平成26(行ケ)10129

裁判年月日・裁判所
平成27年3月31日 知的財産高等裁判所 1部 判決 請求棄却
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判決文本文43,743 文字)

- 1 -平成27年3月31日判決言渡平成26年(行ケ)第10129号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成27年2月9日判決 原告ジエマルト・エス・アー 訴訟代理人弁理士大﨑勝真同渡邉千尋同中村雅文同井原光雅 被告特許庁長官指定代理人小野田 誠同鈴木匡明同相崎裕恒同堀内仁子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2012-23518号事件について平成26年1月6日にした審決を取り消す。 - 2 -第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の概要(当事者間に争いがない。)原告は,平成17年(2005年)3月7日,発明の名称を「マイクロモジュールと非接触式近接通信手段を備える再現装置とからなる組立品」とする発明について特許出願(特願2007-504494号,パリ条約による優先権主張:平成16年(2004年)3月23日,優先権主張国:欧州特許庁。以下「本願」という。)をしたが,平成24年(2012年)7月27日付けで拒絶査定を受けたため,同年11月28日付けで拒絶査定に対する不服の審判を請求するとともに,同日付けの手続補正書により,特許請求の範囲についての補正を行った(以下「本件補正」という。)。 特許庁は, 査定を受けたため,同年11月28日付けで拒絶査定に対する不服の審判を請求するとともに,同日付けの手続補正書により,特許請求の範囲についての補正を行った(以下「本件補正」という。)。 特許庁は,上記請求を不服2012-23518号事件として審理をした結果,平成26年(2014年)1月6日,「本件補正を却下する。本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本を,同月21日,原告に送達した。 原告は,平成26年(2014年)5月21日,審決の取消しを求めて本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載(1) 本件補正前の本願の特許請求の範囲(請求項の数23)の請求項1,2及び23の記載は,以下のとおりである(甲4,10。以下,請求項1に記載された発明を「本願発明」という。また,本願の明細書及び図面を併せて「本願明細書」という。)。 「【請求項1】端末との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置であって,チップを含むマイクロモジュールと,マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナと,マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え, - 3 -マイクロモジュールがアンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持されることを特徴とする,携帯用通信装置。 【請求項2】マイクロモジュールが,マイクロモジュール所持者認証のための外部認証マーキング要素を含むことを特徴とする,請求項1に記載の携帯用通信装置」「【請求項23】チップが,非接触式であり,またアンテナを通して端末に無線周波数通信を伝送することができる無線周波数用のチップであることを特徴とする,請求項1に記載 項1に記載の携帯用通信装置」「【請求項23】チップが,非接触式であり,またアンテナを通して端末に無線周波数通信を伝送することができる無線周波数用のチップであることを特徴とする,請求項1に記載の携帯用通信装置。」(2) 本件補正後の本願の特許請求の範囲(請求項の数22)の請求項1及び2の記載は,以下のとおりである(甲13。以下,同請求項に記載された発明を「補正後の発明」という。なお,請求項23は削除されており,本件補正前の請求項1と本件補正後の請求項1との差異は下線部分である。)。 「【請求項1】端末との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置であって,チップを含むマイクロモジュールと,マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナと,マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え,マイクロモジュールがアンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持され,チップが,非接触式であり,またアンテナを通して端末に無線周波数通信を伝送することができる無線周波数用のチップであることを特徴とする,携帯用通信装置。 【請求項2】マイクロモジュールが,マイクロモジュール所持者認証のための外部認証マーキング要素を含むことを特徴とする,請求項1に記載の携帯用通信装置」 - 4 - 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写し記載のとおりである。要するに,①本件補正は,平成18年法律第55号改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものであるが,補正後の発明は,特開2002-236901号公報(甲1。以下「引用刊行物」と 改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものであるが,補正後の発明は,特開2002-236901号公報(甲1。以下「引用刊行物」という。)に記載された発明(以下「刊行物発明」という。)及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件補正は,旧特許法17条の2第5項が準用する同法126条5項に反し,同法159条1項,53条1項に基づいて却下すべきものである,②本願発明は,刊行物発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。 審決が認定した刊行物発明の内容,補正後の発明と刊行物発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 (1) 刊行物発明の内容「SIMカード収納部60を有し,前記SIMカード収納部60にSIMカード1が固定され,前記SIMカード収納部60に近い部分で,前記SIMカード1を取り囲むように共振回路56が設けられ,前記SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共振して電波を増幅させ遠くまで通信できる役目を果たしており,離れて設置された第三の装置と無線で交信することが可能である電子情報読み取り・書込み装置を有する携帯電話機であって,前記SIMカード1は,積層されたカード基体の凹部11にICモジュールを嵌め込んであり,前記SIMカード1の表面には,前記ICモジュールの外部端末接続用端子3が実装されており, - 5 -前記ICモジュールは外部端子接続端子の裏側に接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップを接着し,前記外部端末接続 モジュールの外部端末接続用端子3が実装されており, - 5 -前記ICモジュールは外部端子接続端子の裏側に接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップを接着し,前記外部端末接続用端子3の予備端子31,32を外部アンテナ接続用端子として利用し,アンテナ接続部材22,23が,前記SIMカード1の前記カード基体に開けられたスルーホールを通して前記ICモジュールの前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏側に接着され電気的に接続されており,前記SIMカード1に前記第1のアンテナ4を設け,前記接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子と,前記第1のアンテナ4の終端部41,42が前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏の部分を利用して導通されている,電子情報読み取り・書込み装置を有する携帯電話機。」(2) 一致点「端末との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置であって,チップを含むマイクロモジュールと,マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナを備え,マイクロモジュールがアンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持され,チップが,非接触式である,携帯用通信装置。」である点。 (3) 相違点ア <相違点1>「補正後の発明では,「読取装置」が,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を有するのに対し,刊行物発明では,「電子情報読み取り・書込み装置」について,そのような特定がなされていない点。」 - 6 -イ <相違点2>「補正後の発明の「チップ」は,「アンテナを通して端末に無線周波数通信を では,「電子情報読み取り・書込み装置」について,そのような特定がなされていない点。」 - 6 -イ <相違点2>「補正後の発明の「チップ」は,「アンテナを通して端末に無線周波数通信を伝送することができる無線周波数用」であるのに対し,刊行物発明では,「ICチップ」について,そのような特定がなされていない点。」第3 原告主張の取消事由 1 取消事由1(刊行物発明,一致点及び相違点の認定の誤り)(1) 刊行物発明の認定誤り審決は,刊行物発明の認定において,図2ないし図6を参照して,「SIMカード1」が「アンテナ接続部材22,23が,前記SIMカード1の前記カード基体に開けられたスルーホールを通して前記ICモジュールの前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏側に接着され電気的に接続されており,前記SIMカード1に前記第1のアンテナ4を設け,前記接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子と,前記第1のアンテナ4の終端部41,42が前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏の部分を利用して導通されている」との構成を備えていると認定した。 しかし,図2ないし4と図5及び6は,SIMカード1の異なる実施例に関するものであり,引用刊行物には,SIMカード1がこれら二つの実施例の何れにも対応できるように構成されることは記載されていない。 したがって,審決の刊行物発明の認定には誤りがある。 (2) 補正後の発明と刊行物発明との対比判断の誤り審決は,補正後の発明と刊行物発明との対比において,「刊行物発明の「携帯電話機」が,「離れて設置された第三の装置」と通信するようにすることができる「アンテナ」を有していることは明らかである。」と認定したところ,ここでいう「アンテナ」は,「携帯電 ,「刊行物発明の「携帯電話機」が,「離れて設置された第三の装置」と通信するようにすることができる「アンテナ」を有していることは明らかである。」と認定したところ,ここでいう「アンテナ」は,「携帯電話機」が有していることから,SIMカード1の通信のために携帯電話機に設けられた「第2のアンテナ55」のことであるか,携帯電話機本来の通信のために携帯電話機が有するアンテナのことであると解される。一方で,審決は, - 7 -「そして,刊行物発明の「共振回路56」は,「前記SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共振して電波を増幅させ遠くまで通信できる役目を果たして」いることから,当該「アンテナ」が,「電子情報読み取り・書込み装置」を構成する「共振回路56」に接続され,「SIMカード1」が,「離れて設置された第三の装置」と通信するようにすることができる機能を有していることも明らかである。」と認定したところ,ここでいう当該「アンテナ」は,「共振回路56」に接続されていることから,「前記SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4」であると解される。 そうすると,ここで対比の対象としている「アンテナ」は,結局,どのアンテナのことを指すのか不明であるとともに,「携帯電話機」が有し,かつ「共振回路56」に接続された「アンテナ」は引用刊行物には記載も示唆もされていない。 なお,被告は,刊行物発明の「共振回路」が本願発明の「アンテナ」に相当する旨主張する。しかし,アンテナに共振して信号を増幅するブースターやアンテナに付随する共振回路を含めてアンテナと呼称することはあるとしても,ブースター単体や共振回路単体をアンテナということは一般的ではなく,引用刊行物においてもブースター単体や共振回路単体に相当する「共振回路」と第1のアンテナたる「アンテナ」と することはあるとしても,ブースター単体や共振回路単体をアンテナということは一般的ではなく,引用刊行物においてもブースター単体や共振回路単体に相当する「共振回路」と第1のアンテナたる「アンテナ」とは別に呼称されている。 