- 1 -平成22年7月7日判決言渡平成22年(行ケ)第10052号審決取消請求事件(商標)口頭弁論終結日平成22年6月14日判決原告 X被告特許庁長官指定代理人小川きみえ同野口美代子同田村正明同豊田純一主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が不服2008-19906号事件について平成21年12月22日にした審決を取り消す。 第2事案の概要 本件は,原告が後記2(1)の商標(以下「本願商標」という。)につき商標登録出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をしたが,特許庁から請求不成立の審決を受けたことから,その取消しを求めた事案である。 争点は,下記(1)の本願商標が下記(2)の各引用商標との関係で商標法4条1項11号(類似)に違反するか,等である。 (1)(本願商標)- 2 -「MIZUHO.NET」(標準文字)(指定役務)・第35類,第37~42類詳細は別添審決別掲(1)のとおり(2)引用商標ア引用商標1(商標登録第3000902号,特例商標)(商標) ・出願日平成4年9月18日・登録日平成6年7月29日・商標権者東日本旅客鉄道株式会社(指定役務)第39類「旅客車による輸送」イ引用商標2(商標登録第4451446号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年2月9日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第40類ャルグループ詳細は別添審決別掲(2)のとおりウ引用商標3(商標登録第44577 6日「MIZUHO」・登録日平成13年2月9日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第40類ャルグループ詳細は別添審決別掲(2)のとおりウ引用商標3(商標登録第4457745号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年3月9日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第37類ャルグループ- 3 -詳細は別添審決別掲(3)のとおりエ引用商標4(商標登録第4457746号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年3月9日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第38類ャルグループ詳細は別添審決別掲(4)のとおりオ引用商標5(商標登録第4474910号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年5月18日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第39類ャルグループ詳細は別添審決別掲(5)のとおりカ引用商標6(商標登録第4474911号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年5月18日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第41類ャルグループ詳細は別添審決別掲(6)のとおりキ引用商標7(商標登録第4474912号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年5月18日・商標権者株式会社みずほフィナンシ- 4 -(指定役務)第42類ャルグループ詳細は別添審決別掲(7)のとおりク引用商標8(商標登録第4478383号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「M ィナンシ- 4 -(指定役務)第42類ャルグループ詳細は別添審決別掲(7)のとおりク引用商標8(商標登録第4478383号)(商標)(標準文字)・出願日平成11年12月16日「MIZUHO」・登録日平成13年6月1日・商標権者株式会社みずほフィナンシ(指定役務)第35類ャルグループ詳細は別添審決別掲(8)のとおり 争点は,本願商標が前記各引用商標に類似し,その商標登録が商標法4条1項11号に違反するか等である。 第3当事者の主張 請求原因(1)特許庁における手続の経緯原告は,平成13年1月11日になした原出願(商願2001-6532号)からの商標法10条1項に基づく分割出願として,平成18年5月29日,本件商標出願(商願2006-49270号)をし,平成18年12月26日に第38類・第39類に属する指定役務を変更する手続補正をし,その指定役務は別添審決別掲(1)のとおりのものとなったが,平成20年6月9日に特許庁から拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をした。 