平成30年4月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第36405号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成29年12月26日判決 原告株式会社アイランド 同訴訟代理人弁護士板橋喜彦 同森円香 同近藤遼平 被告株式会社オフィスカワノ(以下「被告会社」という。) 被告A(以下「被告A」という。) 被告ら訴訟代理人弁護士古手川隆訓 同訴訟復代理人弁護士鮫島正洋 同髙見憲 同高瀬亜富 同山本真祐子 同訴訟代理人弁理士有吉修一朗 同補佐人弁理士筒井宣圭 主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して1億4044万6980円及び別紙遅延損害金目録記載の各金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告らの,各負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 も棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告らの,各負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して2億6389万9139円及びうち2億4972万6270円に対する平成27年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告会社において原告の商品である婦人服の形態を模倣して婦人服を販売等したことが不正競争防止法(以下,単に「法」という。)2条1項3号所定の不正競争行為に当たり,被告Aは悪意・重過失により被告会社の代表取締役としての任務を懈怠して被告会社の上記行為を招いたと主張して,被告会 社に対しては法4条,5条1項に基づき,被告Aに対しては会社法429条1項に基づき,損害賠償金2億9098万0962円(法5条1項により推定される損害額2億6452万8147円及び弁護士費用相当額2645万2815円の合計額)の一部である2億6389万9139円及びうち2億4972万6270円(一部請求額から当初主張していた弁護士費用相当額を除いた額)に対す る不正競争行為時以後である平成27年7月14日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠を掲記したものを除き,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により認められる。)(1) 当事者 ア原告は,婦人服,紳士服の製造及び卸売,並びに服飾雑貨の製造及び卸売 業等を行うことを目的とする株式会社である。 イ被告会社は,ドレスを中心としたファッション関連の企画,製造等を業とする株式会社である。 ウ被告Aは, 飾雑貨の製造及び卸売 業等を行うことを目的とする株式会社である。 イ被告会社は,ドレスを中心としたファッション関連の企画,製造等を業とする株式会社である。 ウ被告Aは,被告会社の代表取締役である。 (2) 原告の商品 原告は,以下の各商品を製造・販売していた(以下,アないしクの製品を順に「原告商品1」ないし「原告商品8」といい,これらを「原告商品」と総称する。なお,原告商品3と原告商品4は同じ商品であるが,対比する被告商品との関係で,分けて記載している。)。 原告商品の名称原告商品の品番 アスタンドビジューOP 12035211イリバーレースレイヤードOP 24435023ウ配色レイヤードフラワーOP 33035265エ配色レイヤードフラワーOP 33035265オスカラビジューOP 13035152 カオーナメント刺繍OP 12035012キトリアセサロペット 14115224クホルターシルクOP 22035391(3) 被告会社の行為被告会社は,「楽天市場」,「Yahoo!」,「Amazon」,「ポンパレ」,「Qoo10」,「DeNA」, 「au ショッピングモール」及び「CROOZ」といったインターネット上の各ショッピングモールに,「ドレスショップGIRL」という名称で出店しており,下記(4)の商品を,各ショッピングモールの自社サイトに掲載し,一般に販売していた。 (4) 被告会社の商品 被告会社が販売していた商品は,以下のとおりである(以下,アないしクの 商品を順に「被告商品1」ないし「被告商品8」といい,これらを「被 に販売していた。 (4) 被告会社の商品 被告会社が販売していた商品は,以下のとおりである(以下,アないしクの 商品を順に「被告商品1」ないし「被告商品8」といい,これらを「被告商品」と総称する。)。 被告商品の名称被告商品の品番ア LULU ka-c-25イ SOPHY fu-040 ウ PARIS fu-015エ AIRLY fu-016オ BIJOUX skm-1522aカ MIEL fu-019キ KATE fu-025 ク GRACE ce211113(5) 原告商品と被告商品の対比等原告商品1ないし8と被告商品1ないし8(以下,対応する原告商品と被告商品につき,例えば,原告商品1と被告商品1を併せて「商品1」のようにいうことがある。)の各形態は,別紙対比写真(甲1ないし8(枝番を含む)であ り,順に商品1ないし8に対応する。)のとおりである(乙55ないし62も参照)。 なお,原告商品及び被告商品の色彩については,別紙「カラー展開比較一覧表」のとおりである(ただし,被告商品7については,この表に記載されたもの以外に「ベージュ&ブラック」がある。)。 原告商品の形態の特徴及び原告商品と被告商品との共通点は,少なくとも,以下のとおりである。 ア原告商品1原告商品1は,ストレート・シルエット,8分袖のワンピースをベースとして,襟口 原告商品の形態の特徴及び原告商品と被告商品との共通点は,少なくとも,以下のとおりである。 ア原告商品1原告商品1は,ストレート・シルエット,8分袖のワンピースをベースとして,襟口及び袖口のビーズ刺繍を特徴とする商品である。 原告商品1と被告商品1とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 全体のシルエット:細めのストレート・シルエットである点(イ) 襟・ネックライン:襟口が少し立ち上がっている点,鎖骨が少し見える程度に横方向に広めに開きがある点,開きの程度(ウ) 袖:8分丈である点イ原告商品2 原告商品2は,無地の膝丈のタンクドレスに7分袖・クロップト丈のレース素材のトップスを合わせた構成が特徴の商品である。 原告商品2と被告商品2とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 全体の構成:膝丈のタンクドレスに7分袖,及びクロップト丈のレース素材のトップスを合わせた構成の点 (イ) 袖丈:7分丈である点ウ原告商品3原告商品3は,薄手の生地のミニ丈のタンクドレスをベースとし,2色の生地の端を縫い付け,花びらとして形作った大型の花モチーフ,及び2色の斜めアシメトリーなフラウンスによるティアードシルエットを特徴とする 商品である。 原告商品3と被告商品3とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 襟・ネックライン:襟なしのラウンドネックラインである点,及びその開きの形状(イ) 袖丈:ノースリーブである点 エ原告商品4原告商品4は原告商品3と同じ商品である。 原告商品4と被告商品4とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 襟・ネックライン:襟なしのラウンドネックラインで エ原告商品4原告商品4は原告商品3と同じ商品である。 原告商品4と被告商品4とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 襟・ネックライン:襟なしのラウンドネックラインである点,及びその開き方 (イ) 袖丈:ノースリーブである点 オ原告商品5原告商品5は,トップス裾とスカート裾がスカラップ裾となっており,裾部分にビーズ刺繍があしらわれている構成を特徴とする商品である。 原告商品5と被告商品5とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 全体の構成:膝上丈のタンクドレスにノースリーブ及びウエスト丈のト ップスを合わせた構成となっている点(イ) 袖丈:ノースリーブである点(ウ) 生地:ジョーゼット生地である点カ原告商品6原告商品6は,腰回りに切り替えのあるストレート・シルエット,ノース リーブ,膝丈のワンピースである。同商品は,背中に大きめのギャザーが寄せられている点,及びスカート上部にビーズ刺繍が配置されている点が特徴の商品である。 原告商品6と被告商品6とは,少なくとも,以下の点が共通する。 全体の構成:ストレート・シルエット,ノースリーブ,膝丈のワンピース で,腰回りに切り替えがあり,トップスがサテン生地,スカート部分はジョーゼット生地のコンビという構成になっている点キ原告商品7原告商品7はサロペットであり,首元からバストトップス切り替え位置までがレース素材,バストトップス切り替え位置から共布のギャザーを寄せた フラウンスを有する点が特徴の商品である。 原告商品7と被告商品7とは,少なくとも,以下の点が共通する。 細身のオールインワン・サロペットであり,袖は のギャザーを寄せた フラウンスを有する点が特徴の商品である。 原告商品7と被告商品7とは,少なくとも,以下の点が共通する。 細身のオールインワン・サロペットであり,袖はノースリーブで,首元からバストトップス切替え位置までの部分はレース生地が使用され,ウエストはゴムで伸縮し,ウエスト部分でブラウジングされている点 ク原告商品8 原告商品8は,アメリカンスリーブ・ハイネックのロールカラー,セミフレアスカートのワンピースであり,ローウエスト部分で切り替えを施し,切り替えの部分には幅のあるベルト状のビーズ刺繍をポイントとして配置している点が特徴の商品である。 原告商品8と被告商品8とは,少なくとも,以下の点が共通する。 (ア) 全体の構成:アメリカンスリーブ・ハイネックのロールカラーのトップスにローウエスト部分で切り返しを設け,下はセミフレアスカートとなっており,切り替えの部分には幅のあるベルト状のビーズ刺繍を施す構成になっている点(イ) 襟・ネックライン:首が詰まったハイネックのロールカラーである点 (ウ) 丈:アメリカンスリーブノースリーブである点(6) 原告による「警告書」の送付及び被告らの対応原告は,平成27年7月3日付けで,被告会社に対し,「警告書」と題する書面(甲39の1)を送付し,被告商品の販売を停止するよう警告し,これは,同月6日,被告会社に到達した(甲39の2)。 これに対し,被告会社は,同月14日付けの「御連絡」と題する書面(甲40)にて,原告の上記要請を拒否した。 (7) 証拠保全手続原告は,平成27年10月頃,被告会社に対する証拠保全手続を申し立て(宮崎地方裁判所平成27年(モ)第111号),同月6日,被告会社の 0)にて,原告の上記要請を拒否した。 (7) 証拠保全手続原告は,平成27年10月頃,被告会社に対する証拠保全手続を申し立て(宮崎地方裁判所平成27年(モ)第111号),同月6日,被告会社の本店にて証拠 保全手続が行われ,同年8月及び9月分の被告商品の譲渡数量が開示された(甲26)。 2 争点(1) 被告商品は原告商品の形態を模倣したものか(争点(1))ア両商品の形態が実質的に同一といえるか イ被告商品は原告商品の形態に依拠したものか (2) 被告会社の故意・過失の有無(争点(2))(3) 除斥期間の起算日(争点(3))(4) 被告会社が善意無重過失の転得者に当たるか(争点(4))(5) 原告の損害額(争点(5))ア法5条1項の適用の有無 イ被告商品の販売数量ウ原告商品の販売による原告の限界利益額エ法5条1項但書による推定覆滅の有無及び割合(6) 被告Aの責任(争点(6)) 3 争点に対する両当事者の主張 (1) 争点(1)(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)について【原告の主張】ア商品形態の実質的同一性について(ア) 「模倣」には,他人の商品の形態に創作性の乏しい微細な改変を加えただけの,いわゆる隷属的模倣(改変的模倣)も含まれるのであり,多少の 相違点があっても,相違点に係る着想の難易,改変の内容・程度,改変が商品全体の形態に与える効果等を総合的に判断したときに,当該改変によって商品に相応の形態的特徴がもたらされていて,当該商品と他人の商品との相違が商品全体の形態の類否の上で無視できないような場合にあたるかどうかにより判断されるべきであり,先行商品の形態のうち開発に資 金,労力を投資した特徴的形態が利用 ,当該商品と他人の商品との相違が商品全体の形態の類否の上で無視できないような場合にあたるかどうかにより判断されるべきであり,先行商品の形態のうち開発に資 金,労力を投資した特徴的形態が利用されている場合や,相違点が「一見しただけでは識別できず,もしくは全体的な形態に与える影響が乏しいもの,原告各商品に比し手間若しくは費用を掛けない方向へ変更したもの,又は婦人服という商品の性質上極めて容易に変更できるもの」である場合には,実質的に同一であるといえる。 このような観点から,原告商品1ないし8と被告商品1ないし8の形態 をそれぞれ比較すると,いずれも実質的同一性が認められる。具体的には,別紙「商品形態の具体的比較(原告の主張)」及び別紙「対比一覧表」のとおりである。 (イ) 衣料品,特に女性向けドレスにおいては,色違い商品が存在するという共通認識があるし,先行商品の形態のうち,開発に資金,労力を投資する 特徴的な部分は形状であって色彩ではないから,原告商品の「色彩」は,その形態の実質的同一性を判断する上で重視されるべき形態的な特徴ではない。また,配色の手法において,同一トーン配色及びグラデーション配色は基本的な手法である。 原告商品と被告商品の色彩を比較すると,a原告商品と同一又は極めて 類似する色彩であるか,bフォーマルな衣料品の色彩としてありふれた色である黒・ネイビー・ベージュであるか,c単色であるか,dドレスその他衣服のカラーコーディネートとしてありふれた配色であるか,e上記配色の基本手法に則り容易に着想可能な配色であるか,の各要素のいずれかがあるから,これらの配色は着想として非常に容易であるといえ,被告商 品の色彩に独自性はない。 (ウ) 原告商品は,同種の商品と比 則り容易に着想可能な配色であるか,の各要素のいずれかがあるから,これらの配色は着想として非常に容易であるといえ,被告商 品の色彩に独自性はない。 (ウ) 原告商品は,同種の商品と比較しても特徴的形態を有し,いずれの商品も「商品全体の形態が同種の商品と比べて何の特徴もない」とはいえないから,原告商品の形態はありふれた形態ではなく,法2条1項3号で保護されるべき商品の形態である。 イ依拠について原告商品1への依拠については,同商品が掲載された「andGIRL(アンドガール)」(甲11)は20代後半から30代前半をターゲットにした発行部数17万部を誇る著名な雑誌であり,正に被告会社がターゲットとする年代に向けた雑誌である。また,雑誌のテイストとしても,被告会社が しばしば広告を掲載する「美人百花」(甲73)と全く同一の年代をターゲ ットにしており,上記2誌が並べて紹介されることもあるところ,「美人百花」に商品を掲載するようなアパレル業者が,「andGIRL」をチェックしないなどということは,およそ想定できない。 また,原告の店舗は北海道から九州まで全国48店舗に上り,九州にも複数店舗が存在し,九州域内でも原告店舗にアクセスできることが可能で ある。しかも,アパレル事業者の当然の業務として,競合商品が豊富に集まる東京等の大都市に被告A又は被告会社の関係者が定期的に赴き,競合商品をチェックすると考えられ,現に,被告会社は東京にオフィスを設けており(甲77),原告店舗へのアクセス可能性がないことはあり得ない。 以上からすれば,原告商品1と被告商品1が実質的同一性を有し,被告 商品1の原告商品1への依拠性が推定される状況下において,当該推定が崩されるような事情はなく,むしろ,上記 とはあり得ない。 以上からすれば,原告商品1と被告商品1が実質的同一性を有し,被告 商品1の原告商品1への依拠性が推定される状況下において,当該推定が崩されるような事情はなく,むしろ,上記のとおり,原告商品1へのアクセス可能性は非常に高く,依拠性の推定がより強まるものである。 また,上記と同様に,被告商品2ないし8は原告商品2ないし8に依拠したものといえる。なお,原告商品8が被告商品8よりも先に発売された と評価し得るものであり,被告商品8についても被告らの依拠が認められる。 【被告らの主張】ア商品形態の実質的同一性について商品形態の実質的同一性は,両商品の形態の共通点が同種商品にありふ れたものか創作的なものか,相違点が些細なものか否か等を考慮して総合的に判断すべきである。 しかるところ,原告商品及び被告商品の需要者は,若い女性である。 そして,原告商品及び被告商品は共にアパレル製品であるところ,アパレル業界においては流行という特有の傾向により,同時期に類似商品が多 数出回るという状況がある。そのため,需要者たる若い女性は,当該状況 下において,商品の基本的形態のみならず具体的形態,すなわちディテールの形態についても注意深く観察する傾向が強い。 また,「商品の形態」とは,「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう」(法2条4項)ものであり, 「色彩」も「商品の形態」を構成することは明らかである。実際,需要者たる若い女性においては,着用時における顔写りや雰囲気等に着目するため,「形態」のうち「色彩」に対する関心が高く,色彩が及ぼす影響も強い。 さらに,需要者たる若い女 とは明らかである。実際,需要者たる若い女性においては,着用時における顔写りや雰囲気等に着目するため,「形態」のうち「色彩」に対する関心が高く,色彩が及ぼす影響も強い。 さらに,需要者たる若い女性は,アパレル製品のなかでも特に結婚式等の場で着用するドレスについて,TPOに鑑みた選択をする必要があるこ とから,その質感(ポリエステル又はシルク)や色合い(結婚式ではバイカラーのデザインは不適切であるとされている)等についても慎重に吟味するものである。 加えて,原告商品及び被告商品のような比較的華やかなパーティードレスを身に着ける女性は,ファッションに敏感である傾向が強く,商品を選 択する際には,各商品の微妙な相違点を細部にわたって比較検討した上で,購入する商品を選択するのが通常である。 以上のとおり,原告商品及び被告商品の需要者である若い女性においては,商品形態の基本的形態のみならず,その具体的形態までをも含めて観察するものであって,またその色彩や質感等にまで注意を向けるものであ るといえる。 そして,法2条1項3号における「模倣」を定義した「実質的同一性」は,単なる「類似」ではなく「酷似」である必要があることからすれば,業界では当たり前とされるデザインについては,同一性の幅をむやみに広げるべきではない。 以上を前提として,原告商品1ないし8と被告商品1ないし8の形態をそ れぞれ比較すると,両者の共通点はありふれた形態にすぎず,一方,相違点は実質的同一性の判断に与える影響が大きいものであるから,原告商品と被告商品の形態が実質的に同一とはいえない。具体的には,別紙「商品形態の具体的比較(被告らの主張)」のとおりである。 イ依拠について 以下のとおり,被告商品の販売に至る経緯(後記 品と被告商品の形態が実質的に同一とはいえない。具体的には,別紙「商品形態の具体的比較(被告らの主張)」のとおりである。 イ依拠について 以下のとおり,被告商品の販売に至る経緯(後記(4)も参照)や原告商品へのアクセスの機会がなかったことによれば,原告商品への依拠がないことは明らかである。 (ア) 商品1について原告商品1の基本的形態である,ストレートシルエットの8分袖のワ ンピースをベースとして,襟口及び袖口に刺繍を組み合わせるというデザイン手法を用いた商品は,原告商品1の販売前である平成20年~平成24年にかけて,多数のファッション雑誌に掲載・販売されていた(乙18の1ないし6)。被告らは,これらのデザインが今後の流行になると察知して,同様のデザインを有する被告商品1を中国の問屋街で買 い付け,日本国内で販売したものである。 そして,原告商品1は,100種類以上ある日本の女性向けファッション雑誌において,発行部数も不明な1雑誌(甲11)の掲載記事において紹介されたにすぎず,インターネットによる紹介記事は皆無である。また,原告の店舗は日本国内において48店舗しかなく,そのほと んどが関東地域に集中しており,被告らが被告商品1の販売を開始した当時,被告らの所在地である宮崎には原告の店舗すら存在しなかった。 このような状況において,被告らが原告商品1にアクセスできる余地などなく,模倣の機会がないことは明らかである。 (イ) 商品2ないし4,6について 原告商品2は,雑誌やインターネットにおいて採り上げられてはおら ず,被告らが同商品にアクセスする機会は皆無であった。また,前記(ア)同様,被告らが被告商品2の販売を開始した当時と主張する平成26年においては,被告らの所在地である宮 上げられてはおら ず,被告らが同商品にアクセスする機会は皆無であった。また,前記(ア)同様,被告らが被告商品2の販売を開始した当時と主張する平成26年においては,被告らの所在地である宮崎においては原告の店舗すら存在しなかった。このような状況において,被告らが原告商品2にアクセスできる余地はなく,模倣の機会がないことは明らかである。 被告会社は,原告商品2を知らずに,スカイファースト社に対し,被告商品2のデザインを発注したものであり,被告商品2の形態は原告商品2の形態に依拠したものではない。 また,商品6についても,上記同様であり,被告らにおいて模倣したものではなく,被告会社は,原告商品6を知らずに,スカイファースト 社に対し,被告商品6の元となった商品についてデザインを変更の上,発注したものであり,被告商品6の形態は原告商品6の形態に依拠したものではない。 さらに,商品3,4についても,原告商品3,4が発行部数も不明なわずか1雑誌(甲12)において紹介されていたにすぎない点を除き, 上記同様であり,被告らが模倣したものではない。被告会社は,原告商品3,4を知らずに,スカイファースト社に対し,被告商品3,4の元となった商品についてデザインや配色を変更の上,発注したものであり,被告商品3,4の形態は原告商品3,4の形態に依拠したものではない。 (ウ) 商品5について被告らは,平成25年8月頃,大阪市に本社を有する有限会社S.K.M(以下「SKM 社」という。)から,海外の服飾デザイナーにより発信されたデザイン手法を用いた被告商品5について提案を受けた。被告らは,同商品のデザインが今後の流行になると察知して,同商品を同社から仕 入れ,自社の販売サイトを通じて販売したものである。 たデザイン手法を用いた被告商品5について提案を受けた。被告らは,同商品のデザインが今後の流行になると察知して,同商品を同社から仕 入れ,自社の販売サイトを通じて販売したものである。 また,原告商品5は,発行部数も不明な1雑誌(甲11)の掲載記事において紹介されたにすぎず,インターネットによる紹介記事は皆無である。そして,前記(ア)同様,被告らが被告商品5の販売を開始した当時は,被告らの所在地である宮崎において原告の店舗すら存在しなかった。以上のような状況において,被告らは原告商品5にアクセスできる 余地などなく,模倣の機会がないことは明らかである。 (エ) 商品7について原告商品7は,雑誌やインターネットにおいて採り上げられてはおらず,被告らが原告商品7にアクセスする機会は皆無であった。また,前記(ア)同様,被告らが被告商品7の販売を開始した当時においては,被告 らの所在地である宮崎において原告の店舗すら存在しなかった。 また,オールインワン・サロペットを基本的形態とする商品は,当時の女性向けファッション雑誌に多数掲載されていた(乙28の1ないし6)ことから,被告らは,これらのデザインが今後の流行になると察知して,福岡市に本社をおくセラビ株式会社より提案を受けた被告商品7 を買い付け,日本国内で販売したものである。 以上のような状況において,被告らは原告商品7にアクセスできる余地などなく,模倣の機会がないことは明らかである。 なお,被告商品7は,原告商品7よりも先に日本国内で販売された被告先行商品7をベースとして作られたものである。 (オ) 商品8について原告が原告商品8と実質的に同一である主張する被告商品8は,原告商品8の販売日(平成24年7月10日,甲47)よりも前である平 7をベースとして作られたものである。 (オ) 商品8について原告が原告商品8と実質的に同一である主張する被告商品8は,原告商品8の販売日(平成24年7月10日,甲47)よりも前である平成23年に,既に日本国内において販売されていた(乙30参照)。 したがって,被告商品8は,原告商品8に依拠して作られたものであ ることはあり得ないが,念のため,原告の主張についても反論する。 原告商品8は,数多くの雑誌やインターネットにおいて採り上げられてはおらず,被告らが原告商品8にアクセスする機会は皆無であった。 また,前記(ア)同様,被告らが被告商品8の販売を開始した当時は,被告らの所在地である宮崎においては原告の店舗すら存在しなかった。 原告商品8の特徴部分を備える商品は,当時の女性向けファッション 雑誌に多数掲載されていた(乙32の1ないし7)ことから,被告らは,これらデザインが今後の流行になると察知して,福岡市に本社をおくセラビ株式会社より提案を受けた被告商品8を買い付け,日本国内で販売したものである。 以上のような状況において,被告らは原告商品8にアクセスできる余 地などなく,模倣の機会がないことは明らかである。 (2) 争点(2)(被告会社の故意・過失の有無)について【原告の主張】ア被告会社は,被告商品について,自社企画製造商品である旨を雑誌のインタビューや自身のホームページにおいて宣伝している。 他方で,被告商品は,原告商品と細部に至るまで一致しており,被告会社は,原告商品の糸をほどき,その形状をコピーした型紙を使用して被告商品を製造したと解されるところ,被告会社は,被告商品を企画・製造するに際し,自ら原告商品を模倣し,又は少なくとも製造を請け負っていた第三者に模倣させた どき,その形状をコピーした型紙を使用して被告商品を製造したと解されるところ,被告会社は,被告商品を企画・製造するに際し,自ら原告商品を模倣し,又は少なくとも製造を請け負っていた第三者に模倣させたものと解される。 イ原告商品は,雑誌やテレビ,インターネットで多数採り上げられており,被告会社は,原告商品の模倣商品である被告商品を販売するに際して,原告商品の存在を知っていたか,少なくとも容易に知り得たはずであった。 また,被告会社は,業務上,オケージョンドレスのリーディングカンパニーであり,代表的競合企業である原告の商品分析を当然に行っているものと 解される。 ウ被告会社が,原告商品を模倣した商品を少なくとも8商品も販売していたという事実そのものから,被告会社が故意に模倣していたものといえる。 エ以上によれば,被告会社は,被告商品が原告商品と実質的に同一の模倣商品であることを知っていたか,又は容易に認識し得たものであり,被告会社には悪意又は少なくとも重過失がある。 【被告らの主張】ア被告会社は,被告商品を自ら企画・製造していない。被告商品は,被告会社が中国の広州で買い付けた商品である。 イ通常は,「オケージョンドレス」ではなく「パーティードレス」と表現するところ,「パーティードレス」で検索した場合に原告のブランドである「GRACE CONTINENTAL」は,検索サイト「google」「yahoo!」でも上記に表示されない。 また,パーティードレスを取り扱う会社は多数に上り,その商品数も極めて膨大であるところ,被告会社がその膨大な商品を全て把握することはできず,原告商品の存在も容易に知り得なかった。 原告商品1ないし4,7,8に関連する商品については,被告会社以外の も極めて膨大であるところ,被告会社がその膨大な商品を全て把握することはできず,原告商品の存在も容易に知り得なかった。 原告商品1ないし4,7,8に関連する商品については,被告会社以外の 多くのメーカーからも多数販売されており(乙18の1ないし6,乙21の1ないし3,乙23,乙29の1ないし7),このようなありふれた形態についてまで逐一調査しなければならないとするのは相当ではない。また,被告会社が第三者から被告商品を仕入れる際に,その商品形態について先行者がいるか否かを調査しなければならないとするのは現実的ではない。 ウ被告会社は,ドレスだけでも常時300品程度販売している。仮に,そのうちの8商品が原告商品に似通っていたとしても,被告会社が,原告商品をターゲットにして故意に模倣していたとはいえない。 エ以上のとおり,被告会社には,故意・過失はない。 (3) 争点(3)(除斥期間の起算日)について 【被告らの主張】 ア法19条1項5号イ所定の「最初に販売された日」の「販売」とは,利益を得る目的をもってする有償譲渡をいうが,必ずしも一般の取引市場を通じての販売に限るものではない。「最初に販売された日」とは,商品の形態が確認できる状態での販売のための広告活動や営業活動を開始した日をいうものである。 そして,アパレル業界においては,新商品の発表及び受注受付のための展示会が開催されることが通常である。当該展示会においては受注も行われているところ,展示会開催日において,商品形態が確認できる形で販売活動が行われ,投下資本の回収に着手したものといえるから,遅くとも展示会開催日が「最初に販売された日」に該当する。 イ原告は,1年間に4回の展示会を開催しており,毎年10月に春夏物(以下「S 行われ,投下資本の回収に着手したものといえるから,遅くとも展示会開催日が「最初に販売された日」に該当する。 イ原告は,1年間に4回の展示会を開催しており,毎年10月に春夏物(以下「SS」という。)の第1弾展示会を,1月頃にSS の第2弾展示会を,4月頃に秋冬物(以下「AW」という。)の第1弾展示会を,7月頃にAW の第2弾展示会を,それぞれ行っている。 そして,原告は,展示会において受注しており,同受注後,実際に商品が 届くまでの期間は約2か月である。注文者への商品到着時期は,原告における一般需要者への販売時期とほぼ重複するか,それよりも少し前であるといえる。 他方で,原告が主張する原告商品の販売開始日は,いずれも一般消費者販売時期とほぼ重複している(原告商品6のみ異なるが,同商品の販売開始日 に関する原告の主張は虚偽である可能性がある。)。 ウ原告主張の販売開始日は,一般需要者向け販売開始日であるという点で問題があることに加え,少なくとも原告商品1及び6については,その一般需要者向け販売開始日すら誤っている可能性が高い。 原告商品の販売開始日及び法19条1項5号イが適用されない期間は,以 下のとおりとなる。 