平成22(行ウ)29 道路廃止処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年7月25日 千葉地方裁判所
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判決文本文63,194 文字)

平成22年(行ウ)第29号道路廃止処分取消等請求事件令和7年7月25日千葉地方裁判所民事第3部判決口頭弁論終結日令和7年2月28日 主文 1⑴ 原告ら(原告A1、原告A2、原告A3、原告亡A4、原告亡A5及び原告亡A6を除く。)の被告成田市に対する請求に係る訴えをいずれも却下する。 ⑵ 原告A1、原告A2及び原告A3の被告成田市に対する請求のうち、別紙物件目録記載1及び2の各道路に係る用途廃止処分の取消しを求め る部分に係る訴えを却下する。 ⑶ 原告A1、原告A2及び原告A3の被告成田市に対するその余の請求をいずれも棄却する。 2 原告ら(原告亡A4、原告亡A5及び原告亡A6を除く。)の被告成田国際空港株式会社に対する請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、原告ら(原告亡A4、原告亡A5及び原告亡A6を除く。)の負担とする。 4 本件訴訟のうち、原告亡A4の請求に関する部分は平成24年1月7日に同原告が死亡したことにより、原告亡A5の請求に関する部分は平成25年12月21日に同原告が死亡したことにより、原告亡A6の請求に関 する部分は平成29年8月9日に同原告が死亡したことにより、それぞれ終了した。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 処分行政庁が平成22年3月19日付け成田市告示第44号をもってした別紙 物件目録記載1及び2の各道路に係る路線廃止処分を取り消す。 2 処分行政庁が平成22年5月20日の経過をもってした別紙物件目録記載1及び2の各道路に係る用途廃止処分を取り消す。 3 被告成田国際空港株式会社は、別紙物件目録記載1及び 消す。 2 処分行政庁が平成22年5月20日の経過をもってした別紙物件目録記載1及び2の各道路に係る用途廃止処分を取り消す。 3 被告成田国際空港株式会社は、別紙物件目録記載1及び2の各道路を原告らが通行することを妨げてはならない。 4 被告成田国際空港株式会社は、別紙物件目録記載1及び2の各道路上にある同 目録記載3及び4の工作物を収去せよ。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、原告らが、別紙物件目録記載1及び2の各土地(以下「本件道路」という。)について処分行政庁が平成22年3月19日付けでした路線廃止処分(以 下「本件路線廃止処分」という。)及び同年5月20日の経過をもってした用途廃止処分(以下「本件用途廃止処分」という。)は、道路法(平成23年5月2日法律第37号による改正前のもの。以下同じ。)10条1項の要件を満たさず、また、違憲無効であるなどと主張して、処分行政庁が属する被告成田市に対し、本件路線廃止処分及び本件用途廃止処分の取消し(以下、これらの取消訴訟を「本件取 消訴訟」という。)を求めるほか、本件道路に別紙物件目録記載3及び4の工作物を設置してこれを封鎖した被告成田国際空港株式会社(以下「被告空港会社」という。)に対し、原告らの人格的通行権等による妨害排除請求権に基づいて、本件道路の通行妨害の禁止及び本件道路上の工作物の収去を求める事案である。 2 関係法令等の定め 別紙関係法令等の定め記載のとおりである(同別紙中で定義した略称等は、以下の本文においても同様に用いることとする。)。 3 前提事実(証拠原因を記載しない事実は当事者間に争いがない。なお、証拠を摘示する場合には、特に記載のない限り、枝番を含むものとする。)⑴ 当事者 ア原告ら こととする。)。 3 前提事実(証拠原因を記載しない事実は当事者間に争いがない。なお、証拠を摘示する場合には、特に記載のない限り、枝番を含むものとする。)⑴ 当事者 ア原告ら 原告A1は、千葉県成田市(以下、単に「成田市」という。)(略)M63番に自宅を所有して居住するものであり、本件道路に隣接する同市(略)M40番、41番1、8の各土地(以下「M農地」という。)及び同市(略)T78番2の土地(以下「T農地」という。)等を耕作して、農業を営んでいる(甲9、10、101、乙12、原告A1本人)。 原告三里塚芝山連合空港反対同盟(以下「原告反対同盟」という。)は、昭和41年6月28日に発足した三里塚空港設置反対同盟及び同月30日に発足した三里塚空港設置反対芝山地区同盟が同年7月10日に連合して結成された権利能力なき社団であり、本件道路(別紙物件目録記載2の土地)に隣接する同目録記載6の土地上に、同目録記載7の建物及び附属建 物等(以下、併せて「本件団結小屋」という。)を所有していた。なお、原告ら(原告反対同盟を除く。)は、原告反対同盟の構成員である。 原告亡A4は、平成24年1月7日、死亡した。同原告の相続人であるA7、C1、A8及びC2は、同年3月25日、原告亡A4が有していた本件訴訟の原告たる地位の承継につき協議し、これをA8が承継すること に合意した。 原告亡A5は、平成25年12月21日、死亡した。同原告の相続人であるA3、A9及びC3は、令和7年2月24日、原告亡A5が有していた本件訴訟の原告たる地位の承継につき協議し、これをA9が承継することに合意した。 原告亡A6は、平成29年8月9日、死亡した。同原告の相続人であるA10、C4、C5及びC6は、令和7年2 本件訴訟の原告たる地位の承継につき協議し、これをA9が承継することに合意した。 原告亡A6は、平成29年8月9日、死亡した。同原告の相続人であるA10、C4、C5及びC6は、令和7年2月27日、原告亡A6が有していた本件訴訟の原告たる地位の承継につき協議し、これをA10が承継取得することに合意した。 イ被告ら 被告成田市は、本件道路を設置、維持及び管理をする地方公共団体であ る。 被告空港会社は、成田国際空港(以下「本件空港」という。)の設置及び管理を効率的に行うこと等により、航空輸送の利用者の利便の向上を図り、もって航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化に寄与することを目的とする株式会社である。 被告空港会社は、平成16年4月1日に施行された成田国際空港株式会社法により、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)の解散に伴い、公団の一切の権利及び義務を承継した(成田国際空港株式会社法附則12条1項参照)。 ⑵ 本件道路の沿革、利用状況(各項に掲げるもののほか、甲12、乙6、弁論 の全趣旨〔訴状〕)ア本件道路(全体延長1278m)は、昭和26年、当時の印旛郡Z村により、本件道路を含むEとFを結ぶ道路が村道として路線認定された。昭和29年、Z村が他の町村と合併をして被告成田市が成立し、本件道路を含むEとTを結ぶ道路は、昭和62年3月30日、被告成田市によって、市道(E T線)として路線認定された。 イ原告反対同盟は、昭和41年12月、本件空港の予定地の中央に位置するT部落の本件道路に隣接する土地に、本件空港の建設反対運動の拠点として、現地闘争本部とする建物(本件団結小屋。ただし、後記⑺のとおり、被告空港会社が申し立てた強制執 本件空港の予定地の中央に位置するT部落の本件道路に隣接する土地に、本件空港の建設反対運動の拠点として、現地闘争本部とする建物(本件団結小屋。ただし、後記⑺のとおり、被告空港会社が申し立てた強制執行により取り壊された。なお、登記簿上は、木造 亜鉛メッキ鋼板葺平家建となっている(甲11)。)を建設した。その頃から、本件道路を含むEとFを結ぶ道路は、原告反対同盟及びその構成員によって、「団結街道」と呼ばれるようになった。 もっとも、本件団結小屋については、平成2年より新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(現在の名称は、成田国際空港の安全確保に関する 緊急措置法(以下「成田新法」という。))3条6項に基づく封鎖措置がされ、 少なくとも平成22年まで、毎年、同法3条1項1号に基づく使用禁止命令が発出されていた。また、本件団結小屋は、周囲に鉄板が設置される等により、建物内に立ち入って使用することができず、建物自体も外部からは確認することができない状況となった。(丙3、6、弁論の全趣旨〔被告成田市準備書面⑴・11~12頁〕) ウ原告A1、祖父のC7及び父のC8は、M農地の耕作等のために、1日に何度も本件道路を利用していた。本件道路を利用した場合の原告A1宅からM農地までの直線距離は約500mである。また、原告らは、本件空港の建設反対運動の一環として、本件団結小屋へ通じる道路として本件道路を利用してきた。 エ原告反対同盟が原告A1の自宅前で本件道路の交通量調査を実施したところ、本件道路を往来する一般通行車両(空港警備車両と被告空港会社の工事関係車両を除く。)は、平成22年5月前半の1週間(同月6日から12日までの期間(午前7時から午後8時まで))の平均で1日に約120台であった。 そのうち、 通行車両(空港警備車両と被告空港会社の工事関係車両を除く。)は、平成22年5月前半の1週間(同月6日から12日までの期間(午前7時から午後8時まで))の平均で1日に約120台であった。 そのうち、A1家による通行は1日平均28.4台であり、それ以外の一般 の通行は1日平均91.7台である。(甲19)⑶ 原告A1の農地をめぐる訴訟(弁論の全趣旨〔被告空港会社準備書面⑴、⒂〕)ア公団は、昭和44年3月14日付けで、成田市(略)M40の土地(以下、「M40の土地」と呼称するように、原告A1が耕作している土地についてはそれぞれ地番で呼称する。)の所有権を取得した。被告空港会社は、公団の解散 に伴い、同土地の所有権を承継した。 また、被告空港会社は、昭和63年4月12日付けで、M41番1、41番8及び41番9の各土地の所有権を取得した。 イ M41番8、9の各土地については、公団と原告A1の父である亡C8との間で期間の定めのない賃貸借契約が成立していたところ、被告空港会社は、 これを解約したと主張して、賃貸借契約の終了に基づいて、原告A1に対し、 上記各土地等の明渡し等を求める訴訟を提起した(なお、M41番9の土地の明渡請求については、被告空港会社が同土地の占有を回復したことから、これを放棄した。)。同訴訟については、平成28年10月25日、上告棄却及び上告不受理の決定がされ、被告空港会社の請求を認容する旨の一審判決(以下「本件給付判決」という。)が確定した(後に、原告A1は、本件給 付判決の執行力の排除を求める請求異議の訴えを提起したが、令和3年6月8日、上告棄却及び上告不受理の決定がされ、原告A1の請求を棄却する旨の一審判決が確定した。)。 被告空港会社は、本件給付判決の確定を受けて、本件給 める請求異議の訴えを提起したが、令和3年6月8日、上告棄却及び上告不受理の決定がされ、原告A1の請求を棄却する旨の一審判決が確定した。)。 被告空港会社は、本件給付判決の確定を受けて、本件給付判決が明渡し等を命じた土地のうち、M41番8の土地を除くその余の土地(T農地)につ いて、強制執行を申し立て、令和5年2月15日、建物、工作物収去土地明渡しの強制執行がされた(ただし、M41番8の土地については、被告空港会社はその占有を回復していない。)。 なお、被告空港会社は、原告A1に対し、所有権による妨害排除請求権に基づいて、M40番及び41番1の各土地の一部(原告A1が耕作している 部分)の明渡しを求める訴訟を提起しており、同訴訟は、現在も控訴審において係属中である(当裁判所に顕著な事実)。 ⑷ 本件道路の路線廃止及び被告空港会社への払下げア本件道路の路線廃止については、道路法10条3項が準用する同法8条2項の規定により成田市議会に付議され、平成22年3月16日、同市議会に おいて可決された。そして、処分行政庁は、同月19日、道路法10条3項が準用する同法9条の規定に基づき、成田市公告式条例2条2項の規定により本件道路の路線廃止を公示し(告示期間は平成22年3月19日から同年5月20日まで)、本件道路に係る市道路線を廃止(本件路線廃止処分)するとともに、同年3月19日、県道G線から原告A1の自宅脇の72mについ て、T線として、道路法8条2項に基づいて、市道の路線として再認定をし た。(甲13、14、乙1)イ被告成田市は、本件道路について、道路法92条1項及び道路法施行令(平成30年9月28日号外政令第280号による改正前のもの。以下同じ。)38条に基づく不用物件管理期間(2か月)が 4、乙1)イ被告成田市は、本件道路について、道路法92条1項及び道路法施行令(平成30年9月28日号外政令第280号による改正前のもの。以下同じ。)38条に基づく不用物件管理期間(2か月)が満了したことにより、普通財産として、平成22年5月20日付けで、道路財産所管管理部長である土木 部長から普通財産所管管理部長である総務部長へ土地の所管替えをした(乙1)。 なお、原告らは、被告成田市が本件路線廃止処分の告示期間(平成22年3月19日から同年5月20日まで)の経過をもって本件道路を含む団結街道の用途を廃止したことが独立の処分(本件用途廃止処分)に当たるとして、 その取消しを求めるところ、本件用途廃止処分の有無については、後記のとおり争いがある。 ウ被告成田市は、平成22年5月20日、被告空港会社から本件道路の払下申請を受けたことから、株式会社H不動産鑑定事務所(以下「H鑑定事務所」という。)に対し、本件道路の不動産鑑定を依頼した。同社は、被告成田市に 対し、同月31日付けで、不動産鑑定に係る意見書(以下「本件鑑定意見書」という。)を提出した。本件鑑定意見書は、本件道路の価格を742万8000円とするものである。(甲15、乙1、9)エ被告成田市は、平成22年6月14日、被告空港会社との間で、本件道路を本件鑑定意見書に基づく金額(742万8000円)で払い下げる旨の土 地売買契約書を交わした。被告空港会社は、被告成田市に約定の売買代金を支払い、同月16日、本件道路について、同日付け売買を原因とする所有権移転登記を経由した。(甲16、丙8、9)⑸ 本件道路の封鎖ア被告空港会社は、平成22年5月17日、原告A1の居宅付近ほか2か所 に、「迂󠄀回のお願い 5月20日からは、この先が 有権移転登記を経由した。(甲16、丙8、9)⑸ 本件道路の封鎖ア被告空港会社は、平成22年5月17日、原告A1の居宅付近ほか2か所 に、「迂󠄀回のお願い 5月20日からは、この先が空港会社の私有地のため通 り抜けはご遠慮願います。今後は、下記迂󠄀回路をご利用願います。」などと記載した立て看板を設置した(甲17)。 イ被告空港会社は、平成22年6月28日、別紙図面1のA地点に別紙物件目録記載3の工作物(固定式工事用フェンス1か所及び移動式フェンス1か所)を、別紙図面1のB地点に同目録記載4の工作物(固定式工事用フェン ス1か所)をそれぞれ設置して、本件道路を封鎖した(丙1、弁論の全趣旨〔被告空港会社準備書面⑴・4~5頁、7~8頁〕)。 ⑹ 仮処分命令の申立て及び本件訴えの提起原告らは、平成22年7月1日、被告空港会社に対し、人格的通行権による妨害排除請求権等に基づいて、本件道路の通行妨害禁止の仮処分及び本件道路 上の工作物の収去の仮処分等を求める申立てをするとともに、同年9月1日、本件訴えを提起した。千葉地方裁判所は、平成23年2月10日、上記仮処分の申立てをいずれも却下した。(丙12、当裁判所に顕著な事実)⑺ 本件団結小屋の撤去被告空港会社は、原告反対同盟に対して、本件団結小屋の敷地(別紙物件目 録記載6の土地)の所有権に基づいて、本件団結小屋の撤去及びその敷地の明渡しを求める訴訟を提起した。原告反対同盟は、上記敷地について地上権ないし賃借権を有しており、また、被告空港会社の請求は権利濫用又は信義則違反に当たる旨の主張をしたが、千葉地方裁判所は、原告反対同盟の上記主張を採用せず、被告空港会社の請求を認容する旨の判決を言い渡した(ただし、仮執 行宣言は相当でないとし は権利濫用又は信義則違反に当たる旨の主張をしたが、千葉地方裁判所は、原告反対同盟の上記主張を採用せず、被告空港会社の請求を認容する旨の判決を言い渡した(ただし、仮執 行宣言は相当でないとして付さなかった。)。原告反対同盟は、同判決を不服として、控訴を提起したが、東京高等裁判所は、同控訴を棄却するとともに、被告空港会社の附帯控訴に基づいて、本件団結小屋の撤去及びその敷地の明渡しについて仮執行宣言を付する旨の判決を言い渡した。本件団結小屋は、平成23年8月6日、仮執行の宣言を付した同判決を債務名義とした強制執行手続に より撤去され、被告空港会社がその敷地の明渡しを受けた(なお、原告反対同 盟は、同判決を不服として、上告及び上告受理を申し立てたが、最高裁判所は、平成24年1月25日、上告棄却及び上告不受理の決定をし、同判決は確定した。)。(丙5、10、弁論の全趣旨〔被告空港会社準備書面⒂・3頁〕) 4 争点⑴ 死亡した原告らの訴訟承継の可否(争点1) ⑵ 本件取消訴訟についての原告適格(争点2)⑶ 本件路線廃止処分の違法性等(争点3)ア道路法10条1項違反(争点3-1)イ本件路線廃止処分の違憲、違法性(争点3-2)⑷ 本件用途廃止処分の有無及び違法性等(争点4) ア本件用途廃止処分の有無(争点4-1)イ本件用途廃止処分の違憲、違法性(争点4-2)⑸ 被告空港会社に対する妨害排除請求権の有無(争点5)ア原告らの人格的通行権又は憲法22条1項による通行権に基づく妨害排除請求権(争点5-1) イ原告A1の農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権(争点5-2)ウ不法行為に基づく妨害排除請求権(争点5-3)エ原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害 5-1) イ原告A1の農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権(争点5-2)ウ不法行為に基づく妨害排除請求権(争点5-3)エ原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権(争点5-4)オ T部落(原告A1)の所有権に基づく妨害排除請求権(争点5-5) カ地役権的入会権に基づく妨害排除請求権(争点5-6)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(死亡した原告らの訴訟承継の可否)⑴ 原告らの主張ア本件路線廃止処分及び本件用途廃止処分の各取消しを求める法律上の利益 は、原告らの人格的通行権に基づく妨害排除請求権、原告A1の農地賃借権 又は占有権に基づく妨害排除請求権、不法行為に基づく妨害排除請求権、原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権、原告らの憲法22条1項に基づく通行権を根拠とする妨害排除請求権、T部落(原告A1)の所有権に基づく妨害排除請求権、地役権的入会権に基づく妨害排除請求権であり、一身専属的なものではなく、当然に承継される。