昭和58(行コ)7 法人税更正決定処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和59年2月29日 大阪高等裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実 一 控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和五二年二月二八日 付でなした控訴人の昭和五〇年一〇月一日から昭和五一

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判決文本文4,376 文字)

○ 主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 ○ 事実一控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対し昭和五二年二月二八日付でなした控訴人の昭和五〇年一〇月一日から昭和五一年九月三〇日までの事業年度分法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。 二当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり付加するほか、原判決の事実摘示と同じであるから、これを引用する(なお、原判決中で使用されている略称等については、本判決中においても以下同様の用法に従う。)。 (控訴人の主張)1 買換特例適用の要件事実(一) 控訴人は、従来、本件で買換特例が認められるべき理由を、買換資産の取得があつたことに力点を置いて主張してきたが、「取得」概念を抽象的に論じて買換特例適用の有無を決定しようとするのは実益に乏しいと考えるに至つた。すなわち、(1) 買換特例は、取得したたけで認められるのではなく、一年以内に事業の用に供することを不可欠要件としている。換言すると、措置法六五条の六、七は、買換と称して譲渡所得に対する課税を免れんとする者に対しては、一年以内に事業の用に供したか否かの客観的基準で網をかぶせているのである。したがつて、この一年以内の使用収益開始の存否をもつて不正をチエツクするというのが右措置法の予定したシステムと解される。 (2) そして、買換特例において「取得」が具体的に作用するのは、取得に当つて負担した対価額(これが一定の範囲で損金となり課税対象からはずされる。)と使用収益開始期限の起算日としての取得日の二点においてしかない。取得に当つて負担した対価額は客観的に明らかであるから、とくに問題となることはない。起算日とし で損金となり課税対象からはずされる。)と使用収益開始期限の起算日としての取得日の二点においてしかない。取得に当つて負担した対価額は客観的に明らかであるから、とくに問題となることはない。起算日としての取得日は、企業が自己の危険(一定の日をもつて取得したとして一旦損金処理すると、それに拘束され、その日から一年以内に使用収益を開始できなければ益金算入されるという危険)で判断すべきであり、経済的合理性を行動基準とすべき企業が、取得してもいない土地等を取得したとして処理することはないのが通常であるから、企業の判断に委ねてよいのである(むしろ、企業は、右の危険を免れるため三年以内の範囲で「取得」をできるだけ遅らせようとするのが普通であり、これについては企業会計原則等からみて合理性があるか否かで判断されるべきことである。)。 (3) したがつて、買換特例の適用の要件事実は、譲渡及び買換資産の法適合性、指定された期間内に買換資産取得のための有償契約を締結したこと(その締結日は取得指定期間内であることを要する。)、その負担した対価額、取得日選定の合理性、選択した取得日から一年以内の使用収益開始、以上の五点で足り、これらとは別に買換資産を取得したことになるかを抽象的に判断する必要はないことになる。 (二) 以上の解釈は、措置法六五条の六第一項本文の「資産の取得をし、かつ、(中略)事業の用に供したとき」、六五条の七第二項の「資産の取得をした場合において、(中略)事業の用に供したとき、又は供する見込みであるとき」という要件を併記した形の規定の文言に反するようであるが、買換特例の適用の有無を一年以内の使用収益開始の観点からすべてチエツクしようとする規定自体の構造、「取得」が問題になるのは対価額と一年以内の使用収益の開始をチエツクするに当りその起算日としてだけ 、買換特例の適用の有無を一年以内の使用収益開始の観点からすべてチエツクしようとする規定自体の構造、「取得」が問題になるのは対価額と一年以内の使用収益の開始をチエツクするに当りその起算日としてだけであつて、取得の有無自体が問題になることはなく、問題にする実益もないこと、対価を負担して使用収益を開始した置換資産には取得が必ず付随することなどの点から考えると、何ら弊害をもたらすこともない有用な解釈の基準と考える。 (三) 控訴人は、契約の効力発生の日から引渡日までの間の一定の日をもつて法人が取得の日としているときはこれを認める旨の数多くの通達の趣旨に従い、昭和五一年八月三〇日(乙物件の転用届出受理日)をもつて甲、乙、丙物件を取得したとして損金経理し、それから一年以内に事業の用に供したのであるから、何ら問題はないのである。右年月日を取得日としたことについては、すでに主張しているとおり、三〇パーセントをこえる中間金の支払、仮登記の経由、開発許可条件の全部の充足、その後間もなく取得土地の約半分の引渡しが完了していること、主要部分の転用届出完了等を考慮すると、企業会計上何ら問題はないから、課税に当つても尊重されるべきである。 