販売開始日除斥期間経過前の期間(ア) 原告商品1 平成24年4月16日頃平成27年4月16日頃以前(イ) 原告商品2 平成26年7月頃平成29年7月頃以前(ウ) 原告商品3・4 平成25年7月頃平成28年7月頃以前(エ) 原告商品5 平成24年10月23日平成27年10月23日以前 (オ) 原告商品6 平成24年1月26日頃平成27年1月26日頃以前(カ) 原告商品7 平成25年10月頃平成28 原告商品5 平成24年10月23日平成27年10月23日以前 (オ) 原告商品6 平成24年1月26日頃平成27年1月26日頃以前(カ) 原告商品7 平成25年10月頃平成28年10月頃以前(キ) 原告商品8 平成24年4月頃平成27年4月頃以前【原告の主張】法19条1項5号イ所定の「最初に販売された日」とは,「開発,商品化を 完了し,販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかとなった時」であり,投下資本回収が始まった時点,すなわち商品を最初に市場に出荷した時点と解される。 そして,原告商品については,原告各店舗への倉庫からの初回出荷日が,上記「最初に販売された日」であり,具体的には,原告商品1につき平成24年 7月19日,原告商品2につき平成26年10月23日,原告商品3及び4につき平成25年10月8日,原告商品5につき平成25年1月28日,原告商品6につき平成24年5月25日,原告商品7につき平成25年12月19日,原告商品8につき平成24年7月10日である。 確かに,原告は,シーズンごとに展示会を開催し,同展示会で,一部の商品 については取引先との商談を受け付けており,各原告商品が展示会に出展されていたことが確認された。同展示会の開催月は,原告商品1につき平成24年4月,原告商品2につき平成26年7月,原告商品3及び4につき平成25年7月,原告商品5につき平成24年10月,原告商品6につき平成24年1月,原告商品7につき平成25年10月である。 もっとも,原告が,各原告商品を展示会において出展していたとしても,被 告会社の各被告商品の販売が原告の権利を侵害しないことになるものではない。また,仮に展示会における出展時が販売開始時期となるとしても,原告 原告商品を展示会において出展していたとしても,被 告会社の各被告商品の販売が原告の権利を侵害しないことになるものではない。また,仮に展示会における出展時が販売開始時期となるとしても,原告が「最初に販売された日」としていた,原告各店舗への倉庫からの初回出荷日と,展示会の開催日は,そのほとんどが2~3か月程度しか異ならず,本件における結論に有意な差が出るものではない。 (4) 争点(4)(被告会社が善意無重過失の転得者に当たるか)について【被告らの主張】被告会社は,被告商品1ないし7を善意無重過失で譲り受けた者であるから,その販売行為は不正競争に該当しない(法19条1項5号ロ)。 ア以下のとおり,被告会社は,被告商品を中国の広州で買い付けたものであ り,被告商品の転得者である。 被告会社は,CareyIndustrialCo.,LTD(以下「キャリー社」という。)を通じて広服貿易にあった被告商品1のサンプルについて,何らのデザイン変更も要望せずに発注を行った。 また,被告会社は,SKM 社から被告商品5を仕入れた(甲5の4)。 さらに,被告会社は,TinaFashionLounge(以下「ティナファッションラウンジ社」という。)を通じてスカイファースト社(同社の商社部門は,現在,上記ティナファッションラウンジ社となっている。)にあった被告商品2,3,4及び6の原型となる商品サンプルに適宜若干のデザイン変更を要望した上で,発注を行った。 さらに,被告会社は,スカイファースト社に,セラビ株式会社が販売していた商品を持ち込み,スカイファースト社と協議しながらこれに大幅なデザイン変更を行った上で,ティナファッションラウンジ社を通じてスカイファースト社から被告商品7を仕入れた。 したがっ 社が販売していた商品を持ち込み,スカイファースト社と協議しながらこれに大幅なデザイン変更を行った上で,ティナファッションラウンジ社を通じてスカイファースト社から被告商品7を仕入れた。 したがって,被告会社は,被告商品1ないし7について,キャリー社,S KM社及びティナファッションラウンジ社からこれらを「譲り受けた者」で ある。 確かに,被告商品1,2,3,4及び6について,被告会社が表示者であることを示すタグが縫製されているが,アパレル業界においては,一定数量以上の発注を行った場合に,受注者が製造する商品において発注者のタグを付することは一般的に行われており(乙223~225),本件でも,それ と同様に,被告会社のタグが付されたものである。 また,被告会社がSKM 社から被告商品5を譲り受けた者に該当することは,そのタグに「SKM」と記載されていること(甲5の4)から明らかである。 被告らは,被告商品7について,乙92の4頁記載の商品における「バストトップスからの切り替え」及び乙93記載のトップスから同様の着想を得 るとともに,乙92の4頁記載の商品の切り替え上部分のシースルーという透け感のある素材から,これに代わるレースという素材を用いるという着想を得たものである。 また,被告会社が4か月間に新規取扱を始める商品は150種類を超えており,同社が被告商品1の販売を開始した平成25年9月から,被告商品2 の販売を開始した平成27年5月の約2年10か月の間には,約1300種類もの新商品が販売されていたこととなるが,仮にこのうち7商品が原告商品の形態と実質的同一であったとしても,同事実をもって,直ちに被告会社が原告商品を模倣したとの結論を導くことはできない。 被告会社が,被告商品1(甲36),被告商 なるが,仮にこのうち7商品が原告商品の形態と実質的同一であったとしても,同事実をもって,直ちに被告会社が原告商品を模倣したとの結論を導くことはできない。 被告会社が,被告商品1(甲36),被告商品2(甲37の1),被告商品 3(甲37の2),被告商品8(甲37の3)についてオリジナルドレスである旨の宣伝を行ったのは,単なる宣伝文句であって,被告会社がこれらの商品の製造主体ではない事実に変わりはない。 また,被告会社のホームページには,「お呼ばれ関連の商材卸」とも記載しており,必ずしも企画や製造だけを行っていると記載してはいない(甲10)。 さらに,被告商品と同型の商品が被告会社とは無関係に出回っていること (被告商品1につき乙18,被告商品3・4につき乙23,被告商品7につき乙29等参照)は,被告会社が製造委託したものでないことを示すものである。 イ仮に被告商品1ないし7が法2条1項3号の商品に当たるとしても,被告会社は同事実につき善意無重過失であった。 上記「重過失」の有無を判断するに当たっては,①譲渡人等取引関与者や商品自体の態様,②譲受人の調査能力,③模倣された商品へのアクセスの容易性などの要素を検討して判断すべきである。 まず,商品1及び5について,被告会社は,その従業員数からすると十分な調査を被告代表者において行い,これまで取引実績のある信頼できるキャ リー社を通じて信頼に足る広服貿易から被告商品1を仕入れ,また大手企業等とも取引があるとする国内メーカーより被告商品5を仕入れたものである一方,原告商品1及び5は,それぞれ被告商品1及び5の仕入当時には既にセールで売り切る状態にあった上,そのデザインは従来品にもよくある態様のものであり(原告商品1につき乙19の6及び7,37ないし4 一方,原告商品1及び5は,それぞれ被告商品1及び5の仕入当時には既にセールで売り切る状態にあった上,そのデザインは従来品にもよくある態様のものであり(原告商品1につき乙19の6及び7,37ないし40,4 4,45,49ないし54,74ないし77参照,原告商品5につき乙24,25参照),また原告商品1及び5の販売数はそれぞれ1000点を下回り,その宣伝広告もわずか1誌にごく小さな写真が掲載されただけであるから,本件において,被告会社が取引上当然に払うべき通常の注意義務を尽くせば容易にそれがデッドコピー商品であることを知ることができたのにその義 務を著しく怠ったものではなく,悪意の場合とほぼ同視できるものでもない。 さらに,商品2ないし4,6,7については,被告会社は,その従業員数からすると十分すぎる調査を被告代表者において行い,これまで取引実績のある信頼できるティナファッションラウンジ社及びスカイファースト社から被告商品2ないし4,6及び7を仕入れた一方,原告商品6は,被告商品 6の仕入当時には既にセールで売り切る状態にあった上,原告商品2ないし 4,6及び7のデザインは従来品にもよくある態様のものであって(被告商品3及び4のような,薄手の生地のミニ丈のタンクドレス,花びらとして形作った大型の花モチーフ(被告商品3のみ),アシンメトリーなフラウンスによるティアードシルエットを合わせたデザインの先行商品は,少なくとも1点存在した(乙78の1及び2)。),その販売数は,被告商品の仕入時 において,少ないもので●(省略)●点(被告商品2),多いもので●(省略)●点(被告商品3・4)にすぎず,その宣伝広告も,多いものでも1誌に掲載されたにすぎなかったから,本件において,被告会社が取引上当然に払うべき通常の注意 略)●点(被告商品2),多いもので●(省略)●点(被告商品3・4)にすぎず,その宣伝広告も,多いものでも1誌に掲載されたにすぎなかったから,本件において,被告会社が取引上当然に払うべき通常の注意義務を尽くせば容易にそれがデッドコピー商品であることを知ることができたのにその義務を著しく怠ったものではなく,悪意の 場合とほぼ同視できるものでもない。 さらに,中国の工場の企画・制作に係るものであるからこそ,その他多数の第三者においても同型の商品が販売されているのである。 そして,被告会社は宮崎県の会社である(被告会社の東京オフィスは,平成27年10月頃に設けたものであって,被告商品1~8の譲渡を受けた時 期には存在しなかった。)ところ,原告は宮崎県に店舗を有せず,被告商品を譲り受けたときに被告会社が原告商品の存在を知り得なかったのは当然である。 また,被告会社は,小規模な非公開会社であるところ,特許庁等における登録による公示等がない商品の形態について調査することはおよそ不可能 である。 さらに,「オケージョンドレス」等という言葉は一般的ではなく,この種の商品を検索する場合,「パーティードレス」「結婚式ワンピース」などのキーワードで検索することが通常である。そして,これらのキーワードでGoogle 検索をかけた場合,少なくとも原告のブランド名は1頁目に表示され ない。この検索結果からすれば,原告の「リーディングカンパニー」性や「著 名」性が基礎づけられることはない。 したがって,少なくとも被告会社が原告から「警告書」と題する書面を受領した平成27年7月6日以前においては,被告会社に故意・重過失は存在しない。 【原告の主張】 ア被告会社は,被告商品の転得者には当たらない。 すなわち,被告 「警告書」と題する書面を受領した平成27年7月6日以前においては,被告会社に故意・重過失は存在しない。 【原告の主張】 ア被告会社は,被告商品の転得者には当たらない。 すなわち,被告会社は,被告商品について「オリジナルドレス」である旨わざわざ標記する等,被告商品が被告会社の企画制作に係るものである旨宣伝していることからすれば,被告会社は被告商品の模倣者そのものであり,転得者などではない。また,被告会社のホームページにおける記載(事業内 容として「ファッション関連の企画・製造,ブランド構築」とされている。)等からしても,同社が,自社において商品を製造していることが裏付けられる。 被告会社は,多数の第三者において同型の商品が販売されていることに関して,「第三者により販売されている同型の商品が,被告商品と同一の商品 であること」や,「これらの第三者の仕入先の工場が被告会社の仕入先と同一の仕入先の工場と同一であること」を主張立証していない。 なお,被告商品1ないし4,6には「(株)オフィスカワノ」と記載されたタグが取り付けられている。同タグは,その縫付け態様からも分かるとおり,縫製段階から取り付けられていたことが明らかであり,被告会社が第三者か ら商品を購入したのではなく,被告会社の指示の下,第三者が被告商品を製造していたことを推認させる事情である。 他方で,被告商品5の商品タグは「有限会社S.K.M」となっているが,OEMやODM で商品を製造させていた可能性に鑑みれば,商品タグの記載をもって,被告会社が当該商品の製造に関与した事実が否定されるものでもない。 仮に,中国の工場が製造行為そのものを行っていたとしても,被告会社は, 中国の工場を手足として使用していたにすぎず,被告会社は被告商 の製造に関与した事実が否定されるものでもない。 仮に,中国の工場が製造行為そのものを行っていたとしても,被告会社は, 中国の工場を手足として使用していたにすぎず,被告会社は被告商品の輸入者ではなく,実質的製造者であると合理的に解される。 なお,被告らは,被告商品2ないし4及び6について,スカイファースト社に対して原型となる商品を持ち込んだ上で,改変を施す指示を与え,スカイファースト社がその指示どおり商品を製造していたことを認めている。 ここで,各被告商品の基となった商品がスカイファースト社の企画商品等であることの裏付けはなく,むしろ,被告会社が7点もの原告商品と形態の実質的同一性を有する商品を販売していることからすれば,当初から被告会社が原告商品を正に「原型となる商品」としてスカイファースト社に持ち込み,これと実質的同一性を有する商品を製造するよう指示していた ものといえる。 また,被告商品7についても,上記同様,被告会社が,スカイファースト社に対して,原型となる商品として原告商品7を示し,これに一定の改変を加えるよう指示して被告商品7を作製させたものと合理的に推認できる。 イ仮に被告会社が転得者であるとされたとしても,被告会社には悪意・重 過失があるといえる。 すなわち,被告会社は自らをパーティードレスの専門店として謳っているが,原告はオケージョンドレスのリーディングカンパニーであり,正に被告会社のようなパーティードレスを扱う業者において最も著名といってよい有名企業である。 また,原告商品のうち雑誌で紹介された商品については,「andGIRL」という20代後半から30代前半をターゲットにした発行部数17万部を誇る著名な雑誌に掲載されている。同雑誌は,正に被告会社がターゲットとす のうち雑誌で紹介された商品については,「andGIRL」という20代後半から30代前半をターゲットにした発行部数17万部を誇る著名な雑誌に掲載されている。同雑誌は,正に被告会社がターゲットとする年代に向けた雑誌であり,被告会社がしばしば広告を掲載する「美人百花」と同一の年代をターゲットにし,これら2誌のみが特に並列して紹 介されることもある。「美人百花」に商品を掲載するアパレル業者が「and GIRL」をチェックしないなどということは想定できない。 さらに,原告の店舗は,北海道から九州まで全国48店舗に上り,九州にも複数店舗が存在し,九州でも原告店舗にアクセスすることが可能である。 しかも,アパレル事業者の当然の業務として,競合商品が豊富に集まる東京等の大都市に被告Aや被告会社の関係者が定期的に赴き,競業商品を チェックすると考えられ,現に被告会社は東京にオフィスを設けているから,被告会社がおよそ原告商品について知り得ないことはない。 仮に被告会社が原告商品を知らなかったとしても,パーティードレス業界において最も著名な企業の一つである原告の製造販売する商品については,これが著名雑誌に掲載され,アクセスも容易な原告の店舗において実 売されていること,原告のホームページ上には原告商品の形態を感得することが十分に可能な程度に詳細な商品情報が掲載されていたことも併せ考えれば,原告商品の形態を極めて容易に知り得たものであり,被告会社が模倣品を製造販売しないように注意義務を尽くしたとはいえない以上,被告会社には重過失が認められる。 さらに,被告会社は,原告商品の模倣品を1点のみならず,少なくとも7点も販売していることからしても,被告会社には悪意・重過失があるといえる。 (5) 争点(5)(原告の損害額 められる。 さらに,被告会社は,原告商品の模倣品を1点のみならず,少なくとも7点も販売していることからしても,被告会社には悪意・重過失があるといえる。 (5) 争点(5)(原告の損害額)について【原告の主張】 ア法5条1項の適用以下のとおり,原告は,被告会社における譲渡数量分に係る「販売その他の行為を行う能力」を有しているから,法5条1項本文が適用される。 被侵害商品の販売がいったん終了した後であっても,被侵害者において被侵害商品を再度製造・販売することが不可能であったという事情がない限り, 被侵害者において被侵害商品を販売する可能性はあり,再度販売を行う可能 性がある以上,被侵害者には損害が発生している。 そして,原告商品1及び6は,オケージョンドレスというシーズンレスな商品であり,商品サイクルが長く,一見商品の販売が途絶えたように見える期間でも,原告商品の販売が終了したわけではない。 いずれの原告商品も,被告会社が主張する各被告商品の販売開始時期(た だし,乙102は信用性に欠け,この点に関する主張自体,正確性には疑問が残る。)において,まだ販売中又は少なくとも店頭に在庫が置かれていた(インターネットでの販売も含む。)ものである。 原告は,全国に48店舗を有し,また,自社ホームページや楽天等複数の直営インターネットサイトでの販売も行っている。そして,原告の売上高(販 売委託料を除く。)は,平成27年度決算においては●(省略)●億円,平成28年度においても●(省略)●億円に上り,被告会社の営業規模を大きく上回る。このような企業規模において婦人服の製造・販売を行っている原告の現状に鑑みれば,平成25年9月から平成28年9月までの間, 28年度においても●(省略)●億円に上り,被告会社の営業規模を大きく上回る。このような企業規模において婦人服の製造・販売を行っている原告の現状に鑑みれば,平成25年9月から平成28年9月までの間,合計1万6000枚程度であれば,原告の現在の生産・販売体制であったとしても十 分に追加製造・販売を行うことが可能である。 イ被告商品の販売数量各原告商品の保護期間内における各被告商品の販売枚数は,被告らが提出した証拠(乙219ないし222)及びその他の証拠並びに送付嘱託により得られた資料,被告らの自白等を基にすれば,少なくとも別紙「原告主張の 被告商品の販売枚数」記載の枚数を下回ることはない。 なお,原告は,被告らが主張する販売枚数と,文書送付嘱託の結果に基づく枚数を比較し,後者が多い場合には,後者を採用した上で修正を加えた。 また,乙219ないし222記載の枚数が最も多い場合には,その枚数に修正を加えた。さらに,被告らが訂正した楽天市場における販売枚数が最も多 い場合には,同枚数を採用した上で修正を加えた。加えて,以上の修正後に 集計した数値と被告らが自白した枚数を比較し,自白した枚数が集計した数値よりも多い場合には,自白した枚数を採用した。 被告らが提出した乙154ないし160は,相手方のメールアドレスすら不明であって,信用性に疑義がある。現に,被告らは,乙154ないし160に基づき立証する被告商品の販売枚数について,後にサイト運営会社から 大幅に異なる枚数が開示されたことを受けて,販売枚数の訂正を複数回行うなどしている。以上からすると,乙154の販売枚数に従うことがより真実に合致するものではなく,原告が行った甲137(文書送付嘱託の結果)に基づく枚数の計算をベースにしつつ,その他の証拠を参 数回行うなどしている。以上からすると,乙154の販売枚数に従うことがより真実に合致するものではなく,原告が行った甲137(文書送付嘱託の結果)に基づく枚数の計算をベースにしつつ,その他の証拠を参考にして枚数を算出する原告主張の方法が適切である。 また,被告らは,Wowma!(旧DeNA)における販売枚数について,乙160における被告商品1の販売枚数を,単純に36か月で除して月次平均販売枚数を算出し,これに被告会社の販売期間を乗じて販売枚数を算出しているが,これは,被告会社が同商品を販売していないと主張する期間についても,その後の期間と同様に同商品を販売しているという前提に立つ計算方法であ り,誤りである。 ウ原告の限界利益額(ア) 原告商品の販売に必要となる経費等原告商品は,原告の国内・海外の委託先製造工場にて製造された後,株式会社柿本プレス(以下「柿本プレス」という。)の日本所在の倉庫に全て 納品される。 なお,「仕上げ」(下げ札や値札の取付け,糊付け,アイロンがけ等)は,海外製造工場で行われる場合と,日本(柿本プレス)で行われる場合とがある。柿本プレスにて各商品について検品し,「仕上げ」が行われていない場合には「仕上げ」を施した上で,原告からの出荷指示に基づき,同社か ら原告各店舗等に配送され,各店舗等で販売されることになる。 原告商品の製造原価には,柿本プレスの日本所在の倉庫・作業場までの輸入費用,配送費も含まれる。 「仕上げ」が日本(柿本プレス)で行われる場合には,1枚当たりの「仕上げ」の費用は,下げ札,値札及びワンピース仕上げ代を合算した金額であり,原告商品1ないし6では●(省略)●円,原告商品7では●(省略) ●円となる。 また,原告商品は, は,1枚当たりの「仕上げ」の費用は,下げ札,値札及びワンピース仕上げ代を合算した金額であり,原告商品1ないし6では●(省略)●円,原告商品7では●(省略) ●円となる。 また,原告商品は,柿本プレスから原告各店舗等に配送されることになるが,その際,段ボール箱(単価●(省略)●円)にワンピースを20着ほど詰めて送付することが通例である。 原告は,柿本プレスから各店舗等までの配送につき,佐川急便とヤマト 運輸に委託をしており,具体的な配送料はそれぞれ異なるが,平均すると,段ボール1箱当たりの平均単価が●(省略)●円であった。 また,原告は,柿本プレスに対し,原告商品の検品や出荷作業に係る諸手続きを委託する手数料として,1枚当たり●(省略)●円を支払っている。 さらに,原告は,店舗での商品の販売に際し,原告商品1枚ごとにハンガーカバーをかけ,また顧客が購入した際には商品をショッピングバッグに入れて渡すことにしている。まず,ハンガーカバー代として,1300サイズ(大きいもの,単価●(省略)●円)で計算すると,1枚当たり●(省略)●円となり,ショッピングバッグ代について,Mサイズ(単価● (省略)●円)とすると,1枚当たり●(省略)●円となる。 (イ) 原告商品の限界利益の具体的計算原告商品の単位数量当たりの利益は,①「1枚当たりの販売単価」から変動経費を差し引き,消費税を付加して計算する。 そして,原告商品における変動経費としては,製造段階から国内保管倉 庫までの間に発生する変動経費である②「製造原価」,国内保管倉庫搬入 後販売までの間に発生する変動経費である③-1「仕上げ代工賃」,③-2「配送用段ボール代金」,③-3「国内配送費」,③-4「検品・配送手数料」,顧客への販売時に発 価」,国内保管倉庫搬入 後販売までの間に発生する変動経費である③-1「仕上げ代工賃」,③-2「配送用段ボール代金」,③-3「国内配送費」,③-4「検品・配送手数料」,顧客への販売時に発生する④「販売資材代(ショッピングバッグ代・ハンガーカバー代)」,及び家主やインターネットサイト運営会社に支払う⑤「販売手数料等」がある。 原告商品は,いずれも長期にわたり販売される定番商品であるところ,いったん値下げして販売したとしても,その後定価での販売が行われることが当初から予定されており,漸次値下がりするという性質を有する商品ではない。よって,本件において「利益の額」を検討する際には,当該侵害行為開始時点の値引き価格を基準とするのは相当ではなく,原告商品の 総売上額を総販売数で除した平均売価をもって基準とすべきである。 そもそも,被告らは,各被告商品の販売開始時期について立証を尽くしておらず(乙102は被告会社の内部資料にすぎず,何ら裏付けがない。),「侵害行為開始時」が不明であるところ,実際の販売開始時期は被告ら主張時期より早い可能性があり,「侵害行為開始時点のセール価格」なる主 張の前提自体が架空の想定である。 さらに,原告商品1,3ないし6については,複数の商品番号が存在するが,これは,原告内部の商品管理において,商品番号を変更する必要が生じたためにすぎず,商品番号が異なっても商品としては全く同一である。 製造原価については,原告商品ごとに異なるが,原告商品1,3,4に ついては工賃(製品),ネーム代,その他(運賃)から構成され,原告商品2,7については工賃,生地代,グレーディング代,ネーム代,その他(サンプル,運賃),プレス代(原告商品7のみ)から構成され,原告商品5につい 製品),ネーム代,その他(運賃)から構成され,原告商品2,7については工賃,生地代,グレーディング代,ネーム代,その他(サンプル,運賃),プレス代(原告商品7のみ)から構成され,原告商品5については工賃(製品),支給付属,仕上げ代から構成され,原告商品6については工賃,生地代,付属品代,加工代,グレーディング代,ネーム代, その他(サンプル,運賃)から構成される。具体的には,原告商品1につ き●(省略)●円,原告商品2につき●(省略)●円,原告商品3及び4につき●(省略)●円,原告商品5につき●(省略)●円,原告商品6につき●(省略)●円,原告商品7につき●(省略)●円である。 また,仕上げ工賃は●(省略)●円/枚(原告商品7のみ●(省略)●円/枚),配送用段ボール代は●(省略)●円/枚,配送費は●(省略)● 円/枚,手数料は●(省略)●円/枚,ショッピングバッグ代等は●(省略)●円/枚である(仕上げ工賃を除き,全ての原告商品に共通である)。 なお,仕上げ工賃及び配送用段ボール代に関して,甲127ないし129は,原告商品1ないし7の販売開始時から現在まで,同一の取引を継続して行っている業者との取引資料であり,単価が大きく変動する事情もな いから,証拠力が高いものである。そもそも,近時の人件費・輸送費・物価高の影響を受け,取引単価は暫時高くなる方向にある。 また,検品・配送手数料については甲127の「出荷」欄の単価の記載から,販売資材代(ショッピングバッグ代,ハンガーカバー代)についても甲129から明らかである。国内配送費用についても,平成29年3月 の実績に基づいて算出している。 さらに,原告の総売上は,ほぼ原告商品1ないし7と同様に販売委託料等の支払が発生する 29から明らかである。国内配送費用についても,平成29年3月 の実績に基づいて算出している。 さらに,原告の総売上は,ほぼ原告商品1ないし7と同様に販売委託料等の支払が発生する売上であるところ,全売上に占める販売委託料等の料率をもって,原告商品1ないし7の販売委託料の料率と考えるのが相当である。 そして,原告において売上により変動する可能性がある販売委託料的な性格を有する費用は,販売委託手数料,業務委託費,店舗家賃の3つであり,原告の平成27年3月から平成29年2月までの2年間の売上高は●(省略)●円であり,同期間の販売委託料等は合計●(省略)●円であるところ,同期間の平均販売委託料率は●(省略)●%となる。 また,原告の単位数量当たりの利益を計算するに当たっては消費税を加 算すべきである。そして,加算する消費税の税率については,訴訟の円滑な進行を図るべく,本来8%とすべきものも含めて,一律5%として主張する。 なお,原告商品を追加販売するに当たり,広告を行うことは必要でないことからすれば,広告費用は控除すべき費用に該当しない。 以上を前提にして,原告商品ごとの原告の限界利益については,別紙「原告主張の原告の限界利益及び損害額」の「単位数量当たりの利益(消費税率5%)」欄記載のとおりである。 エ推定覆滅がないこと(ア) 競合品の存在,市場シェア 被告会社は,原告の楽天市場における販売がPePTOMIYA のみで行われているとの前提に立ち,楽天市場でのPePTOMIYAの市場シェアが低いとして,原告に「販売することができないとする事情」が存すると主張する。 しかし,被告らによるシェアの比較は,そもそも被告会社と原告卸売先との比較であっ 市場でのPePTOMIYAの市場シェアが低いとして,原告に「販売することができないとする事情」が存すると主張する。 しかし,被告らによるシェアの比較は,そもそも被告会社と原告卸売先との比較であって,被告会社と原告の比較ですらなく,無意味である。こ の点を措くとしても,原告には,楽天市場において,PePTOMIYA 以外にも卸売先業者がいる。したがって, PePTOMIYA の楽天市場におけるシェアをもって,原告の楽天市場におけるシェアとはいえず,また,この点に関する証拠(乙168)にはそもそも証明力がない。さらに,市場シェアを考える場合,楽天市場における市場シェアだけを考えるのは相当ではない。 そもそも,インターネット販売は,原告の商品販売における一つのチャネルにすぎず,楽天市場は,その中のさらに細分化されたチャネルの一つにすぎず,楽天市場のシェアをもって「市場シェア」などということ自体失当である。また,楽天市場における市場シェアが全市場で共通すること自体あり得ない。 さらに,被告商品の販売枚数のうち,原告の市場シェアを超える割合部 分について「販売することができないとする事情」があるとする根拠はない。すなわち,被告らは,被告商品と,被告らの主張する「市場」において供給されるおよそ全ての商品は代替可能である,との前提に立っているが,需要者が商品を選ぶに当たり,最も重視する要素は商品の形態であり,同一需要者に幅広い価格帯の商品需要があり,原告商品と被告商品の需要 層が一致することに鑑みると,被告商品がなければ当然に原告商品の需要が喚起されることになり,被告らの上記主張はその前提を欠く。 また,類似品として被告らが列挙する各商品のうち,一部(原告商品1につき乙18の5及び6,原告商品2につき乙21 れば当然に原告商品の需要が喚起されることになり,被告らの上記主張はその前提を欠く。 また,類似品として被告らが列挙する各商品のうち,一部(原告商品1につき乙18の5及び6,原告商品2につき乙21の1,原告商品4につき乙146の1及び2)はデザインが明らかに異なり,そもそも類似品と はいえない。 そして,乙87記載の商品が保護期間中に販売されていたことの立証がない上,同商品(その他の類似品)はいずれも原告商品の形態を模倣した商品である疑いが濃厚であるところ,そのような形態模倣商品は市場で販売することが許されないものであるから,それらの類似品が存在すること をもって,原告が原告商品の販売量の全部又は一部を販売することができなかった事情が存するといえるものではない。 したがって,本件において,類似品の存在を理由として,各原告商品の販売数の全部又は一部に相当する数量を販売することができない事情があるとすることはできない。 (イ) 営業努力被告会社の卸売先業者が原告商品の取扱いにつき物理的又は法的に不可能であるといった事情は皆無であり,単に原告と被告会社の卸売先事業者が異なることが「販売することができないとする事情」に該当するものではない。 また,原告に「販売することができないとする事情」が認められるよう な被告会社の広告宣伝とは,その宣伝広告により被告商品のフリーライドが否定されるような場合,すなわち,商品自体の訴求力及び原告による宣伝広告効果と被告商品の販売との間に因果関係がなくなる程度に独自の宣伝広告を行ったといい得る場合に限定される。 原告は,宣伝広告費に例年コンスタントに2億円以上を投入しており, 著名人が,地上波民間放送の人気番組や,人気雑誌において,原告商品を多数着用してお 伝広告を行ったといい得る場合に限定される。 原告は,宣伝広告費に例年コンスタントに2億円以上を投入しており, 著名人が,地上波民間放送の人気番組や,人気雑誌において,原告商品を多数着用しており,その宣伝効果は絶大である。