したがって,審決がした上記対比判断には誤りがある。 (3) 相違点の認定の誤り上記のとおり,審決には,刊行物発明の認定の誤り及び補正後の発明と刊行物発明との対比判断の誤りがあるから,これに基づいてなされた相違点の認定にも誤りがある。 (4) 以上によれば,上記(1)ないし(3)の誤りが審決の結論に影響することは明らかであるから,審決は取り消されるべきである。 2 取消事由2(相違点の判断の誤り)(1) 補正後の発明の認定の誤り審決は,相違点1の判断において,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動 - 8 -的にすることができる」との記載の意味を,「マイクロモジュール」の能動素子から構成された送受信回路,増幅回路のような回路を動作させることができるという意味に解釈した。 しかし,文理上,「能動的」とは,「自ら働きかけるさま」という意味である。非接触式ICカードの技術分野においては,受動的とは,通信相手に対して自ら働きかけるのではなく,相手からの働きかけを受けてはじめて,相手に応答することを意味し(甲26等参照),能動的とは,通信相手に対して自ら働きかけて,通信を開始することを意味する。このことは,①「Radio-frequencyidentification 」(Wikipedia,甲26,以下「甲26文献」という。)の「能動タグは,搭載バッテリを有し,定期的にそのID信号を送信する。」,②特表2003-536150号公報(甲27。以下「甲27文献」という。)の「能動RFタグにおいては、送信器 6文献」という。)の「能動タグは,搭載バッテリを有し,定期的にそのID信号を送信する。」,②特表2003-536150号公報(甲27。以下「甲27文献」という。)の「能動RFタグにおいては、送信器を使用することによって、バッテリにより給電されたそれ自身の無線周波エネルギを生成する。」,③特開2003-178272号公報(甲28。以下,「甲28文献」という。)の「ICカード50は、非接触ICデバイスからの能動的な動作に対して、受動的な処理しかできないが、非接触ICデバイスは能動的機能を有しているので、他の非接触ICデバイスと、相互に、能動的にも受動的にも通信が可能である。」,④特開2003-271903号公報(甲29。以下「甲29文献」という。)の「信号源Iは、例えばリーダー/ライター300などのように、自己が電源に応じて能動的に通信を行う装置側が持つものであり、半導体機能素子のような自己が電源を持たずに受動的に通信を行う装置側は持たない。」,⑤WO2005/073905公報(甲30。以下「甲30文献」という。)の「一般にRFIDは、大きく分けて3つのタイプのものが用いられている。・・・2つ目のタイプは、アクティブタグと称されるもので、起動用の電源電池を持っていて格納されているデータを発信することができるものであ・・・る。」,⑥特開2005-250703号公報(甲31。 以下「甲31文献」という。)の「無線タグの中に電池を持ち、無線タグから発信するようなアクティブ型の無線タグ」,⑦特開2005-275842号公報(甲32。 - 9 -以下「甲32文献」という。)の「タグ22は、アクティブ型のRFタグ」,⑧特開2005-277658号公報(甲33。以下「甲33文献」という。)の「RFIDタグの情報取得を非接触あるいは近距離で行うパッ 「甲32文献」という。)の「タグ22は、アクティブ型のRFタグ」,⑧特開2005-277658号公報(甲33。以下「甲33文献」という。)の「RFIDタグの情報取得を非接触あるいは近距離で行うパッシブ・タイプと自己送信のアクティブ・タイプ」,⑨特開2005-291793号公報(甲34。以下「甲34文献」という。)の「自身から通信用の電波によって識別情報を出力するアクティブタグ」,⑩特開2006-31193号公報(甲35。以下「甲35文献」という。)の「RFIDを駆動させる電源に着目した場合,RFIDは,電源を内蔵するか外部から電源供給を受けるかの違い等により,自ら所定の情報を含んだ電波を発することが可能なアクティブタイプ(能動形)のRFIDと,外部からの電波(搬送波)の電力を利用して駆動するパッシブタイプ(受動形)のRFIDとの二つのタイプに分けることができる。このうち,アクティブタイプのRFIDにおいては,駆動用の電源が質問器(リーダ/ライタ)の側ではなく,RFIDの側にあり,通常,その駆動電源として電池を備えて構成され,質問器(リーダ/ライタ)と交信を行う。」,⑪特表2007-515836号公報(甲36。以下「甲36文献」という。)の「タグは能動型又は受動型にし得る。能動タグはタグ自体に記録された情報により変調され質問局に送信される無線周波数搬送波を合成する。」,⑫WO2004/069702公報(甲37。以下「甲37文献」という。)の「電池などの自己電源を持たずに受信局30からの無線電力を蓄積して起動し、受信局30からの読み取り要求に応じて標識番号を発信するパッシブタイプと、電池などの自己電源を持ち、自発的に標識番号を発信するアクティブタイプ」,⑬WO2006/082907公報(甲38。以下「甲38文献」という。)の「RFIDタグ て標識番号を発信するパッシブタイプと、電池などの自己電源を持ち、自発的に標識番号を発信するアクティブタイプ」,⑬WO2006/082907公報(甲38。以下「甲38文献」という。)の「RFIDタグとしては、電池等の電源を内蔵してRFタグから能動的に情報信号を発信する方式と、受信部側のアンテナから電磁波を出力し、この電磁波の出力に応じて誘導された電流により情報信号を発信する電磁波誘導方式」などの記載から明らかである。 そうすると,補正後の発明の前記記載は,「マイクロモジュールを自ら働きかけるようにすることができる」という意味に解釈するのが自然である。 - 10 -したがって,審決の補正後の発明の認定は誤りである。 (2) 容易想到性の判断の誤り審決は,刊行物発明において,特開2004-38657号公報(甲2。以下,「周知例1」という。)及び実用新案登録第3076212号公報(甲3。以下,「周知例2」という。)に記載の周知技術を勘案することにより,補正後の発明のように「読取装置」が,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え」た構成とすることは,当業者が必要に応じて,適宜なし得たことであると判断した。 しかし,引用刊行物記載のSIMカードは,そもそも受動タイプのICカードであり,周知例1及び2に記載の周知技術は,非接触型ICカードにバッテリを付け加えたものである。そうすると,受動タイプのICカードであるSIMカードを非接触型ICカードとしても使用できるようにする(【0004】参照)という刊行物発明において,非接触型ICカードにバッテリを付け加えるという周知例1,2に記載の周知技術を勘案しても,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るとしても,補正後の発明のような能動タイ 型ICカードにバッテリを付け加えるという周知例1,2に記載の周知技術を勘案しても,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るとしても,補正後の発明のような能動タイプの非接触型ICカードには想到し得ない。 したがって,審決の容易想到性の判断は誤りである。 (3) 以上によれば,審決の相違点の判断には誤りがあり,審決の結論に影響することは明らかであるから,審決は取り消されるべきである。 3 取消事由3(手続違背)(1) 補正の目的についての判断の誤り審決は,本件補正の目的について,特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものであると判断した。 しかし,本件補正は,本件補正前の請求項1(以下,本件補正前の「請求項1」ないし「請求項23」を順次「旧請求項1」ないし「旧請求項23」という。)を削除するとともに,これに伴い,旧請求項23を,本件補正後の請求項1(以下,本 - 11 -件補正後の「請求項1」ないし「請求項22」を順次「新請求項1」ないし「新請求項22」という。)として,独立形式に変更する補正である。 したがって,本件補正は,特許請求の範囲の減縮ではなく,請求項の削除を目的とする補正であって,審決の判断は誤りである。 (2) 独立特許要件の適用の誤り仮に,本件補正が請求項の削除を目的とする補正と認められないとしても,新請求項1は,旧請求項23とその記載が同一であるところ,補正の前後においてその記載が同一である請求項については,独立特許要件を適用するべきではない。なぜなら,旧特許法第17条の2第5項において同法第126条第5項の規定を準用する趣旨は,特許請求の範囲の減縮により改めて特許要件の具備を再審査する必要が生ずる点にあるものと解されるところ,補正の前後においてその記載が同一 条の2第5項において同法第126条第5項の規定を準用する趣旨は,特許請求の範囲の減縮により改めて特許要件の具備を再審査する必要が生ずる点にあるものと解されるところ,補正の前後においてその記載が同一である請求項については,改めて特許要件の具備を再審査する必要が生じないからである。 したがって,審決の判断は誤りである。 (3) 拒絶理由の通知の懈怠前記(1)及び(2)のとおり補正要件違反の判断には誤りがあり,審決は拒絶査定と異なる理由で拒絶するのであるから,特許法159条2項,50条本文に基づいて,改めて拒絶理由通知をする必要があるところ,審決は,本願明細書(【0025】)の記載を参酌しても,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」の意味が必ずしも明らかではないとしながら,拒絶理由を通知することなく,独自の解釈により補正後の発明を認定した。 したがって,審決に至る手続にはその結論に影響する重大な違法があるから,審決は取り消されるべきである。 第4 被告の反論 1 取消事由1(刊行物発明,一致点及び相違点の認定の誤り)に対し原告は,相違点の認定の誤りが審決の結論に影響する旨を主張しながら,審決が看過した相違点を具体的に指摘しておらず,原告が指摘する審決の不備は,相違点 - 12 -の認定誤りにも審決の結論にも結びつかないから,取消事由とはならない。 (1) 刊行物発明の認定の誤りに対し引用刊行物には,SIMカードの具体的な実施例として,外部端末接続用端子3の予備端子31,32を外部アンテナ接続用端子として利用した実施例(【図1】)と,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例(【図2】ないし【図4】)とが示され,その上で,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例(【図5】及び【図6】)のバリエ した実施例(【図1】)と,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例(【図2】ないし【図4】)とが示され,その上で,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例(【図5】及び【図6】)のバリエーションが示されているところ,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例は,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例のバリエーションであるから,「第1のアンテナ」が明記されていなくても記載されているものと同視できるものである。 また,引用刊行物のSIMカードについての記載(【0021】ないし【0029】)は,【0028】【0029】を含むその全体が外部アンテナ(第2のアンテナ)を接続するための端子を有することを前提とした記述となっており,SIMカードに第1のアンテナを設けるか否かは,オプションとして位置付けられているのであるから,引用刊行物においては,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例でもある,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例のSIMカードが記載されているものである。 したがって,原告の主張は理由がない。 (2) 補正後の発明と刊行物発明との対比判断の誤りに対し原告は,対比の対象としている刊行物発明の「アンテナ」が不明であって,「携帯電話機」が有し,かつ「共振回路56」に接続された「アンテナ」は引用刊行物には記載も示唆もされていない旨主張する。 しかし,刊行物発明の「共振回路56」は,「前記SIMカード1に内蔵された第1のアンテナに共振して電波を増幅させ遠くまで通信できる役目を果たして」いるのであるから,「共振回路56」は,本願発明の,マイクロモジュールが端末と通信することができるように読取装置が備える「アンテナ」に相当する。 - 13 -したがって,原告の主張は理由がない。 (3) 相違点の認定の 6」は,本願発明の,マイクロモジュールが端末と通信することができるように読取装置が備える「アンテナ」に相当する。 - 13 -したがって,原告の主張は理由がない。 (3) 相違点の認定の誤りに対し審決の一致点の認定に至る部分の記載の一部に不適切な点があるものの,審決が認定した一致点に誤りはなく,相違点の認定にも誤りはない。 したがって,原告の主張は理由がない。 2 取消事由2(相違点の判断の誤り)に対し(1) 補正後の発明の認定の誤りに対し原告は,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」との記載は,マイクロモジュールを自ら働きかけるようにすることができるという意味に解釈するのが自然である旨主張する。 しかし,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」との文言は,特許請求の範囲における「読取装置は,・・マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え,」との記載において「バッテリ」を修飾していること,マイクロモジュールが能動素子からなる回路を含むことによれば,電源供給を行う機能を有する「バッテリ」が「マイクロモジュール」に電源供給を行うことで,回路を構成する素子を動作させることができるという意味であることは,文理上,明らかである。 また,広辞苑(甲25,乙6)においては,「能動」の説明において,「能動素子」につき「素子」の説明を参照する旨が示されるととともに,「素子」の説明において,「電気回路(或いは機械的回路)の中でそれ自身の機能が全体としての機能に対して本質的な意味を持つ個々の構成要素。電気回路では,トランジスター・真空管のように信号以外のエネルギーを信号エネルギーに変換したり増幅したりするものを能動素子,抵抗・コイル・コンデンサーのようなものを受動素子とし を持つ個々の構成要素。電気回路では,トランジスター・真空管のように信号以外のエネルギーを信号エネルギーに変換したり増幅したりするものを能動素子,抵抗・コイル・コンデンサーのようなものを受動素子として大別する。」旨が示されていること,マイクロモジュールが能動素子からなる回路を含むことに照らせば,信号以外のエネルギーを素子に供給して能動素子を能動素子として動作させる趣旨で「アクティブにする」「能動的にする」といった文言を用いることは, - 14 -文理に即した自然なものである。 さらに,非接触式ICカード又はRFID(タグ)の技術分野においては,通常,非接触式ICカード等の電力供給源となる「バッテリ(電池,電源)」を自身の内部に備えているか否かという観点から「能動(能動的)」及び「受動(受動的)」の語が用いられており(乙7ないし11),一般的にタグとRFID読取機との通信の開始に着目して「能動(能動的)」及び「受動(受動的)」の語が用いられるということはできない。本願明細書においても,非接触式ICカード等が自ら通信を開始する機能を備えるために必要となる事項について何ら開示されておらず,バッテリを配置したからといってそれのみで自ら通信を開始することができるようになるわけではないから,自ら通信を開始する機能を有さない受動部品であるカードが「バッテリを配置することによって」のみ自ら通信を開始する機能を有するものに変わることはない。 したがって,原告の主張は理由がない。 (2) 容易想到性の判断の誤りに対し原告は,刊行物発明につき非接触型ICカードにバッテリを付け加えるという周知例1,2に記載の周知技術を勘案しても,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るとしても,補正後の発明のような能動タイプ Cカードにバッテリを付け加えるという周知例1,2に記載の周知技術を勘案しても,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るとしても,補正後の発明のような能動タイプの非接触型ICカードには想到することができないと主張する。 しかし,補正後の発明における「バッテリ」が「マイクロモジュールを能動的にすることができる」とは,前記のとおり,「バッテリ」がマイクロモジュールの回路を構成する能動素子を能動素子として動作させるべく電源を供給することができることを表現している。そして,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプは,非接触式ICカード等の電力供給源となる「バッテリ(電池,電源)」を自身の内部に備えた「能動的」なものであって,そのためのバッテリを備えていることになるから,刊行物発明に周知技術を勘案することで「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るというのであれば,補正後の発明の「マ - 15 -イクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を備えたこととなる。 したがって,原告の主張は理由がない。 3 取消事由3(手続違背)に対し(1) 補正の目的についての判断の誤りに対し本件補正は,旧請求項23の記載に基づき,旧請求項1の記載を補正し,その上で旧請求項23を削除したものである。そのことは,①審判請求書(甲12)には,「1 手続補正について本審判請求書と同時に提出した手続補正書において,請求項23の記載に基づき,請求項1の記載を補正した。これに伴い,請求項23を削除した。」と記載されており,審判請求にあたって,原告も,新請求項1に対応する補正前の請求項は,旧請求項23ではなく旧請求項1であることを明確に示していること,②①の審判請求書の内容をも参酌して 削除した。」と記載されており,審判請求にあたって,原告も,新請求項1に対応する補正前の請求項は,旧請求項23ではなく旧請求項1であることを明確に示していること,②①の審判請求書の内容をも参酌してなされた前置報告(本件補正を限定的減縮を目的としたものとし,独立特許要件違反であると判断した。甲14)に基づく審尋(甲15)に対する回答(甲16)においても,前置報告における補正の目的についての判断に対する反論を述べていないことから明らかである。 なお,本件補正の前後を通じて請求項2ないし22が請求項1を引用しているところ,仮に旧請求項1を削除した上で旧請求項23を新請求項1としたのであれば,旧請求項23である新請求項1の内容を引用する請求項2ないし22が旧請求項1を引用する請求項2ないし22に対応するものであると形式的に判断することができなくなるから,旧請求項23を新請求項1ないし22に増項する補正(いわゆる増項補正)でないことも,審判請求書において併せて説明する必要があったところ,この点も何ら説明されていない。 以上によれば,審決の判断に誤りはない。 (2) 独立特許要件の適用の誤りに対し一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが記載の上で同一となる場合があり得るところ(特許法36条5項),審判請求と同時になされた特許請求の範囲についてする補正が特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものであると認定する - 16 -にあたって「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」であるか否かについての請求項毎の判断が必要であり,その際,ある請求項についての限定的減縮を目的とした補正が,結果として他の請求項と記載の上で同一となる場合があり得る。さらには,複数の引用請求項のうちの一の内容を被引用請求項に繰り入れ 必要であり,その際,ある請求項についての限定的減縮を目的とした補正が,結果として他の請求項と記載の上で同一となる場合があり得る。さらには,複数の引用請求項のうちの一の内容を被引用請求項に繰り入れることにより特許請求の範囲の限定的減縮を目的とした補正を行うことは珍しいことではなく,このような補正も特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものであることには変わりがない。法は,これらの場合を除外することなく,補正の要件としていわゆる独立特許要件を課しているから(旧特許法17条の2第6項),補正の前後においてその記載が同一である請求項についても独立特許要件が適用され得るものである。 したがって,原告の主張は理由がない。 (3) 拒絶理由の通知の懈怠に対し前記(1)及び(2)のとおり,原告の補正要件違反に関する主張は理由がないから,旧特許法159条2項において準用する同法50条但書の適用がない旨の主張も理由がない。 また,審決は,特許法36条の拒絶理由を新たに発見した旨を述べたものではなく,審決の理由が特許法36条である旨を述べたものでもない。 したがって,原告の主張は理由がない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は,原告が主張する取消事由は理由がなく,本件請求は棄却すべきものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 本願発明及び引用刊行物に記載された発明について(1) 補正後の発明の要旨について本願明細書によれば,補正後の発明は,マイクロモジュールの所持者認証や,マイクロモジュールに記録された多数の権限の読取りのためのマイクロモジュールに関するものである(【0001】)。従来から,マイクロモジュール(チップカード) - 17 -は,読取装置内で正しく機能すると共に,一般的な人間工学を保持するように標準化 マイクロモジュールに関するものである(【0001】)。従来から,マイクロモジュール(チップカード) - 17 -は,読取装置内で正しく機能すると共に,一般的な人間工学を保持するように標準化されるため,技術的制約条件が課されており(【0002】【0004】【0006】),近年,非接触式カードが提供され始めているものの,アンテナの形状やサイズについてISOサイズと同等のカードサイズを課すものであるため,寸法制約条件は依然として残っており,カード発行者は,他のカードと区別するために,カードの形状を変更することはできず,カードの外見(色,透明性)に頼るしかできないという課題があった(【0008】【0009】)。そこで,補正後の発明は,マイクロモジュールの所持者に様々なフォームファクタ(形状やサイズ)を提供することなどを目的としてされたものである(【0010】)。 (2) 引用刊行物に記載された発明についてア引用刊行物には,以下の記載がある(甲1。図1ないし6及び8ないし10については,別紙刊行物発明図面目録参照。)。 「【発明の詳細な説明】【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,接触通信機能と非接触通信機能を併せ持つ小型形状ICカードのアンテナ構造と,前記小型形状ICカードに対応するリーダライタに関する。 【0002】【従来の技術】ICカードは,接点を介して情報を交信する接触型ICカードと,アンテナを介して情報を交信する非接触型ICカードに分類することができる。・・・【0003】ICカードの特殊な利用方法として,ICチップの周辺部を切りとって携帯端末などに差し込んで利用している例がある。このカードは,SIM(SubscriberIdentityModule)カードと称するGSM規格で規定されている小型形状( プの周辺部を切りとって携帯端末などに差し込んで利用している例がある。このカードは,SIM(SubscriberIdentityModule)カードと称するGSM規格で規定されている小型形状(略25mm×15mm×0.8mm)のミニチュアサイズのICカードである。・・・【0004】【発明が解決しようとする課題】このSIMカードにアンテナを内蔵し,前述の - 18 -接触/非接触共用ICカードとして利用する検討が行われているが,カードのサイズが小さいために非接触での交信距離を大きくすることが困難であった。」「【0022】図1において,SIMカード1の表面にはICモジュールの外部端末接続用端子3が実装されている。後述するように,本発明の具体的な実施例の一つとして,前述の外部端末接続用端子3の予備端子(未使用端子)31,32を外部アンテナ接続用端子として利用している。・・・【0023】図2は,本発明の具体的なもう一つの実施例で,SIMカード1の裏側に外部アンテナ接続用端子20を設けた実施例である。図2の表側には,図1に示すような外部端末(装置)接続用端子が実装されている。この実施例では,外部アンテナ接続用端子20を形成した外部アンテナ接続用端子回路基板2をSIMカード1に接着剤によって接着している。図4で詳細に説明するが,上記外部アンテナ接続用端子20は,外部アンテナ接続用端子回路基板2の裏側に形成したアンテナ端子接続回路21によってアンテナ接続部材22,23と電気的に接続されている。アンテナ接続部材22,23は,外部端末接続用端子の予備端子31,32の裏側を利用して接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子に接続されている。 【0024】図3は,図2で示した外部アンテナ用接続端子をSIMカードの 端子の予備端子31,32の裏側を利用して接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子に接続されている。 