平成21(行ウ)28 更正及び加算税課税決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年3月2日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文85,342 文字)

- 1 - 主文 1 江東東税務署長が原告らそれぞれに対して平成19年2月13日付けでした,別紙A「処分目録」記載1~5の各処分をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求(なお,別紙A「処分目録」で定める略称等は,以下においても用いることとする。)主文と同旨第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は,原告らが,平成▲年▲月▲日の亡P1の死亡によって開始した相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税の申告をしたところ,江東東税務署長から,平成19年2月13日付けで別紙A「処分目録」記載1~5の各(1)記載の各相続税に係る更正処分及び同各(2)記載の各過少申告加算税賦課決定処分(同別紙記載1~5の各括弧書内の一部取消し及び減額の前後を問わず,上記の各相続税に係る更正処分を,以下「本件各更正処分」といい,上記の各過少申告加算税賦課決定処分を,以下「本件各賦課決定処分」という。)を受けたことにつき,①本件各更正処分は,本件相続に係る相続財産(以下「本件相続財産」という。)中の株式会社P2(以下「P2」という。)及びP3株式会社(以下「P3」といい,P2と併せて「本件各会社」という。)の各株式の価額の評価等を誤ってされたものであり,相続税法22条に違反するものである,②仮に上記①の点に誤りがなかったとしても,原告らにおいては,申告に係る納付すべき相続税額が過少であったことにつき国税通則法(以下「通則法」という。)65条4項にいう正当な理由があったというべきであるなどと主張して,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分(これらを併せて,以下 - 2 -「本件各処分」という。)の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙1「関係法令等の定め どと主張して,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分(これらを併せて,以下 - 2 -「本件各処分」という。)の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙1「関係法令等の定め」に記載したとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において明らかに争わない事実である。本項に掲げた事実を,以下「前提事実」という。)(1) 原告ら,P4及びP5は,いずれも平成▲年▲月▲日に死亡した亡P1の子であり,本件相続における共同相続人である(亡P1と原告ら,P4及びP5との親子関係につき甲2の1~5。なお,上記共同相続人を総称して,以下「本件相続人ら」という。)。 (2)ア P2は,昭和23年に設立された合成樹脂及び金属等による容器・キャップ・医療用具・医薬部外品等の製造及び販売等を目的とする資本金の額が4億3200万円の株式会社である(乙6)。本件相続の開始の日の直前期末である平成15年5月31日の時点における同社の総資産価額(帳簿価格)は2120億7568万0565円,従業員数は5291名であり,当該直前期末以前1年間である平成14年6月1日から平成15年5月31日までの事業年度における同社の取引金額は1882億0001万0637円であって(甲3),同社は大会社に当たる。 イ P3は,昭和41年に設立された不動産の取得及び管理等を目的とする資本金の額が9億9000万円の株式会社である(乙7)。本件相続の開始の日の直前期末である平成15年2月28日の時点における同社の総資産価額(帳簿価格)は98億2222万8821円,従業員数は5名以下であり,当該直前期末以前1年間である平成14年3月1日から平成15年 の直前期末である平成15年2月28日の時点における同社の総資産価額(帳簿価格)は98億2222万8821円,従業員数は5名以下であり,当該直前期末以前1年間である平成14年3月1日から平成15年2月28日までの事業年度における同社の取引金額は3億6845万2448円であって(甲3),同社は中会社に当たる。 - 3 -ウ本件相続の開始の時点(平成▲年▲月▲日)において,P2は,P3の発行済株式総数198万株のうち165万9240株(発行済株式総数の83.8%)を有しており,また,P3は,P2の発行済株式総数864万株のうち645万3400株(発行済株式総数の約74.7%)を有していたものである。なお,P2の株式(以下「P2株式」という。)及びP3の株式(以下「P3株式」といい,P2株式と併せて「本件各会社株式」という。)は,いずれも取引相場のない株式に当たるところ,本件相続の開始の時点におけるP2株式の価額を大会社についての原則的評価方式である類似業種比準方式を用いて評価すると,1株当たり4653円となる。 (3) 本件相続財産には,P2株式64万6400株及びP3株式17万8200株が含まれている。 (4) 原告らによる本件相続に係る相続税の申告(以下「本件申告」という。),本件各処分,本件各処分についての原告らの異議申立て及びこれらに対する江東東税務署長の各決定(以下「本件各異議決定」という。),これらの各決定を不服としての原告らの審査請求及びこれらに対する国税不服審判所長の各裁決(以下「本件各裁決」という。)並びに江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした本件相続に係る相続税の納付すべき税額を減額する内容の各更正処分(以下「本件各再更正処分」という。)及び本件各賦課決定処分に係る過少申告加算税の額を減 江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした本件相続に係る相続税の納付すべき税額を減額する内容の各更正処分(以下「本件各再更正処分」という。)及び本件各賦課決定処分に係る過少申告加算税の額を減額する内容の各賦課決定処分(以下「本件各変更決定処分」という。)の経緯は,それぞれ,被告別表1「課税の経緯」の1-1から1-5までの各表の「期限内申告」欄,「本件各処分」欄,「異議申立て」欄及び「同上決定」欄,「審査請求」欄及び「同上裁決」欄並びに「本件各再更正処分」欄に記載されているとおりである。 (5) 原告らは,平成21年1月21日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 - 4 - 4 本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張並びに相続税額に関する原告らの主張(1) 本件各処分の根拠及び適法性に関する被告の主張の要点は,後記6に被告の主張の要点として掲げたもののほか,別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」に記載のとおりである(なお,同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。 (2) 相続税額に関する原告らの主張の要点は,後記6に原告らの主張の要点として掲げたもののほか,別紙3「相続税額に関する原告らの主張」に記載のとおりである。 5 争点(1) 本件相続開始時に本件各会社が有していた資産(本件各会社株式を除く。)の価額に係る評価額(争点1)(2) P2が株式保有特定会社(評価通達189の(2))に該当するか否か(争点2)(3) 本件各会社株式の「時価」(相続税法22条)の評価方式及びその金額(争点3)(4) 原告らにつき通則法65条4項に規定する正当な理由が認められるか否か(争点4) 6 争点に関する当事者の主張の要点(1) 本件相続 法22条)の評価方式及びその金額(争点3)(4) 原告らにつき通則法65条4項に規定する正当な理由が認められるか否か(争点4) 6 争点に関する当事者の主張の要点(1) 本件相続開始時に本件各会社が有していた資産(本件各会社株式を除く。)の価額に係る評価額(争点1)ア原告らの主張の要点本件相続開始時に本件各会社が保有していた資産(本件各会社株式を除く。)の評価額は,①P2については,原告別紙3の「P2の資産及び負債」と題する表の「資産の部」の各「科目」欄(「有価証券(P3株式)」,「合計」,「株式等の価額」及び「株式保有割合」の各欄を除く。 - 5 -同原告別紙の個々の「科目」欄については,以下「原告別紙3の『現金』欄」のように略称する。)にそれぞれ対応する「原告らの主張」欄に記載されているとおりであり,②P3については,原告別紙1の「P3の資産及び負債」と題する表の「資産の部」の各「科目」欄(「有価証券(P2株式)」及び「合計」の各欄を除く。同原告別紙の個々の「科目」欄については,以下「原告別紙1の『現金』欄」のように略称する。)にそれぞれ対応する「原告らの主張」欄に記載されているとおりである。なお,原告らにおいて被告の主張と異なる評価額を主張している資産に関する原告らの主張は,次のとおりである。 (ア) 本件相続開始時にP2が保有していた資産の評価額についてaP3株式以外の株式(その内訳は,甲2の1~5の各表1-5の付表1参照)(a) P6株式会社(以下「P6」という。)の株式(甲2の1~5の各表1-5の付表1№5及び表3-1~6参照)P6の資産のうち,①仮払金(法人税2408万2900円及び都民税506万9900円)は,資産性がないことから0円と評価すべ )の株式(甲2の1~5の各表1-5の付表1№5及び表3-1~6参照)P6の資産のうち,①仮払金(法人税2408万2900円及び都民税506万9900円)は,資産性がないことから0円と評価すべきであり,②事業税還付金の額は745万3200円が正しい。 また,③平成15年5月にされた減額更正による還付金1億0346万0900円を未収税金として計上すべきであり,さらに,④平成16年の固定資産税6万7400円が負債として未払計上されていないので,これを負債に計上すべきである。以上を前提とすれば,P6の株式の1株当たりの評価額は2万1836円とすべきであり,P2が保有する8181株の評価額は合計1億7864万0316円となる。 (b) P7(以下「P7社」という。)の株式(甲2の1~5の各表1-5の付表1№2及び表2-1~3参照) - 6 -① 本件各異議決定及び本件各裁決においては,P7社の資産及び負債につき,直前期末である平成15年12月31日の時点における為替レートである1米ドル当たり118.30円を用いて米ドルを用いた評価額から円を用いた評価額への換算を行っているところ,上記の換算については,課税時期(課税時期が土曜日であったためその前日である平成16年2月27日)の時点における為替レートである1米ドル当たり108.57円を用いて行うべきである(評価通達4-3)。 ② P7社は, P8(アメリカ合衆国法人。以下「P8社」という。)に対して255万2263.50米ドルの債権を有していたが,同社が同国の連邦倒産法第11章(いわゆるチャプター11)の適用を受けて倒産したため,同社の再生計画に基づき,債権額の20%である50万9418.72米ドルについて,平成16年1月7日以降,3か月ごとに24回に分割して1回当たり2万1 チャプター11)の適用を受けて倒産したため,同社の再生計画に基づき,債権額の20%である50万9418.72米ドルについて,平成16年1月7日以降,3か月ごとに24回に分割して1回当たり2万1225.78米ドルずつの弁済を受けることとなった。評価通達によれば,上記債権のうち上記の50万9418.72米ドルを超える部分は,債権の価額には算入されず(同通達205の(2)のいわゆる柱書),また,22回目以降の弁済額合計6万3677.34米ドル)も,同様に債権の価額に算入されないことになるから(同通達205の(2)ロ),P8社に対する上記債権の評価額は,44万5741.38米ドルとなる。 ③ 以上を前提とすると,P7社の株式の1株当たりの評価額は288万6615円とすべきであり,P2が保有する900株の評価額は合計25億7995万3500円(原告らの主張のまま。 原告別紙3中の「P3以外の株式等」と題する表参照)となる。 b 仮払金 - 7 -原告別紙3の「P2の資産及び負債」と題する表の「資産の部」の「仮払金」の内訳は,同原告別紙の「仮払金」と題する表に記載されているとおりであるところ,これらの仮払金のうち「永年勤続表彰者」及び「給料」については,いずれも資産性がなく0円と評価すべきである。また,「海外旅費」については,1万米ドルのキャッシュであるため,課税時期(課税時期が土曜日であったので,その前日である平成16年2月27日)における為替レートである108.57円によって円を用いた評価額への換算をすべきであり,その評価額は108万5700円となる。 c 前払費用前払費用は,短期間で費用化されるものであり,資産性が無いものであるから,0円と評価すべきである。 d 外貨預金本件相続開 5700円となる。 c 前払費用前払費用は,短期間で費用化されるものであり,資産性が無いものであるから,0円と評価すべきである。 d 外貨預金本件相続開始当時,P2は,P9に係る当座預金1万0575.91米ドルを保有していたところ(原告別紙3の「当座預金」と題する表参照),本件各異議決定及び本件各裁決においては,上記預金は131万1672円と評価されていた。この評価額は,直前期末である平成15年12月31日の時点における為替レートである1米ドル=118.30円を用いて邦貨への換算を行ったものであるが,課税時期(課税時期が土曜日であったためその前日である平成16年2月27日)の時点における為替レートである1米ドル=108.57円を用いて行うべきであり,そうすると,P9に係る当座預金の評価額は114万8227円となる。 e 機械装置純資産価額の算定上,建物(建物に含まれる建物付属設備を含む。)以外の減価償却資産は,通常,未償却残高で評価されるところ, - 8 -その減価償却資産について特別償却(通常より割増をした償却)が行われている場合には,通常の減価償却が行われた場合より未償却残高が少なくなっている。機械装置(甲2の1~5の各表1の付表2「資産の部」)については,特別償却を行わなかった場合の未償却残高を計算し,これを評価額とするのが相当であるというべきであり,その総額は485億8828万3281円となる(甲46の1~3,51の1~3の2,52,53)。 f 土地(a) P2が保有する原告別紙17記載の各土地の評価額(時価)は,最低でも本件各裁決が用いた路線価による評価額(倍率方式による評価額を含む。以下同じ。甲3の別表4参照)に1.25を乗じた額(路線価 a) P2が保有する原告別紙17記載の各土地の評価額(時価)は,最低でも本件各裁決が用いた路線価による評価額(倍率方式による評価額を含む。以下同じ。甲3の別表4参照)に1.25を乗じた額(路線価による評価額を0.8で割り戻した額。以下「路線価割戻評価額」という。)であるものというべきであり,また,上記各土地のうち原告らにおいて行った価格調査(いわゆる簡易鑑定)による評価額が路線価割戻評価額を超えるもの(同別紙において「価格調査による額により評価」したとされているもの。)については,当該調査による評価額(甲23の1~8。以下「簡易鑑定による評価額」という。)を採用すべきである。 (b) すなわち,路線価は,「評価上の安全性をも考慮して評定した価額(地価公示価格と同水準価格の8割程度の価格)」(甲55)により評定されているものである。本件においては,P2が保有する上記各土地を路線価により評価すると,P2の有する各資産の評価額の合計額のうちに占める「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」の割合が25%を超え,P2株式は株式保有特定会社の株式として評価すべきこととなる結果,被告の主張によれば1株当たり1万9002円(本件相続財産に含まれる64 - 9 -万6400株では合計122億8289万2800円)となる一方,路線価と比較してより「時価」に近い価格である路線価割戻評価額及び簡易鑑定による評価額により上記各土地を評価すると,P2が株式保有特定会社に該当しないことになり,P2株式については原則的評価方式である類似業種比準価額方式により評価すべきことになって,その評価額は1株当たり4653円(64万6400株では合計30億0769万9200円)となる。このように,P2株式を評価するに当たり,同社が保有する資産を 準価額方式により評価すべきことになって,その評価額は1株当たり4653円(64万6400株では合計30億0769万9200円)となる。このように,P2株式を評価するに当たり,同社が保有する資産を評価の安全性を考慮した価額である路線価により評価すると,そうでない場合と比較して,その評価額が4倍に跳ね上がるというのであるから,上記各土地を評価通達の定める路線価方式により評価することは著しく不適当であり,それ以外の,客観的時価を超えることがなく,しかし客観的時価により近似する価額を求め得るような方法で評価するのが相当である(東京高裁平成11年8月30日判決・税務訴訟資料244号400頁参照)。 そして,路線価割戻価額及び簡易鑑定による評価額を用いた前記(a)のような評価方式は,客観的時価を超えることがなく,しかし客観的時価により近似する価額を求め得るような方法として合理的なものというべきである。 (c) したがって,P2が保有する原告別紙17記載の各土地の評価額(時価)は,同原告別紙の各「主張額」欄記載の価額(単位・円)に記載されているとおりである。 (イ) 本件相続開始時にP3が保有していたP7社の株式(甲2の1~5の各表17-5の付表3№2参照)の評価について前記(ア)a(b)のとおり,P7社の株式の1株当たりの評価額は288万6615円とすべきであるから,P3が保有する40株評価額は合計 - 10 -1億1466万4600円となる(原告らの主張のまま。原告別紙1中の「P2以外の株式」と題する表参照)。 イ被告の主張の要点本件相続開始時に本件各会社が保有していた資産(本件各会社株式を除く。)の評価額は,①P2については,被告別表13の「1.資産及び負債の金額(課税時期現在)」 イ被告の主張の要点本件相続開始時に本件各会社が保有していた資産(本件各会社株式を除く。)の評価額は,①P2については,被告別表13の「1.資産及び負債の金額(課税時期現在)」欄の「資産の部」の各「科目」欄(「有価証券(株式及び出資)」欄中の「P3」欄,「合計」欄を除く。)に対応する各「相続税評価額」欄に記載されているとおりであり,②P3については,被告別表9の「1.資産及び負債の金額(課税時期現在)」欄の「資産の部」の各「科目」欄(「有価証券(株式及び出資)」欄中の「P2」欄,「合計」欄を除く。)に対応する各「相続税評価額」欄に記載されているとおりである。なお,これらの各資産のうち,前記ア(ア)及び(イ)に掲げられているものに関する被告の主張は,次のとおりである。 (ア) 本件相続開始時にP2が保有していた資産の評価額についてaP3株式以外の株式(a) P6の株式① P6の株式に関する原告らの主張(前記ア(ア)a(a))のうち,仮払金(同①),事業税還付金(同②)及び未払固定資産税(同④)に関する部分は,相当なものというべきである。 ② 平成15年5月にされた減額更正による還付金(前記ア(ア)a(a)③)については,原告らは,その金額を明らかにする資料等を提出していないが,国税に関するものについては,甲11の1に記載された原告ら主張額(法人税還付金額については,平成13年3月期1426万6600円及び平成14年3月期4784万1800円。消費税還付金については,平成13年3月期209万1300円及び平成14年3月期745万0600円。)の - 11 -とおりである。一方,地方税に関するもの(地方税還付金及び事業税還付金)については,平成13年3月期分については,甲11の1に 300円及び平成14年3月期745万0600円。)の - 11 -とおりである。一方,地方税に関するもの(地方税還付金及び事業税還付金)については,平成13年3月期分については,甲11の1に記載された原告ら主張額(地方税還付金295万3200円,事業税還付金421万6100円)であるが,平成14年3月期分については,法人税額が4824万7700円から40万5900円に減額となっていることから,地方税還付金は990万3100円,事業税還付金は1481万9700円ということになる。したがって,上記還付金の金額は,合計1億0354万2400円ということになる。 ③ 前記①及び②を前提にすると,P6の株式の評価額は,1株当たり2万1835円(被告別表21の第3表「4.株式及び株式に関する権利の価額」欄内の「株式の評価額」欄の金額)となり,P2が保有するP6の株式8181株の評価額は,合計1億7863万2135円となる。 (b) P7社の株式①本件においては,原告らが主張するとおり,1米ドル当たり108.57円として,P7社の保有する資産及び負債の価額の邦貨換算をすることが相当である。②また,P7社のP8社に対する255万2263.50米ドルの債権については,同社の再生計画において切り捨てられる金額及び課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額の合計額210万6522.12米ドル(前記①による邦貨換算後の金額2億2870万5106円。 なお,原告らは,この額を2億2870万4000円と算定しているが,これは,原告らの計算過程における1ドル未満の金額を切り捨てているなどの端数計算の相違に起因するものと考えられる。)を除いて評価するのが相当である。 - 12 -以上を前提とすれば,P7社の株式の評価額は,1 算過程における1ドル未満の金額を切り捨てているなどの端数計算の相違に起因するものと考えられる。)を除いて評価するのが相当である。 - 12 -以上を前提とすれば,P7社の株式の評価額は,1株当たり286万6614円(被告別表22の第3表「4.株式及び株式に関する権利の価額」欄内の「株式の評価額」欄の金額)となり,P2が保有するP7社の株式900株の評価額は,合計25億7995万2600円となる。 b 仮払金(a) 原告らは,仮払金のうち11億7495万2300円が法人税に係るものである旨主張するが,原告らの主張する上記金額は,法人税に係る仮払金9億7376万3600円及び住民税に係る仮払金2億0118万8700円の合計金額である。そして,上記法人税及び住民税に係る仮払金については,原告ら主張のとおり,資産性は認められない。 (b) 原告らが資産性がないと主張する仮払金のうち,永年勤続表彰者に係る金員並びに給与及び海外旅費については,原告らはこれらの仮払金の資産性がないことを立証する証拠を提出しておらず,また,被告が調査した限りにおいても,原告らの上記主張を裏付ける事実は見当たらないから,資産性がないものとは認められない。 c 前払費用原告らは,前払費用は短期間で費用化されるものであり,資産性がないものであるから,零円で評価すべきである旨主張する。しかし,前払費用の資産計上の要否については,課税時期における資産性(財産性)の有無により決すべきものであるところ(乙23),原告らは,上記前払費用が資産性がないものであることを立証する証拠を提出しておらず,また,被告が調査した限りにおいても,原告らの上記主張を裏付ける事実も見当たらないから,原告らが主張する前払費用につい は,上記前払費用が資産性がないものであることを立証する証拠を提出しておらず,また,被告が調査した限りにおいても,原告らの上記主張を裏付ける事実も見当たらないから,原告らが主張する前払費用については,資産性がないものとは認められない。 - 13 -d 外貨預金(a) 本件においては,原告らが主張するとおり,1米ドル当たり108.57円としてP2が保有する外貨預金の邦貨換算をするのが妥当である。 (b) 原告らは,P9に係る当座預金131万1672円について,誤った為替相場(平成15年5月31日時点の為替相場である1米ドル当たり118.30円)に基づいて1万0575.91米ドルを円換算したものであると主張するようであるが,そもそも,原告らが主張する1万0575.91米ドルを上記為替相場(1米ドル当たり118.30円)に従って換算しても,131万1672円とはならない(1万0575.91米ドル×118.30円≒125万1130.15円となる。)。また,甲19の2には,平成15年5月31日現在のP9の当座預金として131万1672円と記載されている一方で,甲19の4には,P2がP9の当座預金として1万0575.91米ドルを保有していることを証する記載は見当たらず,被告の調査した限りにおいても,1万0575.91米ドルを保有している事実は見当たらない。したがって,原告らの上記主張は,その金額の算定根拠を欠いている。 e 機械装置原告らは,特別償却が行われている機械装置について,特別償却を行わなかった場合の未償却残高485億8828万3281円を評価額とすべきである旨主張する。 機械装置原告らは,特別償却が行われている機械装置について,特別償却を行わなかった場合の未償却残高485億8828万3281円を評価額とすべきである旨主張する。 しかし,被告が主張するP2の株式保有割合約25.9%(株式保有特定会社の判定上の割合は,1%未満の端数を切り捨てた25%となる。)