主文 1 被告は原告Aに対し,金1億8529万円及びこれに対する平成9年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告Aのその余の請求を棄却する。 3 被告は,原告A2株式会社に対し,金1億4000万円及びこれに対する平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告A2株式会社のその余の請求にかかる訴えを却下する。 5 訴訟費用は,甲事件につき生じた費用(補助参加により生じた費用を除く。)についてはこれを9分し,その1を被告の,その余を原告Aの負担とし,甲事件の補助参加により生じた費用は補助参加人らの負担とし,乙事件につき生じた費用は被告の負担とする。 6 本判決は第1項及び第3項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 甲事件被告は,原告Aに対し,17億4250万円及びこれに対する平成9年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 乙事件被告は,原告A2株式会社に対し,1億4000万円及びこれに対する平成6年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨(1) 甲事件甲事件は,原告Aが,原告A2に依頼してパチンコ店の建築工事に着手したところ,被告の申請に基づき建築工事続行禁止の仮処分決定がなされ,かつ執行されたため,パチンコ店の営業を開始することができなかったとし,違法な仮処分申請及びそれを認容した仮処分決定の執行により,得べかりし営業利益24億1670万9907円,同パチンコ店の建築費用及び同解体費用8700万円並びに弁護士費用1億2500万円の合計26億2870万9907円の損害を被ったと主張して,被告に対し,国家 りし営業利益24億1670万9907円,同パチンコ店の建築費用及び同解体費用8700万円並びに弁護士費用1億2500万円の合計26億2870万9907円の損害を被ったと主張して,被告に対し,国家賠償法1条に基づいて上記損害から原告A2の請求額1億4000万円及びこれに対する遅延損害金を除いたその余の内金17億4250万円及びこれに対する平成9年9月10日から支払済みまでの遅延損害金を請求をしている事案である。 (2) 乙事件乙事件は,原告A2が,原告Aに対して合計1億4000万円及びこれに対する平成6年3月17日からの遅延損害金請求権を有する旨主張し,原告Aに代位して,被告に対し,前項の原告Aの被告に対する損害賠償請求権のうち原告Aに対する上記債権額と同額の損害賠償金を請求している事案である。 2 前提となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,各項末尾掲記の証拠によって容易に認められる。 (1) 当事者原告Aは,別紙物件目録記載の各土地(以下「本件土地」という。)を所有し,本件土地上においてパチンコ店を営むことを計画していた者であり,原告A2は,建設・建築工事請負等を主たる事業目的とする株式会社である。(争いがない)被告は,地方自治法上の普通地方公共団体である。(顕著な事実)(2) 本件条例の規制内容(争いがない)被告は,昭和58年8月2日,「被告市パチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例」(以下「本件条例」という。)を公布し,同日施行したところ,本件条例には,次の規定がある。 記第1条この条例は,被告市環境基本条例第5条の規定に基づき,市内に 同日施行したところ,本件条例には,次の規定がある。 記第1条この条例は,被告市環境基本条例第5条の規定に基づき,市内におけるパチンコ店等,ゲームセンター及びラブホテルの建築等について必要な規制を行うことにより,良好な環境を確保することを目的とする。 第3条市内において,パチンコ店等,ゲームセンター又は旅館等(以下「指導対象施設」という。)の建築等をしようとする者は,あらかじめ市長の同意を得なければならない。 第4条市長は,前条の規定により建築等の同意を求められた施設がパチンコ店等,ゲームセンター又はラブホテル(以下「規制対象施設」という。)に該当し,かつその位置が都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する市街化調整区域であるとき,又は同法第8条第1項第1号に規定する商業地域以外の用途地域であるときは,同意しないものとする。 第6条市長は,建築者等に対し,規制対象施設の建築等について,必要な指導を行うことができる。 第8条市長は,第3条の規定に違反して指導対象施設の建築等をしようとする者又は第6条に規定する市長の指導に従わない者に対し,建築等の中止,原状回復その他必要な措置を講じるよう命じることができる。 (3) 本件建築工事に至る経緯原告Aは,本件土地上においてパチンコ店を営むことを計画し,平成4年11月4日,本件条例3条に基づき被告市長に対しパチンコ店の建築同意申請を行った。しかし,同年12月10日,被告市長は本件条例4条に基づき,上記同意申請に対して不同意を決定し,原告Aに通知した。(乙20の1,弁論の全趣旨)その後,被告市長は,原告Aが同月18日 行った。しかし,同年12月10日,被告市長は本件条例4条に基づき,上記同意申請に対して不同意を決定し,原告Aに通知した。(乙20の1,弁論の全趣旨)その後,被告市長は,原告Aが同月18日に提出した建築確認申請を正式に受理せず,返還するなどし(乙55),併せて,本件条例6条に基づく指導通知をする等していたが(乙54),原告Aが平成5年1月11日付けで同不受理処分の取消しを求める審査請求を行い,同年2月23日,被告市建築審査会が同不受理処分を取り消す旨の裁決を行ったため,被告市長は,同年3月1日,原告Aから建築確認申請を受理するに至った。(乙20の1,弁論の全趣旨)同月4日,被告市長は,原告Aに対し,本件条例6条に基づく建築準備行為を中止するようにとの指導・勧告をし,これに従わない場合には所定の手続を開始する旨を通知した。(乙56,弁論の全趣旨)同年4月12日,原告Aは被告市建築主事から建築確認を受けた。(争いがない)同日,被告市長は,原告Aに対し,建築準備行為を直ちに中止することを命ずる建築準備行為中止命令書を送付した。(乙57,弁論の全趣旨)原告は,平成6年2月20日,上記建築確認を得たパチンコ店(以下「本件パチンコ店」という。)の建築工事を原告A2に対し発注し,同原告との間で建築請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結したところ,同契約の内容は次のとおりである。(甲1)工事名 (仮称)A3新築工事工期着工平成6年3月1日完成平成6年7月10日引渡しの時期完成の日から10日以内請負代金額 4億9440万円(うち消費税1440万円)原告A2は,同年 完成平成6年7月10日引渡しの時期完成の日から10日以内請負代金額 4億9440万円(うち消費税1440万円)原告A2は,同年3月7日から仮囲い工事に着工し,同月11日に同工事を完了させ,同月15日,本件パチンコ店の建築工事(以下「本件建築工事」という。)に着工した。(乙20の1,弁論の全趣旨)(4) 本件仮処分事件の経過ア被告は,平成6年3月17日,神戸地方裁判所(以下「神戸地裁」という。)伊丹支部に対し,本件条例に基づいて本件建築工事の続行禁止請求権を有すると主張し,原告両名を債務者とし,本件建築工事続行禁止の仮処分申請を行った(以下「本件仮処分申請」という。)。同裁判所は,同年6月9日,本件仮処分申請を認容する仮処分決定(甲2)をした(以下「本件仮処分決定」という。)。 (争いがない)その結果,原告Aは,本件建築工事を中断した。(弁論の全趣旨)イ原告Aは,同月25日,神戸地裁伊丹支部に対し,本件仮処分決定について保全異議の申立てを行った。同裁判所は,平成9年9月9日,本件仮処分決定を取り消し,本件仮処分申請を却下する旨の決定(甲3)をした(以下「本件保全異議決定」という。)。(争いがない)ウ被告は,同月19日,大阪高等裁判所(以下「大阪高裁」という。)に対し,本件保全異議決定について保全抗告の申立てを行った。同裁判所は,平成10年6月2日,上記保全抗告を却下するとの決定(甲4)をし(以下「本件保全抗告決定」という。),上記決定は同日確定した。(争いがない)(5) 本件仮処分事件の本案訴訟の経緯ア被告は,平成6年7月29日,神戸地裁に対し,原告Aを被告として,本件建築 告決定」という。),上記決定は同日確定した。(争いがない)(5) 本件仮処分事件の本案訴訟の経緯ア被告は,平成6年7月29日,神戸地裁に対し,原告Aを被告として,本件建築工事の続行禁止を求める本案訴訟を提起したが,同裁判所は,平成9年4月28日,本件条例が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)及び建築基準法に違反するとして上記請求を棄却する判決(丙4)をした。(争いがない)イ被告は,上記判決を不服として大阪高裁に対して控訴したが,同裁判所は,平成10年6月2日,上記控訴を棄却する判決(丙5)をした。(争いがない)ウ被告は,上記判決を不服として最高裁判所(以下「最高裁」という。)に対し上告及び上告受理申立てを行ったが,同裁判所は,上告受理申立てについては,平成14年5月7日,上告不受理を決定し,次いで同年7月9日,上告については,国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は,裁判所法3条1項にいう法律上の争訟にあたらず,これを認める特別の規定もないから不適法であるとの理由で「原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。本件訴えを却下する。」との判決をなした。(甲21,22)(6) 本件訴訟の提起(顕著な事実)ア原告A2は,平成10年8月12日,神戸地裁伊丹支部に乙事件(同裁判所伊丹支部平成10年(ワ)第250号損害賠償請求事件)を提起した。 イ原告Aは,平成11年3月11日,当裁判所に甲事件を提起した。 ウその後,乙事件は当裁判所に回付され,同年9月30日,当裁判所は,甲事件と乙事件を併合審理する旨の決定をした。 3 争点及び当事者の主張(1) 甲事件の提 事件を提起した。 ウその後,乙事件は当裁判所に回付され,同年9月30日,当裁判所は,甲事件と乙事件を併合審理する旨の決定をした。 3 争点及び当事者の主張(1) 甲事件の提起が二重起訴の禁止(民事訴訟法142条)に抵触するか否かア原告Aの主張原告A2が債権者代位権を行使することが正当とされる範囲においては,原告Aの被告に対する本件損害賠償債権についての管理処分権が制限されるが,原告A2が代位している原告Aの被告に対する損害賠償債権は,数量的に可分の債権の一部であることが明示されており,その残余部分,すなわち,原告A2が代位行使する債権額を超える部分については,二重起訴は問題にならず,原告Aは別訴を提起できる。 イ被告の主張原告Aの主張は争う。 (2) 原告A2が債権者代位の要件を充たしているか否かア原告A2の主張(ア) 原告A2の原告Aに対する債権a 金銭消費貸借契約に基づく貸金債権原告A2は,平成6年2月15日,原告Aに対して,5300万円を貸し付けた。 b 準消費貸借契約に基づく金銭返還債権原告A2は原告Aに対し,本件建築工事に着手してから工事が中断するまでの請負代金の出来高相当分と上記工事中断後建築途中の出来形を解体して更地にする工事の請負代金債権合計金8700万円を有していたが,原告A2と原告Aは,平成7年4月12日,上記請負代金債権を消費貸借の目的とする旨合意した。 よって,原告A2は原告Aに対し,8700万円の準消費貸借契約に基づく金銭返還請求権を有する。 日,上記請負代金債権を消費貸借の目的とする旨合意した。 よって,原告A2は原告Aに対し,8700万円の準消費貸借契約に基づく金銭返還請求権を有する。 c 以上のとおり,原告A2は原告Aに対し,金銭消費貸借契約及び準消費貸借契約に基づき合計1億4000万円及びこれに対する平成6年3月17日からの遅延損害金の請求債権を有する。 (イ) 原告Aが無資力であること原告Aは無資力である。 (ウ) まとめよって,原告A2は被告に対して,原告Aの被告に対する前記損害賠償請求権のうち1億4000万円及びこれに対する平成6年3月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の範囲内において原告Aに代位して被告に支払を求め得る地位にある。 イ被告の主張不知。 (3) 本件条例が憲法22条あるいは地方自治法14条に違反(風営法及び建築基準法に違反)するか否かア原告らの主張(ア) 憲法22条違反本件条例は,パチンコ店等の営業の自由を制約するものであり,職業選択の自由を保障する憲法22条に違反するものである。AB教授は,本件条例が憲法22条に違反する旨端的に述べている。 (イ) 風営法違反昭和59年に改正された風営法は,それまで各地方公共団体によって区々となっていた風俗営業の場所的規制を全国的に統一したものであり,その目的の1つとして営業区域の規制を掲げ,風俗営業の場所的規制として,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い,都道府県の 統一したものであり,その目的の1つとして営業区域の規制を掲げ,風俗営業の場所的規制として,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い,都道府県の条例で定める地域内にあるときには許可してはならないと定め,政令は,条例で指定し得る地域の基準につき,制限地域の指定は,風俗営業の種類,態様その他の事情に応じて,良好な風俗環境を保全するために必要最小限のものであることと規定している(風営法施行令6条3号)。そして同規定を受けた県条例は,準工業地域につき,学校,図書館又は保育所の敷地から100m以内の地域,病院又は有床診療所の敷地から70mの敷地内ではパチンコ店の建築を許可しないとしている。また風営法には,風俗営業の場所的規制に関し,市町村の条例に委任する旨の規定はない。 そうすると,風営法は,風俗営業の場所的規制について全国的に一律に施行されるべき最高限度の規制を定めたものであるから,地方公共団体が条例により更に強度の規制をすることを許容していないと解されるところ,以下のとおり,本件条例は風営法の目的と重なり合う上,両者の規制方法も実質的には重なり合っている。 a 両者の目的について風営法は,昭和59年の改正において目的規定を定め,規制目的を明確にした。同法1条によれば,同法は善良な風俗と正常な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業等の規制を行うという消極的,警察的な目的を有すると同時に,健全な風俗営業が国民に社交,憩い,娯楽の場を提供するという積極的な役割を果たすことから,業務の適正化を促進する等の措置を講じて風俗営業の健全化を図るという積極的な目的も有していると解される。本件 健全な風俗営業が国民に社交,憩い,娯楽の場を提供するという積極的な役割を果たすことから,業務の適正化を促進する等の措置を講じて風俗営業の健全化を図るという積極的な目的も有していると解される。本件条例も風営法の施行に必要な事項を定めるものとしており(本件条例1条),目的は風営法と同じである。 一方,本件条例は,被告市の芸術的な色彩と豊かな自然環境という特色を保全,推進して良好な住宅都市作りを基本目標とする一連の環境保全条例の1つとして位置付けられ,その1条からも良好な住宅,自然及び文化環境の保持という目的を有していると認められるものの,パチンコ店が青少年に悪影響を及ぼし,犯罪の温床にもなりかねないとする地域住民の反対運動を契機として制定された経過もある。 したがって,本件条例の制定経過,風営法の改正経過を比較してみれば,風俗環境の保持も,広く住宅,自然及び文化教育環境の保持の一部であると考えられ,したがって,風営法と本件条例の目的は,相当な部分で共通し,重なり合うものというべきである。 b 両者の規制方法について風営法の規制方法は,風俗営業を営もうとする者は公安委員会の許可を受けなければならない(3条)とする営業規制である。他方,本件条例の規制方法は,パチンコ店等の建築等をしようとする者は,市長の同意を得なければならない(3条)とする建築規制である。しかし,本件条例は,建築禁止地区を規定する(4条)ことにより,実質的にはその営業禁止地区を規定している。したがって,両者の規制方法は実質的には重なり合うと解することができる。 そのうえ,本件条例は,被告市長は,都市計画法上の商業地域以外の用途地域においては,パチン ている。したがって,両者の規制方法は実質的には重なり合うと解することができる。 そのうえ,本件条例は,被告市長は,都市計画法上の商業地域以外の用途地域においては,パチンコ店建設について一律にこれを不同意とするもので(4条),例外がなく,極めて厳しい規制である。 c 被告の主張について被告は,各都道府県の風営法施行条例を指摘して風営法が最大限度規制でないと主張する。 そこで,風営法等の内容を検討するに,風営法は営業区域の制限を目的とすることを明示し(1条),営業所が,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い,都道府県の条例で定める地域内にあるときは,公安委員会が申請を許可しない旨規定している(4条2項本文,同項2号)。 