【0024】図3は,図2で示した外部アンテナ用接続端子をSIMカードの裏面に設けた場合について説明するための図であって,前述のように予備端子を利用して外部アンテナ用接続端子とする場合に関しては,図3のアンテナ接続部材22,23,および,外部アンテナ接続用端子回路基板埋設のための凹部14は不要である【0025】以下図3を参照してSIMカードの裏面に外部アンテナ接続用端子を設ける場合について説明する。図3は,図2における外部アンテナ接続用端子回路基板2をSIMカードの基体に接着する前の状態を示しているが,SIMカード1の基体裏側には上記外部アンテナ接続用端子回路基板2を埋設するための凹部14が形成されており,アンテナ接続部材22,23が露出している。アンテナ接続 - 19 -部材22,23は導電性の接着剤で,SIMカード基体に開けられたスルーホールを通して裏側に接着されているICモジュールの外部端末接続用端子3の予備端子31,32の裏側に接着され電気的に接続されている。また,接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子も前述の予備端子の裏側に接着され電気的に導通している。 【0026】ICモジュールは外部端子接続端子の裏側に接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップ(図示せず)を接着し,ボンディングワイヤでICチップの各接続端子と,前述の外部端子接続端子の裏側に設けられた金属露出部を接続し,熱硬化性の樹脂などで封止(封止部33参照)して作成する。本発明の接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップの場合は,上記外部端子接続端子の裏側にアンテナ用の接続部を新たに設ける場合 接続し,熱硬化性の樹脂などで封止(封止部33参照)して作成する。本発明の接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップの場合は,上記外部端子接続端子の裏側にアンテナ用の接続部を新たに設ける場合と,図3のように予備端子(図1の31,32)を利用してICチップのアンテナ端子とアンテナの終端を導通させる場合がある。・・・【0027】図4は図3のA-A線断面(概念)図であるが,前述のように,積層されたカード基体の凹部11にICモジュールを嵌め込んで接着してSIMカードとする。積層カードは印刷などが施された積層コア(シート)105の表裏に透明シート101を接着した後,上記ICモジュール(3,および,33)を実装し,導電性の接着剤を,22,23で図示している部分に流し込んで,外部アンテナ接続用端子回路基板と導通させるための接続部とする。 【0028】図5は,SIMカード1に第1 のアンテナ4を設けた場合の図で,接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子と,第1 のアンテナの終端部41,42が外部端末接続用端子の予備端子の裏の部分を利用して導通されている。 【0029】図6は,図5のB-B線断面(概念)図で,第1 のアンテナはSIMカード基体の内部に積層されて,アンテナの2つの終端41,42が外部端末接続用端子の予備端子の裏の部分を利用して導通されている。図5,図6の他の部分 - 20 -の符号は,図3,図4に準じているので説明を省略する。」「【0031】図8において,携帯電話機5の操作ボタンの裏側に第2のアンテナ55,および,共振回路56が埋設されている。前記第2のアンテナ55,と前記共振回路56を同時に使用することはないために携帯電話機5はどちらかを選択することになる。もし,SIMカードが外部アンテナ使用 5,および,共振回路56が埋設されている。前記第2のアンテナ55,と前記共振回路56を同時に使用することはないために携帯電話機5はどちらかを選択することになる。もし,SIMカードが外部アンテナ使用型,共振回路使用型に別れていて,その何れにも対応できるようにしたい場合は,図8に示しているように上記第2のアンテナ55,および,共振回路56を内部に備え,操作ボタンによって使用しない側を機能的に遮断して使用することもできる。共振回路は,挿入口51から挿入されたSIMカード1の周囲を覆うように設けられている。・・・【0032】図9,図10を参照して携帯電話機に第2のアンテナ(外部アンテナ)と,共振回路を別々に設けた場合について説明する。図9を参照して,第2のアンテナを設けた電話機を切断した状態を説明する。携帯電話機5の外側は,強化プラスチックのフレーム50で覆われている。フレームの外側には操作ボタン53が設けられ,操作ボタン53の内側には電子回路基板59が設けられている。SIMカード収納部60に固定されたSIMカード1は,SIMカードの表面(表側,または,裏側)に設けられた外部アンテナ接続用端子に対して携帯電話機に備えられた接点58,57・・・何れかと接触している。2個で構成された接点57,または,接点58(図示していないが第2のアンテナ55に接続されている)は電子回路基板59の外側で,フレーム50近傍に設けられた第2のアンテナに電気的に接続(点線で表示)されている。 【0033】図10は,共振回路を備えた携帯電話機のSIMカード収納部60付近の断面である。SIMカード収納部に近い部分で電子回路基板59に遮られない場所で,SIMカードを取り囲むように共振回路56が設けられ,SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共振して電波を増幅させ遠 面である。SIMカード収納部に近い部分で電子回路基板59に遮られない場所で,SIMカードを取り囲むように共振回路56が設けられ,SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共振して電波を増幅させ遠くまで通信できる役目を果たしている。」「【0039】 - 21 -【発明の効果】本発明の接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップを搭載したSIMサイズのカードを,本発明の外部アンテナを備えた携帯電話機に装填して使用することによって離れて設置された第三の装置と無線で交信することが可能になった。また,本発明の接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップと,アンテナを搭載したSIMサイズのカードを,本発明の共振回路を備えた携帯電話機に装填して使用することによって離れて設置された第三の装置と無線で交信することが可能になった。」イ上記記載によれば,引用刊行物に記載された発明は,接触通信機能と非接触通信機能を併せ持つ小型形状ICカードのアンテナ構造と,小型形状ICカードに対応するリーダライタに関するものである(【0001】)。従来技術として,ICカードの特殊な利用方法として,ICチップの周辺部を切りとって携帯端末などに差し込んで利用している例(SIMカード)があるところ,SIMカードにアンテナを内蔵し,接触/非接触共用ICカードとして利用しようすると,SIMカードのサイズが小さいために非接触での交信距離を大きくすることが困難であるという課題があった(【0004】)。そこで,引用刊行物に記載された発明は,SIMカードを,外部アンテナを備えた携帯電話機に装填して使用することにより,離れて設置された第三の装置と無線で交信することを可能とし,また,共振回路を備えた携帯電話機に装填して使用することにより,離れて設置された第三の装置 ナを備えた携帯電話機に装填して使用することにより,離れて設置された第三の装置と無線で交信することを可能とし,また,共振回路を備えた携帯電話機に装填して使用することにより,離れて設置された第三の装置と無線で交信することを可能としたものである(【0039】)。 2 取消事由1(刊行物発明,一致点及び相違点の認定の誤り)について(1) 刊行物発明の認定の誤りについてア審決は,「SIMカード1」が「アンテナ接続部材22,23が,前記SIMカード1の前記カード基体に開けられたスルーホールを通して前記ICモジュールの前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏側に接着され電気的に接続されており,前記SIMカード1に前記第1のアンテナ4を設け,前記接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子と,前記第1のア - 22 -ンテナ4の終端部41,42が前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏の部分を利用して導通されている」との構成を備えるように認定した。 確かに,引用刊行物には,①携帯電話機が,外部アンテナである「第2のアンテナ(55)」を備え,SIMカードとアンテナ接続部材(22,23)及び外部アンテナ接続用端子(20)を介して接続される実施例(【0023】ないし【0027】,【0032】,【図2】ないし【図4】,【図9】。以下「外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例」という。)と,②携帯電話機が,共振回路(56)を備え,SIMカードの「第1のアンテナ(4)」と共振することにより接続される実施例(【0028】,【0029】,【0033】,【図5】,【図6】,【図10】。以下「共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例」という。)の二つの実施例が記載されており,携帯電話機が,「第2のアンテナ 028】,【0029】,【0033】,【図5】,【図6】,【図10】。以下「共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例」という。)の二つの実施例が記載されており,携帯電話機が,「第2のアンテナ(55)」と「共振回路(56)」の両方を備える実施形態があることも記載されている(【0031】)。 しかし,引用刊行物においては,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例と共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例は明確に区別されており,「第2のアンテナ(55)」と「共振回路(56)」の両方を備える実施形態についても,「前記第2のアンテナ55,と前記共振回路56を同時に使用することはないために携帯電話機5はどちらかを選択することになる。」(【0031】)と記載されていることなどによれば,引用刊行物の記載は,両者を備える実施形態に対応して,「第2のアンテナ(55)」と「共振回路(56)」の両方に同時に対応できるSIMカードについてまで開示するものではない。 そうすると,引用刊行物に記載された発明は,審決の認定した刊行物発明から,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例を除き ,以下のように認定すべきである。 「SIMカード収納部60を有し,前記SIMカード収納部60にSIMカード1が固定され,前記SIMカード収納部60に近い部分で,前記SIMカード1を取り囲むよう - 23 -に共振回路56が設けられ,前記SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共振して電波を増幅させ遠くまで通信できる役目を果たしており,離れて設置された第三の装置と無線で交信することが可能である電子情報読み取り・書込み装置を有する携帯電話機であって,前記SIMカード1は,積層されたカード基体の凹部11にICモジュールを嵌め込んであり, た第三の装置と無線で交信することが可能である電子情報読み取り・書込み装置を有する携帯電話機であって,前記SIMカード1は,積層されたカード基体の凹部11にICモジュールを嵌め込んであり,前記SIMカード1の表面には,前記ICモジュールの外部端末接続用端子3が実装されており,前記ICモジュールは外部端子接続端子の裏側に接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップを接着し,前記SIMカード1に前記第1のアンテナ4を設け,前記接触通信機能と非接触通信機能とを併せ持つICチップのアンテナ端子と,前記第1のアンテナ4の終端部41,42が前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏の部分を利用して導通されている,電子情報読み取り・書込み装置を有する携帯電話機。」したがって,上記認定に反し,SIMカード1について,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例に対応するSIMカードに加えて,「(表面のICモジュールの)外部端末接続用端子3の予備端子31,32を外部アンテナ接続用端子として利用し,アンテナ接続部材22,23が,前記SIMカード1の前記カード基体に開けられたスルーホールを通して前記ICモジュールの前記外部端末接続用端子3の前記予備端子31,32の裏側に接着され電気的に接続されており,」との部分(外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例に対応できるSIMカード)を含めて認定した,審決の刊行物発明の認定には誤りがある。 