は,P2の保有する株式及び出資の価額の合計額795億5 - 14 -158万1000円(被告別表13の○イ欄の金額)を同社の総資産価額3069億9835万5000円(同別表の①欄の金額)で除して算出されたものであるところ,仮に,上記総資産価額に,原告らの主張する機械装置の未償却残高の増加額(すなわち純資産価額の増加額)2億0010万7627円を加算して株式保有割合を算出したとしても同社の株式保有割合は約25.8%(同別表の○イ欄の金額795億5158万1000円を,同別表の①欄の金額3069億9835万5000円に機械装置の未償却残高の増加額2億0010万7627円を加算し,1000円未満の端数を切り捨てた金額3071億9846万2000円で除して算出)となるにすぎず,P2が株式保有特定会社に当たるか否かの判定には特段の影響はない。 また,P2株式について,評価通達189-3に定めるS1+S2方式により評価する場合,S1の金額(株式保有特定会社が有する株式等と当該株式等に係る受取配当収入がなかったとした場合の同社株式の会社規模に応じた原則的評価方式による評価額。評価通達189-3の(1))は,類似業種比準方式により評価した金額(被告別表18⑫欄の金額)又は純資産価額方式により評価した金額(同別表18⑬欄の金額)のいずれか低い金額となる(同別表18⑮欄の金額)。そして,被告主張に係るP2 似業種比準方式により評価した金額(被告別表18⑫欄の金額)又は純資産価額方式により評価した金額(同別表18⑬欄の金額)のいずれか低い金額となる(同別表18⑮欄の金額)。そして,被告主張に係るP2株式のS1の金額は,類似業種比準方式により評価した金額4504円(同別表18⑮欄の金額)となるところ,仮に,同社の資産の価額に,原告らの主張する機械装置の未償却残高の増加額(すなわち純資産価額の増加額)2億0010万7627円を加算して純資産価額方式により評価したとしてもなお,類似業種比準方式により評価した金額の方が低額となることに変わりはない。なお,P2株式に係るS1の金額を類似業種比準方式により算出する場合に,上記純資産価額の増加額が影響することはなく,したがって,仮に,原 - 15 -告ら主張に係る機械装置の評価額を前提としても,結局のところ,被告主張に係るP2株式の評価額に影響はなく,その結果,P3株式の評価額にも影響がない。 以上のとおり,仮に,原告ら主張に係る機械装置の評価額を前提としても,被告主張に係るP2の株式保有特定会社の判定や本件各会社の株式に係る各評価額には何ら影響はない。 f 土地(a) 株式保有特定会社の判定は,飽くまでも,課税時期において評価会社の有する「各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合」(株式保有割合)が評価通達189の(2)に定める基準(大会社につき25%,中会社及び小会社につき50%)を超えているか否かによって行われるべきものであるから,路線価割戻価額を基に株式保有割合を計算するという原告ら主張の方法に合理性がないことは明らかである。 (b) 原告らは,評価通達は,その6において,同通達に定める評価方式を画 べきものであるから,路線価割戻価額を基に株式保有割合を計算するという原告ら主張の方法に合理性がないことは明らかである。 (b) 原告らは,評価通達は,その6において,同通達に定める評価方式を画一的に適用すると著しく課税の公平を欠くこととなる場合に,個々の財産の価額に応じた適正な時価評価が行えるよう定めているところ,本件では,評価の安全性を考慮した結果として,かえって株価が跳ね上がるという事態が生じているのであり,これは正に,「評価通達に定める評価方式を画一的に適用することによって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合」に当たる旨主張する。 しかしながら,そもそも本件各会社株式の評価額は,別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」の第3の2のとおり算定されるべきであり,当該算定された評価額が正に適正な評価額である - 16 -から,「株価が跳ね上がる」と認識すること自体が誤りである。 また,その点はおくとしても,原告らは,路線価割戻評価額により評価すべきものとする各土地(原告別紙17記載の各土地のうち,簡易鑑定による評価額により評価したもの以外のもの。)について,「評価通達に定められた評価方式を画一的に適用することによって,かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らか」な具体的事情を何ら主張立証していない。原告らは,結局のところ,P2の株式保有割合を引き下げる手段として,同社が保有する土地の一部につき,その評価額をし意的に引き上げているにすぎない 。 (c) 特定の納税者あるいは特定の相続財産についてのみ評価通達に定める方式以外の方法によってその評価を行うことは,たとえその方法による評価額がそれ自体としては相続税法22条の (c) 特定の納税者あるいは特定の相続財産についてのみ評価通達に定める方式以外の方法によってその評価を行うことは,たとえその方法による評価額がそれ自体としては相続税法22条の定める時価として許容できる範囲内のものであったとしても,納税者間の実質的な租税負担の公平を欠くことになるため許されないというべきであって,評価通達に定める評価方式を画一的に適用することによって,かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合に初めて,評価通達6により国税庁長官の指示を受けて評価することとなるというべきところ,原告らは,簡易鑑定による評価額(甲23の1~8)によるべきとする各土地(原告別紙17記載の各土地のうち,「価格調査による額により評価」したとされているもの。)について,評価通達に定める評価方式によらず調査価格によるべきとする根拠,すなわち「評価通達に定められた評価方式を画一的に適用することによって,かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らか」な具体的な事情を一切明らかにしていない。仮に,原告らにおいて路線価割戻評価額により評価すべきものとした各土地についてと同様,「本件では,評価の安全性を考 - 17 -慮した結果として,かえって株価が跳ね上がるという事態が生じて」いることをその根拠とするのであれば,原告らの主張が失当であることは,前記(b)で述べたとおりである。 (イ) 本件相続開始時にP3が保有していたP7社の株式の評価について前記(ア)a(b)のとおり,P7社の株式の1株当たりの評価額は286万6614円とすべきであるから,P3が保有する40株評価額は合計1億1466万4560円となる。 (2) P2が株式保有特定会社(評価通達189の(2))に該 株式の1株当たりの評価額は286万6614円とすべきであるから,P3が保有する40株評価額は合計1億1466万4560円となる。 (2) P2が株式保有特定会社(評価通達189の(2))に該当するか否か(争点2)ア原告らの主張の要点(ア) 評価通達の定めの非合理性a 会社の有機的事業体としての価値を反映した上場会社に対する株式市場の評価を基にして類似業種の非上場会社の株式を評価する類似業種比準方式は,少なくとも上場会社との比較に適している大会社の株式については,純資産価額方式よりも明らかに優れている。また,会社の有機的事業体としての価値が各会社資産の時価を単純に合計したものを上回る保証はなく,純資産価額方式による評価が株式の最低限の価額を示すということもない。したがって,P2のような大会社の株式については,原則として類似業種比準方式をもって評価すべきであり,純資産価額方式そのもの又は純資産価額方式を加味した別の評価方式を用いることが許容されるのは,そのような原則からの逸脱に関して合理的な必要性が存在する場合において,その必要性の面から合理的な範囲内に限られるものというべきである。 b 前記aのとおり,大会社の株式については類似業種比準方式をもって評価するのが原則ではあるが,株式を保有させる目的で用意した持株会社に保有株式を譲渡して,その譲渡された株式の時価が持株会社 - 18 -の株式の評価額に反映されないような状態を作出することによる節税ないし租税回避行為に対応するため,そのような持株会社の株式について,類似業種比準方式ではなく,純資産価額方式又は純資産価額方式を加味した評価方式を用いることは合理的であり,その意味では,株式保有特定会社の株式について特別の評価方式が設けら 持株会社の株式について,類似業種比準方式ではなく,純資産価額方式又は純資産価額方式を加味した評価方式を用いることは合理的であり,その意味では,株式保有特定会社の株式について特別の評価方式が設けられていること自体には合理性がある。 しかし,資産中に占める土地等の割合が70%以上(土地等以外の資産の割合が30%以下という非常に低い割合)となっている会社のみを土地保有特定会社とする評価通達189の(3)に定める土地保有特定会社に関する基準とは異なり,大会社につき株式保有割合が25%で株式等以外の資産の割合が75%と相当高い割合となっている会社をも一律に株式保有特定会社とする同通達189の(2)の定める基準は,合理性に欠ける。すなわち,そのような基準では,被告の主張するように,平均的な会社における株式等以外の資産の割合が80%台であったとしても,それが75%へと平均的な会社のそれから多少低下するだけで,株式保有特定会社に該当することになってしまい,問題であるし,類似業種比準方式において標本会社とされる会社には,株式保有割合が100%に近い持株会社も含まれており,形式的に株式保有割合が高い持株会社であることのみをもって,類似業種比準方式による評価という原則から逸脱する合理性はない。節税ないし租税回避行為としての要素が現に存在するか,少なくともそのような要素の存在が明らかに推認できるような状況において初めて,株式保有特定会社の株式としての特別の評価方式を用いることに合理性があるというべきである。 c 被告が評価通達189の(2)に定める基準の合理性の根拠として掲げる法人企業統計に基づく数値でも,有価証券が総資産に占める割合 - 19 -は,本件相続が生じた平成15年度において17.39%であり,25%から大きく離れた数値とはいえな 理性の根拠として掲げる法人企業統計に基づく数値でも,有価証券が総資産に占める割合 - 19 -は,本件相続が生じた平成15年度において17.39%であり,25%から大きく離れた数値とはいえない。しかも,かかる法人企業統計に基づく数値は,簿価に基づく数値であって,一般的な企業における時価による株式保有割合が10%台であることについては何も裏付けがないところ,時価と簿価はかい離していることが一般的であるし,かかる時価と簿価のかい離が非常に大きなものとなっていることもよくあることである(P2も,簿価によれば株式保有割合は約3.6%である。)。被告は,あたかも原告らの側で一般的な企業における時価による株式保有割合が25%以上であることを示す必要があるかのように主張するが(後記イ(ア)e),株式保有割合25%以上という基準の合理性については,そのような基準を定立した被告側においてその裏付けを示すべきである。 d 例えば,株式保有割合50%超というようなその数値だけで持株会社と分類することに合理性のある数値を用いるのならばともかくとして,株式保有割合25%以上という数値のみをもって持株会社と位置づけることは通常はない数値であり,かつ,一般的な企業における株式保有割合と著しくかい離していることが明らかでもない数値をもって,一律に株式保有特定会社としてしまうという基準は,相当ではない。株式保有割合25%以上という数値を用いるのならば,せいぜい株式保有割合25%以上の会社については節税ないし租税回避行為としての要素が存在するか否かを重点的に審査するとでもいうように,株式保有特定会社としての最終的な認定に必ずしも直結しない基準として用いるのが,合理性の面から許容できる限度であるものというべきである。 (イ) 評価会社と するとでもいうように,株式保有特定会社としての最終的な認定に必ずしも直結しない基準として用いるのが,合理性の面から許容できる限度であるものというべきである。 (イ) 評価会社と他の会社との間で株式の持ち合い関係がある場合における,株式保有割合の計算方法 - 20 -a 通達は,税務当局における法令の統一的な執行を確保する機能を果たすための上級行政庁から下級行政庁への命令ないし指針であり,税務当局における一種のマニュアルとしての役割を果たすものである。 通達に正面から定められていない事項につき,通達の部分的な文言にこだわり,それ自体を解釈の対象とするのは,マニュアルに正面から定められていない事項につき,その部分的な文言にこだわり,それのみに基づきマニュアル対象業務の解決を図ろうとするのと同様であって,正しい手法とはいえない。 評価通達189の(2)は,評価会社の株式保有割合の計算において分母及び分子に当てはめるべき評価会社の各資産の評価につき,「この通達に定めるところ」による旨を定めているところ,同項が株式保有割合という株式保有特定会社に該当するか否かの基準に関する定めであることからすれば,同項にいう「この通達に定めるところ」とは,同通達のそれ以外の部分を指すと考えるのが自然であるとも考えられるのであって,そこに株式保有特定会社等の株式の評価に関する定めも含まれるのかどうかは,同通達の文言自体から明らかなわけではなく,評価会社が保有する他の会社の株式の評価につき,当該他の会社が株式保有特定会社に該当することを考慮しなければならないかどうかにつき正面から答える定めが同通達にあるわけでもない。 b 被告が主張するように,評価会社の株式保有割合を計算するに当たり,評価会社と株式の持ち合い関係 とを考慮しなければならないかどうかにつき正面から答える定めが同通達にあるわけでもない。 b 被告が主張するように,評価会社の株式保有割合を計算するに当たり,評価会社と株式の持ち合い関係がある他の会社が株式保有特定会社に該当するか否かを判断しなければならないとすると,当該他の会社が保有する株式を発行している評価会社が株式保有特定会社に該当するか否かをまず判断しなければならないことになるから,判断しなければならないことが堂々巡りをしてしまう結果となり,妥当ではない。評価会社が株式保有特定会社に該当するか否かを判断するために - 21 -評価会社の株式保有割合を計算する場合において,評価会社と他の会社との間で株式の持ち合い関係があるときは,当該他の会社が株式保有特定会社に該当するか否かに関係なく,評価会社が保有する当該他の会社の株式を原則的評価方式で評価して評価会社の株式保有割合を計算すべきである。 平成16年12月に東京国税局課税第一部の資産課税課及び資産評価官が作成した資産税審理研修資料(甲4)においても,上記のような株式保有割合の計算方法が支持されている。被告は,甲4は,簡便性の見地から採り得る判定方法として示されたものにすぎず,本件においてはそのような簡便な判定方法を用いるのは合理性がない旨主張するが,いくら精緻な計算により株式保有割合を計算しようとも,その計算された株式保有割合が25%以上であることにより,持株会社としての実態があることが裏付けられるとはいえないし,ましてや節税ないし租税回避行為としての要素があるなどとは結論付けられない。 そうである以上は,株式保有割合を無駄に精緻に行うことよりも,持株会社としての実態があるか否かを考慮する方が,株式保有特定会社の株式としての特別の評価方式を用い 要素があるなどとは結論付けられない。 そうである以上は,株式保有割合を無駄に精緻に行うことよりも,持株会社としての実態があるか否かを考慮する方が,株式保有特定会社の株式としての特別の評価方式を用いる場合を画する基準として,はるかに合理的である。 (ウ) P2が株式保有特定会社に該当しないことaP2は,5000人以上の従業員を擁し,化粧品,シャンプー・リンス,薬品,洗剤,食品等のペットボトル,容器等の製造販売により売上高1882億円を有する,合成樹脂容器の製造販売では我が国トップシェアを誇る一流企業であり,また,被告の主張によっても,P2の株式保有割合は26%程度であって,それは異常と決め付けられるような数値ではない。上記のように大半のリソースは自ら行う事業に用いており,またほとんどの利益は自ら行う事業から得ているP2 - 22 -は,株式保有目的の持株会社には該当せず,ましてや原告ら株主が本来直接保有しているはずの株式を間接保有に切り替えるために用意した持株会社ではない。したがって,前記(ア)dにおいて述べたとおり,株式保有割合25%以上という基準を,節税ないし租税回避行為としての要素が存在するか否かを重点的に審査する対象を画するというような株式保有特定会社としての最終的な認定に必ずしも直結しない基準として用いた場合,P2は,株式保有特定会社として取り扱われるべき会社ではない。 b 別紙3「相続税額に関する原告らの主張」第1の1の第1段落のとおり,本件各会社がそれぞれ保有する資産等を本件各異議決定及び本件各裁決に記載されている価額で評価した場合(ただし,P2保有のP3株式は,前記(イ)bにおいて述べたところに従い,原則的評価方式により評価した。)であっても,P2の株式保有割合は約18%にすぎず,大会 決に記載されている価額で評価した場合(ただし,P2保有のP3株式は,前記(イ)bにおいて述べたところに従い,原則的評価方式により評価した。)であっても,P2の株式保有割合は約18%にすぎず,大会社を株式保有特定会社と評価すべき基準として評価通達189の(2)が定める25%を下回るので,P2が株式保有特定会社に当たらないことは明らかである。 c 仮に,被告主張のとおり,株式保有割合の計算に当たってP2保有のP3株式を株式保有特定会社の株式として評価すべきものであるとしても,前記(1)アにおいて述べた本件各会社の保有する資産等の正しい評価額を反映させると,別紙3「相続税額に関する原告らの主張」第1の1の第2段落のとおり,P2の株式保有割合は約24. 6%となり,25%に達しないことになるから,やはりP2は株式保有特定会社に当たらないこととなる。 d 被告は,株式保有割合を算出する算式の分子となる「株式及び出資の価額の合計額」に含めていなかったP10優先株式(甲2の1~5の各表1-5の付表4の№1参照)につき,評価通達188-4及び - 23 -188-5の定めを挙げるとともに,国税庁のホームページに掲載された種類株式の評価に関する質疑応答事例の写し(乙31)を提出して,同通達189の(2)にいう「株式」とは旧商法上の株式をいうから,上記「株式及び出資の価額の合計額」に含めるべきものである旨主張する。 しかし,評価通達188-4及び188-5は,いずれも特殊な種類株式の評価に関する定めであって,「株式」の意義について定めたものではなく,また,乙31においても「株式とは何か」が定義されているわけではないから,上記のような被告の主張の根拠とはならない。乙31では,被告のいう「P10優先株式とその内容がほぼ同一の株式」を,株式で く,また,乙31においても「株式とは何か」が定義されているわけではないから,上記のような被告の主張の根拠とはならない。乙31では,被告のいう「P10優先株式とその内容がほぼ同一の株式」を,株式であるにもかかわらず「利付公社債」という債券に準じて評価すべきものとされているのであるから,株式保有特定会社の判定に際して問題となる「株式」の解釈に当たっても,実質的に債券と同様の性質を有する株式はこれを除くという結論を導くことも容易である(本件各異議決定においては,このように解釈したからこそ,わざわざ「有価証券(株式及び出資)」とは区別して「有価証券(その他)」という項目を立てた上で,P10優先株式を後者に含めることとし,その価額を「株式及び出資の価額の合計額」から除外したのではないかと考えられる。)。 また,仮に,P10優先株式の価額が「株式及び出資の価額の合計額」に加算されるとしても,P2の株式保有割合が25%未満となることに変わりはない。 イ被告の主張の要点(ア) 財産評価の原則と評価通達の定めの合理性a 相続税法22条にいう「時価」とは,相続開始時における当該財産の客観的な交換価格をいうものと解すべきであるが,課税実務上は, - 24 -評価通達に定められた画一的な評価方式によって相続財産を評価することとされている。これは,相続財産の客観的な交換価格を個別に評価する方法を採ると,その評価方式,基礎資料の選択の仕方等により異なった評価額が生ずることを避け難く,また,課税庁の事務負担が重くなり,課税事務の迅速な処理が困難となるおそれがあること等から,あらかじめ定められた評価方式により画一的に評価する方が,納税者間の公平,納税者の便宜及び徴税費用の節減という見地から見て合理的であるという理由に基づくもの 処理が困難となるおそれがあること等から,あらかじめ定められた評価方式により画一的に評価する方が,納税者間の公平,納税者の便宜及び徴税費用の節減という見地から見て合理的であるという理由に基づくものと解される。そうすると,特に租税平等主義という観点からして,評価通達に定められた評価方式が合理的なものである限り,これを画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって,かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかな場合を除き,特定の納税者ないし相続財産についてのみ同通達に定める方式以外の方法によって評価を行うことは,その方法による評価額がそれ自体としては相続税法22条の定める時価として許容できる範囲内のものであったとしても,納税者間の実質的負担の公平を欠き,許されないというべきである。 殊に,本件各会社株式のような取引相場のない株式にあっては,市場価格が形成されていないため,合理的と考えられる評価方式によって時価を評価するほかなく,同通達の定める評価方式が合理性を有する限り,それによって得られた評価額をもって「時価」と推定することを妨げないというべきである。 b 評価通達は,評価会社の事業規模に応じて異なる評価方式を採用し,そのうち類似業種比準方式は,大会社(上場会社に匹敵するような事業規模の評価会社)の株式について適用される方式である。 しかし,大会社の中には,上場会社に比べて会社の総資産のうちに占める各資産の保有状況が株式や土地などの特定の資産に偏った会社 - 25 -等も見受けられる。このような会社の株式の価額は,その保有する株式や土地等の価値に依存する割合が高いものと考えられ,かかる会社の株式については,一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行い難く, うな会社の株式の価額は,その保有する株式や土地等の価値に依存する割合が高いものと考えられ,かかる会社の株式については,一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行い難く,同方式による評価額と適正な時価との間に開差を生ずることになる。そして,この開差がこれを利用した租税回避行為の原因にもなっていることから,課税の公平の観点から,そのような開差の是正及び評価の一層の適正化を図る目的で,平成2年8月3日付け直評12・直資2-203をもって評価通達の一部改正(この改正を,以下「評価通達の平成2年改正」という。)が行われたものであり,同改正により定められた同通達189は,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等が一般の会社と異なる「株式保有特定会社」等の株式につき,「特定の評価会社の株式」として特別な評価方式により評価することとした(具体的な評価方式は,同通達189-2以下において定められている。)。 c ①株式保有特定会社に該当するか否かを判断する際の株式保有割合を大会社25%,中会社及び小会社50%とし,②株式保有特定会社の株式の評価方式としてS1+S2方式を設けた評価通達の平成2年改正の背景と趣旨について,当該改正当時の担当官は,次のとおり説明している(乙11)。 (a) 前記①について株式保有割合25%又は50%という基準は,当時の会社の株式保有割合の実態を調査した上で設けたものであるところ,大会社についての25%という数値自体,一般の会社に比べたらかなり異常な数字である。すなわち,法人企業統計等では,資本金10億円以上の会社の株式保有割合は7.8%との数字があるが,これを実際の相続税評価額ベースに直すとそれを若干下回ると考えられ,2 - 26 -5%でも一般会社の3,4倍という 計等では,資本金10億円以上の会社の株式保有割合は7.8%との数字があるが,これを実際の相続税評価額ベースに直すとそれを若干下回ると考えられ,2 - 26 -5%でも一般会社の3,4倍という数字になるから,そこで線引きをする理由はある。 (b) 前記②について株式保有特定会社の株式の評価においてS1+S2方式が採用された理由は,純資産価額方式に対して簡便法を設ける必要があることと,実際に事業を行っている部分について,類似業種比準方式をできるだけ認めたいということの2点にある。 d(a) 甲5においては,評価通達189の(2)において株式保有特定会社に該当する基準が大会社につき株式保有割合25%と定められている根拠につき,大会社に属する会社の株式保有割合の実態を調査した上で,その平均的な保有割合の倍くらいの数値として25%の基準を設定した旨述べられている。これを法人企業統計(乙12の1・2)の数字で実際に確認してみると,平成元年度(調査期間は平成元年4月1日~平成2年3月31日)では,資本金10億円以上の金融業及び保険業を除くすべての業種の営利法人(本邦に本店を有する合名会社,合資会社,合同会社及び株式会社をいう。)