また,原告は,インターネットサイトにおける販売対策を講じている。 他方で,被告会社が投下した宣伝広告費用は,原告が投下した宣伝広告費用と比し,極めて低額である上,乙169,乙171に現れるような被 告会社の宣伝広告手法は,極めてありふれた特殊性のないものであり,インターネット販売サイトにおけるごく一般的な宣伝広告手法を超えるものではない。 このように,原告は,被告会社とは比較にならないほど多額の宣伝広告費をかけ,かつ商品の露出も,影響力が強いメディアにおいて,かつ影響 力の大きな着用者が着用している以上,その販促効果は非常に高い。 以上によれば,被告会社が独自に被告商品の需要を喚起したとはいえず,被告会社の宣伝広告によっても,商品自体の訴求力及び原告による宣伝広告効果と被告商品の販売との間に因果関係がなくなるとはいえず,原告に「販売することができないとする事情」が認められる余地はない。 なお,宣伝広告に関しては,それが適正妥当なものかも考慮すべきである。被告会社のホームページ(甲37,枝番を含む。)や,楽天株式会社の発行する月刊誌(甲36)における被告Aの発言からして,被告らは,単に模倣の事実を秘するにとどまらず,原告の成果を自らの成果として世に宣伝している。これは,フリーライドの極みであり,このような宣伝広告 は,法の趣旨に著しく反し許されないから,仮に被告会社の宣伝広告と同 社の販売数量の増加に一定の因果関係が認められたとしても,原告が原告商品の販売量の全部又は一部を ような宣伝広告 は,法の趣旨に著しく反し許されないから,仮に被告会社の宣伝広告と同 社の販売数量の増加に一定の因果関係が認められたとしても,原告が原告商品の販売量の全部又は一部を販売することができなかったとする事情とすることは相当ではない。 (ウ) 侵害品の特徴原告商品と被告商品の形態が実質的に同一である以上,需要者に与える 印象が一致することに疑いの余地はなく,これらの商品間にデザインや品質の相違があるとはいえない。 また,サイズは,一つの目安にすぎず,原告商品1ないし7はいずれもデザイン上身体に強くフィットするものではなく,被告商品のXLサイズ,2Lサイズを購入する需要者において,原告商品の38号サイズが代替不 可能であるとはいえない。 そして,原告において,サイズ展開を増やすことが実現可能であったことからすると,被告商品1ないし4,6,7の13号サイズ以上のサイズについて原告に「販売することができないとする事情」が存するものではない。 (エ) 市場の同一性原告は,インターネット販売も多数行っており,また現在においては,特に実店舗とインターネット販売という販売チャネルの違いにより需要者層が異なるなどということはなく,被告会社と原告の間に何ら需要者層の違いはない。 また,婦人衣料という特性上,同一の需要者層において幅広い価格帯の商品について需要がある。そして,雑誌「美人百花」には被告商品も原告商品も掲載されていることからすれば,正に原告商品と被告商品とは同一の需要者層において需要があるといえる。 なお,原告商品と被告商品の正規価格の差は,小さいものでは0.9倍, その他も概ね2倍から3倍程度にすぎず,この程度の価格差をもって客層 が異なるなどとはいえない。 あるといえる。 なお,原告商品と被告商品の正規価格の差は,小さいものでは0.9倍, その他も概ね2倍から3倍程度にすぎず,この程度の価格差をもって客層 が異なるなどとはいえない。 (オ) その他「被告商品1,2,5ないし7の販売時期には被侵害商品たる原告商品が販売されていない」との被告らの主張は誤りである。 すなわち,原告商品は,オケージョンドレス(パーティドレス)という 商品の特性上,シーズンレスな商品であり,いずれも数シーズンにわたり長期間販売されており,原告商品はいずれも販売中又は少なくとも店頭に在庫が置かれていた。 また,被告らが主張する販売時期自体が,楽天株式会社の雑誌(甲36)の記載などと相反することにも鑑みて疑義があるところ,被告会社による 販売時期と重複しないとの主張の前提自体が失当である。 仮に,販売時期が重複しなかったとしても,被侵害者において被侵害商品を再度製造・販売することが不可能でない限り,被侵害者において被侵害商品を販売する可能性が存するのであるから,単に販売時期が重複しなかっただけでは「販売することができないとする事情」があるとはいえな い。 また,原告が最終需要者と卸売業者に対してそれぞれ販売する原告商品の間で何ら差異はない上,原告が卸売業者に対して一定割合の原告商品を販売する義務など存在しない以上,原告が卸売販売を行っている事実から,何らかの「販売することができないとする事情」が導かれることはない。 さらに,単に店舗数と卸売先業者の数の比率をもって,原告の最終需要者向け販売数量と,卸売先業者への販売数量の比率とみなす被告会社の主張は,全く事実と異なり,算定方法としても著しく相当性を欠く。 さらに,単に店舗数と卸売先業者の数の比率をもって,原告の最終需要者向け販売数量と,卸売先業者への販売数量の比率とみなす被告会社の主張は,全く事実と異なり,算定方法としても著しく相当性を欠く。 オ原告の損害額原告の具体的な損害額については,別紙「原告主張の原告の限界利益及び 損害額」の「損害額」欄記載のとおり(法5条1項により推定される損害額 2億6452万8147円及び弁護士費用相当額2645万2815円の合計2億9098万0962円)であるが,その一部である2億6389万9139円につき損害賠償請求を行う。 【被告らの主張】ア法5条1項が適用されないこと 以下の諸事情によれば,原告には,被告会社における譲渡数量分に係る「販売その他の行為を行う能力」がなかったから,本件において,法5条1項本文の適用はない。 (ア) 被告商品1,6の販売開始時期において,原告は既に販売を終了していた原告商品1,6を「販売することができた」とはいえず,原告商品1, 6について「販売することができた物」は存在しない。また,仮に,原告において原告商品1及び6につき販売できたとしても,原告は,被告商品1及び6の販売開始時又はこれに最も近接した時点において,原告商品1につきセール価格で17枚,原告商品6につきセール価格で1枚しか販売した実績しかないため,原告には,同販売分を超えた「販売その他の行為 を行う能力」は存在しない。 さらに,原告は,被告商品1及び7が販売開始される前において,原告商品1及び7につき,月平均で100枚にも満たない販売実績しかなく,最大でも同実績に伴った「販売その他の行為を行う能力」しか存在しない。 (イ) 被告会社は,楽天市場等を通じて,主として最終需要 1及び7につき,月平均で100枚にも満たない販売実績しかなく,最大でも同実績に伴った「販売その他の行為を行う能力」しか存在しない。 (イ) 被告会社は,楽天市場等を通じて,主として最終需要者に対して被告商 品1ないし7を販売していたところ,原告は,自社店舗等における最終需要者に対する販売のみならず,業者に対する卸売も行っており,原告の卸売業者に対する販売割合分については,被告会社における最終需要者に対する販売枚数を販売する能力があったとはいえない。 (ウ) 原告は,被告会社が卸売販売を行った取引先との取引はなかったから, 原告において,当該卸売販売分を販売する能力はなかった。 (エ) 楽天市場におけるドレスの市場シェアに関しては,原告が1.2%,被告会社が●(省略)●%,第三者が●(省略)●%であり,仮に被告会社が市場に存在しなければ原告の楽天市場におけるシェアは1.4%にすぎず,残り98.6%の市場については原告に販売能力がなかった。 また,被告商品1ないし4,6及び7については,他の競合店において これと同様の商品形態及び価格帯の競合品が取り扱われており,当該競合店のシェアは合計●(省略)●%である。仮に被告会社が市場に存在しなければ(その場合,原告の楽天市場におけるシェアは3.1%にすぎない。),上記の被告商品への需要は,当該競合店に向かったことは明らかであり,残り●(省略)●%の市場については,原告に販売能力がなかった。 さらに,楽天市場以外のショッピングモールにおけるドレス市場においても,楽天市場とほぼ同様の市場占有率であると推測できる。 そうすると,被告会社における譲渡数量のうち●(省略)●%分(少なくとも●(省略 外のショッピングモールにおけるドレス市場においても,楽天市場とほぼ同様の市場占有率であると推測できる。 そうすると,被告会社における譲渡数量のうち●(省略)●%分(少なくとも●(省略)●%分)については,法5条1項本文の推定は働かない。 (オ) 被告会社は,●(省略)●被告商品1ないし7について費用を投下して 宣伝広告することにより,被告商品1ないし7を販売したものであり,当該戦略(宣伝広告能力)を有しない原告においては,被告会社の販売数量分について販売する能力があったとはいえない。 (カ) 被告会社は,●(省略)●これに対し,原告は,ファッションに対して強いこだわりを持つ者を対象とした販売を行っている。このように,原告 と被告会社とでは,そもそも対象とする需要者層が全く異なっており,原告においては,比較的ファッションに強いこだわりのない者,ファッション初心者等に向けて販売する能力があったとはいえない。 (キ) 原告,被告会社間では商品のサイズ展開が異なり,少なくとも原告は,原告にないサイズの被告商品1ないし7について販売する能力があった とはいえない。 (ク) 楽天市場においてパーティドレスを購入したことのある需要者に対するアンケート調査によれば,約9割以上の人が,被告商品販売時における原告商品の価格では被告商品を購入しないと回答しており,原告商品・被告商品間には補完関係は存在しない。 イ被告商品の販売数量 被告会社における被告商品1ないし7の販売枚数については,別紙「被告ら主張の被告商品の販売枚数」記載のとおりである。 なお,楽天市場分については,被告会社が運営する通常の販売サイトではない,アーカイブ等を目的としたミラーサイトにおける被告商品1 いては,別紙「被告ら主張の被告商品の販売枚数」記載のとおりである。 なお,楽天市場分については,被告会社が運営する通常の販売サイトではない,アーカイブ等を目的としたミラーサイトにおける被告商品1ないし4,6,7の販売数を加えている。 アマゾンジャパン合同会社からは,対象期間と完全には一致しない期間における販売枚数しか開示されなかったため,被告商品1,4及び6につき,同開示枚数等から,月当たりの平均販売枚数を算出した上で,対象期間における販売枚数を推測した。 同様に,株式会社ディー・エヌ・エーからも,対象期間とは完全には一致 しない期間における販売枚数しか開示されなかったため,被告商品1につき,同開示枚数等から,月当たりの平均販売枚数を算出した上で,対象期間における販売枚数を推測した。 さらに,クルーズ株式会社については,そもそも被告会社が出店を開始したのが平成27年4月であるため,同時点で既に保護期間を経過していた原 告商品1及び6については●(省略)●枚としている。 なお,被告商品2,4及び5の楽天での販売枚数は,乙154で保護期間中の販売枚数が示されているから,同販売枚数に従うのがより真実に合致した結論になる。 原告は,乙154によらず,文書送付嘱託回答書の記載に基づいて販売枚 数について計算すべき旨主張する(同主張は,甲137で示された販売時期 における被告商品の販売数量が,同販売時期以外にも妥当するとの前提に基づくもの)が,被告商品の販売開始当時と販売開始から相当程度期間が経過した後では,その売れ行きに大きな相違が生じること,アパレル製品は気候及び流行によって販売枚数が大きく変動することからすると,原告の上記計算方法では事実に反したものになるおそれが大きく,相当ではない。 後では,その売れ行きに大きな相違が生じること,アパレル製品は気候及び流行によって販売枚数が大きく変動することからすると,原告の上記計算方法では事実に反したものになるおそれが大きく,相当ではない。 また,原告は,乙154及び219,並びに乙156及び220から,いわば虫食い的に被告商品の販売枚数を主張するが,かかる主張は認められない。 さらに,被告らが準備書面(6)において主張した販売枚数について,被告商品6については原告商品6の保護期間外における販売枚数であり,また, 被告商品2及び6のいずれについても留保を付けていたから,被告商品2及び6の販売枚数について被告らの自白は成立していない。 ウ原告の限界利益額(ア) 原告商品の単位数量当たりの利益の額は,その売上げ等に基づいて算出すべきである。また,原告は,卸売販売も行っており,毎シーズンセール を行っているから,原告における原告商品1ないし7の利益額は,単純に正規の市場価格から変動経費を控除することにより算出されるものではない。 原告商品の「単位数量あたりの利益の額」は,次の①~③のいずれかの販売価格から変動費を控除することにより算出されるべきである。 ① 被告商品の販売開始時に既に販売が終了していた商品については被告商品の販売開始時の直前の価格② 被告商品の販売開始時に既にセール価格でしか販売されていなかった商品についてはセール価格③ 被告商品の販売開始時において複数価格で販売されていた場合には,被 告商品販売後における平均販売価格(小数点は第1位を四捨五入する。) そして,原告商品1は,被告商品1の販売開始時において既に販売されていなかったから(甲158の1及び甲164),上記①に基づき算出されるべき 販売価格(小数点は第1位を四捨五入する。) そして,原告商品1は,被告商品1の販売開始時において既に販売されていなかったから(甲158の1及び甲164),上記①に基づき算出されるべきである。 また,原告商品5及び6は,被告商品5及び6の販売開始時においてそれぞれ既にセール価格でしか販売されていなかったから(甲158の4及 び5,並びに甲167甲及び168),上記②に基づき算出されるべきである。 さらに,原告商品2,3,4,7は,被告商品2,3,4,7の販売開始時において複数価格で販売されていたため(被告商品2につき甲158の2,甲165,甲172,被告商品3・4につき,甲158の3,甲16 6,甲173,被告商品7につき甲158の6,甲169,甲176),上記③に基づき算出されるべきである。 そして,それぞれの方法に従って,原告より追加提出された甲164~169(売上データ一覧表)に基づき原告各商品の販売価格を算出すると,原告商品1につき●(省略)●円,原告商品2につき●(省略)●円,原 告商品3につき●(省略)●円,原告商品4につき●(省略)●円,原告商品5につき●(省略)●円,原告商品6につき●(省略)●円,原告商品7につき●(省略)●円となる(全て税抜価格である。)。 したがって,かかる販売価格から変動費を控除することにより,「単位数量当たりの利益の額」を算出すべきである。 なお,「新商品更新リスト」(乙102)は十分に信用性を有し,これに基づく被告商品の販売開始時期に係る被告らの主張も信用性がある。したがって,原告商品は,被告商品の販売開始時期において,既にセール価格で販売されていたものである。 仮に,「単位数量当たりの利益の額」の算 係る被告らの主張も信用性がある。したがって,原告商品は,被告商品の販売開始時期において,既にセール価格で販売されていたものである。 仮に,「単位数量当たりの利益の額」の算出方法に関する原告の主張によっても,同主張に基づき原告が算出する原告商品の平均販売価格には,算出の際に異なる品番のものがカウントされており,誤りがある。 (イ) 原告が主張する原告商品1ないし7に係る製造原価,仕上げ工賃,配送用段ボール代,国内配送費,検品・配送手数料,販売資材代は,いずれも 客観的証拠に乏しく,到底信用できるものではない。 すなわち,原告商品の原価に係る原告の主張は,信用性のない証拠(甲61の2,甲152の1)に基づく主張や,真偽の検証が不能な証拠(発行者にかかる記載がマスキングされた「納品書」,「請求書」,「仕入伝票」等)に基づく主張,証拠の裏付けのない事実(「使用料」及び「当該生産回 における生産枚数」)を基礎とした主張,原価とすべきもの(サンプル代)を原価としていない可能性がある主張,その他立証が不十分な主張(仕上げ工賃,配送用段ボールの費用,国内配送費,検品・配送手数料)であって,到底認められない。 さらに,宣伝広告費用も限界利益の算出においては控除すべきである。 もっとも,原告は,変動費について主張を変遷させているところ,同変遷は不合理であって,原告商品の変動費は,少なくとも同変遷前の数字に基づいて算出されるべきである。 (ウ) なお,「単位数量当たりの利益の額」について消費税等を加算すべき旨の原告の主張は,時機に後れた攻撃防御方法であって,却下されるべきで あるが,この点を措くとしても,原告は,販売価格にのみ消費税等を加算し,変動費について消費税等を加算しておら を加算すべき旨の原告の主張は,時機に後れた攻撃防御方法であって,却下されるべきで あるが,この点を措くとしても,原告は,販売価格にのみ消費税等を加算し,変動費について消費税等を加算しておらず,これは不合理である。 エ推定が覆滅されること本件において,原告には,以下のとおり「販売することができないとする事情」(法5条1項但書)があったものであるから,仮に,本件において法5 条1項本文の推定が働くとしても,その推定は,全ての商品につき約9割以 上は「販売することができないとする事情」として覆滅されるべきである。 (ア) 市場における競合品の存在前記ア(エ)のとおり,被告会社における譲渡数量のうち●(省略)●%(少なくとも●(省略)●%)分については,法5条1項本文の推定は覆滅されるものである。 なお,原告が主張するPePTOMIYA 以外の卸売業者も含めて市場シェア率を再調査したところ,楽天における原告の市場シェア率は5.41%であったから,少なくとも楽天分に係る損害額の94.59%については覆滅されるべきである。 なお,乙191は,市場シェア調査サービスを利用して正当に取得した 信用性のある証拠であって,十分に証明力を有するものである。 また,市場占有率が低い者は,自ずとその占有率の範囲でしか販売能力を有しないと解されるのが通常であって,市場シェアに従って推定が覆滅されるのは当然である。 さらに,楽天市場以外のショッピングモール市場においても,楽天市場 におけるドレス市場とほぼ同様の市場占有率であると推測できるが,少なくとも,楽天以外の市場については,原告以外にパーティードレスを販売する店が多数存在する中で,原告のパーティードレス市場占有率が50%を超えるとは到 とほぼ同様の市場占有率であると推測できるが,少なくとも,楽天以外の市場については,原告以外にパーティードレスを販売する店が多数存在する中で,原告のパーティードレス市場占有率が50%を超えるとは到底考えられない。したがって,楽天市場以外における譲渡数量についても,少なくとも50%が覆滅されることは明らかである。 さらに,原告商品は,いずれも真新しいデザインといえるものではなく,原告商品と似通ったデザインの他社製のドレスが多数販売されている。したがって,被告商品の販売は原告商品の販売に影響しない。 (イ) 営業努力被告会社における卸売販売分に関して,原告は,被告会社が卸売販売を 行った取引先と取引がなかったから,原告において当該卸売販売分を「販 売することができない」ものである。 そして,被告会社は,●(省略)●被告商品1ないし7を訴求すべく,多大なる販売努力(宣伝広告を含む)を行った。このような被告会社の販売努力によって上記商品が販売されたものであり,原告において,これを販売することができたとはいえない。 なお,原告と被告会社とは,規模も販売戦略も全く異なり,それぞれの規模や戦略等に応じて宣伝広告費をかけているから,両者の比較は推定覆滅を検討するに際して意味を持たない。また,乙169及び171に記載されたような被告会社の宣伝広告手法が一般的であることの立証はない。 原告の楽天市場での卸売業者等が,被告会社と比して宣伝広告を行ってい なかったこともあり,楽天市場でのシェアにおいて被告会社と差が生じたといえる。 また,本件商品のようなドレスの一般的な呼称である「パーティードレス」で「google」や「Yahoo!」といった検索サイトで検索した場合,原告のブランドである「GRACECONT といえる。 また,本件商品のようなドレスの一般的な呼称である「パーティードレス」で「google」や「Yahoo!」といった検索サイトで検索した場合,原告のブランドである「GRACECONTINENTAL」よりも,被告会社のブランドであ る「GIRL」の方が上位検索される。このような上位検索については,いわゆるSEO 対策という検索結果上位に表示されるための対策を,コストをかけて行うのが一般的であり,被告会社もコストをかけてSEO 対策を講じている。 このように,被告会社の販売実績は,被告会社の営業努力によるもので あるから,被告商品の販売は原告商品の販売に影響しない。 (ウ) 侵害品の特徴原告商品1ないし7と,被告商品1ないし7には,そのデザイン上需要者の購入意思に大きく影響を与える相違があり,とりわけ後述の商品2及び7では顕著な相違があるほか,商品6についてもネックレスの有無で相 違し,需要者の購入意思に大きな影響を与えた。また,原告商品1ないし 7及び被告商品1ないし7は,黒といった比較的色彩に影響が出にくい色の商品を除き,その色合いは大きく異なっており,このような商品間において代替性は存在しない。 被告商品2では,5通りの着こなしができるのに対し,原告商品2は,レーストップス+ワンピースの1通りの着こなししかできない。そうする と,被告商品2が存在しない場合でも,上記に対応しない着こなしに魅力を感じて被告商品2を購入した需要者は,原告商品2を購入しないから,少なくとも5分の4は,法5条1項に基づく推定を覆滅すべきである。また,被告商品2の需要者には,複数通りの着こなしができることに魅力を感じて同商品を購入した者も存在すると考えられるから,その覆滅は8 0%を超えてな 5条1項に基づく推定を覆滅すべきである。また,被告商品2の需要者には,複数通りの着こなしができることに魅力を感じて同商品を購入した者も存在すると考えられるから,その覆滅は8 0%を超えてなされるべきものである。 また,被告商品7は,背部のフラウンスが臀部を覆う長いもので,ヒップラインを隠せるデザインである点で原告商品7と異なる。そして,少なくとも被告商品7の購入者のうち約5%の者は,かかるデザインを重視して被告商品7を購入したものであるから,原告商品7については,被告商 品7の譲渡数量のうち,少なくとも5%の推定が覆滅される。 さらに,原告・被告会社間においては,商品のサイズ展開が異なっており,原告では13号相当サイズ以上のサイズ展開は行われていないところ,被告商品1ないし4,6及び7には,それぞれ13号サイズ以上のサイズが存在する。そうすると,原告は,原告にないサイズの被告商品について 販売することができない。 (エ) 市場の非同一性原告商品は,●(省略)●円ないし●(省略)●円で販売されているのに対し,被告商品は●(省略)●円ないし●(省略)●円で販売されており,その価格差は,小さいものでも約3.29倍であり,大きいものは約 9.54倍に達する。値段によって購入するかどうかを決定する需要者が ほぼ全てであり,需要者が,値段の高低によって購入の意思決定を大きく左右されることは,楽天市場においてパーティードレスを購入した経験のある需要者に対するアンケート結果(乙212の1ないし3)からも明らかである。裁判例においても,原告商品の価格が被告商品の価格の約3~20倍に当たる場合においては,少なくとも50%の覆滅がされているか ら,本件でも,被告商品1ないし7につき,25ないし50%程度,推定 。裁判例においても,原告商品の価格が被告商品の価格の約3~20倍に当たる場合においては,少なくとも50%の覆滅がされているか ら,本件でも,被告商品1ないし7につき,25ないし50%程度,推定が覆滅されるべきである。 また,被告商品は,原告商品に比してその素材及び縫製等に手間をかけていない。 さらに,原告は,自社店舗,高級デパート等における店頭販売を主軸と するのに対し,被告会社は,楽天市場等のインターネットショッピングモールにおける販売を主軸とする(被告会社の売上での大半は楽天市場である。)結果,原告商品と被告商品の需要者は全く異なる。原告商品の需要者は,高価であっても購入する意欲があり,実物を見た上で自身にフィットするサイズ,色合い等であるかを確認した上で購入するのに対し,被告商 品の需要者は,●(省略)●といった要因によって購入する。実際に商品の色合いや質感等の詳細及び自身の体型へのフィット感等をも確かめられる実店舗と,これを確かめずに購入せざるを得ないインターネット販売において,需要者が異なることは当然である。 このように,原告商品と被告商品とは,販売形態も販売価格も全く異な り,原告商品の客層と被告商品の客層とは全く異なるから,被告商品の販売は原告商品の販売に影響しない。 (オ) その他被告会社が被告商品1,2,5ないし7を販売していたときに,原告は,そのアパレルメーカーとしての一般的性質(シーズンごとに新作を発表し, シーズン終期には同新作をセール等において売り切るという性質)に基づ き,原告商品1,2,5ないし7を販売していなかった。 原告が原告商品の販売を終了した後は,いかに被告会社が被告商品を販売しようとも,原告は原告商品を販売できないから,原 づ き,原告商品1,2,5ないし7を販売していなかった。 原告が原告商品の販売を終了した後は,いかに被告会社が被告商品を販売しようとも,原告は原告商品を販売できないから,原告商品の販売終了後に被告商品の販売が開始されたことについては推定覆滅事由として扱うべきである。 さらに,被告会社は,楽天市場等を通じて,主として最終需要者に対して被告商品を販売していたが,原告は,自社店舗等における最終需要者に対する販売のほか,業者に対する卸売をも行っていた。そうすると,原告における卸売業者に対する販売割合分については,被告会社における最終需要者に対する販売枚数を「販売することができない」ものであった。 そして,原告における卸売販売と最終需要者に対する販売は,27対18の割合と推測されるため,被告会社における被告商品1ないし7の譲渡数量のうち,少なくとも59.4%については「販売することができない」ものであったといえる。 オ原告の損害額 争う。原告の損害額は,別紙「被告ら主張の原告の損害額」記載のとおり,最高でも合計20万9509円である。 (6) 争点(6)(被告Aの責任)について【原告の主張】被告Aは,被告会社の代表取締役であるところ,その任務につき悪意・重過 失がある場合には,これにより第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(会社法429条1項)。 本件において,被告会社は,少なくとも8点の原告商品につき,デッドコピーといって差し支えないほど形態が一致した商品を製造,販売している。 そして,被告Aは,雑誌インタビュー記事において,被告会社がパーティド レスの専門店として,オリジナルドレスの企画製造を行っていること,及び 形態が一致した商品を製造,販売している。 そして,被告Aは,雑誌インタビュー記事において,被告会社がパーティド レスの専門店として,オリジナルドレスの企画製造を行っていること,及び 被告会社の看板商品として被告商品1を紹介し,自ら企画制作したことをことさら強調しており,被告A自身が積極的に模倣行為を行うか,又は少なくとも直接指示を行い,会社ぐるみで法違反の行為を行っていたことは明らかである。 以上から,被告Aは,被告会社の代表取締役として,上記のような違反行為 を行わないよう善良なる管理者として同社を統括すべき義務を負っているにもかかわらず,あえて上記義務に違反し,自ら又は担当者を通じて上記の法違反行為を行わせ,その結果,原告は本来販売できたはずの原告商品を売り上げることができないという損害を被ったものであり,被告Aは,その任務を行うにつき,悪意又は少なくとも重過失があったといえる。したがって,被 告Aは,同人の任務懈怠により原告が被った損害全額につき,これを賠償する責任を負うものである。 【被告らの主張】否認ないし争う。被告商品は,被告会社が中国の広州で買い付けた商品であり,被告会社が企画したものではない。被告Aの雑誌インタビュー記事等 は営業のための表現であり,実際に企画を行うようになったのは平成28年に入ってからである。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(被告商品は原告商品の形態を模倣したものか)について法における「模倣」とは,「他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一 の形態の商品を作り出すこと」を意味する(法2条5項)ところ,本件においては,①客観面である「原告商品と被告商品の形態の実質的同一性」及び②主観面である「依拠」の各要件についていずれも争われてい の形態の商品を作り出すこと」を意味する(法2条5項)ところ,本件においては,①客観面である「原告商品と被告商品の形態の実質的同一性」及び②主観面である「依拠」の各要件についていずれも争われている。 (1) 原告商品1ないし8と被告商品1ないし8(当初から比較対照されていた色彩の商品)の形態の実質的同一性について ア原告商品1(ブラック)と被告商品1(ノーブルブラック)については, 前記第2,1前提事実(5)ア,証拠(甲1,乙55)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として「ストレート・シルエット」(直線的なシルエット,用語の定義については甲60を参考にした。以下同様。)の「8分袖のワンピース」であり,袖口と襟口に幅広のビーズ刺繍が施されている点,ビーズのデザイン,襟口については,少し立ち上がり,横方 向に広めに開きがある点で共通しており,全体的な印象としても酷似しているといえる。したがって,両者の形態は実質的に同一であるというべきである。 被告らは,ビーズ刺繍の幅や配置の違いを強調するが,これらは,極めて注意深い人でなければ気付かない程度の微差にすぎない。さらに,被告らは, 襟を留める部分やショルダーラインの違いについても主張するが,上記の共通点に埋没する程度の違いである。 イ原告商品2(ブラック)と被告商品2(クラシックネイビー)については,前記第2,1前提事実(5)イ,証拠(甲2,乙56)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「無地の膝丈のタンクドレス (タンク・トップスの丈を伸ばしたような形のドレス)」で「7分袖クロップト丈(身頃をウエストや胸の下あたりで切り落とした,短い丈)のレース素材のトップス(シ して,「無地の膝丈のタンクドレス (タンク・トップスの丈を伸ばしたような形のドレス)」で「7分袖クロップト丈(身頃をウエストや胸の下あたりで切り落とした,短い丈)のレース素材のトップス(シャツやブラウス,セーターなど上半身部分に着用する衣服)」であり,トップスが花柄のリバーレース(リバー編み機で作られたレース)生地で作成された7分袖,クロップト丈の総レース素材であり,そのトップ スの下にスカート部分がセミタイトスカートとなっている膝丈のタンクドレスが重なっている点で共通し,全体的な印象としても酷似している。したがって,両者の形態は実質的に同一であるというべきである。 被告らは,被告商品2においては,レース部分のトップスが取り外し可能なことや,つけ襟があることを強調する。