令和元年10月2日判決言渡平成30年(行コ)第336号各行政文書不開示処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(行ウ)第60号,同第93号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が平成26年4月10日付けで控訴人に対してした平成26年消取引第224号決定のうち,原判決別表1「対象文書名」欄記載の各文書について同表「不開示部分」欄記載の部分(ただし,平成28年8月8日付け消取引第1220号決定により変更された同表「変更決定による開示部分」欄記載の情報を除く。)について不開示とした部分を取り消す。 3 処分行政庁が平成26年12月19日付けで控訴人に対してした平成26年消取引第883号決定のうち,原判決別表2「対象文書名」欄記載の各文書について同表「不開示部分」欄記載の部分(ただし,平成28年8月8日付け消取引第1220号決定により変更された同表「変更決定による開示部分」欄記載の情報,同表文書番号4の文書のうち弁護士の氏名,同表文書番号6の文書のうち新聞記者の氏名及び弁護士の氏名並びに同表文書番号7の文書のうち新聞記者の氏名,B課長のメールアドレス,取引対策課の電話番号及びファックス番号を除く。)について不開示とした部分を取り消す。 4 処分行政庁が平成26年6月20日付けで控訴人に対してした平成26年消取引第426号決定のうち,原判決別表3「対象文書名」欄記載の各文書について同表「不開示部分」欄記載の部分(ただし,平成28年8月31日付け消取引第1229号決定により変更された同表「変更決定による開示部分」 欄記載の情報並び 3「対象文書名」欄記載の各文書について同表「不開示部分」欄記載の部分(ただし,平成28年8月31日付け消取引第1229号決定により変更された同表「変更決定による開示部分」 欄記載の情報並びに同「不開示部分番号」欄記載の不開示部分番号①の不開示部分のうち会議に出席した議員の氏名,不開示部分番号②の不開示部分,不開示部分番号④の不開示部分のうち会議に出席した議員の氏名,不開示部分番号⑤の不開示部分,不開示部分番号⑦の不開示部分のうち会議に出席した議員の氏名,不開示部分番号⑧の不開示部分,不開示部分番号⑩の不開示部分のうち会議に出席した議員の氏名及び不開示部分番号⑪の不開示部分を除く。)について不開示とした部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)の規定に基づき,処分行政庁に対し,黒毛和種牛委託オーナー制度と称する仕組みで黒毛和種牛の預託等取引業を行い,平成23年8月にその経営が破たんした株式会社A牧場(以下「A牧場」という。)に関連する行政文書につき2回にわたり開示の請求をしたが,いずれについても,請求に係る各行政文書に同法5条に規定する不開示情報が記録されているとして,上記の各行政文書の全部を開示しない旨又はその一部を開示する旨の決定がされたため,これらの決定の一部について取消しを求める事案である(以下,上記の各請求に係る行政文書のうち,控訴人が本件訴訟で処分の取消しを求めているものを「本件各対象文書」という。)。 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,これに不服の控訴人が本件控訴を提起した。 2 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記3のとおり当審における控訴人の主な補充主張を付加 棄却したところ,これに不服の控訴人が本件控訴を提起した。 2 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記3のとおり当審における控訴人の主な補充主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の第2の1ないし3及び第3に記載のとおり(原判決別紙の記載及び同別紙における略語の使用を含む。)であるから,これを引用する。 (1) 原判決5頁16行目から同頁17行目の「弁護士,消費者庁職員及び他 省庁職員」を「弁護士並びに消費者庁,農水省及びその他関連省庁の職員」と改める。 (2) 同7頁17行目から同頁18行目の「本件において取消しを求める不開示部分は」を「第1事件各決定につき取消しを求める不開示部分は」と改める。 (3) 同9頁5行目から同頁6行目の「本件において取消しを求める不開示部分は」を「426号決定につき取消しを求める不開示部分は」と,同頁16行目の「基準」(以下」を「基準(平成21年9月1日付け消費者庁訓令第19号(最終改正平成25年4月1日))」(以下」と,同頁24行目の「本件不開示部分」を「本件各不開示部分」とそれぞれ改める。 (4) 同10頁11行目の「法」を「情報公開法」と改める。 (5) 同別表4(第2事件)の番号⑬ないし⑯の不開示部分欄の各中段の「会議の出席した弁護士の氏名」を「会議に出席した弁護士の氏名」と改める。 (6) 同別表5番号1C審議官あて文書(対象文書①)の原告の主張欄の上段1行目の「和牛預託法業者」を「和種牛の繁殖牛を預託法の特定商品として預託等取引を行う業者(以下「和牛預託法業者」という。)」と改める。 (7) 同別表5番号4A牧場問題についての弁護士との意見交換概要(メモ)(対象文書④)の原告の主張欄の5行目の「異議申立て」を「取消し(開 行う業者(以下「和牛預託法業者」という。)」と改める。 (7) 同別表5番号4A牧場問題についての弁護士との意見交換概要(メモ)(対象文書④)の原告の主張欄の5行目の「異議申立て」を「取消し(開示)」と改める。 (8) 同別表5番号6A牧場関係の新聞記者取材対応メモ(対象文書⑥)の原告の主張欄の上段5行目から6行目及び同7行目の「異議」を「取消し(開示)」とそれぞれ改める。 (9) 同別表5番号13から番号16までの原告の主張欄の下段2行目の「異議」を「取消し(開示)」と改める。 3 当審における控訴人の主な補充主張(1) 本件各不開示部分に記録されている情報が,情報公開法5条2号イ,同条 5号又は同条6号イの不開示情報に該当するか(争点1)についてア情報公開法5条2号イ該当性について(本件不開示部分④,⑥,⑬ないし⑯(枝番号を含む))(ア) 原判決の判断枠組みについて情報公開手続において行政機関が当該不開示情報それ自体を明らかにすることができず,その結果ある程度当該情報を抽象化せざるを得ないことはやむを得ないところではあるが,当該文書それ自体あるいは当該法人等の具体的な性質を無視して情報の「一般的性格」のみから不開示情報該当性を明らかにすることで足りるかどうかとは別問題であり,原判決のように,「どのような法人等に関するどのような種類のものであるかなどといった一般的な性質」(原判決16頁)のみから不開示情報該当性を明らかにすることで足りるとすることは行きすぎである。実際上も,被控訴人において,対象文書それ自体の開示にわたらない限度において当該文書あるいは法人の具体的性格から不開示部分の不開示情報該当性を主張,立証することは可能であり,一般的,抽象的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するというのであ 示にわたらない限度において当該文書あるいは法人の具体的性格から不開示部分の不開示情報該当性を主張,立証することは可能であり,一般的,抽象的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するというのであれば,当該文書それ自体の特質や問題となる法人等の特質が全て捨象され,事案や対象文書の特質に応じた判断が阻害されてしまいかねず,著しく相当性を欠くとともに,行政の説明責任を定める情報公開法1条の趣旨に反し,不当である。 しかも,審査基準においては,情報公開法5条2号イの権利,競争上の地位その他正当な利益を「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては,当該法人自体の憲法上の権利の保護の必要性,当該法人等と行政との具体的な関係等を十分考慮するものとされていること,その「おそれ」の判断についても「単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が認められるかどうかにより判断する。」とされていることからすると,原判決のように一般的,抽象的な事由から判断するの であれば結果的に「確率的可能性」をもって情報公開法5条2号イの「おそれ」を肯定することになりかねず,これら審査基準とも齟齬することとなって,不当である。 (イ) 本件不開示部分④について本件不開示部分④について,控訴人は発言者である弁護士個人の氏名を取消し(開示)の対象とはしていないから,同部分が開示されても,発言者の氏名が不開示のまま匿名とされた意見の内容が開示されるにすぎないのであって,開示によって当該弁護士個人の権利,競争上の利益が害される関係には立たないし,そのような特定性を欠く推測によって,当該弁護士の権利,競争上の利益が害されるおそれについての確率的可能性を超えた法的保護に値する蓋然性は認められない。本件弁護団は,活動内容,活動方針を公にして活動している団体であ 欠く推測によって,当該弁護士の権利,競争上の利益が害されるおそれについての確率的可能性を超えた法的保護に値する蓋然性は認められない。本件弁護団は,活動内容,活動方針を公にして活動している団体であり,不開示部分に記載された情報は何ら秘匿性のある情報ではなく,同情報の開示により弁護士個人の権利,競争上の利益が侵害されることについて法的保護に値する蓋然性があると考えることはできない。 (ウ) 本件不開示部分⑥について本件不開示部分⑥には,D新聞社の記者と消費者庁職員との応答内容が記載されているところ,社会通念上,新聞記者の取材における質疑応答は,通常は自ら公にし,あるいは公にされても差し支えないという前提で行われるものであって,それ自体秘匿性を有する情報ではない。実際上も,取材活動における質問方法や内容は,取材内容に依存するものなのであって,質問内容から質問方法等のノウハウ等が知られる蓋然性はなく,仮にかかる蓋然性があったとしても,そのことによってD新聞社の報道の独自性が害されるおそれについて,法的保護に値する蓋然性までは認められない。 さらに,同不開示部分には,D新聞記者の質問に対する消費者庁職員 の応答内容も含まれるが,行政機関の回答は報道等により広く公にされても問題ないとの前提でされるものであるし,仮にかかる応答内容からD新聞社の質問内容や質問に関するノウハウが推知されるとしても,そこから推知される可能性のあるD新聞社のノウハウは,あくまで推測によりうかがい知ることができるという域を出ないものなのであって,このようなノウハウはD新聞社の質問内容そのものよりもより一層強い意味で法的保護に値する蓋然性は認められない。 本件において問題となるD新聞社記者の取材の内容は,A牧場という過去の事案に関するものであり,本件不開示 はD新聞社の質問内容そのものよりもより一層強い意味で法的保護に値する蓋然性は認められない。 本件において問題となるD新聞社記者の取材の内容は,A牧場という過去の事案に関するものであり,本件不開示部分⑥が開示されることによってD新聞社の報道内容の独自性が損なわれる事態も生じない。 (エ) 本件不開示部分⑬ないし⑯(枝番号を含む)についてa 本件不開示部分⑬ないし⑯の各不開示部分のうちの弁護士の発言内容については,上記不開示部分④について述べたところと同様であり,開示によって当該弁護士個人の権利,競争上の利益が害される余地はない。 b 議員の発言の部分については,問題となる権利,競争上の利益の主体は自民党という政党であるところ,政党は民意を国政に媒介する役割を担う,議会制民主主義に不可欠の前提を成す団体であり,政府からも政党助成金を支給されるなど,極めて公的な存在であるし,政党政治において政党の活動は国民の投票に重大な影響を及ぼすものであるから,国民の知る権利の行使を広く認めるべきである。 また,本件各PTは,かかる政党の中でも,現政権与党である自民党が自ら主導して開催したものであり,行政と極めて密接な関連性を有するほか,本件PTにつき,会議の内容それ自体も公益的なものである。 これらの政党としての自民党の性格,行政との関係及び本件PTの公的性格等に鑑みれば,不開示部分中の議員の発言内容についての自民党の権利,競争上の地位等を考慮すべき要請は高度なものではなく,権利, 競争上の利益が害されることについての法的保護に値する蓋然性は認められない。 イ情報公開法5条5号該当性につき(本件不開示部分③)(ア) 原判決の判断枠組みについて上記アの情報公開法5条2号イについて述べたところと同様,原判決のように,「 られない。 イ情報公開法5条5号該当性につき(本件不開示部分③)(ア) 原判決の判断枠組みについて上記アの情報公開法5条2号イについて述べたところと同様,原判決のように,「当該情報が,どのような審議,検討又は協議に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかなどといった一般的性質」(原判決22頁)のみから不開示情報該当性を明らかにすることで足りるとすることは,過度な抽象化によって司法判断を事実上放棄したものであり,被控訴人において対象文書それ自体の開示にわたらない限度において当該文書の具体的性格から不開示部分の不開示情報該当性を主張,立証することは可能なのであって,原判決が判示するように一般的,類型的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するというのであれば,当該文書それ自体の特質や問題となる審議,検討又は協議の特質が全て捨象され,事案や対象文書の特質に応じた判断が阻害されてしまいかねず,著しく相当性を欠くとともに,行政の説明責任を定める情報公開法1条の趣旨に反し不当である。 