全数について,流動性資産の「有価証券」(売買目的有価証券及び1年内に満期の到来する有価証券等をいう。)と固定資産の「投資有価証券」(関係会社株式等が投資有価証券に区分される。)を合計した有価証券(以下,単に「有価証券」という。)の全資産(ただし,評価通達により純資産価額を計算する際,「繰延資産」は資産に計上していないことから,当該計算においても控除。以下同じ。)に占める割合は11.78%であり,固定資産の「投資有価証券」のみが総資産に占める割合は7.38%である。また,評価通達改正年 は資産に計上していないことから,当該計算においても控除。以下同じ。)に占める割合は11.78%であり,固定資産の「投資有価証券」のみが総資産に占める割合は7.38%である。また,評価通達改正年の平成2年度(調査期間は平成2年4月1日から平成3年3月31日)の上記営利法人における,有価証券が総資産に占め - 27 -る割合は12.30%であり,固定資産の「投資有価証券」のみが総資産に占める割合は7.88%であって,上記の25%という基準の根拠とされた数値と整合している。 なお,これを相続開始日である平成▲年▲月▲日を含む平成15年度(調査期間は平成15年4月1日~平成16年3月31日)について確認すると,上記営利法人において,有価証券が総資産に占める割合は17.39%であり,固定資産の「投資有価証券」のみが総資産に占める割合は16.31%である(乙13)から,上記通達改正当時の数値に比し,資本金10億円以上の法人における株式保有割合は上昇している。この理由としては,①平成9年の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)の改正により,持株会社の規制が解かれたことや,②当該持株会社が解禁されたことを契機として,企業の組織再編に必要な商法等の整備が進められたことなどが挙げられるが,当該数値は,評価通達189の(2)に定める25%の基準に比し,なお低い水準であって,平成15年度の法人企業統計に表れた株式保有割合の数値が,平成2年の評価通達改正時における平成元年度及び同2年度の各数値よりも高いことをもって,上記評価通達189の(2)が定める基準が直ちにその合理性を失うものではない。 (b) また,評価通達189-3に定めるS1+S2方式については,前記c(b)のとおり 高いことをもって,上記評価通達189の(2)が定める基準が直ちにその合理性を失うものではない。 (b) また,評価通達189-3に定めるS1+S2方式については,前記c(b)のとおり,株式保有特定会社においても実際に事業を行っていることが評価額に反映されるようにするために,本来の事業に係る部分については類似業種比準方式により評価することを認め,評価会社の所有する資産のうち株式等についてのみ純資産価額としての価値を反映させようとするものであり,それらの株式等の影響を排除した後の「一般の評価会社」としての会社の事業実態に応じ - 28 -た原則的評価方式による評価額をも併せ考慮しているのであるから,このようなS1+S2方式によって評価することも株式保有特定会社の株式の評価方式として合理的な方法というべきである。 e 法人企業統計における企業の有する資産の価額が簿価に基づき計算されていることは否定しないが,各企業によって,所有する資産の種類,取得時期及び取得価額,有価証券の時価等は千差万別であり,全ての法人について,簿価により株式保有割合を算出した方が相続税評価額により算出されたそれよりも割合が低くなるというような状況になるとは限らない。むしろ,乙11でも指摘されているように,相続税評価額に置き換えることによって土地の含み益も顕在化することになるから,その場合,株式保有割合は更に低いものになることが十分想定される。したがって,平成15年度において,法人企業統計の対象法人における株式保有割合を時価に基づいて計算すると,法人企業統計に基づく平均値を超えて25%以上となっているものと見ることはできないから,評価通達189の(2)に定める前記c①の基準(大会社に関するもの)が不合理であるとはいえない。 (イ) 評価 統計に基づく平均値を超えて25%以上となっているものと見ることはできないから,評価通達189の(2)に定める前記c①の基準(大会社に関するもの)が不合理であるとはいえない。 (イ) 評価会社と他の会社との間で株式の持ち合い関係がある場合における株式保有割合の計算方法に関する原告らの主張についてa 原告らは,評価会社と評価会社が保有する株式の発行会社との間で株式の持ち合い関係がある場合には,当該発行会社が株式保有特定会社に該当するか否かに関係なく,その評価会社が保有する株式を原則的評価方式で評価して評価会社が株式保有特定会社に該当するか否かを判断することが妥当であり,甲4によれば,このような判定方法は税務当局においても採用されているなどと主張する。 しかし,評価通達189の(2)は,評価会社の株式保有割合の算定に当たっては「評価会社の有する各資産をこの通達に定めるところに - 29 -より評価した価額」による旨定めているのであるから,評価会社の保有する取引相場のない株式についても「この通達に定めるところにより評価」すること,すなわち,同通達189が準用する同通達178ただし書にいう「特定の評価会社の株式」に当たるか否かを考慮した上で,評価会社の株式保有割合を決定することは明らかである。また,甲4は,その体裁から明らかなとおり,東京国税局管内の資産課税部門の審理担当職員が担当する納税相談事務ないし納税申告書等の審理事務に資する目的の下,各税務署等に寄せられた個別の相談事例を基にして各法令や関係通達の適用に当たり留意すべき事項を掲載した部内研修の資料であり,その位置付けは飽くまで研修教材にすぎないのであって,税務執行に当たり統一的に事務処理を行うための基準を定めた行政部内における上級官庁から下級官庁に対する職 べき事項を掲載した部内研修の資料であり,その位置付けは飽くまで研修教材にすぎないのであって,税務執行に当たり統一的に事務処理を行うための基準を定めた行政部内における上級官庁から下級官庁に対する職務命令である通達とはその性格をおよそ異にするものである。 b 甲4に記載された株式保有特定会社該当性の判定方法(以下「甲4記載の判定方法」という。)は,以下の考え方に基づくものである。 すなわち,評価会社と同社が保有する取引相場のない株式の発行会社の間で相互に株式を持ち合っている場合には,一方の会社の総資産価額(相続税評価額)の計算上,他方の会社の株式の価額が影響し,これが互いに連鎖することから,株式保有割合,すなわち各社が株式保有特定会社に当たるか否かについても一義的に確定できない場合があり,かかる場合は,いずれか一方の会社が株式保有特定会社に該当するか否かを判定するに先立ち,他方の会社の株式に係る評価上の区分(評価方式)を仮に決定し,その価額を算定しなければならないという循環に陥ることになる。この点,理論上は,相互に取引相場のない株式を持ち合っている各評価会社の一方が「株式保有特定会社」に当たるか否かの判定に当たっては,他方の会社の株式についても純資 - 30 -産価額方式(相続税評価額)により評価した価額をもって算定するのが相当であると考えられるが,その一方で,評価会社が保有する取引相場のない株式の発行会社の中には上場会社に匹敵するような事業規模の会社もあり,それらの会社の株式について一律に純資産価額方式(相続税評価額)によるとすることは,評価通達の合理性を担保している一要素である納税者の便宜及び徴税費用の節減という「簡便性」の見地に照らし,煩瑣な点は否定できないことなどからすれば,相互に株式を持 相続税評価額)によるとすることは,評価通達の合理性を担保している一要素である納税者の便宜及び徴税費用の節減という「簡便性」の見地に照らし,煩瑣な点は否定できないことなどからすれば,相互に株式を持ち合う各評価会社のいずれもが株式保有特定会社に当たるか否かを一義的に確定できない場合は,株式保有割合の算定に当たり,ある程度簡便性に考慮した方法によることも許容されるものと解され,株式保有割合が極めて高い場合(明らかに株式保有特定会社に当たるような場合)などではない限り,相互保有株式につき「一般の評価会社」に適用される事業規模に応じた原則的評価方式による価額をもって評価会社の株式保有割合を算定することにも相応の合理性があると考えられる。そこで,甲4においては,相互に株式を持ち合っている評価会社がそれぞれ「株式保有特定会社」に該当するか否かを判定するに当たっては,原則として双方の会社の株式を事業規模に応じた原則的評価方式で評価し,株式保有割合を算定することとしているのである(同号証131ページ)。 このように,甲4記載の判定方法は,相互に株式を持ち合っている評価会社がそれぞれ「株式保有特定会社」に該当するか否かを判定するに当たり,そのいずれもが「株式保有特定会社」に該当するか否かが不明な場合において,専ら簡便性の見地から採り得る判定方法として示されたものであって,その研修教材としての性格から,自ずと一般的・標準的な事例に対して採用されることを想定したものである。 したがって,甲4記載の判定方法を個別事案に対して採用するに当た - 31 -っては,相続税法22条にいう「当該財産の取得の時における時価」に照らして妥当性があるか否かを検証することが不可欠である。甲4記載の判定方法は,本件のように相互に株式を持ち合う評価会社の 31 -っては,相続税法22条にいう「当該財産の取得の時における時価」に照らして妥当性があるか否かを検証することが不可欠である。甲4記載の判定方法は,本件のように相互に株式を持ち合う評価会社の一方が明らかに株式保有特定会社に当たるような事例にまで一律に採り得る方法として示されたものではない。 c これを本件についてみれば,①P3は,保有するP2株式を除いても株式保有特定会社に該当するのであって(別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」第3の1(4)ウ),P3株式の評価上の区分は一見して明らかであるから,本件は,そもそも,甲4記載の判定方法が前提とするような,相互に取引相場のない株式を持ち合う各評価会社の株式の評価方式を決定するに当たり,一方の株式の評価方式を仮に決定しなければならないという循環に陥る事例ではない。②また,評価通達189の(1)~(5)に掲げる「特定の評価会社の株式」について,類似業種比準方式の適用を制限し,あるいは排除し,原則として純資産価額方式(相続税評価額)により評価することとしている(同通達189-2~189-5)理由は,そのような会社の株式については類似業種比準方式により適正な株価の算定を行い難いという点にあるが,本件のように相互に株式を持ち合う一方の会社が一見して「特定の評価会社」に該当する事例においても,同社株式につき事業規模に応じた原則的評価方式による価額をもって他方の会社の株式保有割合を算定すると,評価通達189の(2)が準用する同通達178ただし書の定めに背理し,評価通達が評価の適正化を図るため「特定の評価会社の株式」という評価上の区分を設け,別途評価方式を定めた評価通達の平成2年改正の趣旨をも没却する。③さらに,原告らも,仮に本件においてP3がP2株式を保有していなかっ 正化を図るため「特定の評価会社の株式」という評価上の区分を設け,別途評価方式を定めた評価通達の平成2年改正の趣旨をも没却する。③さらに,原告らも,仮に本件においてP3がP2株式を保有していなかったとした場合,すなわち,両社が株式の持ち合い関係にない場合には,P2の株 - 32 -式保有割合を算定するに当たり,同社が保有するP3株式につき株式保有特定会社の株式として評価することを争うものではないと考えられるが,原告らの主張に従うと,この場合,P3がP2株式をわずか数株でも保有するに至り,両社が株式の持ち合い関係になりさえすれば,P3株式は併用方式により評価することになって不合理である。 このように,P2の株式保有割合の算定に当たり,総資産の大半を株式等で占めているP3株式をあえて「一般の評価会社」に適用される併用方式により評価するということには合理性が認められず,P2の株式保有割合は,P3株式につき「株式保有特定会社の株式」として評価した価額をもって算定すべきである。 (ウ) P2が株式保有特定会社に該当することa 前記(1)イにおいて述べた本件各会社の保有する資産等の評価額を前提とすれば,別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」第3の1(4)オの第1段落のとおり,P2の総資産価額(相続税評価額)は3069億9835万5000円となり,そのうち株式等の価額(評価通達189の(2)における「株式及び出資の価額の合計額」)は795億5158万1000円となるから(被告別表13の○イの金額),P2の株式保有割合は,約25.9%となり,P2が株式保有特定会社に該当することは明らかである。 b なお,別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」第3の1(4)オの第2段落のとおり,本件各更正処分(ただし,本件各再更 .9%となり,P2が株式保有特定会社に該当することは明らかである。 b なお,別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」第3の1(4)オの第2段落のとおり,本件各更正処分(ただし,本件各再更正処分による減額前のもの。)において,P10優先株式については,評価通達189の(2)における「株式及び出資の価額の合計額」には含まれないものとされていたが,同通達188-4及び188-5の定めにおける「株式」の意義との対比からすれば,P10優先株式もその価額を同通達189の(2)における「株式及び出資の価額の合計 - 33 -額」に含めるべき株式に当たるものというべきであるから,P2の株式保有割合の算定上の「株式及び出資の価額の合計額」は,P10優先株式の価額10億円を含む795億5158万1000円(被告別表13の○イの金額)とすべきである。 ただし,P10優先株式をもって,その価額を同通達189の(2)における「株式及び出資の価額の合計額」に含める株式に当たらないものと解してP2の株式保有割合を算定したとしても,(795億5158万1000円-10億円)÷3069億9835万5000円≒25.5%となるから,P2が株式保有特定会社に該当することに変わりはない。 (3) 本件各会社株式の「時価」(相続税法22条)の評価方式及びその金額(争点3)ア原告らの主張の要点(ア) P2株式につき原則的評価方式を用いるべきこと既に述べたとおり,P2は株式保有特定会社には該当しないから,P2株式の時価については,評価通達179に定める原則的評価方式(大会社であるP2においては同通達179の(1)に定める方式)によるべきである。したがって,本件相続開始時点におけるP2株式の時価は,1株当たり4653円(本件相続 達179に定める原則的評価方式(大会社であるP2においては同通達179の(1)に定める方式)によるべきである。したがって,本件相続開始時点におけるP2株式の時価は,1株当たり4653円(本件相続財産に含まれる64万6400株では,合計30億0769万9200円)ということになる(別紙3「相続税額に関する原告らの主張」第1の2(2))。 なお,P3株式については,株式保有特定会社の株式として評価することになるところ,上記のようなP2株式の時価,前記(1)アにおいて述べたP3保有の資産及び負債の価額(原告別紙1参照)等を前提とすれば,本件相続開始時点におけるP3株式の時価は,1株当たり1万9132円(本件相続財産に含まれる17万8200株では,合計34億 - 34 -0932万2400円)ということになる(別紙3「相続税額に関する原告らの主張」第1の2(2))。 (イ) 原告らが本件申告において用いた評価方式の合理性a 原告らは,本件申告において,本件各会社がいずれも株式保有特定会社に該当することを前提とした上で,まずP3が保有するP2株式の類似業種比準方式に基づく価額を基にP3株式をS1+S2方式で評価し,その結果得られたP3株式の評価額を基にP2株式をS1+S2方式で評価して,本件相続に係る相続財産中の本件各株式の評価額(時価)を算出したものであるが,これは次のような考え方に基づく。 すなわち,いずれも株式保有特定会社であるA社及びB社が互いの株式を持ち合っている場合に,両社の株式を純資産価額方式ないしS1+S2方式で評価しようとすると,いずれの会社についても保有する持合い株式が当該会社の発行する株式の評価に影響を与えてしまい,評価が循環してしまうという問題が生ずる。そこで原告らは,2つの株式保有特定会社が株 評価しようとすると,いずれの会社についても保有する持合い株式が当該会社の発行する株式の評価に影響を与えてしまい,評価が循環してしまうという問題が生ずる。そこで原告らは,2つの株式保有特定会社が株式の持合いを行っている場合に,まず出発点としてどちらかの株式の評価を決めなければならないとすれば,持合い株式の価額による評価の影響を比較的受けにくい方の会社の株式をまず出発点として決めるのが適切であると考え,本件では,P2の方がP3より株式保有割合が低いことは明白であり,また,既に述べたとおりP2は上場企業と何ら変わらない事業実態があるので,P3株式の価額によりP2株式の評価が受ける影響は比較的軽微であることが合理的に推測できることから,まず,P3株式をS1+S2方式で評価するために用いるP3保有のP2株式の価額を算出する目的に限定して,P2株式を類似業種比準方式により評価した。これは,たとえ最終的には相続財産としてのP2株式を純資産価額方式ないしS1+ - 35 -S2方式で評価する必要があるとしても,上場企業と変わらない事業実態があり,かつ,保有するP3株式の価額により評価に影響を受けにくい会社の株式であるP2株式を,まず評価の循環を絶つ目的で,P2保有のP3株式の評価を決めずに実行できる唯一の評価方式である類似業種比準方式を用いて評価することが,適切かつ最も問題の少ない方法であると考えられたからである。 本件申告において原告らが用いた上記のような評価方式は,①最終的には通達に定める株式保有特定会社の株式の評価方式を用いて本件各会社株式を評価していること,②一連の評価の過程においては類似業種比準方式を用いてはいるが,それは相続財産についてではなく,持合い株式について評価の循環を絶つのに必要な限度で用いるのみであること,③P2は を評価していること,②一連の評価の過程においては類似業種比準方式を用いてはいるが,それは相続財産についてではなく,持合い株式について評価の循環を絶つのに必要な限度で用いるのみであること,③P2は,上場企業と変わらない事業実態があり,株式保有割合も低く,その株式の評価に類似業種比準方式を用いることに本来問題はないはずであること,④保有する株式の価額に影響されずに評価する唯一の方式が類似業種比準方式であること,⑤まず,持合い株式の価額による評価の影響を比較的受けにくい方の会社の株式につき,保有する株式の価額に影響されない方式で評価するなど,持合い株式に関する評価の循環の絶ち方による影響を最小限にすることにも最大限の配慮を払っているものというべきことに照らせば,評価の循環をどこかで絶たなければならないという所与の条件の下では極めて合理的なものであったというべきである。 b 被告別表14-3の「本件設例1」においては,A社及びB社の間に株式の持ち合いはなく,A社株式が2億円,B社株式が2000万円であるから,A社の純資産額(持ち合い株式は含まれない。)の額は2億円であり,B社の純資産額(持ち合い株式は含まれない。)の額は2000万円ということになる。ところが,同「本件設例2」に - 36 -おいて調整計算を行わない場合として示されている計算においては,A社株式の1株当たりの価額は「(200,000,000 円+20,000,000 円×90%)÷100,000 株」であり,B社株式の1株当たりの価額は「(20,000,000 円+200,000,000 円×80%)÷2,000 株」であるとされているから,A社のB社株式を除いた純資産額は2億円であり,B社のA社株式を除いた純資産額は2000万円であることが前提とされている 200,000,000 円×80%)÷2,000 株」であるとされているから,A社のB社株式を除いた純資産額は2億円であり,B社のA社株式を除いた純資産額は2000万円であることが前提とされているように見受けられるが,A社のB社株式を除いた純資産額が2億円であるならA社の純資産額は2億円より高いはずであり,B社株式の1株当たりの価額の計算においてA社株式分として加算される金額は「200,000,000 円×80%」より大きいはずであるし,また,B社のA社株式を除いた純資産額は2000万円であるならB社の純資産額は2000万円より高いはずであり,A社株式の1株当たりの価額の計算においてB社株式分として加算される金額は「20,000,000 円×90%」より大きいはずである。つまり,被告が「本件設例2」において調整計算を行わない場合として示している計算の中では,持合株式の評価において,その持合株式の発行会社が保有する持合株式の存在を完全に無視しているから,それぞれの株式が過少に評価されるのは当たり前である。 原告らが主張する前記aの方式においては,本件相続財産中のP2株式をS1+S2方式により評価する中で,P2保有のP3株式をS1+S2方式により評価してその価値を反映させており,また,本件相続財産中のP3株式につきS1+S2方式で評価する中で,P3保有のP2株式の評価には類似業種比準方式を用いているが,P2株式の類似業種比準価額は,P2保有のP3株式の価額を含むP2の純資産価額や,P2がその保有するP3株式につき受ける利益を含むP2の利益などに基づいて計算されており,P2保有のP3株式の価値が - 37 -反映されているのであって,原告らの主張は,被告が「調整計算を行わない場合」として示しているものとは完全に異なるものである 益などに基づいて計算されており,P2保有のP3株式の価値が - 37 -反映されているのであって,原告らの主張は,被告が「調整計算を行わない場合」として示しているものとは完全に異なるものである。 (ウ) 本件において被告が主張する評価方式は納税者に対して強制されるべきものではないことa 取引相場のない株式の評価方式においては,同じ株式の評価でも様々な合理的な評価方式が存在する可能性がある。もちろん,課税事務処理の合理化や公平性の観点から,通達に規定される典型的な場面における評価方式の統一化という要請はあるものの,通達に少なくとも直接的には規定されていないような非典型的な場面における評価方式については,これを税務当局の考えに基づき統一化しようとすることは,税務当局の独断専行というべきものである。相続税につき採られている申告納税方式は,納税者の申告における判断を第一とし,それに誤りがある場合にのみ税務当局が更正をすることにより税額を確定させていく課税方式であり,納税者の申告における判断が特に「誤り」に該当しないのに,税務当局の判断で納税者の申告における判断を覆すのは,申告納税方式の基本的な考え方に反する。相続税のような申告納税方式が採られている税に関しては,通達に直接的な定めがない評価に関する問題については,納税者が申告において採用した方式が合理的である限り,更正の対象とすべきではない。 b 株式を持ち合う関係にある2つの株式保有特定会社の一方が大会社である場合においては,本件において被告が適用を主張する連立方程式を用いた評価方式は,納税者が申告において採用した合理的な評価方式を排除してまで適用を強制されるべきものではない。通達に直接的に定められている評価方式であれば,合理性がある限りは,他にも 立方程式を用いた評価方式は,納税者が申告において採用した合理的な評価方式を排除してまで適用を強制されるべきものではない。通達に直接的に定められている評価方式であれば,合理性がある限りは,他にも合理的な方法があり得る場合であっても,通達に定める方式で統一することも正当化されるかもしれないが,被告が主張する評価方式は, - 38 -公刊物でない文献(乙8)や,公刊物でも単に筆者の「個人的見解」を示しただけの文献(乙9,10)において示されているものにすぎず,そのような評価方式が他の合理的な評価方式を排除すると解するのは不当であり,そのような理解は,納税義務の発生についての予測可能性の確保という意味での租税法律主義に反する。 しかも,これらの文献の事例では,株式の持ち合いをしている会社がいずれも中会社ないしは小会社であって,評価会社が保有する株式の評価に直ちに左右されずに評価会社の株式の評価を決める方法として根拠ある評価方式がないため,通達所定の評価方式の欠如という問題の解決を図って連立方程式に基づく数式を編み出しているものと考えられる。これに対し,本件のように株式を持ち合う関係にある2つの株式保有特定会社の一方が大会社である場合には,前記(イ)のとおり,原則的評価方式である類似業種比準方式は,評価会社の保有株の評価に直ちに左右されないため,まず出発点としてその大会社の株式でもう一方の会社に保有されるものを類似業種比準方式で評価し,それを基に当該もう一方の会社を純資産価額方式ないしS1+S2方式で評価した上で,出発点において類似業種比準方式で評価した大会社の株式も純資産価額方式ないしS1+S2方式で評価するという合理的な方法があるので,連立方程式に基づく数式を用いなくとも,合理的な評価計算を行うことが可能であり,状況が異なる。 方式で評価した大会社の株式も純資産価額方式ないしS1+S2方式で評価するという合理的な方法があるので,連立方程式に基づく数式を用いなくとも,合理的な評価計算を行うことが可能であり,状況が異なる。 