると主張する。 しかしながら,現在においても法人と法人でない団体(事業体)とを被告基準①ないし③によって区別できるとの見解が私法の一般法である民法の解釈として確立しているとは解されず,我が国の民法は法人法定主義を規定するにとどまり(民法33条),法律に法人である旨を規定するに当たっての実質的な要件・属性等は民法その他の法令をみても何ら規定していないのであるから,被告基準①ないし③が現行法上法人とされる団体(事業体)に共通してみられる属性であったとしても,これは現行法上法人とされる団体(事業体)の最小限度の属性であることを意味するにすぎず,被告基準①ないし③の全てに該当する団体(事業体)は当然に法人であり,その中に現行法上法人とされていない団体(事業体)が含まれないということは何ら論証されていない。そうすると,被告基準①ないし③は,一般的に法人といえるための必要条件である可能性は否定することができないものの,十分条件であるとまではいうことはできず,この基準をもって現行法上法人とされる団体(事業体)とそうでない団体(事業体)とを区別する基準とすることはできないというほかない。 被告の上記主張は,被告基準①ないし③によって法人と法人ではない団体(事業体)とを明確に区別することができることを前提とするものであるところ,以下に述べるとおり,法人に該当しないことが明らかな任意組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)も被告基準①ないし③に該当し得ることに照らすと,被告基準①ないし③は,法人と法人ではない団 体(事業体)とを区別する基準として機能し得ないも 組合や人格のない社団等(権利能力のない社団)も被告基準①ないし③に該当し得ることに照らすと,被告基準①ないし③は,法人と法人ではない団 体(事業体)とを区別する基準として機能し得ないものであるといわざるを得ず,これを採用することはできない。 なお,被告は,被告基準③については,任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)にも該当すると述べ,被告基準③は法人と法人でない事業体を区別する基準にはならないことを明確に認めているから,被告が主張する被告基準①ないし③は,結局のところ,被告基準①及び②という主張であり,判断基準にならない基準(被告基準③)を内包している時点で,被告基準①ないし③は,法人該当性の判断基準として致命的な欠陥がある。 イ被告基準①について被告基準①は,「その構成員の個人財産と区別された独自の財産を有するか否か」というものである。 しかしながら,任意組合については,組合財産は総組合員の共有であるとされているが(民法668条),この共有の性質はいわゆる「合有」であると解されている(民法668条,676条1項,677条,大審院昭和9年(オ)第3066号同11年2月25日第五民事部判決・民集15巻281頁,最高裁平成6年(オ)第2137号同10年4月14日第三小法廷判決・民集52巻3号813頁等参照)。また,人格のない社団(権利能力のない社団)については,その財産は構成員に総有的に帰属すると解されており(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁),その各構成員は,当該人格のない社団(権利能力のない社団)から脱退しても,人格のない社団等(権利能力のない社団)の財産につき,当然には共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解され 1頁),その各構成員は,当該人格のない社団(権利能力のない社団)から脱退しても,人格のない社団等(権利能力のない社団)の財産につき,当然には共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解されている(最高裁昭和27年(オ)第96号同32年11月14日第一小法廷判決・民集11巻12号1943頁参照)。 したがって,任意組合及び人格のない社団等(権利能力のない社団)は,民法の解釈上,いずれもその構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すると解されているものというべきであるから,被告基準①に該当するといわざるを得ない。 被告は,被告基準①は,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び組合を区別する基準として機能すると主張するが,ある外国の事業体が法人であるか人格のない社団等(権利能力のない社団)であるか組合であるかがそもそも判然としないとき(よってその資産の所有形態が法人による所有,人格のない社団等(権利能力のない社団)における総有及び組合における合有のいずれに該当するかがそもそも判然としないとき)に,「構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か」という抽象的な文言による基準だけで,外国の事業体が上記いずれに該当するかを明確に区別することができるか否かが問題なのであり,内国法人,内国の人格のない社団等(権利能力のない社団)及び内国の任意組合を念頭においた上で,法人による所有,人格のない社団等(権利能力のない社団)における総有及び組合における合有はそれぞれ明確に区別可能であるなどと速断することには何の意味もない。 被告の主張は,外国の事業体についても,その資産の所有形態が,法人による所有,人格のない社団等(権利能力のない社団)における総有及び組合における合有のいずれに該当するかは,「構 の意味もない。 被告の主張は,外国の事業体についても,その資産の所有形態が,法人による所有,人格のない社団等(権利能力のない社団)における総有及び組合における合有のいずれに該当するかは,「構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か」という抽象的な文言による基準だけで明確に区別可能というものであろうが,このような明確な区別が可能なのであれば,そもそも,原告が外国の人格のない社団等(権利能力のない社団)に該当するという被告の予備的主張は,およそ出てくる余地がないものといわざるを得ない。被告がこのような予備的主張をしていること自体,被告基準①では,法人による所有と人格のない社団等(権利能力のない社 団)における総有を明確に区別することができないことを被告自ら認めていることを示すものというべきである。 ウ被告基準②について被告基準②は,「その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か」というものである。 しかしながら,民法670条その他の民法の規定の解釈上,第三者との関係においては,組合契約その他により業務執行組合員が定められている場合は業務執行組合員が組合の業務に関して組合員全員を代表する権限を有し,そうでない場合は組合員の過半数において組合を代理する権限を有するものと解されており(最高裁昭和31年(オ)第859号同35年12月9日第二小法廷判決・民集14巻13号2994頁,最高裁昭和35年(オ)第1461号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号600頁,最高裁昭和41年(オ)第1429号同43年6月27日第一小法廷判決・裁判集民事91号503頁等参照),また,任意組合に権利義務を生じさせる法律行為の名義として任意組合自 ・民集17巻4号600頁,最高裁昭和41年(オ)第1429号同43年6月27日第一小法廷判決・裁判集民事91号503頁等参照),また,任意組合に権利義務を生じさせる法律行為の名義として任意組合自体や任意組合代表者名義を用いることが許容されており(大審院大正13年(オ)第1109号同14年5月12日第二民事部判決・民集4巻256頁,最高裁昭和32年(オ)第693号同36年7月31日第二小法廷判決・民集15巻7号1982頁等参照),取引の実情としても契約等を任意組合名義で行うことが通例とされていることに照らすと,任意組合も,その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うと評価することが可能というべきである。