- 1 -主 文1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人に対し、220万円及びこれに対する令和元年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 54 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを5分し、その1を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。 5 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 控訴の趣旨101 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人に対し、1100万円及びこれに対する令和元年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(以下、略語は、特に定めない限り、原判決の表記に従う。)1 本件は、政府の国家戦略特区ワーキンググループ(特区WG)の座長代理を15務めている控訴人が、被控訴人の発行に係る令和元年6月11日付け毎日新聞朝刊に掲載された原判決別紙(以下「別紙」という。)1及び2の各記事(本件記事)によりその名誉を毀損されたとして、被控訴人に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害金1100万円(慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円の合計額)及びこれに対する不法行為の日の翌日である同20月12日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、控訴人の請求を棄却し、控訴人が、これを不服として控訴した。 2 前提事実次のとおり補正するほか、原判決の「第2 事案の概要」の2記載のとおり25であるから、これを引用する。 - 2 の請求を棄却し、控訴人が、これを不服として控訴した。 2 前提事実次のとおり補正するほか、原判決の「第2 事案の概要」の2記載のとおり25であるから、これを引用する。 - 2 - 2頁12行目の「乙8」の次に「、争いがない事実」を加える。 3頁7行目の「毎日新聞の令和元年6月11日付け」を「令和元年6月11日発行の同日付け毎日新聞」に改める。 3頁13行目の「各表現(」の次に「ただし、同⑧の表現中の「国家戦力特区」を「国家戦略特区」に改める。」を加える。 53 争点及び争点に関する当事者の主張次のとおり補正し、当審における当事者の補充主張の要旨を付加するほか、原判決の「第2 事案の概要」の3及び4記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決の補正10ア 7頁10行目の「表現⑨、⑩」を「表現⑨」に改める。 イ 11頁19行目の「持った」を「盛った」に改める。 当審における当事者の補充主張の要旨ア 控訴人 争点1(控訴人が指導料を受領したとの事実摘示等による名誉毀損の15成否)についてa 原判決は、本件記事について、特区ビズ社が学校法人からコンサルタント料を受け取った事実を摘示したものと認定した。 しかし、本件1面記事は、「特区提案者から指導料」と白抜き4段の縦見出し(表現①)が付され、その脇に「WG委員支援会社」「22000万円、会食も」との見出し(表現②)が付けられているものであり、一般読者は、これらの見出しを見て、ここに報じられているのが、社会的にみて許されない、あるいは大きな問題を抱えた事象であるものと理解する。 そして、一般読者は、本件1面記事のリード文 一般読者は、これらの見出しを見て、ここに報じられているのが、社会的にみて許されない、あるいは大きな問題を抱えた事象であるものと理解する。 そして、一般読者は、本件1面記事のリード文又は本文を読むこと25によって、コンサルタント会社が200万円のコンサルタント料を受 - 3 -け取ったことを理解するとしても、見出しの「指導料」が何を指すのかの説明がないため、これについて理解することはできない。しかも、コンサルタント会社(特区ビズ社)がコンサルタント料を受けることは普通のことであり、何ら問題とすべきことではない。それにもかかわらず、コンサルタント料を受け取ったことが問題視されること5は、一般読者に対し、表現②の見出しの「会食も」と相まって、この200万円がコンサルタント会社から控訴人に流れている又は指導料が学校法人から控訴人に支払われているためではないかという印象を与えることになる。 このことは、本件記事が掲載された後に、国会議員や報道機関に属10する者が、本件記事について、控訴人に指導料が渡されたことを報じているものと理解したことからも、明らかである。 