平成25年3月26日判決言渡平成23年(ワ)第40982号損害賠償請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,39万8040円及びこれに対する平成21年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要普通地方公共団体である原告の住民は,原告が住民基本台帳ネットワークシステムに接続していないことは住民基本台帳法に違反するものであって,この不接続に伴って年金受給権者現況届の郵送費等を支出したことは財務会計上の違法行為に該当するなどと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟を提起したところ,当時国立市長であった被告に対して上記郵送費等相当額の損害賠償請求をすること等を命じる判決が確定したが,被告は上記損害賠償金の支払をしなかった。 本件は,原告が,被告に対し,地方自治法242条の3第2項に基づき,不法行為に基づく上記郵送費等相当額の損害賠償金39万8040円及びこれに対する不法行為後の日である平成21年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案であり,地方自治法242条の2第1項4号に基づく上記確定判決(いわゆる第1段目の訴訟の判決)によって認定された損害賠償債務の履行を求めるいわゆる第2段目の訴訟である。 なお,上記のいわゆる第1段目の訴訟の審理において,当該訴訟の被告であった国立市長側に,本件訴訟の被告が補助参加をしていたが,控訴した国立市 長が,本件訴訟の被告の意思に反して控訴を取り下げたため,いわゆる第1段目の訴訟についての参加的効力(民事訴訟法46条,地方自治法242条の3第4項)が本件訴訟の被告に対し ,控訴した国立市 長が,本件訴訟の被告の意思に反して控訴を取り下げたため,いわゆる第1段目の訴訟についての参加的効力(民事訴訟法46条,地方自治法242条の3第4項)が本件訴訟の被告に対して及ばないこととなり,確定したいわゆる第1段目の訴訟と同じ争点について,再度審理をすることになったものである。 1 関係法令の定め別紙「関係法令の定め」記載のとおり(同別紙中の略称は本文においても同様に用いる。)。 2 争いのない事実等(証拠等により容易に認められる事実は,証拠等を掲記した。)(1) 当事者原告である国立市は,普通地方公共団体であり,被告は,平成▲年▲月から平成▲年▲月まで国立市長であった。 (2) 住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)の概要等(甲1,弁論の全趣旨)ア住民基本台帳制度市町村は,地方自治法13条の2及び住基法に基づき,住民基本台帳を整備しており,住民基本台帳には,氏名,生年月日,性別及び住所等が記載され,市町村の住民に関する事務の処理は全て住民基本台帳に基づいて行われることが予定されている(住基法2条,7条)。 イ住基ネットの目的等従前,各市町村の保有する住民基本台帳の情報は当該市町村内においてのみ利用されていたところ,住基ネットは,市町村長に住民票コードを記載事項とする住民票を編成した住民基本台帳の作成を義務付け,住民基本台帳に記録された個人情報のうち,特定の本人確認情報(氏名,生年月日,性別,住所,住民票コード及び変更情報(転入転出等の異動情報等)に限る。以下同じ。)を市町村,都道府県及び国の機関等で共有してその確認 ができる仕組みを構築することにより,住民基本台帳のネットワーク化を図り,住民基本台帳に関する事務の広域化による住民サービスの向上と行 じ。)を市町村,都道府県及び国の機関等で共有してその確認 ができる仕組みを構築することにより,住民基本台帳のネットワーク化を図り,住民基本台帳に関する事務の広域化による住民サービスの向上と行政事務の効率化を図ることを目的として(住基法6条,7条13号,30条の5から30条の8まで等),住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号)により導入されたものである。 ウ住基ネットの仕組み住基ネットの基本的な仕組みは,以下のとおりであり,平成14年8月5日に第1次稼働(住民票コードの住民票への記載,市町村長から都道府県知事への本人確認情報の通知,国及び地方公共団体等への本人確認情報の提供等に係る部分の導入)が開始し,平成15年8月25日に第2次稼働(住民票の写しの広域交付,転入転出の特例処理,住民基本台帳カードの交付等に係る部分の導入)が開始した。 (ア) 市町村には,既存の住民基本台帳電算処理システム(以下「既存住基システム」という。)のほか,既存住基システムと住基ネットを接続し,その市町村の住民の本人確認情報を記録,管理するシステムであるコミュニケーションサーバが設置され,本人確認情報は,既存住基システムから上記サーバに伝達されて保存される。都道府県には,区域内の市町村のコミュニケーションサーバから送信された本人確認情報を記録,管理するシステムである都道府県サーバが設置されている。都道府県知事は,総務大臣の指定する者(以下「指定情報処理機関」という。)に本人確認情報処理事務を行わせることができ(住基法30条の10第1項柱書き),指定情報処理機関には,全都道府県の都道府県サーバから送信された本人確認情報を記録し,管理する全国サーバが設置されている。都道府県知事から指定情報処理機関に送信された本人確認情報は, 項柱書き),指定情報処理機関には,全都道府県の都道府県サーバから送信された本人確認情報を記録し,管理する全国サーバが設置されている。都道府県知事から指定情報処理機関に送信された本人確認情報は,全国サーバに保存される(住基法30条の11)。 (イ) 市町村長は,住民票の記載,消除,又は本人確認情報の記載の修正 を行った場合には,当該住民票の記載等に係る本人確認情報を都道府県知事に通知する(住基法30条の5第1項)。都道府県知事は,通知された本人確認情報を磁気ディスクに記録し,これを原則として5年間保存しなければならない(住基法30条の5第3項,住民基本台帳法施行令30条の6)。 (ウ) 市町村長は,条例で定めるところにより,他の市町村の市町村長その他の執行機関から事務処理に関し求めがあったときは,本人確認情報を提供する(住基法30条の6)。 都道府県知事は,住基法別表に掲げる国の機関等,区域内の市町村の市町村長その他の執行機関又は他の都道府県の執行機関等から,法令又は条例によって規定された一定の事務の処理に関し求めがあったときは,政令又は条例で定めるところにより,本人確認情報を提供する(住基法30条の7第3項から6項まで)。また,都道府県知事は,統計資料の作成など法令に規定する一定の事務を遂行する場合には,本人確認情報を利用することができる(住基法30条の8第1項)。 (3) 原告の住基ネット接続及び不接続に関する経緯等ア(ア) 住基ネットは平成14年8月5日に第1次稼働を開始し,当時国立市長であったA(以下「A元市長」という。)は,原告の既存住基システムと住基ネットを電気通信回線で接続した(以下,「住基ネットとの接続」というような表現で,既存住基システムと住基ネットを電気通信回線で接続することを表わす。)。 A元 。)は,原告の既存住基システムと住基ネットを電気通信回線で接続した(以下,「住基ネットとの接続」というような表現で,既存住基システムと住基ネットを電気通信回線で接続することを表わす。)。 A元市長は,平成14年12月26日,原告の既存住基システムと住基ネットを接続していた電気通信回線を切断した(以下「本件切断」といい,「住基ネットとの切断」というような表現で,既存住基システムと住基ネットを接続していた電気通信回線を切断することを表す。)。 (イ) 被告は,平成▲年▲月に国立市長に就任し,原告の既存住基システ ムと住基ネットを電気通信回線で接続しない状態(以下,この状態を「本件不接続」という。)を継続することとした。 イ(ア) 東京都杉並区(以下「杉並区」という。)は,住基ネットには個人情報の流出等の危険が存在するとして,住基ネットの安全性が確認されるまでの間,通知を希望した者に係る本人確認情報のみを通知し,通知を希望しない者に係る本人確認情報を通知しない方式によって住基ネットへ参加することを東京都に対して申し入れたところ,東京都がこれを拒否したため,杉並区民のうちの通知希望者に係る本人確認情報を住基ネットを通じて送信する場合に東京都はこれを受信する義務があると主張して,東京都に対しその受信義務の確認を求め,また,東京都は上記受信義務を怠り,国は東京都に対して適切な指導を行わないばかりか杉並区に対し横浜市に対する対応と異なった対応をしたため,それぞれ杉並区に損害を与えたなどと主張して,東京都及び国に対し,国家賠償法1条に基づく損害賠償金の支払を求める訴訟を提起したところ,東京高等裁判所は,平成19年11月29日,下記のとおり判示するなどして,上記請求を却下及び棄却した原判決に対する杉並区の控訴を棄却する旨の判決(以下「平 賠償金の支払を求める訴訟を提起したところ,東京高等裁判所は,平成19年11月29日,下記のとおり判示するなどして,上記請求を却下及び棄却した原判決に対する杉並区の控訴を棄却する旨の判決(以下「平成19年東京高裁判決」という。)をし,杉並区は上告及び上告受理申立てをしたが,最高裁判所は,平成20年7月8日,上告を棄却し,上告審として受理しない旨の決定をした(当裁判所に顕著な事実)。 記住基法30条の5第1項及び第2項が,都道府県知事に対して本人確認情報を送信するか否かについて,市町村長に裁量権を付与しているとは到底考えられない。・・・(略)・・・市町村長は,住民が通知を希望しているか否かを問わず,都道府県知事に対し,漏れなく当該住民に係る本人確認情報を送信する義務があるといわなければならず,通知するかし ないかにつき裁量の余地は全くないから,これを怠った市町村長の行為は違法といわざるを得ない。そして,控訴人(注:杉並区)が求めているのは,杉並区民のうちの通知希望者に係る本人確認情報のみの通知(送信)という住基法30条の5第1項及び第2項の定める要件に適合しない違法な通知(送信)の受信であるから,被控訴人東京都は,同条第3項の規定に従い,送信された本人確認情報を磁気ディスクに記録する義務(受信義務)を負わないと解すべきである。 (イ) 最高裁判所は,大阪府守口市の住民が,住基ネットにより行政機関が住民の個人情報を同意なく収集,管理又は利用することは,憲法13条により保障されたプライバシー権その他の人格権を違法に侵害するものであるなどと主張して,同市に対し,人格権に基づく妨害排除請求として,住民基本台帳からの住民票コードの削除を求めた事案について,平成20年3月6日,下記のとおり判示するなどして,住基ネットにより行政機関 などと主張して,同市に対し,人格権に基づく妨害排除請求として,住民基本台帳からの住民票コードの削除を求めた事案について,平成20年3月6日,下記のとおり判示するなどして,住基ネットにより行政機関が住民の本人確認情報を収集,管理又は利用する行為は,当該住民がこれに同意していないとしても,憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではない旨の判決(最高裁判所平成20年3月6日第一小法廷判決・民集62巻3号665頁。以下「平成20年最高裁判決」という。)をした(当裁判所に顕著な事実)。 記住基ネットによって管理,利用等される本人確認情報は,氏名,生年月日,性別及び住所から成る4情報に,住民票コード及び変更情報を加えたものにすぎない。