平成21(ワ)15343 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年10月23日 大阪地方裁判所
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平成24年10月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(ワ)第15343号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年7月9日判決原告株式会社ElDorado同訴訟代理人弁護士波多野進 同冨宅恵 被告株式会社Dazzy同訴訟代理人弁護士永井浩一郎 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,1677万5000円及びこれに対する平成21年10月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,別紙原告商品目録記載のカラーコンタクトレンズ(以下,項番ごとに「原告商品1」などといい,総称して「原告商品」という。)を販売する原告が,被告に対し,別紙イ号商品目録記載1~3(以下,項番ごとに「イ号商品1」などといい,総称して「イ号商品」という。),別紙ロ号商品目録記載1~6(前同),及び別紙ハ号商品目録1,2(前同。また,イ号商品,ロ号商品及びハ号商品を総称して「被告商品」という。)を輸入,販売する行為について,主位的には不正競争防止法2条1項3号の不正競争,予備的には同項1号の不正競争に該当する旨主張して,同法4条に基づき,損害賠償金1677万5000円及びこれに対する不法行為の後の日である平成21年10月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 判断の基礎となる事実以下の事実については,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の 年10月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 判断の基礎となる事実以下の事実については,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨より認められる。  当事者ア原告は,カラーコンタクトレンズの販売等を目的とする会社である。 イ被告は,インターネット上のホームページ・携帯電話用サイトなどにおいて,「DazzyStore」なる表示を使用してカラーコンタクトレンズ等を販売する会社である。  原告商品の販売ア原告は,以下の時期に原告商品の販売を開始した。① 原告商品1~3 平成20年10月14日(甲98)② 原告商品4,5 平成20年12月4日(甲99)③ 原告商品6 平成21年2月14日(甲100)④ 原告商品7 平成21年7月6日(甲101)イ原告商品は,いずれも韓国のG&G社で製造され,原告はこれを輸入し,販売している。 被告の行為ア被告は,以下の時期に被告商品の販売を開始した。なお,被告商品は,現在はいずれも販売されていない。① イ号商品平成21年9月2日(甲8~13,35~38,40~43)② ロ号商品平成21年9月2日(甲8~13,35~38,40~43)③ ハ号商品遅くとも平成21年6月10日(甲17)イ被告商品のうちイ号商品及びロ号商品は,韓国のベルモア社が製造する商品であり,被告は,インタービア社を通じてこれを輸入し,販売していた(乙39~41)。 2 争点(1) 不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求(争点1)ア原告の請求主体性争点1-1  していた(乙39~41)。 2 争点(1) 不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求(争点1)ア原告の請求主体性争点1-1 イイ号商品,ロ号商品について(ア) 商品形態の実質的同一性争点1-2-1(イ) 依拠性争点1-2-2ウハ号商品について(ア) 依拠性争点1-3-1イ ハ号商品の販売に関するG&G社の許諾の有無争点1-3-2(2) 不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求(争点2)ア原告商品の商品形態の周知商品等表示該当性争点2-1イ商品形態の類似性争点2-2ウ被告商品の輸入販売は,原告商品と混同を生じさせる行為といえるか。 争点2-3エ被告は,原告の商品形態が需要者の間に広く認識される前から,被告商品の商品形態を不正の目的でなく使用していたか。 争点2-4(3) 原告の損害(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求)について(1) 争点1-1(原告の請求主体性)について【原告の主張】原告は,原告商品の開発者,又は開発者であるG&G社から日本国内における独占的販売権を与えられた者として,不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求の主体である。 ア原告は原告商品の開発者であること原告は,韓国のG&G社に対して,原告商品の虹彩直径の長さ,虹彩径の縁取りの濃淡,色を指示すると共に,独占販売権の付与,月間購入数,代金等に である。 ア原告は原告商品の開発者であること原告は,韓国のG&G社に対して,原告商品の虹彩直径の長さ,虹彩径の縁取りの濃淡,色を指示すると共に,独占販売権の付与,月間購入数,代金等についても指示していた(甲120,121,126,129)。これらは,カラコンの売れ行きを左右する要素である。 原告商品は,これらの指示に基づいて製造されていることから,原告商品の開発主体は飽くまでも原告である。 なお,原告は,開発費用を直接負担していないが,原告商品については,原告が,定期的に一定数量を購入すると共に,その単価もG&G社の他の製品よりも高価に設定されており,これらによって,原告が開発費用を負担しているといえる。 イ原告は原告商品の独占販売権を有すること(ア) 原告及びG&G社の間では,遅くとも平成20年8月,G&G社は原告に対し,日本全国において原告商品を販売する権限を付与し,他の者に与えないとする独占契約が成立していた(甲125)。原告及びG&G社の間では,これを前提として,原告がG&G社から購入する最低個数について交渉が行われている(甲120,121)。 (イ) 被告は,G&G社とピア社との独占販売契約(乙4。以下「乙4契約」という。)の存在を指摘するが,乙4契約の対象は,G&G社がデザインから製造までを行ったカラーコンタクトレンズを指す。 一方,原告商品は,原告の詳細な指示に基づいて開発されたいわばOEM商品であるところ(甲126,129),G&G社は,原告以 外に販売権を設定できるものではなく,実際にピア社やDueba社に販売したことはない。 