2 土地の上に存する権利控訴人は、原審においては、本件農地売買契約上の権利(農地法所定の届出を条件とする売買契約上の権利)を買換資産として主張しなかつたが、右は措置法六五条の六第一項の表第一号にいう「土地の上に存する権利」に該当すると主張する。 その理由は、(一)買換特例は、棚卸資産を除く資産の買換について規定している(措置法六五条の六第一項本文参照)が、その規定からみるかぎり、土地の上に存する権利で資産なりうるものはすべて含むと解釈するしかない(資産たる土地等でその利用を究極目的としないものは棚卸資産以外には存しないからであ 六第一項本文参照)が、その規定からみるかぎり、土地の上に存する権利で資産なりうるものはすべて含むと解釈するしかない(資産たる土地等でその利用を究極目的としないものは棚卸資産以外には存しないからである。)こと、(二)措置法二八条の六第一項及び六三条一項一号の「土地の上に存する権利」について、昭和四九年一月三一日直所二ー四第二-三及び措置法通達六三(一)-七は、右の権利には転用未許可に係る権利を含むものとしているが、法律上同一の概念用語は特段の理由がないかぎり同一の意味に解すべきであるから、前記措置法六五条の六第一項の表第一号の「土地の上に存する権利」も右と同様に解釈すべきものであること、の二点である。 したがつて、控訴人が、一年以内に事業の用に供しうるとの見込みの下に昭和五一年八月三〇日付をもつて甲、丙物件を取得したものとし、そのために負担することが確定した売買代金をもつて損金処理したことは、少なくとも土地の上に存する権利を取得したとの範囲で適法である。 (被控訴人の主張)1 控訴人の前記1の主張は争う。 措置法六五条の七第二項は、「・・・・・・、取得指定期間内に同項の特別勘定に係る同条第一項の表の各号の下欄に掲げる資産の取得をした場合において、・・・・・・」と規定して、同項の課税の特例を受けるための要件として、買換資産を取得すべき時期を明確に限定しているのであるから、取得指定期間内に買換資産を取得することは必要でない旨の控訴人の主張は失当である。 2 同2の主張は争う。 措置法六五条の六及び七は、土地政策または国土政策を積極的に推進するため買換により取得した資産の帳簿価額につき譲渡資産の帳簿価額を引継ぐという、いわゆる圧縮記帳を認めることにより課税の繰延べを認めたものであるところ、同条の六第一項は、譲渡資産について、「法人税法第二条第二 により取得した資産の帳簿価額につき譲渡資産の帳簿価額を引継ぐという、いわゆる圧縮記帳を認めることにより課税の繰延べを認めたものであるところ、同条の六第一項は、譲渡資産について、「法人税法第二条第二一号に規定するたな卸資産を除く」と規定し、他方、買換資産について、「当該法人の事業の用に供したとき・・・・・・、又は供する見込みであるときは・・・・・・」と規定しているのであるから、譲渡資産及び買換資産の一つである「土地の上に存する権利」とは、当該法人の事業の用に供しうる権利であること、すなわち土地の利用、収益を伴う権利であることを要するこというまでもない。しかるに、控訴人が取得したと主張する本件農地売買契約上の権利は、譲渡人に対する本件土地に係る農地法所定の手続請求権、登記請求権、引渡請求権等の総体を意味し、売買契約当事者の一方が他方に対して有する債権にすぎないもので、本件土地に対する利用、収益権能を伴うものではない。したがつて、控訴人が右の売買契約上の権利を取得したからといつて、措置法六五条の六第一項の「土地の上に存する権利」を取得したということはできない。 ○ 理由一当裁判所も、控訴人の本訴請求を失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加するほか、原判決の理由説示と同じであるから、これを引用する。 1 控訴人は、措置法六五条の六及び七の買換特例適用の要件として取得指定期間内の買換資産の取得は必ずしも必要でなく、当該企業は合理的範囲内で右取得日を選定しうる旨主張する(控訴人の当審主張1)が、右法条の趣旨、文言に照らすと同法条を右のように解釈することは困難であるから、控訴人の右主張は、誤つた独自の見解であつて、とうてい採用できない。 2 また、控訴人は、本件農地売買契約上の権利が措置法六五条の六第一項の表第一号の「 法条を右のように解釈することは困難であるから、控訴人の右主張は、誤つた独自の見解であつて、とうてい採用できない。 2 また、控訴人は、本件農地売買契約上の権利が措置法六五条の六第一項の表第一号の「土地の上に存する権利」に該当すると主張する(同2)が、同法六五条の六及び七の趣旨、文言からすると、右の「土地の上に存する権利」とは、同法二八条の六第一項及び六三条一項一号の場合とは異なり、地上権、賃借権等直接土地の利用、収益を伴う権利に限られるものと解すべきであることは、前記引用の原判決説示(ことに、原判決五六枚目裏末行から同五八枚目表二行目まで)のとおりであるから、控訴人の主張する本件農地売買契約上の権利が右の「土地の上に存する権利」に該当しないことは明らかである。したがつて、控訴人の右の主張も採用することができない。 二よつて、右と同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官唐松寛野田殷稔鳥越健治)

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