また、被告 空港会社に対する請求に関する法律上の利益も上記各妨害排除請求権であり、一身専属的なものとはいえない。 イ A8は、原告亡A4の相続人間で、本件訴訟の原告としての地位を承継する旨の合意をした。また、原告亡A4は、一坪共有地の名義人であり、本件道路の封鎖により一坪共有地に行くことができなくなるために本件訴訟を提 起したが、一坪共有地は、民法上の組合である「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合財産であり、同会は、会則に基づいて、A8を登記名義人とし、同人もこれを承諾した。したがって、A8は、原告亡A4を承継し、原告として訴訟手続の承継が認められるべきである。 ウ原 つ会」の組合財産であり、同会は、会則に基づいて、A8を登記名義人とし、同人もこれを承諾した。したがって、A8は、原告亡A4を承継し、原告として訴訟手続の承継が認められるべきである。 ウ原告亡A6の相続人は、A10、C4、C5及びC6であるところ、令和 7年2月27日、本件訴訟の原告たる地位の承継について協議した結果、相続人A10が承継することについて全員が合意したから、A10は、原告亡A6を承継し、原告として訴訟手続の承継が認められるべきである。 エ原告亡A5の相続人は、A3、A9及びC3であるところ、令和7年2月24日、本件訴訟の原告たる地位の承継について協議した結果、相続人A9 が承継することについて全員が合意したから、A9は、原告亡A5を承継し、原告として訴訟手続の承継が認められるべきである。 ⑵ 被告成田市の主張訴訟手続の受継とは、当事者適格の承継を意味するが、原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5については、原告適格が認められず、受継申立ての前提を 欠く。 また、原告適格が認められる法律上の利益が一身専属的なものである場合には、相続によって当然に承継されるものではない(最高裁判所平成9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁)。しかるところ、原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5が本件路線廃止処分等に関して原告適格があると主張する論拠は、いずれも一身専属的なものである。 したがって、承継の原因となった事実関係については争わないが、その承継については争う。 ⑶ 被告空港会社の主張一般公道を通行する権利は、道路を通行することによって、その通行者個々人に対して認められるものであって、一身専属的なものというべきであるから、 争う。 ⑶ 被告空港会社の主張一般公道を通行する権利は、道路を通行することによって、その通行者個々人に対して認められるものであって、一身専属的なものというべきであるから、 相続の対象とはなり得ず、受継は認められない(前掲平成9年最高裁判決)。 しかるところ、A8は、原告亡A4の産直野菜の共同出荷作業を承継したものではなく、原告反対同盟の本件団結小屋に対する占有も消滅しているから、本件団結小屋への通行もあり得ず、通行権の承継も考えられない。また、一坪共有地は、登記名義人の共有であり、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合 所有ではなく前提に誤りがあるし、同会は民法上の組合とは認められないから、原告亡A4からA8に対して委任の終了を原因とする共有持分権移転登記手続がされていても、A8が共有持分権を承継したとはいえない。この点については、原告亡A6及び原告亡A5についても同様である。 したがって、承継の原因となった事実関係は争わないが、承継については争 う。 2 争点2(本件取消訴訟についての原告適格)⑴ 原告らの主張ア道路法は、道路網の整備を図るために道路に関する事項等を定め、もって交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進することを目的としているところ(1 条)、これは単に道路網の整備を交通の発達への寄与という一般的公益として 保護しようとするにとどまらない。交通の発達は個々の道路利用者の通行の自由を含まずには決して観念し得ないことからすれば、市民が市道を通行する自由を個々人の個別的利益として保護すべき趣旨を含むものと解するべきである。 すなわち、道路法1条の「管理」、「保全」とは、住民による市道の利用が 妨げられないように管理、保全することであり る自由を個々人の個別的利益として保護すべき趣旨を含むものと解するべきである。 すなわち、道路法1条の「管理」、「保全」とは、住民による市道の利用が 妨げられないように管理、保全することであり、また、道路の破損等により交通が危険であると認められる場合や道路工事のためやむを得ないと認められる場合に、道路管理者が区間を定めて通行の禁止又は制限をすることができる旨の規定(46条)が設けられているのは、個々の通行者の通行の自由を前提として、その通行が危険な場合等に通行の制限を認めたものである。 道路法10条1項は、「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合において」、当該路線の全部又は一部を廃止することができる旨規定するが、「一般交通の用に供する必要」がある限り当該路線を廃止することができないということが路線廃止処分に当たって考慮されるべき利益であり、ここで実現しようとしている利益は、「一般交通の用」という観念的、抽象的なも のではなく、個々の道路利用者の通行の利便という実体的な内容を含むものと解するべきである。 イ原告A1は、本件道路に隣接して自宅(成田市(略)M63番地)と畑(T78番地、M41番ほか)を所有しており、更にそこから先(同市(略)I)にも畑を所有しており、日に何度も本件道路を行き来している。原告 A1は、原告亡A5、原告A3及び原告A2(以下、この3名を「原告A2ら」という。)、原告亡A4、原告A7及び原告A11(以下、この3名を「原告A4ら」という。)とともに、消費者への産地直送方式による農業経営を行っており、1年間を通して、約60種類もの多品目の野菜を栽培して出荷をしている。そのため、産直野菜の出荷日である火曜日と金曜日 の週2日、早朝から昼まで収穫作業を行うが、野菜 よる農業経営を行っており、1年間を通して、約60種類もの多品目の野菜を栽培して出荷をしている。そのため、産直野菜の出荷日である火曜日と金曜日 の週2日、早朝から昼まで収穫作業を行うが、野菜の鮮度を保つために、 1時間おきくらいに、畑から出荷した野菜を農作業場までトラクターや軽トラックで運搬している。また、出荷作業の後や出荷日以外には、野菜の種まき、植付けや草取り、その他畑の管理作業のため、頻繁に畑と自宅、出荷場の間をトラクターや軽トラックで往復している。夏等の日照りのときには、花植木センター前の原告A1所有の畑((略)J137番)の井戸 から水をくみ上げ、軽トラックに乗せたタンクに水を入れて運んで散水することが必要となるが、タンクの容量(500リットル)から、軽トラックの往復は十数回から20回に及ぶ。このように、原告A1の営農、生活と本件道路の通行は直結している。 また、A1家の墓地は、T部落の北側に隣接する成田市EK110番の E共同墓地内にあり、原告A1は、亡C8の月命日の毎月21日、8月の盆、春秋の彼岸には、墓参りに出かけており、そのために、従前は本件道路を使用していた。 原告反対同盟は、昭和41年12月、本件空港予定地の中央に位置するT部落に、本件空港建設反対運動の拠点として、現地闘争本部(本件団結 小屋)を建設した。これ以降、現地闘争本部は、原告反対同盟の事務所としてだけでなく、T部落の公民館的役割を持ち、本件空港反対運動の最も重要な闘争拠点となった。 本件団結小屋は、平成2年1月16日に運輸大臣(当時)によって封鎖措置が執られたために、現実の使用はできず、反対闘争の活動の場として の具体的活用こそはできなくなったけれども、確固たる心の砦として、闘争にお 平成2年1月16日に運輸大臣(当時)によって封鎖措置が執られたために、現実の使用はできず、反対闘争の活動の場として の具体的活用こそはできなくなったけれども、確固たる心の砦として、闘争において機能してきたのであり、本件道路により建物の前まで行くことは極めて重要な意味を持っている。 原告A1のM農地の北側約100mの位置に、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」(民法上の組合)が合有する成田市(略)M36番(甲58)の一 坪共有地がある。この一坪共有地は、上記会の一員である原告A1にとっ ても、極めて重要な土地であり、同土地に行くために、本件道路は必要不可欠である。 T部落では、遅くとも大正10年頃までに、同部落構成員の家庭用燃料、田畑の肥料、食料にするために、同部落内の山林、原野や同部落に隣接する県有林において、下木、下草や落ち葉を採取し、自然薯、キノコを採取 することが慣行として認められ、同慣行を実行するために本件道路を通行することも慣行として認められていた。この慣行は、民法上の地役権的入会権であり、その主体は実在的総合人たるT部落共同体であるが、それに基づく収益権能はT部落の構成員に帰属するものであるから、本件道路につき原告A1が使用の権利を有することは明らかである。 以上のとおり、原告A1は、生業である農業を毎日継続し、T部落の行事を継続し、人間的な日常生活を行うために、本件道路を毎日頻繁に通行してきた。これは直線で約500mある本件道路があって初めて可能となることである。このように、本件道路の通行は、原告A1の日常生活及び営農において必要不可欠であり、原告A1が本件道路を自由に通行する利 益は、「法律上保護された利益」に当たる。 ウ原告亡A である。このように、本件道路の通行は、原告A1の日常生活及び営農において必要不可欠であり、原告A1が本件道路を自由に通行する利 益は、「法律上保護された利益」に当たる。 ウ原告亡A5は、成田市Lに2反歩の田を所有し、原告A2らが耕作しているが、成田市Pに所在する同原告らの自宅からコンバインやバインダー等の機械を運搬したり、収穫した米や稲わらを運んだりするには、交通量も少なく距離も短い本件道路が適していたため、原告A2らは、本件道路を頻繁に 往復していた。 また、前記イのとおり、原告A2らは、原告A1及び原告A4らと産直野菜の共同出荷をしており、相互の畑での共同作業や消費者を招いての芋掘り大会等のため、M農地に行くために、本件道路を使用していた。 そのほか、前記イ及びのとおり、原告A2らも、原告反対同盟員とし て、本件道路を原告反対同盟所有の本件団結小屋への道路として使用してい たほか、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」組合員又はその家族として、一坪共有地に行くための道路として本件道路を使用していた。 このように、本件道路の通行は、原告A2らの営農や日常生活において必要不可欠であり、原告A2らが本件道路を自由に通行する利益は、「法律上保護された利益」に当たる。 エ前記イのとおり、原告A4らは、原告A1及び原告A2らと産直野菜の共同出荷をしているが、相互の畑での共同作業や消費者を招いての芋掘り大会等のため、M農地に行くために、本件道路を使用しており、また、生活道路として本件道路を使用していた。 また、前記イ及びのとおり、原告A4らも、原告反対同盟員として、 本件道路を原告反対同盟所有の本件団結小屋への道路として使用していたほか、「三里塚地区周辺に 路を使用していた。 また、前記イ及びのとおり、原告A4らも、原告反対同盟員として、 本件道路を原告反対同盟所有の本件団結小屋への道路として使用していたほか、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」組合員又はその家族として、本件道路を一坪共有地に行くための道路として使用していた。特に、原告亡A4及び原告A7は、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」に入会し、一坪共有地の登記名義人になっており、一坪共有地に行き、土地の現況を確認する必要があっ た。 このように、本件道路の通行は、原告A4らの営農や日常生活において必要不可欠であり、原告A4らが本件道路を自由に通行する利益は、「法律上保護された利益」に当たる。 オ原告反対同盟は、本件団結小屋の所有者であるが、同建物の底地である成 田市(略)M42番1ないし3に地上権又は賃借権を有し、これらの土地を適法に占有しており、本件道路の路線認定が廃止されれば、原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権の行使が阻害される。 したがって、原告反対同盟において本件道路の路線が維持される利益は、「法律上保護された利益」である。 カその余の原告らは、原告反対同盟員として、本件道路を原告反対同盟が所 有する本件団結小屋への道路として使用していたほか、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」組合員又はその家族、支援者として、本件道路を一坪共有地に行くための道路として使用してきていた。その余の原告らは、本件道路の周辺に居住していることから、原告A1のように「毎日」というレベルではないにせよ、本件道路は生活道路として必須である。 したがって、その余の原告らが本件道路を自由に通行する利益は、「法律上保護された利益」に当たる。 「毎日」というレベルではないにせよ、本件道路は生活道路として必須である。 したがって、その余の原告らが本件道路を自由に通行する利益は、「法律上保護された利益」に当たる。 キ以上によれば、原告らは、本件路線廃止処分等の取消しを求めることについて、原告適格を有する。 ⑵ 被告成田市の主張 ア処分の根拠となった行政実体法が一般的な公益を保護する趣旨のものと解される場合には、上記公益に包含される不特定多数者の利益に対する侵害は、単なる法の反射的利益の侵害にとどまるから、かかる利益の侵害を受けたにすぎない者は、原告適格を有しない。 しかるところ、路線廃止処分の根拠となった道路法には、私人の個別具体 的な道路通行権を保障する旨の直接かつ明確な規定は見当たらない。本件道路も、一般交通の用に供されることを目的として設置された公共施設であり、何人もその道路の用途に従って自由に使用することができるのであるから、本件道路を利用する利益は、国民一般の利益であって、本件道路の路線廃止処分を争う原告適格を基礎付けるものではない。 原告A1は、本件道路の南端の土地に居住し、M農地までの通路として本件道路を通行していたが、被告成田市が本件道路を廃止することになった平成22年3月に、原告A1がそのM農地に向かうための迂回路が整備されたこと等の事情からすれば、原告A1が従前有していた本件道路の通行に関する利益は、反射的利益以上のものではない。また、原告反対同盟は、本件道 路に隣接して本件団結小屋を所有していたが、同建物については平成2年よ り成田新法に基づく封鎖設置がされ、同法に基づく使用禁止命令が21回にわたって発出されていた上、被告空港会社が申し立てた強制執行により 団結小屋を所有していたが、同建物については平成2年よ り成田新法に基づく封鎖設置がされ、同法に基づく使用禁止命令が21回にわたって発出されていた上、被告空港会社が申し立てた強制執行により、本件団結小屋は収去されたことから、原告反対同盟及びその構成員は、本件団結小屋に行くために本件道路を利用していることを理由として、本件路線廃止処分を争う原告適格を有するものではない。 イ仮に、道路の利用が生活上不可欠である者に限っては、例外的に、その道路を廃止する処分を争う原告適格を有する場合があり得るとしても、原告A1は、本件道路の南端に土地を所有して居住し、居宅からM農地への通路として本件道路を利用していたが、本件道路の南側に代替道路として、FI線・F地内3号線等を使用する道路が昭和54年に整備されており、また、本件 道路の路線廃止処分に伴い、上記代替道路からM農地への進入路も平成22年3月20日から供用が開始されているから、原告A1は、本件道路を使用しなくても、居宅からM農地に到達することが可能になっている。原告A1が主張するように、夏の日照りの際に散水のための水を運搬するための往復が10回必要であったとしても、代替道路を通行することによる増加時間は、 1回当たり片道3分、往復で6分程度であり、10往復したとしてもその累積値は60分程度であって、本件道路の路線廃止処分に伴う不利益は軽減されているといえる。原告A1が有するその他の農地、墓地についても同様であり、原告A1にとって、本件道路の利用が生活上不可欠とはいえない。 次に、原告A2らが自宅から耕作している成田市Lの田まで行くためには、 本件道路を通るルート以外にも、N倉庫の前を通るルート、Fを右折してOホテルの裏を回る道があり、時間的にはFを右折する 次に、原告A2らが自宅から耕作している成田市Lの田まで行くためには、 本件道路を通るルート以外にも、N倉庫の前を通るルート、Fを右折してOホテルの裏を回る道があり、時間的にはFを右折するルートが最も早いというのであるから、本件路線廃止処分による原告A2らの不利益は大きくない。 また、原告A2らは、M農地に行く際に本件道路を使用していたと主張するが、M農地には本件道路を使用しなくても行くことができる上、産直野菜の 共同出荷は週1回行くかどうかという程度、芋掘り大会については更にその 頻度が少ないものと考えられる(この点は、原告A4らについても同じである。)。そうとすれば、原告A2ら及び原告A4らにとって、本件道路の利用が生活上不可欠であったとはいえない。 その余の原告らのうち、本件空港近傍に居住する者は、いずれも本件道路のほぼ中央の「への字」部分より直線距離にして約1500mから6400 mの位置に居住しており、日常的に本件道路を利用する必要がない。また、本件団結小屋は利用が不可能となっていることから、本件道路の利用が生活上不可欠なものであるとはいえない。 ウ以上によれば、原告らは、本件路線廃止処分の取消しを求めることについて、原告適格を有するものではない。 