【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点は訴訟法違反、法令違反、判例違反の主張であ るが、原審判決の判示は、要之住宅金融公庫から県
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人鍛治利一の上告趣意第一点は訴訟法違反、法令違反、判例違反の主張であるが、原審判決の判示は、要之住宅金融公庫から県に委託された、いわゆる委託業務の一つに属する県内の融資住宅の設計審査に関する事務は、県建築課の分掌事務に属し、従つて、それは建築課長たる被告人の本来の職務権限事項であること、本件饗応(第一事実)は、融資住宅の融資申込についての斡旋を受けた謝礼の趣旨もあるが、同時にまた建築課長たる被告人の本来の職務権限事項たる叙上設計審査に関する事務に関し世話になつた謝礼(即ち、審査に合格させて貰つたことの謝礼)の趣旨も含まれていること、融資申込についての斡旋をすることは、建築課長としての被告人の職務行為自体でないのは勿論、これに密接な関係のある行為でもないから、この面においては、饗応を受けても、それは「職務に関しない」から収賄罪に成らないが、設計審査の面においては、それは正に本来の職務行為だから収賄罪を構成する。この意味において、被告人の行為が収賄罪に該当するというのであるから、原判決には所論指摘の如き理由くいちがい乃至理由不備の違法はなく、刑法一九七条の適用を誤つた違法もなく、引用の判例は、本件に適切妥当を欠き、論旨いずれも失当である。 同第二点は訴訟法違反、判例違反の主張であるが、すでに、第一点において説明したところにより、原判決には所論指摘の如き理由くいちがい乃至理由不備の違法なきこと明白であり、引用の判例は本件に適切妥当を欠き論旨は原判示に副わない主張であるというの外ない。 同第三点は法令違反、訴訟法違反、判例違反の主張であるが、前記第一点に対して説明したところにより明らかなごとく、所論は、ひつきよう原判決の判示にそわ- 1 -ない主張であり、 るというの外ない。 同第三点は法令違反、訴訟法違反、判例違反の主張であるが、前記第一点に対して説明したところにより明らかなごとく、所論は、ひつきよう原判決の判示にそわ- 1 -ない主張であり、引用の判例は本件に適切妥当を欠き、論旨はいずれも失当である。 同第四点は訴訟法違反、判例違反の主張であるが、前記第一点に対して説明したところにより明らかなごとく、所論はひつきよう原判決の判示にそわない主張であり、また引用の判例はいずれも本件に適切妥当を欠き、第一審判決の事実摘示は、罪となるべき事実の摘示として欠くる所はないものと認める。 同第五点は訴訟法違反、判例違反の主張であるが、訴因追加請求書には、被告人の職務権限事項の一つとして、「住宅金融公庫よりの委託業務」を掲げ、饗応の趣旨として、「融資住宅に関して好意ある取扱を受けた謝礼の趣旨で」と記載してあり、右委託業務の中には、県建築課の行う、仙台市内における現場審査と県内における設計審査の事務が含まれること、それは公庫関係法規(住宅金融公庫法、公庫業務方法書、受託金融機関事務処理規程、受託地方公共団体事務処理規程)、業務委託契約等に徴し明らかなことは、原判決の判示せるとおりであり、また委託業務の一つである設計審査が建築課の分掌事務に属し、同課長が設計審査を最終的に審査して合否を決定する権限を有することは、これまた原判決の判示するとおりである。然りとすれば、右訴因追加請求書の事実摘示は、被告人が融資住宅の設計審査に関する職務行為に関し賄路を収受したという事実を具体的に記載したものであり、第一審が右請求書に基き、その判示第一事実のとおり、事実を認定したからといつて、訴因と異なる事実を認定したとはいえない。引用の判例は適切妥当を欠き論旨は失当である。 同第六点は法令違反、判例違反の主張であるが、 書に基き、その判示第一事実のとおり、事実を認定したからといつて、訴因と異なる事実を認定したとはいえない。引用の判例は適切妥当を欠き論旨は失当である。 同第六点は法令違反、判例違反の主張であるが、所論引用の建築基準法四条によれば、県建築主事は、県知事が任命した県吏員の中から命ぜられる技術吏員であつて、県知事から独立した地位を有する者ではなく、行政上は知事の一機関として、知事の指揮監督を受け、審査合格の決裁権は、知事―分掌関係から云えば、建築課長―に存するものと解せられるから論旨摘録の建築主事の職務権限の性質にかかわ- 2 -らず、建築課長にも設計審査につき職務権限ありといいうべく、原判決の趣旨またここに存し、何ら法令違反の点はなく、引用の判例は本件に適切妥当を欠き論旨は失当である。 同第七点は事実誤認、法令違反、判例違反を主張するが、結局原判示に副わない事実関係に立脚して、法令違反、判例違反を主張するものに過ぎず、原判決の叙上認定には誤りはないから論旨はすべて失当であり、また被告人の検察官に対する供述調書につき、任意性を否定するに足る資料も存しない。 同第八点は事実誤認、法令違反の主張であるが、前記第七点に説明したところと同断で論旨は失当である。 結局論旨は何れも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。 昭和三三年六月一八日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官河村大助裁判官奥 小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官河村大助裁判官奥野健一- 3 -
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