主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由 以下においては,文中に記載するもののほか,別紙略称一覧表記載のとおり略称を用いる。 第1 請求 1 原告P1関係(1) 甲事件ア豊能税務署長が平成17年7月19日付けでした原告P1の平成14年分の所得税の更正のうち,総所得金額4852万5823円,還付を受けるべき税額238万1400円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定のうち過少申告加算税の額6万9000円を超える部分を取り消す。 イ豊能税務署長が平成17年7月19日付けでした原告P1の平成15年分の所得税の更正のうち,総所得金額430万5199円,還付を受けるべき税額352万6090円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 (2) 丁事件ア豊能税務署長が平成19年3月2日付けで原告P1に対してした平成16年分所得税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 イ豊能税務署長が平成19年5月18日付けで原告P1に対してした平成17年分所得税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 2 原告P2(承継人P3)関係(1) 乙事件 ア三木税務署長が平成17年2月21日付けでした原告P2の平成13年分の所得税の更正のうち,総所得金額2314万3045円,還付を受けるべき税額767万3750円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 イ三木税務署長が平成17年2月21日付けでした原告P2の平成14年分の所得税の 45円,還付を受けるべき税額767万3750円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 イ三木税務署長が平成17年2月21日付けでした原告P2の平成14年分の所得税の更正のうち,総所得金額3042万7791円,還付を受けるべき税額871万6530円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 ウ三木税務署長が平成17年2月21日付けでした原告P2の平成15年分の所得税の更正のうち,総所得金額2245万3408円,還付を受けるべき税額864万3050円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。 (2) 丙事件ア三木税務署長が平成19年3月2日付けで原告P2に対してした平成16年分所得税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分(ただし,還付を受ける税額826万0250円を超える部分)を取り消す。 イ三木税務署長が平成19年5月18日付けで原告P2に対してした平成17年分所得税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は,原告らが,本件各受託銀行との信託契約を介して投資した米国所在の本件各建物の貸付に関する所得が不動産所得(所得税法26条1項)に当たると主張して,その減価償却費等による損益通算をして所得税の申告又は更正の請求を行ったところ,所轄税務署長が,当該所得は不動産所得に該当せず減 価償却費等の損益通算は許されないとして,原告P1に対して本件P1各更正処分及び本件P1各賦課決定処分(原告P1の平成14年分及び平成15年分所得税・甲事件)並びに本件P1各通知処分(原告P1の平成16年分及び平成17年分所得税・丁事件)を,原告P2に対して本件P2各更正 及び本件P1各賦課決定処分(原告P1の平成14年分及び平成15年分所得税・甲事件)並びに本件P1各通知処分(原告P1の平成16年分及び平成17年分所得税・丁事件)を,原告P2に対して本件P2各更正処分及び本件P2各賦課決定処分(原告P2の平成13年分~平成15年分所得税・乙事件)並びに本件P2各通知処分(原告P2の平成16年分及び平成17年分所得税・丙事件)をしたため,原告P1及び承継人P3がそれぞれ上記各処分(ただし,原告らが認める総所得金額及び税額を超える部分)の取消しを求めている事案である。 2 法令等の定め(1) 所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)ア 2条(定義)この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 6号内国法人国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。 7号外国法人内国法人以外の法人をいう。 8号人格のない社団等法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 (なお,法人税法2条3号,4号及び8号にも同旨の規定がある。)イ 4条(人格のない社団等に対するこの法律の適用)人格のない社団等は,法人とみなして,この法律(別表第1を除く。)の規定を適用する。 ウ 13条(信託財産に係る収入及び支出の帰属)1項信託財産に帰せられる収入及び支出については,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者がその信託財産を有するものとみなして,この法律の規定を適用する。(ただし書略) 1号受益者が特定している場合その受益者エ 26条(不動産所得)1項不動産所得 信託財産を有するものとみなして,この法律の規定を適用する。(ただし書略) 1号受益者が特定している場合その受益者エ 26条(不動産所得)1項不動産所得とは,不動産,不動産の上に存する権利,船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(括弧内略)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 2項不動産所得の金額は,その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。 オ 69条(損益通算)1項総所得金額,退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において,不動産所得の金額,事業所得の金額,山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは,政令で定める順序により,これを他の各種所得の金額から控除する。 (2) 国税通則法65条(過少申告加算税)4項第1項又は第2項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には,これらの項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して,これらの項の規定を適用する。 (3) 旧民法ア 33条法人ハ本法其他ノ法律ノ規定ニ依ルニ非サレハ成立スルコトヲ得スイ 36条1項外国法人ハ国,国ノ行政区画及ヒ商事会社ヲ除ク外其成立ヲ認許セス但法律又ハ条約ニ依リテ認許セラレタルモノハ此限ニ在ラス (4) 措置法41条の4の2(特定組合員の不 1項外国法人ハ国,国ノ行政区画及ヒ商事会社ヲ除ク外其成立ヲ認許セス但法律又ハ条約ニ依リテ認許セラレタルモノハ此限ニ在ラス (4) 措置法41条の4の2(特定組合員の不動産所得に係る損益通算等の特例)(平成17年法律第21号により新設〔平成18年1月1日施行〕,以下の条文は施行時のもの)1項特定組合員(組合契約を締結している組合員(これに類する者で政令で定めるものを含む。以下この項において同じ。)のうち,組合事業に係る重要な財産の処分若しくは譲受け又は組合事業に係る多額の借財に関する業務の執行の決定に関与し,かつ,当該業務のうち契約を締結するための交渉その他の重要な部分を自ら執行する組合員以外のものをいう。)に該当する個人が,平成18年以後の各年において,組合事業から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上当該組合事業による不動産所得の損失の金額として政令で定める金額があるときは,当該損失の金額に相当する金額は,所得税法第26条第2項及び第69条第1項の規定その他の所得税に関する法令の規定の適用については,生じなかったものとみなす。 2項この条において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 1号組合契約民法第667条第1項に規定する組合契約及び投資事業有限責任組合契約に関する法律第3条第1項に規定する投資事業有限責任組合契約並びに外国におけるこれらに類する契約(政令で定めるものを含む。)をいう。 3 前提となる事実(当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番号を含むものとする。)(1) 原告P1に対する課税の経緯等ア原告P1が平成 当事者間に争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実。以下,書証番号は特に断らない限り枝番号を含むものとする。)(1) 原告P1に対する課税の経緯等ア原告P1が平成14年分及び平成15年分の所得税についてした確定申告,修正申告(平成14年分のみ)及び審査請求,豊能税務署長がした本件P1各更正処分及び本件P1各賦課決定処分,並びに国税不服審判所長 がした審査裁決の経緯は,別紙1(課税等の経緯)記載のとおりである。 また,原告P1が平成16年分及び平成17年分の所得税についてした確定申告,更正の請求,異議申立て及び審査請求(平成20年4月24日に取下げ),並びに豊能税務署長がした本件P1各通知処分及び異議決定の経緯は,別紙2(課税等の経緯)記載のとおりである。 イ被告が主張する原告P1の平成14年分及び平成15年分の所得税額等の計算過程は,別紙3(本件P1各更正処分等の計算過程)(別表を含む。 以下,別紙4,7及び8も同じ。)記載のとおりである(なお,平成14年分所得税に係る不動産所得のうち,本件建物(P)以外の不動産貸付に関する必要経費の否認額189万0010円については当事者間に争いがないため,原告P1は,平成22年5月17日付け訴えの変更申立書により,平成14年分所得税に係る更正処分及び賦課決定処分の取消請求を一部減縮した。)。 また,被告が主張する原告P1の平成16年及び平成17年分の所得税額等の計算過程は,別紙4(本件P1各通知処分の計算過程)記載のとおりである。 (2) 原告P2に対する課税の経緯等ア原告P2が平成13年分から平成15年分までの所得税についてした確定申告,異議申立て及び審査請求,三木税務署長がした本件P2各更正処 る。 (2) 原告P2に対する課税の経緯等ア原告P2が平成13年分から平成15年分までの所得税についてした確定申告,異議申立て及び審査請求,三木税務署長がした本件P2各更正処分及び本件P2各賦課決定処分,並びに国税不服審判所長がした審査裁決の経緯は,別紙5(課税等の経緯)記載のとおりである。 また,原告P2が平成16年分及び平成17年分の所得税についてした確定申告,修正申告(平成16年分のみ),更正の請求,異議申立て及び審査請求(ただし,平成20年4月24日取下げ),並びに三木税務署長がした本件P2各通知処分及び異議決定の経緯は,別紙6(課税等の経緯)記載のとおりである。 イ被告が主張する原告P2の平成13年分から平成15年分までの所得税額等の計算過程は,別紙7(本件P2各更正処分等の計算過程)記載のとおりである。 また,被告が主張する原告P2の平成16年分及び平成17年分の所得税額等の計算過程は,別紙8(本件P2各通知処分の計算過程)記載のとおりである(なお,平成16年分所得税に係る分離長期譲渡所得額36万4686円については当事者間に争いがないため,原告P2は,平成22年7月9日付け訴えの変更申立書により,平成16年分所得税に係る更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消請求を一部減縮した。)。 (3) 原告らが行った取引の概要等ア原告P1関係(ア) 原告P1に関する契約及び取引の概要は,後記(イ)以下に記載するほか,別紙9(本件における契約及び取引関係の概要)記載のとおりである。また,原告P1関係の関連会社及び契約内容等(ただし,本件LPS契約(P)の内容は除く。)の概要は,別紙10(関連会社及び契約内容等(P1))記載のとおりで 及び取引関係の概要)記載のとおりである。また,原告P1関係の関連会社及び契約内容等(ただし,本件LPS契約(P)の内容は除く。)の概要は,別紙10(関連会社及び契約内容等(P1))記載のとおりである。 (イ) 原告P1は,P4証券との間で,平成13年8月15日,P4証券をファイナンシャル・アドバイザーとする本件アドバイザリー契約(P)(乙A1)を締結するとともに,米国所在の中古集合住宅である本件建物(P)を対象とした,投資金額を1口20万ドルとする本件不動産投資事業(P)に参加を申し込んだ。 また,原告P1は,本件不動産投資事業(P)に投資するため,P5銀行との間で,自己を委託者兼受益者,P5銀行を受託者とする本件基本信託契約(P)(乙A2)を締結し,同契約に基づいて,P5銀行に開設された口座(エスクロー口座)に現金資産を拠出した。 (ウ) P5銀行は,本件GP(P)との間で,平成14年3月28日,本件 GP(P)をゼネラル・パートナー,P5銀行をリミテッド・パートナーとする本件LPS契約(P)(乙A3)を締結し,本件LPS(P)を組成した。そして,P5銀行は,本件LPS契約(P)に基づき,本件LPS(P)のパートナーシップ持分の発行と引き換えに(againsttheissueofpartnershipinterest〔和訳に争いあり〕),原告P1が拠出した現金資産を本件LPS(P)に拠出した。 (エ) 本件LPS(P)は,P7との間において,本件不動産(P)に係る本件売買契約(P)(乙A4),本件土地賃貸借契約(P)(乙A5)及び本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)(乙A6)を締結し,本件建物(P)を購入し,本件土地(P)を賃借して,本件建物 約(P)(乙A4),本件土地賃貸借契約(P)(乙A5)及び本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)(乙A6)を締結し,本件建物(P)を購入し,本件土地(P)を賃借して,本件建物(P)を第三者に対して賃貸した(本件不動産賃貸事業(P))。なお,本件不動産賃貸事業(P)に関して,本件LPS(P)は,P8から,本件建物(P)購入等に係る資金を借り入れ,P5銀行からの上記拠出資金及びP8からの上記借入金を本件不動産賃貸事業(P)の資金とした。 また,本件LPS(P)は,本件不動産(P)の賃貸に係る管理・運営業務について,P9との間で,平成14年3月28日,本件LPS(P)を委託者,P9を受託者とする本件管理契約(P)(乙A7)を締結した。 (オ) 本件LPS(P)は,P7との間で締結された本件売買契約(P)及び本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)に基づいて,P7から本件建物(P)を636万6500ドルで取得した。 本件LPS(P)は,P7との間で締結された本件土地賃貸借契約(P)に基づいて,同契約の締結日である2002年(平成14年)3月28日に,P7から本件土地(P)を基本賃借料として年17万9048ドルで賃借した。 本件不動産賃貸事業(P)に係る資金には,原告P1らを含む個人投資家からの出資金のほか,本件LPS(P)がP8より借り入れた537万 ドルが充てられた。 本件不動産賃貸事業(P)における管理・運営業務は,管理者であるP9が,所有者である本件LPS(P)との間で締結した本件管理契約(P)に基づいて行われている。 (カ) 原告P1は,P4証券からの依頼に従い,P5銀行に対し,「Re.MasterFiduciary 有者である本件LPS(P)との間で締結した本件管理契約(P)に基づいて行われている。 (カ) 原告P1は,P4証券からの依頼に従い,P5銀行に対し,「Re.MasterFiduciaryContract – P22」と題する書面(乙A8)によって,本件基本信託契約(P)を解約する旨を通知し,また,P4証券は,原告に対し,「DOITプログラム・ファイナンシャル・アドバイザー業務の譲渡について」と題する書面(乙A9)によって,原告P1のファイナンシャル・アドバイザーとしての業務をP10に譲渡する旨を通知した。 これに伴い,原告P1は,P10との間で,平成15年10月1日,本件新アドバイザリー契約(P)(乙A10)を締結し,また,P11銀行との間で,同年11月17日,本件新信託契約(P)(乙A11)を締結した。 他方,P5銀行及びP11銀行は,原告P1の指示に基づき,「ASSIGNMENTOFLIMITEDPARTNERSHIPINTEREST (P22) 」と題する書面(乙A12)に署名をして,原告P1に係る本件LPS(P)のパートナーシップ持分をP5銀行からP11銀行に譲渡した。 イ原告P2関係(ア) 原告P2に関する契約及び取引の概要は,後記(イ)以下に記載するほか,別紙11(本件における契約及び取引関係の概要)記載のとおりである。また,原告P2関係の関連会社及び契約内容等(ただし,本件LPS契約(C)の内容は除く。)の概要は,別紙12(関連会社及び契約内容等(P2))記載のとおりである。 (イ) 原告P2は,P4証券との間で,平成12年11月20日,P4証 券をファイナンシャル・アドバイザーとする本件アドバイザリー契約(C)(乙B1)を のとおりである。 (イ) 原告P2は,P4証券との間で,平成12年11月20日,P4証 券をファイナンシャル・アドバイザーとする本件アドバイザリー契約(C)(乙B1)を締結するとともに,米国所在の中古集合住宅である本件建物(C)を対象とした,投資金額を1口20万ドルとする本件不動産投資事業(C)に参加を申し込んだ。 また,原告P2は,本件不動産投資事業(C)に投資するため,P5銀行との間で,自己を委託者兼受益者,P5銀行を受託者とする本件基本信託契約(C)(乙B3)を締結し,同契約に基づいて,P5銀行に開設された口座(エスクロー口座)に現金資産を拠出した。 (ウ) P5銀行は,P12と共に,本件GP(C)との間で,本件GP(C)をゼネラル・パートナー,P5銀行及びP12をリミテッド・パートナーとする本件LPS契約(C)(乙B4)を締結し,本件LPS(C)を組成した。そして,P5銀行は,本件LPS契約(C)に基づき,本件LPS(C)のパートナーシップ持分の発行と引き換えに(againsttheissueofpartnershipinterest〔和訳に争いあり〕),原告P2が拠出した現金資産を本件LPS(C)に拠出した。 (エ) 本件LPS(C)は,P14との間において,本件不動産(C)に係る本件売買契約(C)(乙B5),本件土地賃貸借契約(C)(乙B6)及び本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(C)(乙B7)を締結し,本件建物(C)を購入し,本件土地(C)を賃借して,本件建物(C)を第三者に対して賃貸した(本件不動産賃貸事業(C))。なお,本件不動産賃貸事業(C)に関して,本件LPS(C)は,P15及びP16から,本件建物(C)購入等に係る資金を借 賃借して,本件建物(C)を第三者に対して賃貸した(本件不動産賃貸事業(C))。なお,本件不動産賃貸事業(C)に関して,本件LPS(C)は,P15及びP16から,本件建物(C)購入等に係る資金を借り入れ,P5銀行からの上記拠出資金及びP15等からの上記借入金を本件不動産賃貸事業(C)の資金とした。 また,本件LPS(C)は,本件不動産(C)の賃貸に係る管理・運営業務について,P17との間で,平成12年12月22日,本件LPS(C) を委託者,P17を受託者とする本件管理契約(C)(乙B8)を締結した。 (オ) 原告P2は,P4証券からの依頼に従い,P5銀行に対し,「Re.MasterFiduciaryContract – P23」と題する書面(乙B9)によって,本件基本信託契約(C)を解約する旨を通知し,また,P4証券は,原告に対し,「DOITプログラム・ファイナンシャル・アドバイザー業務の譲渡について」と題する書面(乙B10)によって,原告P2のファイナンシャル・アドバイザーとしての業務をP10に譲渡する旨を通知した。 これに伴い,原告P2は,P10との間で,平成15年10月1日,本件新アドバイザリー契約(C)(乙B11)を締結し,また,P11銀行との間で,同年11月17日,本件新信託契約(C)(乙B12)を締結した。 他方,P5銀行及びP11銀行は,原告P2の指示に基づき,「ASSIGNMENTOFLIMITEDPARTNERSHIPINTEREST (P23)」と題する書面(乙B13)に署名をして,原告P2に係る本件LPS(C)のパートナーシップ持分をP5銀行からP11銀行に譲渡した。 (4) 本件スキームの概要本件各信託契約は,P4証券が企画し 面(乙B13)に署名をして,原告P2に係る本件LPS(C)のパートナーシップ持分をP5銀行からP11銀行に譲渡した。 (4) 本件スキームの概要本件各信託契約は,P4証券が企画したDOIT(DualOwnershipInvestmentTactics)プログラム(本件スキーム)に基づいて一体的に実行されることが企図された複合契約の一部である。本件建物(C)に係る本件スキームの概要は次のとおりである。 ア P4証券は,本件LPS(C)を利用して本件建物(C)を賃貸することやその投資効果など本件スキームの内容を説明した「"DOIT" DualOwnershipInvestmentTactics 海外不動産投資事業プログラムのご案内(基本コンセプト)」,「海外不動産投資事業プログラムのご案内(ハイライト)」 及び「P21‐予想投資損益の概略‐」と題するパンフレットを作成し,一般個人投資家を対象に本件建物(C)の賃貸事業へ参加を勧誘したことから,原告らを始め多数の一般個人投資家が参加した。 イ 「P21‐予想投資損益の概略‐」の記載(ア) 本件スキームに係る出資金額1口当たり2000万円(イ) 本件不動産賃貸事業(C)に係る受取キャッシュ本件土地(C)に係る地代他支払後の出資金2000万円(1口)当たりの受取キャッシュは,投資期間は6~7年とし(2006年10月販売活動開始),7年経過後の本件建物(C)の売却価格が購入価格から価格上昇しないことを前提とした場合,2001年10月において 7000円2002年10月において 9000円2003年10月において 1万2000円2004年10月において 41万30 場合,2001年10月において 7000円2002年10月において 9000円2003年10月において 1万2000円2004年10月において 41万3000円2005年10月において 73万9000円2006年10月において 105万0000円2007年10月において 137万3000円であると見込まれており,その合計360万3000円が,7年間に投資者が受領する受取キャッシュの総額であると想定されている。 (ウ) 本件不動産賃貸事業(C)に係る不動産所得前記(イ)と同様の条件を前提とした場合,本件不動産賃貸事業(C)に係る出資金2000万円(1口)当たりの不動産所得(前記(イ)の受取キャッシュから減価償却費を差し引いた金額)は,2001年10月において ▲2102万2000円(損金)2002年10月において ▲2102万1000円(損金) 2003年10月において ▲2101万8000円(損金)2004年10月において ▲2061万6000円(損金)2005年10月において ▲ 393万4000円(損金)2006年10月において 105万0000円(益金)2007年10月において 137万3000円(益金)と見込まれており,その合計▲8518万8000円(損金)が,7年間における投資家の不動産所得になると想定されている。 (エ) 7年後の本件建物(C)売却時の受取キャッシュ本件建物(C)が購入価格から価格上昇しないことを前提とした場合,本件建物(C)売却予定時である2007年10月における出資金 (エ) 7年後の本件建物(C)売却時の受取キャッシュ本件建物(C)が購入価格から価格上昇しないことを前提とした場合,本件建物(C)売却予定時である2007年10月における出資金2000万円(1口)当たりの本件建物(C)売却に係る受取キャッシュは541万8000円であると想定されている。 (オ) 投資効果出資金額に対する「税務効果(節税額)」(下記(a))及び「税引き後受取金額」(下記(b))の7年間通算の合計額(手数料等支払後)が約3258万2000円であり,「投資効果(7年間総合)」は約163パーセントであると想定されている。 (a) 「税務効果(節税額)」「税務効果(節税額)」とは,「P21‐予想投資損益の概略‐」(乙A15,乙B16)の4枚目の表「⑤納税想定額」欄の合計額2350万5000円のことであり,7年間における「還付金」の合計額から「支払」の合計額を差し引いた金額である。 この税務効果は,7年間その他の損益通算する所得があり,かつ,還付金以上の税額を支払うべき所得があることを前提としている。 なお,「還付金」とは,本件不動産投資事業(C)に係る損失を不動産所得の損失として他の所得と損益通算した結果,我が国において原 告P2を含む投資家が負担すべき所得税額及び住民税額の合計額と,当該損失がなかったとした場合に投資家が負担すべき合計額との差額のことであり,「支払」とは,本件不動産投資事業(C)に係る不動産所得の金額と本件建物(C)売却による譲渡所得の金額に対して投資家が負担すべき所得税額及び住民税額の合計額のことである。 各年ごとの出資金2000万円(1口)当たりの納税想定額は以下のとおり想定されている。 売却による譲渡所得の金額に対して投資家が負担すべき所得税額及び住民税額の合計額のことである。 各年ごとの出資金2000万円(1口)当たりの納税想定額は以下のとおり想定されている。 2001年10月において 777万9000円(還付金)2002年10月において 1051万0000円(還付金)2003年10月において 1050万9000円(還付金)2004年10月において 1030万8000円(還付金)2005年10月において 413万5000円(還付金)2006年10月において 51万1000円(還付金)38万9000円(支払)2007年10月において 1985万7000円(支払)(b) 「税引き後受取金額」「税引き後受取金額」とは,7年間の投資期間における,本件不動産賃貸事業(C)からの受取キャッシュ(前記(イ))及び7年後の本件建物(C)売却に伴う受取キャッシュ(前記(エ))の合計額である。 (カ) 以上の記載によると,本件スキームにおいては,1口2000万円の出資に対し,我が国において投資家が本来負担すべき所得税額及び住民税額が合計2350万5000円軽減されるとともに,7年間における本件不動産賃貸事業(C)による現金収入360万3000円及び7年後の本件建物(C)売却による現金収入541万8000円が得られることにより,合計約3258万2000円(ただし,上記金額の合計額は3252万6000円である。)の利益があるものと想定されている。 ウ 「"DOIT" DualOwnersh ることにより,合計約3258万2000円(ただし,上記金額の合計額は3252万6000円である。)の利益があるものと想定されている。 ウ 「"DOIT" DualOwnershipInvestmentTactics 海外不動産投資事業プログラムのご案内(基本コンセプト)」の記載内容本件スキームは,我が国の税法上,法定耐用年数の全部を経過した中古の木造賃貸用住宅の耐用年数が簡便法によれば4年とされていることから,不動産所得の計算において短期間に減価償却費を計上できることを利用し,税務計算上,不動産所得に損失を生じさせ,不動産所得以外の他の課税所得と損益通算することによって,投資家の所得税額及び住民税額を減少させるものである。具体的には,出資1口(2000万円)当たり,各年の不動産所得につき約2100万円の損失を4年間生じさせることにより,各年につき税額を約1050万円減少させ,4年間で合計4200万円の税額を減少させるものと想定されている。 ただし,このような税務効果が生じるのは,個人の適用限界税率50パーセント(所得税37パーセント,住民税13パーセント)で,損益通算することができる所得がおよそ3600万円以上ある場合とされている。 (5) 本件各LPSの米国租税法上の取扱い(甲共31,78,81,92~95,弁論の全趣旨)ア米国では,1997年に米国財務省規則(Treasuryregulations)において,いわゆるチェック・ザ・ボックス規則(Check-the-boxregulation)が定められ,ある一定の事業体はcorporation(コーポレーション)として事業体課税を受けるか,又はpartnership(パートナーシップ)として構成員(パススルー)課税 gulation)が定められ,ある一定の事業体はcorporation(コーポレーション)として事業体課税を受けるか,又はpartnership(パートナーシップ)として構成員(パススルー)課税を受けるか,選択できるものとされている。 イ米国財務省規則では,信託又は内国歳入法(InternalRevenueCode)において別段特別の取扱いがなされるものでない事業体を,「ビジネス・エンティティ(businessentity)」としている(米国財務省規則301.7701-2(a))。このビジネス・エンティティのうち,当該事業体が2人以上のメンバーを有しており,かつ連邦,州又はインディアン族の制定法によ りincorporated,corporation,bodycorporate,bodypolitic と規定されている事業体や保険会社等の一定のcorporation(米国財務省規則301.7701-2(b)(1)及び(3)から(8)までに規定するcorporation)以外のビジネス・エンティティ(以下「適格事業体」という。)である場合には,当該事業体は,corporation かpartnership かを選択することができるものとされている(米国財務省規則301.7701-3(a))。 そして,上記の2人以上のメンバーを有する米国の適格事業体において上記の選択がない場合には,デフォルト・ルールとして,partnership を選択したものとみなされる(米国財務省規則301.7701-3(b)(1)(i))。また,適格事業体がpartnership を選択した場合,又はデフォルト・ルールによりpartnership を選択したものとみなされる場合には,当該事業体は納税義務者とならず(内国歳入法70 。また,適格事業体がpartnership を選択した場合,又はデフォルト・ルールによりpartnership を選択したものとみなされる場合には,当該事業体は納税義務者とならず(内国歳入法701条),当該事業体の構成員が納税義務者となる。 ウ本件各LPSは,corporation かpartnership を選択することができる適格事業体であるところ,本件各LPSにおいては特に明示的な選択が行われていないことから,デフォルト・ルールとして,partnership を選択したものとみなされている。そのため,本件各LPSは,米国租税法上の納税義務者とならず,本件各LPS及び本件各受託銀行を通じて得られた所得については,本件各LPSではなく,原告らがその持分割合に応じて米国で納税している。 第3 主たる争点及び当事者の主張 1 問題の所在原告らは,本件各信託契約を介して本件各LPSを組成し,本件各建物を取得してその貸付を行ったとして,本件各建物の貸付に係る損益は原告らの不動産所得に該当すると主張して,本件各損失をもって原告らの他の所得と損益通算をして申告し又は更正の請求をした。そこで,本件においては,原告らが主 張する本件各損失の損益通算が許されるかどうか,すなわち,本件各不動産賃貸事業から生じる損益が原告らの不動産所得に該当するか否かが最大の争点であり,より具体的には,上記損益が本件各LPSに帰属することなく(パススルー),不動産所得の性質を有したまま本件各信託契約を介して原告らに帰属するのか否かという点が問題となっている。 なお,本件各不動産賃貸事業から生じた損益自体が所得税法26条1項の不動産所得に該当すること,本件各信託契約が所得税法13条1項本文に規定する信託に該当すること(同 う点が問題となっている。 なお,本件各不動産賃貸事業から生じた損益自体が所得税法26条1項の不動産所得に該当すること,本件各信託契約が所得税法13条1項本文に規定する信託に該当すること(同項ただし書に規定する投資信託に該当しないこと)については,当事者間に争いがない。 2 本件の主たる争点は,次のとおりである。 (1) 本件各LPSが米国で営む本件各不動産賃貸事業から生じた損失を,我が国の所得税法上,原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失として取り扱うべきか否かア本件各LPSが我が国の租税法上「法人」に該当するか否かイ本件各LPSが我が国の租税法上「人格のない社団等」に該当するか否かウ本件各LPSを通じて原告らが得た損益の所得区分(2) 仮に本件各損失の損益通算が許されない場合,原告らに過少申告加算税額を課されない「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か 3 上記の各争点に関する当事者の主張の概要は別紙「当事者の主張の概要」記載のとおりであり,その骨子は次のとおりである。 (1) 被告の主張の骨子ア本件各LPSが我が国の租税法上「法人」に該当するか否か(争点(1)ア)(ア) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かは,当該事業体が我が国の私法において法人に認められる権利能力と同等の 能力を有するか否か,すなわち,当該事業体が,①その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か,②その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か,③その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否かに基づいて判断するのが相当であり,当該事業体が上記 の名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か,③その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否かに基づいて判断するのが相当であり,当該事業体が上記①から③までの能力を有するか否かは,その設立準拠法や設立契約の内容,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等を考慮要素として,個別具体的に判断すべきである。 (イ) 本件各LPSの法人該当性につき,設立準拠法である本件LPS法や本件の事実関係に照らして個別具体的に検討すると,本件各LPSは構成員である各パートナーとは別個の独立した法的主体(separatelegalentity)とされていること(201条(b))に加え,①本件各LPSが構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有する事業体であること(106条(b),701条等,なお,原告らが指摘する本件各LPS契約4.5条における「不可分の持分」の規定は,本件LPS法上,本件各LPSの財産に対する特定の所有権を意味するものとは解されないから,本件各LPSが構成員の財産から区別された独自の財産を有することを否定するものではない。),②本件各LPSがその名において契約を締結し権利義務の帰属主体となり得る事業体であること(106条(a)(b),303条等,なお,原告らが指摘する503条,本件各LPS契約4.7条及び4.8条は,各パートナーへの損益の直接の帰属を定めるものではないから,本件各LPSが権利義務の帰属主体であることと矛盾するものではない。),③本件各LPSがその名において訴訟当事者となり得る事業体であること(105条(a)等)から,本件各LPSは,我が国の租税法上の法人に該当する。 イ本件各LPSが我が国の租税法上「人格のない社団等」に該当するか否 か 事者となり得る事業体であること(105条(a)等)から,本件各LPSは,我が国の租税法上の法人に該当する。 イ本件各LPSが我が国の租税法上「人格のない社団等」に該当するか否 か(争点(1)イ)仮に,本件各LPSが我が国の租税法上の法人に該当しないとしても,本件各LPSは,昭和39年最判の4要件に照らし,人格のない社団等に該当するというべきである。 ウ本件LPSを通じて原告らが得た損益の所得区分(争点(1)ウ)(ア) 本件各LPSは我が国の租税法上の法人に該当するから,本件各LPSを通じて原告らが得た損益は不動産所得に該当せず,その利益のみ配当所得(所得税法25条1項)に該当する。また,仮に本件各LPSが我が国の法人に該当しないとしても,本件各LPSは人格のない社団等に該当するから,本件各LPSを通じて原告らが得た損益は不動産所得に該当せず,その利益のみ雑所得(同法35条1項)に該当する。 したがって,原告らの本件各損失は,原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額(同法69条1項)に該当せず,原告らは,本件各損失をもって損益通算の適用を受けることができない。 (イ) 仮に,本件各LPSが我が国の租税法上の法人及び人格のない社団等のいずれにも該当しないとしても,本件LPS法の解釈及び本件における事実関係の下では,原告らは本件各建物の貸主となり得る権原を有しておらず,原告らが本件各建物を貸し付けているとは認められないから,原告らに割り当てられたとする本件各損失が原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失になるとは認められない。 エ過少申告加算税を課されない「正当な理由」があるか否か(争点(2))原告らが指摘する平成 件各損失が原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失になるとは認められない。 エ過少申告加算税を課されない「正当な理由」があるか否か(争点(2))原告らが指摘する平成12年7月政府税調中期答申の記載内容については,米国のLPSが我が国の租税法上の法人に含まれないことを明言するものではなく,政府の公の見解が表明されたものでもない。また,原告らが主張するその余の事情は,結局,原告ら独自の期待に基づき本件各LPSが法人に該当しないと信じたというものにすぎず,法令の解釈を誤って いたということに尽きるから,これをもって国税通則法65条4項に規定する「正当な理由」があるとはいえない。 (2) 原告らの主張の骨子ア本件各LPSが我が国の租税法上「法人」に該当するか否か(争点(1)ア)(ア) 被告が主張する,外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断基準については,その法的根拠が示されていないこと,内国の事業体と同様の形式的な基準で判断せずに外国の事業体についてのみ個別具体的な実質判断を行うものであり,我が国租税法の建て付けに反すること,被告が主張する判断基準の要素は,我が国の租税法上組合とされる事業体にも当てはまるものであって,法人と組合を区別する基準としては機能しないことなどから,我が国の租税法の解釈としては採用し得ない。 外国の事業体が「法人」に該当するか否かの判断基準としては,内国法人の法人法定主義同様の専ら形式的な基準による判断として,当該外国の事業体の準拠法において,その事業体が外国における「法人」に該当する,すなわち,その事業体に法人格が与えられているか否かで判断すべきものと解せば必要十分である。ここで,「当該外国の事業体の準拠法に 事業体の準拠法において,その事業体が外国における「法人」に該当する,すなわち,その事業体に法人格が与えられているか否かで判断すべきものと解せば必要十分である。ここで,「当該外国の事業体の準拠法においてその事業体に法人格が与えられている」とは,当該外国の事業体の準拠法において,その事業体が「corporation」や「bodycorporate」や「juristicperson」又はこれらと同等の概念に該当すると規定されていることを意味すると解すべきである。 (イ) そして,本件各LPSの準拠法である本件LPS法には,同法に基づき組成されるLPSが「corporation」等の概念に該当する旨の規定はなく(なお,同法においてLPSが「separatelegalentity」とされていることは,LPSに法人格が与えられることを意味するものでは ない。),その他社会通念等に照らしても,本件各LPSは我が国の租税法上の法人に該当しない。 