c 被告が主張する評価方式は,相続財産である個人保有の株式保有特定会社A社の株式と株式保有特定会社B社の保有するA社の株式とは,その評価において必ず合致しなければならないとの考え方を前提としたものであると思われる。 しかし,上記のような前提を採ることが相当であるとは考えられない。確かに,同じA社の株式であれば誰が保有しているもので - 39 -あろうとも同じ価額を有していると考える方が妥当なようにも見えるが,評価の目的により同じものの評価額が異なるのは,例えば相続税の計算目的での評価と遺産分割目的での評価とが異なることが通常であるのと同様に,不合理なことではない。まず評価の循環を絶つ目的でP3保有のP2株式を類似業種比準方式により評価することは前記(イ)のとおり十分合理性を有するのであり,その結果として,P3株式をS1+S2方式で評価するための前提としてのみされるP3保有のP2株式の評価と,本件相続財産自体の評価としてされるP2株式の評価とが異なることとなっても不都合はなく,むしろ通達に定めのない数式などを用いずに評価を行う上では必要なことである。 イ被告の主張の要点(ア) 被告が主張する評価方式の合理性別紙2「本件各処分の根拠等に関する被告の主張」第3の1及び前記(2)イにおいて述べたとおり,①本件各会社は,いずれも株式保有特定会社に当たるから,本件各会社株式の価額は,いずれも評価通達189-3の定める方式により評価すべきであるところ,②本件各会社株式については,いずれもS1+S り,①本件各会社は,いずれも株式保有特定会社に当たるから,本件各会社株式の価額は,いずれも評価通達189-3の定める方式により評価すべきであるところ,②本件各会社株式については,いずれもS1+S2方式による評価額が純資産価額方式による評価額よりも低い価額が算定されることから,本件各会社株式については,いずれもS1+S2方式により評価するのが相当である。 本件各会社のように相互に株式を持ち合っている「株式保有特定会社」の場合は,それぞれのS2の金額の計算上,所有する他方の会社の株式の価額を算入する必要があり,一見,相互の株式の価額が計算上循環し,その価額を確定することができないかのように見える。しかしながら,相互に株式を持ち合っている株式保有特定会社の貸借対照表の関係を図示すれば,被告別表14-1上段の概要図のとおりであり,これ - 40 -らの関係を数式化すれば,同表下段のとおりとなって,両社の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上算入される持ち合い株式の各価額は,所与の数値を基にこの数式を用いて求めることができる。この方法によれば,一方の会社の株式についてS1+S2方式によって得られた1株当たりの価額(ただし,S2の金額の計算上,法人税額等相当額を控除しないもの)が他方の会社の純資産価額(相続税評価額)に算入される当該株式の1株当たりの価額と一致し,相互に矛盾のない株式の価額を合理的に算出することができる。つまり,相互に株式を持ち合う「株式保有特定会社」の株式の適正な時価を求めるに当たっては,かかる計算方法によることが最も適切といえる。 そして,相互に株式を持ち合っている会社の株式の関係を数式化して価額を求める被告主張の数式は,「資産税関係質疑応答事例集(平成13年3月)」(乙8)に登載されているところ ことが最も適切といえる。 そして,相互に株式を持ち合っている会社の株式の関係を数式化して価額を求める被告主張の数式は,「資産税関係質疑応答事例集(平成13年3月)」(乙8)に登載されているところであり,これはすべての税務署の窓口に設置され,納税者において自由に閲覧できるようになっている。また,当該数式は,実務家向けの複数の公刊物にも記載され(乙9,10。乙9の税務相談事例集については,平成元年版から,その考え方が登載されている〔乙17〕。),さらには,相互に株式を持ち合ったいずれもの会社がいずれも株式保有特定会社に該当する場合の評価についても,一部の公刊物(乙18,19)に示されている。これらのことからすれば,原告らは,本件各会社株式の評価額を算定するに当たり,被告主張の方式により株式の評価額を算定しなければならないことを容易に認識できたものと考えられる。加えて,評価通達1の(3)は,「財産の評価に当たっては,その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。」と定めているところ,このような株式の持ち合いが行われているという事情は,財産の価額に影響を及ぼす事情であることは明らかである。以上のとおり,本件は,原告らが「納税義務の - 41 -発生についての予測可能性の確保という意味での租税法律主義に反する」として,殊更に租税法律主義を問題とすべきような場面ではない。 (イ) 被告が主張する評価方式を採らない場合の不合理性前記(ア)において述べたところを,被告別表14-3「設例を用いた計算の検証」において検証すると,以下のとおり,相互に株式を持ち合っている場合の株式の評価額の算定においては,被告が主張する評価方式を用いることによってこそ適正な株価を算定することができるのであって,これを用いない場合に すると,以下のとおり,相互に株式を持ち合っている場合の株式の評価額の算定においては,被告が主張する評価方式を用いることによってこそ適正な株価を算定することができるのであって,これを用いない場合には,著しく不合理な株価が算定されることとなる。 a 被告別表14-3の本件設例1に記載したとおり,A社及びB社が株式の持合いをしていない場合,甲の保有する資産は,A社株式2億円とB社株式2000万円との合計金額である2億2000万円と算定することができる。他方,同別表の本件設例2に記載したとおり,本件設例1と同様の資産状況でありながら,A社及びB社が相互に高い割合で株式の持合いをしていた場合,本件設例2の2(1)に記載のとおり,調整計算を行わずに,単純に他の一方を純資産価額に加算すると,実質的には,甲がその企業価値2億2000万円のすべてを保有・支配(仮に,A社及びB社を解散又は清算した場合の財産は,株式を保有している甲株主にすべて帰属することとなる。)しているにもかかわらず,甲が保有する各株式の評価額は,A社株式が4360万円,B社株式が1800万円で,その合計金額は6160万円となり,甲がA社株式及びB社株式を直接保有する場合の2億2000万円と比し,著しく低い価額で評価されることとなる。このように,単純に他の一方を加算しただけでは,法人間で相互に保有している価値が最終的に個人に帰属する株式の価値に適正に反映されず,著しく不合理な株価が算定される結果となる。 - 42 -b 被告別表14-3の本件設例2の2(2)に記載したとおり,A社及びB社が相互に保有する株価の算定において被告が主張する調整計算を行ったところ,同ア及びイに記載のとおり,甲が保有する各株式の評価額は,A社株式が1億5570万円,B (2)に記載したとおり,A社及びB社が相互に保有する株価の算定において被告が主張する調整計算を行ったところ,同ア及びイに記載のとおり,甲が保有する各株式の評価額は,A社株式が1億5570万円,B社株式が6428万5600円で,その合計金額は2億1998万5600円となり,これは,甲がA社株式及びB社株式を直接保有する場合の2億2000万円とほぼ同額である。したがって,被告主張の調整計算を行うことにより,甲がA社及びB社の各株式を保有し,両社を支配している場合の企業価値(2億2000万円)を,同人が保有する各株式(A社株式2万株及びB社株式2000株)の価額に適正に反映させることができる。 c 前記a及びbのとおり,いずれも株式保有特定会社であるA社及びB社が株式を相互に持ち合っている場合において適正な株価を算定するには,被告が主張する連立方程式を用いた方式を行うことは必須であり,特に,その相互に持ち合う株式の割合が高いときには,この方式を用いなければ,看過できないほどに不合理な株価が算定されることとなる。本件においては,本件各会社が株式保有特定会社に該当し,両社の株式を純資産価額方式若しくは「S1+S2」方式で評価することになるから,株式の評価額が相互に連鎖することとなり(被告別表14-1参照),必然的に,被告が主張する連立方程式による調整計算によらなければ,本件各会社株式の評価額,すなわち企業価値が正しく算定されないものであって,原告らが主張する評価方式では,そもそも適正な株価を算定できないことが明らかである。 なお,前記a及びbのような被告の主張は,相互に株価が連鎖することの調整を行わなければ正しい企業価値が算定できないことを明らかにするために,分かりやすい簡単な数字を当てはめて示したものであって,これを論難す a及びbのような被告の主張は,相互に株価が連鎖することの調整を行わなければ正しい企業価値が算定できないことを明らかにするために,分かりやすい簡単な数字を当てはめて示したものであって,これを論難する原告らの主張は,被告の主張を曲解するもの - 43 -である。 (4) 原告らにつき通則法65条4項に規定する正当な理由が認められるか否か(争点4)ア原告らの主張の要点通則法65条4項は,過少申告であったことについて正当な理由があると認められる場合には過少申告加算税を課さない旨を規定しているところ,ここに「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり,当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに,過少申告による納税義務違反の発生を防止し,適正な申告納税の実現を図り,もって納税の実を挙げようとするという過少申告加算税の趣旨に照らしても,なお,納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合と解されている(最高裁平成16年(行ヒ)第86号,第87号同18年4月25日第三小法廷判決・民集60巻4号1728頁参照)。 仮に,前記(3)イにおいて被告が主張する評価方法が,本件各会社株式を評価するに当たって用いられるべき方法であると最終的に判断されることがあったとしても,株式保有特定会社2社が株式を持ち合っている場合にそれらの株式をいかに評価すべきかについては,法令・通達の定め等があるわけではないのであって,前記(3)ア(イ)aに述べたとおり合理性を有する評価方法を用いて申告を行った原告らを責めて過少申告加算税まで課するというのは,明らかに納税者である原告らに酷であるし,それは客観的に納税者に入手可能であって,かつ,申告の際に とおり合理性を有する評価方法を用いて申告を行った原告らを責めて過少申告加算税まで課するというのは,明らかに納税者である原告らに酷であるし,それは客観的に納税者に入手可能であって,かつ,申告の際に納税者が依拠できる評価方法についての指針が欠如していたという,納税者の責めに帰することのできない客観的事情に基づくものである。したがって,本件では,前記(3)ア(イ)aにおいて述べた評価方法を用いて本件申告を行ったことにつき正当な理由があり,原告らに対して本件各賦課決定処分をし,過少申告加 - 44 -算税を課することは,通則法65条4項に反するというべきである。 イ被告の主張の要点前記(3)イにおいて述べたとおり,連立方程式による調整計算を行わない方法では,そもそも適正な株価を算定できないことは明らかであり,原告らが本件申告において採用した本件各会社株式の評価方法は,合理的なものではないから,原告らが申告で用いた本件各会社株式の評価方法が合理性を有することを前提として,本件各賦課決定処分が原告らに酷であるとの原告らの主張は,その前提から理由がない。また,「客観的に納税者に入手可能であって,かつ,申告の際に納税者が依拠できる評価方法についての指針が欠如していた」との原告らの主張に理由がないことも,前記(3)イ(ア)において述べたところに照らして明らかである。以上からすれば,本件申告において原告らが前記(3)ア(イ)のような評価方法を採用したことについて,通則法65条4項所定の正当な理由は認められない。 第3 当裁判所の判断 1 P2が株式保有特定会社(評価通達189の(2))に該当するか否か(争点2)について(1) 相続財産の価額の評価に関する基本的な考え方についてア相続税法22条は,相続により取得 1 P2が株式保有特定会社(評価通達189の(2))に該当するか否か(争点2)について(1) 相続財産の価額の評価に関する基本的な考え方についてア相続税法22条は,相続により取得した財産の価額につき,同法第3章において特別の定めがあるものを除き,当該財産の取得の時における時価によるべき旨を定めているところ,ここにいう時価とは,当該財産の客観的な交換価値をいうものと解される。 イところで,相続税に係る課税実務においては,評価通達において相続財産の価額の評価に関する一般的基準を定め,画一的な評価方式によって相続財産の価額を評価することとされている。このような方法が採られているのは,相続税の課税対象である財産には多種多様なものがあり,その客観的な交換価値が必ずしも一義的に確定されるものではないため,相続財 - 45 -産の客観的な交換価格(時価)を上記のような画一的な評価方式によることなく個別事案ごとに評価することにすると,その評価方式,基礎資料の選択の仕方等により異なった金額が相続財産の「時価」として導かれる結果が生ずることを避け難く,また,課税庁の事務負担が過重なものとなり,課税事務の効率的な処理が困難となるおそれもあることから,相続財産の価額をあらかじめ定められた評価方式によって画一的に評価することとするのが相当であるとの理由に基づくものと解される。 ウそして,評価通達に定められた評価方式が当該財産の取得の時における時価を算定するための手法として合理的なものであると認められる場合においては,①前記イのような相続税に係る課税実務は,納税者間の公平,納税者の便宜,効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし,国民の納税義務の適正な履行の確保(通則法1条,相続税法1条参照)に資す に係る課税実務は,納税者間の公平,納税者の便宜,効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし,国民の納税義務の適正な履行の確保(通則法1条,相続税法1条参照)に資するものとして,同法22条の規定の許容するところであると解され,②また,取引相場のない株式については,反復継続的に取引がされず,客観的な市場価額が形成されることがないことから,合理的と考えられる評価方式によって時価を評価するほかないものというべきところ,上記①において指摘した観点に照らせば,同通達の定める評価方式によって算定された金額をもってその「時価」であるものと評価することもまた,同条の規定の許容するところであると解される。 さらに,上記の場合においては,同通達の定める評価方式が形式的に全ての納税者に係る相続財産の価額の評価において用いられることによって,基本的には租税負担の実質的な公平を実現することができるものと解されるのであって,同条の規定もいわゆる租税法の基本原則の1つである租税平等主義を当然の前提としているものと考えられることに照らせば,特段の事情があるとき(同通達6参照)を除き,特定の納税者あるいは特定の相続財産についてのみ同通達の定める評価方式以外の評価方式によってそ - 46 -の価額を評価することは,たとえその評価方式によって算定された金額がそれ自体では同条の定める時価として許容範囲内にあるといい得るものであったとしても,租税平等主義に反するものとして許されないものというべきである。 エなお,これまで述べたところからすれば,評価通達に定められた評価方式が当該財産の取得の時における時価を算定するための手法として合理的なものであることについては,被告側においてこれを立証すべきものというべきである。 (2) 評価通 ,評価通達に定められた評価方式が当該財産の取得の時における時価を算定するための手法として合理的なものであることについては,被告側においてこれを立証すべきものというべきである。 (2) 評価通達189の(2)の定めのうち,大会社につき株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価すべきものとする部分に合理性が認められるか否かについてア評価通達に株式保有特定会社の株式の価額につき特別な評価方式によって評価すべきものとする旨の定めが置かれた経緯等(ア) 評価通達は,評価会社をその事業規模に応じて大会社,中会社及び小会社に区分し(同通達178),それぞれの区分に属する評価会社の株式の価額の評価において用いるべき原則的評価方式を定めている(同通達179。類似業種比準方式は,大会社の株式の価額の評価において用いるべき評価方式とされているが〔同項の(1)〕,中会社及び小会社の株式の価額の評価においても,同方式による評価額が考慮され得るものとされている〔同項の(2)及び(3)〕。)。 (イ) しかし,評価会社の中には,会社の資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っているものが見受けられる。 このような評価会社の株式の価額は,その有する株式等の価値に依存する割合が高いものと考えられるため,上記のような原則的評価方式によっては適正な株式の価額の評価を行い難く,原則的評価方式による評価 - 47 -額と適正な時価との間に開差が生ずることとなり,このような開差がこれを利用したいわゆる租税回避行為の原因ともなっていたため,課税の公平の観点から,そのような開差の是正及び株式の価額の評価の一層の適正化を図ることを目的として,評価通達の平成2年改 のような開差がこれを利用したいわゆる租税回避行為の原因ともなっていたため,課税の公平の観点から,そのような開差の是正及び株式の価額の評価の一層の適正化を図ることを目的として,評価通達の平成2年改正により,株式保有特定会社の株式の価額につき,いわゆる純資産価額方式又はS1+S2方式という原則的評価方式とは異なる特別な評価方式によって評価すべき旨の定めが置かれるに至ったものである(現行の同通達189の(2)及び189-3参照。乙4,11,弁論の全趣旨)。 イ前記アのような評価通達の枠組みの合理性について(ア) まず,前記ア(ア)のような評価通達における原則的評価方式の定めに関しては,取引相場のない株式の価額の評価について,取引相場のない株式の発行会社である評価会社にはその規模が上場会社に匹敵するものから個人企業と変わらないものまで千差万別のものがあることを踏まえ,前記(1)イにおいて述べた種々の要請に応えつつ合理的かつ実態に即した株式の価額の評価を行うための評価方式として,合理的なものであると認められる。 (イ) 次に,株式保有特定会社の株式の価額の評価に関する評価通達の定め(ただし,株式保有特定会社に該当するか否かの基準の合理性については,後記ウにおいて別途検討する。)に関しても,資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている評価会社の株式の価額の評価について,評価通達の平成2年改正の理由として述べられているとおり(前記ア(イ)),このような評価会社の株式の価額はその有する株式等の価値に依存する割合が一般に高いものと考えられることを考慮した上で,①当該会社の有する資産の価値を的確に反映し得る評価方式である純資産価額方式又は②株式保有特定会社の事業の実態を株式の価額の評価に反映させる する割合が一般に高いものと考えられることを考慮した上で,①当該会社の有する資産の価値を的確に反映し得る評価方式である純資産価額方式又は②株式保有特定会社の事業の実態を株式の価額の評価に反映させるために部分的に類似業種比準方式を - 48 -取り入れた評価方式であるS1+S2方式によるべきこととしたものであって,これらは,前記(1)イにおいて述べた種々の要請に応えつつ合理的かつ実態に即した評価を行うための株式の価額の評価方式として合理的なものであると認められる。 ウ評価通達189の(2)の定めのうち,大会社につき株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価すべきものとする部分の合理性について(ア) この点,被告は,評価通達189の(2)の定めのうち,大会社につき株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価すべきものとする部分の合理性につき,①法人企業統計等では,資本金10億円以上の会社の株式保有割合は7.8%とされているところ,相続税評価額ベースに直すとこの数値を若干下回ると考えられ,25%という数値は一般会社の3,4倍(あるいは,平均的な株式保有割合の倍くらい)となるから,評価通達においては,大会社につき株式保有割合25%を株式保有特定会社に該当するか否かの基準としたなどとする評価通達の平成2年改正の立案担当者の発言(甲5,乙11)を引用した上で,②法人企業統計(乙12の1・2)において,資本金10億円以上の金融業及び保険業を除く全ての業種の営利法人全数につき,固定資産の「投資有価証券」のみが総資産に占める割合(株式保有割合)は,平成元年度が7.38%,平成2年度が7.88 いて,資本金10億円以上の金融業及び保険業を除く全ての業種の営利法人全数につき,固定資産の「投資有価証券」のみが総資産に占める割合(株式保有割合)は,平成元年度が7.38%,平成2年度が7.88%とされており,上記①の説明と整合していること,③本件相続の開始の日を含む平成15年度の法人企業統計(乙13)における上記②と同様の範囲の営利法人全数についての株式保有割合は16.31%とされているところ,この数値は,評価通達189の(2)に定める大会社についての25%の基準に比してなお低い水準であり,また,法人企業統計における資産価額が簿価に基づき計算されているものとしても,全ての法人 - 49 -につき,簿価により算出された株式保有割合が相続税評価額により算出されたそれよりも割合が低くなるとは限らず,平成15年度において,法人企業統計の対象法人の株式保有割合を時価に基づいて計算した場合の平均値が25%以上となっているとはいえないことからすれば,評価通達189の(2)に定める大会社についての25%の基準が不合理であるとはいえないなどと主張する。 (イ)a しかし,被告も自認するとおり,法人企業統計における営利法人の資産の価額は,簿価に基づき算定されているものであるのに対し,評価通達における株式保有割合の計算は,課税時期において評価会社の有する各資産を同通達に定めるところにより評価した価額,すなわち時価に基づいてすべきものとされている(同通達189の(2))ことからすれば,被告主張の法人企業統計を基に算定された株式保有割合をもって,上記統計の調査期間における評価通達に定める方法により算定した大会社の株式保有割合の実態と常に一致するものと断ずることはできないものというべきである。 b もっとも,法人企業統計を基に算 計の調査期間における評価通達に定める方法により算定した大会社の株式保有割合の実態と常に一致するものと断ずることはできないものというべきである。 b もっとも,法人企業統計を基に算定された資本金10億円以上の金融業及び保険業を除く全ての業種の営利法人の株式保有割合の数値が,平成元年度においては7.38%,平成2年度においては7.88%と,同通達189の(2)において大会社が株式保有特定会社に該当するか否かの基準とされている25%と比して一見して格段に低いものとなっていたこと(乙12の1・2)からすれば,評価通達の平成2年改正がされた当時においては,前記aにおいて指摘した点を考慮してもなお,評価通達に定めるところにより算定した株式保有割合が25%以上である大会社につき,一律に,資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っているものとして株式保有特定会社に該当するものと扱うことには,前記(1)イにおいて述べた観点に照らし,合 - 50 -理性があったものというべきである。 しかし,①評価通達の平成2年改正がされた後,平成9年の独占禁止法の改正によって従来は全面的に禁止されていた持株会社が一部容認されることとなり(同法9条4項1号参照),これを契機として,商法等において,持株会社や完全親子会社を創設するための株式交換等の制度の創設,会社の合併に関する制度の合理化,会社分割制度の創設といった企業の組織再編に必要な規定の整備が進められるなど,本件相続の開始時においては,評価通達の平成2年改正がされた当時と比して,会社の株式保有に関する状況は大きく変化したものというべきところ,②本件相続の開始時を調査期間に含む平成15年度の法人企業統計を基に算定された資本金10億円以上の金融業及び保険業を除く全て 比して,会社の株式保有に関する状況は大きく変化したものというべきところ,②本件相続の開始時を調査期間に含む平成15年度の法人企業統計を基に算定された資本金10億円以上の金融業及び保険業を除く全ての業種の営利法人の株式保有割合の数値は16.31%であり(乙13),平成元年度及び平成2年度のそれのように同通達189の(2)において大会社が株式保有特定会社に該当するか否かの基準とされている25%と比して,一見して「格段に低い」ものとまでは評価し難いこと,③本件全証拠によっても,本件相続の開始時において上記②の営利法人につき時価(相続税評価額)に基づいて株式保有割合を算定した場合の数値が,おしなべて平成15年度の法人企業統計を基に算定された上記②の株式保有割合の数値(16.31%)よりも大幅に低くなるものと推認すべきような証拠ないし事情は見当たらないこと,④法令上,子会社の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときはその価額)の合計額の当該会社の総資産の額に対する割合が100分の50を超える会社が持株会社とされ,特別な規制がされていること(独占禁止法9条4項1号〔本件相続開始時の同条5項1号〕)などに鑑みれば,前記(1)イにおいて述べた観点を考慮しても,少なくとも本件相続の開始時においては,評価通達に定めるところにより算定した株式保有割合 - 51 -が25%以上である大会社の全てについて,一律に,資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っており,その株式の価額の評価において類似業種比準方式を用いるべき前提を欠くものと評価すべきとまでは断じ難いものというべきである。