特許庁は上記請求を不服2008-19906号事件として審理した上,平成21年12月22日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は平成22年1月16日原告に送達された。 (2)審決の内容審決の内容は,別添審決写しのとおりである。その理由の要点は,本願商- 5 -標は前記各引用商標と類似し,その指定役務も引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を包含するから商標法4条1項11号(類似)に違反する,というものである。 (3)審決の取消事由しかしながら,審決には次のとおりの誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。 ア本願商標の観念認定の誤り(取消事由1)本願商標はアルファベットの標準文字で「 る。 (3)審決の取消事由しかしながら,審決には次のとおりの誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。 ア本願商標の観念認定の誤り(取消事由1)本願商標はアルファベットの標準文字で「MIZUHO.NET」を横書きして表したものであるところ,「MIZUHO.NET」がその全体としてインターネットのドメイン名を表す表示と捉えることができ,また「. NET」の部分はインターネットのドメイン名の命名法則の1つである分野別トップレベルドメイン(gTLD,genericTopLevelDomain)の1つであり,出所識別機能を有しないから,「.NET」の部分の前の部分の表示「MIZUHO」も含めることで初めて出所識別機能を有するものである。 なお,「.」(ピリオド)の部分は,本願商標を「MIZUHO」と「NET」に視覚上分離する機能を果たすのではなく,本願商標をインターネットドメイン名としてとらえた場合には,両部分を視覚的に結び付ける機能を有するものである。 「.NET」の部分からは「ネットワーク」,「インターネット」の観念が生じるから,本願商標からは,その全体として,「『ミズホネット』,『ミズホドットネット』等と呼称される,ネットワークサービスを提供することを目的として,ネットワークサービス事業者がネットワーク上で自らの識別子として使用するドメイン名,又は,上記事業者が顧客に対し,ネットワーク上における顧客の識別子の一部として利用に供するために使用するドメイン名」の観念が生じる。 - 6 -しかるに,審決は,本願商標の「.NET」の部分は独立して出所識別機能を果たさず,「MIZUHO」の部分から「みずみずしい稲の穂」の観念が生じる旨認定しており,上記認定は誤りである。 イ本願商標の称呼認定の誤り(取消事由2)前記アのとお 部分は独立して出所識別機能を果たさず,「MIZUHO」の部分から「みずみずしい稲の穂」の観念が生じる旨認定しており,上記認定は誤りである。 イ本願商標の称呼認定の誤り(取消事由2)前記アのとおり,本願商標は一体のものとして把握したときに初めて出所識別機能を有するものであって,構成部分の一部を抽出するのは相当でない一方,本願商標の全体を称呼した場合でも決して冗長になることなく,一息によどみなく称呼できることからすれば,本願商標の全体から称呼が生じるものというべきである。 そうすると,本願商標からは「ミズホネット」,「ミズホドットネット」,「ミズホピリオドネット」の称呼が生じるものというべきである。 しかるに,審決は,「MIZUHO」の部分のみから称呼が生じると認定しており,上記認定は誤りである。 ウ本願商標と各引用商標が類似するとした判断の誤り(取消事由3)審決は,前記ア,イの認定を前提に,本願商標と各引用商標とが称呼及び観念が共通する類似の商標であると判断しており,この判断は誤りである。 なお,本願商標に係る類否判断の基礎となる社会状況と「みずほねっと」の構成を有する原告の商標登録第4246220号の商標(下記のとおり。 以下「別件商標」という。)の無効審判請求における類否判断の基礎となった社会状況は大きく異ならないから,本願商標も別件商標と同様に登録されるべきものである。 