仮に,被告が主張する判断基準によったとしても,①本件各LPSが独自の財産を有するとはいえないこと(特に,701条は,パートナーはLPSの特定の財産について持分を有しないと定めているが,本件各LPS契約の場合,当該条項はパートナー間の内部関係において本件各LPS契約4.5条により修正されており,本件各LPSのパートナーはパートナーシップ財産について不可分の固有の権利を有するものと解されるから,本件各LPSが独自の財産を有しているとはいえない。),②本件各LPSは独立した権利義務の帰属主体とはならないこと(特に,503条並びに本件各LPS契約4.7条及び4.8条によれば,本件LPS法上のLPSは,LPSにおける配当決議による配当を待たずして,グロスの損益(収益の総額と損失 帰属主体とはならないこと(特に,503条並びに本件各LPS契約4.7条及び4.8条によれば,本件LPS法上のLPSは,LPSにおける配当決議による配当を待たずして,グロスの損益(収益の総額と損失の総額)が直接に各パートナーに帰属するから,本件各LPSは損益の帰属主体ではなく,独立した権利義務の帰属主体でもない。),③本件各LPSはその名において訴訟当事者となり得るが,法律により特に認められているにすぎず,「corporation」のように性質上当然に認められているものではないこと,以上からすれば,本件各LPSは我が国の租税法上の法人に該当しない。 イ本件各LPSが我が国の租税法上「人格のない社団等」に該当するか否か(争点(1)イ)本件各LPSにおいては,昭和39年最判の4要件のいずれの要件も満たさないから,「人格のない社団等」には該当しない。 ウ本件LPSを通じて原告らが得た損益の所得区分(争点(1)ウ)(ア) 本件各LPSは我が国の租税法上の法人とも人格のない社団等とも認められないから,これを前提とする被告の主張は失当である。 (イ) 被告は,本件各LPSが我が国の租税法上の法人にも人格のない社 団等にも該当しない場合であっても,本件各損失が不動産所得に該当せず損益通算が許されない旨主張するが,本件各LPSが法人でも人格のない社団等でもなければ,原告らが本件各LPSを通じて行った本件各不動産賃貸事業に係る所得は,信託を介して原告らに直接帰属するのであり,当該所得が不動産所得に区分されることは明らかであるから,本件各損失が原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失に該当することもまた明らかであり,被告の主張は失当である。 エ過少申告加算税を課されない「正当な理由」が れることは明らかであるから,本件各損失が原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失に該当することもまた明らかであり,被告の主張は失当である。 エ過少申告加算税を課されない「正当な理由」があるか否か(争点(2))仮に,本件各損失が不動産所得の金額の計算上生じた損失に該当せず,損益通算が許されないとしても,平成12年7月政府税調中期答申の記述,同年4月の委員会資料,その他課税執行当局者の論稿等に照らせば,原告らが本件各LPSを法人又は人格のない社団等に該当しないと解釈することはやむを得なかったというべきであり,過少申告加算税の趣旨に照らしても原告らに同加算税を賦課することは不当又は酷であるから,本件においては国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提となる事実,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件LPS法(乙A24,乙B25)本件LPS法では,要旨以下のとおり規定されている(なお,原則として乙A24及び乙B25添付の日本語訳のとおり記載するが,日本語訳に争いがある部分については,該当部分の原文を付記し,適宜原告らの訳文を注記し又はこれに差し替える。)。 ア 101条定義(9) 「LPS」及び「州内LPS」とは,デラウェア州法のもとで2人以 上の主体によって組織されたLPSを意味し,1以上のゼネラル・パートナーと1名以上のリミテッド・パートナーで構成され,さらにデラウェア州法のもとでは,リミテッド・ライアビリティ・リミテッド・パートナーシップを含むものとする。 (13) 「パートナーの持分」とは,LPSの損益のうちパートナーが保有する持分,及 デラウェア州法のもとでは,リミテッド・ライアビリティ・リミテッド・パートナーシップを含むものとする。 (13) 「パートナーの持分」とは,LPSの損益のうちパートナーが保有する持分,及びLPSの資産の分配を受ける権利をいう。 (14) 「主体」(者 Person)とは,自然人,(無限責任・有限責任を問わない)パートナーシップ,リミテッド・ライアビリティー・カンパニー,信託,財団,社団,企業,受託者,受取人,その他それ自体あるいはその代表権を有する個人や主体を意味し,いずれの場合にもデラウェア州内に存在するか否かを問わない。 イ 105条州内LPSに対する訴状・召喚状の送達(a) いかなる州内LPSに対する法定訴状・召喚状も,デラウェア州に存在するLPSの経営代理人,総代理人,又はゼネラル・パートナー,あるいはデラウェア州に存在するLPSの登記代理人に対し直接写しを手渡すことにより,又は当該経営代理人,総代理人,ゼネラル・パートナー,登記代理人(略)のデラウェア州内の住居(中略)に送付することにより,送達されたものとみなされる。(以下略)ウ 106条認可事業の性格及び権限(a) LPSは,第8編の126条に規定されている保険証券を発行する(grantingpoliciesofinsurance)事業,保険リスクを引き受ける事業及び銀行業を除き,営利目的か否かを問わず,いかなる合法的な事業,目的,活動をも実施することができる。 (b) LPSは,本章,その他の法律,又は当該LPSのパートナーシップ契約によって付与された全ての権利又は特権,及びこれに付随する全ての権利(当該LPSの事業,目的,活動の実行,促進,達成のために必 要な,あるいは便宜的な権利や特権 LPSのパートナーシップ契約によって付与された全ての権利又は特権,及びこれに付随する全ての権利(当該LPSの事業,目的,活動の実行,促進,達成のために必 要な,あるいは便宜的な権利や特権を含む。)を保有し,それを行使することができる(Alimitedpartnershipshallpossessandmayexerciseallthepowersandprivilegesgrantedbythischapterorbyanyotherlaworbyitspartnershipagreement, togetherwithanypowersincidentalthereto, includingsuchpowersandprivilegesasarenecessaryorconvenienttotheconduct, promotionorattainmentofthebusiness, purposesoractivitiesofthelimitedpartnership.)。 エ 201条 LPS証明書(a) LPSを設立する(組成する form)ためには,1以上の主体(ゼネラル・パートナーの合計数を下回らない数とする)がLPS証明書に署名/捺印(execute)しなければならない。LPS証明書には以下の事項を記載し,州務長官登録局に登録するものとする。 (1) LPSの名称(2) 登記上の本社所在地,及び本編の104条によって記載が義務づけられている訴状・召喚状の送達のための登記代理人の名称及び住所(3) 各ゼネラル・パートナーの名称,事業所あるいは居住地の住所,又は郵送用の住所(4) パート の104条によって記載が義務づけられている訴状・召喚状の送達のための登記代理人の名称及び住所(3) 各ゼネラル・パートナーの名称,事業所あるいは居住地の住所,又は郵送用の住所(4) パートナーがLPS証明書に記載することを決定したその他の事項(b) LPSは,LPS証明書が最初に州務長官登録局に登録された時点,あるいはLPS証明書に記載された(当該登録後の)日付にて設立される(組成される isformed...)ものとし,いずれの場合においても,本項の要件を完全に満たすものでなければならない。本章に基づき組織されたLPSは,独立した法的主体(separatelegalentity)となり,その独立した法的主体としての地位はLPS証明書のLPSによる解除 まで継続する。 オ 303条第三者に対する責任(a) リミテッド・パートナーは,自己がゼネラル・パートナーである場合あるいはリミテッド・パートナーとしての権利や権限の履行に加えて当該事業の経営管理に関与している場合を除き,LPSの債務を弁済する責任を負うものではない。(以下略)カ 503条損益の分配LPSの損益は,パートナーシップ契約の規定に従い,パートナー,及びパートナーのクラスやグループの間で割当が行われる。パートナーシップ契約に規定がない場合,損益は,各パートナーによって拠出され(ofthecontributionsmadebyeachpartner)LPSによって受領され返却されていない出資に関して合意された価額に基づき割り当てられる(配分される shallbeallocated...)(LPSの記録に基づく。)。 キ 701条パートナーシップ持分の性格パートナー て合意された価額に基づき割り当てられる(配分される shallbeallocated...)(LPSの記録に基づく。)。 キ 701条パートナーシップ持分の性格パートナーシップ持分は,動産である。パートナーは,LPSの特定財産に対していかなる持分も所有しない。 ク 1101条パートナーシップ契約の構築と適用(c) 契約における自由原則,及びパートナーシップ契約の執行性に最大限の効果を与えるのが本章のねらいである。 (2) 本件LPS契約(P)(乙A3)本件LPS契約(P)では,要旨以下のとおり規定されている(なお,特記しない限り原則として乙A3添付の日本語訳のとおり記載するが,日本語訳に争いがある部分については,該当部分の原文を付記し,適宜原告らの訳文を注記し又はこれに差し替える。)。なお,本件LPS契約(C)の規定は,本件LPS(P)の規定とおおむね同じである。 ア第1条一般条項 1.1 パートナーシップの名称及び設立(組成 Formation)(前略)本件LPS(P)は,LPS証明書(本件GP(P)に代わり,本件GP(P)が正式に任命した代理人,P18が作成。当該任命は本契約により確認されている。)をデラウェア州事務局に提出することにより,本件LPS法に従い,デラウェア州のLPSとして設立された(組成された hasbeenformed)。 1.3 目的本件LPS(P)は,本件不動産(P)の購入,取得,開発,保有,賃貸,管理,売却その他の処分の目的のみのために設立され(組成され isorganized...),当該目的を実施するために必要又は便宜的な範囲で次の権限を有する。 (a 開発,保有,賃貸,管理,売却その他の処分の目的のみのために設立され(組成され isorganized...),当該目的を実施するために必要又は便宜的な範囲で次の権限を有する。 (a) 本件不動産(P)の購入,取得,開発,保有,賃貸,管理,売却その他の処分(土地の賃貸借又はその持分不動産所有権などを制限なく含むものとする。)。 (b) 銀行口座の開設及び維持並びに支払のための小切手その他為替の振り出し。 (c) 必要又は望ましいと考えられる条件で,随時,金額又は支払方法及び支払時期の制限なく金員を借り入れ,又は,約束手形その他流通性のある,又は流通性のない負債証書を発行,受領,裏書及び作成すること,及び本件LPS(C)の財産の全部又は一部を担保に供し,差し入れ,委譲し,又は譲渡することによって(bymortgageuponorpledge, conveyanceorassignmentofthewholeoranypartofthepropertyofthePartnership)上記借入等及びそれらの利息の支払を,所有時か又は取得した後かに関わらず保証すること,及び本件LPS(P)に関する当該書類及び負債証書を売却したり,担保に供したりその他処分すること(原告ら及び被告の主張に係る日本語訳)。 (d) 第三者に対する請求について訴訟を提起し,提起され,解決又は和解し,本件LPS(P)に対する請求を解決又は和解し,それらに関連して必要又は望ましいと考えられる書類を作成し,表明,許可及び権利放棄を行うこと。 (e) 独立した弁護士,会計士(中略),その他上記の目的に関連して必要又は望ましいと考えられる者の雇用。 (f) そ られる書類を作成し,表明,許可及び権利放棄を行うこと。 (e) 独立した弁護士,会計士(中略),その他上記の目的に関連して必要又は望ましいと考えられる者の雇用。 (f) その他上記事項を達成するために必要,適切又は便宜的な活動及び取引を行い,契約その他約束を締結し,作成し,実施すること。 1.4 期間本件LPS(P)は,次のいずれか早い方の時まで継続する。 (a) 2037年12月31日(b) 本件LPS(P)の現金以外の資産の全てを売却その他処分して得られた収益の最終支払を本件LPS(P)が現金で受領した日1.5 パートナーの性質及び責任(a) 契約,不法行為その他により生じたかを問わず,本件LPS(P)の負債,債務及び義務は本件LPS(P)の単独の負債,債務及び義務であり,リミテッド・パートナーは,リミテッド・パートナーであるという理由のみで本件LPS(P)の負債,債務,又は義務について個人的に責任を負わない。(以下略)イ第2条管理2.1 一般的な管理本件LPS(P)の管理及び運営は,本件GP(P)に独占的に権利を付与される。本件GP(P)は,これにより,本件LPS(P)に代わり,及び本件LPS(P)の名前で1.3条に定める本件LPS(P)の目的の全てを実施する権限を有する(中略)。リミテッド・パートナーは,本件LPS契約(P)に定める場合を除き本件LPS(P)の管理又は運営に参加しては ならず,いかなる事項に関しても,本件LPS(P)に代わって又は本件LPS(P)の名前で行為する権限又は権利を有さない。(以下略)2.7 不動産投資及び資産等の登録本件LPS(P) いかなる事項に関しても,本件LPS(P)に代わって又は本件LPS(P)の名前で行為する権限又は権利を有さない。(以下略)2.7 不動産投資及び資産等の登録本件LPS(P)が行う全ての不動産投資その他所有する資産は,本件LPS(P)の名前又は本件GP(P)が随時決定できる名義人の名前で登録される。(以下略)ウ第3条費用等3.3 管理報酬本件LPS(P)は,本件GP(P)に対し,(中略)本件LPS(P)の管理・運営について毎月1310ドルの管理報酬を支払う。管理報酬は,本件土地賃貸借契約(P)に従い,同契約に定める優先順位で支払う。本件LPS(P)が当該管理報酬を支払う十分なキャッシュフローがない場合,未払の報酬は,当該管理報酬を支払う十分な資金があると本件GP(P)が判断する時まで繰り越される。ただし,本件LPS(P)は,本件LPS(P)が解散した時点で未払となっている繰延管理報酬については,本件LPS(P)が当該繰延管理報酬全てを支払うための十分なキャッシュフローがない範囲で,責任を負わず,支払う義務はない。3.3条に従って支払う管理報酬は,内国歳入法707条に従った本件LPS(P)の費用として扱われ,本件LPS法607条の限度が適用される分配とすることを意図するものではない。 エ第4条資本,税金引当等4.1 租税に関する定義本件LPS(P)で使用されている次の用語は,次の意味を有する。 「会計年度」とは,9.1条に定める本件LPS(P)の連邦所得税の課税年度を意味する。 会計年度その他の期間の「利益」及び「損失」とは,次の調整を加え, 内国歳入法703条(a)及び規則に従って決定される,当該年度又は期間 )の連邦所得税の課税年度を意味する。 会計年度その他の期間の「利益」及び「損失」とは,次の調整を加え, 内国歳入法703条(a)及び規則に従って決定される,当該年度又は期間の本件LPS(P)の課税対象利益又は損失に相当する額を意味する。 4.2 出資本件GP(P)は,本件LPS(P)の資本に当初の出資をする必要はない。 リミテッド・パートナーはそれぞれ,本件LPS(P)の資本に対し,別紙A(乙A3原文32頁,以下略)のそれぞれの名前の隣に記載された金額を「資本出資」として出資する。 4.3 非強制の資本出資(a) 4.2条に他の方法が規定されている場合を除き,リミテッド・パートナーは本件LPS(P)の資本に対して,追加出資を含む出資を行う必要はないものとする。 4.4 資本の利用パートナーが本件LPS(P)の資本に対して出資した全ての出資金の合計及び本件LPS(P)の分配されない純利益は,本件LPS(P)の目的を実施するために本件LPS(P)が利用できる。 4.5 パートナーシップ出資割合パートナーは,別紙Aのそれぞれの名前の隣に記載されたパートナーシップ出資割合を有する(パートナーシップ出資割合)。各パートナーは,本件LPS(P)の資産に,そのパートナーシップ出資割合に相当する不可分の持分を有する(パートナーシップ持分)。 4.6 分配(a) 税金分配本件LPS(P)は,本件GP(P)の単独で絶対的な裁量により,各会計年度の3月30日までに各パートナーに対して次と同額の分配を行うことができる。 (i) 本件LPS(P)の前会計年度に,4.7条その他の条項に基づい の単独で絶対的な裁量により,各会計年度の3月30日までに各パートナーに対して次と同額の分配を行うことができる。 (i) 本件LPS(P)の前会計年度に,4.7条その他の条項に基づい て当該パートナーに対して割り当てられた所得,利益その他の項目の正味金額に(ii)40パーセントを掛けた金額(以下略)(b) 裁量分配本件LPS(P)は,本件GP(P)の単独で絶対的な裁量により,パートナーに対して随時,現金の分配を行うことができる。本件LPS契約(P)に定めるものを除き,パートナーは,資本出資又は収益の分配を要求したり,受領する権利を有さない。4.6条(b)による現金の出資は,次の優先順位に従って分配されるものとする。(以下略)4.7及び4.8 利益及び損失の割当て(配分 Allocation)会計年度の利益及び損失は,基本的にパートナーのパートナーシップ出資割合に応じてパートナーに割り当てられる(配分される beallocated)。(なお,原文及びその訳文とは異なるが,その意味において当事者間に争いがない。また,本件LPS契約(C)4.7及び4.8条は,上記から「基本的に」を除いたものがその訳文である。)4.9 その他ゼネラル・パートナーによる決定事項本件LPS契約(P)を解釈する上で必要な範囲で,本件GP(P)は,(中略)全ての目的のために,合理的な慣例を適用する完全かつ絶対的な裁量を有する。本件GP(P)による当該決定は,最終的なもので,パートナーを拘束する。 4.12 一般条項(a) 本件LPS契約(P)で別途定められていない限り,本件LPS(P)の所得,収益,損失及び控除のパートナーの分配持分は,利益及 パートナーを拘束する。 4.12 一般条項(a) 本件LPS契約(P)で別途定められていない限り,本件LPS(P)の所得,収益,損失及び控除のパートナーの分配持分は,利益及び損失の分配持分と同じとする。 オ第6条パートナーの脱退6.1 リミテッド・パートナーの脱退リミテッド・パートナーは,本件LPS(P)から脱退する権利を有す る。ただし,本件GP(P)の単独かつ絶対的な裁量による同意がある場合に限られる。本件GP(P)がリミテッド・パートナーの脱退に同意した場合,当該リミテッド・パートナーは,脱退時に,パートナーシップ持分の脱退した日時点での公正価格を受け取る権利を有する。(以下略)6.2 ゼネラル・パートナーの脱退本件GP(P)は,本件LPS(P)から脱退する権利を有さない。 カ第7条持分の譲渡可能性7.1 ゼネラル・パートナーシップ持分の譲渡可能性本件GP(P)は,そのパートナーシップ持分の全部又は一部を売却,譲渡してはならず,いかなる方法によっても処分したり,担保を設定したり,設定を認めたりしてはならない。第三者が本件GP(P)と利害関係を持つこととなるような契約を締結してはならない。(原告ら及び被告の主張に係る日本語訳)7.2 リミテッド・パートナーシップ持分の譲渡可能性リミテッド・パートナー(疑義を避けるため,受益者ではないものとする)は,本件GP(P)の単独で絶対的な裁量による書面による同意をすることなく,当該リミテッド・パートナーの持分の全部又は一部を売却,譲渡してはならず,いかなる方法によっても処分したり,担保を設定し )は,本件GP(P)の単独で絶対的な裁量による書面による同意をすることなく,当該リミテッド・パートナーの持分の全部又は一部を売却,譲渡してはならず,いかなる方法によっても処分したり,担保を設定したり,設定を認めたりしてはならない。また,個人,企業又は会社が当該リミテッド・パートナーと利害関係を持つことになるような契約を締結してはならない。(中略)前述に関わらず,受託者が保有する持分がその受益者に譲渡される場合,本件GP(P)の同意は必要ない。 (原告ら及び被告の主張に係る日本語訳)キ第8条パートナーシップの終了及び清算8.1 終了 本件LPS(P)は,次のいずれかの事項が最初に発生した場合に終了する。 (a) 本件GP(P)の解散(b) 本件GP(P)が本件LPS(P)を解散すべきとの決定(c) 1.4条に定める本件LPS(P)の期間の終了(d) 適用法令に基づいて本件LPS(P)の終了となるような事項の発生8.2 清算本件LPS(P)が終了した時は本件GP(P)が,又は8.1条(a)に従って本件LPS(P)が終了した場合はリミテッド・パートナーのパートナーシップ出資割合の過半数により選任された清算受託者が,(i)本件GP(P)又は清算受託者が必要又は望ましいと考える本件LPS(P)の現金以外の資産を現金化し,(ii)次の措置を講じ,以下の方法及び順序で本件LPS(P)の資産から次の分配を行う。 (a) 本件GP(P)又は清算受託者が,パートナーではない本件LPS(P)の債権者の全ての請求を支払い,消滅させ,本件LPS(P)の偶発債務又は予測不能な負債若しくは債務の補填に必要又は対応可能と考える準備金( (P)又は清算受託者が,パートナーではない本件LPS(P)の債権者の全ての請求を支払い,消滅させ,本件LPS(P)の偶発債務又は予測不能な負債若しくは債務の補填に必要又は対応可能と考える準備金(中略)を設定する。ただし,偶発債務がなくなり,現金その他資産がある場合は,特別準備金は8.2条(c)に定めるとおり分配される。 (b) パートナーである本件LPS(P)の債権者全ての請求を按分して支払い,消滅させる。 (c) 4.6条(b)に従い,資産の残りをパートナーに支払い,分配する。 (以下略)8.3 分配の形式8.2条(a)及び(b)に従って行われる分配は,現金のみで行われる。 同条(c)に従って行われる分配は,本件GP(P)又は清算受託者が決定す るとおり,現金又はその他資産又はその両方で行うことができる。 ク第9条会計及びパートナーへの報告9.8 決定事項の拘束力本件GP(P)が会計事項に関連して行う決定は,最終的なものであり,リミテッド・パートナー及びそのそれぞれの法定代理人を拘束する。 ケ第10条雑則10.7 準拠法本契約は,デラウェア州法に準拠し,それに従って解釈される。(以下略)10.15 分割に対する権利の放棄各パートナーは,当該パートナーが本件LPS(P)の動産や資産に関連する分割の訴訟を維持するために有する権利を本件LPS(P)期間中,取り消し不能の条件で放棄し,パートナーシップ会計のための訴状を提出したり,他のパートナーや本件LPS(P)に対していかなる方法によってもそれに反するような方法で手続しないことに同意する。 (3) 本件LPS(P)の財産や権利義務の帰属 ップ会計のための訴状を提出したり,他のパートナーや本件LPS(P)に対していかなる方法によってもそれに反するような方法で手続しないことに同意する。 (3) 本件LPS(P)の財産や権利義務の帰属状況,本件不動産賃貸事業(P)の管理・運営業務の実態(乙共7の2,乙A3~7,21,31~33)ア本件LPS(P)は,本件LPS(P)の名義で,2002年(平成14年)3月28日付け本件売買契約(P)及び本件売買契約,リース契約及び共同エスクロー契約(P)をP7との間で締結してP7から本件建物(P)を購入し,同建物の譲渡について作成された特定的担保責任譲渡証書(SPECIALWARRANTYDEED)に基づいて同建物を取得した。この特定的担保責任譲渡証書に基づき,同建物が所在する米国フロリダ州デュバル郡を管轄する登録所に同建物の譲渡が登録された。米国の不動産登録情報確認システムにおいても,本件建物(P)は,2002年(平成14年)3月28日にP7から本件LPS(P)に売却され,同年4月5日に,譲渡証書(grantdeed)に より登録所に登録され,所有者は本件LPS(P)となっている(なお,米国では,不動産の譲渡については,一般的に権利書(deed)を作成した上で物件が所在する郡の登録所に登録される。)。 イ本件LPS(P)は,本件LPS(P)の名義で,同年3月28日付け本件土地賃貸借契約(P)をP7との間で締結し,本件建物(P)の敷地である本件土地(P)をP7から賃借した。 ウ本件LPS(P)は,本件LPS(P)の名義で,本件建物(P)の購入資金など本件不動産賃貸事業(P)に係る資金として,P8から同日付けで537万ドルを借り入れた。 エ本件LPS(P)の管理及び運営の権利・権限は本件GP(P) の名義で,本件建物(P)の購入資金など本件不動産賃貸事業(P)に係る資金として,P8から同日付けで537万ドルを借り入れた。 エ本件LPS(P)の管理及び運営の権利・権限は本件GP(P)に独占的に付与されており,本件GP(P)は,本件LPS(P)の名義において,本件不動産賃貸事業(P)に関する全てのことを行う権限を有しており,本件LPS(P)の管理・運営は,本件GP(P)によって,全て本件LPS(P)の名義で行われている。 オ本件LPS(P)は,本件不動産賃貸事業(P)に関する管理・運営業務を管理者であるP9に委託するため,本件LPS(P)の名義で,同日付け本件管理契約(P)をP9との間で締結し,本件不動産賃貸事業(P)の管理,運営などの業務をP9に委託した。 本件管理契約(P)に基づき,P9は,本件LPS(P)を代理して,本件LPS(P)の費用負担において,本件不動産(P)の賃貸借契約の締結・解約,賃料の徴収,修理,運営,監督及び維持等を行う権限・権能を有しており,また,本件不動産賃貸事業(P)に関する訴訟提起等の法的手続を本件LPS(P)の名義において行う権限も有している。 (4) 本件LPS(C)の財産や権利義務の帰属状況,本件不動産賃貸事業(P)の管理・運営業務の実態(乙共7の1,乙B4~8,21,22,35~37)ア本件建物(C)の所有権及び登録名義 本件LPS(C)は,本件LPS(C)の名義で,2000年(平成12年)12月22日付け本件売買契約(C)及び同月19日付け本件売買契約,リース契約及び共同エスクロー契約(C)をP14との間で締結してP14から本件建物(C)を購入し,同建物の譲渡について作成された譲渡証書(grantdeed)に基づいて同建物の所有権を取 買契約,リース契約及び共同エスクロー契約(C)をP14との間で締結してP14から本件建物(C)を購入し,同建物の譲渡について作成された譲渡証書(grantdeed)に基づいて同建物の所有権を取得した。この譲渡証書に基づき,同建物が所在する米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡を管轄する登録所に同建物の譲渡が登録された。米国の不動産登録情報確認システムにおいても,本件建物(C)は,同月15日にP14から本件LPS(C)に売却され,同月26日に,譲渡証書により登録所に登録され,所有者は本件LPS(C)となっている。 その後,本件LPS(C)は,本件建物(C)を,2007年(平成19年)2月21日に,P19に譲渡している。 イ本件LPS(C)は,本件LPS(C)の名義で,2000年(平成12年)12月22日付け本件土地賃貸借契約(C)をP14との間で締結し,本件建物(C)の敷地である本件土地(C)をP14から賃借した。 ウ本件LPS(C)は,本件LPS(C)の名義で,本件建物(C)の購入資金など本件不動産賃貸事業(C)に係る資金として,P15から同日付けで241万4900ドルを,P16から同月5日付けで3285万ドルを,それぞれ借り入れた。 エ本件LPS(C)の管理及び運営の権利・権限は本件GP(C)に独占的に付与されており,本件GP(C)は,本件LPS(C)の名義において,本件不動産賃貸事業(C)に関する全てのことを行う権限を有しており,本件LPS(C)の管理・運営は,本件GP(C)によって,全て本件LPS(C)の名義で行われている。 オ本件LPS(C)は,本件不動産賃貸事業(C)に関する管理・運営業務を管理者であるP17に委託するため,本件LPS(C)の名義で,同月22日 付け本件管理 名義で行われている。 オ本件LPS(C)は,本件不動産賃貸事業(C)に関する管理・運営業務を管理者であるP17に委託するため,本件LPS(C)の名義で,同月22日 付け本件管理契約(C)をP17との間で締結し,本件不動産賃貸事業(C)の管理,運営などの業務をP17に委託した。 本件管理契約(C)に基づき,P17は,本件LPS(C)の費用負担・責任において,本件不動産(C)の賃貸借,運営,監督,維持,修理及び管理を行う専属的な権限・権能を有しており,本件LPS(C)に代わって本件LPS(C)の賃貸人としての全ての義務を履行する権限を有している。 2 本件各LPSが我が国の租税法上「法人」に該当するか否か(争点(1)ア)(1) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断方法及び判断基準についてア我が国の租税法においては,「内国法人」の意義は「国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう」とされ(所得税法2条6号,法人税法2条3号),「外国法人」の意義は「内国法人以外の法人をいう」とされているが(所得税法2条7号,法人税法2条4号),これらの規定からは法人の意義自体は明らかではなく,他に法人の意義を明らかにする規定はない。また,我が国の租税法上,法人の意義について,民商法等の私法が前提とする「法人」の観念と異なる観念を採用していると解すべき特段の規定もないことからすると,我が国の租税法においては,法人の意義として,我が国の私法が前提とする法人の意義と同一の意義を採用していると解するのが相当である(いわゆる借用概念)。そして,私法の一般法である民法の解釈において,法人とは,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」をいうと解されていることからすれば(我妻著書), 当である(いわゆる借用概念)。そして,私法の一般法である民法の解釈において,法人とは,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」をいうと解されていることからすれば(我妻著書),我が国の租税法上の法人概念についても,これと同様の観念を採用していると解するのが相当である。したがって,外国法人についても,我が国の私法上「法人」に該当するということは,すなわち我が国の法制度上の権利義務につき,その主体となることのできるものであることを意味するというべきである。 イところで,どのような団体にどのような手段・方法でどのような能力や属性を認めるかは,それぞれの国家の価値判断に基づいて行われるものであり,当該国家の立法政策の問題に帰するのであるから,外国において我が国と同様の法人制度が採用されていないことも十分想定され,また,その類似する相互の法令上の概念が,必ずしも厳密に一致するとも限らない。 したがって,ある外国において我が国の「法人」に類似する概念があり,ある事業体がこれに該当するとされていたとしても,そのことから直ちに当該事業体が我が国の私法上の法人と同様の意味において「権利義務の主体となることのできるもの」であるということはできないし,逆に,ある外国において我が国の法人以外の団体(組合等)に類似する概念があり,ある事業体がこれに該当するとされていたとしても,そのことから直ちに当該事業体が「権利義務の主体となることのできるもの」に該当しないということもできない。 そうすると,外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否か,すなわち,当該事業体が「権利義務の主体となることのできるもの」であるかどうかの判断に当たっては,当該事業体がその準拠法においてどのような概念として定義付けられてい 法上の「法人」に該当するか否か,すなわち,当該事業体が「権利義務の主体となることのできるもの」であるかどうかの判断に当たっては,当該事業体がその準拠法においてどのような概念として定義付けられているかのみによって結論を導くことはできず,実質的な観点から,当該事業体に認められている能力及び属性の内容を検討し,その上で,我が国の私法上「法人」とされることによって当然に認められる能力及び属性(法人格から当然に派生する能力及び属性)を全て具備していると評価できるか否かにより決するほかはないというべきである。 ウそこで,法人とされることによって当然に認められる能力及び属性とは具体的にいかなるものであるかについて検討するに,「法人」とは,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」であるから,あたかも自然人のごとく権利義務の帰属主体となること,すなわち,実体 法的にいえば,その名において不動産等の財産を所有し(物権の帰属),その名において法律行為を行い(法律行為の主体たる資格),法律行為等により発生する債権を有し債務を負う(債権債務の帰属)ということが,法人とされることにより当然に認められる能力等ということができる。 加えて,「財産の所有」能力に関しては,所有者として権利行使ができるためには対外的,社会的に認知されることが必要であり,我が国の法人は,不動産を取得する際,単に実体法上所有者として扱われるだけではなく,あたかも自然人のごとくその名義により登記を得ることができるのであり(なお,自動車等の登録も同様である。),しかも,我が国における法人については,「構成員の個人財産から区別され,個人に対する債権者の責任財産ではなくなって,法人自体の債権者に対する排他的責任財産を作る法技術」であると指摘されて ある。),しかも,我が国における法人については,「構成員の個人財産から区別され,個人に対する債権者の責任財産ではなくなって,法人自体の債権者に対する排他的責任財産を作る法技術」であると指摘されていること(星野論文270頁参照)も考慮すると,第三者に不動産の物権の帰属を公示するためその名義により登記を得る能力は,法人とされることによって当然に認められる「財産の所有」能力の内容をなす重要な要素であるということができる。そうすると,外国の事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かの判断に当たっては,実体法的に当該事業体が構成員とは区別された独自の財産を有すること(裏を返せば,当該事業体の財産につき構成員が直接の具体的な持分を有していないこと)のみならず,当該外国において当該事業体がその所有する不動産につき登記を得るなど社会的公示制度において権利者として扱われることも,必要不可欠な要素として考慮する必要があるというべきである。 これらの点から考察するに,外国の事業体が我が国の租税法上(私法上)の「法人」に該当するか否かを判断するにあたっては,実体法的には,当該事業体が,①その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すること(具体的には,当該事業体の財産につき構成員が直接の具体的な持 分を有しておらず,かつ,当該事業体の名義により登記等の公示を行うことができること),及び②その名において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うことができること,という能力等を有するかどうかにより判断するのが相当である。 また,手続法的には,実体法上権利義務の帰属主体となることができる者は当然に訴訟上の当事者能力を有するということができるから(民事訴訟法28条参照),③その名において訴訟当事者となり得る また,手続法的には,実体法上権利義務の帰属主体となることができる者は当然に訴訟上の当事者能力を有するということができるから(民事訴訟法28条参照),③その名において訴訟当事者となり得ること(訴訟上の当事者能力)も,法人とされることによって当該事業体に当然に付与される能力等の一つであるということができ,外国の事業体の法人該当性の判断要素の一つとすることが相当である。 以上によれば,外国の事業体が我が国の租税法上(私法上)の法人に該当するか否かの判断に当たっては,当該事業体が上記①から③までの能力等を全て有しているか否かを基準として判断するのが相当である。 なお,星野論文によれば,「『法人』とは,(イ)構成員の個人財産から区別され,個人に対する債権者の責任財産ではなくなって,法人自体の債権者に対する排他的責任財産を作る法技術である。なお,法人は,(ロ)その名において契約を締結し,その名において権利を取得し,義務を負い,(ハ)その権利義務のためにその名において訴訟当事者となる。」とされており(甲共96・270頁),また,江頭賢治郎・株式会社法(第2版)によれば,「わが国で『法人』と呼ばれるものにのみあり非法人団体には絶対にない属性を見つけることは難しく,他方,『法人』全てには,(1)その名において権利を取得し義務を負う,(2)訴訟当事者能力,(3)自己名義の債務名義によってしか強制執行を受けないとの三属性は,最低限帰属することが分かる」とされている(甲共9・28頁)。これらの分析からしても,前述した①から③までの判断基準は,法人とされることにより当然に認められる能力等を表すものとして,合理的であるといえる。 エそして,外国の事業体が上記①から③までの能力等を全て具備してい ら③までの判断基準は,法人とされることにより当然に認められる能力等を表すものとして,合理的であるといえる。 エそして,外国の事業体が上記①から③までの能力等を全て具備しているかどうかの判断に当たっては,どのような団体にどのような手段・方法でどのような能力等を認めるかは,それぞれの国家の価値判断に基づく立法政策の問題であることからすれば,原則として,当該事業体の準拠法の規定及びその解釈を基礎として判断されるべきである。ただし,当該準拠法において,上記①から③までの点に関して構成員間の契約等による変更や修正を認めている場合など,上記能力等の有無を判断するために契約内容等を検討することが必要な場合もあり得るし,また,準拠法に明確な規定がないために,当該事業体の活動実態等を考慮する必要もあり得るから,そのような場合には,準拠法の規定内容以外の事情も考慮する必要があるものと解される。 オ原告らの主張について(ア) 原告らは,ある事業体が「法人であること」と「法人とされたことから生じる効果のうちの特定のものと同じ効果を法律により認められていること」とは同義ではないとし,さらに,被告の主張する判断基準は外国の事業体についてだけ法人該当性について実質判断を行うものであって,我が国の租税法の建て付けと整合せず,組合や人格のない社団等が法人に区分けされてしまう誤りを内包しているとか,外国法人と外国の人格なき社団等との区別が不可能となるとか,被告の基準は我が国の租税法上組合とされる事業体にも当てはまるなどとして,法人該当性の判断基準として機能しないと主張する。 しかし,上記説示のとおり,我が国の租税法上の「法人」概念は私法上の「法人」概念を借用したものであり,法人とは「自然人以外の どとして,法人該当性の判断基準として機能しないと主張する。 しかし,上記説示のとおり,我が国の租税法上の「法人」概念は私法上の「法人」概念を借用したものであり,法人とは「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」であると解されるところ,日本の法律を準拠法とする事業体については,民法33条が法人法定主義を採用しているために,法律によって法人として認められているかに より形式的にその法人該当性を決することが可能であるが,外国においては,我が国と同様の制度(法人法定主義)や概念が用いられているとは限らないのであるから,民法33条の法人法定主義を前提とする形式的な判断基準をもってしては,当該事業体が「権利義務の主体となることのできるもの」であるかどうかを的確に判断することはできないのであって,問題となっている外国の事業体の準拠法が当該事業体に日本の法人と同様の能力等を付与しているかどうか,すなわち,当該事業体が,我が国の私法上「法人」とされた場合に当然に認められる能力等(法人格から当然に派生する能力等)と同様の能力等を具備しているかどうかという実質的な判断手法を採るほかにないのであり,これに反する原告らの上記主張はいずれも採用することができない。 また,原告らは,組合や人格のない社団等が法人に区分けされてしまう誤りを内包しているなどと主張するが,上記説示に係る①から③までの要件の内容に照らしてみれば,組合の場合,その財産は総構成員の共有(いわゆる合有)とされ(民法668条),組合名義による登記はできないから,たとい②及び③の要件を満たす組合であっても,①の要件を満たさないことは明らかである。また,人格のない社団等の場合も,その財産は構成員に総有的に帰属するとされ,社団独自の所有権は認め きないから,たとい②及び③の要件を満たす組合であっても,①の要件を満たさないことは明らかである。また,人格のない社団等の場合も,その財産は構成員に総有的に帰属するとされ,社団独自の所有権は認められておらず,また,その社団の名において構成員全体のために権利を取得し,義務を負担するものの,それは全ての構成員の氏名を列挙することの煩を避けるためにほかならず,したがって,その社団の名において登記することはできないとされている(昭和39年最判,最判昭和47年6月2日・民集26巻5号957頁)。したがって,上記①から③までの要件のあてはめにおいて,外国の組合や人格のない社団等が法人に区分けされてしまうということはなく,原告らの主張は採用することができない。 (イ) 原告らは,古田補足意見を引用した上で,被告が主張する判断基準においては,法人が「損益の帰属すべき主体」であるという観点からの考察が欠けているなどと主張する。しかし,ある事業体が「権利義務の主体となることのできるもの」であり,その事業活動において,その名において財産を取得し,法律行為を行い,債権を有し債務を負うのであれば,その事業活動に伴う損益も当然に当該事業体に帰属するのであって,「損益の帰属すべき主体」であることを殊更別途の要件として設定するまでもないから,原告らの主張は採用することができない。 (ウ) 原告らは,外国の事業体が「法人」に該当するか否かの判断基準としては,当該外国の事業体の準拠法において,その事業体が「corporation」や「bodycorporate」や「juristicperson」又はこれらと同等の概念に該当すると規定されているかどうか否かにより判断すべきであると主張する。 なるほど,原告らの主張する判断方 orporate」や「juristicperson」又はこれらと同等の概念に該当すると規定されているかどうか否かにより判断すべきであると主張する。 なるほど,原告らの主張する判断方法は,その概念如何により形式的に法人該当性を判断することができる点で,予測可能性や明確性に優れているようにも思われる。しかし,繰り返し述べるとおり,外国では必ずしも我が国と同様の制度が採用されているとは限らず,その概念も必ずしも一致しないのであるから,原告らの主張する概念が我が国の「法人」概念と同一のものであり,他に我が国の「法人」に該当する概念がないことが明らかでない限り,そのような概念による形式的な判断基準をもって判断することは不可能というべきであって,我が国の私法(租税法)の解釈として採用することはできない。原告らの主張によれば,ある事業体が我が国の法人と全く同様の能力等を有するにもかかわらず,その概念のみをもって法人性を否定することにもなりかねず,結論の妥当性にも疑問がある。また,仮に原告らの主張に沿って「corporation」等の概念に該当するものが我が国の「法人」に該当するとしても, 本件で問題となっている「separatelegalentity」について,これが原告らのいう「corporation」等と同等の概念に該当するものかどうかを判断せざるを得ないのであり,そのためには,やはり実質的な検討なくしては判明しないというべきであり(なお,米国において当然に事業体課税を受ける事業体という意味であれば,概念により明確に区別できる可能性があるが,そのような基準は,我が国の私法上の「法人」概念に合致しない。),結局,上記説示に係る①から③までの3要件を用いる場合と大きな差はない。もとより,米国デラウェア州の法人制度が我 きる可能性があるが,そのような基準は,我が国の私法上の「法人」概念に合致しない。),結局,上記説示に係る①から③までの3要件を用いる場合と大きな差はない。もとより,米国デラウェア州の法人制度が我が国の法人制度と同一であり,我が国の「法人」概念と同義のものとして原告らが主張する「corporation」等の概念が用いられていることを認めるに足りる証拠はなく,両者の法人制度や概念が異なるものである以上,我が国の「法人」に該当するか判断するに当たって実質的な検討を要することは当然である。 なお,原告らは,外国の事業体が我が国の私法上「外国法人」であるというためには,旧民法36条1項により「商事会社」でなければならないとも主張する。しかし,旧民法36条1項の外国法人の認許とは,当該外国法人が我が国において法人として活動することを認めるということにすぎず,認許されない「外国法人」が存在することはその文理からも明らかであるから,原告らの上記主張は採用することができない(甲共6・199頁参照)。 (エ) 原告らは,以上のほかにも様々な観点から,被告の主張する判断基準が誤っており,原告らの主張する判断基準が正当である旨をるる主張するとともに,被告が援用する水野意見書やLLC地裁判決及びLLC高裁判決を論難するが,上記アからエまでの説示内容に反する限りにおいて,いずれも採用することができない。 (2) 本件各LPSが構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否 か(要件①)ア前記認定事実によれば,本件各LPSの準拠法である本件LPS法において,LPSは,同法及びその他の法律,当該LPSのパートナーシップ契約によって付与された全ての権利又は特権,及びこれに付随する全ての権利(当 実によれば,本件各LPSの準拠法である本件LPS法において,LPSは,同法及びその他の法律,当該LPSのパートナーシップ契約によって付与された全ての権利又は特権,及びこれに付随する全ての権利(当該LPSの事業,目的,活動の実行,促進,達成のために必要な,あるいは便宜的な権利や特権を含む。)を保有し,それを行使することができるとされており(106条(b)),しかも,パートナーシップ持分は動産(personalproperty)であり,パートナーは,LPSの特定財産(specificlimitedpartnershipproperty)に対していかなる持分も所有しないとされている(701条)。 また,本件LPS法において,不動産登記等の公示に関して直接定めた規定を見出すことはできないが,本件各LPS契約において,本件各LPSが行う全ての不動産投資その他所有する資産は,本件LPS(又は本件各GPが随時決定できる名義人)の名前で登録することができるとされており(「AllrealestateinvestmentsandotherpropertyownedbythePartnershipmayberesiseteredinthePartnershipname,...」2. 7条),実際にも,本件各建物の譲渡は,いずれも本件各LPSの名義で米国の登録所に登録されている。 以上の本件LPS法の各規定や本件各建物が本件各LPSの名義で登録されていることに照らせば,本件各LPSは,構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有する(当該事業体の財産につき構成員が直接の具体的な持分を有しておらず,かつ,当該事業体の名義により登記等の公示を行うことができる)と認めるのが相当である。 は区別された独自の財産を有する(当該事業体の財産につき構成員が直接の具体的な持分を有しておらず,かつ,当該事業体の名義により登記等の公示を行うことができる)と認めるのが相当である。 イ本件各LPS契約4.5条(不可分の持分条項)について(ア) ところで,本件各LPS契約4.5条は,各パートナーは,本件各LPSの資産に,そのパートナーシップ出資割合に相当する不可分の持 分を有する(EachPartnershallhaveandownanundividedinterestinthePartnership'spropertyequaltoitsPartnershipPercentage.)としており,この規定は,一見すると,パートナーはLPSの特定財産に対していかなる持分も有しないとする701条と矛盾するようにみえる。 しかし,ピルバリーメモ(乙共8)によれば,「上記のパートナーシップ契約条項(本件各LPS契約4.5条)は,701条に齟齬するものではない。(中略)この条項は,各パートナーがそれぞれの割合に応じてパートナーシップ持分を有することを定めるための条項である。この条項では,各パートナーが,パートナーシップの資産全体に対して,その割合に応じた不可分の持分を有することを示しており,パートナーシップの特定の資産(例えば不動産)に直接の持分を有していると定めたものではない。」としており,また,モリス回答書(乙共19)も,「この言葉(undividedinterest)が,デラウェア州のLPS又はその他のエンティティの財産に対して,特定の所有権を規定することを意図するものであるというのは,我々の一般的な理解とは異なるものです。」「この解釈は,LPS契約に,各 )が,デラウェア州のLPS又はその他のエンティティの財産に対して,特定の所有権を規定することを意図するものであるというのは,我々の一般的な理解とは異なるものです。」「この解釈は,LPS契約に,各パートナーはパートナーシップの財産に不可分の持分(anundividedinterest)を持つと規定することが,各パートナーが特定のパートナーシップ財産に持分を持つというパートナーたちの意思を明確に表示することにはならないということを示しています。」としている。これらの各意見書の内容に加えて,本件各LPS契約4.5条がその文末において「anundividedinterestinthePartnership'sproperty...」を「PartnershipInterest」に置き換えていることからすれば,上記の「anundividedinterestinthePartnership'sproperty」(パートナーシップの資産に対する不可分の持分)とは,本件各LPSの特定財産に対する直接の持分を意味するも のではなく,いわばLPSの全体財産に対する分け前というべき,101条(13)が定義する「Partnershipinterest」(LPSの損益のうちパートナーが保有する持分,及びLPSの資産の分配を受ける権利)を意味するものと解するのが相当である(なお,ピルバリーメモは,701条や101条(13)は,本件LPS法に基づいて組成されたLPSの本質的な特徴を定義付ける条文であり,LPS契約で変更できる条文ではないとしており,モリス回答書においても,701条については,パートナーシップ契約での修正を認めない強制的な規定であると判断される公算が高いとしている。)。 したがって,本件 いとしており,モリス回答書においても,701条については,パートナーシップ契約での修正を認めない強制的な規定であると判断される公算が高いとしている。)。 したがって,本件各LPS契約4.5条は,本件各LPSの各パートナーがその出資割合に応じたパートナーシップ持分を有する旨を定めたものにすぎず,各パートナーが本件各LPSの特定財産に対する直接の持分を有すること(すなわち,本件各LPSの財産を各パートナーの共有財産とすること)を定めたものとは解されないから,本件各LPSが構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有することを否定する根拠とはならないというべきである。 (イ) これに対し,原告らは,本件LPS法は1101条により契約自由の原則とパートナーシップ契約の執行可能性を最大限に尊重する旨を定めており,本件各LPS契約4.5条によりパートナー間の内部関係において701条は修正されていると主張し,また,被告が提出するモリス回答書も原告らの上記主張に沿うものであると主張する。 確かに,モリス回答書は,「パートナーシップの財産に特定の持分を所有することが,全てのパートナーたちにとって,彼らたちの間で,有益であるとみなされる状況があるときには,デラウェア州の裁判所は,201条(b)及び701条の規定は第三者には関係なく,全パートナー間のみの関係において,修正することができると決定することは考えら れます。」としている。しかし,モリス回答書は,これに続けて,「我々は,デラウェア州裁判所が財産所有権の取扱いを二分する方法を適用した事例を知りませんし,かつ全パートナーたちがかかる取扱い方法から実現される重要なメリットについても承知しておりません。」としているのであり,その前後の 所が財産所有権の取扱いを二分する方法を適用した事例を知りませんし,かつ全パートナーたちがかかる取扱い方法から実現される重要なメリットについても承知しておりません。」としているのであり,その前後の記載内容を全体としてみれば,モリス回答書は,内部関係に限定して701条が修正されるという考え方について否定的な見方を示していることは明らかである。加えて,本件各LPS契約の他の条項をみても,同契約4.5条がパートナー間の内部関係において701条を修正する趣旨であると解すべき裏付けとなるような規定も見当たらないことや(かえって,同契約10.15条によれば,各パートナーは,当該パートナーが本件各LPSの動産や資産に関連する分割の訴訟を維持するために有する権利を放棄する旨定められている。),デラウェア州に限らず,我が国においても,特定財産の所有権の帰属につき取扱いを二分すること(対外的には事業体が単独で所有してその名において公示し,内部的には構成員の共有とすること)は通常考え難いことからすれば,原告らの上記主張は,何ら裏付けのない解釈に基づくものであって,モリス回答書が様々な可能性を慎重に検討した一部分を抜き出して自己に有利に援用するものにすぎず,採用することができない。 さらに,前述のとおり,法人格付与の判断において問題となる財産所有の主体性とは,対外的関係において所有主体として取り扱われるかどうかということであり,仮に内部的には事業体の財産に対するパートナーの持分を観念できるとしたとしても,それは本件各LPSの対外的財産所有の主体性を否定するものではない。我が国においても,例えば内部的には組合に近い合名会社において,合名会社の特定財産を構成員の共有財産とする旨の合意がされた場合,事案の内容によっては,あくま でも構成 否定するものではない。我が国においても,例えば内部的には組合に近い合名会社において,合名会社の特定財産を構成員の共有財産とする旨の合意がされた場合,事案の内容によっては,あくま でも構成員間の内部関係において有効と解する余地があり得るかもしれないし,あるいは解散時の残余財産の分配に関する合意であると限定解釈する余地があるかもしれないが,それにより合名会社が権利義務の主体ではなくなるとか,その法人性が否定されるということにはならない。 そうすると,仮に,本件各LPSの特定財産について各パートナーの持分を認める旨の合意が,内部的にかつごく限定的な場面で有効と解される可能性があるとしても,それにより前述の結論が左右されるものではないというべきである。 (ウ) 原告らは,ピルバリーメモやモリス回答書の内容が信用できないとして様々な観点から論難するが,これらのメモ及び意見書の内容につき特に不自然,不合理であったり,非論理的であったりする点は見当たらず,また,これらに記載された意見の信用性を揺るがすに足りる十分な証拠等も見当たらない。 これに対し,原告らは,ポッター意見書(甲共73)を提出し,同意見書において,本件LPS契約(C)4.5条について何らの留保も付されることなく,デラウェア州法上適法かつ有効で法的拘束力があり執行可能である旨の意見が述べられているとして,同意見書を原告らに有利に援用する。しかし,ポッター意見書は,本件LPS契約(C)4.5条が701条を修正し又は変更する内容の規定であるかどうか(701条と齟齬しないものであるかどうか)について,原告らが主張する解釈を前提にしているかどうかを明らかにしておらず,したがって,被告らが主張する解釈とも矛盾するものではないから,ポッター意見書は原告らの主張を しないものであるかどうか)について,原告らが主張する解釈を前提にしているかどうかを明らかにしておらず,したがって,被告らが主張する解釈とも矛盾するものではないから,ポッター意見書は原告らの主張を裏付けるものとはいえない。 (エ) 以上によれば,本件各LPS契約4,5条に係る原告らの主張は採用することができず,上記アで記載したとおり,本件各LPSは,構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有すると認めるのが相当であ る。 (3) 本件各LPSがその名において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うことができるか否か(要件②)ア前記認定事実によれば,本件各LPSの準拠法である本件LPS法において,LPSは,一定の業務を除き,営利目的か否かを問わず,いかなる合法的な事業,目的,活動をも実施することができ,同法及びその他の法律,当該LPSのパートナーシップ契約によって付与された全ての権利又は特権,及びこれに付随する全ての権利(当該LPSの事業,目的,活動の実行,促進,達成のために必要な,あるいは便宜的な権利や特権を含む。)を保有し,それを行使することができるとされている(106条(a)(b))。また,リミテッド・パートナーは,自己がゼネラル・パートナーである場合あるいはリミテッド・パートナーとしての権利や権限の履行に加えて当該事業の経営管理に関与している場合を除き,LPSの債務を弁済する責任を負うものではないとされている(303条(a))。 また,本件各LPS契約においても,本件各LPSは,本件各不動産の購入,取得,開発,保有,賃貸,管理,売却等の目的を実施するために必要な権限を有するとされ(1.3条),契約,不法行為その他により生じたかを問わず,本件各LPSの も,本件各LPSは,本件各不動産の購入,取得,開発,保有,賃貸,管理,売却等の目的を実施するために必要な権限を有するとされ(1.3条),契約,不法行為その他により生じたかを問わず,本件各LPSの負債,債務及び義務は本件各LPSの単独の負債,債務及び義務であり,リミテッド・パートナーは,リミテッド・パートナーであるという理由のみで本件各LPSの負債,債務,及び義務について個人的に責任を負わないとされている(1.5条(a))。また,実際にも,本件各LPSは,その名において本件各売買契約や本件各土地賃貸借契約等を締結している。 以上の本件LPS法の各規定に加え,本件各LPSが現実にその名において様々な契約を締結していることなどからすれば,本件各LPSは,その名において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を 負うことができると認められる。 イ 503条及び本件各LPS契約4.7条及び4.8条について(ア) これに対し,原告らは,ある事業体が権利義務の帰属主体であるかどうかは,その事業体の事業活動により生じた損益が当該事業体に直接帰属するのか,あるいは当該事業体の構成員に直接帰属するのかという点が重要なメルクマールとなるとした上,503条及び本件各LPS契約4.7条及び4.8条によれば,本件各LPSには損益が帰属せず直接に各パートナーに帰属するから,本件各LPSは独立した権利義務の帰属主体とはいえないと主張する。 (イ) そこで検討するに,503条は,LPSの損益は,パートナーシップ契約の規定に従い,パートナー等の間で割当が行われ,パートナーシップ契約に規定がない場合,損益は,各パートナーによって拠出されLPSによって受領され返却されていない出資に関して合意された価額に ップ契約の規定に従い,パートナー等の間で割当が行われ,パートナーシップ契約に規定がない場合,損益は,各パートナーによって拠出されLPSによって受領され返却されていない出資に関して合意された価額に基づき割り当てられる旨規定する。他方,106条(a)(b)は,LPSは,一定の業務を除き,いかなる合法的な事業,目的,活動をも実施することができ,本件LPS法及びその他の法律,当該LPSのパートナーシップ契約によって付与された全ての権利又は特権,及びこれに付随する全ての権利を保有し,それを行使することができる旨規定する。そうすると,本件LPS法上のLPSは自ら実施する事業活動から生じた債権債務の帰属主体となり,かつ財産の取得,処分等をするのであるから(本件各LPS契約1.3条参照),当該事業活動から生じた損益もまたLPSに帰属することは明らかというべきである。したがって,503条については,各パートナーへの損益の直接の帰属を定める趣旨であるとか,損益の直接の帰属を前提とする規定であると解することは困難であり,いったんLPSに帰属した損益の配分方法及び割合について定めるものにすぎないと解するのが相当である。 (ウ) また,本件各LPS契約4.7条及び4.8条(なお,本件LPS契約(P)と本件LPS契約(C)とでは規定内容が異なるが,以下,本件LPS契約(C)の条文を念頭において検討する。)は,会計年度の利益及び損失は,パートナーのそれぞれのパートナーシップ出資割合に応じてパートナーに割り当てられる(配分される)と定めているが,上記(イ)で述べたところによれば,上記4.7条及び4.8条についても,503条と同様,いったんLPSに帰属した損益の配分方法及び割合について定めるものにすぎないと解するのが相当である(なお,原告らは (イ)で述べたところによれば,上記4.7条及び4.8条についても,503条と同様,いったんLPSに帰属した損益の配分方法及び割合について定めるものにすぎないと解するのが相当である(なお,原告らは,本件LPS法及び本件各LPS契約の原文でいう「Allocation」「beallocated」について,「割当」「割り当てられる」ではなく,「配分」「配分される」と訳すべきであるとするが,いずれにしても上記判断を左右するものではない。)。 (エ) これに対し,原告らは,本件各LPS契約4.7条及び4.8条は,我が国の法人とは異なり,本件各LPSの損益が,何らの利益処分の決議を要することなく「直接に各パートナーに帰属する」ことを明らかにしているとし,実際にも,本件各LPSが,各会計年度における情報申告書である連邦パートナーシップ情報申告書(Form1065)を作成し(甲共95の2,115),その別表として,本件各パートナーである本件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らごとのパートナー持分に関する情報申告書(スケジュールK1)を作成し(甲共78,116),原告らに各会計年度のパートナーシップの損益が直接帰属していることが示されているなどとして,この点は本件各LPSが我が国の「法人」には該当しないことを示す一つの証左であると主張する。 しかし,事業損益とは,事業に伴う資産や負債が帰属することにより発生するものであるところ,前述のとおり,少なくとも本件各LPSの事業に基づき発生する債務は,直接リミテッド・パートナーに帰属する ものではない以上,リミテッド・パートナーに直接損益が帰属するということはできない。ある事業体が損益の帰属主体であるかという問題と,ある事業体に生じた損益をどのよう ・パートナーに帰属する ものではない以上,リミテッド・パートナーに直接損益が帰属するということはできない。ある事業体が損益の帰属主体であるかという問題と,ある事業体に生じた損益をどのような手続により構成員に配分するかという問題は,次元の異なる問題であって,当該事業体に生じた損益を,当該事業体の機関による決議等によることなく,あらかじめ定めた一定の割合等に従って構成員に分配することとしても,それによってある事業体が損益の帰属主体でなくなるというものではない。また,本件各LPSから原告らに割り当てられるとする損益の米国における税務上の取扱いがどうであるかは,本件各LPSの法人該当性に直接影響するものではない。 また,原告らは,本件各LPS契約4.12条(a)は,パートナーシップの収益,利益,損失及び控除の「全ての項目」の配分割合について定めるものであり,各項目が総額(グロス)ベースで本件各パートナーである本件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らに対して配分されるべきことを明確に示しているとし,実際にも,「組合外支出調整後損益計算書」(甲共79等)においては,当該パートナーの損益が総額(グロス)ベースで報告されており,フォーム1040NR(甲共80)においても,不動産賃貸損益(RentalRealEstate)は他の課税所得(taxableinterest など)とは別に計算されており,本件各LPSから純額(ネット)の損益のみが配分されるのではなく,個別の所得の性質ごとに,本件各パートナーである本件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らの持分に従って,本件各LPSの所得(又は損失)が原告らに配分されていることを示していると主張する。 しかし,原告らが上記において主張する 件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らの持分に従って,本件各LPSの所得(又は損失)が原告らに配分されていることを示していると主張する。 しかし,原告らが上記において主張する内容は,本件各不動産賃貸事業から生じた損益が本件各LPSにおいて集計された後の取扱いについて述べるものにすぎないというべきであり,本件各LPSが権利義務の 主体であり,損益の帰属主体であると解することと矛盾するものではない。また,前述のとおり,本件各LPSから原告らに割り当てられるとする損益の米国における税務上の取扱いがどうであるかは,本件各LPSの法人該当性に直接影響するものではない。 したがって,原告らの上記主張はいずれも採用することができない。 (4) 本件各LPSがその名において訴訟当事者となり得るか否か(要件③)ア前記認定事実によれば,本件各LPSの準拠法である本件LPS法において,LPSに対する訴状・召喚状は,LPSの代理人,ゼネラル・パートナー等に対して直接写しを手渡すことにより,又は,これらの者のデラウェア州内の住居等に送付することにより,送達されたものとみなされると規定されており,LPSが訴訟当事者となり得ることが前提とされている。また,本件各LPS契約においても,本件各LPSは,第三者に対する請求について訴訟を提起し,提起され,解決又は和解し,本件各LPSに対する請求を解決又は和解し,それらに関連して必要又は望ましいと考えられる書類を作成し,表明,許可及び権利放棄を行う権限を有するとされている(本件各LPS契約1.3条(d))。 したがって,本件各LPSは,その名において訴訟当事者となり得ると認められる。 イこれに対し,原告らは,「corporati れている(本件各LPS契約1.3条(d))。 したがって,本件各LPSは,その名において訴訟当事者となり得ると認められる。 イこれに対し,原告らは,「corporation」は当然に訴訟当事者となり得ることが認められるが,「partnership」は,法律の定めがない限り,当然には訴訟当事者とはならないのであり,これは我が国の組合と同様であるなどと主張する。 しかし,原告らの上記主張は,米国デラウェア州の法制度や概念が我が国のものと必ずしも同一ではないという点を捨象した立論であって,採用することができない。明確な法律の定めがあるか解釈上当然に認められているかにかかわらず,当該事業体が現実に訴訟当事者となり得るのであれ ば,前述の判断基準の③の要件を満たすというべきであり,その他の要件(上記①及び②)を満たす限り,我が国の租税法上(私法上)の法人に該当すると認めるのが相当であるから,原告らの上記主張は採用することができない。 (5) 小括以上によれば,本件各LPSは,①その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有し(本件各LPSの財産につきパートナーの共有とされておらず,また,本件各LPSの名において不動産等の登録をすることができる。),②本件各LPSがその名において契約等の法律行為を行い,その名において権利を有し義務を負うことができ,③その名において訴訟当事者となり得ると認められる。したがって,本件各LPSは,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」であり,我が国の租税法上(私法上)の「法人」に該当すると認められる。 (6) 原告らの主張についてア 「separatelegalentity」について(ア) り,我が国の租税法上(私法上)の「法人」に該当すると認められる。 (6) 原告らの主張についてア 「separatelegalentity」について(ア) 原告らは,「separatelegalentity」の概念は本件LPS法上「法人格を有するという意味」を持たないとか,アレン教授意見書(甲共90)を引用した上で,上記概念は「survivability(存続性)」をより明確にするものにすぎないなどとして,「separatelegalentity」の概念は法人該当性の根拠とはならない旨主張する。 しかし,そもそも,前述のとおり,外国において我が国と同様の法人制度が採用されていないことも十分想定され,また,その類似する相互の法令上の概念が,必ずしも厳密に一致するとも限らないのであるから,ある外国において我が国の「法人」に類似する概念があり,ある事業体がこれに該当するとされていたとしても,そのことから直ちに当該事業体が我が国の私法上の法人と同様の意味において「権利義務の主体とな ることのできるもの」であるということはできないし,逆に,ある外国において我が国の法人以外の団体(組合等)に類似する概念があり,ある事業体がこれに該当するとされていたとしても,そのことから直ちに当該事業体が「権利義務の主体となることのできるもの」に該当しないということもできない。 (イ) そうすると,本件LPS法に基づき組織されたLPSは,独立した法的主体(separatelegalentity)となるとされているが(201条(b)),この概念から直ちに本件各LPSが我が国の租税法上の「法人」に該当すると解することはできないし,他方,我が国の租税法上の「法人」に直ちに該当しないと断ず y)となるとされているが(201条(b)),この概念から直ちに本件各LPSが我が国の租税法上の「法人」に該当すると解することはできないし,他方,我が国の租税法上の「法人」に直ちに該当しないと断ずることもできないのであって,結局のところ,LPSがLPS証明書の登録により「separatelegalentity」になるとされていること自体は,法人該当性の判断において決定的な意味を有するものではなく,この概念の解釈如何は本件の結論を左右するものではない(なお,外国の事業体につきその私法上の概念自体から法人該当性如何が容易に判断できる場合もあるとは思われるが,本件各LPSにおける「separatelegalentity」とは,双方の主張を検討しても,その概念自体から法人該当性如何を容易に判断することのできるような概念であるとは認められない。)。 そして,以上の理は,本件各LPSが「corporation」ではなく「partnership」とされていることについても同様である(すなわち,本件各LPSが「partnership」の一類型であるからといって,我が国の租税法上「法人」であると解することと矛盾するものではない。)。 イ社会通念,租税実務等について(ア) 原告らは,米国法上の「corporation」こそが,日本法を設立準拠法とする「法人」と同じ法的性質を有しており,corporation こそを日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の概念と解することが通常の理 解に合致しているとか,米国におけるcorporation やlegalentity の歴史的沿革に鑑みても,デラウェア州法上のLPSは日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体ではないなどと主張する。 におけるcorporation やlegalentity の歴史的沿革に鑑みても,デラウェア州法上のLPSは日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体ではないなどと主張する。 しかし,米国のcorporation が我が国の租税法上の「法人」と認められるからといって,それ以外の事業体が全て「法人」に該当しないということにはならないのであり,また,本件各LPSが上記①から③までの全ての要件を満足し「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」に該当することは前述のとおりであるから,原告らの主張は採用することができない。 (イ) 原告らは,本件各LPSが組成された当時の日本における租税実務において米国LPSは租税法上の「法人」には含まれないものとして取り扱われていたと主張し,その根拠として,平成12年7月政府税調中期答申やその委員会資料(甲共26)のほか,税務大学校研究部教育官であった遠藤克博氏の論文(甲共27)や,東京国税局調査第一部主任国際調査審理官(前税務大学校研究部教授)である長谷部啓氏の講演録(甲共75)を挙げる。また,権威ある商法学者の文献(甲共10,14)においても,米国のLPSは租税法上の「法人」には含まれないものとして整理されているとも主張する。 しかし,そもそも,外国の事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かを判断するに当たり,当該外国の法律概念に関する我が国の「社会通念」が存在するとは思われないし,仮にあるとしてもそれを基礎として判断することは適当でない。しかも,原告らが指摘するこれらの文献や資料は,概して,米国のLPSにつき「partnership」の一類型として一般的抽象的に分類するものにすぎないところ,米国においては州によって法制度が ない。しかも,原告らが指摘するこれらの文献や資料は,概して,米国のLPSにつき「partnership」の一類型として一般的抽象的に分類するものにすぎないところ,米国においては州によって法制度が大きく異なるのであるから,デラウェア州の本件LPS法を準拠法とするLPSが,我が国の租税法上の法人に該当しな い旨の意見が示されていたということはできないし,また,我が国においてそのような社会通念が形成されていたということもできない。また,遠藤克博氏の論文においては,デラウェア州のLPSを例に挙げて,組合型所得計算方式の問題点が論じられているものの,デラウェア州のLPSの法人該当性に焦点を当てて検討したものではない上,執筆者の個人的見解であり,国税庁及び税務大学校の公式見解ではないとされている(乙共18)。その他,原告らは,様々な観点から,本件各LPSを我が国の租税法上の法人とすることは社会通念に反するとるる主張するが,上記のとおり,これを採用することはできない。 ウその他の主張について以上のほかにも,原告らは,本件は平成17年税制改正により新設された措置法41条の4の2の実質的な遡及適用であるとか,本件スキームは租税回避行為ではなく,課税庁は航空機リース事件の過ちを繰り返しているなどとるる主張するが,いずれも本件の結論を左右するものではなく,採用することができない。 3 本件各LPSを通じて原告らが得た損益の所得区分について以上のとおり,本件各LPSは我が国の租税法上の「法人」に該当するというべきであるから,本件各LPSが営む本件各不動産賃貸事業から生じた損益は,本件各LPS自身に直接帰属することになる。したがって,本件各LPSの不動産賃貸事業から生じた損益が本件各LPSをパススルーして不動 あるから,本件各LPSが営む本件各不動産賃貸事業から生じた損益は,本件各LPS自身に直接帰属することになる。したがって,本件各LPSの不動産賃貸事業から生じた損益が本件各LPSをパススルーして不動産所得の性質を有したまま原告らに帰属するということはできず,上記損益は原告らの不動産所得には該当しない(なお,本件各LPSから配分された利益は配当所得に該当すると解される。)。 したがって,原告らの本件各損失は,原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額(所得税法69条1項)に該当せず,原告らは,本件各損失をもって損益通算の適用を受けることができない。 そして,原告P1に対する本件P1各更正処分及び本件P1各通知処分並びに原告P2に対する本件P2各更正処分及び本件P2各通知処分については,上記の点(本件各損失による損益通算の可否)に関する部分を除き,計算の基礎となる金額及び計算方法に当事者間に争いはないから,上記各処分はいずれも適法である。 4 過少申告加算税額を課されない「正当な理由」(国税通則法65条4項)について(1) 過少申告加算税は,過少申告による納税義務違反の事実があれば,原則としてその違反者に対して課されるものであり,これによって,当初から適正に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとする行政上の措置である。この趣旨に照らせば,過少申告があっても例外的に過少申告加算税が課されない場合として国税通則法65条4項が定めた「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお されない場合として国税通則法65条4項が定めた「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,上記のような過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最判平成19年7月6日・裁判集民事225号39頁参照)。 (2) 原告らは,米国LPSは租税法上の「法人」には含まれないという見解が,平成12年7月に財務省主税局作成の資料中(平成12年7月政府税調中期答申)において公に表明されていたとか,その内容について議論された委員会資料(甲共26)において,米国LPSは法人格のない事業体の欄に分類されていたとか,前述の遠藤克博氏の論文(甲共27)や,長谷部啓氏の講演録(甲共75)においても,パートナーシップには法人格がないことが前提とされていたなどとして,原告らが本件各LPSを「法人」に該当すると判断することは不可能であり,原告らが平成15年までの本件各損失につき 損益通算を行って申告したことにつき,国税通則法65条4項の「正当な理由」があると主張する。 しかし,平成12年7月政府税調中期答申及びその委員会資料は,そもそも政府の公の見解を表明するようなものではない上,各州ごとに法制度の異なる米国のLPSについて,一律に法人格を有しないものとして取り扱われることを明言したということもできない。また,原告らが指摘するその他の資料や論文等をみても,本件LPS法に基づくデラウェア州のLPSが我が国の法人に該当しないことを政府の公式見解として表明するものではないことは明らかであり(なお,長谷部啓氏の講演録によれば,「逆に日本の投資家が,外国のパートナーシップや米国LLCなどに投資する(アウト の法人に該当しないことを政府の公式見解として表明するものではないことは明らかであり(なお,長谷部啓氏の講演録によれば,「逆に日本の投資家が,外国のパートナーシップや米国LLCなどに投資する(アウトバウンド)例も,相当増えてきています。この場合の具体的な投資形態については,外国事業体が我が国の租税法において法人と取り扱われるか又は組合類似の事業体と取り扱われるかについて,必ずしも明確にされておらず,課税関係が不明確な面があります。そのため,(中略)現地に法人を設立し,その現地法人を経由して,現地のパートナーシップなり米国LLCなどに投資をするという間接投資を採用し,課税上のリスクを回避している例が多いのではないかと思われます。」とされており(甲共75の185頁),米国のLPSが法人として取り扱われる可能性を否定していない。),さらに,米国のLLCが「外国法人」に該当する旨の国税庁のQ&Aが平成13年6月に発出されていること(弁論の全趣旨)も考慮すれば,原告らが本件各損失を不動産所得に該当するとして損益通算ができると判断したことは,原告らの主観的な事情に基づく単なる法律解釈の誤りにすぎないというべきである。したがって,本件の事情の下では,「真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合」に該当するとはいえず,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるということはできな い。 (3) したがって,本件P1各賦課決定処分及び本件P2各賦課決定処分は,いずれも適法である。 5 結論以上によれば,原告P1に対する本件P1各更正処分,本件P1各賦課決定処分及び本件P1各通知処分,並びに原告P2に対する本件 び本件P2各賦課決定処分は,いずれも適法である。 5 結論以上によれば,原告P1に対する本件P1各更正処分,本件P1各賦課決定処分及び本件P1各通知処分,並びに原告P2に対する本件P2各更正処分,本件P2各賦課決定処分及び本件P2各通知処分は,いずれも適法であると認められる。 よって,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官直江泰輝 (別紙)略称一覧表【当事者等】原告P1 甲事件及び丁事件原告P1原告P2 乙事件及び丙事件訴訟承継前原告P2原告ら原告P1及び原告P2被告全事件被告国承継人P3 乙事件及び丙事件原告(亡P2訴訟承継人)P3【法令,概念等】LPS リミテッド・パートナーシップ(LimitedPartnership)LLC リミテッド・ライアビリティ・カンパニー(LimitedLiabilityCompany)本件LPS法米国デラウェア州改正統一リミテッド・パートナーシップ法(デラウェア州法第6編第17章。ただし,本件各LPS設立時のもの)○○○条本件LPS法17-○○○条GC法 DelawareGeneralCorporationLaw(甲共72)措置法租税特別措置法旧民法平成16年法律第147号 条GC法 DelawareGeneralCorporationLaw(甲共72)措置法租税特別措置法旧民法平成16年法律第147号による改正前の民法負担軽減措置法経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号。