【被告の主張】ア原告商品の開発者について(ア) 原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないことa 原告 ア社やDueba社に販売したことはない。 【被告の主張】ア原告商品の開発者について(ア) 原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないことa 原告商品の模様,着色,虹彩径の大きさは,いずれも従来一般に販売されている商品と何ら変わっているとはいえない。 原告商品の虹彩径は14.0mm,14.5mmとされているところ(甲120,121),この大きさのカラーコンタクトレンズは,他にも販売されており(乙1・8枚目,乙2),虹彩径が14. 8mmのものも発売されていた(乙1・11枚目)。 原告は,原告商品の虹彩径(着色直径)が従来品よりも大きい点(15.5mm)に特徴があると主張するが,この点は否認する。 仮に原告商品の虹彩径が15.5mmであったとしても,原告商品の虹彩径は,測り方によっては14.0mmにもなり,1mm程度の違いは容易に生じることから,従来品よりも大きいとされていることをもって,大きな特徴であるとはいえない。また,カラーコンタクトレンズの構成要素として重要なのは模様及び色であって,この点が従来品と変わらない以上,異なる特徴を有する商品とはいえない。 b また,具体的にみても,原告が原告商品を販売する以前から,原告商品と類似する商品が存在する。 (a) 原告商品は,平成19年頃のG&G社のカタログ(乙1)の商品と同一である。 (b) 原告商品1~3は,Dueba社の商品と同一である(乙2)。 (c) 原告商品4,6,7は,BESCON社の商品と同一である(乙3)。 (d) 原告商品は,平成20年7月10日付け共同通信社記事にのったカラーコンタクトレンズに類似している(乙42)。 c 以上のとおり,原告商品には, SCON社の商品と同一である(乙3)。 (d) 原告商品は,平成20年7月10日付け共同通信社記事にのったカラーコンタクトレンズに類似している(乙42)。 c 以上のとおり,原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がなく,原告商品の形態は新たに開発されたものとはいえない。 (イ) 原告商品の開発者はG&G社であること原告商品の形態が新たに開発されたものであるとしても,原告商品の開発者はG&G社で,原告は,G&G社が開発した商品を買い受けたにすぎない。 原告が指示したと主張する内容は,デザイン等の指示も抽象的なものにとどまり,発注内容を伝えているだけである。また,原告は,開発費用を実質的に負担したとも認められない(甲120,121)。 したがって,原告は,原告商品の開発者とは認められない。 イ原告商品の販売権者について(ア) G&G社は,平成17年から,ピア社に対し,G&G社商品の日本国内での独占販売権を与える契約を結んでおり(乙4),ピア社は,同年から,G&G社商品を輸入している(乙5~7)。そして,G&G社が開発した原告商品はこの契約の対象に含まれる。 したがって,原告は,原告商品について,日本国内での独占的販売権を有しない。 (イ) なお,仮に原告が原告商品の日本国内での独占的販売権者であったとしても,原告は,商品の形態に強い利害関係を有するものではなく,不正競争防止法2条1項3号で保護されない。 (2) 争点1-2(イ号商品,ロ号商品について) ア争点1-2-1(実質的同一性)について【原告の主張】(ア) カラーコンタクトレンズの商品形態一般的に,カラーコンタクトレンズの形態はいずれも略椀状であり,それ自体が商品選択の 質的同一性)について【原告の主張】(ア) カラーコンタクトレンズの商品形態一般的に,カラーコンタクトレンズの形態はいずれも略椀状であり,それ自体が商品選択の根拠となることはない。 一方,レンズの直径,虹彩径,瞳孔径,虹彩模様(瞳孔径と虹彩径との間に施された模様をいう。以下同じ。),虹彩外径の模様,虹彩色(瞳孔径と虹彩径との間の背景色をいう。以下同じ。)については,若い女性の購買心を喚起し,商品選択における要素となる。各社は,目をより大きく輝きをもったものに見えるようにするため,上記の点について創意工夫を行っている(甲50~54)。 (イ) 原告商品の形態について原告商品の形態は,別紙原告商品目録記載のとおりであるところ,以下の形態を有する。 a 原告商品1~7に共通する形態① レンズ直径(平面状の場合)は17mm。 ② 虹彩径(平面状の場合)は15.5mm。なお,一般的なコンタクトレンズの虹彩径は13mm弱で大きくても14mm程度である。 ③ 虹彩外径から瞳孔径方向に幅3mmの縁取り(以下「黒色帯」という。)がある。 b 原告商品1~3の形態④ 黒色帯の内径を起点として,瞳孔径方向に,黒色と背景より濃い色の線模様を,それぞれほぼ交互に逆放射状に配置。 ⑤ 虹彩色については,原告商品1は薄い茶色,原告商品2は薄い灰色,原告商品3は薄い青色である。  c 原告商品4,6,7の形態⑥ 瞳孔径を起点として虹彩径方向に黒色ドットを均等かつ放射状に着色⑦ 黒色帯の内径を起点として,瞳孔径方向に,略三角状の模様が等間隔で配置され,その各間隔には,線様の柄が配置されている。 ⑧ 虹彩色につい 点として虹彩径方向に黒色ドットを均等かつ放射状に着色⑦ 黒色帯の内径を起点として,瞳孔径方向に,略三角状の模様が等間隔で配置され,その各間隔には,線様の柄が配置されている。 ⑧ 虹彩色については,原告商品4は茶色,原告商品6は灰色,原告商品7は青色である。 d 原告商品5の形態⑨ 黒色帯の内径を起点として,瞳孔径方向に,略三角形状及び線様の模様が法則性をもたずに配されている。 (ウ) イ号商品及びロ号商品の形態イ号商品及びロ号商品の形態は,別紙イ号商品目録,別紙ロ号商品目録記載のとおりである。 イ号商品及びロ号商品の虹彩径(平面状の場合)は,いずれも15. 5mmである。なお,被告は,イ号商品及びロ号商品の虹彩径が15. 7mmと称するが(甲8~13,35~38,40~43),事実に反する。 (エ) 実質的同一性についてa イ号商品1は原告商品1,イ号商品2は原告商品2,イ号商品3は原告商品3とそれぞれ全く同一又は実質的に同一である。また,ロ号商品1は原告商品4,ロ号商品2は原告商品5,ロ号商品3は原告商品6,ロ号商品4は原告商品7とそれぞれ全く同一又は実質的に同一である。さらに,ロ号商品5は,原告商品4,6,7,ロ号商品6は,原告商品4,6,7と実質的に同一である。b なお,不正競争防止法上の商品形態は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢,及び質感をいうのであり(同法2条4項),商品形態の同一又は実質的同一の判断は,拡大鏡,拡大写真等を用いて取引される習慣がある場合には格別,実寸大の商品を肉眼でもって行うものである。したがって,原告商品 うのであり(同法2条4項),商品形態の同一又は実質的同一の判断は,拡大鏡,拡大写真等を用いて取引される習慣がある場合には格別,実寸大の商品を肉眼でもって行うものである。