しかし,需要者が「トップスを付 け,つけ襟がない状態」で被告商品2を使用することが普通に想定できると ころ,このように,被告商品2を通常使用する形態において,原告商品2と酷似するのであれば,両商品は酷似するといえる。 また,被告らは,被告商品2においては,背中側のファスナーを下ろさなくても左右に開く点や,スカート前面のタック(布をつまんで縫った「ひだ」),ウエストなどのシルエット,ネックの空き具合などの違いを主張するが,い ずれも微差にすぎない。 ウ原告商品3(ネイビー(2色))と被告商品3(ダークネイビー)については,前記第2,1前提事実(5)ウ,証拠(甲3,乙57)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「2色のフラウンス(フリルよりも幅が広いひだ襟飾り)による斜めアシメトリー(非対称)なティ アードシルエット(フラウンスを何段も重ねたシルエット)」を有する「薄手の生 は,基本的形態として,「2色のフラウンス(フリルよりも幅が広いひだ襟飾り)による斜めアシメトリー(非対称)なティ アードシルエット(フラウンスを何段も重ねたシルエット)」を有する「薄手の生地のミニ丈のタンクドレス」であり,また隣り合う生地が原則として異なる色の布地が使用されている点で共通し,前面下部に特徴的な大きな花柄のモチーフ(小さなフラウンスにより構成された花模様)がある点においても共通し,全体的な印象としても酷似するといえる。したがって,両者の形 態は実質的に同一であるというべきである。 被告らは,被告商品3においては,2色生地の切り返しの起点,最前面のフラウンスの長さ及びフリルの有無,左右のフラウンスの背面視における縫合せの有無,2色の斜めアシメトリーなフラウンスによるバスト下からドレス裾までのティアードシルエットという形状の有無について相違すると主 張する。 しかし,両商品において,被告らが指摘する相違点は存在するとしても,やはり,前面における斜め方向のフラウンス,特徴的な大きな花柄モチーフ,隣り合う生地が原則として異なる布地を使用していることによる印象が非常に強く,被告らが主張する上記各点は,上記の共通点に埋没する程度の相 違にすぎないというべきである。 エ原告商品4(ネイビー(2色))と被告商品4(ヘブンリーブルー)については,前記第2,1前提事実(5)エ,証拠(甲4,乙58)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「2色のフラウンスによる斜めアシメトリーなティアードシルエット」を有する「薄手の生地のミニ丈のタンクドレス」であり,隣り合う生地が原則として異なる色の布地が 使用されている点,背面部における生地の使い方などの による斜めアシメトリーなティアードシルエット」を有する「薄手の生地のミニ丈のタンクドレス」であり,隣り合う生地が原則として異なる色の布地が 使用されている点,背面部における生地の使い方などの点で共通する。 他方で,両商品では,大きな花柄モチーフの有無で相違しており,この相違点は必ずしも微差とはいえない。しかし,原告商品4における大きな花柄モチーフを除くと,両者は細かい部分まで極めて類似しており,商品全体としてみた場合,類似性は非常に高いというべきである。したがって,両者の 形態は実質的に同一であるというべきである。 被告らは,両商品は,花柄モチーフの有無以外にも,右側のフラウンスの形状や,配色におけるコントラストの強さにおいて相違する旨主張する。 このうち,右側のフラウンスの形状に被告らが主張するような相違があるとは認められない。一方,配色のコントラストの点では,原告商品4(ネイ ビー(2色))は暗い色合いで,被告商品4(ヘブンリーブルー)が明るい色合いであるとの相違点はあるが,これは,前記共通点(前面における斜め方向のフラウンスや,隣り合う生地が原則として異なる色の布地が使用されている点,前面・背面を通じた布の重なり方など)に埋没する程度の相違であり,需要者に対して「色違い商品」であるとの印象を与える程度にすぎない ものというべきである。 オ原告商品5(ナチュラル/ブラック)と被告商品5(アイボリー)については,前記第2,1前提事実(5)オ,証拠(甲5,乙59)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「トップス裾とスカート裾がスカラップ裾(ホタテガイのような波型模様に仕立てた縁の裾)」で あり,「裾部分に大きな草花モチーフのビーズ刺繍があしらわ の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「トップス裾とスカート裾がスカラップ裾(ホタテガイのような波型模様に仕立てた縁の裾)」で あり,「裾部分に大きな草花モチーフのビーズ刺繍があしらわれている」ド レスであり,膝上丈のタンクドレスにノースリーブで,ウエスト丈のトップスを合わせた構成という部分で共通しており,全体的な印象としても酷似するといえる。したがって,両者の形態は実質的に同一であるというべきである。 被告らは,被告商品5ではトップスを取り外すことが可能であると主張す るが,前記イ同様,この点は結論を左右するものではない。 また,被告らは,トップスとボトムス(スカートやズボンなど下半身部分に着用する衣服)の各スカラップ裾部分のビーズ刺繍における,花弁の縁取りのビーズの色や刺繍色,側面視におけるビーズ刺繍の違いを主張する。このうち,側面視におけるビーズ刺繍は両商品において相違しているが,大き さが異なるだけで,ビーズ刺繍が特徴となっている点では同じであり,またトップスとボトムスにおけるビーズ刺繍はむしろ酷似しているというべきである。 さらに,被告らは,シルエット,トップスの長さ,配色,生地の風合いなどの違いを主張する。このうち,配色については,両商品は単色かバイカラ ーかで異なっており,これによって需要者に与える印象に違いはあるが,上記のスカラップ裾やビーズ刺繍等の大きな共通点に埋没する程度の違いであり,需要者に対して「色違い商品」であるとの印象を与える程度にすぎない。また,その他の点は微差にすぎない。 したがって,被告らの上記主張はいずれも前記説示を左右しない。 カ原告商品6(ベージュ/ピンク)と被告商品6(アンティークコーラル&ベ また,その他の点は微差にすぎない。 したがって,被告らの上記主張はいずれも前記説示を左右しない。 カ原告商品6(ベージュ/ピンク)と被告商品6(アンティークコーラル&ベージュ)については,前記第2,1前提事実(5)カ,証拠(甲6,乙60)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「腰回りに切り替えのあるストレート・シルエット」で「ノースリーブ」の「膝丈のワンピース」であり,「背中に大きめのギャザーが寄せられ」,「スカ ート上部にビーズ刺繍が配置されている」点で共通するほか,トップスの表 面にサテン地,裏地にスムースニット生地(両面編みによるニット生地)を使用している点,スカート上部のビーズ刺繍のデザイン,表地の脇下部分の大きな開きから裏地のスムースニット生地という点でも共通し,全体的な印象としても酷似するといえる。したがって,両者の形態は実質的に同一であるというべきである。 被告らは,被告商品6にはネックレスが付いていると主張するが,前記イ同様,この点は結論を左右するものではない。 また,被告らは,前面の縦方向のフラウンスの有無,ボトムス前面上部のビーズ刺繍のデザイン,ボトムスの刺繍模様の有無,トップスとボトムスの長さの割合,配色の違いを主張する。 このうち,ボトムス前面上部のビーズ刺繍のデザインには,ほとんど差がないといえる。他方で,ボトムスの刺繍模様や,配色については,確かに両商品において相違するが,既に認定した共通点に埋没する程度のものである。 その他の前面の縦方向のフラウンスの有無,トップスとボトムスの長さの割合などは微差にすぎず,全体としてみると,やはり両商品の形態は実質的に 同一というべきである。 する程度のものである。 その他の前面の縦方向のフラウンスの有無,トップスとボトムスの長さの割合などは微差にすぎず,全体としてみると,やはり両商品の形態は実質的に 同一というべきである。 キ原告商品7(ブラック)と被告商品7(ノーブルブラック)については,前記第2,1前提事実(5)キ,証拠(甲7,乙61)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「サロペット」(胸当て付きズボン)で,「首元からバストトップス(胸まわり)切り替え位置までがレー ス素材」となっている点で共通するほか,レース素材のすぐ下に大き目のフラウンスが配置され,そのフラウンスはフリルを形成しながら背面まで連続して続き,かつ背面にいくに従ってフラウンスの幅が徐々に広くなり,背面まで斜めにつながっている点でも共通し,全体的な印象としても,類似性が高いといえる。したがって,両者の形態は実質的に同一であるというべきで ある。 被告らは,両商品は,①レース生地の前面及び背面のいずれにも刺繍模様があるか,②バストトップス切り替え位置から配置されたギャザーを寄せたフラウンスの長短,③同フラウンスが背面のヒップ上まで斜めにつながっているか,④パンツの長さ,⑤正面におけるレースの密度及びレース脇の黒色部分の幅,⑥背面におけるフラウンスの長さ及び形態,⑦裾に向かって徐々 に細くなるテーパーの度合いにおいて相違する旨主張する。 しかし,このうち上記④及び⑦は微差にすぎないというべきである。また,上記①は,確かに,被告商品7は,背面上部がシースルー状となっているが,これは,背面におけるさほど目立たない違いというべきであり,他の顕著な共通点に基づく実質的同一性を否定するほどのものではない。 に,被告商品7は,背面上部がシースルー状となっているが,これは,背面におけるさほど目立たない違いというべきであり,他の顕著な共通点に基づく実質的同一性を否定するほどのものではない。 また,上記②のフラウンスの長短については,確かに長さに違いがあるが,そもそもレース素材のすぐ下にフラウンスがある点は共通しており,長さの違いは微差である。また,上記③については,むしろフラウンスが前面から背面に行くに従って幅広となり,背面まで斜めにつながっている点で両者は共通しており,フラウンスの長さが若干異なるにすぎない。また,上記⑤に ついては,正面からみたレースの密度は,多少異なるものの,大きな違いではなく,また,レース脇の黒色部分の幅についても,微差にすぎない。さらに,上記⑥については,背面フラウンスの長さ及びフリルに違いはあるが,大きな違いではない。 被告らは,被告商品7においてはフラウンスが長いことで,体型をカバー できる旨主張する。確かに,そのような観点からすると,両商品に相違がないとはいえないが,しかし,既に認定したとおり,両商品は共通点が多く,フラウンスの長さが,直ちに,他の多くの共通点によって認められる実質的同一性を否定するほどの相違点であるとはいえない。 したがって,被告らの上記主張はいずれも前記説示を左右しない。 ク原告商品8(パープル/ベージュ)と被告商品8(グレー)については, 前記第2,1前提事実(5)ク,証拠(甲8,乙62)(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,両者は,基本的形態として,「アメリカンスリーブ」(腋下から首の付け根に向かって斜めにカットし,肩を大きく露出したノースリーブデザイン)で「ハイネック(身頃から続いた高い襟)のロールカラ 旨によれば,両者は,基本的形態として,「アメリカンスリーブ」(腋下から首の付け根に向かって斜めにカットし,肩を大きく露出したノースリーブデザイン)で「ハイネック(身頃から続いた高い襟)のロールカラー(襟足が高く首回りに巻くように折り返っている襟)」の「セミフレアスカート (ぴったりしたウエストから裾へフレアが波打って,朝顔状に広がったスカート)のワンピース」であり,「ローウエスト部分で切り替えを施し」,「切り替えの部分には,幅のあるベルト状のビーズ刺繍をポイントとして配置」しており,これらの点では共通する。 しかし,両者は,素材がシルクかポリエステルかで異なる上,ベルト部分 の装飾の幅・デザイン(原告商品8はベルト部分のビーズ装飾の幅が太く,当該部分が半円状を組み合わせた全体として波状のデザインとなっているのに対し,被告商品8は,ベルト部分のビーズ装飾が細く,当該部分はビーズを直線的に並べただけのデザインとなっている。),背面腰部のベルトの有無等において顕著に異なっており,また,スカートの長さも異なるなど,相 違点が多く,これらの相違点は強い印象を与えるから,両者が実質的に同一とはいえない。 したがって,原告商品8と被告商品8については,色彩の違い等について検討するまでもなく,形態の実質的同一性が認められないから,以下,商品8については検討の対象外とする。 (2) 色彩の違いについてア法において,「商品の形態」とは,「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう」(法2条4項)とされており,色彩も,商品の形態の一部を構成するものである。 したがって,色彩の きる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう」(法2条4項)とされており,色彩も,商品の形態の一部を構成するものである。 したがって,色彩の違いが商品の形態の実質的同一性の判断に影響を与え ないとする原告の主位的な主張は採用できない。 しかし,他方で,婦人服において,形状が同じで色彩だけ異なるいわゆる「色違い」の商品が広く存在していることは公知の事実であるから,婦人服の需要者も,当然に,形状が同じで色彩だけが違う婦人服が存在することを認識しているし,また,婦人服の形態の開発において資金・労力を投下する 主な対象は色彩以外の点であると解される。そうである以上,婦人服における色彩の相違は,それが顕著に異なる印象を与えるようなものである場合はともかく,そうでない限り,一般には,形態の実質的同一性の判断に強い影響を与えないというべきである。このような観点から,以下,個々の商品ごとに,色彩も含めた形態の実質的同一性を判断することとする。 イ原告商品2(ベージュ,ブラック)と被告商品2(ベージュ&ブラック,ピンク&ネイビー),原告商品5(ナチュラル/ブラック)と被告商品5(ブラック),原告商品7(ナチュラル/ブラック)と被告商品7(ロイヤルベージュ)は,それぞれ単色かバイカラーかで異なるが,少なくともトップスとボトムスのいずれかにおいて色彩が類似している(甲103,105,11 1,117参照)ことに加え,前記(1)イ,オ,キで検討したとおり,上記各商品は,形態(色彩を除く。)において共通点が多く,単色かバイカラーかの違いがあってもなお,実質的に同一というべきである。 さらに,原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック,レッドブラウン/ベー ,形態(色彩を除く。)において共通点が多く,単色かバイカラーかの違いがあってもなお,実質的に同一というべきである。 さらに,原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック,レッドブラウン/ベージュ)と被告商品6(モカ&ブルー,ピーコックグリーン&ベージュ) は,いずれもバイカラーではあるが,色彩自体については必ずしも類似するわけではない(甲114参照)。しかし,形態(色彩を除く部分)において,前記(1)カのとおり共通点が多いことからすると,需要者は,これらの被告商品について色彩が異なるだけの「色違い商品」として認識するものと解されるから,この点は上記結論を左右するものではない。 以上で個別に検討した組み合わせ色以外のもの(商品1ないし7)につい ては,色彩の類似性に加えて前記(1)で検討した形態(色彩を除く。)の共通性により,何ら問題なく形態全体の実質的同一性が認められる。 具体的には,証拠(甲79,86,101,102)によれば,原告商品1(ブラック,ベージュ)と被告商品1(クラシックネイビー,パールアイボリー)について,証拠(甲81,88,107,108)によれば,原告 商品3(ベージュ(2色))と被告商品3(ローズピンク,ラベンダーモーブ)について,証拠(甲81,89,109,110)によれば,原告商品4(イエロー,レッド)と被告商品4(カナリアイエロー,ブラッドオレンジ)について,証拠(甲82,90,112,113)によれば,原告商品5(グリーン,ベージュ)と被告商品5(スモーキーブルー,ピンクベージュ)に ついて,証拠(甲84,92,118,119)によれば,原告商品7(ブラック,ナチュラル/ブラック)と被告商品7(クラシックネイビー,ベージュ&ブラック)について,それぞれ形態全体の実 )に ついて,証拠(甲84,92,118,119)によれば,原告商品7(ブラック,ナチュラル/ブラック)と被告商品7(クラシックネイビー,ベージュ&ブラック)について,それぞれ形態全体の実質的同一性が認められる。 (3) 「ありふれた形態」についてア他人の商品の形態であっても「ありふれた形態」については,その開発に 特段の費用や労力の投下及びリスク負担が行われたわけではないし,それを特定の者に専用させることは同種の商品間における発展的な競争を阻害するから,法2条1項3号の保護対象とはならないと解すべきである。 イ被告らは,原告商品の全体としての形態ではなく,個々の部分的形状が「ありふれた形態」であるとして,ありふれた部分を除外した上で原告商品と被 告商品を対比すべきであると主張する。 しかし,同号の規定によって保護される商品の形態とは,商品全体の形態であり,また,必ずしも独創的な形態である必要はない。そうすると,商品の形態が「ありふれた形態」に該当するかどうかは,商品全体の形態を観察して判断すべきものであって,被告らの主張するように,個々の部分的形状 がありふれたものかどうかを判断した上で,各形状を組み合わせることが容 易かどうかを問題にするような手法により判断すべきものではないから,被告らの上記主張は採用できない。 ウ他方,被告らは,原告商品1に関しては,同商品全体の形態がありふれていると主張し,原告商品1の特徴である①ストレートシルエット,②8分袖,③ワンピース,④襟口のビーズ刺繍,⑤袖口のビーズ刺繍を全て備える製品 として,乙37ないし43,74を挙げる。 しかし,乙37ないし43記載の商品は,いずれもストレートシルエットではない上, ス,④襟口のビーズ刺繍,⑤袖口のビーズ刺繍を全て備える製品 として,乙37ないし43,74を挙げる。 しかし,乙37ないし43記載の商品は,いずれもストレートシルエットではない上,ビーズ刺繍の態様も原告商品1とは大きく異なるものが多く,また乙39と乙43記載の商品は8分袖ではない。また,乙74記載の商品は,一見してビーズ刺繍のデザインが原告商品1とは異なる。このように, 被告らが挙げた上記証拠は,いずれも原告商品1の特徴を全て備えたものとはいえない。したがって,被告らの上記主張も採用できない。 エさらに,被告らが原告商品との共通点が比較的多いとするものについて念のため検討すると,まず,乙104の1記載の商品については,被告ら自身が,キャミソールドレスであることや,5分袖程度のレーストップスである こと等の原告商品2との大きな違いがあることを認めており,上記商品は原告商品2が「ありふれた形態」であることを根拠付けるものではない。 また,乙106の10記載の商品は,花柄のモチーフがあるとしても,フラウンスの形態などが原告商品3・4とは異なっており,乙78の2記載の商品も同様である。なお,乙36の1,2記載の商品は,写真の写りの関係 で,その詳細な形態は不明である。 乙24,25記載の商品は,いずれも原告商品5とは一見して異なるビーズ刺繍のデザインがされており,また,乙99の8記載の商品も同様である(同商品の詳細な形態は,上着で隠れており,不明である。)。 乙110の4記載の商品も,詳細は不明であり,原告商品7との十分な比 較はできない。 オ以上のとおり,原告商品が,それぞれ全体として「ありふれた形態」であると認めるに足りる証拠はない。 (4) 依拠につい あり,原告商品7との十分な比 較はできない。 オ以上のとおり,原告商品が,それぞれ全体として「ありふれた形態」であると認めるに足りる証拠はない。 (4) 依拠についてア後記4で認定するとおり,被告会社は,元になる原告商品1ないし7を第三者(中国の会社や日本のSKM 社)に持ち込むなどし,そのままとすること 又はデザインや色彩を若干変更することを指示し,その指示どおり製造された被告商品1ないし7を輸入するなどした上で,これらを日本国内で販売したものと認められるから,被告会社は,原告商品1ないし7に依拠して被告商品1ないし7を製造し,これらを販売したものと認められる。 イこの点に関し,被告らは,被告会社は原告商品とは無関係に被告商品1及 び5を購入したほか,被告商品2ないし4,6,7については,原告以外の者の商品について,デザインや色彩の変更等を第三者に指示したにすぎない旨主張する。しかし,後記4のとおり,被告らの上記主張は,客観的証拠とも整合せず,不合理であって,採用できない。 2 争点(2)(被告会社の故意・過失の有無)について (1) 前記1のとおり,被告会社は,原告商品1ないし7に依拠して,これらと実質的同一性を有する形態の被告商品1ないし7を製造・販売したものであり,故意をもって,上記の不正競争行為を行ったものといえる。なお,実際に製造したのが第三者であったとしても,どのようなデザインや色彩にするか等を指示したのは被告会社であり,実質的な製造主体は被告会社であるといえる。 (2) これに対し,被告会社は,自身は被告商品を企画・製造しておらず,中国などで買い付けたにすぎないこと,原告のブランドは,さほど著名ではなく,被告会社は膨大な商品の中から原告商品の存 (2) これに対し,被告会社は,自身は被告商品を企画・製造しておらず,中国などで買い付けたにすぎないこと,原告のブランドは,さほど著名ではなく,被告会社は膨大な商品の中から原告商品の存在を知り得なかったこと,原告商品に類似する商品も多数販売されていること等からすると,被告会社には故意・過失がなかった旨主張する。 しかし,上記のとおり,被告会社は,自ら被告商品を企画・製造したものと 認められるので,被告会社には,模倣の点について当然に故意があったものと認められ,同社の過失については検討するまでもない。 3 争点(3)(原告商品についての3年の除斥期間の起算日)について(1) 法19条1項5号イは,形態模倣についての除斥期間を定めるところ,同規定の趣旨は,形態模倣に係る規制が,先行開発者に投下資本の回収の機会を提 供するものである一方,商品形態の創作的価値の有無を問わず,模倣商品の譲渡等を禁止しているため,禁止期間が長期にわたる場合には,知的創作に関する知的財産法が厳格な保護要件を設けた趣旨を没却しかねず,また,後行開発者の同種商品の開発意欲を過度に抑制することから,両者のバランスをとって,先行開発者が投下資本の回収を終了し通常期待し得る利益を上げられる期間 として定められたものと解される。 以上のような趣旨に鑑みると,保護期間の始期は,開発,商品化を完了し,販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった時であると認めるのが相当である。これは,先行開発者が,同時点から,投下資本の回収を開始し得るからである。 そして,商品展示会に出展された商品は,特段の事情のない限り,開発,商品化を完了し,販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった物品であるといえる。 (2) 得るからである。 そして,商品展示会に出展された商品は,特段の事情のない限り,開発,商品化を完了し,販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった物品であるといえる。 (2) 本件において,原告商品1ないし7がいずれも商品展示会に出展されたことは当事者間に争いがなく,弁論の全趣旨によれば,その出展時期は,原告商品 1につき平成24年4月,原告商品2につき平成26年7月,原告商品3及び4につき平成25年7月,原告商品5につき平成24年10月,原告商品6につき平成24年1月,原告商品7につき平成25年10月であると認められる。 そして,本件において,上記特段の事情があるとは認められないため,上記各出展時期が,法19条1項5号イ所定の除斥期間の起算点となり,同時点か ら3年が経過するまでが,原告商品の保護期間となる。具体的には,原告商品 の保護期間が満了したのは,原告商品1につき平成27年4月,原告商品2につき平成29年7月,原告商品3及び4につき平成28年7月,原告商品5につき平成27年10月,原告商品6につき平成27年1月,原告商品7につき平成28年10月となる。 なお,原告は,原告商品が展示会において出展されていても,必ずしも被告 商品の販売が原告の権利を侵害しないことにはならない旨主張する(同主張の趣旨は不明確であるが,展示会出展日が除斥期間の起算日とはならない旨の主張であると善解することとする。)が,他方で,原告は,展示会において受注することも認めているところ,展示会に出展された物品は,開発,商品化を完了し,販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった物品といえ るから,展示会出展日がやはり除斥期間の起算日であるといえ,原告の上記主張は採用できない。 4 争点 ,商品化を完了し,販売を可能とする段階に至ったことが外見的に明らかになった物品といえ るから,展示会出展日がやはり除斥期間の起算日であるといえ,原告の上記主張は採用できない。 4 争点(4)(被告会社が善意無重過失の転得者に当たるか)について(1) 証拠(甲1の5,2の4,3の5,4の5,5の4,6の6,7の4,10,36,37の1及び2,120の1ないし3,170,乙92,被告A)(た だし,乙92及び被告Aについては,後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被告Aは,平成12年8月の被告会社設立時から現在まで,同社の代表取締役を務めている。被告会社では,当初,アクセサリーの販売を行っていたが,やがてナイトドレスを販売するようになり,平成20年頃以降は,パー ティードレスを販売するようになったが,当初は商品を仕入れて販売するだけであった。しかし,被告Aは,パーティードレスを自ら製造・販売することを望んでいた。 イ被告Aは,「翌09年秋には,お店で初となるオリジナルのパーティードレスを発売,きっかけはお店で人気だったパンツスタイルのパーティードレ スが生産中止になると,取引先から聞いたことだった。」,「『自分たちは,そ のデザインを好きなお客さんが多いのを知ってたから,もったいなくてですね。『自分たちに作らせてくれませんか』とお願いしたんです。少し前から,オリジナル商品の開発に興味があって,独自で中国や韓国の工場を見て回って計画を練っていたので,“渡りに船”でした』」「着脱しやすいセットアップに改良。丈を調整してシルエットも変えた。」「でもゼロから作るとなると, 工場への発注方法すらわからない。」「10年には…オリジナルドレスの ので,“渡りに船”でした』」「着脱しやすいセットアップに改良。丈を調整してシルエットも変えた。」「でもゼロから作るとなると, 工場への発注方法すらわからない。」「10年には…オリジナルドレスのラインナップも6種類まで増え」「…女性の名前をモチーフに商品名をつけた。 12年の発売以降,現在の看板商品となっている『LuLuDRESS(ルル・ドレス)』(判決注:被告商品1に相当する。)も,そのなかで生まれた。」「このドレスは,パーティーに呼ばれたときって,かわいらしく見られたいし,それ に加えて,いつもとは違う大人っぽい振る舞いをしたいって思う女性のために作ったもの。」旨述べており,この発言が楽天株式会社作成の「RakutenICHIBADREAM」と題する雑誌(平成27年1月号)(甲36)に記載された。 また,被告会社のホームページ(甲37の1,2)には,被告商品2について「ソフィードレスはドレスブランド・ガールが企画・制作しているオリ ジナルドレスです」旨,被告商品3について「パリドレスはドレスブランド・ガールが企画・制作しているオリジナルドレスです。」旨,記載されていた(それぞれ平成27年7月3日,同年6月17日時点)。 ウ被告商品1ないし4,6には,「(株)オフィスカワノ」と記載されたタグが取り付けられている。 他方で,被告商品5については「S.K.M」とのタグ(甲5の4)が取り付けられている。 なお,被告商品7のタグには製造者等の記載がない。 エ被告会社のホームページ(甲10,170)(平成27年12月以降のもの)には,「株式会社オフィスカワノは,ドレス中心としたファッション関連 の企画,製造,ブランド構築の他,お呼ばれ関連の商材卸…を行う企業です。 ージ(甲10,170)(平成27年12月以降のもの)には,「株式会社オフィスカワノは,ドレス中心としたファッション関連 の企画,製造,ブランド構築の他,お呼ばれ関連の商材卸…を行う企業です。」 「ドレスブランドGIRL は,“BeyondImagination”をコンセプトに思う人の想像を超えた美しさを与えるドレスを作っています。」との記載がある。 さらに,被告会社は,商品の販売ページ(甲120の1ないし3)において,「GIRLQUALITYCONTROL」と題して,「ドレスブランドガールは,デザインから生地選びまで自社で行い,自社工場,提携工場を直接コントロールし, 縫製など,すべての工程を,熟練したスタッフが工場で直接確認する事で品質を保っています。また,自社工場の強みを活かしお求めやすいプライスの実現に努めています。」と記載している。 (2) 以上認定のとおり,被告会社のホームページ等において,被告会社が被告商品1ないし3について自らデザイン・制作したなどと記載されていること,被 告商品1ないし7のうち5商品につき被告会社のタグが付されていることに加え,被告会社が原告商品と実質的に同一の形態である商品を7類型も販売していたものであり,これが全て偶然であるとは解し難いこと等によれば,被告会社は,被告商品の転得者ではなく,自ら,又は第三者に指示して,原告商品に依拠して,被告商品を製造・販売した主体であるといえる。 この点,被告らは,被告会社は被告商品1ないし7を第三者から仕入れたものであるから,これらの商品の転得者にすぎないと主張し,被告Aも同趣旨の供述をする。さらに,被告らは,中国の取引先(キャリー社,スカイファースト社)の代表者らの陳述書(乙95,96)を提出する。 のであるから,これらの商品の転得者にすぎないと主張し,被告Aも同趣旨の供述をする。さらに,被告らは,中国の取引先(キャリー社,スカイファースト社)の代表者らの陳述書(乙95,96)を提出する。 そこで検討するに,まず,中国の会社の代表者らの陳述書(乙95,96) は,いずれも極めて簡単なものであって,また日本語のみで記載されているものの,上記代表者らがそもそも日本語を理解するかも不明であり,その信用性は極めて低いものである。 また,被告Aは,被告商品7について,同人が元となる商品を中国の会社(スカイファースト社)に持ち込んだ上で,デザインを大幅に変更させた旨供述し ており,同供述を前提としても,被告会社が実質的な製造主体であると解し得 る。