また,人格のない社団(権利能力のない社団)についても,「権利能力のない」社団でありながら,その代表者によってその社団の名において構成員全体のために権利を取得し,義務を負担するとされ,社団の名において行われるのは,一々全ての構成員の氏名を列挙する ことの煩を避けるためにほかならないと解されている(最高裁昭和35年(オ)第1029号同39年10月15日第一小法廷判決・民集18巻8号1671頁)こと等に照らすと,人格のない社団等(権利能力のない社団)も,その名において契約を締結し,(形式的には総構成員の総有とされながら)実質的にはその名において権利を取得し義務を負うものと評価することが可能である。 以上によれば,任意組合又は人格のない社団等(権利能力のない社団)のいずれであっても,被告基準②を満たすものということができる。 被告は,被告基準②は,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び組合を区別する基準として機能すると主張するが,被告基準①と同様に,ある外国の事業体が,法人であるか人格のない ができる。 被告は,被告基準②は,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)及び組合を区別する基準として機能すると主張するが,被告基準①と同様に,ある外国の事業体が,法人であるか人格のない社団等(権利能力のない社団)であるか組合であるかがそもそも判然としないとき(よってその名における法律行為が,人格のない社団等(権利能力のない社団)や組合の場合における構成員全員の氏名の代わりにすぎないのか,法人自体の法律行為なのかがそもそも判然としないとき)に,「その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か」という抽象的な文言による基準だけで,外国の事業体が上記いずれに該当するかを明確に区別することができるか否かが問題なのであり,内国法人,内国の人格のない社団等(権利能力のない社団)及び内国の任意組合を念頭に置いた上で,上記の区別が可能であると速断することには何の意味もない。 エ被告基準③について被告基準③は,「その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否か」というものである。 しかしながら,民事訴訟法29条は,法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名において訴え,又は訴えられるこ とができる旨規定しているところ,判例上,任意組合であっても同条により訴訟上の当事者能力を認めることができると解されている(最高裁昭和34年(オ)第130号同37年12月18日第三小法廷判決・民集16巻12号2422頁等参照)。 そうであるとすれば,任意組合も人格のない社団等(権利能力のない社団)も,その権利義務のためにその名において訴訟当事者になり得るから,被告基準③に該当するものといわざるを得ない。 オ以上によれば,被告 あるとすれば,任意組合も人格のない社団等(権利能力のない社団)も,その権利義務のためにその名において訴訟当事者になり得るから,被告基準③に該当するものといわざるを得ない。 オ以上によれば,被告基準①ないし③は,法人と法人でない団体(事業体)とを明確に区別する基準とすることはできず,被告の主張を採用することはできない。 (2) 外国の事業体の租税法上の法人該当性の判断基準(原告第一基準(法人格要件)及び原告第二基準(損益帰属要件))ア我が国の国内法に準拠して組成された事業体が法人であるというためには,その準拠法である民法その他の法律によって法人格を付与する旨を規定されたものであることを要し(法人法定主義。民法33条),このように規定された事業体だけが我が国の私法上の法人と認められるから,民法その他の法律によって法人とする旨を規定されていない任意組合,人格のない社団等(権利能力のない社団)その他の事業体は,たとえそれらが民法その他の法律によって法人とする旨を規定された事業体と類似した属性を有するとしても,我が国の私法上の法人と認められる余地はないものといわざるを得ない。 そうすると,今日では,準拠法である法律の明文の規定の有無以外に,法人と民法上の組合(任意組合)や人格のない社団等(権利能力のない社団)とを截然と区別する明確な一般的基準は必ずしも見出し難いものといわざるを得ない。 また,我が国の租税法上のいわゆる事業体(すなわち,法人,人格のな い社団等(権利能力のない社団)及び組合)に係る租税法上の各規定(法人税法2条3号,4号,4条1項,2項,5条,9条,2条8号,3条,租税特別措置法67条の12第3項第1号等)をみると,我が国の租税法は,法人が,法律により,法人格を付与されて構成員とは別個の権利義務 税法2条3号,4号,4条1項,2項,5条,9条,2条8号,3条,租税特別措置法67条の12第3項第1号等)をみると,我が国の租税法は,法人が,法律により,法人格を付与されて構成員とは別個の権利義務の主体とされ,損益の帰属すべき主体として設立が認められたものであることから,法人の事業から生じた収益により構成される所得について,原則として,その帰属主体となり得る実体を有するものとみて,当該法人をこれに対する法人税の納税義務者とし,当該法人の構成員には当該所得に対する構成員課税を行わないこととしたものと解される。 イ以上に加え,① 租税法律主義(憲法84条)の下では,課税要件の定めは明確でなければならないこと,② 租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には,租税法律主義や法的安定性の確保の観点から,原則として私法上の概念と同じ意義に解するのが相当であること(借用概念の統一性)をも併せ考慮すれば,我が国の租税法上の法人は,法律により損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものであり,我が国の私法上の法人と同様,原則として,その準拠法によって法人格を付与する旨を規定されたものをいうと解すべきである。 ウまた,民法36条1項の「外国法人」とは,外国の法令に準拠して法人格を付与された団体をいうと解されるから,我が国の私法上の「外国法人」であるというためには,外国の法令の規定内容に照らして,外国の法令に準拠して法人格を付与されたと認められることを要するというべきである。 エそうであるとすれば,外国の法令に準拠して組成された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かも,上記と同様に,① 原則として,当該外国の法令の規定内容から,その準拠法である当該外国の法令によ そうであるとすれば,外国の法令に準拠して組成された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かも,上記と同様に,① 原則として,当該外国の法令の規定内容から,その準拠法である当該外国の法令によっ て法人格を付与する旨を規定されていると認められるか否かによるべきである(原告第一基準(法人格要件))が,諸外国の法制・法体系の多様性,我が国の「法人」概念に相当する概念が諸外国において形成されるに至った沿革,歴史的経緯,背景事情等の多様性に鑑みると,当該外国の法令の規定内容をその文言に従って形式的に見た場合に,当該外国の法令において当該事業体に法人格を付与する旨を規定されているかどうかという点に加えて,② 当該事業体を当該外国法の法令が規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見れば,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたものといえるかどうか(原告第二基準(損益帰属要件))を検討すべきであり,後者の点(すなわち原告第二基準(損益帰属要件))が肯定される場合に限り,我が国の租税法上の法人に該当すると解すべきである。 (3) 上記基準(原告第一基準(法人格要件)及び原告第二基準(損益帰属要件))への具体的あてはめア原告第一基準(法人格要件)について(ア) 原告に法人格を付与する旨の明文の規定はないこと本件各決定に係る納税義務が成立したとされる時点(平成13年12月末日)において原告に適用されていたバミューダの法令上,原告のような特例パートナーシップに法人格を付与する旨の明文の規定は一切存在しない。むしろ,1902年PS法1条1項は,「パートナーシップとは利益を得る目的で共同して事業を遂行する者の ダの法令上,原告のような特例パートナーシップに法人格を付与する旨の明文の規定は一切存在しない。むしろ,1902年PS法1条1項は,「パートナーシップとは利益を得る目的で共同して事業を遂行する者の間に存する関係である」と規定し,パートナーシップがパートナー間の契約関係であることを明らかにしている。