このうち4情報は,人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている個人識別情報であり,変更情報も,転入,転出等の異動事由,異動年月日及び異動前の本人確認情報にとどまるもので,これらはいずれも,個人の内面に関わ るような秘匿性の高い情報とはいえない。これらの情報は,住基ネットが導入される以前から,住民票の記載事項として,住民基本台帳を保管する各市町村において管理,利用等されるとともに,法令に基づき必要に応じて他の行政機関等に提供され,その事務処理に利用されてきたものである。そして,住民票コードは,住基ネットによる本人確認情報の管理,利用等を目的として,都道府県知事が無作為に指定した数列の中から市町村長が一を選んで各人に割り当てたものであるから,上記目的に利用される限りにおいては,その秘匿性の程度は本人確認情報と異なるものではない。また,・・・(略)・・・住基ネットによる本人確認情報の管理,利用等は,法令等の根拠に基づき, のであるから,上記目的に利用される限りにおいては,その秘匿性の程度は本人確認情報と異なるものではない。また,・・・(略)・・・住基ネットによる本人確認情報の管理,利用等は,法令等の根拠に基づき,住民サービスの向上及び行政事務の効率化という正当な行政目的の範囲内で行われているものということができる。住基ネットのシステム上の欠陥等により外部から不当にアクセスされるなどして本人確認情報が容易に漏えいする具体的な危険はないこと,受領者による本人確認情報の目的外利用又は本人確認情報に関する秘密の漏えい等は,懲戒処分又は刑罰をもって禁止されていること,住基法は,都道府県に本人確認情報の保護に関する審議会を,指定情報処理機関に本人確認情報保護委員会を設置することとして,本人確認情報の適切な取扱いを担保するための制度的措置を講じていることなどに照らせば,住基ネットにシステム技術上又は法制度上の不備があり,そのために本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示又は公表される具体的な危険が生じているということもできない。・・・(略)・・・そうすると,行政機関が住基ネットにより住民である被上告人らの本人確認情報を管理,利用等する行為は,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表するものということはできず,当該個人がこれに同意していないとしても,憲法13条により保障された上記の自由を侵害するものではないと解する のが相当である。 (ウ) 原告は,平成▲年▲月▲日発行の市報において,平成20年最高裁判決の内容を報じ,同年▲月▲日発行の市報において,平成19年東京高裁判決及びその上告審決定の内容を報じた(乙1の18及び19)。 なお,被告は,国立市長として,市報の発行前にその内容を確認して決裁していた( 報じ,同年▲月▲日発行の市報において,平成19年東京高裁判決及びその上告審決定の内容を報じた(乙1の18及び19)。 なお,被告は,国立市長として,市報の発行前にその内容を確認して決裁していた(弁論の全趣旨)。 ウ東京都知事は,平成▲年▲月▲日付けで,国立市長であった被告に対し,住基法30条の5第1項に規定する事務を速やかに執行するよう,地方自治法245条の6に基づく是正の勧告をした(甲16)。 また,東京都知事は,総務大臣から,地方自治法245条の5第2項の規定に基づき原告に対し住基法違反を是正するため必要な措置を講ずべきことを求めるよう指示があったことから,平成▲年▲月▲日付けで,国立市長であった被告に対し,住基法に規定する事務を速やかに執行するよう,地方自治法245条の5第3項に基づく是正の要求をした(甲17)。 エ被告は,平成▲年▲月に国立市長を退任するまでの間,本件不接続を継続した。 なお,被告が国立市長を退任した後,現在の国立市長であるBは,原告の既存住基システムと住基ネットを電気通信回線で再接続した(弁論の全趣旨)。 (4) 原告による郵送費等の支出等ア年金受給権者現況届の郵送費(ア) 社会保険庁(平成22年1月以降は日本年金機構。以下同じ。)は,毎年,年金受給権者の誕生日月にその現況を確認しているところ,従前は,年金受給権者から年金受給権者現況届(以下「現況届」という。)の提出を受けることによりその確認をしていたが,住基ネット導入により,住基ネットを利用して現況確認をすることとなったため,住基ネッ トに接続している地方公共団体の住民である年金受給権者は,現況届を提出する必要がなくなった。しかし,原告が住基ネットに接続していなかったため,引き続き,原告の住民は現況届を提出する必要があった。 トに接続している地方公共団体の住民である年金受給権者は,現況届を提出する必要がなくなった。しかし,原告が住基ネットに接続していなかったため,引き続き,原告の住民は現況届を提出する必要があった。 そこで,原告は,平成18年12月以降,住民が国立市役所又はその出先機関に現況届を持参した場合には,これを社会保険庁に郵送することとしたが,この郵送事務は,原告が住基ネットに接続していれば不要な事務であった。 (イ) 原告が平成▲年▲月▲日から平成▲年▲月▲日までの間に上記郵送事務のために支出した現況届郵送費(以下「本件郵送費」という。)は,合計2万1720円である(甲1,弁論の全趣旨)。 イ住基ネットサポート委託料原告は,本件切断の後,住基ネットに再接続する場合に備え,住民異動データのバックアップ事務を民間業者に有償で委託した(以下,この委託に係る住基ネットサポート委託契約を「本件委託契約」という。)。上記バックアップ事務は,住民異動データをホストコンピュータに蓄積し,毎月1回,国立市役所庁内電算室において,蓄積された1か月分の住民異動データを電磁的記録媒体に記録しておくというものである。なお,原告が住基ネットに接続していれば,日々発生する住民異動データは電気通信回線を通じて東京都サーバに順次送信されるので,上記バックアップ事務は不要であった。 原告が平成▲年▲月▲日から平成▲年▲月▲日までの間に上記バックアップ事務のために支出した住基ネットサポート委託料(以下「本件委託料」といい,本件郵送費と併せて「本件各費用」という。)は,合計37万6320円である(甲1,弁論の全趣旨)。 (5) 本件各費用の支出に係る財務会計行為の手続等ア本件郵送費 国立市支出負担行為手続規則(以下「支出負担行為規則」という。)7条及び別 6320円である(甲1,弁論の全趣旨)。 (5) 本件各費用の支出に係る財務会計行為の手続等ア本件郵送費 国立市支出負担行為手続規則(以下「支出負担行為規則」という。)7条及び別表第1は,「運搬費」について,支出負担行為として整理する時期を「請求のあったとき」,支出負担行為の範囲を「請求のあった額」と規定している。 本件郵送費は,毎月請求されるものであり,毎月の請求額が30万円未満であったため,支出負担行為規則7条及び別表第1並びに専決規程11条9号に基づき,担当課長である当時の保険年金課長(以下,単に「保険年金課長」という。)が支出負担行為及び支出命令(以下,これらの財務会計行為を併せて「本件郵送費支出」という。)を専決した(弁論の全趣旨)。 イ本件委託料支出負担行為規則7条及び別表第1は,「委託料」について,支出負担行為として整理する時期を「契約を締結するとき」,支出負担行為の範囲を「契約金額」と規定している。 本件委託料は,年度当初に本件委託契約(年間の契約金額56万4480円)を締結し,毎月の委託料(月額4万7040円)を支出するものであったため,支出負担行為規則7条及び別表第1並びに専決規程10条7号に基づき,担当部長である当時の総務部長(以下,単に「総務部長」という。)が支出負担行為(本件委託契約の締結)を専決し,専決規程11条9号に基づき,担当課長である当時の市民課長(以下,単に「市民課長」という。)が支出命令(以下,これらの財務会計行為を併せて「本件委託料支出」といい,本件郵送費支出と併せて「本件各支出」という。)を専決した(弁論の全趣旨)。 (6) 住民訴訟の提起等ア原告の住民5名は,原告が住基ネットに接続していないことは住基法に違反するものであり,この不接続に伴って本件各費用を 各支出」という。)を専決した(弁論の全趣旨)。 (6) 住民訴訟の提起等ア原告の住民5名は,原告が住基ネットに接続していないことは住基法に違反するものであり,この不接続に伴って本件各費用を支出したことは財 務会計法規上の義務に違反する違法なものであると主張して,平成21年12月22日,東京地方裁判所に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,国立市長が被告に対して本件各費用相当額の損害賠償金の支払請求をすることなどを求める住民訴訟(当庁平成○年(行ウ)第○号公金支出差止等(住民訴訟)請求事件)を提起した。 東京地方裁判所は,平成▲年▲月▲日,原告が住基ネットに接続していないことは住基法上の義務に違反する違法なものであって,その違法は重大かつ明白であるから,これを前提としてされた本件各支出には財務会計上の違法があるところ,国立市長であった被告は,本件各支出を阻止すべき指揮監督上の義務を怠るという財務会計上の違法行為を行ったものであると判断し,国立市長に対し,被告に対して本件各費用の合計39万8040円及びこれに対する平成21年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を原告に支払うよう請求することを命じる判決(以下「本件住民訴訟判決」という。)をした。なお,本件住民訴訟判決においては,平成20年9月28日以前に支出された現況届郵送費及び住基ネットサポート委託料に係る損害賠償の請求を求める部分は,適法な監査請求を経ていない不適法なものであるとして訴えが却下されている(甲1)。 イ国立市長は,平成23年2月16日,本件住民訴訟判決に対して控訴(東京高等裁判所平成○年(行コ)第○号公金支出差止等(住民訴訟)請求控訴事件)をし,被告は,同年4月28日,同控訴事件について補助参加の申出をした。 被告の国立市長と 件住民訴訟判決に対して控訴(東京高等裁判所平成○年(行コ)第○号公金支出差止等(住民訴訟)請求控訴事件)をし,被告は,同年4月28日,同控訴事件について補助参加の申出をした。 被告の国立市長としての任期は平成▲年▲月に終了し,現在の国立市長であるBが同年5月24日に上記控訴を取り下げたことにより,本件住民訴訟判決は確定した。 なお,上記控訴の取下げは被告の意思に反して行われたものであり,本件住民訴訟判決のいわゆる参加的効力(民事訴訟法46条,地方自治法2 42条の3第4項)は,被告に対して及ばない(甲4,弁論の全趣旨)。 ウ国立市長は,平成23年6月15日に到達した書面により,被告に対し,地方自治法242条の3第1項に基づき,同年7月23日までに,39万8040円及びこれに対する平成21年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求したが,被告はこの支払を拒否した。 エ原告は,平成23年12月21日,地方自治法242条の3第2項に基づき,本件訴訟を提起した。 3 争点(1) 被告による本件不接続の継続が住基法に違反する違法なものか否か。 (2) 被告が本件各支出について損害賠償責任を負うか否か。 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(被告による本件不接続の継続が住基法に違反する違法なものか否か。)について(原告の主張)ア市町村長は,都道府県知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信するため住基ネットに接続する住基法上の義務を負うものであり,本件不接続の継続は,この住基法上の義務に違反するもので違法である。 