審査基準上も,情報公開法5条5号の「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」については,「公にすることにより,外部からの圧力,干渉等の影響を受けることなどにより,率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合が想定されているものであり,適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである」とされ,「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」については,「未成熟な情報,事実関係の確認が不十分な情報等を公にすることにより,国民の誤解や憶測を招き,不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう」とされているが,対象文書の開示によって「率直 な意見の交換又は意 の確認が不十分な情報等を公にすることにより,国民の誤解や憶測を招き,不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう」とされているが,対象文書の開示によって「率直 な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に害されるおそれ」や「国民の間に混乱を生じさせるおそれ」があるか否かは,まさに当該文書の具体的性質を検討しなければ明らかにできない。加えて,「不当に」とは,「審議,検討等途中の段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお,適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のもの」を意味するものとされ,予想される支障が「不当」なものかどうかの判断は,審査基準には当該情報それ自体の性質から公にすることによる利益と不開示による利益を比較衡量して判断されるべきことが明記されているが,上記原判決の判示は当該審査基準に反する。 (イ) 本件不開示部分③は情報公開法5条5号の「不当に」との要件を満たさないことA牧場事件に関しては,農水省及び消費者庁のA牧場への対応の是非をめぐり,国家賠償訴訟が提起されるなどの事態に立ち至っており,同訴訟においては,消費者庁が破たん直前期の平成22年にA牧場からの報告聴取を怠った対応が問題視され,消費者庁の対応の是非は国民の重大な関心事となっているところ,本件不開示部分③の記載内容からは,消費者庁の担当者が,A牧場の破綻に近接した時期にどのような認識を有していたかをうかがい知ることができ,我が国史上最大の消費者被害を生じさせたA牧場事件に関する事案の真相を解明し消費者行政の適切性を検証する上で,開示についての公益的な必要性は極めて高い。 他方,本件不開示部分③に記載された検討内容は,既に農水省及び消費者庁の所轄行政庁としての判断が終了したA牧場という過去の事案に関するものであり,「 ,開示についての公益的な必要性は極めて高い。 他方,本件不開示部分③に記載された検討内容は,既に農水省及び消費者庁の所轄行政庁としての判断が終了したA牧場という過去の事案に関するものであり,「国の機関又は地方公共団体としての意思決定が行われた後」の検討内容なのであるから,審査基準にあるとおり,「「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」が生じる可能性が少なくなる」のであり,上記開示の公益的必要性に比して,「適正 な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のもの」ということはできない。原判決は「A牧場や黒毛和種牛の預託等取引業の事案に限らず,その他に消費者庁の所管する事項に関して事業者が破たんした場合の対応等に関しても,不当な影響のおそれが認められる」(原判決23頁)とし,公にした場合の同種事案への影響を指摘するが,特定かつ個別の事案に関するA牧場問題に関する自民党調査会という単発的な会合に向けた検討内容である上に,極めて特殊な場面で作成されたものであることに鑑みれば,現実的に他の事案への影響が及ぶような事態は想定し得ないし,「同種事案への影響」という漠然とした事由により,前記「看過し得ない程度の」支障が認められるのであれば,およそ行政機関の意思形成過程の情報であれば全て「同種事案への影響」を理由に不開示とされかねず,情報公開法5条5号が不開示情報を特定した趣旨を没却させるものである。 (ウ) 本件不開示部分③は情報公開法5条5号所定の「おそれ」の要件も満たさないこと本件不開示部分③はA牧場の民事再生手続ないしは破産手続という過去の事案に関するものであり,同民事再生手続及び破産手続は終了しており,もはや当該手続に何らかの利害関係を持つ者は存在せず,これらの手続に関し,消費者庁が外部から何らか 手続ないしは破産手続という過去の事案に関するものであり,同民事再生手続及び破産手続は終了しており,もはや当該手続に何らかの利害関係を持つ者は存在せず,これらの手続に関し,消費者庁が外部から何らかの圧力や干渉を受け,あるいは国民に誤解や憶測を招くなどの事態が生じる具体的なおそれはない。 本件不開示部分③の内容自体も,前記のとおり,特定かつ個別の事案に関する単発的な会合に向けた検討であって,同種の事案等への影響等が生じる可能性はなく,仮にそのような影響が想定できたとしても,極めて抽象的なものに過ぎない。 ウ情報公開法5条6号イ該当性について(本件不開示部分①,②,⑤及び⑦ないし⑫)(ア) 原判決の判断枠組みについて これまで述べたところと同様,原判決のように「当該情報が,どのような事務又は事業に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかなどといった一般的な性質」(原判決25頁)のみから不開示情報該当性を明らかにすることで足りるとすることは,過度な抽象化によって司法判断を事実上放棄したものといわざるを得ず,行きすぎである。被控訴人において,対象文書それ自体の開示にわたらない限度において当該文書の具体的性格から不開示部分の不開示情報該当性を主張,立証することは可能であり,一般的,類型的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するというのであれば,当該文書それ自体の特質や問題となる事務内容等の特質が全て捨象され,事案や対象文書の特質に応じた判断が阻害されてしまいかねず,情報公開法1条の趣旨に反する。 審査基準上も,情報公開法5条6号イの「当該事務又は事業の性質上」については「当該事務又は事業の本質的な性格,具体的には,当該事務又は事業の目的,その目的達成のための手法等に照らして,その適正 審査基準上も,情報公開法5条6号イの「当該事務又は事業の性質上」については「当該事務又は事業の本質的な性格,具体的には,当該事務又は事業の目的,その目的達成のための手法等に照らして,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するとの趣旨である」とされており,「どのような事務又は事業に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかなどといった一般的な性質」で足りるとした原判決の判断は,審査基準に反し,妥当でない。さらに,情報公開法5条6号イ所定の「支障」の程度についても,「名目的なものでは足りず実質的なものを必要とし,また,「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性があると認められるかどうかにより判断する」とされており,形式的,一般的判断ではなく,実質的,具体的な検討が求められているところ,原判決の判示するような一般的,抽象的な判断方法からすれば,このような実質的な判断はなし得ない。原判決の判断枠組みは誤りである。 (イ) 本件不開示部分①について本件不開示部分①には,消費者庁のA牧場の担当者であったB課長がC審議官に宛てた文書中,農水省における牛の市場価格と預託商法における商品価格との間にかい離があることについての検討情報が上司への報告目的で記載されている。このような本件不開示部分①の記載内容からは,A牧場の和牛預託商法につき,農水省及び消費者庁がどのような認識を有していたかということをうかがい知ることができるところ,前記のように,農水省及び消費者庁の認識を公にする公益的必要性は極めて高度である。 また,農水省が預託事業者に対し,預託法に基づく報告聴取や検査,調査を実施するに当たっても,契約に対応した対象物が存在しているか,また,その対象物の販売価格 する公益的必要性は極めて高度である。 また,農水省が預託事業者に対し,預託法に基づく報告聴取や検査,調査を実施するに当たっても,契約に対応した対象物が存在しているか,また,その対象物の販売価格が対象物の市場価格と比して適正なものであるかという点に着眼点を置くことは預託法の規定からして明らかなことであり,ましてや自ら預託事業を営む事業者にとってはなおさら自明の理であるから,このようないわば当然というべき着眼点を明らかにする(開示する)ことによって,「着眼点やノウハウ(消費者庁が預託法違反を検討する際の重点等)が世間一般や預託法取引業者に知れることで,将来的に違反事実の発覚を免れようとする者において,関係資料の隠ぺい・廃棄等の対策を実効性高く講じることが可能となる」(原判決26頁)などという事態は生じず,消費者庁の預託法に係る今後の事件調査に実質的な支障はないし,それについて法的保護に値する蓋然性はない。A牧場が既に破綻し,現在我が国に和牛預託法業者が存在しない現状においては,上記蓋然性が認められないことはなおさらである。 (ウ) 本件不開示部分②及び⑫について本件不開示部分②及び⑫には,農水省がA牧場への立入検査を実施した際の経緯や結果,A牧場が破たんに至るまでの経緯や農水省が立入検 査後にA牧場に対して報告を求めた事項等について,消費者庁の担当者が行った報告内容ないしは検討内容が記載されているが,これらの事項は,まさにA牧場の和牛預託商法につき,農水省及び消費者庁がどのような認識を有していたかということを直接にうかがい知ることができる情報である。そして,前述したところと同様,農水省及び消費者庁のA牧場に対する対応の是非等につき国民の関心が高まっている現状において,本件不開示部分②及び⑫を公にする公益的必要性は極めて とができる情報である。そして,前述したところと同様,農水省及び消費者庁のA牧場に対する対応の是非等につき国民の関心が高まっている現状において,本件不開示部分②及び⑫を公にする公益的必要性は極めて高度である。農水省が預託事業者に対し,預託法に基づく報告聴取や検査,調査を実施するに当たっても,契約に対応した対象物が存在しているかという点に着眼点を置くことは,預託法の趣旨及び規定からすれば明らかであるから,このような当然というべき着眼点を明らかにすることによって,消費者庁の預託法に係る今後の事件調査に実質的な支障はないし,それについて法的保護に値する蓋然性はない。 (エ) 本件不開示部分⑦,⑩及び⑪について本件不開示部分⑦,⑩及び⑪は,いずれも消費者庁のA牧場の担当者が作成した文書であり,農水省の同牧場に対する立入検査に関する内容や消費者庁がA牧場の経営破たん前の会計処理について検証した内容が記載されており,A牧場への立入検査や会計処理についての農水省や消費者庁の認識内容を直接にうかがい知ることのできる内容であり,農水省及び消費者庁のA牧場に対する対応の是非等についての国民の関心が高まっている現状において,本件不開示部分⑦,⑩及び⑪を公にする公益的必要性は極めて高度である。 そして,前述したところと同様,農水省の報告聴取や検査,調査を実施するに当たっての着眼点は預託法の趣旨及び規定から明らかであるし,預託等取引業者が預託法6条に基づいて事業所に備え置くことが義務付けられている書面の記載内容についても,当該書面の記載内容について 所轄行政庁が確認をすることは当然のことである。このような当然というべき着眼点を明らかにすることによって,消費者庁の預託法に係る今後の事件調査に実質的な支障はないし,それについて法的保護に値する蓋 所轄行政庁が確認をすることは当然のことである。このような当然というべき着眼点を明らかにすることによって,消費者庁の預託法に係る今後の事件調査に実質的な支障はないし,それについて法的保護に値する蓋然性もない。 (オ) 本件不開示部分⑤,⑧及び⑨について本件不開示部分⑤は,消費者庁の担当者であるC審議官又はB課長が作成したA牧場に関する打合せメモ中のA牧場に関する懸案事項であり,同⑧は,C審議官又はB課長が作成したA牧場についての検討資料中の景表法4条1項1号該当性の検討状況,仮に補充調査すべきとなった場合の方針であり,同⑨は,B課長がC審議官に報告する目的で作成した電子メールの文書であり,消費者庁のA牧場に対する措置命令における景表法違反の検討状況が記載されている。 そして,これらの記載事項は,やはり消費者庁のA牧場への懸案事項やA牧場の景表法違反の検討状況等,A牧場の法令順守状況についての消費者庁の認識内容を直接にうかがい知ることのできる内容であり,消費者庁のA牧場に対する対応の是非等についての国民の関心が高まっている現状において,本件不開示部分⑤,⑧及び⑨を公にする公益的必要性は極めて高度である。 