他方で,被告Aは,被告商品2ないし4,6に関し,中国の会社(スカイファースト社)に元からあった商品について被告会社がデザイン等の変更を指示した旨供述するが,既に認定した事情に加え,被告商品2ないし4及び6と対応する原告商品が酷似すること,被告Aが言及する「元の商品」の特徴が原告商品の特徴と類似することなどからすれば,被告会社が元となる商品(原告 商品2ないし4,6)を中国の会社(スカイファースト社)に持ち込み,デザイン等の若干の変更を指示したものと認めるのが合理的である。 他方で,被告Aは,被告商品1と5については,第三者(それぞれ中国の会社である広服貿易,日本のSKM 社)からそのまま購入したものであると述べるが,被告商品1は,原告商品1との類似性が極めて高いことからして,原告商 品1の模倣商品であることが明らかであり,また,被告商品5も,原告商品5との類似性が高い上,確かにタグには「S.K.M」と記載されてはいるものの,同商品のみがその他の模倣商品とは て,原告商 品1の模倣商品であることが明らかであり,また,被告商品5も,原告商品5との類似性が高い上,確かにタグには「S.K.M」と記載されてはいるものの,同商品のみがその他の模倣商品とは異なる経緯で製造されたと解するのも不自然であって,やはり,これも,他の被告商品と同様,被告会社が元になる原告商品5をSKM 社に持ち込むなどして,製造させ,これを販売したものとみるの が合理的である。 以上のとおり,被告会社は,原告商品1ないし7を第三者に持ち込むなどし,そのまま,又はデザインや色彩について若干の変更を指示し,指示どおりに被告商品1ないし7を製造させ,これを日本国内で販売したものと認められる。 なお,被告らは,被告会社と中国の会社との間で,被告会社が商品を大量に 買い付けると(被告会社が製造・デザイン等した商品でなくても)被告会社名義のタグを付ける旨合意していたため,被告商品5を除き,被告会社名義のタグが付けられていたと主張する。しかし,このような合意の存在を認めるに足りる証拠はない上,前記のとおり,被告会社のホームページや雑誌における被告会社が自らドレスを製造した旨の記載(被告会社が被告商品の製造者である 旨が繰り返し記載され,雑誌には製造に至る経過や苦労なども記載されてい る。)等に照らすと,被告らの主張は不合理であって採用できない。 (3) 以上のとおり,被告会社が被告商品1ないし7の製造主体である(転得者ではない)と認められるので,その余について判断するまでもなく,本件において,法19条1項5号ロの適用はない。 5 争点(5)(原告の損害額)について (1) 法5条1項の適用の有無についてア原告は,婦人服の製造・販売を業とする,相当程度の規模を有する株式会社であり,後記(4 の適用はない。 5 争点(5)(原告の損害額)について (1) 法5条1項の適用の有無についてア原告は,婦人服の製造・販売を業とする,相当程度の規模を有する株式会社であり,後記(4)ア(エ)のとおり,従業員数や店舗数,売上高も多く,広告宣伝にも大きな費用をかけていること等からすれば,原告には,各被告商品に対応する各原告商品(後記(2)のとおり合計1万6185個)を販売する 能力が十分にあると認められるから,法5条1項本文が適用されるものというべきである。 イこれに対し,被告らは,後記(4)で指摘する推定覆滅の根拠事実とほぼ同様の諸事情や一部の被告商品について原告商品と販売時期が重ならないことを挙げて,原告には,被告会社の譲渡数量分に係る「販売その他の行為を 行う能力」がなかったとして,法5条1項本文の適用はない旨主張する。 しかし,被告らが挙げる諸事情(原告が一般消費者以外の業者に対する卸売販売を行っていたこと,被告会社の卸売業者と原告との間には取引がないこと,被告会社の楽天市場でのシェアが大きいのに対し,原告は同シェアが小さいこと,被告会社は,楽天市場などのインターネット市場において,そ の特殊性に応じて積極的な宣伝広告を行っていること,被告商品においては原告商品とは異なるサイズがあること,原告と被告会社間では需要者の層が異なること等)は,これらが法5条1項但書の推定覆滅事情に当たるか否かは後に検討するが,これらによって原告に販売能力がなかったということは到底できない。 また,仮に一部の被告商品の販売開始時において,対応する原告商品の販 売が終了していた,又はセール価格で販売されていたとしても(そもそも,被告らの主張(被告準備書面(19)等)を前提としても,当該被告商品の 告商品の販売開始時において,対応する原告商品の販 売が終了していた,又はセール価格で販売されていたとしても(そもそも,被告らの主張(被告準備書面(19)等)を前提としても,当該被告商品の販売開始時の直近まで対応する原告商品が販売されていたことになる。),上記アのとおりの原告の企業規模や人的態勢からして,原告が,同原告商品を再度製造・販売することはできたものと認められるから,原告において,「原告商 品の販売その他の行為を行う能力」がないとは到底いうことができない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 (2) 被告会社による被告商品の販売枚数ア証拠(乙154の1ないし3,156,158,204の2,230の1。 枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社による被告商品の販売 枚数(前記3(2)で認定した原告商品の各展示会への出展時期から3年以内のもの)については,別紙「被告商品の販売枚数」記載のとおりであると認められる(具体的には,被告商品1は合計●(省略)●枚,被告商品2は合計●(省略)●枚,被告商品3は合計●(省略)●枚,被告商品4は合計●(省略)●枚,被告商品5は合計●(省略)●枚,被告商品6は合計●(省 略)●枚,被告商品7は合計●(省略)●枚)。 なお,当事者間に争いがない部分(「yahoo!」,「SHOPLIST」,「被告EC サイト」,「マルイ」,「営業販売分」,「ネット卸」での販売枚数については全て,「楽天市場」,「ポンパレ」,「Qoo10」,「Amazon」,「Wowma!」については一部)に関しては,その数字をそのまま採用した。また,「Amazon」については,小 数点以下第2位を四捨五入する方法で計算した。 イ原告は,被告商品の販売枚数に関する被告ら !」については一部)に関しては,その数字をそのまま採用した。また,「Amazon」については,小 数点以下第2位を四捨五入する方法で計算した。 イ原告は,被告商品の販売枚数に関する被告らの主張をほぼ認めつつ,一部につき,文書送付嘱託の結果(甲137,139,140)や,楽天株式会社等が別途被告会社あてに発したメール(乙219の1・2,220)に基づいて被告商品の販売枚数を認定すべきであり,かつ,被告らが自白した総 販売枚数が,上記で認定した各販売枚数の合計よりも多い場合(被告商品2, 6)には,多い枚数を認定すべき旨主張する。 しかし,被告商品の販売枚数に関する原告の主張は,下記の第三者から提出された証拠に基づく被告らの主張をほぼ認めつつ,これと異なる証拠のうち自らにとって有利なところのみを取り出して主張するもので,一貫性を欠き不合理である。確かに,被告商品の販売枚数に関する被告らの主張は変遷 しているが,最終的に第三者から提出された証拠(「楽天市場」につき乙154の1ないし3,230の1,「ポンパレ」につき乙156,「Qoo10」につき乙158及び204の2)の信用性が高いというべきであり,これらに基づいて販売枚数を認定するのが合理的である。 また,被告商品2,6の販売枚数につき被告らによる自白が成立したか否 かについて検討すると,①被告らは,当初,被告商品の販売枚数について,被告商品の仕入帳票に基づく仕入枚数から,被告らが平成28年3月末日頃に行った棚卸の際の在庫の数を控除した後の数字を販売枚数とする旨主張したが,そこには「不良品などのために,相当数の廃棄品が存在するので,仕入枚数から棚卸しの結果に基づく在庫数を引いたものが販売枚数となる わけではなく,被告らが主張した販売枚数は,不良 旨主張したが,そこには「不良品などのために,相当数の廃棄品が存在するので,仕入枚数から棚卸しの結果に基づく在庫数を引いたものが販売枚数となる わけではなく,被告らが主張した販売枚数は,不良品などの廃棄品を考慮していない点で原告に有利な数になっている」旨の留保が付されていた(被告ら準備書面(6)2頁参照)こと,②被告らの上記計算方法は間接的なもので,販売した商品数を直接数えたものではないため,正確性を欠くこと,③被告らが上記準備書面において開示した数字のうち,被告商品6については,そ の後に判明した原告商品の保護期間と対応していないこと等の事情によれば,被告商品2,6の販売枚数につき被告らによる自白が成立したとは認められない。 なお,「Wowma!」については,開示された販売枚数が原告商品の保護期間に対応しないため,保護期間に対応させるための計算方法が問題とされてお り,被告らが,開示された全期間(被告らが主張する販売開始時期以前の期 間も含まれる。)において毎月同じ枚数が販売されたとの前提で計算したのに対し,原告は,被告らが主張する販売開始時期以降の全期間において毎月同じ枚数が販売されたとの前提で計算したところ,この点に関しては,原告の計算方法が合理的であるというべきであるから,これを採用する。 以上の検討により,被告商品の販売枚数について前記アのとおり認定した。 (3) 原告の限界利益ア証拠(甲35,126ないし130,152ないし162,164ないし169,171ないし183。枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 原告においては,卸売を除く各店舗での商品販売及び各ウェブサイトで の商品販売に係る情報について,販売管理システムで一元的に管理 弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 (ア) 原告においては,卸売を除く各店舗での商品販売及び各ウェブサイトで の商品販売に係る情報について,販売管理システムで一元的に管理している。 他方で,原告において,卸売に関するデータは,上記のシステムでは一元的に管理されていない。 (イ) 原告商品は,いわゆる定番商品であるため,いったんセール価格で販売 されても,その後,正規の価格で販売されることもあった。 原告商品1は合計●(省略)●枚販売され,売上代金は合計●(省略)●円であり,原告商品2は合計●(省略)●枚販売され,売上代金は合計●(省略)●円であり,原告商品3・4は合計●(省略)●枚販売され,売上代金は合計●(省略)●円であり,原告商品5は合計●(省略)●枚 販売され,売上代金は合計●(省略)●円であり,原告商品6は合計●(省略)●枚販売され,売上代金は合計●(省略)●円であり,原告商品7は合計●(省略)●枚販売され,売上代金は合計●(省略)●円であった。 (ウ) 原告商品は,国内や海外の委託先製造工場にて製造された後,柿本プレスの国内所在の倉庫に全て納品される。 柿本プレスでは,原告商品を検品し,「仕上げ」(下げ札や値札の取り付 け,糊付け,アイロンがけ等)が行われていない場合には,「仕上げ」を施した上で,原告各店舗等に配送する。 (エ) 原告商品1については,製造原価として工賃,ネーム代,その他(運賃)が,原告商品2については,製造原価として工賃,生地代,グレーディング代(サイズ展開をする際に,型紙を変更する作業に必要な費用),ネーム 代,その他(サンプル代,運賃)が,原告商品3・4については,製造原価として工賃,ネーム代及びその他(運賃)が グレーディング代(サイズ展開をする際に,型紙を変更する作業に必要な費用),ネーム 代,その他(サンプル代,運賃)が,原告商品3・4については,製造原価として工賃,ネーム代及びその他(運賃)が,原告商品5については,製造原価として工賃,支給付属及び仕上げ代が,原告商品6については,製造原価として工賃,生地代,付属品代,加工代,グレーディング代,ネーム代,その他(サンプル代,運賃)が,原告商品7については,製造原 価として工賃,生地代,グレーディング代,ネーム代,プレス代,その他(サンプル代,運賃)が,それぞれ発生する。 原告商品1の製造原価は●(省略)●円であり,原告商品2の製造原価は●(省略)●円であり,原告商品3・4の製造原価は●(省略)●円であり,原告商品5の製造原価は●(省略)●円であり,原告商品6の製造 原価は●(省略)●円であり,原告商品7の製造原価は●(省略)●円である。 (オ) 柿本プレスでの「仕上げ」工賃(いずれも単価)は,下げ札●(省略)●円,値札●(省略)●円,ワンピース(原告商品1ないし6に相当)●(省略)●円,ロングワンピース(原告商品7に相当)●(省略)●円で ある。 また,柿本プレスから原告各店舗に商品を配送する際に必要となる配送用段ボールの代金は,1個●(省略)●円である。なお,原告では,段ボール1箱には,ワンピースを20着ほど詰めるのが通例である。 原告は,柿本プレスから各店舗までの配送につき,佐川急便とヤマト運 輸に委託している。具体的な配送料は事案ごとに異なるが,平成29年3 月分の平均値では,段ボール1個当たり●(省略)●円であった(配送料総額●(省略)●円,配送総個数●(省略)●個)。 また,原告は,柿本プレスに対し,原告商品の検品 平成29年3 月分の平均値では,段ボール1個当たり●(省略)●円であった(配送料総額●(省略)●円,配送総個数●(省略)●個)。 また,原告は,柿本プレスに対し,原告商品の検品や出荷作業に係る手続の委託料として,1枚当たり●(省略)●円を支払っている。 さらに,原告は,店舗での販売に際し,原告商品についてそれぞれハン ガーカバーをかけ,顧客が購入した際には,ショッピングバッグに入れて渡すことにしている。ハンガーカバー(大きい方の1300サイズ)については,●(省略)●円(単価)であり,ショッピングバッグ(通常サイズのMサイズ)は●(省略)●円(単価)である。 (カ) 原告において,平成27年3月1日から平成28年2月29日までにお ける総売上高は●(省略)●円,販売委託手数料は●(省略)●円,店舗家賃は●(省略)●円,業務委託費は●(省略)●円であった。また,原告において,平成28年3月1日から平成29年2月28日までにおける総売上高は●(省略)●円,販売委託手数料は●(省略)●円,店舗家賃は●(省略)●円,業務委託費は●(省略)●円であった。 イ上記認定事実を前提として,原告商品の平均販売価格(単価)から変動経費(具体的には,製造原価,仕上げ代,段ボール代,配送費,手数料,ショッピングバッグ等代,販売委託料等)(いずれも単価)を控除した上で,消費税相当額として5%分を加えると,原告の原告商品1ないし7に係る限界利益は,それぞれ別紙「原告の限界利益及び損害額」の「税込みの限界利益」 欄記載のとおりであるものと認められる。 なお,前記ア(ア)のとおり,原告においては,卸売を除く各店舗での商品販売及び各ウェブサイトでの商品販売に係る情報について,販売管理システムで一元的に管理 欄記載のとおりであるものと認められる。 なお,前記ア(ア)のとおり,原告においては,卸売を除く各店舗での商品販売及び各ウェブサイトでの商品販売に係る情報について,販売管理システムで一元的に管理されており,卸売については別途管理されているものの,これらを前提として作成された甲158の1ないし6(原告商品の各販売枚数 及び売上代金に関するもの)は信用できるといえる。 また,前記ア(イ)のとおり,原告商品1ないし7はいわゆる定番商品であって,いったんセール価格で販売された後に,再び正規の価格で販売されることもあったため,原告の限界利益を計算する上では,セール価格ではなく平均価格で計算するのが合理的である。 ウ被告らは,原告が限界利益に関して十分な立証を行っていないと主張し, 具体的には,原告による立証は,①信用性のない証拠(甲61の2,152の1)や②真偽の検証が不能な証拠(発行者の記載がマスキングされた「納品書」等)に基づくほか,③証拠の裏付けがなく(「使用料」「当該生産回における生産枚数」),④原価とすべきもの(サンプル代)を原価としておらず,⑤その他立証が不十分である旨主張する。 しかし,被告が指摘するコスト表(甲61の2,甲152の1等)について,原告は,後に,マスキング部分を減らしたもの(被告らが問題とする「使用料」「当該生産回における生産枚数」などを開示したもの)を再提出しており(甲177ないし182),最終的に,原告の限界利益額を計算できるだけの証拠を提出したといえるし(上記①,③,⑤),また,納品書等の発行者名 などをマスキングすることは,営業秘密の保護の観点からやむを得ないものと解され,また各変動経費を計算する上で,上記マスキングがあるために,直ちにその真偽の検証が不能 また,納品書等の発行者名 などをマスキングすることは,営業秘密の保護の観点からやむを得ないものと解され,また各変動経費を計算する上で,上記マスキングがあるために,直ちにその真偽の検証が不能であるとはいえない(上記②)。さらに,サンプル代については,原告は,一部の商品についてのみサンプル代を原価としているものの,全ての原告商品にサンプルがあるとは限らないため,このよう な処理が不合理とはいえない(上記④)。したがって,被告らがるる主張するところを検討しても,結局,被告らの上記主張は採用できない。 なお,原告自身も,原告商品1,3ないし6について複数の商品番号が存在することを認めているが,この点につき,原告内部の商品管理上,商品番号を変更する必要が生じたためであり,商品としては同一であると説明して おり(原告準備書面19),問題とされている商品番号が一桁以外は同一であ ることも考慮すれば,原告の同主張を特段疑う理由もない。 また,原告は,販売委託料等について,原告における平成27年3月から平成29年2月までの2年分の全商品に係る販売委託料等の合計額が同期間の原告の全商品売上高合計に占める割合である●(省略)●を,原告商品1ないし7の販売単価に乗じて算出しているところ,このような計算方法は 合理的なものと認められる。 さらに,被告らは,原告の限界利益額を計算する際に広告費用を控除すべき旨主張するが,原告が原告商品1ないし7を追加的に販売する際に広告費用が追加的に必要になるとは認められないため,上記主張は採用できない。 エ被告らは,原告が販売価格にのみ消費税を加算し,変動費には消費税を加 算していないのが不合理であると主張する。しかし,原告による損害額の計算においては,原告の販 記主張は採用できない。 エ被告らは,原告が販売価格にのみ消費税を加算し,変動費には消費税を加 算していないのが不合理であると主張する。しかし,原告による損害額の計算においては,原告の販売価格から変動経費を控除した後に,消費税相当額が加算されているから,被告らの上記主張はその前提を欠く。 なお,被告らは,消費税相当額を加算すべき旨の原告の主張が時機に後れたものであるとして却下を求めるが,原告が加算すべき消費税率を実際の消 費税率にかかわらず一律5%であると主張していることも考慮すると,原告の上記主張により訴訟の完結は遅延しないから,民事訴訟法157条1項の要件に当たらない。 (4) 推定覆滅の有無及び割合についてア証拠(甲9,18ないし24,73,76,131ないし135,158 の1ないし6,161の1・2,162の1・2,164ないし169,183,乙9,10,37ないし42,74の1・2,78の1・2,79,87の6・7,134の1,135の1・2,136の2,146の1,147の7・10,168,169,170,171,173,175,176,178の2,191,201ないし204,205,被告A。書証につ いては枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められ る。 (ア) 被告商品の販売価格については,変動はあるものの,概ね,被告商品1は●(省略)●円,被告商品2は●(省略)●円,被告商品3は●(省略)●円,被告商品4は●(省略)●円,被告商品5は●(省略)●円,被告商品6は●(省略)●円,被告商品7は●(省略)●円(いずれも税込み) であった。 これに対し,原告商品の価格については,変動はあるものの,概ね,原告商品1は●(省略)●円,原告商品2は●(省略 品6は●(省略)●円,被告商品7は●(省略)●円(いずれも税込み) であった。 これに対し,原告商品の価格については,変動はあるものの,概ね,原告商品1は●(省略)●円,原告商品2は●(省略)●円,原告商品3・4は●(省略)●円,原告商品5は●(省略)●円,原告商品6は●(省略)●円,原告商品7は●(省略)●円(いずれも税抜き)であり,セー ルの際にも,せいぜい半額になる程度であった。 (イ) 原告は,原告商品につき,主として原告の店舗や百貨店などで販売している(少数ではあるがネット販売もしている。)のに対し,被告会社は,被告商品のほぼ全てを,実店舗ではなくインターネット上で販売しており,中でも楽天市場での売上げがその大部分を占めている。 なお,楽天市場での需要者は,一般に,価格が安いことを重視する者が多いとされている。 もっとも,原告と被告は,それぞれ同じ雑誌(「美人百花」)で商品を宣伝することもあった。 (ウ) 市場には,原告商品や被告商品と一定程度類似し,競合するような商品 が,多数存在していた。具体的には,商品1については乙37ないし42,74の1・2,商品2については乙87の6・7,商品3・4については乙78の1・2,乙146の1,商品7については乙79,147の7,10などに掲載された商品が挙げられる。 (エ) 原告は,株式会社オンワードホールディングスの傘下に入った平成21 年12月より前に,既に従業員225名,店舗数35店を有しており,広 告宣伝費として,平成27年3月1日から平成28年2月29日までに●(省略)●円を,平成28年3月1日から平成29年2月28日までに●(省略)●円を投入し,雑誌やテレビ番組でも宣伝広告を行っている。 また,原告において,平成27年 から平成28年2月29日までに●(省略)●円を,平成28年3月1日から平成29年2月28日までに●(省略)●円を投入し,雑誌やテレビ番組でも宣伝広告を行っている。 また,原告において,平成27年3月1日から平成28年2月29日までの総売上高は●(省略)●円であり,同年3月1日から平成29年2月 28日までの総売上高は●(省略)●円であった。 原告の店舗は,北海道から九州まで存在し,被告会社の本店が所在する九州にも複数店舗存在する。 なお,原告は,インターネット市場での販売数は少なく,実店舗での販売数がはるかに多い。 (オ) 他方で,被告会社は,資本金が1000万円,社員が30名程度(パート職員を含めると80名程度)の原告に比較すると小規模な会社であって,業者売上高は,平成26年4月から平成27年3月までが●(省略)●円,同年4月から平成28年3月までが●(省略)●円であり,広告宣伝費としては,平成26年4月から平成27年3月にかけて●(省略)●円を, 平成27年4月から平成28年3月にかけて●(省略)●円を投入していた。被告会社は,ネットでの販売(中でも楽天市場での販売)に特化しており,その販売戦略として,①マネキン着用の写真で販売ページを作成,商品登録,②有名モデルの写真を追加,③コーディネート例,生地の拡大写真,お客様の声など補足的情報の追加,④店舗内の看板部分に商品情報 を追加,⑤楽天市場広告による露出増加などの方策を講じていた。 被告会社は,楽天市場においては,比較的大きなシェアを有していた。 (カ) 原告は,基本的に34,36,38のサイズのみを取り扱っているところ,被告商品の中には,原告が取り扱っていない,大きなサイズの婦人服もあった(被告商品1のXLサイズ,被告商品7の2Lサイズ)。 原告は,基本的に34,36,38のサイズのみを取り扱っているところ,被告商品の中には,原告が取り扱っていない,大きなサイズの婦人服もあった(被告商品1のXLサイズ,被告商品7の2Lサイズ)。 イ上記アの認定事実を前提に検討する。 (ア) まず,価格についてみると,上記ア(ア)のとおり,被告商品の価格は●(省略)●円ないし●(省略)●円であって,被告商品2(●(省略)●円)を除き1万円以内(税込み)で購入できるのに対し,原告商品の価格は●(省略)●円(税抜き)ないし●(省略)●円(セール時でもせいぜい半額になる程度)であるから,被告商品は原告商品に比して相当安価で あって,両者にはかなり価格差があるというべきであり,それに伴って,需要者も相当異なるものと認められる。 また,販売方法についてみると,上記ア(イ)のとおり,被告会社がほとんどインターネット(楽天市場等)上で被告商品を販売しているのに対し,原告は,主として実店舗で原告商品を販売しているという違いがある。そ して,インターネット販売では試着等ができないため,必ずしも商品の細かいデザインや質感などにこだわらない者が購入する場合が多いと考えられる(現に,被告会社の売上高が最も多い楽天市場における需要者は,一般に,価格の安さを重視する者が多いとされている。)のに対し,店舗販売では試着等が可能であるため,デザイン等の細部にまでこだわりのある 者は基本的に店舗で購入するものと考えられるから,このような販売態様の差により,需要者層は,上記の価格差とも相まって,相当程度異なるものと認められる。 さらに,競合品についてみると,上記ア(ウ)のとおり,市場には,原告商品や被告商品と一定程度類似し,競合するような商品が,多数存在してい も相まって,相当程度異なるものと認められる。 さらに,競合品についてみると,上記ア(ウ)のとおり,市場には,原告商品や被告商品と一定程度類似し,競合するような商品が,多数存在してい たものである(なお,原告は,原告商品や被告商品の類似商品とされるものの多くは,原告商品の模倣品であると主張するが,同事実を認めるに足りる証拠はない。)。 これらの事情は,推定を覆滅させる方向の事情といえる。 (イ) 他方で,原告と被告会社を比較すると,上記ア(エ)(オ)のとおり,会社の 規模(売上高,従業員数,店舗数)の面では,原告が被告会社よりも相当 大きく,原告は被告会社よりも多額の広告費用をかけており,商品の製造・販売体制も整っているものといえ,この点は推定を強める方向の事情といえる。 (ウ) 以上説示した事情等を総合すると,本件においては,法5条1項所定の推定は5割の限度で覆滅されると認めるのが相当である。これに反する原 告の主張は採用できない。 ウなお,被告らは,推定覆滅事情として更に以下のような事情を指摘するが,これらの事情は,更に推定覆滅割合を増加させるものとは認めるに足りない。 すなわち,まず,被告らは,侵害品の特徴として,被告商品2,6,7においてはバリエーションがあるため,この点に応じた別個の需要があった旨 主張する。しかし,被告らが主張するバリエーションとは,襟とトップスに関して複数通りの着こなしができる(被告商品2),ネックレスが付加されていた(被告商品6),前後双方のフラウンスの長さのため,体型カバー力に優れる(被告商品7)といった程度であり,このようなバリエーションが,価格差以上に,消費者が原告商品ではなく対応する被告商品を選ぶ動機にな ったとは認めるに足りず,これ のため,体型カバー力に優れる(被告商品7)といった程度であり,このようなバリエーションが,価格差以上に,消費者が原告商品ではなく対応する被告商品を選ぶ動機にな ったとは認めるに足りず,これらをもって推定覆滅の事情とすることはできない。 また,被告らは,被告商品の一部につき原告商品とはサイズ展開が異なる点や,原告商品の一部につき既に販売が終了していた点などを指摘するが,これらについては,原告の企業規模からすれば,たとえそのような事情があ っても,原告が当該被告商品に対応する原告商品を製造・販売することは十分に可能であったというべきであり,推定を覆滅させるものとは認めるに足りない(なお,前記のとおり,被告らの主張(被告準備書面(19)等)を前提としても,当該被告商品の販売開始時の直近まで対応する原告商品が販売されていたことになる。)。 さらに,被告らは,楽天市場等における被告会社と原告のシェアに差があ ることを指摘する。確かに,楽天市場に限っては,被告会社のシェアが比較的大きいものと認められる(この点に関し,原告は,被告らが提出した乙168や191の信用性を争うが,これらは,被告らが,市場シェア調査サービスを利用して取得した証拠であり,その信用性は一応認められる。)が,本件において,問題となる市場は楽天市場だけではなく,婦人のドレス市場一 般であるところ,少なくとも楽天市場以外の市場において,原告と被告会社の市場シェアに関する適切な証拠はないから,これをもって直ちに推定覆滅の根拠とすることはできない。 また,被告らは,原告が卸売業者に対しても商品を一定程度販売していたことや,原告が被告会社の卸売業者とは取引がないことを指摘するが,これ らはいずれも推定を覆滅させる根拠とはいえない。 さら また,被告らは,原告が卸売業者に対しても商品を一定程度販売していたことや,原告が被告会社の卸売業者とは取引がないことを指摘するが,これ らはいずれも推定を覆滅させる根拠とはいえない。 さらに,被告らが金をかけて上位検索のためのSEO 対策を行ったとの点についても,同対策が特別なものとはいえず,原告がこのような対策を講じることも可能であるものと解される。その他,被告会社の宣伝広告に特に顕著なものがあったとは認めるに足りない。 したがって,被告らが主張する上記各事情は,推定覆滅割合を更に増加させるものとは認めるに足りない。 (5) 原告の損害額以上を前提として原告の損害額を計算すると,別紙「原告の限界利益及び損害額」の「原告の損害額(推定覆滅後)」欄記載のとおりとなり,具体的には, 商品1につき5508万2108円(小数点以下四捨五入,以下同様),商品2につき204万4073円,商品3につき273万2911円,商品4につき195万0117円,商品5につき15万2476円,商品6につき22万5282円,商品7につき6546万0013円となり,合計1億2764万6980円である。また,本件事案の性質,内容など本件に現れた一切の事情を 総合すると,弁護士費用のうち1280万円について原告の不正競争行為と因 果関係を有する損害と認めるのが相当である。 そうすると,原告の損害額合計は1億4044万6980円となる。 なお,弁護士費用相当額を除いた損害賠償金に対する遅延損害金の起算日については,不正競争行為時以後でなければならないところ,原告はこれを平成27年7月14日とする。しかし,前記3(2)のとおり,原告商品の保護期間が 満了したのは,原告商品1につき平成27年4月,原告商品2につき平 行為時以後でなければならないところ,原告はこれを平成27年7月14日とする。しかし,前記3(2)のとおり,原告商品の保護期間が 満了したのは,原告商品1につき平成27年4月,原告商品2につき平成29年7月,原告商品3及び4につき平成28年7月,原告商品5につき平成27年10月,原告商品6につき平成27年1月,原告商品7につき平成28年10月であるが,保護期間中のいずれの時期に上記損害額のどの部分が発生したかは明らかでない。そうであれば,本件における遅延損害金の起算日は,商品 1に係る損害額につき平成27年7月14日,商品2に係る損害額につき平成29年7月31日,商品3及び4に係る損害額につき平成28年7月31日,商品5に係る損害額につき平成27年10月31日,商品6に係る損害額につき平成27年7月14日,商品7に係る損害額につき平成28年10月31日とすべきである。 