主文 1 控訴人らの控訴を棄却する。2 原判決主文中附帯被控訴人ら関係部分を次のとおり変更する。3 附帯被控訴人A、同B、同Cは附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)および同(三)の建物を収去して同目録記載(一)の土地を明け渡せ。4 附帯被控訴人Dは附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)及び(三)の建物から退去して同(一)の土地を明け渡せ。5 附帯控訴人の附帯被控訴人Dに対するその余の請求を棄却する。6 附帯被控訴人E、同Fは附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)及び(三)の建物から退去して同目録記載(一)の土地を明け渡せ。7 訴訟費用(控訴費用、附帯控訴費用を含む)は、第一、二審とも控訴人(附帯被控訴人)らの負担とする。8 この判決主文第二、三、四、六項は、仮に執行することができる。事実 控訴人ら代理人は、「原判決中控訴人ら敗訴の部分を取り消す。被控訴人の控訴人らに対する請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」旨の判決を求め、被控訴人(附帯控訴人)代理人は、控訴棄却の判決を求め、附帯控訴として、「原判決中附帯被控訴人ら関係部分を次のとおり変更する。(1)附帯被控訴人A、同B、同Cは附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)の建物を収去して同(一)の土地を明け渡せ。(2)附帯被控訴人Dは附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)の建物から退去し、かつ同目録記載(三)の建物を収去して同目録(一)の土地を明け渡せ。(3)附帯被控訴人E、同F(請求の趣旨訂正の申立書中に「同G、同H」とあるのはいずれも控訴人ではなく誤記と認める。)は附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)および(三)の建物から退去して同(一) (3)附帯被控訴人E、同F(請求の趣旨訂正の申立書中に「同G、同H」とあるのはいずれも控訴人ではなく誤記と認める。)は附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)および(三)の建物から退去して同(一)の土地を明け渡せ。 帯被控訴人E、同F(請求の趣旨訂正の申立書中に「同G、同H」とあるのはいずれも控訴人ではなく誤記と認める。)は附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)および(三)の建物から退去して同(一) (3)附帯被控訴人E、同F(請求の趣旨訂正の申立書中に「同G、同H」とあるのはいずれも控訴人ではなく誤記と認める。)は附帯控訴人に対し別紙物件目録記載(二)および(三)の建物から退去して同(一)の土地を明け渡せ。(4)訴訟費用は第一、二審とも附帯被控訴人らの負担とする。」旨の判決ならびに仮執行の宣言を求め右(2)の請求のうち別紙物件目録記載(三)の建物収去土地明渡請求が認容されない場合の予備的請求として、「附帯被控訴人A、同B、同Cは別紙物件目録記載(三)の建物を収去して同(一)の土地を明け渡せ(以上、請求の趣旨訂正申立書中別紙物件目録記載(三)の建物の表示中、m2とあるのは各坪の誤記と認める。)」との判決を求め、附帯被控訴人ら代理人は、附帯控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張ならびに証拠の提出、援用および認否は、次に附加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。一被控訴人(附帯控訴人)代理人は、次のように述べた。1 原判決添付物件目録記載(二)の建物については、昭和二九年八月二七日両国興業株式会社(以下、両国興業という)のため保存登記がされ、同年一二月一日被控訴人(附帯控訴人、以下、被控訴人という)のため所有権取得登記がされたのであるが、Iは、両国興業に対し右保存登記抹消、被控訴人に対し右所有権取得登記抹消を命ずる東京地方裁判所の確定判決を得て前記(二)の建物につき右各登記の抹消登記手続をしたので昭和四三年六月二六日右建物の登記簿は閉鎖された。