3 争点3-1(道路法10条1項違反)⑴ 原告らの主張ア道路法は、「都道府県知事又は市町村長は、都道府県道又は市町村道について、一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合においては、当該路線の全部又は一部を廃止することができる」(10条1項)として、「一 般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」であることをその要件としている。ここで、「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」とは とができる」(10条1項)として、「一 般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」であることをその要件としている。ここで、「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」とは、当該路線の機能が失われ、当該道路を一般交通の用に供する必要がなくなったと認められる場合であると解される。なお、被告成田市の道路行政上の法規運用基準及び運用例においては、市道の隣接住民が、 宅地又は農地等を所有し、賃貸し、又は農耕や生活のために市道を利用しているときは、廃道にすることができないとしてきた。 しかるに、本件道路における一般通行車両の実際をみると、平成22年5月前半の1週間平均で、空港の警備車両を除き、一般通行車両は1日に約120台往来しており、本件道路は、近隣の一般住民に必要不可欠な道 路となっている。また、原告A1は、農作業を行うために居宅と耕作して いる農地との間を1日に何回も往復しているし、T部落の行事を継続し、人間的な日常生活を行うために本件道路を毎日頻繁に通行しており、本件道路の通行を自由に行えないと、農業経営の継続も人間としての最低限度の日常的な生活を過ごすことも不可能となる。その余の原告らも、本件団結小屋(現地闘争本部)を間近に見て反対運動の精神的な支えを得、同建 物に必要な保守・管理の程度等を点検するために、徒歩や車両で繰り返し同本部前まで出向くなどしており、本件道路を頻繁に利用している。 これに対して、被告らが用意したとする「迂󠄀回路」は、原告A1の自宅から畑とは一旦逆方向に向かい、交通量の多い道路でヘアピンカーブさせられ、その先には信号もあるという危険で不便な道路である。距離もこれ までの3倍以上あり、1日に十数回も往復せざるを得ない原告A1にとって 逆方向に向かい、交通量の多い道路でヘアピンカーブさせられ、その先には信号もあるという危険で不便な道路である。距離もこれ までの3倍以上あり、1日に十数回も往復せざるを得ない原告A1にとってあまりにも不便で、「迂󠄀回路」として全く役に立たない道路だといわざるを得ない。 このように、本件道路は、本件路線廃止処分当時、一般交通の利用に供されていることからすれば、本件路線廃止処分は、道路法10条1項の要 件を満たしていない。 被告成田市は、道路法10条1項に基づく路線廃止処分の類型として、6類型(①市道の新設又は改良により旧路線が不要となる場合、②路線の見直し等により、起点若しくは終点又はそのいずれもが変更する場合、2以上の路線を合して1の路線とする場合又は1の路線を分割して2以上の 路線とする場合、③国道又は県道の新設又は改良により市道と重複することとなり、市道として引き続き存置する必要のない場合、④都市計画法、土地区画整理法又は土地改良法等の法令に基づく事業の施行に伴い、旧路線が不要となる場合、⑤公共事業等の公益上の目的のため必要な土地で、路線を廃止しても支障ないと判断できる場合、⑥行き止まり等道路ネット ワークの構成要素となっていない路線で、周辺地域又は沿道土地における 土地利用上の変化等により、路線を廃止しても支障がないと認められる場合)があるとし、本件路線廃止処分については、⑤の類型に属しており、一般的事例としては、あらかじめ事業区域の土地の権原を公共事業の施行者が取得済みであるか、取得が確実であると認められる場合に実施されるため、利害関係人は事業区域の周辺に限られ、被告成田市としては、現に 当該路線を使用している者の不利益を回避ないし緩和することを目的とした代替道路の整備に 確実であると認められる場合に実施されるため、利害関係人は事業区域の周辺に限られ、被告成田市としては、現に 当該路線を使用している者の不利益を回避ないし緩和することを目的とした代替道路の整備により、廃止する路線の付替えを行ったなどとして、本件路線廃止処分は適法である旨主張する。 しかし、⑤の類型は、「公共事業等の公益上の目的のために必要な土地で、路線を廃止しても支障なしと判断できる場合」という、単に公益優先をい うものにすぎず、しかも、その「公共事業」の内実を問わずに、公共事業でさえあれば一般交通の用に供しているか否かにかかわらず、支障がなければ廃止してしまうことを正当化する論理でしかなく(なお、西側誘導路の整備は、航空機騒音等の甚大な被害、誘導路建設による生活破壊、航空機事故による生命、身体の危険がある(航空法(令和2年6月24日号外 法律第61号による改正前のもの。以下同じ。)39条1項2号に違反する。)がゆえに違法であり、本件空港の運用実績からしても必要性はなく、公共性もない。)、また、⑤の類型の中に一般交通の用に供されていた市道を廃止した事例があるか否かを明らかにしておらず、廃止した路線区間の沿道住民が隣接土地を耕作していた事例はないことを認めている。 被告成田市の主張は、本件路線廃止処分について自ら定立した類型化でその合理性を説明することができておらず、当を得ない。 イまた、道路法は、同法10条1項により市町村道の路線の全部又は一部を廃止することができる場合においては、「あらかじめ当該市町村の議会の議決を経なければならない」と規定している(10条3項、8条2項)ことから すると、議会の議決を求める時点において、廃道の要件が充足されていなけ ればならな かじめ当該市町村の議会の議決を経なければならない」と規定している(10条3項、8条2項)ことから すると、議会の議決を求める時点において、廃道の要件が充足されていなけ ればならない。 被告成田市は、平成22年2月19日の市議会の本会議において、本件道路の路線廃止の議案を提案し、市議会は、同年3月16日に同議案を可決したが、同日時点では、M農地への機能補償道路は供用されておらず、原告A1には本件道路以外の代替手段がない状態であった(被告成田市によると、 機能補償道路は、同年3月9日に完成し、同月20日に実際に供用されたとのことである。被告成田市は、乙第30号証の写真を提出するが、同写真では、畑の手前にフェンスが設置されており、畑へ通行できる状態にはなかった。)。機能補償道路は、公道ではなく、被告空港会社の私有地内にあって、第三者が承諾なしに立ち入れば、建造物侵入罪に該当するおそれが多分にあ るため、被告空港会社が機能補償道路の供用を公にしない限り、これを使用することができない。しかし、被告成田市は、原告A1に対し、機能補償道路が供用開始される旨通知したこともなければ、被告空港会社に対し、原告A1への通知を促したことさえない。 そうすると、市議会の議決時点においては、廃道要件を充足していなかっ たといえるから、本件道路の路線廃止に関する市議会の議決は、道路法10条の趣旨からして無効である。 ウ加えて、本件路線廃止処分は、初めから本件空港の拡張のために被告空港会社に本件道路を払い下げるとの動機及び目的で遂行されたものであり、被告成田市による道路交通量の調査すらされていない。また、原告らを含む周 辺の地元住民の本件道路の通行の自由という基本的権利を侵害するものであるにもかかわらず、原告ら で遂行されたものであり、被告成田市による道路交通量の調査すらされていない。また、原告らを含む周 辺の地元住民の本件道路の通行の自由という基本的権利を侵害するものであるにもかかわらず、原告らはもとより、地元住民への説明会も開催しておらず、市議会に対しては、あたかも原告らの不利益が解消されるかのように報告し、適正な手続を履践していない。のみならず、本件路線廃止処分は、本件道路の一部トンネル化等の代替手段も検討することなく、一民間企業でし かない被告空港会社の便益しか考慮せずにされたものである。 このように、本件路線廃止処分は、意図と結果において不平等極まりないものであり、公益性を著しく欠如したものであるから、処分行政庁に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用してされたものであって、違法である。 エ以上のとおり、本件路線廃止処分は、道路法10条1項の「一般交通の用 に供する必要がなくなったと認める場合」に該当せず、また、市議会の議決時点において、廃道要件を充足していない違法がある。この点を措くとしても、本件路線廃止処分には、処分行政庁に与えられた裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるといえるから、本件路線廃止処分は違法であり、取り消されるべきである。 ⑵ 被告成田市の主張ア道路法10条1項の「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」は、規範的、評価的要素を含み、この要件から文理上当然に「誰もがその道路を利用しなくなった」ということを直ちに意味するものではなく、いまだ通行の用に供している者がいたとしても、当該路線について客 観的に一般交通の用に供するのに不適当な状況があり、その一方で、現に当該路線を使用している者の不利益について、これを回避ないし緩和できる の用に供している者がいたとしても、当該路線について客 観的に一般交通の用に供するのに不適当な状況があり、その一方で、現に当該路線を使用している者の不利益について、これを回避ないし緩和できる事情がある場合には、これらの事情を総合考慮して、当該路線について「一般交通の用に供する必要がなくなった」と判断しても、合理的な裁量の範囲を逸脱するものではない。 しかるところ、本件道路は、本件空港の計画敷地内に存在し、いずれ廃道手続を経て本件空港事業用地として利用されることになっていたこと、本件空港の機能拡大が希求される中、本件空港運用の安全性と効率性確保のために、「西側誘導路等着手」、「B誘導路改良」が必至であり、そのためにも本件道路の路線廃止の必要性が高まったこと、付替道路の整備が完了 し、沿道住民の耕作地への迂回道路を新たに確保していること(本件道路 の代替道路としては、一般交通車両については現在のFI線・F地内3号線(乙1の別添資料4添付の成田市道付替工事実施計画書の市道3号線)、原告A1についてはM農地への進入路)等の事情を総合的に考慮すれば、本件路線廃止処分は、道路法10条1項に違反するものではない。 なお、本件道路の廃止のための道路法10条1項の「一般交通の用に供 する必要がなくなった」という要件自体は、代替道路が整備された時点で、原告A1を除く一般交通に対しては充足されていた。本件道路は、本件道路に接する本件空港用地として必要な土地の一部について未買収地が存在していたために、路線廃止処分がされなかったものであるが、M農地への機能補償道路を整備し、原告A1住居及びT農地に接する部分を市道T線 として認定することにより、平成22年3月19日付けの「市道路線の認定に関する告示」(甲1 なかったものであるが、M農地への機能補償道路を整備し、原告A1住居及びT農地に接する部分を市道T線 として認定することにより、平成22年3月19日付けの「市道路線の認定に関する告示」(甲14)の時点で、原告A1に対する廃道要件も充足したものである(ただし、被告成田市は、道路法10条の廃道要件の充足を対人的に主張するものではなく、廃道要件の充足時期は、平成22年3月19日であると主張するものである〔第17回口頭弁論調書〕。)。本件路線 廃止処分は、本件空港運用の安全性と効率性確保のための西側誘導路整備の必要性が高まったことを受けて行われたものであるが、被告成田市は、路線廃止の時点を決定した事情としてこれを主張するものである。 イ原告らは、市議会の議決時点において、本件道路について廃道要件を充足していなかった旨主張するが、平成22年2月19日の成田市議会の提案時 においては、被告空港会社の同年1月20日付けET線の取扱い協議(乙1〔別添資料7〕)及び被告成田市の同年2月10日付け取扱い協議に対する回答(乙1〔別添資料9〕)により、機能補償道路に対する協議は完了していた。 また、議決が行われた同年3月16日の時点では、M農地への機能補償道路の工事は完了しており(乙30)、議会の議決時には本件路線廃止処分の実体 的要件は充足していた(なお、廃道要件の充足時期として被告成田市が主張 する同月19日は、廃止認定の告示(甲13、14)及び機能補償道路に対する覚書の締結(乙1〔別添資料10〕)という形式的要件が充足された日付けである。)。 ウなお、本件路線廃止処分について処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用がある旨の原告らの主張については争う。 エ以上によれば、本件路線廃止処分 れた日付けである。)。 ウなお、本件路線廃止処分について処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用がある旨の原告らの主張については争う。 エ以上によれば、本件路線廃止処分は、道路法10条1項に反するものではなく、また、その処分において処分行政庁に裁量権の逸脱又は濫用はないから、取り消されるべき違法はない。 4 争点3-2(本件路線廃止処分の違憲、違法性)⑴ 原告らの主張 ア本件路線廃止処分が原告らの基本的人権を侵害するものであること 私人の日常生活上必須の道路利用は、単なる反射的利益ではなく、憲法13条に基づく公道通行の自由権として保護されるべきである。 原告らの日常生活において本件道路を利用することは必須であり、原告らによる本件道路の通行権は、憲法13条により保護された権利である。 本件路線廃止処分は、憲法13条により保護された通行権を侵害するのみならず、移動の自由(憲法22条1項)の権利をも侵害するものであって、違憲、違法である。 原告A1は、毎日何回も本件道路を使用することによって農業を営み、自己の生計を維持しており、本件道路が廃止されれば、営農を継続するこ とが実質的に不可能になる。営農権は、憲法13条の幸福追求権を構成するものであり、また、「農業を営む権利」として、憲法22条1項が保障する職業選択の自由の側面を持つのみならず、営農には農地が必要であり、土地所有権又は小作権の保障が前提となるから、憲法29条1項による財産権の側面も有し、労働(勤労)権(憲法27条)としての側面も持って いる。営農は、人間の生存権を支える基礎であり、その制約に当たっては 慎重でなければならないから、職業遂行の自由(営業の自由)に対する制約 労)権(憲法27条)としての側面も持って いる。営農は、人間の生存権を支える基礎であり、その制約に当たっては 慎重でなければならないから、職業遂行の自由(営業の自由)に対する制約原理であるところの「積極目的に基づく明白性の基準」は妥当せず、必要最小限度の制約のみが許される。原告A1の営農権を侵害する本件路線廃止処分は、憲法13条、22条1項、27条、29条1項に違反するものであって、違憲、違法である。 また、被告空港会社の空港拡張、完全化政策は、篤農家である原告A1の農業維持を不可能ならしめるものである。本件路線廃止処分は、原告A1による「健康で文化的な生活を営む権利」を侵害するものであって、憲法25条に違反するものであり、また、原告A1の人間としての尊厳を冒すものであるから、憲法13条にも違反する違憲、違法なものである。 イ本件路線廃止処分は適正手続に反すること 里道(法定外公共用財産)の用途廃止手続には、隣地土地所有者及び区長等の同意が必要であり、市町村によっては、法定外公共物の用途廃止事務処理要領等において、用途廃止申請には、利害関係人や区長等の承諾書添付が義務付けられてきた。また、里道(法定外公共用財産)の市町村移 管後の取扱いに関する行政実務においても、例えば、千葉市や滋賀県湖南市、東京都小平市においては、利害関係人の用途廃止同意書が必要とされている。 被告成田市においては、同旨の事務取扱要領は定められていないが、占用許可申請の場合でも、利害関係人の同意書が必要とされており、当然、 被告成田市の運用上も、売却時に利害関係人の同意を得るものとされている。したがって、当該道路が隣接地の所有者や賃借人等の利害関係人に不可欠な道路であるよう の同意書が必要とされており、当然、 被告成田市の運用上も、売却時に利害関係人の同意を得るものとされている。したがって、当該道路が隣接地の所有者や賃借人等の利害関係人に不可欠な道路であるような場合には、用途廃止に法的な利害関係を有する隣地所有者や賃借人等の利害関係人の同意を得ることが必要である。 しかるに、被告成田市は、原告らを含む公衆が本件道路を利用しており、 とりわけ、原告A1が、本件道路を利用することにより農業を営んでいる ため、本件道路について極めて強い利害関係を有していることを熟知していたにもかかわらず、原告らに対して何らの同意を取り付けることなく、本件路線廃止処分を強行した。 被告成田市は、四者協議会において、誘導路等の整備、改良を了承したことから、整備用地に含まれる本件道路を廃止する必要性が高まったと主 張するが、西側誘導路の整備において本件道路が関係するのは100mにすぎず、B’誘導路(第一誘導路)のT地区とP地区の間を約140mトンネル化して県道の通行が確保されていることからすると、本件道路についても、同様のトンネル化の措置は十分に可能であって、本件道路の路線廃止の必要性はない。 このように、本件路線廃止処分は、何よりも地域住民の権利と利益を擁護しなければならない地方自治体が執るべき誠実公正な行政措置とは到底いい難く、憲法13条、31条に定める適正手続に違反するものであって、違法である。 ウ小括 以上のとおり、本件路線廃止処分は、種々の違憲な点があり、違法なものであるから、取り消されるべきである。 ⑵ 被告成田市の主張ア本件路線廃止処分が原告らの基本的人権を侵害するものであるとの点について 道路のような公物 あり、違法なものであるから、取り消されるべきである。 ⑵ 被告成田市の主張ア本件路線廃止処分が原告らの基本的人権を侵害するものであるとの点について 道路のような公物は、一般公衆の用に供することを目的とする公共施設であり、公物の自由使用は、公物が一般公衆の使用に供されている結果、その反射的利益としてこれを享受し得るにとどまり、権利としての使用権が国民に与えられているわけではない。 原告らは、本件道路の通行について、憲法上保護された権利を有していな いから、本件路線廃止処分について原告らが主張するような基本的人権侵害 は問題となり得ない。 