そうすると,少なくとも本件相続の開始時を基準とすると,評価通達189の(2)の定めのうち,大会社につき株式保有割合が25 用いるべき前提を欠くものと評価すべきとまでは断じ難いものというべきである。そうすると,少なくとも本件相続の開始時を基準とすると,評価通達189の(2)の定めのうち,大会社につき株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価すべきものとする部分については,いまだその合理性は十分に立証されているものとは認めるに足りないものといわざるを得ない。 (3) P2が株式保有特定会社に該当するか否かについてアこれまで述べたとおり,①資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている会社を株式保有特定会社とし,その発行に係る取引相場のない株式の価額の評価において純資産価額方式又はS1+S2方式という特別な評価方式を用いること自体には合理性が認められるものというべきであるが,②少なくとも本件相続の開始時においては,評価通達に定めるところにより算定した株式保有割合が25%以上である大会社を一律に株式保有特定会社としてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価すべきものとすることの合理性を認めるに足りないものというべきことからすれば,本件相続の開始時において大会社に該当するP2が株式保有特定会社に該当するか否かについては,株式保有割合に加えて,その企業としての規模や事業の実態等を総合考慮して判断するほかないものというべきである。 イ P2は,昭和23年に設立された資本金の額が4億3200万円の株式会社であり,本件相続の開始の日の直前期末である平成15年5月31日の時点における総資産価額(帳簿価格)は2120億7568万0565円,従業員数は5291名であり,当該直前期末以前1年間である平成1 - 52 -4年6月1日から平成15年5月 5年5月31日の時点における総資産価額(帳簿価格)は2120億7568万0565円,従業員数は5291名であり,当該直前期末以前1年間である平成1 - 52 -4年6月1日から平成15年5月31日までの事業年度における同社の取引金額は1882億0001万0637円であって,東京都江東区内に所在する本店の外に全国各地に工場ないし研究施設を有し,合成樹脂容器の製造販売においては我が国においてトップシェアを有している会社である(前提事実,甲33,乙6,弁論の全趣旨)。また,P2株式の時価総額を,類似業種比準価額の計算において用いられる標本会社である上場企業の平成16年3月31日時点における株式の時価総額と比較すると,本件裁決において認定されたP2株式の価額及び本件申告に係るP2株式の価額のいずれを用いた場合においても,P2株式の時価総額は,上記標本会社たる上場企業の株式の時価総額の大部分を上回っている(甲6)。これらの点からすれば,P2の企業としての規模や事業の実態等は,上場企業に匹敵するものであったものというべきである。 また,被告の主張によってもP2の株式保有割合は約25.9%にとどまるところ,大会社における独占禁止法上の規制の変更等に伴う株式保有割合の前記(2)ウ(イ)bに述べたような動向や,上記のようなP2の企業としての規模や事業の実態等にも照らせば,本件相続の開始時において,P3がその発行済株式総数の約74.7%を有していたことを考慮しても,P2株式の価額の評価に関しては,原則的評価方式による評価額と適正な時価との間の開差を利用したいわゆる租税回避行為の弊害を危ぐしなければならないものとはいい難いものというべきである(なお,被告においても,本件に関しては,その準備書面(5)2頁において述べるとおり,本件各会社が株式を持 したいわゆる租税回避行為の弊害を危ぐしなければならないものとはいい難いものというべきである(なお,被告においても,本件に関しては,その準備書面(5)2頁において述べるとおり,本件各会社が株式を持ち合っている状況につき,租税回避行為であるなどの主張はしていないところである。)。 以上述べたところを勘案すると,本件相続の開始時のP2については,その株式の価額の評価において類似業種比準方式を用いるべき前提を欠く株式保有特定会社に該当するものとは認めるに足りないものというべきで - 53 -ある。 2 本件相続開始時に本件各会社が有していた資産(本件各会社株式を除く。)の価額に係る評価額(争点1)並びに本件各会社株式の「時価」(相続税法22条)の評価方式及びその金額(争点3)について(1) P2株式についてP2は,大会社に該当する一方(前提事実),前記1のとおり,現行の評価通達189の(2)の定めるところに従って株式保有特定会社に該当するものとしてその株式の価額を同通達189-3の定めにより評価することは相当とは認められないから,P2株式の価額については,原則的評価方式である類似業種比準方式によって評価するのが相当というべきである(したがって,P2に関しては,争点1につき判断する必要がないことになる。また,P2が評価通達189の(2)の株式保有特定会社に該当するものとの前提をとらない以上,本件各会社がいずれも株式保有特定会社に該当する場合において問題となる争点3についても判断する必要がないことになる。)。 そうすると,本件相続の開始時におけるP2株式の「時価」(相続税法22条)は,1株当たり4653円ということになる(前提事実)。 (2) P3株式についてア本件相続開始時におけるP3の資産の価額及び負債に係 の開始時におけるP2株式の「時価」(相続税法22条)は,1株当たり4653円ということになる(前提事実)。 (2) P3株式についてア本件相続開始時におけるP3の資産の価額及び負債に係る評価額について(ア) 本件相続の開始時におけるP3の資産の価額及び負債のうち,P2株式及びP7社の株式の価額以外のものに係る評価額については,当事者間に争いがない。 (イ) 前記(1)のとおり,本件相続の開始時におけるP2株式の価額に係る評価額は1株当たり4653円であるから,P3の有するP2株式645万3400株(前提事実)の価額に係る評価額は,4653円×645万3400株=300億2767万0200円となる。 - 54 -(ウ) P7社の株式については,①1米ドル当たり108.57円として,同社の有する資産の価額及び負債につきその金額の邦貨としての計算をすべきこと,②同社のP8社に対する255万2263.50米ドルの債権の価額については,同社の再生計画において切り捨てられる金額及び課税時期後5年を経過した日より後に弁済されることとなる部分の金額の合計額である210万6522.12米ドルを除いた金額と評価すべきことは,当事者間に争いがなく(なお,この債権の価額に算入しない金額の邦貨への換算については,210万6522.12米ドル×108.57円≒2億2870万5106円〔円未満切捨て。被告主張額〕とするのが相当である。),弁論の全趣旨によれば,P7社の株式の価額については,被告別表22の第3表「4.株式及び株式に関する権利の価額」欄内の「株式の評価額」欄に記載されているとおり,1株当たり286万6614円と評価するのが相当である。 そうすると,P3の有するP7社の株式40株(当事者間に争いがない。)の 関する権利の価額」欄内の「株式の評価額」欄に記載されているとおり,1株当たり286万6614円と評価するのが相当である。 そうすると,P3の有するP7社の株式40株(当事者間に争いがない。)の価額に係る評価額は,286万6614円×40株=1億1466万4560円となる。 (エ) 以上述べたところからすれば,本件相続の開始時におけるP3の資産の価額及び負債に係る評価額は,被告別表9の「資産の部」欄及び「負債の部」欄の各「相続税評価額」欄に記載されているとおりとなる。 イ P3株式の「時価」(相続税法22条)の評価方式及びその金額について(ア) P3は中会社に該当するものであるところ(前提事実),前記アにおいて述べたところからすれば,同社の有する資産の価額(相続税評価額)の合計額は665億3772万7000円であり,その有する株式等の価額の合計額は604億0447万0000円であって,その株式保有割合は約90.8%ということになるから,同社が評価通達189 - 55 -の(2)にいう株式保有特定会社に該当することは明らかというべきである(なお,本件においては,原告らも,同社が株式保有特定会社に該当することを自認している。)。 (イ) 前記(ア)からすれば,P3株式の価額については,評価通達189-3の定めによって評価するのが相当である。 そして,①前記アにおいて述べたP3の資産の価額及び負債に係る評価額を前提とすれば,P3株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は3万2212円(被告別表9の⑪の金額)となる。②また,弁論の全趣旨に照らせば,P3株式の1株当たりの類似業種比準価額は606円(被告別表10の○ 29 の金額)となるから,S1+S2方式によった場合におけるP3株式の価額に係る評価額は,被 。②また,弁論の全趣旨に照らせば,P3株式の1株当たりの類似業種比準価額は606円(被告別表10の○ 29 の金額)となるから,S1+S2方式によった場合におけるP3株式の価額に係る評価額は,被告別表11及び12のとおり,1株当たり3万1189円となる。以上からすれば,本件相続に係る原告らの各相続税の課税価格等の計算においては,P3株式の価額につき,より低額な評価額である上記②(1株当たり3万1189円)をもってその「時価」(相続税法22条)であるものと認めるのが相当である。 3 本件相続に係る原告らの各相続税の課税価格及び納付すべき税額について前提事実並びに前記1及び2で述べたところに加えて,本件全証拠及び弁論の全趣旨を勘案すると,本件相続に係る原告らの各相続税の課税価格及び納付すべき税額は,以下のとおりであるものと認められる。 (1) 課税価格の合計額(別紙4順号5「課税価格(3+4)」欄のうち「合計」欄の金額)上記金額は,本件相続人らに係る相続税の各課税価格の合計額であり,それぞれ次のアの本件相続により取得した財産の価額の合計額から,同人らが承継又は負担をする次のイの債務等の金額を控除し,さらに,相続税法19条の規定により課税価格に加算する次のウの贈与により取得した財産の価額 - 56 -を加算した金額につき,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後の以下の各金額(別紙4順号5「課税価格(3+4)」欄のうち「取得者」欄の各金額)を合計した金額である。 原告P11 18億7747万3000円原告P12 19億0997万3000円原告P13 。 原告P11 18億7747万3000円原告P12 19億0997万3000円原告P13 19億0997万3000円原告P14 19億0997万3000円原告P15 19億0769万3000円他の相続人 38億1994万6000円ア取得財産の価額(別紙4順号1「取得財産の価額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 18億6046万5010円原告P12 19億0430万2010円原告P13 18億8836万7010円原告P14 19億0430万2010円原告P15 18億8608万7010円他の相続人 38億0860万4021円上記の各金額は,①相続税法55条の規定に基づき,課税価格の計算上,本件相続人ら各人が本件相続により取得したものとして計算するいわゆる未分割財産の各価額に,②同法3条の規定に基づき本件相続人らが本件相続により取得したものとみなす財産の各価額(次の(イ)の金額)をそれぞれ加算した金額である。 なお,同法55条は, 分割財産の各価額に,②同法3条の規定に基づき本件相続人らが本件相続により取得したものとみなす財産の各価額(次の(イ)の金額)をそれぞれ加算した金額である。 なお,同法55条は,相続により取得した財産の全部又は一部が共同相続人によってまだ分割されていないときは,その分割されていない財産については,各共同相続人が原則として民法(同法904条の2を除く。)の規定による相続分の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課 - 57 -税価格を計算する旨規定しているところ,ここにいう民法(同法904条の2を除く。)の規定による相続分とは,同法900条から903条までに規定する相続分をいうものと解するのが相当である(基本通達55-1〔乙2〕参照)。そうすると,次の(ア)の未分割の本件相続財産(積極財産)の価額の合計額に本件相続人ら各人が取得した民法903条に規定する特別受益の価額(別紙6順号1「特別受益の価額」欄のうち「合計」欄の金額)を加算したものを本件相続に係る相続財産とみなし,これにつき同法900条4号に規定する本件相続人らの相続分の割合に応じたそれぞれの価額(同表順号5「本来的相続分額(3×4)」欄のうち「取得者」欄の各金額)から,各人の特別受益の価額〔同表順号1「特別受益の価額」欄のうち「取得者」欄の各金額〕を控除した金額(同表順号6「具体的相続分額(5-1)」欄のうち「取得者」欄の各金額)をもって,本件相続人ら各人が取得する上記①の未分割財産の価額とするのが相当である。 (ア) 未分割の本件相続財産(積極財産)の価額の合計額111億8712万7071円上記金額は,次のaないしeの各財産の価額に係る評価額の合計額である(別紙7の順号6「評価額(円)」欄)。 (積極財産)の価額の合計額111億8712万7071円上記金額は,次のaないしeの各財産の価額に係る評価額の合計額である(別紙7の順号6「評価額(円)」欄)。 aP2株式 30億0769万9200円前記2(1)において述べたとおり,本件相続の開始時におけるP2株式の「時価」(相続税法22条)は,1株当たり4653円であるものと認められるから,本件相続財産中のP2株式64万6400株の価額に係る評価額は,4653円×64万6400株=30億0769万9200円となる(別紙7の順号1「評価額(円)」欄)。 bP3株式 55億5787万9800円前記2(2)イ(イ)において述べたとおり,本件相続の開始時におけるP3株式の「時価」(相続税法22条)は,1株当たり3万1189 - 58 -円であるものと認められるから,本件相続財産中のP3株式17万8200株の価額に係る評価額は,3万1189円×17万8200株=55億5787万9800円となる(別紙7の順号2「評価額(円)」欄)。 cP16株式 3388万4400円上記金額は,本件訴えにおいて原告らが主張するP16株式の1株当たりの価額に係る評価額9966円に本件相続財産中のP16株式の株数3400株を乗じた金額である(別紙7の順号3「評価額(円)」欄)。 dP17株式 2億3418万4728円上記金額は,本件訴えにおいて原告らが主張するP17株式の1株当たりの価額に係る評価額616万2756円に本件相 株式 2億3418万4728円上記金額は,本件訴えにおいて原告らが主張するP17株式の1株当たりの価額に係る評価額616万2756円に本件相続財産中のP17株式の株数38株を乗じた金額である(別紙7の順号4「評価額(円)」欄)。 e その他の財産 23億5347万8943円上記金額は,本件相続財産のうちP2株式,P3株式,P16株式及びP17株式を除くその余の財産の価額に係る評価額の合計額である(別紙7の順号5「評価額(円)」欄)。 (イ) みなし相続財産の価額の合計額(別紙6順号7「みなし相続財産の価額」欄のうち「合計」欄の金額) 20億6500万0000円上記金額は,相続税法3条1項2号の規定により,本件相続人らが本件相続により取得したものとみなす亡P1の死亡により支給が確定した退職手当金につき,同法12条1項6号に基づき計算した非課税限度額を超える部分の金額であり,本件相続人らが平成16年12月27日に - 59 -江東東税務署長に提出した本件申告書(乙3)第10表「退職手当金などの明細書」記載の金額と同額である。 なお,本件相続人ら各人につきその本件相続により取得した財産の価額に加算する各金額(別紙6順号7「みなし相続財産の価額」欄のうち「取得者」欄の各金額)については,上記非課税限度額を超える部分の金額を本件相続人ら各人が均等に取得したものとして計算するのが相当である(基本通達3-25の(2)ハ(注)。乙2)。 イ債務等の金額(別紙4順号2「債務等の金額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 449万3169 通達3-25の(2)ハ(注)。乙2)。 イ債務等の金額(別紙4順号2「債務等の金額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 449万3169円原告P12 449万3169円原告P13 449万3169円原告P14 449万3169円原告P15 449万3169円他の相続人 898万6338円上記の各金額は,本件相続人らが承継又は負担をする亡P1の債務及び葬式費用の金額であり,本件申告書記載の本件相続人ら各人の「債務及び葬式費用の金額」(乙3・第1表及び同表(続)③各欄並びに第13表⑦各欄の金額)と同額である。 ウ相続開始前3年以内の贈与に係る加算額(別紙4順号4「法19条による加算額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 2150万2000円原告P12 1016万5000円原告P13 2610万0000円原告P14 1016万5000円原告P15 2610万0000円 - 60 - 1016万5000円原告P15 2610万0000円 - 60 -他の相続人 2033万0000円上記の各金額は,相続税法19条1項の規定により本件相続人ら各人の課税価格に加算する本件相続開始前3年以内に上記各人が亡P1から贈与を受けた財産の価額であり,本件申告書記載の上記各人の「純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額」(乙3・第1表及び同表(続)⑤各欄並びに第14表④各欄の金額)と同額である。 (2) 納付すべき相続税額本件相続に係る原告らの納付すべき相続税額は,これまで述べたところを基にして相続税法15条ないし17条並びに19条1項及び20条の各規定に従って算定すると,次のとおりとなる。 ア課税遺産総額(別紙5順号4「課税遺産総額(1-3)」欄の金額)132億1503万1000円上記金額は,相続税法15条の規定により,前記(1)の課税価格の合計額から,5000万円と1000万円に本件相続に係る相続人の数である7を乗じた金額7000万円との合計額1億2000万円(別紙5順号3「遺産に係る基礎控除額」欄の金額)を控除した金額である。 イ法定相続分に応ずる取得金額(別紙5順号6「法定相続分に応ずる取得金額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円原告P12(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円原告 」欄の各金額)原告P11(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円原告P12(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円原告P13(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円原告P14(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円原告P15(法定相続分7分の1) 18億8786万1000円他の相続人(法定相続分7分の1×2) 37億7572万2000円上記の各金額は,相続税法16条の規定により,前記アの課税遺産総額を本件相続人らが民法900条4号の規定による相続分の割合に応じて取 - 61 -得したものとした場合におけるその各取得金額であり,基本通達16-3(乙2)の取扱いにより,各人ごとに1000円未満の端数を切り捨てた後の金額である。 ウ相続税の総額(別紙4順号6「相続税の総額」欄のうち「合計」欄の金額及び別紙5順号8「相続税の総額」欄の金額)62億7851万3500円上記金額は,前記イの各金額に,それぞれ相続税法16条に規定する税率を乗じて算出した金額(別紙5順号7「相続税の総額の基となる税額」欄のうち「取得者」欄の各金額)の合計額である。 エ原告ら各人の算出税額(別紙4順号8「算出税額(6×7)」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 8億8396万7917円原告P12 8億9926万9845円原告P13 8億8396万7917円原告P12 8億9926万9845円原告P13 8億9926万9845円原告P14 8億9926万9845円原告P15 8億9819万6356円上記の各金額は,相続税法17条の規定により,前記ウの金額に,前記(1)の課税価格の合計額(別紙4順号5「課税価格(3+4)」欄のうち「合計額」欄の金額)のうちに原告ら各人の課税価格(同別紙順号5「課税価格(3+4)」欄のうち「取得者」欄の各金額)が占める割合をそれぞれ乗じて算出した金額である。 オ税額控除額(別紙4順号9「税額控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 523万4068円原告P12 125万6400円原告P13 634万9681円 - 62 -原告P14 125万6400円原告P15 634万9148円上記の各金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額を原告ら各人ごとに合計した金額である。 (ア) 贈与税額控除額(別紙4付表順号1「贈与税額控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額 上記の各金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額を原告ら各人ごとに合計した金額である。 (ア) 贈与税額控除額(別紙4付表順号1「贈与税額控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 480万0900円原告P12 81万3000円原告P13 591万0000円原告P14 81万3000円原告P15 591万0000円上記の各金額は,相続税法19条1項括弧書の規定により,原告ら各人の納付すべき相続税額の計算上贈与税の税額として控除する金額であり,本件申告書記載の各人の「暦年課税分の贈与税額控除額」(本件申告書〔乙3〕並びに原告準備書面(7)別紙5及び別紙10における各第1表及び同表(続)⑫欄の金額)と同額である。 (イ) 相次相続控除額(別紙4付表順号2「相次相続控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 43万3168円原告P12 44万3400円原告P13 43万9681円原告P14 44万3400円原告P15 43万9681円原告P14 44万3400円原告P15 43万9148円上記の各金額は,平成▲年▲月▲日の亡P18(亡P1の夫)の死亡によって開始した本件第一次相続により亡P1が取得した財産(その価額46億5214万6749円)につき課せられた相続税額771万4 - 63 -000円(原告準備書面(7)別紙5及び同別紙10における各第7表の⑥欄の金額)に相当する金額について,相続税法20条各号の規定により計算した,原告ら各人の納付すべき相続税額の計算上控除する相次相続控除の金額である。 カ原告らの納付すべき相続税額(別紙4順号10「納付すべき税額(8-9)」のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 8億7873万3800円原告P12 8億9801万3400円原告P13 8億9292万0100円原告P14 8億9801万3400円原告P15 8億9184万7200円上記の各金額は,前記エの原告ら各人の算出税額から,前記オの税額控除額をそれぞれ控除した金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 4 本件各処分の適法性について本件相続に係る原告らの納付すべき相続税額は, 除額をそれぞれ控除した金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 4 本件各処分の適法性について本件相続に係る原告らの納付すべき相続税額は,それぞれ前記3(2)カのとおりであり,いずれも本件申告において原告らが申告した納付すべき税額(被告別表1-1ないし1-5の各順号1の各「納付すべき税額」欄記載の金額)の範囲内であるから,本件各更正処分は,本件申告に係る各納付すべき税額を超えるその全部が違法なものであるといわざるを得ない。