ただし,平成17年法律第21号による改正前のもの)昭和39年最判最判昭和39年10月15日・民集18巻8号1671頁【関係会社等】 P4証券 P4証券会社P20支店(CommerzSecurities (Japan)CompanyLimited)P5銀行 P5(現在はP24)P11銀行 P11P10 株式会社P10本件GP(P) P6本件LPS(P) P22P7 P7P9 P9P8 P8本件GP(C) P13本件LPS(C) P23P12 P12P14 P14P17 P17P15 P15P16 P16【原告P1関係】平成○年P1確定(修正)申告書原告P1の平成○年分の所得税の確定(修正)申告書本件P1各更正処分平成14年分及び平成15年分の原告P1の所得税について平成17年7月19日付 確定(修正)申告書原告P1の平成○年分の所得税の確定(修正)申告書本件P1各更正処分平成14年分及び平成15年分の原告P1の所得税について平成17年7月19日付けでされた各更正処分本件P1各賦課決定処分平成14年分及び平成15年分の原告P1の所得税について平成17年7月19日付けでされた過少申告加算税の各賦課決定処分本件P1各更正の請求原告P1が平成18年3月13日に豊能税務署長に対し てした平成16年分所得税の更正の請求及び平成19年3月14日に同税務署長に対してした平成17年分所得税の更正の請求本件P1各通知処分本件P1各更正の請求に対して豊能税務署長が平成19年3月2日及び同年5月18日にした更正すべき理由がない旨の各通知処分本件建物(P) 物件名「P26」の建物本件土地(P) 本件建物の敷地本件不動産(P) 本件建物(P)及び本件土地(P)本件アドバイザリー契約(P)原告P1とP4証券との間で平成13年8月15日締結されたファイナンシャル・アドバイザリー契約本件不動産投資事業(P) 本件建物(P)を対象とした海外不動産投資事業本件基本信託契約(P) 原告P1とP5銀行との間で平成14年3月26日締結された「MASTERFIDUCIARYCONTRACT」と題する信託契約本件不動産賃貸事業(P) 本件建物(P)の賃貸事業本件LPS契約(P) P5銀行と本件GP(P)との間で平成14年3月28日に締結された「PARTNERSHIPAGREEMENTOF P22」と題するLPS契約本件売買契約(P) 本件LPS(P)とP7との間の平成1 P)との間で平成14年3月28日に締結された「PARTNERSHIPAGREEMENTOF P22」と題するLPS契約本件売買契約(P) 本件LPS(P)とP7との間の平成14年3月28日付け「BUY-SELLAGREEMENT」と題する契約本件土地賃貸借契約(P) 本件LPS(P)とP7との間の平成14年3月28日付け「GROUNDLEASE」と題する契約本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)本件LPS(P)とP7との間の平成14年3月28日付 け「PURCHASEANDSALEAGREEMENT,AGREEMENTTOLEASEANDJOINTESCROWINSTRUCTIONS」と題する契約本件管理契約(P) 本件LPS(P)とP9との間で平成14年3月28日に締結された本件不動産(P)の管理委託契約本件新アドバイザリー契約(P)原告P1とP10との間で平成15年10月1日締結されたファイナンシャル・アドバイザリー契約本件新信託契約(P) 原告P1とP11銀行との間で平成15年11月12日に締結された「P1 DOITTRUST」と題する信託契約【原告P2関係】平成○年P2確定(修正)申告書原告P2の平成○年分の所得税の確定(修正)申告書本件P2各更正処分平成13年分から平成15年分までの原告P2の所得税について平成17年2月21日付けでされた各更正処分本件P2各賦課決定処分平成13年分から平成15年分までの原告P2の所得税について平成17年2月21日付けでされた過少申告加算税の各賦課決定処分本件 成17年2月21日付けでされた各更正処分本件P2各賦課決定処分平成13年分から平成15年分までの原告P2の所得税について平成17年2月21日付けでされた過少申告加算税の各賦課決定処分本件P2各更正の請求原告P2が平成18年3月13日に三木税務署長に対してした平成16年分所得税の更正の請求及び平成19年5月18日に同税務署長に対してした平成17年分所得税の更正の請求本件P2各通知処分本件P2各更正の請求に対して三木税務署長が平成19年3月2日及び同年5月18日にした更正すべき理由がない旨の各通知処分本件建物(C) 物件名「P21」の建物本件土地(C) 本件建物の敷地 本件不動産(C) 本件建物(C)及び本件土地(C)本件アドバイザリー契約(C)原告P2とP4証券との間で平成13年8月15日締結されたファイナンシャル・アドバイザリー契約本件不動産投資事業(C) 本件建物(C)を対象とした海外不動産投資事業本件基本信託契約(C) 原告P2とP5銀行との間で平成12年12月8日締結された「MASTERFIDUCIARYCONTRACT」と題する信託契約本件LPS契約(C) P5銀行,本件GP(C)及びP12との間で平成14年3月28日に締結された「PARTNERSHIPAGREEMENTOFP23」と題するLPS契約本件不動産賃貸事業(C) 本件建物(C)の賃貸事業本件売買契約(C) 本件LPS(C)とP14との間の平成12年12月22日付け「BUY-SELLAGREEMENT」と題する契約本件土地賃貸借契約(C) 本件LPS(C)とP14との間の平成12年12月22日付け「G S(C)とP14との間の平成12年12月22日付け「BUY-SELLAGREEMENT」と題する契約本件土地賃貸借契約(C) 本件LPS(C)とP14との間の平成12年12月22日付け「GROUNDLEASE」と題する契約本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(C)本件LPS(C)とP14との間の平成12年12月22日付け「PURCHASEANDSALEAGREEMENT,AGREEMENTTOLEASEANDJOINTESCROWINSTRUCTIONS」と題する契約本件管理契約(C) 本件LPS(C)とP17との間で平成12年12月22日に締結された本件不動産(C)の管理委託契約本件新アドバイザリー契約(C)原告P2とP10との間で平成15年10月1日締結されたファイナンシャル・アドバイザリー契約本件新信託契約(C) 原告P2とP11銀行との間で平成15年11月17日 に締結された「P2 DOITTRUST」と題する信託契約【包括的呼称】本件各損失原告らが本件訴訟で争っている米国所在の不動産所得に係る各損失本件スキーム P4証券が企画したDOIT(DualOwnershipInvestmentTactics)プログラム本件各LPS 本件LPS(P)及び本件LPS(C)本件各LPS契約本件LPS契約(P)及び本件LPS契約(C)本件各パートナー本件各LPSの各パートナー本件各GP 本件GP(P)及び本件GP(C)本件各建物本件建物(P)及び本件建 本件各パートナー本件各LPSの各パートナー本件各GP 本件GP(P)及び本件GP(C)本件各建物本件建物(P)及び本件建物(C)本件各不動産本件不動産(P)及び本件不動産(C)本件各不動産賃貸事業本件不動産賃貸事業(P)及び本件不動産賃貸事業(C)本件各売買契約本件売買契約(P)及び本件売買契約(C)本件各土地賃貸借契約本件土地賃貸借契約(P)及び本件土地賃貸借契約(C)本件各管理契約本件管理契約(P)及び本件管理契約(C)本件各受託銀行 P5銀行及びP11銀行本件各信託契約本件基本信託契約(P)及び本件新信託契約(P)並びに本件基本信託契約(C)及び本件新信託契約(C)【証拠関係等】我妻著書我妻榮・新訂民法總則(民法講義Ⅰ)(114頁~117頁部分につき甲共5)星野論文 「いわゆる『権利能力なき社団』について」星野英一・民法論集第1巻227頁以下(甲共96)古田補足意見最判平成19年9月28日(民集61巻6号2486頁)における古田裁判官の補足意見(甲共97) LLC地裁判決さいたま地裁平成19年5月16日判決(乙A30,乙B34)LLC高裁判決 LLC地裁判決の控訴審である東京高裁平成19年10月10日判決(乙共1)水野教授水野忠恒一橋大学大学院法学研究科教授水野意見書水野教授の平成20年5月16日付け鑑定意見書(乙共2)中里教授中里実東京大学教授中里意見書 野忠恒一橋大学大学院法学研究科教授水野意見書水野教授の平成20年5月16日付け鑑定意見書(乙共2)中里教授中里実東京大学教授中里意見書中里教授の平成20年9月22日付け鑑定意見書(甲共45)ピルバリーメモピルバリー・ウィンズロップ・ショー・ピットマン・エルエルピー作成に係る2007年10月10日付けメモランダム(乙共8)モリス回答書米国弁護士事務所(Morris, Nichols, Arsht & TunnellLLP)からの調査報告書(乙共19)アレン教授ニューヨーク大学のWilliamT.Allen(ウィリアム・ティー・アレン)教授アレン教授意見書アレン教授作成の意見書(甲共90)ポッター意見書デラウェア州の法律事務所「PotterAnderson & CorroonLLP」が作成した意見書(甲共73)平成12年7月政府税調中期答申平成12年7月14日付け「わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択-」(甲共25) (別紙)当事者の主張の概要 第1 本件各LPSが米国で営む本件各不動産賃貸事業から生じた損失を,我が国の所得税法上,原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失として取り扱うべきか否か 1 本件各LPSが我が国の租税法上「法人」に該当するか否か(被告の主張)(1) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断方法及び判断基準ア我が国の租税法上,「内国法人」及び「外国法人」を定義する規定はあるが,「法人」そのものを定義 (1) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断方法及び判断基準ア我が国の租税法上,「内国法人」及び「外国法人」を定義する規定はあるが,「法人」そのものを定義付ける規定は存在しないことから,我が国の租税法上の「法人」は,我が国の私法上の「法人」と同義と解すべきである。 そして,私法の一般法である我が国の民法の解釈において,「法人」とは,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」(我妻著書45頁)をいい,「(イ)構成員の個人財産から区別され,個人に対する債権者の責任財産ではなくなって,法人自体の債権者に対する排他的責任財産を作る法技術である。なお,法人は,(ロ)その名において契約を締結し,その名において権利を取得し,義務を負い,(ハ)その権利義務のためにその名において訴訟当事者となる。」(星野論文270頁以下)とされている。 この点,法人とは自然人以外のもので権利義務の帰属主体となるものをいうが,どのような団体に法人格を付与するか,また,法人格を付与することによって法人にどのような権利能力を認めるかについては,それぞれの国家の価値判断に基づいて行われるものであり,立法政策の問題に帰す るのである。法人制度の内容がそれぞれの国家の価値判断に基づく選択の結果である以上,外国において我が国と同じ法人制度が採られていないことも十分想定されるところである。このように,それぞれの国における法人制度が異なっていることを前提とした上で,どのような性質を有する外国の事業体が我が国の私法に照らして法人格を有する団体であるといえるかについては,我が国の私法上,法人に付与されている権利能力の内容と,当該外国の事業体が有する権利能力の内容とを比較し,当該外国の事業体が我が国の法人 私法に照らして法人格を有する団体であるといえるかについては,我が国の私法上,法人に付与されている権利能力の内容と,当該外国の事業体が有する権利能力の内容とを比較し,当該外国の事業体が我が国の法人に付与されるのと同じ内容の権利能力を有しているか否かにより判断すべきである。なぜなら,我が国において法人に認められる権利能力と同じ内容の権利能力が認められている外国の事業体について,これを我が国の私法上(租税法上)の「法人」と認めることに何ら支障がないばかりか,我が国の私法(租税法)の解釈として合理的であって,等しく法人として取り扱うことが我が国の法人制度の目的に沿うものであり,公平な取扱いになるということができるからである。 したがって,外国の法令によって設立された事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するかは,我が国の私法において法人に認められる権利能力と同等の能力を有するか否か,すなわち,当該事業体が,①その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か,②その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か,③その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るか否かに基づいて判断するのが相当である。 そして,外国の法令に基づき設立された事業体が上記①から③までの能力を有するか否かは,その設立準拠法や設立契約の内容,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等に基づいて判定されるべきであるから,我が国の租税法上(私法上)の「法人」に該当するか否かの判断に当たっては,当該事業体の設立準拠法や設立契約の内容,実際の活動実態,財産や権利 義務の帰属状況等を考慮して,個別具体的に判断するのが相当である。 イ水野教授も上記アと同様の判断方 当たっては,当該事業体の設立準拠法や設立契約の内容,実際の活動実態,財産や権利 義務の帰属状況等を考慮して,個別具体的に判断するのが相当である。 イ水野教授も上記アと同様の判断方法を妥当とされていること外国の事業体が我が国の租税法上どの組織に該当するかについて,水野教授は,「事業体がどの組織に該当するかという基準については,わが国の国内法によるべきであるが,その基準にあてはまるかどうかという性質決定は,現地の準拠法に基づき,いわゆるdualprocess によるべき」(水野忠恒・租税法〔第2版〕324頁)とされている。 この判断方法につき,水野教授は,水野意見書において,外国の法令に基づき設立された事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かは,我が国の法人に関する租税法上(私法上)の考え方によって判断すべきであること,法人該当性の判断の考慮要素となる具体的な法律関係の内容については,当該事業体が我が国において類似する組織に関する我が国の法律によるのではなく,当該事業体が設立の際に準拠した外国の法律の規定や当事者の契約の内容によるべきであること,外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するかの判断方法について,外国の法令の内容と,団体の実質とによって,法人格の有無の判定をするという判断方法が妥当であること,さらに,外国の事業体が我が国の租税法上の法人に該当するか否かを判断する際の基準については,①訴訟当事者となること,②事業体の名において財産を取得・処分すること,③事業体の名において契約を締結することなどに加えて,構成員から独立した存在としての法人格「separatelegalentity」の有無を形式基準として考慮すべきであるとして,上記「法人」該当性の判断基準と同様の基準 締結することなどに加えて,構成員から独立した存在としての法人格「separatelegalentity」の有無を形式基準として考慮すべきであるとして,上記「法人」該当性の判断基準と同様の基準により判断すべきとされている。 ウ裁判例においても上記アと同様の判断方法が採用されていることLLC地裁判決は,外国の事業体の我が国の租税法上の性質判断に当たり,「我が国の租税法上,「法人」に該当するかどうかは,私法上,法人 格を有するか否かによって基本的に決定されていると解するのが相当である」と判示して,我が国の租税法上の判断基準を明らかにした上で,「外国の法令に準拠して設立された社団や財団の法人格の有無の判定に当たっては,基本的に当該外国の法令の内容と団体の実質に従って判断するのが相当であり,本件LLCは,米国のニューヨーク州法(NYLLC法)に準拠して設立され,その事業の本拠を同州に置いているのであるから,本件LLCが法人格を有するか否かについては,米国ニューヨーク州法の内容と本件LLCの実質に基づき判断するのが相当である」と判示し,当該事業体の設立準拠法の内容や当該事業体の実質を考慮要素として我が国の私法上の法人に該当するか否かを判断することによって我が国の租税法上の法人該当性を判断する,上記アで述べたのと同様の判断方法を採用することを明らかにしている。そして,同判決は,設立準拠法であるNYLLC法の内容や不動産所有や契約関係の実質を検討した上で,「本件LLCは,NYLLC法に基づき,その名において,①訴訟当事者になること,②財産を取得し,処分すること,③契約を締結する権能を有し,実際に,訴訟手続の当事者となることや財産を所有することを前提とした規定を本件オペレーティング契約に置いた上で,その 訴訟当事者になること,②財産を取得し,処分すること,③契約を締結する権能を有し,実際に,訴訟手続の当事者となることや財産を所有することを前提とした規定を本件オペレーティング契約に置いた上で,その名において,財産を所有・管理し,契約を締結していること」に加えて,④NYLLC法は同法に基づき設立されたLLCを構成員からは独立した法的主体(separatelegalentity)と位置付けていること,⑤NYLLC法は,LLCの個別財産について,LLCの構成員は,一切の利益ないし持分(interest)を有しないと規定していることを根拠として,「本件LLCは,米国ニューヨーク州法上法人格を有する団体であり,我が国の私法上(租税法上)の法人に該当すると解するのが相当である」と判示している。このように,我が国の租税法上(私法上)の法人該当性の判断に当たり,①訴訟当事者になること,②財産を取得・処分すること,③契約を締結する権能を有すること 等,上記1で述べたのと同様の要素を判断基準としている。 また,上記判決の控訴審であるLLC高裁判決も,原判決の上記判示部分を引用してその判断方法及び結果を妥当としている。 エ上記アの判断方法は学説においても支持されていること東京大学の増井良啓教授は,上記(ア)と同様の判断方法を採用した国税不服審判所平成13年2月26日裁決を支持している(乙共3,4)。また,東京大学の石黒一憲教授も,上記(イ)の水野教授の考え方(dualprocess)を支持している(乙共5)。 (2) 本件各LPSが我が国の租税法上の「法人」に該当すること(あてはめ)ア本件各LPSが「独立した法的主体」(separatelegalentity)であること(ア (2) 本件各LPSが我が国の租税法上の「法人」に該当すること(あてはめ)ア本件各LPSが「独立した法的主体」(separatelegalentity)であること(ア) 本件各LPSは,本件LPS法に準拠して設立されたLPSであり,201条(b)によれば,本章に基づき組織されたLPSは,独立した法的主体(separatelegalentity)となると規定されている。 英米法辞典によれば,一般に「entity」は「法主体」と訳され,訴訟当事者たる能力を持つものという意味に用いられるのが通常であるが,法分野によってその意味を異にすることがあるとされる。これに対し,「legalentity」は「法的実在;法的主体;法的人格」と訳され,Corporation(法人)のように,法的に機能し,権利の主体となり,当事者能力を有する自然人以外の主体とされている(乙共6・507頁)。 そうすると,「separatelegalentity」とは,独立して「法的に機能し,権利の主体となり,当事者能力を有する自然人以外の主体」と考えられるところ,ここでいう「独立して」とは,関係者すなわち構成員からの独立(分離)を意味すると解することが自然かつ合理的な解釈といえる。 この本件LPS法上の「separatelegalentity」の規定に関し,水 野教授は,米国全州に共通する統一パートナーシップ法に定める「entity」との違いについて着目され,「“entity”と,“separatelegalentity”とでは,法的意味合いは異なる。つまり,“entity”とは,当該事業組織が団体性をもつという組織の実質をいうのにとどまるが,“separatelegalent telegalentity”とでは,法的意味合いは異なる。つまり,“entity”とは,当該事業組織が団体性をもつという組織の実質をいうのにとどまるが,“separatelegalentity”とは,法的実体もしくは法的主体という意味であり,法律的に,文字通り,法人,もしくは法人格を有するという意味をもつのである。」(水野意見書・10頁)と述べられている。 (イ) このように,「separatelegalentity」とは,権利の主体となり当事者能力を有する「独立した法的主体」を意味するものと解されるのであるが,この解釈は,飽くまでデラウェア州ないし米国における制度を前提とするものであり,本件各LPSが「separatelegalentity」であることのみをもって,直ちに制度の異なる我が国の租税法上(私法上)の「法人」に該当するといえない可能性もあることから,更に検討をする必要がある。 この点,水野教授も,「外国の事業体については,法人の意味や効力も異なることもありうるので,(中略)①訴訟当事者となること,②事業体の名において財産を取得・処分すること,③事業体の名において契約を締結することなどに加えて,構成員から独立した存在としての法人格“separatelegalentity”の有無を形式基準として考慮すべきである。米国の連邦法人税の対象となる形式基準は“corporation”の名称を用いているかどうかであり,“corporation”とは“legalentity”を意味するとされているところであるが,州法上,Partnership 等の事業体を“legalentity”と呼んでいる特定の場合には必ずしも法人税が課せられているわけではない。そのため,構成員から独立した存在として法 ろであるが,州法上,Partnership 等の事業体を“legalentity”と呼んでいる特定の場合には必ずしも法人税が課せられているわけではない。そのため,構成員から独立した存在として法人格“separatelegalentity”を有しているか否かという形式アプローチと外国の法令の内容と団体の実質へのアプローチとの組合せに より,外国の事業体が我が国の租税法上の法人に該当するかどうかを判断するのが相当であると考える。」(水野意見書・8頁)と指摘されている。 したがって,更に設立準拠法等により認められる本件各LPSの性質等に基づいて,本件各LPSが我が国の租税法上(私法上)の「法人」に該当するか否かを検討する。 イ本件各LPSが構成員の財産とは区分された独自の財産を有すること(ア) 本件各LPSの設立準拠法,設立契約の内容,実際の活動内容,財産や権利義務の帰属状況等からすると,①本件各LPSは,その事業,目的のために必要ないかなる権利をも保有しそれを行使することができ,本件各不動産を購入するなど自らの名義で資産を取得・保有することができること(106条(b),本件各LPS契約1.3条(a),同2.7条),②本件各パートナーは本件各LPSの資産に対していかなる持分も有さないこと(701条),③本件各LPSが所有する資産は本件各LPSの名義で登録することができ,本件各建物の譲渡は,いずれも本件各LPSの名義で米国の登録所に登録されていること(同契約2.7条)がそれぞれ認められる。 以上のことからすれば,本件各LPSは,構成員である本件各パートナーの個人財産とは明確に区別された独自の財産を有しているといえる。 (イ) 本件各LPS契約4.5条(不可分の持分 以上のことからすれば,本件各LPSは,構成員である本件各パートナーの個人財産とは明確に区別された独自の財産を有しているといえる。 (イ) 本件各LPS契約4.5条(不可分の持分条項)について本件各LPS契約では,本件各パートナーは,本件各LPSの資産に,そのパートナーシップ出資割合に相当する分配されない持分を有すると規定されているものの(同契約4.5条),ここでいう持分とは,パートナーシップの資産全体(Partnership'sproperty)に対する持分を意味し,パートナーシップの有する個別の資産(701条が規定するspecificlimitedpartnershipproperty)に対する持分ないし所有権を意 味するものとは解されないのであり(モリス回答書),また,本件各パートナーは,本件各LPSの資産に関する分割の訴訟を行うために有する権利を放棄する旨規定されていることから,本件各パートナーは,本件各LPSの資産に対して何らの持分も実質的には有していないものといえる(701条,同契約4.5条,同10.15条)。 この点,原告らは,本件各LPS契約4.5条により,201条(b)及び701条の各規定は排除又は変更されたものと解されると主張する。 しかし,デラウェア州のパートナーシップ法においては,「パートナーシップ存在証明書及びパートナーシップ契約」に別途定めることにより,201条(b)及び701条と同様の規定の適用を回避できることを明らかにしているが,本件LPS法においては,上記各条項の適用を回避できる旨が規定されていない。また,当該各条項においては,一般に法的拘束力の程度が高く強制的規定に用いられる「shall」という単語が使用されている(モリス回答書)。これら ,上記各条項の適用を回避できる旨が規定されていない。また,当該各条項においては,一般に法的拘束力の程度が高く強制的規定に用いられる「shall」という単語が使用されている(モリス回答書)。これらの点からすると,本件LPS法の上記各規定は,パートナーシップ契約による修正を認めない強制的な規定であると解されるから,原告らの主張は誤っている。 また,原告らは,モリス回答書が,「デラウェア裁判所としては,第三者との関係についてではなくパートナー間においては,パートナーがパートナーシップ財産についてそれぞれ固有の権利を有することに意味があるような状況であれば,そのような合意は701条及び201条(b)を修正する効力ありと判断できるとの解釈を示すこともあるだろう」と述べているのは,原告らの主張に沿うものであると主張するが,原告らが指摘する上記の部分は,極めて限定的な条件の下においては,原告らが主張するような解釈を示す可能性もあるだろうという推測を述べているにすぎないと解される。そして,モリス回答書が想定する条件に合致する状況を想定することは困難であるが,例えば,パートナーシ ップを解散する際に,第三者との債権債務関係を清算した後の特定の残余財産の分配の場面を挙げることはできそうである。しかし,このような残余財産の分配請求権は法人の構成員には一般的に認められるものであり,モリス回答書を素直に理解すれば,本件各LPS契約4.5条における不可分の権利条項は,201条(b)及び701条を排除又は変更するものではなく,極めて限定された状況においてこれらの各規定と抵触しない範囲でその適用が認められるものと解するのが相当である。 原告らは,本件各LPS契約4.5条が本件各LPSの内部関係において有効であると主張するが,我 においてこれらの各規定と抵触しない範囲でその適用が認められるものと解するのが相当である。 原告らは,本件各LPS契約4.5条が本件各LPSの内部関係において有効であると主張するが,我が国の法人に限らず,所有権について,ある財産が第三者との関係においては事業体の所有するものとして取り扱われ,同時に事業体の構成員間の内部関係においては構成員の共有として取り扱われるというような解釈は,権利関係を複雑にし,法的安定性を害するもので,極めて不合理かつ非現実的である。モリス回答書においても,前述のとおり,「第三者との関係についてではなくパートナー間においてはパートナーはパートナーシップ財産についてそれぞれ固有の権利を有することに意味があるような状況であれば」という極めて限定的な条件が設けられているのであり,原告らは殊更にこの点を無視するものである。 ウ本件各LPSがその名において契約を締結し権利義務の帰属主体となること(ア) 本件各LPSの設立準拠法,設立契約の内容,実際の活動内容,財産や権利義務の帰属状況等からすると,①本件各LPSは自ら独立して負債,債務及び責任を負担するが,この本件各LPSの個別の債務等について,本件各受託銀行のようなリミテッド・パートナーが債務の弁済等の個人的な義務及び責任を負うことはないこと(303条(a),本件各LPS契約1.5条),②本件各GPは,本件各LPSを代理して, 本件各LPSの名義において本件各不動産賃貸事業の遂行に必要なあらゆる行為を行うことができ,本件各LPSは,買主として本件各売買契約を締結して本件各建物の所有権を取得し,本件各土地賃貸借契約を締結して本件各土地を賃借し,本件各不動産賃貸事業のために多額の資金を借り入れ,本件各管理契約を締結して本件各不動 主として本件各売買契約を締結して本件各建物の所有権を取得し,本件各土地賃貸借契約を締結して本件各土地を賃借し,本件各不動産賃貸事業のために多額の資金を借り入れ,本件各管理契約を締結して本件各不動産の管理を委託するなど,自ら契約当事者として契約を締結し,権利を取得するとともに義務を負っていること(本件各LPS契約2.1条)がそれぞれ認められる。 以上のことからすれば,本件各LPSは,独立した権利義務の帰属主体として存在し,活動を行っているといえる。 (イ) 原告らは,503条並びに本件各LPS契約4.7条及び4.8条によれば,本件LPS法上のLPSは,我が国の民法上の組合と同様に,デラウェア州法上,グロスの損益(収益の総額と損失の総額)が直接に各パートナーに帰属するから,本件各LPSは,「権利義務の主体となる」ものには該当しないと主張する。 しかしながら,原告らが上記主張の根拠とする503条は,「LPSの損益は,パートナーシップ契約の規定に従い・・・割当が行われる。」と規定しているにすぎず,各パートナーへの損益の直接の帰属を定めるものではないから,当該条項は原告らの上記主張の根拠とはなり得ない。 また,本件各LPS契約4.7条及び4.8条は,同契約4.1条の定義によれば,「本パートナーシップの連邦所得税の課税年度の課税対象利益(又は損失)に相当する額は,パートナーのそれぞれのパートナーシップ出資割合に応じてパートナーに割り当てられる。」と解すべきであるから,本件各LPSのパートナーがそれぞれのパートナーシップ出資割合に応じて割り当てられるのは,本件各LPSの連邦所得税の課 税年度の課税対象利益(又は損失)に相当する額,すなわち収入及び支出について差引計算した後の純額 それぞれのパートナーシップ出資割合に応じて割り当てられるのは,本件各LPSの連邦所得税の課 税年度の課税対象利益(又は損失)に相当する額,すなわち収入及び支出について差引計算した後の純額であって,原告らが主張するように「グロスの損益(収益の総額と損失の総額)」が「直接に各パートナーに帰属する」ものではない。 エ本件各LPSがその名において訴訟当事者となることができること本件各LPSの設立準拠法,設立契約の内容,実際の活動内容,財産や権利義務の帰属状況等からすると,本件各LPSは,本件各LPSの名義において,訴訟を提起し,訴訟を提起されるなどの自ら法的手続を行う権限・能力を有していることが認められる(105条(a),本件各LPS契約1.3条(d))。 よって,本件各LPSは,自己の名において訴訟当事者となることができるといえる。 オ小括したがって,本件各LPSは,構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有し,独立した権利義務の帰属主体として活動し,かつ,自己の名で訴訟当事者となることもできる事業体であるから,我が国の租税法上,「法人」に該当すると認められる。水野教授も,水野意見書において,本件各LPSが我が国の租税法上の「法人」に該当すると明確に判断している。 (原告らの主張)(1) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断方法について(被告の主張に対する反論)ア被告主張に係る基準が導かれる法的根拠が示されていないこと本件訴訟において,原告らは被告に対して被告が挙げる「法人」該当性の判断基準がいかなる法的根拠に基づき認められるのか全く明らかではないと主張してきたが,弁論終結に至るまで,ついに被告からは何ら説得 本件訴訟において,原告らは被告に対して被告が挙げる「法人」該当性の判断基準がいかなる法的根拠に基づき認められるのか全く明らかではないと主張してきたが,弁論終結に至るまで,ついに被告からは何ら説得的 な根拠が示されることはなかった。そのこと自体が,被告の主張する基準に何らの根拠もなく合理性もないことを示している。 この点,被告は,星野論文からの引用と,我妻著書からの引用を行っており,これらを被告の基準の一応の根拠としているようである。しかしながら,星野論文は,「法人」とされたことから生じる「効果」について論じたものであり,法人の判断基準を論じたものではない。すなわち,ある事業体が「法人であること」(つまり「法人格を付与されていること」)と,ある事業体が「『法人』とされたことから生じる『効果』のうちの特定のものと同じ効果を法律により認められていること」とは同義ではない。 また,「法人」ではない事業体の法人「化」は,現代において多く見られる(例えば,投資事業有限責任組合契約に関する法律や有限責任事業組合契約に関する法律)が,そのことによりそれらの組合が我が国の私法上「法人」とされたということにはならないことは,民法33条に照らして明らかである。このように,ある事業体が,法律により我が国の私法上「法人」とされたことにより,当該事業体にさまざまな「効果」が生じるということと,「法人」ではない事業体の法人「化」とは異なる。 また,被告は,我妻著書に,法人とは,「自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるもの」と記述されていることをその根拠として引用しているように見える。確かに,法人が自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるものであることはそのとおりであるとしても,さらに深く考えてみれば,この 述されていることをその根拠として引用しているように見える。確かに,法人が自然人以外のもので,権利義務の主体となることのできるものであることはそのとおりであるとしても,さらに深く考えてみれば,この我妻博士の記述は,事業体が「法人」とされたことにより生じる「効果」の全体(特定の一面ではなく全体)を短く表現するものとしてされていることは明らかである。古田補足意見においても,法人とは,「法律により,損益の帰属すべき主体として設立が認められるもの」でもある。この古田補足意見は,「法人」が権利義務の主体であることの一側面(権利義務や取引の主体となったことの結果とし て生じるのが損益であるから,権利義務が帰属するのであれば,その結果も当然帰属すると解するのでなければ論理的ではない。自然人の場合でも全く同じことが言える。)を捉え,我妻博士によるところの「権利義務の主体」を作るために法人を設立するということは,同時に「損益の帰属すべき主体」を作ることをも意味することを端的に指摘する。ところが,被告の「法人」該当性の3要件に関する主張においては,古田補足意見において言及されている「損益の帰属すべき主体」に関する私法上の分析あるいは言及は一切みられない。私法上損益の帰属すべき主体となっていることは,内部規律を柔軟に組成することが可能な合名会社,合資会社及び合同会社であっても決して失うことのない私法上の法的性質であり,法人と組合の決定的な差異である。 イ被告の主張する基準は,外国の事業体についてだけ法人該当性について実質判断を行うものであって,我が国租税法の建付けと整合しないこと租税法上,外国の事業体が,(a)「外国法人」,(b)外国の「人格のない社団等」及び(c)外国の組合(複数の個人である構成員の集合体)のとおりに区分 我が国租税法の建付けと整合しないこと租税法上,外国の事業体が,(a)「外国法人」,(b)外国の「人格のない社団等」及び(c)外国の組合(複数の個人である構成員の集合体)のとおりに区分けされることは,内国の事業体が(A)「内国の法人」,(B) 内国の「人格のない社団等」及び(C)内国の組合(複数の個人である構成員の集合体)と区分けされることと同様である。したがって,その区分けのあり方も,外国の事業体の場合と内国の事業体の場合とで原則として同様であるべきである。 内国の事業体が(A)の「内国の法人」に該当するか否かについては法人法定主義により形式的一義的に決定され,事業体の性質に関する実質的な内容は判断されない。他方,(B)の内国の「人格のない社団等」は「(A)に該当せずかつ権利能力なき社団の4要件に当てはまるもの」,(C)は「(A)に該当せず権利能力なき社団の4要件も充足しないもの」として,事業体の実質に着目した判断がされる。ある事業体が(A),(B)及び(C)の要件を 同時に満たすことは論理的には生じず,また(A)と(B)又は(C)は形式的一義的に区分される。そうだとすれば,外国の事業体についてだけ,本来(b)の外国の人格のない社団等や(c)の外国の組合に該当すべき外国の事業体までも(a)の「外国法人」に広く含めて区分けしてしまうような考え方は,内国の事業体の場合の区分けと著しく乖離するものであるから,誤りというべきである。したがって,外国の事業体についても,内国法人の場合の法人法定主義と同様に,専ら形式的な基準により(a)の外国法人該当性を判断すべきであり,そしてその形式的な基準による判断から漏れた外国の事業体のうち権利能力なき社団の4要件という実質的な基準の充足という実質的判断をクリアできた事業 基準により(a)の外国法人該当性を判断すべきであり,そしてその形式的な基準による判断から漏れた外国の事業体のうち権利能力なき社団の4要件という実質的な基準の充足という実質的判断をクリアできた事業体のみを(b)の外国の「人格のない社団等」に該当するものとして外国法人とみなして扱うことを,租税法の規定が前提としていると解すべきである。 翻って,被告の主張する基準をみるに,被告の基準は,外国の事業体についてだけ,その準拠法上の法人格の有無という形式的な基準(つまり内国の事業体と同様の基準)で判断せず,三つの要件を立てたうえで諸般の事情を考慮して個別具体的な実質判断を行うものであり,内国の事業体の場合の判断と著しく相違している。このような解釈は,外国の事業体についてだけ,本来(b)の外国の人格のない社団等や(c)の外国の組合に該当すべき外国の事業体までも不可避的に(a)の「外国法人」に区分けしてしまう誤りを内包するもので,上記で述べた我が国租税法の建付けに反し,失当である。 ウ被告の主張する基準は,「人格のない社団等」該当性に係る確立した最高裁判例の判断基準と矛盾抵触すること被告の主張するような基準で「法人」該当性を個別具体的な実質判断として行うならば,租税法上本来外国の「人格のない社団等」として取り扱われるべき事業体(すなわち権利能力なき社団の4要件という実質的な基 準の充足という実質的判断をクリアした事業体)も不可避的に「外国法人」として取り込まれてしまうことになる。すなわち,被告の主張する「法人」該当性の3要件を権利能力なき社団の4要件と対比してみると,権利能力なき社団の4要件を満たす事業体は,<1>その構成員の個人財産とは区別された独自の財産(つまり「総有」とされる財産)を有し,<2>そ 当性の3要件を権利能力なき社団の4要件と対比してみると,権利能力なき社団の4要件を満たす事業体は,<1>その構成員の個人財産とは区別された独自の財産(つまり「総有」とされる財産)を有し,<2>その名において契約を締結しその名において権利を有し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得,<3>その権利義務のためにその名において訴訟当事者となり得るから(民事訴訟法29条),被告の主張する「法人」該当性の基準によれば,すべからく(所得税法及び法人税法に定義されている「人格のない社団等」と区別されるところの)「法人」に該当してしまう。 結局,被告の基準によると,外国法人と,外国の「人格のない社団等」の区分けが,全く不可能になると言わざるを得ず,本来外国の「人格のない社団等」に区分けされるべき事業体がすべからく「外国法人」として区分けされてしまうという帰結を不可避的に招くことになる。換言すると,被告が主張する「外国法人」該当性の実質的判断と,外国の「人格のない社団等」該当性の実質的判断は,不可避的に抵触する関係にあるのである。 結局のところ,被告の主張する「法人」の3要件は,昭和39年最判の規範を排除するもの,つまり確立した判例に矛盾抵触するものであるといわざるを得ない。 「外国法人」に該当するか外国の「人格のない社団等」に該当するかの問題は,両者の課税上の取扱いに差異が設けられているため実質的に見ても深刻な違いをもたらす。したがって,ある外国の事業体が「外国法人」に該当するのか,それとも外国の「人格のない社団等」に該当するのかの区別は,一義的に明確にされなければならないことは当然であり,上記の矛盾抵触は租税法上の解釈として到底許容されるものではない。 エ被告の主張する基準は,我が国の租税法上組 るのかの区別は,一義的に明確にされなければならないことは当然であり,上記の矛盾抵触は租税法上の解釈として到底許容されるものではない。 エ被告の主張する基準は,我が国の租税法上組合とされる事業体にもあてはまるものであって,法人と組合を区別する基準としては機能しないこと被告が主張する判断基準は,我が国租税法上組合とされる事業体にもあてはまるものであって,法人と組合とを区別する基準として機能しない。 (ア) 「その構成員の個人財産とは区別された独自の財産を有するか否か」という要件については,「構成員の個人財産から区別され,個人に対する債権者の責任財産ではなくなって,法人自体の債権者に対する排他的責任財産を作る法技術」は,我が国では法人以外についても認められている(例えば,我が国の民法上の組合)から,私法上の「法人」の判断基準とするのは不合理である。このように我が国において区分の基準にならない要件を外国の事業体においては区分の基準とすることに合理性はない。 (イ) 「その名において契約を締結し,その名において権利を取得し義務を負うなど独立した権利義務の帰属主体となり得るか否か」という要件については,外国の制度は日本と異なっている点に留意する必要がある。 自己の名前で取引をしていたとしても私法上「法人」とはされていない外国の事業体が存在することは,平成12年7月政府税調中期答申においても認識されていた。したがって自己の名前で取引することは必ずしも法人格を付与されていることを意味しない。単に形式上自己の名前で取引を行っていることをもって私法上の「法人」の判断基準とするのは誤りである。 (ウ) 「その名において訴訟当事者となり得るか否か」という要件についても,我が国では民事訴訟法29条の 前で取引を行っていることをもって私法上の「法人」の判断基準とするのは誤りである。 (ウ) 「その名において訴訟当事者となり得るか否か」という要件についても,我が国では民事訴訟法29条の解釈論として,代表者の定めがあれば組合の場合にも訴訟当事者となることが認められている。すなわち,この判断基準は私法上の「法人」に特有なものではないことは明らかである。我が国において区分の基準にならない要件を,外国の事業体にお いて区分の基準とすることに合理性はない。 (エ) さらに,被告は,「当該事業体の設立準拠法や設立契約の内容,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等を考慮して,個別具体的に判断するのが相当である」と主張するが,当該事業体が設立準拠法上どのような権利能力を有するかということが,設立契約の内容,実際の活動実態,財産や権利義務の帰属状況等といった一義的に確定できない要素により,設立後に事後的に左右されることを許容する主張は,我が国の「法人」の理解とはあまりにもかけ離れており,我が国私法及び租税法の解釈として失当である。 オ LLC地裁判決及びLLC高裁判決は被告主張の根拠となり得るものではないこと被告は,ニューヨーク州法上のLLCを租税法上の「法人」と認定したLLC地裁判決及びLLC高裁判決を挙げて自らの主張を根拠づけようとしている。しかしながら,LLC地裁判決は論理一貫性がなく,原典の読み方を誤った酒井克彦教授の意見書(甲共3)に基づいているにすぎない根拠薄弱な判決であるとともに,LLC高裁判決はLLC地裁判決を新たな根拠を示すことなく追認したにすぎない。特に,LLC地裁判決における法人該当性の判断基準の根拠とされている上記意見書は林良平・前田達朗編『新版注釈民法(2)』(甲共4) 判決はLLC地裁判決を新たな根拠を示すことなく追認したにすぎない。特に,LLC地裁判決における法人該当性の判断基準の根拠とされている上記意見書は林良平・前田達朗編『新版注釈民法(2)』(甲共4)63頁以下を誤解・誤読して判断基準を導き出している。LLC地裁判決が根拠薄弱な判決である点については,中里教授も,中里意見書(甲共45・14頁)において,「LLC判決の根本的な問題点は,同判決が「法人」の要件として挙げる①~④が,何法のいかなる条文から導かれるのか,その法解釈上の根拠が明らかではないという点である。」と端的に指摘している。また,ニューヨーク州法上のLLCはデラウェア州法上のLPSと比べて「corporation」に近い事業体とされており,両者はその内容面で大きな差がある。LLC地裁判 決及びLLC高裁判決における判断の射程は,本件訴訟には全く及ばない。 カ水野意見書は被告の主張する「法人」該当性の判断基準を基礎付けるものではなく,その他の学説においても被告の判断基準は支持されていないこと被告は,自らの判断基準の根拠として水野意見書を挙げているが,水野意見書における見解は水野教授の従来の見解と矛盾しているとともに,詳細な分析に基づかず結論を先取りすることにより導かれた見解となっていると評さざるを得ない。また,水野意見書はデラウェア州法上のLPSが「separatelegalentity」であることから法人該当性を導き出しているが,この解釈は本件LPS法の解釈として誤りである。したがって,水野意見書に依拠して被告の基準を基礎付けることはできない。 また,被告は,自らの判断基準を支持している学説として,増井論文(乙共4)及び石黒論文(乙共5)を挙げるが,増井教授は被告の判断基準を支持す 拠して被告の基準を基礎付けることはできない。 また,被告は,自らの判断基準を支持している学説として,増井論文(乙共4)及び石黒論文(乙共5)を挙げるが,増井教授は被告の判断基準を支持すると述べてはいないし,石黒教授は水野教授の見解は我が国の私法に基づくものではないと喝破しており,いずれの学説においても被告が主張する「法人」該当性の判断基準は支持されていない。 (2) 外国の事業体が我が国の租税法上の「法人」に該当するか否かの判断方法について(原告らの主張)ア外国の事業体が「法人」に該当するか否かの判断基準としては,内国法人の法人法定主義同様の専ら形式的な基準による判断として,当該外国の事業体の根拠法において,その事業体が外国における「法人」に該当する,すなわちその事業体に法人格が与えられているか否かで判断すべきものと解せば必要十分である。ここで,「当該外国の事業体の根拠法においてその事業体に法人格が与えられている」とは,当該外国の事業体の根拠法において,その事業体が「corporation」や「bodycorporate」や「juristicperson」又はこれらと同等の概念(以下「corporation 等」という。) に該当すると規定されていることを意味すると解すべきである。すなわち,外国の事業体がその根拠法においてcorporation 等に該当すると規定されていること=外国の事業体がその根拠法において法人格を与えられていること,となる。加えて,原告らはかねてから「外国法人」の意義を,外国法の規定により成立する権利義務の主体となる社団であると主張しているが,外国法の規定により成立する権利義務の主体となる社団とは,正に,その根拠法において法人格を与えられている(=corporation の規定により成立する権利義務の主体となる社団であると主張しているが,外国法の規定により成立する権利義務の主体となる社団とは,正に,その根拠法において法人格を与えられている(=corporation 等に該当すると規定されている)外国の事業体をいうのである。 イ原告らの主張する基準こそが従前の裁判例,租税実務及び社会通念に合致し,今後の実務上も機能すること外国の事業体の根拠法においてその事業体に法人格が与えられているかどうかという事業体の区分けのあり方は,既に原告らが主張したとおり,裁判例上も明示的に採用されている。大阪控訴院明治37年12月1日判決は,「旧民法第36条第1項ニ謂フ所ノ商事会社ハ其本国法ニヨルモ亦人格ヲ有スル会社ニ限レルモノト解釈セザルヘカラス」と判示している(大審院明治38年4月17日判決(甲共34)に引用されている。)。 同判決は,旧民法36条1項の解釈において,外国の事業体が法人格を有するか否かの判断にあたっては,「其本国法ニヨル」つまり当該外国の事業体の準拠法に従って判断すべきことを判示している。つまり,同判決は,外国の事業体の法人格の有無という問題について,当該外国の事業体の準拠法とは別個に日本法の観点から何らかの実質的な基準を設定して判断するなどということは,その前提とはしていない。あくまでも当該外国の事業体の準拠法の解釈として同事業体が法人格を有するか否かを直接問題とすれば足りるのである。このように,原告らの主張する「外国法人」性の判断基準は,従前の裁判例に照らしても,正しい解釈であるというべきである。のみならず,上記のような考え方は,平成12年7月政府税調中期 答申及び委員会資料(甲共26)という租税法立案当局が作成した公的な文書並びに遠藤論文(甲共27)及び長谷部講演録( きである。のみならず,上記のような考え方は,平成12年7月政府税調中期 答申及び委員会資料(甲共26)という租税法立案当局が作成した公的な文書並びに遠藤論文(甲共27)及び長谷部講演録(甲共75)といった課税執行当局者の論稿においても一貫して前提とされている。したがって,外国の事業体の根拠法においてその事業体に法人格が与えられているかどうかという事業体の区分けのあり方は,社会通念上ないし租税実務上も広く認知されかつ浸透しているとともに,実務上もその判断の形式性,ひいては法的安定性により十分機能し得る基準である。 ウ原告らの主張する基準はデラウェア州を含む米国の諸州においても有効に機能すること現地の準拠法の解釈上確立されている取扱いに従うという手法は,上記大阪控訴院明治37年12月1日判決が対象としたドイツのようなシビル・ロー(大陸法)を継受した国のみならず,本件で問題となっているデラウェア州を始めとする米国の諸州などコモン・ロー(普通法)を継受した国においても実際に有効に機能する。 米国は英国において発達したいわゆるコモン・ローを継受し,コモン・ローからの歴史的継続性を有する法制度,法概念を擁していることは広く知られているところであって(田中英夫「英米法総論(上)」(甲共101)6,7,9,253及び254頁),そのような法域においては,コモン・ローとの関係を抜きにした制定法の解釈はおよそ法律解釈としての基本に悖るものである(甲共101・15及び16頁)。とりわけパートナーシップに関する法はまずコモン・ローとして発達したものであるから,パートナーシップに関する制定法の理解は,コモン・ローとの関係を正しく考慮せずに行えるものではない。特に,米国においては,コモン・ロー上の原則を変更すること モン・ローとして発達したものであるから,パートナーシップに関する制定法の理解は,コモン・ローとの関係を正しく考慮せずに行えるものではない。特に,米国においては,コモン・ロー上の原則を変更することを目的として作られた制定法であることが明示されている場合を除き,長きにわたり確立しており,かつ熟知されている法理であるコモン・ローが制定法に優位するという推定をもって制定法を解 釈すべきであることを明言する米国連邦最高裁のIsbrandtsenCo. v. Johnson 判決もあること(甲共102),中里教授も正にこの点を指摘しておられること(甲共103・134頁)を考慮すれば,単純に制定法の文言を表面的に理解しようとするだけでは十分な理解はできないというべきである。米国では本件各LPSを含むパートナーシップはcorporation 等には該当しないということや,どのような事業体が法人格を有するかについて制定法で明確に定義されていないということは,確立したコモン・ローの法解釈である「corporation は法人格を有するが,partnership はそうではない」という解釈が,制定法で変更されておらずなお妥当することを示すものである。 したがって,デラウェア州のみならず米国の州法においては,現地の準拠法の解釈上確立されている取扱い(本件では,本件各LPSは法人格を有しないということ)に従うことにより,当該準拠法上の法人格の有無を専ら形式的かつ明確な基準により判断することが可能なのである。むしろ,被告の主張するように,ある事業体がcorporation 等に該当することが制定法で明確に定められていないにもかかわらず,その事業体の持っているcorporation 等と共通する一部の性質を制定法上の何の根拠もなく抜粋して 体がcorporation 等に該当することが制定法で明確に定められていないにもかかわらず,その事業体の持っているcorporation 等と共通する一部の性質を制定法上の何の根拠もなく抜粋してcorporation と同等の事業体とみなすという手法は,上記のコモン・ローの正統な解釈手法を全く無視したものであり,社会通念に反するばかりか,コモン・ローを継受した各国の法実態を無視した課税を強行することにもなり,実務上も有効に機能しない。 エ原告らの主張する基準は旧民法36条の認許の要件も満たすこと外国の事業体の根拠法において法人格が与えられている外国の事業体が,我が国租税法上の「外国法人」として認許されるためには,旧民法36条1項に従い,「商事会社」でなければならないが,外国の事業体が,構成員により構成され営利を目的とする事業体であり,かつ「外国法人」(旧 民法36条1項)に該当する以上は,その事業体は,商行為を為すことを業とする目的を以て設立したる社団であるという要件も満たすことになるため,「商事会社」にも該当することになる。したがって,「外国法人」に該当する外国の事業体は,旧民法36条1項に基づき,我が国の私法及び租税法上も「外国法人」として認許されることになるのである。 (3) 本件各LPSが我が国の租税法上の「法人」に該当しないこと(あてはめ)ア本件各LPSにはその根拠法上法人格はないこと本件各LPSの根拠法である本件LPS法には,同法に基づき組成されるLPSをcorporation やbodycorporate やjuristicperson のように,権利能力及び行為能力を有するものとして設立されたものとする,という規定,つまり法人格が与えられたことを意味する法 ion やbodycorporate やjuristicperson のように,権利能力及び行為能力を有するものとして設立されたものとする,という規定,つまり法人格が与えられたことを意味する法令の規定はない。なお,本件各LPSがseparatelegalentity とされていることは,corporation やbodycorporate やjuristicperson であることとは全く異質な概念であり,本件各LPSに法人格が与えられることを意味するものではないから,そのことをもって本件各LPSが「外国法人」に該当するか否かのメルクマールになるなどということはあり得ない。したがって,本件各LPSは,その根拠法上法人格を与えられているものではないから,租税法上の「外国法人」に区分けされることはない。 イ separatelegalentity の意義は survivability をより明確化するものにすぎず,被告はseparatelegalentity の解釈を誤っていること被告は,デラウェア州法上,本件各LPSがseparatelegalentity であることは,我が国の法人に認められる権利義務の主体となる能力を有することを意味するとし,租税法上の「法人」該当性の判断の重要な要素であると主張する。この点,被告は,英米法辞典(乙共6)の断片的な記載や「separatelegalentity」に関して何の根拠も示さず独自の見解を述 べるだけの水野意見書を根拠にし,かかる主張を繰り返す。しかしながら,法律用語はその歴史的沿革を踏まえて解釈すべきであって,英語の辞書的な意味を強調するだけでは法律用語の正しい理解に到達することはできない。以下に再度要約するとおり,legalentit しながら,法律用語はその歴史的沿革を踏まえて解釈すべきであって,英語の辞書的な意味を強調するだけでは法律用語の正しい理解に到達することはできない。以下に再度要約するとおり,legalentity の意義やその歴史的沿革,及びデラウェア州法を熟知する著名な法律家であるアレン教授意見書等に鑑みると,separatelegalentity なる概念は,我が国租税法上の「法人」該当性の判断の重要な要素となるデラウェア州法上の法人格の有無のメルクマールになり得るような法的重要性を有するものではないことは明らかである。 (ア) separatelegalentity やlegalentity であることは,デラウェア州法上「法人格を有するという意味」を持たないことcorporation やpartnership の歴史的沿革に鑑みると,corporationとは近代史上常に例外なくentity として扱われてきたのに対して,partnership はその歴史的沿革に鑑みると,その法的性質においてcorporation とは明確に異なっている。それにも拘わらず,partnership についても,取引の相手方の保護等の便宜のために後発的かつ部分的にlegalentity として説明されるに至った。すなわち,corporation とpartnership はいずれもlegalentity として説明されるが,その歴史的経緯や法的な意味づけは全く異なるのである。つまり,legalentity(entity でも意味は同じ。)という概念は多様な事業体を説明するために用いられている概念であり,我が国における「法人格」の概念とは明らかに次元が異なり,租税法上の「法人」該当性を判断する際のメルクマールにはならないこ 同じ。)という概念は多様な事業体を説明するために用いられている概念であり,我が国における「法人格」の概念とは明らかに次元が異なり,租税法上の「法人」該当性を判断する際のメルクマールにはならないことは明らかである。 また,被告が英米法辞典の断片的な記載を根拠に「separatelegalentity」を「独立した法的主体」と解釈することが誤りであることは,アレン教授意見書によっても明らかであることに加え,そのような解釈 をすると日米友好通商航海条約が定める内国民待遇に反すること,英米法辞典(甲共38)の他の記載や本庄講義(甲共39)及びブラックの法律辞書(甲共40)からも明らかである。この点については,中里教授も,「separatelegalentity」とする規定は,名目上,ないしは形式名義上の取引主体性を認めるという一点にのみその意義があるのであって,「incorporatedlegalentity」ないし「corporation」,すなわち法人格を付与された法人とは別物であると指摘している。 (イ) separatelegalentity の意義は survivability をより明確化するものにすぎないことデラウェア州法を熟知する著名な法律家であるアレン教授は,パートナーシップに関するユニフォーム・アクトとデラウェア州制定法との関係を明快に解説したうえで,separatelegalentity という文言は,ゼネラル・パートナーシップもリミテッド・パートナーシップも,当事者であるゼネラル・パートナーの死亡又は脱退後も同一性を持った事業体(entity)として存続し得るという効果,すなわち「survivability(サバイバビリティ。GP死亡・脱退後存続性)」を 者であるゼネラル・パートナーの死亡又は脱退後も同一性を持った事業体(entity)として存続し得るという効果,すなわち「survivability(サバイバビリティ。GP死亡・脱退後存続性)」を明確化するにすぎず(アレン教授意見書和訳7~9頁),201条(b)における「separatelegalentity」とは,ゼネラル・パートナーとは区別されたという意味であるが,この中の「セパレート(separate)」という語には,何ら法的な重要性はないと述べている(アレン教授意見書和訳8頁)。 このように,separatelegalentity という文言は,デラウェア州法上の法人格の有無のメルクマールになり得るものではない。このため,separatelegalentity を「法人格を有するという意味」として扱っている水野意見書はseparatelegalentity の解釈についての理解を誤っており,水野意見書を根拠としてseparatelegalentity を我が国租税法上の「法人」該当性の判断の重要な要素とする被告主張は誤った解釈 に基づく主張であり到底認められるものではない。 ウ社会通念に照らしても,本件各LPSが「法人」に該当しないこと納税者にとっての予測可能性・法的安定性を確保するため,「法人」の意義の解釈適用は社会通念ないしは「その語の通常持つ意味」に沿って行われるべきであるという観点からも,本件各LPSが租税法上の「法人」すなわち外国法の規定により成立する権利義務の主体となる社団に該当するとの結論は到底認められない。 (ア) 米国法上の「corporation」こそが,日本法を設立準拠法とする「法人」と同じ法的性質を有しており,corporation となる社団に該当するとの結論は到底認められない。 (ア) 米国法上の「corporation」こそが,日本法を設立準拠法とする「法人」と同じ法的性質を有しており,corporation こそを日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の概念と解することが通常の理解に合致していることa 日本における従来からの通説的な見解日本の比較法研究者の研究等においても,デラウェア州法上はその事業体がcorporation に該当する場合は,社会通念上,形式的一義的に日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体として「法人」に該当するといえるとされている。「法人」という日本語が外国法上いずれの語に対応するかという問題も古くから認識されていたものと思われるところ,比較法研究者の研究等を通じてそれなりの理解が形成されてきている。例えば,『新版注釈民法(2)総則(2)』(甲共4)で木南敦助教授がcorporation の訳語として「法人」をあてているのは,偶然ではなく,比較法研究者の多くの研究の成果を反映させた結果であると合理的に推測することができる。 また,同書(甲共4)において,英米法における法人の要件の一つとして挙げられている「法人印影(corporateseal)」とは,「(18世紀)コーポレーションがその団体の法的な正式文書を作成し認証するために用いる印影」(ブラックの法律辞書(甲共105))であ り,正にcorporation が,自らがcorporation であることの正当性を示すために正式文書に用いる印影をいうのであるから,英米法におけるcorporation を法人と解するのは通常の理解に合致しているというべきである。 さらには,日米租税条約において,我が めに正式文書に用いる印影をいうのであるから,英米法におけるcorporation を法人と解するのは通常の理解に合致しているというべきである。 さらには,日米租税条約において,我が国における「権利義務の主体となる」事業体である「法人格を有する団体」について,corporation と同義である「bodycorporate」という用語が用いられているのに対して,「法人以外の団体」については,英文では,「anestate,trust, andpartnership」を含むものとされており,パートナーシップは法人以外の団体とされている。 b デラウェア州のGC法の検討によっても,「corporation」こそが「法人」と同等の概念であると認められること次に,昭和39年最判が挙げた4要件に着目して,GC法と本件LPS法の条文構成を比較しても,日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体といえるのはデラウェア州法上の「corporation」であり,デラウェア州法上の「limitedpartnership」ではないことは明らかである。また,(i)「corporation」の設立のためにはacertificateofincorporation(定款)という基本文書を登録しなければならないこととされていること(GC法101条(a)),(ⅱ)「franchisetax(フランチャイズ・タックス)」という,法人形式で事業を行う特権に対して賦課される税金(Ataximposedontheprivilegeofcarryingonabusiness)(ブラックの法律辞書(甲共105))を支払う義務を負うことなども,corporation が「法人」と同等の事業体であることを ivilegeofcarryingonabusiness)(ブラックの法律辞書(甲共105))を支払う義務を負うことなども,corporation が「法人」と同等の事業体であることを示している。 c 米国の文献により解説されるcorporation は,正に日本の「法人」と同等の概念であること 「成立要件」,「永続的存在」,「所有者及び運営者の変更」,「民事・刑事上の責任主体」といった様々な観点から,米国法上の「corporation」と日本法を設立準拠法とする「法人」とを比較してみても,両者は同じ法的性質を全て等しく有していることが分かるのであり,米国法上では「corporation」こそが,日本法を設立準拠法とする「法人」と正に同等の概念であることは,疑う余地もない。 (イ) 米国におけるcorporation やlegalentity の歴史的沿革に鑑みても,デラウェア州法上のLPSは日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体ではないこと米国における歴史的沿革に鑑みても,デラウェア州法上corporationに該当する事業体は,社会通念上,当然に日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体であり法人格が与えられているといえる。一方で,legalentity は,歴史的沿革からみても極めて広い概念であり,legalentity に該当する場合であっても「法人」に該当するとは言えず,またデラウェア州法のLPSがseparatelegalentity とされていることの意味は「GP死亡・脱退後存続性」という「効果」が法律により与えられたことを確認する趣旨にすぎないのであって,「法人格」を付与する規定と解すべき余地は全くないのであるから,デラウェア れていることの意味は「GP死亡・脱退後存続性」という「効果」が法律により与えられたことを確認する趣旨にすぎないのであって,「法人格」を付与する規定と解すべき余地は全くないのであるから,デラウェア州法上のLPSは日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体であるとは到底いえない。 (ウ) 本件各LPSが組成された当時の日本における租税実務において米国LPSは租税法上の「法人」には含まれないとして租税実務上取り扱われていたこと米国LPSは租税法上の「法人」には含まれないという見解は,平成12年7月に財務省主税局作成の資料中において公に表明されていた(「平成12年7月政府税調中期答申」)。また甲共25の内容につい て議論された「委員会資料」(甲共26)では米国LPSは法人格のない事業体の欄に分類されている。これは財務省主税局の当時の理解を公に示したものである。さらに,「遠藤論文」(甲共27)は,デラウェア州法上のLPSが我が国の法人税法上「法人」とは扱われないことを前提として実務上の取扱いを説明している。これは,執行の局面で,税務当局もまた,デラウェア州法上のLPSを我が国の租税法上「法人」と取り扱っていなかったことを明確に示している。前・税務大学校研究部教授であり,現在,東京国税局調査第一部で主任国際調査審理官をしておられる長谷部啓氏により平成20年10月1日に開催された講演をまとめた「長谷部講演録」(甲共75)においても,米国のLPSには法人格がないことが述べられている。 これらは正に社会通念上デラウェア州法のLPSは当然に日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体ではないという理解が,実務上も,そして政府の考え方としても広く共有され社会通念となっていることを示している。かかる 念上デラウェア州法のLPSは当然に日本法を設立準拠法とする「法人」と同等の事業体ではないという理解が,実務上も,そして政府の考え方としても広く共有され社会通念となっていることを示している。かかる原告らの主張に対する被告の主張は,現在に至るまで上記各資料は政府の公式見解ではない等の主張を繰り返すだけであり,論理的な反論ではなく,またそれを否定するような証拠も提出されていない。 (エ) 日本における権威ある学者の見解に鑑みても,デラウェア州法のLPSには法人格はないと整理されていたこと現代の商法・会社法の権威である江頭憲治郎教授は米国のLPSには法人格はないと明言し,我が国における法人格に相当するものはないと整理されている(甲共9「江頭株式会社法」10頁)。同じく商法の権威である竹内昭夫教授も同様に整理されている(甲共14)。 (オ) 米国における租税実務上の取扱いに鑑みても,デラウェア州のLPSをcorporation になぞらえて解釈することは不自然,不合理であるこ とデラウェア州法のLPSは,税務上チェック・ザ・ボックス規則の既定のルール(defaultrules)としてpartnership を選択したものとみなされていること,partnership の規定のルールが構成員課税と分類されているのはそのような取扱いとすることが正に納税者の期待に沿う(matchtaxpayers’ expectations)ものであると考えられたからとされていること(甲共113)などに鑑みると,デラウェア州法上のLPSをcorporation になぞらえて解釈することは不自然,不合理である。 (カ) デラウェア州法上のLPSをニューヨーク州法上のLLCと実質的に同様な事業体である ラウェア州法上のLPSをcorporation になぞらえて解釈することは不自然,不合理である。 (カ) デラウェア州法上のLPSをニューヨーク州法上のLLCと実質的に同様な事業体であるとして「法人」と取り扱うこともできないこと被告は,LLC地裁判決及びLLC高裁判決でニューヨーク州法上のLLCが「法人」と扱われたことを根拠に,デラウェア州法のLPSも「法人」と扱うべきと主張しているかのようにも思われる。これらの判決がそもそも誤っていることは前記のとおりであるが,それをさておいたとしても,被告のかかる主張は社会通念に明らかに反する主張である。 被告は本件LPS法の条項をニューヨーク州LLC法の条項と対比させながら本件各LPSの法人該当性を述べるも,その主張に見るべき内容はなく,社会通念上これらを同様のものとして扱うべき根拠は一切示されていない。原告らが,本件LPS法,デラウェア州LLC法及びニューヨーク州LLC法の条文を比較検討した原告概念対照表(甲共111)を引用しつつ詳細に述べたとおり,ニューヨーク州法上のLLCは,デラウェア州法上のLPSと比べ,①有限責任性が貫かれていること(甲共111の6の概要(10頁)),②定款の作成が必要であること(甲共111の2①及び②の概要(1~3頁)),③多数決原理が導入されていること(甲共111の3①~③の概要(4~7頁)),④組織の継続性が強く指向されていること(甲共111の4①及び②の概要 (7~9頁)),⑤所有と経営とを分離することが可能な組織体となっていること(甲共111の5の概要(9及び10頁))など,ニューヨーク州法上のLLCはデラウェア州法上のLPSと比べてよりcorporation に近い事業体といえることを明らかにした。このようなニ ていること(甲共111の5の概要(9及び10頁))など,ニューヨーク州法上のLLCはデラウェア州法上のLPSと比べてよりcorporation に近い事業体といえることを明らかにした。このようなニューヨーク州法上のLLCとデラウェア州法上のLPSの間の顕著な差異を考慮すると,デラウェア州法上のLPSをニューヨーク州法上のLLCと実質的に同様な事業体と扱い「法人」に該当するなどとは到底解することはできない。 (キ) デラウェア州法上のLPSにおいて生じた損益は構成員である各パートナーに直接帰属することある事業体の事業活動により生じた損益が当該事業体に帰属するのか,あるいは当該事業体の構成員に直接帰属するのかという点は,当該事業体が我が国の「法人」に該当するか否かの判断において重要なメルクマールとなるところ,我が国の「法人」と異なりデラウェア州法上のLPSにおいて生じた損益は構成員である各パートナーに直接帰属する(503条)。この点は,古田補足意見が指摘するとおり,損益の帰属点をつくるということが「法人」の意味であるという我が国の理解に照らせば,本件各LPSを含むデラウェア州法上のLPSが法人ではないことの正に証左というべきである。この点に鑑みても,本件各LPSが「法人」に該当するとの結論は誤りであるというべきである。 (ク) 国税不服審判所の裁決例でもデラウェア州法上のLPSの「法人」該当性が否定されていること本件各LPSが「法人」に該当するかどうかという問題については,本件に係る国税不服審判所裁決がこれを否定し(国税不服審判所平成18年11月28日裁決。甲A2,甲B3),また他の類似事案においても本件各LPSと同様,本件LPS法を準拠法として組成されたデラウ ェア州法上のL 所裁決がこれを否定し(国税不服審判所平成18年11月28日裁決。甲A2,甲B3),また他の類似事案においても本件各LPSと同様,本件LPS法を準拠法として組成されたデラウ ェア州法上のLPSの「法人」該当性が否定されている(国税不服審判所平成18年2月2日裁決・裁決事例集71号118頁)。このように,国税不服審判所の裁決例に照らしても,デラウェア州法上のLPSが「法人」に該当すると結論づけることは,明らかに社会通念に反するのである。 (ケ) 我が国の法人やcorporation はその準拠法国の法律により創設的に設立されるが,デラウェア州法上のLPSは,当事者間の契約によって組成されること「法人」とは,生まれながらにして権利義務の主体として存在する自然人と異なり法律の規定により創設的にその存在が認められるものであるから,法人とはその準拠法国の法律の規定により,創設的に設立されるものである。我が国における法人である事業体の典型例である株式会社と比較するとこの点はより明確となる。すなわち「株式会社は,その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」と定める会社法49条の趣旨は,設立の登記をすることにより法人としての株式会社を成立させる効力があるというものであり(甲共9「江頭株式会社法」102頁),株式会社は,法律に基づく設立の登記により創設的に設立されるのである。一方で我が国における法人ではない事業体の典型例である組合は,当事者の合意によって成立し,法律の規定により「創設的」にその存在が認められるものではない。したがって,その準拠法国の法律により創設的に設立されない事業体を「法人」とすることは明らかに社会通念に反するのである。 デラウェア州法上のLPSはLPS契約の締結によ るものではない。したがって,その準拠法国の法律により創設的に設立されない事業体を「法人」とすることは明らかに社会通念に反するのである。 デラウェア州法上のLPSはLPS契約の締結によって組成され,LPS証明書の提出は,単にこれを通知する意味しかないのに対し,corporation は,正に法律によって創られたものであって設立証明書を提出する行為は設立行為そのものである,ということは,「デラウェア法律 意見書」(甲共23)第1項,第4項が述べているとおりである。実際にも本件各LPSは,本件各LPS契約の前文で,「前文と以後に規定される相互の約定を約因として,パートナーら〔ゼネラル・パートナーとリミテッド・パートナー〕は,〔本件LPS〕法及びその他の適用ある法律に従い以後に規定される条項に基づいてパートナーシップを組成することに合意し,ここにパートナーシップを組成する。」と定めており,パートナーシップ契約によりLPSが組成されていることを明言している。 したがって,デラウェア州のLPSは,法律により創設的に設立される事業体ではなく,この点は「法人」及びデラウェア州のcorporationと著しく異なっている。このような差異を無視してLPSを「法人」とすることは明らかに社会通念に反する。 エ被告の判断基準によったとしても,本件各LPSは租税法上の「法人」に該当しないこと(ア) 本件各LPSが独自の財産を有するとはいえないこと被告は,201条(b)において「separatelegalentity」と定められていること,本件各LPS自らの名義で本件各建物の登録がされていること,701条において「Apartnerhasnointerestinspecific galentity」と定められていること,本件各LPS自らの名義で本件各建物の登録がされていること,701条において「Apartnerhasnointerestinspecificlimitedpartnershipproperty(パートナーはLPSの特定の財産について持分を有しない。)」と定められていること等により,本件各LPSが構成員の財産とは区分された独自の財産を有すると主張する。 しかしながら,本件各LPSが「separatelegalentity」であることは,本件各LPSがデラウェア州法上「法人格を有する」ことを意味するわけではないことから,被告の主張するような本件各LPSが「独自の財産を有すること」の根拠とはなりようがない。 次に,本件各LPS自らの名義で本件各建物の登録がされているとい う点については,取引の便宜を考慮して実際上1個の事業体となることは我が国の「法人」と同じ意味において構成員の財産とは区分された独自の財産を有することを意味しない。かかる取引便宜上の取扱いは我が国の投資事業有限責任組合に認められた取引便宜上の取扱いと類似のものである。我が国の投資事業有限責任組合が構成員の財産とは区分された独自の財産を有することは被告も争っていない。 加えて,701条においてパートナーはLPSの特定の財産について持分を有しないと定められてはいるが,本件各LPS契約の場合,当該条項はパートナー間の内部関係において本件各LPS契約4.5条により修正されており,本件各LPSのパートナーはパートナーシップ財産について不可分の固有の権利を有するものと解されるから,本件各LPSが構成員の財産とは区分された独自の財産を有するとの被告主張の根拠とはならない。すな 本件各LPSのパートナーはパートナーシップ財産について不可分の固有の権利を有するものと解されるから,本件各LPSが構成員の財産とは区分された独自の財産を有するとの被告主張の根拠とはならない。すなわち,1101条は,本件LPS法は契約自由の原則とパートナーシップ契約の執行可能性を最大限に尊重する旨を定めており,契約によりそのほとんどの条項を修正することができるとされているところ,本件各LPSは,本件各LPS契約4.5条において「EachPartnershallhaveandownanundividedinterestinthePartnership’spropertyequaltoitsPartnershipPercentage(和訳:各パートナーは,パートナーシップの財産についてそのパートナーシップ割合に等しい不可分の持分を有するものとする)」と定めることにより,701条をパートナー間の内部関係において修正している。 この点につき,被告は「ピルバリーメモ」(乙共8)を引用して反論する。しかし,同メモがデラウェア州のパートナーシップの実務経験に基づくものか疑問があるし,また,同メモは,701条及び101条(13)を契約により変更できない条文としているが,何の根拠も挙げておらず独自の見解を述べたものにすぎないというべきであって,同メモの信 用性については多くの疑問がある。なお,本件各LPS契約4.5条に基づく原告らの「本件各パートナーは本件各LPSの財産について不可分の持分を有する」という主張に対し,被告はモリス回答書を根拠に反論する。しかし,モリス回答書はかかる反論の根拠とならないばかりか,かえって原告らの主張を裏付けるものとなっている。 a モリス回答書は被告の主張 主張に対し,被告はモリス回答書を根拠に反論する。しかし,モリス回答書はかかる反論の根拠とならないばかりか,かえって原告らの主張を裏付けるものとなっている。 a モリス回答書は被告の主張の根拠となるものではないことモリス回答書の前提となる質問は,いずれの質問も質問自体が適切さを欠くものであったことから,モリス回答書の作成者は,回答において様々な限定を付すなどして,質問に対して正面から回答することを回避しつつ議論を進めている。そのようにして作成されたモリス回答書が,本件各LPS契約4.5条の文言である「不可分権利条項(UndividedInterestClause)」の解釈にどの程度意味のあるものかについては,基本的な点において非常に大きな疑義があると言わざるを得ず,そうである以上,モリス回答書は被告主張の根拠となるものとは言い難い。 b 本件各LPS契約4.5条がデラウェア州法上適法かつ有効で法的拘束力があり執行可能であることはポッター意見書により既に確認済みであることポッター意見書(甲共73)は,本件LPS契約(C)をはじめとする契約書を締結するにあたってのクロージング・オピニオンとしての性質上,重い専門家責任により担保された公平中立な意見であるということができる。このポッター意見書B.4項は4.5条を含む本件LPS契約(C)の各条項がデラウェア州法上適法,有効かつ法的拘束力のあるものであり,パートナーに対して執行可能であると明記しており,本件LPS契約(C)4.5条は,留保の対象とはされていない。 このことは,ポッター意見書が,100%の確信をもって,本件LP S契約(C)4.5条はデラウェア州法上適法かつ有効で法的拘束力があり執行可能であると述べていることを 象とはされていない。 このことは,ポッター意見書が,100%の確信をもって,本件LP S契約(C)4.5条はデラウェア州法上適法かつ有効で法的拘束力があり執行可能であると述べていることを意味する。そして,本件LPS契約(P)の各条項,なかんずく本件LPS契約(P)4.5条について,これと別異に解すべき根拠は全くない。 c 被告はモリス回答書中の被告主張にとって不利な部分については黙殺しており,モリス回答書中被告が引用していない部分の議論は,原告らの主張と整合することモリス回答書は,「不可分権利条項(theundividedinterest)」が701条及び201条(b)に違反するものであって無効であるなどとは一言も述べていない。