また,「X10」(乙第1号証)においても,「法人とは区別されていても」との解説があるとおり,パートナーシップは法人には該当しないことが明記されていることに加えて,「パート ナーシップ自体はエンティティ(法主体)ではない」とも解説されており,パートナーシップは「団体」(エンティティ(法主体))でさえないことが明らかにされている。 なお,法律意見書によれば,バミューダ法上,パートナーシップは利益を得る目的で共同して事業を遂行する者の間に存する関係をいい,バミューダ法上,会社はその出資者とは別個独立の団体(エンティティ(法主体))であり,会社が出資者とは別個の法人格を有するとされているのに対し,パートナーシップは,会社とは異なり,出資者とは別個の法人格を有さず,単にパートナーシップを構成する個人又は団体(エンティティ(法主体))の集まりであるにすぎず,パートナーシップの名(firm の名称)は,いついかなる場合においても,パートナーシップを構成する者の集まりのことを指すために便宜上用いられる総称にすぎないとされている。 この点,被告は,バミューダのパートナーシップの法人該当性の判断においては,形式的な法令の規定ぶりではなく,実質的にエンティティ(法主体)としての実体があるか否かが重視されるべきであると述べ,実質的には,パートナーシップはエンティティ(法主体)に相当するものとして取り扱われているものと解されると主張する。 エンティティ(法主体)としての実体があるか否かが重視されるべきであると述べ,実質的には,パートナーシップはエンティティ(法主体)に相当するものとして取り扱われているものと解されると主張する。 しかしながら,原告が主張している法人該当性の判断基準は,あくまでも,原告のような特例パートナーシップの組成の準拠法(1902年PS法等)の規定内容から,その準拠法である当該バミューダの法令上,法人とする(法人格を付与する)旨を規定されていると認められるか否かという法令の規定ぶりで判断すべきというものであり,準拠法上の法人格の有無について法令の規定から離れてその「実質」なるもので判断すべきなどという被告の主張は失当である。 また,2006年改正後の1902年PS法において,パートナーシ ップは,法人格を有することを選択して登録すれば法人格を取得できる旨の規定(同法4A条ないし4C条)が設けられたが,本件各決定の時点においてこの規定を適用する余地はなかったのはもちろんのこと,同改正後に原告が上記の法人格を取得する旨の選択をした事実はない。 なお,この規定は,組合の実質を有する事業体であっても,法人格を付与する旨の法令の明文の規定があればそれだけで法人とされるというだけの規定であって,消費生活協同組合法4条(消費生活協同組合(中略)は,法人とする。)の規定と実質的に同趣旨であり,原告の事業体としての実質とは何らの関係もない規定である。この点,被告は,パートナーシップがその選択により法人格を取得できるとする2006年の1902年PS法の改正について,権利義務の帰属主体としての実質がないのに,単なる選択により法人格を取得することができるというのは不合理であり,既にバミューダにおいて,リミテッド・パートナーシップが法人に相当す 法の改正について,権利義務の帰属主体としての実質がないのに,単なる選択により法人格を取得することができるというのは不合理であり,既にバミューダにおいて,リミテッド・パートナーシップが法人に相当する法的主体であると認識されていたと解するのが自然であるなどと主張する。しかしながら,バミューダの法令が,組合の実質を有するパートナーシップにも選択により法人格を付与すると定めているという専らバミューダの立法政策によるものであり,いかなる理由で不合理といえるのかについて,被告はバミューダ法上の根拠を何ら明らかにしていない。我が国においてさえ権利義務の主体となる実質があるものに法人格が与えられるのではなく,権利義務の主体となるのは法人格を与えられたことによる効果にすぎないのであるから,そのような効果を欲する場合には法人となることを選択することに何の不合理性もない(イ) ファーム(firm)の語は原告に法人格を付与する旨の規定であるとは解されないこと被告は,1902年PS法がファーム(firm) という概念を創設し, ファーム(firm) の名称によって事業が営まれているときの名称をファームネーム(firmname) と称し,ファーム(firm) の事業に関連する行為等や,ファームネーム(firmname) で又はファーム(firm)を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm) 及び全てのパートナーを拘束するとされている(1902年PS法4条及び6条)ことからすると,パートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定していると考えられると主張する。 しかしながら,1902年PS法のファーム(firm) という概念が,原告に法人格を付与する旨の規定であるとは解されない。法律意見書は,ファーム( ることを予定していると考えられると主張する。 しかしながら,1902年PS法のファーム(firm) という概念が,原告に法人格を付与する旨の規定であるとは解されない。法律意見書は,ファーム(firm) という用語について,① 1902年PS法4条が明確に定義しているとおり,「他の者とともにパートナーシップに参加した者」の総称にすぎないこと,② パートナーとは独立した別個の法人格を有する団体(エンティティ(法主体))という意味を有するものではないこと,③ パートナーの集まりを意味するにすぎないこと,④そのパートナーの集まりはパートナーと何ら別個の法人格を有するわけではないこと,を明確に指摘している。すなわち,原告のような特例パートナーシップについては,「パートナーシップ=パートナーの集まり=パートナーシップに参加した個々のパートナー全員を指す場合の総称=firm」なのであり,これらはいずれも全く同じことを言い換えた表現であり定義語であるにすぎない。また,ファーム(firm) がパートナーの集まりを意味する定義語であるからといって,それが何かバミューダ法上パートナーとは異なる存在に昇華するわけでもない。 (ウ) 「X10」(乙第1号証)の被告引用部分も原告に法人格を付与する趣旨のものとは解されないこと被告は,「X10」(乙第1号証)を引用し,同解説において,あらゆる実用的な目的のためにエンティティ(法主体)としての役割を果た すことができる,パートナーシップの名で事業を遂行することができる,裁判所規則ではパートナーシップの名で訴訟を提起し,提起されることを認めていると説明されていると主張する。 しかしながら,被告が引用する上記の説明は,法令の規定そのものの引用ではなく,当該説明の内容が法令に規定されている プの名で訴訟を提起し,提起されることを認めていると説明されていると主張する。 しかしながら,被告が引用する上記の説明は,法令の規定そのものの引用ではなく,当該説明の内容が法令に規定されているわけでもない。 法律意見書は,被告が主張する上記の説明は,パートナーシップの法的性質を述べたものではなく,パートナーシップが実務上一般にどのように行動しているかという事実上の点について観察したところを述べているにすぎないとしており,原告に法人格があることの根拠となるものではない。 (エ) 原告は,原告第一基準(法人格要件)を充足しないこと以上のとおり,バミューダの法令上,原告のような特例パートナーシップに法人格を付与する旨の明文の規定は一切存在しない。したがって,原告は,原告第一基準(法人格要件)を充足しない。 イ原告第二基準(損益帰属要件)について(ア) 特例パートナーシップを通じた事業の損益は法令・契約上明らかに各パートナーに帰属すること1902年PS法24条(a)は,「全てのパートナーは,事業の資本資産及び事業から生ずる利益につき等しく持分の権利を有する。」,「全てのパートナーは,資本資産の損失であれその他の損失であれパートナーシップが被った損失を等しく負担しなければならない。」と規定する。また,1902年PS法2条は,「パートナーシップの存在を決定するための規定」として,その(c)において,「事業から生まれる利益の割当てを個人が受領することが,明らかに当該個人が当該事業においてパートナーであることの証拠となる。」と規定し,事業から生まれる利益の割当てを個人が受領することが正にパートナーシップの本質 である旨を規定している。 