イ被告の主張について(ア) 被告は,引用刊行物には,SIMカードの具体的な実施例として,外部端末接続用端子3の予備端子31,32を外部アンテナ接続用端子として利用した実施 - 24 -例(【図1】)と,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例(【図2】ないし【図4】) ,外部端末接続用端子3の予備端子31,32を外部アンテナ接続用端子として利用した実施 - 24 -例(【図1】)と,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例(【図2】ないし【図4】)とが示され,その上で,「共振回路及び第1のアンテナ」を使用する実施例(【図5】及び【図6】)のバリエーションが示されているところ,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例は,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例のバリエーションであるから,「第1のアンテナ」が明記されていなくても記載されているものと同視できると主張する。 しかし,前記アで判示したとおり,引用刊行物においては,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例と,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例は,明確に区別して記載されていると認められ,この点については,引用刊行物の【図2】ないし【図4】では,アンテナ接続部材22,23が図示され,外部アンテナ接続用端子20に接続されている一方で,【図5】及び【図6】では,外部アンテナ接続用端子20は存在せず,代わりに,第1のアンテナ終端41,42や第1のアンテナ4が記載されていることなどにも現れている。 したがって,被告の主張は理由がない。 (イ) 被告は,引用刊行物のSIMカードについての記載(【0021】ないし【0029】)は,【0028】【0029】を含むその全体が外部アンテナ(第2のアンテナ)を接続するための端子を有することを前提とした記述となっており,SIMカードに第1のアンテナを設けるか否かは,オプションとして位置付けられているのであるから,引用刊行物においては,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例でもある,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例のSIMカードが記載されていると主張する。 しかし, ているのであるから,引用刊行物においては,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例でもある,共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例のSIMカードが記載されていると主張する。 しかし,前記アで判示したとおり,引用刊行物においては,外部アンテナ(第2のアンテナ)を使用する実施例と共振回路及び第1のアンテナを使用する実施例は明確に区別されており,引用刊行物のSIMカードについての記載が,全体が外部アンテナ(第2のアンテナ)を接続するための端子を有することを前提とした記述となっていると解することはできず,SIMカードに第1のアンテナを設けるか否 - 25 -かがオプションとして位置付けられているとも解することはできないから,被告の主張はその前提を欠くというべきである。 したがって,被告の主張は理由がない。 (2) 一致点の認定の誤りについて原告は,審決が対比の対象としている刊行物発明の「アンテナ」が不明であって,「携帯電話機」が有し,かつ「共振回路56」に接続された「アンテナ」は引用刊行物には記載も示唆もされていない旨主張する。 確かに,引用刊行物には,審決が認定するような「アンテナ」については記載されておらず,仮に,そのような「アンテナ」があったとしても,「共振回路56」とどのように接続されているのか不明であるから,審決が説示するように,刊行物発明の「携帯電話機」が,「共振回路56」に接続される「アンテナ」を有していることは明らかであるとはいえず,審決の説示は必ずしも適切ではなかったものと認められる。 しかし,引用刊行物には,「共振回路56」について,「SIMカード収納部に近い部分で電子回路基板59に遮られない場所で,SIMカードを取り囲むように共振回路56が設けられ,SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共 は,「共振回路56」について,「SIMカード収納部に近い部分で電子回路基板59に遮られない場所で,SIMカードを取り囲むように共振回路56が設けられ,SIMカード1に内蔵された第1のアンテナ4に共振して電波を増幅させ遠くまで通信できる役目を果たしている。」(【0033】)と記載されており,「携帯電話機」に備えられた「共振回路56」は,マイクロモジュールである「SIMカード1」が「離れて設置された第三の装置」と通信するために機能していると認められる。また,特開2004-29873号公報(乙1【0015】【0026】【図3】),特開2003-256798号公報(乙2【0032】【図8】),特開2004-46345号公報(乙3【0009】【図3】),特開2003-346100号公報(乙4【0036】【図1】),特開2003-223618号公報(乙5【0031】【図3】)の記載によれば,共振回路は,「アンテナ」と評価され得るものである。 そうすると,離れて設置された第三の装置と通信するために携帯電話機に備えら - 26 -れた刊行物発明の「共振回路56」は,補正後の発明の,マイクロモジュールが端末と通信することができるように読取装置が備える「アンテナ」に相当するというべきである。そして,刊行物発明の「SIMカード1」及び「離れて設置された第三の装置」は,それぞれ補正後の発明の「マイクロモジュール」及び「端末」に相当する。 そして,以上を前提に,刊行物発明と補正後の発明の一致点について認定すると,「端末との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置であって,チップを含むマイクロモジュールと,マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナを備え 信装置であって,チップを含むマイクロモジュールと,マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナを備え,マイクロモジュールがアンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持され,チップが,非接触式である,携帯用通信装置。」となり,審決の一致点の認定と一致する。 したがって,審決の一致点の認定に誤りはない。 (3) 相違点の認定の誤りについて原告は,刊行物発明の認定の誤り及び補正後の発明と刊行物発明との対比判断の誤りがあるから,これに基づいてなされた相違点の認定にも誤りがある旨主張する。 しかし,審決の刊行物発明の認定は誤りではあるものの,一致点の認定に誤りはなく,前記アで認定した刊行物発明の内容に照らしてみれば,相違点の認定についても誤りはない。原告の主張は,刊行物発明の「共振回路56」が,補正後の発明の「アンテナ」に相当しないことを前提とするものであって,他に何らかの相違点を看過した旨の主張はない。 したがって,原告の主張は理由がない。 (4) 小括以上によれば,審決は,刊行物発明の認定において一部誤りがあるものの,刊行物発明との一致点及び相違点の認定に誤りはなく,刊行物発明の前記認定誤りは,審決の結論を左右するものではないから,原告の主張する取消事由1は,理由がな - 27 -い。 3 取消事由2(相違点の判断の誤り)について(1) 補正後の発明の認定の誤りについてア審決は,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」とは,「マイクロモジュール」には,能動素子から構成された送受信回路,増幅回路のような回路が形成されており,「読取装置」に備えられた「バッテリ」から電源を イクロモジュールを能動的にすることができる」とは,「マイクロモジュール」には,能動素子から構成された送受信回路,増幅回路のような回路が形成されており,「読取装置」に備えられた「バッテリ」から電源を供給することにより,これらの回路を動作させることができるという意味と解釈した。これに対し,原告は,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」バッテリの意味は,「マイクロモジュールを自ら働きかけて通信を開始することができる」バッテリと解釈すべきであると主張する。広辞苑(甲25)によれば,「能動的」は,「自ら働きかけるさま」という意味ではあるものの,「マイクロモジュールを能動的にすることができる」バッテリの意味は,一義的に明確であるとはいうことはできない。 そこで,本願明細書の記載及び非接触式ICカード等の分野における技術常識を参酌して検討する。 イ(ア) 本願明細書の【発明の詳細な説明】には,「マイクロモジュールを能動的にすることができる」バッテリに関して,以下の記載がある(甲4)。 「【課題を解決するための手段】【0013】本発明の他の特徴,目的及び利点は、添付の図を参照して行われる,以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。 【発明を実施するための最良の形態】【0024】本発明は,読取装置10内に,ボックスに対する特別な制約条件なしで,そのようなスイッチだけでなく,バッテリ14,アクティブ化ボタン15およびLCD型ディスプレイ16も収容する可能性を提供する。 【0025】本発明によれば,読取装置内にそのようなバッテリ14を配置することによって,カード20を,受動的ではなく能動的にすることが可能である。バ - 28 -ッテリは,受動部品のRF通信の範囲および/または速度を増大させる際に有利である。また リ14を配置することによって,カード20を,受動的ではなく能動的にすることが可能である。バ - 28 -ッテリは,受動部品のRF通信の範囲および/または速度を増大させる際に有利である。また,バッテリは,例えば,フィリップスやソニーによって製造されるNFC(NearFieldCommunication)部品の場合と同様に,セキュリティを向上させ,能動モードに切り換わることもできる。・・・【0027】しかしながら,読取装置は,主に,待機モードで機能し,受信機だけが一部アクティブ化状態にある。 【0028】読取装置が他の装置との通信セッションをアクティブ化すると,このセッションは,装置の近接性を確認するために周期的にチェックされる(「スニッフィング」技術)。2つのアクティブ化状態の間には,RF受信機だけが一部アクティブ状態にある。」(イ) 上記記載のうち,「・・・バッテリ14を配置することによって,カード20を,受動的ではなく能動的にすることが可能である。」(【0025】)との記載によれば,上記実施例におけるカードは,バッテリを配置しない場合,受動的であるが,バッテリを配置することによって,能動的にすることができるというものであると認められる。また,「読取装置が他の装置との通信セッションをアクティブ化すると,このセッションは,装置の近接性を確認するために周期的にチェックされる」(【0028】)との記載によれば,上記実施例における読取装置は,周期的に信号を送信して近接する装置の有無を確認するのであるから,読取装置に備えられたマイクロモジュールが自ら働きかけて通信を開始するものであると理解できる。 ウ一般的文献等及び本願の出願前に刊行された公開特許公報等(以下「出願前公開特許公報等」という。)には,次のとおりの記載がある(甲 モジュールが自ら働きかけて通信を開始するものであると理解できる。 ウ一般的文献等及び本願の出願前に刊行された公開特許公報等(以下「出願前公開特許公報等」という。)には,次のとおりの記載がある(甲26ないし38,乙7ないし11)。 (ア) 一般的文献等a 「RFIDハンドブック-非接触ICカードの原理と応用-」(KlausFinkenzeller,日刊工業新聞社,2001 年2 月26 日初版1 刷発行。乙7・11頁。 以下「乙7文献」という。) - 29 -「非接触型ID識別システムの非常に重要な特徴として,トランスポンダの電源供給があげられる。パッシブ型のトランスポンダは,それ自身,電力源を持っておらず,それゆえ,パッシブ型トランスポンダが稼働するための電力は,リーダの作出す(原文のママである。)電磁界から受け取らなければならない。それに対して,アクティブ型トランスポンダはバッテリーを内蔵しており,それがマイクロチップを稼働させる電力を供給し,さらにバックアップ用電池として使われる。」b 甲26文献(「Radio-frequencyidentification」,Wikipedia。甲26)「無線周波数識別システムは、タグ、または識別されるべき客体に取り付けられるラベルを使用する。質問機または読取機と呼ばれる2方向の送信機-受信機がタグに信号を送り、その応答を読み取る。RFIDタグは、受動、能動、またはバッテリ補助された受動のいずれかとすることができる。能動タグは、搭載バッテリを有し、定期的にそのID信号を送信する。バッテリ補助された受動(BAP)は、小さいバッテリを搭載し、RFID読取機が存在するときにアクティブ化される。 