逆に,デラウェア裁判所としては,第三者との関係についてではなくパートナー間においては,パートナーがパートナーシップ財産についてそれぞれ固有の権利を有することに意味があるような状況であれば,そのような合意は701条及び201条(b)を修正する効力ありと判断できるとの解釈を示すこともあるだろう,とまで述べている。また,モリス回答書は,デラウェア州みなし信託法においてデラウェア州のみなし信託の実質的所有者が当該信託の財産に対して『undividedbeneficialinterest』を有すると規定されていることに言及し,不可分権利条項(UndividedInterestClause)における『undividedinterest』の意義につき,『undividedbeneficialinterest』との類似性を認めることも容認され得ることを前提とする議論を展開している。これらの議論はいずれも原告らの主張に整合するものである。 (イ) 本件各LPSは eficialinterest』との類似性を認めることも容認され得ることを前提とする議論を展開している。これらの議論はいずれも原告らの主張に整合するものである。 (イ) 本件各LPSは独立した権利義務の帰属主体となるとはいえないことa 権利義務の帰属主体となる事業体には多様な事業体が含まれており,その意味も一義的ではないこと 権利義務の帰属主体という要件は,我が国の事業体に関する限り,要件を充足するか否かは法律上明らかであるが,我が国とは法制度が全く異なる外国においては,ある事業体が我が国において法人格を法律上与えられた法人におけるのと同様の意味において「権利義務の主体となる」かどうかは,慎重な検討を要する。我が国においても,法人格を与えられ,「権利義務の主体となる」事業体とされる株式会社と,法人格を与えられていないことから「権利義務の主体となる」事業体であるとは取り扱われていない民法上の組合との間には,双方の特徴を合わせ持つような中間的な事業体である投資事業有限責任組合,有限責任事業組合及び合同会社が,米国におけるモデルを参考として,近時,次々と導入された。 また,注目すべきことは,我が国では,法人と同じ意味において「権利義務の主体となる」事業体ではないとされている組合でさえ,これを1個の事業体として取り扱う方が取引の便宜にかなうことから,例えば,組合の代表者が,その権限に基づき組合のためにその組合代表者名義をもって振出した手形については,同組合の組合員は,手形上各組合員の氏名が表示された場合と同様に共同振出人として合同してその責を負うものとされるなど,組合代表者名義で取引をすることが認められており,組合財産は組合員の財産とは区別されたうえ,団体的拘束が加えら 員の氏名が表示された場合と同様に共同振出人として合同してその責を負うものとされるなど,組合代表者名義で取引をすることが認められており,組合財産は組合員の財産とは区別されたうえ,団体的拘束が加えられており,また,代表者の定めがあれば訴訟の当事者となることもできる。 さらに,法律上法人とはされておらず基本的な性質は民法上の組合と同じであると解されている投資事業有限責任組合や有限責任事業組合の場合には,組合契約を登記できる。構成員の財産と事業体の財産を区別すること,訴訟の当事者となれること,登記がされることなどは,いずれも我が国の「法人」に認められる特徴であり,さらに正確 に言えば,法人格を与えられたことによって認められる効果の一部であるが,これらが「法人」に固有の特徴であるとは言えず,ましてや「権利義務の主体となる」事業体であるか否かを決定する基準にはなり得ない。蓋し,これらの効果は我が国において「法人」とはされていない事業体にも与えられているものだからである。 b 権利義務の帰属主体となる事業体であるためには,損益が実質的に帰属していることが必要であることまた,ある事業体の事業活動により生じた損益が当該事業体に帰属するのか,あるいは当該事業体の構成員に直接帰属するのかという点は,当該事業体が権利義務の主体であるか否かの判断において重要なメルクマールとなることは,古田補足意見に照らしても明らかであるところ,デラウェア州法上,LPSには損益が帰属せず各パートナーに直接損益が帰属するため,本件各LPSは独立した権利義務の帰属主体とはいえない。我が国の私法を参照して考察すると,独立した権利義務の帰属主体となる,即ち「権利義務の主体となる」事業体の場合は,単に形式上自己の名前で取引を行っ 各LPSは独立した権利義務の帰属主体とはいえない。我が国の私法を参照して考察すると,独立した権利義務の帰属主体となる,即ち「権利義務の主体となる」事業体の場合は,単に形式上自己の名前で取引を行っているだけではなく,それに伴う損益もその事業体自体に帰属するなど,実質的に「権利義務の主体となる」ことが前提とされ損益が帰属するということを例外なく内包している。デラウェア州法上使い勝手をよくするために権利義務の帰属先名義人とされている事業体が,その権利の行使又は義務の履行に係る損益の帰属先ではないとされている場合には,日本法上の法人が権利義務の主体であるのと同じ意味において「権利義務の主体となる」事業体とはいえない。平成12年7月政府税調中期答申も,外国の多様な事業体の中にはその本国において私法上「法人」とはされないものの自己の名前で取引をしている事業体が存在することを指摘しており,本件各LPSは,正にそのような事業体である。 c デラウェア州法上,本件各LPSの損益は構成員に帰属していること本件各LPSは,実際にも,各会計年度における情報申告書である連邦パートナーシップ情報申告書(Form1065)を作成し(甲共95の2,115),その別表として,本件各パートナーである本件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らごとのパートナー持分に関する情報申告書(スケジュールK1)を作成し(甲共78,116),原告らに各会計年度のパートナーシップの損益が直接帰属していることが示されていることからしても,本件各LPSの損益が「直接に各パートナーに帰属する」ものではないとの被告の反論には理由がない。 この点,我が国の「法人」において,ある会計年度における利益が,何らの機関決定なく自動的に株主の出資割合に応じ PSの損益が「直接に各パートナーに帰属する」ものではないとの被告の反論には理由がない。 この点,我が国の「法人」において,ある会計年度における利益が,何らの機関決定なく自動的に株主の出資割合に応じて配当されることはおよそあり得ないことであり,ましてや損失を出資割合に応じて配分するということは我が国の法人に関する法制度上認められていないことに鑑みると,本件各LPSの損益が「直接に各パートナーに帰属する」ことは,正に本件各LPSが我が国の「法人」には該当しないことを示す一つの証左である。 また,被告は,「本件各LPSのパートナーがそれぞれのパートナーシップ出資割合に応じて割り当てられるのは,本件各LPSの連邦所得税の課税年度の課税対象利益(又は損失)に相当する額,すなわち収入及び支出について差引計算した後の純額」であるとしているが,誤っている。本件各LPS契約4.7条及び同4.8条の定義規定に,ネットの金額のみが帰属するということが規定されているわけではない。むしろ,同4.12条(a)は,パートナーシップの収益,利益,損失及び控除の「全ての項目」の配分割合について定めるものであり,各項目が総額(グロス)ベースで本件各パートナーである本件各受託 銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らに対して配分されるべきことを明確に示している。実際にも,「組合外支出調整後損益計算書」(甲共79等)においては,当該者の損益が総額(グロス)ベースで報告されている。またフォーム1040NR(甲共80)においても,不動産賃貸損益(RentalRealEstate)は他の課税所得(taxableinterest など)とは別に計算されており,本件各LPSから純額(ネット)の損益のみが配分されるのではなく,個別の所得の性質ごとに, RealEstate)は他の課税所得(taxableinterest など)とは別に計算されており,本件各LPSから純額(ネット)の損益のみが配分されるのではなく,個別の所得の性質ごとに,本件各パートナーである本件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らの持分に従って,本件各LPSの所得(又は損失)が原告らに配分されていることを示している。 被告は,第三者に対する関係(対外関係)のみに着目しており,本件各LPSに係る資産又は事業から生ずる収益及び費用の帰属を判定するに当たり重視すべき本件各LPSの実質・実体を表す当事者間の関係(内部関係)を無視している。本件各LPSの総額(グロス)の損益(収益の総額と費用の総額)は,何らの機関決定を経ることなく本件各パートナーである本件各受託銀行を通じて不動産賃貸事業を営む原告らに対して直接に帰属させることが準拠法(私法)上も,契約上も事実上も認められているのである。 (ウ) 本件各LPSがcorporation と同様の意味において訴訟当事者となるとはいえないことデラウェア州法上,LPSが訴訟当事者となる資格があること自体は原告らも争うものではない。しかし,corporation とLPSが訴訟当事者となるという意味はその根底において異なっており,「法人」であることにつき争いがなく認められるcorporation と同様の意味において本件各LPSが訴訟当事者になるとはいえない。訴訟の当事者能力は,corporation については当然に認められるが,partnership については当 然に認められるものではない(甲共62)。つまり,corporation はcorporation であることのみをもってその名において訴え又は訴えられる tnership については当 然に認められるものではない(甲共62)。つまり,corporation はcorporation であることのみをもってその名において訴え又は訴えられる資格が認められるのに対して,パートナーシップの場合には,訴え又は訴えられる資格があることについて特に法律で定めてもらうことが必要であったという点が重要なのである(連邦民事訴訟法17条(b)(2),(3)(a)(甲共65))。結局,パートナーシップの場合には,corporation と異なり,その効果を有すると特に認める法律がない限り,訴え,又は訴えられる資格の点においても「法人」とされたことにより生じる効果と同じ効果を当然に認められるものではないのである。この点は我が国の組合と全く同様である。 2 本件各LPSが我が国の租税法上「人格のない社団等」に該当するか否か(被告の主張)(1) 総論人格のない社団(権利能力のない社団)といえるためには,①団体としての組織を備え,②多数決の原則が行われ,③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,④その組織により,代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならないと解されている(昭和39年最判)。 (2) ①団体としての組織を備えていること本件各LPSは,本件各GPをゼネラル・パートナー,本件各受託銀行等をリミテッド・パートナーとして,本件LPS法に基づき設立されたLPSであるから(本件各LPS契約の前文及び1.1条),これを組織する構成員は特定されている。また,本件各LPSの管理及び運営に関する独占的権限は本件各GPに付与され(同契約2.1条),リミテッド・パートナーには,一定の条件の下に本件各GPを解任する権 れを組織する構成員は特定されている。また,本件各LPSの管理及び運営に関する独占的権限は本件各GPに付与され(同契約2.1条),リミテッド・パートナーには,一定の条件の下に本件各GPを解任する権限が認められている(同契約2. 6条)。そして,本件各LPSとしての意思決定や本件各売買契約を締結す る等の行為を,上記のとおり付与された独占的権限に基づいて本件各GPが本件各LPSを代表して行っているのであるから,本件各LPSは,団体としての組織を備えていると認められる。 (3) ②多数決の原則が行われていること原告らも主張するとおり「本件各LPSの経営判断は原則的にゼネラル・パートナーにより行われることとされている。」のであるが,これは,上記(2)のとおり,本件各パートナーが本件各LPS契約により同意したことに基づくものであるし,本件各GPは,パートナーシップ持分の80パーセントを超える持分を有するリミテッド・パートナーの賛成又は同意により解任される(本件各LPS契約2.6条)のであるから,本件各LPSにおいて,多数決の原則が一定の程度行われているということができる。 (4) ③構成員の変更にもかかわらず団体が存続すること本件各LPS契約には,ゼネラル・パートナーの解任(同契約2.6条),新規パートナーの承認(同契約5.2条及び7.6条),リミテッド・パートナーの脱退(同契約6.1条),LPS持分の譲渡可能性(同契約7.2条)などの規定があり,現に,「所有していたパートナーシップ持分を本件GP(C)に譲渡した原告が」おり,当該譲渡後においても本件LPS(C)は存続していると認められるから,本件各LPSは,構成員の変更にもかかわらず団体が存続するものであることが認められる。 (5) ④団体として た原告が」おり,当該譲渡後においても本件LPS(C)は存続していると認められるから,本件各LPSは,構成員の変更にもかかわらず団体が存続するものであることが認められる。 (5) ④団体としての主要な点が確定していること上記(2)及び(3)のとおり,本件各LPSにおいては,本件各パートナーの同意により本件各GPが業務執行を行う代表と定められており,その解任についての規定も存在する。また,本件各LPSは,構成員の財産とは区分された独自の財産を有しており,当該財産の管理は,その権限を付与された本件各GPが行っている。さらに,本件各LPSに生じる費用の支払(本件各LPS契約3.1条から3.4条まで),資本の利用(同契約4.4条), 損益の割当て及び分配(同契約4.6条から4.8条まで),パートナーシップの終了及び清算(同契約8条),会計及びパートナーへの報告(同契約9条)に関する規定も存在する。そして,これらの規定を含む本件各LPS契約の内容は,ゼネラル・パートナー及びリミテッド・パートナーの持分の過半数によって署名した書面で修正することができる(同契約10.2条)ことなどからすれば,本件各LPSは,代表の方法や団体の独立した財産の管理方法等,団体としての主要な点が確定しているということができる。 (6) まとめ以上のように,本件各LPSは,昭和39年最判が示した4つの要件を満たしているということができるから,本件各LPSは,人格のない社団等に当たるといえる。 (原告らの主張)(1) 総論本件各LPSにおいては,以下のとおり,昭和39年最判の4要件のいずれの要件も満たさないから,「人格のない社団等」には該当しない。 (2) ①団体としての組織の有無「団体としての組 本件各LPSにおいては,以下のとおり,昭和39年最判の4要件のいずれの要件も満たさないから,「人格のない社団等」には該当しない。 (2) ①団体としての組織の有無「団体としての組織をそなえ」ているとは,意思決定のための構成員による総会や幹事会などを意味すると考えられるところ,本件各LPSは,ゼネラル・パートナー1名とリミテッド・パートナー1名(但し,本件LPS(C)の場合は2名)により構成されている極めて単純なLPSであり,このような内部組織を全く備えていない。したがって,本件各LPSは,団体としての組織を備えていない。 (3) ②多数決の原則「多数決の原則が行われ」ているとは,団体としての意思決定をする際に,構成員の多数決により決定するといった規則が設けられていることを意味すると考えられるところ,本件各LPSについては,本件各LPS契約2.1 条によれば,本件各LPSの管理運営・業務執行は原則的にゼネラル・パートナーのみにより行われることとされている。したがって,多数決の原則が行われているとはいえない。 (4) ③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続すること「構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続」するとは,構成員の加入又は脱退があったとしても,また,仮に構成員が1人になったとしても,団体そのものがそれまでと同様に存続することを意味すると考えられる。 この点について,101条(9)は,LPSとは,2人以上の者により組成されるパートナーシップであり,1人以上のゼネラル・パートナーと1人以上のリミテッド・パートナーにより構成される旨を定めている。また,801条(3)及び(4)によれば,LPSは,ゼネラル・パートナー又はリミテッド・パートナーが0人になった ネラル・パートナーと1人以上のリミテッド・パートナーにより構成される旨を定めている。また,801条(3)及び(4)によれば,LPSは,ゼネラル・パートナー又はリミテッド・パートナーが0人になった場合は,新たにゼネラル・パートナー又はリミテッド・パートナーが補充されない限り,解散することとされている。言い換えれば,本件各LPSのような米国デラウェア州のLPSは,構成員が1人では組成できないし,また,構成員が1人となった場合には,そのままでは存続もできないのである(デラウェア法律意見書(甲共23)第5項,甲共111の4①最低構成員数,4②脱退後の解散/存続(7及び8頁)参照)。したがって,本件各LPSについては,「構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続」することはなく,上記③の要件も満たさない。 (5) ④団体としての主要な点が確定していること「その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している」ことは,問題となっている事業体が,個々の構成員間における単なる約束を超えて,団体そのものとしての実体を備えていることを確かめるための要件と考えられる。 この点を本件各LPSについてみると,本件各LPSの管理及び運営は本件各GPに委ねられており,本件各GPが一般に本件各LPSのためにその 名において行為するものとされている(本件各LPS契約2.1条)。したがって,本件各LPSの代表は定められているということができる。しかしながら,代表の方法は,格別定められていない。このように現在の代表の次を定めるルールが設けられていないことは,本件各LPSは,所詮は,当事者間における契約にすぎないものであって,構成員を超えた団体としての実体はないことを如実に示すものといえる。 現在の代表の次を定めるルールが設けられていないことは,本件各LPSは,所詮は,当事者間における契約にすぎないものであって,構成員を超えた団体としての実体はないことを如実に示すものといえる。 次に,総会の運営については,本件各LPS契約においてはそもそも構成員の総会自体が予定されていないので,総会の運営については当然ながら何らの規定も存在しない。 さらに,財産の管理については,本件各LPS契約は,具体的にどのように財産を管理するかという点に関しては,何らの規定も設けられていない。 したがって,本件各LPSは,「その組織によって代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定している」とはいえない。 (6) なお,被告は,判例・裁判例を誤って解釈したうえで,4要件については全てを独立して満たす必要はなく,被告が指摘した諸事情を総合すると,本件各LPSは十分に人格のない社団等に該当すると認めることができるという独自の主張を展開する。しかし,このような被告の主張自体,本件各LPSは4要件を全て独立して満たさないことを被告自らが自認したものにほかならない。加えて,租税事件における「人格のない社団等」の解釈について判示した判例,裁判例や租税事件以外の民事事件において当該4要件が問題とされた最高裁判決に鑑みると,「人格のない社団等」に該当するためには,4要件の全てを独立して満たす必要があることは明らかである。 3 本件各LPSを通じて原告らが得た損益の所得区分(被告の主張)(1) 本件各LPSが我が国の租税法上の法人又は人格のない社団等と認められた場合の所得区分 前記1(被告の主張)記載のとおり,本件各LPSは我が国の租税法上の法人に該当するから,本件各LP PSが我が国の租税法上の法人又は人格のない社団等と認められた場合の所得区分 前記1(被告の主張)記載のとおり,本件各LPSは我が国の租税法上の法人に該当するから,本件各LPSを通じて原告らが得た損益は不動産所得に該当せず,その利益のみ配当所得(所得税法25条1項)に該当する。したがって,原告らの本件各損失は,原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額(同法69条1項)に該当せず,原告らは,本件各損失をもって損益通算の適用を受けることができない。 仮に,本件各LPSが我が国の租税法上の法人に該当しないとしても,前記2(被告の主張)記載のとおり,本件各LPSは人格のない社団等に該当するから,本件各LPSを通じて原告らが得た損益は不動産所得に該当せず,その利益のみ雑所得(同法35条1項)に該当する。したがって,原告らは,本件各損失をもって損益通算の適用を受けることができない。 (2) 本件各LPSが我が国の租税法上の法人とも人格のない社団等とも認められない場合の所得区分(予備的主張)ア不動産所得について不動産所得とは,賃貸借契約等に基づいて,貸主が相手方である借主に不動産等の目的物を使用及び収益をさせることを約束することにより,借主から貸主に移転される経済的利益のうち,借主がこの目的物を使用収益することの対価としての性質を有するものであるから,ある所得が不動産所得に該当するためには,一般的に賃貸借契約の貸主となり得る権利・権原(所有権等)を有していることを前提として,貸主が当該賃貸借契約の対象となる不動産等を借主に貸し付け,これを使用収益させることによって得た対価としての性質を有するものであることが必要である。 イ本件各LPSのリミテッド・パートナーは,本件各不動 借契約の対象となる不動産等を借主に貸し付け,これを使用収益させることによって得た対価としての性質を有するものであることが必要である。 イ本件各LPSのリミテッド・パートナーは,本件各不動産賃貸事業の対象となる本件各建物を「所有」しているとはいえないこと原告らは,本件各受託銀行との間で締結した本件各信託契約を通じて本件各LPSに出資することにより,リミテッド・パートナーとなった本件 各受託銀行を介してパートナーシップ持分を取得しているところ,この「パートナーシップ持分」とは,LPSの損益のうちパートナーが保有する持分である。そして,パートナーはLPSの特定財産に対して直接の持分は観念し得ないとされている。一方,本件各LPSは,構成員である各パートナーの個人財産とは区別された独自の財産として本件各建物を所有している。 このことからすると,本件各LPSのリミテッド・パートナーは,本件各LPSに対してパートナーシップ持分を有するにすぎず,本件各不動産賃貸事業の対象とされている本件各建物は本件各LPSが所有しているため,リミテッド・パートナーが本件各建物の所有権を有していると認めることはできないし,また本件各建物の「貸主」となり得る占有権等の権利・権原を有していると認めることもできない。 ウ本件各LPSのリミテッド・パートナーは,本件各不動産賃貸事業の対象となる本件各建物を貸し付けていないこと本件各LPSは,買主として本件各売買契約を締結して本件各建物の所有権を取得し,本件各土地賃貸借契約を締結して本件各土地を賃借し,本件各不動産の管理契約を自ら契約当事者として締結して管理を委託し,自らが契約当事者(貸主)として賃貸借契約を締結しているのであるから,本件各不動産賃貸事業の対象 契約を締結して本件各土地を賃借し,本件各不動産の管理契約を自ら契約当事者として締結して管理を委託し,自らが契約当事者(貸主)として賃貸借契約を締結しているのであるから,本件各不動産賃貸事業の対象となる本件各建物を「借主」に使用収益させ,それによって対価を得ているのは,本件各LPSである。 一方,リミテッド・パートナーは,本件各LPSの管理又は運営に参加してはならず,いかなる事項に関しても,本件各LPSの名前で行為する権限又は権利を有さないこととされ,本件各LPSの管理及び運営については,本件各GPに独占的に権限又は権利が付与されているのである。 これらのことからすると,本件各不動産賃貸事業の対象となる本件各建物を「借主」に貸し付ける債務,すなわち本件各建物を借主に使用・収益 させる債務を履行しているのは本件各LPSであって,本件各LPSのリミテッド・パートナーが本件各建物を貸し付けていると認めることはできない。 エまとめ以上のとおり,ある所得が不動産所得に該当するためには,一般的に賃貸借契約の貸主となり得る権利・権原(所有権等)を有していることを前提として,貸主が当該賃貸借契約の対象となる不動産等を借主に貸し付け,これを使用収益させることによって得た対価としての性質を有するものであることが必要であるところ,本件各LPSのリミテッド・パートナーである本件各受託銀行は,本件各建物を所有しているということはできず,また,実際に本件各建物に関する占有権を取得したこともなく,賃貸借契約上の貸主としての債務(借主に目的物を使用収益させる債務)を履行することが可能な法的地位を何ら有していないのであるから,本件各LPSのリミテッド・パートナーである本件各受託銀行が本件各建物を借主に貸し付けているとみる (借主に目的物を使用収益させる債務)を履行することが可能な法的地位を何ら有していないのであるから,本件各LPSのリミテッド・パートナーである本件各受託銀行が本件各建物を借主に貸し付けているとみることはできない。 したがって,本件スキームから本件各受託銀行を介して原告らが受ける利益又は損失は,賃貸借契約の目的物を使用収益させることによって得た対価としての性質を有するものとはいえず,不動産所得には該当しない(なお,この場合に本件スキームから本件各受託銀行を介して原告らが受ける利益は,配当所得及び事業所得には該当せず,また,利子所得,給与所得,退職所得,山林所得,譲渡所得又は一時所得のいずれにも該当しないことは明らかであるから,雑所得に該当することとなる。)。 (原告らの主張)(1) 本件各LPSが我が国の租税法上の法人又は人格のない社団等と認められた場合の所得区分について上記1及び2の(原告らの主張)記載のとおり,本件各LPSは我が国の 租税法上の法人とも人格のない社団等とも認められないから,これを前提とする被告の主張は失当である。 (2) 本件各LPSが我が国の租税法上の法人とも人格のない社団等とも認められない場合の所得区分(予備的主張)についてア被告の主張は法律上の根拠なく不当に不動産所得の範囲を狭く解するものであり,誤りであること(ア) 不動産所得の要件として所得の帰属主体に貸主としての何らかの権利・権原を要するという被告の主張は根拠のないものであること被告は,「ある所得が不動産所得に該当するためには,・・納税者が,賃貸借契約の『貸主』となり得る何らかの権利・権原(所有権あるいは占有権等)を有していることを前提とした上で,不動産を『借主』に貸 被告は,「ある所得が不動産所得に該当するためには,・・納税者が,賃貸借契約の『貸主』となり得る何らかの権利・権原(所有権あるいは占有権等)を有していることを前提とした上で,不動産を『借主』に貸し付け,これを使用収益させることによって得た対価としての性質を有するものであることを要する」として,原告らに不動産所得が帰属するとはいえないと主張する。しかしながら,所得税法26条1項は単に「不動産所得とは,不動産〔中略〕の貸付け〔中略〕による所得」と規定しているのみであり,同条の文理上,不動産を貸し付けた主体が納税者本人であるか,納税者本人が貸し付けた不動産を所有等しているかは要件とはされていない。被告の主張は,明文なき要件を付加して不動産所得の範囲を不当に狭く解するもので,失当である。 被告の上記主張は,酒井論文(乙A29,乙B33)を根拠とするものであるが,酒井論文は,判例・学説に基づかない独自の見解であり,法解釈としては,およそ信用性に乏しいものである。また,被告は,名古屋地裁平成17年3月3日判決(甲共20)をその論拠としているようであるが,この裁判例は被告の主張のような「権利・権原必要説」は何ら判示していないばかりか,むしろ不動産所得の範囲が極めて広い(目的物の使用収益の対価たる性質を有するならば不動産所得にあた る)ことを述べている。さらに,被告から証拠として提出された「青柳判例評釈」(甲共21)も,不動産所得は,事業所得と同様に,不動産等の貸付けに係る事業活動により生じた所得をも包含し得るとしており,貸付の主体や不動産の帰属主体と納税者との関係をより緩やかに捉える解釈を示している。したがって,被告の主張に理由はない。 (イ) 本件各LPSのリミテッド・パートナーは本件各建物を所有していないと 体や不動産の帰属主体と納税者との関係をより緩やかに捉える解釈を示している。したがって,被告の主張に理由はない。 (イ) 本件各LPSのリミテッド・パートナーは本件各建物を所有していないとする被告の主張は失当であること本件各LPSのリミテッド・パートナーは,本件各LPS契約の4. 5条に基づき,パートナー間の内部関係において,本件各LPSの財産すなわち本件不動産に固有の権利を有するのであるから,この点に鑑みても,原告らに帰属する所得は不動産所得に該当することは明らかである。被告は,雑所得であるとの主張の根拠として,本件各LPSのリミテッド・パートナーは本件各建物を所有していないなどと主張するが,そのこと自体デラウェア州法の理解(本件各LPS契約の4.5条に係る問題の捉え方)を誤ったものであるし,そもそも本件各LPSが我が国の私法及び租税法上の法人にも人格のない社団等にも該当しないのであれば,我が国の私法及び租税法上は,本件各LPSの構成員が本件各建物を所有しているものと解するほかないのである。したがって,被告の主張は失当である。 (ウ) 本件各LPSのリミテッド・パートナーが本件各LPSの管理又は運営等の権限を有することを要するとする被告の主張は失当であることさらに,被告は,本件各LPSのリミテッド・パートナーが本件各LPSの管理又は運営等の権限を有しないことも,本件各不動産投資事業に係る所得が不動産所得に該当しないことの理由として挙げているが,誤りである。不動産所得は,財務省主税局の立案担当者が直截に解説するとおり,「不動産の貸付け」(所得税法26条1項)の「規模や業務 への関与度合いに関係なくその損失の他の所得との損益通算が可能とされている」という「特質」を有するものである 直截に解説するとおり,「不動産の貸付け」(所得税法26条1項)の「規模や業務 への関与度合いに関係なくその損失の他の所得との損益通算が可能とされている」という「特質」を有するものである(甲共83)。事業所得の場合についてはその規模や業務への関与度合いが薄ければ所得区分が雑所得となり損益通算が否定されるが,不動産所得はそうではないと明言されているのである。そのような不動産所得の「特質」ゆえに,平成17年度税制改正という創設的立法がされたのである。よって,本件各LPSのリミテッド・パートナーの本件各LPSの管理又は運営等の権限の有無などといった点は,本件各不動産賃貸事業に係る所得が不動産所得に区分されるか否かを何ら左右しない。さらに,この点は,被告の主張する「法人」該当性の判断基準とも何ら関係がないから,本件各LPSの「法人」該当性ないし所得の帰属の問題とも無関係である。 なお,本件各LPSのリミテッド・パートナーは,(ゼネラル・パートナーが有するような)本件各LPSの管理又は運営等の権限を有するものではないが,本件各LPSの事業活動に関する監視権やゼネラル・パートナーの解任権を有し,事業の成功に関する利害関係を本件各パートナーが有するものであるから,本件各不動産賃貸事業は,航空機リース事件が前提としている組合型の事業体における共同事業性の要件も満たしており,まぎれもなくパートナー間の共同事業であるといえる。この点からも,原告らが不動産所得の計算上生じた損失を有するとして損益通算を受けることを否定すべき理由はない。 イ被告は原告らに帰属する所得は雑所得であると主張するが,誤りであること本件各LPSが法人にも人格のない社団等にも該当しない場合,①原告らが本件各LPSを通じて行った本件各不動 イ被告は原告らに帰属する所得は雑所得であると主張するが,誤りであること本件各LPSが法人にも人格のない社団等にも該当しない場合,①原告らが本件各LPSを通じて行った本件各不動産賃貸事業に係る所得は,原告らに直接帰属し,かつ②かかる所得は不動産所得に区分されることは明らかであるから,雑所得に該当する余地はない。上記所得が雑所得に該当 する旨の被告の主張は失当である。 第2 仮に本件各損失の損益通算が許されない場合,原告らに過少申告加算税額を課されない「正当な理由」(国税通則法65条4項)があるか否か(原告らの主張) 1 「正当な理由」(国税通則法65条4項)の意義国税通則法65条4項が定めた「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨(当初から適正に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げる)に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最判平成19年7月6日・裁判集民事225号39頁)。 2 本件へのあてはめ仮に,本件各LPSが「法人」又は「人格のない社団等」に該当すると判断されるとしても,本件においては,平成13年分から平成15年分までの所得税の納税義務の成立時点においては,本件各LPSが「法人」又は「人格のない社団等」に該当するとの解釈を原告らがとらなかったとしても,原告らに帰責性があるとは到底いえないような事情がある。 パートナーシップの我が国の租税法上の取扱いについては,平成12年7月政府税調中期答申 当するとの解釈を原告らがとらなかったとしても,原告らに帰責性があるとは到底いえないような事情がある。 パートナーシップの我が国の租税法上の取扱いについては,平成12年7月政府税調中期答申において,「法人格を持たない事業体を法人課税上どのように取り扱うかという問題は法人税制全般に関わるものです・・・」,「・・・実質的な基準により税法上の認識ルールを作ることや・・・」などと記述され,この問題はどのような法人税制上の制度を作るかという立法論の問題であると理解・整理されていたことは明らかである。 加えて,平成12年7月政府税調中期答申の内容が議論された平成12年4月の委員会資料(甲共27)においては,米国のLPSは法人格のない事業体 の欄に分類されており,租税法立案当局も米国のLPSには法人格はないという理解であったことが如実に示されている。また,遠藤論文(平成10年6月の甲共26)及び長谷部講演録(平成21年の甲共75)といった課税執行当局者の論稿においても,パートナーシップには法人格がないことを前提とする記述が同中期答申の前後を通じて一貫してされている。さらに,我が国の投資事業有限責任組合は米国のLPSをモデルに立案されたものであるし(平成9年の甲共10の1,平成10年の甲共10の2),また我が国の有限責任事業組合も英米法のリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップをモデルに立案されたものである(甲共10の1,10の2,12)。 上記に挙げた各事情に鑑みるならば,平成13年分から平成15年分までの所得税の納税義務の成立時点においては,米国のLPSには法人格はないという理解,すなわち我が国の租税法上の「法人」には該当しないという理解しか導くことができなかったし,そのような米国のLPSが,我が国の租税 納税義務の成立時点においては,米国のLPSには法人格はないという理解,すなわち我が国の租税法上の「法人」には該当しないという理解しか導くことができなかったし,そのような米国のLPSが,我が国の租税法上「法人」と扱われることがあるとすれば,それは将来の立法論としての議論であるとしか考えられなかった。したがって,本件各LPSが「法人」に該当するなどという結論を,現行法の解釈として原告らが導くことは,文字どおり不可能であったというべきである。 他方で,およそ外国のパートナーシップが「法人」に該当し得るとの解釈は,平成17年度税制改正の解説として平成17年8月頃に示され(甲共16・156及び157頁),さらに同年税制改正に伴う法令解釈通達の整備に関連して,国税庁個人課税課が発遣した平成18年1月27日付け「平成17年度税制改正及び有限責任事業組合契約に関する法律の施行に伴う任意組合等の組合事業に係る利益等の課税の取扱いについて(情報)」において最初に公式に明らかにされた。しかし,それ以前においては,およそ外国のパートナーシップが「法人」に該当し得るとの解釈が課税庁により公式に明らかにされたことはなかったものである。なお,米国のLLCが「外国法人」に該当する旨の国税 庁のQ&Aが平成13年6月に発出されているが,本件各LPSはLPSであってLLCではないし,上記Q&Aも特定の州のLLCの取扱いにつき述べるものではなくLLC一般につき述べるものにすぎないから,本件各LPSが「法人」に該当するかどうかなどという問題は上記Q&Aのまったくの射程外であって,上記Q&Aが発出されているからといって,原告らは本件各LPSが「法人」に該当すると解すべきであったなどということは到底できない。 そして,本件各LPSが「法人」に該当す の射程外であって,上記Q&Aが発出されているからといって,原告らは本件各LPSが「法人」に該当すると解すべきであったなどということは到底できない。 そして,本件各LPSが「法人」に該当するかどうかという問題については,本件に係る国税不服審判所裁決がこれを否定し(前記国税不服審判所平成18年11月20日裁決),また他の類似事案においても本件各LPSと同様,本件LPS法を準拠法として組成されたデラウェア州のLPSの「法人」該当性が否定されている(国税不服審判所平成18年2月2日裁決)。このことは,とりもなおさず,平成18年の時点においても,本件各LPSが「法人」に該当しないという見解にもなお相応の論拠があることを如実に示している。 また,本件各LPSを含むデラウェア州のLPSの「人格のない社団等」該当性については,課税庁の公式な見解は今日に至るまで示されていない。 以上のとおりの事実関係に鑑みると,仮に本件の係争年分に係る所得税の納税義務の成立時点において本件各LPSを「法人」に該当するという結論を課税庁がとるのであれば,それは平成12年7月政府税調中期答申が示唆するとおり法令の改正によるべきであったというほかない。また,仮に,法令の改正によらないとしても,平成13年分から平成15年分の所得税の納税義務の成立時点より前に,法令解釈通達等により課税庁の公式解釈を示すことにより,デラウェア州のLPSを「法人」と解する取扱いを納税者に周知させ,これが定着するよう必要な措置を講ずべきであったというべきである。しかしながら,上記のとおり,課税庁は,平成18年1月に至るまで,そのような公式解釈を示す措置を講じなかったものである。そうすると,少なくともそれまでの間は,原告らにおいて,本件各LPSが「法人」にも「人格のない社団等 とおり,課税庁は,平成18年1月に至るまで,そのような公式解釈を示す措置を講じなかったものである。そうすると,少なくともそれまでの間は,原告らにおいて,本件各LPSが「法人」にも「人格のない社団等」にも該当 しないものと解し,本件各LPSの事業による所得が原告らに直接帰属しかつ不動産所得として損益通算を行って申告したとしても,それをもって原告らの主観的な事情に基づく単なる法律解釈の誤りにすぎないものということはできない。 そうすると,本件においては,原告らが上記のとおり申告したことには真に原告らの責めに帰することのできない客観的な事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお原告らに過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるというべきであるから,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。 (被告の主張) 1 原告らが主張する事情のうち,平成12年7月政府税調中期答申等の記載内容については,米国のLPSが我が国の租税法上の法人に含まれないことを明言するものではなく,政府の公の見解が表明されたものでもないのであるから,仮に当該記載内容により本件各LPSが我が国租税法上の法人に該当しないと考えたとしても,国税通則法65条4項の正当な理由があるという余地はない。 また,原告らが主張するその余の事情は,結局のところ,原告ら独自の見解ないし期待に基づき本件各LPSが法人に該当しないと信じたというものにすぎず,法令の解釈を誤っていたということに尽きる。 2 そもそも,本件各不動産賃貸事業は,損益通算による租税負担の減少を目的としたスキームの一環であり,原告らは,かかる利益にあずかるため,同スキームに参加し,本件各不動産賃貸事業から生じた損失を原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失として所得税 租税負担の減少を目的としたスキームの一環であり,原告らは,かかる利益にあずかるため,同スキームに参加し,本件各不動産賃貸事業から生じた損失を原告らの不動産所得の金額の計算上生じた損失として所得税の確定申告をしたことが強く推認される。 