そして,これに基づいて制定された風営法施行令6条は,風営法4条2項2号の政令で定める基準として,次のように定めている。 「1 風俗営業の営業所の設置を制限する地域の指定は,次に掲げる地域内の地域について行うことイ住居が多数集合しており,住居以外の用途に供される土地が少ない地域ロその他の地域のうち,学校その他の施設で特にその周辺における良好な風俗営業を保全する施設として都道府県の条例で定めるものの周辺の地域 2 前号ロに掲げる地域内の地域について制限地域の指定を行う場合には,当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲の概ね百メートルの区域を限度とし,その区域内の地域につき指定を行うこと 域について制限地域の指定を行う場合には,当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲の概ね百メートルの区域を限度とし,その区域内の地域につき指定を行うこと 3 前2号の規定による制限地域の指定は,風俗営業の種類,営業の態様その他の事情に応じて,良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであること」以上によれば,風営法上の区域規制は,あくまで,風営法施行令6条1項イ及びロに制限されていることは明らかであって,被告が指摘するように各都道府県によってその定め方が区々になっているのは,風営法4条2項2号が,その地域の具体化を各都道府県の条例に委ねたことの現れにすぎず,最大限規制であることを否定するものと解することはできない。 (ウ) 本件条例が建築基準法に違反すること建築基準法は,都市計画法が定める各用途地域内における建築物の制限について規制しているが,地方公共団体が条例で独自の規制をなすことを許容していないと解される。そして,建築基準法と本件条例の目的は重なり合っており,両者の規制方法は共通しているが,本件条例は建築基準法よりも強度の規制を定めている。よって,本件条例は建築基準法に違反するものである。 イ原告A2の主張条例は,法令に違反する場合にはその効力を有しないところ,条例が法令に違反するかどうかの判断は,両者の対象事項と規定文言を対比するのみならず,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって決せられ,具体的には,ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも,当該法令全体からみて,前記規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置す どうかによって決せられ,具体的には,ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも,当該法令全体からみて,前記規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは,これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなるし,逆に,特定事項についてこれを規律する法令と条例が併存する場合には,後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨でなく,その地方の実情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときに限って,条例は国の法令に違反しないこととなる。 しかるところ,本件条例は,風営法等と規制目的が同一であり,規制方法も規制区域であれば一律にこれを不同意とし,例外を認めず,利害関係人等に対する聴聞手続がなく,手続の慎重性を欠いている。 したがって,本件条例は風営法等が定める規制の最大限度を超えているから違法無効であるし,仮に,風営法等が地方公共団体による別段の規制を全く排除していないとしても,本件条例の厳しい規制内容に鑑みれば,やはり,本件条例は風営法等の趣旨に反し,違法無効である。 ウ被告の主張(ア) 憲法22条違反について争う。 (イ) 風営法違反についてa 規制目的について本件条例と風営法は実質的な目的を異にするというべきであるから,本件条例は風営法に何ら抵触しない。すなわち,建築基準法や についてa 規制目的について本件条例と風営法は実質的な目的を異にするというべきであるから,本件条例は風営法に何ら抵触しない。すなわち,建築基準法や風営法,都市計画法が全国一律に適用されるべき最低限度の基本的枠組を定めているのに対して,本件条例は,「芸術の町」「スポーツの町」「歴史の町」などの地域の特性を活かした特徴ある町作りを行うための手法であり,風営法等の目的の範囲を超えた大きな目的領域を有するものである。したがって,規制目的は重ならない。 b 規制方法以下のとおり,規制方法は風営法を超えるものではない。 ① 風営法による規制は市町村における町作りという行政需要を充たすに足りないのであり,これを補完するために市町村が条例を制定することを排斥することは,憲法によって保障された地方自治の本旨に基づく条例制定権を侵害するものである。 そうすると,風営法は市町村が条例により別段の規制を行うことを排斥していないと解すべきであり,本件条例が風営法に違反し無効であると解することはできない。 ② 別紙「条例一覧表」記載のとおり,岩手県,宮城県,山梨県,静岡県,島根県,徳島県,高知県等の風営法施行条例においては,営業制限地域を定めるに際し,都市計画法による用途地域のうちのいくつかを利用するほかに,これらと同等と認められる地域,これらに準ずる地域,あるいは住居が多数集合しており住居以外の用途に供される土地が少ない地域として公安委員会規則で定める地域を加えている。そして各公安委員会規則においては,用途地域にかかわらず,具体的に町名,地番,あるいは道路等によって営業制限地域を定めている 途に供される土地が少ない地域として公安委員会規則で定める地域を加えている。そして各公安委員会規則においては,用途地域にかかわらず,具体的に町名,地番,あるいは道路等によって営業制限地域を定めているのであるから,風営法の場所的規制は最大限規制といえないことは明らかである。 すなわち,風営法施行令6条からも明らかなように,風営法はあくまでも「住居集合地域」を規制対象としているのであり,これを具体的に定める際に都市計画法による用途地域を利用することを風営法は何ら前提としてしていない。それゆえ,多くの条例は,各地方の実情に応じて,必ずしも用途地域にこだわらずに「住居集合地域」を個別に指定しているのである。また,各条例が個別に「住居集合地域」を指定している以上,地域の実情によって指定範囲,対象が区々になることは想定されているのであるから,風営法が最高限度規制であるといえないことも明らかである。したがって,「住居集合地域」の定め方が不十分である兵庫県風営法施行条例の不備を補うために,被告市が条例を制定することは当然に許容されるものである。 (ウ) 建築基準法違反について建築基準法による規制は,市町村における町作りという行政需要を充たすに不十分であり,これを補完するために市町村が条例を制定することを排斥することは,憲法によって保障された地方自治の本旨に基づく条例制定権を侵害するものである。 そうすると,建築基準法は市町村が条例により別段の規制を行うことを排斥していないと解すべきであり,本件条例が建築基準法に違反し無効であると解することはできない。 (4) 本件仮処分により本件建築工事を中止させたことが国家賠償法上違法か否かア原告らの主張 ,本件条例が建築基準法に違反し無効であると解することはできない。 (4) 本件仮処分により本件建築工事を中止させたことが国家賠償法上違法か否かア原告らの主張(ア) 被保全権利の不存在本件条例が違法無効である以上,被告は,被保全権利を欠くのに,本件条例に基づき本件仮処分申請を行い,本件仮処分決定を得て本件建築工事を中止させたことが原告Aの権利を侵害したもので,違法であることは明らかである。憲法規範の内容を,被告を構成する被告代表者その他の職員において理解した上,これを遵守するべきは当然職務上の義務であるから,かかる憲法判断を誤った被告の行為が国家賠償法上違法の評価を受けるのは当然である。 (イ) 純然たる行政上の義務を司法的に執行したこと行政上の義務を司法的に執行することができないことが前記最高裁判決によって明らかとなった以上,本件仮処分申請によってこれを行い,原告Aの権利を侵害した被告の行為が違法であることは明らかである。 そもそも,本件条例に基づく被告市長の中止命令は,制定段階での議論からも明らかなように行政指導としての実体しか認められず,直接これを強制できるような法的請求権の根拠とはなり得なかったのであるから,行政上の義務の履行確保に対するいかなる説によっても仮処分の被保全権利となり得ない性質のものであることは明らかであった。 このことは,I教授が,本件条例制定直後から,立法経緯に照らして行政指導条例であるとの論稿を公表し,さらに,本件仮処分申請後において,被告のために提出した意見書の中においても,同様の見解を述べていたことからも明らかであるし,被告の環境・経済部次長Vも,本件条例制 政指導条例であるとの論稿を公表し,さらに,本件仮処分申請後において,被告のために提出した意見書の中においても,同様の見解を述べていたことからも明らかであるし,被告の環境・経済部次長Vも,本件条例制定に向けた環境保全審議会での議論において,罰則規定を設けるべきであるとの意見があったところ,法律の専門家等の意見を踏まえて,行政指導の条例にすべきであるということとなり,罰則規定や代執行の規定が入れられなかったと聞いている旨を述べていることからも明らかである。 これに対し,被告は,α市条例(甲16)に対する大阪高裁決定(乙2)が,風営法及びそれに基づく風営法施行条例に関して,各地方自治体の実情に応じて相当な範囲で別段の規制をすることを排斥するものではないと判示していたことを強調するが,これは傍論にすぎないから意味を持たないのであって,これを過信したとすればそのことに過失があることは明らかである。 (ウ) 保全の必要性の不存在原告Aが,営業を直接中止することによる損害が大きかったことからすると,本件仮処分決定が認められるためには高度の保全の必要性が求められるところ,建築中止が速やかに認められないことによって被告が被る回復し難い利益は存在しなかったのであるから,保全の必要性がないのに本件仮処分申請及び本件仮処分決定の執行がなされたこと自体,国家賠償法上違法と評価すべきものである。 イ被告の主張(ア) 被保全権利の不存在について争う。 本件条例は適法有効であるから,本件条例に基づく建築続行禁止の仮処分の申請行為は被保全権利を欠くものではなく,違法ではない。原告らは,本件条例が風営法及び建築基準法に違反することや 本件条例は適法有効であるから,本件条例に基づく建築続行禁止の仮処分の申請行為は被保全権利を欠くものではなく,違法ではない。原告らは,本件条例が風営法及び建築基準法に違反することや,これと異なる判断をしたことにつき過失があることが前記最高裁判決によって推定される旨主張するが,本件条例が前記各法令に違反するか否かについては前記最高裁判決では判断されていないから,原告らの主張は失当である。 (イ) 純然たる行政上の義務を司法的に執行したことについて行政上の義務を司法的に執行することができず,本件仮処分申請がこの点で違法であったことは認める(ただし,後記のとおり,適法と判断したことに過失があった旨の原告らの主張を争う。)。 なお,原告らは,本件条例は行政指導条例であって本件条例から法的請求権が発生することは有り得ないと主張するが,本件条例が法的強制力を有しないとされるためには,本件条例に内容どおりの法的強制力を持たせることが公序良俗に反し,あるいは上位の法令に違背するなどといった事由が認められることが必要であるところ,その論証は結局本件条例が風営法及び建築基準法等に違反するという原告らの本来の主張に帰着するのであって,原告らの主張は,独立した主張としての意味を持ち得ない。 そもそも,条例自体においてその定めるところが行政指導の準則であって法的強制力を有しない旨が明示されている場合(例えば,「・・・するよう努めなければならない」等と規定されている場合)ならば格別,そのような明示がないにもかかわらず,条例の趣旨や文言に基づいて当該条例が法的強制力を有しないと断定することはできない。 原告らは,I教授の論文やVの発言から本件 ならば格別,そのような明示がないにもかかわらず,条例の趣旨や文言に基づいて当該条例が法的強制力を有しないと断定することはできない。 原告らは,I教授の論文やVの発言から本件条例が行政指導条例であると判断できる旨を強調するが,同人らが司法的執行の可能性を否定する趣旨でそのように発言したものでないことは明らかである。例えば,I教授は,本件条例に基づく仮処分の申請などについて,論文の中で,「行政上の義務の民事執行という手段を講ずる実例を知って感心しているものである」と述べている。 (ウ) 保全の必要性の不存在について本件につき,本案訴訟が平成14年まで確定しなかったことからすれば,その間,被告が本件仮処分をし,その決定を得なければ,建築状態が放置された可能性は否定できない。そうすれば,本件条例が有名無実化し,本件条例の目的である「良好な住居環境,自然環境及び文化・教育環境の確保」が果たせなくなってしまうのであって,そのように考えた被告担当者の判断は正当であった。原告らの主張は,保全命令制度の存在意義を否定するに等しいものであり,理由がない。 (5) 本件仮処分により本件建築工事を中止させたことに過失があったか否かア原告らの主張一般に,仮処分決定が異議もしくは保全抗告手続において取り消され,あるいは本案訴訟において原告敗訴の判決が言い渡され,その判決が確定した場合には,他に特段の事情がない限り,上記申請人に過失があったものと推定するのが相当である。 そして,本件仮処分がいわゆる断行の仮処分であって,本案判決を待たずして本案判決と同様の強制力を生ぜしめるものであることに鑑みると,被告が立脚した法的見解に関し,被告が単にその そして,本件仮処分がいわゆる断行の仮処分であって,本案判決を待たずして本案判決と同様の強制力を生ぜしめるものであることに鑑みると,被告が立脚した法的見解に関し,被告が単にその法的見解を正当と判断しただけで被告に過失がないとするのは適切でなく,被告が立脚した法的見解について,被告がその見解を正当として採用するに至った判断過程に適切性・相当性が認められる場合に初めて被告の過失が例外的に否定されると解すべきである。そうでなければ,法律解釈についての法的見解には,必ずそれ相応の根拠があることからしても,争いのある法律解釈について,被告がある見解を採用したことを立証するだけで過失が否定されると解することは,違法な公務執行に対して責任を負う途が事実上閉ざされてしまい,違法な公務執行により損害を被った被害者にとってあまりに酷な結果となるからである。とりわけ,仮処分においては,債務者が違法な結果を甘受すべき理由はないし,経済的損失をそのまま放置することは社会通念に照らしても極めて不合理である。神戸地裁伊丹支部が,8000万円の担保を被告に立てさせたことは,被告の本件仮処分が違法であった場合の救済措置が想定されていたことの証左である。 これを前提に,以下の点につき被告の過失を検討するに,いずれについても,被告の過失が認められる。 (ア) 被保全権利の不存在についての過失a 過失の推定本件仮処分決定については,原告の仮処分異議の申立てに基づき,神戸地裁伊丹支部が仮処分の取消決定をなし,被告が保全抗告をなすも大阪高裁が被告の保全抗告を却下し,同決定が確定したのであるから,本件条例が風営法等に違反して地方自治法14条違反で無効であることを認識できなかった 部が仮処分の取消決定をなし,被告が保全抗告をなすも大阪高裁が被告の保全抗告を却下し,同決定が確定したのであるから,本件条例が風営法等に違反して地方自治法14条違反で無効であることを認識できなかったことにつき被告に過失があることは推定されるべきである。 b 過失が存在すること仮に,上記推定が成り立たないとしても,本件仮処分手続をなすことを検討した被告の生活環境部環境保全課のV課長及び決定者の被告市長は,本件条例の適法性や申請しなければならない具体的必要性につき十分な検討をすることなく漫然と仮処分手続を申し立てたのであるから,過失があったものと認められる。 すなわち,本件条例制定(昭和58年8月2日)後である昭和60年2月13日,風営法がそれまでの風俗営業等取締法とは規制の仕方等を変更して新たに制定されたにもかかわらず,被告は,規制目的が別であると漫然と判断し,見直し作業を行うことがなかったし,原告Aが弁護士を委任して異議を申し立てるなどしていたのに,学説,判例等について再度検討することを怠ったことは,行政の担い手として高度の法律的知識を得ることが可能な立場にあるから,重大な注意義務違反があったものといわざるを得ない。 