そして,本件LPS契約5.1条(a)は,「損益は,パートナーシップの 定し,事業から生まれる利益の割当てを個人が受領することが正にパートナーシップの本質 である旨を規定している。 そして,本件LPS契約5.1条(a)は,「損益は,パートナーシップの各事業年度又はパートナーシップの事業に関して必要若しくは適切なその他の時点(ジェネラル・パートナーが決定する。)における各パートナーの持分割合に応じて各パートナーに比例配分されるものとする。」と規定し,上記の1902年PS法24条(a)のとおりの法的効果を定めている。 上記の各規定に照らすと,原告のような特例パートナーシップを通じた事業の損益は,法令及び契約上各パートナーに帰属するとされていること,すなわち原告自体又はパートナーシップ自体に損益が帰属するものではないことが一義的に明らかである。 (イ) 特例パートナーシップの財産が全パートナーの共有であることも,上記結論と整合的であること被告は,パートナーシップの構成員の総称であるファーム(firm)の計算で,パートナーシップ事業の過程で獲得された財産及び権利について,パートナーシップ財産(partnershipproperty)という概念が存在し(1902年PS法20条),ファーム(firm) に対する判決である場合を除き,パートナー個人の負債等に基づいてパートナーシップ財産(partnershipproperty)に対し強制執行することはできないとされている(1902年PS法23条1項)こと等を主張する。そこで,これらの規定により,特例パートナーシップを通じた事業の損益が当該パートナーシップ自体に帰属するといえるかどうかについて検討する。 1902年PS法20条1項は,「パートナーシップの財産及び権利・利益は,パートナーシップ契約の条件に従い,専らパートナーシッ パートナーシップ自体に帰属するといえるかどうかについて検討する。 1902年PS法20条1項は,「パートナーシップの財産及び権利・利益は,パートナーシップ契約の条件に従い,専らパートナーシップの目的のために,パートナーが保有し利用しなければならない。」と規定する。また,1902年PS法24条柱書きは,「パートナーシッ プの財産に対するパートナーの持分・・・は,明示又は黙示の契約に定めるほか,以下のルールにより決定する。」と規定し,パートナーシップの財産についてパートナーが持分を有すること,つまり特例パートナーシップの財産はパートナー間の共有に属することを規定している。そして,同条(a)は,「全てのパートナーは,事業の資本資産及び事業から生ずる利益につき等しく持分の権利を有する。」,「全てのパートナーは,資本資産の損失であれその他の損失であれパートナーシップが被った損失を等しく負担しなければならない。」と規定し,特例パートナーシップの資産(事業のための資本となるもの)がパートナー間の共有であることを規定している。これらの規定について,法律意見書は,1883年LPS法及び1992年EPS法に別段の定めはないが,1902年PS法上は,パートナーシップの財産は全てのパートナーが共同で所有しており,各パートナーがパートナーシップへ個々に参加する権利は,パートナーシップ契約又はパートナーシップ契約に明示の規定がない場合は1902年PS法により規律されるところ,パートナーシップが別個の法人格を有する選択をしていない限り,パートナーシップが財産を取得しようとする場合は,原則としてあるパートナーの名で購入しなければならず,パートナーの名で購入された場合には,当該パートナーが当該資産をパートナーシップ(全てのパートナー)のために信託 財産を取得しようとする場合は,原則としてあるパートナーの名で購入しなければならず,パートナーの名で購入された場合には,当該パートナーが当該資産をパートナーシップ(全てのパートナー)のために信託的に保有するものとみなされること,ほとんどの場合には,特例パートナーシップの資産の法的権原は,原則として,特例パートナーシップのために(すなわちリミテッド・パートナーを含む全てのパートナーのために)ジェネラル・パートナー(法人であることが前提)が有するものとされ,保有される資産はパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされること,例えば,銀行預金口座をジェネラル・パートナー名義ではなく特例パートナーシップ名義で開設することを当該銀行が実務 上許容している場合であれば,特例パートナーシップ名義で開設されることもあるが,その場合であっても,預金債権はパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされ,リミテッド・パートナーシップ契約の条件に従い全てのパートナーの共有とされるのであって,特例パートナーシップ自体の所有とされるわけではなく,各パートナーは当該預金債権について不可分の財産的権利を有することになること,特例パートナーシップのために法人たるジェネラル・パートナーの名で登記される一筆の土地や不動産については,リミテッド・パートナーシップ契約の条件に従いパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされ,別段の合意がない限り,パートナーシップの全てのパートナーがパートナーシップの財産につき不可分の財産的権利を有することになると述べており,特例パートナーシップの財産の帰属については,法的権原は形式的にジェネラル・パートナーが保有するものの,パートナーシップの財産につき プの財産につき不可分の財産的権利を有することになると述べており,特例パートナーシップの財産の帰属については,法的権原は形式的にジェネラル・パートナーが保有するものの,パートナーシップの財産につき,全てのパートナーが不可分の財産的権利を有するとされているのである。 この点について,被告は,本件各取引確認書に基づく送金の受取口座となっているX8の口座名義人は,「X9LP」であることを指摘しているが,当該口座の預金債権は正にパートナーシップ財産(partnershipproperty)とされ,全てのパートナーの共有とされるのであって,パートナーシップ自体の所有とされるわけではなく,また,原告が仮に口座の名義人であるにしても,それは特例パートナーシップの法的性格とは全く関係がない単なる銀行実務上の取扱いにすぎないというべきである。 このように,特例パートナーシップの財産は,全パートナーの共有に属するものであって,パートナーシップ自体に帰属するのではない。また,ファーム(firm) の意味は,パートナーの集まりないしはパートナーシップに参加した個々のパートナー全員を指す場合の総称と同義で あるから,これも特例パートナーシップの財産がパートナーシップ自体に帰属するとの主張の根拠になるものではない。したがって,これらの点を理由として,特例パートナーシップを通じた事業の損益がパートナーシップ自体に帰属するとの結論を導くことはできない。 (ウ) 特例パートナーシップを通じた契約においては全パートナーが契約当事者となることも,上記結論と整合的であること被告は,個々のパートナーとは別に,パートナーの総称としてファーム(firm) という概念を創設し,ファーム(firm) の名称によって事業が営まれているときの名称をファーム 整合的であること被告は,個々のパートナーとは別に,パートナーの総称としてファーム(firm) という概念を創設し,ファーム(firm) の名称によって事業が営まれているときの名称をファームネーム(firmname) と称し,ファーム(firm) の事業に関連する行為等や,ファームネーム(firmname) で又はファーム(firm) を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm) 及び全てのパートナーを拘束するとされている(1902年PS法4条及び6条)ことからすると,パートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定していると考えられること等を主張する。 しかしながら,上記で指摘したとおり,そもそもファーム(firm)という用語は,パートナーの集まりないしはパートナーシップに参加した個々のパートナー全員を指す場合の総称を意味する定義語にすぎないから,この定義語自体が定義された意味を超えた法概念となることはなく,そのような定義語があることが被告の主張の根拠となることはあり得ない。加えて,「実質的にみてパートナーシップが契約締結の法的主体となっている」という主張もまた誤りである。