A牧場が既に破たんしている現在,同牧場に対する景表法等に基づく違反調査等は想定されないのであり,仮に本件不開示部分⑤,⑧及び⑨が開示されても,景表法の違反調査等に何らかの支障等が及ぶことは想定できない。また,和牛預託法業者が存在しない現状においては,他の類似事案への影響や支障等は観念できず,観念できたとしても,それはごく僅かなものにすぎない。 したがって,本件不開示部分⑤,⑧及び⑨を開示しても,国の機関が行う事務等の遂行に実質的な支障が生じるということはできない。 (2) 本件不開示部分①ないし③・⑤ないし⑫につ ぎない。 したがって,本件不開示部分⑤,⑧及び⑨を開示しても,国の機関が行う事務等の遂行に実質的な支障が生じるということはできない。 (2) 本件不開示部分①ないし③・⑤ないし⑫につき,情報公開法6条1項に基づく部分開示をしなかった違法があるか(争点2)についてア原判決の判断枠組みについて原判決は,情報公開法6条1項の定める部分開示の規定について,「不開示情報に該当する独立した一体的な情報をさらに細分化し,その一部を開示し,その余の部分にはもはや不開示情報が記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも行政機関の長に義務付けているものと解することはできない。」(原判決33頁)として,いわゆる「情報単位論」を採用した上で,「上記「独立した一体的な情報」をどの範囲でとらえるのかについては,当該情報が記録された行政文書の目的・性質,内容,取得原因,名義,形状等を総合的に考慮した上で,不開示情報を定める情報公開法5条各号の規定の趣旨に照らし,社会通念に従って個別具体的に判断するのが相当である」(同33頁)とした。 しかし,情報公開法は,行政の国民に対する説明責任を前提に,対象となる情報の開示を原則とし,不開示を例外とするものであるから,法の定める不開示情報に該当しない部分は,これを区別して最大限開示されるべきであり,審査基準上も,文書について部分開示を実施すべき最小単位が,「文,段落」であることが明記されており,原判決が判示するように「一定のまとまりを持った単位」とはされておらず,消費者庁が自ら情報公開法6条1項に基づく部分開示の判断方法についてその裁量基準を策定した以上,被控訴人は同裁量基準に羈束され,当該基準に則った事案処理が要請される。したがって,裁判所の審理判断もそうした被控訴人自 公開法6条1項に基づく部分開示の判断方法についてその裁量基準を策定した以上,被控訴人は同裁量基準に羈束され,当該基準に則った事案処理が要請される。したがって,裁判所の審理判断もそうした被控訴人自身が策定した審査基準に従い,文,段落を基準として情報公開法6条1項に基づく部分開示の要否を判断すべきものというべきである。 イ本件における不開示部分に部分開示されるべき情報が含まれていること以下に述べるとおり,仮に本件における不開示部分に法の定める不開示 情報が含まれているとしても,そこには明らかに法の定める不開示情報に該当しない情報が含まれており,そうした不開示部分に該当しない情報については,容易に除くことが可能である。 (ア) 本件不開示部分③について本件不開示部分③には,平成23年8月当時,A牧場民事再生申立代理人弁護士のウェブサイトに掲載されていた内容に関する自民党・調査会等に向けた想定問答の検討状況が記載されている。仮に,本件不開示部分③に情報公開法5条5号に該当する情報が含まれているとしても,少なくともA牧場民事再生申立代理人弁護士のウェブサイトの掲載事項が記載された部分は,意思形成過程の審議,検討,協議とは明らかに別個独立のものであり,かかる情報のみを他の部分から分離して開示しても,消費者庁の適正な意思決定に不当な影響を及ぼすおそれはなく,情報公開法5条5号に該当しない。 したがって,本件不開示部分③のうち,少なくともA牧場民事再生申立代理人弁護士のウェブサイトの掲載事項は情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (イ) 本件不開示部分①について本件不開示部分①には,農水省における牛の市場価格と預託商法における商品価格との間にかい離があることについての検討情報が記載されている。 仮 れるべきである。 (イ) 本件不開示部分①について本件不開示部分①には,農水省における牛の市場価格と預託商法における商品価格との間にかい離があることについての検討情報が記載されている。 仮に,本件不開示部分①に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれるとしても,上記記載事項には牛の市場価格及び預託商品の商品価格そのものの情報も含まれており,これらの情報は他の部分とは区別できるものと考えられる。その上,牛の市場価格に関しては,既に一般に公表されている客観的情報であり,A牧場における預託商品の価格もA牧場のパンフレット,あるいはA牧場事件をめぐる各種報道により既に 公にされている客観的情報であるから,これらの情報を公にしても,今後の消費者庁の預託法に基づく執行事務等に支障を及ぼすおそれはなく,情報公開法5条6号イに該当しない。 したがって,本件不開示部分①のうち,少なくとも農水省による検討状況が記載された部分以外は情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (ウ) 本件不開示部分②について本件不開示部分②には,平成21年1月に農水省がA牧場に対して行った立入検査の経緯,立入検査の結果及び立入検査後のA牧場の対応等が記載されている。 本件不開示部分②についても,仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,黒塗り部分の全ての部分が農水省による立入検査の具体的調査方法や提出を求めた事項等,調査のノウハウや着眼点が現れている部分で占められているとは考えられず,例えば,立入検査の日時,場所等や検査結果等の客観的情報が記載されている部分については,調査のノウハウや着眼点とは無関係であるから,不開示情報に該当しないものというべきである。 したがって,本件不開示部分②のうち,少なくとも立入検査の日 等の客観的情報が記載されている部分については,調査のノウハウや着眼点とは無関係であるから,不開示情報に該当しないものというべきである。 したがって,本件不開示部分②のうち,少なくとも立入検査の日時,場所,検査結果等の客観的情報については情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (エ) 本件不開示部分⑤について本件不開示部分⑤には,「A牧場に関する懸案事項(打ち合わせ用メモ)」と題する文書中,平成23年9月8日時点におけるA牧場に関する懸案事項,景表法違反被疑事件の調査において収集することが予定されている資料が記載されている。 仮に本件不開示部分⑤に不開示情報が含まれるとしても,同部分は, ほぼ1頁全てが広範に黒塗りで不開示とされているところ,そこに記載されているA牧場についての懸念事項などの情報が,全て景表法上の執行の際の着眼点,ノウハウを示すことになる情報のみで構成されているとは考えられず,例えば,景表法の条文やその解釈等,消費者庁の景表法の違反調査のノウハウや着眼点とは無関係な客観的情報も含まれているものと考えられる。 したがって,本件不開示部分⑤中,少なくとも景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウ等とは関係のない客観的情報については情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (オ) 本件不開示部分⑦について本件不開示部分⑦には,「【御報告】A牧場に対する平成21年の農水省立入検査について(B)」としてB課長がC審議官に宛てた電子メール中,平成21年1月に行われた農水省によるA牧場に対する立入検査に関する内容が記載されている。 仮に本件不開示部分⑦に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,本文部分が全て黒塗りとされている電子メールの内容が全て着眼点やノウハウの 立入検査に関する内容が記載されている。 仮に本件不開示部分⑦に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,本文部分が全て黒塗りとされている電子メールの内容が全て着眼点やノウハウの情報で構成されているとは考えられず,例えば,農水省による立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果等が記載されていると思われるし,電子メールの本文自体も,挨拶文や事務的やり取りの文章等,消費者庁の着眼点やノウハウ等とは無関係な情報も含まれているものと考えられ,これらの情報はいずれも情報公開法5条6号イに該当しない。 したがって,本件不開示部分⑦中,少なくとも調査のノウハウや着眼点が記載されている部分以外の農水省による立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果,挨拶文や事務的やり取りの文章等,消費者庁の着眼点やノウハウ等とは無関係な情報は情報公開法6条1項に基づき 部分開示されるべきである。 (カ) 本件不開示部分⑧及び⑨について本件不開示部分⑧には,平成23年11月30日付け景表法に基づくA牧場に対する措置命令に関する同法4条1項1号該当性の検討状況及び仮に補充調査すべきとなった場合の方針が,本件不開示部分⑨には,B課長がC審議官に報告する目的で作成した電子メールの文書中,消費者庁のA牧場に対する措置命令における景表法違反の検討状況が,それぞれ記載されている。 これら本件不開示部分⑧及び⑨についても,仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,やはり全てが不開示情報に該当するとは考え難く,これらの対象文書は文書が全て黒塗りとされているところ,挨拶文や事務的やり取りに関する文章,景表法の条文やその解釈等,公にしても景表法の基づく違反調査に何らの支障も生じさせない情報も含まれていると考えられる。 し 文書が全て黒塗りとされているところ,挨拶文や事務的やり取りに関する文章,景表法の条文やその解釈等,公にしても景表法の基づく違反調査に何らの支障も生じさせない情報も含まれていると考えられる。 したがって,少なくとも着眼点やノウハウが記載されていない情報については情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (キ) 本件不開示部分⑩及び⑪について本件不開示部分⑩及び⑪には,消費者庁が農水省から引き継いだ資料を基に平成23年8月の破綻前にA牧場が行っていた会計処理について平成24年4月当時に検証した内容等が記載されている。 本件不開示部分⑩,⑪についても,仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,それ以外の事項,例えば,A牧場の会計処理に係る客観的情報そのものは,公になっても消費者庁の預託法に基づく事件調査等に支障を生じさせることはない。 したがって,少なくとも,A牧場の会計処理に係る客観的情報等,消費者庁の検討内容等が記載されている部分以外の情報については情報公 開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (ク) 本件不開示部分⑫について本件不開示部分⑫には,A牧場が破綻に至るまでの経緯や立入検査後に報告を求めた事項等(平成21年1月に行われた農水省によるA牧場に対する立入検査において農水省が提出を求めた資料を含む。)が記載されている。 同不開示部分についても,少なくともA牧場の破綻に至るまでの経緯等の客観的事実については,消費者庁の預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウとは無関係であり,公にしても,消費者庁の事務等に支障をきたすおそれはない。 したがって,本件不開示部分⑫のうち,少なくともA牧場の破綻に至るまでの経緯等の客観的事実については情報公開法6条1項に基づき部分開示さ 公にしても,消費者庁の事務等に支障をきたすおそれはない。 したがって,本件不開示部分⑫のうち,少なくともA牧場の破綻に至るまでの経緯等の客観的事実については情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 (ケ) 本件不開示部分⑥について本件不開示部分⑥には,D新聞社の記者と消費者庁職員との応答内容が記載されている。 このうち,消費者庁職員の回答内容の部分については,明らかにD新聞社の記者の質問とは別個の情報であり,しかも,行政機関の回答は報道等により広く公にされても問題ないとの前提でされるものである上に,当該部分はD新聞社の権利,競争上の地位とは無関係であるから,情報公開法5条2号イの不開示情報には該当しない。 なお,この点について,原判決は,「回答内容は記者の質問を推測させるものといえることから,不開示情報に当たるというべき」(原判決38頁)と指摘するが,消費者庁職員の回答内容から推知される可能性のあるD新聞社のノウハウは,あくまで推測によりうかがい知ることができるという域を出ないものなのであって,そのような回答内容に法的 保護に値する蓋然性は認められないというべきである。 