b また、原判決は、A 教授のコメント(表現⑧)について、控訴人が公務員である場合には、特区ビズ社と控訴人との協力関係の内容・程度によっては「収賄罪に問われる可能性」(賄賂の有無を含めた捜査15を受ける可能性)があると言及したものと認められるとして、控訴人がコンサルタント料を受領していたとの事実を前提にしているとは認められない旨判断した。 しかし、表現⑧において仮定ないし条件として置かれているのは、「X 氏が公務員なら」というもののみであり、原判決が述べる、「特20区ビズ社と控訴人との協力関係の内容・程 断した。 しかし、表現⑧において仮定ないし条件として置かれているのは、「X 氏が公務員なら」というもののみであり、原判決が述べる、「特20区ビズ社と控訴人との協力関係の内容・程度によっては」という仮定ないし条件は置かれていない。 このように、控訴人が公務員であれば「収賄罪に問われる可能性」があるとされているのであるから、控訴人が収賄罪の構成要件である賄賂を授受したことは、同教授のコメントの前提とされている。そう25すると、表現⑧は、事実を摘示したものとみるのが相当であり、収賄 - 4 -罪の必須の要件である賄賂の収受という事実を主張したものである。 争点2(控訴人が学校法人の費用負担で会食したとの事実摘示等による名誉毀損の成否)について本件記事は、学校法人側が控訴人と福岡市内の料理店で会食し、その費用は学校法人が負担したとの事実を摘示している。そして、本件記事5は、本件26面記事において、平成26年11月29日の小料理屋「B」での会合(平成26年会合)及び平成27年2月17日のかっぽう料理屋「C」での会合(平成27年会合)の2つの会合に係る事実を挙げている。そして、被控訴人は、平成27年会合に係る会食の費用を学校法人が負担したことを立証しなければならないところ、原判決が認10定したとおり、上記費用を学校法人が負担したことについての立証はない。 また、D 記者は、E 副理事長に対し、平成27年会合の費用を誰が負担したのかを質問していないのであるから、平成27年会合に係る会食の費用を学校法人が負担したことを真実であると信じるについて相当の15理由もないというべきである。被控訴人は、平成元年5月13日の取材において、D 記者がE 副理事長に対 成27年会合に係る会食の費用を学校法人が負担したことを真実であると信じるについて相当の15理由もないというべきである。被控訴人は、平成元年5月13日の取材において、D 記者がE 副理事長に対して平成26年会合と平成27年会合とをまとめて費用負担について質問した旨主張するが、質問の文脈に照らせば、D 記者が平成26年会合について質問しているにすぎないことは明らかである。 20イ 被控訴人(争点2(控訴人が学校法人の費用負担で会食したとの事実摘示等による名誉毀損の成否)について)控訴人は、D 記者がE 副理事長に平成27年会合に係る会食の費用を誰が負担したのか質問していないなどと主張するが、D 記者の平成31年325月20日の取材において、E 副理事長は、控訴人を「お誘いした」、「福 - 5 -岡に人を呼ぶには食い物が一番」であると回答しており、これらの表現が費用負担を伴う招待(接待)をしたことを意味することは、社会通念上明らかである。その上で、D 記者は、その後の取材において、E 副理事長と控訴人とが平成27年会合でふぐ料理の会食をしたとの回答を得たのであるから、D 記者がその際の費用負担について確認したか否かを問う5までもなく、被控訴人において平成27年会合に係る会食の費用を学校法人が負担したとの事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったものと認められる。 また、D 記者は、令和元年5月13日の取材の際に、会合の費用について質問しているが、これは平成26年会合に限定した質問ではなく、平10成26年会合及び平成27年会合の双方の費用負担についての包括的な質問と理解するのが自然である。D 記者は、E 副理事長から、学校法人が負担したとの回答を得たのであるから、 質問ではなく、平10成26年会合及び平成27年会合の双方の費用負担についての包括的な質問と理解するのが自然である。D 記者は、E 副理事長から、学校法人が負担したとの回答を得たのであるから、被控訴人において平成27年会合に係る会食の費用を学校法人が負担したとの事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったものと認められる。 15第3 当裁判所の判断1 当裁判所は、原審と異なり、控訴人の請求については、220万円及びこれに対する令和元年6月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるものと判断する。その理由は、次のとおり補正し、当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決の20「第3 争点に対する判断」記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決の補正ア 14頁20行目の「編成し」の次に「、以後」を加え、15頁5行目の「運用の透明性や」を「国家戦略特別区制度の運用の透明性や国家戦略特区諮問会議の調査審議の」に改める。 