昭和35(う)598 収賄経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和35年12月13日 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決中無罪部分を破棄する。      被告人を懲役二月に処する。      但し、この裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。      被告人より金十万円を追徴する。

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判決文本文4,640 文字)

主文 原判決中無罪部分を破棄する。 被告人を懲役二月に処する。 但し、この裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。 被告人より金十万円を追徴する。 理由 本件控訴の趣意は津地方検察庁四日市支部検察官事務取扱検察官検事黒瀬忠義作成の控訴趣意書に記載のとおりであり、これに対する答弁は弁護人神谷幸之提出の答弁書に記載のとおりであるからここにこれを引用する。これに対する当裁判所の判断は左のとおりである。 所論は要するに、原審は、被告人に対する公訴事実中昭和三十五年一月二十九日附起訴状記載の第二、昭和三十五年二月二十九日附起訴状記載第一ないし第三の各事実(以下本件公訴事実という)につき、その挙示する各証拠(証拠欄の(ロ)第二事実について掲記のもの)によりこれを認定しながら、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律(以下罰則整備法と略称する)第二条の別表乙号二十四号を受ける金融緊急措置令(以下措置令と略称する)第八条の「銀行」は、銀行法の適用を受ける銀行即ちいわゆる普通銀行のみを指し、相互銀行を含まないから、相互銀行役職員が職務に関し収賄した場合何らの犯罪を構成しないとの理由により、被告人に対し無罪の言渡をしたのであるが、措置令第八条の「銀行」は、銀行法所定の銀行の外特殊銀行その他広義の銀行を含み、相互銀行も当然これに含まれるものと解すべきであるから、原審の前記解釈は、措置令第八条の「銀行」の解釈を誤り、延いては罰則整備法第二条の解釈適用を誤つたものというべく、そしてその誤が判決に影響を及ぼすこと明らかであるから原判決は破棄を免れない、というのである。 よつて審按するに、(1)措置令は、終戦後国内経済の混乱と悪性インフレーシヨンを抑圧するため、広く金融機関全般に対し預金等の封鎖と融 ぼすこと明らかであるから原判決は破棄を免れない、というのである。 よつて審按するに、(1)措置令は、終戦後国内経済の混乱と悪性インフレーシヨンを抑圧するため、広く金融機関全般に対し預金等の封鎖と融通資金貸出の制限禁止の措置を行い、もつて国民経済の安定を計ることを目的として制定されたものであり、右制定の趣旨から考えて、措置令第八条の「銀行」を、銀行法第二条の免許を受けた銀行(以下普通銀行という)に限るべきでないこと、(2)措置令第八条は単に「銀行」と規定し、普通銀行に限る旨明示していないのみならず、却て、措置令第六条、措置令施行規則(以下単に施行規則という)第十三条第二項に基き制定された金融機関資金融通準則(昭和二十二年三月一日大蔵省告示第三十七号、以下単に準則という)第一総則の一において「銀行(日本銀行を除く。)、信託会社云々」と規定し、措置令第八条の「銀行」には普通銀行でない日本銀行を含んでいることが窺われること、(3)銀行法及びこれに基く命令以外の法令において「銀行」とあるのは、別段の定がない限り普通銀行以外の特殊銀行をも包含するものであること(このことは、日本開発銀行法附則十八、日本輸出入銀行法附則九、長期信用銀行法第十八条、外国為替銀行法第<要旨>十二条等によつて窺われるのである)等から考えて、措置令第八条の「銀行」は、原判決のいうように普通銀行</要旨>のみを意味するものとは解し難く、普通銀行及びそれ以外の特殊銀行をも包含するものと解すべきである。そして相互銀行法によれば相互銀行が普通銀行以外の特殊銀行に該ること疑ないから、相互銀行は措置令第八条の「銀行」に該ると解すべきである。右解釈は、例えば中小企業信用保険法第二条第一項の「銀行」、預金等に係る不当契約の取締に関する法律第一条第一項の「銀行」に相互銀行を含む旨明定(中小 は措置令第八条の「銀行」に該ると解すべきである。右解釈は、例えば中小企業信用保険法第二条第一項の「銀行」、預金等に係る不当契約の取締に関する法律第一条第一項の「銀行」に相互銀行を含む旨明定(中小企業信用保険法第三条第一項、預金等に係る不当契約の取締に関する法律第一条第二項第三項)していること等からみても、その正当さを裏付け得るのである。もつとも、措置令の前記制定の趣旨殊に措置令第一条、第四条(昭和二十三年法律第百八十四号により削除)が「金融機関ハ本令施行ノ際現ニ存スル云々」と規定していることから、措置令第八条の「銀行」は、原判決のように、措置令施行の際現に法令により免許された銀行のみを意味すると解するのも一応首肯できないことではないが、措置令第八条所定の金融機関は、右第一条、第四条のみならず、措置令第六条の金融機関も含めて規定したものであるところ、右第六条は必ずしも措置令施行の際存在していた金融機関のみを対象とした規定とは考えられないので、前記解釈を採り得ない。 右のように、相互銀行が措置令第八条の「銀行」に該当するところ、措置令第六条、施行規則第十三条第二項に基き制定された準則第一総則の一において「銀行(日本銀行を除く。)云々」と規定していて相互銀行を除外する旨定めていないから、相互銀行は当然右準則の「銀行」の中に包含され、相互銀行の資金の融通は右準則により統制を受けているものといわなければならない。