したがって,原告商品,イ号商品及びロ号商品の形態を拡大したものに基づき,実質的同一性がないと主張する被告の主張は,失当である。【被告の主張】(ア) 原告の主張について上記【原告の主張】のうち,(イ)は不知,(ウ)のうちイ号商品及びロ号商品の虹彩径についての主張及び(エ)は否認ないし争う。 なお,原告は,イ号商品及びロ号商品の虹彩径を15.7mmとするのは事実に反すると主張するが,これは測り方の違いによるものであり,一概に事実に反するといえるものではない。 (イ) 実質的同一性についてイ号商品及びロ号商品と原告商品との間には,写真撮影した場合のような完全な同一性はなく,このようなレベルでの同一性を問題にするのであれば,両者の間に実質的同一性はない。 イ争点1-2-2(依拠性)について【原告の主張】イ号商品及びロ号商品は,原告商品に依拠して製造されたものである。 このことは,以下の事情から明らかである。 (ア) 原告商品が特徴的であること原告商品は,虹彩径の大きさ,虹彩模様,虹彩色において特徴的であるところ,イ号商品及びロ号商品は,原告商品と実質的に同一である。 (イ) 原告商品についてのアクセス及びアクセス可能性a 原告からの商品購入被告は,平成21年1月ないし同年5月,原告から原告商品4,5を購入していた(甲45~49)。被告は,上記購入に伴い,自身のホームページ上において,原告商品の広告を行っていた(甲8~12参照)。 被告は,平成21年1月ないし同年5月,原告から原告商品4,5を購入していた(甲45~49)。被告は,上記購入に伴い,自身のホームページ上において,原告商品の広告を行っていた(甲8~12参照)。b 原告による広告原告は,原告商品専門のホームページを平成19年12月24日に立ち上げており(甲102),同日から同21年9月24日までの同ホームページのアクセス数累計は,携帯電話からで604万9221件,パソコンからで34万5228件に達する(甲102~119)。また,原告は,平成20年10月以降,毎月150万円から250万円程度の宣伝広告費を費やし,雑誌等に広告を掲載している(甲55~82)。c 大手量販店での販売原告は,平成21年4月,大手量販店「ドンキホーテ」において,原告商品4~6の全国販売を開始した。そして,「ドンキホーテ」道頓堀店は,全国系列店において最もカラーコンタクトレンズの売上高が高い店舗であるところ,同店が取扱う80種以上のカラーコンタクトレンズの中で,原告商品4~6は販売数1位から3位を独占している(甲83)。また,原告は,同年8月,「ドンキホーテ」において,本件物件1~3の全国販売を開始し,これらも若い女性を中心に人気商品となっている。d 原告を意識した広告方法被告は,ホームページ及びメールマガジンにおいて,原告の広告方法を意識した広告を行っている(甲2~5,7~16,21~25,27~30,33~44)。e 原告を意識した商品名原告商品の商品名にはいずれも「キャンディー」という名称が使用されているところ,被告商品の商品名にはいずれも「ドロップ」という名称が使用されている。「キャンディー」及び「ドロップ」はいずれも飴を意味する言葉である。 ずれも「キャンディー」という名称が使用されているところ,被告商品の商品名にはいずれも「ドロップ」という名称が使用されている。「キャンディー」及び「ドロップ」はいずれも飴を意味する言葉である。f 原告による警告原告は,被告がハ号商品の販売を開始した翌日に,被告に対して,警告を発し,原告商品と被告商品の異同につき説明を求めている。g 小括以上の各事実からすれば,被告は,原告商品の形態を知り得る立場にあった。なお,他の同種商品(甲50~54)と比べても,原告商品と被告商品の各形態の同一性は明らかであり,両者の同一性が偶然に生ずることはありえない。したがって,被告商品は,原告商品の形態を模倣したことは明らかである。(ウ) イ号商品及びロ号商品が原告商品よりも先に開発されたとは認められないことイ号商品及びロ号商品の開発時期に係る被告の主張は否認する。イ号商品及びロ号商品1,3~6につき,乙37,38,40は,その形態の開発が平成20年12月2日までにされたことを示す証拠ではない。また,ロ号物件2について,乙36,38,40は,その形態の開発が平成20年7月22日までにされたことを示す証拠ではない。【被告の主張】イ号商品及びロ号商品は,原告商品に依拠して製造されたものではない。このことは,以下の事情から明らかである。 なお,仮に依拠して製造されたとしても,被告は,インタービア社から商品を購入しただけで善意無重過失であり,不正競争防止法4条の適用は除外される(同法19条1項5号)。 (ア) 原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないこと上記(1)【被告の主張】ア(ア)のとおり,原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がなく,イ号商品及びロ号 原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないこと上記(1)【被告の主張】ア(ア)のとおり,原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がなく,イ号商品及びロ号商品は,原告商品に依拠して製造された商品ではない。 (イ) イ号商品及びロ号商品は原告商品に先立って開発された商品であることa イ号商品及びロ号商品の開発時期は,以下のとおりである。 (a) イ号商品及びロ号商品1,3~6は,平成20年12月2日に韓国で製造許可を受け,同日販売開始された(乙37,38,40)。 (b) ロ号商品2は,平成20年7月22日に韓国で製造許可を受け,同日販売開始された(乙36,38,40)b ロ号商品は,原告商品4~7の販売開始時期以前に製造許可を受けており,原告商品4~7に依拠していないことは明らかである。 また,イ号商品は,原告商品1~3の販売開始時期の3か月後に製造許可を受けているが,韓国で製造許可を取るためには,遅くとも,半年前から開発製造を行っていなければ間に合わない。したがって,イ号商品についても,原告商品に依拠したとはいえない。 (ウ) 被告は,原告商品の販売開始以前から,実質的に同一の商品を販売していたこと被告は,原告商品の販売開始前から,イ号商品及びロ号商品と形態が実質的に同一である商品(「でか目DropEye モンゴル」,「DropEyeNormalLarge」,「DropEyeNaturalLight」)を販売していた(乙10~13)。 したがって,イ号商品及びロ号商品は,原告商品に依拠して製造されたものではない。 (3) 争点1-3(ハ号商品の輸入販売について)についてア た(乙10~13)。 したがって,イ号商品及びロ号商品は,原告商品に依拠して製造されたものではない。 (3) 争点1-3(ハ号商品の輸入販売について)についてア争点1-3-1(依拠性)について【原告の主張】ハ号商品は,原告商品に依拠して製造されたものである。このことは,以下の事情から明らかである。 (ア) ハ号商品1は原告商品4,ハ号商品2は原告商品6とそれぞれ全く同一又は実質的に同一である。イ 原告商品が特徴的であること,原告商品へのアクセス及びアクセス可能性は,上記(2)イ【原告の主張】のとおりである。 (ウ) 被告の,ハ号商品がDueba社の製品であるという主張は否認する。 【被告の主張】ハ号商品が原告商品4,6と実質的に同一であることは争わないが,同商品は原告商品に依拠して製造されたものではない。 このことは,以下の事情から明らかである。 (ア) 被告は,原告が原告商品を発売する以前から,実質的に同一の商品を販売していたこと被告は,Dueba社が製造する「DB-21」ブラウン,同グレー(乙2)を輸入して,平成18年頃から「DropEyeNaturalLight」ブラウン,同グレー(乙13)として販売していたところ,ハ号商品は,これらの商品をDueba社がマイナーチェンジした商品である。 なお,G&G社とDueba社はそれぞれ商品を融通しあっており,Dueba社のカタログ(乙2)に載っている「DA-1」,「MX-21」及び「DB-21」は,G&G社でも販売されていた(乙5~7,28~30)。(イ) 原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないこと原告商品には,他のカラーコ 1」及び「DB-21」は,G&G社でも販売されていた(乙5~7,28~30)。(イ) 原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないこと原告商品には,他のカラーコンタクトレンズと比較して特徴がないことは,上記(2)イ【被告の主張】のとおりである。 イ争点1-3-2(ハ号商品の販売に関するG&G社の許諾の有無)について【被告の主張】仮に,ハ号商品が,Dueba社が「DB-21」ブラウン,同グレーをマイナーチェンジしたものとは認められず,G&G社の製品(原告商品)に依拠して製造されたものであるとしても,G&G社とDueba社は実質的に一体といえる関係にあることから,Dueba社,ピア社を介してのハ号商品の輸入販売には,当然にG&G社の許諾がある(乙4,8)。 【原告の主張】原告商品については,上記(1)【原告の主張】イのとおり,G&G社から原告が独占的販売権を付与されているのであって,G&G社は他社に輸入販売を許諾していない。 被告は,G&G社は,Dueba社がピア社に原告商品と実質的に同一であるハ号商品を販売することにつき,G&G社とDueba社との関係から,当然にG&G社が同意していたと主張するが,G&G社とD ueba社は,それぞれが独立して事業を行っており,被告の主張には理由がない。 2 争点2(不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求)について(1) 争点2-1(原告商品の商品形態の周知商品等表示該当性)について【原告の主張】ア商品表示性について(ア) 原告商品は,レンズ直径を17mm,虹彩径を15.5mmとし,虹彩外径から瞳孔径方向に幅3mmの黒色で縁取り(黒色帯)がされている。イ 【原告の主張】ア商品表示性について(ア) 原告商品は,レンズ直径を17mm,虹彩径を15.5mmとし,虹彩外径から瞳孔径方向に幅3mmの黒色で縁取り(黒色帯)がされている。イ また,原告商品は,以下のとおりの模様を有している。a 原告商品1~3について原告商品1~3は,虹彩外径から瞳孔径方向に幅3mmで縁取りされた黒色帯の内径を起点として瞳孔径方向に,黒色と背景色より濃い色の線様の模様を,それぞれほぼ交互に逆放射状に配している。b 原告商品4,6,7について原告商品4,6,7は,瞳孔径を起点とし,虹彩径方向に黒色ドットを均等かつ放射状に着色し,虹彩外径から瞳孔径方向に幅3mmで縁取りされた黒色帯の内径を起点として瞳孔径方向に,略三角形状の模様が等間隔で配され,その各間隔には線様の柄を配している。c 原告商品5について原告商品5は,虹彩外径から瞳孔径方向に幅3mmで縁取りされた黒色帯の内径を起点として瞳孔径方向に,略三角形状及び線様の模様を法則性なく配している。ウ 原告商品は,上記アイに加え,その配色についても商品形態の特異性が認められ,極めて強い自他識別力がある。エ さらに,原告商品4~6は,平成21年4月以降「ドンキホーテ」で販売され,カラーコンタクトレンズ部門で1位から3位まで独占するなどして,店舗で顧客の目につくように紹介されており(甲83),また,原告商品1~3は,平成21年8月以降,全国の「ドンキホーテ」で販売され,人気商品となっている。さらに,原告商品は,原告が運営するホームページや,雑誌等に短期間に繰り返し広告掲載されてきたものであり(甲96,55~82),出所表示機能を有している。イ周知 っている。さらに,原告商品は,原告が運営するホームページや,雑誌等に短期間に繰り返し広告掲載されてきたものであり(甲96,55~82),出所表示機能を有している。イ周知性について原告は,原告商品について,専用のホームページで広告販売を行っており,平成19年12月24日から平成21年9月24日までの同ホームページへのアクセス数の累計は,携帯電話からとパソコンからを併せて,604万9221件に達する(甲102~119)。また,原告は,平成20年11月から平成21年9月まで,毎月1500万円から250万円の費用をかけて,のべ28回も全国販売の雑誌で広告をしてきた(甲55~82)。したがって,被告商品の販売開始時において,原告商品の形態は,全国の消費者の間で原告の商品を示す表示として周知であった。【被告の主張】不知,否認又は争う。 (2) 争点2-2(被告商品と原告商品の商品形態の類似性)について【原告の主張】被告商品と原告商品の商品形態が類似することは,上記1(2)ア【原告の主張】,1(3)ア【原告の主張】のとおりである。 【被告の主張】イ号商品,ロ号商品と原告商品の商品形態の類似性については,上記1(2)ア【被告の主張】のとおり争う。  ハ号商品と原告商品4,6の類似性は争わない。 (3) 争点2-3(被告商品の輸入販売は,原告商品と混同を生じさせる行為といえるか)について【原告の主張】原告商品と被告商品の商品形態が類似しているため,需要者である一般消費者は原告商品と被告商品とを混同するおそれがある。現に,被告商品の販売開始以降,原告に対し,被告商品との異同についての質問がされたり,安価で販売するようになったの いるため,需要者である一般消費者は原告商品と被告商品とを混同するおそれがある。現に,被告商品の販売開始以降,原告に対し,被告商品との異同についての質問がされたり,安価で販売するようになったのか等の問い合わせがされたりしており(甲93,94),また,被告商品は,原告商品の安価な代替品として各種ブログで紹介されるなどしている(甲84~92)。【被告の主張】不知,否認又は争う。 (4) 争点2-4(被告は,原告の商品形態が需要者の間に広く認識される前から,被告商品の商品形態を不正の目的でなく使用していたか)について 【被告の主張】被告は,原告が原告商品の販売を開始するよりも前に,被告商品又はこれと実質的に同一である商品(乙10~13)を販売していたのであり,被告商品の商品形態を不正の目的でなく使用していたのであるから,不正競争防止法4条の適用は除外される(同法19条1項3号)。 【原告の主張】否認又は争う。 3 争点3(原告の損害)について【原告の主張】被告の不正競争行為による原告の損害は以下のとおりである。 (1) 逸失利益被告は,本訴提起までに,被告商品を少なくとも合計3500個以上販 売した。被告商品の1個当たりの利益は3500円である。 したがって,被告は本訴提起までに,1225万円の利益を上げており,不正競争防止法5条2項により,同金額が原告の損害と推定される。 (2) 信用毀損による損害被告商品の販売により,原告は,多額の費用を費やして築いてきた営業上の信用を毀損され,その損害は金銭評価すると300万円を下らない。 (3) 弁護士費用原告の弁護士費用としては,152万5000円が相当である。 【被告の やして築いてきた営業上の信用を毀損され,その損害は金銭評価すると300万円を下らない。 (3) 弁護士費用原告の弁護士費用としては,152万5000円が相当である。 【被告の主張】否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求)について(1) 原告商品の製造販売に至る経緯掲記の各証拠又は弁論の全趣旨によると,原告商品の製造販売に至る経緯について,以下の事実が認められる。 ア原告によるG&G社商品の購入原告は,平成20年1月1日以降,G&G社から,「BT02」,「BT03」(乙1・10枚目。以下「G&G社商品①」という。)及び「I. fax」(乙1・9枚目。以下,「I.fax」のうち「Ring」以外のものを「G&G社商品②」,「Ring」を「G&G社商品③」という。)等を輸入して販売していた(甲126・2頁,甲129・4頁)。 イ原告商品の製造販売に至る経緯(ア) 原告代表者P1は,平成19年12月頃,G&G社のP2に対し,女性の目元をより強調することができる,レンズ直径及び虹彩径を大きくしたカラーコンタクトレンズの製造に関する問い合わせをした(甲126・2頁,甲129・5,6頁)。 (イ) P2は,平成20年1月16日頃,レンズ直径14.5mmのレンズに,「BT02color」(G&G社商品①)の虹彩模様,虹彩色を施したサンプルを送付し(甲129・6頁),同年2月28日,レンズ直径14.5mmのレンズが生産可能である旨回答した(甲124・7枚目,甲129・8頁)。そして,虹彩径については,同年4月1日,レンズ直径は14.5mmとした上で模様を最大限大きくする旨回答した(甲124・8枚目)。 (ウ) P1は,P2に た(甲124・7枚目,甲129・8頁)。そして,虹彩径については,同年4月1日,レンズ直径は14.5mmとした上で模様を最大限大きくする旨回答した(甲124・8枚目)。 (ウ) P1は,P2に対し,新たに製造するカラーコンタクトレンズの虹彩模様等について,以下のとおり指示をした。 a 同年1月16日頃,P2からサンプル品として示された上記レンズについて,①黒色の縁取りをより濃くかつ太くすること,②色彩をより鮮やかにすること等について指示をし(甲129・6,7頁),同年4月28日以降,さらに③逆放射状の線模様について,虹彩径内側に長くすること,④太いものと細いものを不規則に設け,また,短いものを多く配置すること等を指示した(甲129・11~13頁)。 b また,同年4月28日以降,新たに「I.fax」(G&G社商品②,③)の虹彩模様を参考にした上で,G&G社商品②に関しては,①瞳孔径を線ではなくドットを不規則に配置し,②虹彩模様を均一で単純なものとするのではなく,虹彩外径から瞳孔径に向けて,形状や大きさの異なる三角形状の模様を不規則に配置したものを製造するよう指示した(甲129・12頁)。さらに,G&G社商品③に関しては,①虹彩模様の内径にまで黒色の模様を施し,②黒色の濃い部分と薄い部分を巧みに織り交ぜるように指示した(甲129・同頁)。 (エ) なお,虹彩径の大きさについては,同年4月21日頃,着色部分の直径14.0mmのレンズが提供され(甲124・16,17枚目),その後,P2は,同年5月10日に,虹彩径15.0mmのレンズは製造できないと回答しており(甲129・13頁),最終的に,着色部分の直径14.0mmのレンズが採用されたものと認められる(甲120・最後の頁)。 ウ P2は,平成20年8月 5.0mmのレンズは製造できないと回答しており(甲129・13頁),最終的に,着色部分の直径14.0mmのレンズが採用されたものと認められる(甲120・最後の頁)。 ウ P2は,平成20年8月26日,原告にサンプル品を送付し,原告はこれを了とした。 (2) 原告商品の形態カラーコンタクトレンズは,一般的に,眼球に装着されるために略椀状の形態を有しており,レンズ表面のうち,瞳孔径の内側及び虹彩径の外側は無色透明で,虹彩径と瞳孔径との間に模様(虹彩模様),着色(虹彩色)が施される(弁論の全趣旨,乙1~3)。 これを前提として,原告商品の形態は,以下のとおりと認められる。 アレンズ直径,虹彩径略椀状でのレンズ直径は,14.5mmと認められる(甲120,121)。また,略椀状での虹彩径は,上記(1)イ(エ)のとおり14.0mmと認められる。 なお,原告商品を平面状にした場合には,そのレンズ直径は17mm,虹彩径は15.5mmと認められる(弁論の全趣旨。ただし,以下において,レンズ直径,虹彩径という語を使用する場合は,特に断らない限り,略椀状で計測したものをいう。)。 イ虹彩色(ア) 原告商品1,4 茶色(イ) 原告商品2,5 灰色(ウ) 原告商品3,6 青色(エ) 原告商品5 無色透明(色なし)ウ虹彩模様(ア) 虹彩外径に近い部分いずれも黒色の縁取り(平面状にした場合,約3mmの幅を有する。)がされている(以下,虹彩外径に近い部分の黒色の縁取りを「黒色帯」という。)。 (イ) それ以外の部分a 原告商品1~3黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,黒色又は背景と同色でより濃い色の線模様が不規 取りを「黒色帯」という。)。 (イ) それ以外の部分a 原告商品1~3黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,黒色又は背景と同色でより濃い色の線模様が不規則に配置されている。 b 原告商品4,6,7黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,形状や大きさが様々である略三角状の模様が不規則でまばらに配置されている。 また,瞳孔径の外側に,黒色ドット又は細かい線による模様が不規則でまばらに配置されている。 c 原告商品5黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,略三角形状の模様が不規則に配置され,鋸刃のような形状になっている。 (3) G&G社商品①~③の形態上記のとおり,原告は,原告商品に先立って,G&G社から,G&G社商品①~③を輸入していたところ,これらの商品の形態は以下のとおりである。 ア G&G社商品①について(ア) レンズ直径14.0mmである。 (イ) 虹彩色茶色,灰色,水色,青色,緑色,紫色の商品がある。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,黒色又は背景と同色でより濃い色の線模様が不規則に配置されている。 イ G&G社商品②について(ア) レンズ直径14.0mmである。 (イ) 虹彩色黒色,青紫色,緑色,茶色の商品がある。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,形状や 色,緑色,茶色の商品がある。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,形状や大きさが一定の略三角状の模様が規則的に配置されている。 また,瞳孔径の外側に,瞳孔径の周囲に沿って,細かいドットによる模様が規則的に配置されている。 ウ G&G社商品③について(ア) レンズ直径14.0mmである。 (イ) 虹彩色無色透明である。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,略三角形状の模様が不規則に配置され,鋸刃のような形状になっている。 (4) 原告商品以前に販売されていたカラーコンタクトレンズの形態原告商品の販売開始は,最も早い原告商品1~3で平成20年10月14日であるところ,同日以前に日本又は韓国で,以下の商品が販売されており,そのほかにも種々の形態のカラーコンタクトレンズが販売されていた(乙1~3,弁論の全趣旨)。 ア韓国のBESCON社の「tuttiCircle」(乙3・8枚目。以下「BESCON社商品」という。)(ア) レンズ直径必ずしも明らかではないが,同社の他の商品が14.0,14.2mmであることからすれば(乙3),同程度と認めるのが相当である。 (イ) 虹彩色茶色,灰色,青色,水色,緑色,紫色の虹彩色の商品がある。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,略三角状の模様が不規則でまばらに配置 品がある。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,略三角状の模様が不規則でまばらに配置されている。 また,瞳孔径の外側に,黒色ドット又は細かい線による模様が不規則でまばらに配置されている。 イ韓国のG&G社の「BTⅡ」(「Black」)(乙1・3枚目。以下「G&G社商品④」という。)(ア) レンズ直径14.0mmである。 (イ) 虹彩色灰色,黒色,青色の商品がある。 (ウ) 虹彩模様a 虹彩外径に近い部分黒色帯がある。 b それ以外の部分黒色帯の内径を起点として,瞳孔径に向かって逆放射状に,略三角形状の模様が不規則に配置され,鋸刃のような形状になっている。 (5) 争点1-1(請求主体性)についての検討ア不正競争防止法2条1項3号の請求主体不正競争防止法2条1項3号は,他人の商品形態を模倣した商品の譲渡行為等を不正競争行為としているが,その趣旨は,不正競争防止法における事業者間の公正な競争等を確保する(1条)という目的に鑑みれば,開発に時間も費用もかけず,先行投資した他人の商品形態を模倣した商品を製造販売して,投資に伴う危険負担を回避して市場に参入しようとすることは公正とはいえないから,そのような行為を不正競争行為として禁ずることにしたものと解される。そして,同法19条1項5号イは,上記不正競争行為について,救済手段を与える期間を商品が最初に販売された日から3年に限定しており,その趣旨は,商品形態の開発のために投下した資本,労力について回収を終了し,通常期待し得る利益をあげた後については,商品の形態を模倣した商品の製造販売行為であ に販売された日から3年に限定しており,その趣旨は,商品形態の開発のために投下した資本,労力について回収を終了し,通常期待し得る利益をあげた後については,商品の形態を模倣した商品の製造販売行為であっても,それが不正競争防止法による規制をもって対処しなければならない競争上の不公正を直ちに生じさせるものではないとの考えによ るものと解される。 このような規定及び趣旨によれば,同法2条1項3号による保護を受けるためには,新たな商品形態の開発がされた場合であることが必要であり,既に市場に流通している商品の形態と全く同一ではないにせよ,需要者において,新たな形態と認識させるところのないありふれた形態に関する違いがあるにすぎない商品については,同号による保護は予定されていないというべきである。したがって,自身又は他人が開発し,既に市場に流通している商品の形態に何らかの変更を加えて新たな商品として販売する者が,同号による保護を受けるのは,当該変更が新たな商品形態の開発といえる場合に限られ,当該変更前の商品と変更後の商品の形態が実質的に同一であって,需要者においてこれを新たな形態の商品として認識し得ないような場合には,当該変更により新たに商品形態の開発がされたとはいえず,同号による保護は受けられないというべきである。 イ原告商品1~3について(ア) 原告商品1~3は,上記(1)のとおり,G&G社商品①に変更を加えたものであるところ,原告商品1~3とG&G社商品①とを比較すると,以下の共通点及び相違点が認められる。 a 共通点(a) 虹彩色についていずれも茶色,灰色,青色があり,共通する。 なお,P1は,原告商品1~3の色彩について,G&G社商品①よりも鮮や a 共通点(a) 虹彩色についていずれも茶色,灰色,青色があり,共通する。 なお,P1は,原告商品1~3の色彩について,G&G社商品①よりも鮮やかにするよう指示をしているが,仮にそのような差異があったとしても,それは具体的な商品から認識できるものとはいえない。 (b) 虹彩模様についていずれも黒色帯を有し,黒色帯の内径を起点とする線模様がある。 黒色帯の内径を起点とする線模様については,いずれも瞳孔径に向かって逆放射状に,黒色又は背景と同色でより濃い色の線模様が不規則に配置されている点で,共通する。 b 相違点(a) レンズ直径についてG&G社商品①は14.0mmであるのに対し,原告商品1~3は14.5mmである。 これに伴って虹彩径についても差異があるといえる。 (b) 虹彩模様について① 黒色帯については,G&G社商品①と比較して,原告商品1~3は,黒色帯がより太く強調されている。 ② 黒色帯の内径を起点とする線模様については,G&G社商品①と比較して,原告商品1~3には虹彩径内側に長いものがあり,細くてその数も多いといえる。 (イ)a 上記相違点について検討するに,レンズ直径(及びそれに伴う虹彩径)については,カラーコンタクトレンズにおいて商品選択の要素になるにしても,原告商品1~3とG&G社商品①のレンズ直径の差異はわずか0.5mmであることからすれば,当該差異は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できるものとはいい難い。