25イ 15頁12行目の「特区ビズ社」の次に「関係者3名」を、15行目の - 6 -「F 学園」の次に「の事務長」をそれぞれ加える。 ウ 16頁12行目の「では大皿料理が並んでいた」を「は大皿料理が提供される和食の店であった」に改める。 エ 16頁26行目の「取材に対し」の次に「、時期や場所は覚えていないが学校法人の関係者に会うために福岡に1回会いに行ったことがあるこ5とを説明し、「C」の写真を見せられて同店に飲食に行っていないかを問われると、食事くらいしていると思うが店の場所までは記憶にないこと」を加える。 オ 17頁2行目の「ときに」を「ときは基本的に代金を平等に負担しており、」 れて同店に飲食に行っていないかを問われると、食事くらいしていると思うが店の場所までは記憶にないこと」を加える。 オ 17頁2行目の「ときに」を「ときは基本的に代金を平等に負担しており、」に改め、5行目の「乙30」の次に「、38」を加える。 10カ 17頁10行目の「精算しているが、」を「精算していることに」に、16行目の「要望」を「要請」にそれぞれ改める。 キ 20頁14行目の「コンサルタント料」を「コンサル料」に、18行目の「との間」を「との間で」にそれぞれ改める。 ク 22頁10行目の「これ」を「同主張」に改め、11行目の「事実摘15示」の次に「がされていること」を加える。 ケ 23頁22行目の「、会食をしたとは記載されておらず、また」及び23行目の「なお」から25行目末尾までをいずれも削る。 コ 25頁9行目の「しかしながら」を削り、11行目の「はいるものの」から14行目の「別個に」までを「おり、新聞の一般の読者において20は、通常、本件1面記事と本件26面記事とを関連付けて読むものというべきであるから、それぞれの摘示事実については、相互に関連するものとして」に、20行目の「いるものの」から26頁2行目末尾までを「おり、また、本件26面記事には、控訴人及びG 社長が平成26年11月29日に小料理店で学校法人副理事長と懇談したとの事実(表現25⑪)、控訴人及びG 社長が平成27年2月17日にかっぽう料理屋で学 - 7 -校法人副理事長と会食したとの事実(表現⑫)がそれぞれ摘示されている。このうち、平成26年11月29日の懇談に係る表現⑪については、そこに用いられている「懇談」という語が一般的には飲食を共にすることを含意しないものであるとしても、懇談の場所が「小料理店」 れている。このうち、平成26年11月29日の懇談に係る表現⑪については、そこに用いられている「懇談」という語が一般的には飲食を共にすることを含意しないものであるとしても、懇談の場所が「小料理店」の「総菜を盛った大皿が並ぶカウンター席」であったとの表現を含むこと5からして、一般読者の注意と読み方を基準とすれば、同日に、控訴人及びG 社長と学校法人副理事長とが、飲食の提供を業とする「小料理店」において、「総菜を盛った大皿が並ぶカウンター席」にて現に飲食を共にしながら「懇談」をしたとの事実を摘示したものと読むのが相当であるとともに、本件1面記事と関連付けて読むことにより、上記懇談の際10に提供された飲食に係る費用を学校法人が負担したとの事実をも摘示したものと読むのが相当である。また、平成27年2月17日の会食に係る表現⑫についても、本件1面記事と本件26面記事とを関連付けて読めば、控訴人及びG 社長が同日にかっぽう料理屋で学校法人副理事長と会食し、その費用を学校法人が負担したとの事実を摘示したものと読む15のが相当である。」にそれぞれ改める。 サ 26頁3行目冒頭から6行目末尾までを削り、8、9行目の「福岡市内の料理屋で会食し、その」を「平成26年11月29日に福岡市中央区aの小料理店で、平成27年2月17日に同区b地区のかっぽう料理屋でそれぞれ懇談ないし会食(以下、併せて単に「会食」ともいう。)を20し、それらの際の」に改め、11行目の「、会食の具体的な日時・場所が明確に特定されていないとはいえ」を削り、22行目の「報道は、」の次に「控訴人に対する」を加える。 シ 27頁17、18行目の「最高裁判所昭和62年4月24日第2小法廷判決・民集41巻3号490頁、」を削る。 25ス 29頁4行目の 道は、」の次に「控訴人に対する」を加える。 シ 27頁17、18行目の「最高裁判所昭和62年4月24日第2小法廷判決・民集41巻3号490頁、」を削る。 25ス 29頁4行目の「会食をし、かつ、当該会食」を「平成26年11月2 - 8 -9日に福岡市中央区aの小料理店で、平成27年2月17日に同区b地区のかっぽう料理屋でそれぞれ会食をし、それらの際」に、6行目の「この」を「これらの」にそれぞれ改める。 