令和5(行ケ)10067 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年12月4日 知的財産高等裁判所 1部 判決 審決取消
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判決文本文14,395 文字)

- 1 -令和5年12月4日判決言渡令和5年(行ケ)第10067号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和5年10月4日判決 原告株式会社丸井グループ 同訴訟代理人弁理士蔵田昌俊小出俊實幡 茂良 橋本良樹岡田貴志 被告 Y同訴訟代理人弁理士中村哲平 主文 1 特許庁が無効2021-890031号事件について令和5年5月18日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための 付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 本件は、商標登録無効審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。争点は、 - 2 -商標法4条1項11号該当性及び同項15号該当性である。 1 特許庁における手続の経緯等(1) 被告は、次のとおりの商標登録第6371693号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1、2)。 登録商標: 登録出願日:令和2年3月11日登録査定日:令和3年3月8日設定登録日:令和3年4月1日商品及び役務の区分並びに指定商品: 第9類「携帯電話機用ストラップ、携帯電話機用ケース、スマートフォン用保護フィルム、スマートフォン用自撮り棒、USBケーブル、統合増幅器をもったサウンドミキサー、電力増幅器、ヘッドフォン、ワイヤレススピーカー、スピーカー、携帯通信端末装置、携帯電話機、サングラス、眼鏡、電 ィルム、スマートフォン用自撮り棒、USBケーブル、統合増幅器をもったサウンドミキサー、電力増幅器、ヘッドフォン、ワイヤレススピーカー、スピーカー、携帯通信端末装置、携帯電話機、サングラス、眼鏡、電池」第18類「かばん類、かばん用革製アクセサリー、革製かばん、革製名刺入れ、 擬革製かばん、革製旅行かばん、多目的かばん、登山用バッグ、ベルトバッグ、ヒップバッグ、買物袋、旅行用衣服かばん、財布、通学用かばん、携帯用化粧道具入れ、傘、ポーチ、革製肩掛けベルト、袋型ベビーキャリー」第25類「被服、コート、ジャンパー、ワンピーススーツ、ブルージーンズ地の被服、半ズボン、外衣、下着、シャツ、スポーツコート、作業服、新生児用被服、 子供服、履物、帽子、革製ベルト、皮革製被服、手袋(革製・獣皮製又は毛皮製を含む。)、半袖シャツ、アロハシャツ、靴下、パンティストッキング」(2) 原告は、令和3年7月14日、本件商標について商標登録無効審判を請求した。特許庁は、同請求を無効2021-890031号事件として審理を行い、令 - 3 -和5年5月18日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月26日、原告に送達された。 (3) 原告は、令和5年6月26日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨 本件審決は、本件商標の商標登録につき、商標法4条1項11号及び15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法46条1項の規定により無効とすることはできないとした。その理由の要旨は、次のとおりである。 (1) 商標法4条1項11号該当性についてア本件商標は、「5252」の数字、「byO!Oi」の欧文字及び感嘆符を同 じ書体 ることはできないとした。その理由の要旨は、次のとおりである。 (1) 商標法4条1項11号該当性についてア本件商標は、「5252」の数字、「byO!Oi」の欧文字及び感嘆符を同 じ書体、同じ大きさ、等しい間隔で一連に横書きしてなり、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識される。そうすると、本件商標からは、その構成文字に相応して「ゴニゴニバイオーオイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。 イ二つの丸と2本の縦棒を交互に表した図形からなる別紙1標章目録記載の標章(以下「原告標章」という。)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、原 告及びそのグループ会社であって小売事業を営む株式会社丸井(以下、同社と原告とを併せて「原告等」という。)の業務に係る商品又は役務(以下「商品等」ということがある。)を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた。 別紙2記載の各引用商標(以下、併せて単に「引用商標」という。)