c 被告の主張について被告は,過失がない旨を主張するが,本件条例の有効性についての法律判断が極めて困難かつ微妙な法律判断であったことは被告も認めているのであるから,被告がその依拠した法的見解を採用するに至った判断過程に適切性・相当性があるかどうかが極めて重要であるところ,本件条例は,①風俗営業を計画している者の新規参入を一律に制限し,営業権を直接制限するという極めて厳しい内容であり,かつ,②α市条例や 断過程に適切性・相当性があるかどうかが極めて重要であるところ,本件条例は,①風俗営業を計画している者の新規参入を一律に制限し,営業権を直接制限するという極めて厳しい内容であり,かつ,②α市条例やβ市条例,γ町条例と異なり,規制対象に例外を認めず,利害関係人等に聴聞の機会を与えない厳しい規制であるから,α市条例やβ市条例,γ町条例が存在することから本件条例が適法であると判断することができないものであったこと,③仮処分申請までの間に適法性を別途検討していなかったこと,などの事情を考慮すると,被告が本件条例を適法有効と信じることについては相当な根拠があるとはいえない。 (イ) 純然たる行政上の義務を司法的に執行したことa 行政上の義務に基づく司法的執行を否定する見解の存在本件仮処分の本案訴訟では,前記最高裁判決により,行政上の義務に基づく司法的執行ができないと判示されて確定したから,司法的執行ができないと判断したことに過失があると推定されることは,被告も認めるところである。したがって,本件条例に基づく義務を司法的に執行したこと自体に過失があったことは明らかである。 b 本件条例が請求権を基礎付ける性質を有しないこと本件条例に基づく中止命令は行政処分であるという学説しか存在しなかったのであり,本件条例によって請求権が基礎付けられるとの見解はどこにもなかった。また,本件条例に基づいて建築工事続行禁止などの法的措置が採られたこともなく,むしろ,I教授の学説からすると権利性がないということを認識していたはずであり,それにもかかわらず,本件中止命令が具体的な請求権を基礎付けると判断し,本件申立てをしたことには過失があるものといわざるを得ない I教授の学説からすると権利性がないということを認識していたはずであり,それにもかかわらず,本件中止命令が具体的な請求権を基礎付けると判断し,本件申立てをしたことには過失があるものといわざるを得ない。 c 被告の主張について① 被告は,裁判例や学説等を考慮した上で行政上の義務を司法的に執行することができると判断したのであるから,過失の推定を覆す特段の事情があった旨を主張する。 しかしながら,平成3年11月11日,神戸地裁伊丹支部は,被告の隣接市であるθ市がした建築工事続行禁止の仮処分申請について,飲食店からパチンコ店に用途変更しようとした事業者の行為は,都市計画法32条の規制を潜脱し,同条に基づく公共施設の管理者としてのθ市長の同意権限を侵害した疑いが強いと認められるが,直接には行政庁の債務者らに対する行政処分権限発動の根拠となり,あるいは行政罰の対象となり得る行為であるにとどまり,法人としての債権者の債務者に対する民事上の差止請求権の根拠となる事実になるものとは解し難いとして同申請を却下していたのであるから,当時既に同裁判所は,行政上の義務を民事訴訟手続で履行させるという方法が許されないと判断していたものである。 そして,時期的,かつ,事案的に,先例的価値を有する同決定について,被告は何も検討していなかったというのであるから,被告に前記特段の事情があったとは認められない。 ② 被告は,本件条例が法律に違反するか否かという問題について,裁判例を挙げながら,「法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれている」問題であるから,本件仮処分申請及び本件仮処分決定の執行につき被告に過失はなかったと主張する。 がら,「法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれている」問題であるから,本件仮処分申請及び本件仮処分決定の執行につき被告に過失はなかったと主張する。 しかしながら,本件条例の法的性質が行政指導条例であることについては学説上争いがない。また,被告は,本件条例と類似する他の条例が風営法及び建築基準法に違法しないとされた事例としていくつか裁判例を挙げるが,それらの条例と本件条例は,規制内容,程度,手続等の著しく異なっているのであり,上記各裁判例があることをもって被告に過失がないと判断すべき特段の事情ということはできない。 むしろ,被告は行政をも担う地方公共団体であって,一般私人よりも高度の専門知識を有するから,法律判断の誤りによって私人に不測の損害を与えないようにすべき高度の注意義務を負っているというべきであるところ,本件が微妙な法律解釈を含むことを認識していた以上,判断が誤っている可能性も認識していたといえること,被告が本件条例で守ろうとした風俗,住宅,自然及び文化環境の保持という利益はいつの段階であれパチンコ店の営業を中止させれば早晩達成できる性質のものであり,本案判決を得た後でも回復容易な利益であることからすると,被告が仮処分申請により本件建築工事を中断させなければならない必要性は高くなかったのであり,仮処分手続を選択したことには重大な過失があるというべきである。 (ウ) 保全の必要性の不存在被告は,営業騒音,不法駐車・駐輪,町並みの景観に与える問題,日中大人がぶらぶらしていること等の子供達の教育的な環境の悪化,犯罪の増加,被告市の芸術的,文化的な香りの高い高級住宅都市というイメージを損なう等の理由により,本件建築工 町並みの景観に与える問題,日中大人がぶらぶらしていること等の子供達の教育的な環境の悪化,犯罪の増加,被告市の芸術的,文化的な香りの高い高級住宅都市というイメージを損なう等の理由により,本件建築工事の続行及びそれによる原告Aの建物の完成が,被告の環境保全施策に対し回復不可能な打撃を及ぼすものであると指摘する。 しかしながら,以上は,いずれも行政や警察による別途の指導・取締によって十分対処可能であって,原告Aがパチンコ店を建築したからといって回復不可能なまでに損なわれるものではなく,当該建築物を撤去すれば早晩確実に回復される利益であり,本案訴訟の勝訴判決の確定を待つことができない性質のものでもなく,まして,建築差止めによって原告Aに重大な打撃を与えねばならないほどの必要性があったかどうかを検討すべき注意義務を怠ったものというべきである。 イ被告の主張(ア) 被保全権利の不存在① 最高裁判決によって,本件条例が風営法あるいは建築基準法ないし憲法22条に違反すると判示されたわけではないから,本件条例が違法無効であるとの点については,被告の過失は何ら推定されるものではない。 むしろ,同種の条例に関するいくつかの裁判例は,全て風営法あるいは建築基準法は条例によって別段の規制を行うことを排斥していない旨判示していたから,本件条例による規制も合憲,適法であると判断することはできたのであって,過失はないというべきである。 ② そもそも,本件条例と同様の条例が風営法又は建築基準法に違反するという問題については,現在でも違法とするものと適法とするものに裁判例が分かれている状況にあり,この問題は困難かつ微妙な法律解釈を含むものであるから,結 と同様の条例が風営法又は建築基準法に違反するという問題については,現在でも違法とするものと適法とするものに裁判例が分かれている状況にあり,この問題は困難かつ微妙な法律解釈を含むものであるから,結果として,違法と判断される見解がとられたからといって被告に過失があったとされるべきものではない。判断が分かれる裁判例とは,①神戸地裁平成5年1月25日判決,②大阪高裁平成6年4月27日判決,③神戸地裁平成9年11月26日決定,④同地裁平成10年9月10日決定,⑤盛岡地方裁判所(以下「盛岡地裁」という。)平成9年1月24日決定は,いずれも上記点について適法と判断している(このうち,①の判決は本件仮処分申請前,②の判決は本件仮処分決定前に出されている。)などである。 ③ さらに,学説上も,風営法や建築基準法は最低限度規制であって,条例による別段の規制を排斥していないとする考え方が優勢であった。 以上から,被告が本件条例による規制を適法有効なものと信じ,本件仮処分申請及び本件仮処分決定の執行に及んだことには十分な根拠が存したのであって,仮に本件仮処分事件の本案訴訟において本件条例を無効とする判断が下されたとしても,そのことから被告に過失があったということはできない。 (イ) 純然たる行政上の義務を司法的に執行したこと行政上の義務を司法的に執行することができないことについては,最高裁判決により確定しているから,この点についての判断を誤った被告の過失が推定されることはやむを得ない。 しかしながら,ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に,公務員がその一方の見解を正当 しかしながら,ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれていて,そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に,公務員がその一方の見解を正当と解し,これに立脚して公務を執行したときは,後にその執行が違法と判断されたからといって,直ちに上記公務員に過失があったものとすることは相当でなく,その見解に立ったことに過失がないと判断すべき特段の事情があったものというべきである。 被告と同様の見解に立ち,条例に基づく義務に基づく仮処分を認容した決定が大阪高裁においてなされ,確定していたのに対し,原告らと同様の見解に立つ裁判例は1件も存在していなかった。 (ウ) 保全の必要性の不存在争う。 (6) 損害ア原告らの主張(ア) 逸失利益a 本件仮処分決定によって営業を侵害された期間本件請負契約によれば,原告Aは,原告A2から平成6年7月20日には新築完成した本件パチンコ店の引渡しを受けることになっていたが,同年3月28日,本件仮処分事件の第1回審尋期日の場で担当裁判官から審理期間中は工事の続行を停止する旨の事実上の勧告を受け,原告Aはこれを受け入れることとしたことから,同審尋期日の翌日から本件仮処分決定の送達があった日の前日(同年6月9日)までの73日間については,工事の遅れにつき原告は承諾していたものである。 したがって,引渡しを受ける予定であった日から営業準備期間(10日間)が必要であったことを考慮としても,本来営業開始が可能であったと予定される日から73日間経過後の同年10月10日以降は,パチンコ店の営業を開始し得 を受ける予定であった日から営業準備期間(10日間)が必要であったことを考慮としても,本来営業開始が可能であったと予定される日から73日間経過後の同年10月10日以降は,パチンコ店の営業を開始し得たものと想定し得る。 すなわち,原告Aは,少なくとも,平成6年10月10日から本件異議決定の出される平成9年9月9日までの間,営業不能の状態に置かれたことにより,営業していれば得られたはずの収益相当分の損害を受けた。 b 前記期間における売上高及び得べかりし利益鑑定人Eの鑑定結果(以下「E鑑定」という。)によれば,原告Aが予定していた430台のパチンコ台を設置した本件パチンコ店の営業により,平成6年10月10日から平成9年9月9日までの間に原告Aの得べかりし利益は,以下のとおり,合計24億1670万9907円である。 記平成6年10月10日から同年12月31日1億8233万8067円平成7年1月1日から同年12月31日 8億5955万5915円平成8年1月1日から同年12月31日 8億3541万3995円平成9年1月1日から同年9月9日 5億3940万1930円c 税金を控除すべきか否かこの点,E鑑定は,逸失利益の計算として税金を控除しているが,損害賠償請求における逸失利益の算定にあたっては営業収益に対して課せられるべき所得税その他の租税額を控除すべきではないとするのが最高裁判所の判例であ 鑑定は,逸失利益の計算として税金を控除しているが,損害賠償請求における逸失利益の算定にあたっては営業収益に対して課せられるべき所得税その他の租税額を控除すべきではないとするのが最高裁判所の判例である(最高裁昭和45年7月24日判決・民集24巻7号1177頁参照)。 dJ意見書について被告は,公認会計士J作成の意見書(乙80。以下「J意見書」という。)を提出して逸失利益の金額を争う。しかしながら,J意見書は,相当な蓋然性の認められる損害ではなく,現実を捨象して,全国平均数値を機械的に当てはめているだけであるため,損害賠償法の明白な法理に反し,現行実務と大きく乖離するものであって採用できない。 特に,J意見書は,本件パチンコ店の地理的条件や規模的条件について特徴的な点を考慮しているか否かが問題となる。この点,本件土地の半径1㎞には競合店はなく,半径2㎞においても2店舗しかなかったのであるから,独占的に確保していたことは明らかであるのに,これを捨象するのは妥当ではない。E鑑定は,30店舗以上のパチンコ店を京阪神・滋賀・北陸・東海地方で経営している1社の協力を得て,地理的条件,規模的条件の一部が近似している京阪神所在の3店舗を選定し,交通アクセス及び商圏人口を考慮して類似店舗相当性を吟味検討したものである。 e 駐車場台数について駐車場台数に関連する行政指導がなされる余地がなかったのであるから,駐車場台数を理由にパチンコ台の設置台数が制限されることはない。また,本件土地の隣接地を駐車場にするという具体的目処も立っていたのであるから,駐車場不足で客足が減るというようなこともなかった。 (イ) 原告A2に対し 台数が制限されることはない。また,本件土地の隣接地を駐車場にするという具体的目処も立っていたのであるから,駐車場不足で客足が減るというようなこともなかった。 (イ) 原告A2に対し支払うべき金額原告Aは,本件建築工事が途中で中止となった結果,原告A2に対し,本件請負契約に基づき,出来高報酬及び工事続行が不可能になった後の出来形解体費用として合計8700万円並びにこれに対する平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払債務を負担したところ,これは,被告による違法な本件仮処分申請及びその執行によって生じたものであるので,その債務金は,そのまま原告Aの損害となる。 よって,被告は,原告Aに対し,同金額についても損害賠償すべきである。 (ウ) 弁護士費用以上の(ア),(イ)の損害の合計は,25億0370万9907円であるところ,これに伴う弁護士費用は,同損害金の約5%である1億2500万円である。 (エ) 甲事件と乙事件の関係について原告Aが被告に対して有している損害賠償請求権のうち1億4000万円については,原告A2に債権者代位権に基づく管理処分権が認められ,原告Aはこれを有しないと認められるから,この点については甲事件では請求せず,原告A2が乙事件で請求するものとする。 したがって,原告A2が乙事件で請求している1億4000万円を前記損害合計額から控除した金額が甲事件で原告Aが請求し得る合計額である。 (オ) 一部請求の明示原告Aは,以上の損害金の合計額26億2870万9907円のうち原告A2の請求額1億4000万円を控除した残金の 求し得る合計額である。 (オ) 一部請求の明示原告Aは,以上の損害金の合計額26億2870万9907円のうち原告A2の請求額1億4000万円を控除した残金の内金17億4250万円及びこれに対する平成9年9月10日から支払済みまで年5分の遅延損害金の支払を求める。 また,原告A2は,上記損害金の内金1億4000万円及びこれに対する平成6年3月17日から支払済みまで年5分の遅延損害金の支払を求める。 (カ) 被告の主張について被告は,原告Aの営業利益は法的に保護されない旨主張する。 しかし,被告は,本件条例は風営法の体系に属するものではなく,本件条例の内容においてパチンコ店の営業許可手続に介入するものでないと主張していたのであり,原告Aの営業を妨げるものではなかったというべきであるから,理由がない。 イ被告の主張(ア) 損害額いずれも争う。 E鑑定については,鑑定過程・手法等が適正でなく,誤りがある。すなわち,匿名である1社の類似店舗の財務諸表のみによって算定しており,類似店舗の損益状況などについて検証することができない。具体的にみても,店舗毎の割付が適正になされているか,本社経費,他店舗の経費の中に類似店舗において必要となる費目が含まれていないか等について検証することができない。対象となる市場規模並びに参加人口の対比によって解決される問題でもない。平成12年7月期の損益に基づいていることも疑問である。 また,駐車場台数についても,類似店舗はパチンコ台数560台に対し,駐車場台数が500台程度であるが,本件パチンコ店 。平成12年7月期の損益に基づいていることも疑問である。 また,駐車場台数についても,類似店舗はパチンコ台数560台に対し,駐車場台数が500台程度であるが,本件パチンコ店は,パチンコ台数430台に対し駐車場台数136台と少なく,駅前型店舗でなく郊外型であることを考えると,駐車場台数は売上額に影響するはずなのに,この点が検討されていない。パチンコ台の入れ替えに伴う消耗品費は多店舗展開している会社と単独店とで違いがあるはずであるのに,差異が考慮されていない。建物建築費の金利が考慮されていない。貸借店舗と自己所有店舗との比較が適正に行われているのか疑問の余地がある。 (イ) 本件条例は適法なものであり,原告Aはこれを守るべき法律上の義務がある。しかし,その条例上の義務の履行を強制する手段がないことを奇貨として,本件パチンコ店を建築し営業しようとした。原告Aの得べかりし利益は,本件条例に違反する違法なパチンコ店営業によるものであり,法的に保護されるものではない。 (ウ) 逸失利益における税金の控除について原告らが指摘する最高裁判決後も多数の控除説に立つ裁判例が出されており,実務の取扱いが非控除説で統一されたわけではない。