6 争点(6)(被告Aの責任)について被告Aは,被告会社の代表取締役であるところ,被告会社に対する任務懈怠につき悪意又は重過失がある場合には,これによって第三者に生じた損害を賠償すべき責任を負う(会社法429条1項)。 既に認定したとおり,被告会社は,原告商品1ないし7に依拠して,これらと 形態の実質的同一性を有する被告商品1ないし7を製造・販売したものであり,被告Aは,被告会社の代表取締役として,かかる不正競争行為に積極的に関わったものであるから,被告Aには悪意による任務懈怠が認められる。したがって,被告Aは,これによって第三者である原告に生じた前記5の損害を被告会社と連帯して賠償する責任を負うべきものである。 7 結論 以上によれば,原告の請求は,被告らに対し,損害賠償金1億4044万6980円及び別紙 生じた前記5の損害を被告会社と連帯して賠償する責任を負うべきものである。 7 結論 以上によれば,原告の請求は,被告らに対し,損害賠償金1億4044万6980円及び別紙遅延損害金目録記載の各金員(商品1ないし7に係る各損害額に対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金。なお,同目録記載1が商品1に係るもの,同目録記載2が商品2に係るもの,同目録記載3が商品3及び4に係るもの,同目録記載4が商品5に係るもの,同目録記載5が商品6に係るもの, 同目録記載6が商品7に係るものである。)の連帯支払を求める範囲で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官髙櫻慎平 裁判官矢口俊哉は転補のため署名押印できない。 裁判長裁判官沖中康人 (別紙) 遅延損害金目録 1 うち5508万2108円に対する平成27年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員 2 うち204万4073円に対する平成29年7月31日から支払済みまで年5 分の割合による金員 3 うち468万3028円に対する平成28年7月31日から支払済みまで年5分の割合による金員 4 うち15万2476円に対する平成27年10月31日から支払済みまで年5分の割合による金員 5 うち22万5282円に対する平成27年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員 6 うち6546万0013円に対する平成28年10月31日から支払済みまで年5分の割合に 員 5 うち22万5282円に対する平成27年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員 6 うち6546万0013円に対する平成28年10月31日から支払済みまで年5分の割合による金員 (別紙) 商品形態の具体的比較(原告の主張)(ア) 原告商品1及び被告商品1についてa 原告商品1(ブラック)と被告商品1(ノーブルブラック)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品1記載のとおりであり,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一であって,両者が相違するのは,ⅰ襟を留める部 分がファスナーか,2か所のフックか(⑫,⑫´),ⅱ襟口及び袖口のビーズ刺繍について幅が同じか,襟口のビーズ刺繍が幅広か(⑩,⑩´),ⅲ襟口及び袖口のビーズ刺繍の周方向の配置がより密か,疎か(⑪,⑪´)の3点にすぎない。 原告商品1の形態上の特徴は,襟口及び袖口の幅広のデザイン性を持 ったビーズ刺繍とそのビーズ刺繍のデザイン(ビーズの形状・大きさ・素材,各ビーズの配置パターン),ビーズ刺繍が施された襟口,袖口部分については,生地を重ねて厚みを持たせ,より張りが出るようにし,ビーズ刺繍が際立つようにしている点,ビーズ刺繍が施された襟口が少し立ち上がり,横方向に広めに開きがある点,細かいシボが立ったシャリ 感がある生地という点であるが,被告商品1もこれらの点について共通する形態を有している。 商品1にかかる3点の相違については,いずれも一見して識別できない微小な相違であり,原告商品1に比し手間もしくは費用を掛けない方向へ変更したものであるか,また被告会社の技術が未熟であるために原 告商品全体を完全には再現できなかったために生じた相違にすぎない。 よって,原告商品1と被告商品1は実質的に同一 を掛けない方向へ変更したものであるか,また被告会社の技術が未熟であるために原 告商品全体を完全には再現できなかったために生じた相違にすぎない。 よって,原告商品1と被告商品1は実質的に同一であるものである。 b パールアイボリー色の被告商品1は,a 原告商品1(ベージュ色)と同一の色彩である点(甲101参照),bフォーマルな衣料品としてありふれた色である点,及びc単色である点で,ベージュ色の原告商品1 から容易に着想可能な配色であり,むしろ被告商品1が原告商品1を模 倣したものであることを裏付けるものである。 また,クラシックネイビー色の被告商品1は,a 原告商品1(ブラック色)と同一の色彩である点(甲102参照),bフォーマルな衣料品としてありふれた色である点,及びc単色である点で,ブラック色の原告商品1から容易に着想可能な配色であり,上記被告商品1の存在は原 告商品1との実質的同一性の認定を強める方向に働く存在である。 以上より,原告商品1との実質的同一性が認められたブラック色の被告商品1に加えて,パールアイボリー色及びクラシックネイビー色の被告商品1についても,原告商品1と実質的に同一である。 c 被告らは,原告商品1について,①ストレート・シルエット,②8分 袖,③ワンピース,④襟口のビーズ刺繍(の存在),⑤袖口のビーズ刺繍(の存在)という点を挙げて,原告商品1の形態がありふれた形態である旨主張する。 しかし,「ありふれた形態」といえるためには,「商品全体の形態が同種の商品と比べて何の特徴もない」といえることが必要である(原告商 品1の全ての特徴について一致する先行商品がなければならない)ところ,原告商品1と被告商品1において共通する形態が全て先行商品に表れているような場合でない 」といえることが必要である(原告商 品1の全ての特徴について一致する先行商品がなければならない)ところ,原告商品1と被告商品1において共通する形態が全て先行商品に表れているような場合でない限り,「ありふれた形態」とはいえない。 被告らは,乙37ないし乙43までの計6点の衣服について,①ないし⑤の形態を全て兼ね備えていると主張するが,乙37・乙38の衣服 はボディラインに密着したタイトシルエットであり,①ストレート・シルエットの要件を欠く。また,乙39は,ウエストに絞りがある点で①ストレート・シルエットの要件を欠き,かつ袖の長さはヒップラインを越えている点で②8分袖の要件を欠く。乙40ないし乙43の衣服はそれぞれ裾に向けて徐々に広がっていくAラインである点で①ストレー ト・シルエットとの要件を欠く。また乙43の衣服は8分袖より袖が短 い点で②8分袖との要件を欠く。 なお,乙18については,原告商品1の販売開始前に存在した商品であるとの主張立証がないため,検討に値しない。 (イ) 原告商品2及び被告商品2についてa 原告商品2(ブラック)と被告商品2(クラシックネイビー)の形態 は,別紙「対比一覧表」の商品2記載のとおりであり,両者が相違するのは,ⅰレース素材のトップスが取り外せるか(⑧,⑧´),ⅱ背面ファスナーを下さなければレース素材トップスが左右に開かないか,首元パールボタンを起点に左右に開くか(⑨,⑨´),ⅲスカートのタックがインタックかアウトタックか(⑫,⑫´),ⅳつけ襟がついているか否か (⑯,⑯´)の4点にすぎない。 原告商品2及び被告商品2は,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一である。特に,原告商品2の形態上の特徴は,トップスが花柄のリバーレース生地で作成された7分袖・ク (⑯,⑯´)の4点にすぎない。 原告商品2及び被告商品2は,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一である。特に,原告商品2の形態上の特徴は,トップスが花柄のリバーレース生地で作成された7分袖・クロップト丈の総レース素材であり,このレース素材のトップスの下にはスカート部分がセミタイトスカ ートとなっている膝丈のタンクドレスが重なっているという点であるが,被告商品2もこれらの各点について共通する形態を有している。 商品2にかかる4点の相違のうち,ⅱ背面ファスナーを下ろさなければレース素材トップスが左右に開かないか,首元パールボタンを起点に左右に開くか,ⅲスカートのタックがインタックかアウトタックか,ⅳ つけ襟がついているか,いないかの3点については,相違点とは評価しえないか,又は実質的同一性に影響を与えない微小な相違である。 さらに,ⅳつけ襟がついているかどうかは,つけ襟が取り外し可能なものであることからすれば,被告商品2のつけ襟はドレスの付属物にすぎず,商品形態の比較は,あくまでドレス本体のみの形態を比較すれば 足りる。 また,法において「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚により認識することができる商品の外部の形態等及びその形態に結合した模様等をいうところ,被告商品2について,トップスを取り外さずにいることは需要者による通常の用法に従った使用といえ,トップスを取り外さない状態は被告商品2の形態ということが できる。したがって,トップスを取り外さない状態で実質的同一性があるとの判断に変わりはない。 以上のとおり,原告商品2と被告商品2とは実質的に同一であるものである。 b 原告商品2と被告商品2とでカラー展開が異なるとしても,まず,被 告商品2のクラシックネイビ 断に変わりはない。 以上のとおり,原告商品2と被告商品2とは実質的に同一であるものである。 b 原告商品2と被告商品2とでカラー展開が異なるとしても,まず,被 告商品2のクラシックネイビー色は,オケージョンドレスとして一般的な色合いであり,その着想は極めて容易である。 また,ベージュ&ブラック色の被告商品2は,a2種類の原告商品2(ベージュ色,ブラック色)の色彩を組み合わせた色彩である点(甲103参照),bフォーマルな衣料品としてありふれた色の組み合わせで ある点,dドレスとしてありふれた配色である点(甲104の1ないし8参照)からすると,ベージュ色及びブラック色の原告商品2から容易に着想可能な配色であり,当該色彩であることは被告商品2が原告商品2の模倣であることについて,何ら否定的な影響を与えるものではない。 さらに,ピンク&ネイビー色の被告商品2は,a2種類の原告商品1 (ベージュ色,ブラック色)の色彩と類似する色彩を組み合わせた色彩である点(甲105参照),かつdドレスとしてありふれた配色である点(甲106の1ないし5参照)から,ベージュ色及びブラック色の原告商品2から容易に着想可能な配色であり,当該色彩であることは被告商品2が原告商品2の模倣であることについて,何ら否定的な影響を与 えるものではない。 以上より,原告商品2と実質的同一性が認められたクラシックネイビー色に加えて,ベージュ&ブラック色及びピンク&ネイビー色の被告商品2についても,原告商品2と実質的に同一であるといえる。 c 被告らは,乙21(枝番を含む。)に基づき,原告商品2が「ありふれた形態である」旨主張するが,当該各商品が原告商品2の販売開始前に 存在した商品であるとの主張立証がなく,検討に値しない。 告らは,乙21(枝番を含む。)に基づき,原告商品2が「ありふれた形態である」旨主張するが,当該各商品が原告商品2の販売開始前に 存在した商品であるとの主張立証がなく,検討に値しない。 (ウ) 原告商品3及び被告商品3についてa 原告商品3(ネイビー(2色))と被告商品3(ダークネイビー)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品3記載のとおりであり,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一であって, 両者が相違するのは,ⅰ縦ラ ッフルの有無(⑥,⑥´),ⅱ前面バストトップ上部分まで1,2段目のフラウンスがつながっているか,別布か(⑦,⑦´),ⅲ大きなフラウンスの段数(③,③´),ⅳ背面のフラウンスの有無の4点にすぎない。 このように,商品3は基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一である。特に,原告商品3の形態上の特徴は,(イ)2色のフラウンスによるア シメントリーなティアードシルエットのドレスであり,(ロ)隣り合う生地は原則として違う色の布地が使用されているという点であるが,被告商品3もこれらの点について共通する形態を有している。 商品3にかかる4点の相違については,いずれも前部1段目及び2段目のフラウンスを構成する生地の存否により生じたものである。 そして,特徴的形態が利用されている場合には,微細な相違点があっても,かかる相違点が,原告商品に比し手間若しくは費用を掛けない方向へ変更したものであるか,又は婦人服という商品の性質上極めて容易な変更であるといえる場合には,両商品は実質的に同一であるといえる。 この点,上記4点の相違点は,前部1段目及び2段目のフラウンスを 構成する生地を単に取り除くという改変であって,原告商品3に比し手 間若しくは費用を掛けない方向へ変更したものであり,かつ婦人 上記4点の相違点は,前部1段目及び2段目のフラウンスを 構成する生地を単に取り除くという改変であって,原告商品3に比し手 間若しくは費用を掛けない方向へ変更したものであり,かつ婦人服という商品の性質上極めて容易な変更であるといえる。以上からすれば,上記4点の微細な相違点が存しても,原告商品3と被告商品3は実質的に同一であることは明らかである。 b ローズピンク色の被告商品3の色彩は,a ベージュ(2色)色の原告 商品3の色彩と同一又は極めて類似している点(甲107),かつe その配色は,原告商品3を基礎としたグラデーション配色という配色の基本的手法に則り容易に着想可能な配色である点で,ベージュ(2色)色の原告商品3と実質的に同一であり,当該色彩であることは被告商品3が原告商品3の模倣であることについての裏付けとなるものである。 また,ラベンダーモーブ色の被告商品3は,e 原告商品3(ベージュ(2色)色)及び同商品を模倣したローズピンク色の被告商品3を基礎として,同一トーン配色による配色の着想,及び当該商品のグラデーション配色という配色の着想は基本的手法に則ったものであり,容易に着想可能な配色である(甲108)ことから,当該色彩であることは被告 商品3が原告商品3の模倣であることについて,何ら否定的な影響を与えるものではない。 以上より,ローズピンク色,ラベンダーモーブ色の被告商品3についても,原告商品3と実質的に同一であるといえる。 c 被告らは,乙23に基づき,原告商品3が「ありふれた形態である」 旨主張するが,当該各商品が原告商品3の販売開始前に存在した商品であるとの主張立証がないため,検討に値しない。 (エ) 原告商品4及び被告商品4についてa 原告商品4(ネイビー(2 旨主張するが,当該各商品が原告商品3の販売開始前に存在した商品であるとの主張立証がないため,検討に値しない。 (エ) 原告商品4及び被告商品4についてa 原告商品4(ネイビー(2色))と被告商品4(ヘブンリーブルー)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品4記載のとおりであり,唯一, 前面の小さなフラウンス15枚が存在しないという相違を除き,基本 的形態が一致し具体的形態も同一である。特に,原告商品4の形態上の特徴は,(イ)2色のフラウンスによるアシメントリーなティアードシルエットのドレスであり,(ロ)隣り合う生地は原則として違う色の布地が使用されているという点であるが,被告商品4もこれらの点について共通する形態を有している。 商品4にかかる相違は,小さなフラウンス15枚の存否という1点のみであるが,特徴的形態が利用されている場合には,多少の相違点があってもなお実質的同一であるといえる。そして,上記の相違点は,小さなフラウンス15枚を単に取り除くという改変にすぎず,その着想としても容易であり,原告商品4に比し手間若しくは費用を掛 けない方向へ変更したものであり,かつ婦人服という商品の性質上極めて容易に変更できるものである。 よって,原告商品4と被告商品4とは実質的に同一である。 b 被告商品4のカナリアイエローを構成する黄色と白,ブラッドオレンジを構成するオレンジと白,ヘブンリーブルーを構成する青と白 は,アパレルにおける色彩として一般的な色合いであり,色遣いの着想は容易であり,また,バイカラーの色遣いを行うとの着想も極めて容易である。 また,カナリアイエロー色の被告商品4は,aバイカラーのうち濃い色の布地についてはイエロー色の原告商品4と一致し(甲109), かつこれと薄 ラーの色遣いを行うとの着想も極めて容易である。 また,カナリアイエロー色の被告商品4は,aバイカラーのうち濃い色の布地についてはイエロー色の原告商品4と一致し(甲109), かつこれと薄い色の布地を組み合わせたバイカラーの配色は,ベージュ(2色)色の原告商品4やネイビー(2色)色の原告商品4と同様の同一色相におけるグラデーション配色であること,eグラデーション配色,同一トーン配色という配色の基本的手法に則り容易に着想可能な配色であることから,イエロー色,及び上記バイカラーの原告商 品4と実質的に同一であって,当該色彩であることはカナリアイエロ ー色の被告商品4が原告商品4の模倣であることを裏付けるものであるといえる。 さらに,ブラッドオレンジ色の被告商品4は,aバイカラーのうち濃い色の布地についてはレッド色の原告商品4と一致し(甲110),かつこれと薄い色の布地を組み合わせたバイカラーの配色は,ベージ ュ(2色)色の原告商品4やネイビー(2色)色の原告商品4と同様の同一色相におけるグラデーション配色であること,eグラデーション配色という配色の基本的手法に則り容易に着想可能な配色であることから,レッド色の原告商品4,及び上記バイカラーの原告商品4と実質的に同一であって,当該色彩であることはブラッドオレンジ色の 被告商品4が原告商品4の模倣であることを裏付けるものであるといえる。 以上より,カナリアイエロー色,及びブラッドオレンジ色の被告商品4についても,原告商品4と実質的に同一であるといえる。 c 被告らは,乙23に基づき,原告商品4が「ありふれた形態である」 旨主張するが,当該各商品が原告商品4の販売開始前に存在した商品であるとの主張立証がないため,検討に値しない。 (オ) 原告商品 告らは,乙23に基づき,原告商品4が「ありふれた形態である」 旨主張するが,当該各商品が原告商品4の販売開始前に存在した商品であるとの主張立証がないため,検討に値しない。 (オ) 原告商品5及び被告商品5についてa 原告商品5(ナチュラル/ブラック)と被告商品5(アイボリー)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品5記載のとおりであり,両者が相違 するのは,ⅰトップス,ボトムスのいずれも,側面視においても大きなビーズ刺繍が見えるか,小さなビーズ刺繍のみが見えるか(⑬,⑬´),及びⅱトップスが取り外し可能かどうか(⑰,⑰´),ⅲトップスの丈の長短(⑱,⑱´)の3点にすぎず,それ以外の点については,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一である。 特に,原告商品5の形態上の特徴は,トップス裾とスカート裾がスカ ラップ裾となっており,各裾部分に大きな草花モチーフのビーズ刺繍があしらわれている点,当該ビーズ刺繍のデザインであるが,被告商品5もこれらの点について共通する形態を有している。 商品5にかかる上記3点の相違点は,そもそも相違点とはいえないか,同一性判断に影響する相違点とはいえないか,極めて容易な改変であっ て,同一性判断に影響を与えるものではない。 まず,ⅰ被告商品5の側面視における刺繍は,他の部分と比較し,小さくシンプルなものであるが,デザインを施した刺繍があるという印象を与える程度の大きさはあること,また小さな刺繍のデザインは,大きな刺繍の最も下部部分の刺繍デザインをそのまま引用したデザインと なっており,大きな刺繍との一体感があること,また小さな刺繍が施されている部分は,着用時には腕等で見えにくい部分であるといえる。 一方で,被告商品5の側面の小さな刺繍への改変は,複雑で手間や費用もか っており,大きな刺繍との一体感があること,また小さな刺繍が施されている部分は,着用時には腕等で見えにくい部分であるといえる。 一方で,被告商品5の側面の小さな刺繍への改変は,複雑で手間や費用もかかる大きな刺繍の上部部分の刺繍を割愛し製作の手間を省く改変であって,極めて容易である。そして,側面視における刺繍の相違は, 着用時には腕等で見えない部分であることを併せ考えれば,需要者の受ける印象に影響を与えないものであり,かつ極めて容易な改変であって,原告商品5と被告商品5の形態は実質的に同一である。 トップスが取り外し可能かどうかは,機能を付加したものにすぎず,被告商品5について,トップスを取り外さずにいることは需要者 による通常の用法に従った使用といえるところ,トップスを取り外さない状態は被告商品5の形態ということができる。したがって,トップスを取り外さない状態で実質的同一性があるとの判断に変わりはない。 また,ⅲトップスの丈の長短に関し,被告らが差異を指摘するトッ プスのウエスト上部からスカラップ裾部分までは,花等のモチーフの 大きなビーズ刺繍が施されているところ,トップスの丈の長さのわずかな差異は,大きなビーズ刺繍の強い印象に劣後するものであって,結果として微小な差異にとどまり,需要者の受ける印象に影響を及ぼすものではない。一方,トップスの丈を若干長くするという程度の改変は,婦人服という性質上極めて容易に行うことができるものであっ て,当該相違点は,同一性判断に影響を与えることはない。 よって,原告商品5と被告商品5は実質的に同一である。 b ブラック色の被告商品5は,a ナチュラル/ブラック色の原告商品5のうちスカート部分と同一の色彩である点(甲111),bフォーマルな衣料品としてありふれた 5と被告商品5は実質的に同一である。 b ブラック色の被告商品5は,a ナチュラル/ブラック色の原告商品5のうちスカート部分と同一の色彩である点(甲111),bフォーマルな衣料品としてありふれた色である点,及びc単色である点で,ナチ ュラル/ブラック色の原告商品5と実質的に同一であって,ブラック色の被告商品5の存在は原告商品5の模倣を裏付けているといえる。 また,スモーキーブルー色の被告商品5は,a グリーン色の原告商品5と近似し,トーンが一致する色彩である点(甲112),c単色である点,及びe同一トーンでの配色であり,配色手法として基本的な発 想であるといえる点で,当該色彩は被告会社にとって容易に着想可能な配色である。そうするとスモーキーブルー色の被告商品5は,原告商品5との実質的同一性を強める方向に働く商品である。 さらに,ピンクベージュ色の被告商品5は,c単色であり,かつeベージュ色の原告商品5やグリーン色の原告商品5を基礎として,同一ト ーン配色による配色の着想は基本的手法に則ったものであり,容易に着想可能な配色である(甲113参照)。そうすると,ピンクベージュ色の被告商品5は,原告商品5との実質的同一性を強める方向に働く商品となるものである。 以上より,ブラック色,スモーキーブルー色及びピンクベージュ色の 被告商品5についても,原告商品5と実質的に同一であるといえる。 c 被告らは,乙24及び25の商品の存在をもって原告商品5が「ありふれた形態である」旨主張する。しかし,「ありふれた形態」といえるためには,「商品全体の形態が同種の商品と比べて何の特徴もない」ことが必要であるところ,原告商品5と被告商品5の特徴的形態の一つは,スカラップ裾部分に付された草花をモチーフにしたビーズ刺繍 いえるためには,「商品全体の形態が同種の商品と比べて何の特徴もない」ことが必要であるところ,原告商品5と被告商品5の特徴的形態の一つは,スカラップ裾部分に付された草花をモチーフにしたビーズ刺繍 のデザインであるが,乙24及び25の商品はいずれも同ビーズ刺繍のデザインと一致するビーズ刺繍ではないから,原告商品5は「ありふれた形態」にはあたらない。 (カ) 原告商品6及び被告商品6についてa 原告商品6(ベージュ/ピンク)と被告商品6(アンティークコー ラル&ベージュ)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品6記載のとおりであり,次の各点以外,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一である。両者が相違するのは,ⅰ全体の丈の長さ(⑪,⑪´),ⅱネックレスがセットになっているか(⑳,⑳´),ⅲトップス前面縦方向にフラウンスがあるか(㉑,㉑´),ⅳ地模様の刺繍があるか(㉙,㉙ ´)の4点にすぎない。 そして,原告商品6の形態上の特徴は,トップスの表面にサテン地,裏地にスムースニット生地を使用している点,背中に大き目のギャザーが寄せられている点,ボトムス上部に大き目のビーズ刺繍があしらわれていること及びそのデザイン,表地の脇下部分の大きな開き から裏地のスムースニット生地という点であるが,被告商品6もこれらの点についてすべて同一の形態を有している。 商品6にかかる相違点のうち,ⅱネックレスがセットになっているか,ⅲトップス前面縦方向にフラウンスがあるか,ⅳ地模様の刺繍があるかという3点については,いずれも微小な相違であるか,原告商 品6に比し手間や費用を掛けない方向へ変更したものか,又は被告会 社の技術が未熟であるために原告商品全体を完全には再現できずに生じた相違にすぎない。 なお,ネックレスが取り外 商 品6に比し手間や費用を掛けない方向へ変更したものか,又は被告会 社の技術が未熟であるために原告商品全体を完全には再現できずに生じた相違にすぎない。 なお,ネックレスが取り外し可能なものであることからすれば,被告商品6はネックレスがドレスに付属した商品であるといえ,被告商品6にネックレスが付属していたとしても,商品形態の比較は,あく までドレス本体のみの形態を比較すれば足りる。 ⅰ全体の丈の長さが異なるとの相違点については,裏地がスムースニット生地という伸縮性に優れた素材であり,商品6は腰回りでフィットすることを考え合わせると,着用時にはその差はほぼ認識できない程度であり,ごく微小な差異にすぎない。 よって,原告商品6と被告商品6とは実質的に同一である。 b 被告商品6のピーコックグリーン&ベージュ,モカ&ブルーは,原告商品6にも使われた色合いであるか,又はアパレルとして一般的な色合いであり,カラー展開として当該色を採用する着想は極めて容易である。 ピーコックグリーン&ベージュ色の被告商品6については,aトップスの色が原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック色,及びレッドブラウン/ベージュ色)と類似又は同一トーンで近似の色相であって(甲114,98),dボトムスの配色がトップスの色との関係で一般的にありふれた配色である(甲115)ことからすると,被告会社 は,その色彩について,原告商品6に基づき,容易に着想することができたといえる。 したがって,ピーコックグリーン&ベージュ色の被告商品6は,何ら原告商品6と被告商品6の実質的同一性につき否定的な影響を与えるものではない。 また,モカ&ブルー色の被告商品6については,aトップスの色が 原告商品6(ピーコックグリ は,何ら原告商品6と被告商品6の実質的同一性につき否定的な影響を与えるものではない。 また,モカ&ブルー色の被告商品6については,aトップスの色が 原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック色,及びレッドブラウン/ベージュ色)及びこれと極めて類似するピーコックグリーン&ベージュ色の被告商品6と同一トーンであって,dトップスの色とボトムスの配色が一般的にありふれた配色であるといえる(甲116参照)(枝番を含む。)ことからすると,被告らは,その色彩について,原告商品 6に基づき容易に着想できたものである。 したがって,モカ&ブルー色の被告商品6は,何ら原告商品6と被告商品6の実質的同一性につき否定的な影響を与えるものではない。 以上より,ピーコックグリーン&ベージュ色,モカ&ブルー色の被告商品6についても,原告商品6と実質的に同一であるといえる。 (キ) 原告商品7及び被告商品7についてa 原告商品7(ブラック)と被告商品7(ノーブルブラック)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品7記載のとおりであり,基本的形態が一致し具体的形態もほぼ同一である。 両者が相違するのは,ⅰ背面にレース生地が配置されているか(⑨, ⑨´),ⅱフラウンスの長さ(⑩,⑩´),ⅲ背面フラウンスのフリルの入り方(⑪,⑪´),ⅳレース生地の密度(⑫,⑫´),ⅴ肩口のレース脇に黒色部分が存在するか否か(⑬,⑬´),ⅵテーパードの度合い(⑳,⑳´)の6点のみである。 そして,原告商品7の形態上の特徴は,首元からバストトップ切り替 え位置までレース素材が使用され,レース素材のすぐ下に大き目のフラウンスが配置されていること,そのフラウンスはフリルを形成しながら背面まで連続して続き,かつ背面にいくに従ってフラウンスの幅が徐々に え位置までレース素材が使用され,レース素材のすぐ下に大き目のフラウンスが配置されていること,そのフラウンスはフリルを形成しながら背面まで連続して続き,かつ背面にいくに従ってフラウンスの幅が徐々に広くなり,背面まで斜めにつながっているという点であるが,被告商品7もこれらの点について共通する形態を有している。 商品7にかかる6点の相違については,いずれの相違も微小な相違で あるか,原告商品7に比し手間や費用を掛けない方向へ変更したものか,被告会社の技術が未熟であるために原告商品全体を完全には再現できなかったものであるか,婦人服という性質上極めて容易に変更できるものである。 まず,ⅰ原告商品7は背面上部にレース生地が配置されているが,被 告商品7については背面上部に透け感がある生地が配置されているという相違点については,被告商品7の生地もレースとほぼ同様に下の肌が透けて見えるから,需要者の受ける印象に影響はない。仮に,上記のわずかな相違点があるとしても,レース生地を単なる透け感がある生地へ変更するとの改変は,原告商品7に比し手間もしくは費用を掛けない 方向であり,かつ婦人服という性質上極めて容易に変更できるものであるから,同相違点が同一性判断に与える影響はない。 ⅱ被告商品7のフラウンスの丈は原告商品7より長いという相違点については,被告商品7のフラウンスにおいて,原告商品7のフラウンスの長さを一律に若干長くするという改変を施したにすぎず,同改変に よって,前面・背面における需要者に与える印象を変えるものではなく,かつ,婦人服の性質上,同変更が極めて容易であることからすると,当該相違点は,同一性判断には影響を与えない。 