イ本件路線廃止処分は適正手続に反するとの点について被告成田市は、道路法10条3項、8条2項で要求される「議会の議決」について、平成22年3月に成田市議会定例会に付議し、同月16日に可決を得た上で、同法10条3項、9条に基づき、成田市公告式条例2条2 項の規定により本件路線廃止処分を公示しており、法律及び条例に定められた手続を適正に履行しているから、本件路線廃止処分において適正手続違反はない。 道路法は、路線の廃止に当たって、利害関係人の同意を求めていない。 本件道路は道路法の適用のある法定公共物であって、道路法の適用のな い「法定外公共物」である里道等における用途廃止手続において利害関係人の同意が必要とされていることを前提とする原告らの主張は、その前提を欠く。 なお、被告成田市は、本件路線廃止処分を成田市議会に付議する前の平成22年2月3日、原告A1に対し、「市道ET線について」と題する文書 を手交し、その中で、本件道路の路線廃止を3月の定例議会に付議する予定であること、耕作地への代替道路を確保することを通知している。 2月3日、原告A1に対し、「市道ET線について」と題する文書 を手交し、その中で、本件道路の路線廃止を3月の定例議会に付議する予定であること、耕作地への代替道路を確保することを通知している。 原告らは、本件道路においてトンネル化が図られていれば、路線廃止をする必要はなかったのであるから、本件路線廃止処分は適正手続に反し、違法である旨主張する。 しかし、本件道路周辺の4つのトンネルのうち、Tトンネルについては、トンネル化の対象となった県道G線が県内の地域的な幹線道路であって、迂回道路を設置するのでは代替機能を満たすことができないことから、トンネル化が選択されたものである。また、Pトンネル、東側誘導路(第二誘導路)下トンネル、西側誘導路(第三誘導路)下トンネルについては、 沿線の住宅等が空港の誘導路、滑走路に囲まれており、迂回路の設置がで きないことから、トンネル化が選択されたものである。他方で、本件道路については、昭和45年4月30日付けの協定書に基づいて、本件道路の代替道路として、FI線・F地内3号線が整備されていたことに加え、M農地への機能補償道路を整備することにより、同農地へのアクセスが確保できることから、トンネル化の必要がないと判断するに至っているのであ り、この判断に違法はない。 ウ小括以上によれば、本件路線廃止処分については、適正手続違反を含め、原告らが主張するような違憲な点はなく、違法ではない。 5 争点4-1(本件用途廃止処分の有無) ⑴ 原告らの主張被告成田市は、路線廃止をした本件道路について、不用物件管理期間が満了したことにより、普通財産として、道路財産所管管理部長(土木部長)から普通財産所管管理部長(総務部長)に所管替え 告らの主張被告成田市は、路線廃止をした本件道路について、不用物件管理期間が満了したことにより、普通財産として、道路財産所管管理部長(土木部長)から普通財産所管管理部長(総務部長)に所管替えをし、用途を廃止したものであり、これは、本件路線廃止処分とは別の独立の処分(本件用途廃止処分)に当たる。 被告成田市は、改めて供用廃止処分を行う必要はない旨主張するが、本件道路について市道としての路線認定が廃止されたとしても、自動的に道路法上の道路でなくなるものではなく、本件路線廃止処分後に道路の用途廃止の効力を発生させるためには、新たに別途の適正な手続(処分)が必要となる。 ⑵ 被告成田市の主張 路線の廃止とは、その路線の対象となっている道路を廃道(道路ではないもの)とする行政処分であって、路線の廃止は道路自体の消滅を意味し、当該路線について定められていた道路の区域や当該道路についてされていた供用行為も自動的に消滅する。また、路線の廃止がされると、旧路線の道路区域は自動的に道路の区域でなくなり、道路としての供用も消滅するので、改めて区域の 廃止や供用の廃止の手続を執る必要はない。 路線の廃止が行われた場合には、これらの処分の中に供用の廃止の処分が含まれており、改めて供用廃止処分を行う必要はない(区域の変更等による廃道処分は、停止条件付用途廃止処分を意味し、不用物件管理期間満了により自動的に普通財産に切り替えられると解される。)。 6 争点4-2(本件用途廃止処分の違憲、違法性) ⑴ 原告らの主張前記4⑴イのとおり、当該道路が隣接地の所有者や賃借人等の利害関係人に不可欠な道路のような場合には、用途廃止に法的な利害関係を有する隣地の所有者や賃借人等の利害関係人の同意を得ることが必要であるが、本 4⑴イのとおり、当該道路が隣接地の所有者や賃借人等の利害関係人に不可欠な道路のような場合には、用途廃止に法的な利害関係を有する隣地の所有者や賃借人等の利害関係人の同意を得ることが必要であるが、本件用途廃止処分については、原告A1の同意は一切得られていない。 被告成田市は、沿道住民が隣接土地を耕作している場合には、路線廃止をしないという運用実務に反し、本件道路の路線廃止を強行したものであり、本件用途廃止処分は、憲法13条、31条が定める適正手続に違反するものであるから、取り消されるべきである。 ⑵ 被告成田市の主張 路線の廃止が行われた場合には、これらの処分の中に供用の廃止の処分が含まれており、改めて供用廃止処分を行う必要はないことは、前記5⑵のとおりであるから、本件用途廃止処分がされたことを前提とした原告らの主張は、その前提を欠く。 また、道路法に基づく路線の廃止に当たって、道路法は、利害関係人の同意 を求めていない。本件道路は道路法の適用のある法定公共物であって、道路法の適用のない「法定外公共物」である里道等における用途廃止手続において利害関係人の同意が必要とされていることとは前提が異なる。 したがって、原告らの主張は、いずれにせよ理由がない。 7 争点5-1(原告らの人格的通行権又は憲法22条1項による通行権に基づく 妨害排除請求権) ⑴ 原告らの主張私人の日常生活必須の道路利用は、単なる反射的利益にすぎないものではなく、憲法13条に基づく公道通行の自由権として保護されるべきである。原告らは、本件道路について日常生活上必須の利用をしており、本件道路について人格的通行権を有している。 また、憲法22条1項は移動の自由を保障しており、移動の自 権として保護されるべきである。原告らは、本件道路について日常生活上必須の利用をしており、本件道路について人格的通行権を有している。 また、憲法22条1項は移動の自由を保障しており、移動の自由は単に経済的自由としての側面のみならず、人身の自由、表現の自由と密接不可分な関係にある。 原告らは、被告空港会社による本件道路の封鎖によって、人格的通行権又は憲法22条1項による本件道路の通行権を侵害されているから、当該通行権に 基づく妨害排除請求権を有する。 ⑵ 被告空港会社の主張原告A1の耕作地の占有権原の存否にかかわらず、原告A1の居宅から耕作地への通路についての代替措置が講じられている。また、本件団結小屋に対しては、成田新法による使用禁止命令が発出されており、原告らが本件団結小屋 を利用する利益を保護すべき必要はなく、同法による封鎖措置により建物として全く使用できない状況にある。 被告空港会社による本件道路の封鎖によって原告らの使用収益が妨げられているといった事情はないから、本件道路の通行権に基づく妨害排除請求権は認められない。 8 争点5-2(原告A1の農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権)⑴ 原告A1の主張原告A1は、M農地等において農作業を行うために、本件道路を1日何回も往復しており、本件道路を自由に通行することは原告A1の農業経営に必須であり、その自由な通行は農地賃借権の行使と不可分一体である。 被告空港会社による本件道路の封鎖は、原告A1の耕作権を侵害し、M農地 等に対する農地賃借権又は占有権を侵害するものであるから、原告A1は、農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権を有する。 ⑵ 被告空港会社の主張前記7⑵のとおり、原告A1の耕作地の占有権原の に対する農地賃借権又は占有権を侵害するものであるから、原告A1は、農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権を有する。 ⑵ 被告空港会社の主張前記7⑵のとおり、原告A1の耕作地の占有権原の存否にかかわらず、原告A1の居宅から耕作地への通路についての代替措置が講じられていることから すると、原告A1が主張する農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権は認められない。 9 争点5-3(不法行為に基づく妨害排除請求権)⑴ 原告らの主張原告らは、本件道路について、私法上保護される公道交通の自由権を有して いる。被告空港会社は、本件路線廃止処分が道路法10条1項の要件を欠くこと等により違憲、違法であり、被告空港会社に対する本件道路の払下げも違憲、違法であることを知りながら、本件道路を封鎖し、原告らの本件道路の通行権を侵害したものである。 このように、被告空港会社による本件道路の封鎖措置は不法行為に該当する ものであるから、原告らは、被告空港会社に対し、不法行為による妨害排除請求権を有する(最高裁判所昭和39年1月16日第一小法廷判決・民集18巻1号1頁参照)。 ⑵ 被告空港会社の主張被告空港会社による本件道路の封鎖によって原告らの使用収益が妨げられて いるといった事情はないことは、前記7⑵のとおりである。なお、不法行為の効果は損害賠償請求権の発生にとどまるのが原則であり、妨害排除請求権が発生するのは、名誉毀損のように特に規定(民法723条)がある場合に限られるのであって、この点からも、原告らの主張は失当である。 10 争点5-4(原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求 権) ⑴ 原告反対同盟の主張原告反対同盟は、本件団結小屋(T現地闘争本部) 失当である。 10 争点5-4(原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求 権) ⑴ 原告反対同盟の主張原告反対同盟は、本件団結小屋(T現地闘争本部)の底地である別紙物件目録記載6の土地(本件団結小屋)につき、地上権、賃借権又は占有権を有している。 被告空港会社による本件道路の封鎖は、原告反対同盟のこれらの権利を妨害 するものであるから、原告反対同盟は、被告空港会社に対して、本件団結小屋の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権を有する。 ⑵ 被告空港会社の主張前記7⑵のとおり、原告反対同盟については、本件団結小屋に対して成田新法による使用禁止命令が発出されていること、同法による封鎖措置により建物 として全く使用できない状態であること等からすれば、原告反対同盟が主張する地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権は認められない。 11 争点5-5(T部落(原告A1)の所有権に基づく妨害排除請求権)⑴ 原告らの主張ア遅くとも大正10年頃までに、原告A1のA1家を含む23戸から成るT 部落が形成された。T部落は、昭和2年、宮内省帝室林野局から、本件道路を含む同部落内の全道路の敷地所有権の払下げを受け、本件道路の敷地所有権を取得した。T部落を代表する原告A1は、被告空港会社に対し、本件道路の所有権に基づいて、妨害排除請求権を有する。 これに対して、被告空港会社は、本件道路の所有権については、国から被 告成田市、被告成田市から被告空港会社に順次移転している旨主張するが、本件道路は、いわゆる赤道であって、平成22年3月30日付けで被告成田市が所有権保存登記をするまでは無番地であった。本件道路が国有財産であったという根拠はなく、被 社に順次移転している旨主張するが、本件道路は、いわゆる赤道であって、平成22年3月30日付けで被告成田市が所有権保存登記をするまでは無番地であった。本件道路が国有財産であったという根拠はなく、被告成田市による上記保存登記は無効である。 イ仮に、被告成田市が国から本件道路の所有権を譲り受けたとしても、被告 成田市による被告空港会社に対する本件道路の払下げ(以下「本件払下げ」 という。)は、違法であり、無効である。 すなわち、本件払下げは、本件路線廃止処分を前提としたものであるが、本件路線廃止処分が違憲又は違法であることは、前記3⑴及び4⑴で主張したとおりであるから、本件払下げも当然に違法である。また、本件払下げは、随意契約によるものであるが、随意契約によることができる場合を定めた地 方自治法施行令(平成23年8月5日政令第252号による改正前のもの。 以下同じ。)167条の2のいずれの事由にも該当しない。のみならず、本件払下げは、著しく低廉な価格で売却している(本件不動産鑑定意見書は、不動産評価基準に則っておらず、本件道路から数㎞離れた市街化調整区域の土地を比準価格の対象地とし、個別格差率-80%とする私道減価を適用して おり、意図的に格安の評価を作出している。不動産鑑定評価基準に則って鑑定すると、M40番の土地は1㎡当たり7万5000円を下らず、被告成田市は、本件道路を適正価格の3.7%で売却している。)。 このように、被告成田市による本件払下げは違法無効なものであるから、T部落を代表する原告A1は、本件道路の所有権移転登記をなくして、被告 空港会社に対して、本件道路の所有権を主張することができる。 ⑵ 被告空港会社の主張ア本件道路は、平成16年4月1日付 る原告A1は、本件道路の所有権移転登記をなくして、被告 空港会社に対して、本件道路の所有権を主張することができる。 ⑵ 被告空港会社の主張ア本件道路は、平成16年4月1日付けで国及び被告成田市間で締結された国有財産譲与契約書(丙11)に記載されているとおり、同日付けで道路法90条2項に基づいて、国から被告成田市に譲与されたのであり、同 契約が締結されるまでの間、本件道路が国有財産であったことは明らかである。そして、本件道路については、平成22年3月30日付けで被告成田市名義の所有権保存登記がされ、同年6月14日付けで被告空港会社に払い下げられ(本件払下げ)、同月16日付けで被告空港会社への所有権移転登記がされた。 原告らは、甲第29号証等の書証を提出した上で、昭和2年に宮内省帝 室林野局からT部落に本件道路の敷地が払い下げられ、同部落が現在においても本件道路の所有権を有している旨主張する。 しかし、宮内省帝室林野局からT部落に本件道路が払い下げられたのであれば、土地売買契約書の類の文書が存在するはずであるが、原告らからはそのような書類は一切提出されていない。T部落が昭和2年に宮内省帝 室林野局から本件道路を含む同部落内の全道路の敷地所有権の払下げを受けたことを前提とする原告らの主張は理由がない。 イ原告らは、前記⑴イのとおり、本件払下げは違法無効である旨主張するが、本件払下げは、地方自治法施行令167条の2第1項2号に規定する「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するものであっ て、随意契約の方法によったことについて違法な点はなく、また、被告成田市は、本件道路の払下げに際して、不動産鑑定士の作成した不動産価格意見書(本件鑑定意見書)に基 とき」に該当するものであっ て、随意契約の方法によったことについて違法な点はなく、また、被告成田市は、本件道路の払下げに際して、不動産鑑定士の作成した不動産価格意見書(本件鑑定意見書)に基づき払下げ価格を決定し、地方自治法238条の5第1項及び成田市財務規則171条1項の規定により本件道路の払下げを行った。 本件鑑定意見書における価格は、対象不動産の現況を所与とした価格であって、合理的な市場で形成される市場価値を表示した価格である。また、対象不動産は、現況がアスファルト舗装された道路敷地であり、帯状の画地形状等から、単独では建物建築等による有効利用が困難なため、周辺宅地等に比べてその市場価値は極めて低いものであり、国土交通省監修の土地価格比 準表等に基づき、私道減価として80%の減価率を採用したものである。本件鑑定意見書の価格に原告らが指摘するような問題はなく、本件道路の価格は適正である。 したがって、被告空港会社は、被告成田市による有効な本件払下げによって本件道路の所有権を取得したものであり、原告らの主張は理由がない。 12 争点5-6(地役権的入会権に基づく妨害排除請求権) ⑴ 原告A1の主張遅くとも大正10年頃までに形成されたT部落では、部落構成員の家庭用燃料、田畑の肥料や食料にするために、同部落の山林や原野、同部落に隣接する県有林において、下木、下草や落ち葉を採取し、自然薯、キノコを採取することが慣行として認められていたし、同慣行を実行するための「入会道」として 本件道路を通行することも慣行として認められていた。また、昭和2年にT部落の土地が宮内省帝室林野局から同部落に対して払い下げられて以降、同部落では、本件道路を含むT部落内の全道路について、毎年2回 本件道路を通行することも慣行として認められていた。また、昭和2年にT部落の土地が宮内省帝室林野局から同部落に対して払い下げられて以降、同部落では、本件道路を含むT部落内の全道路について、毎年2回、部落内の全戸の参加により、砂利引き、草刈り等の道普請を行って管理してきた。こうしたT部落が有する慣行は、民法上の地役権的入会権に該当する。 昭和29年頃、被告成田市によって本件道路が市道に路線認定されたが、本件道路に関しては、その後も被告空港会社による封鎖まで、T部落がその維持管理を行っており、地役権的入会権を引き続き有している。そして、原告A1がT部落を代表しているから、原告A1は、本件道路について、被告空港会社に対して、地役権的入会権に基づく妨害排除請求権を有する。 ⑵ 被告空港会社の主張ア入会権が成立するためには、少なくとも、入会集団の存在、入会地における使用収益等に関する入会集団の共同体的統制の存在が必要であると解される(最高裁判所昭和57年1月22日第二小法廷判決・裁判集民事135号83頁ほか)。 仮に、本件道路について、原告A1の主張するような道路としての使用がされ、かつ、構成員による山林や原野等における下木や落ち葉等の採取等について、各構成員間の山林や原野等の使用の調整等を行う必要性から、共同体的統制が存在し得るとしても、山林や原野等に通ずる道路を通行することについてまで、共同体的統制が存在していたとはいえない。また、その後、 本件道路は、路線認定がされ、道路法上の道路として長期にわたり一般的な 通行の用に供され、Z村及び被告成田市によって管理されてきたことからすると、原告A1が主張する入会権も既に消滅したというべきである。 イ原告A1は、甲第32号証、第39 一般的な 通行の用に供され、Z村及び被告成田市によって管理されてきたことからすると、原告A1が主張する入会権も既に消滅したというべきである。 