また,実際問題として,非控除説を採用すると,本件では15億8788万5600円の巨額の利益額を上回る金額を損害賠償の名の下に利得することになって不当である。 (エ) 駐車場規模に関する行政指導の有無について兵庫県公安委員会は,当審における調査嘱託に対し,昭和60年以降,パチンコ店の営業に関し,周辺道路等において駐車場問題が生ずることのないように,許可申請に伴う事前相談の段階で,出店場所及び遊技機の設置台数に応 委員会は,当審における調査嘱託に対し,昭和60年以降,パチンコ店の営業に関し,周辺道路等において駐車場問題が生ずることのないように,許可申請に伴う事前相談の段階で,出店場所及び遊技機の設置台数に応じて,必要と認められる駐車場台数を確保した駐車場の設置を指導していると回答しており,駐車場が136台の場合,パチンコ台数は少なくとも227台にするように行政指導がなされることを明らかにしている。 なお,本件土地の隣接地を駐車場とするとの計画があったとの原告Aの主張は時機に遅れた攻撃防御方法であるから却下されるべきである。 (オ) TKC経営指標パチンコ店を経営したことのない原告が,未だ事業を行っていない段階での逸失利益を算定するには,業界平均といわれているTKC経営指標を使用して算定する方が客観的である。 第3 争点に対する判断 1 認定事実前記前提となる事実に加え,証拠(甲17,乙1ないし5,20の1・2,23,24,25の1・2,26ないし29,46,47の1・2,48ないし67,丙4)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件条例制定の背景被告は,地方自治法上の普通地方公共団体であり,市の総面積1万0189ヘクタールのうち約4分の3(7695ヘクタール)が市街化調整区域に指定されており,残りの約4分の1(2494ヘクタール)の市街化区域のうち,9割近くが住居系の地域で構成されている。(乙20の2,21の1)被告は,歌劇と温泉の町として,気品のあるイメージを保持することを町作りの中軸に据えており,昭和57年7月に環境基本条例(環境に関する施策の基本となる事項を定めることにより,市民の快適かつ文化的な生活 告は,歌劇と温泉の町として,気品のあるイメージを保持することを町作りの中軸に据えており,昭和57年7月に環境基本条例(環境に関する施策の基本となる事項を定めることにより,市民の快適かつ文化的な生活の確保に資することを目的とする。)を制定したほか,同年10月に同条例の規定に基づき,「被告市自然環境の保全と緑化の推進に関する条例」,「被告市都市の清潔に関する条例」,「被告市環境紛争の処理に関する条例」を制定し,独自の都市構想を持ち,それを実現するための環境保全施策を行った。(乙26ないし29)良好な住宅都市作りを基本目標とする被告のこのような試みは,3次にわたって行われてきたものであり,昭和46年度からの第一次総合計画(「自然と調和する清らかで明るい住宅都市」),昭和56年度からの第二次総合計画(「自然とこころのゆたかな住宅都市」),平成3年度からの第三次総合計画(「自然とこころのゆたかな緑住文化都市の創造」)が策定され,現在に至っている。(丙4)現に,被告市内には,被告音楽学校,被告造形芸術大学や日本で唯一演劇科が設置された公立高校が存在するほか,被告が主催する各種音楽コンクールが盛んであり,都市全体に芸術的な色彩を感じさせる努力が行われているほか,被告市北部には,六甲山系及び長尾山系といった山並みがあり,その中心には武庫川が流れているなど,豊かな自然環境を有していた。(丙4)(2) 本件条例の制定昭和58年1月ころ,被告市内の近隣商業地域・住居地域内(ab丁目)でパチンコ店を建築する計画が持ち上がり,同計画に対して,地域住民が,青少年の非行化を招き,犯罪の温床になりかねないとして反対運動を行い,同年3月3日,パチンコ店の出店を制限する条例の制定を求める請願書(乙63)を被告に提 画が持ち上がり,同計画に対して,地域住民が,青少年の非行化を招き,犯罪の温床になりかねないとして反対運動を行い,同年3月3日,パチンコ店の出店を制限する条例の制定を求める請願書(乙63)を被告に提出した。そこで,被告の機関である環境保全審査会が請願を審議したところ,同年7月に風俗営業に使用する建築物の建築を一部制限する条例を制定すべき旨の答申と条例案の提出がなされ,同年8月2日に同条例案が被告議会によって決議されたため,同日以降,本件条例が施行されることとなった。なお,問題となった前記パチンコ店は,近隣商業地域に区域を縮小して建設された。(乙23,24,25の1,63,丙4,弁論の全趣旨)本件条例は,その後,昭和60年3月29日に一部改正されたが,基本的な内容の変更はなされていない。(乙25の2)(3) 本件建築確認処分に至る経緯平成4年6月6日,原告Aが本件土地上にパチンコ店を建設する計画について地元説明会を開催したため,同月22日,被告は,原告A代理人Bから事情聴取を行い,同月26日付けで,当該地域が準工業地域である旨記載した書面(乙53)や本件条例の写しとともに,本件条例の趣旨を伝えるなどした。(乙20の1,53)一方,同月8日,地元住民はCほか1561名分の署名を持参して,被告市議会議長に対し,原告Aによるパチンコ店出店計画に反対する請願書(乙64)を提出し,同月19日,被告市議会は,同請願を全会一致で採択した。(乙20の1,64)同年8月17日,原告Aは,被告市長に対し,本件条例の規制を緩和することや運用を改善すること等を陳情する旨の要望書(甲17)を提出した。 同年9月3日,地元住民が組織する住環境保全推進協議会の会長Cは,3 被告市長に対し,本件条例の規制を緩和することや運用を改善すること等を陳情する旨の要望書(甲17)を提出した。 同年9月3日,地元住民が組織する住環境保全推進協議会の会長Cは,3437名分の署名をとりまとめて,被告市長宛にパチンコ店出店反対の要望書(乙65)を提出した。(乙20の1・2,65)同年10月5日,原告Aは,被告市開発指導要綱に基づき,本件土地において倉庫及び駐車場の開発事業事前協議申請書を被告市開発指導課に提出し,同課は受理したが,原告Aは同月22日,計画変更のため同申請を取り下げた。(乙20の1)同年11月4日,原告Aは,被告に対して,本件パチンコ店の建築計画を説明し,本件条例に基づき被告市長が同意するように求める申請書(乙46)を提出した。その際,被告は,本件土地が準工業地域であり,条例の禁止対象区域であるため,条例の規制対象以外の建築等とするように指導したが,本件条例に基づく同意申請をするとの原告Aの意向を受けて,被告は同申請書を受理した。(乙20の1,46)同月30日,被告市長は,庁内組織である被告市ラブホテル等審査会の審査結果(乙47の2)をもって不同意を決定し(乙47の1,以下「本件不同意処分」という。),同年12月10日,原告Aに対し,本件条例で規制される施設以外の建築とするように付記した不同意決定通知書を手渡した。(乙20の1,47の1・2,48)同年12月18日,原告Aは,パチンコ店建築計画の建築確認申請書を建築確認指導課に持参したので,同課は,被告における建築確認申請の手続を説明し,本件条例及び要綱の手続を完了した後,建築確認申請をするよう伝えたが,原告Aは,同申請書を置いて帰った。(乙20の1)同月24 ので,同課は,被告における建築確認申請の手続を説明し,本件条例及び要綱の手続を完了した後,建築確認申請をするよう伝えたが,原告Aは,同申請書を置いて帰った。(乙20の1)同月24日,被告市長は,原告Aに対し,本件条例6条に基づき,建築準備行為を中止するように指導し,従わない場合は所要の手続を開始する旨を記載した指導通知書(乙54)を送付し,同日,原告Aが同月18日に置いて帰った前記建築確認申請書を返却した。(乙20の1,54,55)平成5年1月11日,原告Aは,被告に対し,本件不同意処分の取消しを求める異議申立書(乙49)を提出し,同日付けで,被告市建築主事がなした建築確認申請の不受理処分の取消しを求める審査請求書(乙51)を提出した。(乙20の1,49,51)同年2月15日,被告市長は,前記異議申立てを棄却する旨の決定(乙50)を行い,原告Aに送付したが,前記審査請求については,同月10日,被告市建築審査会が,公開による口頭審査を開催した上,同月23日,前記不受理処分を取り消す旨の裁決(乙52)を行った。(乙50,52)同年3月1日,原告Aは,被告市建築指導課に対しパチンコ店建築計画の建築確認申請を提出し,同課はこれを受理したところ,同月4日,被告市長名義で原告Aに対し,建築確認申請の提出等の建築準備行為を中止するように指導・勧告し,従わない場合には所定の手続をする旨記載した指導勧告通知書(乙56)を送付した。同月5日,地元住民らによって構成される住環境保全推進協議会の会長Cは,被告市長に対し,本件条例に基づき建築中止を原告Aに働きかけるように促すとともに,地元住民らが原告Aに対して裁判を提起する場合には訴訟費用を負担するように求める要望書(乙66)を提出した。(乙 は,被告市長に対し,本件条例に基づき建築中止を原告Aに働きかけるように促すとともに,地元住民らが原告Aに対して裁判を提起する場合には訴訟費用を負担するように求める要望書(乙66)を提出した。(乙20の1,56,66)同年4月12日,被告市建築主事が原告Aの建築確認申請に対し建築確認処分をなしたので,同日,被告市長は,原告Aに対して,建築準備行為を中止するよう建築準備行為中止命令書(乙57)を送付した。(乙57)(4) 本件仮処分決定に至る経緯平成6年2月22日,地鎮祭の準備が行われているとの情報を受けた被告市環境保全課員が本件土地を訪れたところ,原告A2の建築課長Zが,原告Aから本件建築工事を請け負ったこと,地鎮祭は翌23日であることを説明したので,同課員は,原告Aに対する建築準備行為中止命令の写しを手渡し,本件パチンコ店の建築工事は本件条例に違反しているため,上司に説明して本件条例を遵守するように厳重に申し入れた。 同月23日に予定されていた地鎮祭は,住環境保全推進協議会の反対等のため中止となった。 同月28日及び同年3月1日の2度にわたり,原告A2から被告に対し,騒音規制等の規定に基づく特定建設作業の届出書が提出されたが,被告はいずれも受領を拒否し,本件条例の趣旨を説明するなどした。 同月4日,被告は,原告A2(乙58)及び下請業者であるG組に対し,指導・勧告書を送付した。(乙20の1,58)同日,住環境保全推進協議会の会長Cから被告市長に対し,再度,原告Aに対してパチンコ店の建築中止を求めるように促す要望書(乙67)が提出された。(乙67)原告A2は,平成6年3月7日から本件土地において仮囲いの工事に着手し 長に対し,再度,原告Aに対してパチンコ店の建築中止を求めるように促す要望書(乙67)が提出された。(乙67)原告A2は,平成6年3月7日から本件土地において仮囲いの工事に着手し,同年3月11日までに上記工事は完了した。 同月13日,原告A2と地元住民との間で話合いが持たれるなどしたが,翌14日,地元住民から,原告A2が8項目の質問状に対し回答する旨約したにもかかわらず,質問状の回答がないまま工事を進めようとしている点で許せないこと,建築基準法に基づく建築確認済みの標識の表示がないこと等を指摘して車両進入口に立ち塞がり,業者の立入りを阻止するなどしたが,原告A2は,敷地内の掃除と基礎工事のための試験掘削をするだけで,建設工事に着手するものではない旨を述べたため,地元住民は散会した。 しかるに,翌15日,原告A2及びG組は,掘削とともに土留め矢板の設置作業を開始し,本件パチンコ店の建築に着手した。 被告は,同日,原告A(乙59,61),原告A2(乙60,62)及びG組に対して,本件条例8条に基づき,建築中止命令書を内容証明郵便で送付し,同月16日に送達されたが,原告Aはこれを無視して,工事を続行した。(乙20の1)(5) パチンコ店等の建築を規制する条例の適法性に関する概況ア平成5年1月25日,神戸地裁は,後記「α市教育環境保全のための建築等の規制条例」(α市条例)に基づいてα市長がなしたパチンコ店建築不同意処分の取消訴訟について,良好な教育環境の保持を目的とし,建築規制という規制方法をよるα市条例は,風俗営業の適正化を主要な目的とする風営法(平成3年改正前)と目的において顕著な差が認められ,風営法が営業規制という手法を採る点でも規制手法に著しい違いが ,建築規制という規制方法をよるα市条例は,風俗営業の適正化を主要な目的とする風営法(平成3年改正前)と目的において顕著な差が認められ,風営法が営業規制という手法を採る点でも規制手法に著しい違いがあるため風営法に違反しないこと,パチンコ店建築予定地には住宅地域が広がっているほか,公園・学校施設等が近隣に存在すること等を示した上,不同意処分を適法として,取消請求を棄却した。(乙1)記(α市条例・抜粋)(甲16)第1条この条例は,青少年の健全な育成を図るため,教育環境を阻害するおそれのある建築物の建築等を規制することにより,教育環境の保全に資することを目的とする。 第3条旅館業または風俗営業を目的とする建築物を建築(増築,改築および用途変更を含む。以下同じ。)しようとする者(以下「建築主」という。)は,あらかじめ,市長にその建築の同意を得なければならない。 第4条市長は,前条の規定に基づき,建築の同意を求められた場合において,その位置が次の各号の一に該当するときは,建築の同意をしないものとする。ただし,第1条の目的に反しないと認められる場合は,この限りでない。 (1) 規則で定める教育文化施設,公園,児童遊園地または児童福祉施設等の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲200mの区域内(2) 規則で定める通学路の両側それぞれ20mの区域内(3) その他市長が教育環境の保全のため必要と認める場所 2 市長は,前項ただし書の場合またはその他必要があると認めるときは,執行機関の附属機関に関する条例(昭和39年α (3) その他市長が教育環境の保全のため必要と認める場所 2 市長は,前項ただし書の場合またはその他必要があると認めるときは,執行機関の附属機関に関する条例(昭和39年α市条例第44条)第1条に規定するα市教育環境審査会(以下「審査会」という。)にはからなければならない。 第6条市長は,第4条第2項の規定により審査会にはかる場合は,あらかじめ当該建築物の建築に利害関係を有する者の出席を求めて,公開による聴聞を行わなければならない。 2 前項の規定による聴聞を行う場合は,市長は,聴聞を行おうとする日の7日前までに聴聞事項,期日および場所を告示しなければならない。 第8条建築主が,第3条に規定する建築の同意を得ず旅館業または風俗営業を目的とする建築物を建築するときは,市長は,当該建築物の建築の中止を命ずることができる。 イ平成6年4月27日,大阪高裁は,α市条例に基づくα市長の建築不同意処分取消訴訟についての前記神戸地裁判決の控訴審として,原審とおおむね同様の理由により控訴を棄却した。(乙2)ウ平成9年11月26日,神戸地裁は,後記「β市遊技場等及びラブホテルの建築等の規制に関する条例」(β市条例)に基づくβ市長によるパチンコ店の建築工事続行禁止の仮処分申立事件について,風営法とβ市条例の目的は差異があるものの互いに相当程度重なり合うことを否定できないが,風営法は同法等による規制対象地域以外の地域において,各市町村が条例をもって同様の規制を行うことを否定する趣旨ではなく,α市条例による規制には一応の合理性が認められること,β市条例と建築基準法とは規制目的で顕著な差異が存する上,建築基準法は地方公共団体が地方の実情に応じて相当な範囲で うことを否定する趣旨ではなく,α市条例による規制には一応の合理性が認められること,β市条例と建築基準法とは規制目的で顕著な差異が存する上,建築基準法は地方公共団体が地方の実情に応じて相当な範囲で独自の規制を加えることを否定しておらず,β市条例の規制には一応の合理性が認められること等と判示し,β市長による申立てを認容した。 (乙3)記(β市条例・抜粋)(乙3)第3条市内において旅館業を目的とする建築物の建築を行おうとする者は,あらかじめ市長に届け出なければならない。 2 市内において規制対象の建築等を行おうとする者(以下「建築主」という。)は,規則の定めるところにより,あらかじめ市長の同意を得なければならない。 第4条市長は建築主から前条第2項の規定に基づき同意を求められた場合において,建築しようとする規制対象施設が次の各号の一に該当する地域又は区域(以下「規制区域」という。)に位置するときは,同意しないものとする。ただし,その建築が規制区域の生活環境,教育環境及び沿道修景を害するおそれがないと市長が認める場合は,この限りでない。 (1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する用途地域のうち第1種低層住居専用地域,第2種低層住居専用地域,第1種中高層住居専用地域,第2種中高住居専用地域,第1種住居地域,第2種住居地域及び準住居地域並びにこれらの周囲おおむね100m以内の区域(2) 都市計画法第43条第1項第6号に規定する土地(3) 別表に定める施設のうち市長が指定するものの周囲おおむね200m以内の区域 以内の区域(2) 都市計画法第43条第1項第6号に規定する土地(3) 別表に定める施設のうち市長が指定するものの周囲おおむね200m以内の区域(4) 市長が指定する道路の両側それぞれおおむね100m以内の区域(5) ラブホテルについては,前各号に定める規制区域のほか,都市計画区域に含まれない区域第6条市長は,第4条の同意を得ないで規制対象施設の建築等を行っている者及び前条に規定する指導に従わない者に対して必要な勧告を行うことができる。 