法律意見書は,① ジェネラル・パートナーが全パートナーを代理して契約を締結すること(1883年LPS法8C条1項参照),② 契約当事者はジェネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーの全員であること,③ パートナーシップ自体が契約当事者となるのではないことを明確に指摘し ている。このように,「パートナーシップが契約締結の法的主体となることを予定している」との被告の主張は明らかな誤りである。 したがって,これらの点を理由として,特例パートナーシップを通じた事業の損益がパートナーシップ自体に帰属するとの結論 結の法的主体となることを予定している」との被告の主張は明らかな誤りである。 したがって,これらの点を理由として,特例パートナーシップを通じた事業の損益がパートナーシップ自体に帰属するとの結論を導くことはできない。そして,上記①及び②の事実が,特例パートナーシップを通じた事業の損益がパートナーシップ自体ではなく各パートナーに帰属するという結論と整合的であることはいうまでもない。 被告は,バミューダの法令上も,パートナーシップ自体が契約締結の法的主体となることを否定する規定は見当たらないと述べ,法律意見書を論難するが,本件訴訟では,被告側がパートナーシップ自体が契約締結の法的主体となることを積極的に主張立証しなければならないにもかかわらず,被告は,法律意見書を論破するバミューダ法の解釈上の根拠を提示できておらず,積極的な主張立証もできていない。 被告は,原告が銀行口座の名義人となっていると主張し,原告の反論を抽象的と論難するが,具体的な反論は一切みられない。 被告は,原告が独立した権利義務の帰属主体となるか否かは,原告が本件の取引においてどのような関与をしているかも考慮して判断すべきと主張する。 しかしながら,客観的に法人に該当しない外国の事業体が,ある特定の取引に関与すれば法人に該当するようになるなどという理屈はあり得ず,被告の主張は失当である。法人該当性の判断基準について原告の主張する基準を用いたとしても,被告の主張する基準を用いたとしても,原告が特定の取引においてどのような関与をしているかなどということが法人該当性の判断に影響を及ぼすことはおよそ考えられないから,被告のこの主張は不可解かつ意味不明である。 (エ) 原告は,原告第二基準(損益帰属要件)を充足しないこと 以上のとおり,原告 当性の判断に影響を及ぼすことはおよそ考えられないから,被告のこの主張は不可解かつ意味不明である。 (エ) 原告は,原告第二基準(損益帰属要件)を充足しないこと 以上のとおり,原告のような特例パートナーシップに適用あるバミューダの法令の規定を精査すると,原告のような特例パートナーシップを通じた事業の損益は,法令及び契約上,各パートナーに帰属するとされていること,すなわち原告自体又は特例パートナーシップ自体に損益が帰属するものではないことが一義的に明らかであるというほかなく,この理を否定するバミューダの法令の規定は存在しない。 したがって,原告は,原告第二基準(損益帰属要件)を充足しない。 (オ) 被告の主張について被告は,1902年PS法24条⒜や2条⒞の規定を併せると,パートナーは,パートナーシップから,その営む事業から生ずる利益の割当てを受けるものと解され,その場合,割当て前の利益はパートナーシップに帰属することになる,と主張する。 しかしながら,上記規定は,正に我が国の組合に認められた損益計算(現行の法人税基本通達14-1-1の2及び14-1-2参照)と同趣旨の規定であり,割当て前の利益はパートナーシップに帰属するなどという帰結の根拠となるものではなく,被告の主張には論理の飛躍がある。 被告は,本件LPS契約5.1条⒜の規定は,パートナーシップに帰属した損益を各パートナーに割り当てる方法を定めたものとみるべきであると述べ,割当て前の損益はパートナーシップに一旦帰属すると解されると主張する。 しかしながら,本件LPS契約5.1条⒜の規定も,やはり我が国の組合に典型的に見られる損益分配に係る規定(現行の法人税基本通達14-1-1の2の注1参照)と同趣旨の規定である。この規定から,割当 しかしながら,本件LPS契約5.1条⒜の規定も,やはり我が国の組合に典型的に見られる損益分配に係る規定(現行の法人税基本通達14-1-1の2の注1参照)と同趣旨の規定である。この規定から,割当て前の損益はパートナーシップに一旦帰属するなどという帰結を導くことには,やはり著しい論理の飛躍がある。 (4) 被告が「法人」該当性の根拠として摘示している事実ないし法律効果は,いずれも我が国の組合にも当てはまることア財産の帰属関係について(ア) 被告は,特例パートナーシップの財産について,パートナーシップ財産(partnershipproperty)という概念が存在することを指摘する。 しかし,この指摘と同じことを,日本の組合についても指摘することができる。すなわち,民法668条,676条は,組合員の個人財産とは別個の「組合財産」という概念を創設しているのである。日本の組合において,組合財産は組合員の「合有」に属し,組合員の個人財産とは区別されることは確立した解釈である。 (イ) 被告は,パートナー個人の負債等に基づいてパートナーシップ財産(partnershipproperty)に対して強制執行することはできないとされていることを指摘する。 しかし,この指摘に対しては,日本の組合についても,組合員個人の債権者がその組合員の組合財産の上の持分を差し押えることは許されないとするのが民法676条2項の確立した解釈であり,この解釈にはそれこそ異論がないことを指摘することができる。個々の組合員が組合財産の持分を処分することはできない(民法676条)ことからして,当然のことである。 (ウ) 被告は,本件LPS契約において,2.8条には,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うこと」 とはできない(民法676条)ことからして,当然のことである。 (ウ) 被告は,本件LPS契約において,2.8条には,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップが適法に財産を所有し事業を行うこと」ができるようにするため必要な手続をする旨規定されており,また,4. 2条には,ジェネラル・パートナーが「パートナーシップを代理して,金銭を借り入れ,保証又は賠償を行い,パートナーシップの資産を取得する権限を有する」旨規定されていることを指摘する。 しかしながら,日本の組合においても,民法670条その他の民法の 規定の解釈上,第三者との関係においては,組合契約その他により業務執行組合員が定められている場合は業務執行組合員が組合の業務に関して組合員全員を代表する権限を有し,そうでない場合は組合員の過半数において組合を代理する権限を有するものと解されているところ,かかる任意組合の業務の執行により形成された組合財産は,積極財産・消極財産を問わず,構成員の個人財産とは区別された任意組合独自の財産となるものであることを指摘することができる。 (エ) 以上のように,原告のような特例パートナーシップの財産の帰属関係として被告が指摘する点のいずれについても,実質的に全く同様の法的効果が我が国の組合にも認められるのである。 イ契約関係について(ア) 被告は,個々のパートナーとは別に,パートナーの総称としてファーム(firm) という概念を創設し,ファーム(firm) の名称によって事業が営まれているときの名称をファームネーム(firmname) と称し,ファーム(firm) の事業に関連する行為等や,ファームネーム(firmname) で又はファーム(firm) を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm) 及び全 と称し,ファーム(firm) の事業に関連する行為等や,ファームネーム(firmname) で又はファーム(firm) を拘束する意図を示す方法で行われた行為等は,ファーム(firm) 及び全てのパートナーを拘束するとされていることを指摘する。 しかし,日本の組合についても,組合が行為の主体として記述されている文言として,「組合の業務の執行」(670条1項),「組合の債権者」(675条1項),「組合の債務者」(677条),「組合は,・・・解散する」(682条),「組合が解散したときは,・・・」(685条1項)という文言があることを指摘することができる。