主文 1 本件各控訴及び本件各附帯控訴をいずれも棄却する。 2 被控訴人らの当審における控訴人Aに対する追加請求をいずれも棄却する。 3 控訴費用は控訴人らの、附帯控訴費用及び当審における追加請求に係る費用は被控訴人らの各負担とする。 事実及び理由 第1 当事者が求めた裁判 1 控訴の趣旨⑴ 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 ⑵ 上記の部分につき、被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 2 附帯控訴の趣旨⑴ 原判決中被控訴人ら敗訴部分を取り消す。 ア控訴人らは、被控訴人Bに対し、連帯して330万円及びこれに対する令和2年10月26日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 イ控訴人らは、被控訴人Cに対し、連帯して330万円及びこれに対する令和2年10月26日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 ウ控訴人産経は、原判決別紙1謝罪広告目録1記載の謝罪広告を、同記載の条件で、控訴人産経が発行する産経新聞に1回掲載せよ。 エ控訴人Aは、原判決別紙2謝罪広告目録2記載の謝罪広告を、控訴人Aが運営するツイッターアカウント(ツイッターID @▲▲▲)において、本判決確定の日から1か月間掲載せよ。 (被控訴人らの控訴人Aに対する当審における追加請求)⑵ 控訴人Aは、被控訴人Bに対し、110万円及びこれに対する令和4年11月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 ⑶ 控訴人Aは、被控訴人Cに対し、110万円及びこれに対する令和4年1 1月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、国会議員である被控訴人らが、⑴控訴 は、被控訴人Cに対し、110万円及びこれに対する令和4年1 1月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は、国会議員である被控訴人らが、⑴控訴人Aが寄稿し控訴人産経が産経新聞に掲載した記事により名誉を毀損されたとして、控訴人Aに対しては不法行為責任に基づき、控訴人産経に対しては同記事の掲載を決定した編集者、発行担当者等の被用者の不法行為についての使用者責任又は同被用者との共同不法行為責任に基づき、各被控訴人につき慰謝料及び弁護士費用相当額の合計440万円及び同記事掲載日の後の日である令和2年10月26日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、各控訴人に対し、被控訴人らの名誉を回復するための処分として謝罪広告を求め、⑵控訴人Aが原判決の言渡しの日に投稿したツイートにより名誉を毀損されたとして、控訴人Aに対して、不法行為責任に基づき、各被控訴人につき慰謝料及び弁護士費用相当額の合計110万円及び同投稿日である令和4年11月9日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、被控訴人らの⑴の請求を、各110万円及びこれに対する令和2年10月26日から支払済みまで年3分の割合による金員の連帯支払を命じる限度で認容したため、これを不服として各敗訴部分について、控訴人らが控訴をし、被控訴人らが附帯控訴をし、上記⑵の控訴人Aに対する請求を追加した。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決3頁20行目の「別紙」を「原判決別紙」に改め、以下、原判決中、「別紙」とあるのを「原判決別紙」にいずれも改め、次項において被控訴人らの控訴人Aに対する追加請求についての主張及び認否を付加するほかは、原判決「事 「別紙」を「原判決別紙」に改め、以下、原判決中、「別紙」とあるのを「原判決別紙」にいずれも改め、次項において被控訴人らの控訴人Aに対する追加請求についての主張及び認否を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1ないし3に記載のとおりであるから、これを引用する。 3 被控訴人らの控訴人Aに対する追加請求についての主張及び認否 ⑴ 被控訴人らア控訴人Aは、原判決の言渡しの日である令和4年11月9日、ツイッター上に、別紙投稿記事目録記載のツイートの投稿(以下「本件投稿」という。)をした。 本件投稿には、本件記事が画像として添付されており、当該画像をタッチ又はクリックすることで、本件表現部分を含む記事本文を拡大表示することもできるところ、本件表現部分は、一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件職員の自殺の原因が、被控訴人らが前日に本件職員に対して行った「つるし上げ」にあるという事実を摘示するものであり、被控訴人らの国会議員としての社会的評価を低下させるものである。