したがって,本件不開示部分⑥のうち,少なくとも消費者庁職員の回答内容については不開示情報に該当せず,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおり補正し,当審における控訴人の主な補充主張に対する判断を後記2のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の第4の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決15頁19行目の「本件不開示部分」を「本件各不開示部分」と改める。 (2) 同16頁 かは,原判決の「事実及び理由」の第4の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決15頁19行目の「本件不開示部分」を「本件各不開示部分」と改める。 (2) 同16頁13行目の「不開示情報と定めている。ここでいう「おそれ」とは」を「不開示情報と定めているところ,これに該当する情報については,営業上の秘密,ノウハウなど同業者との競争上,当該法人において,特に秘匿を必要とする情報や,当該法人等の社会的地位が低下するなどの不利益を生じさせる情報が含まれるものと解される。そして,上記の「正当な利益を害するおそれ」については,情報公開法が国民主権の理念から行政文書について開示を原則としていること(同法1条,5条柱書き)からすれば,当該情報を公にすることにより」と改め,同頁14行目から同頁15行目の「判断されるだけでなく,」の次に「法人等の正当な利益が害されるという相当の蓋然性が客観的に認められ,そのような意味において」を加え,同頁22行目の「法」を「情報公開法」と改める。 (3) 同17頁4行目の「メモであり,」の次に「「標記について,主として先方のコメント以下のとおり。」として,「1 今後の弁護団の活動」,「2 弁護団として知りたいこと」,「3 預託法か金融商品取引法か」及び「4 消費者庁への注文など」の項目の下,」を,同頁6行目の「問題 等)」の次に「や解釈」をそれぞれ加え,同頁7行目の「記載されている。」から同頁8行目の「なお,」までを「記載されていることが推認されるところ,」と改める。 (4) 同18頁15行目から16行目の「メモであり,」の次に「「上記記者とのやり取りの概要は以下のとおり。(先方には,預託法の概要を手交)」との記載に続き,」を加え,同頁17行目の「記載されている」を「記載され 15行目から16行目の「メモであり,」の次に「「上記記者とのやり取りの概要は以下のとおり。(先方には,預託法の概要を手交)」との記載に続き,」を加え,同頁17行目の「記載されている」を「記載されていることが推認される」と,同頁23行目の「文書で75行にも及んでいること(乙2の6)」を「文書で74行にも及んでいること(乙2の6,乙4)」とそれぞれ改める。 (5) 同20頁11行目の「のものである。」の次に「本件PT①は平成23年9月15日午前8時30分から午前9時30分の1時間にわたり行われ,本件PT②は同年11月15日午後3時30分から午後5時までの1時間30分にわたり行われたものであるところ,」を加え,同頁14行目の「それぞれ記載されている。」から同頁15行目の「なお,本件不開示部分⑬」までを,「それぞれ記載されていることが推認される。本件各PTの結果については,自民党において公表等はしておらず,本件不開示部分⑬」と,同21頁19行目の「財産を保護」」を「財産」の保護」とそれぞれ改める。 (6) 同22頁11行目の「判断されるだけではなく,」の次に「(2)アに述べたのと同様の意味において」を加え,同頁18行目の「法」を「情報公開法」と改める。 (7) 同22頁26行目の「作成した文書であり,」の次に「「C審議官からの指示(23.08.30)」との記載の下,」を,同23頁2行目の「関する,」の次に「前記審議官からの指示に基づく対応案として」をそれぞれ加え,同頁2行目から同頁3行目の「記載されている」を「記載されていることが推認される」と改め,同頁7行目の「想定問答につき,」の次に「担当者が幹部からの指示を受けて提案した途中段階の暫定的なものであり,」 を加え,同24頁7行目の「財産を保護」」を「財産」の保護」と改める。 改め,同頁7行目の「想定問答につき,」の次に「担当者が幹部からの指示を受けて提案した途中段階の暫定的なものであり,」 を加え,同24頁7行目の「財産を保護」」を「財産」の保護」と改める。 (8) 同24頁21行目の「されるだけではなく,」の次に「(2)アに述べたのと同様の意味において」を加え,同頁24行目の「事業の遂行」を「事業の適正な遂行」と,同25頁1行目及び同頁2行目の各「法」をいずれも「情報公開法」と,同頁5行目から同頁6行目の「事業の遂行」を「事業の適正な遂行」とそれぞれ改める。 (9) 同25頁20行目の「記載されている」を「記載されていることが推認される」と,同26頁15行目,同頁18行目及び同27頁1行目の各「事務の遂行」をいずれも「事務の適正な遂行」とそれぞれ改める。 (10) 同27頁15行目の「記載されている」を「記載されていることが推認される」と,同28頁26行目の「事務の遂行」を「事務の適正な遂行」とそれぞれ改める。 (11) 同29頁7行目の「記載されている。(乙2の7」を「記載されていることが推認される(乙2の7」と,同頁13行目の「記載されている」を「記載されていることが推認される」と,同30頁8行目及び同頁15行目の各「事務の遂行」をいずれも「事務の適正な遂行」とそれぞれ改める。 (12) 同30頁23行目,同31頁2行目及び同頁6行目の各「記載されている」をいずれも「記載されていることが推認される」と,同頁12行目の「景表法の違反被疑事実の調査」を「景表法違反被疑事件の調査」と,同32頁9行目及び同頁15行目の各「事務の遂行」をいずれも「事務の適正な遂行」とそれぞれ改める。 (13) 同34頁17行目から同頁18行目の「検討内容が」を「検討状況が,上司への報告目的で」と改める。 ( 及び同頁15行目の各「事務の遂行」をいずれも「事務の適正な遂行」とそれぞれ改める。 (13) 同34頁17行目から同頁18行目の「検討内容が」を「検討状況が,上司への報告目的で」と改める。 (14) 同35頁4行目の「以下のとおり」」を「以下のとおり。」」と改める。 (15) 同36頁24行目の「記載されて情報」を「記載されていない情報」 と改める。 (16) 同37頁11行目の「検討内容」を「検証内容」と改める。 2 当審における控訴人の主な補充主張に対する判断(1) 本件各不開示部分に記録されている情報が,情報公開法5条2号イ,同条5号又は同条6号イの不開示情報に該当するか(争点1)についてア情報公開法5条2号イ該当性について(本件不開示部分④,⑥,⑬ないし⑯(枝番号を含む))(ア) 原判決の判断枠組みについて控訴人は,原判決が判示するように一般的,抽象的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するというのであれば,当該文書それ自体の特質や問題となる法人等の特質が全て捨象され,事案や対象文書の特質に応じた判断が阻害されてしまいかねず,著しく相当性を欠くとともに,行政の説明責任を定める情報公開法1条の趣旨に反し不当であると主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)アのとおり,情報公開法5条2号イは,法人等に関する情報のうち,公にすることにより,当該法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを不開示情報と定めているところ,ここでいう正当な利益が害されるおそれについては相当の蓋然性が客観的に認められることが必要であるが,その「おそれ」があるか否かの判断に当たって,当該文書の個別具体的な記載文言等から当該法人等の権利利益等 いう正当な利益が害されるおそれについては相当の蓋然性が客観的に認められることが必要であるが,その「おそれ」があるか否かの判断に当たって,当該文書の個別具体的な記載文言等から当該法人等の権利利益等がどのように害される蓋然性があるかが明らかにされなければならないとすることは,結果的に当該行政文書の開示を要求するということに等しく,不開示情報を定めた法の趣旨に反するというべきである。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,上記のような判断手法は,審査基準に,法人自体の憲法 上の権利の保護の必要性,当該法人等と行政との具体的な関係等を十分考慮するものとされていること,おそれの判断について単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性が認められるかどうかにより判断するとされていることと齟齬し不当であると主張する。 しかし,上記のように,法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれにつき補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)アで述べたような考え方の下に判断することについては,上記審査基準と齟齬するものとは認められない。控訴人の主張は採用することができない。 (イ) 本件不開示部分④について控訴人は,本件不開示部分④が開示されても,発言した弁護士の氏名の開示はなく,当該弁護士の権利,競争上の利益が害されることについて確率的可能性を超えた法的保護に値する蓋然性は認められず,本件弁護団は,活動内容及び活動方針を公にして活動している団体であり,不開示部分に記載された情報は秘匿性のある情報ではなく,開示により弁護士個人の権利,競争上の利益が侵害されることについて法的保護に値する蓋然性があると考えることはできない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1 なく,開示により弁護士個人の権利,競争上の利益が侵害されることについて法的保護に値する蓋然性があると考えることはできない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)イのとおり,対象文書④は,B課長及び消費者庁職員が作成した本件意見交換の概要のメモであり,同意見交換会は,平成23年9月22日午後5時から午後6時までの1時間にわたり5名の弁護士が出席して行われたものであるところ(乙2の4),対象文書④には「標記について,主として先方のコメント以下のとおり。」と記載されていて,同メモは本件意見交換会における主に出席弁護士らのコメントについてB課長らが要約等をしたものと認められ,本件不開示部分④には,本件弁護団の今後の活動方針,問題意識(A牧場が行っていた取引に適用される 法律が預託法か金融商品取引法かといった法適用の問題等)や解釈及び消費者庁に対する注文(要望)等について記載されている。しかし,その記載内容について本件意見交換に出席した弁護士の確認・同意は得られておらず,その記載の正確性についての担保がないものである。そうすると,仮に,かかる情報が公になったときには,本件弁護団及び上記弁護士の事業活動について,正確性の担保されない情報が流布されることで,これらの者の社会的信用が害されたり,又は本件弁護団の自主的な運営が阻害されたりするおそれがあり,その権利利益等が害されるという相当の蓋然性が客観的に認められるというべきである。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,本件不開示部分④のうち発言者である弁護士個人の氏名を取消し(開示)の対象とはしていないから,同部分が開示されても発言者の氏名が不開示のまま匿名とされた意見の内容が開示されるにすぎないのであって,そのような特定性を欠く 発言者である弁護士個人の氏名を取消し(開示)の対象とはしていないから,同部分が開示されても発言者の氏名が不開示のまま匿名とされた意見の内容が開示されるにすぎないのであって,そのような特定性を欠く推測によって,当該弁護士の権利,競争上の利益が害されるおそれは認められず,本件弁護団は活動内容等を公表等しており,本件不開示部分④の情報は秘匿性のある情報ではない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)イ(ウ)で述べたように,本件弁護団が公に活動していることからすれば,発言した弁護士の氏名の開示がなくとも,本件意見交換に出席した弁護士を推測することは可能といえること等や,情報公開法5条2号イの不開示情報該当性の判断に当たっては開示請求者の属性は考慮すべきではないことを考慮すると,控訴人の主張は採用することができない。 (ウ) 本件不開示部分⑥について控訴人は,社会通念上,新聞記者の取材における質疑応答はそれ自体秘匿性を有する情報ではなく,消費者庁職員の応答内容も,報道等に より広く公にされても問題ないとの前提でなされるものであるし,それらから推知される可能性のあるD新聞社のノウハウは,あくまで推測によりうかがい知ることができるという域を出ないものであって,法的保護に値する蓋然性は認められず,当該情報がA牧場という過去の事案に関するものであることも考え合わせると,本件不開示部分⑥が開示されることによってD新聞社の権利,競争上の利益が侵害されることについての法的保護に値する蓋然性があるとは考えられない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)ウ及び2(2)ケのとおり,対象文書⑥は,B課長が作成した本件取材の対応結果のメモであり,「上記記者とのやり取りの い旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)ウ及び2(2)ケのとおり,対象文書⑥は,B課長が作成した本件取材の対応結果のメモであり,「上記記者とのやり取りの概要は以下のとおり。