イ原告A1は、甲第32号証、第39号証等を書証として提出した上で、本件道路周辺にQ牧周辺のR村及びT部落の地役権的入会権が存在し、本件道路が「入会道」として利用されていた旨主張するが、これらの書証からは本 件道路が原告A1の主張する位置に所在するのか判然とせず、仮に、本件道路が原告A1の主張する位置に所在していたとしても、甲第41号証等の図面によれば、本件道路は周辺地域を結ぶ幹線道路の一部として一般の通行の用に供されていたとうかがわれるから、本件道路の利用に関して共同体的統制が存在していたとはいえない。 ウ以上のとおり、本件道路について地役権的入会権が存在していたとはいえず、仮に、地役権的入会権があったとしても、本件道路の本件払下げ当時にはそのような権利は既に消滅していたといえるから、本件道路について地役権的入会権があることを前提とした原告A1の主張は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実、証拠(各項末尾に掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 本件路線廃止処分及びその経緯等(各項に掲げるもののほか、乙1、16、21、28、29、丙1、証人D1、証人D2、被告成田市代表者) ア本件道路(全体延長1278m)は、昭和26年、当時の印旛郡Z村により、本件道路を含むEとFを結ぶ道路が村道として路線認定された(昭和62年3月30日、本件道路を含むEとTを結ぶ道路は、被告成田市によって市道(ET路線)として認定された。)(前記前提事実⑵ア)。 イ本件空港(当時の新東京国 村道として路線認定された(昭和62年3月30日、本件道路を含むEとTを結ぶ道路は、被告成田市によって市道(ET路線)として認定された。)(前記前提事実⑵ア)。 イ本件空港(当時の新東京国際空港)は、昭和41年7月4日、新東京国際 空港の位置及び規模についての閣議決定を受け、昭和42年1月23日、航 空法に基づく運輸大臣(当時)の工事実施計画の認可を受けて、建設に向けた着手がされた。 本件道路は、認可を受けた本件空港の事業用地内にあり、本件空港の事業用地内にある成田市道については、昭和45年4月30日付けで、当時の成田市長と公団の総裁との間で、公共補償に係る機能回復を行うため、道路法 22条に規定する命令に基づく施行命令により、本件空港の事業用地外に別途代替の市道を整備した上で旧市道を廃止することとして、付替道路工事の施行に関する基本事項についての協定書が締結された(乙1〔別添資料4〕、2、丙19)。その後、同協定書に基づいて、本件道路の代替道路として、FI線・F地内3号線が整備されたが、本件道路に接する本件空港用地として 必要な土地の一部について未買収地が存在していたため、本件道路は、代替道路が完成した後も、廃止処分がされていなかった(乙1〔別添資料7〕参照)。 ウ本件道路は、国有財産(法定外公共物)であり、被告成田市が国から機能管理事務を委任されてきたが、地方分権の推進を図るための関係法律の整備 に関する法律(いわゆる地方分権一括法)が平成12年4月1日に施行されたことに伴い、被告成田市は、平成15年12月25日付けで、国に対し、国有財産譲与申請書により本件道路の譲与を申請し、本件道路は、平成16年4月1日、道路法90条2項に基づいて、被告成田市に無償で譲与された(丙 告成田市は、平成15年12月25日付けで、国に対し、国有財産譲与申請書により本件道路の譲与を申請し、本件道路は、平成16年4月1日、道路法90条2項に基づいて、被告成田市に無償で譲与された(丙11)。 エ平成21年1月23日、国、千葉県、本件空港周辺の9市町(被告成田市、富里市、山武市、香取市、多古町、芝山町、横芝光町、栄町、神崎町)及び被告空港会社から構成される四者協議会が開催され、「成田空港の更なる容量拡大の検討に当たっての確認書」が締結された(乙1〔別添資料5〕)。国は、同年3月31日、首都圏の拠点空港(東京国際空港(羽田空港)及び本件空 港)については、旺盛な航空需要に着実に対応していくため、羽田空港再拡 張事業及び成田空港北伸事業を推進するとともに、両空港の更なる容量拡大に向けて、管制、機材、環境、施設等のあらゆる角度から、可能な限りの施策の検討を進めるなどとする社会資本整備重点計画を閣議決定した(乙1〔別添資料6〕)。 もっとも、本件空港のB滑走路においては、航空機の誘導経路がB滑走路 や着陸用無線電波の前面を横断することにより、B滑走路を使用する航空機の離着陸に制約が生じ、また、B誘導路の一部がへの字に湾曲していることにより、航空機がB滑走路を離着陸中は他の航空機は湾曲部に進入できないなどの制約があり、B滑走路の安全性、効率性を高めるためには、西側誘導路の整備が必要であった(乙1〔別添資料3〕参照)。このため、平成21年 7月29日の四者協議会において、被告空港会社は、「空港容量拡大に向けた課題への対応」として西側誘導路の整備が必要であることについて説明し、四者(国、千葉県、本件空港周辺の9市町)で了承された(乙1、14、24)。 オ本件空港の西側誘導路の整備に当 に向けた課題への対応」として西側誘導路の整備が必要であることについて説明し、四者(国、千葉県、本件空港周辺の9市町)で了承された(乙1、14、24)。 オ本件空港の西側誘導路の整備に当たり、その用地として成田市道ET線(本 件道路)が必要になるため、被告空港会社は、平成22年1月20日付けで、被告成田市に対し、本件道路については、既に付替道路(FI線・F地内3号線)の整備が完了していること、被告空港会社で沿道住民のアクセス確保のための機能補償道路を整備することを前提に、本件道路(一部区間を除く。)の廃止についての協議を申し入れた(乙1〔別添資料7〕)。 被告成田市は、被告空港会社からの協議の申入れを受けて、平成22年1月、同年3月に開催される成田市議会定例会にET線(本件道路)の廃止及びT線(廃止するET線に代わり空港反対派住民(具体的には原告A1)の居宅がある箇所の72m区間)の認定を提案することを決定した。なお、同決定は、警備等や事前の反対派住民への説明時期等の調整もあり、通常の手 続を踏む時間的余裕がないとして、書面による庁議によりされたものであ る。(乙19、20)カ被告成田市は、平成22年2月3日付けで、原告A1に対し、本件道路の廃止について、同年3月に開催される定例市議会に付議する予定であること等を記載した文書のほか、居宅からM農地までの代替道路及び被告空港会社が新たに設置する道路を使用したときの経路(迂回ルート)について説明し た図面を交付した(乙1〔別添資料8〕、18)。 キ被告成田市は、被告空港会社からあった平成22年1月20日付けの協議の申入れについて、同年2月10日付けで、被告空港会社に対し、本件道路の認定廃止については、議会の議決を必 〕、18)。 キ被告成田市は、被告空港会社からあった平成22年1月20日付けの協議の申入れについて、同年2月10日付けで、被告空港会社に対し、本件道路の認定廃止については、議会の議決を必要とすることから、その条件が整い次第、成田市議会に付議すること、沿道住民のアクセス確保のための機能補 償道路について別途覚書を締結し、その道路の良好な管理に努める旨の回答をした(乙1〔別添資料9〕)。 ク本件道路の路線廃止については、平成22年3月16日、成田市議会において可決された。そして、同月19日、本件道路の廃止については、成田市公告式条例2条2項の規定により公示がされ、同日をもって本件道路は廃止 となった(本件路線廃止処分)。同時に、県道G線から原告A1宅脇の72mについては、T線として、道路法8条2項の規定により再認定され、告示(成田市告示第45号)がされた。(甲13、14、乙4の3、丙2)ケ被告成田市は、平成22年3月19日付けで、 被告空港会社との間で、被告空港会社が本件道路の路線廃止に伴う機能補償として、成田市道FI線か らM農地までの代替道路及び代替通路(以下、M農地までの代替道路及び代替通路を略して「本件耕作地進入路」ということがある。)を整備、確保するとともに、被告成田市が代替道路を、被告空港会社が代替通路をそれぞれ管理することにより、FI線からM農地への通行を確保することを目的とした覚書を締結した(乙1〔別添資料10〕、8)。なお、上記代替道路及び代替 通路は、遅くとも同月9日には完成しており(乙30)、同月20日から供用 が開始された。 コ被告空港会社は、平成22年4月2日、西側誘導路等を設置するため、本件空港施設の変更許可申請をし、国(国土交通大臣)は 成しており(乙30)、同月20日から供用 が開始された。 コ被告空港会社は、平成22年4月2日、西側誘導路等を設置するため、本件空港施設の変更許可申請をし、国(国土交通大臣)は、同年6月30日、同変更を許可する旨の処分をした(甲276)。 ⑵ 被告空港会社に対する本件道路の払下げ(本件払下げ)等 ア本件道路は、道路法92条1項及び道路法施行令38条に基づく不用物件管理期間(2か月)が満了したことにより、平成22年5月20日付けで、普通財産として、道路財産所管管理部長である土木部長から普通財産所管管理部長である総務部長に対し、所管替えがされた(乙1〔別添資料11〕)。 イ被告空港会社は、平成22年5月20日付けで、被告成田市に対し、本件 道路の売払申請をした。被告成田市は、これを受けて、不動産鑑定評価を行い、H鑑定事務所が作成した本件鑑定意見書に基づき、売却価格を742万8000円と決定して、地方自治法238条の5第1項の規定及び成田市財務規則171条1項の規定により、同年6月14日付けで、被告空港会社との間で、本件道路に関する売買契約を締結した。(甲15、16、乙1) 被告空港会社は、平成22年6月16日、同日付け売買を原因として、本件道路についての所有権移転登記を経由した(丙8、9)。 ウ被告空港会社は、平成22年6月28日、別紙図面1のA地点に別紙物件目録記載3の工作物を、別紙図面1のB地点に同目録記載4の工作物をそれぞれ設置して、本件道路を封鎖した(前記前提事実⑸イ)。 エ原告反対同盟が原告A1の自宅前で本件道路の交通量調査を実施した結果、本件道路を往来する一般通行車両(空港警備車両と被告空港会社の工事関係車両を除く。)は、本件道路 事実⑸イ)。 エ原告反対同盟が原告A1の自宅前で本件道路の交通量調査を実施した結果、本件道路を往来する一般通行車両(空港警備車両と被告空港会社の工事関係車両を除く。)は、本件道路が封鎖される直前の平成22年5月前半の1週間(同月6日から12日までの期間(午前7時から午後8時まで))の平均で1日に約120台であった。そのうち、A1家による通行は1日平均28. 4台であり、それ以外の一般の通行は1日平均91.7台である。(前記前提 事実⑵エ)⑶ 原告A1による本件道路の利用状況等(各項に掲げるもののほか、甲25、72、101、278、乙12、13、原告A1本人)ア原告A1は、本件道路の南端付近に残された本件道路の西側隣接地である成田市(略)M63番に自宅の土地及び建物を所有して居住するもので ある。原告A1は、本件道路に隣接する同市(略)M40番、41番1、8の各土地(M農地)及び本件道路の東側隣接地である同市(略)T78番2の土地(T農地)等を耕作して生計を立てており、農作業のために、自宅とこれらの農地との間を1日に何度も往復していた。 また、原告A1は、原告A2とともに、消費者への産地直送方式による 農業経営を行っており、1年間を通して、多品目の野菜を栽培し、出荷していた。原告A1らは、産直野菜の出荷日(火曜日及び金曜日)には早朝から昼まで収穫作業を行っており、約1時間おきに、トラクターや軽トラックを用いて、畑から収穫した野菜を農作業場まで運搬しており、出荷作業後や出荷日以外には、野菜の種まき、植付けや草取り、その他畑の管理 作業のために、畑と自宅、出荷場との間を頻繁にトラクターや軽トラックで往復していた。夏等の日照りのときには、花植木センター前の成田 出荷日以外には、野菜の種まき、植付けや草取り、その他畑の管理 作業のために、畑と自宅、出荷場との間を頻繁にトラクターや軽トラックで往復していた。夏等の日照りのときには、花植木センター前の成田市(略)J137番の畑の井戸から水をくみ上げ、軽トラックに乗せたタンクに水を入れて運んで散水するために、十数回から20回ほど耕作地と井戸のある畑を往復していた。 原告A1の自宅からM農地までは直線で約500mであり、本件道路を利用して自宅からM農地までトラクターで行くと約2分、軽トラックで行くと約1分で到着することができた。 本件道路が封鎖された後、原告A1は、自宅からM農地まではこれまでの直線で行くことはできなくなり、F地内2号線をF部落側に向かった後、 ホテルS前の交通量の多い道路でヘアピンカーブを曲がってF地内3号線 及びFI線を経由して被告空港会社が設置した耕作地進入路に入って耕作地に向かうこととなり(乙1〔別添資料2〕〕、本件道路が封鎖される以前と比較すると、距離にして2倍以上(約1200m)、所要時間としては約4倍(トラクターでは約8分、軽トラックでは約4分)を要することとなった。なお、本件路線廃止処分当時のF地内2号線と3号線との交差点の 形状(カーブ)は、その後、F地内2号線の位置が変更されたことにより、当初より緩やかになっている(原告A1本人〔12頁〕、甲279、乙15)。 イ原告A1は、本件路線廃止処分当時、T農地及びM農地のほかに、T部落の西側に隣接する成田市(略)I551番7及び555番4の各土地(畑)、同市(略)U618番及び619番の各土地(田)及び同市J137番(畑) を耕作しており、このうち、Iの畑については、本件道路を使用すると、距離は約 I551番7及び555番4の各土地(畑)、同市(略)U618番及び619番の各土地(田)及び同市J137番(畑) を耕作しており、このうち、Iの畑については、本件道路を使用すると、距離は約1800m、軽トラックで片道約3分で行くことができたが、代替道路を用いると、距離は約1900m、時間は2倍の約6分が必要となった。 また、Uの田に行くには、従前は本件道路を経由したIルート(約2700m)と、Oホテル脇を経由するルート(約1800m)があったが、本件道 路が封鎖された後の代替ルート(約2800m)は従前よりは時間を要することとなった。 ウ A1家の墓地は、T部落の北側に隣接する成田市(略)K110番のE共同墓地内にあり、原告A1は、亡父C8の月命日である毎月21日、8月の盆及び春秋の彼岸には、墓参りに出掛けていた。この墓参りについても、本 件道路が封鎖された後の代替道路を利用すると、従前の約2倍の時間を要することとなった(本件道路を使用すると約4100m、代替道路を使用すると約4900m)。 ⑷ 原告A2らによる本件道路の利用状況等(各項に掲げるもののほか、甲102、277、原告A2本人) ア原告A2は、昭和63年9月、初めて空港反対集会に参加したことを契機 に、本件空港の反対闘争に参加するようになった。原告A2は、その縁で、平成15年、A9と婚姻し、A2家の一員として、成田市P107番地(自宅)に居住するに至った。 イ A2家は、元々、昭和22年、原告亡A5(原告A2の義父に当たる。)の親のC9が戦後開拓で隣村のLから入植をし、農地を所有するに至った。A 2家は、現在も約2町歩の田畑を所有し(ただし、A2家のうち誰の所有名義となっていたかは明らかでない。)、原告A たる。)の親のC9が戦後開拓で隣村のLから入植をし、農地を所有するに至った。A 2家は、現在も約2町歩の田畑を所有し(ただし、A2家のうち誰の所有名義となっていたかは明らかでない。)、原告A2がA2家(妻のA9と3人の子及び義母の原告A3)の世帯主として、農業で生計を立てている。A2家の農地のうち本件空港の事業用地内には、成田市(略)V18番(畑)、(略)W113-2(畑)、同113-3(畑)が存在している。また、A2家は、 本件空港の事業用地内にあるP神社及びP墓地に権利を有しているほか、X開拓農業協同組合の開拓道路について、同協同組合の組合員としての権利も有している。 ウ A2家の自宅(成田市P107番地)からLの田までは、G県道を成田方向に向かって行くこととなるが、G県道を外れて田に行く方法は3通り(① 本件道路からゴルフ場前を左折する道、②N倉庫の前を通る道、③Fを右折しOホテルの裏を回る道)があった。もっとも、このうち②及び③は、後から作られた道であり、本件道路を通っていく①が昔からの道であり、交通量も少なく、コンバインやバインダー等の機械を運搬したり、収穫した米や稲わらを運んだりするのに好都合であった(ただし、所要時間としては、③の ルートが最も早い。)。(原告A2本人〔34頁〕)また、原告A2は、原告A1とともに、産直野菜の共同出荷作業をしているため、互いの畑で共同作業を行ったり、消費者を招いての芋掘り大会を開催したりしており、原告A1のM農地に行くために、本件道路を使用していた。 ⑸ 原告反対同盟による団結小屋の建設とその撤去 原告反対同盟は、昭和41年12月、本件道路に隣接する土地上に本件団結小屋を建設して所有していたが、本件団結小屋については、成 ⑸ 原告反対同盟による団結小屋の建設とその撤去 原告反対同盟は、昭和41年12月、本件道路に隣接する土地上に本件団結小屋を建設して所有していたが、本件団結小屋については、成田新法3条6項に基づく封鎖措置が執られ、少なくとも平成22年まで、毎年、同法3条1項1号に基づく使用禁止命令が発出されており、周囲に鉄板が設置されるなどにより建物内に立ち入って使用することができない状態にあったが、平成23年 8月6日、撤去された(前記前提事実⑴ア、⑵イ、⑺)。 ⑹ 一坪共有地の存在(甲58ないし61、乙11、12、丙15、弁論の全趣旨〔原告第3準備書面・5頁〕)ア原告A1のM農地の北側約100mの位置に、成田市(略)M36番の土地がある。同土地は、もとC10が所有していたが、昭和41年9月1日、 C10は、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」に対し、同土地を売却した(もっとも、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」は、法人格を有しないため、実際には、同日付け売買を原因とするC11を含む代表者48名の共有名義に移転登記が経由された。)。これがいわゆる「一坪共有地」と称される土地であり、本件空港の建設に反対する運動の一環として、被告空港会社による用地 買収を困難にする目的で、こうした複数名が共有することになったものである。 イその後、「一坪共有地」の共有持分については、共有者による相続、共有者及び相続人によるC10に対する贈与がされ、平成8年11月30日当時、C10が48分の47の持分を有するに至り、同日、その持分については、 C12に贈与がされた。 