そして,民法670条その他の民法の規定の解釈上,第三者との関係においては,組合契約その他により業務執行組合員が定められている場合は業務執行組合員が組合の業務に関して組合員全員を代表する権限を有し,そうで ない場合は組合員の過半数において組合を代理する権限を有するものと解されているのであって,かかる「組合の業務の執行」(670条1項)としてなされた行為は全組合員を拘束するのである。 被告は,ファーム(firm) の解釈に係る原告の批判について縷々述べるが,ファーム(firm) の語が,原告の準拠法上原告に法人格を付与する旨の規定であるとは解されないという法律意見書の意見に基づく原告の主張に対しては,バミューダ法上の解釈の根拠を示した上での具体的な反論はできていない。 (イ) 被告は,本件LPS契約4.2条では,パートナーシップは「あらゆる契約その他の約束を締結,交付及び履行することができる」とされ,ジェネラル・パートナーは,これに関連してパートナーシップを代理して金銭の借入れ等を行う権限を有するとされていること,また本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座 履行することができる」とされ,ジェネラル・パートナーは,これに関連してパートナーシップを代理して金銭の借入れ等を行う権限を有するとされていること,また本件各取引確認書に基づく送金の受取口座の口座名義人が原告自身となっていることを指摘する。 しかし,この指摘も,日本の組合について上記(ア)で述べたのと同様,日本の組合にも当てはまるのである。 (ウ) 被告は,本件取引確認書2おいては,契約当事者欄に「X9L.P. ByName: X12 Title: President」と記載され,原告の「President」として「X12」の署名がされていることを指摘する。 しかし,日本の組合についても,任意組合に権利義務を生じさせる法律行為の名義として任意組合自体や任意組合代表者名義を用いることが許容されており,取引の実情としても契約等を任意組合名義で行うことが通例とされていることを指摘することができる。 (エ) 以上のように,原告のような特例パートナーシップの契約関係として被告が指摘する点のいずれについても,実質的に全く同様の法的効果が我が国の組合にも認められるのである。 (オ) 被告の主張について被告は,1902年PS法20条1項や24条柱書きの規定は,パートナーシップの財産が各パートナーの個人財産とは厳密に区別されることを明らかにし,各パートナーの自由な持分の処分を制限する規定と解されるとして,これらの規定をもって,バミューダ法上,パートナーシップの財産が我が国の民法上の共有と同じ法的性質で全パートナーの共有に属するとまでは解されないと主張する。 しかしながら,パートナーシップの財産は全パートナーの共有であるとの明文の規定があるにもかかわらず,何故にその財産が「個人財産とは厳密に区別される」すなわ 属するとまでは解されないと主張する。 しかしながら,パートナーシップの財産は全パートナーの共有であるとの明文の規定があるにもかかわらず,何故にその財産が「個人財産とは厳密に区別される」すなわち被告基準①を充足する(パートナーシップ独自の財産である)などといえるのか,その論理は明らかではない。 むしろ,上記各規定に照らせば,パートナーシップ財産(partnershipproperty)は日本の組合の「組合財産」に相当するものであり,各パートナーの自由な持分の処分が制限されているということも考えれば,我が国の組合におけるいわゆる「合有」に相当するものと解するのが自然である。 被告は,リミテッド・パートナーシップが財産を有する主体となることを前提としている規定があると指摘する。 しかしながら,被告が言及する規定なるものは,日本の組合について我が国の法令上置かれている,「組合財産」,「組合の債権者」,「組合の債務者」,「組合の業務の執行」などという,組合を主語ないし主体とした文言の規定と何ら異ならない。日本の組合において上記のような文言があるからといって,構成員とは厳格に区別された日本の組合自体が資産を所有したり債権を有したり債務を負担したりするものではないことは自明である。 ウ訴訟当事者となれるか否かについて 被告は,パートナーの総称を表す概念であるファーム(firm) の名義で訴訟を提起し,又は提起されると規定されていることから,リミテッド・パートナーシップは訴訟能力を有していると主張する。 しかし,日本の組合もまた,民事訴訟法29条は,法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名において訴え,又は訴えられることができる旨規定しているところ,判例上,任意組合であっても同条 本の組合もまた,民事訴訟法29条は,法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは,その名において訴え,又は訴えられることができる旨規定しているところ,判例上,任意組合であっても同条により訴訟上の当事者能力を認めることができると解されているのである。 被告は,1985年最高裁規則81条1項はリミテッド・パートナーシップには適用されないという法律意見書の記載が誤りであると主張する。 この点は,バミューダ法の解釈そのものの問題であるが,被告の主張は,バミューダの法曹資格を有する者の法律意見書などの根拠を示してなされているものではなく,被告独自の見解にすぎない。とりわけ,法律意見書は,その見解の論拠として,1883年LPS法16条は主たる法律であり,従たる法律であり委任立法であるにすぎない1985年最高裁規則81条に優先して効力を有するというバミューダの確立した判例法の下での法的効果を具体的に述べているが,被告は,この点を全く捨象し,この論拠がいかなる理由で論拠たり得ないかについては一言も触れず,独自の解釈に基づいて主張しているにすぎない。被告は,1985年最高裁規則81条は1883年LPS法16条に抵触するものではないと主張するが,そもそも抵触するか否かも含めて全てバミューダ法の解釈の問題であるから,やはり被告の主張には根拠がないといわざるを得ない。法律意見書が正しく述べるとおり,バミューダ法上は,バミューダの特例パートナーシップの事業に係る訴訟については,バミューダの特例パートナーシップ自体が訴訟当事者となるのではなく,1883年LPS法16条により,そのジェネラル・パートナーが訴訟当事者となるものと解される。 なお,仮に,バミューダ法上,原告を含むバミューダの特例パートナーシップ自体が訴訟当 ,1883年LPS法16条により,そのジェネラル・パートナーが訴訟当事者となるものと解される。 なお,仮に,バミューダ法上,原告を含むバミューダの特例パートナーシップ自体が訴訟当事者となり得ると解されることがあるとしても,かかる属性は,我が国の組合及び組合に類する外国の事業体にも等しく認められる属性であるから,いずれにせよ,原告の「法人」該当性を根拠付ける事由とはならない。 エ小括以上のとおり,原告のような特例パートナーシップの「法人」該当性の根拠として被告が摘示している事実ないし法的効果は,いずれも我が国の組合にも認められる。したがって,被告摘示の事実ないし法的効果は,いずれも,原告のような特例パートナーシップが我が国の私法及び法人税法上「法人」に該当することを根拠付けるものではない。 (5) 原告はニューヨーク州法に基づき組成されたLLCと法的性質を著しく異にすることニューヨーク州法に基づき組成されたLLC(ニューヨークLLC)は,ニューヨーク州LLC法を準拠法とするが,ニューヨーク州LLCと特例パートナーシップの法的性質は,全く異なるものであることは明らかである。 したがって,仮にニューヨーク州LLCが「法人」に該当することがあり得るとしても,そのことは,原告を「法人」に該当すると解すべきことの根拠にはならない。 (6) 原告はケイマンの特例パートナーシップと法的性質を実質的に同じくすることケイマン法に基づき組成されたケイマン特例パートナーシップは,ケイマンPS法及びケイマンEPS法の2つの法律を準拠法とする事業体である。 ケイマンEPS法がケイマンPS法に関する特別法にあたり,ケイマンEPS法が優先的に適用され,ケイマンEPS法に定めのない事項については一般法たるケイマンPS法が適 法律を準拠法とする事業体である。 ケイマンEPS法がケイマンPS法に関する特別法にあたり,ケイマンEPS法が優先的に適用され,ケイマンEPS法に定めのない事項については一般法たるケイマンPS法が適用される。