記(商標)(標準文字)・出願日平成9年5月26日「みずほねっと」・登録日平成11年3月5日・商標権者X(原告)- 7 -(指定役務)第35類「広告,商品の販売に関する情報の提供」第38類「電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」エ憲法29条違反(取消事由4)本願商標と類似する別件商標の指定役務「電子計算機端末による通信ネットワ 品の販売に関する情報の提供」第38類「電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」エ憲法29条違反(取消事由4)本願商標と類似する別件商標の指定役務「電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」(第38類)は本願商標の指定役務に含まれるので,審決が取り消されない場合,原告が別件商標を使用するに当たり,「みずほ」,「MIZUHO」の文字を含む標章を使用するときは,商標法違反となるおそれがあり,その結果別件商標の使用が困難になる。すなわち,原告がドメイン名「MIZUHO.NET」を使用することが困難になるおそれがあり,別件商標に係る権利が実質的に失われてしまうことになる。 したがって,審決の認定判断は憲法29条によって保障される原告の別件商標に係る権利を害するもので,同条に反し違法である。 オ憲法14条1項違反(取消事由5)審決は,株式会社みずほフィナンシャルグループの商標権を守るために特許庁がしたものであって,社会的身分によってした経済的差別であり,憲法14条に反する違法なものである。 請求原因に対する認否請求原因(1),(2)は認めるが,同(3)は争う。 被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の各取消事由はいずれも理由がない。 (1)取消事由1に対し本願商標の「MIZUHO」の文字と「NET」の文字との間には「.」(ピリオド)が存在するから,「MIZUHO」の文字と「NET」の文字とは視覚的に分離して看取されるものである。 - 8 -また,本願商標のうち「MIZUHO」の部分は,「みずみずしい稲の穂」を意味する「瑞穂」のアルファベットによる表記である一方,「NET」の部分はインターネットの略称「net」の大文字による表記あるいは分野別トップレベルドメインの一つであるし,インターネットの普及に を意味する「瑞穂」のアルファベットによる表記である一方,「NET」の部分はインターネットの略称「net」の大文字による表記あるいは分野別トップレベルドメインの一つであるし,インターネットの普及に伴い,「情報の提供」等のサービスをインターネット等の電気通信網を通じて提供することが一般的になってきており,「NET」の文字はその際に事業者のアドレスの一部として普通に使用されるようになっているものである。したがって,本願商標の「NET」ないし「.NET」の部分は,その指定役務の大部分を占める「情報の提供」との関係で,情報がインターネット等の電気通信網を通じて提供されるという,役務提供の手段を示すものにすぎず,独立して自他役務出所識別標識として認識されることはない。 そして,本願商標の全体から特定の観念が生じることはない。 そうすると,本願商標は必ずしも一体不可分のものとしてのみ認識されるものではないし,「MIZUHO」の部分が本願商標の指定役務との関係で自他役務識別機能を果たし得ない特段の事情はない。 したがって,本願商標は,その「MIZUHO」の部分から「みずみずしい稲の穂」の観念を生じる。 よって,審決の本願商標から生じる観念の認定に誤りはない。 (2)取消事由2に対し前記のとおり,本願商標は必ずしも一体不可分のものとしてのみ認識されるものではないし,「MIZUHO」の部分が本願商標の指定役務との関係で自他役務識別機能を果たし得ない特段の事情はなく,「MIZUHO」の部分を要部ととらえることができるのであって,「ミズホ」の称呼を生じる。 したがって,審決の本願商標から生じる称呼の認定に誤りはない。 (3)取消事由3に対し前記(1),(2)のとおり,審決の本願商標から生じる観念及び称呼の認定に誤- 9 -りはないから,上記認定に基づいて て,審決の本願商標から生じる称呼の認定に誤りはない。 (3)取消事由3に対し前記(1),(2)のとおり,審決の本願商標から生じる観念及び称呼の認定に誤- 9 -りはないから,上記認定に基づいてされた本願商標と各引用商標の類否判断に誤りはない。 本願商標と各引用商標とは,全体ではその外観が異なるが,本願商標は引用商標2ないし8と「MIZUHO」の部分を有する点で外観が共通する。 本願商標と各引用商標とは,「みずみずしい稲の穂」の観念を生じる点で共通し,「ミズホ」の称呼を生じる点で共通する。 それゆえ,本願商標と引用商標2ないし8とは,本願商標にとっては要部である「MIZUHO」の部分を有する点で外観が共通し,当該商標から生じる観念及び称呼が共通する。