ウ平成22年6月12日、C11が死亡したため、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」は、同年12月19日、理事会を開催し、C11の後任と 日、その持分については、 C12に贈与がされた。 ウ平成22年6月12日、C11が死亡したため、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」は、同年12月19日、理事会を開催し、C11の後任として、相続人である原告亡A4及び原告A7を登記名義人とすることを決定し、両名もこれを承諾した。そして、「一坪共有地」のC11の持分(48分の1)に ついては、平成23年1月4日、平成22年12月19日委任の終了を原因 として、C11から原告亡A4及び原告A7に持分移転登記(各96分の1)が経由された。 エ被告空港会社は、平成23年5月16日、C12から、「一坪共有地」の持分48分の47を売買により取得し、同月18日、持分全部移転登記が経由された。 このため、原告らのうち「一坪共有地」の持分を有する者は、原告亡A4及び原告A7以外にいなかったところ、原告亡A4は、平成24年1月7日、死亡した。同原告の死亡に伴い、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」は、同年9月10日、理事会を開催し、原告亡A4の後任として、A8を登記名義人とすることを決定し、A8もこれを承諾し、A8及び原告亡A4の相続人全 員は、「一坪共有地」の原告亡A4持分をA8に持分全部移転登記をした。 2 争点2(取消訴訟についての原告らの原告適格の有無)について⑴ 本件においては、死亡した原告らの訴訟承継の可否が争われているところ(争点1)、後記12 のとおり、原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5については、同原告らの死亡によって本件訴訟は終了し、訴訟承継は認められないと判断す る。 以下、争点2ないし5の説示において、「原告ら」というときは、原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5を除く原告らを指すものとする。 ⑵ 行政事件訴訟法9条は、取 認められないと判断す る。 以下、争点2ないし5の説示において、「原告ら」というときは、原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5を除く原告らを指すものとする。 ⑵ 行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当 該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利 益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれの ある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利 益の内容及び性質を考慮し、この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては、当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものであ る(行政事件訴訟法9条2項参照。以上につき最高裁判所平成17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 ⑶ これを前提として、本 害される態様及び程度をも勘案すべきものであ る(行政事件訴訟法9条2項参照。以上につき最高裁判所平成17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 ⑶ これを前提として、本件路線廃止処分についてみると、道路法における道路は、一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道又は市町村道(以下、これらの道路を「里道」、「私道」、「農道」、「林道」等と区別 する意味で、「公道」ということがある。)をいい(道路法2条1項、3条)、道路法2章が規定する道路管理者による路線の認定及び供用の開始により、何人も公道の自由な通行が認められることになる。道路法は、こうした道路(公道)に関する路線の指定及び認定、管理及び保全(道路法3章)等に関する事項を定めることで、道路網を整備し、もって交通の発達に寄与し、公共の福祉を増 進することを目的としている(1条)。こうした道路法の諸規定からすると、道路法は、公共財である道路(公道)を自由に通行することができる利益については、公道の設置及び供用が開始されたことによる反射的利益であって、原則として、不特定多数の者が享受することができる一般的公益と位置付けているものといえる。 もっとも、道路は、移動手段や物の運搬といった、道路に隣接する土地を利 用する住民等の生活のための重要なインフラであり、道路の路線廃止処分によっては、当該住民等の生活に直接的に著しい支障が生じ得るものである。また、建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならないとされており(建築基準法43条1項)、ここでいう道路には、道路法による幅員4m以上の道路が含まれる(建築基準法42条1項1号)から、道路の路線廃止処分によっては、 その道路に接する土地の利用に建築制限がかかることと 法43条1項)、ここでいう道路には、道路法による幅員4m以上の道路が含まれる(建築基準法42条1項1号)から、道路の路線廃止処分によっては、 その道路に接する土地の利用に建築制限がかかることとなり、土地の有効利用の観点から直接的な支障が生じ得る。こうした路線廃止処分により道路に隣接する土地を利用する住民等が被る生活上の著しい支障や土地の有効利用の制限は、一般的な公益の中に吸収解消させることは困難なものである。 道路法10条1項は、市町村道について、一般の交通の用に供する必要がな くなったと認める場合において、当該路線の全部又は一部を廃止することができる旨規定しており、その文言上において、当該市町村道を利用する者の個別的利益を保護している趣旨と解することはできず、また、前示のとおり、公道を自由に通行することができる利益は公道の設置及び供用開始による反射的利益にすぎないことから、当該市町村道を日常的に利用している者に該当すると いうだけで、当該市町村道の路線廃止処分の原告適格を有すると解するのは相当ではないが、道路(公道)がそれに隣接する土地を利用する住民等の生活のための重要なインフラであり、路線廃止処分により土地の有効利用が制限されることがあることからすると、路線廃止処分によって生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがある住民等や建築制限により土地の有効活用が妨げられる おそれがある者については、当該市町村道の路線廃止処分の取消し又は無効確認を求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、路線廃止処分によって市町村道に隣接する土地を利用する住民等の生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがあるか否かについては、当該住民 等の日常生活における当該 ものというべきである。 そして、路線廃止処分によって市町村道に隣接する土地を利用する住民等の生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがあるか否かについては、当該住民 等の日常生活における当該市町村道の利用頻度や必要性等を踏まえ、社会通念 に照らして、合理的に判断されるべきものである。 ⑷ 原告らが本件路線廃止処分について原告適格を有するかについて検討すると、原告A1は、本件道路の南端付近に残された本件道路の西側隣接地である成田市(略)M63番に自宅があり、本件道路の東側隣接地である同市(略)T78番2のT農地及び自宅から本件道路を北側に約500m進んだところにある M農地等で農作業を営んでおり、自宅とこれらの耕作地との間を本件道路を利用して1日に何度も往復していた(前記認定事実⑶ア、)。原告A1による本件道路の利用頻度や自宅及び耕作地の位置関係からすると、原告A1は、本件路線廃止処分により、生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがある者に該当するといえるから、本件路線廃止処分の取消し又は無効確認を求めること について法律上の利益を有するといえる。 次に、原告A2は、A2家の世帯主として、A2家が所有する田畑を耕作して生計を立てているところ、その自宅(成田市P107番地)は、本件道路に隣接してはいないものの、同自宅から成田市L地区にある田に行くときには、古くからあり、交通量が少ない本件道路を利用して、コンバインやバインダー 等の機械を運搬したり、収穫した米や稲わらを運んでいた(前記認定事実⑷イ、ウ)。田における農作業は、田起こしから稲刈りまで様々な作業が必要であることは自明であり、こうした農作業のために、原告A2は、本件道路を日常的に頻繁に利用していたものとうかがわれるから、同原告は、本 ウ)。田における農作業は、田起こしから稲刈りまで様々な作業が必要であることは自明であり、こうした農作業のために、原告A2は、本件道路を日常的に頻繁に利用していたものとうかがわれるから、同原告は、本件路線廃止処分により、生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがある者に該当するといえる。 また、原告A3は、A2家の一員(原告亡A5の妻、原告A2の義母)として、原告A2とともに農業に従事していたものと認められる(前記認定事実⑷イ)。 したがって、原告A2及び原告A3は、本件路線廃止処分の取消し又は無効確認を求めることについて法律上の利益を有する。 ⑸ 他方、原告A4らの住所は、千葉県山武市(略)であり、本件道路に隣接し た住民ではなく、少なくとも本件道路を生活道路として日常的に利用していた と認めるに足りる証拠はない。原告A4らは、原告A1及び原告A2らと産直野菜の共同出荷作業に従事しており、原告A1が耕作しているM農地に行くために本件道路を使用していた旨主張するが(前記第3の2⑴エ)、この主張に沿う原告A4らの陳述書が提出されていないのみならず、原告A1(甲25、101、278)及び原告A2(甲102、277)の陳述書にも原告A4らと ともに産直野菜の共同出荷作業を行っていた旨の記載はなく、原告A1らが行っている産直野菜の共同出荷のための原告A4らの本件道路の利用状況やその頻度等は不明というほかない。仮に、原告A4らが原告A1らの産直野菜の共同出荷の作業の手伝いのために本件道路を利用することがあるとしても、本件路線廃止処分により、原告A4らの生活に直接的に著しい影響を受けるおそれ があるとまでは認め難い。 また、原告A4らは、本件道路を原告反対同盟員として、現地闘争本部の建物(本件団結小屋)に 止処分により、原告A4らの生活に直接的に著しい影響を受けるおそれ があるとまでは認め難い。 また、原告A4らは、本件道路を原告反対同盟員として、現地闘争本部の建物(本件団結小屋)に行くために本件道路を使用してきた旨主張するが(前記第3の2⑴エ)、本件団結小屋は、平成2年から新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(成田新法)3条6項により封鎖措置がされ、少なくとも平成 22年まで、毎年、同法3条1項1号により使用禁止命令が出されており、周囲に鉄板が設置されるなどにより建物内に立ち入って使用することもできなかったのであり(前記認定事実⑸)、こうした本件団結小屋に行くために本件道路を利用する緊要度は社会通念に照らして乏しい。 その他、原告A4らは、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合員又はその 家族として、一坪共有地に行くために本件道路を使用してきた旨主張し(前記第3の2⑴エ)、原告A7は、一坪共有地の共有持分(96分の1)を有するものと認められる(前記認定事実⑹ウ)。一坪共有地は、本件空港の建設に反対する運動の一環として、被告空港会社による用地買収を困難にする目的で、48名が成田市(略)M36番の土地を共有するに至ったものであるが(前記認定 事実⑹ア)、本件全証拠を検討しても、一坪共有地に行くための本件道路の利用 頻度等は明らかではない。公道を自由に通行することができる利益は公道の設置及び供用開始による反射的利益にすぎないことからすると、本件空港の建設反対運動のために本件道路を利用することがあるとしても、本件路線廃止処分により原告A4らの生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがあるとまではいえない。 したがって、原告A4らは、本件路線廃止処分の取消し又は無効確認を求 があるとしても、本件路線廃止処分により原告A4らの生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがあるとまではいえない。 したがって、原告A4らは、本件路線廃止処分の取消し又は無効確認を求めることについて法律上の利益を有するとはいえない。 ⑹ 原告反対同盟は、現地闘争本部(本件団結小屋)の所有者であり、同建物の底地である別紙物件目録記載6の土地(成田市(略)M42番1ないし3)に対する地上権又は賃借権を有してこれらの土地を適法に占有しているから、本 件道路の路線認定が廃止されると、原告反対同盟が有するこれらの土地に対する地上権、賃借権又は占有権の行使が阻害されるとして、本件路線廃止処分について原告適格がある旨主張する(前記第3の2⑴オ)。 しかし、原告反対同盟が本件団結小屋の敷地である別紙物件目録記載6の土地について地上権ないし賃借権を有するものでないことは、確定した判決のと おりであり(前記前提事実⑺)、また、本件団結小屋は、平成23年8月6日、強制執行により撤去され、被告空港会社がその敷地の明渡しを受けたものと認められる(前記認定事実⑸)。 そうすると、原告反対同盟の主張はその前提を欠くものであるから、原告反対同盟は、本件路線廃止処分の取消し又は無効確認を求めることについて、法 律上の利益を有するとはいえない。 ⑺ 原告A1、原告A2ら、原告A4ら及び原告反対同盟を除くその余の原告ら(以下、この項で「その余の原告ら」という。)は、原告反対同盟所有の現地闘争本部へ行くための道路として本件道路を使用してきたこと、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合員又はその家族、支援者として、一坪共有地に行くための 道路として本件道路を使用してきたこと、本件道路の周辺に居住し、生活道路 道路を使用してきたこと、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合員又はその家族、支援者として、一坪共有地に行くための 道路として本件道路を使用してきたこと、本件道路の周辺に居住し、生活道路 として使用していることを理由に挙げて、本件路線廃止処分について原告適格がある旨主張するが(前記第3の2⑴カ)、本件団結小屋に行くために本件道路を利用することが原告適格を基礎付ける事情になり得ないことは、前記⑸で説示したとおりである。 また、一坪共有地は、現在、原告亡A4及び原告A7と被告空港会社の共有 名義となっており、その余の原告らの中に、一坪共有地の持分を有している者はいない(前記認定事実⑹エ)。公道を自由に通行することができる利益は公道の設置及び供用開始による反射的利益にすぎないことからすると、その余の原告らが本件空港の建設反対運動のために本件道路を利用したり本件道路を生活道路に利用することがあるとしても、本件路線廃止処分により、その余の原告 らの生活に直接的に著しい影響を受けるおそれがあるとまではいえない。 したがって、その余の原告らは、本件路線廃止処分の取消し又は無効確認を求めることについて、法律上の利益を有するとはいえない。 ⑻ 以上によれば、原告A1、原告A2及び原告A3は、本件路線廃止処分について原告適格を有するが、その余の原告らについては、本件路線廃止処分につ いて原告適格を有しない(以下、争点3-1、3-2に関して「原告ら」というときは、原告A1、原告A2及び原告A3のことを指す。)。 3 争点3-1(道路法10条1項違反)について⑴ 道路法10条1項は、市町村長は、市町村道について、一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合においては、当該路線の全部又は一部を 。 3 争点3-1(道路法10条1項違反)について⑴ 道路法10条1項は、市町村長は、市町村道について、一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合においては、当該路線の全部又は一部を廃止 することができる旨規定する。ここで、「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」とは、一般に、当該路線に係る道路の機能が失われて、当該道路を一般の交通の用に供する必要がなくなった場合であると解されるが、路線廃止時までに物理的な意味で道路の機能として失われている場合はもとより、いわゆる道路の付け替え等により旧路線を廃止するときも、「一般の交通の用に 供する必要がなくなったと認める場合」に該当するものと解される。 すなわち、市町村長が路線として認定した市町村道であって、現に一般の交通の用に供されている路線であっても、都市再開発や公共の用に供するために、市町村道の全部又は一部を付け替える必要が生じることがある。道路法10条2項は、市町村長は、路線の全部又は一部を廃止し、これに代わるべき路線を認定しようとする場合においては、これらの手続に代えて、路線を変更するこ とができる旨規定する。しかるところ、市町村長が認定した路線については、路線名、起点、終点、重要な経過地等が公示されるが(道路法9条、道路法施行規則1条の2)、道路の付け替え等によって路線の起点若しくは終点又はそのいずれもが変更となるときは、付け替え後の道路は異なる路線となると解釈されるため、道路法10条2項による路線の変更の手続ではなく、旧路線の廃止 及び新路線の認定の二重の手続が必要であると解釈されている(昭和29年11月17日付け建設省道路局長通達「路線認定、区域決定及び供用開始等の取扱について」(建設省道発第416号)参照)。 及び新路線の認定の二重の手続が必要であると解釈されている(昭和29年11月17日付け建設省道路局長通達「路線認定、区域決定及び供用開始等の取扱について」(建設省道発第416号)参照)。 