そして,原告らも認めるとおり,米国のLLCが「外国法人」に該当する旨の国税庁のQ&Aが平成13年6月に発出されていることも併せ考慮すれば,原告らは,本件各LPSが我が国租税法上の法人に当たり,本件各不動産賃貸事業から生じた損失を原告らの不動産所得の計算上生じた損失として損益通算で きない可能性があることを認識し,あるいは認識し得たにもかかわらず,本件スキームによる利益にあずかるため,法令を正しく解釈することなく申告に至ったものといえるのであり,これをもって国税通則法65条4項に規定する「正当な理由」があるといえないことは明らかである。 (別紙3)本件P1各更正処分等の計算過程 1 平成14年分(1) 総所得金額 6887万8860円総所得金額は,次のアからオまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 2490万9908円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)及び(ウ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア) 総収入金額 4454万0207円上記金額は,別表1「②被告主張額」欄・順号4記載のとおりであり,その内訳は,同1から3まで記載のとおりである。 (イ) 必要経費の合計額 1953万0299円上記金額は,別表1「②被告主張額」欄・順号15記載のとおりであり,その内訳は,同5から14まで記載のとおりである。 (イ) 必要経費の合計額 1953万0299円上記金額は,別表1「②被告主張額」欄・順号15記載のとおりであり,その内訳は,同5から14まで記載のとおりである。 (ウ) 青色申告特別控除 10万0000円上記金額は,措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)25条の2の規定により計算した金額であり,別表1「②被告主張額」欄・順号17記載のとおりである。 なお,別表1「①確定(修正)申告の額」欄・順号1から3まで及び5から14まで記載の各金額(上段と下段の金額を合計したもの。)は,原告P1が平成14年分所得税青色決算書(不動産所得用)に記載した各金額と同額である。 イ配当所得の金額 3121万5800円上記金額は,原告P1が平成15年10月3日に豊能税務署長に提出した平成14年分P1修正申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 971万5960円 上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 エ雑所得の金額 220万0272円上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 オ一時所得の金額 83万6920円上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した一時所得の金額と同額である。 (2) 所得控除の額の合計額 156万3426円上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した社会保険料控除の額75万04 所得の金額と同額である。 (2) 所得控除の額の合計額 156万3426円上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した社会保険料控除の額75万0426円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額38万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 6731万5000円上記金額は,前記(1)の総所得金額6887万8860円から前記(2)の所得控除の額の合計額156万3426円を控除した後の金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 514万9200円上記金額は,次のアの金額から,イからオまでの各金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 2241万6550円上記金額は,前記(3)の課税総所得金額6731万5000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 156万0790円 上記金額は,前記(1)イの配当所得の金額3121万5800円に所得税法92条1項の規定により100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 ウ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収額 736 税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収額 736万1080円上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 オ予定納税額 809万5400円上記金額は,原告P1が平成14年分P1修正申告書に記載した予定納税額(第1期及び第2期の合計額)と同額である。 (5) 過少申告加算税額 82万2000円上記金額は,平成14年分所得税の更正処分により原告P1が新たに納付すべきこととなった税額822万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに同法65条1項の規定に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額である。 2 平成15年分(1) 総所得金額 2597万5142円上記金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 1426万3708円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)及び(ウ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア) 総収入金額 3908万0143円上記金額は,別表2「②被告主張額」欄・順号4記載のとおりであり,その内訳は,同1から3まで記載のとおりである。 (イ) 必要経費の合計額 2471万6435円 上記金額は,別表2「②被告主張額」欄・順号15記載のとおりであり,その内訳は,同5から14ま る。 (イ) 必要経費の合計額 2471万6435円 上記金額は,別表2「②被告主張額」欄・順号15記載のとおりであり,その内訳は,同5から14まで記載のとおりである。 (ウ) 青色申告特別控除 10万0000円上記金額は,措置法25条の2の規定により計算した金額であり,別表2「②被告主張額」欄・順号17記載のとおりである。 なお,別表2「①確定申告の額」欄・順号1から3まで及び5から14まで記載の各金額(上段と下段の金額を合計したもの。)は,原告P1が平成15年分所得税青色決算書(不動産所得用)に記載した各金額と同額である。 イ給与所得の金額 971万5960円上記金額は,原告P1が平成16年3月15日に豊能税務署長に提出した平成15年分P1確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ウ雑所得の金額 199万5474円上記金額は,原告P1が平成15年分P1確定申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 (2) 分離課税株式等の譲渡所得 0円上記金額は,原告P1が平成15年分P1確定申告書に記載した分離課税株式等の譲渡所得の金額と同額である。 (3) 所得控除の額の合計額 154万8170円上記金額は,原告P1が平成15年分P1確定申告書に記載した社会保険料控除の額73万5170円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額38万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 なお,原告P1の平成15年分の合計所得金額(原告P1の 170円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額38万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 なお,原告P1の平成15年分の合計所得金額(原告P1の場合は前記アの総所得金額2597万5142円)が1000万円を超えることから,老年者控除の適用はない。 (4) 課税総所得金額 2442万6000円上記金額は,前記(1)の総所得金額2597万5142円から前記(3)の所得控除の額の合計額154万8170円を控除した後の金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (5) 納付すべき税額 259万0900円上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの各金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 654万7620円上記金額は,前記エの課税総所得金額2442万6000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収額 112万3050円上記金額は,原告P1が平成15年分P1確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 エ予定納税額 258万3600円上記金額は,原告P1が平成15年分P1確定申告書に記載した予定納税額(第 告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 エ予定納税額 258万3600円上記金額は,原告P1が平成15年分P1確定申告書に記載した予定納税額(第1期及び第2期の合計額)と同額である。 (6) 過少申告加算税額 89万1500円上記金額は,平成15年分所得税の更正処分により原告P1が新たに納付すべきこととなった税額611万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに同法65条1項の規定に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額61万1 000円と,同条2項の規定に基づき50万円を超える部分に相当する税額561万円(ただし,同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額28万0500円との合計額である。 (別紙4)本件P1各通知処分の計算過程 1 平成16年分(1) 総所得金額 1711万4074円総所得金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 541万5792円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)及び(ウ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア) 総収入金額 6814万7901円上記金額は,別表1「②被告主張額」欄・順号4記載のとおりであり,その内訳は,同1から3まで記載のとおりである。 (イ) 必要経費の合計額 6263万2109円上記金額は, 額」欄・順号4記載のとおりであり,その内訳は,同1から3まで記載のとおりである。 (イ) 必要経費の合計額 6263万2109円上記金額は,別表1「②被告主張額」欄・順号15記載のとおりであり,その内訳は,同5から14まで記載のとおりである。 (ウ) 青色申告特別控除 10万0000円上記金額は,措置法25条の2の規定により計算した金額であり,別表1「②被告主張額」欄・順号17記載のとおりである。 なお,別表1「①更正の請求の額」欄・順号1から3まで及び5から14まで記載の各金額(上段と下段の金額を合計したもの)は,原告P1が平成16年分所得税の更正の請求書に添付した青色決算書(不動産所得用)に記載した各金額と同額である。 イ給与所得の金額 971万5960円上記金額は,原告P1が平成16年分P1確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ウ雑所得の金額 198万2322円上記金額は,原告P1が平成16年分P1確定申告書に記載した雑所得の 金額と同額である。 (2) 分離課税の株式等の譲渡所得 0円上記金額は,原告P1が平成16年分P1確定申告書に記載した分離課税の株式等の譲渡所得の金額と同額である。 (3) 所得控除の額の合計額 95万3440円上記金額は,原告P1が平成16年分P1確定申告書に記載した社会保険料控除の額52万0440円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額 額 95万3440円上記金額は,原告P1が平成16年分P1確定申告書に記載した社会保険料控除の額52万0440円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (4) 課税総所得金額 1616万0000円上記金額は,前記(1)の総所得金額1711万4074円から前記(3)の所得控除の額の合計額95万3440円を控除した後の金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (5) 納付すべき税額 217万0100円上記金額は,次のアの金額からイ及びウの各金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 ア課税総所得金額に対する税額 361万8000円上記金額は,前記(4)の課税総所得金額1616万0000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 119万7846円上記金額は,原告P1が平成16年分P1確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 平成17年分(1) 総所得金額 △1453万5377円(△は損失を示す。)上 載した源泉徴収税額と同額である。 2 平成17年分(1) 総所得金額 △1453万5377円(△は損失を示す。)上記金額は,純損失として翌年以降に繰り越される金額でもあり,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 1123万3968円上記金額は,次の(ア)の金額から(イ)及び(ウ)の各金額を控除した後の金額である。 (ア) 総収入金額 7211万0593円上記金額は,別表2「②被告主張額」欄・順号4記載のとおりであり,その内訳は,同1から3まで記載のとおりである。 (イ) 必要経費の合計額 6077万6625円上記金額は,別表2「②被告主張額」欄・順号14記載のとおりであり,その内訳は,同5から13まで記載のとおりである。 (ウ) 青色申告特別控除 10万0000円上記金額は,措置法25条の2の規定により計算した金額であり,別表2「②被告主張額」欄・順号16記載のとおりである。 なお,別表2「①更正の請求の額」欄・順号1から3まで及び5から13まで記載の各金額(上段と下段の金額を合計したもの)は,原告P1が平成17年分所得税の更正の請求書に添付した青色決算書(不動産所得用)に記載した各金額と同額である。 イ給与所得の金額 971万5960円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載 所得用)に記載した各金額と同額である。 イ給与所得の金額 971万5960円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ウ雑所得の金額 235万4695円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した雑所得 の金額と同額である。 エ総合譲渡所得(長期)の金額 △3784万0000円(△は損失を示す。)上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した総合譲渡所得(長期)の金額と同額である。 (2) 分離課税株式等の譲渡所得の金額 2959万5938円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した分離課税株式等の譲渡所得の金額と同額である。 (3) 所得控除の額の合計額 95万0440円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した社会保険料控除の額51万7440円,生命保険料控除の額5万円,損害保険料控除の額3000円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (4) 課税所得金額 1874万1000円上記金額は,前記(2)の分離課税株式等の譲渡所得の金額2959万5938円から,前年から繰り越された株式等に係る譲渡損失の金額990万4127円及び前記(3)の所得控除の額の合計額95万0440円を控除した後の金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 なお,前記(1)の総所得 及び前記(3)の所得控除の額の合計額95万0440円を控除した後の金額(国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 なお,前記(1)の総所得金額は損失であるため,課税所得金額を構成しない。 (5) 納付すべき税額 △133万0508円(△は還付税額を示す。)上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの各金額を差し引いた後の金額である。 ア課税所得金額に対する税額 131万1870円上記金額は,前記(4)の課税所得金額1874万1000円に措置法37条の11の税率を乗じて算出した金額である。 イ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 ウ源泉徴収税額 129万7578円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 エ予定納税額 109万4800円上記金額は,原告P1が平成17年分P1確定申告書に記載した予定納税額(第1期及び第2期の合計額)と同額である。 (別紙7)本件P2各更正処分等の計算過程 1 平成13年分(1) 総所得金額 4320万0000円総所得金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 0円上記金額は,別紙5の「更正処分等」欄の「不動産所得の金額」のとおり零円とな 所得金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 0円上記金額は,別紙5の「更正処分等」欄の「不動産所得の金額」のとおり零円となる。 イ配当所得の金額 44万0000円上記金額は,原告P2が平成14年3月14日に三木税務署長に提出した平成13年分P2確定申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 4276万0000円上記金額は,原告P2が平成13年分P2確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (2) 所得控除の額の合計額 497万3500円上記金額は,原告P2が平成13年分P2確定申告書に記載した社会保険料控除の額118万0500円,小規模企業共済等掛金控除の額84万円,生命保険料控除の額10万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額247万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 3822万6000円上記金額は,前記(1)の総所得金額4320万円から前記(2)の所得控除の額の合計額497万3500円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 △25万2660円(△は還付税額を示す。以下同じ。)上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの各金額を差し引いた後の金 額である。 ア課税総所得金額に対する税額 1165万3620円上記金額は,前記(3)の課税総所得金額3822万6000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例 額である。 ア課税総所得金額に対する税額 1165万3620円上記金額は,前記(3)の課税総所得金額3822万6000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの。以下同じ。)を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 2万2000円上記金額は,前記(1)イの配当所得の金額44万円に所得税法92条1項の規定により100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 ウ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収額 1163万4280円上記金額は,原告P2が平成13年分P2確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (5) 過少申告加算税額 91万5000円上記金額は,平成13年分所得税の更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった税額742万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに同法65条1項の規定に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額74万2000円と,同条2項の規定に基づき,平成13年分P2確定申告書の「還付される税金」欄の金額△767万3750円に源泉徴収金額1163万4280円を加算した金額を当該新たに納付すべきこととなった税額742万1000円から差し引いた金額に相当する額346万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額17万3000円との合計額である。 2 平成14年分 (1) 総所得 税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額17万3000円との合計額である。 2 平成14年分 (1) 総所得金額 5243万5000円上記金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 0円上記金額は,別紙5の「更正処分等」欄の「不動産所得の金額」のとおり零円となる。 イ配当所得の金額 84万0000円上記金額は,原告P2が平成15年3月13日に三木税務署長に提出した平成14年分P2確定申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 5159万5000円上記金額は,原告P2が平成14年分P2確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (2) 所得控除の額の合計額 505万2650円上記金額は,原告P2が平成14年分P2確定申告書に記載した社会保険料控除の額125万9650円,小規模企業共済等掛金控除の額84万円,生命保険料控除の額10万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額247万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 4738万2000円上記金額は,前記(1)の総所得金額5243万5000円から前記(2)の所得控除の額の合計額505万2650円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 △57万3940円上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの 118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 △57万3940円上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの各金額を差し引いた後の金額である。 ア課税総所得金額に対する税額 1504万1340円上記金額は,前記(3)の課税総所得金額4738万2000円に所得税法 89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 4万2000円上記金額は,前記(1)イの配当所得の金額84万円に所得税法92条1項の規定により100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 ウ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収額 1532万3280円上記金額は,原告P2が平成14年分P2確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (5) 過少申告加算税額 89万0500円上記金額は,平成14年分所得税の更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった税額814万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに国税通則法65条1項の規定に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額81万4000円と,同条2項の規定に基づき,平成14年分P2確定申告書の「還付される税金」欄の金額△871万6530円に源泉徴収金額1532万3280円を加算した金額を当該新たに納付すべきこととなった税額814万2500円から差し引いた金額に相当する P2確定申告書の「還付される税金」欄の金額△871万6530円に源泉徴収金額1532万3280円を加算した金額を当該新たに納付すべきこととなった税額814万2500円から差し引いた金額に相当する額153万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額7万6500円との合計額である。 3 平成15年分(1) 総所得金額 4444万5000円上記金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 0円 上記金額は,別紙5の「更正処分等」欄の「不動産所得の金額」のとおり零円となる。 イ配当所得の金額 54万5000円上記金額は,原告P2が平成16年3月11日に三木税務署長に提出した平成15年分P2確定申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 4390万0000円上記金額は,原告P2が平成15年分P2確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (2) 所得控除の額の合計額 456万8812円上記金額は,原告P2が平成15年分P2確定申告書に記載した社会保険料控除の額140万5812円,小規模企業共済等掛金控除の額84万円,生命保険料控除の額10万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額184万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (3) 課税総所得金額 3987万6000円上記金額は,前記(1)の総所得金額4444万5000円から前記(2)の所得控除の額の合計額456万8812円を控除した後の金額 3) 課税総所得金額 3987万6000円上記金額は,前記(1)の総所得金額4444万5000円から前記(2)の所得控除の額の合計額456万8812円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (4) 納付すべき税額 △51万4130円上記金額は,次のアの金額からイからエまでの各金額を差し引いた後の金額である。 ア課税総所得金額に対する税額 1226万4120円上記金額は,前記(3)の課税総所得金額3987万6000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 2万7250円 上記金額は,前記(1)イの配当所得の金額54万5000円に所得税法92条1項の規定により100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 ウ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収額 1250万1000円上記金額は,原告P2が平成15年分P2確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (5) 過少申告加算税額 102万5500円上記金額は,平成15年分所得税の更正処分により原告P2が新たに納付すべきこととなった税額812万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに国税通則法65条1項の規定に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額81万2000円と,同条2項 税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)を基礎として,これに国税通則法65条1項の規定に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額81万2000円と,同条2項の規定に基づき,平成15年分P2確定申告書の「還付される税金」欄の金額△864万3050円に源泉徴収金額1250万1000円を加算した金額を当該新たに納付すべきこととなった税額812万8900円から差し引いた金額に相当する額427万円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の5の割合を乗じて算出した金額21万3500円との合計額である。 (別紙8)本件P2各通知処分の計算過程 1 平成16年分(1) 総所得金額 4449万5000円総所得金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 0円上記金額は,別紙6の「修正申告」欄の「不動産所得の金額」のとおり零円となる。 イ配当所得の金額 59万5000円上記金額は,原告P2が平成18年1月6日に三木税務署長に提出した平成16年分P2修正申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 4390万0000円上記金額は,原告P2が平成16年分P2修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (2) 分離課税長期譲渡所得金額 36万4686円上記金額は,原告P2が平成16年分P2修正申告書に記載した分離課税長期譲渡所得の金額と同額である。 (3) 所得控除の額の合計額 484万8102円上記金額は 86円上記金額は,原告P2が平成16年分P2修正申告書に記載した分離課税長期譲渡所得の金額と同額である。 (3) 所得控除の額の合計額 484万8102円上記金額は,原告P2が平成16年分P2修正申告書に記載した医療費控除の額47万5860円,社会保険料控除の額121万2242円,小規模企業共済等掛金控除の額84万円,生命保険料控除の額10万円,扶養控除の額184万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (4) 課税所得金額ア課税される総所得金額 3964万6000円上記金額は,前記(1)の総所得金額4449万5000円から前記(3)の所得控除の額の合計額484万8102円を控除した後の金額(ただし,国税 通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 イ課税される分離課税長期譲渡所得金額 36万4000円上記金額は,前記(2)の分離課税長期譲渡所得金額と同額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (5) 納付すべき税額 △67万4510円(△は還付税額を示す。)上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの各金額を差し引いた後の金額である。 ア課税所得金額に対する税額 1223万3620円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の合計額である。 (ア) 課税される総所得金額に対する税額 1217万9020円前記(4)アの課税される総所得金額3964万6000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 (イ) 課税される分離課税長期譲渡所 円前記(4)アの課税される総所得金額3964万6000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 (イ) 課税される分離課税長期譲渡所得金額に対する税額 5万4600円前記(4)イの課税される分離課税長期譲渡所得金額36万4000円に措置法31条1項の税率を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 2万9750円上記金額は,前記(1)イの配当所得の金額59万5000円に所得税法92条1項の規定により100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 ウ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収税額 1262万8380円 上記金額は,原告P2が平成16年分P2修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 2 平成17年分(1) 総所得金額 4185万9000円上記金額は,次のアからウまでの各金額の合計額である。 ア不動産所得の金額 0円上記金額は,別紙6の「確定申告」欄の「不動産所得の金額」のとおり零円となる。 イ配当所得の金額 69万5000円上記金額は,原告P2が平成18年3月13日に三木税務署長に提出した平成17年分P2確定申告書に記載した配当所得の金額と同額である。 ウ給与所得の金額 4116万4000円上記金額は,原告P2が平成17年分P2確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (2) 分離課税株式等の譲渡所得 ウ給与所得の金額 4116万4000円上記金額は,原告P2が平成17年分P2確定申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 (2) 分離課税株式等の譲渡所得 0円上記金額は,原告P2が平成17年分P2確定申告書に記載した分離課税株式等の譲渡所得の金額と同額である。 (3) 所得控除の額の合計額 420万4116円上記金額は,原告P2が平成17年分P2確定申告書に記載した社会保険料控除の額129万1116円,小規模企業共済等掛金控除の額84万円,生命保険料控除の額10万円,損害保険料控除の額3000円,扶養控除の額159万円及び基礎控除の額38万円の合計額と同額である。 (4) 課税総所得金額 3765万4000円上記金額は,前記(1)の総所得金額4185万9000円から前記(3)の所得控除の額の合計額420万4116円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)で ある。 (5) 納付すべき税額 △47万0870円(△は還付税額を示す。)上記金額は,次のアの金額から,イからエまでの各金額を差し引いた後の金額である。 ア課税総所得金額に対する税額 1144万1980円上記金額は,前記(4)の課税総所得金額3765万4000円に所得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 3万4750円上記金額は,前記(1)イの配当 得税法89条1項の税率(負担軽減措置法4条の特例を適用したもの)を乗じて算出した金額である。 イ配当控除の金額 3万4750円上記金額は,前記(1)イの配当所得の金額69万5000円に所得税法92条1項の規定により100分の5の割合を乗じて算出した金額である。 ウ定率減税額 25万0000円上記金額は,負担軽減措置法6条2項の規定により算出した定率減税額である。 エ源泉徴収税額 1162万8100円上記金額は,原告P2が平成17年分P2確定申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 (別紙10)関連会社及び契約内容等(P1) 1 関連会社について(1) P4証券P4証券は,ドイツ連邦共和国所在のP25銀行を親会社として,日本におけるP25銀行グループの証券業務の中核を担うものとして,昭和61年に設立された。 本件において,P4証券は,原告らを含む日本人投資家との間でファイナンシャル・アドバイザリー契約を締結し,投資家に対して投資事業プログラム「DOIT」(本件スキーム)の紹介及び提供等をし,その対価としての報酬を受領していた。 なお,平成15年12月ころ,P4証券は,リストラクチャリングの一環として,P4証券のスペシャル・プロダクト部門(旧金融商品開発部門)における営業を終了し,同証券のDOITプログラムにおける役務提供を含む資産コンサルティング部門の営業を,P10に営業譲渡した。 (2) P5銀行P5銀行は,ルクセンブルク大公国の法律に基づき設立された同国所在の法人である。 P5銀行は,本件基本信託契約(P)において,受託銀行(受託者)とさ した。 (2) P5銀行P5銀行は,ルクセンブルク大公国の法律に基づき設立された同国所在の法人である。 P5銀行は,本件基本信託契約(P)において,受託銀行(受託者)とされている。 また,本件において,P5銀行は,本件LPS(P)のリミテッド・パートナーとして,本件GP(P)との間で本件LPS契約(P)を締結した。 (3) 本件GP(P)(P6)本件GP(P)は,米国デラウェア州所在の有限責任会社(LLC)である。 本件において,本件GP(P)は,本件LPS(P)のゼネラル・パートナーとして,リミテッド・パートナーであるP5銀行との間で本件LPS契約(P) を締結した。 (4) 本件LPS(P)(P22)本件LPS(P)は,本件LPS法に基づき,本件GP(P)をゼネラル・パートナー,P5銀行をリミテッド・パートナーとして組成された米国のLPSである。 本件LPS(P)は,P7との間の本件売買契約(P)における買主であり,また,本件土地賃貸借契約(P)における借主である。 (5) P7P7は,米国デラウェア州所在のLPSである。 P7は,本件売買契約(P)における売主であり,また,本件土地賃貸借契約(P)における貸主である。 (6) P8P8は,米国デラウェア州所在の法人である。 本件において,P8は,本件LPS(P)に対し,本件建物(P)の購入資金として537万ドルを融資している。 (7) P9P9は,米国コロンビア特別区所在の法人である。 本件において,P9は,本件LPS(P)との間の本件管理契約(P)による本件不動産(P)の賃貸に係る管理・運営業務を行う管 P9P9は,米国コロンビア特別区所在の法人である。 本件において,P9は,本件LPS(P)との間の本件管理契約(P)による本件不動産(P)の賃貸に係る管理・運営業務を行う管理者である。 (8) P10P10は,平成15年7月17日に設立され,P4証券より,同年末に,その資産コンサルティング部門を営業譲渡された。 P10は,P4証券から原告P1のファイナンシャル・アドバイザーとしての業務の譲渡を受け,原告P1との間で本件新アドバイザリー契約(P)を締結し,それに基づいて,原告P1のファイナンシャル・アドバイザーに就任した。 (9) P11銀行P11銀行は,米国の法律に基づいて設立された米国西海岸最大の信託銀行である。 本件において,P11銀行は,P5銀行から本件LPS(P)のパートナーシップ持分を譲り受けた,本件新信託契約(P)における受託者である。 2 契約内容等について(1) 本件アドバイザリー契約(P)(契約①)本件アドバイザリー契約(P)は,原告P1とP4証券の間で締結された,原告P1のファイナンシャル・アドバイザーとしてのP4証券が提供する役務の内容等に関する契約である。 (2) 本件基本信託契約(P)(契約②)本件基本信託契約(P)は,委託者兼受益者である原告P1と受託銀行であるP5銀行の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア原信託財産の拠出投資家(原告P1)は,P5銀行がその資格で預金受け入れ銀行に開設した口座(エスクロー口座)に,本件建物(P)に対する投資となるドルで一定金額(以下「現金資産(P)」という。)を拠出することを約定した,若しくは約定する予定である。 