そして,本件不接続の継続は,住基法の目的達成を妨害するものであり,また,東京都知事から是正の要求まで受けているものであるから,その違法は 継続は,この住基法上の義務に違反するもので違法である。 そして,本件不接続の継続は,住基法の目的達成を妨害するものであり,また,東京都知事から是正の要求まで受けているものであるから,その違法は重大かつ明白である。 イ住基ネットを含む住民基本台帳事務は,市町村の自治事務(地方自治法2条8項)であるところ,自治事務においては,地方公共団体の自主的判断が尊重されるべきとされている。しかし,統一性,適法性等の確保のために,国等が関与を行う必要性を否定することができないため,地方自治法は,自治事務に対する「是正の要求」(同法245条の5)及び「是正 の勧告」(同法245条の6)を定めている。 そして,一部の市町村が住基ネットに参加しないと,本人確認情報を国の機関等,都道府県及び市町村で共有することにより行政コストの削減を図るという住基ネットの目的は達せられないことになり,その影響は,当該地方公共団体のみならず全国の地方公共団体に及ぶことになるため,本件不接続については,東京都知事による是正の勧告(地方自治法245条の6)及び総務大臣による是正の要求の指示(同法245条の5第2項)までされたものである。それにもかかわらず,国立市長であった被告は本件不接続を継続したものであり,これは地方自治法245条の5第5項にも違反するものであって,地方公共団体の自主的判断の許容限度を超える違法なものというべきである。 なお,地方公共団体の中には,住基ネットとの切断に関する条例を制定しているものも存在するが,これらは,いずれも住基ネットへの接続を前提として,例えば,情報管理の遺漏等により住民の基本的人権が侵害される危険性が生じたような場合に住基ネットの運用を停止することなどを規定したものであって,住基ネット不接続自体を定めたものではない。 として,例えば,情報管理の遺漏等により住民の基本的人権が侵害される危険性が生じたような場合に住基ネットの運用を停止することなどを規定したものであって,住基ネット不接続自体を定めたものではない。 ウしたがって,被告による本件不接続の継続は,住基法に違反する違法なものであり,その違法は重大かつ明白である。 (被告の主張)ア(ア) 住基ネットを含む住民基本台帳事務は,市町村の自治事務(地方自治法2条8項)であり,同事務に関する責任は,市町村長が負うべきものとされている(住基法1条,3条1項及び2項,5条,6条等)。住民票(住基法7条)には,選挙人名簿に関する記載(同条9号)のほか,国民健康保険の被保険者の資格(同条10号),後期高齢者医療の被保険者の資格(同条10号の2),介護保険の被保険者の資格(同条10号の3),国民年金の被保険者の資格(同条11号),児童手当の受給 資格(同条11号の2)など,選挙権の行使や,住民の日々の生活における行政サービスに関する基本情報が記録されており,このように住民の生活に密着した情報であるために,市町村長が責任を持って管理すべきものとされている。 そうすると,住民基本台帳事務の適正な運用(住基法3条1項)のために,市町村長が住基法の条項の解釈について独自の判断をすることは,最大限尊重されるべきである(地方自治法2条12項前段)。 (イ) 現在,多くの地方公共団体(東京都新宿区,同中野区,同板橋区,同杉並区等)において,住民基本台帳事務が自治事務であることを踏まえて,住民の個人情報の安全確保の観点から,住基ネットとの切断に関する独自の条例を制定している。そして,原告においても,被告が退任した後に,住基ネットとの切断に関する条例(「国立市住民基本台帳ネットワークシステムに係る個人情報の保護 から,住基ネットとの切断に関する独自の条例を制定している。そして,原告においても,被告が退任した後に,住基ネットとの切断に関する条例(「国立市住民基本台帳ネットワークシステムに係る個人情報の保護に関する条例」)を制定している。 これらの条例は,住基法36条の2を根拠として,市町村長に,住基ネットの安全性について,国,他の地方公共団体,指定情報処理機関に対する報告要求・調査権限を与え,報告・調査の結果,必要と認めるときに,本人確認情報の送信停止や住基ネットとの切断をする権限を与えているところ,国は,これらの条例を違法とはしていない。 このような権限は,市町村長が住民の個人情報等の保護に関する責務を有することや,各市町村が直面する危険の状況は千差万別であって,各市町村長が,各市町村の事情に応じて住基ネットとの切断という判断をせざるを得ないことから,当然に市町村長に対して与えられなければならないものである。実際に,例えば,平成15年8月にブラスターウィルス感染問題が発生した際,東京都世田谷区,長野県長野市及び同県松本市等では,独自の判断で住基ネットと一定期間切断したが,国はこ れらの対応を違法としていない。 (ウ) 本件切断は,被告の前任のA元市長が総務省等に対する質問調査や住基ネットのセキュリティやプライバシーの保護状況等の調査結果等を踏まえて行ったものであるところ,被告は,住基ネットに再接続するに足りる状況に至っていないという判断の下に,本件不接続を継続したものであって,その判断は十分尊重されなければならない。 イ以下のような情報セキュリティ等の実態に鑑みれば,被告が国立市長に在任していた当時,住基ネットの制度や運用は,積極的に本件不接続の方針を変更しなければならないほど明白に安全であると評価し得る水準には達してい な情報セキュリティ等の実態に鑑みれば,被告が国立市長に在任していた当時,住基ネットの制度や運用は,積極的に本件不接続の方針を変更しなければならないほど明白に安全であると評価し得る水準には達していなかった。そのため,被告は,国立市民の個人情報や生命・身体等を保護する責務を全うするために,住基法3条1項及び36条の2に基づき,住基ネット再接続を留保するという判断をしたものであり,その判断は十分に尊重されるべきであるから,被告が本件不接続を継続したことが違法であるとはいえないし,少なくともその判断に重大かつ明白な違法があるとはいえない。 (ア) 住基ネットには構造的欠陥があることa セキュリティレベルの安全性は時々刻々と変化するものであるから,平成20年最高裁判決の原審段階の事実関係を基にするのではなく,現在の最新の知見と事実関係を基に住基ネットのセキュリティレベルを判断しなければ,プライバシー侵害の危険性の実態を判断することはできない。そして,情報セキュリティについては,事故が生じることを前提に対策を考えなければならず(「事故前提社会」の考え方),侵入されたり漏えいしたりすることを前提として,より安全なシステム,すなわち許容することができる程度にリスクを抑えられるシステムに修正し続けていかなければならない。 b 上記のように,十分な事前対策を行ったとしても事故が起こり得る 場合があることを前提に,より安全なシステムとなっているかという観点からみた場合,住基ネットには,次のような構造的欠陥がある。 (a) 第1に,住基ネットは,行政事務における個人識別・本人確認のためのシステムであり,国の全ての行政事務及び地方公共団体が条例で定めた行政事務において住民票コード(住基法7条13号)を使用しているため,一旦どこかの事務分野で 政事務における個人識別・本人確認のためのシステムであり,国の全ての行政事務及び地方公共団体が条例で定めた行政事務において住民票コード(住基法7条13号)を使用しているため,一旦どこかの事務分野で住民票コードが漏えいした場合,他の行政分野においても,その番号が誰の住民票コードであるかが明らかになってしまう。 その対策として,住民票コードを変更することができることになっているが,本人の申請によることになっているため(住基法30条の3),住民票コードが大量に漏えいしたとしても,各個人が住民票コード変更申請をしない限り,漏えいした住民票コードがそのまま使用されることになる。実際に,平成19年5月に人口約2万5000人の愛媛県α町において,ほぼ全町民の住民票コードを含む住民票情報等の漏えいが発覚したが,その後住民票コードの変更を求めた町民は同年10月末日時点で4097名だけであった。 このように,住基ネットにおける住民票コードを用いた共通番号システムは,情報セキュリティの観点からみて,構造的に脆弱なシステムといわざるを得ない。 (b) 第2に,住基ネットは,全国の地方公共団体や国等の機関がネットワークで強制的につなげられているシステムであるから,原告の権限が及ばない多数の機関が存在し,その当然の帰結として,ネットワークを構成する全機関が同一レベルの個人情報保護条例やセキュリティ対策水準を維持することはできないという構造的欠陥が存在する。 コンピュータネットワークシステムのセキュリティレベルは,そ れを構成する端末のうち,セキュリティレベルが一番低い端末のレベルに下がってしまうという特質を有する。そのため,原告が国立市民のプライバシーを守るために,自らの義務と責任において情報セキュリティに万全を期したとしても,セキュリティレ レベルが一番低い端末のレベルに下がってしまうという特質を有する。そのため,原告が国立市民のプライバシーを守るために,自らの義務と責任において情報セキュリティに万全を期したとしても,セキュリティレベルの低い機関があれば,原告は,国立市民の住基ネット情報をその低い水準のネットワーク上にさらすというリスクを冒すことになる。しかも,原告は,自らの権限が及ばない機関のセキュリティ水準を調査することも対策を指示することもできず,その結果について直接の責任をとることもできない。 そうすると,「事故前提社会」の考え方に基づき,ストーカーや配偶者暴力(以下「DV」という。)の対策を先進的に行ってきた原告及びその市長であった被告とすれば,そのような対策及び運用がネットワークを構成する全機関に同一レベルで整ったことを確認することが住基ネット再接続を行う上で必要であると考えることは合理的であった。 (イ) ストーカーやDV等の被害者対策が不十分であること原告は,平成18年11月1日に国立市住民基本台帳の閲覧等に関する条例及び同条例施行規則を改正し,ストーカー及びDVの被害者以外にも,特に生命又は身体,財産その他の権利利益を著しく侵害されるおそれがある者にも住民票の閲覧等の拒否の申出を認めるとともに,申出者の親族等に係る住民票の閲覧等の拒否の申出をすることができることとし,住基法よりも保護の範囲を広げている。 原告は,平成20年6月17日に総務省に対して,上記条例等に基づいて閲覧等の拒否を認めた国立市民について,住基ネット上の情報も削除されることが保障されるのか等を質問したが,具体的な住基ネット上の支援策は示されなかった。 このように,住基ネットに接続する全機関において,原告と同等の支援策・保護策が整備されていない状況では,国立市長で れるのか等を質問したが,具体的な住基ネット上の支援策は示されなかった。 このように,住基ネットに接続する全機関において,原告と同等の支援策・保護策が整備されていない状況では,国立市長であった被告としては,国立市民の生命・身体を保護するために,住基ネット再接続を留保することが必要であった。 (ウ) 国及び地方公共団体の情報セキュリティが不十分であること総務省が平成21年10月29日に公表した「地方自治情報管理概要」(同年4月1日時点での地方公共団体における行政情報化の推進状況調査及び個人情報の保護に関する条例の制定状況等を取りまとめたもの)や,内閣官房情報セキュリティセンターが同年2月3日に公表した「第2次情報セキュリティ基本計画」によれば,外部委託業者に対するリスクコントロールが不十分であることなど,地方公共団体のセキュリティの現状はいまだ十全とはいい難い状況にあり,原告の市長であった被告としては,全国の地方公共団体が接続する住基ネットへの再接続には慎重を期せざるを得なかった。 