2 前項の勧告を受けた者は,速やかに当該勧告に従い,必要な措置を講じなければならない。 第7条市長は,建築主が第3条第2項の同意を得ず,又は前条第1項の勧告に従わず,なお規制対象施設を建築しようとするときは,当該規制対象施設の計画の変更もしくは工事の中止を命じ,又は当該規制対象施設の除却その他必要な措置を執ることを命ずることができる。 エ神戸地裁は,平成10年9月10日,前項ウの仮処分決定に対する保全異議申立事件について,原審とおおむね同様の理由により,原決定を認可し,同日,前項ウの仮処分申立事件の当事者間において,パチンコ店建築主からβ市に対してなされた,建築予定パチンコ店への給水装置工事申請の受付,設計審査,竣工検査,使用開始届受理,水道メーター設置の仮処分申立事件につき,前項ウと概ね同様の理由により,市長の拒絶処分を相当と認め,申立てを却下した。(乙4,5)オ平成9年1月24日,盛岡地裁は,「モーテル類似施設建築規制条例」に基づくγ町長によるモーテル類似施設の建築工事続行禁止等の仮処分申請事件において,同条例が風営法 た。(乙4,5)オ平成9年1月24日,盛岡地裁は,「モーテル類似施設建築規制条例」に基づくγ町長によるモーテル類似施設の建築工事続行禁止等の仮処分申請事件において,同条例が風営法及び旅館業法と趣旨において一部共通する目的を有しながら,規制対象,規制内容,規制程度を超える規制をしているといえるものの,少年の健全な育成等の目的達成のためには,およそ当該地域の実情に応じた独自な規制が必要であって,市町村の条例において別段の規制をすることを排斥したとは解されず,風営法や旅館業法とは違った観点からの手法で規制し,当該規制が規制目的と合理的関連性があると認められるから,同法の目的,効果を害するものとはいえないため,同条例自体は適法有効であるが,X町長は,建築計画を知りながら注意を促すこともなく,敢えて建築対象地点の脇の道路を規制通学路に指定しているなどの事情が認められるから,その限りでは著しく不合理であり相当性を欠くもので憲法29条に反すると判示して仮処分申請を却下した。(判例タイムズ950号117頁) 2 争点(1)について(1) 甲事件の訴訟物と,同事件に先だって提起された乙事件の訴訟物とは金額を異にするものの,いずれも原告Aの被告に対する国家賠償法に基づく損害賠償請求権の存否であり,訴訟物たる債権が同一であることは明らかである。 (2) しかしながら,訴訟物の一部を明示して請求することはもとより適法であるところ(最高裁昭和37年8月10日判決・民集16巻8号1720頁参照),甲事件及び乙事件の訴訟物は,いずれも,上記損害賠償請求権の明示の一部請求である。 そして,甲事件において原告Aは,被告に対して合計26億2870万9907円の損害賠償請求権を有するとし,それより原告A2が乙事件において請求する1 償請求権の明示の一部請求である。 そして,甲事件において原告Aは,被告に対して合計26億2870万9907円の損害賠償請求権を有するとし,それより原告A2が乙事件において請求する1億4000万円を控除した残額の内金である17億4250万円及びこれに対する遅延損害金を請求している。なお,原告Aの主張に照らせば,たとえ,当裁判所が認定する原告Aの被告に対する損害賠償請求権の額が,同原告の請求額と原告A2の請求額の合計18億8250万円を下回る場合でも,当該認定額から原告A2の請求分を控除した残額を請求する趣旨であって,訴訟物の重複が生ずることはないと解される。 (3) 以上より,原告Aの請求につき,二重起訴の禁止に抵触する部分が存するとは認められず,その訴えは適法であるということができる。 3 争点(2)について(1) 判断基準及び認定事実債権者代位権を行使するにあたっては,代位によって保全される債権(被保全債権)の存在と代位の必要性とが必要であるところ(民法423条),証拠(各項末尾掲記)によれば,以下の事実が認められる。 ア原告A2は,平成6年2月20日,原告Aから,本件パチンコ店用建物の新築工事である本件建築工事を,請負代金4億9440万円(消費税込)で請け負い,同年3月15日,着工した。(甲1,30ないし32,弁論の全趣旨)イ原告A2は,本件請負契約締結前である同年2月15日,原告Aに対し,期限の定めなく,5300万円を貸し付けた。(丙1,2,弁論の全趣旨)ウ同年3月17日,本件仮処分決定がなされたため,本件建築工事は中断した。(弁論の全趣旨)エ原告Aは,原告A2に対し,本件建築工事に着工してから本件建築工事が中断するまでの出 ウ同年3月17日,本件仮処分決定がなされたため,本件建築工事は中断した。(弁論の全趣旨)エ原告Aは,原告A2に対し,本件建築工事に着工してから本件建築工事が中断するまでの出来高相当分の請負代金債務及び本件建築工事中断後建築途中の出来形を解体して更地にする工事の請負代金債務(債務額合計8700万円)を負っていたところ,原告らは,平成7年4月12日,期限の定めなく,これらの債務を消費貸借の目的とする旨を合意した。(丙3,弁論の全趣旨)(2) 被保全債権の存否以上によれば,原告A2は,原告Aに対し,金銭消費貸借契約に基づき5300万円の,準消費貸借契約に基づき8700万円の,それぞれ金銭返還請求権を有しているものと認められるところ,同金銭消費貸借契約及び同準消費貸借契約には,いずれも弁済期の定めがないから,このような場合には,貸主が返還の催告をした後の相当期間の末日の到来をもって弁済期が到来したものと解するのが相当である(民法591条1項)。そして,上記債務額及び取引通念等に照らすと,本件における相当期間はいずれも7日間と認めるのが相当である。 しかるところ,本件記録によれば,原告A2は,原告Aに対する前記合計1億4000万円の金銭返還請求権に基づいて,平成13年4月13日,同原告を被告として同額の金銭及び遅延損害金の支払請求訴訟(当庁平成13年(ワ)第773号)を提起し,その訴状が同月18日,原告Aに対して送達されたこと(なお,原告A2から原告Aに対する同金銭支払請求訴訟は,当裁判所において,同年5月30日,甲事件に併合する旨決定されて審理された上,平成14年10月10日に分離決定をなした上,同年11月5日に,1億4000万円及び平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割 おいて,同年5月30日,甲事件に併合する旨決定されて審理された上,平成14年10月10日に分離決定をなした上,同年11月5日に,1億4000万円及び平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命じる判決がなされ,確定した。)ことが認められるから,同訴状送達から相当期間である7日間の末日に当たる同月25日に弁済期が到来したものと認められる。 そうだとすると,原告A2は,原告Aに対する債権として,元金1億4000万円及びこれに対する弁済期の翌日である平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求債権が存すると認められる。 (3) 代位の必要性の有無弁論の全趣旨によれば,原告Aには原告A2に対する前記債務を支払うべき資力がないものと認められる。したがって,原告A2が債権者代位をなすにつき,その必要性が認められる。 (4) したがって,原告A2は原告Aに対する1億4000万円及びこれに対する平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める債権を保全するため,原告Aの被告に対する損害請求権につき原告Aに代位して訴訟を追行し得るものと認められるから,乙事件の訴えはその限度において適法である。 一方,乙事件における原告A2の請求のうち,1億4000万円に対する平成9年9月10日から平成13年4月25日までの年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分については,前記のとおり,原告A2には被保全債権がなく債権者代位の要件を欠き,ひいては原告適格を欠くから,この部分の訴えは不適法である。 4 争点(3)について(1) 憲法94条及び地方自治法14条1項は,普通地方公共団体の条例制定権を根拠付けるとともに,その範 き,ひいては原告適格を欠くから,この部分の訴えは不適法である。 4 争点(3)について(1) 憲法94条及び地方自治法14条1項は,普通地方公共団体の条例制定権を根拠付けるとともに,その範囲と限界を定めたものであるから,普通地方公共団体が制定する条例は,法令に違反することができず,法令に違反するような場合はその効力を有しないというべきである。 しかるところ,条例が法令に違反するかどうかは,両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく,それぞれの趣旨,目的,内容及び効果を比較し,両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決すべきものと解するのが相当である。したがって,特定事項について,これを規律する法令と条例が併存する場合でも,後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり,その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがないときや,両者が同一の目的に出たものであっても,法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨でなく,それぞの地方の実情に応じて,別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは,法令と条例との間に何らの矛盾抵触はなく,条例が国の法令に違反する問題は生じないというべきである(最高裁昭和48年(あ)第910号,昭和50年9月10日大法廷判決・刑集29巻8号489頁参照)。 (2) そこで,本件条例が風営法及び建築基準法に違反しないか否かにつき,以下に検討する。 ア風営法について風営法は,昭和59年改正(同年法律第76号)によって初めて目的を明確にしたが,当該目的規定(1条)によると,風営法は善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するという消極的,警察的な目的 年法律第76号)によって初めて目的を明確にしたが,当該目的規定(1条)によると,風営法は善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し,少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するという消極的,警察的な目的を有すると同時に,健全な風俗営業が国民の社交等,娯楽の場を提供する側面を有することから,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進するという積極的な目的を有するとされている。 他方,前記前提となる事実及び認定事実によれば,本件条例の目的も,豊かな自然環境を保全し,良好な住宅環境を築くという積極的なものであると同時に,その制定経緯から明らかなように,青少年の健全な育成を妨げ,犯罪の温床となり得る風俗営業の制限という消極的な目的を有していることも明らかであると認められるから,風営法と本件条例とは,目的が実質的に重なり合うものと解される。 そこで,両者の規制方法を比較検討すると,風営法は明らかに営業規制であるのに対し(風営法3条),本件条例は建築規制の手法を執っている点で規制方法において相違があると認められる。もっとも,本件条例は,建築禁止地区を設けることで一律の建築規制を規定しているところ,建築行為が規制されると,事実上,営業行為は極めて困難となることからすれば,実質的には両者の規制方法は同種のものと解することができる。 その上,本件条例が,建築者に告知聴聞の機会を与えることなく,一律に建築申請を不同意とする旨規定していることからすれば,当該規制は,営業を公安委員会の許可にかからしめた上,不服申立手続についてもこれを整備している風営法の規制より厳格な規制であるというべきところ,前記認定事実に照らしても,風営法が規制していない分野において,これほど厳格な規制を設けることに合理性があ 不服申立手続についてもこれを整備している風営法の規制より厳格な規制であるというべきところ,前記認定事実に照らしても,風営法が規制していない分野において,これほど厳格な規制を設けることに合理性があると認められないから,風営法が地方の実情に応じた別段の規制として本件条例のごとき厳格な建築規制を容認する趣旨であると解することはできず,本件条例は風営法に矛盾抵触するものといわざるを得ない。 そして,このように解することは,風営法が,全国的に区々となっていた風俗営業に対する規制を昭和59年に抜本的に改正し,風俗営業の場所的規制について,全国的に一律に施行されるべき最高限度の規制を定めたと解されることに照らしても相当である。 イ建築基準法について建築基準法の目的は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,公共の福祉の増進に資することであると規定されているが(1条),用途地域による建築規制に関しては,計画的な市街化を図り,健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を保護し,良好な都市環境を保護する点にあると解される。 他方,本件条例の目的は,前記のとおり,良好な住宅環境,自然環境及び文化,教育環境を保持するという点にあると認められるところ,これらは良好な都市環境の保護の一部であると解されるから,両者の目的はその一部において重なり合うと解される。 そこで,両者の規制方法を比較検討するところ,両者は共に建築物の建築可能区域に関する規制であるから(建築基準法48条,本件条例4条),用途地域を用いて建築規制をする点で共通する。 そのうえ,建築基準法は,本件土地の存する準工業地域内でのパチンコ 築可能区域に関する規制であるから(建築基準法48条,本件条例4条),用途地域を用いて建築規制をする点で共通する。 そのうえ,建築基準法は,本件土地の存する準工業地域内でのパチンコ店等の建築を禁止していないのに,本件条例が,準工業地域内でのパチンコ店の建築を実質的に認めていないから(本件条例4条),本件条例は建築基準法の規制よりも厳格な規制であるというべきところ,前記認定事実に照らしても,これほど厳格な規制を設けることに合理性があると認められないことからしても,建築基準法が本件条例を容認する趣旨であると解することはできず,本件条例は建築基準法に矛盾抵触するものといわざるを得ない。 (3) 被告の主張について被告は,風営法及び建築基準法による規制は,市町村における町作りという行政需要を充たすに十分でなく,これを補完するために市町村が条例を制定することを排斥することは,憲法によって保障された地方自治の本旨に基づく条例制定権を侵害するものであると主張する。 しかしながら,地方公共団体は法律と矛盾抵触しない限度で条例を制定,施行することができることは前記のとおりであるところ,条例の内容が法律に矛盾抵触する場合には,条例は地方自治法14条に照らして違法無効となることは最高裁判例においても確立されたものである。なお,被告の主張が,憲法が地方公共団体に上記限度を超えた条例制定権を保障しているとの趣旨であれば,そのような主張自体,失当である。 5 争点(4)について(1) 国家賠償法上の違法性の判断基準前記前提事実及び叙上の認定説示によれば,被告市長及び被告市環境保全課員(以下「被告担当者ら」という。)は,本件条例に基づき,原告Aに対して建築禁止を命じる仮処分を神戸地裁 の判断基準前記前提事実及び叙上の認定説示によれば,被告市長及び被告市環境保全課員(以下「被告担当者ら」という。)は,本件条例に基づき,原告Aに対して建築禁止を命じる仮処分を神戸地裁に申請し,その旨の本件仮処分決定を得て本件建築工事を中止させたところ,上記最高裁判決が判示のとおり,地方公共団体が専ら行政権の主体として住民に対して行政上の義務の履行を司法的に執行することができないものと解されるし,また,本件条例は前記判示のとおり風営法及び建築基準法に反し,地方自治法14条1項により無効であるが,このことから,被告担当者らの前記行為が直ちに国家賠償法1条1項の違法性を有すると認められるわけではなく,被告担当者らが,個々の地域住民・法人に対する関係で負う職務上の法的義務に違反した場合に限り国家賠償法上の違法性を有することになると解される。 (2) 本件仮処分により本件建築工事を中止させた被告の行為の国家賠償法上の違法性ア条例に基づく義務の司法的執行が可能であると判断した点について後記6(2)の認定事実に照らすと,本件仮処分申請がなされた当時,地方公共団体が住民に対して行政上の義務の履行を求めるために本案訴訟を提起することができることについて,これを肯定する見解が存したものの,明文上の根拠はなく,民事上の保全処分である仮処分申請をなすことの許否についても未だ不確定であったし,また,本件条例に関して,それに基づく行政上の義務につき具体的な強制措置を執ることを許容せず,行政指導のみを許容する条例であるとの指摘がなされていたことが認められるから,被告担当者らとしては,既に着工済みであった原告Aをして本件建築工事を中止させ,直接その営業権を侵害する結果となる本件仮処分の申請に際しては,職務上の法 との指摘がなされていたことが認められるから,被告担当者らとしては,既に着工済みであった原告Aをして本件建築工事を中止させ,直接その営業権を侵害する結果となる本件仮処分の申請に際しては,職務上の法的義務として,私人の財産権を違法に侵害する結果とならないよう慎重に対処することが要請されたというべきである。 