そして,このことを前提とすると,本件各賦課決定処分もまた,その全部が違法なものであるということになる。 5 結論以上の次第であって,原告らの請求はいずれも理由があるからこれらを認容し,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 - 64 - 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官田中一彦 裁判官塚原洋一 - 65 -(別紙A)処分目録 1 原告P11関係(1) 被相続人P1(以下「亡P1」という。)の平成▲年▲月▲日相続開始に係る原告P11の相続税に係る更正処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした更正処分により減額された後のもの。)のうち納付すべき税額10億7095万円を超える部分(2) 過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成 された後のもの。)のうち納付すべき税額10億7095万円を超える部分(2) 過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした賦課決定処分により減額された後のもの。) 2 原告P12関係(1) 亡P1の平成▲年▲月▲日相続開始に係る原告P12の相続税に係る更正処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした更正処分により減額された後のもの。)のうち納付すべき税額10億6954万8900円を超える部分(2) 過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした賦課決定処分により減額された後のもの。) 3 原告P13関係(1) 亡P1の平成▲年▲月▲日相続開始に係る原告P13の相続税に係る更正処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした更正処分により減額された後のもの。)のうち納付すべき税額10億7202万8100円を - 66 -超える部分(2) 過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした賦課決定処分により減額された後のもの。) 4 原告P14関係(1) 亡P1の平成▲年▲月▲日相続開始に係る原告P14の相続税に係る更正処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした更正処分により減額された後のもの。)のうち 係る原告P14の相続税に係る更正処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした更正処分により減額された後のもの。)のうち納付すべき税額10億6954万8900円を超える部分(2) 過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした賦課決定処分により減額された後のもの。) 5 原告P15関係(1) 亡P1の平成▲年▲月▲日相続開始に係る原告P15の相続税に係る更正処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした更正処分により減額された後のもの。)のうち納付すべき税額10億7202万8100円を超える部分(2) 過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成19年6月27日付け異議決定により一部取り消され,かつ,江東東税務署長が平成23年2月28日付けでした賦課決定処分により減額された後のもの。)以上 - 67 -(別紙1)関係法令等の定め 第1 相続税法(平成16年法律第84号による改正前のもの。以下「相続税法」という。)の定め相続税法22条は,同法第3章で特別の定めのあるものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価により,当該財産の価額から控除すべき債務の金額は,その時の現況による旨を定めている。 第2 財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17による国税庁長官通達であり,平成17年5月17日付け課評2-5「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」による改正前のもの。乙1,2 達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17による国税庁長官通達であり,平成17年5月17日付け課評2-5「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」による改正前のもの。乙1,24。 以下「評価通達」という。)の定め 1 評価通達1(評価の原則)評価通達1の(2)は,財産の価額は,時価によるものとし,時価とは,課税時期(相続,遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続,遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法2条4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい,その価額は,同通達の定めによって評価した価額による旨を定めている。 2 評価通達6(同通達の定めにより難い場合の評価)評価通達6は,同通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する旨を定めている。 3 評価通達168(評価単位)評価通達168は,株式及び株式に関する権利の価額は,それらの銘柄の異 - 68 -なるごとに,次に掲げる区分に従い,その1株又は1個ごとに評価する旨を定めている。 (1) 上場株式(証券取引所〔平成14年法律第65号による改正前の証券取引法2条14項に規定する証券取引所をいう。以下同じ。〕)に上場されている株式をいう。以下同じ。)(2) 気配相場等のある株式気配相場等のある株式とは,①登録銘柄(日本証券業協会の内規によって登録銘柄として登録されている株式〔日本銀行出資証券を含む。〕をいう。 以下同じ。)及び店頭管理銘柄(同協会の内規によって店頭管理銘柄として指定されて 式とは,①登録銘柄(日本証券業協会の内規によって登録銘柄として登録されている株式〔日本銀行出資証券を含む。〕をいう。 以下同じ。)及び店頭管理銘柄(同協会の内規によって店頭管理銘柄として指定されている株式をいう。以下同じ。),②公開途上にある株式(証券取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式〔登録銘柄を除く。〕及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式〔店頭管理銘柄を除く。〕をいう。)並びに③国税局長の指定する株式(上記①及び②以外の株式で評価通達169の定めにより国税局長が指定する株式をいう。)をいう。 (3) 取引相場のない株式(前記(1)及び(2)に掲げる株式以外の株式をいう。以下同じ。)(4)~(8) (省略) 4 評価通達178(取引相場のない株式の評価上の区分)評価通達178は,取引相場のない株式の価額は,評価しようとするその株式の発行会社(以下「評価会社」という。)が次の表の大会社(以下「大会社」という。),中会社(以下「中会社」という。)又は小会社(以下「小会社」という。)のいずれに該当するかに応じて,それぞれ同通達179の定めによって評価するが(本文),同族株主以外の株主等が取得した株式又は特定の評価会社の株式の価額は,それぞれ評価通達188又は189の定めによっ - 69 -て評価する(ただし書)旨を定めている。 規模区分 区分の内容総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数直前期末以前1年間における取引金額卸売業20億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。)80億円以上小売・サービス業10億円以上(従業員数が5 金額)及び従業員数直前期末以前1年間における取引金額卸売業20億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。)80億円以上小売・サービス業10億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。)20億円以上 大会社従業員数が 100 人以上の会社又は右のいずれかに該当する会社卸売業,小売・サービス業以外10億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く。)20億円以上卸売業7000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)2億円以上80億円未満 小売・サービス業4000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)6000万円以上20億円未満 中会社従業員数が 100 人未満の会社で右のいずれか1に該当する会社(大会社に該当する場合を除く。)卸売業,小売・サービス業以外5000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)8000万円以上20億円未満 従業員数が 100 人未満の卸売業7000万円未満又は従業員数が5人以下2億円未満 - 70 -小売・サービス業4000万円未満又は従業員数が5人以下6000万円未満小会社会社で右のいずれにも該当する会社卸売業,小売・サービス業以外5000万円未満又は従業員数が5人以下8000万円未満上の表の「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数」及び「直前期末以前1年間における取引金額」は,それぞれ次の(1)から(3)により,「卸売業」,「小売・サービス業」又は「卸売業,小売・サービス業以外」の判定は次の(4)による。 (1) 「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は,課税時期の れ次の(1)から(3)により,「卸売業」,「小売・サービス業」又は「卸売業,小売・サービス業以外」の判定は次の(4)による。 (1) 「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」は,課税時期の直前に終了した事業年度の末日(以下「直前期末」という。)における評価会社の各資産の帳簿価額の合計額とする。 (2) 「従業員数」は,直前期末以前1年間においてその期間継続して評価会社に勤務していた従業員(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員を除く。以下同通達178において「継続勤務従業員」という。)の数に,直前期末以前1年間において評価会社に勤務していた従業員(継続勤務従業員を除く。)のその1年間における労働時間の合計時間数を従業員1人当たり年間平均労働時間数で除して求めた数を加算した数とする。この場合における従業員1人当たり年間平均労働時間数は,1800時間とする。 (3) 「直前期末以前1年間における取引金額」は,その期間における評価会社の目的とする事業に係る収入金額(金融業・証券業については収入利息及び収入手数料)とする。 (4) 評価会社が「卸売業」,「小売・サービス業」又は「卸売業,小売・サービス業以外」のいずれの業種に該当するかは,前記(3)の直前期末以前1年間における取引金額(以下同通達178及び同通達181-2において「取引金額」という。)に基づいて判定し,当該取引金額のうちに2以上の業種 - 71 -に係る取引金額が含まれている場合には,それらの取引金額のうち最も多い取引金額に係る業種によって判定する。 5 評価通達179(取引相場のない株式の評価の原則。ここに定められている評価の方式を,以下「原則的評価方式」ともいう。)(1) 評価通達179の(1)は,大会社の株式の価額は, って判定する。 5 評価通達179(取引相場のない株式の評価の原則。ここに定められている評価の方式を,以下「原則的評価方式」ともいう。)(1) 評価通達179の(1)は,大会社の株式の価額は,類似業種比準価額によって評価するが(本文。この評価方式を,以下「類似業種比準方式」という。),納税義務者の選択により,1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することができる(ただし書)旨を定めている。 (2) 評価通達179の(2)は,中会社の株式の価額は,次の算式により計算した金額によって評価するが(本文),納税義務者の選択により,算式中の類似業種比準価額を1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって計算することができる(ただし書)旨を定めている。 類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-L)上の算式中の「L」は,評価会社の同通達178に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数又は直前期末以前1年間における取引金額に応じて,それぞれ次に定める割合のうちいずれか大きい方の割合とする。 ア総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数に応ずる割合卸売業小売・サービス業卸売業,小売・サービス業以外割合14億円以上(従業員数が50人以下の会社7億円以上(従業員数が50人以下の会社7億円以上(従業員数が50人以下の会社0.90 - 72 -を除く。)を除く。)を除く。)7億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。)4億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。)4億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。)0.757000万円以上(従業員数が 上(従業員数が30人以下の会社を除く。)4億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。)4億円以上(従業員数が30人以下の会社を除く。)0.757000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)4000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)4000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。)0.60(注)複数の区分に該当する場合には,上位の区分に該当するものとする。 イ直前期末以前1年間における取引金額に応ずる割合卸売業小売・サービス業卸売業,小売・サービス業以外割合50億円以上80億円未満12億円以上20億円未満14億円以上20億円未満0.9025億円以上50億円未満6億円以上12億円未満7億円以上14億円未満0.752億円以上25億円未満6000万円以上6億円未満8000万円以上7億円未満0.60(3) 同通達179の(3)は,小会社の株式の価額は,1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価するが(本文),納税義務者の選択により,Lを0.50として同通達179の(2)の算式により計算した金額によって評価することができる(ただし書)旨を定めている。 6 評価通達180(類似業種比準価額)評価通達180は,同通達179の類似業種比準価額は,類似業種の株価並びに1株当たりの配当金額,年利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)を基とし,次の算式によって計算した金額とし(前段),この場合において,評価会社の直前期末における資本金額を直前期末における発行済 - 73 -株式数で除した金額(以下「1株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは,その ),この場合において,評価会社の直前期末における資本金額を直前期末における発行済 - 73 -株式数で除した金額(以下「1株当たりの資本金の額」という。)が50円以外の金額であるときは,その計算した金額に,1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて計算した金額とする(後段)旨を定めている。 (1) 上記算式中の「A」,「○B」,「○C」,「○D」,「B」,「C」及び「D」は,それぞれ次による。 「A」=類似業種の株価「○B」=評価会社の直前期末における1株当たりの配当金額「○C」=評価会社の直前期末1年間における1株当たりの利益金額「○D」=評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)「B」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額「C」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額「D」=課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)(2) 上記算式中の「0.7」は,中会社の株式を評価する場合には「0.6」,小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。 (3) 上記算式中の○Cの金額が0の場合には,分母の「5」は「3」とする。 7 評価通達185(純資産価額)評価通達185は,①同通達179の「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」は,課税時期における各資産を同通達に定めるところにより評価した価額(この場合,評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利〔以下「土地等」という。〕並びに家屋及びその附属設備又は構築物〔以下「家屋等」という。〕の価額は,課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価するものとし,当 - の上に存する権利〔以下「土地等」という。〕並びに家屋及びその附属設備又は構築物〔以下「家屋等」という。〕の価額は,課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価するものとし,当 - 74 -該土地等又は当該家屋等に係る帳簿価額が課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には,当該帳簿価額に相当する金額によって評価することができるものとする。以下同じ。)の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額及び同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除した金額を課税時期における発行済株式数(平成17年法律第87号による改正前の商法〔以下「旧商法」という。〕241条2項に規定する自己の株式〔以下「自己株式」という。〕を有する場合には,当該自己株式の数を控除した株式数によるものとする。同通達186-3において同じ。)で除して計算した金額とするが(本文),②同通達179の(2)の算式及び同通達179の(3)の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した価額)については,株式の取得者とその同族関係者(同通達188の(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合においては,上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)に100分の80を乗じて計算した金額とする(ただし書)旨を定めている。 8 評価通達188(同族株主以外の株主等が取得した株式)評価通達188は,同通達178の「同族株主以外の株主等が取得した株式」は,次のいずれかに該当する株式をいい,その株式の価額は,同通達188-2の定めによる旨を定めている。 (1) 同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式 した株式」は,次のいずれかに該当する株式をいい,その株式の価額は,同通達188-2の定めによる旨を定めている。 (1) 同族株主のいる会社の株式のうち,同族株主以外の株主の取得した株式この場合における「同族株主」とは,課税時期における評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令〔平成18年政令第125号による改正前のもの。以下同じ。〕4条に規定する特殊の関係のある個人又は法人をいう。ただし,当該法人の判定については,同条2項中「株式の総数」は「議決権の数」と,「発行済株式の総数」は「議決権総数」と,「数の株式」は「数の議決権」と読み替えるものとする。以下同 - 75 -じ。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の30%以上(その評価会社の株主のうち,株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の50%超である会社にあっては,50%超)である場合におけるその株主及びその同族関係者をいう。 (2) 中心的な同族株主のいる会社の株主のうち,中心的な同族株主以外の同族株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(課税時期において評価会社の役員〔社長,理事長並びに法人税法施行令71条1項1号及び3号に掲げる者をいう。以下同じ。〕である者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員となる者を除く。)の取得した株式この場合における「中心的な同族株主」とは,課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者,直系血族,兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決 びにその株主の配偶者,直系血族,兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち,これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主をいう。 (3) 同族株主のいない会社の株主のうち,課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が,その会社の議決権総数の15%未満である場合におけるその株主の取得した株式(4) 中心的な株主がおり,かつ,同族株主のいない会社の株主のうち,課税時期において株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である場合におけるその株主で,その者の株式取得後の議決権の数がその会社の議決権総数の5%未満であるもの(前記(2)の役員である者及び役員となる者を除く。)の取得した株式この場合における「中心的な株主」とは,課税時期において株主の1人及 - 76 -びその同族関係者の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の15%以上である株主グループのうち,いずれかのグループに単独でその会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主がいる場合におけるその株主をいう。 9 評価通達189(特定の評価会社の株式)評価通達189は,同通達178の「特定の評価会社の株式」とは,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等に応じて定めた次のア~カに掲げる評価会社の株式をいい,その株式の価額は,次のア~カに掲げるところによることなどを定めている。 (1) 比準要素数1の会社の株式(評価通達189の(1))評価通達183の(1),(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」,「1株当たりの利益金額」及び「1株 などを定めている。 (1) 比準要素数1の会社の株式(評価通達189の(1))評価通達183の(1),(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」,「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額のうち,いずれか2が0であり,かつ,直前々期末を基準にして同項の定めに準じそれぞれの金額を計算した場合に,それぞれの金額のうち,いずれか2以上が0である評価会社(次の(2)から(6)に該当するものを除く。以下「比準要素数1の会社」という。)の株式の価額は,同通達189-2の定めによる。 (2) 株式保有特定会社の株式(評価通達189の(2))課税時期において評価会社の有する各資産を評価通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額(以下「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」という。)の割合(以下「株式保有割合」という。)が25%以上(中会社及び小会社については,50%以上)である評価会社(同通達189の(3)~(6)のいずれかに該当するものを除く。以下「株式保有特定会社」という。)の株式の価額は,同通達189-3の定めによる。 (3) 土地保有特定会社の株式(評価通達189の(3)) - 77 -課税時期において,次のいずれかに該当する会社(次の(4)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「土地保有特定会社」という。)の株式の価額は,評価通達189-4の定めによる。 イ ①大会社又は②評価通達178に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が,評価会社の事業が卸売業に該当する場合には20億円以上,卸売業以外に該当する場合には10億円以上の小会社で,その有する各資産をこの通達の定 78に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が,評価会社の事業が卸売業に該当する場合には20億円以上,卸売業以外に該当する場合には10億円以上の小会社で,その有する各資産をこの通達の定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合(以下「土地保有割合」という。)が70%以上である会社ロ ①中会社又は②評価通達178に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)が,評価会社の事業が卸売業に該当する場合には7000万円以上,小売・サービス業に該当する場合には4000万円以上,卸売業,小売・サービス業以外に該当する場合には5000万円以上で,前記イに該当しない小会社で,土地保有割合が90%以上である会社(4) 開業後3年未満の会社等の株式(評価通達189の(4))課税時期において次に掲げるイ又はロに該当する評価会社(次の(5)又は(6)に該当するものを除く。以下「開業後3年未満の会社等」という。)の株式の価額は,評価通達189-4の定めによる。 イ開業後3年未満であるものロ評価通達183の(1),(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」,「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額がいずれも0であるもの(5) 開業前又は休業中の会社の株式(評価通達189の(5))開業前又は休業中である評価会社の株式の価額は,評価通達189-5の定めによる。 (6) 清算中の会社の株式(評価通達189の(6)) - 78 -清算中である評価会社の株式の価額は,評価通達189-6の定めによる。 10 評価通達189-3(株式保有特定会社の株式の評価)評価通達189-3は,同 9の(6)) - 78 -清算中である評価会社の株式の価額は,評価通達189-6の定めによる。 10 評価通達189-3(株式保有特定会社の株式の評価)評価通達189-3は,同通達189の(2)の「株式保有特定会社の株式」の価額は,同通達185本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価し,この場合における当該1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は,当該株式の取得者とその同族関係者の有する当該株式に係る議決権の合計数が株式保有特定会社の同通達185ただし書に定める議決権総数の50%以下であるときには,上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を基に同通達185ただし書の定めにより計算した金額とするが(本文),上記の株式保有特定会社の株式の価額は,納税義務者の選択により,次の(1)の「S1の金額」(以下「S1の金額」という。)と(2)の「S2の金額」(以下「S2の金額」という。)との合計額によって評価する(以下,この評価方式を「S1+S2方式」という。)ことができる(ただし書)旨などを定めている。 (1) S1の金額S1の金額は,株式保有特定会社の株式の価額を同通達178本文,179~184,185本文,186及び186-2の定めに準じて計算した金額とするが,評価会社の株式が同通達189の(1)の「比準要素数1の会社の株式」の要件(同通達189の(1)の括弧書の要件を除く。)にも該当する場合には,大会社,中会社又は小会社の区分にかかわらず,同通達189-2の定め(本文の括弧書,ただし書の括弧書及びなお書を除く。)に準じて計算した金額とし,これらの場合において,同通達180に定める算式及び同通達185本 又は小会社の区分にかかわらず,同通達189-2の定め(本文の括弧書,ただし書の括弧書及びなお書を除く。)に準じて計算した金額とし,これらの場合において,同通達180に定める算式及び同通達185本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は,それぞれ次による。 ア評価通達180に定める算式は,次の算式による。 - 79 - 上記算式の適用に当たっては,次による。 (ア) 上記算式中,「A」,「○B」,「○C」,「○D」,「B」,「C」及び「D」は,評価通達180の定めにより,「○b」,「○c」及び「○d」は,それぞれ次による。 「○b」=評価通達183の(1)に定める評価会社の「1株当たりの配当金額」に,直前期末以前2年間の受取配当金額(法人から受ける利益の配当及び剰余金の分配〔出資に係るものに限る。〕をいう。以下同じ。)の合計額と直前期末以前2年間の営業利益の金額の合計額(当該営業利益の金額に受取配当金額が含まれている場合には,当該受取配当金額の合計額を控除した金額)との合計額のうちに占める当該受取配当金額の合計額の割合(当該割合が1を超える場合には1を限度とする。以下「受取配当金収受割合」という。)を乗じて計算した金額「○c」=評価通達183の(2)に定める評価会社の「1株当たりの利益金額」に受取配当金収受割合を乗じて計算した金額「○d」=次の①及び②に掲げる金額の合計額(上記計算式中の「○D」を限度とする。 ① 評価通達183の(3)に定める評価会社の「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」に,同通達178の(1)に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)のうちに占める株式及び出資の帳簿価額の合計額の割合を乗じて 社の「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」に,同通達178の(1)に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)のうちに占める株式及び出資の帳簿価額の合計額の割合を乗じて計算した金額② 直前期末における法人税法2条18号に規定する利益積立金額に相当する金額を直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本 - 80 -金の額が50円以外の金額である場合には,直前期末における資本金額を50円で除して計算した数によるものとする。)で除して求めた金額に受取配当金収受割合を乗じて計算した金額(利益積立金額に相当する金額が負数である場合には,0とする。)(イ) 上記算式中の「0.7」は,中会社の株式を評価する場合には「0. 6」,小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。 (ウ) 上記算式中の○Cの金額が0の場合には,分母の「5」は「3」とする。 イ評価通達185本文に定める1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は,同通達185本文及び186-2の「各資産」を「各資産から株式及び出資を除いた各資産」と読み替えて計算した金額とする。 (2) S2の金額S2の金額は,①同通達189の(2)の「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」からその計算の基とした株式等の帳簿価額の合計額を控除した場合において残額があるときは,当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)から当該残額に186-2に定める割合を乗じて計算した金額を控除し,当該控除後の金額を課税時期における株式保有特定会社の発行済株式数(自己株式を有する場合には,当該自己株式の数を控除した株式数をいう。以下同通達189-3において同じ。)で除して計算した金額とし(前段),②この場合において当 おける株式保有特定会社の発行済株式数(自己株式を有する場合には,当該自己株式の数を控除した株式数をいう。以下同通達189-3において同じ。)で除して計算した金額とし(前段),②この場合において当該残額がないときは,当該株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)を課税時期における株式保有特定会社の発行済株式数で除して計算した金額とする(後段)。 以上 - 81 -(別紙2)本件各処分の根拠等に関する被告の主張 第1 本件各更正処分の根拠及び適法性について被告が主張する本件相続に係る原告らの各相続税の課税価格及び納付すべき税額(ただし,本件各再更正処分後のもの。)は,被告別表2「課税価格及び納付すべき税額の計算明細表」に記載したとおりであり,その計算根拠及び本件各更正処分の適法性は,次のとおりである。 1 課税価格の合計額(被告別表2順号5「課税価格(3+4)」欄のうち「合計」欄の金額) 286億1895万円上記金額は,本件相続人らに係る相続税の各課税価格の合計額であり,それぞれ次の(1)の本件相続により取得した財産の価額の合計額から,同人らが承継又は負担をする次の(2)の債務等の金額を控除し,さらに,相続税法19条の規定により課税価格に加算する次の(3)の贈与により取得した財産の価額を加算した金額につき,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後の以下の各金額(被告別表2順号5「課税価格(3+4)」欄のうち「取得者」欄の各金額)を合計した金額である。 原告P11 40億6089万円原告P12 40億9339万円 金額)を合計した金額である。 原告P11 40億6089万円原告P12 40億9339万円原告P13 40億9339万円原告P14 40億9339万円原告P15 40億9111万円他の相続人 81億8678万円(1) 取得財産の価額(被告別表2順号1「取得財産の価額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 40億4388万2067円 - 82 -原告P12 40億8771万9067円原告P13 40億7178万4067円原告P14 40億8771万9067円原告P15 40億6950万4067円他の相続人 81億7543万8135円上記の各金額は,①相続税法55条の規定に基づき,課税価格の計算上,本件相続人ら各人が本件相続により取得したものとして計算するいわゆる未分割財産の価額に,②同法3条に基づき本件相続人らが取得したものとみなす財産の各価額(次のイの金額)をそれぞれ加算 価格の計算上,本件相続人ら各人が本件相続により取得したものとして計算するいわゆる未分割財産の価額に,②同法3条に基づき本件相続人らが取得したものとみなす財産の各価額(次のイの金額)をそれぞれ加算した金額である。 ところで,同法55条は,相続により取得した財産の全部又は一部が共同相続人によってまだ分割されていないときは,その分割されていない財産については,各共同相続人が原則として民法(同法904条の2を除く。)の規定による相続分の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算する旨規定しているところ,ここにいう民法(同法904条の2を除く。)の規定による相続分とは,同法900条から903条までに規定する相続分をいうものとされている(昭和34年1月28日付け直資10による国税庁長官通達「相続税法基本通達の全部改正について」〔平成16年6月10日付け課資2-6ほかによる改正前のもの。以下「基本通達」という。〕55-1。乙2)。 したがって,次のアの未分割の本件相続財産(積極財産)の価額の合計額に民法903条に規定する特別受益の価額(被告別表4順号1「特別受益の価額」欄のうち「合計」欄の金額)を加算したものを相続財産とみなし,これにつき同法900条4号に規定する本件相続人らの相続分の割合に応じたそれぞれの価額(同表順号5「本来的相続分額(3×4)」欄のうち「取得者」欄の各金額)から,各人の特別受益の価額〔同表順号1「特別受益の価額」欄のうち「取得者」欄の各金額〕を控除した金額(同表順号6「具体的 - 83 -相続分額(5-1)」欄のうち「取得者」欄の各金額)をもって,本件相続人ら各人が取得する未分割財産の価額(上記①)とした。 なお,上記で述べた金額の計算過程は,被告別表4に記載し -相続分額(5-1)」欄のうち「取得者」欄の各金額)をもって,本件相続人ら各人が取得する未分割財産の価額(上記①)とした。 なお,上記で述べた金額の計算過程は,被告別表4に記載したとおりである。 ア未分割の本件相続財産(積極財産)の価額の合計額(被告別表5順号6「合計」欄のうち「評価額(円)」欄の金額)264億7104万6471円上記金額は,次の(ア)ないし(オ)の各財産の価額に係る評価額の合計額である。なお,次の(ア)及び(イ)の各株式の価額に係る評価額の根拠は,後記第3において述べる。 (ア) P2株式 122億8289万2800円(イ) P3株式 115億6660万5600円(ウ) 株式会社P16(以下「P16」という。)の株式(以下「P16株式」という。)3388万4400円上記金額は,本件訴えにおいて原告らが主張するP16株式の1株当たりの価額に係る評価額9966円に本件相続財産中のP16株式の株数3400株を乗じた金額である。 (エ) 株式会社P17(以下「P17」という。)の株式(以下「P17株式」という。)2億3418万4728円上記金額は,本件訴えにおいて原告らが主張するP17株式の1株当たりの価額に係る評価額616万2756円に本件相続財産中のP17株式の株数38株を乗じた金額である。 (オ) その他の財産 23億5347万8943円 当たりの価額に係る評価額616万2756円に本件相続財産中のP17株式の株数38株を乗じた金額である。 (オ) その他の財産 23億5347万8943円上記金額は,本件相続財産のうちP2株式,P3株式,P16株式及 - 84 -びP17株式を除くその余の財産の価額に係る評価額の合計額である。 イみなし相続財産の価額の合計額(被告別表4順号7「みなし相続財産の価額」欄のうち「合計」欄の金額) 20億6500万0000円上記金額は,相続税法3条1項2号の規定により,本件相続人らが本件相続により取得したものとみなす亡P1の死亡による支給が確定した退職手当金につき,同法12条1項6号に基づき計算した非課税限度額を超える部分の金額であり,本件相続人らが平成16年12月27日に江東東税務署長に提出した本件相続に係る相続税の申告書(乙3。以下「本件申告書」という。)第10表「退職手当金などの明細書」記載の金額と同額である。 なお,本件相続人ら各人につきその本件相続により取得した財産の価額に加算する各金額(被告別表4順号7「みなし相続財産の価額」欄のうち「取得者」欄の各金額)については,上記非課税限度額を超える部分の金額を本件相続人ら各人が均等に取得するものとして計算した(基本通達3-25の(2)ハ(注)。乙2)。 (2) 債務等の金額(被告別表2順号2「債務等の金額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 449万3169円原告P12 449万3169円原告P13 449万3169円原告P12 449万3169円原告P13 449万3169円原告P14 449万3169円原告P15 449万3169円他の相続人 898万6338円上記の各金額は,本件相続人らが承継又は負担をする亡P1の債務及び葬式費用の金額であり,本件申告書記載の本件相続人ら各人の「債務及び葬式費用の金額」(乙3・第1表及び同表(続)③各欄並びに第13表⑦各欄の - 85 -金額)と同額である。 (3) 相続開始前3年以内の贈与に係る加算額(被告別表2順号4「法19条による加算額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 2150万2000円原告P12 1016万5000円原告P13 2610万円原告P14 1016万5000円原告P15 2610万円他の相続人 2033万円上記の各金額は,相続税法19条1項の規 2610万円他の相続人 2033万円上記の各金額は,相続税法19条1項の規定により本件相続人ら各人の課税価格に加算する本件相続開始前3年以内に上記各人が亡P1から贈与を受けた財産の価額であり,本件申告書記載の上記各人の「純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額」(乙3・第1表及び同表(続)⑤各欄並びに第14表④各欄の金額)と同額である。 2 納付すべき相続税額本件相続に係る原告らの納付すべき相続税額は,相続税法15条ないし17条並びに19条1項及び20条の各規定に基づき,次のとおり算定したものである。 (1) 課税遺産総額(被告別表3順号4「課税遺産総額(1-3)」欄の金額)284億9895万円上記金額は,相続税法15条の規定により,前記1の課税価格の合計額から,5000万円と1000万円に本件相続に係る相続人の数である7を乗じた金額7000万円との合計額1億2000万円(被告別表3順号3「遺産に係る基礎控除額」欄の金額)を控除した後の金額である。 (2) 法定相続分に応ずる取得金額(被告別表3順号6「法定相続分に応ずる取得金額」欄のうち「取得者」欄の各金額) - 86 -原告P11(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円原告P12(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円原告P13(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円原告P14(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円 40億7127万8000円原告P13(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円原告P14(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円原告P15(法定相続分7分の1) 40億7127万8000円他の相続人(法定相続分7分の1×2) 81億4255万6000円上記の各金額は,相続税法16条の規定により,前記(1)の課税遺産総額を本件相続人らが民法900条4号の規定による相続分の割合に応じて取得したものとした場合におけるその各取得金額であり,基本通達16-3(乙2)の取扱いにより,各人ごとに1000円未満の端数を切り捨てた後の金額である。 (3) 相続税の総額(被告別表2順号6「相続税の総額」欄のうち「合計」欄の金額及び被告別表3順号8「相続税の総額」欄の金額)139億2047万3000円上記金額は,前記(2)の各金額に,それぞれ相続税法16条に規定する税率を乗じて算出した金額(被告別表3順号7「相続税の総額の基となる税額」欄のうち「取得者」欄の各金額)の合計額である。 (4) 原告ら各人の算出税額(被告別表2順号8「算出税額(6×7)」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 19億7524万7505円原告P12 19億9105万5750円原告P13 19億9105万5750円原告P14 19億91 05万5750円原告P13 19億9105万5750円原告P14 19億9105万5750円原告P15 19億8994万6741円上記の各金額は,相続税法17条の規定により,前記(3)の金額に,前記1の課税価格の合計額のうちに原告ら各人の課税価格(被告別表2順号5 - 87 -「課税価格(3+4)」欄のうち「取得者」欄の各金額)が占める割合をそれぞれ乗じて算出した金額である。 (5) 税額控除額(被告別表2順号9「税額控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 523万8160円原告P12 125万5006円原告P13 635万0281円原告P14 125万5006円原告P15 635万0034円上記の各金額は,次のア及びイの各金額を原告ら各人ごとに合計した金額である。 ア贈与税額控除額(被告別表2付表順号1「贈与税額控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 480万0900円原告P12 81万3000円 原告P11 480万0900円原告P12 81万3000円原告P13 591万0000円原告P14 81万3000円原告P15 591万0000円上記の各金額は,相続税法19条1項括弧書の規定により,原告ら各人の納付すべき相続税額の計算上贈与税の税額として控除する金額であり,本件申告書記載の各人の「暦年課税分の贈与税額控除額」(乙3並びに原告準備書面(7)別紙5及び別紙10における各第1表及び同表(続)⑫欄の金額)と同額である。 イ相次相続控除額(被告別表2付表順号2「相次相続控除額」欄のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 43万7260円 - 88 -原告P12 44万2006円原告P13 44万0281円原告P14 44万2006円原告P15 44万0034円上記の各金額は,平成▲年▲月▲日の亡P18(亡P1の夫)の死亡によって開始した相続(以下「本件第一次相続」という。)により亡P1が 44万0034円上記の各金額は,平成▲年▲月▲日の亡P18(亡P1の夫)の死亡によって開始した相続(以下「本件第一次相続」という。)により亡P1が取得した財産(その価額46億5214万6749円)につき課せられた相続税額771万4000円(原告準備書面(7)別紙5及び同別紙10における各第7表の⑥欄の金額)に相当する金額について,相続税法20条各号の規定により計算した,原告ら各人の納付すべき相続税額の計算上控除する相次相続控除の金額である。 (6) 原告らの納付すべき相続税額(被告別表2順号10「納付すべき税額(8-9)」のうち「取得者」欄の各金額)原告P11 19億7000万9300円原告P12 19億8980万0700円原告P13 19億8470万5400円原告P14 19億8980万0700円原告P15 19億8359万6700円上記の各金額は,上記(4)の原告ら各人の算出税額から,前記(5)の税額控除額をそれぞれ控除した後の金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 3 本件各更正処分の適法性被告が主張する本件相続に係る原告ら各人の納付すべき相続税額は,それぞれ前記2(6)のとおりであるところ,本件各再更正処分により減額された後における原告らの納付すべき相続税額(乙30の1~5の各「○ 告が主張する本件相続に係る原告ら各人の納付すべき相続税額は,それぞれ前記2(6)のとおりであるところ,本件各再更正処分により減額された後における原告らの納付すべき相続税額(乙30の1~5の各「○ 課税標準等及び税額等の計算明細」の「(1) 納付税額又は還付税額の計算明細」と題する表 - 89 -のうち,「⑲差引税額」欄における「更正額」欄の金額)は,いずれもこれと同額であるから,上記のとおり減額された後の本件各更正処分は適法である。 第2 本件各賦課決定処分の根拠及び適法性について前記第1の3で述べたとおり,本件各再更正処分により減額された後の本件各更正処分は適法であるところ,原告らは,本件相続に係る納付すべき相続税額を過少に申告していたものである。 そして,原告らの申告に係る納付すべき相続税額が過少であったことにつき,通則法65条4項に規定する正当な理由は認められない。 したがって,原告らに対しては,通則法65条1項の規定に基づき,本件各再更正処分により減額となった,本件各更正処分による新たに納付すべきこととなった税額(同法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。乙30の1~5の各「○ 加算税の額の計算明細」と題する表のうち,「過少申告加算税」欄の「変更決定後の賦課決定額」欄における「① 加算税の基礎となる税額」欄の金額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税が課されることになる。 