セ 30頁1行目の「述べている」を「述べており、D 記者はそれを裏付ける手帳の記載も確認している」に改め、3行目の「取材の記録」の次に5「(乙19から23まで)」を、4行目の「明確になっておらず」の次に「、D 記者がこれを明確にするような確認をした事実は認められない。 また」をそれぞれ加える。 ソ 30頁13、14行目の「会食をし、かつ、当該会食」を「平成26年11月29日に福岡市中央区aの小料理店で、平成27年2月17日に10同区b地区のかっぽう料理屋でそれぞれ会食をし、それらの際」に改め、14、15行目の「(会食の具体的な日時・場所は明確に特定されていない)」を削り、16行目の「原告」から18行目の「の会食)」までを「平成26年会合については、控訴人と学校法人の副理事長とが平成26年11月29日に福岡市中央区aの小料理店で会食(飲食を共15にした懇談)をした事実自体が認められず、また、平成27年会合については、控訴人と学校法人の副理事長とが平成27年2月17日に同区b地区のかっぽう料理屋で会食した事実は認められるものの、その際」に改める。 タ 31頁24行目の「明確になっておらず」の次に「、D 記者がこれを明20確にするような確認をした事実も認められない上、」を加え、25 食した事実は認められるものの、その際」に改める。 タ 31頁24行目の「明確になっておらず」の次に「、D 記者がこれを明20確にするような確認をした事実も認められない上、」を加え、25行目の「いるのであるが、他方で、原告も」を「いる。しかも、D 取材班において、「C」における会食の費用を学校法人が負担したかどうかについて裏付け取材をしたことを認めるに足る証拠も存しない。他方、控訴人は」に、26行目の「詳細は覚えていない」を「時期や場所は覚えてい25ないが学校法人の関係者に会うために福岡に1回会いに行ったことがあ - 9 -る旨を説明し、「C」の写真を見せられて同店に飲食に行っていないか問われると、食事くらいしていると思うが店の場所までは記憶にない」に、32頁2行目の「のであり」から7行目末尾までを「ものの、食事をするときは基本的には代金を平等に負担しており、相手方に食事代を支払ってもらうことはあるかもしれないが、一方的に支払ってもらうの5ではないなどと説明している(前記1カ)。」にそれぞれ改める。 チ 32頁16行目の「本件摘示事実の」を「被控訴人において本件摘示事実の平成26年会合に係る」に改め、17行目の「仮に」の次に「被控訴人において」を加え、同行目の「、この会合のみをもって」を削り、19行目冒頭から34頁7行目末尾までを次のように改める。 10「 また、平成27年会合については、前記のとおり、取材の記録上、「C」における会食の費用を学校法人において負担したかどうかについてのE 副理事長の供述内容は必ずしも明確になっておらず、D 記者がこれを明確にするような確認をした事実も認められない。しかも、D 取材班において、上記費用を学校法人が負担したかどうかについて裏付け取材をし15 供述内容は必ずしも明確になっておらず、D 記者がこれを明確にするような確認をした事実も認められない。しかも、D 取材班において、上記費用を学校法人が負担したかどうかについて裏付け取材をし15たことを認めるに足る証拠も存しないから、被控訴人において上記費用を学校法人が負担したことが真実であると信じるについて相当の理由があったものと認めることはできないというべきである。」ツ 34頁10、11行目の「認められ」から13行目の「成立しない」までを「認められるものの、本件摘示事実が真実であったとの証明はな20く、また、被控訴人において本件摘示事実の重要な部分が真実であると信ずるについて相当の理由があったとは認められないから、事実を摘示しての名誉毀損による不法行為が成立するもの」に、16行目の「とともに」から20行目の「成立しない」までを「ものの、その意見ないし論評の前提としている事実の重要な部分が真実であったとの証明はな25く、また、被控訴人において当該部分を真実であると信ずるについて相 - 10 -当の理由があったとも認められないから、意見ないし論評の表明による不法行為も成立する」にそれぞれ改める。 テ 34頁20行目末尾に改行の上、次のとおり加える。 「4 争点3(損害)について前記認定説示のとおり、本件記事は控訴人の社会的評価を低下させる5と認められるものであり、本件記事が被控訴人の発行に係る全国紙である毎日新聞の第1面及び第26面に掲載されたものであることその他の本件に現れた一切の諸事情を総合考慮すれば、本件記事によって控訴人が被った精神的損害に係る慰謝料額については、これを200万円と認めるのが相当であり、また、本件記事による控訴人の名誉毀損と相当因10果関係のある弁護 情を総合考慮すれば、本件記事によって控訴人が被った精神的損害に係る慰謝料額については、これを200万円と認めるのが相当であり、また、本件記事による控訴人の名誉毀損と相当因10果関係のある弁護士費用の額については、これを20万円と認めるのが相当である。 