昭和45(ネ)1075 建物収去土地明渡請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和47年4月11日 東京高等裁判所
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判決文本文4,298 文字)

主文 本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用、認否は、次に附加するほか原判決事実欄記載のとおりであるから、これを引用する。(被控訴代理人の陳述)一控訴人所有の本件建物は店舗であるから地代家賃統制令第二三条第二項第四号に該当しその敷地である本件土地について同令の適用を受けない。二かりに本件建物が店舗でないとしても、本件建物の現況は事務所兼住宅であり、控訴人はこれを所有し、自己において使用している場合に当るから、その敷地である本件土地について同令の適用はない(最高裁判所昭和三七年二月一五日、民集一六巻二号二六五頁参照)。三被控訴人から控訴人に対し昭和四一年五月二五日到達の書面を以てなした催告が、昭和四〇年一二月分から翌四一年四月分まで一カ月金五八五〇円宛合計金二万九二五〇円の支払を求める趣旨のものであつたことは争わない。四被控訴人は控訴人主張の原判決記載抗弁二の三和製作所振出の金額五万円の約束手形の受領を拒否し、控訴人にこれを返還したものであつて、右金員の支払を受けていない。(控訴代理人の陳述)一控訴人所有の本件建物が店舗であることは否認する。右建物が事務所兼住宅であること、控訴人がこれを自己において使用していることは認めるが、同建物の敷地である本件土地について地代家賃統制令による統制を排除すべき理由はない。二控訴人から被控訴人に対して支払済の金二四万三〇〇〇円は賃借権設定の対価である。三控訴人が被控訴人から三和製作所振出 である本件土地について地代家賃統制令による統制を排除すべき理由はない。二控訴人から被控訴人に対して支払済の金二四万三〇〇〇円は賃借権設定の対価である。 人がこれを自己において使用していることは認めるが、同建物の敷地である本件土地について地代家賃統制令による統制を排除すべき理由はない。二控訴人から被控訴人に対して支払済の金二四万三〇〇〇円は賃借権設定の対価である。三控訴人が被控訴人から三和製作所振出 である本件土地について地代家賃統制令による統制を排除すべき理由はない。二控訴人から被控訴人に対して支払済の金二四万三〇〇〇円は賃借権設定の対価である。三控訴人が被控訴人から三和製作所振出の金額五万円の約束手形の受領を拒絶されその返還を受けたこと、被控訴人に対しその金員の支払をしていないことは認める。しかし、右約束手形は不渡処分を受けるおそれがないものであつたから、被控訴人に一旦交付した以上、後に同人から返還されても、弁済の提供として有効であつて控訴人に履行遅滞の責任はない。理由 (一) 被控訴人が昭和三六年六月一日控訴人に対し原判決物件目録記載の土地九坪を普通建物所有の目的で期間二〇年、賃料一カ月金一三五〇円、毎月末持参払いの約で賃貸したこと、控訴人が右地上に同目録記載の建物を所有して右土地を占有していること、被控訴人が同四一年五月二五日控訴人に到達した書面で、昭和四〇年一二月から同四一年四月までの一カ月につき金五八五〇円の割合で計算した合計金二万九二五〇円を五日以内に支払うべく催告したこと、被控訴人が同四一年六月二日控訴人に到達した書面で本件土地賃貸借を解除する旨の意思表示をしたことは、当事者間に争がない。いずれも成立に争のない甲第一号証、甲第四号証の一の一、二、甲第四号証の二の一ないし八、原審における被控訴人および控訴人の各本人尋問(いずれも第一、二回)の結果によると、右借地契約においては、控訴人において右地代のほかに権利金として以後六〇カ月の間毎月金四五〇〇円を毎月の地代とともに被控訴人に支払う旨の約定が結ばれていたこと、控訴人所有の前記建物は四戸建一棟の建物の一戸で、ほかの三戸の建物の所有者もそれぞれ被控訴人からその敷地部分を賃借していたので、前記借地契約の頃から二、三年の間は四名の借地 約定が結ばれていたこと、控訴人所有の前記建物は四戸建一棟の建物の一戸で、ほかの三戸の建物の所有者もそれぞれ被控訴人からその敷地部分を賃借していたので、前記借地契約の頃から二、三年の間は四名の借地人のうちの一人が全部の借地人の地代をとりまとめて被控訴人方に持参して支払つていたが、その後は被控訴人の地代受領の確保と控訴人らの地代支払の便宜のため、被控訴人において控訴人およびその他の借地人に対し、被控訴人が自ら取立に赴く旨を告げて、以後被控訴人自身が毎月末又は翌月はじめ頃右四名の借地人方に赴いて、それぞれの地代の取立をしていたこと、被控訴人は前記のように昭和四一年五月二五日到達の書面で控訴人に対し地代の支払を催告したが、その金額は前記権利金の割賦金をも含めたもので、同書面にその旨明記されていたこと、被控訴人は昭和四〇年一二月末日、昭和四一年二月から同年五月までの各五日の日に、いずれも控訴人方に赴いて控訴人に対し昭和四〇年一二月末日には同月分の、その他の日には昭和四〇年一二月分以降各前月分までの本件土地の地代および前記権利金の請求をしたが、控訴人は手許不如意の理由でその支払をしなかつたことがいずれも認められる。 