一方,本願商標と引用商標1とは,外観が異なるものの,当該商標から生じる観念及び称呼が共通するから,本願商標と各引用商標とはそれぞれ類似する。 したがって,本願商標と各引用商標とが類似するとした審決の判断に誤りはない。 なお,別件商標と本願商標とはその構成が異なる上,当該商標を登録すべきか否かの判断は,個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるから,別件商標が登録されたからといって,本願商標が当然に登録されるべきものとなるわけではない。 (4)取消事由4に対し本願商標と別件商標とは,その構成態様が明らかに異なるものであって,本願商標を登録すべきかの問題と別件商標の使用の制約の有無の問題とは何ら関連がない。 (5)取消事由5に対し当該商標を登録すべきか否かの判断は,個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるところ,審決は,個別具体的に本願商標と各引用商標との類否判断を行ったものにすぎないのであって,原告と各引用商標の商標権者との社会的身分や経済的格差を基準にして上記類 体的に判断されるべきものであるところ,審決は,個別具体的に本願商標と各引用商標との類否判断を行ったものにすぎないのであって,原告と各引用商標の商標権者との社会的身分や経済的格差を基準にして上記類否判断をしたもので- 10 -はない。 第4当裁判所の判断 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 商標法4条1項11号(登録商標と類似)該当性の有無原告は,本願商標が各引用商標と類似しないと主張し,類似性に係る特許庁の認定判断の誤りを主張するので(取消事由1ないし3),以下この点につき検討する。 (1)本願商標の内容ア外観本願商標はアルファベットの文字である「MIZUHO.NET」を標準文字で横書きしてなる外観を有するものである。 そして,上記のとおり,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分と「NET」の文字部分との間には「.」(ピリオド)があるから,両者の文字部分を視覚的に分離して看取することができるというべきである。 イ観念上記のとおり,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分と「NET」の文字部分とを視覚的に分離して看取することができるところ,弁論の全趣旨によれば,審決がされた平成21年12月22日当時,引用商標2ないし8が,その各指定役務に関し,株式会社みずほフィナンシャルグループ(以下「みずほフィナンシャルグループ」という。)の業務に係る役務を示すものとして,取引者及び需要者の間で広く認識されていたことが認められる。 そうすると,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分は,取引者及び需要者に対し,みずほフィナンシャルグループに関係するものという強い印象を与えるものというべきである。 - 11 -一方,①一般に,インターネッ の構成のうち「MIZUHO」の文字部分は,取引者及び需要者に対し,みずほフィナンシャルグループに関係するものという強い印象を与えるものというべきである。 - 11 -一方,①一般に,インターネット(theInternet)が「net」(ネット)と略称されることがあること,②「.net」の表記は,インターネットのドメイン名の命名法則の1つである分野別トップレベルドメイン(gTLD,genericTopLevelDomain)の1つとして,世界中で普遍的に使用されていること(なお,ドメイン名のうち,ピリオドで区切られたアルファベットの文字(ラベル)の中では,大文字と小文字は区別されない。),③インターネットの普及に伴い,「情報の提供」等のサービスをインターネット等の電気通信網を通じて提供することが一般的になってきており「NET」の文字はその際に事業者のアドレスの一部として普通に使用されるようになっていること(甲4,5,乙3,弁論の全趣旨)に鑑みると,本願商標の構成のうち「.NET」ないし「NET」の文字部分は,上記分野別トップレベルドメイン「.net」の全部又は一部を大文字で表記したもの,あるいは各種「情報の提供」等のサービスをインターネット等の電気通信網を通じて提供することを示す表示として,本願商標の指定役務である第35類「広告及びこれに関する情報の提供」等の取引者及び需要者に認識されるものということができる。 そうすると,本願商標の構成のうち「.NET」ないし「NET」の文字部分は,他の部分と独立して役務の出所識別機能を果たすものではなく,「MIZUHO」の文字部分が強く支配的な印象を与えるもので,本願商標の要部をなすものというべきである。