ⅲ被告商品7は原告商品7に比し,背面フラウンスのフリルがほとんど形成されていな なく,かつ,婦人服の性質上,同変更が極めて容易であることからすると,当該相違点は,同一性判断には影響を与えない。 ⅲ被告商品7は原告商品7に比し,背面フラウンスのフリルがほとんど形成されていないという相違は,フリルを形成するという製作の手間 を省き,また生地の使用を少なくする変更であって,原告商品7に比し手間もしくは費用を掛けない方向へ変更したものである。 そして,背面に大きなフラウンスが存在するという大きな特徴の下では,フリルが形成されているか否かの差は需要者の受ける印象に影響を与えるものではない。 ⅳ被告商品7は原告商品7に比し,レースの密度が低いという相違に ついては,より価格の安いレースに変更したものであり,原告商品7に比し費用を掛けない方向へ変更したものである。また,商品7のレースはいずれも花をモチーフにしたレースであるところ,花柄のレースという大きな共通点の下では,密度の差は需要者の受ける印象にさしたる影響を与えないと考えられる。 ⅴ被告商品7は原告商品7に比し,肩口のレース脇に黒色部分が形成されていないという相違は,レース脇の黒色部分を形成するという製作の手間を省き,また構成をより簡単にする変更であって,原告商品7に比し手間もしくは費用を掛けない方向へ変更したものである。また,婦人服の特性上,より構成を単純化する黒色部分の削除は容易に行いうる 変更であり,かつ当該黒色部分の形成は,高い縫製技術が必要とされるところ,被告会社の技術が未熟であるために原告商品全体を完全には再現できなかったものである可能性もある。 花柄モチーフのレースが大きく配置されているという大きな特徴の下では,その両脇に黒色部分があるか否かの差は,需要者の受ける印象 にさしたる影響を与えないと考えられる ものである可能性もある。 花柄モチーフのレースが大きく配置されているという大きな特徴の下では,その両脇に黒色部分があるか否かの差は,需要者の受ける印象 にさしたる影響を与えないと考えられる。 ⅵ被告商品7はテーパードの度合いがより大きく,原告商品7はより小さいという相違点があるが,いずれもテーパードというシルエットは同一であり,単にその度合いがわずかに異なるという状況にとどまり,このテーパードの度合いの差異は需要者の受ける印象に影響を与えな い些細な差異であるといえる。 よって,原告商品7と被告商品7とは実質的に同一である。 b ロイヤルベージュ色の被告商品7は,その色彩が,a ナチュラル/ブラック色の原告商品7のトップス部分の色彩と同一の色彩である点(甲117),bフォーマルな衣料品としてありふれた色である点,及びc 単色である点で,被告会社が,その色彩について,容易に着想すること ができたといえる。したがって,ロイヤルベージュ色の被告商品7は,ナチュラル/ブラック色の原告商品7と実質的に同一であって,原告商品7の模倣であることをより強めるものである。 また,クラシックネイビー色の被告商品7は,a ブラック色の原告商品7と類似する色彩であり(甲118),bフォーマルな衣料品として ありふれた色であり,c単色であることから,被告会社が,その色彩について,容易に着想することができたといえる。したがって,クラシックネイビー色の被告商品7は,ブラック色の原告商品7と実質的に同一であって,クラシックネイビー色の被告商品7はブラック色の原告商品7の模倣性を裏付ける商品であるといえる。 さらに,ベージュ&ブラック色の被告商品7については,aナチュラル/ブラック色の原告商品7の色彩と同一であって(甲 被告商品7はブラック色の原告商品7の模倣性を裏付ける商品であるといえる。 さらに,ベージュ&ブラック色の被告商品7については,aナチュラル/ブラック色の原告商品7の色彩と同一であって(甲119),ベージュ&ブラック色の被告商品7はナチュラル/ブラック色の原告商品7の模倣であることを裏付ける商品であるといえる。 以上より,ロイヤルベージュ色,クラシックネイビー色及びベージュ &ブラック色の被告商品7についても,原告商品7と実質的に同一であるといえる。 c 被告らは,乙26及び28(枝番を含む。)の商品が存在することをもって原告商品7が「ありふれた形態である」旨主張するが,「ありふれた形態」といえるためには,「商品全体の形態が同種の商品と比べて何の 特徴もない」といえることが必要である。しかし,原告商品7と被告商品7の特徴的形態である,首元からバストトップ切り替え位置までレース素材が使用され,レース素材のすぐ下に大き目のフラウンスが配置され,そのフラウンスはフリルを形成しながら背面まで連続して続き,かつ背面にいくに従ってフラウンスの幅が徐々に広くなり,背面まで斜め につながっているという点は,乙26及び28(枝番を含む。)の商品は いずれも備えていない。したがって,原告商品7は「ありふれた形態」にはあたらない。 なお,被告は,乙29(枝番を含む。)も「ありふれた形態」の根拠として挙げるが,当該各商品が原告商品7の販売開始前に存在した商品であるとの主張立証がないため,検討に値しない。 (ク) 原告商品8及び被告商品8についてa 原告商品8(パープル/ベージュ)と被告商品8(グレー)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品8記載のとおりであり,次の各点以外,基本的形態が一致し,具体的形態もほぼ 商品8及び被告商品8についてa 原告商品8(パープル/ベージュ)と被告商品8(グレー)の形態は,別紙「対比一覧表」の商品8記載のとおりであり,次の各点以外,基本的形態が一致し,具体的形態もほぼ同一である。両者の相違点は,ⅰ背面腰部にベルトが施されているか否か(⑨,⑨´),ⅱベルト部分の装飾 の幅(⑩,⑩´),ⅲ素材(㉓,㉓´)の3点にすぎない。 原告商品8の形態上の特徴は,表地にシルクジョーゼット生地,下地に光沢のあるサテン地を合わせ,背中心部分を左右に開くようにしその開いた部分から下地の光沢あるサテン地がのぞくようなデザインになっている点であるが,被告商品8もこれらの点についてすべて共通する 形態を有している。 商品8にかかる3点の相違点のうち,ⅰベルトが施されている位置にかかる主張については,前面腰部に施したベルト装飾を背面腰部に同じように施すという改変は,婦人服という特性上,極めて容易な変更であって,実質的同一性の判断に影響を与えない。 ⅱベルト装飾の幅についての相違は,複雑なベルト装飾をより簡易かつ範囲が狭いデザインに変更するという改変にすぎず,原告商品8に比し手間もしくは費用を掛けない方向へ変更したものであり,また被告会社の技術が未熟であるために原告商品全体を完全には再現できなかった可能性があり,いずれにせよ婦人服という性質上極めて容易に変更で きるものであった。 ⅲ原告商品8の素材はシルクであるのに対し,被告商品8の素材はポリエステルであるという相違点であるが,一般にポリエステルは安価にシルクに代替する素材として使用されており,素材がシルクか素材がポリエステルかにより直接的に需要者に異なる印象を与えることはない。 よって,原告商品8と被告商品8とは,実質的に同一である。 価にシルクに代替する素材として使用されており,素材がシルクか素材がポリエステルかにより直接的に需要者に異なる印象を与えることはない。 よって,原告商品8と被告商品8とは,実質的に同一である。 b 被告商品8の各色は,特にアパレルとして一般的な色合いであり,色遣いについて容易に着想でき,またバイカラーを単色に変更することも容易に着想し得るものであるから,カラー展開が異なるとしても実質的同一性が否定されるものではない。 c 原告商品8については,先行商品が存在することが判明し,その販売 開始日は少なくとも2年以上前である。先行商品が原告商品8と実質的に同一である場合には,被告らが原告商品8の「ありふれた形態」である旨の証拠として提出した一連の証拠をもってしても,原告商品8が「ありふれた形態」であったとはいえない。 以上 (別紙) 商品形態の具体的比較(被告らの主張)(ア) 原告商品1及び被告商品1についてa 原告商品1(ブラック)と被告商品1(ノーブルブラック)には,少なくとも,①襟を留める部分がファスナーかフックか,②ショルダーラインがドロップショルダーか,ハイショルダーか,③襟口と袖口 のビーズ刺繍の幅,④襟口及び袖口のビーズ刺繍の周方向の配置間隔といった相違点がある。 まず,相違点①は,その着脱に関わる形態であるため,需要者が注目する形態であり,当該差異によって異なる形態的効果が生じるものであるから,かかる相違点は些細なものとはいえない。 また,相違点②につき,ドロップショルダーの場合は,肩先が落ちたようになって,カジュアルな雰囲気になるのに対し,ハイショルダーの場合はそのような雰囲気を有しない点で,印象は大きく異なる。 さらに,原告商品1と被告商品1について ショルダーの場合は,肩先が落ちたようになって,カジュアルな雰囲気になるのに対し,ハイショルダーの場合はそのような雰囲気を有しない点で,印象は大きく異なる。 さらに,原告商品1と被告商品1については,③襟口と袖口のビーズ刺繍の幅に関し,(イ) 原告商品1の襟口のビーズ刺繍の幅は約5cmで, ビーズの列が9列あるのに対し,被告商品1の襟口のビーズ刺繍の幅は約4.3cmで,ビーズの列は7列しかない点,(ロ) 原告商品1の袖口のビーズ刺繍の幅は約5cmで,ビーズの列が9列あるのに対し,被告商品1の袖口のビーズ刺繍の幅は約3.5cmで,ビーズの列は7列しかない点において,それぞれ相違する。 さらに,④襟口及び袖口のビーズ刺繍の周方向の配置間隔については,原告商品1はビーズ同士がほぼ隙間なく配置されているのに対し,被告商品1はビーズ同士の間に広めの間隔を設けて配置されているという点で相違する(乙55)。 このように,原告商品1と被告商品1には,ビーズ部分の幅及び密度 に大きな相違が存在し,その輝き,ゴージャス感及び華やかさという点 で大きな差異が生じている。また,襟元及び袖口にビーズ刺繍を施す商品形態は,後記cのとおり,ありふれたものであるところ,ビーズ刺繍の施し方が同一でない商品について,実質的同一性を認めることはできない。 さらに,原告が共通点であると主張する点のうち,⑧「ビーズ刺繍に は,パール,ストーン,ラインストーン,ビーズが一定のパターンで配置されており」及び⑨「当該パール,ストーン,ラインストーン,ビーズの形状が被告商品1と一致」については,配列パターンが異なっており,そもそも共通点ではなく相違点である。また,④「襟口・袖口のビーズ刺繍が施されている幅で生地を重ねて厚みを持たせ」との点は, ビーズの形状が被告商品1と一致」については,配列パターンが異なっており,そもそも共通点ではなく相違点である。また,④「襟口・袖口のビーズ刺繍が施されている幅で生地を重ねて厚みを持たせ」との点は,証 拠上確認できない形態である(いずれにしても,襟口・袖口の生地の厚みは需要者が着目する形態ではない。)。⑬「細かいシボが立つ,シャリ感」についても,証拠上一切表れていない。さらに,⑦「袖口と襟口に4~5cm幅の幅広ビーズ刺繍が施されている」点については,原告商品1(ブラック)と被告商品1(ブラック)のビーズ刺繍の幅は異なる 上,被告商品1(ブラック)の袖口のビーズ刺繍の幅は約3.5cmであるから,その共通点はせいぜい襟口にビーズ刺繍が施されていること,及び袖口にビーズ刺繍が施されていることの2点にすぎない。 b 原告は,原告商品1(ベージュ)と被告商品1(パールアイボリー)の形態,及び原告商品1(ブラック)と被告商品1(クラシックネイビ ー)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,原告商品1(ベージュ)と被告商品1(パールアイボリー)の形態には,原告商品1(ベージュ)は白みがかった明るいベージュであるのに対して,被告商品1(パールアイボリー)は黄みがかった暗めのベージュであるとの相違点がある。 また,原告商品1(ブラック)と被告商品1(クラシックネイビー) についても,少なくとも被告商品1の「クラシックネイビー」は,原告商品1には存在しない色彩であるところ,ネイビーはブラックよりも青味がかった色であり,ブラックよりも華やかになる点で全体的印象が異なり,需要者に与える印象を大きく左右する。したがって,当該相違点は実質的同一性の判断において重視されるべきである。 c 原告 味がかった色であり,ブラックよりも華やかになる点で全体的印象が異なり,需要者に与える印象を大きく左右する。したがって,当該相違点は実質的同一性の判断において重視されるべきである。 c 原告が原告商品1の特徴であると主張する5つの点を備えた形態は,既に存在するありふれたものであった。具体的には,①「ストレートシルエット」は,乙19の4,19の6,19の7,37~43,44,46,48に,②「8分袖」は,乙19の2,37~43,46,47,49,52,53に,③「ワンピース」は,乙19の1ないし3,19 の5ないし7,37~43,44~51,54に,④「襟口のビーズ刺繍」は,乙19の1ないし7,37~43,44~54に,⑤「袖口のビーズ刺繍」は,乙19の2及び3,37~53に掲載されており,いずれも原告が原告商品1の販売開始日であると主張する平成24年7月19日以前でもありふれた形態であった。さらに,上記①ないし⑤を 備える先行商品が更に発見された(乙74)ほか,⑥「パール,ストーン,ラインストーン,ビーズ」による刺繍にかかる形態についても,先行商品にみられる形態である(乙75~77)。 以上のような,ありふれた非創作的形態が共通することをもって,実質的同一性を肯定することはできない。 さらに,「細めのストレート・シルエット」であることにつき乙19の4,19の6,39ないし41,43,44,47,74,「襟口については少し立ち上がるようになっている」ことにつき乙19の1,19の5,39,40,43,46,47,50,52,54,99の3,「襟口について横方向に広めに開きがある」ことにつき乙19の3,19の 6及び7,37,38,45,49,53,74ないし77に,それぞ れ掲載されており ,52,54,99の3,「襟口について横方向に広めに開きがある」ことにつき乙19の3,19の 6及び7,37,38,45,49,53,74ないし77に,それぞ れ掲載されており,いずれもありふれた形態である。 (イ) 原告商品2及び被告商品2についてa 原告商品2(ブラック)と被告商品2(クラシックネイビー)には,少なくとも,①襟なしのラウンドネックであり,かつレース素材のトップスと膝丈のタンクドレスを合わせた形態のみを有するのか, それとも襟ありラウンドネックの形態,タンクドレスにレースの襟のみを付けた形態,及びタンクドレスのみといった形態をも有するか否かという点,②背中側において,ファスナーを下ろすことによらなければレース素材のトップスが左右に開かないのか,ファスナーを下ろさずとも,首元のパールボタンを起点にして左右に開くかのかどうか という点,③スカート前面におけるタックの取り方,④ウエスト,腰,及び裾にかけてのシルエット,⑤ネックの開き具合といった相違点が存在する。 まず,被告商品2は,襟及びレース素材のトップスを「必要に応じて」取り外すことができ,これによって,a「襟あり・トップスあ り」,b「襟なし・トップスあり」,c「襟あり・トップスなし」,d「襟なし・トップスなし」という4通りの商品形態を有するものであるのに対し,原告商品2は,「b」の形態しか有しないという相違点がある(相違点①)。 そして,特に被告商品2の「c」及び「d」の形態は,少なくともレ ーストップスの有無(袖の有無)という点で原告商品2の形態とは大きく異なっている(相違点①)。 なお,被告商品2のつけ襟は,その取付け態様からして,被告商品2のドレス本体と一体化した「商品」ということができ,つけ襟を単なる )という点で原告商品2の形態とは大きく異なっている(相違点①)。 なお,被告商品2のつけ襟は,その取付け態様からして,被告商品2のドレス本体と一体化した「商品」ということができ,つけ襟を単なる付属物にすぎないとはいえない。また,独立して商取引の対象となり得 ない商品形態の一部分の模倣について法2条1項3号による保護が否 定されていることに鑑みると,被告商品についてもその形態の一部を取り出して実質的同一性を判断すべきではない。 また,被告商品2の「a」の形態については,被告商品2には丸襟がついていることによりクラシカルな印象となっているのに対し,原告商品2にはこれがなく,襟元がすっきりとしたシャープな印象とな っている点で大きく異なっている(相違点①)。 さらに,被告商品2の「b」と原告商品2の形態については,少なくともスカートにおけるタックの取り方等に起因する,ウエスト,腰及び裾にかけてのシルエットにおいて大きな相違が存在する(相違点③,④)。すなわち,原告商品2は,ウエストで大きく窄まり,その後 腰付近へ向かって直線状に広がり,その後裾に向かって直線状に窄まる典型的なコクーンシルエットとなっているのに対し(当該窄まりを出すためにインタックが用いられている。),被告商品2は,ウエストでの絞りが弱く,その後腰へ向かっての広がりもやわらかな曲線状となっており,裾に向かってほとんど絞られていないふんわりとした形 態となっている(当該ふんわり感を出すために,アウトタックが用いられている。)。これによって,原告商品2はメリハリのあるシャープな印象となっているのに対し,被告商品2はふんわりとしたやわらかい印象となっているといった大きな形態的差異が生じている。 また,原告商品2のトップスは,背中側のファス 商品2はメリハリのあるシャープな印象となっているのに対し,被告商品2はふんわりとしたやわらかい印象となっているといった大きな形態的差異が生じている。 また,原告商品2のトップスは,背中側のファスナーを下ろすこと によらなければ,左右に分かれない。これに対して,被告商品2の「a」及び「b」の形態におけるトップスは,ファスナーを下ろさなくとも,着用時においてトップスの背面が襟元のパールボタンを起点にして左右に大きく開くものである。これによって,原告商品2はウエスト部分でレーストップスがウエストに向かって絞られきちんと感 のある引き締まった印象を与えるものであるのに対して,被告商品2 は,レーストップスが広がり,ラフでゆとりのある印象を与えるものであって,両商品の背面から見た印象は全く異なっている。 以上からすると,原告商品2と被告商品2に実質的同一性は認められない。 さらに,原告が共通点であると主張する点のうち,⑦「レースの柄 も類似」については,そもそも原被告商品2のレースの模様が証拠上認識できず,比較困難なものであるうえ,両者の模様は全く異なる。 ⑮「ネックの開き具合もほぼ一致」については,ネックラインの開き具合が異なっており,そもそも相違点である(乙103)。 また,⑬「背面スカート部分についてはダーツが2か所入ってい る」との点は,証拠上確認できないものである(いずれにしても,背面スカート部分のダーツは需要者が着目する形態ではない。)。 b 原告は,原告商品2(ベージュ)と被告商品2(ベージュ&ブラック)の形態,及び原告商品2(ベージュ)と被告商品2(ピンク&ネイビー)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,原告商品2は,全体が1色から成る単色デザインである ック)の形態,及び原告商品2(ベージュ)と被告商品2(ピンク&ネイビー)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,原告商品2は,全体が1色から成る単色デザインであるが,被告商品2のうち「ベージュ&ブラック」及び「ピンク&ネイビー」はワンピースが濃い色であるのに対し,トップスが薄い色から成っており,上下で色が異なる配色デザインである。そして,配色デザインであるか,単色デザインであるかは,需要者に与える印象を大 きく左右する。 また,原告商品2(ベージュ)はピンク味及び白味を帯びたややくすんだベージュ色であるのに対して,被告商品2(ベージュ&ブラック)の上半身は黄色がかったキャメル色に近いベージュ色である点において相違する(甲103)。さらに,原告商品2は単色の製品であるとこ ろ,そもそも単色の原告商品(ベージュ)及び原告商品(ブラック)組 み合わせるという発想自体容易なものではない。 また,原告商品2(ベージュ)はピンク味及び白味を帯びたややくすんだベージュ色であるのに対して,被告商品2(ピンク&ネイビー)の上半身は黄色がかったサーモンピンク色である点で相違するほか,上半身をサーモンピンク色とすることで,下半身の青味を帯びたネイビー色 とのコントラストが印象的な色彩を呈している。 さらに,被告商品2のうち「クラシックネイビー」は単色デザインであるが,ネイビーはブラックよりも青味がかった色であり,ブラックよりも華やかになる点で全体的印象が異なるものであって,需要者に与える印象を大きく左右する。 c 原告商品2の特徴のうち,①無地の膝丈のタンクドレスに,②7分袖・クロトップト丈のレース素材のトップスの,両要素を備える商品は,被告会社以外にも多数のメーカーから販売され く左右する。 c 原告商品2の特徴のうち,①無地の膝丈のタンクドレスに,②7分袖・クロトップト丈のレース素材のトップスの,両要素を備える商品は,被告会社以外にも多数のメーカーから販売されているありふれたものであって(乙21の1ないし3),創作的なものではない。 さらに,③膝丈のタンクドレスに7分袖,及びクロップト丈のレー ス素材のトップスを合わせた構成,④花柄のリバーレース生地で作成された7分袖・クロップト丈の総レースのトップスで,⑤身頃下部分,袖ともに切りっぱなしのデザインである,⑥レース部分はワンピースと重ねているだけで,ワンピースと身頃部分は離れている,⑩膝丈のセミタイトスカート,⑪ワンピース前面スカート部分に,タック が2か所,⑭襟なしのラウンドネックライン,⑰「トップスはレース生地」についても,いずれも先行商品にありふれた形態である。 特に,乙104の1に掲載された商品の形態は,キャミソールドレスであること,5分袖程度のレーストップスであること及び色彩を除き,全ての形態において原告商品2と共通している。 そのため,当該商品との関係で,原告商品2の形態において創作的 な部分は,レーストップスが7分袖であること及びレーストップスの下タンクドレスが重ねられていることであるが,これらは,それぞれありふれた形態である一方で,原告商品2及び被告商品2の間には,前記のとおり,多数の需要者が着目する相違点が存在する。 したがって,かかるありふれた非創作的形態のみが共通することを もっては,実質的同一性を肯定することはできない。 (ウ) 原告商品3及び被告商品3についてa 原告商品3(ネイビー(2色))と被告商品3(ダークネイビー)には,少なくとも,①2色生地の切り替えしの起点,②最前 一性を肯定することはできない。 (ウ) 原告商品3及び被告商品3についてa 原告商品3(ネイビー(2色))と被告商品3(ダークネイビー)には,少なくとも,①2色生地の切り替えしの起点,②最前面のフラウンスの長さ及びフリルの有無,③左右のフラウンスの背面視における 縫い合わせの有無,④2色の斜めアシンメトリーなフラウンスによるバスト下からドレス裾までのティアードシルエットという形状の有無といった相違点が存在する。 原告商品3は,a「襟元から左側に紺」,b「右側に黒」,c「右側に紺」,d「左側に黒のフラウンス」が形成されているのに対し,被告商品 3は,e「胸元で横一直線の線が入り」,f「当該線から下において右側に紺」,g「左側に黒の順でフラウンス」が形成されている(左右方向に1つずつだけ附属的にフラウンスが設けられているにすぎない。相違点①及び④)。 これにより,原告商品3は,上から下にかけてフラウンスの襞が重な ったしなやかな印象を与えるのに対し,被告商品3は,上下に分かれた引き締まった印象を与えており,同印象の差異は,被告商品3のうちローズピンクとラベンダーモーブの色においてより明確である。 また,原告商品3の最前面のフラウンスは「a」(左側の長い紺色のもの)であって,右端にはフリルを備えるのに対し,被告商品3の最前面 のフラウンスは「f」(右側の短い紺色のもの)であって,フリルを備え ないという相違点も存在する(相違点②)。これも,前記印象の差異に大きく影響している。 なお,原告商品3と被告商品3とでは,ティアードシルエットに大きな相違が存在することから,これを「斜めアシンメトリーなフラウンスによる・・・ティアードシルエット」等と抽象化することによって共通 点とすることはできな 商品3とでは,ティアードシルエットに大きな相違が存在することから,これを「斜めアシンメトリーなフラウンスによる・・・ティアードシルエット」等と抽象化することによって共通 点とすることはできない。 また,被告商品3は,背面視においてフラウンスがなく,全体として一枚状であるのに対し,原告商品3は,左右のフラウンスが背面視において縫い合わされておらず,真中部分で左右に分かれるトップスがワンピースにかぶさったような形態になっている(相違点③)。 また,被告商品3は,背面視を中心部付近において縦横に略直線で区切られ,左上及び右下が紺色,右上及び左下が黒色であるのに対し,原告商品3は,背面視を中心部付近において縦に略直線で区切られているが,横方向は略直線で区切られていない(相違点③)。 これにより,被告商品3はくっきりとした市松模様状であるのに対 し,原告商品3は,ぼんやりとした配色である印象を与える。 以上により,原告商品3と被告商品3に実質的同一性が認められないことは明らかである。 なお,原告が共通点であると主張する点のうち,⑧「前面バストトップ下2枚のフラウンス(3段目と4段目のフラウンス)の生地が前 面から背面まで続き,背中心で縫い合わされ」については,被告商品3(ダークネイビー)において,小さなフラウンス等により構成された花模様(以下「花モチーフ」という。)以外には左右1枚ずつのフラウンスしか存在せず,「3段目と4段目のフラウンス」は存在しない。 被告商品3(ダークネイビー)では,1段目と2段目のフラウンスが 側面視において一度終了し,そこから背面に向かって別の生地が縫い 合わされており,当該別の生地同士が更に背中心で縫い合わされている(乙57)。また,⑩「前面バストトップ下2枚のフラウ 側面視において一度終了し,そこから背面に向かって別の生地が縫い 合わされており,当該別の生地同士が更に背中心で縫い合わされている(乙57)。また,⑩「前面バストトップ下2枚のフラウンス(3段目と4段目のフラウンス)の生地及びその上部に配置された生地が,背中心及びハイウエスト部分で生地が4分割されており,当該分割に応じて2色の生地が配置されている」についても,被告商品3(ダー クネイビー)では,「3段目と4段目のフラウンス」は存在せず,1段目と2段目のフラウンスも,その上部に配置された生地も,一度側面において終了し,そこから背面に向かって別の生地が縫い合わされている。 b 原告は,原告商品3(ベージュ(2色))と被告商品3(ローズピン ク)の形態,及び原告商品3(ベージュ(2色))と被告商品3(ラベンダーモーブ)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,少なくとも被告商品3の「ラベンダーモーブ」は,原告商品3には存在しない色彩であるし,被告商品3の「ローズピンク」についてはピンクとグレーの配色によるものであって(甲88), ピンクベージュとホワイトの配色である原告商品3の「ベージュ」(甲81)と色彩においても相違する。そして,需要者は色彩に着目するものであるところ,被告商品3の「ラベンダーモーブ」は,ラベンダー色とグレーの配色によってくすんだ印象を与えているのに対し,原告商品3にはこのような印象の商品は存在しない。また,被告商品3の「ロー ズピンク」は,ピンクとグレーの配色によってピンクによる華やかさとグレーによる落ち着いた印象が共存している印象を与えるのに対し,原告商品3の「ベージュ」は,ピンクベージュと白という華やかな配色によって華やかで可愛い印象を与えており,両者の ピンクによる華やかさとグレーによる落ち着いた印象が共存している印象を与えるのに対し,原告商品3の「ベージュ」は,ピンクベージュと白という華やかな配色によって華やかで可愛い印象を与えており,両者の印象は全く異なる。これらの配色の相違は,需要者に与える印象を大きく左右し,当該相違点 は実質的同一性の判断において重視されるべきである。 なお,原告商品3の販売開始日より前である平成23年11月2日時点において,同商品の基本的形態及び具体的形態の多くの点において共通する先行商品(乙78の1,2)が発見されたため,かかる先行商品において既に創作されていた形態の共通性を重視して実質的同一性を認めることはできない。 以上のとおり,原告商品3と被告商品3においては,需要者に影響を与える形態上の相違点があるから,実質的同一性は認められない。 c 原告商品3の特徴のうち,①薄手の生地のミニ丈のタンクドレスをベースとし,②2色の生地の端を縫いつけ,③花びらとして形作った大型の花モチーフ,④2色の斜めアシンメトリーなフラウンスによる バスト下からドレス裾までのティアードシルエットという形状を組み合わせた構成の,全ての要素を備えた形態は,既に存在するありふれたものであり(乙23),創作的なものではない。 さらに,⑤前面下部に配置された小さめのフラウンスは,全体のティアードシルエットの一部を構成するほか,フラウンス1枚1枚を花 びらに見立てた「花モチーフ」を形成している,⑨裾を丸くカーブさせている点,⑫薄手の素材の生地である点についても,それぞれ乙36,78の2,106の10などに掲載されており,ありふれた形態である。 そのため,原告商品3(ネイビー(2色))において創作的な形態 は,ティアードシルエットにお についても,それぞれ乙36,78の2,106の10などに掲載されており,ありふれた形態である。 そのため,原告商品3(ネイビー(2色))において創作的な形態 は,ティアードシルエットにおけるフラウンスの形態やその組合せ方,及びこれらから続いて形成される背面視の形状であるところ,原告商品3と被告商品3とはかかる点において大きく相違するから,かかるありふれた非創作的形態のみが共通することをもって実質的同一性を肯定することはできない。 (エ) 原告商品4及び被告商品4について a 原告商品4(ネイビー(2色))と被告商品4(ヘブンリーブルー)には,少なくとも,①花びらとして形作った大型の花モチーフの有無,②右側のフラウンスの形状,③配色におけるコントラストの強さといった相違点が存在する。 まず,原告商品4と被告商品4は,少なくとも花びらとして形作っ た大型の花モチーフがあるか否かにおいて相違点が存在する。当該形態が特に特徴的かつ重要な部分であることは,原告自身が主張するところであり,同相違点は全体の印象を左右するため,実質的同一性判断に与える影響が大きい。 また,被告商品4は,右側の水色のフラウンスが大きなフリルを描い て広がりを見せているが,原告商品1における右側のフラウンスは,下方向に沿って落ちているのみである(相違点②,乙58)。 さらに,被告商品4の「ヘブンリーブルー」は,明るい青色とグレーがかった白色の配色によるものであるのに対し(甲88),原告商品4の「ブルー」は暗い青色と黒の配色によるものである。