は、いずれも、 原告等の業務に係る商品等を表示する標章として取引者、需要者の間に広く知られている原告標章と近似する若しくは同一視できる商標又はそれを要部とする商標であり、その構成に相応して「マルイ」の称呼を生じ、原告等のブランドとしての「丸井(マルイ)のマーク」との観念を生じる。 ウ本件商標と引用商標を比較すると、外観につき、数字と感嘆符を含む欧文字 からなる本件商標と、二つの丸と2本の縦棒を交互に表した図形又はそれを要部と - 4 -する引用商標とは、全体の構成が明らかに異なるから、容易に区別し得るものである。本件商標から生じる称呼「ゴニゴニバイオーオイ」と引用商標から生じる称呼「マルイ」とは、構成音及び構成音数に明らかな差異があるから、互いに聞き誤るおそれはな 異なるから、容易に区別し得るものである。本件商標から生じる称呼「ゴニゴニバイオーオイ」と引用商標から生じる称呼「マルイ」とは、構成音及び構成音数に明らかな差異があるから、互いに聞き誤るおそれはない。観念につき、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標は原告等のブランドとしての「丸井(マルイ)のマーク」の観念を生じるから、相 紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、これらにより取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等により総合的に判断すると、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品及び指定役務(以下「指定商品等」ということがある。)の出所につき混同を生じ るおそれのない非類似の商標である。 エなお、本件商標の「O!Oi」の部分は、欧文字の「O」、記号(感嘆符)の「!」、欧文字の「O」、欧文字の「i」からなるものと容易に認識されるものであり、原告標章とは、構成を明らかに異にするといえるし、本件商標は、全体として、隙間なく一連に表されている数字と感嘆符を含む欧文字を組み合せた一体不可分の 商標と把握、認識されるものとみるのが自然であるから、本件商標の「O!Oi」の部分を取り出して原告標章と類似するということはできない。 (2) 商標法4条1項15号該当性について原告標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、原告等の業務に係る商品等を表示する商標として取引者、需要者の間において広く認識されていたと 認められるほか、独創性の程度は高く、本件商標の指定商品には、原告標章を使用する役務と類似の商品が含まれている。しかし、本件商標と原告標章とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明瞭に区別し得ることから、外観、称呼及 性の程度は高く、本件商標の指定商品には、原告標章を使用する役務と類似の商品が含まれている。しかし、本件商標と原告標章とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明瞭に区別し得ることから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標であるから、 類似性の程度は低い。 - 5 -そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、原告標章を連想又は想起させることはなく、その商品が原告又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(商標法4条1項11号該当性の判断の誤り)(1) 本件審決は、本件商標につき、全体として隙間なく一連に表されている数字と感嘆符とを含む欧文字を組み合わせた一体不可分の商標と把握、認識されるべきものとして、その構成のうち「O!Oi」の部分を要部として抽出せず、本件商標全体と引用商標とを比較した。しかし、本件商標の構成のうち、「5252」の部分 は単なる数字であって識別力が低いこと、「by」は一般にその後に続く語が商品又は役務の出所であることを示す語として広く理解されていること、「O!Oi」の部分が一見して視覚的に顕著であること、「5252byO!Oi」が構成上も称呼するにも冗長であること等からすると、本件商標の要部は「O!Oi」の部分であるといえる。これを正しく抽出せず、本件商標の全体と引用商標とを形式的に比較し た本件審決は誤りである。 (2) 本件審決は、本件商標の構成のうち「O!Oi」の部分の称呼を「オ i」の部分であるといえる。これを正しく抽出せず、本件商標の全体と引用商標とを形式的に比較し た本件審決は誤りである。 (2) 本件審決は、本件商標の構成のうち「O!Oi」の部分の称呼を「オーオイ」と、また、その構成を欧文字の「O」、感嘆符(!)、欧文字の「i」からなるとそれぞれ認定し、いずれも原告標章とはその生じる称呼(マルイ)、外観及び観念において異なるとした。しかし、感嘆符を間に含む「O!Oi」を「オーオイ」「オーオ ーアイ」などと自然に称呼することはなく、当該部分は一種の図形とみるべきであって、取引者、需要者は、容易に著名な原告商標を想起するというべきである。