したがって,「MIZUHO」の文字部分に接した「広告及びこれに関する情報の提供」等の取 なく,「MIZUHO」の文字部分が強く支配的な印象を与えるもので,本願商標の要部をなすものというべきである。したがって,「MIZUHO」の文字部分に接した「広告及びこれに関する情報の提供」等の取引者及び需要者は,これが「みずみずしい稲の穂」の意である「瑞穂」(広辞苑(第6版),甲3)のローマ字表記であると連想するものと認められるから,本願商標からは「みずみずしい稲の穂」の観念が生じるというべきである。 ウ称呼前記ア,イのとおり,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部- 12 -分と「NET」の文字部分とを視覚的に分離して看取することができること,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分が強く支配的な印象を与え,本願商標の要部をなし,本願商標から「みずみずしい稲の穂」の観念が生じることからすれば,本願商標からは「ミズホ」の称呼が生じるものと認められる。 (2)原告の主張に対する判断ア取消事由1(観念認定の誤り)について原告は,本願商標「MIZUHO.NET」はインターネットのドメイン名を表す表示と捉えることができ,「.NET」の部分は出所識別機能を有しないから,「.NET」の部分の前の部分の表示「MIZUHO」も含めることで初めて出所識別機能を有するものであるし,「.NET」の部分からは「ネットワーク」,「インターネット」の観念が生じるから,本願商標からは,その全体として,「『ミズホネット』,『ミズホドットネット』等と呼称される,ネットワークサービスを提供することを目的としてネットワークサービス事業者がネットワーク上で自らの識別子として使用するドメイン名,又は,上記事業者が顧客に対し,ネットワーク上における顧客の識別子の一部として利用に供するために使用するドメイン名」の観念が生じる旨等主張する。 しかし,前 で自らの識別子として使用するドメイン名,又は,上記事業者が顧客に対し,ネットワーク上における顧客の識別子の一部として利用に供するために使用するドメイン名」の観念が生じる旨等主張する。 しかし,前記のとおり,本願商標の構成のうち「.NET」ないし「NET」の文字部分が,他の部分と独立して役務の出所識別機能を果たすものではないとしても,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分と「NET」の文字部分とを視覚的に分離して看取することができるし,引用商標2ないし8の有する周知性のため本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分が強く支配的な印象を与え本願商標の要部であることからすると,本願商標に接した第35類「広告及びこれに関する情報の提供」等の取引者及び需要者のうち大多数の者においては,引用商標2ない- 13 -し8の商標権者の商号の命名の基礎となった「みずみずしい稲の穂」の意味を有する「瑞穂」を連想するものというべきであって,上記取引者及び需要者において原告主張に係る「『ミズホネット』,『ミズホドットネット』等と呼称される,ネットワークサービスを提供することを目的としてネットワークサービス事業者がネットワーク上で自らの識別子として使用するドメイン名,又は,上記事業者が顧客に対し,ネットワーク上における顧客の識別子の一部として利用に供するために使用するドメイン名」の観念を想起する蓋然性は極めて小さいものというべきである。 そうすると,本願商標から生じる観念に係る審決の認定に誤りがあるということはできず,原告の上記主張は採用することができない。 イ取消事由2(称呼認定の誤り)について原告は,本願商標は一体のものとして把握したときに初めて出所識別機能を有するものであって,構成部分の一部を抽出するのは相当でないとする一方,本願商標の い。 イ取消事由2(称呼認定の誤り)について原告は,本願商標は一体のものとして把握したときに初めて出所識別機能を有するものであって,構成部分の一部を抽出するのは相当でないとする一方,本願商標の全体を称呼した場合でも決して冗長になることなく,一息によどみなく称呼できることからすれば,本願商標の全体から称呼が生じるというべきであって,本願商標からは「ミズホネット」,「ミズホドットネット」,「ミズホピリオドネット」の称呼が生じる旨等主張する。 