このように,被 告商品4は,「水色×白」といった異なる系統の色で配色されているため強いコントラストを発揮しており,そのフラウンスの形状がはっきりと視認できるが,原告商品4は「 るものである。このように,被 告商品4は,「水色×白」といった異なる系統の色で配色されているため強いコントラストを発揮しており,そのフラウンスの形状がはっきりと視認できるが,原告商品4は「紺×黒」という同系色の色で配色がなされているためコントラストが弱く,被告商品4に比べるとフラウンスの形状が明確に視認できない(相違点③)。 このような差異によって,被告商品4は需要者に華やかな印象を与えるのに対し,原告商品4は落ち着いた印象を与えるものである。 以上のとおり,かかる相違点は重大なものであり,原告商品4と被告商品4とには実質的同一性が認められない。 さらに,「ティアードシルエット」とは「幅の広いひだ飾りを何段にも 重ねたシルエット」を意味するところ,ひだが2段しか重ねられていな い被告商品4(ヘブンリーブルー)はティアードシルエットではなく,この点は共通点ではない。また,⑥「前面左上に縦ラッフルがある」については,縦ラッフルの形状に大きな相違があり,共通点ではない。 b 原告は,原告商品4(イエロー)と被告商品4(カナリアイエロー)の形態,及び原告商品4(レッド)と被告商品4(ブラッドオレンジ) の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても, 被告商品4の「カナリアイエロー」については,黄色とグレーがかった白色の配色によるものであるのに対し(甲88),原告商品4の「イエロー」は黄色単色である。被告商品4の「ブラッドオレンジ」についても,オレンジ色とグレーがかった白色の配色 によるものであるのに対し(甲88),原告商品4の「レッド」は赤色の単色である。このように,原告商品4と被告商品4は,色彩においても相違する。そして,需要者は色彩に着目するものであるところ,被告商品4は ものであるのに対し(甲88),原告商品4の「レッド」は赤色の単色である。このように,原告商品4と被告商品4は,色彩においても相違する。そして,需要者は色彩に着目するものであるところ,被告商品4は全て鮮やかな色とグレーがかった白色の配色によって,メリハリのある華やかな印象を与えるのに対し,原告商品4は単色か,又は暗 い色同士の配色によるものであって,被告商品4に比して全体として統一感のある印象を与えるものである。これらの配色の相違は,需要者に与える印象を大きく左右しており,当該相違点は実質的同一性の判断において重視されるべきである。 c 原告商品4の特徴のうち,①薄手の生地のミニ丈のタンクドレスを ベースとし,②2色の生地の端を縫いつけ,③2色の斜めアシンメトリーなフラウンスによるバスト下からドレス裾までのティアードシルエットという形状を組み合わせた構成の,全ての要素を備えた形態は既に存在するありふれたものであり(乙23),創作的なものでないことは明らかである。 さらに,①2色のフラウンス,②薄手の生地のミニ丈タンクドレ ス,③ミニ丈のタンクドレスをベース,④2色の生地による大きな4段のフラウンスを斜めアシンメントリーに配置し,⑦1段目のフラウンスを形成する布地及び2段のフラウンスを形成する布地がバストトップまでつながっている,⑨裾を丸くカーブさせている点,⑫薄手の素材の生地である点は,乙36,78の2,106の10,108の 5に掲載されており,ありふれた形態である。 そうすると,原告商品4において創作的な形態は,⑧前面バストトップ下2枚のフラウンス(3段目と4段目のフラウンス)の生地が前面から背面まで続き,背中心で縫い合わされ,⑩前面バストトップ下2枚のフラウンス(3段目と4段目のフラウ 創作的な形態は,⑧前面バストトップ下2枚のフラウンス(3段目と4段目のフラウンス)の生地が前面から背面まで続き,背中心で縫い合わされ,⑩前面バストトップ下2枚のフラウンス(3段目と4段目のフラウンス)の生地及びその上 部に配置された生地が,背中心及びハイウエスト部分で生地が4分割されており,当該分割に応じて2色の生地が配置されている,⑬2色が配色されており,隣り合う生地は原則として違う色が使用されている点にすぎないが,いずれも前述の相違点を乗り越えるほどのものではない。 (オ) 原告商品5及び被告商品5についてa 原告商品5(ナチュラル/ブラック)と被告商品5(アイボリー)には,少なくとも①トップススカラップ裾部分のビーズ刺繍における,花弁の縁取りのビーズの色及び刺繍色,②ボトムススカラップ裾部分のビーズ刺繍における,花弁の縁取りのビーズの色及び刺繍色, ③トップスとタンクドレスを合わせた形態のみを有するのか,それともタンクドレスのみという形態をも有するか否かという点,④トップススカラップ裾部分及びボトムススカラップ裾部分の側面視におけるビーズ刺繍,⑤ウエストとスカート部分のシルエット,⑥トップスの長さ,⑦配色,⑧生地の風合いにおける相違点が存在する。 まず,上記相違点①及び②が,形態的効果に与える影響は大きい。 すなわち,かかる部分の色合いによって,刺繍による模様の見え方が全く異なり,原告商品5の方が,被告商品5の模様に比べてはっきりとした強い印象を与えるものとなっている。 また,被告商品5は,トップスを「必要に応じて」取り外すことができ,a「トップスなし」,b「トップスあり」という2通りの商品形 態を有するものであるのに対し,原告商品5は,「b」の形態しか有しない(相違点 品5は,トップスを「必要に応じて」取り外すことができ,a「トップスなし」,b「トップスあり」という2通りの商品形 態を有するものであるのに対し,原告商品5は,「b」の形態しか有しない(相違点③)。そして,特に被告商品5の「a」の形態は,少なくともスカラップ裾部分にビーズ刺繍のあるトップスの有無といった点で原告商品5の形態とは大きく異なっている(相違点③)。 また,被告商品5の「b」と原告商品5の形態についても,側面視 におけるビーズ刺繍が異なり,被告商品5は単にスカラップ裾に沿って端部分にビーズ刺繍がなされているだけであるが,原告商品5は,その上に大きな模様を描くビーズ刺繍がなされている(相違点④)。 さらに,被告商品5の「b」と原告商品5の形態については,ウエスト,腰及び裾にかけてのシルエット,トップスの長さ並びに配色に おいて大きな相違が存在する(相違点⑤)。すなわち,原告商品5は,ウエストで軽く絞られており,その後裾に向かって緩やかに窄まるややコクーン型のシルエットとなっているのに対し,被告商品5は,ウエストが絞られておらず外側へやや広がっており,その後のスカートのシルエットもふんわりと広がるシルエットとなっている。 加えて,原告商品5は,トップスがウエスト部分までの長さしかないのに対し,被告商品5のトップスは腹部を覆うような長めのものである(相違点⑥)。 また,原告商品5は,上半身がベージュという明るい色で,下半身が黒という配色になっているところ,被告商品5はベージュ単色であ る(相違点⑦)。一般にバイカラーのデザインは結婚式等には向かない とされており,バイカラーのデザインか否かは重要である。 そして,上記の相違点⑤ないし⑦により,原告商品5はメリハリのあるシャープな細身の にバイカラーのデザインは結婚式等には向かない とされており,バイカラーのデザインか否かは重要である。 そして,上記の相違点⑤ないし⑦により,原告商品5はメリハリのあるシャープな細身の印象で,スタイルを強調するタイトなシルエットとなっているのに対し,被告商品5はふんわりとしたやわらかい印象で,スタイルを強調しないシルエットとなっているといった大きな 形態的差異が生じている。 さらに,原告商品5は厚手のしっかりとした質感の生地であるのに対し,被告商品5は薄手で光沢感のある質感の生地となっており(相違点⑧),原告商品5はきちんとした印象を与えるのに対し,被告商品5は軽やかな印象を与えるといった差異も生じている。 以上によれば,原告商品5と被告商品5に実質的同一性が認められないことは明らかである。 b 原告は,原告商品5(ナチュラル/ブラック)と被告商品5(ブラック)の形態,原告商品5(グリーン)と被告商品5(スモーキーブルー)の形態,及び原告商品5(ベージュ)及び原告商品5(グリーン)と被 告商品5(ピンクベージュ)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,まず,原告商品5(ナチュラル/ブラック)と被告商品5(ブラック)について,仮にブラック色がフォーマルな色としてありふれた色ならば,ブラック色を用いたことが被告の模倣性を基礎づけるものではない。 少なくとも被告商品5の「ブラック」は,原告商品5には存在しない色彩であり,暗い色にビジュー刺繍が映えるデザインとなっているのに対し,原告商品5にはそのようなデザインのものはなく,需要者に与える印象が大きく異なる。 また,原告商品5(グリーン)と被告商品5(スモーキーブルー)に ついては,色相,トーンともに異なる。 商品5にはそのようなデザインのものはなく,需要者に与える印象が大きく異なる。 また,原告商品5(グリーン)と被告商品5(スモーキーブルー)に ついては,色相,トーンともに異なる。 さらに,被告商品5の「ピンクベージュ」は,原告商品5には存在しない色彩であり,華やかな色で,一見してビーズ刺繍よりも全体的な色彩の印象が強いのに対し,原告商品5には落ち着いた色の商品しか存在せず,需要者に与える印象が大きく異なる。 また,原告商品5(ベージュ)の薄い色と,被告商品5(ピンクベー ジュ)とは,トーンが異なる。 以上のとおり,原告商品5と被告商品5においては,需要者に影響を与える形態上の相違点がある。 c 原告商品5の特徴のうち,①トップス裾とスカート裾がスカラップ裾であり(乙24,25,99の8),②裾部分にビーズ刺繍があしら われている(乙24,99の8)という両要素を備える商品はありふれたものであって,創作的なものでない。また,スカラップ裾に沿って,花弁をイメージした刺繍をあしらうデザインについても,ありふれたものであり(乙25),創作的なものではない。 さらに,④ウエスト丈のトップスを合わせた構成となっている(乙 25,99の8),⑤トップス及びワンピースの裾がスカラップ裾となっており(乙99の8),⑧スカラップ部分及び円形の付け根部分にビーズ刺繍が施されている(乙24,99の8),⑨スカラップ部分及び円形の付け根部分に刺繍が施されている(乙25),⑭襟なしのラウンドネックラインである(乙25,99の8),⑮ネックの開き具合(乙 99の8)は,それぞれ先行商品にありふれたものである。 したがって,かかるありふれた非創作的形態のみが共通することをもっては,実質的同一性を肯定することはでき 8),⑮ネックの開き具合(乙 99の8)は,それぞれ先行商品にありふれたものである。 したがって,かかるありふれた非創作的形態のみが共通することをもっては,実質的同一性を肯定することはできない。 (カ) 原告商品6及び被告商品6についてa 原告商品6(ベージュ/ピンク)と被告商品6(アンティークコー ラル&ベージュ)には,少なくとも①襟口にドレス装着型の大ぶりネ ックレスがあるか否か,②前面に縦方向のフラウンスがあるかどうか,③ボトムス前面上部のビーズ刺繍のデザイン,④ボトムスの刺繍模様の有無,⑤トップスとボトムスの長さ割合,⑥配色における相違点が存在する。 まず,被告商品6は,装着型の大ぶりネックレスを「必要に応じ て」取り外すことができ,これによって,a「ネックレスあり」,b「ネックレスなし」という2通りの商品形態を有するものであるのに対し,原告商品6は,「b」の形態しか有しない(相違点①)。 そして,特に被告商品6の「a」の形態は,ネックレスの有無の点で,原告商品6の形態とは大きく異なる。被告商品6は需要者の注意 を胸元に集めるデザインであるのに対し,原告商品6は需要者の注意をボトムスの刺繍模様に集めるデザインとなっている(相違点①)。 また,被告商品6の「b」の形態についても,前面に縦方向のフラウンスがあるかどうか,ボトムス前面上部のビーズ刺繍のデザイン,及びボトムスの刺繍模様の有無において異なっており,大きな形態上 の差異が生じている(相違点②ないし④)。 さらに,被告商品6「b」の形態は,原告商品6に比べてトップス及びボトムスの丈が長く,これによって全体の丈も長い(相違点⑤)。 これによって,原告商品6は,ミニ丈でコンパクトな印象となっているのに対し,被告商品6は膝丈に 」の形態は,原告商品6に比べてトップス及びボトムスの丈が長く,これによって全体の丈も長い(相違点⑤)。 これによって,原告商品6は,ミニ丈でコンパクトな印象となっているのに対し,被告商品6は膝丈に近い落ち着いた印象となっている。 加えて,原告商品6(ベージュ/ピンク)の「b」の形態は,トップスがベージュで,ボトムスがサーモンピンクであって,上半身下半身ともに淡い色合いであり,華やかな印象である(甲83)のに対し,被告商品6(アンティークコーラル&ベージュ)は,トップスが濃いオレンジで,ボトムスがベージュであり,上半身が濃い色であっ て落ち着いた印象である(甲91)(相違点⑥)。また,需要者は顔写 り等への影響からトップスの色に特に着目するところ,これがベージュと濃いオレンジでは全く異なる。 以上からすると,原告商品6と被告商品6に実質的同一性が認められないことは明らかである。 b 原告は,原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック)と被告商品6 (ピーコックグリーン&ベージュ)の形態,及び原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック)と被告商品6(モカ&ブルー)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,被告商品6(ピーコックグリーン&ベージュ)は上半身が暗い緑色で,下半身が暗いベージュであり(甲91),下半身 のスカートに施されたビーズ刺繍が目立たない印象であるのに対し,原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック)は上半身が緑色であるのに対し下半身は黒色であり,下半身のスカートに施されたビーズ刺繍が際立つ印象となっている。 また,被告商品6(ピーコックグリーン&ベージュ)のボトムスのトー ンは,トップスのトーンとは異なり,グラデーション配色でもない。 したがって,原告商品 ーズ刺繍が際立つ印象となっている。 また,被告商品6(ピーコックグリーン&ベージュ)のボトムスのトー ンは,トップスのトーンとは異なり,グラデーション配色でもない。 したがって,原告商品6(レッドブラウン/ベージュ)及び原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック)と被告商品6(ピーコックグリーン&ベージュ)に実質的同一性は認められない。 また,被告商品6の「モカ&ブルー」については,原告商品6に存在し ない色彩である上(甲83),被告商品6(モカ&ブルー)のトップスのトーンは,原告商品6(ピーコックグリーン/ブラック色)のトップスのトーンや,原告商品6(レッドブラウン/ベージュ)のトップスのトーンとは全く異なる。 また,被告商品6(モカ&ブルー)のボトムスのトーンは,そのトップ スのトーンとは異なり,グラデーション配色でもない。 これらの色彩の相違は,需要者に与える印象を大きく左右し,当該相違点は実質的同一性の判断において重視されるべきである。 (キ) 原告商品7及び被告商品7についてa 原告商品7(ブラック)と被告商品7(ノーブルブラック)には,少なくとも,①レース生地の前面,及び背面のいずれにも刺繍模様が 施されているか否か,②バストトップス切り替え位置から配置されたギャザーを少し寄せたフラウンスの長短,③このフラウンスが背面のヒップ上まで斜めにつながっているか否か,④フルレングスのパンツか8分丈のパンツか,⑤正面視におけるレースの密度,⑥正面視におけるレース脇の黒色部分の幅,⑦背面視におけるフラウンスの長さ及 び形態,⑧裾に向かって徐々に細くなるテーパード形態におけるテーパーの度合における相違点が存在する。 まず,原告商品7と被告商品7では,正面視におけるフラウンスの形 けるフラウンスの長さ及 び形態,⑧裾に向かって徐々に細くなるテーパード形態におけるテーパーの度合における相違点が存在する。 まず,原告商品7と被告商品7では,正面視におけるフラウンスの形態が全く異なる(相違点②)。すなわち,原告商品7のフラウンス丈は胸元を覆う長さしかなく,しっかりとしたフリルを描いており,胸元にお けるフリル様になっている。これに対し,被告商品7のフラウンスはウエスト付近までの長さがあり,緩やかなフリルを描いており,上半身を覆うトップス様になっている。 次に,原告商品7は,レースの黒色部分の密度が高いのに対し,被告商品7は当該密度が少ない(相違点⑤)。この点は,肌の露出具合に大き く影響する形態であるから,需要者が強く着目する形態である。 さらに,原告商品7は,レース脇において太い黒色部分が存在するのに対し,被告商品7は,細い黒色部分しか存在しない(相違点⑥)。この点は,レースの密度からくる透け感の印象を大きく左右する。 また,原告商品7は,背面において正面視と同様のレース模様及びレ ース脇の黒色部分の太い幅が存在するのに対し,被告商品7は単にシー スルー状となっており,レース模様及びその脇の黒色部分の太い幅が存在しない(相違点①)。この点は,原告商品7は背面視においても華やかであるのに対し,被告商品7は背面視においてシンプルな印象を与える。 さらに,上記相違点⑥及び①は,需要者たる若い女性が下着を付ける際に,その肩ひもを隠せるか否かに関わる形態上の相違であって,需要 者が強く着目する形態である。 加えて,原告商品7は,側面において,フラウンスが後ろのウエスト付近までしか伸びていないのに対し,被告商品7は,フラウンスがヒップを覆うに足るところまで伸びている(相違点③) 着目する形態である。 加えて,原告商品7は,側面において,フラウンスが後ろのウエスト付近までしか伸びていないのに対し,被告商品7は,フラウンスがヒップを覆うに足るところまで伸びている(相違点③)。 さらに,原告商品7は,フラウンスがウエスト周りで終わり,またし っかりとフリルが入っているのに対し,被告商品7は,フラウンスがヒップまで伸び,フリルは形成されていない(相違点⑦)。 相違点③及び⑦は,原告商品7はフラウンスが華やかなフリル型のトップス様であるのに対し,被告商品7ではマント様である点で大きく印象を左右するのみならず,需要者たる若い女性がヒップラインの体型を カバーできるか否かに関わる形態上の相違であって,需要者が強く着目する形態である。 加えて,原告商品7は,裾に向かってのテーパー度合(先細り具合)が急であって,裾部分が細くなっているのに対し,被告商品7は,裾に向かってのテーパー度合(先細り具合)が緩やかであって,ストレート 型のパンツに近い形態となっている(相違点⑧)。この点は,裾部分への先細り具合が急で,裾部分が細ければ細いほど,足が細く見える効果があるため,需要者たる若い女性において強く着目する形態である。 さらに,相違点④についても,両商品をいずれの方向から見た場合でも注目される部分であり,原告商品7は足首がよく見えるため女性 的な印象を与えるものであるのに対し,被告商品7はフルレングスで あるため,かっちりとした印象が強いものである。 以上によれば,原告商品7と被告商品7に実質的同一性が認められないことは明らかである。 なお,原告が共通点であると主張する点のうち,⑲「上半身と共布で裾に向かって徐々に細くなるテーパードタイプの8分丈のパンツであ る」については,原告商 一性が認められないことは明らかである。 なお,原告が共通点であると主張する点のうち,⑲「上半身と共布で裾に向かって徐々に細くなるテーパードタイプの8分丈のパンツであ る」については,原告商品7(ブラック)は8分丈ではなく,フルレングスの形態であって(甲7の1参照),当該形態は相違点である。また,③「落ち感がある柔らかい素材で作られた」,㉑「伸縮性がある滑らかな柔らかい生地」は,証拠上認定できない形態であり,⑰「ウエストはゴムで伸縮し」についても証拠上認定できない。さらに,⑯「フラウンス は前身ごろから徐々に幅を広くして,後ろ身頃まで斜めにつながっている。」については,前身頃及び後ろ身頃におけるフラウンスの長さ及びこれに伴うフラウンスの繋がり方(どの程度の角度をもって斜めにつながっているか)において相違し,むしろ相違点である。 b 原告は,原告商品7(ナチュラル/ブラック)と被告商品7(ロイヤ ルベージュ)の形態,原告商品7(ブラック)と被告商品7(クラシックネイビー)の形態,及び原告商品7(ナチュラル/ブラック)と被告商品7(ベージュ&ブラック)の形態に係る立証責任を果たしていない。 この点を措くとしても,被告商品7の「ロイヤルベージュ」(甲92)は原告商品7に存在しない色彩であり(甲84),原告商品7(ナチュ ラル/ブラック)のトップス部分は白みの強いベージュであるのに対して,被告商品7(ロイヤルベージュ)は,黄みの強いベージュであって,その色彩は同一でない。また,切り替えのない全身ベージュ色のデザインとするとの着想は容易ではなく,また全身ベージュ単色とする場合,肌色と同化しすぎないようにベージュの色味については吟味が必要で あり,その選択は容易でない。 また,被告商品7の「クラシ の着想は容易ではなく,また全身ベージュ単色とする場合,肌色と同化しすぎないようにベージュの色味については吟味が必要で あり,その選択は容易でない。 また,被告商品7の「クラシックネイビー」(甲92)も,原告商品7に存在しない色彩であり(甲84),原告商品7(クラシックネイビー)が特に黒色に近い色味であるとの事実はなく,被告商品7(クラシックネイビー)は,原告商品7(ブラック)よりも青味がかった色であり,「ブラック」に比して華やかになる点で全体的印象が異なるもので あって,需要者に与える印象を大きく左右する。 さらに,原告商品7(ナチュラル/ブラック)のトップス部分のベージュは白みの強いベージュであるのに対して,被告商品7(ベージュ&ブラック)は,黄みの強いベージュであって,ベージュ部分の色彩も同一でない上,被告商品7(ベージュ&ブラック)は,トップスのフラウ ンス下部分の生地が黒色で,フラウンスから黒色が透けており,オールインワンの形態にレースとフラウンスのついたトップスをかぶせたような形態であるのに対し,原告商品7(ナチュラル/ブラック)は,フラウンス下部分の生地もベージュであって,上下に分かれた印象を与える形態であり,全く異なる商品との印象を与える。また,かかる配色に よって,フラウンスの長さの違いもより明確に印象付けられている。 さらに,被告商品7は全て全体が単色から成るのに対し,原告商品7の「ナチュラル/ブラック」は上半身が明るいベージュ,下半身は黒という配色デザインになっており,全体的印象が全く異なるものであって,需要者に与える印象を大きく左右する。 したがって,当該相違点は実質的同一性の判断において重視されるべきであり,原告商品7と被告商品7とが実質的同一とは認められない 全く異なるものであって,需要者に与える印象を大きく左右する。 したがって,当該相違点は実質的同一性の判断において重視されるべきであり,原告商品7と被告商品7とが実質的同一とは認められない。 c 原告商品7の特徴のうち,(a)細身のオールインワン・サロペットであり,(b)袖はノースリーブで,(c)首元からバストトップス切り替え位置までの部分はレース生地使用され,(d)ウエストはゴムで伸縮し, ウエスト部分でブラウジングされの各点については,原告商品7の販 売前である平成25年12月19日(甲40)より前に,被告らが「ALLINONEPANTSDRESS」という商品名で販売していた商品(以下「被告先行商品7」という。)に全て備わっている(乙26)。 また,原告商品7の販売前である平成23年10月~平成25年10月に発行された日本国内の女性向けファッション雑誌には,原告商 品7の特徴を備える商品が多数掲載されている(乙28の1ないし6)ほか,複数のネットサイトで,原告商品7の特徴部分を備える商品が販売されている(乙29の1ないし7)。 さらに,原告商品7の販売開始日より前である平成25年1月24日時点において,同商品の基本的形態が共通する先行商品(乙79) が発見されたなお,①サロペット,②首元からバストトップス切り替え位置までがレース素材,④黒色の細身のサロペットであり,⑤ノースリーブで,⑥首元からバストトップス切替位置までの部分はレース生地が使用され,⑦バストトップス切り替え位置から下は大き目のフラウンス が配置されているという構成になっている,⑧首元からバストトップス切り替え位置までがレース素材が使用されている,⑭バスト上で直線状の切り返しがあり,⑮この切り返しからは,ギャ 目のフラウンス が配置されているという構成になっている,⑧首元からバストトップス切り替え位置までがレース素材が使用されている,⑭バスト上で直線状の切り返しがあり,⑮この切り返しからは,ギャザーを少し寄せた幅広のフラウンスが配置されている,⑱ウエスト部分でブラウジングをするデザインとなっている,⑲上半身と共布で裾に向かって徐々 に細くなるテーパードタイプの8分丈のパンツである,㉒襟なしのラウンドネックライン,との各点は,先行商品にありふれた形態,又はありふれたコーディネートと同様の形態であり,創作性が乏しい。 したがって,原告商品7(ブラック)の形態において創作性があるとすれば,前身頃及び後ろ見頃におけるフラウンスの長さ及びこれに 伴うフラウンスのつながり方(どの程度の角度をもって斜めにつなが っているか),並びに背面視における形態等であるが,これらの点について,原告商品7(ブラック)と被告商品7(ブラック)とには,需要者が着目する相違点が存在する。 (ク) 原告商品8及び被告商品8についてa 原告商品8(パープル/ベージュ)と被告商品8(グレー)には, 少なくとも,①トップスとボトムスの配色,②腰部分の刺繍が前面上部のみに施されているか,それとも腰回りを周回するように施されているか,③トップスにおけるギャザー,④ボトムスのシルエット,⑤ベルト部分の装飾の幅,⑥配色,⑦その素材がシルクであるか,ポリエステルであるかにおいて相違点が存在する。 まず,需要者である若い女性は,その具体的形態にまで着目するものといえるところ,相違点①については,配色によって与える視覚的影響が大きいため,強く着目されるものである。 また,一般的に,被服の商品分野における通常の用法とは「被服の着用」であるから 目するものといえるところ,相違点①については,配色によって与える視覚的影響が大きいため,強く着目されるものである。 また,一般的に,被服の商品分野における通常の用法とは「被服の着用」であるから,当然に被服の着用時における商品の形態をもって比較 するのが相当である。そして,原告商品8と被告商品8とを「着用」した状態で対比すると,ビーズ刺繍の範囲において大きな相違(相違点②)があり,同相違点は, シンプルなドレスにおけるワンポイントとして特徴的な印象を与える部分である。 また,原告商品8は,正面視においてトップスにしっかりとギャザー が入っているが,被告商品8はウエスト部分に少しギャザーが入っているだけで,トップス全体にギャザーは確認できず全体として膨らんだ形態となっている(相違点③)。当該相違は,上半身の華やかさ及びシルエットに大きな差異をもたらしている。 次に,原告商品8は,ボトムスの裾が細かなフリル形状となっている のに対し,被告商品8はフリル形状とはなっておらず,ところどころタ ックが入っているにとどまる(相違点④)。これにより,原告商品8は繊細な印象を与えるのに対し,被告商品8はシンプルな印象を与えるという大きな差異をもたらしている。 さらに,原告商品8はベルト部分のビーズ装飾の幅が太く,当該部分が非常に印象的なデザインとなっているのに対し,被告商品8は,ベル ト部分のビーズ装飾が細く,当該部分はビーズを直線的に並べただけのシンプルなデザインとなっており,かつ正面視中央部以外はトップスに埋もれてしまう形態である(相違点⑤)。これにより,原告商品8は個性的なベルト部分のビーズ刺繍が目立ったデザインであるのに対し,被告商品8はベルト部分のビーズ装飾はあくまで附属的で,全体としてシン てしまう形態である(相違点⑤)。これにより,原告商品8は個性的なベルト部分のビーズ刺繍が目立ったデザインであるのに対し,被告商品8はベルト部分のビーズ装飾はあくまで附属的で,全体としてシン プルなデザインとなっている。 加えて,原告商品8は,トップスが濃い青色,ボトムスが淡いモーブピンクという配色であるのに対し,被告商品8は,全体が灰色である(相違点⑥)。通常,需要者は顔写り等への影響からトップスの色に特に着目するところ,これが濃い青色と灰色では全く異なる。また,原告商品 8は,配色にメリハリのある華やかな印象になっているのに対し,被告商品8は落ち着いたやわらかい印象になっている。そして,一般的にバイカラーのデザインは結婚式等には向かないとされていることから,配色デザインであるかどうかは重要な着目ポイントである。 最後に,原告商品8と被告商品8の素材は全く異なり,原告商品8は シルクであるところ,被告商品8はポリエステルである(相違点⑦)。 そして,当該素材の差異によって,原告商品8は柔らかで高級感のある質感となっているのに対し,被告商品8はハリのある質感となっている(乙62)。かかる素材に基づく質感は,需要者である若い女性が,TPO等を踏まえてドレス着用する際の重要な着目点となる。 以上からすれば,原告商品8と被告商品8に実質的同一性が認められ ないことは明らかである。 b 被告商品8の色彩は原告商品8には存在せず,色彩において全く異なる。また,被告商品8は,全て全体が単色から成るデザインであるのに対し,原告商品8は「ピンク」を除き,上半身と下半身で異なる色から成るデザインであって,需要者に与える印象を大きく左右す る。また,原告商品8の「ピンク」は明るく薄いベージュであるところ, のに対し,原告商品8は「ピンク」を除き,上半身と下半身で異なる色から成るデザインであって,需要者に与える印象を大きく左右す る。また,原告商品8の「ピンク」は明るく薄いベージュであるところ,被告商品8の「ベージュ」は暗いベージュであるため,需要者に与える印象を大きく左右する。これらの色彩の相違は,実質的同一性の判断において重視されるべきである。 c 原告商品8の特徴のうち,①アメリカンスリーブ・ハイネックのロ ールカーラー,②セミフレアスカートのワンピースであり,③ローウエスト部分で切り替えを施し,④切り替えの部分には幅のあるベルト状のビーズ刺繍の各形状を組み合わせたオリジナル商品であるとの,全ての要素を備えた商品は,原告商品8の販売より前に日本国内で販売されていた被告商品8に加え,他メーカーからも販売されていた (乙30,31)(特徴④のビーズ刺繍及び色彩,配色の相違は,原告によると「軽微な相違点」にすぎないので,除外して対比する)。 また,原告商品8の販売前の平成18年4月~平成24年8月に発行された日本国内の女性向けファッション雑誌には,原告商品8の特徴部分を備える商品が多数掲載されている(乙32の1ないし7)。 したがって,かかるありふれた非創作的形態のみが共通することをもっては,実質的同一性を肯定することはできない。 以上
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