また,平成20年4月22日に内閣官房情報セキュリティセンターが作成した「政府機関の対策実施状況報告(2007年度)の概要」によれば,国の機関においてもいまだ情報セキュリティが十分ではなかった。 (エ) プライバシー保護のための独立の第三者機関が存在しないこと日本にはプライバシー保護のための独立の第三者機関が存在せず,国際的な安全基準を満たしていないことも,住基ネットに再接続する上で重大な問題であった。 (2) 争点(2)(被告が本件各支出について損害賠償責任を負うか否か。)について(原告の主張)ア専決権者として保険年金課長,総務部長及び市民課長(以下,併せて「本件各専決権者」という。)が行った本件各支出は,財務会計法規上の て損害賠償責任を負うか否か。)について(原告の主張)ア専決権者として保険年金課長,総務部長及び市民課長(以下,併せて「本件各専決権者」という。)が行った本件各支出は,財務会計法規上の 義務に違反する違法なものであり,被告は,本件各専決権者に対する指揮監督義務違反に基づく損害賠償責任を負う。 (ア) 地方自治法138条の2は,地方公共団体の長の誠実執行義務を規定しているところ,地方公共団体の長から財務会計行為の専決を委ねられた補助職員もまた,その範囲において長と同じく上記の誠実執行義務を負うものと解されるから,原因行為に財務会計的観点から看過し難い違法行為があった場合には,当該財務会計行為を行ってはならない義務を負っている。 そして,被告が本件不接続を継続したことは,住基法に違反するもので,その違法は重大かつ明白であり財務会計的観点から看過し難いものであったから,本件各専決権者は本件各支出を行ってはならない義務を負っていた。それにもかかわらず,本件各専決権者は本件各支出を行ったものであるから,本件各支出は財務会計法規上の義務に違反する違法なものであったというべきである。 (イ) 被告は,平成▲年▲月に国立市長に就任する以前は,平成11年5月から平成19年4月まで国立市議会議員を務めていたが,市議会議員として住基ネット接続に強く反対し,国立市議会でも,住基ネットや住基ネットサポート委託の内容について質問や発言をしていた。また,被告は,平成19年4月に国立市長選挙に立候補するに当たり,本件不接続の継続を表明し,国立市長に就任後も,国立市議会において本件不接続を継続する旨答弁していた。このように,被告にとっては,住基ネットは市議会議員時代から国立市長退任に至るまで,一貫して政策上の重要な関心事であり,本件各費用の支 任後も,国立市議会において本件不接続を継続する旨答弁していた。このように,被告にとっては,住基ネットは市議会議員時代から国立市長退任に至るまで,一貫して政策上の重要な関心事であり,本件各費用の支出についても十分関心を持っていた。 また,原告による現況届の郵送については,原告の市報で継続的に広報されており,国立市長であった被告はそのことを十分に知っていた。 (ウ) そして,被告は,国立市長として本件各支出について本来的に権限 を有する者であったから,本件各専決権者が財務会計上違法である本件各支出をすることを阻止すべき指揮監督上の義務を有していたにもかかわらず,故意にこれを阻止しなかったものである。このような被告の行為は財務会計上の違法行為に該当するものというべきであり,被告は,上記違法行為により原告が被った本件各費用相当額の損害を賠償すべき義務を負う。 イ被告は,専決をさせた者として,本件各支出がされたことについて直接の損害賠償責任を負う。 (ア) 本件各支出は本件各専決権者による専決により行われたものであるところ,専決は,委任と異なり,専決を委ねた者が本来的権限を失うものではなく,当該権限を自ら行使することもできるものである。このような専決の性質からすれば,専決の場合,ある財務会計行為は,専決権者(補助職員)による財務会計行為であるとともに,専決をさせた者(長)による財務会計行為であるといえる。すなわち,本件においては,本件各支出は,本件各専決権者による財務会計行為であるとともに,専決をさせた者である被告による財務会計行為でもあるといえる。 (イ) そして,本件各支出は被告による本件不接続の継続という政策決定から発生したものであり,上記のとおり,被告は本件各支出を現実に十分把握していた。そうすると,本件各支出について あるといえる。 (イ) そして,本件各支出は被告による本件不接続の継続という政策決定から発生したものであり,上記のとおり,被告は本件各支出を現実に十分把握していた。そうすると,本件各支出について本来的権限を有する被告としては,違法な政策決定である本件不接続の継続を撤回し,本件不接続の継続から発生する本件各支出を行ってはならないという行為規範を与えられていたところ,この行為規範に従って本件不接続の継続を撤回することは容易であった。それにもかかわらず,被告は,本件不接続の継続を撤回せず,これにより本件各支出を発生させたものであるから,明白な行為規範違反があり,本件各支出は,被告による違法な財務会計行為であるということができる。 (ウ) したがって,仮に本件各専決権者が財務会計上の違法行為を行ったものではないとしても,被告は,上記(ア)の指揮監督義務違反による損害賠償責任とは別に,本件各支出について直接の損害賠償責任を負うものというべきである。 ウ以上によれば,被告は,原告に対し,不法行為に基づき,本件各費用相当額の損害賠償金39万8040円及びこれに対する不法行為後の日である平成21年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うというべきである。 (被告の主張)ア本件不接続の継続と本件各支出には因果関係がなく,本件各支出がされたことについて被告が責任を負うことはない。 (ア) 本件においては,被告が本件不接続を継続するという判断をしたとしても,これを前提として何らかの財務会計行為を行わざるを得なくなるわけではない。地方公共団体が住基ネットに接続していない場合に,現況届を当該地方公共団体の負担で社会保険庁に送付しなければならない義務はないし,住民異動データのバックアップ事務を当該 るを得なくなるわけではない。地方公共団体が住基ネットに接続していない場合に,現況届を当該地方公共団体の負担で社会保険庁に送付しなければならない義務はないし,住民異動データのバックアップ事務を当該地方公共団体の負担で行う義務もない。本件不接続という状況の下で,従前どおり住民自身が現況届を社会保険庁に送付することとしてもよかったし,バックアップ事務をしなくともよかったのである。 すなわち,本件各費用は,本件不接続を継続したために支出をしなければならなかったものではなく,原告の関係各課において,住民サービスを考慮したり,再接続に備えた準備をした方がよいと考えたりした結果,支出がされたものである。 (イ) 本件郵送費支出については,従前どおり住民自身が現況届を社会保険庁に送付することとしてもよかったが,住民の利便性を図る必要がある一方で,各受給権者について年1回だけの郵送費であって,その費用 は住基ネットに接続した場合と比べて低額であり,職員の事務負担も従来の業務時間内で十分に対処することができるものであったため,原告が現況届を郵送することが財務会計行為として合理的であった。住民の負担で現況届を送付してもらうという方法も考えられたが,住基ネットに接続している他の地方公共団体の住民とは異なる負担を課すことになるし,厚生労働省から年金受給権者のデータの提供を受けて原告の住民基本台帳データと照合して届け出る方法については,住民基本台帳データと年金の届出住所が異なる場合に照合に時間がかかるという難点があった。そこで,保険年金課長は,現況届の郵送費を原告が負担するという方法が合理的であると判断し,本件郵送費支出を行ったものである。 このように,本件郵送費支出は,住基ネットに接続している他の地方公共団体の住民と比較して,原告の住民の負担 送費を原告が負担するという方法が合理的であると判断し,本件郵送費支出を行ったものである。 このように,本件郵送費支出は,住基ネットに接続している他の地方公共団体の住民と比較して,原告の住民の負担が増えないようにとの配慮に基づく支出であり,本件不接続とは別個の判断に基づく財務会計行為である。 (ウ) 本件委託料支出については,再接続に備えた準備をすることなく,再接続する段階になって初めて委託契約を締結して委託料を支出する方法もあったが,この方法では,再接続するまでの間の住民異動データの連続性を欠くことになり,その連続性を回復するために莫大な費用を要するため,最小限度の準備作業のために本件委託契約を締結することが財務会計行為として合理的であった。バックアップ事務を民間業者に委託せずに原告の職員が行う方法も考えられたが,専門性が不十分であった。そこで,総務部長及び市民課長は,バックアップ事務を民間業者に委託するという方法が合理的であると判断し,本件委託料支出を行ったものである。 このように,本件委託料支出は,住基ネット再接続に備えた準備をするという判断に基づく支出であり,本件不接続とは別個の判断に基づく 財務会計行為である。 (エ) 以上のとおり,本件郵送費支出は保険年金課長による郵送費負担についての判断に基づきされたものであり,また,本件委託料支出は総務部長及び市民課長によるバックアップ事務委託についての判断に基づきされたものであるから,被告による本件不接続の継続によって本件各支出がされたものではない。 イ本件各専決権者による本件各支出は,財務会計法規上の義務に違反するものではない。 (ア) 本件郵送費は保険年金課長による郵送費負担の判断に基づき支出されたものであり,本件委託料は,総務部長及び市民課長によるバックア る本件各支出は,財務会計法規上の義務に違反するものではない。 (ア) 本件郵送費は保険年金課長による郵送費負担の判断に基づき支出されたものであり,本件委託料は,総務部長及び市民課長によるバックアップ事務委託の判断に基づき支出されたものであるところ,これらの判断には何ら違法性がないから,本件各専決権者が行った本件各支出について,財務会計法規上の義務違反は存在しないことは明らかである。 (イ) また,本件各専決権者は,本件不接続を撤回する権限を有していないから,その職務上,本件不接続を撤回する義務を負うことはなく,しかも,国立市長の下位に位置付けられる補助職員にすぎないから,本件不接続の継続を撤回する権限を有する国立市長に対し,これを撤回するよう指導,助言をする義務を負うこともない。そうすると,本件各専決権者としては,本件不接続を前提として日常業務を行うしかなく,そのような状況で本件各支出をしたものであるから,その行為に財務会計法規上の義務違反がないことは明らかである。 ウ被告は,本件各支出がされたことについて損害賠償責任を負うものではない。 (ア) 被告の指揮監督義務違反について本件各支出が適法である以上,被告がこれを阻止すべき指揮監督上の義務を負うことはないし,被告に故意又は過失も認められない。 また,本件各支出は,本件各専決権者がした郵送費負担及びバックアップ事務委託の判断に基づきされているものであり,国立市長であった被告としては,本件不接続を継続してもそれに伴う支出が必要になるとは考えないものである。