2 ところが、Iが死亡し、別紙物件目録記載(二)の建物は、Iの相続人である控訴人(附帯被控訴人、以下、控訴人という)A、同B、同Cの共有となり、右控訴人三名を被申請人とする昭和四三年九月二四日付処分禁止仮処分命令の登記手続をするため、東京地方裁判所は 、Iの相続人である控訴人(附帯被控訴人、以下、控訴人という)A、同B、同Cの共有となり、右控訴人三名を被申請人とする昭和四三年九月二四日付処分禁止仮処分命令の登記手続をするため、東京地方裁判所は、同建物につき職権により東京都墨田区ab丁目c番地d家屋番号○×番△の壱木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建店舗兼居宅壱階弐五七・八五平方メートル、弐階弐弐七・壱七平方メートルと表示して所有権保存登記手続をした。 は 、Iの相続人である控訴人(附帯被控訴人、以下、控訴人という)A、同B、同Cの共有となり、右控訴人三名を被申請人とする昭和四三年九月二四日付処分禁止仮処分命令の登記手続をするため、東京地方裁判所は、同建物につき職権により東京都墨田区ab丁目c番地d家屋番号○×番△の壱木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建店舗兼居宅壱階弐五七・八五平方メートル、弐階弐弐七・壱七平方メートルと表示して所有権保存登記手続をした。また、原判決添付物件目録記載(三)の建物はもともと前記(二)の建物に対する増築部分であり、両者の現状は合して木造亜鉛メツキ鋼板葺二階建店舗兼居宅壱階二七九・三〇平方メートル、二階二六六・五五平方メートルの一体をなしている。3 よつて、被控訴人は、収去を求める建物および明け渡しを求める土地の表示を別紙物件目録記載のとおり改める。二控訴人ら代理人は、被控訴人の一1、2の主張事実をいずれも認めると述べた。三証拠(省略) 理由 一別紙物件目録記載(一)の土地(以下、「本件土地」という)が被控訴人の所有に属するか否かについて判断する。本件土地がもと中央信用組合の所有に属していたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第一、第二号証、乙第一一号証、原審および当審における証人J、被控訴本人の各供述によれば、右中央信用組合が本件土地を昭和二七年四月二三日株式会社東京ホテル(昭和二八年一一月二〇日商号を変更して両国企業株式会社となり、同年同月二七日その旨の登記を了した。右商号変更については当事者間に争いがない)に売り渡し、同年一一月七日その所有権移転登記を経由したこと、次で昭和二九年一一月三〇日両国企業株式会社がこれを被控訴人に売り渡し、同年一二月一日その所有権移転登記を経由したことが認められる。してみれば、本 し、同年一一月七日その所有権移転登記を経由したこと、次で昭和二九年一一月三〇日両国企業株式会社がこれを被控訴人に売り渡し、同年一二月一日その所有権移転登記を経由したことが認められる。してみれば、本件土地は被控訴人の所有に属するといわなければならない。この点について控訴人らは、中央信用組合が昭和二七年四月二三日本件土地をJに売り渡したから、本件土地は同人の所有であると主張する。しかし、かりに控訴人ら主張のように、Jが中央信用組合から、本件土地を買い受けたとしても、中央信用組合は、前叙のとおり、その後株式会社東京ホテルに売却し、同会社のため所有権移転登記が経由されているので、その所有権は、右登記の時東京ホテルに移転したことに確定したのであり、同会社から所有権を転得し、その登記を経由した被控訴人に対する関係において、Jの所有権取得を主張することはできないわけである。 張する。しかし、かりに控訴人ら主張のように、Jが中央信用組合から、本件土地を買い受けたとしても、中央信用組合は、前叙のとおり、その後株式会社東京ホテルに売却し、同会社のため所有権移転登記が経由されているので、その所有権は、右登記の時東京ホテルに移転したことに確定したのであり、同会社から所有権を転得し、その登記を経由した被控訴人に対する関係において、Jの所有権取得を主張することはできないわけである。二控訴人A、同B、同Cが原判決添付物件目録記載(二)の建物を所有して本件土地を占有していたこと、この判決事実摘示一1および2の被控訴人主張事実はいずれも当事者間に争いがないから、控訴人Aらは、別紙物件目録記載(二)の建物を所有して本件土地を占有していることが認められる。次に、別紙物件目録記載(三)の建物が控訴人Dの所有に属するか否かの点につき按ずるに、別紙物件目録記載(三)の建物がもともと前記別紙物件目録記載(二)の建物に対する増築部分であり、両建物の現状が合して木造亜鉛メツキ鋼板葺二階建店舗兼居宅一棟一階二七九・三〇平方メートル二階二六六・五五平方メートルの一体をなしていることは、当事者間に争いがなく、原審における控訴人Eの供述によれば、控訴人Dの夫である控訴人Eが亡Iから原判決添付物件目録記載(二)の建物を賃借中右Iの承諾のもとに増築した部分が別紙物件目録記載(三)の建 、当事者間に争いがなく、原審における控訴人Eの供述によれば、控訴人Dの夫である控訴人Eが亡Iから原判決添付物件目録記載(二)の建物を賃借中右Iの承諾のもとに増築した部分が別紙物件目録記載(三)の建物であること、両者は、右増築にあたり、増築部分は右Iの所有とする旨合意していたこと、登記名義は、控訴人Dの名義になつているが、それは、税金の関係でそのようにしたまでで、税金の関係が済んだらI名義に戻す約束になつていることが認められる。