受動タグは、バッテリを持たないのでより安くより小さい。しかし、受動タグの動作を開始する ッテリ補助された受動(BAP)は、小さいバッテリを搭載し、RFID読取機が存在するときにアクティブ化される。 受動タグは、バッテリを持たないのでより安くより小さい。しかし、受動タグの動作を開始するには、信号送信のおおよそ3倍の振幅より強い電力レベルで照射されなければならない。これは、干渉および放射への暴露に影響を及ぼす。」c 日本語版「ウィキペディア(Wikipedia)」の「RFID」の項(乙8。以下「乙8文献」という。)「タグの種類パッシブタグ(受動タグ)とアクティブタグ(能動タグ),双方を組み合わせた「セミアクティブタグ(起動型能動タグ)の3種類がある。 1 パッシブタグパッシブタグとは,リーダからの電波をエネルギー源として動作するRFタグで,電池を内蔵する必要がない。タグのアンテナはリーダからの電波の一部を反射するが,ID情報はこの反射波に乗せて返される。・・・ 2 アクティブタグ - 30 -・アクティブタグは,電池を内蔵したタグである。通信時に自らの電力で電波を発するため,通信距離がパッシブタグに比べ長く取れる・・・・さらにアクティブタグは,・・・定期的な自己通信型と,待受通信型と分けられる。前者はタグに内蔵する時計などにより,一定時間ごとに通信を行い,それ以外の時間帯は休止し,電力の消費を抑えるものである。後者は,通信の起動を自ら行わないもので,呼出しを待つものや,タグ自身に備わったスイッチなどの情報で通信を開始するものがある。 3 セミアクティブタグ・セミアクティブタグは,電池を内蔵するアクティブタグの機能を有するが,上位システムへの通信起動をパッシブ方式で起動をする。・・・」(イ) 出願前公開特許公報等a 甲27文献(特表2003-536150号公報。甲27)「【0006】 ィブタグの機能を有するが,上位システムへの通信起動をパッシブ方式で起動をする。・・・」(イ) 出願前公開特許公報等a 甲27文献(特表2003-536150号公報。甲27)「【0006】RFIDタグには、3つの主たるカテゴリがある。これらは、ビーム給電式受動タグと、バッテリ給電式半受動タグと、能動タグとである。各々は、本質的に異なった方法で動作する。 【0007】ビーム給電式RFタグは、受動デバイスと呼ばれることが多いが、その理由はこのタグにビームが向けられた無線周波エネルギからその動作に必要なエネルギを得るようになっているからである。このタグは、その電界を整流し、そしてタグ自体の反射特性を変化させ、インターロゲータから見える反射率の変化を生じさせる。 バッテリ給電式半受動RFIDタグは、それと同様に動作して、そのRF横断面を変調することによりデルタをインターロゲータに反射して通信リンクを出現させるようにする。ここで、バッテリは、このタグの動作電力のソースである。最後に、能動RFタグにおいては、送信器を使用することによって、バッテリにより給電されたそれ自身の無線周波エネルギを生成する。」 - 31 -b 甲28文献(特開2003-178272号公報。甲28)「【0069】以上のように、非接触ICデバイス14は、変調度kが1未満であるASK変調を利用して、ICカード50にデータを送信し、ICカード50は、そのデータを受け取り、そのデータに対応する処理を行って、その処理の結果に対応するデータを、非接触ICデバイス14に返送する。なお、説明は省略するが、非接触ICデバイス同士の通信も、基本的に同様に行われる。すなわち、ICカード50は、非接触ICデバイスからの能動的な動作に対して、受動的な処理しかできないが、非接 送する。なお、説明は省略するが、非接触ICデバイス同士の通信も、基本的に同様に行われる。すなわち、ICカード50は、非接触ICデバイスからの能動的な動作に対して、受動的な処理しかできないが、非接触ICデバイスは能動的機能を有しているので、他の非接触ICデバイスと、相互に、能動的にも受動的にも通信が可能である。」c 甲29文献(特開2003-271903号公報。甲29)「【0040】受信側回路と送信側回路は、インダクタL1とインダクタL2とにより磁束結合を得る。そして、例えばこの場合には、受信側回路の信号源Iから搬送波を出力するようにされる。これが、図1でも説明した交流の電磁界が発生した状態に対応する。そして、この搬送波は、磁束結合を介してインダクタL1からインダクタL2に対して伝送される。なお、信号源Iは、送信回路側にあってもよい。 信号源Iは、例えばリーダー/ライター300などのように、自己が電源に応じて能動的に通信を行う装置側が持つものであり、半導体機能素子のような自己が電源を持たずに受動的に通信を行う装置側は持たない。そして、この図に示す受信側回路と送信側回路は、相対的なものであって、送信側/受信側との関係が能動通信装置/受動通信装置となることもあれば、受動通信装置/能動通信装置となることもあるからである。」d 甲30文献(WO2005/073905公報。甲30)「一般にRFIDは、大きく分けて3つのタイプのものが用いられている。1つ目のタイプは、パッシブタグと称されるものであり、起動用の電源電池を備えておらず、データが格納されているものである。格納されているデータの書き換えが可能なものもある。また、パッシブタグにおける起動用の電源としては、外部の読取 - 32 -装置から受信した電磁波で起電力を発生させ、発生 されているものである。格納されているデータの書き換えが可能なものもある。また、パッシブタグにおける起動用の電源としては、外部の読取 - 32 -装置から受信した電磁波で起電力を発生させ、発生した起電力をRFIDの電源として用いる。 2つ目のタイプは、アクティブタグと称されるもので、起動用の電源電池を持っていて格納されているデータを発信することができるものであり、格納されているデータの書き換えが可能なものもある。3つ目のタイプは、セミパッシブタグと称されるもので、起動用の電源電池は持っているが、外部の読取装置から発信したトリガ信号を受信しないと格納されているデータを外部の読取装置に発信しないものである。セミパッシブタグにおいても、格納されているデータの書き換えが可能なものもある。」(4頁39行~49行)e 甲31文献(特開2005-250703号公報。甲31)「【0004】上述した従来技術は、いずれも無線タグリーダから質問波を送信し、複数の無線タグが質問波に対して応答し、その応答波を検出することによって、複数のタグが同時に検出されたと判断するパッシブ型の無線タグを想定している。 【0005】しかしながら、無線タグの中に電池を持ち、無線タグから発信するようなアクティブ型の無線タグの場合、無線タグそれぞれで発信間隔(周期)が異なるため、複数の無線タグが共に移動していることを検出することは困難であった。」f 甲32文献(特開2005-275842号公報。甲32)「【0021】データベース(DB)14は、ユーザの識別情報(ユーザ情報)を記憶する。たとえば、図2に示すように、ユーザ情報のテーブル14tがDB14に記憶される。 このユーザ情報のテーブル14tには、タグ22が発信する固有の識別情報(タグID)に対応して、 ユーザ情報)を記憶する。たとえば、図2に示すように、ユーザ情報のテーブル14tがDB14に記憶される。 このユーザ情報のテーブル14tには、タグ22が発信する固有の識別情報(タグID)に対応して、当該タグ22を所持等するユーザの識別情報(ユーザID)が記憶される。たとえば、タグ22は、アクティブ型のRFタグであり、固有の識別情報(RFID:RadioFrequencyIdentification)を所定周波数の電波に重畳し - 33 -て、一定の時間間隔で送信(発信)し、そのRFIDがタグIDに相当する。ただし、RFタグは、パッシブ型のものを用いることも可能である。また、ユーザIDはユーザの氏名である。以下、同様である。」g 甲33文献(特開2005-277658号公報。甲33)「【0015】本発明の第3の態様は、第1の態様に係るRFIDタグ識別監視IPカメラ・アクセス・システムにおいて、前記RFID情報取得手段は、前記RFIDタグの情報取得を非接触あるいは近距離で行うパッシブ・タイプと自己送信のアクティブ・タイプのリードとライトをする。」h 甲34文献(特開2005-291793号公報。甲34)「【請求項6】前記記録媒体は、自身から通信用の電波によって識別情報を出力するアクティブタグであることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれかに記載の物品巡回検知システム。」i 甲35文献(特開2006-31193号公報。甲35)「【0004】RFIDを駆動させる電源に着目した場合,RFIDは,電源を内蔵するか外部から電源供給を受けるかの違い等により,自ら所定の情報を含んだ電波を発することが可能なアクティブタイプ(能動形)のRFIDと,外部からの電波(搬送波)の電力を利用して駆動するパッシブタイプ(受動 部から電源供給を受けるかの違い等により,自ら所定の情報を含んだ電波を発することが可能なアクティブタイプ(能動形)のRFIDと,外部からの電波(搬送波)の電力を利用して駆動するパッシブタイプ(受動形)のRFIDとの二つのタイプに分けることができる。このうち,アクティブタイプのRFIDにおいては,駆動用の電源が質問器(リーダ/ライタ)の側ではなく,RFIDの側にあり,通常,その駆動電源として電池を備えて構成され,質問器(リーダ/ライタ)と交信を行う。」j 甲36文献(特表2007-515836号公報。甲36)「【0003】 - 34 -タグは能動型又は受動型にし得る。能動タグはタグ自体に記録された情報により変調され質問局に送信される無線周波数搬送波を合成する。受動タグの場合、質問局は無線周波数の照会信号をタグに送信し、タグはタグに記録された情報によりこの信号を変調した後に照会信号を用いてそのアンテナを付勢して受信信号を質問局に反射する。例えば店の在庫管理に用いるRFIDシステムの場合のように安価なタグが必須の条件であるときはいつでも受動タグが用いられる。本発明は受動タグを用いたRFIDシステムに関する。」k 甲37文献(WO2004/069702公報。甲37)「送信局20の種類は、大きく分けて、電池などの自己電源を持たずに受信局30からの無線電力を蓄積して起動し、受信局30からの読み取り要求に応じて標識番号を発信するパッシブタイプと、電池などの自己電源を持ち、自発的に標識番号を発信するアクティブタイプとがある。図3および図4の従来のシステムでは、パッシブタイプの送信局を用いている。」(3頁44行~48行)l 甲38文献(WO2006/082907公報。甲38)「【0015】ユーザー1は、ユーザーカード2を所 の従来のシステムでは、パッシブタイプの送信局を用いている。」(3頁44行~48行)l 甲38文献(WO2006/082907公報。甲38)「【0015】ユーザー1は、ユーザーカード2を所持している。このユーザーカード2は、RFIDタグ等の無線ICタグと、メモリ等を内蔵したカードであり、メモリによる電子マネーの蓄積と無線ICタグを通じた電子マネーの入出金を行う機能を備えている。無線ICタグとしては、各カードに固有のIDを電波によるID信号として発信し、小型のICチップと金属製のアンテナとから構成されている。なお、RFIDタグとしては、電池等の電源を内蔵してRFタグから能動的に情報信号を発信する方式と、受信部側のアンテナから電磁波を出力し、この電磁波の出力に応じて誘導された電流により情報信号を発信する電磁波誘導方式とがある。」m 特開2003-58947号公報(乙9。以下「乙9文献」という。)「【0021】RFIDラベル14は,能動的なラベルであってもよいし,受動的なラベルであってもよい。能動的RFIDラベルは,RFIDメモリ40及びバッ - 35 -テリー42を含むことができる。別の電源としては,容量性電源,誘導性電源を使用することもできるし,電波から受け取るエネルギーも使用することができる。ラベル連絡機構38は,RFトランシーバを含むことができる。」n 特開2002-109570号公報(乙10。以下「乙10文献」という。)「【0039】図7は,この発明の第2の実施形態によるクレジット付き定期券機能部を備えた携帯型電話端末装置の構成を示すブロック図である。図7において,符号60は携帯型電話端末装置であり,この携帯型電話端末装置は,内部に,バッテリー61と,移動体通信網端末機能部62と,アンテナ63と,クレジット付 末装置の構成を示すブロック図である。図7において,符号60は携帯型電話端末装置であり,この携帯型電話端末装置は,内部に,バッテリー61と,移動体通信網端末機能部62と,アンテナ63と,クレジット付き定期券機能部50aとを備えている。クレジット付き定期券機能部50aは,ICチップ51と誘電コイル52とを備えており,図1等に示したクレジット機能付きIC定期券1と同等の機能を持つものである。バッテリー60は移動体通信網端末機能部62とICチップ51の両方に電力を供給するものであり,クレジット付き定期券機能部50aはこの電力を使用して能動的に動作し,発券端末や自動定期券発売機や自動改札機やクレジット売上処理端末装置などとの間の信号のやりとりを行う。この場合,発券端末側あるいは自動定期券発売機側に設けられているICチップ読み書き装置は,ICカードだけでなく,携帯型電話端末装置の形状にも対応するようにする。」o 特開平9-102021号公報(乙11。以下「乙11文献」という。)