(先方には,預託法の概要を手交)」との記載に続き,本件不開示部分⑥には,D新聞の記者と消費者庁職員との具体的な質疑応答の内容について記載されているところ,当該不開示部分の分量は,A4版の文書で74行に及んでいる。これらのことからすると,そこには,取材対象に関する知見の度合い,問題点の捉え方・方針,報道の方向性等を含めて,D新聞社の事業活動である取材に関するノウハウに係る情報がある程度含まれているといえ,仮に,かかる情報が公になったときには,これらのノウハウが世間一般や競業者に知れることで,D新聞社の報道内容の独自性が損なわれるおそれがあり,その権利利益等が害されるという相当の蓋然性が客観的に認められるというべきである。本件不開示部分⑥には,記者の質問以外に消費者庁職員の回答内容が記載されているところ,その回答内容は記者の質問を推測させるものといえるから,これらの回答内容についても上記に述べたところが妥当するというべきである。そして,本件取材における質疑応答やこれに対する行政機関の職員の回答につき公にすることが予定されていたと認めるに足りる証拠もなく,本件取材におけるやり取り等から読み取れるD新聞社の取材に 関する個別事案を離れても有用なノウハウに係る情報等が知れることでの同社の権利利益等が害されるおそれについては,A牧場の問題が過去の事案に関するものであるか否かによって直ちに左右されるものではない。控訴人の主張は採用することができない。 (エ) 本件不開示部分⑬ないし⑯(枝番号を含む)について控訴人は 場の問題が過去の事案に関するものであるか否かによって直ちに左右されるものではない。控訴人の主張は採用することができない。 (エ) 本件不開示部分⑬ないし⑯(枝番号を含む)について控訴人は,本件不開示部分⑬ないし⑯の各不開示部分のうちの弁護士の発言内容については,上記不開示部分④についてと同様,不開示部分の開示によって当該弁護士個人の権利,競争上の利益が害される余地はないし,議員の発言についても,問題となる権利,競争上の利益の主体は自民党という政党であり,公的な存在であって,国民の知る権利の行使を広く認めるべきであり,上記の不開示部分に係る会議の内容それ自体も公益的なものであるから,議員の発言内容についての自民党の権利,競争上の地位等を考慮すべき要請は高度なものではなく,権利,競争上の利益が害されることについての法的保護に値する蓋然性は認められない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(2)エのとおり,対象文書⑬ないし⑯は,C審議官又はB課長が作成した本件各PTの概要の未定稿の文書であり,本件不開示部分⑬ないし⑯(各枝番号1)には,本件各PTに出席した自民党議員の発言内容,本件不開示部分⑬ないし⑯(各枝番号2)には,本件各PTに出席した弁護士の発言内容が,それぞれ記載されているところ,本件不開示部分⑬ないし⑯の記載内容については,発言した議員又は弁護士の確認・同意は得られておらず,本件各PTについて,自民党からその結果の公表等もされていない。そうすると,仮に,かかる情報が公になったときには,自民党及び上記議員,本件弁護団及び上記弁護士の事業活動について正確性の担保されない情報が流布されることで,これらの者の社会的信用 が害されたり,又は自民党や本件弁護団の自主的な運営が阻害 自民党及び上記議員,本件弁護団及び上記弁護士の事業活動について正確性の担保されない情報が流布されることで,これらの者の社会的信用 が害されたり,又は自民党や本件弁護団の自主的な運営が阻害されたりするおそれがあり,その権利利益等が害されるという相当の蓋然性が客観的に認められるといえる。 また,発言した弁護士の氏名の開示を求めずに発言内容のみの開示を求めていること等についての控訴人の主張につき採用することができないことについては,既に述べたとおりであり,政党に所属する議員の発言についても,政党はそれぞれの政治理念の下で活動する団体であり,その活動に関する情報を公表することについての時期,方法,内容については,自らの政治的判断の下に決定することができるというべきであり,時期を問わずに一般に公表されることは,同政党の活動に重要な影響を及ぼすものといえるから,その権利利益等が害されるという相当の蓋然性が客観的に認められるといえる。控訴人の主張は採用することができない。 イ情報公開法5条5号該当性について(本件不開示部分③)(ア) 原判決の判断枠組みについて控訴人は,原判決が判示するように一般的,類型的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するのであれば,当該文書それ自体の特質や問題となる審議,検討又は協議の特質が全て捨象され,事案や対象文書の特質に応じた判断が阻害されてしまいかねず,著しく相当性を欠くとともに,行政の説明責任を定める情報公開法1条の趣旨に反すると主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(3)アのとおり,情報公開法5条5号は,「国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間における審議,検討又は協議に関する情報」のうち,公にすることにより「率直な意見の交換若しくは意 理由」中の第4の1(3)アのとおり,情報公開法5条5号は,「国の機関及び地方公共団体の内部又は相互間における審議,検討又は協議に関する情報」のうち,公にすることにより「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」,「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」 又は「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」を不開示情報と定めているところ,ここでいう「おそれ」についても,単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるだけではなく,客観的にそのおそれがあると認められることが必要であるというべきである。そして,上記「おそれ」があるか否かの判断に当たり,当該行政文書の個別具体的な記載文言等からいかなる不当な影響が生じる蓋然性があるかが明らかにされなければならないとすることは,結果的に当該行政文書の開示を要求するということに等しく,不開示情報を定めた法の趣旨に反することも明らかである。 そうすると,行政文書に記録された情報につき,情報公開法5条5号所定の「おそれ」があるか否かを判断するに当たっては,当該情報が,どのような審議,検討又は協議に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかなどといった一般的な性質を踏まえて,不当な影響のおそれがあるか否かを客観的に判断することが相当である。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,上記のような判断手法は,「おそれ」についてはまさに当該文書の具体的性質を検討しなければ明らかにできないし,「不当に」との点についても,審査基準に当該情報それ自体の性質から公にすることによる利益と不開示による利益を比較衡量して判断すべきとされていることと齟齬し不当であると主張する。 しかし,上記の「おそれ」の有無につき当該行政文書 査基準に当該情報それ自体の性質から公にすることによる利益と不開示による利益を比較衡量して判断すべきとされていることと齟齬し不当であると主張する。 しかし,上記の「おそれ」の有無につき当該行政文書の個別具体的な記載文言等に基づき検討するべきものとすることは,結果的に当該行政文書の開示を要求するということに等しく法の趣旨に反することについては,既に述べたとおりであり,「不当に」との点の判断についても,当該情報がどのような審議,検討又は協議に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかを勘案して判断するもので あり,このことについて,審査基準が「当該情報の性質に照らし,(中略)利益と不開示にすることによる利益とを比較衡量した上で判断する」としていること(甲5)と齟齬するものとは認められない。控訴人の主張は採用することができない。 (イ) 本件不開示部分③について控訴人は,本件不開示部分③につき,A牧場事件に関連する消費者庁の対応の是非は国民の重大な関心事となっており,開示についての公益的な必要性は極めて高い一方,本件不開示部分③に記載された検討内容は,過去の事案に関するものであり,開示の公益的必要性に比して,開示による「適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のもの」ということはできず,開示により現実的に他の事案への影響が及ぶような事態は想定し得ないし,仮にそのような影響が想定できたとしても,極めて抽象的なものにすぎないから,開示がされるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(3)イのとおり,対象文書③は,平成23年8月30日頃,B課長がC審議官からの指示に関して作成した文書であり,本件不開示部分③には,同月当時のA牧場民事再生申 原判決の「事実及び理由」中の第4の1(3)イのとおり,対象文書③は,平成23年8月30日頃,B課長がC審議官からの指示に関して作成した文書であり,本件不開示部分③には,同月当時のA牧場民事再生申立代理人弁護士らのウェブサイトの内容に関し,自民党調査会等に向けた想定問答の検討状況について記載されており,担当者が幹部からの指示を受けて提案した途中段階の暫定的で未成熟な検討過程に関する情報が記録されているといえるところ,仮に,かかる情報が公になったときには,消費者問題により事業者が破たんした場合の対応についての消費者庁の未成熟な検討過程が世間一般に明らかになるといえることから,消費者庁における他の同種事案について率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあり,また,国民の間に無用の誤解や憶測を招き,不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあ ると客観的に認められるといえ,本件不開示部分③に記録されている情報は,情報公開法5条5号の不開示情報に該当するといえる。控訴人は,本件不開示部分③には,A牧場の消費者問題について,消費者庁の当時の認識等をうかがうことのできる情報が記録されており,公益的な開示の必要性が高いと主張するが,その内容は特定事案についてのものであって,直ちに「人の生命,健康,生活又は財産」の保護に結び付くものともいえないこと等によれば,これをもって,本件不開示部分③を開示しなければならないともいえないというべきである。また,控訴人は,本件不開示部分③に記載された検討内容は,A牧場の問題という過去の個別事案に関するもので,破産手続等が終了していること等も考え併せると他の事案への不当な影響のおそれは認められないと主張するが,本件不開示部分③の記載内容等に照らすと,A牧場や黒毛和種牛の預託等取引業の事案に限らず,その他 産手続等が終了していること等も考え併せると他の事案への不当な影響のおそれは認められないと主張するが,本件不開示部分③の記載内容等に照らすと,A牧場や黒毛和種牛の預託等取引業の事案に限らず,その他に消費者庁の所管する事項に関して事業者が破たんした場合の対応等に関しても,不当な影響のおそれを認めることができるというべきである。控訴人の主張は採用することができない。 ウ情報公開法5条6号イ該当性について(本件不開示部分①,②,⑤及び⑦ないし⑫)(ア) 原判決の判断枠組みについて控訴人は,情報公開法5条2号イ等についてと同様,原判決が判示するように一般的,類型的な事由のみをもって不開示情報該当性を判断するというのであれば,当該文書それ自体の特質や問題となる審議,検討又は協議の特質が全て捨象され,事案や対象文書の特質に応じた判断が阻害されて,著しく相当性を欠くし,被控訴人において,当該文書の具体的性格から不開示部分の不開示情報該当性を主張立証することは可能なのであって,これを行わなければ行政の説明責任を定める情報公開法 1条の趣旨に反すると主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(4)アのとおり,情報公開法5条6号イは,「国の機関,独立行政法人等,地方公共団体及び地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報」のうち,公にすることにより,「監査・検査・取締り・試験・租税の賦課徴収に係る事務に関し」,「正確な事実の把握を困難にするおそれ」,「違法・不当な行為を容易にするおそれ」又は「違法若しくは不当な行為の発見を困難にするおそれ」があるものを不開示情報と定めているところ,ここでいう「おそれ」についても,単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるだけではなく,客観的にそのおそ 当な行為の発見を困難にするおそれ」があるものを不開示情報と定めているところ,ここでいう「おそれ」についても,単に行政機関の主観においてそのおそれがあると判断されるだけではなく,客観的にそのおそれがあると認められることが必要であるというべきである。