名古屋高等裁判所平成19年3月8 日判決(以下「名古屋高判」という。)において,ケイマン特例パートナーシップが我が国の民法上の組合の要件を満たし得るという判断の根拠とされたケイマン法の法令の規定に定められているのと同じ法的効果ないし属性は,原告のような特例パートナーシップにも同様に当てはまる。このことは,ケイマン法もバミューダ法と同じく英国法を継受していることからしても当然といえる。さらに,我が国の租税法上,外国の組合に類する事業体として租税法上取り扱われるものを想定した規定が複数存在するが(現行の法人税法施行令187条5項4号,租税特別措置法67条の12第3項第1号,同法施行令39条の31第1項等),仮に特例パートナーシップやケイマン特例パートナーシップのように日本の組合と実質的に同じ性質を持つことが認められる事業体さえ「法人」に該当するとすると,日本の組合と実質的に同じ法的性質を持つ外国法を準拠法とするパートナーシップはことごとく「外国法人」とされることになりかねない。しかしながら,仮にそうであるとすると,上記のような規定がなぜ必要であったのか理解に苦しむ。 そもそも政府の税制調査会が出した平成12年7月14日付けの「わが国税制の現状と課題―21世紀に向けた国民の参加と選択」と題する中期答申には,我が国の租税法上は,法人税の課税対象となる事業体が,法人格の有無により決定されることを認める一文があり,我が国の税制では,外国の事業体がその外国において私法上「法人」とされているかどうかにより,法人課税の対象とするかど 税の課税対象となる事業体が,法人格の有無により決定されることを認める一文があり,我が国の税制では,外国の事業体がその外国において私法上「法人」とされているかどうかにより,法人課税の対象とするかどうかを判断している旨の記載もあることからすれば,上記の規定は,正に外国の準拠法上法人格が付与されておらず,かつ我が国の組合と同じ性質を有する特例パートナーシップやケイマン特例パートナーシップのような事業体が我が国の法人税法上「法人」に該当しないことを前提として立法されたものと理解する方が自然である。 以上によれば,原告のような特例パートナーシップについても,ケイマン特例パートナーシップと同様に,組合の要件を満たし得ると解するのが妥当 である。 (7) 被告の主張に対する反論(租税法上の法人該当性の判断基準について)ア被告は,原告の主張する法人該当性の判断基準は,私法上の法人の概念から離れた独自の判断基準であると主張する。 しかしながら,原告の主張する法人該当性の判断基準は,租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には,租税法律主義や法的安定性の確保の観点から,原則として私法上の概念と同じ意義に解するのが相当であることを考慮した上で,民法36条1項の「外国法人」が,外国の法令に準拠して法人格を付与された団体をいうと解されることを根拠とするものであるから,正に,私法上の法人の概念と同じように租税法上の法人の概念を解するものである。 したがって,被告の主張は,原告の主張を正解せずにされたものであって失当である。 イ(ア) 被告は,原告の主張する「法人」該当性の判断基準が,① 外国の法令の規定内容からその準拠法である当該外国の法令によって法人格を付与する旨を規定されていると認められるか否か(原告第一基準(法 イ(ア) 被告は,原告の主張する「法人」該当性の判断基準が,① 外国の法令の規定内容からその準拠法である当該外国の法令によって法人格を付与する旨を規定されていると認められるか否か(原告第一基準(法人格要件))によるべきであるとすること,また,② 民法36条1項の「外国法人」の解釈を根拠とすることを論難する。 (イ) しかしながら,租税法上は,法人,人格のない社団等(権利能力のない社団)及び組合(任意組合)という事業体が規定されており,これらのそれぞれについて内国のものと外国のものがパラレルに規定されており,法人,人格のない社団等(権利能力のない社団)及び組合という概念自体は,内国のものであろうと外国のものであろうと,共通かつ同一の概念であることが法令の規定上明らかである。そして,我が国の法人については,人格のない社団等(権利能力のない社団)及び組合との区別については,法人法定主義が採用されており,内国法人であるか否 かは専ら法人法定主義という形式的判断により決せられるのであるから,外国の法人についても,第一次的には,内国法人と同じく準拠法上の法人格の有無という形式的判断によるものとするのが論理的帰結である。 被告の主張は,上記で述べたような租税法の事業体に係る規定の建付を無視し,内国法人と外国法人とで異なる判断基準を採用すべきと主張し,もって「法人」の概念を内国法人と外国法人とで異ならしめるものである。このような主張が,法人という概念自体は内国のものであろうと外国のものであろうと共通かつ同一の概念であるとする租税法の規定の建付と整合しないことは明らかである。被告は,外国の法制度の多様性を主張するが,我が国の私法及び租税法が前提とする準拠法上の法人格の有無による形式的判断から,外国法人についてのみ形式的判断を一切放 建付と整合しないことは明らかである。被告は,外国の法制度の多様性を主張するが,我が国の私法及び租税法が前提とする準拠法上の法人格の有無による形式的判断から,外国法人についてのみ形式的判断を一切放棄して,被告が主張するような実質的判断のみを行うべき理由とはならない。 (ウ) 民法36条1項の「外国法人」とは「外国の法令に準拠して法人格を付与された団体をいう」という解釈が確立しているところ,租税法上定義されていない語は私法におけるのと同様の意義に解すべきとする立場(借用概念論の統一説)からすれば,原告が「外国法人」を主語として用いる民法36条1項に着目したことは,私法における「外国法人」の意義を解釈によって明らかにし,ひいては租税法における法人の意義を明らかにするための解釈態度としては当然である。逆に,被告のように私法の条文をその解釈の根拠として挙げようともせず,民法36条1項の「外国法人」に関する確立した解釈を無視するとすれば,それこそ借用概念論の統一説に背馳する。 ウ被告は,当該事業体を当該外国法の法令が規定するその設立,組織,運営及び管理等の内容に着目して経済的,実質的に見れば,明らかに我が国の法人と同様に損益の帰属すべき主体(その構成員に直接その損益が帰属 することが予定されない主体)として設立が認められたものといえるか否かという判断基準につき,根拠に乏しいなどと論難する。しかしながら,我が国の租税法は,租税法独自の固有概念として法人の語を用いるのではなく,むしろ私法上の法人の概念を借用し,私法上の法人=租税法上の法人という前提で,法人に係る課税関係を含む各種事業体の課税関係を規定していると理解すべきである。そして,我が国の租税法上,法人及び人格のない社団等(権利能力のない社団)については,その事業の損益により という前提で,法人に係る課税関係を含む各種事業体の課税関係を規定していると理解すべきである。そして,我が国の租税法上,法人及び人格のない社団等(権利能力のない社団)については,その事業の損益により構成される所得が事業体に帰属することを前提としてその所得に法人税が課される一方,任意組合のように法人や人格のない社団等(権利能力のない社団)に該当しない事業体について構成員課税が行われているが,これは,事業の損益により構成される所得の帰属主体となり得る実体の有無が異なるためであると解される。 そうすると,「損益の帰属すべき主体(逆にいえば,その構成員に直接その損益が帰属することが予定されない主体)として設立が認められたもの」であるという点は,我が国の租税法上のみならず「私法上」も認められる法人の実体の一面であると解すべきことになる。このように,原告の主張は,借用概念としての法人概念の意義に変更を加えるものではない。 エ被告は,民法35条1項にいう「外国会社」が,会社法上の「外国会社」(同法2条2号)と同義と解されているとして,民法35条1項にいう「外国法人」には,その準拠法上法人格を有さない団体も含まれるなどと主張する。 しかし,現行民法も会社法も,本件決定処分に係る納税義務が成立したとされる時点である平成13年の末日においては成立していなかった法律であり,原告の納税義務者該当性を判断するに当たってはそもそも無関係である。被告の主張はこの点を看過するものでありそもそも失当である。 上記の点はひとまずおくとしても,民法35条1項にいう「外国会社」 が,会社法上の「外国会社」と同義と解されているという被告が拠って立つ前提がそもそも誤りである。