したがって、控訴人Aが本件投稿を行ったことは、被控訴人らに対する不法行為を構成する。 イ控訴人Aのツイッターのアカウントは42.7万人ものフォロワーを有しており、本件記事は本件投稿により控訴人Aのフォロワーをはじめとした多くの人物に新たに閲覧され、本件のように3000件程度のリツイート及び引用リツイートがされた控訴人Aによる他の投稿の閲覧数は、65. 3万回ないし73.8万回に及んでいる。よって、本件投稿も、65万回から70万回程度閲覧されたものと推定され、極めて広範囲に拡散されたということができる。 また、原判決は令和4年11月9日午前10時に言い渡され、本件投稿はそれからわずか20分後にされて から70万回程度閲覧されたものと推定され、極めて広範囲に拡散されたということができる。 また、原判決は令和4年11月9日午前10時に言い渡され、本件投稿はそれからわずか20分後にされており、控訴人Aはおそらくは原判決の判示内容を確認することなく本件投稿に及んだ。また、控訴人Aは、原審の審理を通じて、本件表現部分は、被控訴人らの問責が本件職員の自殺の原因となった旨を指摘するものではないと主張してきたから、控訴人Aが原判決を批判する目的で本件記事を含むツイートを行うに当たって、ツイートの本文に本件表現部分は本件職員の自殺の原因を指摘するものではな い旨を付記すること等により、一般読者が本件表現部分から「自殺の原因が被控訴人らにある」との読み方を再びすることを阻止することができた。 しかし、控訴人Aは、むしろ本件投稿の冒頭で積極的に本件記事を読むように勧め、本件記事をそのまま再掲し、本件表現部分について一般読者が読むがままに任せていた。 以上のとおり、本件投稿は極めて広く拡散され、また、控訴人Aの行為態様も著しく悪質であって、控訴人Aの本件投稿により被控訴人らが新たに被った精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は、被控訴人らについてそれぞれ100万円を下らない。また、これと相当因果関係にある弁護士費用としては、それぞれ上記損害額の1割の10万円とするのが相当である。 ⑵ 控訴人A控訴人Aが本件投稿をした事実は認め、その余は否認し、争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、被控訴人らの原審における各請求は、控訴人らに対し、連帯して各110万円及びこれに対する令和2年10月26日から支払済みまで年3分の割合による支払を求める限度で理由があり、被控訴人らの控訴人Aに対する当審における追加請求はいずれ 、控訴人らに対し、連帯して各110万円及びこれに対する令和2年10月26日から支払済みまで年3分の割合による支払を求める限度で理由があり、被控訴人らの控訴人Aに対する当審における追加請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は次のとおり補正し、次項において被控訴人らの控訴人Aに対する追加請求についての判断を付加するほかは、原判決「第3 当裁判所の判断」の1ないし3記載のとおりであるからこれを引用する。 ⑴ 原判決10頁4行目の「主張する。」を「主張し、乙A40号証を提出する。」に、同頁10行目から11行目にかけての「相当程度遠い」を「5段落隔てた」にそれぞれ改め、同頁12行目の「ことからすると」の次に「、その間に記載されている内容の大部分が別件訴訟で開示された本件職員の元上司の一連の発言内容であることを考慮しても」を加え、同頁23行目の「相当程度遠い」を「5段落隔てた」に改める。 ⑵ 原判決11頁11行目の「考慮すべきである」の次に、次のとおり加える。 「、本件職員の自死、公務災害の認定、遺族の提訴とその際の遺書や手記の公表に関する当時の報道からすると、本件記事が掲載された時点では、本件職員の自死の原因は公文書の改ざんやその対応に係る長時間労働等にこそあるとの認識が社会全体の常識として定着していたのであり、本件記事により社会が騒然となっていないという事実は、本件記事の読者のうち大半は本件表現部分の摘示事実につき被控訴人らが主張するような内容とは理解していない」⑶ 原判決11頁14行目の「本件全証拠によっても」を「本件職員について公務災害と認定された平成31年2月以降本件記事が掲載される直前まで、複数の報道媒体によって本件職員の自殺に至る経緯が報じられているものの(乙A27ないし33(枝番を含む。) 」を「本件職員について公務災害と認定された平成31年2月以降本件記事が掲載される直前まで、複数の報道媒体によって本件職員の自殺に至る経緯が報じられているものの(乙A27ないし33(枝番を含む。))、その中心的な内容は、本件職員の死亡が公務災害によるものであると認定されたことや、遺族の提訴とその訴訟進行であり、その他本件全証拠によっても」に改める。 ⑷ 原判決12頁24行目末尾に、改行の上、次のとおり加える。 「 控訴人らは、被控訴人らは国権の最高機関の国会議員であり、公選の公務員としてその全人格が有権者の評価の対象となるものであるからこうした属性を有する者の言動に関する表現行為は最大限に保障、尊重されるべきである、議員の政治姿勢や言動に関する論評や批判が十二分に保障されなければならないことからすれば、議員に関する言説が記載された記事に関しては、読者が当該記事全体を読んだことを前提とすべきであり、記事全体を読まないまま「断片的な文言を偶々目にした読者による迂闊な印象」に基づいて判断してはいけないというべきであると主張する。 しかし、本件記事の内容からすれば、これを通読した一般読者の普通 の注意と読み方によれば、自殺した「当該職員」が本件職員を指すと理解すると解され、本件表現部分は、本件摘示事実を摘示したものと認められることは前記のとおりであり、議員の政治活動に関する論評や批判が重要な意義を有するものであるとしても、国会議員であるからといって、社会的評価を低下させる事実を摘示して批判されることを甘受すべきであるとはいえない。」⑸ 原判決14頁4行目の「あること」の次に「(甲18、19)、本件記事が掲載された「オピニオン」面は接触率が75.4%とされ(甲19の6頁)、本件記事の「新聞という病」という表題 はいえない。」⑸ 原判決14頁4行目の「あること」の次に「(甲18、19)、本件記事が掲載された「オピニオン」面は接触率が75.4%とされ(甲19の6頁)、本件記事の「新聞という病」という表題の脇には「この連載がベストセラーに」との記載もあること、本件記事は発刊日当日の午前10時には控訴人産経が運営するインターネット上のニュースサイトにも掲載され、現在まで継続して閲覧することができ(甲12)、同ウェブサイトの訪問人数及びウェブページの閲覧数も多数に上ること(甲19)」を、同頁7行目の「立場にあり」の次に「、現に本件記事の記載を前提として被控訴人らを非難する投稿がされるなどしていること(甲22ないし25、27(枝番を含む。))」をそれぞれ加える。 ⑹ 原判決14頁15行目の「用いられていないこと」の次に、「、森友問題については、各報道媒体による特集サイトが設けられるほか動画配信もされるなどしており(乙A17ないしA24(枝番を含む。))、本件表現部分が事実と異なることを説明すること自体はさほどの困難を伴うものとは認められないこと、被控訴人らは自身のツイッター等による発信を行っており、一定の閲読者層が形成されていること(乙A37、42、43(枝番を含む。))」を加える。 2 被控訴人らの控訴人Aに対する当審における追加請求について被控訴人らは、控訴人Aが、原審判決の言渡し当日にした本件投稿は新たな不法行為を構成し、損害が発生していると主張して、当審において追加請求を する。 しかしながら、本件記事については、朝刊発刊当日より既に控訴人産経が運営するインターネット上のニュースサイトである産経ニュースにおいても本件記事と同一の記事が掲載されていたこと(甲12)、控訴人Aも、令和4年2月28日にツイッター上 刊発刊当日より既に控訴人産経が運営するインターネット上のニュースサイトである産経ニュースにおいても本件記事と同一の記事が掲載されていたこと(甲12)、控訴人Aも、令和4年2月28日にツイッター上で、本件記事について被控訴人らから本件訴訟を提起された旨のコメントとともに本件記事を画像として添付して投稿していること(甲13の1)、本件投稿は、原審裁判所が本件記事について名誉棄損が成立するとして被控訴人らの訴えを認めた旨、原審の判断内容についても記載していることからすると、本件投稿がされたことによって被控訴人らの社会的評価が低下したとは認めるに足りない。 したがって、被控訴人らの控訴人Aに対する当審における追加請求は理由がない。 3 以上によれば、控訴人らは、被控訴人らに対し、不法行為に基づく損害賠償として、各110万円及びこれに対する令和2年10月26日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の連帯支払義務を負う。 第4 結論以上のとおり、被控訴人らの各請求は第3の3の限度で理由があるからその限度で認容すべきところ、これと同旨の原判決は相当であって、本件各控訴及び本件各附帯控訴は理由がないからこれらをいずれも棄却することとし、被控訴人らの当審における追加請求は理由がないからこれらをいずれも棄却すべきである。よって、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第23民事部 裁判長裁判官舘内比佐志 裁判官河合芳光 裁判官三上乃理子 (別紙省略) 乃理子
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