そして,上記「おそれ」があるか否かの判断に当たり,当該文書の個別具体的な記載文言等から当該事務又は事業の適正な遂行がどのように害される蓋然性があるかが明らかにされなければならないとすることは,結果的に当該行政文書の開示を要求するということに等しく,不開示情報を定めた法の趣旨に反することもまた明らかであるから,行政文書に記録された情報につき,情報公開法5条6号イ所定の「おそれ」があるか否かを判断するに当たっては,当該情報が,どのような事務又は事業に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかなどといった一般的な性質から,当該事務又は事業の適正な遂行を害するおそれがあるか否かを客観的に判断することが相当である。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,上記のような判断手法は,審査基準に「当該事務又は事業の性質上」については「当該事務又は事業の本質的な性格,具体的には,当該事務又は事業の目的,その目的達成のための手法等に照らして,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するとの趣旨 である」とされており,一般的な性質で足りるとした原判決の判断は審査基準に反するし,「支障」の程度についても,「名目的なものでは足りず,実質的なものを必要とし,また「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性があると認められるかどうかにより判断する」とされており,形式的,一般的判断ではなく,実質的,具体的な検討が求められているところ,この 」の程度も単なる確率的な可能性ではなく,法的保護に値する蓋然性があると認められるかどうかにより判断する」とされており,形式的,一般的判断ではなく,実質的,具体的な検討が求められているところ,この審査基準とも齟齬する旨主張する。 しかし,上記のとおり,当該情報がどのような事務又は事業に関するものであるか,どのような経緯・目的で作成されたものであるかなどを勘案して客観的に情報公開法5条6号イ所定の「おそれ」の有無を判断するとすることについては,上記のような審査基準と齟齬するものとは認められない。控訴人の主張は採用することができない。 (イ) 本件不開示部分①について控訴人は,本件不開示部分①につき,当時の農水省及び消費者庁の認識を公にする公益的必要性は極めて高度であり,農水省が預託事業者に対して預託法に基づく報告聴取や検査,調査を実施するに当たっての着眼点は預託法の規定から明らかであるから,「着眼点やノウハウ(消費者庁が預託法違反を検討する際の重点等)が世間一般や預託法取引業者に知れることで,将来的に違反事実の発覚を免れようとする者において,関係資料の隠ぺい・廃棄等の対策を実効性高く講じることが可能になる」などという事態は生じず,今後の事件調査に実質的な支障はないし,それについて法的保護に値する蓋然性はない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(4)イのとおり,対象文書①は,平成23年8月17日,B課長及び消費者庁職員がC審議官からの指示を受け,報告目的で作成した文書で,3つの文書から構成され,本件不開示部分①は,そのうち,同日にB課 長及び消費者庁職員が作成した「牛の市場価格と預託商法における商品価格との乖離について」と題するメモの一部であり,そこには,A牧場の問題で牛の れ,本件不開示部分①は,そのうち,同日にB課 長及び消費者庁職員が作成した「牛の市場価格と預託商法における商品価格との乖離について」と題するメモの一部であり,そこには,A牧場の問題で牛の市場価格と預託商法における商品価格との間にかい離があることに関する農水省での検討状況について,消費者庁職員が農水省担当者から聴取した内容が記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等のほか,本件不開示部分①の分量がA4版の文書で23行に及んでいること等も踏まえると,そこには,牛の市場価格と預託商法における商品価格との間にかい離が認められた場合にそれが預託法違反となるのか,預託法違反となるとした場合にどの程度のかい離が生じていることが必要であるか等,預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報が,関係法令の定めの内容からうかがわれるところを超えた具体性をもつものとしてある程度含まれているといえ,仮に,かかる情報が公になったときには,これらの着眼点やノウハウ(消費者庁が預託法違反を検討する際の重点等)が世間一般や預託等取引業者に知れることで,将来的に違反事実の発覚を免れようとする者において,関係資料の隠ぺい・廃棄等の対策を実効性高く講じることが可能となることから,消費者庁の預託法違反に係る事務の適正な遂行を害するおそれがあるといえ,情報公開法5条6号イの不開示情報に該当するといえる。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,我が国に和牛預託法業者は存在しない現状においては,事務の遂行を害するおそれはないと主張するが,上記の着眼点やノウハウは和牛預託法業者以外の預託等取引業者においても有用な面があることは否定できず,上記事情をもって,事務の適正な遂行を害するおそれがないとはいえない。 控訴人は公益的な開示の必要 の着眼点やノウハウは和牛預託法業者以外の預託等取引業者においても有用な面があることは否定できず,上記事情をもって,事務の適正な遂行を害するおそれがないとはいえない。 控訴人は公益的な開示の必要性が高いと主張するが,上記イ(イ)において述べたように,その主張は採用することができない。 (ウ) 本件不開示部分②及び⑫について控訴人は,本件不開示部分②及び⑫に記載された事項は,A牧場の和牛預託商法につき農水省及び消費者庁がどのような認識を有していたかということを直接にうかがい知ることができる情報であるところ,これを公にする公益的必要性は極めて高度であり,預託法に基づく報告聴取や検査,調査を実施するに当たっての着眼点は預託法の趣旨及び規定からすれば明らかであるから,消費者庁の預託法に係る今後の事件調査に実質的な支障はないし,それについて法的保護に値する蓋然性はない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(4)ウのとおり,対象文書②は,平成23年8月11日,B課長及び消費者庁職員がC審議官への報告目的で作成した文書で,2つの文書から構成され,本件不開示部分②は,そのうち,同日にB課長及び消費者庁職員が作成した「農林水産省におけるA社に対する立入検査についての経緯メモ」と題するメモの一部であり,そこには,農水省から情報提供を受けた本件立入検査の経緯,結果及びその後のA牧場の対応等について記載され,対象文書⑫(本件不開示部分⑫)は,C審議官又はB課長が作成したA牧場についての検討資料であり,そこには,預託法上の問題点を検討する観点において,A牧場が破たんに至るまでの経緯,立入検査後にA牧場に対して報告を求めた事項等(農水省が本件立入検査においてA牧場に提出を求めた資料を含む。)について記 は,預託法上の問題点を検討する観点において,A牧場が破たんに至るまでの経緯,立入検査後にA牧場に対して報告を求めた事項等(農水省が本件立入検査においてA牧場に提出を求めた資料を含む。)について記載されている。 本件不開示部分②には,上記のとおり,農水省から情報提供を受けた本件立入検査の経緯や結果等が上司への報告目的で記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等も踏まえると,そこには,預託等取引業者が預託等取引契約の目的物である特定商品を,預託等取引契約に見合う分だけ実際に保有しているかを確認する方法等,預託法に 基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。また,本件不開示部分⑫には,上記のとおり,預託法上の問題点を検討する観点において,A牧場が破たんに至るまでの経緯,立入検査後にA牧場に対して報告を求めた事項等に関する検討内容が記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等も踏まえると,そこには,預託等取引業者が預託等取引契約の目的物である特定商品を,預託等取引契約に見合う分だけ実際に保有しているかを確認する方法等預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。そうすると,仮に,かかる情報が公になったときには,これらの着眼点やノウハウ(消費者庁が預託法違反を検討する際の重点や方法等)が世間一般や預託等取引業者に知れることで,将来的に違反事実の発覚を免れようとする者において,関係資料の隠ぺい・廃棄,虚偽内容の資料作成や弁解等の対策を実効性高く講じることが可能となることから,消費者庁の預託法違反に係る事務の適正な遂行を害するおそれがあり,本件不開示部分②・⑫に記録されている情報は,情報公開法5条6号イの不開示情報に該当するといえる。 く講じることが可能となることから,消費者庁の預託法違反に係る事務の適正な遂行を害するおそれがあり,本件不開示部分②・⑫に記録されている情報は,情報公開法5条6号イの不開示情報に該当するといえる。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,本件不開示部分②及び⑫についても,事務の適正な遂行を害するおそれはないことや,公益的な開示の必要性が高いことを主張するが,これらの主張を採用することができないことについては,(イ)において既に述べたとおりである。控訴人の主張は採用することができない。 (エ) 本件不開示部分⑦,⑩及び⑪について控訴人は,本件不開示部分⑦,⑩及び⑪の不開示部分は,A牧場への立入検査や会計処理についての農水省や消費者庁の認識内容を直接にうかがい知ることのできる内容であり,これを公にする公益的必要性は 極めて高度であるところ,農水省の報告聴取や検査,調査を実施するに当たっての着眼点は預託法の趣旨及び規定から明らかであるし,預託等取引業者が預託法6条に基づいて事業所に備え置くことが義務付けられている書面の記載内容についても,当該書面の記載内容について所轄行政庁が確認をすることは当然のことであり,これら当然というべき着眼点を明らかにすることによって,消費者庁の預託法に係る今後の事件調査に実質的な支障はなく,それについて法的保護に値する蓋然性はない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(4)エのとおり,対象文書⑦は,平成23年8月22日,B課長がC審議官らに報告する目的で作成した電子メールの文書であり,本件不開示部分⑦には,本件立入検査に関する内容が記載されており,対象文書⑩及び⑪(本件不開示部分⑩及び⑪)は,C審議官又はB課長が作成したA牧場についての検討資料であ した電子メールの文書であり,本件不開示部分⑦には,本件立入検査に関する内容が記載されており,対象文書⑩及び⑪(本件不開示部分⑩及び⑪)は,C審議官又はB課長が作成したA牧場についての検討資料であり,そこには,平成24年4月当時,消費者庁が農水省から引き継いだ資料を基に,A牧場が経営破たん前に行っていた会計処理について検証した内容等が記載されている。本件不開示部分⑦には,上記のとおり,本件立入検査に関する内容が上司への報告目的で記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等も踏まえると,そこには,預託等取引業者が預託等取引契約の目的物である特定商品を預託等取引契約に見合うだけ実際に保有しているかを確認する方法等,預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。また,本件不開示部分⑩及び⑪には,上記のとおり,A牧場の会計処理について検証する内容が記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等も踏まえると,そこには,預託等取引業者が預託等取引契約に関する業務を行う事業所に備え置くことが義務付けられる書面に記載される項目の中で所管 行政庁が執行に際して重点的に確認すべき項目等,預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。 そうすると,仮に,かかる情報が公になったときには,これらの着眼点やノウハウ(消費者庁が預託法違反を検討する際の重点等)が世間一般や預託等取引業者に知れることで,将来的に違反事実の発覚を免れようとする者において,関係資料の隠ぺい・廃棄,虚偽内容の資料作成や弁解等の対策を実効性高く講じることが可能となることから,消費者庁の預託法違反に係る事務の適正な遂行を害するおそれがあり,本件不開示部分⑦,⑩及び⑪に記録されている ぺい・廃棄,虚偽内容の資料作成や弁解等の対策を実効性高く講じることが可能となることから,消費者庁の預託法違反に係る事務の適正な遂行を害するおそれがあり,本件不開示部分⑦,⑩及び⑪に記録されている情報は,情報公開法5条6号イの不開示情報に該当するといえる。