5 まとめ以上によれば、控訴人の請求は、前記損害額合計220万円及びこれに対する令和元年6月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延15損害金の支払を求める限度で理由があるものと認められる。」 当審における当事者の補充主張についてア 争点1(控訴人が指導料を受領したとの事実摘示等による名誉毀損の成否)に係る主張について 控訴人は、本件記事について、前記第2の3アa のとおり、「特20区提案者から指導料」との縦見出し(表現①)が付され、その脇に「WG委員支援会社」「200万円、会食も」との見出し(表現②)が付された本件1面記事を読んだ一般読者は、リード本文又は本文を読むことによってコンサルタント会社が200万円のコンサルタント料を受け取ったことを理解するとしても、この200万円がコンサルタント会社25から控訴人に流れている又は指導料が学校法人から控訴人に支払われて - 11 -いるとの印象を受けるとし、このことは、本件記事が掲載された後に、国会議員や報道機関に属する者が、本件記事について、控訴人に指導料が渡されたことを報じているものと理解したことからも明らかである旨主張する。 しかしながら、一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件51面記事の見出し(表現①、②)については、特区提案者から200万円を受け取ったのはWG委員支援会社であるという意味に理解されるものであり、本件1面 者の普通の注意と読み方を基準とすれば、本件51面記事の見出し(表現①、②)については、特区提案者から200万円を受け取ったのはWG委員支援会社であるという意味に理解されるものであり、本件1面記事のリード文(表現④)も併せれば、控訴人と協力関係にあるコンサルタント会社(WG委員支援会社)が指導料ないしコンサルタント料として200万円を受領したという意味であることが10より明瞭となっており、その本文の記載内容も併せれば、本件1面記事については、特区ビズ社が学校法人から指導料ないしコンサルタント料を受け取っていたとの事実を摘示したものであることは明らかであって、控訴人と特区ビズ社が協力関係にある旨の指摘はあるものの、控訴人が直接又は間接に指導料ないしコンサルタント料を受領したとの事実15が摘示されているものとは認められないことは、前記引用に係る原判決の「第3 争点に対する判断」の2イ(19頁25行目から21頁3行目まで。当審における補正部分を含む。)において説示したとおりであり、控訴人の上記主張は採用することができない。 控訴人は、A 教授のコメント(表現⑧)について、仮定ないし条件と20して置かれているのは「X 氏が公務員なら」というもののみであり、「特区ビズ社と控訴人との協力関係の内容・程度によっては」という仮定ないし条件は置かれていないなどとして、控訴人が収賄罪の構成要件である賄賂を授受したことは、同教授のコメントの前提とされており、控訴人がコンサルタント料を受領していたとの事実を摘示したものとみ25るのが相当である旨主張する。 - 12 -しかしながら、A 教授のコメント(表現⑧)は、控訴人と協力関係にあるコンサルタント会社(特区ビズ社)が特区提案者である美容系学校法人から のが相当である旨主張する。 - 12 -しかしながら、A 教授のコメント(表現⑧)は、控訴人と協力関係にあるコンサルタント会社(特区ビズ社)が特区提案者である美容系学校法人からコンサルタント料を受領していた旨の報道がされることを前提として、控訴人が公務員である場合には、特区ビズ社と控訴人との協力関係の程度・内容によっては「収賄罪に問われる可能性」(賄賂の有無5を含めた捜査を受ける可能性)があると言及したものと認められ、その「可能性」がある旨の言及の仕方等からして、控訴人がコンサルタント料を受領していたとの事実自体を前提にしているとは認められず、同コメントをもって控訴人が直接又は間接にコンサルタント料を受領したとの事実が摘示されているとまでは認められないことは、前記引用に係る10原判決の「第3 争点に対する判断」の2ウ(21頁4行目から15行目まで)における説示に照らして明らかであって、控訴人の上記主張は直ちに採用し難いものというべきである。 イ 争点2(控訴人が学校法人の費用負担で会食したとの事実摘示等による名誉毀損の成否)について15 被控訴人は、D 記者の平成31年3月20日の取材において、E 副理事長が、控訴人を「お誘いした」などと回答しているところ、これらの表現が費用負担を伴う招待(接待)を意味することは社会通念上明らかであるから、「C」での平成27年会合に係る会食の費用負担について確認したか否かを問うまでもなく、被控訴人において平成27年会合に20係る会食の費用を学校法人が負担したとの事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったものと認められる旨主張する。 