これらを考慮することなく類否判断をした本件審決は誤りである。 2 取消事由2(商標法4条1項15号該当性の判断の誤り)本件審決は、原告標章が周知であること、その独創性の程度が高いこと、本件商 標の指定商品と原告標章が使用される役務とがいずれもアパレル・ファッション分 - 6 -野であって関連性があることを認めながらも、本件商標を一体不可分のものとしてその構成全体を形式的に原告標章と比較し、類似性の程度は低いとして、本件商標をその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、原告標章を連想又は想起させることはなく、商品の出所につき混同を生ずるおそれはないとした。 しかし、上記1のとおり、本件商標の要部というべき「O!Oi」の部分と原告 標章とを比較すれば、本件商標と原告標章とは類似するといえる。そして、被告が代表者を務める株式会社ファインドフォーム(以下「F社」という。)は、本件商標のうち「O!Oi」の部分を分離して使用したり、更にこれを「OIOI」などと変形して被服等の商品に使用したりしており(甲28~31、38~51)、これらの商品に接 以下「F社」という。)は、本件商標のうち「O!Oi」の部分を分離して使用したり、更にこれを「OIOI」などと変形して被服等の商品に使用したりしており(甲28~31、38~51)、これらの商品に接した取引者、需要者が、原告等が関係する商品なのではないかとの疑問 を抱くなど、現実に出所の混同が生じていること(甲26、33~37、59~62)からすると、本件商標は、原告等の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがある商標であると優に認められる。これに反する本件審決の判断は誤りである。 第4 被告の反論 1 取消事由1(商標法4条1項11号該当性の判断の誤り)について 本件商標は、複数の構成部分を組み合わせた結合商標である。結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合は、その構成部分を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されない。わずかに、構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品等の出所識別機能 として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などに限り、当該一部のみを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるにとどまる(最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁)。 本件商標は、「5252」の数字、「byO!Oi」の欧文字及び感嘆符を同じ書 - 7 -体、同じ大きさで、隙間なく一連に横書きしてなるものであり、特に「O!Oi」の部分だけが独立して注意を引くように構成されているということはない。また、辞書等に載録されている 書 - 7 -体、同じ大きさで、隙間なく一連に横書きしてなるものであり、特に「O!Oi」の部分だけが独立して注意を引くように構成されているということはない。また、辞書等に載録されている語はなく、特定の意味合いを有するものとして認識される事情もない。そうすると、本件商標は、そのいずれかの部分が商品等の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるということはなく、構成全体が不可分一体の造 語として取引者、需要者に認識されるものといえるから、その構成部分の一部を抽出してこれを他人の商標と比較することは許されない。 したがって、本件審決が、本件商標から要部を抽出することなく、その構成全体を引用商標と比較し、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないとして、本件商標と引用商標とが類似しないと判断したことは正当であって、 誤りはない。 2 取消事由2(商標法4条1項15号該当性の判断の誤り)について原告標章が周知著名であり、独創性を有することは特段争わないが、それらの点を検討するまでもなく、上記1のとおり、本件商標は、引用商標ひいては原告標章とは類似しないのであるから、原告等の業務に係る商品等と混同を生じるおそれが ある商標とはいえない。 加えていえば、原告標章や引用商標は百貨店に使用される標章として取引者、需要者に認識されているが、本件商標を付した被服等はいわゆる韓流ファッションに属し、その取引者、需要者は、F社のECサイト等に直接アクセスして当該被服等を購入するから、本件商標の指定商品と、原告標章及び引用商標の指定役務の関連 性は低く、取引者、需要者は異なり、取引経路及び販売場所の共通性も低い。したがって、本件商標が、原告等の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがあるということはない。 用商標の指定役務の関連 性は低く、取引者、需要者は異なり、取引経路及び販売場所の共通性も低い。