それにもかかわらず,本件不接続の継続という政策決定をした以上,被告が本件各支出を阻止すべき指揮監督上の義務を負うというのは,被告が把握することができない支出を阻止すべき義務を負わせる点で,無理を強いるものであ らず,本件不接続の継続という政策決定をした以上,被告が本件各支出を阻止すべき指揮監督上の義務を負うというのは,被告が把握することができない支出を阻止すべき義務を負わせる点で,無理を強いるものである。 (イ) 専決をさせた者としての損害賠償責任について専決をさせた地方公共団体の長は,補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記違法行為をすることを阻止しなかったときにのみ責任を負うというべきである。そして,住民訴訟は,違法な財務会計行為によって地方公共団体が被った損害を回復する手段であるから,補助職員による財務会計行為が違法でなければ,地方公共団体の長に責任が発生するということはあり得ない。 本件においては,本件各支出を現実に行ったのは,飽くまでも本件各専決権者であり,被告は本件各支出の決裁手続に全く関与していないのであるから,本件各支出を被告による財務会計行為ととらえる余地はなく,被告が指揮監督義務違反とは別個の直接の責任を負うことはない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告による本件不接続の継続が住基法に違反する違法なものか否か。)について(1) 原告は,本件不接続の継続は住基法に違反する違法なものであって,その違法は重大かつ明白であり財務会計的観点から看過し難いものであったから,本件各支出は財務会計法規上の義務に違反する違法なものであったと主張する。 そこで,本件各支出が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるか否かを判断する前提として,被告による本件不接続の継続が違法なものといえるか否かについて検討することとする。 (2) そもそも住基法30条の5第1項が,「市町村長は,住民票の記載,消除又は第7条第1号から第3号まで,第7号及び第1 る本件不接続の継続が違法なものといえるか否かについて検討することとする。 (2) そもそも住基法30条の5第1項が,「市町村長は,住民票の記載,消除又は第7条第1号から第3号まで,第7号及び第13号に掲げる事項(・・・(略)・・・)の全部若しくは一部についての記載の修正を行った場合には,当該住民票の記載等に係る本人確認情報(・・・(略)・・・)を都道府県知事に通知するものとする」と規定し,同条2項が,「前項の規定による通知は,総務省令で定めるところにより,市町村長の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて都道府県知事の使用に係る電子計算機に送信することによって行うものとする」と規定していることからすれば,住基法は,市町村長が住民票の記載,消除等を行った場合に,都道府県知事に対し当該住民票の記載等に係る本人確認情報を送信しないという事態を全く想定していないものというべきである。 また,住基法30条の7第3項から6項まで及び同法30条の10第1項は,市町村長から都道府県知事に対し,住民に係る本人確認情報の通知があることを前提として,都道府県知事又は指定情報処理機関は,国の機関等からその事務に関し求めがあったときは,保存期間に係る本人確認情報を提供することを規定しているから,仮に市町村長が住民票の記載,消除等を行った場合であっても,都道府県知事に対し当該住民票の記載等に係る本人確認情報を送信しなくてもよいということになれば,一部の住民について正確な本人確認情報が保存されないという事態が発生し,国の機関等からその事務に関し求めがあったときに正確な本人確認情報を提供することができなくなることは明らかである。 さらに,都道府県知事は,市町村長から通知された本人確認情報を保存すること(住基法30条の5第3項),本人確認情報の適切な管理の 正確な本人確認情報を提供することができなくなることは明らかである。 さらに,都道府県知事は,市町村長から通知された本人確認情報を保存すること(住基法30条の5第3項),本人確認情報の適切な管理のために必 要な措置を講じること(同法30条の29第1項),区域内の市町村の住民基本台帳に脱漏若しくは誤載があり,又は住民票に誤記若しくは記載漏れがあることを知ったときは当該市町村長に通報すること(同法12条の5)などの責務を負っているから,都道府県知事が,本人確認情報の正確性を担保し,その保存,提供等の事務を適切に実施するためには,住基法30条の5第1項に基づき,区域内の全ての市町村長から,全ての住民に係る本人確認情報の通知を受けることが必要不可欠である。 そうすると,住基ネットについて一部の市町村の不参加があると,国の機関等を始めとする本人確認情報の利用者において,従来のシステムや事務処理を残さざるを得ないことになり,また,本人確認情報の提供又は利用が必要な業務が行われる都度,不参加の市町村の住民については,ネットワーク以外の手段により当該事務に必要な氏名,住所等の情報を収集するか提出させることになるから,そのような場合には,本人確認情報を国の機関等,都道府県及び市町村で共有することにより住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るという住基ネットの目的は達せられないことになる。また,住基ネットは,市町村間をネットワーク化し,住民基本台帳事務の広域化及び効率化を図ることを重要な行政目的としているところ,市町村においてネットワークによらない住民基本台帳事務の処理方法を残すことになると,住基法が目的とする市町村における住民基本台帳事務の効率化は著しく阻害されることにもなる。 したがって,市町村長は,住基法に基づき,都道府県知事に対し 住民基本台帳事務の処理方法を残すことになると,住基法が目的とする市町村における住民基本台帳事務の効率化は著しく阻害されることにもなる。 したがって,市町村長は,住基法に基づき,都道府県知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信するため,住基ネットに接続すべき義務を負っているものと解するべきであるから,国立市長であった被告が本件不接続を継続して東京都知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信しなかったことは,住基法に違反する違法なものであったというべきである。 (3) これに対し,被告は,住基ネットを含む住民基本台帳事務は市町村の自治事務(地方自治法2条8項)であり,その適正な運用のために市町村長が住基法の条項の解釈について独自の判断をすることは最大限尊重されるべきであって,本件不接続を継続した被告の判断は違法ではない旨主張する。 確かに,憲法が地方公共団体の住民自治及び団体自治を保障している(憲法92条から94条まで)ことに鑑みれば,地方自治法に規定する自治事務については,法定受託事務と比較して特別な配慮をすべきものである(地方自治法2条11項から13項まで参照)。 しかしながら,地方公共団体は国の法令に違反してその事務を処理してはならないことは当然のことであって(地方自治法2条16項参照),そのことは自治事務についても同様である。そして,上記(2)で述べたとおり,住基法上,市町村長が都道府県知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信するために住基ネットに接続すべき義務を負っていることは,同法30条の5等の規定に照らして明らかである。また,住民基本台帳に関する事務の広域化による住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るという住基ネット 住基ネットに接続すべき義務を負っていることは,同法30条の5等の規定に照らして明らかである。また,住民基本台帳に関する事務の広域化による住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るという住基ネット導入の目的は正当かつ合理的なものであって,住基ネットは憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものでもない(平成20年最高裁判決参照)から,住基法が,市町村長に上記のような義務を課しており,住基ネットに接続するか否かの判断権を市町村長に付与していないことが,憲法が保障する地方公共団体の団体自治(憲法92条,94条)を侵害する違憲無効なものとはいえない。 なお,被告は,東京都新宿区,同中野区,同板橋区及び同杉並区等の地方公共団体において,住基ネットとの切断に関する独自の条例を制定していることを指摘する。しかしながら,これらの条例は,いずれも住基ネットに接続することを前提に,送信情報の管理の安全性が侵害される差し迫った危険 性があるときなどに住基ネットの運用停止等をすることができる旨を定めたものであるから,これらの条例が住基法に反するものではないからといって,住基ネットにおよそ接続しないという本件不接続の継続が住基法に反しないとはいえないことは明らかである。 また,そもそも,当時国立市長であった被告において,住基ネットに接続すれば国立市民の個人情報や生命・身体等を保護することができないため本件不接続を継続するとの判断をしたのであれば,東京都知事からされた平成▲年▲月▲日付けでされた是正の要求について,国地方係争処理委員会に対する審査の申出(地方自治法250条の13第1項)をし,その手続において本件不接続の継続が違法ではない旨主張して国の関与の取消しを求め,最終的には裁判所の判断を求める いて,国地方係争処理委員会に対する審査の申出(地方自治法250条の13第1項)をし,その手続において本件不接続の継続が違法ではない旨主張して国の関与の取消しを求め,最終的には裁判所の判断を求める(同法251条の5第1項)ことが,地方公共団体の長としてあるべき事務処理であるというべきところ,被告は,法が定めた手続を履践することなく独自の判断に固執したものであって,手続的な視点からみても正当性がないことは明らかである。 そうすると,住基法に基づく住民基本台帳事務が市町村の自治事務であるからといって,被告が本件不接続を継続したことが同法に違反する違法なものであることには何ら変わりがないというべきであって,被告の上記主張は採用することができない。 (4) また,被告は,「事故前提社会」の観点からは住基ネットに構造的な欠陥があること,住基ネットにおけるストーカーやDV等の被害者対策が不十分であること,国及び地方公共団体の情報セキュリティが不十分であること,プライバシー保護のための独立の第三者機関が存在しないことからすれば,住基ネットの制度や運用は安全とはいえなかったので,国立市民の個人情報や生命・身体等を保護するために,住基法3条1項及び36条の2に基づき,住基ネット再接続を留保するという判断をしたものであり,その判断は違法ではない旨主張する。 しかしながら,住基ネットにシステム技術上又は法制度上の不備があり,そのために本人確認情報が法令等の根拠に基づかずに又は正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示又は公表される具体的な危険が生じるとはいえないことは,平成20年最高裁判決が判示しているとおりであり,被告が種々主張する点を考慮しても,原告が住基ネットに接続することにより,国立市民の個人情報や生命・身体等に対する具体的な危険が とはいえないことは,平成20年最高裁判決が判示しているとおりであり,被告が種々主張する点を考慮しても,原告が住基ネットに接続することにより,国立市民の個人情報や生命・身体等に対する具体的な危険が生じるおそれがあったとは認められない。 