また,原告商品1~3の販売開始当時,カラーコンタクトレンズのレンズ直径については,13.1mmから14.8mmまでのものが日本又は韓国で販売されて に際して知覚によって認識できるものとはいい難い。また,原告商品1~3の販売開始当時,カラーコンタクトレンズのレンズ直径については,13.1mmから14.8mmまでのものが日本又は韓国で販売されており(乙1~3),平成21年には15.5mmのものも販売されるに至っている(甲52)。そうすると,レンズ直径が14.5mmであることは,他 の同種商品にもみられるありふれた形態にすぎないというべきである。 また,原告商品1~3とG&G社商品①の虹彩径の差異は必ずしも明らかではないが,レンズ直径の差異が0.5mmであることからすれば,虹彩径の差異についても0.5mm程度であると推認され(もっとも,原告商品の製造販売の過程からすると,原告商品の虹彩径(14.0mm)は,一般のレンズ直径14.5mmの商品の虹彩径より大きめであると推認できるが,原告商品以前の商品の虹彩径はレンズ直径に比して著しく小さかったとするような事情も見当たらないことからすれば,虹彩径の差異もわずかなものといえる。),当該差異は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できるものとはいい難い。 なお,原告は,原告商品の宣伝において「着色直径15.5mm」,「日本一デカ目」などとして,その虹彩径(着色直径)の大きさを強調していることが認められる(甲1,55~82)。この点,カラーコンタクトレズの機能特性に照らして,虹彩径(着色直径)の大きさは商品選択の際の重要な要素となり,商品の宣伝において,その違いを強調した宣伝を行うことはあり得るが,そのことをもって,虹彩径(着色直径)の0.5mm程度の差異が,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できることになるとはいえず,実質的同一性を妨げる事情とはいえない。 b さらに,虹彩模 って,虹彩径(着色直径)の0.5mm程度の差異が,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できることになるとはいえず,実質的同一性を妨げる事情とはいえない。 b さらに,虹彩模様のうち,①黒色帯の太さについても,当該差異は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できるとはいい難い上,原告商品1~3と同様に黒色帯を太く強調する形態自体は,他の商品にもみられるありふれた形態である(乙1・2~4,6,9枚目,乙2・3,4枚目,乙3・7,8,10 枚目など)。 また,②黒色帯の内径を起点とする線模様についても,当該差異は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できるとはいい難い上,上記(ア)a(b)の構成を備える他の商品において,線模様の長さ,太さ,数について種々のものが認められる(乙1・10,11枚目,乙2・3,4枚目,乙3・3,6,9,10枚目)。そうすると,原告商品1~3の線模様は,商品を特徴付けるものではなく,ありふれた形態に過ぎないというべきである。 (ウ) 以上のとおり,原告商品1~3とG&G社商品①との形態上の差異は,いずれも需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができないか,又は同種商品にみられるありふれた形態に関するものにすぎず,両商品の形態は実質的に同一というべきである。 したがって,原告商品1~3の形態は,新たに開発されたものということはできず,不正競争防止法2条1項3号による保護の対象とはならないというべきである。 ウ原告商品4,6,7について(ア) 原告商品4,6,7については,上記(1)のとおり,G&G社商品②に変更を加えたものと認められるところ,原告商品4,6,7とG&G社商品②とを比較すると,以 ウ原告商品4,6,7について(ア) 原告商品4,6,7については,上記(1)のとおり,G&G社商品②に変更を加えたものと認められるところ,原告商品4,6,7とG&G社商品②とを比較すると,以下の共通点及び相違点が認められる。 a 共通点(a) 虹彩色についていずれも茶色,灰色,青色があり,共通する。 (b) 虹彩模様についていずれも黒色帯を有し,黒色帯の内径を起点とする模様及び瞳孔径の外側に配置された模様がある点で,共通する。 また,黒色帯の内径を起点とする模様は,いずれも略三角状で,瞳孔径に向かって逆放射状に伸びる点で,共通する。 b 相違点(a) レンズ直径についてG&G社商品②は14.0mmであるのに対し,原告商品4,6,7は14.5mmである。 これに伴って虹彩径についても差異があるといえる。 (b) 虹彩模様について① 黒色帯の内径を起点とする模様について,G&G社商品②は,略三角状の数が多く,形状や大きさ,配置が規則的であるのに対し,原告商品4,6,7は,略三角状の数が少なく,形状や大きさ,配置が不規則でまばらである。 ② 瞳孔径の外側に配置された模様について,G&G社商品②は,瞳孔径の周囲に沿って細かいドットによる模様が規則的に配置されているのに対し,原告商品4,6,7は,黒色ドット又は細かい線による模様が不規則でまばらに配置されている。 (イ)a そこで相違点について検討するに,レンズ直径及び虹彩径については,上記イ(イ)aに検討したとおりである。 b また,①黒色帯の内径を起点とする模様及び②瞳孔径の外側に配置された模様については,上記(ア)a(b)の構成を備える他の商品にお 及び虹彩径については,上記イ(イ)aに検討したとおりである。 b また,①黒色帯の内径を起点とする模様及び②瞳孔径の外側に配置された模様については,上記(ア)a(b)の構成を備える他の商品において,その模様の数,形状,大きさ,配置の規則性について種々のものが認められ(乙1・2,4,7枚目,乙2・3枚目,乙3・8,10枚目),原告商品4,6,7と同様の形態のものも存在することが認められる(BESCON社商品)。 そうすると,原告商品4,6,7の上記模様は,商品を特徴付けるものではなく,ありふれた形態に過ぎないというべきである。 (ウ) 以上のとおり,原告商品4,6,7とG&G社商品②との形態上の差異は,いずれも需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができないか,又は同種商品にみられるありふれた形態に関するものにすぎず,両商品の形態は実質的に同一というべきである。 したがって,原告商品4,6,7の形態は,新たに開発されたものということはできず,不正競争防止法2条1項3号による保護の対象とはならないというべきである。 (エ) なお,原告商品4,6,7は,BESCON社商品(乙3・8枚目)と比較すると,その相違点は,レンズ直径及び虹彩模様のうち黒色帯内径を起点とする模様の規則性といった点にすぎず,両商品の形態は,実質的に同一である。