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,本件不開示部分⑦,⑩及び⑪についても,事務の適正な遂行を害するおそれはないことや,公益的な開示の必要性が高いことを主張するが,これらの主張を採用することができないことについては,(イ)において既に述べたとおりである。控訴人の主張は採用することができない。 (オ) 本件不開示部分⑤,⑧及び⑨について控訴人は,本件不開示部分⑤,⑧及び⑨の記載事項は,消費者庁のA牧場への懸案事項やA牧場の景表法違反の検討状況等,A牧場の法令順守状況についての消費者庁の認識内容を直接にうかがい知ることのできる内容であり,これらを公にする公益的必要性は極めて高度であり,A牧場が既に破綻している現在,同牧場に対する景表法等に基づく違反調査等は想定されず,景表法の違反調査等に何らかの支障等が及ぶことは想定できないほか,現在我が国にA牧場と同様の和牛預託商法を行う事業者が存在しない現状においては,他の類似事案への影響や支障等は観念できず,観念できたとしても,それはごく僅かなものにすぎず,開示しても,国の機関が行う事務等の遂行に実質的な支障が生ずるという ことはできない旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の1(4)オのとおり,対象文書⑤は,平成23年9月8日,C審議官又はB課長が作成した打合せ用のメモであり,本件不開示部分⑤には,A牧場に関する懸案事項(景表法違反被疑事件の調査において収集することが予定されている資 ,対象文書⑤は,平成23年9月8日,C審議官又はB課長が作成した打合せ用のメモであり,本件不開示部分⑤には,A牧場に関する懸案事項(景表法違反被疑事件の調査において収集することが予定されている資料等)について記載されており,対象文書⑧は,C審議官又はB課長が作成したA牧場についての検討資料であり,そこには,本件措置命令における景表法4条1項1号該当性の検討状況,仮に補充調査すべきとなった場合の方針について記載されており,対象文書⑨は,同年11月18日,B課長がC審議官に報告する目的で作成した電子メールの文書であり,本件不開示部分⑨には,本件措置命令における景表法4条1項1号該当性の検討状況について記載されている。本件不開示部分⑤には,上記のとおり,消費者庁におけるA牧場に関する懸案事項(景表法違反被疑事件の調査において収集することが予定されている資料等)が打合せのためのメモとして記載されているところ,このような記載内容や作成目的等も踏まえると,そこには,景表法違反被疑事件の調査において収集される資料や,景表法違反の問題を検討する際の消費者庁の関心事項等,景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。本件不開示部分⑧には,上記のとおり,本件措置命令における景表法4条1項1号該当性の検討状況,仮に補充調査すべきとなった場合の方針等が上司への報告目的で記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等も踏まえると,そこには,景表法4条1項1号に規定する「著しく優良であると示す表示」と認められるための優良性の程度に関する考え方等,景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。本件不開示部分⑨には,上記のとおり,本件措置命令におけ る景表法4条1項 の優良性の程度に関する考え方等,景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。本件不開示部分⑨には,上記のとおり,本件措置命令におけ る景表法4条1項1号該当性に関する検討内容が記載されているところ,このような記載内容や作成の経緯・目的等も踏まえると,そこには,景表法4条1項1号に規定する「著しく優良であると示す表示」と認められるための優良性の程度に関する考え方等,景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウに係る情報がある程度含まれているといえる。そうすると,仮に,かかる情報が公になったときには,これらの着眼点やノウハウ(消費者庁が景表法違反を検討する際の重点等)が世間一般や対象事業者に知れることで,将来的に違反事実の発覚を免れようとする者において,関係資料の隠ぺい・廃棄,虚偽内容の資料作成や弁解等の対策を実効性高く講じることが可能となることから,消費者庁の景表法違反に係る事務の適正な遂行を害するおそれがあり,本件不開示部分⑤,⑧及び⑨に記録されている情報は,情報公開法5条6号イの不開示情報に該当するといえる。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,本件不開示部分⑤,⑧及び⑨についても,A牧場が既に破たんしていることや,我が国に同様の和牛預託法業者は存在しないこと等から,事務の適正な遂行を害するおそれはないこと,公益的な開示の必要性が高いことを主張するが,これらの主張を採用することができないことについては,(イ)において既に述べたとおりである。控訴人の主張は採用することができない。 (2) 本件不開示部分①ないし③及び⑤ないし⑫につき,情報公開法6条1項に基づく部分開示をしなかった違法があるか(争点2)についてア原判決の判断枠組みについて控訴人は,原判決 (2) 本件不開示部分①ないし③及び⑤ないし⑫につき,情報公開法6条1項に基づく部分開示をしなかった違法があるか(争点2)についてア原判決の判断枠組みについて控訴人は,原判決は,「不開示情報に該当する独立した一体的な情報をさらに細分化し,その一部を開示し,その余の部分にはもはや不開示情報が記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも行政機関の長に義務付けているものと解することはできない。」とした上で,上 記「独立した一体的な情報」をどの範囲でとらえるのかについては,「当該情報が記録された行政文書の目的・性質,内容,取得原因,名義,形状等を総合的に考慮した上で,不開示情報を定める情報公開法5条各号の規定の趣旨に照らし,社会通念に従って個別具体的に判断するのが相当である」としたが,法の定める不開示情報に該当しない部分はこれを区別して最大限開示されるべきであり,審査基準上も,文書について部分開示を実施すべき最小単位が「文,段落」であることが明記されており,原判決が判示するように「一定のまとまりを持った単位」とはされておらず,消費者庁が自ら情報公開法6条1項に基づく部分開示の判断方法についてその裁量基準を策定した以上,被控訴人は同裁量基準に羈束され,当該基準に則った事案処理が要請される旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」中の第4の2(1)のとおり,情報公開法6条1項本文は,開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において,不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない旨を定めているところ,これは,行政文書の一部に不開示情報が含まれているとしても,当然に全体を不開示とするのではな に区分して除くことができるときは,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない旨を定めているところ,これは,行政文書の一部に不開示情報が含まれているとしても,当然に全体を不開示とするのではなく,部分開示ができる部分についてはこれを開示すべきものとしたものと解されるが,同項の規定は,その文理に照らし,1個の行政文書に複数の情報が記録されている場合において,それらの情報の中に不開示情報に該当するものがあるときは,当該情報を除いたその余の部分についてのみ,これを開示することを行政機関の長に義務付けているにすぎず,不開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部を開示し,その余の部分にはもはや不開示情報が記録されていないものとみなして,これを開示することまでをも行政機関の長に義務付けているものと解することはできないというべきである。そして,上記「独立した一体的 な情報」をどの範囲でとらえるのかについては,当該情報が記録された行政文書の目的・性質,内容,取得原因,名義,形状等を総合的に考慮した上で,不開示情報を定める情報公開法5条各号の規定の趣旨に照らし,社会通念に従って個別具体的に判断するのが相当であると解される。 この点につき,控訴人は,開示請求に係る行政文書については,審査基準に照らし,それぞれの文,段落ごとに部分開示が検討されるべきであると主張するが,審査基準の控訴人の指摘箇所は,「部分的に削除すべき範囲は,文書であれば,一般的には,文,段落等(中略)を単位として判断する」とするものであり(甲5),その部分開示に関する判断基準の全体を参照すると,特定の行政文書に複数の情報が記録されている場合において,その一部に不開示情報があり,それが記録されている部分を容易に区分けし分離することができることを前提として 関する判断基準の全体を参照すると,特定の行政文書に複数の情報が記録されている場合において,その一部に不開示情報があり,それが記録されている部分を容易に区分けし分離することができることを前提として,部分開示の実施に当たり,具体的な記述をどのように削除するかについては,行政機関の長の情報公開法の目的に沿った合目的的な裁量に委ねられているとの理解の下に,上記の引用のように部分的に削除すべき範囲についての一般的な判断の基準を示したものであることが認められ(甲5),以上のような内容に照らし,控訴人の主張するような考え方に立つ定めとは認め難く,情報公開法6条1項本文の規定について既に述べたところと齟齬するものとも認め難い。 控訴人の主張は採用することができない。 イ各不開示部分(本件不開示部分①ないし③及び⑤ないし⑫)について(ア) 本件不開示部分③について控訴人は,本件不開示部分③に情報公開法5条5号に該当する情報が含まれているとしても,少なくともA牧場民事再生申立代理人弁護士のウェブサイトの掲載事項が記載された部分は,意思形成過程の審議,検討,協議とは明らかに別個独立のものであり,かかる情報のみを他の部分から分離して開示しても,消費者庁の適正な意思決定に不当な影響 を及ぼす恐れは明らかになく,情報公開法5条5号に該当せず,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)アのとおり,対象文書③は,上部に「C審議官からの指示(23.08. 30)」と記載された任意の様式1枚で作成されており,本件不開示部分③には,消費者庁のA牧場の消費者問題に関する想定問答の検討状況が記載されていることからすると,同部分の各要素が相互に関連して情報公開法5条5号に該 た任意の様式1枚で作成されており,本件不開示部分③には,消費者庁のA牧場の消費者問題に関する想定問答の検討状況が記載されていることからすると,同部分の各要素が相互に関連して情報公開法5条5号に該当する情報が構成されていると解され,社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。控訴人は,A牧場民事再生申立人代理人弁護士のウェブサイトの掲載事項が記載された部分については部分開示すべきであると主張するところ,上記ウェブサイトに掲載された事項のうちのいかなる部分を取り上げるかについても上記検討状況に含まれるといえる上,その検討状況は上記ウェブサイトの掲載事項が記載された部分とそれ以外とを相互に参照しながら全体として把握されることからすると,当該部分を含めた全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (イ) 本件不開示部分①について控訴人は,本件不開示部分①には,牛の市場価格及び預託商品の商品価格そのものの情報も含まれており,これらの情報は他の部分とは区別できるものと考えられ,牛の市場価格に関しては,既に一般に公表されている客観的情報であり,A牧場における預託商品の価格もA牧場のパンフレット,あるいはA牧場事件をめぐる各種報道により既に公にされている客観的情報であるから,これらの情報を公にしても,今後の消費者庁の預託法に基づく執行事務等に支障を及ぼすおそれはなく,情報公開法5条6号イに該当しないから,本件不開示部分①のうち,少なく とも農水省による検討状況が記載された部分以外は情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)イのとおり,対象文書①は「牛の市場価格と預託商法における商品価格 は情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきである旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)イのとおり,対象文書①は「牛の市場価格と預託商法における商品価格との乖離について」と表題が記載された任意の様式1枚で作成されており,本件不開示部分①には,本件立入検査を実施した農水省における牛の市場価格と預託商法における商品価格との間にかい離があることについての検討状況が上司への報告目的で記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。