そして,住基法3条1項は「市町村長は,常に,住民基本台帳を整備し,住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに,住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定し,同法36条の2は「市町村長は,住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たっては,住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の漏えい,滅失及びき損の防止その他の住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない」と規定しているにとどまる一方,同法30条の5第1項及び第2項は,市町村長が住民票の記載等を行った場合に都道府県知事に対して当該住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信することを明示的に規定していることからすれば,同法3条1項及び36条の2が,市町村長が住基ネットを利用した本人確認情報の送信をしないことを許容するものとは到底解されない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (5) 以上検討したところによれば,被告が本件不接続を継続して東京都知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信しなかったことは,住基法上の義務に違反する違法なものであったというべきである。 2 争点(2)(被告が本件各支出について損害賠償責任を負うか否か。)につい て(1) そもそも,地方自治法242条の2第1項4号所定の当該職員に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の長に対し 被告が本件各支出について損害賠償責任を負うか否か。)につい て(1) そもそも,地方自治法242条の2第1項4号所定の当該職員に損害賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の長に対して求める訴訟は,財務会計上の行為を行う権限を有する当該職員に対し,職務上の義務に違反する財務会計上の行為による当該職員の個人としての損害賠償義務の履行を求めるものにほかならないから,当該職員の財務会計上の行為をとらえて上記規定に基づく損害賠償責任を問うことができるのは,たとえこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても,同原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である(最高裁判所平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2753頁参照)。なお,本件訴訟は,地方自治法242条の3第2項に基づくいわゆる第2段目の訴訟であるが,上記で述べたことは当然に本件訴訟にも該当するものと解される。 アそこで,上記の見地から本件各支出が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであったといえるか否かについて検討する。 普通地方公共団体の長は,当該普通地方公共団体に対して,その事務を誠実に執行すべき職務上の義務を負うところ(地方自治法138条の2),長が財務会計上の行為をするに当たっては,この誠実執行義務もまた,財務会計法規上の義務の一内容を成すものと解される。そして,国立市長であった被告は,予算執行権限(地方自治法149条2号,220条1項)を有する普通地方公共団体の長として,本件各支出について本来的な権限を有していたのであるから,上記誠実執行義務に基づき,本件不接続を継続するという自らの違法な判断を是正・撤回して住基ネットに接続することによって,本件各支 の長として,本件各支出について本来的な権限を有していたのであるから,上記誠実執行義務に基づき,本件不接続を継続するという自らの違法な判断を是正・撤回して住基ネットに接続することによって,本件各支出を阻止すべき行為規範を課されていたものというべきである。 ところで,本件において,国立市長であった被告は,本件各支出につい て本件各専決権者に専決させたものであり,保険年金課長,市民部長及び総務課長の職にあった本件各専決権者は,そもそも住基ネットに接続すべきか否かを判断する権限や本件不接続の継続という被告の判断を是正する権限を有していなかったことは当事者間に争いがないところ,このように財務会計行為を行った執行機関又は職員が原因行為を是正する権限を有しない場合には,その原因行為が著しく合理性を欠き,そのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があるときでない限り,これを尊重し,その内容に応じた財務会計上の措置を執る義務があるというべきである(上記最高裁判所平成4年判決,最高裁判所平成15年1月17日第二小法廷判決・民集57巻1号1頁,最高裁判所平成17年3月10日第一小法廷判決・裁判集民事216号357頁参照)。 しかしながら,本件においては,上記1(2)で述べたとおり,東京都知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信するため,国立市長である被告が住基ネットに接続すべき義務を負っていることは住基法上明らかであっただけでなく,被告による本件不接続の継続は,住民の利便を増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする住基法に明らかに違反する(同法1条参照)ものであったところ,前記争いのない事実等(3)イ及びウのとおり,本件各支出がされた平成▲年▲月▲日以降の時点において の行政の合理化に資することを目的とする住基法に明らかに違反する(同法1条参照)ものであったところ,前記争いのない事実等(3)イ及びウのとおり,本件各支出がされた平成▲年▲月▲日以降の時点においては,既に平成20年最高裁判決及び平成19年東京高裁判決が出され,その内容が原告の市報に掲載されていただけでなく,平成▲年▲月▲日付けで東京都知事から地方自治法245条の6に基づく是正の勧告まで受けていたのであるから,被告による本件不接続の継続の判断が著しく合理性を欠くものであって,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があることは,本件各専決権者にも明らかであったものと認められる。 そして,国立市長であった被告から本件各支出の専決を任された本件各 専決権者は,本件各支出を専決するに当たって,被告と同様に誠実執行義務(地方自治法138条の2)を負っていたのであるから,被告による本件不接続の継続の判断が著しく合理性を欠くものであって,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があったにもかかわらず,その是正を働きかける等の努力をしたり,本件各支出をしないという判断をしたりすることなく,漫然と本件各支出をしたことは,財務会計法規上の義務に違反する違法なものであったというべきである。 イしたがって,本件各専決権者がした本件各支出は,財務会計法規上の義務に違反する違法なものであったというべきである。 (2) 次に,違法な本件各支出がされたことについて,本件各専決権者に本件各支出を専決させた被告が損害賠償責任を負うか否かについて検討する。 ア一般に,普通地方公共団体の長の権限に属する財務会計行為を補助職員が専決により処理した場合は,長は,上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過 ア一般に,普通地方公共団体の長の権限に属する財務会計行為を補助職員が専決により処理した場合は,長は,上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記補助職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったときに限り,自らも財務会計上の違法行為を行ったものとして,当該違法行為により当該普通地方公共団体が被った損害について損害賠償責任を負うものと解するのが相当である(最高裁判所平成3年12月20日第二小法廷判決・民集45巻9号1455頁,最高裁判所平成9年4月2日大法廷判決・民集51巻4号1673頁参照)。 イそこで,被告に上記のような指揮監督上の義務違反があったか否かについて検討するに,前記争いのない事実等(3)イ(ウ)及び証拠(甲11,13,14,乙1の17)によれば,本件各支出がされた平成▲年▲月より前に発行された原告の市報においては,住民が国立市役所又はその出先機関に現況届を持参すればこれを原告が社会保険庁に送付することが繰り返し広報されており,国立市長であった被告は上記各市報の発行前にその内 容を確認して決裁していたこと,平成▲年▲月開催の国立市議会の定例会において,国立市議会議員から,本件不接続を継続している状態での住基ネットサポート料の支出等について質問がされ,国立市長であった被告が住民異動データのバックアップ事務を行っている旨答弁するとともに,市民部長が具体的な金額等について答弁していることがそれぞれ認められる。 これらの事実によれば,被告は,本件不接続を継続することによって,本件各費用の支出が必要となり,本件各専決権者が本件各支出を行うことを知っていた,あるいは少なくとも容易に知り得たものと認められる。 また,上記(1)アで述べたとおり,東京都知事 することによって,本件各費用の支出が必要となり,本件各専決権者が本件各支出を行うことを知っていた,あるいは少なくとも容易に知り得たものと認められる。 また,上記(1)アで述べたとおり,東京都知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信するため,国立市長である被告が住基ネットに接続すべき義務を負っていることは住基法上明らかであっただけでなく,被告による本件不接続の継続は,住基法に明らかに違反し,同法の目的達成を妨害するものであったところ,平成20年最高裁判決及び平成19年東京高裁判決が出され,その内容が原告の市報に掲載されていただけでなく,被告は,平成▲年▲月▲日付けで東京都知事から地方自治法245条の6に基づく是正の勧告まで受けていたものである。 そうすると,被告は,遅くとも本件各支出がされた平成▲年▲月▲日より前から,本件不接続を継続する旨の判断を是正・撤回して住基ネットに接続することにより,本件各専決権者が本件各支出を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務を負っていたものというべきである。それにもかかわらず,被告は,上記指揮監督上の義務を怠って漫然と本件各支出をさせたものであるから,上記で述べた事実関係に照らせば,被告が上記義務を怠ったことについて,故意又は少なくとも過失があったことは明らかというべきである。 そうすると,被告は,本件各専決権者が本件各支出を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務を怠ったことにより,原告が被った損害について損 害賠償責任を負うものというべきである。 