そうであれば,本件仮処分申請の是非を検討した被告担当者らは,原告Aの営業権を違法に侵害することのないよう,原告Aの営業権を制限する結果となる措置を執る場合には,本案訴訟の判決の確定を待ってそのような措置を執るか,あくまで行政指導によって原告Aの理解と協力のもとにそのような措置を執るべきであったというべきである。そうすると,被告担当者らの前記行為は,前記職務上の法的義務を尽くしたとはいえず,国家賠償法上の違法行為に該当するものと解するのが相当である。 イ本件条例が地方自治法14条に違反せず適法有効であると判断した点について他方,前記説示のとおり,本件条例は風営法及び建築基準法に違反し地方自治法14条に違反するもので無効と解すべきであるから,結果的に,これらの点に関する被告の法的検討が十分でなかったことは否定し難い。 加えて,本件条例は,規制対象施設の建築につき被告市長の同意を要するという規制手法を執っているものの,実質的に営業行為を規制し,阻害することが明らかであって,風営法と競合する可能性が顕著であった上,告知聴聞の機会が明文上与えられていない厳格な内容であったことから,α市条例とは同一に論じられない。したがって同条例を根拠に本件条例が風営法及び建築基準法に違反しないものと軽々に判断できないものであったといわざるを得ず,被告の担当職員らが,本件条例が地方自治法14 市条例とは同一に論じられない。したがって同条例を根拠に本件条例が風営法及び建築基準法に違反しないものと軽々に判断できないものであったといわざるを得ず,被告の担当職員らが,本件条例が地方自治法14条に違反しないと判断したことについては,同職員らが条例施行に関する専門家であり,高度の注意義務を課されていることに照らしても,その職務上の法的義務を尽くしたとはいい難い。 なお,前記認定事実によれば,本件条例については,規制を適法と考える立法事実に乏しく,「行政指導条例」としてであれば適法である旨の指摘がI教授によってなされていたところ,この指摘は,条例が行政指導を基礎づけるのみである場合には,法令との抵触は問題にならないことを前提に,本件条例が行政指導を基礎づけるにとどまり,司法的執行によることも含め私人に対して強制力を有しないからこそ適法であるとの含意を有しているものと理解し得る。したがって,被告担当者らは,本件条例に基づく義務を仮処分によって私人に強制するにあたっては,このような見解の存在にかかわらず,本件条例が地方自治法に違反しないとの確信に至る十分な調査をすべきことが職務上要請されたものと解される。 しかるに,被告担当者らは,本件条例制定後に風営法が改正されたほか,本件条例の問題点が具体的に指摘されるなど,検討すべき重要な問題点が含まれていたにもかかわらず,本案の勝訴判決を得たのと同等の効果をもたらす本件仮処分を申請したが,その申請にあたり,具体的に本件条例の適法性についての十分な調査を行ったとは認められないから,本件条例を地方自治法14条に違反しないと判断して,本件仮処分を申請し,同決定を得て本件建築工事を中止させたことは,職務上の法的義務に違反し,国家賠償法上の違法性を有するものといわざるを ないから,本件条例を地方自治法14条に違反しないと判断して,本件仮処分を申請し,同決定を得て本件建築工事を中止させたことは,職務上の法的義務に違反し,国家賠償法上の違法性を有するものといわざるを得ない。 なおまた,本件条例制定後に風営法は改正されたが,その改正においては,全国的に区々であった風俗営業の区域規制を統一することが目指されていたのであるから,その趣旨からして,条例によって独自に風営法の基準を超える規制をなすことは予定されていなかったものというべきである。したがって,営業制限に関して独自の区域規制を設けている本件条例が,風営法に違反することを認識することは,当時においても,十分可能であったといわざるを得ないのであり,この点に関する被告の主張は認められない。 なお,本件条例は,明文上は告知聴聞の機会を与えていないが,その運用にあたっては,告知聴聞の機会が設けられ,現に,被告と原告Aは,数回にわたって協議の場を持ったのであり,本件仮処分申請以前にも,不服申立の機会が存在しなかったわけではないと認められる。しかしながら,本件条例の有効性を判断するにあたっては,そのような明文に根拠がなく,法的な保障のない運用を考慮することはできない。 ウ保全の必要性が存在しないとの主張について原告らは,保全の必要性がなかったことを独立の請求原因として主張するところ,前記のとおり,被保全権利の存在に疑義があること,営業権を侵害される原告Aの損害が甚大となる可能性が高いことをも総合考慮すれば,仮処分をしなければ回復し難い重大な損害が発生するなどの保全の必要性を要し,そのような必要性がなかった場合には,違法であると解すべきである。 そこで検討するに,前記認定事実によ ,仮処分をしなければ回復し難い重大な損害が発生するなどの保全の必要性を要し,そのような必要性がなかった場合には,違法であると解すべきである。 そこで検討するに,前記認定事実によれば,被告が本件仮処分申請をなした当時,既に原告Aが原告A2に依頼して本件建築工事に着手し,再三の中止命令にも従わない状況にあったところ,建築物の除却命令等の措置を規定していない本件条例の体裁からすれば,建築工事が継続され建築物が完成した段階では,本件条例の目的を達成することが困難になることが容易に想定できたし,パチンコ店として建築された建築物の形状及び性質上,一度建築されてしまった場合には,パチンコ店以外の目的へ転用することは事実上困難であったことを考慮すれば,本件条例が中止を求める根拠となり得たか否かはさておき,何らかの保全行為に出る必要性があったこと自体は否定できない。 これに対し,原告らは,建築行為を放置することによって失われる回復し難い利益は存在しなかったと主張する。しかしながら,本件条例による中止命令の実効性がないこととなれば,類似他社の出現などによって被告独自の環境保全政策が骨抜きとされる危険性があったと考えられるところ,本案訴訟を提起していたのでは,確定までに時間がかかり,実効性が損なわれる可能性を否定できなかったから,回復し難い利益があったものと判断したとしても,著しく職務上の注意義務に反したものとも認められない。 よって,保全の必要性がなかったこと自体を独立の請求原因として主張して,これを国家賠償法上の違法原因であるとすることはできないから,原告らの主張はその限りで理由がない。 6 争点(5)について(1) 過失の判断基準ア不法行為における過失の認識対象は違 賠償法上の違法原因であるとすることはできないから,原告らの主張はその限りで理由がない。 6 争点(5)について(1) 過失の判断基準ア不法行為における過失の認識対象は違法事実の発生であるところ,仮処分により本件建築工事を中止させた被告の行為の違法性が問題とされる本件においては,行政上の義務の司法的執行が不適法であることや被保全権利が不存在であることの認識可能性が被告担当者らにあったか否かを基準に過失の有無を判断すべきものと解される。この点は,被告の行為の違法性に関する被告担当者らの職務上の法的義務の違反の有無の判断と重なる部分があるが,本件仮処分決定の取消決定の確定や本案訴訟における被告の敗訴判決の確定による過失の推定の問題を含め,改めて検討することとする。 イ本件で国家賠償法上の違法が問題となる被告の行為は,本件条例が地方自治法14条に違反し無効であるにもかかわらず,その点の判断を誤り,また,本件建築中止命令は何ら行政上の義務を具体的に根拠付けるものではなく,これを根拠として私人に直接強制をすることができないにもかかわらず,その点の判断を誤り,仮処分手続によってその履行を強制し得ると判断した点にあるところ,前記のとおり,本件仮処分決定につき,最終的に取消決定が確定し,また本案訴訟において,被告敗訴の判決が確定したのであるから,被告担当者らの過失が事実上推定されるものというべきであり,被告担当者らが,前記のような誤った判断をしたこともやむを得ないと認められる特段の事情がない限り,国家賠償法上も過失があったものと認めるのが相当である。 ウところで,公務員が一定の公務をなすべき場合に,ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれており,そのいずれについても たものと認めるのが相当である。 ウところで,公務員が一定の公務をなすべき場合に,ある事項に関する法律解釈につき異なる見解が対立し,実務上の取扱いも分かれており,そのいずれについても相当の根拠が認められる場合に,その一方の見解を正当と解しこれに立脚して公務を執行したときは,後にその執行が違法と判断されても直ちに公務員に過失があったものとすることは相当でないが(最高裁昭和46年6月24日・民集26巻4号574頁参照),これは,公務員が一定の公務を執行する職務上の義務があって,異なる見解のいずれに立脚してその公務を執行すべきかの選択を迫られた場合であって,本件は,そもそも公務員が一定の公務の執行,すなわち,本件仮処分により本件建築工事の中止を強制することが法的に許容されるか否かの判断の問題であり,本件仮処分申請をせず,本案訴訟による決着を待ち,その間になされる建築工事等については,本件条例が有効であるとの前提に立てば,それに基づき事後的に原状回復その他の必要な措置を講ずることも次善の策として可能であると考えられた場合であるところ,本件仮処分が本案判決を得たのと同様の結果を実現する断行の仮処分であって,相手方の営業活動を阻害し,その権利,利益を侵害するという結果の重大性等を考慮すると,本件仮処分の申請にあたり,それが適法であることにつき確信を抱くに足る相当な理由があった場合に限り,上記特段の事情があったものとして扱うべきものと解するのが相当である。 (2) 認定事実そこで,本件につき,前記特段の事情が存したか否かを検討するに,証拠(甲2,6,7,13,26,27,29,乙7の1,21の1,2,)によれば,以下の事実が認められる。 ア行政法の分野においては,条例及び条例に基づく行政処分によって を検討するに,証拠(甲2,6,7,13,26,27,29,乙7の1,21の1,2,)によれば,以下の事実が認められる。 ア行政法の分野においては,条例及び条例に基づく行政処分によって課された義務が履行されない場合に,裁判所による仮処分や強制執行など民事上の措置を執ることができるのかどうかという問題が従来から重要な論点となり,「行政上の義務と民事執行」,「公法上の義務と民事執行」,「行政上の義務の司法的執行」などのテーマで論じられてきた。(甲29)とりわけ,対象となる行政上の義務について行政代執行ができず,かつ,行政主体が私法上の権限に基づいて履行を確保することができない場合(以下「純粋行政処分不作為債務型」という。)についての議論として,昭和41年ころ,K教授が,本来私法上の義務に対する執行方法である民事の強制執行は行政上の義務の履行方法としてはなし得ないと解される見解を表明していた。また,L教授も,行政上の義務を民事訴訟手続において履行するという方法は疑問であるとの見解を表明していた。(甲26,27)イもっとも,昭和55年ころ,M教授は,純粋行政処分不作為債務型について,行政上の義務の司法的執行を肯定する見解を表明し(M「公法上の義務履行と強制執行」民商法雑誌82巻2号),昭和59年ころ,I教授も,同様に肯定する立場を表明した(I「行政上の義務の民事執行」自治研究55巻6号)。(乙7の1)ウ昭和58年ころ,本件条例案が環境保全審議会で検討された際,全市一律に規制することについて適法性に疑義があると専門家が指摘し,営業の自由や職業選択の自由を制約することに関し,憲法適合性を問題視する見解が述べられており,罰則規定を設けるべきである等の意見もあったものの,法律の専門家の意 て適法性に疑義があると専門家が指摘し,営業の自由や職業選択の自由を制約することに関し,憲法適合性を問題視する見解が述べられており,罰則規定を設けるべきである等の意見もあったものの,法律の専門家の意見を踏まえて,行政指導の条例にすべきであるという結論となり,罰則規定や代執行の規定は入れないこととされた。(乙21の2)エ昭和59年,風俗営業の規制をする立法は,「風俗営業等取締法」から風営法に改正され,公布されたが,被告の立法担当者は,本件条例の風営法適合性を検討することはなかった。(乙21の2)オ昭和60年11月25日,大阪高裁は,「α市教育環境保全のための建築等の規制条例」に基づき(同条例は,同市内で旅館業又は風俗営業を目的とする建築物の建築につき市長の同意を要することを規定し,α市長は同意を得ないで建築しようとする建築主に対して建築中止命令をなし得ることを規定している。),α市長の同意なしでパチンコ店の建築をしようとし,同市長の中止命令にも従わない債務者に対し,α市が申請した建築工事続行禁止の仮処分事件について,神戸地裁伊丹支部が被保全権利の疎明がない等として却下した決定を覆し,同仮処分申請を認容する決定をした。(甲28)同決定の理由として,大阪高裁は,債務者は条例によって建築を中止すべき行政上の義務を負っていること,建築中止命令に従わない場合には,その性質上,行政代執行法上の代執行によって強制的に履行させることができないことから,このような場合には裁判所に履行を求める訴えを提起できると解すべきであるとし,私人は行政庁の処分によって課された行政上の義務を遵守しなければならず,義務履行確保の手段がないからといってこれを放置することは行政上弊害が生じ,公益に反する結果となる上,何らの措置を であるとし,私人は行政庁の処分によって課された行政上の義務を遵守しなければならず,義務履行確保の手段がないからといってこれを放置することは行政上弊害が生じ,公益に反する結果となる上,何らの措置を執り得ないとすることは不合理であるから,法治主義の理念からも認めるのが相当であると述べた。(甲29)カ同高裁決定について,N教授は,決定要旨に賛成の意を表明した上,行政上の義務履行確保の手段として行政上の自力救済手段を利用し得ない場合,民事上の救済手段が利用できることは一般に承認されてしかるべきであり,その根拠として,戦後日本が行政国家制から司法国家制に裁判システムが転換し,行政上の義務履行確保の手段としても司法的強制の原則を基本的考えとしているのであって,行政代執行や行政徴収などの残された行政上の自力執行手段は例外をなす特権的制度にすぎないと解されることを指摘した。もっとも,本件条例に基づく建築同意,中止命令が行政指導的なものと観念されていたのであれば本件条例による中止命令は被保全権利とならないとし,被保全権利については,法律・条例に基づく行政上の権限と,この権限に由来する義務履行請求権を被保全権利と考えるべきであると述べ,同決定も同趣旨に立脚すると述べた。(甲13)また,同高裁決定について,「義務の発生原因が公法に基づくものであっても,行政主体が相手方へ当該義務の履行請求権を有している限り,行政主体が民事訴訟制度を利用して義務者にその履行を求め得ると考えられているようである」としつつも,行政主体が当該義務について「履行請求権」を有するか否かが重要な問題であると指摘する見解(判例時報1189号39頁)も存した。(甲28)さらに,O教授も,同高裁決定に対して基本的に賛成の立場を表明する 「履行請求権」を有するか否かが重要な問題であると指摘する見解(判例時報1189号39頁)も存した。(甲28)さらに,O教授も,同高裁決定に対して基本的に賛成の立場を表明する(判例地方自治24号85頁)など,一般的に行政上の義務の司法的執行に賛成する見解がP教授は,「この種の方法を閉ざすことは好ましい態度ではなく,国や公共団体が一般市民法の原則に立ち返り,行政庁が慎重な手続を踏んで民事上の手続を借りることは,むしろ,結構なことと評価すべきである」と述べている(P「行政処分の履行強制」大阪学院大学通信22巻1号37頁)。(乙7の1)キその後も,平成2年までの文献においては,一般的には行政上の義務の司法的執行を肯定する見解が表明されており,さらに,平成5年6月ころ,DC教授が発表した論文は,純粋行政処分不作為債務型において民事執行をすることができるか否かについて,行政代執行法1条の解釈問題であるとし,行政代執行法とは異なる行政上の義務履行確保手段を条例で規定することができないと,条例の実効性が弱まる旨を指摘し,行政上の義務履行確保に固執するよりも,制度上確立している民事執行の手段を用いることの方が有意義であると述べている。(甲29,乙7の1)そして,その際の被保全権利については,「基本的には,行政主体が私人を被告として,行政法上の義務の履行を求める訴えを提起することができるという訴訟的な手続法上の請求権」であるが「不作為債務については具体的に義務を賦課している条例から直接発生する不作為請求権」とするO教授の見解や,「行政側に私法上の権限に比定される法益を探そうとせず,端的に,法律・条例に基づく行政上の権限と,この権限に由来する義務履行請求権を被保全的権利とみな」すとするN教授の見解 」とするO教授の見解や,「行政側に私法上の権限に比定される法益を探そうとせず,端的に,法律・条例に基づく行政上の権限と,この権限に由来する義務履行請求権を被保全的権利とみな」すとするN教授の見解,「地域住民の私益に裏付けられた公益保護のために行使されることを重視して,非財産権侵害を根拠とする民事訴訟と同様の視覚から肯定し得る権利」とするDD教授の見解,「国と私人との間に存在する一定の義務の履行を求める債権」とするM教授の見解などが存在した。