原告らに課される過少申告加算税の計算過程は,被告別表6に記載したとおりであり,その額は,それぞれ,原告P11 8990万5000円原告P12 9202万 に記載したとおりであり,その額は,それぞれ,原告P11 8990万5000円原告P12 9202万5000円原告P13 9126万7000円原告P14 9202万5000円原告P15 9115万6000円となるところ,本件各変更決定処分により減額された後の本件各賦課決定処分における原告らの納付すべき過少申告加算税額(乙30の1~5の各「○ 加算税の額の計算明細」と題する表のうち,「過少申告加算税」欄の「変更決定後の賦課決定額」欄における「⑤ 加算税の額」欄の金額)は,いずれもこれ - 90 -と同額であるから,上記のとおり減額された後の本件各賦課決定処分は適法である。 第3 本件各会社株式の価額に係る評価額の根拠について 1 本件各会社株式の評価上の区分及び評価方式について本件各会社株式は,いずれも評価通達168の(3)にいう取引相場のない株式である。したがって,評価通達の定めによれば,本件各会社株式の価額の評価方式を決定するに当たっては,本件各会社が大会社,中会社又は小会社のいずれであるかを判断するに先立ち,まずもって本件各会社株式が評価通達178ただし書にいう「同族株主以外の株主等が取得した株式」又は「特定の評価会社の株式」に当たるか否かを判定することとなるところ,以下に述べるとおり,①本件各会社株式は,いずれも上記「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当せず,②本件各会社は,いずれも 「特定の評価会社の株式」に当たるか否かを判定することとなるところ,以下に述べるとおり,①本件各会社株式は,いずれも上記「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当せず,②本件各会社は,いずれも「特定の評価会社の株式」のうち同通達189の(2)にいう「株式保有特定会社」に該当することから,本件各会社株式の価額は,同通達189-3に定めるS1+S2方式により評価することになる。 (1) 本件各会社株式は「同族株主以外の株主等が取得した株式」(評価通達188)に該当しないこと本件相続財産のうちにはP2株式(64万6400株)及びP3株式(17万8200株)が含まれていたところ,P2とP3とは,本文第2の3(2)ウのとおり相互に株式を持ち合っているいわゆる相互株式持ち合い会社であり,いずれも亡P1と本件相続人らの有する株式によって議決権総数の大半を占める同族会社であるから(被告別表7),本件各会社株式は,「同族株主以外の株主等が取得した株式」(評価通達188)には当たらない。 (2) P2の株式は評価通達189の(4)ないし(6)で定めるところの特定の評価会社のいずれの株式にも該当しないこと本文第2の3(2)アのとおり,P2は,昭和23年に設立された会社であ - 91 -り,従業員5000人以上を有し,事業を継続している会社であるから,同社は,評価通達189の(4)ないし(6)に定める特定の評価会社のいずれにも当たらない。 (3) P2の株式は評価通達189の(3)で定めるところの「土地保有特定会社の株式」に該当しないこと本文第2の3(2)アのとおり,P2は大会社に該当するところ,同社のP3株式を除く総資産価額(相続税評価額)は2552億4831万9000円(被告別表13における①欄の金額30 いこと本文第2の3(2)アのとおり,P2は大会社に該当するところ,同社のP3株式を除く総資産価額(相続税評価額)は2552億4831万9000円(被告別表13における①欄の金額3069億9835万5000円からP3株式の価額517億5003万6000円を控除した金額)であり,P2が有する土地等の価額(相続税評価額)の合計額が423億9556万3000円であることから(被告別表13における○ハ欄の金額。同表における「土地」欄及び「借地権」欄の各「相続税評価額」欄の金額の合計額),P3株式の価額を分母に含めずに計算しても,同社の総資産価額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合は70%に及ばない。したがって,同社が同通達189の(3)イに定める「土地保有特定会社」にも該当しないことは明らかである。 (4) P2の株式は評価通達189の(2)に定める「株式保有特定会社の株式」に該当すること,また,P3の株式も「株式保有特定会社の株式」に該当すること次に,P2が評価通達189の(2)に定める「株式保有特定会社」に該当するか否かを判定することとなるが,P2の有する株式の中には取引相場のない株式であるP3株式が含まれていることから,P3株式の価額を評価しなければP2の株式保有割合を算定することはできない。そこで,P3株式の価額を評価するためには,同社が評価通達189に定める「特定の評価会社」に該当するか否かを判定することになり,P2が「株式保有特定会社」に該当するか否かを判定する過程で,P3が「株式保有特定会社」に該当す - 92 -るか否かも判定されることとなる。 ア本文第2の2(2)イのとおり,P3は,昭和41年に設立された会社であり,従業員は5人以下であるが,事業を継続していることから,同社は,評価通達1 92 -るか否かも判定されることとなる。 ア本文第2の2(2)イのとおり,P3は,昭和41年に設立された会社であり,従業員は5人以下であるが,事業を継続していることから,同社は,評価通達189の(4)ないし(6)に定める特定の評価会社のいずれにも当たらない。 イ本文第2の3(2)イのとおり,P3は中会社に当たる。また,同社においては,本件相続の開始の日の直後に終了した事業年度の末日が平成16年2月29日であって,本件相続の開始の日のわずか1日後であり,その間同社の資産及び負債について著しい増減があったとは認められないことから,同社の総資産価額については,上記の事業年度の末日現在をもって算定すべきであるというべきところ,同社のP2株式を除く総資産価額(相続税評価額)は365億1005万7000円(被告別表9における①の金額665億3772万7000円からP2株式の価額300億2767万円を控除した金額)であり,P3が有する土地等の価額(相続税評価額)の合計額は4億8564万7000円であることから(被告別表9における「土地」欄及び「課税時期前3年以内に取得した土地」欄の各相続税評価額の合計額。原告準備書面(7)別紙2の第5表における「土地」欄及び「3年以内取得土地」欄の各「相続税評価額」欄の金額の合計額),P2株式の価額を分母に含めずに計算しても,同社の総資産価額のうちに占める土地等の価額の合計額の割合は90%に及ばず,同社は,同通達189の(3)ロに定める「土地保有特定会社」に該当しない。 ウ次に,前記のとおり,P3が「株式保有特定会社」に当たるか否かを判定する(P3が「株式保有特定会社」に当たることについては,原告らも争っていないものと思料されるところではあるが,念のため,同社が「株式保有特定会社」に該当す 「株式保有特定会社」に当たるか否かを判定する(P3が「株式保有特定会社」に当たることについては,原告らも争っていないものと思料されるところではあるが,念のため,同社が「株式保有特定会社」に該当することについて指摘しておく。)。 この点,P3が有する株式の中には,P2株式が含まれていることから, - 93 -P3における株式保有割合を算定するためには,P2株式の価額を算定しなければならない。 まず,P3については,仮に,P2株式の価額を除いたとしても,その有する株式等の価額の合計は303億7680万0000円にも上るのであって(被告別表9における「有価証券」欄のうち「P2以外」欄の「相続税評価額」欄の金額),これを前提に同社の株式保有割合を算定すると,同社の株式保有割合は,最低でも83%となる。したがって,P3は,仮にP2株式を有していなかったとしても,評価通達189の(2)の「株式保有特定会社」に該当することは明らかである。 また,P3株式を除く資産及び負債を基にしたP2の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,被告別表13における①の金額3069億9835万5000円から③の金額1266億1074万6000円及びP3株式の相続税評価額517億5003万6000円を控除した1286億3757万3000円を,同社の発行済株式数である864万株で除することによって計算することができ,その金額は1万4888円となる。 その一方,同社の株式の1株当たりの類似業種比準価額は,4653円(被告別表8○ 29 の金額)となるから,評価通達179の定める評価方式に照らせば,P2株式については,類似業種比準方式によって評価した価額が最も低額になるため,P3が有するP2株式645万3400株の価額は,1株当たり 額)となるから,評価通達179の定める評価方式に照らせば,P2株式については,類似業種比準方式によって評価した価額が最も低額になるため,P3が有するP2株式645万3400株の価額は,1株当たりの類似業種比準価額4653円を基に計算した300億2767万0200円が最も低額となる。これを前提に算定したP3の総資産価額(相続税評価額)は,665億3772万7000円(被告別表9の①の金額)であり,そのうち株式等の価額は,604億0447万0000円となるから(被告別表9の○イの金額),P2株式につき原告らの主張する類似業種比準価額を採用したとしても,P3の株式保有割合は90%となる。 - 94 -したがって,いずれにしても,P3が,評価通達189の(2)にいう「株式保有特定会社」に当たることは明らかである。 エ P3株式については,同社が「株式保有特定会社」に当たる以上,その価額は,評価通達189-3の定めに基づき評価することになる。 なお,P2株式の価額の評価上の区分はこの段階において確定したものではないものの,P3が有するP2株式の価額を,1株当たりの類似業種比準価額を4653円として計算した300億2767万0200円とし,これを前提に計算すると,P3株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,3万2212円になる(被告別表9の⑪の金額)。また,P3株式の1株当たりの類似業種比準価額は606円(被告別表10の○ 29 の金額)となるから,S1+S2方式(評価通達189-3ただし書)の内容に照らせば,P3株式については,純資産価額方式に比べ,部分的に類似業種比準方式を取り入れたS1+S2方式によって計算した価額の方がより低額となることが明らかであり,P3株式の価額を同方式によって計算した結果は,被告別表11 は,純資産価額方式に比べ,部分的に類似業種比準方式を取り入れたS1+S2方式によって計算した価額の方がより低額となることが明らかであり,P3株式の価額を同方式によって計算した結果は,被告別表11及び12のとおり,1株当たりの価額が3万1189円となる(被告別表12の○ 27 の金額)。 この金額は,P3株式の価額の評価において,P3が有するP2株式の価額につき最も低額となると認められる類似業種比準方式を用いて算定し,かつ,P3株式の価額の評価において,評価通達189-3に定める計算方法のうち最も低額になると認められるS1+S2方式を採用したものであるから,P3株式の最低限の価値を算定したものといえる。 オ P2の有するP3株式の1株当たりの価額を3万1189円として計算すると,その165万9240株の価額は517億5003万6000円となる(1000円未満切捨て。被告別表13における「有価証券(株式及び出資)」欄のうち,「P3」欄の「相続税評価額」欄の金額)。これを前提にP2の総資産価額(相続税評価額)を計算すると,3069億9 - 95 -835万5000円となり(被告別表13の①の金額),そのうち株式等の価額は,795億5158万1000円となるから(同表の○イの金額),P2の株式保有割合は,25%を超える約25.9%となる。前記エで述べたとおり,1株当たり3万1189円という価額は,P3株式の最低限の価値を示すものであるから,P2の株式保有割合は,約25.9パーセントを上回ることこそあれ,下回ることはない。したがって,P2が評価通達189の(2)にいう「株式保有特定会社」に当たることは明らかであるから,本件各会社株式の価額に係る相続税評価額の算定において,P2株式の価額として原則的評価方式である類似業 がって,P2が評価通達189の(2)にいう「株式保有特定会社」に当たることは明らかであるから,本件各会社株式の価額に係る相続税評価額の算定において,P2株式の価額として原則的評価方式である類似業種比準方式に基づく価額(類似業種比準価額)を基礎に算定した本件各会社株式の価額に係る評価額を用いることはできない。 なお,被告別表13の○イの金額は,同表の資産の部の「有価証券(株式及び出資)」欄中の各金額の合計額であり,同表資産の部の「有価証券(その他)」欄の金額は含まれない。本件各更正処分(ただし,本件各再更正処分による減額前のもの。)に際しては,P2が有する次の表に記載した各資産(価額の合計10億5836万8000円)を同欄に分類すべきものとされていたが,これらの資産のうち,旧商法222条1項に規定するいわゆる優先株式に該当するものと認められる「P10グループ第11回第11種優先株式(価額合計10億円。乙27の1~乙29。以下「P10優先株式」という。)については,評価通達188-4及び188-5の定めにおいて「株式」の語が旧商法上の株式を意味するものとして使用されており,同通達189の(2)の定めにおける「株式」の意義をこれと別異に解する理由がないことに照らせば,同通達189の(2)における「株式及び出資の価額の合計額」に含めるべき株式に当たるものというべきであるから,上記株式保有割合の算定上の「株式及び出資の価額の合計額」は,被告別表13の○イの金額のとおり,P10優先株式の価額1 - 96 -0億円を含むものとすべきである。 №銘柄等価額(単位:円) P10グループ第1 1 回1 1 種優先株式1,000,000,000 P19事業組合40,391,998 P20事業組合 №銘柄等価額(単位:円) P10グループ第1 1 回1 1 種優先株式1,000,000,000 P19事業組合40,391,998 P20事業組合2,076,061 千葉県工業用水局15,900,000合計額1,058,368,059カ以上を踏まえ,株式保有特定会社としてのP2株式の価額に係る相続税評価額算定のための評価方式について検討すると,P2が有するP3株式の価額を1株当たり3万1189円として計算した場合のP2株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)は,2万0878円となるところ(被告別表13の⑪の金額),同社の株式の1株当たりの類似業種比準価額は,前記ウのとおり4653円であるから,P3株式と同様に,純資産価額方式に比べS1+S2方式によって計算した価額の方がより低額となることが明らかであり,同方式によって計算するのが相当である。 2 本件各会社株式の価額に係る評価額について(1) 前記1のとおり,本件各会社はいずれも「株式保有特定会社」に当たること及びS1+S2方式による評価額が純資産価額方式による評価額よりも低い価額が算定されることから,本件各会社株式の価額については,いずれもS1+S2方式により評価するのが相当である。同方式は,「株式保有特定会社」の株式の価額につき,有する株式等の影響を排除した上で「一般の評価会社」に適用される原則的評価方式に準じた方法によって計算したS1の金額と,有する株式等のみを純資産価額方式によって計算した価額に相当するS2の金額との合計額をもって評価するというものである。 この点,本件各会社のように相互に株式を持ち合っている「株式保有特定会社」の場合は,それぞれのS2の金額の計算上,有する他方 するS2の金額との合計額をもって評価するというものである。 この点,本件各会社のように相互に株式を持ち合っている「株式保有特定会社」の場合は,それぞれのS2の金額の計算上,有する他方の会社の株式 - 97 -の価額を算入する必要があり,一見,相互の株式の価額が計算上循環し,その価額を確定することができないかのように見える。しかしながら,相互に株式を持ち合っている「株式保有特定会社」の貸借対照表の関係を図示すれば,被告別表14-1上段の概要図のとおりであり,これらの関係を数式化すれば,同表下段のとおりとなり,両社の株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上算入される持ち合い株式の各価額は,所与の数値を基にこの数式を用いて求めることができる。この方法によれば,一方の会社の株式についてS1+S2方式によって得られた1株当たりの価額(ただし,S2の金額の計算上,法人税額等相当額を控除しないもの)が他方の会社の総資産価額(相続税評価額)に算入される当該株式の1株当たりの価額と一致し,相互に矛盾のない株式の価額を合理的に算出することができる。 つまり,相互に株式を持ち合う「株式保有特定会社」の株式の適正な時価を求めるに当たっては,かかる計算方法によることが最も適切といえるのである。 (2) そこで,被告別表14-1下段の数式を用いて計算したP2が有するP3株式の価額に係る相続税評価額は1827億0508万0076円となり(被告別表14-2右下のⅩの金額),P3が有するP2株式の価額に係る相続税評価額は1862億9799万5106円となり(被告別表14-2右下のYの金額),これらの金額を基に計算した本件各会社の各資産及び各負債の金額は,それぞれ被告別表15及び16記載のとおりである。 (3) 本件各会社株式に 5106円となり(被告別表14-2右下のYの金額),これらの金額を基に計算した本件各会社の各資産及び各負債の金額は,それぞれ被告別表15及び16記載のとおりである。 (3) 本件各会社株式に係る1株当たりの各類似業種比準価額(被告別表8及び同10における各○ 29 の金額)並びに各資産及び各負債の金額(被告別表15及び同16)を基に,評価通達189-3(1)及び(2)所定の修正を加えた計算過程は,被告別表17ないし20記載のとおりであり,結果として,S1+S2方式に基づき計算したP2株式の1株当たりの価額は1万9002円,P3株式の1株当たりの価額は6万4908円(被告別表18及び同20に - 98 -おける各○ 27 の金額)となる。 したがって,本件相続に係る相続税の課税価格の計算上,本件相続人らが本件相続により取得したものとして計算するP2株式64万6400株の価額に係る評価額は122億8289万2800円,P3株式17万8200株の価額に係る評価額は115億6660万5600円となる(被告別表5順号1及び2の「評価額(円)」欄の金額)。 以上 - 99 -(別紙3)相続税額に関する原告らの主張 第1 原告らの主張に基づく税額 1 P2の株式保有割合本件各会社がそれぞれ保有する資産を本件各異議決定及び本件各裁決に記載されている価額で評価した場合でも(ただし,P2保有のP3株式は原則的評価方式により評価した。),P2の株式保有割合は約18%にすぎず,大会社を株式保有特定会社と評価すべき基準として評価通達189の(2)が定める25%を下回るので,P2は株式保有特定会社に当たらないことは明らかである。 また,上記の割合は,P は約18%にすぎず,大会社を株式保有特定会社と評価すべき基準として評価通達189の(2)が定める25%を下回るので,P2は株式保有特定会社に当たらないことは明らかである。 また,上記の割合は,P2の株式保有割合を判定するに当たって,同社が保有するP3株式を原則的評価方式により評価して算出されたものであるが,被告主張のとおりP2保有のP3株式を株式保有特定会社の株式として評価したとしても,本件各会社の各資産の正しい評価額を反映させると,P2の株式保有割合はやはり25%に達しないことになる。すなわち,P3の資産及び負債の内容は,原告別紙1に記載したとおりとなるので,これに基づいて計算すると,原告別紙2記載のとおり,S1の金額は682円,S2の金額は3万0507円となり,その合計額は3万1189円となる。この価額は同社の1株当たりの純資産価額3万2212円を下回るので,P3株式はS1+S2方式により1株3万1189円と評価すべきことになる。その上で,この価額にP2が保有するP3株式の数である165万9240株を乗じると,その総額は517億5003万6360円となり,本件において原告らが主張するP2が保有する他の資産の評価額をも加味すると,原告別紙3記載のとおり,P2が保有する総資産の価額は3184億4610万9000円,株式等の価額は785億5159万円となり,P2の株式保有割合は約24.6%となる。 このように,いずれにしても,P2は,株式保有割合が25%以上の評価会 - 100 -社ではないから,株式保有特定会社に当たらない。したがって,本件相続財産中のP2株式は,原則的評価方式により評価すべきことになる。 2 正しい税額(1) 税額前記1のとおりP2株式を原則的評価方式により評価することを前提とすると,原告ら各人 本件相続財産中のP2株式は,原則的評価方式により評価すべきことになる。 2 正しい税額(1) 税額前記1のとおりP2株式を原則的評価方式により評価することを前提とすると,原告ら各人の納付すべき税額は,次のとおりとなる(原告別紙4及び5参照)。これらの金額は,いずれも,本件申告書(乙3)に記載された金額を下回るものであるので,本件各処分は,その全てにおいて違法であるものというべきであって,直ちに取り消されるべきである。 原告P11 7億4062万4400円原告P12 7億3934万0400円原告P13 7億4165万4200円原告P14 7億3933万5200円原告P15 7億4165万4200円(2) 計算根拠前記(1)の結論に至る計算根拠につき,若干説明を補足する。 原告らが主張する取得財産の価額は,原告別紙6のとおりであるが,このうち,被相続人である亡P1が保有していたP2株式64万6400株については,同社が株式保有特定会社に当たらない以上,その株式は類似業種比準方式により算出することになるので,その評価額は,4653円(1株当たりの評価額)×64万6400株=30億0769万9200円ということになる。 P3株式については,株式保有特定会社の株式として評価することになるところ,P3が保有するP2株式は類似業種比準価額で評価するため,その評価額は,上記の1株4653円のままであるが,本件における原告らの主張を踏まえると,同社が保有する資産及び負債は原告別紙1の原告らの主張 - 101 - は類似業種比準価額で評価するため,その評価額は,上記の1株4653円のままであるが,本件における原告らの主張を踏まえると,同社が保有する資産及び負債は原告別紙1の原告らの主張 - 101 -欄記載のとおりとなる。これを基に,同社の1株当たりの純資産価額(法人税額等相当額を控除したもの。)を算出すると,2万0208円となり,一方,S1の金額が682円,S2の金額が1万8450円で,その合計額が1万9132円となって,上記の1株当たりの純資産価額を下回ることになるので,同社を株式保有特定会社として評価した場合の価額(個人所有の場合)は,1株当たり1万9132円となる(原告別紙7)。これに,亡P1が保有していた株数17万8200株を乗じると,総額は34億0932万2400円となる。 その他,P1が保有していた株式及びP17株式の正しい評価額(原告別紙8及び9)をも反映させた上で原告らの相続税額を算出すると,前記(1)記載のとおりの金額となる。なお,被告は,取得財産の価額の計算に当たって,各相続人の特別受益を認定しているが,上記の計算に当たっては,特別受益はないものとした。 3 P2株式を株式保有特定会社の株式として評価した場合の税額(1) 税額P2が株式保有特定会社に該当するとしても,本件各会社が相互に保有する株式の価額は,被告が主張する連立方程式を用いた評価方式ではなく,原告らが確定申告時に用いた評価方式により評価されるべきであり,P2株式を株式保有特定会社の株式として評価した場合における原告ら各人の納付すべき税額は,それぞれ次のとおりとなる(原告別紙4及び10参照)。これらの金額も,本件申告書記載の金額を下回るので,やはり本件各処分はその全てが違法となる。 原告P11 9億9 れ次のとおりとなる(原告別紙4及び10参照)。これらの金額も,本件申告書記載の金額を下回るので,やはり本件各処分はその全てが違法となる。 原告P11 9億9419万6400円原告P12 9億9281万0500円原告P13 9億9526万4700円原告P14 9億9281万0500円 - 102 -原告P15 9億9526万4700円(2) 計算根拠本件各会社が相互に保有する株式は,原告らが確定申告の際に用いた方式,すなわち,以下の方法により評価した。 まず,P2株式の類似業種比準価額を基に,P3株式をS1+S2方式で評価する。その価額は,既に述べたとおり1株当たり3万1189円となる。 続いて,この評価額を基に,P2株式をS1+S2方式で評価して,相続財産中のP2株式の評価額とすることとなるが,その価額は,1株当たり1万0144円となる(原告別紙11)。 その他の財産の評価は,前記2の場合と同様の評価とし,その上で,原告らの相続税額を計算すると,それぞれ前記(1)のとおりの金額となる。なお,P1が保有していたP16株式及びP17株式の評価については既に述べたが,その他にP2及びP3が保有していた関係会社の株式についても,念のため評価明細書を添付して明らかにする(原告別紙12~16)。 以上

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