控訴人は,牛の市場価格及び預託商品の価格が記載された部分について部分開示すべきであると主張するが,上記検討状況はこれらの部分とそれ以外とを相互に参照しながら全体として把握されると解されることからすると,当該部分を含めた全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (ウ) 本件不開示部分②について控訴人は,本件不開示部分②についても,仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,黒塗り部分の全ての部分が農水省による立入検査の具体的調査方法や提出を求めた事項等,調査のノウハウや着眼点が現れている部分で占められているとは考えられず,例えば,立入検査の日時,場所等や検査結果等の客観的情報が記載されている部分については,調査のノウハウや着眼点とは無関係であるから,調査のノウハウや着眼点が記載されている部分以外は不開示情報に該当しないものというべきであり,本件不開示部分②のうち,少なくとも立入検査の日時,場所,検査結果等の客観的情報については不開示情報に該当せず,情報公開法6条1項に基づき部 る部分以外は不開示情報に該当しないものというべきであり,本件不開示部分②のうち,少なくとも立入検査の日時,場所,検査結果等の客観的情報については不開示情報に該当せず,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主 張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)ウのとおり,対象文書②の本件不開示部分②を含む部分は「農林水産省におけるA社に対する立入検査についての経緯メモ」と表題が記載され,柱書に,農水省がA牧場「に対して行った立入検査及びその結果については,以下のとおり。」と記載された任意の様式2枚で作成されており,本件不開示部分②には,農水省から情報提供を受けた本件立入検査の経緯や結果等が上司への報告目的で記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。控訴人は,例えば,立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果が記載されている部分について部分開示すべきであると主張するが,上記報告内容は,これらの部分とそれ以外とが全体として把握されると解されることからすると,当該部分を含めた全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (エ) 本件不開示部分⑤について控訴人は,本件不開示部分⑤に不開示情報が含まれるとしても,同部分は,ほぼ1頁全てが広範に黒塗りで不開示とされているところ,そこに記載されているA牧場についての懸念事項などの情報が,全て景表法上の執行の際の着眼点,ノウハウを示すことになる情報のみで構成されているとは考えられず,景表法の条文やその解釈等,消費者庁の景表法の違反調査のノウハウや着眼点とは無関係な客 などの情報が,全て景表法上の執行の際の着眼点,ノウハウを示すことになる情報のみで構成されているとは考えられず,景表法の条文やその解釈等,消費者庁の景表法の違反調査のノウハウや着眼点とは無関係な客観的情報も含まれているものと考えられるから,少なくとも景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウ等とは関係のない客観的情報については,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)エのとおり,対象文書⑤は「A牧場に関する懸案事項(打ち合わせ用メモ)」と表題が記載された任意の様式1枚で作成されており,本件不開示部分⑤には,消費者庁におけるA牧場に関する懸案事項が打合せに向けたメモとして記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。 控訴人は,少なくとも景表法に基づく執行の際の着眼点やノウハウが明らかになる部分以外の情報については部分開示すべきであると主張するが,控訴人が記載されているものと考えられるとする景表法の条文やその解釈等の客観的情報についても,対象文書の記載内容やその性質等からすると,相互に関連した全体として独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (オ) 本件不開示部分⑦について控訴人は,本件不開示部分⑦に仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,本文部分が全て黒塗りとされている電子メールの内容が全て着眼点やノウハウの情報で構成されているとは考えられず,本件不開示部分⑦には農水省による立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果等が記載されていると て黒塗りとされている電子メールの内容が全て着眼点やノウハウの情報で構成されているとは考えられず,本件不開示部分⑦には農水省による立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果等が記載されていると思われるし,電子メールの本文自体も,挨拶文や事務的やり取りの文章等,消費者庁の着眼点やノウハウ等とは無関係な情報も含まれているものと考えられ,少なくとも調査のノウハウや着眼点が記載されている部分以外の農水省による立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果,挨拶文や事務的やり取りの文章等は情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2) オのとおり,対象文書⑦はB課長がC審議官ほかに対して送付した,「【御報告】A牧場に対する平成21年の農水省立入検査について(B)」と題するメールをC審議官が印刷した体裁の任意の様式で作成されており,本件不開示部分⑦には,本件立入検査に関する内容が上司への報告目的で記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。 控訴人は,立入検査の日時,場所等の客観的情報や検査の結果が記載されている部分について部分開示すべきであると主張するが,上記報告内容は,これらの部分とそれ以外とが全体として把握されると解されることや,控訴人が記載されているものと思われるとする電子メールの本文の挨拶文や事務的やり取りの文章等についても,上記のとおり件名が独立して明示されていることからすれば,全体を独立した一体的な情報とみるべきであると解される。控訴人の主張は採用することができない。 (カ) 本件不開示部分⑧及び⑨に についても,上記のとおり件名が独立して明示されていることからすれば,全体を独立した一体的な情報とみるべきであると解される。控訴人の主張は採用することができない。 (カ) 本件不開示部分⑧及び⑨について控訴人は,本件不開示部分⑧及び⑨についても,仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,挨拶文や事務的やり取りに関する文章,景表法の条文やその解釈等,公にしても景表法の基づく違反調査に何らの支障も生じさせない情報も含まれていると考えられ,少なくとも着眼点やノウハウが記載されていない情報については,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)カのとおり,対象文書⑧は任意の様式1枚(2頁)で作成され,対象文書⑨はB課長がC審議官に対して送付した「景品表示法の措置命令の件」と題するメールをC審議官が印刷した体裁の任意の様式で作成されており,本件不開示部分⑧及び⑨には,いずれも本件措置命令に関する検討 状況が記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,それぞれ社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。 控訴人は,少なくとも着眼点やノウハウが記載されていない情報については部分開示すべきであると主張するが,上記検討状況は控訴人が記載されていると思われるとするような情報に係る部分とそれ以外とを相互に参照しながら全体として把握されると解され,当該部分を含めた全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (キ) 本件不開示部分⑩及び⑪について控訴人は,本件不開示部分⑩及び⑪についても,仮に情報公開法5条 た全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (キ) 本件不開示部分⑩及び⑪について控訴人は,本件不開示部分⑩及び⑪についても,仮に情報公開法5条6号イに該当する情報が含まれているとしても,それ以外の事項,例えば,A牧場の会計処理に係る客観的情報そのものは,公になっても消費者庁の預託法に基づく事件調査等に支障を生じさせることはないというべきであり,少なくとも,A牧場の会計処理に係る客観的情報等,消費者庁の検証内容等が記載されている部分以外の情報については,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)キのとおり,対象文書⑩及び⑪はいずれも任意の様式3枚ないし2枚で作成されており,本件不開示部分⑩及び⑪には,それぞれA牧場の会計処理について検証した内容が記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,それぞれ社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。控訴人は,少なくとも消費者庁の検証内容等が記載されている部分以外の情報,例えば,A牧場の会計処理に係る客観的情報については,部分開示すべきであると主張するが,上記検証内容 はこれらの部分とそれ以外とを相互に参照しながら全体として把握されると解され,当該部分を含めた全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (ク) 本件不開示部分⑫について控訴人は,本件不開示部分⑫についても,少なくともA牧場の破綻に至るまでの経緯等の客観的事実については,消費者庁の預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウとは無関係であり,公にしても消 ⑫について控訴人は,本件不開示部分⑫についても,少なくともA牧場の破綻に至るまでの経緯等の客観的事実については,消費者庁の預託法に基づく執行の際の着眼点やノウハウとは無関係であり,公にしても消費者庁の事務等に支障をきたすおそれはないから不開示情報に該当せず,情報公開法6条1項に基づき部分開示されるべきであると主張する。 しかし,補正して引用した原判決「事実及び理由」中の第4の2(2)クのとおり,対象文書⑫は任意の様式2枚で作成されており,本件不開示部分⑫には,預託法上の問題点を検討する観点において,A牧場が破たんに至るまでの経緯や立入検査後に報告を求めた事項等が記載されていることからすると,同部分の各要素が関連して情報公開法5条6号イに該当する情報が構成されていると解され,社会通念上,独立した一体的な情報が記録されているというべきである。控訴人は,少なくともA牧場の破たんに至るまでの経緯等の客観的事実については部分開示すべきであると主張するが,上記検討内容はこれらの部分とそれ以外とを相互に参照しながら全体として把握されると解され,当該部分を含めた全体を独立した一体的な情報とみるべきである。控訴人の主張は採用することができない。 (ケ) 本件不開示部分⑥について控訴人は,本件不開示部分⑥につき,少なくとも消費者庁職員の回答内容については部分開示がされるべきである旨主張する。 しかし,補正して引用した原判決の「事実及び理由」第4の2(2)ケのとおり,対象文書⑥は「A牧場関係のD新聞(■記者)の取材対応 (メモ)」と表題が記載され,作成名義として「B」と記載され,柱書に「上記記者とのやり取りの概要以下のとおり。」と記載された任意の様式3枚で作成されており,本件不開示部分⑥には,本件取材の具体的な質疑応答の内容が記載さ され,作成名義として「B」と記載され,柱書に「上記記者とのやり取りの概要以下のとおり。」と記載された任意の様式3枚で作成されており,本件不開示部分⑥には,本件取材の具体的な質疑応答の内容が記載されているところ,上記のとおり,対象文書⑥は,B課長においてD新聞記者とのやり取りの概要を取りまとめたメモであるところからすると,本件取材の内容は,各要素が関連して,すなわち,記者の質問とこれに対する消費者庁職員の回答とを相互に参照しながら全体として把握されると解されるところからすると,消費者庁職員の回答内容の部分も含めた全体を独立した一体的なものとして情報公開法5条2号イに該当する情報が記録されていると解され,社会通念上,これらの全体をもって独立した一体的な情報が記録されていると解すべきである。控訴人の主張は採用することができない。 第4 結論第3において認定及び判断をしたところは,控訴人のその余の補充主張によっても左右されるものではない。 以上によれば,控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当である。 よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官柴 﨑 哲夫 裁判官今井弘晃(別紙省略)
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