このように、道路法10条1項の「一般の交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」には、市町村長により路線として認定された市町村道を付け 替えることにより旧路線を廃止するときも含まれるものと解するべきである。 ⑵ ところで、道路法には、市町村道の路線の認定及び廃止に当たっては、当該市町村の議会の議決を経る必要があること(8条2項、10条3項)、路線名、路線の起点、終点、重要な経過地等を公示すること(9条、10条3項)以外には、市町村道の具体的な設置(起点、終点、重要な経過地等)に関する具体 的な規定はなく、路線の廃止の要件についても、「一般の交通の用に供する必要がなくなった場合」(10条1項)と抽象的な要件を定めるのみである。 市町村道の設置又は廃止は、当該市町村が、交通需要、路線隣接地域の経済状況や利害関係、設置予算等の種々の情勢を踏まえた政策的又は技術的見地から行われるものであり、こうして設置された公道を自由に通行することができ る利益については、公道の設置及び供用が開始されたことによる反射的利益で あって、原則として、不特定多数の者が享受することができる一般的公益であるにすぎない。市町村道の路線の認定(起点、終点、重要な経過地等)及び廃止に関しては、市町村道の必要性や具体的な利用状況等を踏まえた当該市町村長の合理的な裁量に委ねられているものというべきである。 しかるところ、現に一般の交通の用に供されている市町村道(旧路線)につ いて、都市再開発や公共の用地にこれを供するために、旧路 村長の合理的な裁量に委ねられているものというべきである。 しかるところ、現に一般の交通の用に供されている市町村道(旧路線)につ いて、都市再開発や公共の用地にこれを供するために、旧路線の起点若しくは終点又はそのいずれも変更して新路線を設置するときは、旧路線については道路法10条1項により廃止処分をすることができることは前示のとおりであるが、市町村道の路線の認定及び廃止が当該市町村長の合理的な裁量に委ねられている以上、新路線の設置によって、旧路線の廃止前と比べて旧路線の利用者 に不便が生じたからといって、旧路線が「一般の交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」に該当しないと解するのは相当ではなく、旧路線の廃止及び新路線の設置によって旧路線に隣接する土地を利用する住民等に生活上の著しい支障や土地の有効利用の制限といった不利益が生じ、こうした支障や不利益を回避又は緩和するための措置を講じることなく旧路線の廃止処分をした といった特段の事情があるときは、旧路線についてはなお「一般の交通の用に供する必要」があるとして、旧路線の廃止処分について、当該市町村長の裁量権の逸脱又は濫用に当たるものと解するべきである。 ⑶アこれを前提として、本件路線廃止処分がされるまでの経緯についてみると、本件道路(旧路線)は、本件空港の事業用地内にあり、成田市長(当時)と 公団総裁との間で、本件空港敷地外に別途代替の市道を整備した上で、本件道路を廃止することとして、付替道路工事の施行に関する基本的事項についての協定書が締結されており、これを受けて、本件道路の代替道路として、FI線・F地内3号線が整備されたが、本件道路は、代替道路が完成した後も廃道はされていなかったところ(前記認定事実⑴イ)、本件空港の西側誘導 路用 り、これを受けて、本件道路の代替道路として、FI線・F地内3号線が整備されたが、本件道路は、代替道路が完成した後も廃道はされていなかったところ(前記認定事実⑴イ)、本件空港の西側誘導 路用地として本件道路が必要となったことを受けて(前記認定事実⑴オ)、平 成22年3月9日までに、FI線から原告A1の耕作地(M農地)に至るまでの本件耕作地進入路(代替通路及び代替道路)を被告空港会社において整備ないし確保し、被告成田市と被告空港会社との間で、同月19日付けで、本件耕作地進入路(代替道路及び代替通路)の整備及び確保に関する覚書が交わされた上で、同日付けで本件路線廃止処分がされ、同月20日から本件 耕作地進入路(代替道路及び代替通路)の供用が開始された(前記認定事実⑴ク、ケ)ことが認められる。 イ原告A1は、原告A1自宅から本件道路を利用して耕作地であるM農地を行き来していたものであり、本件路線廃止処分によって本件道路を経由したM農地の進入路がなくなるが、本件耕作地進入路(代替道路及び代替通路) が整備ないし確保されることによって、本件路線廃止処分後もM農地の進入路が確保されており、本件路線廃止処分によってM農地の耕作が事実上不可能となるという支障ないし不利益を回避する措置が講じられたといえる。 原告A1は、本件路線廃止処分前は、自宅からM農地までは本件道路を経由して直線で約500m(トラクターで約2分、軽トラックで約1分)であ ったが、代替道路(F地内2号線から同3号線に至るルート)を利用すると、距離は2倍以上、所要時間は約4倍かかることとなり、また、自宅からIの畑までは片道約3分であったのが約6分と倍の時間がかかり、Uの田にはOホテル脇を経由するルートでしか行けなくなり(前記認定事実⑶ア、イ) 倍以上、所要時間は約4倍かかることとなり、また、自宅からIの畑までは片道約3分であったのが約6分と倍の時間がかかり、Uの田にはOホテル脇を経由するルートでしか行けなくなり(前記認定事実⑶ア、イ)、本件路線廃止処分によってこれらの耕作地における耕作上の不便が生じたも のと認められる。 しかし、原告A1は、本件路線廃止処分によって、自宅から耕作地までに要する時間は従前よりも長くはなったとはいえるが、本件道路の路線廃止処分によってM農地の進入路がなくなる支障については本件耕作地進入路の整備ないし確保する措置が講じられており、また、公道を自由に通行すること ができる利益は、公道の設置及び供用が開始されたことによる反射的利益で あって、市町村道の路線の認定(始点、終点、重要な経過地等)及び廃止が当該市町村長の合理的な裁量に委ねられている以上、本件路線廃止処分によって耕作上の不便が生じたとしても、原告A1がこれらの耕作地の一部で農作業をすることが事実上できないといった著しい支障が生じているといった事情まではうかがわれないから、本件道路の路線廃止によって原告A1に生 じる耕作上の不便を考慮せずに本件路線廃止処分をしたことについて、処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用があるとまではいえない。 ウまた、原告A2及び原告A3は、本件路線廃止処分によって自宅から本件道路を経由してLの田に行くことができなくなり、耕作上の不便(自宅からLの田まで本件道路を利用した方が安全に行くことができる。)が生じたとは いえるが(前記認定事実⑷ウ)、本件路線廃止処分以前から本件道路の廃止に備えた代替道路であるFI線とTL線経由でLの田に行くことができるから、本件路線廃止処分によって農作業をすることに著しい支障が生じたといった事 定事実⑷ウ)、本件路線廃止処分以前から本件道路の廃止に備えた代替道路であるFI線とTL線経由でLの田に行くことができるから、本件路線廃止処分によって農作業をすることに著しい支障が生じたといった事情まではうかがわれず、本件道路の路線廃止によって原告A2及び原告A3に生じる耕作上の不便を考慮せずに本件路線廃止処分したことについて、 処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用があるとはいえない。 ⑷ア原告らは、市町村長が路線を廃止しようとする場合においては、「あらかじめ当該市町村の議会の議決を経なければならない」(道路法10条3項が準用する8条2項)と規定しており、議会の議決の時点で廃道の要件を満たしている必要があるところ、市議会の可決時点では、M農地への機能補償道路の 供用は開始されておらず、廃道の要件を満たしていないから、市議会の議決は道路法10条の趣旨からして無効である旨主張する(前記第3の3⑴イ)。 しかし、道路法が路線を廃止する場合にあらかじめ議会の議決を必要とする趣旨は、市町村道は、市町村の営造物であり、その管理や費用負担の主体は市町村であることから、市町村長が市町村道の路線を廃止するに当たって は、前もって当該市町村の議会の議決を経なければならないこととして、当 該市町村の民意が反映されるようにすることにあるものと解される。こうした趣旨からすると、一般交通の用に供する必要がなくなったことを前提として当該市町村道の路線廃止の適否について市町村議会に議案を提出し、当該議会の議決を経て、当該市町村道の路線の廃止と当該市町村道の廃止によって生活上の著しい支障等が生じる者のための機能補償道路の供用が開始され たとしても、路線廃止について当該市町村の民意を反映させるために議会の議決を求 町村道の路線の廃止と当該市町村道の廃止によって生活上の著しい支障等が生じる者のための機能補償道路の供用が開始され たとしても、路線廃止について当該市町村の民意を反映させるために議会の議決を求める趣旨に反するとはいえない。 したがって、本件道路の路線廃止に関する議決の時点では機能補償道路の供用が開始されていないことをもって、本件道路が道路法10条1項に規定する「一般交通の用に供する必要がなくなったと認める場合」に該当せず、 廃道要件を満たさない旨の原告らの主張は、理由がない。 イ原告らは、本件路線廃止処分は本件空港の拡張のために被告空港会社に払い下げるという動機ないし目的でされたものであり、交通量の調査すらされておらず、原告らの本件道路の通行の自由を侵害するものであるにもかかわらず地元住民に説明会も開催されていないのみならず、本件道路の一部トン ネル化等の代替手段も検討することなく、一民間企業でしかない被告空港会社の便益しか考慮せずにされたものであり、本件路線廃止処分は、意図と結果において不平等極まりなく、公益性を著しく欠いたものであるから、処分行政庁には裁量権の逸脱又は濫用がある旨主張する(前記第3の3⑴ウ)。 本件路線廃止処分に至るまでの経過をみると、本件路線廃止処分は、本件 空港の西側誘導路の整備のための用地として、現に不特定多数の車両が通行していた本件道路を被告空港会社に売却するためにされたものである(前記認定事実⑴エ、オ、⑵エ)ことは、原告らの指摘するとおりである。 しかし、市町村道の設置又は廃止は、当該市町村が、交通需要、路線隣接地域の経済状況や利害関係、設置予算等の種々の情勢を踏まえた政策的又は 技術的見地から行うものであり、こうして設置された公道を自由に通行する 道の設置又は廃止は、当該市町村が、交通需要、路線隣接地域の経済状況や利害関係、設置予算等の種々の情勢を踏まえた政策的又は 技術的見地から行うものであり、こうして設置された公道を自由に通行する ことができる利益については、公道の設置及び供用が開始されたことによる反射的利益であって、原則として、不特定多数の者が享受することができる一般的公益であるにすぎず、市町村道の路線の認定及び廃止に関しては、市町村道の必要性や具体的な利用状況等を踏まえた当該市町村長の合理的な裁量に委ねられていることは前記で説示したとおりである。しかして、本件道 路は、認可を受けた本件空港の事業用地内にあり、当時の成田市長と公団総裁との間で交わされた協定書において、本件空港の事業用地内にある市道は事業用地外に代替市道を整備した上で廃道することが予定されていたが、本件道路に接する本件空港用地として必要な土地の一部について未買収地があったため、代替道路が完成した後も廃止処分がされていなかったという経緯(前 記認定事実⑴イ)に照らすと、処分行政庁が、西側誘導路の整備のための用地として被告空港会社からの廃止の申入れを受けて、本件路線廃止処分をしたことについて公益性に欠けるところはない。また、本件道路のうち西側誘導路の用地に当たる部分をトンネル化することで本件道路を廃止する必要はない(甲287の1参照)ことは原告らが指摘するとおりであるが、トンネ ル化工事は、本件耕作地進入路の敷設と比較すれば、多額の費用及び時間を要することは明らかであり、既設の代替道路及び本件耕作地進入路の整備により原告A1をはじめとする本件道路の利用者の不利益が回避又は緩和されるため、政策的又は技術的見地から、本件道路の一部トンネル化ではなく、代替道路及び本件耕作地進入路を 及び本件耕作地進入路の整備により原告A1をはじめとする本件道路の利用者の不利益が回避又は緩和されるため、政策的又は技術的見地から、本件道路の一部トンネル化ではなく、代替道路及び本件耕作地進入路を整備し、本件道路の路線廃止を選択したこ とについて、処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用があるとまではいえない。 ⑸ 以上によれば、本件路線廃止処分は、道路法10条1項の要件を満たすものであり、また、その処分において処分行政庁に裁量権の逸脱又は濫用があるとはいえないから、取り消されるべき違法はない。 4 争点3-2(本件路線廃止処分の違憲、違法性)について ⑴ア原告A1は、私人の日常生活における道路利用は憲法上保障される利益であることを前提として、本件路線廃止処分が憲法13条又は22条1項(移動の自由)に反する旨主張する(前記第3の4⑴ア)が、設置された公道を自由に通行することができる利益は、公道の設置及び供用が開始されたことによる反射的利益であるにすぎないことはこれまで説示しているとおりで あって、原告A1の主張はその前提を欠くものであり、この点を措くとしても、原告A1が耕作している農地には本件路線廃止処分に伴って代替道路及び本件耕作地進入路が整備されたことによって耕作不能となったわけではなく、本件路線廃止処分によって原告A1が被る耕作上の不便は、公共の福祉の観点から過度の制約に当たるものではない。 イ原告A1は、本件道路が廃止されたことによって耕作地における営農の継続が実質的に不可能となるとして、本件路線廃止処分が憲法13条、22条1項、25条、27条又は29条1項に反する違憲、違法なものである旨主張する(前記第3の4⑴ア)が、本件路線廃止処分によって本件道路を通行 不可能となるとして、本件路線廃止処分が憲法13条、22条1項、25条、27条又は29条1項に反する違憲、違法なものである旨主張する(前記第3の4⑴ア)が、本件路線廃止処分によって本件道路を通行する場合と比較して耕作地に行くためにより多くの時間を要することにな ったというものであって(前記認定事実⑶ア、イ)、本件路線廃止処分によって耕作地における営農が事実上不能となったとまでは認められず、原告A1の主張は、その前提を欠くものである。 ⑵ 原告A1は、①里道の用途廃止手続には隣接土地所有者等の利害関係人の同意が必要であるにもかかわらず、処分行政庁は、原告ら(とりわけ原告A1) が本件道路について強い利害関係を有していることを知りながら、原告らに対して同意を取り付けることなく本件路線廃止処分を強行したこと、②本件道路の一部をトンネル化すれば、本件路線廃止処分は必要ないことを指摘して、本件路線廃止処分は、適正手続(憲法13条、31条)に違反する旨主張する(前記第3の4⑴イ)。 しかし、本件道路は、本件路線廃止処分当時、道路法の適用のある市町村道 であり、法定外公共物であり道路法の適用のない里道の例を挙げて、道路法に規定のない市町村道の路線廃止処分に隣接所有者等の同意を得る必要がある旨の原告らの主張は当を得ない。もとより、道路法には、市町村道の路線廃止処分において隣接所有者等の利害関係人の同意を得る必要があることを定めた規定はない。 また、本件道路の一部トンネル化ではなく、代替道路及び本件耕作地進入路を整備し、本件道路の路線廃止を選択したことについて、処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用があるとまではいえないことは、前記3⑷イで説示したとおりである。 したがって、 耕作地進入路を整備し、本件道路の路線廃止を選択したことについて、処分行政庁に与えられた裁量権の逸脱又は濫用があるとまではいえないことは、前記3⑷イで説示したとおりである。 したがって、本件路線廃止処分について適正手続に違反する旨の原告らの主 張はいずれも理由がない。 ⑶ 以上によれば、本件路線廃止処分について、原告らが主張する違憲、違法な点はない。 5 争点4-1(本件用途廃止処分の有無)について処分行政庁は、平成22年3月19日、成田市公告式条例2条2項の規定によ り公示し、本件道路の路線を廃止した(本件路線廃止処分)が、原告らは、被告成田市が、路線廃止をした本件道路について、不用物件管理期間が満了したことにより、普通財産として、道路財産所管管理部長(土木部長)から普通財産所管管理部長(総務部長)に所管替えをし、用途を廃止したことが独立の処分(本件用途廃止処分)に当たる旨主張する(前記第3の5⑴)。 しかし、路線の廃止とは、その路線の対象となっている道路を廃道とする行政処分であって、路線の廃止は、道路自体の消滅を意味し、当該路線について定められていた道路の区域や当該道路についてされていた供用行為も自動的に消滅するから、路線廃止処分とは別に、改めて道路区域の廃止や供用の廃止の手続を執る必要はないと解される(道路法令研究会編著『道路法解説』(改訂6版)参照)。 そうとすれば、路線廃止処分と別に用途廃止処分の存在を観念する余地はないと いうべきである。 本件路線廃止処分は、「市道路線の廃止に関する告示」(甲13)によって明らかにされており、本件路線廃止処分によって本件道路を公用に供する必要がなくなったことから、普通財産として、被告成田市内部で本件道路の所管換えが は、「市道路線の廃止に関する告示」(甲13)によって明らかにされており、本件路線廃止処分によって本件道路を公用に供する必要がなくなったことから、普通財産として、被告成田市内部で本件道路の所管換えがされたにすぎず、処分行政庁が本件道路について用途廃止処分をしたとはいえない。 したがって、本件用途廃止処分の取消しを求める原告らの請求は、取消しの対象となる処分が存在しないことに帰するから、訴訟要件を欠き、不適法である。 6 争点5-1(原告らの人格的通行権又は憲法22条1項による通行権に基づく妨害排除請求権)について原告らは、本件道路について人格的通行権又は憲法22条1項により保護され た通行権を有しており、被告空港会社による本件道路の封鎖措置によってその通行権が侵害されているとして、妨害排除請求権に基づいて、本件道路の通行妨害の禁止及び本件道路上の工作物の収去を求めることができる旨主張する(前記第3の7⑴)。 しかし、公道である本件道路を自由に通行することができる利益は、公道の設 置及び供用が開始されたことによる反射的利益であるにすぎないことはこれまで繰り返し説示しているとおりであって、本件道路について人格的通行権又は憲法22条1項による通行権を有している旨の原告らの主張は、その前提を欠くものである。 