被告の引用する文献は,民法35条1項にいう「外国会社」が会社法上の「外国会 う「外国会社」 が,会社法上の「外国会社」と同義と解されているという被告が拠って立つ前提がそもそも誤りである。被告の引用する文献は,民法35条1項にいう「外国会社」が会社法上の「外国会社」と「同義である」とは一言も明示的に述べていない。むしろ,民法35条1項にいう「外国会社」と,会社法上の「外国会社」との関係については,諸文献においても,これらは同義ではなく,会社法上の「外国会社」の概念のほうが,設立準拠法上法人格が認められない団体をも含む点で,広い概念であると解されているのである。すなわち,① 会社法上の「外国会社」には,設立準拠法上法人格が認められる団体と認められない団体の双方が含まれること,他方で,② 民法35条1項の「外国会社」は,設立準拠法上法人格が認められる団体のみを意味すること(設立準拠法上法人格が認められない外国会社については,民法35条1項の直接適用はないこと)が,明確に論じられているのである。そもそも,法律の明文の規定自体において,会社法2条2号の「外国会社」の定義には法人のみならず法人以外の団体も含まれている一方で,民法35条1項の「外国会社」には外国法人のみが含まれる(設立準拠法上法人格を付与されていない外国会社に直接適用される規定ではない)ことが前提とされているのであるから,上記の文献のように,両者は同義ではない(会社法上の「外国会社」の概念のほうが,設立準拠法上法人格が認められない団体をも含む点で,広い概念である。)と解さなければ,法律の明文の規定自体の整合性を説明できない。したがって,被告の上記主張は,その前提においてそもそも誤っており,失当である。 2 争点2(原告の租税法上の人格のない社団等該当性)について(被告の主張の要旨)(1) 人格のない社団等の要件人格のない社団 張は,その前提においてそもそも誤っており,失当である。 2 争点2(原告の租税法上の人格のない社団等該当性)について(被告の主張の要旨)(1) 人格のない社団等の要件人格のない社団等(権利能力のない社団)といい得るためには,[1] 団体としての組織を備え(要件[1]),[2] 多数決の原則が行われ(要件 [2]),[3] 構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し(要件[3]),[4] その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているもの(要件[4])でなければならないと解されている。 なお,上記4要件は,それら全てが独立して厳格に満たされていなければ人格のない社団等(権利能力のない社団)とは認められないというものではなく,むしろ社団性認定のための指標として,各要件相互の関係で柔軟に解釈され得るものというべきである。 (2) 上記4要件へのあてはめア要件[1]について本件LPS契約によれば,原告は,X1をジェネラル・パートナーとし,X2及びX3をリミテッド・パートナーLPとしてバミューダ法に基づき設立された事業体(リミテッド・パートナーシップ)であって,構成員(パートナー)は特定されている(前文,1.1条,2.1条)。そして,ジェネラル・パートナーが,原告の事業及び業務の経営や管理に関して排他的に責任を負うとともに,パートナーシップの目的を実行するために必要な全ての事項を行う権限を付与され(4.1条),この独占的権限に基づき事業体としての意思決定を行い,原告を代表して法律行為を行っているのであるから,原告は,団体としての組織を備えていると認められる。 イ要件[2]についてパートナーシップとしての意思決定は事業及び業務の経営や管理に関 ,原告を代表して法律行為を行っているのであるから,原告は,団体としての組織を備えていると認められる。 イ要件[2]についてパートナーシップとしての意思決定は事業及び業務の経営や管理に関する独占的権限を有するジェネラル・パートナーに委ねられているが,これは全てのパートナー(構成員)が本件LPS契約において合意したことによるものであり,パートナーシップ持分の過半数により解散を求めた場合はパートナーシップが終了する(本件LPS契約11.1条)のであるか ら,原告において,多数決の原則が一定程度行われているということができる。 ウ要件[3]について本件LPS契約によれば,ジェネラル・パートナーの決定により一定の条件を満たす者が新規にリミテッド・パートナーとなることが認められ(8.1条,8.2条),リミテッド・パートナーは,ジェネラル・パートナーの同意を得て,保有するパートナーシップ持分を第三者に譲渡することができる(9条)。また,バミューダ法上,財務大臣の同意があれば,ジェネラル・パートナーであってもこれを変更することができるとされている(1883年LPS法8B条,1992年EPS法13条)。 したがって,原告は,構成員(パートナー)の変更にもかかわらず団体が存続するものであることが認められる。 エ要件[4]について本件LPS契約によれば,ジェネラル・パートナーが原告を代表して業務執行を行うと定められ(4.1条,4.2条),また,原告に関する費用の支出(4.3条),原告が受領する金銭の管理(4.5条),損益の配分及び現金の分配(5.1条,5.2条),会計監査(6条),パートナーシップの終了及び清算(11.1条,11.2条)についてもそれぞれ定められている。そして,これらの規定を含む本件LPS ,損益の配分及び現金の分配(5.1条,5.2条),会計監査(6条),パートナーシップの終了及び清算(11.1条,11.2条)についてもそれぞれ定められている。そして,これらの規定を含む本件LPS契約の内容は,全てのパートナーの書面による同意を得なければ,その全部又は一部を修正することはできないとされている(7条)。 したがって,原告は,その組織において,代表の方法や財産の管理等,団体としての主要な点が確定しているということができる。 (3) 結論以上によれば,原告は,要件[1]ないし[4]の要件をいずれも満たしているということができるから,原告は,仮に租税法上の法人に該当しないとし ても,人格のない社団等(権利能力のない社団)に該当するというべきである。 (原告の主張の要旨)(1) そもそも,被告の主張は,被告基準①ないし③(ないしは被告基準①及び②)をもって,法人と人格のない社団等(権利能力のない社団)を明確に区別することが可能というものであるから,そもそも原告が人格のない社団等(権利能力のない社団)に該当するとの予備的主張を行うこと自体が失当である。かかる主張は,被告自身,上記被告基準をもってしても,原告が法人又は人格のない社団等(権利能力のない社団)のいずれに該当するかを明確に区別することができないことを自認するに他ならないからである。 (2) 上記の点をおいても,被告の予備的主張は失当である。被告主張の4要件を検討するに当たっては,それが人格のない社団等(権利能力のない社団)と組合を区別するための基準であることから,任意組合その他の契約関係により認められる団体性を超えて,民法所定の法人に関する規定が予定するところと類似した団体性を有するか否かという観点から検討すべきところ,1902年PS法そ であることから,任意組合その他の契約関係により認められる団体性を超えて,民法所定の法人に関する規定が予定するところと類似した団体性を有するか否かという観点から検討すべきところ,1902年PS法その他の原告の準拠法の各規定及び本件LPS契約の各規定並びに法律意見書の解釈に鑑みるならば,原告の本質は,ジェネラル・パートナーとリミテッド・パートナー間の我が国の組合に類似した契約関係であるということに尽きるのであって,団体としての意思決定機関(社員総会など),業務執行機関(理事会など)又は代表機関(代表理事など)が置かれるなどの団体としての組織を備えているとは到底いえず,また,団体としての組織を備えているとは到底いえない以上,代表の方法(社員の多数決により理事を選任し,選任された理事の多数決で代表理事を選任するなど),総会の運営(定足数の計算,決議は単純多数決か特別多数決か,議長は誰かなど),財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているとも到底いえない。原告には,我が国の民法上の組合類似の契約関係により認められる 団体性が認められるにとどまるというべきである。 したがって,被告の予備的主張も失当である。
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