(甲29)クなお,本件条例が制定された直後ころである昭和59年ころ,I教授は,本件条例を論文において取り上げ,中止命令につき,処罰規定の担保や規制内容の実質は行政指導にとどまり,それゆえに,適法性を裏付ける立法事実が不十分であっても許される旨の解釈を明らかにした上,本件条例の実効性確保手段があいまいであると指摘するなどし,少なくとも本件条例に基づく中止命令を被保全権利として司法的執行を現実に執行することについては想定していない旨の見解を明らかにした。(甲6,7)ケさらに,本件仮処分決定がなされた後の平成7年5月,I教授は,被告市長に対し,本件条例の適法性及び純粋行政処分不作為債務型で司法的執行を求めることの可否に関する意見書を提出し,その中で,「前記大阪高裁決定の射程範囲は不明確であること,行政上の義務の履行としては行政罰を定めることが可能であるから,この規定がないからといって,履行確保手段がなく不合理だとすることは不当であること,行政罰がないことは,すなわち,中止命令は直接的な履行確保を想定しない規定であり,実態は行政指導でよいとの制定者の意思を感じさせること,被保全権利は行政法規によって課された義務の履行を確保することを求める請求権と解すべきであるが,論者によって な履行確保を想定しない規定であり,実態は行政指導でよいとの制定者の意思を感じさせること,被保全権利は行政法規によって課された義務の履行を確保することを求める請求権と解すべきであるが,論者によって説明の仕方が違うこと,命令が適法であることを行政庁が本案として提訴し,審理を受けることは適法と考えられること」などを述べた。(乙7の1)神戸地裁伊丹支部は,行政庁が私人を被告として行政上の義務の履行を求める訴えを提起することができると判断した。(甲2の9頁の裏)(3) 前記特段の事情の存否ア本件条例に基づく義務の強制のため仮処分手続を執り得ると考えた相当の事情の有無について被告は,本件仮処分申請当時の学説の状況及び裁判例からすれば,条例上の義務を強制する方法として司法的執行が可能であると判断したことには相当の理由があると主張する。そこで検討するに,前記認定説示によれば,行政上の義務が私法上の権限に裏付けられず,しかも,非代替的不作為債務であるがために,行政代執行の方法も採り得ないという場合の履行確保については,従来の学説の多くは,被保全権利の内容については争いがあったものの,結論においては司法的執行を肯定し,しかも,昭和60年には,大阪高裁が本件と同様の事案で建築続行禁止を容認する仮処分を決定したことが認められる。 しかしながら,条例に基づく司法的執行を根拠づける条文上の根拠はなかった上,本件仮処分申請から10年ほど前になされていた大阪高裁決定は,この点に関する唯一の裁判例であって,他に同様の事例で司法的執行を認めた裁判例は存在しなかったことからすれば,未だ条例上の義務に基づき仮処分を認めることは,判例において確立された見解であったとはいえない。 裁判例であって,他に同様の事例で司法的執行を認めた裁判例は存在しなかったことからすれば,未だ条例上の義務に基づき仮処分を認めることは,判例において確立された見解であったとはいえない。 他方,行政上の義務の司法的執行が多くの行政法学者から支持されていたものの,疑問を呈する見解もあったし,肯定説にあっても,被保全権利については確立された説明がなされていない段階であった。また,執行罰などの手段を採るべき方法があるにもかかわらず司法的執行を肯定する見解については,戦後の行政法規が行政上の義務の履行方法を明確にしたとされていることと整合するものか疑問である。さらに,私法上の権限の裏付けのない場合にまで司法的執行が可能であるとする見解は,それが行政目的の実現に必要であることを強調するものの,法的,理論的根拠の論証が十分なされていたとはいえなかったことからすれば,行政法学上の議論も本件執行が可能であると判断するにつき十分な根拠となるものではなかったというべきである。 なおまた,本件条例については,履行確保のための直接的手段を持たない行政指導条例であるからこそ許容される規制内容であり,仮に直接的な履行強制力を有するという前提であれば,直ちに本件条例を許容するに足る合理性がないことが露呈し,違法無効となる可能性があることを指摘する見解もあったのであるから,前記大阪高裁決定や行政法学上の議論があったからといって,直ちに本件仮処分によって本件建築工事を差し止めるという強行手段を執ったことを相当とする事情があったものと認められない。 よって,被告担当者らが原告Aをして本件建築工事を停止させるにつき,司法上の仮処分を行い得ると判断したことにつき過失を否定すべき特段の事情があったとは認められない。 い。 よって,被告担当者らが原告Aをして本件建築工事を停止させるにつき,司法上の仮処分を行い得ると判断したことにつき過失を否定すべき特段の事情があったとは認められない。 イ本件条例が地方自治法14条に違反しないと判断した点について被告は,α市条例が適法と判断されていたために,本件条例も適法であると判断した旨主張する。しかしながら,α市条例と本件条例とは規制方法にも相違があり,α市条例の存在や,他の近隣地域の同種条例の存在は,本件条例が適法であるとの判断の十分な根拠となるものとはいえない。 そして,上記認定の学説の状況に照らしても,被告担当者らにおいて,本件条例が地方自治法14条に違反せず,適法であると判断したことにつき過失を否定すべき特段の事情があったとは認められない。 (4) 結論以上により,被告担当者らは,本件仮処分により原告Aをして本件建築工事を停止させることが適法であると判断したことにつき過失を免れないというべきである。 7 争点(6)について(1) 前記認定事実によれば,原告Aは,本件土地の所有者であり,その地上に本件パチンコ店の建築及び営業を企画し,既に平成5年4月12日,建築確認処分を受けていたことが認められ,証拠(甲20,弁論の全趣旨)によれば,その竣工後には,風営法上の許可を得られる見込みもあったと認められるから,本件建築工事が終了すれば,その営業開始には事実上及び法律上の障害はなかったと解されるところ,遅くとも平成6年10月10日から本件仮処分の取消決定がなされた平成9年9月9日までの間,本件建築工事は被告の申請に基づく本件仮処分決定によって中止を余儀なくされ,その期間,営業活動ができず,中止期間中の営業利益相当 0月10日から本件仮処分の取消決定がなされた平成9年9月9日までの間,本件建築工事は被告の申請に基づく本件仮処分決定によって中止を余儀なくされ,その期間,営業活動ができず,中止期間中の営業利益相当の損害を被ったものと認められる。 また,本件建築工事が前記期間中止されたことによって放置された出来形を解体することを余儀なくされた結果,原告Aは,原告A2に対して出来形の工事代金債務(出来高報酬)及び出来形解体費用の支払債務を負うことになったことが認められる。 したがって,被告は,原告Aが本件仮処分申請によって被ったこれらの損害を賠償すべき義務を負う。 (2) 所得税等の控除の適否不法行為によって被った損害の賠償金については所得税等の課税がなされないが,それは,国の被害者に対する課税上の立法政策の問題であると解され,損害賠償金の算定に当たって所得税等の租税額を控除すべきではないと解するのが相当であり(最高裁判所昭和45年7月24日判決・民集24巻7号1177頁参照),本件においてこれと別異に解すべき特段の事情は認められない。 (3) 原告Aの原告A2に対して負担した債務相当の損害証拠(甲1,30,丙3,7の1)及び弁論の全趣旨によれば,本件仮処分がなされたため,原告Aは,上記のとおり出来形を解体することを余儀なくされた結果,原告A2に対して,出来高報酬及び及び出来形解体費用として合計8700万円の支払債務を負ったことが認められる。 なお,前記3(2)の認定説示に照らすと,原告Aは,同債務につき,最終的に平成13年4月26日を起算日として年5分の遅延損害金の支払義務を負う結果となったことが認められる。 (4) 工事中止期間中の得べかりし営業利益 照らすと,原告Aは,同債務につき,最終的に平成13年4月26日を起算日として年5分の遅延損害金の支払義務を負う結果となったことが認められる。 (4) 工事中止期間中の得べかりし営業利益ア認定事実証拠(甲15,30ないし33,乙80,E鑑定)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 原告Aが建築しようとした本件パチンコ店の概況は,地積合計1374.61㎡(公簿面積)の長方形の土地であり,県道114号線に面し,阪急δ駅から約1.6㎞,阪急ε駅から約2㎞の場所に所在するものである。構造は,1階部分が店舗で2階以上が駐車場となっている6階建ての建物である。延床面積は約3700㎡で,駐車可能台数は136台,パチンコ台数は468台であった。 平成6年当時,被告市内にはパチンコ店が5店舗あり,本件パチンコ店の建築予定地から半径1㎞にはパチンコ店はなく,半径2㎞以内に2店舗(パチンコ台数280台・駐車場台数150台程度,パチンコ台数230台・駐車場台数20台程度)が存在し,周辺に競合するパチンコ店は少ない状況であった。 (イ) 本件パチンコ店の営業による得べかりし利益についてのE鑑定の鑑定手法及び鑑定結果は以下のとおりである。 a 検討方法地理的条件(周辺の競合店舗数,交通アクセス及び商圏人口)並びに規模的条件(パチンコ設置台数及び駐車可能台数)が類似している店舗を京阪神地域から選定し,その店舗の売上高,粗利益率,経費比率等を比較考量して逸失利益を検討した。 その際,縁故により鑑定に必要となるパチンコ業に関する情報を収集し,京阪神地域を中心に滋賀・北陸・東海地方などで ,粗利益率,経費比率等を比較考量して逸失利益を検討した。 その際,縁故により鑑定に必要となるパチンコ業に関する情報を収集し,京阪神地域を中心に滋賀・北陸・東海地方などでパチンコ業を営む株式会社の協力を得て,類似店舗を選択したとする。そして,その資料の適切性については,同社が株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律2条の規定に基づく公認会計士の監査を受けていることから会計処理は適正に行われており,決算書類の数値は信頼するに足りるとする。 そして,同社の経営する30店舗以上の店舗のうちから,以下の3店舗を選択し,その中から,規模的,地路的条件によって,店舗1が適切であると判断したとする。 ① 店舗1(神戸市西区にあり,半径2㎞以内に競合店5店舗,パチンコ台数560台,駐車場台数500台程度,駅から車で5分,国道沿い)② 店舗2(京都府宇治市,半径2㎞以内に競合店3店舗,駅前すぐ,パチンコ台数389台,駐車場台数150台程度)③ 店舗3(京都府京田辺市,半径2㎞以内の競合店2店舗,パチンコ台数312台,駐車場台数80台程度,駅から徒歩1分)b 市場動向平成7年をピークとして縮小傾向にあるとし,参加人口も平成7年までは横ばいであったが,その後は年々下降傾向にあるとする。 c 売上高,粗利益率,経費率の推定及びその他の修正平成12年7月を基準とした類似店舗の年間売上高を類似店舗のパチンコ台数で除した結果(1台あたり約1004万8000円)に基づき,1台あたり年間1000万円とし,貸玉料を根拠とした時点修正(平成12年7月 2年7月を基準とした類似店舗の年間売上高を類似店舗のパチンコ台数で除した結果(1台あたり約1004万8000円)に基づき,1台あたり年間1000万円とし,貸玉料を根拠とした時点修正(平成12年7月を100として,平成6年度106.2,平成7年度107.7,平成8年度104. 8,平成9年度99.1)により,売上高を推定した。 粗利益率については,類似店舗の売上総利益を年間売上高で除した結果(約30.09%)を,時点修正をせずに用いることとし,これを30%とした。 売上高人件費比率については,類似店舗の年間人件費を年間売上高で除した結果(約2.64%)を時点修正をせずに用いることとし,これを2.64%と定め,売上高経費比率については,類似店舗の諸経費(衛生費・消耗品費・支払手数料・広告宣伝費)の年間総額を年間売上高で除した結果(約7.89%)を,時点修正せずに用いることとし,これに,類似店舗では計上されていない交際接待費を加算する修正を経て,8%とした。なお,本社機能にかかる経費については類似店舗の収支表に記載がなかったため計上していないとする。 その他,本件土地が自己所有であることから,賃借料の発生は考慮しなかったが,平成6年度の不動産取得税,平成7年から平成9年までの間の土地及び建物に対する固定資産税・都市計画税を計上し,必要に応じて減価償却費を計上した。また,資金調達方法が不明であったため,建物建築費用の金利は計上していない。 d 税金控除パチンコ店の経営であることから,所得税・住民税及び事業税の課税がなされたであろうことを考慮し,平成6年分(平成6年10月10日から同年末日まで),平成7年分,平成8年分 パチンコ店の経営であることから,所得税・住民税及び事業税の課税がなされたであろうことを考慮し,平成6年分(平成6年10月10日から同年末日まで),平成7年分,平成8年分,平成9年分(平成9年1月1日から同年9月9日まで)と区分して,税金額を控除したとする。 e パチンコ台数原告Aが営業に使用したパチンコ台数は原告A主張のとおり430台としたとする。 駐車場台数の関係で行政指導がなされ,パチンコ台数が増減する可能性については考慮していないが,仮にパチンコ台数が227台となった場合についても,同様の推定を行ったとする。 f 結論E鑑定は,平成6年10月10日から平成9年9月9日までの間,パチンコ店営業ができなくなったことによる税金控除後の純利益額は合計8億2882万4307円であるとし,仮にパチンコ台数が227台であった場合には,同期間の税金控除後の純利益額は4億3017万5494円であるとする。 なお,E鑑定は,同期間の税金控除前の営業利益は合計24億1670万9907円であり,仮にパチンコ台数が227台であった場合には,同期間の営業利益は12億1776万3094円であるとする。 (ウ) J意見書(乙80)J意見書は,本件パチンコ店の得べかりし利益を算定するにつき,偶々入手できた特定の1社の財務数値を用いることは妥当でなく,業界平均の数値を用いるのが客観的合理的であるとして,次のとおり算定している。 a 鑑定方法税理士・公認会計士が関与している会社約50万社のデータの中から一定 数値を用いるのが客観的合理的であるとして,次のとおり算定している。 a 鑑定方法税理士・公認会計士が関与している会社約50万社のデータの中から一定の条件を充たした約20万社以上の財務数値に関するデータを約900の業種に分類して分析した統計表(以下「TKC経営指標」という。)に基づき,同指標のパチンコホール業につき「黒字企業平均」を採用した。なお,卓越した収益力と財務安定性を有しているとされる同指標の「優良企業平均」を採用することはパチンコ店経営の経験がなかった原告Aの逸失利益を計算する上では適切ではないとする。 b 売上額,地理的条件,パチンコ台数についてTKC経営指標においてはパチンコ台数についてのデータがなく,また自身の顧問先にパチンコ業を営む企業がないため,知人の公認会計士が関与しているパチンコ業を営む3社のうち,優良で近隣に競合店もない都市型(駅の上)の店舗の損益計算書を参考にして,1台あたりの年間売上髙を1000万円とする。もっとも,売上総利益率と売上高の関係からすると,当該店舗の売上総利益率が15.3%であるのに対し,TKC経営指標における売上利益率約12.8%を使用する場合には売上高が高くなることが想定されるので,郊外型の店舗のデータを参考にすると,1台あたりの年間売上高が1400万円程度までは増加する可能性があるため,これを基準とした計算も行ったとする。 また,地理的条件については,原告Aが経営を計画していた本件パチンコ店の地理的優越性を考慮すべきであるが,この点については,TKC経営指標の全企業平均ではなく黒字企業平均を採用することや,E鑑定が採用した類似店舗の1.4倍もの売上高を前提にした計算 た本件パチンコ店の地理的優越性を考慮すべきであるが,この点については,TKC経営指標の全企業平均ではなく黒字企業平均を採用することや,E鑑定が採用した類似店舗の1.4倍もの売上高を前提にした計算を行っていることから,本件パチンコ店の地理的優越性を考慮したものとなっていると考えられるが,念のため,優良企業平均でも計算するとしている。 他方,パチンコ台数については,行政指導がなされてパチンコ台数を調整された可能性を考慮して,227台として計算したとする。 c 支払利息建築価額4億9440万円について,銀行から全額を借り入れたものとして計算している。 d 税金所得税及び住民税等の税金については,E鑑定において控除されていることから,これを控除することとし,ただし,E鑑定に誤りがある点を修正し,青色申告特別控除として年間35万円を控除し,道府県民税の700万円を超える金額に適用される税率について,平成6年分から平成8年分までは4%,平成9年分については3%として,計算している。 