したがって、本件商標が、原告等の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがあるということはない。 原告は、F社が被服等の商品に「O!Oi」や「OIOI」等を使用し、これにより取引者、需要者に混同が生じている旨主張するが、本件で問題となるのはあく まで「5252byO!Oi」との構成を有する本件商標であるところ、当該構成 - 8 -の使用により混同が生じたという例を挙げることはできていない。 よって、本件審決の判断に誤りはない。 第5 当裁判所の判断 1 証拠(甲4~11、27、乙2)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。 原告(平成19年の変更前の商号は「株式会社丸井」。同年、持株会社制に移行し、商号を「株式会社丸井グループ」に改めたほか、新設した「株式会社丸井」に小売事業を譲渡した。)は、昭和12年、東京都中野区所在の店舗において家具の割賦販売等の事業を行う株式会社として設立され、戦後に営業を再開してからは東京都及びその周辺県におけるターミナル駅至近にファッションビル形態の店舗を出店する 方法を中心に店舗網を拡大させていった。昭和40年代の後半頃からは、取り扱う商品を衣服等のアパレル・ファッションへと転換し、丸ゴシック体にて「OIOI」と書してなる引用商標1、2及び8の構成のロゴマーク(ただし、各「O」の右下がいずれもわずかに途切れている。)を作成し、これをファッションビルの塔屋や店舗入口等に目立つように掲示し、「マルイマルイ」「マルイ」等と呼んでテレビCM 等で周知するとともに、店舗の電話番号の末尾を「0101」で統一するなど会社イメージの統一を図った。原告は、平成7年頃、ロゴマークを引 に掲示し、「マルイマルイ」「マルイ」等と呼んでテレビCM 等で周知するとともに、店舗の電話番号の末尾を「0101」で統一するなど会社イメージの統一を図った。原告は、平成7年頃、ロゴマークを引用商標3及び10並びに原告標章の構成のもの(「O」の右下が途切れていないもの)に刷新し、その後、首都圏のみならず、東北地方、東海地方、近畿地方及び九州地方にも、テナント展開を含めつつもターミナル駅至近に出店する基本的方向性を維持しながら店舗 網を拡大していった。 原告は、平成17年のリーマンショック前後から小売市況の悪化を受けて小売事業中心の業態を順次見直し、小売事業としては令和2年時点で首都圏を中心に20以上の店舗の営業を継続しているほか、原告を持株会社とするグループ全体として、従来の割賦販売業から派生した金融業、投資業(フィンテック事業)、情報システム 事業、トータルファッション物流事業等、事業を多角化させている。原告のグルー - 9 -プにおいて小売事業を営む株式会社丸井の令和3年3月期の売上高は720億6700万円であった。なお、同社は、マルイウェブチャンネル、マルイ楽天市場店等のECサイトも展開しており、その全社売上げ比率(食品、レストランを除く。)は約10%である。 黒色の丸ゴシック体にて「OIOI」と書してなる原告標章は、遅くとも平成2 2年には、特許庁の審査実務においても、被服やかばん類等の商品や被服の小売等の役務に使用して著名な商標として認定されるようになった。 2 取消事由1(商標法4条1項11号該当性の判断の誤り)について(1) 商標法4条1項11号該当性の判断について商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場 合に、その商品又は役務の出所につき誤認混 の判断の誤り)について(1) 商標法4条1項11号該当性の判断について商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場 合に、その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきであり、しかも、その商品又は役務の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引 状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標は、その構成部分全体によって他人の商標と識別されるものとして考案されているものであるから、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断す ることは原則として許されない。しかし、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合等、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められない場合には、その構成部分 の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断すること - 10 -も許されると解すべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決 -も許されると解すべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、前掲最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決参照)。 (2) 本件商標について ア本件商標は、前記第2の1(1)のとおり、「5252byO!Oi」の数字、欧文字及び感嘆符を黒色のゴシック体にて同じ大きさ、等しい間隔で一連に横書きしてなるものである。もっとも、このうち「by」という語は、一般に「by 〇〇〇」との用法により「商品や役務の出所が〇〇〇」であることを表す英語の前置詞として我が国において広く用いられ、親しまれていることや、「by」が小文字で 書されていることからすると、本件商標は、全体として、「by」の後の「O!Oi」の部分を、独立して、見る者の注意を引くように構成されているといい得るものである。また、本件商標のうち「5252」の部分は単に数字を羅列するものであって格別の識別力を有しないのに対し、「O!Oi」の部分は、欧文字を用いながらも辞書等に載録される語ではない上、「オーオイ」又は「オーオーアイ」との称呼を生 じ得るものではあるが、感嘆符を用いていることからその称呼も一様に定まるものではなく、丸と縦線とが交互に用いられている点において視覚的に際立った印象を与え、造語とも図形とも理解できる特徴的なものといえる。これらに加えて、上記のとおり、「商品や役務の出所が○○〇」であることを示すものとして「by〇〇〇」との用法が広く用いられ、親しまれていることからすると、「by」の後に配された 「O!Oi」の部分は、本件商標の構成の中でも、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべ 「by〇〇〇」との用法が広く用いられ、親しまれていることからすると、「by」の後に配された 「O!Oi」の部分は、本件商標の構成の中でも、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきである。そうすると、「O!Oi」の部分は、本件商標の一部分ではあるものの、商標全体の出所識別標識としての機能を果たしていると認められるから、この部分を本件商標の要部として抽出し、この部分(以下「本件要部」という。)だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されると いうべきである。 - 11 -被告は、前掲最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決を引用し、同じ書体、同じ大きさで隙間なく一連に横書きしてなる本件商標の構成部分の一部である本件要部のみを他人の商標と比較することは許されない旨主張する。しかし、上記のとおり、本件要部は、その後に続く語が商品等の出所であることを示す英語の前置詞として我が国で広く用いられ、親しまれている「by」の後に配されていることによ り、独立して、商品等の出所を示すものとして、見る者の注意を引くように構成されているといい得るものである上、造語とも図形とも理解できる特徴的な形状を有し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる一方、本件商標の他の部分である「5252」「by」の部分は格別の識別力を有しないのであるから、本件要部だけを他人の商標と比較することは許されるというべきである。被 告の主張は採用することができない。 イ本件要部は、「O!Oi」の欧文字及び感嘆符を黒色のゴシック体にて同じ大きさ、等しい間隔で一連に横書きしてなるものである。また、本件要部からは、その構成文字に相応して「オーオイ」「オーオーアイ」の称呼を生じ得る。他方、これらの欧文字の配列は辞 色のゴシック体にて同じ大きさ、等しい間隔で一連に横書きしてなるものである。また、本件要部からは、その構成文字に相応して「オーオイ」「オーオーアイ」の称呼を生じ得る。他方、これらの欧文字の配列は辞書等に載録されている語等を構成するものではなく、上記の とおり生じ得る称呼からも特段の意味合いを見いだせないことからすれば、本件要部からは特定の観念を生じないものといえる。 ウ本件商標の指定商品は前記第2の1(1)のとおりであり、被服やかばん類等のファッション・アパレル関連商品や、携帯電話機用アクセサリー、ヘッドフォン、眼鏡等の一般消費者が身に付ける物が中心となっている。 (3) 引用商標3についてア引用商標のうち、引用商標3の構成は別紙2の3の「商標の構成」のとおりであり、赤色の丸ゴシック体にて同じ大きさ、等しい間隔で「OIOI」と書してなるものである。引用商標3からは、その構成文字に相応して「オーアイオーアイ」「オイオイ」の称呼を生じるほか、前記1に認定した事実関係によると、原告標章 は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、一般消費者を含むファッショ - 12 -ン・アパレル関係の取引者、需要者において著名な商標であったと認められるから、色彩のほかは原告標章と同一の構成を有する引用商標3からは、「マルイ」との称呼も生じ、「マルイのロゴマーク」との観念も生じるものと認められる。 