なお、原判決引用の昭和三十七年蔵銀第六七四号大蔵省銀行局長より法務省刑事局長宛回答(記録九十丁)警察庁刑事部防犯課長より広島県警察本部長宛「経済関係罰則の整備に関する法律の別表に指定する金融機関の疑義について」と題する書面の一部によれは、大蔵省における準則についての行政上の運用としては、準則の制定の趣旨及び中小企業金融機関としての相 経済関係罰則の整備に関する法律の別表に指定する金融機関の疑義について」と題する書面の一部によれは、大蔵省における準則についての行政上の運用としては、準則の制定の趣旨及び中小企業金融機関としての相互銀行本来の性格に鑑み、相互銀行には準則を厳格には適用しない取扱をしていることを認め得るだけで、原判決のいうように、相互銀行に準則を適用するにつき行政官庁の取扱において疑点を生じたということは認め得ない。しからば、相互銀行の職員たる被告人が、自己の担当する相互銀行の資金融通業務に関し、金品を収受したとする本件公訴事実ついにては、その事実が認められるならばこれに対し罰則整備法第二条前段を適用処断すべきものである。しかるに、原判決は、本件公訴事実を認定しながら、措置令第八条の「銀行」に相互銀行を含まず、従つて本件公訴事実は罰則整備法第二条に該らないと解し、被告人に対し無罪の言渡をしたのは、所論の如く右法条の解釈適用を誤つた違法があるもので、その違法が原判決に影響を及ぼすこと明らかである。論旨は理由があるから刑事訴訟法第三百九十七条第一項、第三百八十条により原判決中無罪部分は破棄を免れない。そこで、当裁判所は、同法第四百条但書に従い、更に本件公訴事実について、次のとおり判決する。 (一)、 罪となるべき事実被告人は、昭和二十九年十一月より昭和三十三年十月まで、四日市市a町所在の株式会社A相互銀行B支店に支店長として勤務し、同支店の銀行業務一切を総括する職務に従事していたものであるが、第一、 昭和三十二年二月二十五日頃右支店内において、鉄工業Cより同支店から営業資金の貸付を受けたことに対する謝礼及び将来も営業資金融資につき便宜の取計いを依頼する趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、Dを介し現金五万円の供与を受け、第二、 同年八 店から営業資金の貸付を受けたことに対する謝礼及び将来も営業資金融資につき便宜の取計いを依頼する趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、Dを介し現金五万円の供与を受け、第二、 同年八月七日頃名古屋市b区c町d丁目e番地の当時の被告人宅において、搾油機製造業を営む株式会社E製作所の代表取締役Fより、手形貸付、手形割引等につき便宜を取り計つたことに対する謝礼及び将来も右の事項について好意ある取計いを依頼する趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、被告人の妻Gを介しH百貨店発行の額面一万円の商品券一通の供与を受け、第三、 同年十二月二十六日頃前同所において、前記Fより前記同趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、妻Gを介し現金二万円の供与を受け、第四、 昭和三十三年八月上旬頃前同所において、前記Fより前記同趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、妻Gを介し現金二万円の供与を受け、もつてそれぞれ職務に関し賄賂を収受したものである。 (二)、 証拠の標目判示第一につき一、 Dの司法警察員に対する供述調書(昭和三十五年一月十二日附)一、 Cの検察官に対する供述調書謄本判示第二ないし第四につき一、 F(謄本)、G(昭和三十五年二月二十四日附)の検察官に対する各供述調書一、 原審第二回公判調書中証人F、原審第三回公判調書中証人Gの各供述記載判示全般につき一、 被告人の司法警察員(昭和三十五年一月二十日、同月二十三日附)及び検察官(二通)に対する各供述調書(三)、 確定判決被告人は、昭和三十五年六月二十七日原裁判所において収賄罪により懲役六月、二年間執行猶予の言渡を受け(原判決の有罪部分)、この判決は同年七月十二日確定したことは、原審の第四回公判調書及び原判決の各記載並び は、昭和三十五年六月二十七日原裁判所において収賄罪により懲役六月、二年間執行猶予の言渡を受け(原判決の有罪部分)、この判決は同年七月十二日確定したことは、原審の第四回公判調書及び原判決の各記載並びに本件記録に被告人及び検察官のいずれよりも右判決(有罪部分)に対し控訴の申立があつた形跡のないことによつて認め得る。 (四)、 法令の適用法律に照すと、被告人の判示各所為は、いずれも経済関係罰則整備に関する法律第二条前段、同法別表乙号二十四号、金融緊急措置令第八条に該当するところ、これと前示確定裁判を受けた罪とは刑法第四十五条後段の併合罪であるから、同法第五十条に則り未だ裁判を経ない判示各罪につき同法第四十七条第十条に従い犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役二月に処すべく、尚情状執行を猶予するを相当と認むべきところ、被告人は原判決において昭和三十五年一月二十九日附起訴状記載の第一の公訴事実につき懲役六月、二年間執行猶予の言渡を受け、右は前記のとおり確定しているのであるが、本件犯罪事実は右確定判決の事実と刑法第四十五条前段所定の併合罪の関係にあるものとして起訴せられ、一個の刑をもつて処断せられるべきものであつたのであるから、同法第二十五条第二項を適用すべきでなく、且つ右両者が同時に審判せられたとしても一括して執行猶予の言渡を附するを相当と認められる情状にあるから、同法第二十五条第一項を適用し、本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予するを相当とすべく、なお経済関係罰則の整備に関する法律第四条後段により主文第四項掲記のとおり被告人より追徴することとし、主文のとおり判決する。 (裁判長判事小林登一判事成田薫判事布谷憲治) 主文 記のとおり被告人より追徴することとし、主文のとおり判決する。 (裁判長判事小林登一判事成田薫判事布谷憲治)

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