ところで、右Iが昭和三七年三月一四日死亡し、控訴人Aらが同人を相続したことは前叙のとおりであるから、控訴人Aらは、右増築により附合して一体となつた別紙物件目録記載(二)(三)の建物の所有権を相続により取得し、これを所有して本件土地を占有していることは明らかであり、控訴人D、同E、同Fが右建物に居住して本件土地を占有していることは当事者間に争いがない。三そこで、控訴人Aらの占有権原の有無について検討する。 で、右Iが昭和三七年三月一四日死亡し、控訴人Aらが同人を相続したことは前叙のとおりであるから、控訴人Aらは、右増築により附合して一体となつた別紙物件目録記載(二)(三)の建物の所有権を相続により取得し、これを所有して本件土地を占有していることは明らかであり、控訴人D、同E、同Fが右建物に居住して本件土地を占有していることは当事者間に争いがない。三そこで、控訴人Aらの占有権原の有無について検討する。1 一の末尾において説示したとおり、Jは、本件土地につき所有権を取得したといえないのであるから、同人から亡Iが地上権の設定を受けたという控訴人Aらの主張は、その余の点について判断を加えるまでもなく、採用の限りではない。2 次に、控訴人Aらの仮定抗弁につき按ずるに、原審における証人K、控訴人Eの各供述および弁論の全趣旨によつて成立を認める乙第一ないし第七号証、右各供述、原審証人Jの供述(一部)を総合すれば、亡Iが昭和二九年七月五日Jの注文により原判決添付物件目録記載(二)の建物の建築を請け負つたこと、その際に請負代金一六四万二、三一〇円を工事完成までに右Jが支払わないときは、完成した右建物とともにその敷地の本件土地部分の地上権を右Iに移移するとの契約を取り交したこと、そして、Jの側から金額合計六〇万円の小切 金一六四万二、三一〇円を工事完成までに右Jが支払わないときは、完成した右建物とともにその敷地の本件土地部分の地上権を右Iに移移するとの契約を取り交したこと、そして、Jの側から金額合計六〇万円の小切手四通及び約束手形一通が右代金の内金として差し入れられたが、いずれも不渡りとなり、ほかに右工事代金の支払いはなかつたことが認められる。原審および当審における証人Jの供述中右認定に反する部分は採用することができず、ほかにこれを動かすだけの証拠はない。しかし、主張の前提として、昭和二九年五月頃Jが両国企業株式会社から本件土地につき地上権の設定を受けたという控訴人Aらの主張事実はこれを認めるだけの証拠がない。四前叙のように、控訴人Aら三名が本件土地占有権原として主張する地上権は認めることができず、右控訴人らは他にその占有権原としてなんらの主張をしていないで、被控訴人の控訴人らAに対する(二)の建物収去および本件土地明渡請求と予備的請求とは正当である。<要旨>ところで主観的予備的訴訟が不適法(最高裁第二小法廷昭和四三年三月八日判決民集二二巻三号五五一</要旨>頁)とされる理由は、被告が予備的の立場にあるため不当に不安と不利益を強いられるからであると解される。 張する地上権は認めることができず、右控訴人らは他にその占有権原としてなんらの主張をしていないで、被控訴人の控訴人らAに対する(二)の建物収去および本件土地明渡請求と予備的請求とは正当である。<要旨>ところで主観的予備的訴訟が不適法(最高裁第二小法廷昭和四三年三月八日判決民集二二巻三号五五一</要旨>頁)とされる理由は、被告が予備的の立場にあるため不当に不安と不利益を強いられるからであると解される。それ故諸般の事情により請求が主観的予備的に併合されても被告が不当に不利益を受けず不安定な立場に置かれてもやむを得ないと認められる場合には右併合は許されると解すべきであり、このように解することは右判例に反しないものと考える。この観点から本件をみるのに、被控訴人(原告)は土地所有権に基づき当初から控訴人Dとその余の控訴人Aら三名を共同被告として建物退去土地明渡請求訴訟を提起するとともに右控訴人Dに対し右地上にある右建物に隣接する別の建物の所有者であるとしてその収去と土地明渡を請求し、その所有 人Dとその余の控訴人Aら三名を共同被告として建物退去土地明渡請求訴訟を提起するとともに右控訴人Dに対し右地上にある右建物に隣接する別の建物の所有者であるとしてその収去と土地明渡を請求し、その所有者が右控訴人Dでなくその余の控訴人Aら三名と認定されることある場合を予想して右控訴人Aら三名に対し予備的に右建物の収去による右土地の明渡を併合したものである。