しかし,本願商標の全体を称呼した場合でも決して冗長になることはなく,一息によどみなく称呼することが可能であるとしても,前記のとおり,本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分と「NET」の文字部分とを視覚的に分離して看取することができること,引用商標2ないし8の有する周知性のため本願商標の構成のうち「MIZUHO」の文字部分が,強く支配的な印象を与え本願商標の要部であること,本願商標から「みずみずしい稲の穂」の観念が生じることからすると,本願商標はその全体からのみ称呼が生じるといわなければならないわけではなく,前記のとおりその要部から「ミズホ」の称呼が生じるというべきである。 - 14 -なお,仮に本願商標から「ミズホネット」,「ミズホドットネット」,「ミズホピリオドネット」の称呼が生じるとしても,「ミズホ」の部分で後記のとおりの引用商標2ないし8から生じる称呼と共通し,かつ「ネット」,「ドットネット」,「ピリオドネット」の称呼の一部は本願商標の要部から生じる称呼に比して相対的に小さい意義しか有しないものであるから,本願商標から生じる称呼と引用商標2ないし8から生じる称呼とは少なくとも類似するものである。 したがって,本願商標から生じる称呼に係る審決の認定に誤りがあるということはできず,原 いものであるから,本願商標から生じる称呼と引用商標2ないし8から生じる称呼とは少なくとも類似するものである。 したがって,本願商標から生じる称呼に係る審決の認定に誤りがあるということはできず,原告の上記主張は採用することができない。 ウ取消事由3(類似するとした判断の誤り)について(ア)各引用商標の内容a引用商標1引用商標1は,ひらがなで「みずほ」の文字を横書きしてなる外観を有するもので,その指定役務たる「旅客車による輸送」の取引者及び需要者において「みずみずしい稲の穂」の意の「瑞穂」をひらがな書きしたものと認識されるものであるから,引用商標1からは上記「みずみずしい稲の穂」の観念を生じることが認められる。 また,引用商標1から「ミズホ」の称呼が生じることは明らかである。 b引用商標2ないし8引用商標2ないし8は,いずれもアルファベットの大文字である「MIZUHO」を標準文字で横書きしてなるもので,その指定役務の取引者及び需要者において,「みずみずしい稲の穂」の意の「瑞穂」をアルファベットで記したものと認識されるから,引用商標2ないし8からはいずれも上記「みずみずしい稲の穂」の観念を生じることが認められる。 - 15 -また,前記のとおり,審決がされた平成21年12月22日当時,引用商標2ないし8が,その各指定役務に関し,みずほフィナンシャルグループの業務に係る役務を示すものとして,取引者及び需要者の間で広く認識されていたものであるから,みずほフィナンシャルグループの業務に係る役務との観念を生じることが認められる。 そして,引用商標2ないし8の文字の内容及び上記のとおりの観念が生じることに鑑みると,引用商標2ないし8からは「ミズホ」の称呼が生じることが認められる。 (イ)本願商標と各引用商標との類否について事案に鑑 用商標2ないし8の文字の内容及び上記のとおりの観念が生じることに鑑みると,引用商標2ないし8からは「ミズホ」の称呼が生じることが認められる。 (イ)本願商標と各引用商標との類否について事案に鑑み,本願商標と引用商標2ないし8との類否について判断する。 a上記(ア)によれば,本願商標と引用商標2ないし8は,その外観が全体としては異なるものの,いずれも標準文字で横書きした「MIZUHO」の文字をその構成中に有する点で共通するから,本願商標と引用商標2ないし8とは,その外観において一定程度類似する点があるということができる。 また,本願商標と引用商標2ないし8は,いずれも「みずみずしい稲の穂」の観念を生じる点で共通し,いずれも「ミズホ」の称呼を生じる点で共通する。 そうすると,本願商標と引用商標2ないし8とは,その外観に一定程度類似する点があり,生じる観念及び称呼が共通するから,類似するものというべきである。 bそして,本願商標の指定役務のうち「広告」,「経営の診断及び指導」,「市場調査」,「商品の販売に関する情報の提供」,「ホテルの事業の管理」(第35類)は引用商標8の指定役務と共通であり,また本願商標の指定役務のうち「移動体電話による通信」,「電子計算機端末によ- 16 -る通信」,「電報による通信」,「電話による通信」,「ファクシミリによる通信」,「無線呼出し」(第38類)は引用商標4の指定役務と共通である。