この点を措くとしても、原告らが被告空港会社に対し妨害排除請求権に基づい て被告空港会社がした封鎖措置による通行妨害の禁止及び本件道路上の工作物の収去を求める請求は、民事上の請求であるから、口頭弁論終結時に原告らが本件道路の通行権を有することがその前提となるところ、前記3及び4のとおり、本件道路は、適法な本件路線廃止処分によって廃道となり、一般公衆の用に供されるものではなくなったから、原告ら 結時に原告らが本件道路の通行権を有することがその前提となるところ、前記3及び4のとおり、本件道路は、適法な本件路線廃止処分によって廃道となり、一般公衆の用に供されるものではなくなったから、原告らは、現時点(口頭弁論終結時)において、本 件道路について何らかの通行権を有するものではない。 したがって、原告らが本件道路について人格的通行権又は憲法22条1項による通行権があることを前提とした被告空港会社に対する妨害排除請求は、その前提を欠くものである。 7 争点5-2(原告A1の農地賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権)について 原告A1は、M農地等で農作業を行うために、本件道路を1日に何回も往復しており、本件道路を自由に通行することは農業経営に必須であり、その自由な通行は農地賃借権の行使と不可分一体であるところ、被告空港会社による本件道路の封鎖は、原告A1の耕作権を侵害し、M農地等に対する農地賃借権及び占有権を侵害するものである旨主張する(前記第3の8⑴)。 しかし、本件道路が路線廃止され、被告空港会社が本件道路を封鎖したとしても、原告A1は、本件道路の封鎖措置後は本件道路の路線廃止処分前と比較すると自宅から耕作地までに要する時間がかかり、耕作上の不便が生じているものの、代替道路及び本件耕作地進入路を通行することにより、原告A1が賃借し又は所有する農地に行き、農作業を行うことができており(前記認定事実⑶ア、イ)、 被告空港会社による本件道路の封鎖によってM農地等での耕作に少なくとも著しい支障が生じたと認めるに足りる証拠はない。 そうすると、被告空港会社による本件道路の封鎖措置によって、原告A1が賃借している農地の賃借権又は耕作地の占有権が侵害されたとはいえないから、これらの請求権に基づいて と認めるに足りる証拠はない。 そうすると、被告空港会社による本件道路の封鎖措置によって、原告A1が賃借している農地の賃借権又は耕作地の占有権が侵害されたとはいえないから、これらの請求権に基づいて被告空港会社に対して本件道路の通行の妨害禁止又は工 作物の収去を求める原告A1の請求は理由がない。 8 争点5-3(不法行為に基づく妨害排除請求権)について原告らは、本件道路について、私法上保護される公道交通の自由権を有しており、被告空港会社による本件道路の封鎖はこれを侵害する不法行為に該当する旨主張するが(前記第3の9⑴)、前記3及び4のとおり、本件道路は、平成22年 3月16日をもって適法な本件路線廃止処分によって廃道となり、一般公衆の用 に供されるものではなくなったから、仮に、原告らが本件路線廃止処分までは本件道路を自由に通行する利益又は権利を有していた(ただし、公道である本件道路を自由に通行する利益は、公道が設置及び供用が開始されたことによる反射的利益であるにすぎないことは、これまで繰り返し説示しているとおりである。)としても、本件路線廃止処分後にされた被告空港会社による封鎖措置によって原告らの 本件道路を通行する利益又は権利が侵害されたとはいえず、原告らの主張は理由がない。 9 争点5-4(原告反対同盟の地上権、賃借権又は占有権に基づく妨害排除請求権)について原告反対同盟は、本件団結小屋の底地である別紙物件目録記載6の土地につい て、地上権、賃借権又は占有権を有していることを前提として、被告空港会社に対して妨害排除請求権を有する旨主張するが(前記第3の10⑴)、被告空港会社が本件団結小屋の敷地の所有権に基づいて、本件団結小屋の撤去及びその敷地の明渡しを求める訴訟において、原告反対同盟が 会社に対して妨害排除請求権を有する旨主張するが(前記第3の10⑴)、被告空港会社が本件団結小屋の敷地の所有権に基づいて、本件団結小屋の撤去及びその敷地の明渡しを求める訴訟において、原告反対同盟が別紙物件目録記載6の土地について地上権又は賃借権を有する旨の主張は排斥されており、これに反する証拠はなく、ま た、本件団結小屋は、平成23年8月6日、仮執行の宣言を付した控訴審判決を債務名義とした強制執行手続により撤去され、被告空港会社がその敷地の明渡しを受けており(前記前提事実⑺)、原告反対同盟の本件団結小屋の敷地の占有権も失われたものと認められる。 原告反対同盟の被告空港会社に対する妨害排除請求は、その基礎となる法律関 係を欠くものであって、理由がない。 争点5-5(T部落(原告A1)の所有権に基づく妨害排除請求権)について原告らは、A1家を含む23戸からなるT部落が昭和2年に宮内省帝室林野局から本件道路を含む同部落内の全道路の敷地所有権の払下げを受けた旨主張するが(前記第3の11⑴)、これを裏付ける的確な証拠はない。 かえって、本件道路は、昭和26年、当時の印旛郡Z村により村道として路線 認定がされ、また、昭和62年3月30日、本件道路を含むEとTを結ぶ道路は、被告成田市によって市道(ET路線)として認定された後(前記認定事実⑴ア)、国は、平成16年4月1日、被告成田市に対して、道路法90条2項に基づいて、本件道路を無償で譲渡しており(前記認定事実⑴ウ)、こうした事実経過は、本件道路は、平成16年4月1日当時、法定外公共物(国有財産)であり、被告成田 市が国からその機能管理事務を委任されてきたところ、地方分権の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(地方分権一括法)の施行に伴って、 4月1日当時、法定外公共物(国有財産)であり、被告成田 市が国からその機能管理事務を委任されてきたところ、地方分権の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(地方分権一括法)の施行に伴って、被告成田市に譲渡されたことを示すものである。 T部落が部落内の全道路の敷地所有権を当時の宮内省から払下げを受けた旨の原告らの主張は、たやすく採用することはできず、他に原告らの主張に沿う的確 な証拠はないから、T部落に本件道路の敷地所有権があることを前提とした、同部落を代表する原告A1の被告空港会社に対する妨害排除請求は、その余の原告らの主張(本件払下げが違法であり無効であること)について判断するまでもなく、理由がない。 11 争点5-6(地役権的入会権に基づく妨害排除請求権)について 原告A1は、T部落においては、T部落の山林や原野、同部落に隣接する県有林において、下木、下草や落ち葉を採取し、自然薯、キノコを採取することが慣行として認められていたし、同慣行を実行するための「入会道」として本件道路を通行することも慣行として認められていたとして、本件道路について地役権的入会権を有していた旨主張する(前記第3の12⑴)。 しかし、仮に、T部落においては、部落に存する山林や原野、部落に隣接する県有林において、下木、下草や落ち葉を採取し、自然薯、キノコを採取する慣行があったとしても、それはそうした山林、原野又は県有林においてT部落による入会権が成立する余地があるといえるにすぎず、山林、原野又は県有林に通ずる道路の通行についてまでT部落における共同体的統制が及んでいたと当然にはい えない。原告A1が陳述するところによっても、本件道路は、Y牧周辺のR村の 各村を結ぶ道路として利用されてきたというにすぎ いてまでT部落における共同体的統制が及んでいたと当然にはい えない。原告A1が陳述するところによっても、本件道路は、Y牧周辺のR村の 各村を結ぶ道路として利用されてきたというにすぎず(甲101・3~4頁)、T部落周辺の各農村の住民等を含め、一般の通行に供されていたことがうかがわれる。T部落の入会地に通ずる道路としてT部落の共同体的統制のもとで利用されてきたといった事情はうかがわれない(原告A1は、T部落においては、本件道路を含む部落内の全道路について、毎年2回、部落内の全戸の参加により、砂利 引き、草刈り等の道普請を行って管理してきたとも主張するが、これは飽くまで本件道路の維持管理についての取決めにすぎず、本件道路の通行についてT部落による共同体的統制が及んでいたことを裏付ける事実関係とはいえない。)。 T部落内の土地(山林、原野等の部分)について、入会権が成立する余地は残るものの、T部落が本件道路に地役権的入会権を有していたと認めることは困難 であり、他に原告A1の主張を認めるに足りる的確な証拠はない。したがって、T部落が本件道路に地役権的入会権を有していることを前提として、同部落を代表する原告A1が被告空港会社に対して妨害排除請求権を有する旨の原告A1の主張は、その前提を欠くものであって、理由がない。 12 争点1(死亡した原告らの訴訟承継の可否)について ⑴ 訴訟当事者が死亡した場合において、訴訟物が一身専属的な権利又は法律関係であるため、これを承継する者がいないときは、訴訟は当然に終了するものと解される(最高裁判所昭和42年5月24日大法廷判決・民集21巻5号1043頁、最高裁判所平成9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁等参照)。 ⑵ 原告亡A4、原告亡 のと解される(最高裁判所昭和42年5月24日大法廷判決・民集21巻5号1043頁、最高裁判所平成9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁等参照)。 ⑵ 原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5は、被告成田市に対し、本件路線廃止処分及び本件用途廃止処分の取消し(本件取消訴訟)を求める。 ア原告亡A4は、本件取消訴訟の原告適格を基礎付ける法律上の利益として、①原告A1及び原告A2らと産直野菜の共同出荷をしているためにM農地に行くために本件道路を使用すること、②原告反対同盟の構成員として本件団 結小屋に行くために本件道路を使用してきたこと、③「三里塚地区周辺に土 地を持つ会」の組合員として、登記名義人となっている「一坪共有地」に行くために本件道路を使用してきたことを挙げるが、これらの利益は、原告亡A4がその生活又は本件空港の反対運動の一環として本件道路を使用してきたという人格的利益又は生活上の利益であって、同原告の一身専属的な利益であるといえる。 なお、原告亡A4の死亡に伴い、「三里塚地区周辺に土地を持つ会」は、平成24年9月10日、理事会を開催し、原告亡A4の後任としてA8を登記名義人とすることを決定し、A8及び原告亡A4の相続人全員は、「一坪共有地」の原告亡A4持分についてA8に持分全部移転登記を行っているが(前記認定事実⑹エ)、土地の権利関係の承継に伴って原告亡A4が本件道路に有 していた人格的利益又は生活上の利益がA8に承継されるものではない。 したがって、原告亡A4による本件取消訴訟は、同原告の死亡により、終了したというべきである。 イ次に、原告亡A6は、本件取消訴訟の原告適格を基礎付ける法律上の利益として、①原告反対同盟の構成員として本件団 亡A4による本件取消訴訟は、同原告の死亡により、終了したというべきである。 イ次に、原告亡A6は、本件取消訴訟の原告適格を基礎付ける法律上の利益として、①原告反対同盟の構成員として本件団結小屋に行くために本件道路 を使用してきたこと、②「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合員として、「一坪共有地」に行くために本件道路を使用してきたことを挙げるが、これらの利益は、原告亡A6がその生活又は本件空港の反対運動の一環として本件道路を使用してきたという人格的利益又は生活上の利益であって、同原告の一身専属的な利益であるといえる。 したがって、原告亡A6による本件取消訴訟は、同原告の死亡により、終了したというべきである。 ウ原告亡A5は、本件取消訴訟の原告適格を基礎付ける法律上の利益として、①成田市Lの田の耕作のために本件道路を通行してきたこと、②原告A1と産直野菜の共同出荷をしており、M農地に行くために本件道路を使用するこ と、③原告反対同盟の構成員として本件団結小屋に行くために本件道路を使 用してきたこと、④「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合員として、「一坪共有地」に行くために本件道路を使用してきたことを挙げるが、これらの利益は、原告亡A5がその生活又は本件空港の反対運動の一環として本件道路を使用してきたという人格的利益又は生活上の利益であって、同原告の一身専属的な利益であるといえる。 なお、弁論の全趣旨によれば、原告亡A5の死亡(平成25年12月21日)に伴い、同原告の相続人は、令和7年2月24日、同原告の本件訴訟の原告である地位をA9が承継取得することについて、遺産分割協議を成立させたことが認められるが、成田市Lの田については、同原告の死亡に伴い、A9が承 の相続人は、令和7年2月24日、同原告の本件訴訟の原告である地位をA9が承継取得することについて、遺産分割協議を成立させたことが認められるが、成田市Lの田については、同原告の死亡に伴い、A9が承継取得したと認めるに足りる証拠はない。もっとも、仮に、A9が 同農地を原告亡A5から承継取得したとしても、土地の権利関係の承継に伴って原告亡A5が本件道路に有していた人格的利益又は生活上の利益がA9に承継されるものではない。 したがって、原告亡A5による本件取消訴訟は、同原告の死亡により、終了したというべきである。 ⑶ 原告亡A4、原告亡A6及び原告亡A5は、被告空港会社に対し、①本件道路の人格的通行権又は憲法22条1項による通行権に基づく妨害排除請求権、②被侵害利益を本件道路の公道通行の自由権であることを前提とした不法行為による妨害排除請求権に基づいて、本件道路の通行妨害禁止及び工作物の撤去を求めるが、①及び②は、その権利の性質上、同原告ら3名が本件道路に有し ていた人格的利益や生活上の利益をその法律関係の基礎とするものであって、いずれも一身専属的なものであり、同原告ら3名の死亡に伴って承継されるものではない。 したがって、上記3名の原告らによる被告空港会社に対する訴訟は、同原告らの死亡により、終了したというべきである。 13 小括 以上のとおり、①原告亡A4、原告亡A5及び原告亡A6の被告成田市及び被告空港会社に対する訴訟は、同原告らが死亡したことにより、終了した(争点1)、②原告A1、原告A2及び原告A3を除く原告らは、本件取消訴訟について原告適格を有しない(争点2)、③本件路線廃止処分は、道路法10条1項の要件を満たすものであり、また、その処分において処分行政 、②原告A1、原告A2及び原告A3を除く原告らは、本件取消訴訟について原告適格を有しない(争点2)、③本件路線廃止処分は、道路法10条1項の要件を満たすものであり、また、その処分において処分行政庁に裁量権の逸脱又は濫用が あるとはいえないから、取り消されるべき違法はなく、また、本件路線廃止処分には、違憲、違法な点はない(争点3-1、3-2)、④処分行政庁は、本件道路について、本件路線廃止処分とは別に用途廃止処分をしたものではなく、取消の対象となる処分がない(争点4-1)、⑤被告空港会社に対する妨害排除請求権については、その前提となる法律関係を欠き(争点5-1、5-4ないし5-6)、 又は被告空港会社による本件道路の封鎖措置によって原告らの権利又は利益が侵害されたものとはいえない(争点5-2、5-3)。 その他、原告らは、種々の主張をするが、例えば、本件路線廃止処分についての行政処分の主体が異なる法令違反(航空法39条1項2号)を論拠とするものであって失当であるか、公道である本件道路の自由通行について法律上保護され た利益があることを前提とするものであって、いずれもこれまで説示した結論を左右するものではない。なお、原告らの文書提出命令の申立ては、これまで説示したところによれば、いずれもその必要性を欠くものであるから、これらを却下する。 なお付言するに、本件路線廃止処分によって、とりわけ原告A1は、耕作地(特 にM農地)における耕作上の不便が生じたものと認められる。原告A1は、代々この地において、農業により生計を営んできており、また、長年にわたって本件空港の建設及び拡張に対する反対を貫いてきた立場から、事前に十分な説明がないまま本件道路の廃止の通告がされ、通告から約5か月足らずで本件道路の封鎖措置が執られたこと ており、また、長年にわたって本件空港の建設及び拡張に対する反対を貫いてきた立場から、事前に十分な説明がないまま本件道路の廃止の通告がされ、通告から約5か月足らずで本件道路の封鎖措置が執られたことについて、憤りを感じていることは、当裁判所も理解すると ころである。これまでの長い紛争の経緯から、被告成田市は、本件路線廃止処分 について事前の説明をすると、原告らからの激しい反発が起こることを懸念したものとうかがわれるが、公道は沿道住民の重要なインフラであるから、その廃止に当たっては、利害関係のある住民に事前の丁寧な説明は必要ではなかろうか。 蛇足ではあるが、以上のとおり付言する。 第5 結論 以上によれば、①本件訴訟のうち、原告亡A4、原告亡A5及び原告亡A6の請求に関する部分は、同原告らが死亡したことにより、終了したものであり、②その余の原告らの被告成田市に対する請求については、㋐原告A1、原告A2及び原告A3を除く原告らは、原告適格を有しないから、不適法であるため、これらの請求に係る訴えを却下し、㋑原告A1、原告A2及び原告A3の被告成田市 に対する請求のうち、本件道路に係る用途廃止処分の取消しを求める部分に係る訴えは、存在しない処分の取消しを求めるものであって不適法であるから、これらを却下し、㋒原告A1、原告A2及び原告A3の被告成田市に対する請求のうち、本件路線廃止処分の取消しを求める部分は、理由がないから、いずれも棄却し、③原告亡A4、原告亡A5及び原告亡A6を除くその余の原告らの被告空港 会社に対する請求については、いずれも理由がないから、棄却すべきである。 よって、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官岡山忠広裁判官中畑洋輔裁判官蟻塚真) 主文 対する請求については、いずれも理由がないから、棄却すべきである。よって、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官岡山忠広裁判官中畑洋輔裁判官蟻塚真)

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