イ引用商標3の指定商品には、被服やかばん類等のファッション・アパレル関連商品や、キーホルダーや眼鏡等の一般消費者が身に付ける物が含まれている。 (4) 本件商標と引用商標3の類否について本件要部からは特段の観念を生じないのに対して、引用商標3からは「マルイのロゴマーク」との観念を生じるので、両者の観念は同一とは が含まれている。 (4) 本件商標と引用商標3の類否について本件要部からは特段の観念を生じないのに対して、引用商標3からは「マルイのロゴマーク」との観念を生じるので、両者の観念は同一とはいい難い。 次に、本件要部からは「オーオイ」「オーオーアイ」の称呼を生じ得るのに対し、引用商標3からは「オーアイオーアイ」「オイオイ」及び「マルイ」の称呼を生じ得 るところ、本件要部に「!」が含まれていることの関係で厳密には称呼が異なるものの、多くの音を共通にしており、相応に類似しているというべきである。 また、両者の外観についてみると、本件要部及び引用商標3は、いずれもゴシック体にて四つの文字又は記号を書してなり、1字目と3字目はいずれも「O」で共通している。2字目は「!」と「I」、4字目は「i」と「I」と異なる文字又は記 号が使用されているが、いずれも1本の縦線又は1本の縦線とその延長線上にある点により構成される点において形状が類似している。加えて、各文字の字間を含めた配列も近似している。そうすると、両者の外観は、子細にみると異なる部分はあるが、時と場所とを異にする隔離的観察の下では、互いに相紛らわしいというべきである。 以上に加え、本件商標及び引用商標の各指定商品は、いずれもファッション・アパレル関連商品や一般消費者が身に付ける物であるから、その取引者、需要者には一般消費者が含まれるところ、本件要部からは特段の観念を生じず、本件要部及び引用商標3から生じ得る称呼は同一ではないが相応に類似している上、いずれも単一の確たる称呼が生じるといい難いことから、取引者、需要者にとってみれば称呼 が出所識別標識として決め手とはなりにくいとうかがわれること、一般消費者は、 - 13 -アパレル・ファッションや身に付 が生じるといい難いことから、取引者、需要者にとってみれば称呼 が出所識別標識として決め手とはなりにくいとうかがわれること、一般消費者は、 - 13 -アパレル・ファッションや身に付ける物の出所につき、主として対象商品やロゴマークの外観等に注目するとみられること等も総合すると、上記のとおり、引用商標3との関係で、称呼について相応に類似し、外観において互いに相紛らわしい本件要部を持つ本件商標は、その構成全体が引用商標3と同一ではないことを考慮しても、両商標が本件商標の各指定商品に使用された場合には、取引者、需要者が両者 の出所を見誤る可能性は否定できず、その商品の出所において誤認混同が生じるおそれがあるものと認められる。 したがって、本件商標は、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、その商品に係る取引の実情を踏まえて全体的に考察すると、引用商標3に類似する商標と認められる。 (5) 小括以上のとおり、本件商標は、引用商標3と類似するものである。 そして、前記(2)ウ及び(3)イのとおり、本件商標の指定商品は、被服やかばん類等のファッション・アパレル関連商品や、携帯電話機用アクセサリー、ヘッドフォン、眼鏡等の一般消費者が身に付ける物が中心であり、他方、引用商標3の指定商 品には、被服やかばん類等のファッション・アパレル関連商品、キーホルダーや眼鏡等の一般消費者が身に付ける物が含まれているのであるから、本件商標の指定商品と引用商標3の指定商品とは同一又は類似するといえる。 したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に該当するものと認められるから、これと異なる本件審決の判断は誤りであり、取消事由1には理由がある。 3 結論以上のとおり、原告主張の取消事由1には理由があるから、その 標法4条1項11号に該当するものと認められるから、これと異なる本件審決の判断は誤りであり、取消事由1には理由がある。 3 結論以上のとおり、原告主張の取消事由1には理由があるから、その余の取消事由について判断するまでもなく、本件審決は取り消されるべきである。 - 14 -知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官本多知成 裁判官遠山敦士 裁判官天野研司 - 15 -(別紙1)標章目録 以上 - 16 -(別紙2)引用商標目録 1 登録第1318603号商標(甲15。以下「引用商標1」という。)商標の構成: 登録出願日:昭和48年11月14日設定登録日:昭和53年1月10日書換登録日:平成20年6月25日商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(以下、この別紙において単に 「指定商品等」という。):第6類、第14類、第18類、第21類、第22類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載の商品 2 登録第1374613号商標(甲16。以下「引用商標2」という。)