e 経費等についてTKC経営指標では役員報酬が控除された数値が掲載されているため,個人経営である原告Aの逸失利益を算定するにあたっては,TKC経営指標における税引後利益に控除されるべきでなかった役員報酬を加算する必要があるため,これを加算して計算している。 fJ意見書の結論原告Aの逸失利益(パチンコ台数227台の場合)は,パチンコ1台あたりの年間売上高を1000万円としても7100万円であり,年間売上高を1400万円としても,9900万円であるとする 原告Aの逸失利益(パチンコ台数227台の場合)は,パチンコ1台あたりの年間売上高を1000万円としても7100万円であり,年間売上高を1400万円としても,9900万円であるとする。 なお,パチンコ台数が430台であった場合は,パチンコ1台あたりの年間売上高が1000万円としても1億3200万円であり,年間売上高を1400万円として,1億8300万円であるとする。 (エ) Q意見書(甲15)税理士Qは,平成6年10月10日から平成9年10月9日までの原告Aの得べかりし利益を次のとおり算定している。 a 地域的条件・規模的条件原告Aが運営する予定であった本件パチンコ店は,広い駐車場と大規模な店構えを持つ郊外型の店舗であり,近年注目されているものである。加えて,阪神競馬場へと続く県道沿いにあり,パチンコ台数も450台程度となる大型店であることからすると,現在のトレンドに合致するとしている。 b 売上額財団法人余暇開発センターが発行するレジャー白書などの人口統計から求めた1店舗あたりの売上額から暦年の売上高を算出し,予想年間売上額を月数按分して以下のとおり算出したとする。 ①平成6年10月10日~平成7年10月9日 70億9600万円②平成7年10月10日~平成8年10月9日 66億8400万円③平成8年10月10日~平成9年10月9日 55億6000万円c 利益率総務庁統計局が作成したサービス業基本調査報告に基づき,事業収入額,事業支出額及び事業収支差額から平成元年と平成6 月10日~平成9年10月9日 55億6000万円c 利益率総務庁統計局が作成したサービス業基本調査報告に基づき,事業収入額,事業支出額及び事業収支差額から平成元年と平成6年の利益率を計算すると,それぞれの年の事業収支差額の割合は,それぞれ25.19%と5.50%となるとしている。 以上に加えて,統計には赤字のパチンコ店も含まれていること,事業支出には役員報酬が含まれていること,パチンコ業界で公表される収益率には信憑性が乏しいとされること,節税対策としての支出も多数含まれていること,平成3年7月から平成8年10月まで増減はないことから収益率に毎年25%の低減がみられるとしても,それは平成3年までと考えられることを総合考慮すると,平成6年10月10日から平成9年10月9日までの利益率は13%であったものと推定している。 d 結論前記b記載の売上額に前記cの利益率(13%)を乗じたところ,その合計は,25億1420万円となるとしている。 ①平成6年10月10日~平成7年10月9日 9億2248万円②平成7年10月10日~平成8年10月9日 8億6892万円③平成8年10月10日~平成9年10月9日 7億2280万円イパチンコ台数,駐車場台数に関する問題について被告は,本件パチンコ店につき,風営法の営業許可に際し,事前に行政指導がなされることによって,パチンコ台数が227台に制限させられていたはずであり,駐車場台数についても,E鑑定の類似店舗はパチンコ台数560台に対し,駐車場台数500台程度であるが,本件パチンコ店は,パチンコ台数430台に対し駐 コ台数が227台に制限させられていたはずであり,駐車場台数についても,E鑑定の類似店舗はパチンコ台数560台に対し,駐車場台数500台程度であるが,本件パチンコ店は,パチンコ台数430台に対し駐車場台数136台と少なく,駅前型店舗でなく郊外型であることを考えると,駐車場台数は売上額に影響するはずなのに,この点が検討されていないと主張し,他方,近隣施設を駐車場にする計画もあったため行政指導を受けることはなかったとの原告らの主張は時機に遅れた攻撃防御方法として却下されるべきであるとも主張する。 しかるところ,証拠(兵庫県公安委員会に対する調査嘱託の結果)及び弁論の全趣旨によれば,兵庫県公安委員会は,調査嘱託に対して,パチンコ店の営業に関し,周辺道路等において駐車場問題が生ずることがないように,風営法に基づく営業許可に伴う事前相談の段階で,出店場所及びパチンコ台の設置台数に応じて,必要な駐車場台数を確保した駐車場の設置を指導しているが,その指導は,営業者側の同意を得て履行される性格のものであり,駐車場の設置自体は風営法に基づく営業許可の要件ではないため,指導基準に満たない場合であっても許可の可否に影響しないこと,本件パチンコ店の所在場所は,都市計画法上の商業地域ではなく,商店の密集地域や利用客の多い駅がなく,交通量の多い道路に面することから郊外型の店舗であり,その場合の駐車場設置の指導基準はパチンコ台の設置台数に対し60%以上の駐車場台数であることなどを回答していることが認められる。 以上の兵庫県公安委員会の回答に照らせば,原告Aが風営法に基づく営業許可を受けるにあたって,駐車場台数が公安委員会の指導基準を満たしていなかったとしても,パチンコ台の設置台数を削減することを法的に強制されるものではなく,し 答に照らせば,原告Aが風営法に基づく営業許可を受けるにあたって,駐車場台数が公安委員会の指導基準を満たしていなかったとしても,パチンコ台の設置台数を削減することを法的に強制されるものではなく,したがって,原告Aがその計画どおりに430台程度のパチンコ台を設置することは可能であったと認められる。しかしながら,郊外型の本件パチンコ店について,適正な駐車場台数が確保されていない場合には,顧客の利用に影響することは見易い道理である。なお,パチンコ台の設置台数に対応した適正な駐車場台数を満たす駐車場を近隣に確保することは,そもそも近隣の状況によっては困難である場合があるし,可能であるとしても相応の費用を要することになると考えられる。 これらの点を考慮すると,本件パチンコ店について,統計上の平均的な利益率を適用して逸失利益を算定する上で,前記認定の駐車可能台数136台から逆算した適正なパチンコ台数である227台(136÷60/100≒227)を前提にするのが相当と考えられる。 なお,原告Aは,営業開始後は隣地を駐車場にする具体的目途も立っていたと主張し,原告A作成の陳述書(甲33)にはこれに沿う部分があるところ,この主張立証が訴訟の完結を遅らせるものであるとはいえず,却下すべきであるとはいえないが,かねて本件パチンコ店の駐車場確保が問題となっていたのに,本件訴訟の終結間近に提出されたことなど,その提出の時期等に照らして信用し難く採用できない。 ウ逸失利益額(ア) 原告らは,平成6年10月10日から平成9年9月9日までの間の逸失利益につき,E鑑定に基づき24億1670万9907円であったと主張し,またQ意見書によれば,平成6年10月10日から平成9年10月9日までの逸失利益は25億円1420万円であ 月9日までの間の逸失利益につき,E鑑定に基づき24億1670万9907円であったと主張し,またQ意見書によれば,平成6年10月10日から平成9年10月9日までの逸失利益は25億円1420万円であるとされ,E鑑定と近似した結果となっている。 しかしながら,E鑑定は,偶々入手した特定の1社のデータのみに依拠し,特に,粗利益率(売上総利益の年間売上高に対する比率)を約30%という,TKC経営指標のデータと比較して極めて高率な利益率を採用していること,類似店舗が匿名であって,地域性や立地条件等の詳細が不明であり,類似性の検証が不十分であり,かかる類似店舗の高率の利益率を採用することは躊躇されること,類似店舗のデータが本社機能経費について計上していないことを考慮していないことや,駐車場についても,適正な駐車場台数を考慮していないことからすると,E鑑定の鑑定結果を採用することはできない。もっとも,E鑑定は駐車場台数から逆算したパチンコ台数227台を前提にした逸失利益も算定しているが,前記のとおり採用した利益率等の点で,この鑑定結果も採用できない。 また,E意見書も,その基礎にしたデータがどれだけ客観性,信憑性があるものかが疑問であり,またパチンコ台数を450台としていることなどから,これを採用することはできない。 (イ) ところで,本件のように現実に営業が行われていない店舗について,現実に営業を行った場合の営業利益を算定することには種々の制約があるが,でき得る限りの客観的な証拠に基づき,平均的な統計結果によって公平な損害額の水準を算定し,これに当該店舗の個別の条件を可能な範囲で考慮することで相当な損害額を認定すべきものと考えられる(民事訴訟法248条参照)。 本件に 計結果によって公平な損害額の水準を算定し,これに当該店舗の個別の条件を可能な範囲で考慮することで相当な損害額を認定すべきものと考えられる(民事訴訟法248条参照)。 本件において,これを検討するに,近隣地域に競合店舗が存在しないこと,郊外型の大型店舗であること,県道沿いであることなどの地理的・規模的条件が存在することから,TKC経営指標の平均的な企業の利益率に,前記条件を加味することによって,逸失利益を算定すべきである。 そこで,J意見書を参考にして,パチンコ台1台あたりの年間売上額については,同意見書に記載された郊外型のパチンコ店と同程度の1400万円,パチンコ台数を郊外型店舗の指導基準に従って駐車場台数から逆算した適正台数である227台とし,J意見書のとおり支払利息5億7510万0105円を売上額から控除し,税金を控除せず,地理的条件・規模的条件を加味してTKC経営指標の「黒字企業平均」を用いて算出すると,J意見書(乙80の10枚目)で算出された数値に,不必要に控除された税金を加えた数値が逸失利益となると解されるので,これを計算すると約2億2280万円となる(乙80の添付資料15-1参照)。 (5) 弁護士費用本件事案の難易,審理に要した期間,認容額等を考慮すれば,弁護士費用相当の損害としては,1549万円(前記(3),(4)の損害額合計3億0980万円の5%)が相当である。 (6) 小括以上より,原告Aが被告に対して賠償請求し得る損害金は,合計3億2529万円となるが,前記説示のとおり,同原告は原告A2に対して,出来高報酬及び出来形解体費用合計8700万円につき平成13年4月26日を起算日として遅延損害金の支払義務を負うにとどまるから 3億2529万円となるが,前記説示のとおり,同原告は原告A2に対して,出来高報酬及び出来形解体費用合計8700万円につき平成13年4月26日を起算日として遅延損害金の支払義務を負うにとどまるから,被告に対する関係でも,遅延損害金の起算日を同日とするのが相当である。したがって,原告Aは,被告に対し,損害賠償金3億2529万円及び内金2億3829万円に対する本件仮処分決定の取消しの日の翌日である平成9年9月10日から,内金8700万円に対する平成13年4月26日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有するが,原告Aが甲事件で請求しているのは,損害賠償金の総額から1億4000万円を除いた部分の内金とこれに対する遅延損害金であるから,結局,原告Aの請求は,損害金1億8529万円及びこれに対する平成9年9月10日を起算日とする遅延損害金を請求する部分に限りで理由があると認められる。 8 結論以上によれば,原告Aの被告に対する請求は,1億8529万円及びこれに対する平成9年9月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は失当であるから棄却することとし,原告A2の請求については,1億4000万円及びこれに対する平成13年4月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求(1億4000万円に対する平成6年3月17日から平成13年4月25日までの年5分の割合による遅延損害金の請求部分)については,債権者代位の要件を欠くため原告適格を欠き不適法であるから訴えを却下することとし,訴訟費用については民事訴訟法61条,64条本文及びただし書き,65条,66条を,仮執行宣言については同法259条1 債権者代位の要件を欠くため原告適格を欠き不適法であるから訴えを却下することとし,訴訟費用については民事訴訟法61条,64条本文及びただし書き,65条,66条を,仮執行宣言については同法259条1項を各適用の上,主文のとおり判決する。 主文 神戸地方裁判所第6民事部 裁判長裁判官田中澄夫 裁判官大藪和男裁判官三宅知三郎 (別紙)物件目録 1 被告市d町e番宅地 21.95㎡ 2 同所f番宅地 40.69㎡ 3 同所g番宅地 28.95㎡ 4 同所h番宅地 32.59㎡ 5 同所i番宅地 49.68㎡ 6 同所j番宅地 33.15㎡ 7 同所k番宅地 31.57㎡ 8 同所l番宅地 38.54㎡ 9 同所m番宅地 24.33㎡ 10 同所n番宅地 29.55㎡ 11 同所o番宅地 33.81㎡ 12 同所p番宅地 33.98㎡ 13 同所q番宅地 42.97㎡ 14 同所r番宅地 3.30㎡ 15 同所s番宅地 21.55㎡ 16 同所t番宅地 28.76㎡ 17 同所u番宅地 32.33㎡ 18 同所v番宅地 4.39㎡ 19 同所w番宅地 5.78㎡ 20 同所x番宅地 25.22㎡ 21 同所y番宅地 30.94㎡ 22 同所z番宅地 38.67㎡ 23 同所ba番宅地 30.94㎡ 24 同所bb番宅地 4.19㎡ 同所y番宅地 30.94㎡ 同所z番宅地 38.67㎡ 同所ba番宅地 30.94㎡ 同所bb番宅地 4.19㎡ 同所bc番宅地 10.21㎡ 同所bd番宅地 39.04㎡ 同所be番宅地 33.71㎡ 同所bf番宅地 33.65㎡ 同所bg番宅地 26.51㎡ 同所bh番宅地 29.75㎡ 同所bi番宅地 30.14㎡ 同所bj番宅地 27.17㎡ 同所bk番宅地 30.41㎡ 同所bl番宅地 32.42㎡ 同所bm番宅地 28.92㎡ 同所bn番宅地 28.92㎡ 同所bo番宅地 59.86㎡ 同所bp番宅地 29.75㎡ 同所bq番宅地 21.38㎡ 同所br番宅地 34.01㎡ 同所bs番宅地 4.95㎡ 同所bt番宅地 35.70㎡ 同所bu番宅地 65.58㎡ 同所bv番宅地 31.53㎡ 同所bw番宅地 31.53㎡ 同所bx番宅地 41.65㎡ (別紙)条例一覧表 岩手県(乙31の1) (1) 第1種住居専用地域,第2種住居専用地域及び住居地域(住居地域のうち住居の用に併せて商業等の用に供されている地域として公安委員会規則で定める区域を除く。) (2) 前号に掲げる地域以外の地域のうち,住居の集合の状況及び土地の利用の状況を勘案して,同号に掲げる地域と同 併せて商業等の用に供されている地域として公安委員会規則で定める区域を除く。)(2) 前号に掲げる地域以外の地域のうち,住居の集合の状況及び土地の利用の状況を勘案して,同号に掲げる地域と同等と認められる地域として公安委員会規則で定める地域 2 宮城県(乙33の1)第1種住居専用地域,第2種住居専用地域及び住居地域並びにこれらに準ずる地域として公安委員会規則で定める地域 3 山梨県(乙32の1)都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条に規定する第1種住居専用地域,第2種住居専用地域及び住居地域(公安員会規則で定める地域を除く。)並びにこれらに準ずる地域であって,公安委員会規則で定めるもの 4 静岡県(乙34の1)(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号の第1種住居専用地域,第2種住居専用地域及び住居地域で,公安委員会規則で定める地域を除く地域(2) 前号に掲げる地域以外の地域のうち,住居が多数集合しており,住居以外の用途に供される土地が少ない地域として公安委員会規則で定める地域 5 島根県(乙35の1)都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第1種住居専用地域及び第2種住居専用地域並びにこれらに準ずる地域として公安委員会規則で定める地域 6 徳島県(乙36の1)都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する第1種住居専用地域,第2種住居専用地域及び住居地域(幹線道路の周辺の地域で公安委員会規則で定めるものを除く。)並びにその他の地域のうち,住居が多数集合しており住居以外の用途に供される土地が少ない地域で公安委員会規則で定めるもの 7 高知県(乙37の1)都市計画法(昭和43年法律第100 を除く。)並びにその他の地域のうち,住居が多数集合しており住居以外の用途に供される土地が少ない地域で公安委員会規則で定めるもの 7 高知県(乙37の1)都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号の規定により定められた第1種住居専用地域,第2種住居専用地域,住居地域(第3種地域を除く。)その他これらに準ずる地域として高知県公安委員会規則(以下「公安委員会規則」という。)で定める地域・
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