平成27(ネ)3108 地位確認等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成27年11月5日 東京高等裁判所
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判決文本文4,622 文字)

- 1 -平成27年11月5日判決言渡平成27年(ネ)第3108号地位確認等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成25年(ワ)第7202号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人(被告)において雇用され,定年を迎えた被控訴人(原告)が,控訴人に対し,平成24年法律第78号による改正前の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)9条2項所定の「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」(継続雇用基準)を満たす者を採用する旨の制度(高齢再雇用制度)により再雇用されるべきであり,控訴人は再雇用すべき義務があるのにしなかったものであるから,解雇権濫用法理が類推適用され,不採用通知は控訴人の権利濫用であり,平成25年4月1日以降の再雇用契約が成立する旨主張して,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに同契約に基づく月額賃金として平成25年4月から本判決確定の日まで毎月24日限り22万1400円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は,争点とされている平成23年度の人事評価における「営業・業務実績」,「業務プロセス」及び「顧客志向」の各評価項目の評価並びに面接試験の評価に関し,少なくとも「営業・業務実績」の評価項目については,控訴人による評価が人事評価の裁量権の範囲を逸脱した不当なものであり,平成22年度と同様の - 2 -評価をするのが相当であると認められ,そうすると,上記人事評価の他の各評 の評価項目については,控訴人による評価が人事評価の裁量権の範囲を逸脱した不当なものであり,平成22年度と同様の - 2 -評価をするのが相当であると認められ,そうすると,上記人事評価の他の各評価項目の評価及び面接試験の評価に関する控訴人の主張を前提としても,被控訴人は控訴人の高齢再雇用制度における所定の継続雇用基準を満たしているものと認められる,したがって,高年法の趣旨等に鑑み,控訴人と被控訴人との間において,被控訴人の定年後も控訴人の高齢再雇用制度に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているとみるのが相当であり,その期限や賃金等の労働条件については,控訴人の高齢再雇用制度の定めに従うことになるなどとして,被控訴人の請求をいずれも認容した。これに対し,控訴人が控訴した。 2 前提事実,争点及び当事者の主張は,原判決10頁,13頁,14頁及び17頁中「評価規準」とあるのをいずれも「評価基準」と改め,3に当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における控訴人の主張(1) 被控訴人の平成23年度における勤労意欲は明らかに低下していたのであり,これに伴って,被控訴人の仕事の処理(能率)の状況は平成22年度より平成23年度の方がより悪化していたとみるのが自然である。したがって,平成22年度及び平成23年度における被控訴人の業務遂行状況がこの2年間を通じて特段の変更がなかったとする原判決の事実認定には誤りがある。 (2) 原判決の認定したとおり平成22年度と平成23年度における被控訴人の業務遂行状況が特段の変更はなかったとしても,平成22年度と平成23年度における控訴人○支店第四集配営業課22班の配達担当の正 2) 原判決の認定したとおり平成22年度と平成23年度における被控訴人の業務遂行状況が特段の変更はなかったとしても,平成22年度と平成23年度における控訴人○支店第四集配営業課22班の配達担当の正社員の担当業務には,「対面配達(混合)」及びその事故処理の他,帰店後の転出入処理,「受箱配達(通配)」の担当者が処理できなかった「受箱配達(通配)」の事故処理及び期間雇用社員が休みの場合などに行う「受箱配達(通配)」の担当(月に18日程度の頻度)が含まれるものであり,被控訴人を除くその余の正社員は,「受箱配達(通配)」の事故処理を勤務時間内に行っていたにもかかわらず,被控訴 - 3 -人は「対面配達(混合)」の配達業務とその事故処理で勤務時間が終わってしまい,「受箱配達(通配)」の事故処理をほとんど行っていなかったのであるから,被控訴人は仕事の能率が劣り,本来行うべき業務,すなわち,帰店後の転出入処理,「受箱配達(通配)」の担当者が処理できなかった「受箱配達(通配)」の事故処理を勤務時間内に行っていなかったことになる。したがって,これを正しく評価すると,「能率が劣り担当の仕事を超過勤務で処理したり,同僚等の援助を受けて処理した。」(仕事の処理(能率)につき,「△」のレ点チェック欄)に該当するので,被控訴人に関する「営業・業務実績」の評価項目のうち,判断基準の一つである仕事の処理(能率)に関する評価は,平成23年度の評価が正しく,平成22年度の評価が誤っているのである。したがって,控訴人による平成23年度の被控訴人に関する人事評価には何ら裁量権の範囲の逸脱はない。 (3) 被控訴人は,平成23年度の人事評価結果につき,フィードバックシートを受領しており,平成23年度における自己の「営業・業務実績」の最終評価結果が平成22年度より下が 囲の逸脱はない。 (3) 被控訴人は,平成23年度の人事評価結果につき,フィードバックシートを受領しており,平成23年度における自己の「営業・業務実績」の最終評価結果が平成22年度より下がっていることを把握していたが,フィードバックシート受領後に何ら異議を述べておらず,苦情申立てや苦情相談の申立ても行っていない。これは,被控訴人において,平成22年度における「営業・業務実績」の評価基準の一つである仕事の処理(能率)の評価が,被控訴人に有利にすぎるものであり,通常どおりの基準(適正な基準)で評価されれば,平成23年度の人事評価結果となることを自認していたことの表れである。それにもかかわらず,原判決はこの点に言及しておらず,不当である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人の本件請求はいずれも理由があるものと判断する。その理由は,2に当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 - 4 - 2 当審における控訴人の主張に対する判断(1) 控訴人は,平成22年度より平成23年度の方が被控訴人の勤労意欲が低下していることは明らかであり,これに伴い被控訴人の仕事の処理(能率)の状況も悪化していたとみるのが自然である旨主張する。 しかしながら,控訴人の上記主張は,勤労意欲の減退によって具体的にどのような仕事の能率上の悪化が生じたかを主張するものでないばかりか,勤労意欲の減退という評価自体,班長として被控訴人の仕事振りを間近で見ていたA課長代理から見て,平成23年度の被控訴人の勤労意欲が低下しているという印象であったという漠然たるものであったり,被控訴人による「倫理・規律」の項目の自己評価の低下とい の仕事振りを間近で見ていたA課長代理から見て,平成23年度の被控訴人の勤労意欲が低下しているという印象であったという漠然たるものであったり,被控訴人による「倫理・規律」の項目の自己評価の低下というにすぎず,平成22年度との比較において平成23年度の方が被控訴人の勤労意欲が明らかに低下していて仕事の処理(能率)の低下があるとまで評価することはできない。被控訴人の業務遂行状況は両年度を通じて特段の変更がなかったという原判決の認定は相当であり,控訴人の上記主張は採用することができない。 (2) 控訴人は,被控訴人の平成22年度と平成23年度の業務遂行状況に特段の変更がなかったとしても,被控訴人は平成22年度と平成23年度における控訴人○支店第四集配営業課22班の配達担当の正社員が本来行うべき担当業務を勤務時間内に行っていなかったのであるから,これを正しく評価すれば,平成22年度の評価は誤りであり,平成23年度の評価が適正であって,被控訴人に関する人事評価に裁量権の範囲の逸脱はない旨主張する。 しかしながら,控訴人は,原審において,各年度の人事評価が適正であることを前提に,平成23年度の業務遂行状況が平成22年度に比して悪化している旨主張していたにもかかわらず,当審において,平成22年度の評価自体が誤りであったと主張するのは不合理であり,かえって人事評価の適正さに疑問を抱かせる変遷であるといわざるを得ない。控訴人は,平成22年度の班内の調整によって,被控訴人には受箱配達を指定しないようにしつつ,同年度の人 - 5 -事評価においては実際に被控訴人が担当していた業務の遂行状況を踏まえて「営業・業務実績」項目を「担当の仕事を迅速に処理し,求められる時間内に終了した。」(「◎」のレ点チェック欄)と評価したものであり(乙10の1,乙 際に被控訴人が担当していた業務の遂行状況を踏まえて「営業・業務実績」項目を「担当の仕事を迅速に処理し,求められる時間内に終了した。」(「◎」のレ点チェック欄)と評価したものであり(乙10の1,乙17,原審における証人B),平成23年度においてもこの業務遂行状況に特段の変更がみられない以上,同年度の人事評価においても同項目については同等の評価がされるべきであることは引用した原判決の説示するとおりである。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 (3) 控訴人は,被控訴人が平成23年度の控訴人による最終評価を適正なものと認識し容認していたのに,原判決はこの点に言及しておらず,不当である旨主張する。控訴人の上記主張は,被控訴人が容認していたということを控訴人による評価が適正であることを示す事情の一つとして主張するものと解される。 しかしながら,被控訴人が苦情申告不服申立制度を利用しなかったからといって,平成22年度よりも下がった平成23年度の人事評価を容認していたとまでいうことはできないし,たとえ,被控訴人が当該人事評価を容認していたとしても,平成23年度の人事評価において,控訴人に裁量権の逸脱があることは引用した原判決の説示のとおりであり,この判断は後の被控訴人の態度いかんによって左右されるものではないから,この点に言及しない原判決が不当であるとの批判は当たらない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。 3 以上によれば,被控訴人の本件請求はいずれも理由があり,原判決は相当であるから,本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官柴田寛之 - 6 - 裁判官小田靖 して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官柴田寛之 裁判官小田靖子 裁判官矢作泰幸

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