商標の構成: 登録出願日:昭和48年11月14日設定登録日:昭和54年2月27日書換登録日:平成21年4月30日指定商品等: 6。以下「引用商標2」という。)商標の構成: 登録出願日:昭和48年11月14日設定登録日:昭和54年2月27日書換登録日:平成21年4月30日指定商品等:第20類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載の商 品 - 17 - 3 登録第4640297号商標(甲17。以下「引用商標3」という。)商標の構成: 登録出願日:平成14年3月4日設定登録日:平成15年1月24日 指定商品等:第3類、第5類、第7類~第12類、第14類(「貴金属、キーホルダー、貴金属製食器類、貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ、貴金属製針箱、貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て、貴金属製宝石箱、貴金属製の花瓶及び水盤、記念カップ、記念たて、身飾品、貴金属製のがま口及び財布、宝 玉及びその原石並びに宝玉の模造品、貴金属製コンパクト、貴金属製靴飾り、時計、貴金属製喫煙用具」)~第16類、第18類(「かばん金具、がま口口金、皮革製包装用容器、愛玩動物用被服類、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、乗馬用具、皮革)、第20類~第22類、第24類、第25類(「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装 用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」)~第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務 4 登録第4864162号商標(甲18。以下「引用商標4」という。)商標の構成: 登録出願日:平成16年8月2日設定登録日:平成17年5月13日 - 18 -指定商品等:第14 商標(甲18。以下「引用商標4」という。)商標の構成: 登録出願日:平成16年8月2日設定登録日:平成17年5月13日 - 18 -指定商品等:第14類、第16類、第18類及び第24類に属する商標登録原簿に記載の商品 5 登録第4869207号商標(甲19。以下「引用商標5」という。)商標の構成: 登録出願日:平成16年8月2日設定登録日:平成17年6月3日指定商品等:第25類に属する商標登録原簿に記載の商品 6 登録第4887323号商標(甲20。以下「引用商標6」という。)商標の構成: 登録出願日:平成16年8月2日設定登録日:平成17年8月12日 指定商品等:第3類に属する商標登録原簿に記載の商品 7 登録第5156394号商標(甲21。以下「引用商標7」という。)商標の構成: 登録出願日:平成19年6月22日設定登録日:平成20年8月1日指定商品等:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務 - 19 - 8 登録第5185473号商標(甲22。以下「引用商標8」という。)商標の構成: 登録出願日:平成19年6月22日 設定登録日:平成20年12月5日指定商品等:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務 9 登録第5185475号商標(甲23。以下「引用商標9」という。)商標の構成: 登録出願日:平成19年6月22日設定登録日:平成20年12月5日指定商品等:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務 10 登録第5185476号商標(甲12。以下「引用商標10」 日:平成19年6月22日設定登録日:平成20年12月5日指定商品等:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務 10 登録第5185476号商標(甲12。以下「引用商標10」という。)商標の構成: 登録出願日:平成19年6月22日設定登録日:平成20年12月5日 - 20 -指定商品等:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務 11 登録第5427419号商標(甲24。以下「引用商標11」という。)商標の構成: 登録出願日:平成23年2月18日設定登録日:平成23年7月22日指定商品等:第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品又は役務 12 登録第5458511号商標(甲25。以下「引用商標12」という。)商標の構成: 登録出願日:平成23年7月19日設定登録日:平成23年12月16日 指定商品等:第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品又は役務以上

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