資格で預金受け入れ銀行に開設した口座(エスクロー口座)に,本件建物(P)に対する投資となるドルで一定金額(以下「現金資産(P)」という。)を拠出することを約定した,若しくは約定する予定である。 投資家は,P5銀行との間でこの信託契約(本件基本信託契約(P))を締結し,それに基づきP5銀行が,リミテッド・パートナーとして,投資家の固有の危険と単独の利益において,本件LPS契約(P)を締結して本件LPS(P)に現金資産(P)を拠出するため,現金資産(P)をP5銀行に譲渡するよう指図することを約定した,若しくは約定する予定である。 投資家は,随時,P5銀行に,現金資産(P)を原信託財産として譲渡し,原信託財産をここに定めるとおり当てることを欲し,P5銀行は,かかる 譲渡を受け,原信託財産を当てて,ここに定めるその義務を果たす用意がある。 イ受託銀行の任命(1条)投資家は,これにより,本契約に定める投資家のために受託する者として行動する「受託銀行」を任命し,「受託銀行」は,この任命を受託する。 原信託財産の譲渡は,この基本信託契約の条件に従う。 ウ原信託財産の譲渡(2条)投資家は,P5銀行が承認する様式の通知書(以下「譲渡・指図通知書(P)」という。)により,P5銀行に対して現金資産(P)の譲渡を承諾するよう要求することができる。かかる譲渡は,全て投資家,投資家の代理人としてのP4証券とP5銀行の間で合意した日(以下「クロージング日(P)」という。)に行うものとする。 エ原信託財産の保有(3条)クロージング日(P)以降,P5銀行は,原信託財産をP5銀行の名義で,しかし投資家自身のために,また投資家自身の危険負担と利益において保有する。 オ本 信託財産の保有(3条)クロージング日(P)以降,P5銀行は,原信託財産をP5銀行の名義で,しかし投資家自身のために,また投資家自身の危険負担と利益において保有する。 オ本件LPS(P)に対する出資(4.1条)投資家は,譲渡・指図通知書(P)により,P5銀行に対し,本件LPS(P)のパートナーシップ持分の発行と引き換えに,リミテッド・パートナーとして,当該譲渡・指図通知書に定める現金資産(P)を本件LPS(P)に拠出するよう指図する。 カパートナーシップ持分等の保有(4.4条)本件LPS(P)によりP5銀行に対し発行された上記オのパートナーシップ持分及びそれから発生する全ての所得は,P5銀行がその名義で,専らその受託銀行としての資格において,ただし投資家のために,及び専ら投資家の危険負担と利益において,信託財産として保有する。 キ本件LPS(P)の運営(5.1条)本件LPS(P)は,本件GP(P)が運営を行い,P5銀行は,本件LPS(P)に関するいかなる業務運営の遂行,また引き受けの義務を負わない。 本件GP(P)は,とりわけ本件建物(P)の管理(本件建物(P)の入居者とP9の関係を含む),適用法令の遵守,並びに本件建物(P)の売却(買手の選別,売却価格の交渉を含む)に責任を負う。 ク議決権(5.2条)パートナーシップ持分の議決権行使を求められた場合,P5銀行は,パートナーシップ持分の議決権の行使方法につき,投資家からの指図を求めるものとする。P5銀行は,かかる指図が法令等に違反する場合,同銀行に支払を負わせる場合又は同銀行が費用,経費,若しくは損失を被るおそれがある場合には,かかる指図に従うことを拒否することができる めるものとする。P5銀行は,かかる指図が法令等に違反する場合,同銀行に支払を負わせる場合又は同銀行が費用,経費,若しくは損失を被るおそれがある場合には,かかる指図に従うことを拒否することができる。本条項は,指図がかかる違反を含むか否かを確認する義務を課すものと解釈してはならない。P5銀行の合理的な意見により,同銀行の利益を保護する必要がある場合には,さらに,同銀行は,投資家の指図を拒否する権利,及び,あらゆる場合に,パートナーシップ持分に与えられた議決権を行使し,又は行使しない権利を有する。 パートナーシップ持分に付随する議決権行使のために,投資家又はその指図人に対し委任状を発行することを,投資家がP5銀行に対して要請してはならないことが明示的に合意された。 ケ分配(5.4条)パートナーシップ持分に関してP5銀行が受領した,あらゆる配当,及びその他の分配の純額は,P5銀行がその資金(fullyclearedfund)を受領した後,2営業日後の価額で,専ら投資家がP5銀行に有する銀行口座に振り込まれる。本件LPS(P)の追加パートナーシップ持分の分配の場合は,P5銀行が,かかるパートナーシップ持分を,この取り決めに従 い信託財産として保有する。 コ監視の義務の不存在(5.7条)投資家は,P5銀行が,本件GP(P)の作為若しくは不作為を監視し,又は本件建物(P)の状況(法律及び規制状況を含む)を監視する義務を負わないことを,了解し,合意した。 サ本契約の期間(14.1条)本契約は,7年の確定期間(FixedDuration)を有する。ただし,各当事者は,書面による3か月前の事前通知により,確定期間中に本契約を終了することができる。いずれかの当事者により書面による1か月前の 7年の確定期間(FixedDuration)を有する。ただし,各当事者は,書面による3か月前の事前通知により,確定期間中に本契約を終了することができる。いずれかの当事者により書面による1か月前の事前通知により終了されない限り,本契約はその後無期限に存続する。ただし,P5銀行は,確定期間終了後は,投資家に対し,1か月前の書面による事前通知により,随時辞任することができる。 シ準拠法(16.1条)本契約は,ルクセンブルク法,特に金融機関の信託契約に関する,1983年7月19日付けの大公勅令に準拠し,それに従って解釈されるものとする。 (3) 本件LPS契約(P)(契約③)本件LPS契約(P)は,2002年(平成14年)3月28日付けで,本件LPS(P)のリミテッド・パートナーであるP5銀行及びゼネラル・パートナーである本件GP(P)の間で締結された契約である。 (4) 本件売買契約(P)(契約④)本件売買契約(P)は,本件建物(P)の本件LPS(P)への売却等に関し,2002年(平成14年)3月28日付けで,本件土地(P)の地主であるP7及び借地人である本件LPS(P)の間で締結された契約である。 (5) 本件土地賃貸借契約(P)(契約⑤)本件土地賃貸借契約(P)は,本件土地(P)の本件LPS(P)への賃貸借に関 し,2002年(平成14年)3月28日付けで,本件土地(P)の地主であるP7及び借地人である本件LPS(P)の間で締結された契約である。 (6) 本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)(契約⑥)本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)は,本件売買契約(P)を始めとする,本件不動産賃貸事業(P 売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)(契約⑥)本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(P)は,本件売買契約(P)を始めとする,本件不動産賃貸事業(P)に関し,2002年(平成14年)3月28日付けで,本件建物(P)の売主であるP7及び買主である本件LPS(P)の間で締結された契約である。 (7) 本件管理契約(P)(契約⑦)本件管理契約(P)は,本件不動産(P)の賃貸に係る管理・運営業務に関し,平成14年3月28日付けで,本件建物(P)の所有者である本件LPS(P)及び本件不動産(P)の賃貸に係る管理者であるP9の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア代理権の内容(1条)本件LPS(P)は,本件不動産(P)を賃貸し,運営し,管理するために,その代理人として,本件管理契約(P)に定める条件で,本件管理契約(P)に定められた期間(開始日:2002年(平成14年)3月28日から同終了日:2009年(平成21年)3月27日までの7年間),P9を専属的に雇用する。ただし,上記期間が終了する60日前までに,当事者の一方が相手方に本契約を終了する旨の通知をしない限り,当該期間は,その後2年間自動的に更新される。更新後においてもその期間が終了する30日前までに,当事者の一方が相手方に本契約を終了する旨の通知をしないときも同様とする。 イ本件土地賃貸借契約に関する事項(2条)本件LPS(P)は,次の目的のためにP9を雇用する。 (ア) 本件土地賃貸借契約(P)の4条(g)に定めるあらゆる報告書の作成 (イ) 本件土地賃貸借契約(P)の4条(h),(i)及び(j)に定める支払等の実行(ウ) 本件土地賃貸借 (ア) 本件土地賃貸借契約(P)の4条(g)に定めるあらゆる報告書の作成 (イ) 本件土地賃貸借契約(P)の4条(h),(i)及び(j)に定める支払等の実行(ウ) 本件土地賃貸借契約(P)の7条に定める保険の契約(エ) 本件土地賃貸借契約(P)の6条(a),17条(d)に定める通知の連絡等ウ本件建物(P)の賃貸に関する事項(3条)P9は,本件管理契約(P)に基づき,本件建物(P)の管理,リース,運営及び運用を行うため本件建物(P)を管理する。P9は,本件管理契約(P)に従い,忠実に合理的な努力及び慎重な管理業務を行う。 ただし,本件LPS(P)は,P9が本件建物(P)の経済的な実績の保証人ではないことを承認する。 P9が履行する業務は,以下のとおりである。 (ア) リースの交渉(イ) 予算及び月次報告(ウ) 資金管理(エ) 管理者従業員の保証(オ) 追加の財政報告エ権限の賦与(4条)本件LPS(P)は,本件管理契約(P)により,P9に以下の権限を賦与し,承認済み予算に適ったその費用及び経費を負担する。 (ア) 本物件の賃貸について広告等する権限(イ) 本物件の賃貸借に関する法的手続をする権限(ウ) 本物件の修理等に関する権限(エ) 本物件の管理運営に従事する従業員の雇用,監督等に関する権限(オ) 従業員を専属的に従事させる権限(カ) 電気,ガス等の供給サービス等必要,適切な契約を締結する権限オ免責と免除(5条)本件LPS(P)及びP9は,それぞれの契約違反,故意又は重大な過失 による損害等を相互に免責する。 カ準拠法(6条)本契約は,法の抵触の規定にかかわらず,あら 本件LPS(P)及びP9は,それぞれの契約違反,故意又は重大な過失 による損害等を相互に免責する。 カ準拠法(6条)本契約は,法の抵触の規定にかかわらず,あらゆる点においてカリフォルニア州法に基づき,準拠し,解釈する。 (8) 本件新アドバイザリー契約(P)(契約⑧)本件新アドバイザリー契約(P)は,原告P1及びP10の間で締結された,原告P1のファイナンシャル・アドバイザーとしてのP10の提供する役務の内容等に関する契約である。 (9) 本件新信託契約(P)(契約⑨)本件新信託契約(P)は,委託者兼受益者である原告P1及び受託者であるP11銀行の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア本件新信託契約(P)の目的(前文)この契約により,委託者(原告P1。以下同じ。)は,P11銀行に,列挙した財産(P5銀行が所有していた本件LPS(P)パートナーシップ持分。以下同じ。)を移転する。P11銀行は,本証書(本件新信託契約(P))に記載された条件に基づく信託で受領した全ての財産を保有するものとする。 イ初期資産(2.1条)信託の初期資産は,本件LPS(P)に対するパートナーシップ持分を含むものとする。 ウ分配(2.3条)(a)P11銀行が自らの裁量のみで得策と考える場合又は(b)委託者により書面で指示された場合は,P11銀行は,委託者に対し,信託が受領し又は保有する純分配可能額の全部又は一部を分配するものとする。「純分配可能額」は(a)パートナーシップ利益に関してP11銀行が受領した金 額又は(b)2.7条に準拠してP11銀行が受領した売上金の金額のいずれかの金額を意味 部を分配するものとする。「純分配可能額」は(a)パートナーシップ利益に関してP11銀行が受領した金 額又は(b)2.7条に準拠してP11銀行が受領した売上金の金額のいずれかの金額を意味する。 エ議決権(2.6条)パートナーシップ持分に関して議決を求められた場合,P11銀行は,委託者に対しパートナーシップ持分に関していかに議決すべきか指示を求めるものとし,以下の条文に従い,その指示に従うものとする。P11銀行は,指示が法令等への違反を含む場合,同銀行が支払を行う義務を負う場合,同銀行が個人的にコスト等を引き受けることになる場合には委託者の議決指示に従うことを拒絶することができる。 前文にかかわらず,P11銀行は,議決指示が前文で述べられた論点又は問題を発生させるか否か確定する積極的義務を負わないものとする。さらに,P11銀行は,相応の意見において同銀行の権利を保護するために必要である場合には委託者の指示を拒絶する権利,及びいかなる状況においてもパートナーシップ持分に付随した議決権を行使し又は行使を控える権利を有する。委託者は,パートナーシップ持分に付与された議決権の行使にあたり,P11銀行に対して,自己宛の又は自己が指示する内容の委任状を発行するよう求めてはならない。 オパートナーシップ持分の保有及び売却(2.7条)P11銀行は,信託が終了する時まで,又は委託者がP11銀行に対して本項の残りの規定に従って当該資産を売却するよう指示する時まで,信託の資産を分散投資する義務を負うことなくパートナーシップ持分を保持するものとする。パートナーシップ契約及び適用可能な法律に従い,及び以下の文に従い,委託者は,いかなる時でもP11銀行に対しパートナーシップ持分の全てを指示した購入者に指示した価格及び プ持分を保持するものとする。パートナーシップ契約及び適用可能な法律に従い,及び以下の文に従い,委託者は,いかなる時でもP11銀行に対しパートナーシップ持分の全てを指示した購入者に指示した価格及び指示した条件で売却することを指示することができる。パートナーシップ持分のいずれかの売却と関連して,P11銀行は,(i)受託者がパートナーシップ持分の法 的所有者であること,(ii)パートナーシップの契約の規定に従いP11銀行はパートナーシップ持分を売却する権原を与えられていること以外に,何らかの説明又は保証を購入者に与えるなどの義務を負わないものとする。 カ信託の終了(3.1条)1.1条(委託者の解約権についての規定)に従う取消し又は全ての信託財産の売却及び分配の結果としての早期終了ではない場合,信託は,(a)本証書の実施日付から10年後,(b)委託者の死亡のうちいずれか早期の時点で終了するものとする。 上記(a)の場合,P11銀行は全ての信託を委託者に分配するものとする。上記(b)の場合,P11銀行は全ての信託を承継委託者に交付するものとする。 キ準拠法(8.1条)本証書の有効性,解釈及びそれによって創設される信託の管理並びに分配に関しては,争訟に関する法律を除き,米国カリフォルニア州法を準拠法とする。 (10) P5銀行に係る本件LPS(P)のパートナーシップ持分の譲渡に関する契約(契約⑩)P5銀行に係る本件LPS(P)のパートナーシップ持分の譲渡に関する契約は,譲渡人であるP5銀行及び譲受人であるP11銀行との間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア事実の説明P5銀行は,本件LPS(P)のリミテッド・パート 譲渡人であるP5銀行及び譲受人であるP11銀行との間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア事実の説明P5銀行は,本件LPS(P)のリミテッド・パートナーであり,本譲渡される持分を持っている。 P5銀行は,ルクセンブルクの法律に準拠した信託契約により,受益者(原告P1)のために受託者として,本譲渡される持分を保有している。 受益者の指示に従い,P5銀行は,本譲渡される持分を譲受人に譲渡し, パートナーシップから脱退するため,本譲渡証書を作成する。 受益者の指示に従い,譲受人は,本譲渡される持分を受け入れ,譲渡人の代わりに代替リミテッド・パートナーとしてパートナーシップへの参加の承認を受けるため,本譲渡証書を作成する。 イ譲渡(2条)P5銀行は,本譲渡証書により譲渡される持分における同銀行の権利,権原,持分の全てをP11銀行に売却,割当,委譲,譲渡する。P11銀行は,本譲渡証書による譲渡を受け入れ,パートナーシップにおいてP5銀行に代わって受益者のために,信託の受託者として譲受人に認められる範囲で,代替リミテッド・パートナーとなることに同意する。譲渡される持分の受益所有権は,本譲渡証書の如何にかかわらず,引き続き受益者に与えられる旨,承認されている。 ウ代替リミテッド・パートナーとしての任命(4条)本譲渡証書の日付において,P11銀行は,本譲渡証書により譲渡される持分に関し,パートナーシップに対してP5銀行と同じ権利と出資率を持つ代替リミテッド・パートナーとして認められる。 エ脱退(5条)本譲渡証書の日付において,本譲渡証書3条によりパートナーシップに対してP11銀行が任命された後直 利と出資率を持つ代替リミテッド・パートナーとして認められる。 エ脱退(5条)本譲渡証書の日付において,本譲渡証書3条によりパートナーシップに対してP11銀行が任命された後直ちに,P5銀行は,パートナーシップから脱退し,パートナーシップにおけるリミテッド・パートナーではなくなる。 オ脱退と代替の効果(6条)前記の2条に規定されているように,本譲渡証書による譲渡は,譲渡される持分の受益所有権には影響せず,受益者は譲渡される持分の受益権所有者のままである。 カ権利放棄と同意(8条) ゼネラル・パートナーである本件GP(P)は,本譲渡証書において,(i)P5銀行からP11銀行への本譲渡される持分の譲渡,(ii)P5銀行のパートナーシップからの脱退,(iii)代替リミテッド・パートナーとしてのP11銀行のパートナーシップへの参加,に同意する。 本件GP(P)は,本譲渡証書に署名している。 (別紙12)関連会社及び契約内容等(P2) 1 関連会社について(1) P4証券別紙10関連会社及び契約内容等(P1)1(1)記載のとおり(2) P5銀行P5銀行は,ルクセンブルク大公国の法律に基づき設立された同国所在の法人である。 本件基本信託契約(C)において,P5銀行は,受託銀行とされている。 また,本件において,P5銀行は,本件LPS(C)のリミテッド・パートナーとして,P12と共に,本件GP(C)との間で本件LPS契約(C)を締結した。 (3) P12P12は,英国領ケイマン諸島の法令に基づいて設立された同島所在の法人であり,いわゆる不動産ヘッジファンドである。 本件において,P12は,本件LP )を締結した。 (3) P12P12は,英国領ケイマン諸島の法令に基づいて設立された同島所在の法人であり,いわゆる不動産ヘッジファンドである。 本件において,P12は,本件LPS(C)のリミテッド・パートナーとしてP5銀行と共に,本件GP(C)との間で本件LPS契約(C)を締結した。 (4) 本件GP(C)(P13)本件GP(C)は,米国デラウェア州所在の有限責任会社(LLC)である。 本件において,本件GP(C)は,本件LPS(C)のゼネラル・パートナーとして,リミテッド・パートナーであるP5銀行及びP12との間で本件LPS契約(C)を締結した。 (5) 本件LPS(C)(P23)本件LPS(C)は,本件LPS法に基づき,本件GP(C)をゼネラル・パートナー,P5銀行及びP12をリミテッド・パートナーとして組成された米国のLPSである。 本件LPS(C)は,P14との間の本件売買契約(C)における買主であり,また,本件土地賃貸借契約(C)における借主である。 (6) P14P14は,米国カリフォルニア州所在のLPSである。 P14は,本件LPS(C)との間の本件売買契約(C)における売主であり,また,本件土地賃貸借契約(C)における貸主である。 (7) P15P15は,米国カリフォルニア州所在のLPSである。 本件において,P15は,本件LPS(C)に対し,本件建物(C)の購入資金として241万4900ドルを融資している。 (8) P16P16は,米国デラウエア州所在の法人である。 本件において,P16は,本件LPS(C)に対し,本件建物(C)の購入資金として3285万ドルを融資している。 (9) P17P17は P16は,米国デラウエア州所在の法人である。 本件において,P16は,本件LPS(C)に対し,本件建物(C)の購入資金として3285万ドルを融資している。 (9) P17P17は,米国カリフォルニア州所在の法人である。 本件において,P17は,本件LPS(C)との間の本件管理契約(C)による本件不動産(C)の賃貸に係る管理・運営業務を行う管理者である。 (10) P10P10は,平成15年7月17日に成立され,P4証券より,同年末に,その資産コンサルティング部門を営業譲渡された。 P10は,P4証券から原告P2のファイナンシャル・アドバイザーとしての業務の譲渡を受け,日本人投資家との間で本件新アドバイザリー契約(C)を締結し,それに基づいて,投資家のファイナンシャル・アドバイザーに就任した。 なお,P10は,P12の日本における子会社である。 (11) P11銀行P11銀行は,米国の法律に基づいて設立された米国西海岸最大の信託銀行である。 本件において,P11銀行は,P5銀行から本件LPS(C)のパートナーシップ持分を譲り受けた,本件新信託契約(C)における受託者である。 2 契約内容等について(1) 本件アドバイザリー契約(C)(契約①)本件アドバイザリー契約(C)は,原告P2とP4証券の間で締結された,原告P2のファイナンシャル・アドバイザーとしてのP4証券が提供する役務の内容等に関する契約である。 (2) 本件基本信託契約(C)(契約②)本件基本信託契約(C)は,委託者兼受益者である原告P2と受託銀行であるP5銀行の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア原信託財産の拠出投資家(原告P2)は,P5銀行がその資格で (C)は,委託者兼受益者である原告P2と受託銀行であるP5銀行の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア原信託財産の拠出投資家(原告P2)は,P5銀行がその資格で預金受け入れ銀行に開設した口座(エスクロー口座)に,本件建物(C)に対する投資となるドルで一定金額(以下「現金資産(C)」という。)を拠出することを約定した,若しくは約定する予定である。 投資家は,P5銀行との間でこの信託契約(本件基本信託契約(C))を締結し,それに基づきP5銀行が,リミテッド・パートナーとして,投資家の固有の危険と単独の利益において,本件LPS契約(C)を締結して本件LPS(C)に現金資産(C)を拠出するため,現金資産(C)をP5銀行に譲渡するよう指図することを約定した,若しくは約定する予定である。 投資家は,随時,P5銀行に,現金資産(C)を信託財産(以下「原信託財産」という。)として譲渡し,原信託財産をここに定めるとおり当てること を欲し,P5銀行は,かかる譲渡を受け,原信託財産を当てて,ここに定めるその義務を果たす用意がある。 イ受託銀行の任命(1条)投資家は,これにより,本契約に定める投資家のために受託する者として行動する「受託銀行」を任命し,「受託銀行」は,この任命を受諾する。 原信託財産の譲渡は,この基本信託契約の条件に従う。 ウ原信託財産の譲渡(2条)投資家は,随時,P5銀行が承認する様式の通知書(以下「譲渡・指図通知書(C)」という。)により,P5銀行に対して現金資産(C)の譲渡を承諾するように要求することができる。かかる譲渡は,全て投資家,投資家の代理人としてのP4証券とP5銀行の間で合意した日(以下「クロージング日(C)」という。)に行うものとする。 エ原 渡を承諾するように要求することができる。かかる譲渡は,全て投資家,投資家の代理人としてのP4証券とP5銀行の間で合意した日(以下「クロージング日(C)」という。)に行うものとする。 エ原信託財産の保有(3条)クロージング日(C)以降,P5銀行は,原信託財産をP5銀行の名義で,しかし投資家自身のために,また投資家自身の危険負担と利益において保有する。 オ本件LPS(C)に対する出資(4.1条)投資家は,譲渡・指図通知書(C)により,P5銀行に対し,本件LPS(C)のパートナーシップ持分の発行と引き換えに,リミテッド・パートナーとして,当該譲渡・指図通知書に定める現金資産(C)を本件LPS(C)に拠出するよう指図する。 カパートナーシップ持分等の保有(4.4条)本件LPS(C)によりP5銀行に対し発行された上記オのパートナーシップ持分,及びそれから発生する全ての所得は,P5銀行がその名義で,専らその受託銀行としての資格において,ただし投資家のために,及び専ら投資家の危険負担と利益において,信託財産として保有する。 キ本件LPS(C)の運営(5.1条)本件LPS(C)は,本件GP(C)が運営を行い,P5銀行は,本件LPS(C)に関するいかなる運営業務の遂行,また引き受けの義務を負わない。 本件GP(C)は,とりわけ本件建物(C)の管理(本件建物(C)の入居者とP17の関係を含む),適用法令の遵守,並びに本件建物(C)の売却(買手の選別,売却価格の交渉を含む)に責任を負う。 ク議決権(5.2条)パートナーシップ持分の議決権行使を求められた場合,P5銀行は,パートナーシップ持分の議決権の行使方法につき,投資家からの指図を求めるものとする。P5銀行は,かかる指図が法令等 決権(5.2条)パートナーシップ持分の議決権行使を求められた場合,P5銀行は,パートナーシップ持分の議決権の行使方法につき,投資家からの指図を求めるものとする。P5銀行は,かかる指図が法令等に違反する場合,同銀行に支払を負わせる場合又は同銀行が費用,経費,若しくは損失を被るおそれがある場合には,かかる指図に従うことを拒否することができる。本条項は,指図がかかる違反を含むか否かを確認する義務を課すものと解釈してはならない。 P5銀行の合理的な意見により,同銀行の利益を保護する必要がある場合には,さらに,同銀行は,投資家の指図を拒否する権利,及び,あらゆる場合に,パートナーシップ持分に与えられた議決権を行使し,又は行使しない権利を有する。 パートナーシップ持分に付随する議決権行使のために,投資家又はその指図人に対し委任状を発行することを,投資家がP5銀行に対して要請してはならないことが明示的に合意された。 ケ分配(5.4条)パートナーシップ持分に関してP5銀行が受領した,あらゆる配当,及びその他の分配の純額は,P5銀行がその資金(fullyclearedfund)を受領した後,2営業日後の価額で,専ら投資家がP5銀行に有する銀行口座に振り込まれる。本件LPS(C)の追加パートナーシップ持分の分配の場合は,P5銀行が,かかるパートナーシップ持分を,この取り決めに従い信託財産 として保有する。 コ監視の義務の不存在(5.7条)投資家は,P5銀行が,本件GP(C)の作為若しくは不作為を監視し,又は本件建物(C)の状況(法律及び規制状況を含む)を監視する義務を負わないことを,了解し,合意した。 サ本契約の期間(14条)本契約は,7年の確定期間を有する。ただし,各当事者は,書面による 件建物(C)の状況(法律及び規制状況を含む)を監視する義務を負わないことを,了解し,合意した。 サ本契約の期間(14条)本契約は,7年の確定期間を有する。ただし,各当事者は,書面による3か月前の事前通知により,確定期間中に本契約を終了することができる。いずれかの当事者により書面による1か月前の事前通知により終了されない限り,本契約はその後無期限に存続する。ただし,P5銀行は,確定期間終了後は,投資家に対し,1か月前の書面による事前通知により,随時辞任することができる。 シ準拠法(16.1条)本契約は,ルクセンブルク法,特に金融機関の信託契約に関する,1983年7月19日付けの大公勅令に準拠し,それに従って解釈するものとする。 (3) 本件LPS契約(C)(契約③)本件LPS契約(C)は,2000年(平成12年)12月19日付けで,本件LPS(C)のリミテッド・パートナーであるP5銀行及びP12並びにゼネラル・パートナーである本件GP(C)の間で締結された契約である。 (4) 本件売買契約(C)(契約④)本件売買契約(C)は,本件建物(C)の本件LPS(C)への売却等に関し,2000年(平成12年)12月22日付けで,本件土地(C)の地主であるP14及び借地人である本件LPS(C)の間で締結された契約である。 (5) 本件土地賃貸借契約(C)(契約⑤)本件土地賃貸借契約(C)は,本件土地(C)の本件LPS(C)への賃貸借に関し,2000年(平成12年)12月22日付けで,本件土地(C)の地主であるP 14及び借地人である本件LPS(C)の間で締結された契約である。 (6) 本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(C)(契約⑥)本件売買契約,リース及び共同エスクロ 14及び借地人である本件LPS(C)の間で締結された契約である。 (6) 本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(C)(契約⑥)本件売買契約,リース及び共同エスクロー指示に関する契約(C)は,本件売買契約(C)を始めとする,本件不動産賃貸事業(C)に関し,2000年(平成12年)12月19日付けで,本件建物(C)の売主であるP14及び買主である本件LPS(C)の間で締結された契約である。 (7) 本件管理契約(C)(契約⑦)本件管理契約(C)は,本件不動産(C)の賃貸に係る管理・運営業務に関し,2000年(平成12年)12月22日付けで,本件建物(C)の所有者である本件LPS(C)及び本件不動産(C)の賃貸に係る管理者であるP17の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア P17の業務内容P17は,本件不動産(C)の賃貸業務を管理,運営,監督することを望み,本契約(本件管理契約(C))に従った本件LPS(C)の指示により,全て本件LPS(C)を代理して,本契約に規定する取引条件に従って,貸地人であるP14に対して本件土地賃貸借契約(C)に基づき本件LPS(C)の債務を履行することを望んでいる。 本件LPS(C)は,P17を雇い本件不動産(C)の賃貸業務の管理,運営,監督を行わせることを望み,本契約の条件に従った本件LPS(C)の指示により,全て本件LPS(C)を代理して,本契約に規定する取引条件に従って,P14に対して本件土地賃貸借契約(C)に基づき本件LPS(C)の債務を履行することを望んでいる。 イ管理者の権限及び義務(4.01項)本契約の条項を条件として,P17は,本契約の条件に従って,本件不動産(C)の賃貸借,運営,監督,維持及び管理する専属 務を履行することを望んでいる。 イ管理者の権限及び義務(4.01項)本契約の条項を条件として,P17は,本契約の条件に従って,本件不動産(C)の賃貸借,運営,監督,維持及び管理する専属的な権限,権利,権能及び義務があるものとする。本契約にこれと異なる規定のある場合を除き, 本契約に基づき及び年間事業計画又は承認予算に従って,P17によって正式に負担された債務又は費用は,本件LPS(C)のために,本件LPS(C)の勘定で,本件LPS(C)に代わって,本件LPS(C)の総支出とすることとし,P17は,自分の資金をその支払に充てることを要求されない。また,当該費用及び債務を支払うに足る営業利益が常時存在する限り,本件LPS(C)は当該あらゆる費用及び債務を負担し支払うことに明示的に同意する。 ウ賃料及び料金の集金(4.04項)P17は,賃料等を徴収する特定の権限を有する。 P17は,本件不動産(C)の入居希望者に関して通常の信用調査を行い,それに関する合理的な申込費用を請求するものとする。入居希望者又は本件不動産(C)の既存の入居者によってP17に払われる全ての申込費用は,本件LPS(C)のために信託口座(6.01項に規定される)に預けられるものとする。 エ保証金(4.05項)カリフォルニア州法によって課される規制を条件として,6項に従って,P17は,保証金を徴収し,当該資金を本件LPS(C)によって適宜指定される口座又は複数の口座に預ける権利及び義務を有する。契約満了時に請求された場合,P17は入居者の保証金を返金する権限を有する。 オ賃貸人の義務(5.02項)P17は,当該賃貸借契約が常に有効で,P17の行為又は怠慢を理由として賃貸人である本件LPS(C)に対して契約不履行の主張が 者の保証金を返金する権限を有する。 オ賃貸人の義務(5.02項)P17は,当該賃貸借契約が常に有効で,P17の行為又は怠慢を理由として賃貸人である本件LPS(C)に対して契約不履行の主張が行われないように,本件LPS(C)に代わって各賃貸借契約に基づく本件LPS(C)の全ての義務を実行することに同意し,P17は各賃貸借契約及び変更禁止規則を厳密に実施することに同意する。 カ徴収及び銀行口座(6.01項)P17は,本契約に従って本件不動産(C)から得られる全ての金額(入居 者の保証金を含む)を本件LPS(C)に承認された銀行にP17が開設した信託口座(以下「信託口座(C)」という。)に毎日預けるものとする。信託口座(C)の全ての資金は,常に本件LPS(C)の独占的資産であるものとし,他のどのプロジェクトの口座の資金又はP17の資金と混同されないものとする。本契約によって要求され信託口座(C)に預金された全ての資金は,P17の管理下にあり,そうあり続けるものとする。 キ報告書(6.02項)P17は,本契約の期間中各月15日又はそれ以前に,本件不動産(C)の前月の運営に関する本件不動産(C)の個別報告書を本件LPS(C)及びP4証券に配布するものとする。 ク管理手数料(8.01項)本件LPS(C)は,本契約に基づく管理者としてのサービスに対して当初期間及び更新期間(月の中途の場合適切に按分)の各月の20日に後払で,管理手数料の支払期日の前月の月次営業利益の3パーセントに相当する額を管理手数料としてP17に支払うことに同意する。 ケ準拠法(11.06項)本契約は,法原則間の矛盾にかかわらず,カリフォルニア州内で全面的に実行される契約に適用可能なカリフォルニア州法に従って作成した てP17に支払うことに同意する。 ケ準拠法(11.06項)本契約は,法原則間の矛盾にかかわらず,カリフォルニア州内で全面的に実行される契約に適用可能なカリフォルニア州法に従って作成したものとみなし,支配され解釈されるものとする。 (8) 本件新アドバイザリー契約(C)(契約⑧)本件新アドバイザリー契約(C)は,原告P2及びP10の間で締結された,原告P2のファイナンシャル・アドバイザーとしてのP10の提供する役務の内容等に関する契約である。 (9) 本件新信託契約(C)(契約⑨)本件新信託契約(C)は,委託者兼受益者である原告P2及び受託者であるP11銀行の間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア本件新信託契約(C)の目的この契約により,委託者(原告P2)は,P11銀行に,列挙した財産(P5銀行が保有していた本件LPS(C)パートナーシップ持分)を移転する。P11銀行は,本証書(本件新信託契約(C))に記載された条件に基づく信託で受領した全ての財産を保有するものとする。 イ初期資産(2.1条)信託の初期資産は,本件LPS(C)に対するパートナーシップ持分を含むものとする。 ウ分配(2.3条)(a)P11銀行が自らの裁量のみで得策と考える場合又は(b)委託者により書面で指示された場合は,P11銀行は,委託者に対し,信託が受領し又は保有する純分配可能額の全部又は一部を分配するものとする。「純分配可能額」は(a)パートナーシップ利益に関してP11銀行が受領した金額又は(b)2.7条に準拠してP11銀行が受領した売上金の金額のいずれかの金額を意味する。 エ議決権(2.6条)パートナーシップ持分に関して議決を求められた場合,P11銀 行が受領した金額又は(b)2.7条に準拠してP11銀行が受領した売上金の金額のいずれかの金額を意味する。 エ議決権(2.6条)パートナーシップ持分に関して議決を求められた場合,P11銀行は,委託者に対しパートナーシップ持分に関していかに議決すべきか指示を求めるものとし,以下の条文に従い,その指示に従うものとする。P11銀行は,指示が法令等への違反を含む場合,同銀行が支払を行う義務を負う場合,同銀行が個人的にコスト等を引き受けることになる場合には,委託者の議決指示に従うことを拒絶することができる。 前文にかかわらず,P11銀行は,議決指示が前文で述べられた論点又は問題を発生させるか否か確定する積極的義務を負わないものとする。さらに,P11銀行は,相応の意見において同銀行の権利を保護するために必要である場合には委託者の指示を拒絶する権利,及びいかなる状況においてもパー トナーシップ持分に付随した議決権を行使し又は行使を控える権利を有する。 委託者は,パートナーシップ持分に付与された議決権の行使にあたり,P11銀行に対して,自己宛の又は自己が指示する内容の委任状を発行するよう求めてはならない。 オパートナーシップ持分の保有及び売却(2.7条)P11銀行は,信託が終了する時まで,又は委託者がP11銀行に対して本項の残りの規定に従って当該資産を売却するよう指示する時まで,信託の資産を分散投資する義務を負うことなくパートナーシップ持分を保持するものとする。パートナーシップ契約及び適用可能な法律に従い,及び以下の文に従い,委託者は,いかなる時でもP11銀行に対しパートナーシップ持分の全てを指示した購入者に指示した価格及び指示した条件で売却することを指示することができる。パートナーシップ持分のいずれかの売却と関連し ,委託者は,いかなる時でもP11銀行に対しパートナーシップ持分の全てを指示した購入者に指示した価格及び指示した条件で売却することを指示することができる。パートナーシップ持分のいずれかの売却と関連して,P11銀行は,(i)受託者がパートナーシップ持分の法的所有者であること,(ii)パートナーシップの契約の規定に従いP11銀行はパートナーシップ持分を売却する権原を与えられていること以外に,何らかの説明又は保証を購入者に与えるなどの義務を負わないものとする。 カ信託の終了(3.1条)1.1項(委託者の解約権についての規定)に従う取消し又は全ての信託財産の売却及び分配の結果としての早期終了ではない場合,信託は,(a)本証書の実施日付から10年後,(b)委託者の死亡のうちいずれか早期の時点で終了するものとする。 上記(a)の場合,P11銀行は全ての信託を委託者に分配するものとする。 上記(b)の場合,P11銀行は全ての信託を承継委託者に交付するものとする。 キ準拠法(8.1条)本証書の有効性,解釈及びそれによって創設される信託の管理ならびに分 配に関しては,争訟に関する法律を除き,米国カリフォルニア州法を準拠法とする。 (10) P5銀行に係る本件LPS(C)のパートナーシップ持分の譲渡に関する契約(契約⑩)P5銀行に係る本件LPS(C)のパートナーシップ持分の譲渡に関する契約は,譲渡人であるP5銀行及び譲受人であるP11銀行との間で締結された契約であり,その内容は,要旨以下のとおりである。 ア事実の説明P5銀行は,本件LPS(C)のリミテッド・パートナーであり,本譲渡される持分を持っている。 P5銀行は,ルクセンブルクの法律に準拠した信託契約により,受益者(原告P2)のために受託者と 説明P5銀行は,本件LPS(C)のリミテッド・パートナーであり,本譲渡される持分を持っている。 P5銀行は,ルクセンブルクの法律に準拠した信託契約により,受益者(原告P2)のために受託者として,本譲渡される持分を保有している。 受益者の指示に従い,P5銀行は,本譲渡される持分を譲受人に譲渡し,パートナーシップから脱退するため,本譲渡証書を作成する。 受益者の指示に従い,譲受人は,本譲渡される持分を受け入れ,譲渡人の代わりに代替リミテッド・パートナーとしてパートナーシップへの参加の承認を受けるため,本譲渡証書を作成する。 イ譲渡(2条)P5銀行は,本譲渡証書により譲渡される持分における同銀行の権利,権原,持分の全てをP11銀行に売却,割当,委譲,譲渡する。P11銀行は,本譲渡証書による譲渡を受け入れ,パートナーシップにおいてP5銀行に代わって受益者のために,信託の受託者として譲受人に認められる範囲で,代替リミテッド・パートナーとなることに同意する。譲渡される持分の受益所有権は,本譲渡証書の如何にかかわらず,引き続き受益者に与えられる旨,承認されている。 ウ代替リミテッド・パートナーとしての任命(4条) 本譲渡証書の日付において,P11銀行は,本譲渡証書により譲渡される持分に関し,パートナーシップに対してP5銀行と同じ権利と出資率を持つ代替リミテッド・パートナーとして認められる。 エ脱退(5条)本譲渡証書の日付において,本譲渡証書3条によりパートナーシップに対してP11銀行が任命された後直ちに,P5銀行は,パートナーシップから脱退し,パートナーシップにおけるリミテッド・パートナーではなくなる。 オ脱退と代替の効果(6条)2条に規定されているように,本譲渡証書による譲渡は,譲渡 ,P5銀行は,パートナーシップから脱退し,パートナーシップにおけるリミテッド・パートナーではなくなる。 オ脱退と代替の効果(6条)2条に規定されているように,本譲渡証書による譲渡は,譲渡される持分の受益所有権には影響せず,受益者は譲渡される持分の受益権所有者のままである。 カ権利放棄と同意(9条)ゼネラル・パートナーである本件GP(C)は,本譲渡証書において,(i)P5銀行からP11銀行への本譲渡される持分の譲渡,(ii)P5銀行のパートナーシップからの脱退,(iii)代替リミテッド・パートナーとしてのP11銀行のパートナーシップへの参加,に同意する。 本件GP(C)は,本譲渡証書に署名している。
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