ウそして,本件各支出は被告が本件不接続の継続という判断を是正・撤回していれば不要であったものと認められるから,原告は,被告の上記違法行為により,本件各費用相当額である39万8040円の損害を被ったものというべきで 出は被告が本件不接続の継続という判断を是正・撤回していれば不要であったものと認められるから,原告は,被告の上記違法行為により,本件各費用相当額である39万8040円の損害を被ったものというべきである。 なお,原告は,被告が国立市長を退任した後に住基ネットに再接続した際,本件委託契約に基づきバックアップしていた住民異動データを用いたものと推認されるが,本件委託契約は日々生じる住民異動データを順次バックアップしていくために締結されたものであり,本件委託料支出がされた平成▲年▲月より前の時点で被告が本件不接続の継続という判断を是正・撤回していれば,それ以降の本件委託料支出はそもそも不要であったものと認められるから,原告が本件委託料相当額の損害を被ったことには何ら変わりがないというべきである。 (3) 以上によれば,被告は,原告に対し,不法行為に基づき,本件郵送費等相当額の損害賠償金39万8040円及びこれに対する不法行為後の日(本件各支出がされた後の日)である平成21年7月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うものというべきである。 第4 結論よって,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を,仮執行の宣言について同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官定塚誠 裁判官竹林俊憲 裁判官馬場俊宏 別紙関係法令の定め第1 地方自治法 1 2条(1) 8項この法律において「自治事務」とは,地方公共団体が処理する事務のうち,法定受託事務以外のものをいう。 俊宏 別紙関係法令の定め第1 地方自治法 1 2条(1) 8項この法律において「自治事務」とは,地方公共団体が処理する事務のうち,法定受託事務以外のものをいう。 (2) 9項この法律において「法定受託事務」とは,次に掲げる事務をいう。 一法律又はこれに基づく政令により都道府県,市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち,国が本来果たすべき役割に係るものであって,国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)二法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち,都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって,都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(・・・(略)・・・)(3) 11項地方公共団体に関する法令の規定は,地方自治の本旨に基づき,かつ,国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。 (4) 12項地方公共団体に関する法令の規定は,地方自治の本旨に基づいて,かつ,国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて,これを解釈し,及び運用するようにしなければならない。・・・(略)・・・(5) 13項 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては,国は,地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。 (6) 16項地方公共団体は,法令に違反してその事務を処理してはならない。・・・(略)・・・ 2 13条の2市町村は,別に法律の定めるところにより,その よう特に配慮しなければならない。 (6) 16項地方公共団体は,法令に違反してその事務を処理してはならない。・・・(略)・・・ 2 13条の2市町村は,別に法律の定めるところにより,その住民につき,住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。 3 138条の2普通地方公共団体の執行機関は,当該普通地方公共団体の条例,予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令,規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を,自らの判断と責任において,誠実に管理し及び執行する義務を負う。 4 245条の5(1) 2項各大臣は,その担任する事務に関し,市町村の次の各号に掲げる事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき,又は著しく適正を欠き,かつ,明らかに公益を害していると認めるときは,当該各号に定める都道府県の執行機関に対し,当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることができる。 一市町村長その他の市町村の執行機関(・・・(略)・・・)の担任する事務(第一号法定受託事務を除く。次号及び第3号において同じ。) 都道府県知事二,三 ・・・(略)・・・(2) 3項 前項の指示を受けた都道府県の執行機関は,当該市町村に対し,当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めなければならない。 (3) 5項普通地方公共団体は,第1項,第3項又は前項の規定による求めを受けたときは,当該事務の処理について違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。 5 245条の6次の各号に掲げる都道府県の執行機関は,市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき 反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。 5 245条の6次の各号に掲げる都道府県の執行機関は,市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき,又は著しく適正を欠き,かつ,明らかに公益を害していると認めるときは,当該市町村に対し,当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。 一都道府県知事市町村長その他の市町村の執行機関(・・・(略)・・・)の担任する自治事務二,三 ・・・(略)・・・第2 住民基本台帳法(以下「住基法」という。) 1 1条(目的)この法律は,市町村(特別区を含む。以下同じ。)において,住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り,あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため,住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め,もって住民の利便を増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。 2 2条(国及び都道府県の責務)国及び都道府県は,市町村の住民の住所又は世帯若しくは世帯主の変更及び これらに伴う住民の権利又は義務の異動その他の住民としての地位の変更に関する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)その他の市町村の執行機関に対する届出その他の行為(・・・(略)・・・)がすべて一の行為により行われ,かつ,住民に関する事務の処理がすべて住民基本台帳に基づいて行われるように,法制上その他必要な措置を講じなければならない。 3 3条(市町村長等の責務)(1) 1項市町村長は,常に,住民基本台帳を整備し,住民に関する正確な記録が行われるように努めるととも ように,法制上その他必要な措置を講じなければならない。 3 3条(市町村長等の責務)(1) 1項市町村長は,常に,住民基本台帳を整備し,住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに,住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 (2) 2項市町村長その他の市町村の執行機関は,住民基本台帳に基づいて住民に関する事務を管理し,又は執行するとともに,住民からの届出その他の行為に関する事務の処理の合理化に努めなければならない。 4 5条(住民基本台帳の備付け)市町村は,住民基本台帳を備え,その住民につき,第7条及び第30条の45の規定により記載をすべきものとされる事項を記録するものとする。 5 6条(住民基本台帳の作成)(1) 1項市町村長は,個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して,住民基本台帳を作成しなければならない。 (2) 3項市町村長は,政令で定めるところにより,第1項の住民票を磁気ディスク(・・・(略)・・・)をもって調製することができる。 6 7条(住民票の記載事項)住民票には,次に掲げる事項について記載(前条第3項の規定により磁気デ ィスクをもって調製する住民票にあっては,記録。以下同じ。)をする。 一氏名二出生の年月日三男女の別四世帯主についてはその旨,世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄五戸籍の表示。・・・(略)・・・六住民となった年月日七住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については,その住所を定めた年月日八新たに市町村の区域内に住所を定めた者については,その住所を定めた旨の届出の年月日(・・・(略)・・・)及び従前の住所九選挙人名簿に登録され 変更した者については,その住所を定めた年月日八新たに市町村の区域内に住所を定めた者については,その住所を定めた旨の届出の年月日(・・・(略)・・・)及び従前の住所九選挙人名簿に登録された者については,その旨十国民健康保険の被保険者(・・・(略)・・・)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの十の二後期高齢者医療の被保険者(・・・(略)・・・)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの十の三介護保険の被保険者(・・・(略)・・・)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの十一国民年金の被保険者(・・・(略)・・・)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの十一の二児童手当の支給を受けている者(・・・(略)・・・)については,その受給資格に関する事項で政令で定めるもの十二米穀の配給を受ける者(・・・(略)・・・)については,その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの十三住民票コード(番号,記号その他の符号であって総務省令で定めるもの をいう。以下同じ。)十四前各号に掲げる事項のほか,政令で定める事項 7 12条の5(住民基本台帳の脱漏等に関する都道府県知事の通報)都道府県知事は,その事務を管理し,又は執行するに当たって,当該都道府県の区域内の市町村の住民基本台帳に脱漏若しくは誤載があり,又は住民票に誤記若しくは記載漏れがあることを知ったときは,遅滞なく,その旨を当該住民基本台帳を備える市町村の市町村長に通報しなければならない。 