また,①本願商標の指定役務のうち第35類に属する各種の情報の提供は,広告や事業経営等に関する情報を提供するもので,引用商標8の指定役務と類似すること,②本願商標の指定役務のうち第37類に属する各種の情報の提供は,各種工事等に関する情報を提供するもので,引用商標3の指定役務と類似すること,③本願商標の指定役務のうち第 8の指定役務と類似すること,②本願商標の指定役務のうち第37類に属する各種の情報の提供は,各種工事等に関する情報を提供するもので,引用商標3の指定役務と類似すること,③本願商標の指定役務のうち第38類に属する各種の情報の提供は,通信に関する情報を提供するもので,引用商標4の指定役務と類似すること,④本願商標の指定役務のうち第39類に属する各種の情報の提供は,各種の輸送等に関する情報を提供するもので,引用商標5の指定役務と類似すること,⑤本願商標の指定役務のうち第40類に属する各種の情報の提供は,布地の加工等に関する情報を提供するもので,引用商標2の指定役務と類似すること,⑥本願商標の指定役務のうち第41類に属する各種の情報の提供は,技能の教授等に関する情報を提供するもので,引用商標6の指定役務と類似すること,⑦本願商標の指定役務のうち第42類に属する各種の情報の提供は,宿泊施設の提供等に関する情報を提供するもので,引用商標7の指定役務と類似することがそれぞれ明らかである。 そうすると,本願商標の指定役務と引用商標2ないし8の指定役務とは,少なくとも一部が同一又は類似であるということができる。 cしたがって,本願商標が引用商標2ないし8と類似するとした審決の判断に誤りはなく,本願商標は先願登録商標である引用商標2ないし8と類似し,商標法4条1項11号に違反するというべきである。 dなお,本願商標と引用商標2ないし8について上記のとおり判断する以上,本願商標と引用商標1の類否について判断をする必要はない。 - 17 -eさらに,原告の別件商標の無効審判請求における商標の類否判断の基礎となった社会状況,とりわけインターネット等の普及の状況が,審決がされた平成21年12月22日当時の社会状況とさほど異なるところがなかったとしても,出 商標の無効審判請求における商標の類否判断の基礎となった社会状況,とりわけインターネット等の普及の状況が,審決がされた平成21年12月22日当時の社会状況とさほど異なるところがなかったとしても,出願された商標を登録すべきものか否かの判断は,当該商標ごとにされるべきものであって,別件商標が原告のために登録されたからといって,関連する本願商標が当然に登録すべきものとなるわけではないから,これに関する原告の主張は採用することができない。 エその余の主張に対する判断(ア)取消事由4(憲法29条違反)について原告は,本願商標と類似する別件商標の指定役務「電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」(第38類)が本願商標の指定役務に含まれるので,別件商標の使用が商標法違反となるおそれがあり,その結果別件商標の使用,ドメイン名「MIZUHO.NET」の使用が困難になり,別件商標に係る権利が実質的に失われてしまうことになる旨等主張する。 しかし,原告の別件商標が登録されたことと,原告主張によればその少なくとも一部が類似するドメイン名「MIZUHO.NET」を他の商標権と抵触することなく使用できるかは別の次元の問題であって,原告の別件商標が登録されたからといって,本願商標が当然に登録されるべきものとなるものではない。別件商標の指定役務に電気通信回線網への接続サービスの提供等(原告が予定しているインターネットのプロバイダサービスの提供等はこれに含まれるものと解される。)が含まれているとしても,別件商標の全部又は一部と類似するドメイン名を支障なく使用できることまで考慮して上記ドメイン名と同一又は類似する本願商標を登録すべきか否かを判断すべきであるとまでいうことはでき- 18 -ない。 そうすると,本願商標の登録を否定した審決の認定判断が 使用できることまで考慮して上記ドメイン名と同一又は類似する本願商標を登録すべきか否かを判断すべきであるとまでいうことはでき- 18 -ない。 そうすると,本願商標の登録を否定した審決の認定判断が原告の別件商標に係る権利を害するもので,憲法29条に反する旨の原告の主張は採用することができない。 (イ)取消事由5(憲法14条1項違反)について原告は,審決は,みずほフィナンシャルグループの商標権を守るために,社会的身分によってした経済的差別であり,憲法14条に反する違法なものである旨を主張する。しかし,特許庁がみずほフィナンシャルグループの商標権を守るために,経済的差別を行ったことを認めるに足りる的確な証拠はなく,原告の上記主張は採用することができない。 結論 以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官中野哲弘裁判官真辺朋子裁判官田邉実
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