が、その金額は前記権利金の割賦金をも含めたもので、同書面にその旨明記されていたこと、被控訴人は昭和四〇年一二月末日、昭和四一年二月から同年五月までの各五日の日に、いずれも控訴人方に赴いて控訴人に対し昭和四〇年一二月末日には同月分の、その他の日には昭和四〇年一二月分以降各前月分までの本件土地の地代および前記権利金の請求をしたが、控訴人は手許不如意の理由でその支払をしなかつたことがいずれも認められる。(二) (1)控訴人は右土地賃貸借上の賃料支払方法は、契約の後に当事者の合意又は慣行により取立払の方法によることに変更されたと主張し、前記認定の事実によると、本件賃貸借契約の結ばれたときから二、三年経過した時点において右賃料支払方法は、当事者間の合意により被控訴人が控訴人方に取立に赴いてする方法に変更<要旨>されたと認められる。しかし、控訴人は、昭和四〇年一二月分から昭和四一年四月分までの右地代について、</要旨>被控訴人から毎月末又は翌月五日に控訴人方においてそれまでの未払額の支払を請求されたにかかわらず、それを怠つたのであるか 人は、昭和四〇年一二月分から昭和四一年四月分までの右地代について、</要旨>被控訴人から毎月末又は翌月五日に控訴人方においてそれまでの未払額の支払を請求されたにかかわらず、それを怠つたのであるから、被控訴人からの同年五月二五日到達の書面による前記催告に対しては、その催告期間内に支払のできるように準備を完了し、かつその旨被控訴人に通知するか、又は催告期間に被控訴人方に持参して支払をなすべきで、控訴人がそれをしない限り、被控訴人が催告期間内に控訴人方にその催告にかかる金員の取立に赴かなくとも、右催告は本件賃貸借解除の前提たる催告としての効力を生じたものと解すべきである。しかるに、控訴人が右催告にかかる金額につき、その催告期間内に支払のできるように準備をしたことおよびその旨被控訴人に通知したこと又はこれを被控訴人方に持参したことについては主張も立証もないから、控訴人のこの点に関する主張は、いずれにしても理由のないものと云わなければならない。(2) 控訴人は、被控訴人から延滞賃料の催告を受けその支払のため同四一年五月二八日三和製作所振出の金額五万円の約束手形一通を被控訴人に送付したと主張するが、地代の支払について約束手形を送付しただけでは、債務の本旨にしたがつた履行の提供があつたとはいえないのみならず、控訴人が右金員を被控訴人に支払つていないことは控訴人の認めているところであるから控訴人の右主張も採用できない。 と云わなければならない。(2) 控訴人は、被控訴人から延滞賃料の催告を受けその支払のため同四一年五月二八日三和製作所振出の金額五万円の約束手形一通を被控訴人に送付したと主張するが、地代の支払について約束手形を送付しただけでは、債務の本旨にしたがつた履行の提供があつたとはいえないのみならず、控訴人が右金員を被控訴人に支払つていないことは控訴人の認めているところであるから控訴人の右主張も採用できない。(3) 控訴人は、被控訴人のした催告は、一カ月につき金一三五〇円の延滞賃料のほか一カ月金四五〇〇円の権利金の割賦金を包含するから催告として無効であると主張する。しかし本件建物が事務所兼住宅用建物であつて、控訴人自らこれを使用していることは当事者間に争がないから、結局本件は控訴人が被控訴人から賃借した本件土地上に事務所兼住宅用 て無効であると主張する。しかし本件建物が事務所兼住宅用建物であつて、控訴人自らこれを使用していることは当事者間に争がないから、結局本件は控訴人が被控訴人から賃借した本件土地上に事務所兼住宅用建物を所有してこれを自ら使用している場合に当り、右建物の敷地である本件土地の地代等については地代家賃統制令第二三条第二項但書の適用を受けるものではなく、同令による統制が解除されているものと解すべきである。それゆえ控訴人から被控訴人に対し本件借地権設定の対価として権利金の支払を約束してもこの約束は無効ではないから、被控訴人は控訴人に対しその支払を請求することができるのである。したがつて、被控訴人が控訴人に対してした前記催告が、月額金一三五〇円の地代のほかに一カ月につき金四五〇〇円の割合の右権利金を加算して前示のとおり一カ月金五八五〇円の割合で計算した合計金二万九二五〇円についてなされても、本件賃貸借解除の前提としての右催告の効力を否定すべきいわれはない。(4) 控訴人は、被控訴人のした本件賃貸借の解除は権利の濫用であると主張するが、控訴人がこの点について主張するような事情があつても、右賃貸借の解除が権利の濫用にあたるとは到底いいえない。右抗弁も理由がない。(三) よつて被控訴人の本訴請求を認容した原判決は結局正当であつて、控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき民訴法第九五条第八九条を適用して主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松永信和裁判官長利正己裁判官小木曽競)

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