主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中60日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (犯罪事実)被告人は、第1 分離前相被告人A及び同Bと共謀の上、 1 令和6年2月6日午前1時頃から同日午前1時30分頃までの間、山口県宇部市ab丁目c番d号C株式会社D線E駅構内の同線線路上において、レールに接続された同社F統括本部G区長H管理のレールボンド16本(時価合計約16万8000円相当)を切断して窃取し、 2 同日午前1時50分頃から同日午前2時25分頃までの間、同市ef番地同社D線I駅から東方約1.3キロメートル付近の同線線路上において、レールに接続された前記H管理のレールボンド32本(時価合計約33万6000円相当)を切断して窃取し、 3 同日午前2時25分頃から同日午前3時39分頃までの間、同駅から南東方約2キロメートル付近の同線線路上において、レールに接続された前記H管理のレールボンド44本(時価合計約46万2000円相当)を切断して窃取し、第2 A、B及び分離前相被告人Jと共謀の上、 1 同月7日午前0時7分頃から同日午前2時20分頃までの間、同市gh番地同社K線L駅から南方約500メートル付近の同線線路上において、レールに接続された前記H管理のレールボンド136本(時価合計約92万4800円相当)を切断して窃取し、 2 同日午前2時20分頃から同日午前4時42分頃までの間、山口市ij番地k同線 M駅から南西方約130メートル付近の同線線路上において、レールに接続された前記H管理のレールボンド86本(時価合計 日午前2時20分頃から同日午前4時42分頃までの間、山口市ij番地k同線 M駅から南西方約130メートル付近の同線線路上において、レールに接続された前記H管理のレールボンド86本(時価合計約58万4800円相当)を切断して窃取し、第3 A、J及びNと共謀の上、同月9日午前0時頃から同日午前3時55分頃までの間、同県宇部市lm丁目n番o号同線O駅構内の同線及びP線線路上において、レールに接続された前記H管理のレールボンド118本(時価合計約76万1200円相当)を切断して窃取した。 (証拠) 省略(法令の適用)罰条第1の行為包括して刑法60条、235条第2の行為包括して刑法60条、235条第3の行為刑法60条、235条刑種の選択いずれも懲役刑併合罪の処理刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い第2の罪の刑に法定の加重)未決勾留日数の算入刑法21条刑の執行猶予刑法25条1項訴訟費用の負担刑訴法181条1項本文(量刑の理由)本件は、被告人が共犯者と共謀の上、換金目的で連続的に敢行したレールボンドの窃盗の事案である。複数の者が関与した組織的犯行であり、犯行態様は、夜間に線路内に立ち入り、多数のレールボンドを用意していた工具で切断して盗むという大胆なものであって、相当に悪質である。被害額は合計約323万円と高額にのぼり、生じた結果は重い。 本件各犯行における被告人の立場についてみるに、被告人は、その供述を前提としても、レールボンドに関する情報を共犯者に提供した上で複数の者を犯行に勧誘し、犯行現場を 選定したほか、多くの犯行現場においてレールボンドを切断する共犯者を るに、被告人は、その供述を前提としても、レールボンドに関する情報を共犯者に提供した上で複数の者を犯行に勧誘し、犯行現場を 選定したほか、多くの犯行現場においてレールボンドを切断する共犯者を指示し、共犯者とともに切断したレールボンドを運搬するなどの作業に携わり、それらによって、Aを除いた共犯者と比べて明らかに多い分け前を得ている。また、被告人とBとの間で交わされたラインのメッセージに照らせば、被告人がBの報酬額の決定に関わったこともうかがわれる。この点、Aも、盗んだレールボンドの換金という重要な役割を担った上で被告人と同程度の分け前を取得しており、被告人とAとの間に平素特段の上下関係がないことも併せ考えれば、本件犯行グループにおける被告人とAとの立場に大きな差異はないというべきである。しかし、前記によれば、被告人は、本件各犯行を実現するにあたって必要不可欠な情報を共犯者らに提供し、ほぼ全ての犯行に主導的な関与をしているのであって、被告人なくして本件が実行されたとは考えられず、本件各犯行により得た利益も踏まえると、被告人が犯行グループの中心的な人物であったとの点は揺るがないというべきである。 以上に加え、被告人が、レールボンドを盗むことで鉄道の運行に相応の影響が生じかねないことを認識していたにもかかわらず、本件各犯行に及んだことも併せ考えると、被告人の刑事責任は重く、実刑に処するべきとも思われる。 しかしながら他方で、本件後、被告人は、本件の被害額に概ね相当する324万円余りを被害者に支払っている上、Aが被告人とほぼ同額を、Jが100万円をそれぞれ被害者に弁償しており、事後的な被害回復が相当程度行われたということができる。その他、被告人には前科がないこと、本件各公訴事実を認めて反省の弁を述べていること、被告人の実母が被告人を監督 をそれぞれ被害者に弁償しており、事後的な被害回復が相当程度行われたということができる。その他、被告人には前科がないこと、本件各公訴事実を認めて反省の弁を述べていること、被告人の実母が被告人を監督する旨誓約していること等の事情も認められる。 これらの酌むべき事情も考慮すると、被告人に対して実刑を選択するほかないとまではいえないから、主文のとおりの刑を量定した上で、法が定める最長期間、その刑の執行を猶予し、今回に限り、社会内で更生する機会を与えることとした。 (求刑・懲役4年6月)(検察官藤本祥司国選弁護人鶴義勝各出席)令和7年1月10日山口地方裁判所第3部 裁判長裁判官安達拓 裁判官諸井雄佑 裁判官小西大地
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