このようにして主観的予備的請求を併合された本件被告Aら三名は、当初から同一土地の明渡という関連する訴訟の共同被告とされているので、右予備的併合による訴訟の被告とされることによつて別訴を提起されるのと比べて特段の不利益を受け不当に不安定な地位に置かれたと認めるべきではない。それ故このような主観的予備的請求は許されると解するのが相当である。被控訴人の控訴人Dに対する請求のうち、別紙物件目録記載(三)の建物を収去し、本件土地の明け渡しを求める部分は、前認定のとおり右建物(部分)が同控訴人の所有でないから失当である。次に、控訴人E、同D、同Fの各抗弁は、控訴人Aら三名が本件土地につき地上権を有することを前提とするところ、右地上権を有することが認められないことは前叙のとおりであるので、右抗弁は、いずれも採用することができず、控訴人E、同Fに対する被控訴人の請求及び控訴人Dに対する被控訴人の建物退去、土地明渡の請求はいずれも正当といわなければならない。 定のとおり右建物(部分)が同控訴人の所有でないから失当である。次に、控訴人E、同D、同Fの各抗弁は、控訴人Aら三名が本件土地につき地上権を有することを前提とするところ、右地上権を有することが認められないことは前叙のとおりであるので、右抗弁は、いずれも採用することができず、控訴人E、同Fに対する被控訴人の請求及び控訴人Dに対する被控訴人の建物退去、土地明渡の請求はいずれも正当といわなければならない。そして、被控訴人の控訴人Dに対する別紙物件目録記載(三)の建物収去土地明渡の請求は、同控訴人が右建物に居住していることに争いがないので、建物退去、土地明渡の限度で正当であるといわなければならない。五よつて、以上と趣旨を同じうする原判決は正当であつて、これに対する本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条によつて、これを棄却すべく、収去を求め 渡の限度で正当であるといわなければならない。五よつて、以上と趣旨を同じうする原判決は正当であつて、これに対する本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条によつて、これを棄却すべく、収去を求める建物の表示および現況ならびに明け渡しを求める土地の表示は別紙記載のとおりであるから、附帯控訴に基づき原判決主文中控訴人ら関係部分を主文第二ないし六項のとおり変更し、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、九二条但書、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官西川美数裁判官園部秀信裁判官森綱郎)(別紙)物件目録(一)東京都墨田区gh丁目i番地j一、宅地壱参弐四・八五平方メートル(四〇〇・七七坪)のうち添附図面第一の斜線部分参弐八・九弐平方メートル(九九・五〇坪)(二)東京都墨田区ab丁目e番地f家屋番号 ○×番△の□一、木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建店舗兼居宅壱階弐五七・八五平方メートル弐階弐弐七・壱七平方メートル(三)東京都墨田区ab丁目e番地f木造弐階建北側家屋番号 ○×番○一、木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建事務所遊戯場壱階四〇・四九平方メートル(壱弐坪弐合五勺)弐階四〇・壱九平方メートル(壱弐坪壱合六勺)但し(二)(三)の建物は合して一体をなしその現状は左記及び添附図面第二の通りである一、木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建店舗兼居宅壱階弐七九・参〇平方メートル弐階弐六六・五五平方メートル添附図面第一<記載内容は末尾1添付>添附図面第二<記載内容は末尾2添付> 家屋番号 ○×番○一、木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建事務所遊戯場壱階四〇・四九平方メートル(壱弐坪弐合五勺)弐階四〇・壱九平方メートル(壱弐坪壱合六勺)但し(二)(三)の建物は合して一体をなしその現状は左記及び添附図面第二の通りである一、木造亜鉛メツキ鋼板葺弐階建店舗兼居宅壱階弐七九・参〇平方メートル弐階弐六六・五五平方メートル添附図面第一<記載内容は末尾1添付>添附図面第二<記載内容は末尾2添付> 載内容は末尾1添付>添附図面第二<記載内容は末尾2添付>
▼ クリックして全文を表示