確かに、D 記者の取材の記録(乙19)によれば、D 記者の同日の取材において、E 副理事長 負担したとの事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったものと認められる旨主張する。 確かに、D 記者の取材の記録(乙19)によれば、D 記者の同日の取材において、E 副理事長が、D 記者に対し、控訴人について、ふぐがおいしい季節になったから来ないかなどとして福岡に来ることを誘った旨25を説明したことが認められる。そして、被控訴人が主張するとおり、当 - 13 -該説明内容については、控訴人に対して学校法人側で費用負担を伴う招待(接待)をしたことを意味するものと理解することも、必ずしも不合理であるとはいい切れない。しかしながら、そのような理解をするとしても、当該説明内容からは、控訴人が実際に当該招待に応じ、学校法人側でその費用を負担したかどうかは不明であるといわざるを得ない。そ5して、認定事実カのとおり、控訴人は、D 取材班の取材に対し、食事をするときは基本的には代金を平等に負担している旨回答しているのであるから、E 副理事長が控訴人を会食に招待し、その費用を学校法人側で負担する意図を有していたとしても、控訴人がこれを断ったことは十分に想定され得るところであり、D 記者においても、そのような理解は10容易であったはずである。そうであれば、被控訴人が指摘する上記のE副理事長のD 記者に対する説明内容を踏まえても、被控訴人において平成27年会合に係る会食の費用を学校法人において負担したとの事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったということはできず、被控訴人の上記主張は採用することができない。 15 また、被控訴人は、D 記者においては、令和元年5月13日の取材の際に、会合の費用について質問しているところ、これは平成26年会合に限定した質問ではなく、平成26年会合及び平成27 5 また、被控訴人は、D 記者においては、令和元年5月13日の取材の際に、会合の費用について質問しているところ、これは平成26年会合に限定した質問ではなく、平成26年会合及び平成27年会合の2回の会合の費用負担についての包括的な質問と理解するのが自然であるから、平成27年会合についても学校法人が費用負担したことをE 副理事20長が説明しているなどと主張する。 しかしながら、D 記者の取材の記録(乙20)によれば、令和元年5月13日に行われたD 記者のE 副理事長に対する取材の経過は、まず平成26年会合についての話を聞き、E 副理事長がその会食の費用を支払ったのか否かを質問した後(乙20(4枚目下から6行目))、一旦25は平成27年会合に話が及んだものの、再び平成26年会合の話に戻 - 14 -り、その流れで、立ち入った話になると前置きした上で、会食の費用は学校法人が出したのかE 副理事長のポケットマネーから出したのかを質問した(乙20(5枚目28、29行目))というものであることが認められ、このような取材の経過に鑑みれば、前段の質問は明らかに平成26年会合についての質問と認められるものであり、また、後段の質問5についても、平成26年会合の話の流れで聞いていることや、E 副理事長が会食の費用の支払をしたことを前提として、それが学校法人とE 副理事長個人のいずれの負担によるものであったかを尋ねるものであった(D 記者が、立ち入った話になると前置きした上で尋ねていることからも、その質問の趣旨は、E 副理事長ないし学校法人と控訴人とのいずれ10が費用負担をしたのかではなく、E 副理事長が支払ったとする会食の費用が学校法人とE 副理事長とのいずれの負担に属したのかという学校法人内部の問題を問う 事長ないし学校法人と控訴人とのいずれ10が費用負担をしたのかではなく、E 副理事長が支払ったとする会食の費用が学校法人とE 副理事長とのいずれの負担に属したのかという学校法人内部の問題を問う点にあったものと認められる。)ことからして、前段の質問に引き続いて平成26年会合について尋ねたものと認めるのが相当であって、同日の取材において、D 記者がE 副理事長に対して平成1526年会合及び平成27年会合の2回の会合の費用負担について包括的に質問したものとは認め難いというべきであり、実際に行われた上記の各質問に対するE 副理事長の回答を根拠に、被控訴人において平成27年会合に係る会食の費用を学校法人が負担したとの事実が真実であると信ずるについて相当の理由があったものと認めることはできず、被控訴20人の上記主張は理由がなく、採用の限りでない。 2 よって、本件控訴は一部理由があるから、原判決を上記の趣旨に沿って変更することとし、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第22民事部25 - 15 -裁判長裁判官 相 澤 哲 裁判官 本 多 哲 哉 裁判官 加 藤 聡5
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