「【0012】また,図2(B)において,プリント回路基板4の裏面には複数の接触端子10が設けられており,表面とはスルーホールによって電気的に接続されている。これらの接触端子10は非接触ICへ書込みができないICモジュールに設けられ,完成した非接触ICモジュール3の動作テストをする場合,メモリにIDコード等を書き込む場合,あるいは,外部に接触端子10を有する非接触ICカードであって利用途中でメモリの内容を書き換える場合等で使用される。また,外部情報処理装置から発射される電磁波をループアンテナ7が受け,その電磁波から電力を得て非接触ICモジュールがその電磁波を変調,反射して交信動作する方式 - 36 -も可能であるが,図2のようにバッテリー11を内蔵させバッテリー1 ループアンテナ7が受け,その電磁波から電力を得て非接触ICモジュールがその電磁波を変調,反射して交信動作する方式 - 36 -も可能であるが,図2のようにバッテリー11を内蔵させバッテリー11の電力によってよりパワフルな能動的動作をさせる方式とすることもできる。」(ウ) 上記各記載によれば,一般的文献等においては,能動タグは,①搭載バッテリを有し,定期的にID信号を送信するもの,②電池を内蔵したタグで通信時に自らの電力で電波を発するもの,③バッテリを内蔵しており,それがマイクロチップを稼働させる電力を供給するものなどとされており,定期的にID信号を発信することは必ずしも要件とはなっていないが,バッテリを有し,その電力で電波を送信するものを意味すると認められる。そして,出願前公開特許公報等の記載についてみても,「能動タグ」「アクティブタグ」は,バッテリを有し,その電力で電波を送信するもの(定期的にID信号を送信するものを含む。)を意味しており,「受動タグ」は,バッテリを有さず,リーダ等からの電波をエネルギー源として動作するものを意味するものと理解することができる。また,出願前公開特許公報等においては,「能動的な動作」「能動的機能」「能動的に通信を行う」「アクティブタイプ(能動形)」などの表現が用いられており,これらの記載は,非接触型ICカード等の分野においては,リーダ等とカード,タグ等との通信において,カード,タグ等の自らの電力を用いて通信することを意味しており,リーダ等からの電波をエネルギー源として通信するものと区別しているものと認められる。 エ以上を前提に補正後の発明の「能動的にする」との意味について検討すると,本願明細書の実施例では,自ら通信を開始するという意味で「能動的」という言葉が使用されている。また,これに加えて られる。 エ以上を前提に補正後の発明の「能動的にする」との意味について検討すると,本願明細書の実施例では,自ら通信を開始するという意味で「能動的」という言葉が使用されている。また,これに加えて,上記認定のとおり,非接触式カード,RFタグ等の技術分野においては,「能動的」は,カード,タグ等が自ら備える電力を用いて通信するか,リーダ等からの電波をエネルギー源として通信するかを区別する表現であることからすると,補正後の発明の「能動的にする」とは,自ら通信を開始するという意味だけではなく,自ら備えている電力によって電波を発信して通信をすることを意味すると解される。そうすると,当業者であれば,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」バッテリとの記載は,「マイ - 37 -クロモジュールを自ら備えている電力で通信することができるようにする」バッテリという意味に解するものと認められ,バッテリを配置しない場合には,「受動的に通信をする(リーダ等からの電波をエネルギー源として通信する)」が,バッテリを配置することによって,「能動的に通信をする(自らの電力で通信をすることができる)」という意味に解するものと認められる。 したがって,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」とは,マイクロモジュールにおける回路を動作させることができるという意味と解した審決の認定は誤りである。 オ被告の主張について被告は,補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」との文言は,「バッテリ」を修飾していること,広辞苑の「(能動)素子」の説明において,「電気回路(或いは機械的回路)の中でそれ自身の機能が全体としての機能に対して本質的な意味を持つ個々の構成要素。電気回路では,トランジスター・真空管のよう ,広辞苑の「(能動)素子」の説明において,「電気回路(或いは機械的回路)の中でそれ自身の機能が全体としての機能に対して本質的な意味を持つ個々の構成要素。電気回路では,トランジスター・真空管のように信号以外のエネルギーを信号エネルギーに変換したり増幅したりするものを能動素子,抵抗・コイル・コンデンサーのようなものを受動素子として大別する。」旨が示されており,マイクロモジュールが能動素子からなる回路を含むことに照らせば,信号以外のエネルギーを素子に供給して能動素子を能動素子として動作させる趣旨で「アクティブにする」「能動的にする」といった文言を用いることは,文理に即した自然なものであることなどから,「マイクロモジュールを能動的にすることができる」の意味は,文理上,電源供給を行う機能を有する「バッテリ」が「マイクロモジュール」に電源を供給を行うことで,回路を構成する素子を動作させることができるという意味である旨主張する。 確かに,広辞苑(甲25,乙6)によれば,電気回路の構成要素である素子について,能動素子,受動素子という区別があることは認められる(乙6)。 しかし,補正後の発明は,非接触式ICカード等の通信技術に関するものであって,同通信技術における「能動的」との表現は,自ら備えている電力によって電波 - 38 -を発信して通信をすることを意味することは前記判示したとおりである。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 カ原告の主張について原告は,「能動的」とは,「自ら働きかけるさま」という意味であり,非接触式ICカードの技術分野において,受動的とは,通信相手に対して自ら働きかけるのではなく,相手からの働きかけを受けてはじめて,相手に応答することを意味し(甲26等参照),これに対して,能動的とは,通信相手に対して自ら働 分野において,受動的とは,通信相手に対して自ら働きかけるのではなく,相手からの働きかけを受けてはじめて,相手に応答することを意味し(甲26等参照),これに対して,能動的とは,通信相手に対して自ら働きかけて,通信を開始することを意味するから,補正後の発明の上記記載は,「マイクロモジュールを自ら働きかけるようにすることができる」という意味に解釈するのが自然であり,「バッテリ補助された受動(BAP)」は含まれない旨主張する。 確かに,甲26文献,甲27文献,甲30文献,甲34文献及び甲37文献においては,「能動(的)」の意味は,通信相手に対して自ら働きかけて,通信を開始することを意味するものと認められる。しかし,乙8文献においては,電源を備えた上で,通信の起動を自ら行わず,呼び出しを待つ「待受通信型」もアクティブタグ(能動タグ)に整理されている上,甲28文献,甲29文献,甲31文献ないし甲33文献,甲35文献,甲36文献,乙7文献,乙9文献ないし乙11文献についてみても,「能動(的)」との用語を,自ら備えている電力によって電波を発信して通信をするという広い意味で記載していると解されるものが相当数含まれており,通信相手に対して自ら働きかけて通信を開始することのみを意味していると断定することはできない。また,そもそも,これらの文献においても「能動的にする」という表現は一切使われておらず,その定義については曖昧なものと解さざるを得ない。 そうすると,補正後の発明の「能動的にする」との意味は,前記認定のとおり,自ら備えている電力によって電波を発信して通信するものであって,「バッテリ補助された受動(BAP)」はこれに含まれないとまでいうことはできない。 したがって,この点において,原告の主張は理由がない。 - 39 -(2) 容易想到 するものであって,「バッテリ補助された受動(BAP)」はこれに含まれないとまでいうことはできない。 したがって,この点において,原告の主張は理由がない。 - 39 -(2) 容易想到性の判断の誤りについてア(ア) 本願の優先権主張日の前に頒布された実用新案登録第3076212号公報(甲3。以下「周知例2」という。)には,次のとおりの記載がある(図1については,別紙周知例2図面目録参照)。なお,周知例2は,審決が,相違点1(「補正後の発明では,「読取装置」が,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を有するのに対し,刊行物発明では,「電子情報読み取り・書込み装置」について,そのような特定がなされていない点。」)の容易想到性について判断する際に認定した周知技術である。 「【0006】【考案の実施の形態】本考案の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。 図1は,非接触カード実装携帯電話1の構成を示す該略図で,携帯電話2は,電波を用いて電話及びデータ伝送する他に各種機能を備えた従来のものであって,メモリーに記憶されたデータを非接触カード3へ出力することができ,さらに非接触カード3に記憶されたデータを入力して表示或いは音声出力して確認できる。 【0007】非接触カード3は,ICカードに,対象物と非接触な状態でデータの送受信をする装置を備えたものであって,インターフェース4とデータを記憶するメモリー5それに送信装置6及び受信装置7とで構成され,インターフェース4は,携帯電話2に接続して両者間でデータの送受を行う双方向のデータ伝送用のコネクタで,これによって携帯電話2に非接触カード3が実装されるとともに,携帯電話2から非接触カード3へ電源供給することもできる。 【0008】メモリー5は, の送受を行う双方向のデータ伝送用のコネクタで,これによって携帯電話2に非接触カード3が実装されるとともに,携帯電話2から非接触カード3へ電源供給することもできる。 【0008】メモリー5は,携帯電話2から出力されたデータを記憶するとともに,受信装置7が受けたデータに基づいて前記データが更新或いは削除等の操作を受けてこれを記憶する。 - 40 -【0009】送信装置6はメモリー5に記憶されたデータを電波或いは光を用いて対象物となるゲ-ト通過を自動化する自動ゲ-トへ送信し,受信装置7は前記自動ゲートから送信された前記データを更新或いは削除するデータを受信してこれをメモリー5へ送る。 【0010】これらのことから,非接触カード実装携帯電話1は,非接触カード3を用いて,携帯電話2に記憶されて,非接触カード3に入力されて記憶されたデータを前記自動ゲートに非接触な状態で送って作動させ,さらには,前記自動ゲートの作動時に該自動ゲートから送られるデータによって前記データが更新或いは削除されるとともに,該データを表示するなどして確認できる。 【0011】なお,非接触カード3のデータの記憶は,携帯電話2の操作,あるいは携帯電話2の記憶と同時に成されるようプログラムされるが,データの更新或いは削除は,個人の操作では実行できないようにする。 【0012】さらに,送信装置6と受信装置7とは,データの送受を電波を用いてする場合は送受信共用のアンテナが非接触カード3に内臓(原文のママである。)され,あるいは携帯電話2のアンテナを共用し,またデータの送受を(原文のママである。)光を用いる場合は前記アンテナに代えて発光素子と受光素子とが備えられる。また,非接触カード3への電源の供給は前記した携帯電話2から受ける他に,非接触カード3に薄 データの送受を(原文のママである。)光を用いる場合は前記アンテナに代えて発光素子と受光素子とが備えられる。また,非接触カード3への電源の供給は前記した携帯電話2から受ける他に,非接触カード3に薄型の電池或いは太陽電池を内蔵してもよく,前記自動ゲートからの電波を用いて電源エネルギーを供給するようにしてもよい。」(イ) 上記記載によれば,周知例2においては,薄型の電池を備えることによって,メモリー5に記憶されたデータの送受信を行うことができる非接触カードが開示されている。 - 41 -イそして,前記(1)ウで認定した一般的文献等及び出願前公開特許公報等によれば,能動タグは,必ず電源を有し,これにより能動的に通信を行うことができるのであるから,非接触カード,タグ等について能動的に通信をするためにバッテリを備えることが周知技術であることは明らかである(なお,これらの一般的文献等及び出願前公開特許公報等の多くは,当審において,原告が自ら提出した証拠である。)。 ウ以上によれば,引用刊行物に接した当業者であれば,刊行物発明に上記周知技術を適用して,刊行物発明の「電子情報読み取り・書込み装置」が「ICモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を有する構成とすることを容易に想到することができるというべきである。 エ審決の判断について審決には,「仮に,当該「マイクロモジュール」には,能動素子から構成された送受信回路,増幅回路のような回路が形成されており,「読取装置」に備えられた「バッテリー」から電源を供給することにより,これらの回路を動作させることができるという意味と解釈しても・・・補正後の発明のように「読み取り装置」として,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え」た構成とすることは,当業者が必要に応 動作させることができるという意味と解釈しても・・・補正後の発明のように「読み取り装置」として,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え」た構成とすることは,当業者が必要に応じて,適宜なし得たことである。」