8 30条の3(住民票コードの記載の変更請求)1項住民基本台帳に記録されている者は,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し,その者に係る住民票に記載されてい らない。 8 30条の3(住民票コードの記載の変更請求)1項住民基本台帳に記録されている者は,その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し,その者に係る住民票に記載されている住民票コードの記載の変更を請求することができる。 9 30条の5(都道府県知事への通知)(1) 1項市町村長は,住民票の記載,消除又は第7条第1号から第3号まで,第7号及び第13号に掲げる事項(・・・(略)・・・)の全部若しくは一部についての記載の修正を行った場合には,当該住民票の記載等に係る本人確認情報(住民票に記載されている同条第1号から第3号まで,第7号及び第13号に掲げる事項(・・・(略)・・・)並びに住民票の記載等に関する事項で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を都道府県知事に通知するものとする。 (2) 2項前項の規定による通知は,総務省令で定めるところにより,市町村長の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて都道府県知事の使用に係る電子計算機に送信することによって行うものとする。 (3) 3項第1項の規定による通知を受けた都道府県知事は,総務省令で定めるところにより,当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し,これを当 該通知の日から政令で定める期間保存しなければならない。 30条の6(他の市町村への本人確認情報の提供)市町村長は,他の市町村の市町村長その他の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったときは,条例で定めるところにより,本人確認情報を提供するものとする。 11 30条の7(都道府県知事の事務)(1) 3項都道府県知事は,別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し,住民の居住関係の確認のための求 ものとする。 11 30条の7(都道府県知事の事務)(1) 3項都道府県知事は,別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し,住民の居住関係の確認のための求めがあったときに限り,政令で定めるところにより,保存期間に係る本人確認情報(・・・(略)・・・)を提供するものとする。 (2) 4項都道府県知事は,次の各号のいずれかに該当する場合には,第1号又は第3号に掲げる場合にあっては政令で定めるところにより,第2号に掲げる場合にあっては条例で定めるところにより,当該都道府県の区域内の市町村の市町村長その他の執行機関(以下この項及び第30条の10第1項第4号において「区域内の市町村の執行機関」という。)に対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする。 一区域内の市町村の執行機関であって別表第二の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき。 二区域内の市町村の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき。 三当該都道府県の区域内の市町村の市町村長から住民基本台帳に関する事務の処理に関し求めがあったとき。 (3) 5項都道府県知事は,次の各号のいずれかに該当する場合には,第1号又は第 3号に掲げる場合にあっては政令で定めるところにより,第2号に掲げる場合にあっては条例で定めるところにより,他の都道府県の都道府県知事その他の執行機関(以下この項及び第30条の10第1項第5号において「他の都道府県の執行機関」という。)に対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする。 一他の都道府県の執行機関であって別表第三の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき。 二他の都道府県の 対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする。 一他の都道府県の執行機関であって別表第三の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき。 二他の都道府県の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき。 三他の都道府県の都道府県知事から第10項に規定する事務の処理に関し求めがあったとき。 (4) 6項都道府県知事は,次の各号のいずれかに該当する場合には,第1号又は第3号に掲げる場合にあっては政令で定めるところにより,第2号に掲げる場合にあっては条例で定めるところにより,他の都道府県の区域内の市町村の市町村長その他の執行機関(以下この項及び第30条の10第1項第6号において「他の都道府県の区域内の市町村の執行機関」という。)に対し,保存期間に係る本人確認情報を提供するものとする。 一当該他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の執行機関であって別表第四の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあったとき。 二当該他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の執行機関であって条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあったとき。 三当該他の都道府県の都道府県知事を経て当該他の都道府県の区域内の市町村の市町村長から住民基本台帳に関する事務の処理に関し求めがあった とき。 12 30条の10(指定情報処理機関の指定等)第1項都道府県知事は,総務大臣の指定する者(以下「指定情報処理機関」という。)に,次に掲げる事務(以下「本人確認情報処理事務」という。)を行わせることができる。 一第30条の7第1項の規定による住民票コードの指定及びその通知二第30条の7第 情報処理機関」という。)に,次に掲げる事務(以下「本人確認情報処理事務」という。)を行わせることができる。 一第30条の7第1項の規定による住民票コードの指定及びその通知二第30条の7第2項の規定による協議及び調整三第30条の7第3項の規定による本人確認情報の別表第一の上欄に掲げる国の機関及び法人への提供四第30条の7第4項の規定による本人確認情報の別表第二の上欄に掲げる区域内の市町村の執行機関及び同項第3号に規定する当該都道府県の区域内の市町村の市町村長への提供五第30条の7第5項の規定による本人確認情報の別表第三の上欄に掲げる他の都道府県の執行機関及び同項第3号に規定する他の都道府県の都道府県知事への提供六第30条の7第6項の規定による本人確認情報の別表第四の上欄に掲げる他の都道府県の区域内の市町村の執行機関及び同項第3号に規定する他の都道府県の区域内の市町村の市町村長への提供七第37条第2項の規定による本人確認情報に関する資料の国の行政機関への提供 13 30条の11(指定情報処理機関への通知等)(1) 1項委任都道府県知事は,第30条の5第1項の規定による通知に係る本人確認情報を,指定情報処理機関に通知するものとする。 (2) 2項前項の規定による通知は,総務省令で定めるところにより,委任都道府県 知事の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて指定情報処理機関の使用に係る電子計算機に送信することによつて行うものとする。 (3) 3項第1項の規定による通知を受けた指定情報処理機関は,総務省令で定めるところにより,当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し,これを当該通知の日から政令で定める期間保存しなければならない。 (4) 4項前条第1項の規定により指 理機関は,総務省令で定めるところにより,当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し,これを当該通知の日から政令で定める期間保存しなければならない。 (4) 4項前条第1項の規定により指定情報処理機関が行う第30条の7第5項の規定による本人確認情報の同項第3号に規定する他の都道府県の都道府県知事への提供は,総務省令で定めるところにより,指定情報処理機関の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて相手方である都道府県知事の使用に係る電子計算機に送信することによって行うものとする。ただし,特別の求めがあったときは,この限りでない。 14 30条の29(本人確認情報の安全確保)1項都道府県知事又は指定情報処理機関が第30条の5第1項又は第30条の11第1項の規定による通知に係る本人確認情報の電子計算機処理等を行うに当たっては,当該都道府県知事又は指定情報処理機関は,当該本人確認情報の漏えい,滅失及びき損の防止その他の当該本人確認情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。 36条の2(住民票に記載されている事項の安全確保等)1項市町村長は,住民基本台帳又は戸籍の附票に関する事務の処理に当たっては,住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の漏えい,滅失及びき損の防止その他の住民票又は戸籍の附票に記載されている事項の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。 第3 国立市事務決裁及び専決等に関する規程(以下「専決規程」という。) 1 2条(用語の意義) この規程において次に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。 (1),(2) ・・・(略)・・・(3) 「専決」とは,あらかじめ認められた範囲内で常時市長に代って決裁することをいう。 (4),(5) ・・・(略)・・・ ,当該各号に定めるところによる。 (1),(2) ・・・(略)・・・(3) 「専決」とは,あらかじめ認められた範囲内で常時市長に代って決裁することをいう。 (4),(5) ・・・(略)・・・ 2 10条(部長の共通的専決事項)部長が専決できる共通的な事項は,次のとおりとする。 (1)から(6)まで ・・・(略)・・・(7) 1件30万円以上100万円未満の工事請負費を除く支出負担行為及び1件100万円以上の支出命令に関すること。 (8)以下 ・・・(略)・・・ 3 11条(課長の共通的専決事項)課長が専決できる共通的な事項は,次のとおりとする。 (1)から(8)まで ・・・(略)・・・(9) 1件30万円未満の支出負担行為及び1件100万円未満の支出命令に関すること。 (10)以下 ・・・(略)・・・
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