したがって,この点においても,原告が,原告商品4,6,7の商品形態を新たに開発したとはいえない。 エ原告商品5について(ア) 原告商品5については,上記(1)のとおり,G&G社商品③に変更を加えたものと認められるところ,原告商品5とG&G社商品③とを比較すると,以下の共通点及び相違点が認められる。 a 共通点(a ,上記(1)のとおり,G&G社商品③に変更を加えたものと認められるところ,原告商品5とG&G社商品③とを比較すると,以下の共通点及び相違点が認められる。 a 共通点(a) 虹彩色についていずれも無色透明である。 (b) 虹彩模様についていずれも黒色帯を有し,黒色帯の内径を起点とする模様がある。 黒色帯の内径を起点とする模様については,瞳孔径に向かって逆放射状に,略三角形状の模様が不規則に配置され,鋸刃のような形状になっている。 b 相違点(a) レンズ直径についてG&G社商品③は14.0mmであるのに対し,原告商品5は14.5mmである(なお,これに伴って虹彩径についても差異があるといえる。)。 (b) 虹彩模様について黒色帯の内径を起点とする模様について,G&G社商品③と比較して,原告商品5は,虹彩模様の内径にまで施され,より強調されている。 (イ)a そこで相違点について検討するに,レンズ直径及び虹彩径については,上記イ(イ)aに検討したとおりである。 b また,黒色帯の内径を起点とする模様については,当該差異は,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できるとはいい難い。また,原告商品5は,瞳孔径(虹彩模様内径)を小さくすることによって,虹彩模様の範囲を大きくしたものといえるところ,原告商品5の販売開始当時,瞳孔径(虹彩模様内径)の大きさについては種々のものが販売されており(乙1~3),原告商品5と同様に比較的小さいものも存在することが認められる(乙3・4,5枚目)。 そうすると,原告商品5の上記模様は,商品を特徴付けるものではなく,ありふれた形態に過ぎないというべきである。 商品5と同様に比較的小さいものも存在することが認められる(乙3・4,5枚目)。 そうすると,原告商品5の上記模様は,商品を特徴付けるものではなく,ありふれた形態に過ぎないというべきである。 (ウ) 以上のとおり,原告商品5とG&G社商品③との形態上の差異は,いずれも需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができないか,又は同種商品にみられるありふれた形態の違いに過ぎず,両商品の形態は実質的に同一というべきである。 したがって,原告商品5の形態は,新たに開発されたものということはできず,不正競争防止法2条1項3号による保護の対象とはならないというべきである。 (エ) なお,原告商品5は,G&G社商品④と比較すると,その相違点は,レンズ直径及び虹彩模様のうち模様が虹彩模様の内径にまで施されているかといった点にすぎず,両商品の形態は,実質的に同一である。したがって,この点においても,原告が,原告商品5の商品形態を新たに開発したとはいえない。 オ独占的販売権者についての主張について原告は,G&G社から原告商品の日本国内における独占的販売権を与えられた者として,不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求主体としての地位を有する旨主張する。 しかしながら,前述のとおり,原告商品が不正競争防止法2条1項3号によって保護されるべき形態を有しない以上,仮に,原告が,G&G社から原告商品の日本国内における独占的販売権を与えられていたとしても,原告は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求はできない。 (6) 小括以上によれば,原告の不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3号の不正競争該当を理由とする請求はできない。 (6) 小括以上によれば,原告の不正競争防止法2条1項3号該当を理由とする請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 2 争点2(不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求)について(1) 争点2-1(原告商品の商品形態の周知商品等表示該当性)についてア商品の形態は,本来的には,商品としての機能・効用の発揮や商品の美観の向上等のために選択されるものであり,商品の出所を表示する目的を有するものではない。しかし,特定の商品の形態が独自の特徴を有し,かつ,この形態が長期間継続的かつ独占的に使用されるか,又は短期間でも強力な宣伝等が伴って使用されることにより,その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合には,当該商品の形態が,不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」として保護されることがあり得ると解される。 イそこで検討するに,原告商品の形態は,上記1のとおり,原告が販売していたG&G社商品①~③と実質的に同一であるところ,G&G社商品①~③は,原告に日本国内での独占的販売権が付与されていたわけでもなく,他社からも販売されていたといえる(なお,G&G社は,平成21年1月に,ピアコーポレーション株式会社との間で,同社の製造するコンタクトレンズの日本国内における独占的販売権を付与するなどしている。乙4)。 したがって,原告商品の形態は,日本国内で原告及び他社から既に販売されていたG&G社商品①~③と実質的に同一であり,独自の特徴を有するものではないから,需要者が,原告商品の形態から,これを原告の商品であると認識することはなく,これを原告の商品等表示ということはでき ていたG&G社商品①~③と実質的に同一であり,独自の特徴を有するものではないから,需要者が,原告商品の形態から,これを原告の商品であると認識することはなく,これを原告の商品等表示ということはできない。原告は,原告商品の店頭での売られ方や,広告宣伝についても主張するが,原告商品の形態に独自の特徴が認められない以上,これらによって,原告商品の形態が出所識別機能を獲得するに至ったと解することはできず,原告の主張には理由がない。 (2) 小括したがって,原告商品の形態に商品等表示性があるものと認めることはできないから,原告の不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3 結語以上のとおり,原告の請求にはすべて理由がないから,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官松川充康 裁判官網田圭亮 

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