として,「マイクロモジュールを能動的にすることができる」の意味を,前記(1)エとは異なる意味に解して判示した部分があり,審決が,このような仮定を用いて説示した点は相当ではない。 しかし,前記アで判示したとおり,補正後の発明の「能動的にする」との意味が,回路を動作させるだけではなく,自ら備えている電力によって電波を発信して通信をするという意味であっても,審決が認定した周知技術に含まれているものである。 また,原告も周知例2に記載の周知技術は,非接触型ICカードにバッテリを付け加えたものである旨認めているのであるから,刊行物発明に,同周知技術を適用すれば,相違点1に係る構成に容易に想到することは明らかである。さらに,同技術が周知の技術であることは,前記イのとおり,原告が当審において提出した多数の - 42 -証拠によっても裏付けられている。 したがって,審決の判断は結論において誤りはない。 オ原告の主張について原告は,引用刊行物記載のSIMカードは,そもそも受動タイプのICカードであり,周知例1及び2に記載の周知技術は,非接触型ICカードにバッテリを付け加えたものであるから,刊行物発明において,非接触型ICカードにバッテリを付け加えるという周知例1,2に記載の周知技術を勘案しても,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るとしても,補正後の発明のような能動タイプの非接触型ICカードには想到し得ない旨主張する。 しかし,前記判示のとおり,「バッテリ補助された受動(BAP) P)」タイプの非接触型ICカードには想到し得るとしても,補正後の発明のような能動タイプの非接触型ICカードには想到し得ない旨主張する。 しかし,前記判示のとおり,「バッテリ補助された受動(BAP)」タイプの非接触型ICカードも補正後の発明に含まれるというべきであるから,原告の主張は,その前提を欠くものである。 したがって,原告の主張は理由がない。 4 取消事由3(手続違背)(1) 本願に関する手続の経緯等ア本願に関する平成23年10月14日付けの拒絶理由通知書には,次のとおりの記載がある(甲8。なお,引用文献8は引用刊行物である。)。 「理由A.この出願の請求項1,3,23に係る発明は,・・・特許法29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 また,この出願の請求項1~19,23に係る発明は,・・・特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 記(1) 請求項1,23に係る発明について:引用文献8引用文献8(特に段落【0022】~【0027】,【0030】~【0031】,【0039】,図1~4,7,8を参照)には,端末(第3の装置)との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置(携帯電話)であって,非接触式チップを含 - 43 -むマイクロモジュール(SIMカード)と,当該マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,当該読取装置は,前記マイクロモジュールが前記端末と交信するようにすることができるアンテナを備え,前記マイクロモジュールが前記アンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持されてなる携帯用通信装置(携帯電話)が記載されている。 従って,本願請求項1,23に係る発明は,引用文献8に記載された発明に比して,格別な相違点を有 るように前記アンテナが前記読取装置によって保持されてなる携帯用通信装置(携帯電話)が記載されている。 従って,本願請求項1,23に係る発明は,引用文献8に記載された発明に比して,格別な相違点を有していない。」イ原告は,平成24年4月11日,意見書を提出するとともに,請求項1及び13について補正をした。同意見書には,引用刊行物には,読取装置が「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を備えることについては記載されていないことなどが記載されており,同補正後の請求項1の記載は,「端末との少なくとも一方向の通信のための携帯用通信装置であって,チップを含むマイクロモジュールと,マイクロモジュールを収容するように構成された読取装置とを備え,読取装置は,マイクロモジュールが端末と通信するようにすることができるアンテナと,マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリとを備え,マイクロモジュールがアンテナに対して取り外し可能であるように前記アンテナが前記読取装置によって保持されることを特徴とする,携帯用通信装置。」(下線部が補正部分である。)である。(甲9,10)ウ平成24年7月27日付けの拒絶査定には,次のとおりの記載がある(甲11)。 「この出願については,平成23年10月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由A.によって,拒絶をすべきものです。 なお,意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見出せません。 備考本願請求項1に係る発明については,平成24年4月11日付けの手続補正書に - 44 -おいて,携帯用通信装置の読取装置が,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を備える旨が特定された。 しかるに,携帯用通信装置のマイクロモジュール(ICカード) - 44 -おいて,携帯用通信装置の読取装置が,「マイクロモジュールを能動的にすることができるバッテリ」を備える旨が特定された。 しかるに,携帯用通信装置のマイクロモジュール(ICカード)用の読取装置が,マイクロモジュール(ICカード)を能動的にすることができるバッテリを備えるようにすることは,周知技術にすぎず,たとえば引用文献1(段落【0031】,【0046】,図1,4を参照)にも,携帯用通信装置(ICカード変換アダプタ装置)のマイクロモジュール(ICカード)の読取装置が,マイクロモジュール(ICカード)を能動的にすることができるバッテリー(電池)を備えてなる旨が記載されている。 すなわち,上記手続補正書による補正は,引用文献1に例示される如くの周知技術を新たな特定事項として付加したものにすぎない。 従って,本願の補正された請求項1に係る発明は,引用文献8に記載された発明に,引用文献1に例示される如くの周知技術を適用することにより,当業者が容易に想到できたものである。 また,請求項2~19,23に係る発明についても,上記補正による特定事項を加味しても拒絶理由を覆すに足りる根拠は見いだせない。・・・」エ原告は,平成24年11月28日,審判請求をするとともに,上記拒絶査定の拒絶理由を解消するために本件補正を行った。 特許庁は,本件補正は,旧請求項1を限定的に減縮して新請求項1とし,また,旧請求項23を削除する補正であるから,旧特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものであるとした上で,独立特許要件違反であるとして本件補正を却下するとともに(旧特許法17条の2第5項,同法126条5項,同法159条1項,53条1項),補正後の発明について,進歩性がないと判断して,拒絶審決をした。(前記第2の 違反であるとして本件補正を却下するとともに(旧特許法17条の2第5項,同法126条5項,同法159条1項,53条1項),補正後の発明について,進歩性がないと判断して,拒絶審決をした。(前記第2の3)(2) 本件補正についてア本件補正が旧請求項1を限定的に減縮して新請求項1としたものであれば, - 45 -請求項1について特許請求の範囲を減縮するものであって,独立特許要件違反を理由として補正却下をすることができることは明らかである。また,本件補正については,請求項2ないし22についてみれば,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,条文上,独立特許要件違反であることを理由とする補正却下の要件を満たすものであることも明らかである。 もっとも,本件補正が旧請求項1を削除し,旧請求項23を新請求項1としたものであり,旧請求項23について拒絶理由通知がなされていなかったときは,新請求項1について独立特許要件がないことを理由に補正却下することは不意打ちとなるものであり,手続保障の観点から違法と解する余地がある。 そこで,本件について検討すると,前記(1)で認定した本願の審査経過によれば,平成23年10月14日付けの拒絶理由通知において,旧請求項1~19,23について,引用刊行物があることを摘示した上で拒絶理由通知がされており,平成24年7月27日付けの拒絶査定においても,旧請求項1~19,23について拒絶査定がされたものである。 そうすると,本件においては,仮に,本件補正が旧請求項1を削除し,旧請求項23を新請求項1としたものであったとしても,旧請求項23については,既に拒絶理由が通知され,これに対して原告も意見書を提出して補正をしており,また,審判請求と同時に本件補正をしたものであり,さらに,審決も,独立特許要件につ あったとしても,旧請求項23については,既に拒絶理由が通知され,これに対して原告も意見書を提出して補正をしており,また,審判請求と同時に本件補正をしたものであり,さらに,審決も,独立特許要件についてではあるが,新請求項1について,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないと判断したものであるから,手続保障に欠けるところはないというべきである。 したがって,仮に,原告が主張するとおり,本件補正が旧請求項1を削除して旧請求項23を新請求項1としたものであったとしても,独立特許要件を理由として本件補正を却下した審決には取り消すべき違法があるということはできない。 イ原告の主張について原告は,仮に,本件補正が請求項の削除を目的とする補正と認められないとして - 46 -も,新請求項1は,旧請求項23とその記載が同一であるところ,補正の前後においてその記載が同一である請求項については,独立特許要件を適用するべきではない旨主張する。 しかし,前記判示したとおり,本件補正は全体としてみれば,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから条文上,独立特許要件を適用することができ,また,旧請求項23については,審査及び審判の過程で拒絶理由を通知され,原告も意見書を提出して補正をしているのであるから,手続保障の観点からみても,審決を取り消すべき違法があるということはできない。 したがって,原告の主張は理由がない。 (3) 拒絶理由の通知の懈怠について原告は,審決の補正要件違反の判断には誤りがあり,審決は拒絶査定と異なる理由で拒絶するのであるから,旧特許法159条2項,50条本文に基づいて,改めて拒絶理由通知をする必要がある旨主張する。 しかし,前記判示したとおり,旧請求項1及び23については引用刊行物を摘示して拒絶理 絶するのであるから,旧特許法159条2項,50条本文に基づいて,改めて拒絶理由通知をする必要がある旨主張する。 しかし,前記判示したとおり,旧請求項1及び23については引用刊行物を摘示して拒絶理由通知がされ,同様の理由から拒絶査定がされたものである。そして,審決の判断も,独立特許要件引用刊行物を引用発明として認定した上で,相違点に係る構成については周知技術により容易になし得たものであるとするものであるから,審決は拒絶査定と異なる理由で拒絶したものではない。 したがって,原告の主張は前提を欠き,理由がない。 5 なお,本件の審理に鑑み,一言付言する。審決は,引用発明の認定,容易想到性の判断において多くの誤りを含むものであって,いずれも最終的な結論において誤りはなかったことから取り消すべきものとはされなかったものの,このような多くの誤りが本件訴訟を招く一因となったと思われる。また,補正手続においても,請求項の削除であるか請求の限定的減縮であるか不明の場合には,当事者に釈明をしてその趣旨を明らかにさせることが望ましい。審判手続に対する国民の信頼を保つため,審判における審理及び審決の判断の質の向上が期待される。 - 47 -第6 結論よって,原告の請求は理由がないから,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官設樂一 裁判官大寄麻代 裁判官平田晃史 - 48 -(別紙)刊行物発明図面目録 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 図面目録 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図8】 【図9】 【図10】 (別紙)周知例2図面目録【図1】

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